説明

アンカー装置の施工方法およびアンカー装置

【課題】正確な打設が可能になると共に、羽装置の打設が困難になった場合でも容易に対応することができ、さらに、運搬が容易になるアンカー装置の施工方法を提供する。
【解決手段】筒部10と羽部20とからなる羽装置1を図示しない打設手段によって地山8に打設する。その後、アンカー軸2を、既に打設されている羽装置1の筒部10に挿入して地山8に打設する。さらに、羽装置1を上羽装置と下羽装置との組み合わせによって形成するようにし、まず、下羽装置を打設し、これに続いて上羽装置を打設して地山8の中で両者を組み合わせた後、上羽装置の上筒部および下羽装置下筒部を貫通した状態で、アンカー軸2を地山8に打設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンカー装置の施工方法、特に、羽体を具備するアンカー装置の施工方法およびアンカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法面(斜面)における落石対策施設のロープ(ワイヤ)構造物を固定するために用いるアンカー(アンカーロッド、アンカーパイプ等、本発明において「アンカー装置」と総称する)の施工方法は、
(あ)一般に、地表(地面)に直接打ち込む方法、
(い)あるいは、地面に据削孔を予め形成し、この掘削孔にアンカー装置を挿入する方法、
(う)また、前記掘削孔にアンカー装置を挿入すると共に、モルタル、セメント、樹脂などの凝結効果を有する凝固剤を流しこむことでアンカー装置を地中に定着させる方法(このとき、アンカー装置によって、凝固剤とアンカーの挿入時期は前後するが地中部を定着層と位置づけ、定着層は主には岩盤層、安定した土層などの比較的安定した層で形成される)、がある。
そして、この様に設置されたアンカー装置の地表より上部に露出したアンカー上端部に、金具などで構成されたクリップを介してロープが固定される。
【0003】
また、従来の技術では、少なくとも地山が安定した土層で形成される斜面の場合か、あるいは地表が不安定な土層で、地中が岩盤層で形成される様な二つ以上の性質が異なる層から形成されるなどの斜面の場合に、アンカー自身の固定(抜けだしを防止する固定)については、比較的安定していると考えられる。
しかし、地表部に不安定な層が存在している斜面の場合には、アンカー装置と概ね直行する方向の荷重に対して耐力的な要素を望めないことから、場合によればアンカー上端部が荷重作用方向に傾くと考えられる。すなわち、アンカー上端部に取り付けられたクリップおよびロープがアンカー上端部と同様の挙動を示し、落石対策施設としての構造に余分な負荷が生じることになる。
このため、前記アンカー装置の倒れの防止を目的として、アンカーロッドまたはアンカーパイプ(本発明において「アンカー軸」と総称する)を打設後、アンカー軸が貫通した状態で、アンカー軸に沿って、スリーブ(本発明において「筒部」と称す)および羽部を有する羽装置を設置する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−226961号公報(第4−5頁、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、アンカー軸を先に打設し、その後に、打羽装置を、既に打設されているアンカー軸に筒部が案内された状態で打設するものであるため、以下のような問題があった。
(イ)アンカー軸は長尺であるため地山に対して打設角度の管理が難しいことから、アンカー軸が地山の表面に対して垂直に打設されない場合には、打羽装置の筒部は地山の表面に対して傾くことになり、打羽装置の羽部の一部が地山の表面から突出する「浮き」が生じ、傾き防止効果が阻害され、目的を満足しない。
(ロ)また、アンカー軸は打設された後、羽装置の打設が困難になって(例えば、小石や礫等に衝突して)打設を断念した場合、羽装置の回収は比較的容易であるものの、アンカー軸の回収(引き抜き)が容易でないため、回収作業に所定の装置と相当の時間とを必要とし、施工コストの上昇や工期の延長の原因になる。
(ハ)さらに、筒部と複数の羽部から構成された羽装置は、相当の重量と見掛け上の嵩とを有することから、トラック輸送の際の積載できる数量が少ないため、運搬コストが上昇する原因や、法面(斜面)の高い位置にまで持ち上げる作業が容易でないため、施工コストの上昇や工期の延長の原因になっていた。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、正確な打設が可能になると共に、羽装置の打設が困難になった場合でも容易に対応することができ、さらに、運搬が容易になるアンカー装置、およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るアンカー装置の施工方法は、筒部および該筒部の外周に固定された羽部からなる羽装置と、前記筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記羽装置を地山に打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記打設されている羽装置の筒部に挿入して地山に打設する工程と、を有する。
【0008】
(2)前記(1)において、前記羽部が前記筒部の軸心を含む面内に配置され、
前記羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設することを特徴とする。
【0009】
(3)また、本発明に係るアンカー装置の施工方法は、下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなる下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなる上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記下筒部の軸心と前記上筒部の軸心とが一致した状態で、前記下羽装置と前記上羽装置とを一体化する工程と、
前記一体化された前記下羽装置および前記上羽装置を地山に打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記一体化されて打設されている上羽装置の上筒部と下羽装置の下筒部とに挿入して地山に打設する工程と、
を有する。
【0010】
(4)また、前記(3)において、前記上羽装置の上筒部の長さが前記上羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記上筒部が前記上羽部の略上半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の下筒部の長さが前記下羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記下筒部が前記下羽部の略下半分の範囲に固定される、
前記下羽装置の上縁と前記上羽装置の上縁とが略同一面になるように一体化することを特徴とする。
【0011】
(5)さらに、前記(3)または(4)において、前記上羽装置の上筒部の外周に、前記下羽装置の下羽部が侵入自在な上位置決め手段が設けられ、
前記下羽装置の下筒部の外周に、前記上羽装置の上羽部が侵入自在な下位置決め手段が設けられ、
前記上羽部が前記下位置決め手段に、前記下羽根が前記上位置決め手段に、それぞれ侵入した状態で一体化することを特徴とする。
【0012】
(6)また、本発明に係るアンカー装置の施工方法は、下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなる下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなる上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記下羽装置を地山に打設する工程と、
前記上羽装置を、前記上筒部の軸心が前記打設されている下羽装置の下筒部の軸心と一致するように打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記打設されている上羽装置の上筒部と前記打設されている下羽装置の下筒部とに挿入して地山に打設する工程と、
を有するアンカー装置の施工方法。
【0013】
(7)前記(6)において、前記上羽装置の上筒部の長さが前記上羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記上筒部が前記上羽部の略上半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の下筒部の長さが前記下羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記下筒部が前記下羽部の略下半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設し、前記上羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設することを特徴とする。
【0014】
(8)前記(6)または(7)において、前記上羽装置の上筒部の外周に、前記下羽装置の下羽部が侵入自在な上位置決め手段が設けられ、
前記下羽装置の下筒部の外周に、前記上羽装置の上羽部が侵入自在な下位置決め手段が設けられ、
前記上羽装置を、前記打設されている下羽装置の下位置決め手段に、前記上羽部が侵入するように打設することを特徴とする。
【0015】
(9)前記(3)乃至(8)の何れかにおいて、前記上羽装置において、前記上羽部が前記上筒部の軸心を含む面内に配置され、
前記下羽装置において、前記下羽部が前記下筒部の軸心を含む面内に配置されることを特徴とする。
【0016】
(10)前記(3)乃至(9)の何れかにおいて、前記上羽装置の上羽部および上位置決め手段が、それぞれ一対であって、前記上羽部が前記上筒部の軸心に対して互いに対称に配置され、前記上位置決め手段が前記上羽部に対して垂直の位置に設けられ、
前記下羽装置の下羽部および下位置決め手段が、それぞれ一対であって、前記下羽部が前記下筒部の軸心に対して互いに対称に配置され、前記下位置決め手段が前記下羽部に対して垂直の位置に設けられ、
前記打設されている下羽装置の一対の下羽部と前記打設されている上羽装置の一対の上羽部とが互いに垂直に位置決めされた状態で、前記アンカー軸を、前記打設されている上羽装置の上筒部と前記打設されている下羽装置の下筒部に挿入して地山に打設する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
(11)前記(1)または(2)において、前記羽装置に係止自在な天板を、前記羽部の上面に載置する工程を有することを特徴とする。
【0018】
(12)前記(3)乃至(10)の何れかにおいて、前記上羽装置および前記下羽装置に係止自在な天板を、前記上羽部の上面および前記下羽部の上面に載置する工程を有することを特徴とする。
【0019】
(13)前記(3)乃至(10)の何れかにおいて、前記上羽装置の上羽部の上縁に係止用突起部が設けられ、
前記下羽装置の下羽部の上縁に係止用突起部が設けられ、
円周方向で4箇所等分配置され、前記係止用突起部が係止自在な係止用溝部が形成された天板を用意する工程と、
前記打設されている下羽装置の下羽部に設けられた係止用突起部および前記打設されている上羽装置の上羽部に設けられた係止用突起部が、前記係止用溝部に係止するように前記天板を載置する工程と、
を有することを特徴とする。
【0020】
(14)また、本発明に係るアンカー装置は、下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなる下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなる上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、を有する。
(15)前記(14)において、前記上羽装置および前記下羽装置に係止自在な天板を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るアンカー装置の施工方法は以上の構成であるから、以下の効果を奏する。
(i)本発明に係るアンカー装置の施工方法は、まず、羽装置を地山に打設する工程を実行し、これに続いて、既に打設されている羽装置の筒部にアンカー軸を挿入して、かかる挿入した状態でアンカー軸を地山に打設するから、(a)アンカー軸が地山の表面に対して垂直に打設されない場合であっても、既に打設されている打羽装置が倒されることがないから、羽装置の「浮き」が生じることがなく、目的が満足される。(b)また、羽装置の打設が困難になって打設を断念した場合であっても、まだ、アンカー軸は打設されていないから、羽装置のみを容易に回収(引き抜き)するだけで済み、対処が容易かつ迅速である。(c)さらに、アンカー軸を倒すような力が作用した場合でも、羽部が抵抗体として機能するから、アンカー装置の倒れが防止される。
なお、アンカーロッドまたはアンカーパイプ等は、単に「アンカー」と称すことができるものであるが、これと羽装置とからなる「アンカー装置」との混同を防止するため、本発明においては便宜上、「アンカー軸」と称す。
【0022】
(ii)羽部が筒部の軸心を含む面内に配置され、羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設するから、羽部にかかる力が筒部に確実に伝達され、羽装置の「浮き」が防止される。
なお、羽装置の上縁とは、羽部の上縁が筒部の軸心に対して垂直である場合には当該上縁を、羽部の上縁が筒部から離れるほど下がるように筒部の軸心に対して傾斜する場合には、上縁の羽部と筒部との接続位置を、羽部の上縁が筒部から離れるほど上がるように筒部の軸心に対して傾斜する場合には、上縁の筒部から最も離れた位置を、それぞれ意味している。
【0023】
(iii)また、まず下羽装置を打設し、次に、上羽装置を打設し、最後にアンカー軸を、既に打設されている上羽装置の上筒部と既に打設されている下羽装置の下筒部とに挿入して、かかる挿入した状態でアンカー軸を打設するから、前記(i)における(a)、(b)および(c)の効果が得られると共に、(d)下羽装置および上羽装置それぞれが、嵩張らずに軽量になる。
【0024】
(iv)さらに、下羽装置の上縁と上羽装置の上縁とが略同一面になるように一体化するから、一体化した状態において下羽装置の上縁と上羽装置の上縁とに高低差がなく、打設された状態において地山への納まりがよい。
なお、下羽部の上縁および上羽部の上縁とは、それぞれ前記(ii)の羽装置の上縁に準じる。
(v)さらに、上羽部が下位置決め手段に、下羽根が上位置決め手段に、それぞれ侵入した状態で一体化するから、上羽部と下羽根との配置が正確になると共に、配置された位置が変動することがないため、アンカー装置の倒れが確実に防止される。
【0025】
(vi)下羽装置と上羽装置とを、それぞれ別個に打設するから、打設が容易である。
(vii)さらに、下羽装置の上縁と上羽装置の上縁とが略同一面になるように打設するから、打設した状態において、下羽装置の上縁と上羽装置の上縁とに高低差がなく地山への納まりがよい。
なお、下羽装置の上縁および上羽装置の上縁とは、それぞれ前記(ii)の羽装置の上縁に準じる。
【0026】
(viii)上羽装置を、既に打設されている下羽装置の下位置決め手段に、上羽部が侵入するように打設するから、(f)下羽装置の下羽部と上羽装置の上羽部との配置が正確になる。
【0027】
(ix)また、上羽部が上筒部の軸心を含む面内に配置され、下羽部が下筒部の軸心を含む面内に配置されるから、上羽部および下羽部にかかる力が上筒部および下筒部に確実に伝達され、羽装置の「浮き」が防止される。
(x)さらに、下羽装置の一対の下羽部と上羽装置の一対の上羽部とが十字状に配置されるように打設されるから、アンカー装置の倒れが防止される(前記(c)参照)。また、一対の下羽部、および一対の上羽部は、いずれも平面を形成するから、下羽装置および上羽装置の見掛け上の嵩が大幅に小さくなり、運搬がさらに容易になる(前記(d)参照)。
【0028】
(xi)また、天板を羽部の上面に載置するから、羽部の配置が正確になる。
(xii)同様に、天板を上羽部の上面および下羽部の上面に載置するから、両者の配置が正確になる。
【0029】
(xiii)下羽装置の下羽部および上羽装置の上羽部が、これに係止する天板によって位置決めされるから、配置された位置が変動することがないため、アンカー装置の倒れが確実に防止される(前記(c)参照)。
【0030】
(xiv)また、本発明に係るアンカー装置は、下羽装置と、上羽装置と、アンカー軸と、を有するから、運搬が容易になる。
(xv)さらに、下羽装置および上羽装置に係止自在な天板を有するから、両者の配置が正確になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[実施の形態1:一体タイプ]
図1は本発明の実施の形態1に係るアンカー装置の施工方法を工程を追って説明する模式図である。
図1の(a)において、筒部10と、筒部10の外周に固定された羽部20からなる羽装置1を、予め試掘7が実施され後記するアンカー軸2を打設することが可能であることが確認された地山8の表面(以下、「地表面」と称す)9の施工地点に位置決めする。
なお、図中、羽部20は台形状であって、左右に一対だけ図示しているが、本発明はその形状や数量を限定するものではない。たとえば、4枚の羽部を十字状に設けてもよい。
【0032】
図1の(b)において、羽装置1を図示しない打設手段によって地山8に打設する。このとき、羽部20の上縁(位置ハと位置ニとを結ぶ線に同じ)は筒部10に垂直であって、地表面9と略同一面になるまで打設する。
なお、羽部20の下縁(位置イと位置ロとを結ぶ線に同じ)は筒部10に近づくほど下方に突出するように傾斜しているため、打設が容易である。また、羽部20の上下方向の長さ(位置イと位置ニとの距離に同じ)は比較的短いため、打設中に傾くことがないだけでなく、羽部20が石や礫等に衝突して打設を中止せざるを得ない場合でも、羽装置1を容易に回収(引き抜く)ことができる。
また、打設手段は限定するものではなく、さらに、羽装置1にアダプタ(打設面が形成されている)を載置して、これを介して羽装置1を打設してもよい。
【0033】
図1の(c)において、アンカー軸2を、既に打設されている羽装置1の筒部10に挿入して地山8に打設する。すなわち、アンカー軸2と羽装置1とによってアンカー装置100が形成される。
このとき、アンカー軸2の打設地点は、試掘7によって打設可能であることが確認されているから、アンカー軸2は所定の深さに打設することができる。また、仮に、アンカー軸c2の打設方向が偏位した(傾いた)としても、羽装置1は既に打設されているため、羽装置1の姿勢が変動する(傾く)ことがない。すなわち、羽部20の一部が地表面9から突出する「浮き」が生じることがない。
【0034】
なお、アンカー軸2の長さや形状は限定するものではなく、管、棒あるいはこれに外周リブが形成されたもの等何れであってもよい。また、打設手段は限定するものではなく、さらに、アンカー軸2の状態にアダプラ(打設面が形成されている)を載置して、これを介してアンカー軸2を打設してもよい。
また、図1において、羽装置1の上縁が羽部20の上縁(図1の(b)において位置ハと位置ニとを結ぶ線に同じ)に同じであって、かかる上縁が、筒部10に軸心に対して垂直になっているが、本発明はこれに限定するものではなく、上縁が傾斜してもよい。
例えば、羽部20の上縁が筒部10から離れるほど下がるように筒部の軸心に対して傾斜する(ハ字状を呈す)場合には、羽部20と筒部10との接続位置(位置二)を羽装置1の上縁とし、反対に、羽部20の上縁が筒部10から離れるほど上がるように筒部の軸心に対して傾斜する(V字状を呈す)場合には、筒部10から最も離れた位置(位置ハ)を羽装置1の上縁とする。
【0035】
[実施の形態2:組立タイプ]
図2は本発明の実施の形態2に係るアンカー装置の施工方法に用いられる羽装置を説明する、(a)は羽装置を構成する下羽装置を模式的に示す斜視図、(b)は羽装置を構成する上羽装置を模式的に示す斜視図、(c)は羽装置を模式的に示す斜視図である。
なお、実施の形態1(図1)と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0036】
(下羽装置)
図2の(a)において、下羽装置1aは、下筒部10aと、下筒部10aの外周に固定された一対の下羽部20aとからなる。
下筒部10aは、アンカー軸2が貫通自在な内径を具備する円筒であって、外周の下端寄りで軸心を挟んで対称位置に一対の下位置決め用突起11aと、外周の上段寄りで軸心を挟んで対称位置に一対の下位置決め用溝12aとが設けられている。一対の下位置決め用突起11aと一対の下位置決め用溝12aとは、何れも円周方向の同一位相に配置され、説明の便宜上、これらは、3時および9時の位置に配置されていると称す。
【0037】
一対の下羽部20aは何れも、略台形状の板材であって、上下方向の長さが下筒部10aの長さの略2倍の長さになっている。そして、下端(位置イに同じ)が上筒部10bの下端に一致しているから、下羽部20aは上下方向の下縁寄りの略半分の範囲(位置ヌと位置イを結ぶ線に同じ)において、下筒部10aの12時および6時の位置に固定されている。
すなわち、一対の下位置決め用突起11a(一対の下位置決め用溝12aに同じ)と一対の下羽部20aとは、交互に、直交する面内配置されている(円周方向で等分に配置されている)。
【0038】
また、かかる固定された範囲の上方に、下筒部10a側に突出する下位置決め用突起部21a(位置リと位置ヌとを結ぶ線に同じ)が設けられている。すなわち、下位置決め用突起部21aは側縁(位置トと位置チとを結ぶ線、および位置ルと位置イとを結ぶ線に同じ)に対して、段差(位置チと位置リとを結ぶ線、および位置ヌと位置ルとを結ぶ線に同じ)分だけ、突出している。
さらに、上縁に突出するように下係止用突起部22a(位置ハ、位置ニ、位置ホ、位置ヘにて囲まれた範囲に同じ)が設けられ、下係止用突起部22aには下係止用貫通孔23aが形成されている。
【0039】
(上羽装置)
図2の(b)において、上羽装置1bは、上筒部10bと、上筒部10bの外周に固定された一対の上羽部20bとからなる。
上筒部10bは、アンカー軸2が貫通自在な内径を具備する円筒であって、外周の上端寄りで軸心を挟んで対称位置に一対の上位置決め用突起11bと、外周の下段寄りで軸心を挟んで対称位置に一対の上位置決め用溝12bとが設けられている。一対の上位置決め用突起11bと一対の上位置決め用溝12bとは、何れも円周方向の同一位相に配置され、説明の便宜上、これらは、12時および6時の位置に配置されていると称す。
【0040】
一対の上羽部20bは何れも、略台形状の板材であって、上下方向の長さが上筒部10bの長さの略2倍の長さになっている。そして、上縁(位置ヘと位置トとを結ぶ線に同じ)が上筒部10bの上端と同一面を形成しているから、上羽部20bは上下方向の上縁寄りの略半分の範囲(位置トと位置チとを結ぶ線に同じ)において、上筒部10bの3時および9時の位置に固定されている。
すなわち、一対の上位置決め用突起11b(一対の上位置決め用溝12bに同じ)と一対の上羽部20bとは、交互に、直交する面内配置されている(円周方向で等分に配置されている)。
【0041】
また、かかる固定された範囲の下方に、上筒部10b側に突出する上位置決め用突起部21b(位置リと位置ヌとを結ぶ線に同じ)が設けられている。すなわち、上位置決め用突起部21bは側縁(位置トと位置チとを結ぶ線、および位置ルと位置イとを結ぶ線に同じ)に対して、段差(位置チと位置リとを結ぶ線、および位置ヌと位置ルとを結ぶ線に同じ)分だけ、突出している。
さらに、上縁に突出するように上係止用突起部22b(位置ハ、位置ニ、位置ホ、位置ヘにて囲まれた範囲に同じ)が設けられ、上係止用突起部22bには上係止用貫通孔23bが形成されている。
【0042】
(組立羽装置)
図2の(c)において、下羽装置1aと上羽装置1bとを組み立て、一体にしている。なお、説明の便宜上、かかる一体化されたものを組立羽装置4と称す。
すなわち、下筒部10aの軸心と上筒部10bの軸心とが一致した状態で、両者を重ねている。このとき、下羽装置1aの下羽部20aは上羽装置1bの上位置決め用突起11bに挾持され、下羽装置1aの下位置決め用突起部21aは上羽装置1bの上位置決め用溝12bに侵入している。同様に、上羽装置1bの上羽部20bは下羽装置1aの下位置決め用突起11aに挾持され、上羽装置1bの上位置決め用突起部21bは下羽装置1aの下位置決め用溝12aに侵入している。
したがって、合計4枚の下羽部20aおよび上羽部20bは堅固に位置決めされた状態で、それぞれ直交する面内に配置されている(円周方向で等分に配置されている)。
なお、本発明において「挾持」とは、下羽部20a両面に上位置決め用突起11bが当接するものに限定する意味ではなく、所定の間隔を設けて両者が対峙し、下羽部20aと上位置決め用突起11bとの相対位置が、所定の距離だけ変動するものを含む意味である(実施の形態3においても同様)。
【0043】
(施工方法)
実施の形態2に係るアンカー装置の施工方法、下羽装置1aと上羽装置1bとを組み立て、予め両者を一体化した組立羽装置4を完成した後、組立羽装置4を地山8に打設するものである。すなわち、打設の要領は、実施の形態1(図1)における羽装置1を組立羽装置4に置き換えたものに同じであるから、説明を省略する。つまり、アンカー軸2と組立羽装置4とによってアンカー装置(図示しない)が形成される。
【0044】
したがって、実施の形態2にかかるアンカー装置の施工方法は、実施の形態1と同様の効果(組立羽装置4の姿勢が変動する(傾く)ことがなく、打設不能への対応が容易)を奏すると共に、設置地点において組み立てることができるから、搬送が容易になる。
特に、下羽装置1aは一対の下羽部20aが平面を形成し、同様に上羽装置1bの上羽部20bも平面を形成しているから、トラック等への積み込み時に嵩張ることがなく、搬送効率が向上する。また、法面の高い位置に持ち上げる際、一体化された組立羽装置4の重量の略半分の重量である下羽装置1aと上羽装置1bとを、それぞれ持ち上げれば済むため、持ち上げのための装置を小型にすることができたり、作業者の負担を軽減したりすることができる。
【0045】
なお、また、図2において、上羽装置1bの上縁および下羽装置1aの上縁とは、図2において位置ヘと位置トとを結ぶ線に同じであって、かかる上縁が、筒部10bおよび筒部10aに軸心に対して垂直になっているが、本発明はこれに限定するものではなく、上縁が傾斜してもよい。
例えば、上羽部20bの上縁が上筒部10bから離れるほど下がるように上筒部10bの軸心に対して傾斜する(ハ字状を呈す)場合には、上羽部20bと上筒部10bとの接続位置(位置ト)を上羽装置1bの上縁とし、反対に、上羽部20bの上縁が上筒部10bから離れるほど上がるように上筒部10bの軸心に対して傾斜する(V字状を呈す)場合には、上筒部10bから最も離れた位置(位置へ、上係止用突起22bを除く)を上羽装置1bの上縁とする。
【0046】
[実施の形態3:分割タイプ]
図3〜図6は本発明の実施の形態3に係るアンカー装置の施工方法を説明するものであって、図3および図4は工程を追って説明する模式図、図5は施工終了時の様子を模式的に示す斜視図、図6はアンカー装置を構成する天板を示す平面図である。なお、実施の形態1(図1)および実施の形態2(図2)と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0047】
図3の(a)において、下筒部10aと下羽部20aを具備する下羽装置1aを、予め試掘7が実施されアンカー軸2を打設することが可能であることが確認された地山8の表面の地表面9の施工地点に位置決めする。
【0048】
図3の(b)において、下羽装置1aを図示しない打設手段によって地山8に打設する。このとき、下羽部20aの上縁が地表面9と略同一面になるまで打設する。
なお、打設手段は限定するものではなく、また、下羽装置1aにアダプタ(打設面が形成されている)を載置して、これを介して下羽装置1aを打設してもよい。
【0049】
図3の(c)において、打設しようとする上羽装置1bの上筒部10bの軸心と既に打設されている下羽装置1aの下筒部10aの軸心とを一致させ、上筒部10bの上羽部20b(3時および9時の位置に固定されている)と既に打設されている下羽装置1aの下筒部10aの下羽部20a(12時および6時の位置に固定されている)とが互いに垂直になるように配置して、上羽装置1bを地山8に打設する。
そうすると、下降する上羽装置1bの上羽部20bは、既に打設されている下羽装置1aの下位置決め用突起11aに挾持され、上位置決め用突起部21bは下羽装置1aの下位置決め用溝12aに侵入する。同時に、既に打設されている下羽装置1aの下羽部20aは、下降する上羽装置1bの上位置決め用突起11bに挾持され、下位置決め用突起部21aは上位置決め用溝12bに侵入する。やがて、上羽装置1bの上筒部10bの下端が下羽装置1aの下筒部10aの上端に当接する。
【0050】
すなわち、実施の形態3では、下羽装置1aと上羽装置1bとがそれぞれ別々に地山8に打設されることによって、地山8の中で組立羽装置4が完成する。
よって、下羽装置1aおよび上羽装置1bが何れも一対の下羽部20aおよび上羽部20bを具備するだけであるため、合計4枚の羽部を具備する組立羽装置4の打設に比較して、地山8から受ける摩擦抵抗が略半減する。したがって、下羽装置1aおよび上羽装置1bをそれぞれ別個に打設するための容量(荷重)が略半減する。すなわち、打設のための装置が小型になり、特に、傾斜のきつい法面における設置や運搬(上下方向および水平方向)が容易になるため、施工が迅速になる。
また、下羽装置1aまたは上羽装置1bが打設不能にあった場合であっても、打設不能になった一方だけ、あるいは両方を別個に回収(引き抜く)すれば済み、しかも、何れも一対の羽部を具備するだけであるから、地山8の摩擦抵抗が小さく、回収(引き抜き)が容易である。
【0051】
図4の(a)において、アンカー軸2を、既に打設されている上羽装置1bの上筒部10bと打設されている下羽装置1aの下筒部10aとに挿入して地山8に打設する。
よって、実施の形態2と同様に、地中で組み立てられた組立羽装置4の姿勢が変動する(傾く)ことがない。
【0052】
図4の(b)において、アンカー軸2が貫通した状態で、組立羽装置4の上に天板3を載置する。すなわち、下羽装置1aと上羽装置1bとアンカー軸2と天板3とによってアンカー装置300が形成される。
図6の(a)において、天板3は、中心に貫通孔32が形成された円盤30であって、円盤30の外周に到達する係止用溝部31が4箇所に設けられている。貫通孔32はアンカー軸2が貫通自在な内径を具備している。係止用溝部31は互いに直交する放射線上に配置され、下係止用突起部22aおよび上係止用突起部22bが侵入自在な幅と長さを具備している。
【0053】
図5の(a)において、下羽装置1aと上羽装置1bとが一体化した組立羽装置4の中心を、アンカー軸2が貫通し、これに天板3が載置されている。このとき、下係止用突起部22aおよび上係止用突起部22bはそれぞれ係止用溝部31に係止して、円盤30の上方に突出している。したがって、下羽装置1aの下羽部20aと上羽装置1bの上羽部20bとは、一層堅固に位置決めされることになる。
なお、下係止用突起部22aおよび上係止用突起部22bにそれぞれ形成された下係止用貫通孔23aおよび上係止用貫通孔23bに、ボルトまたピン(図示しない)を挿入して天板3が離脱しないようにしてもよい。このとき、地表面9が盛り上がろうとした際、天板3はかかる盛り上がりの防止に寄与することになる。
【0054】
図6の(b)において、天板3xは、中心に貫通孔32xが形成された矩形板30xであって、矩形板30xの角に到達する係止用溝部31xが4箇所に設けられている。貫通孔32xはアンカー軸2が貫通自在な内径を具備している。係止用溝部31xは互いに直交する放射線上に配置され、下係止用突起部22aおよび上係止用突起部22bが侵入自在な幅と長さを具備している。
図6の(c)において、天板3yは、中心に貫通孔32yが形成された十字状板30yであって、十字状板30yの先端到達する係止用溝部31yが4箇所に設けられている。貫通孔32yはアンカー軸2が貫通自在な内径を具備している。係止用溝部31yは互いに直交する放射線上に配置され、下係止用突起部22aおよび上係止用突起部22bが侵入自在な幅と長さを具備している。
【0055】
なお、本発明において、天板の形態は図示するものに限定するものではなく、前記係止機能を奏する物である限り何れの形態であってもよい。
また、以上は、下羽部20aと上羽部20bとが十字状を呈する場合について説明しているが、本発明はこれに限定するものではないから、下羽部20aまたは上羽部20bの配置形態(枚数や配置角度)が変更された場合には、かかる変更された形態に合わせて天板の形状および係止用溝部の数量は変更されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は以上の構成であるから、横方向の倒れが防止されると共に、正確な打設が可能になり、かつ打設不能時の対応が容易であるから、様々な法面や平面に施工される各種寸法のアンカー装置の施工方法として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアンカー装置の施工方法を説明する模式図。
【図2】本発明の実施の形態2に係るアンカー装置の施工方法に用いられる羽装置を説明する斜視図等。
【図3】本発明の実施の形態3に係るアンカー装置の施工方法を説明する模式図。
【図4】本発明の実施の形態3に係るアンカー装置の施工方法を説明する模式図。
【図5】図4に示す施工終了時の様子を模式的に示す斜視図。
【図6】図3に示すアンカー装置を構成する天板を示す平面図。
【符号の説明】
【0058】
1 羽装置
1a 下羽装置
1b 上羽装置
2 アンカー軸
3 天板
3x 天板
3y 天板
4 組立羽装置
7 試掘
8 地山
9 地表面
10 筒部
10a 下筒部
10b 上筒部
11a 下位置決め用突起
11b 上位置決め用突起
12a 下位置決め用溝用溝
12b 上位置決め用溝用溝
20 羽部
20a 下羽部
20b 上羽部
21a 下位置決め用突起部
21b 上位置決め用突起部
22a 下係止用突起部
22b 上係止用突起部
23a 下係止用貫通孔
23b 上係止用貫通孔
30 円盤
30x 矩形板
30y 十字状板
31 係止用溝部
31x 係止用溝部
31y 係止用溝部
32 貫通孔
32x 貫通孔
32y 貫通孔
100 アンカー装置(実施の形態1)
300 アンカー装置(実施の形態3)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部および該筒部の外周に固定された羽部からなる羽装置と、前記筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記羽装置を地山に打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記打設されている羽装置の筒部に挿入して地山に打設する工程と、
を有するアンカー装置の施工方法。
【請求項2】
前記羽部が前記筒部の軸心を含む面内に配置され、
前記羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設することを特徴とする請求項1記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項3】
下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなる下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなる上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記下筒部の軸心と前記上筒部の軸心とが一致した状態で、前記下羽装置と前記上羽装置とを一体化する工程と、
前記一体化された前記下羽装置および前記上羽装置を地山に打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記一体化されて打設されている上羽装置の上筒部と下羽装置の下筒部とに挿入して地山に打設する工程と、
を有するアンカー装置の施工方法。
【請求項4】
前記上羽装置の上筒部の長さが前記上羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記上筒部が前記上羽部の略上半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の下筒部の長さが前記下羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記下筒部が前記下羽部の略下半分の範囲に固定される、
前記下羽装置の上縁と前記上羽装置の上縁とが略同一面になるように一体化することを特徴とする請求項3記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項5】
前記上羽装置の上筒部の外周に、前記下羽装置の下羽部が侵入自在な上位置決め手段が設けられ、
前記下羽装置の下筒部の外周に、前記上羽装置の上羽部が侵入自在な下位置決め手段が設けられ、
前記上羽部が前記下位置決め手段に、前記下羽根が前記上位置決め手段に、それぞれ侵入した状態で一体化することを特徴とする請求項3または4記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項6】
下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなる下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなる上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記下羽装置を地山に打設する工程と、
前記上羽装置を、前記上筒部の軸心が前記打設されている下羽装置の下筒部の軸心と一致するように打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記打設されている上羽装置の上筒部と前記打設されている下羽装置の下筒部とに挿入して地山に打設する工程と、
を有するアンカー装置の施工方法。
【請求項7】
前記上羽装置の上筒部の長さが前記上羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記上筒部が前記上羽部の略上半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の下筒部の長さが前記下羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記下筒部が前記下羽部の略下半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設し、前記上羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設することを特徴とする請求項6記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項8】
前記上羽装置の上筒部の外周に、前記下羽装置の下羽部が侵入自在な上位置決め手段が設けられ、
前記下羽装置の下筒部の外周に、前記上羽装置の上羽部が侵入自在な下位置決め手段が設けられ、
前記上羽装置を、前記打設されている下羽装置の下位置決め手段に、前記上羽部が侵入するように打設することを特徴とする請求項6または7記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項9】
前記上羽装置において、前記上羽部が前記上筒部の軸心を含む面内に配置され、
前記下羽装置において、前記下羽部が前記下筒部の軸心を含む面内に配置されることを特徴とする請求項3乃至8の何れかに記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項10】
前記上羽装置の上羽部および上位置決め手段が、それぞれ一対であって、前記上羽部が前記上筒部の軸心に対して互いに対称に配置され、前記上位置決め手段が前記上羽部に対して垂直の位置に設けられ、
前記下羽装置の下羽部および下位置決め手段が、それぞれ一対であって、前記下羽部が前記下筒部の軸心に対して互いに対称に配置され、前記下位置決め手段が前記下羽部に対して垂直の位置に設けられ、
前記打設されている下羽装置の一対の下羽部と前記打設されている上羽装置の一対の上羽部とが互いに垂直に位置決めされた状態で、前記アンカー軸を、前記打設されている上羽装置の上筒部と前記打設されている下羽装置の下筒部に挿入して地山に打設する工程と、
を有することを特徴とする請求項3乃至9の何れかに記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項11】
前記羽装置に係止自在な天板を、前記羽部の上面に載置する工程を有することを特徴とする請求項1または2記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項12】
前記上羽装置および前記下羽装置に係止自在な天板を、前記上羽部の上面および前記下羽部の上面に載置する工程を有することを特徴とする請求項3乃至10の何れかに記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項13】
前記上羽装置の上羽部の上縁に係止用突起部が設けられ、
前記下羽装置の下羽部の上縁に係止用突起部が設けられ、
円周方向で4箇所等分配置され、前記係止用突起部が係止自在な係止用溝部が形成された天板を用意する工程と、
前記打設されている下羽装置の下羽部に設けられた係止用突起部および前記打設されている上羽装置の上羽部に設けられた係止用突起部が、前記係止用溝部に係止するように前記天板を載置する工程と、
を有することを特徴とする請求項3乃至10の何れかに記載のアンカー装置の施工方法。
【請求項14】
下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなる下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなる上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、を有するアンカー装置。
【請求項15】
前記上羽装置および前記下羽装置に係止自在な天板を有することを特徴とする請求項14記載のアンカー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−274584(P2008−274584A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117037(P2007−117037)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【Fターム(参考)】