アンテナダイバーシチシステムにおいてフィーダの数を低減させる方法、装置、基地局、及び基地局サイト
【課題】無線基地局と同じ周波数で複数のRF信号を受信するアンテナダイバーシチ構成との間のフィーダの数を低減する方法、装置、システムを提供する。
【解決手段】タワー搭載型の増幅器35において、複数のアンテナ10、11、12、13のいくつか或は全てからの個々のRF信号が、互いに異なる中間周波数の中間周波数(IF)信号へと周波数変換され、それらは結合されてより少ない数のフィーダ2で無線基地局1へと転送される。無線基地局1では、結合された信号は個々の信号へと分割されて、これらの信号の間で、IF信号がダイバーシチ処理に適切な信号へと周波数変換される。
【解決手段】タワー搭載型の増幅器35において、複数のアンテナ10、11、12、13のいくつか或は全てからの個々のRF信号が、互いに異なる中間周波数の中間周波数(IF)信号へと周波数変換され、それらは結合されてより少ない数のフィーダ2で無線基地局1へと転送される。無線基地局1では、結合された信号は個々の信号へと分割されて、これらの信号の間で、IF信号がダイバーシチ処理に適切な信号へと周波数変換される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワー搭載型の増幅器(TMA)とアンテナダイバーシチに関するものである。特に、本発明は、アンテナダイバーシチシステムから無線基地局へのフィーダの数を低減する方法と構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンテナダイバーシチは、送信無線信号の受信(或は送信)を改善するために用いられる。ダイバーシチには、例えば、時間ダイバーシチ、空間ダイバーシチ、偏向ダイバーシチ、或は、それらの組み合わせなどの多くの種類がある。空間ダイバーシチと偏向ダイバーシチとにより、受信無線信号のフェーディングの影響が低減する。
【0003】
アンテナダイバーシチシステムは、互いに距離を置いて構成されるか、或は異なる偏向のある少なくとも2つのアンテナを有している。受信ダイバーシチの場合、離れた送信器からの信号(RX信号)は2つ以上のアンテナで受信される。送信ダイバーシチの場合、送信信号(TX信号)は、送信器に接続された2つ以上の送信アンテナで送信される。以下、ダイバーシチ構成のアンテナはダイバーシチアンテナと呼ぶ。デュープレックスフィルタをアンテナに接続することにより、同じアンテナで送受信を行うことができる。そのデュープレックスフィルタはTX信号とRX信号とを互いに分離する。信号はアンテナとトランシーバ(TRX)との間ではフィーダで転送される。従来技術のダイバーシチ構成において、フィーダとそれに関係するアンテナとはダイバーシチブランチ或は単にブランチと呼ばれる。本発明では、ダイバーシチブランチは、ダイバーシチアンテナとこのアンテナで受信する信号が通過する機器とを含む。
【0004】
次に、受信に関係するダイバーシチについて検討する。ダイバーシチアンテナからのRX信号にはダイバーシチ処理が施され、改善された(エンハンスド)信号を得る。ダイバーシチ処理は、例えば、最も強度の高いアンテナ信号を選択することであるかもしれないし、或は、複数の信号を付加してさらにその結果得られる信号を処理することであるかもしれない。
【0005】
ダイバーシチアンテナ構成において受信する各RF信号は、各タワー搭載型の増幅器(TMA)に接続され、その増幅器から増幅された信号が、無線基地局のトランシーバ(TRX)に接続されているフィーダを含む個々のダイバーシチブランチで転送される。そのフィーダは通常は同軸ケーブルである。幾つかのブランチは1つのTRXに接続されている。TRXには変調とダイバーシチ信号処理のためのダイバーシチブランチが備えられていることもある。
【0006】
タワー搭載型ユニットはしばしば、マスト先頭部(mast head)増幅器と呼ばれる。なお、これらのユニットはタワーに設置される必要はなく、柱、ビルの壁、ビルの屋上などに設置されても良い。同じことはダイバーシチアンテナにも言える。それ故、本発明はタワーに設置された増幅器に限定されるものではない。タワー搭載型増幅器(TMA)とは単なる名称であり、その名称により、この種の機器が当業者には知られているのである。
【0007】
図1は、無線基地局(RBS)1と、その無線基地局とTMA6〜9との間に延びているフィーダ2〜5とを有している従来のサイトを開示している。各TMAは各ダイバーシチアンテナ10〜13に接続されている。これらTMAは全て同一のものであり、それ故に、以下の説明ではTMA6だけに言及する。アンテナ10は、送信部(TX)15と受信部(RX)16とを有するデュープレックスフィルタ14に接続されている。RF増幅器17はフィルタされた受信(RX)信号を増幅し、それを、送信部(TX)19と受信部(RX)20とを有する別のデュープレックスフィルタ18に供給する。デュープレックスフィルタの機能はTX信号をRX信号から分離し、TX信号が受信チェイン21へと漏れることを防止することである。アンテナ10、11、12、13で夫々受信し、TMA6、7、8、9で夫々処理した信号は、ダイバーシチブランチA、B、C、D夫々へと供給される。
【0008】
無線基地局1は、デュープレックスフィルタ22〜25と低雑音増幅器(LNA)26〜29とを各TMAに対応して1つずつ備える。無線基地局の核は、トランシーバ(TRX)30、31(TRX1、TRX2)である、その能力に依存して、トランシーバはその無線基地局のために設計されたトラフィック容量がある。そのため。1つのTRXが存在することもあれば、図示された2つ以上の多くのトランシーバが存在することもある。
【0009】
図1に示されている構成は4つのフィーダを備えた4ウェイダイバーシチと呼ばれる。
【0010】
図2には、RXフィルタ22を通過することができる周波数範囲を図示した周波数スペクトラムが示されており、この範囲はサービスに割当てられたRX全帯域32である。トランシーバに対するRX信号が受信され、その同じトランシーバからTX信号が送信される無線チャネルはユーザチャネルと呼ばれる。図2には2つのトランシーバが示されているので、2つのユーザチャネルがある。これらチャネル各々は小さな矩形で示されている。ユーザチャネルは占有する周波数帯域はユーザ帯域と呼ばれ、これは括弧33で示されている。4つのブランチ各々において、各ユーザ帯域が存在し、それは全てのブランチにおいて(kHzで表せば)同じである。しかしながら、フィーダはRX全帯域32を含む数GHzまでの全周波数で信号を転送することができる。従って、各ブランチのフィーダは低効率で用いられている。
【0011】
原理的には、1つのTRXは、4つのRX信号をダイバーシチ処理し、エンハンスドRX信号を得るのに十分である。しかしながら、無線基地局は大きなトラフィック容量を扱うように設計されているので、また、安全上の理由から、多くのTRXを有している。このため、各LNAの出力は、多くの矢により示され、集合的には34で示されるように、無線基地局の全てのトランシーバに接続されている。
【0012】
特許文献1は、マルチカップラに接続されたアンテナダイバーシチシステムを備えた基地局を開示しており、そのマルチカップラからアンテナ信号が個々のフィーダで各受信器にフィードされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,505,041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の欠点は、各ブランチが専用のフィーダを必要とする点にある。従って、多くのアンテナを備えたダイバーシチアンテナは、アンテナが存在するのと同じ数のフィーダを必要とする。フィーダは高価である。また、フィーダは重量がある。アンテナはそれほど高価ではない。それ故、多くのダイバーシチアンテナを有するシステムは、それが受信品質の観点からは有益ではあるが、経済的な観点からはひどく高価なものである。
【0015】
本発明の目的は、従来技術と比較してフィーダの数を低減し、請求項1、7、11、及び12に従う方法、装置、無線基地局、システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の顕著な特徴は、1つのダイバーシチアンテナで受信したRX信号を未使用の周波数へ移動/周波数変換し、その周波数変換された信号を周波数変換されていないRX信号と統合/結合し、その結果得られた合成信号を1つのフィーダで無線基地局に転送することである。
【0017】
本発明が用いられる無線システムに依存して、“周波数”と“信号周波数”の意味は異なるかもしれない。本発明の好適な実施形は、WCDMA、GSM、AMPS、NMTのようなセルラ移動体無線システムである。WCDMAのバンド幅は5MHz、GSMでは200kHz、AMPSでは30kHz、NMTでは25kHzである。それは、周波数帯域の(RBSにより)未使用の別の部分へ周波数変換される各バンド幅をもつ信号である。WCDMAでは、5MHzの信号は複数のユーザからの音声とデータとの内、少なくともいずれかを含み、GSMシステムでは、200kHzの信号は最大8ユーザからの音声とデータとの内、少なくともいずれかを含み、AMPSとNMTでは夫々、30kHzと25kHzの信号は、1つのユーザからの音声とデータとの内、少なくともいずれかを含む。従って、信号周波数とは実際には周波数帯域である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来技術の4ウェイダイバーシチシステムのブロック図である。
【図2】図1の従来技術のダイバーシチシステムで例示した周波数を示す図である。
【図3】本発明に従う4ウェイダイバーシチシステムの第1の実施例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施例に例示した周波数を示す図である。
【図5】本発明に従う4ウェイダイバーシチシステムの第2の実施例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施例に例示した周波数を示す図である。
【図7】第3の実施例を示すブロック図である。
【図8】第3の実施例に例示した周波数を示す図である。
【図9】第1の実施例の変形例を示す図である。
【図10】図9の変形例に関係した周波数を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施例を示すブロック図である。
【図12】第4の実施例に例示した周波数を示す図である。
【図13】分離した周波数変換ユニットを有する第5の実施例を示すブロック図である。
【図14】周波数変換ユニットに関係した周波数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図3は本発明の実施例を例示している。図1と図2の構成要素に類似の要素には同じ参照番号を付す。新規のタワー搭載型増幅器35は、周波数変換器36、37、38を有し、夫々はアンテナ11、12、13に接続され、受信RFアンテナ信号の周波数を、そのRFアンテナ信号を所定の周波数の基準信号f1、f2、f3とミキシングすることにより、未使用の周波数へと移動させる。アンテナ10で受信した信号は周波数の移動はない。基準信号は連続的な波動信号、CW信号、局部発振器からの信号、或はそれらと同等のものであれば良い。
【0020】
基準信号は周波数帯域を占有しない。従って、上述の信号定義は基準信号には適用しない。周波数変換器は、入力としてRXアンテナ信号を受信し、それを基準信号とミキシングして中間周波数(IF)に周波数変換された信号を得る機器である。各周波数変換器の出力は、各バンドパスフィルタIF1、IF2、IF3に接続される。ダイバーシチブランチAでの、アンテナ10で受信し増幅された未変換で元々の無線信号と、各ブランチB、C、Dでの各IF信号とはコンバイナ39に入力され、それらの信号は結合されて合成信号となり、その合成信号はデュープレックスフィルタ18におけるバンドパスフィルタRX2へと送られる。そのデュープレックスフィルタはフィーダ2に接続されている。従って、各ダイバーシチブランチA〜Dにおける信号を含む合成信号は単一のフィーダで無線基地局1に転送される。
【0021】
フィルタIF1は変換器37、38からの信号がダイバーシチブランチBに漏れでるのを防止する。フィルタIF2、IF3も同様の機能をもっている。
【0022】
図4は図3に関係したものであり、TMAとフィーダにおける異なる場所での信号を図示した周波数スペクトラムである。ユーザ帯域は33で示されており、3つの中間周波数は40、41、42で示されている。この時、フィーダは、図1と図2で示された従来技術の構成で提供される効率の3倍の効率で用いられる。
【0023】
図示の実施例において、受信無線信号はユーザ帯域33より高いIF周波数へとアップコンバートされる。そのIF周波数は互いに異なるものであり、即ち、周波数変換器の出力における3つのIF信号は異なるIF周波数にある。
【0024】
フィルタRX1を通過した周波数の範囲は43で示されている。フィルタRX2を通過した周波数の範囲はRX全帯域で示されている。なお、IF周波数はRX全帯域の未使用部分になければならない。図示の実施例では、アップコンバートされたIF信号はフィルタRX1を通過した周波数の範囲43の右側にある。周波数の範囲43が、図4において破線の括弧44で示されているように、より右側にある場合、IF信号はその括弧の範囲の左側にあってユーザ帯域33と干渉しないようにすべきである。従って、RX信号はユーザ帯域33より低い帯域のIFへとダウンコンバートされる。IF信号がユーザ帯域のいずれかの側にあるような状況もあり得る。
【0025】
図3の構成は、1つのフィーダを備えた4ウェイダイバーシチを提供する。
【0026】
無線基地局において、フィーダにより搬送された信号はデュープレックスフィルタ22と低雑音増幅器26を通過して、トランシーバ30に入力される。そのトランシーバでは信号は4つのRXチェインへと分割される。ダイバーシチブランチB、C、Dに関係する信号は周波数変換される。ダイバーシチブランチA〜D各々の信号にはダイバーシチ処理が施される。ダイバーシチ処理はダイバーシチ受信器で行なわれても良い。
【0027】
図5に示される構成は図3と類似のものであるが、この時には、タワー搭載型増幅器45は周波数変換器36を1つだけ有する。コンバイナ39では、ダイバーシチブランチ39での元々の信号がブランチBでのIF信号と結合されて合成信号となり、この合成信号が単一のフィーダ2で無線基地局に転送される。この構成は、1つのフィーダでの2ウェイダイバーシチを提供する。単一のフィーダ2での周波数スペクトラムは図6に示されている。
【0028】
2つのフィーダを備えた4ウェイダイバーシチを提供する構成が図7に示されている。この構成は、図5に示された構成を二重にすることにより得られ、2つのTMA45を用いる。2つのTMAからのフィーダ2、4は無線基地局の各デュープレックスフィルタに接続される。上述のように、原理上、1つだけのTRXを用いることは可能であるが、実際には、無線基地局は複数のトランシーバを有している。なお、フィーダ2、4は同じ2つのユーザ帯域33と同じ中間周波数40〜42を搬送することを理解されたい。従って、図8に示された周波数の図は2つのフィーダに対して同一である。
【0029】
直接のアンテナ信号がIF信号と統合され、その結果得られる合成信号が単一のフィーダで無線基地局に転送されるTMAを用いる複数の実施例の利点は、現存する無線基地局が変更される必要はないという点にある。なぜなら、それらの基地局は既に周波数変換器を有しており、その変換器により、IF信号+直接のアンテナ信号が第2のIF信号に変換されるからである。
【0030】
本発明に従う構成を用いることで、ダイバーシチアンテナと同数のフィーダがあり、各ダイバーシチ信号が専用のフィーダで転送される構成の従来例と比較して、少ない数のフィーダでダイバーシチ信号が無線基地局に転送されることが達成される。
【0031】
図9は図3に示した実施例の変形例を図示している。ここでは、全てのアンテナ信号は周波数変換される。付加的な周波数変換器46が用いられ、それはアンテナ10のダイバーシチブランチAに挿入される。この実施例では、4つのIF信号が統合されて合成信号となり、その合成信号が単一のフィーダ2で無線基地局へと転送される。これは1フィーダで4ウェイダイバーシチを提供する。この実施例では、無線基地局は、図示はしていないが、ただ1つのデュープレックスフィルタ、1つの低雑音増幅器、1つのトランシーバを有している。ただ1つのトランシーバが用いられるので、ただ1つのユーザチャネルがユーザ帯域では用いられ、それ故に、図10の周波数を示す図には2つの矩形が示されてはいない。この実施例では、フィルタRX1を通過する信号は、数GHz(109)のレベルにあり、フィーダ上のIF信号は数10MHz(107)のレベルにあるかもしれない。基準信号の周波数f1〜f4は、これらの間には周波数の範囲にある。
【0032】
図5と図7とに示された構成の変形例は、全てのダイバーシチアンテナ信号を周波数変換し、図9の実施例における周波数変換器46に類似の付加的な周波数変換器を用いることである。
【0033】
図11において、アンテナ11、12、13のRX信号は、フィルタIF1、IF2、IF3に接続されている周波数変換器36、37、38で最初の周波数変換が施される(f1、f2、f3は同じ周波数で良いが、その場合、f5、f6、f7は異なる周波数をもたなければならない)。しかしながら、アンテナ10でのRX信号はTMAでどんな周波数変換も施されない。図11の実施例の特徴は、フィルタIF1、IF2、IF3の出力における周波数変換されたIF信号が、それらのIF信号を第2のセットの基準信号f5、f6、f7とミキシングし、周波数変換器47、48、49に接続されたIFフィルタRX3、RX4、RX5において結果として得られた信号をフィルタすることにより、周波数変換器47、48、49において第2の周波数変換が施されることである。直接の元々のアンテナ信号は、デュープレックスフィルタ14のフィルタRX1と、低雑音増幅器17と、デュープレックス14のフィルタRX1と類似の第2のフィルタRX1を通過し、コンバイナ39で、フィルタRX3〜RX5の出力からの2回周波数変換された信号と結合される。全てのダイバーシチブランチの合成信号は、単一のフィーダ2で無線基地局に転送される。
【0034】
基準信号f5〜f7は、フィルタRX3〜RX5の出力での信号が、図12において、括弧51で示されたフィルタされた直接の信号の周波数に隣接する、括弧50で示されたような周波数になるように選択される。この実施例は、鋭い特性と正確なパスバンド周波数とを備えたSAW(表面弾性波)フィルタIF1〜IF4の使用を可能にしている。
【0035】
図13はタワー搭載型増幅器35と無線基地局1との間に接続された周波数変換ユニット52を有する実施例を図示している。その周波数変換ユニットは無線基地局と共に用いられ、その無線基地局は分割された信号を1つの同じ周波数へと周波数変換し、その分割された信号のダイバーシチ処理のために備えるための十分な数の周波数変換器をもっていない。
【0036】
図13では、TMA35は図9に示されたものと類似しているが、フィルタと基準周波数のために用いられる表記は異なっている。異なるIF周波数でのIF信号を有する合成信号は単一のフィーダ2で周波数変換ユニット52にフィードされる。
【0037】
周波数変換ユニット52は、フィルタTXとフィルタ54(RX2〜5)を備えたデュープレックスフィルタ53を有している。そのデュープレックスフィルタは周波数変換器55〜58に接続され、その内、周波数変換器55はデュープレックスフィルタ59に接続され、周波数変換器56〜58はフィルタ60〜62に夫々接続されている。デュープレックスフィルタ59のRXフィルタとフィルタ60〜62とは全て、TMA35のフィルタRX1に類似のものである。基準信号f5〜f8は、周波数変換器55〜58の出力において結果として得られる周波数変換された信号が全て、同じ周波数であるように選択される。それらフィルタされ周波数変換された信号は周波数変換ユニットの出力に現れ、それらはダイバーシチ処理のために適合される。
【0038】
フィーダと周波数変換ユニット52に現れる信号の周波数は図14に示されている。フィーダ2での合成信号の周波数は図9に示されたものと同じである。なお、その図におけるRX1信号は周波数変換ユニットからの4つの出力信号を示している。
【0039】
図示はされていないが、ダイバーシチブランチA、即ち、元々の周波数変換されないRX信号を搬送するブランチの低雑音増幅器17の後段に、不図示の雑音低減フィルタが挿入されることを理解されたい。
【0040】
本発明の上述の実施例の多くにおいて、周波数変換器の出力におけるフィルタRX2〜RX5が各信号が隣接のダイバーシチブランチに漏れ出すのを防止するなら、フィルタRX2とRX2〜5は夫々、省略されても良い。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワー搭載型の増幅器(TMA)とアンテナダイバーシチに関するものである。特に、本発明は、アンテナダイバーシチシステムから無線基地局へのフィーダの数を低減する方法と構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンテナダイバーシチは、送信無線信号の受信(或は送信)を改善するために用いられる。ダイバーシチには、例えば、時間ダイバーシチ、空間ダイバーシチ、偏向ダイバーシチ、或は、それらの組み合わせなどの多くの種類がある。空間ダイバーシチと偏向ダイバーシチとにより、受信無線信号のフェーディングの影響が低減する。
【0003】
アンテナダイバーシチシステムは、互いに距離を置いて構成されるか、或は異なる偏向のある少なくとも2つのアンテナを有している。受信ダイバーシチの場合、離れた送信器からの信号(RX信号)は2つ以上のアンテナで受信される。送信ダイバーシチの場合、送信信号(TX信号)は、送信器に接続された2つ以上の送信アンテナで送信される。以下、ダイバーシチ構成のアンテナはダイバーシチアンテナと呼ぶ。デュープレックスフィルタをアンテナに接続することにより、同じアンテナで送受信を行うことができる。そのデュープレックスフィルタはTX信号とRX信号とを互いに分離する。信号はアンテナとトランシーバ(TRX)との間ではフィーダで転送される。従来技術のダイバーシチ構成において、フィーダとそれに関係するアンテナとはダイバーシチブランチ或は単にブランチと呼ばれる。本発明では、ダイバーシチブランチは、ダイバーシチアンテナとこのアンテナで受信する信号が通過する機器とを含む。
【0004】
次に、受信に関係するダイバーシチについて検討する。ダイバーシチアンテナからのRX信号にはダイバーシチ処理が施され、改善された(エンハンスド)信号を得る。ダイバーシチ処理は、例えば、最も強度の高いアンテナ信号を選択することであるかもしれないし、或は、複数の信号を付加してさらにその結果得られる信号を処理することであるかもしれない。
【0005】
ダイバーシチアンテナ構成において受信する各RF信号は、各タワー搭載型の増幅器(TMA)に接続され、その増幅器から増幅された信号が、無線基地局のトランシーバ(TRX)に接続されているフィーダを含む個々のダイバーシチブランチで転送される。そのフィーダは通常は同軸ケーブルである。幾つかのブランチは1つのTRXに接続されている。TRXには変調とダイバーシチ信号処理のためのダイバーシチブランチが備えられていることもある。
【0006】
タワー搭載型ユニットはしばしば、マスト先頭部(mast head)増幅器と呼ばれる。なお、これらのユニットはタワーに設置される必要はなく、柱、ビルの壁、ビルの屋上などに設置されても良い。同じことはダイバーシチアンテナにも言える。それ故、本発明はタワーに設置された増幅器に限定されるものではない。タワー搭載型増幅器(TMA)とは単なる名称であり、その名称により、この種の機器が当業者には知られているのである。
【0007】
図1は、無線基地局(RBS)1と、その無線基地局とTMA6〜9との間に延びているフィーダ2〜5とを有している従来のサイトを開示している。各TMAは各ダイバーシチアンテナ10〜13に接続されている。これらTMAは全て同一のものであり、それ故に、以下の説明ではTMA6だけに言及する。アンテナ10は、送信部(TX)15と受信部(RX)16とを有するデュープレックスフィルタ14に接続されている。RF増幅器17はフィルタされた受信(RX)信号を増幅し、それを、送信部(TX)19と受信部(RX)20とを有する別のデュープレックスフィルタ18に供給する。デュープレックスフィルタの機能はTX信号をRX信号から分離し、TX信号が受信チェイン21へと漏れることを防止することである。アンテナ10、11、12、13で夫々受信し、TMA6、7、8、9で夫々処理した信号は、ダイバーシチブランチA、B、C、D夫々へと供給される。
【0008】
無線基地局1は、デュープレックスフィルタ22〜25と低雑音増幅器(LNA)26〜29とを各TMAに対応して1つずつ備える。無線基地局の核は、トランシーバ(TRX)30、31(TRX1、TRX2)である、その能力に依存して、トランシーバはその無線基地局のために設計されたトラフィック容量がある。そのため。1つのTRXが存在することもあれば、図示された2つ以上の多くのトランシーバが存在することもある。
【0009】
図1に示されている構成は4つのフィーダを備えた4ウェイダイバーシチと呼ばれる。
【0010】
図2には、RXフィルタ22を通過することができる周波数範囲を図示した周波数スペクトラムが示されており、この範囲はサービスに割当てられたRX全帯域32である。トランシーバに対するRX信号が受信され、その同じトランシーバからTX信号が送信される無線チャネルはユーザチャネルと呼ばれる。図2には2つのトランシーバが示されているので、2つのユーザチャネルがある。これらチャネル各々は小さな矩形で示されている。ユーザチャネルは占有する周波数帯域はユーザ帯域と呼ばれ、これは括弧33で示されている。4つのブランチ各々において、各ユーザ帯域が存在し、それは全てのブランチにおいて(kHzで表せば)同じである。しかしながら、フィーダはRX全帯域32を含む数GHzまでの全周波数で信号を転送することができる。従って、各ブランチのフィーダは低効率で用いられている。
【0011】
原理的には、1つのTRXは、4つのRX信号をダイバーシチ処理し、エンハンスドRX信号を得るのに十分である。しかしながら、無線基地局は大きなトラフィック容量を扱うように設計されているので、また、安全上の理由から、多くのTRXを有している。このため、各LNAの出力は、多くの矢により示され、集合的には34で示されるように、無線基地局の全てのトランシーバに接続されている。
【0012】
特許文献1は、マルチカップラに接続されたアンテナダイバーシチシステムを備えた基地局を開示しており、そのマルチカップラからアンテナ信号が個々のフィーダで各受信器にフィードされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,505,041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の欠点は、各ブランチが専用のフィーダを必要とする点にある。従って、多くのアンテナを備えたダイバーシチアンテナは、アンテナが存在するのと同じ数のフィーダを必要とする。フィーダは高価である。また、フィーダは重量がある。アンテナはそれほど高価ではない。それ故、多くのダイバーシチアンテナを有するシステムは、それが受信品質の観点からは有益ではあるが、経済的な観点からはひどく高価なものである。
【0015】
本発明の目的は、従来技術と比較してフィーダの数を低減し、請求項1、7、11、及び12に従う方法、装置、無線基地局、システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の顕著な特徴は、1つのダイバーシチアンテナで受信したRX信号を未使用の周波数へ移動/周波数変換し、その周波数変換された信号を周波数変換されていないRX信号と統合/結合し、その結果得られた合成信号を1つのフィーダで無線基地局に転送することである。
【0017】
本発明が用いられる無線システムに依存して、“周波数”と“信号周波数”の意味は異なるかもしれない。本発明の好適な実施形は、WCDMA、GSM、AMPS、NMTのようなセルラ移動体無線システムである。WCDMAのバンド幅は5MHz、GSMでは200kHz、AMPSでは30kHz、NMTでは25kHzである。それは、周波数帯域の(RBSにより)未使用の別の部分へ周波数変換される各バンド幅をもつ信号である。WCDMAでは、5MHzの信号は複数のユーザからの音声とデータとの内、少なくともいずれかを含み、GSMシステムでは、200kHzの信号は最大8ユーザからの音声とデータとの内、少なくともいずれかを含み、AMPSとNMTでは夫々、30kHzと25kHzの信号は、1つのユーザからの音声とデータとの内、少なくともいずれかを含む。従って、信号周波数とは実際には周波数帯域である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来技術の4ウェイダイバーシチシステムのブロック図である。
【図2】図1の従来技術のダイバーシチシステムで例示した周波数を示す図である。
【図3】本発明に従う4ウェイダイバーシチシステムの第1の実施例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施例に例示した周波数を示す図である。
【図5】本発明に従う4ウェイダイバーシチシステムの第2の実施例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施例に例示した周波数を示す図である。
【図7】第3の実施例を示すブロック図である。
【図8】第3の実施例に例示した周波数を示す図である。
【図9】第1の実施例の変形例を示す図である。
【図10】図9の変形例に関係した周波数を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施例を示すブロック図である。
【図12】第4の実施例に例示した周波数を示す図である。
【図13】分離した周波数変換ユニットを有する第5の実施例を示すブロック図である。
【図14】周波数変換ユニットに関係した周波数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図3は本発明の実施例を例示している。図1と図2の構成要素に類似の要素には同じ参照番号を付す。新規のタワー搭載型増幅器35は、周波数変換器36、37、38を有し、夫々はアンテナ11、12、13に接続され、受信RFアンテナ信号の周波数を、そのRFアンテナ信号を所定の周波数の基準信号f1、f2、f3とミキシングすることにより、未使用の周波数へと移動させる。アンテナ10で受信した信号は周波数の移動はない。基準信号は連続的な波動信号、CW信号、局部発振器からの信号、或はそれらと同等のものであれば良い。
【0020】
基準信号は周波数帯域を占有しない。従って、上述の信号定義は基準信号には適用しない。周波数変換器は、入力としてRXアンテナ信号を受信し、それを基準信号とミキシングして中間周波数(IF)に周波数変換された信号を得る機器である。各周波数変換器の出力は、各バンドパスフィルタIF1、IF2、IF3に接続される。ダイバーシチブランチAでの、アンテナ10で受信し増幅された未変換で元々の無線信号と、各ブランチB、C、Dでの各IF信号とはコンバイナ39に入力され、それらの信号は結合されて合成信号となり、その合成信号はデュープレックスフィルタ18におけるバンドパスフィルタRX2へと送られる。そのデュープレックスフィルタはフィーダ2に接続されている。従って、各ダイバーシチブランチA〜Dにおける信号を含む合成信号は単一のフィーダで無線基地局1に転送される。
【0021】
フィルタIF1は変換器37、38からの信号がダイバーシチブランチBに漏れでるのを防止する。フィルタIF2、IF3も同様の機能をもっている。
【0022】
図4は図3に関係したものであり、TMAとフィーダにおける異なる場所での信号を図示した周波数スペクトラムである。ユーザ帯域は33で示されており、3つの中間周波数は40、41、42で示されている。この時、フィーダは、図1と図2で示された従来技術の構成で提供される効率の3倍の効率で用いられる。
【0023】
図示の実施例において、受信無線信号はユーザ帯域33より高いIF周波数へとアップコンバートされる。そのIF周波数は互いに異なるものであり、即ち、周波数変換器の出力における3つのIF信号は異なるIF周波数にある。
【0024】
フィルタRX1を通過した周波数の範囲は43で示されている。フィルタRX2を通過した周波数の範囲はRX全帯域で示されている。なお、IF周波数はRX全帯域の未使用部分になければならない。図示の実施例では、アップコンバートされたIF信号はフィルタRX1を通過した周波数の範囲43の右側にある。周波数の範囲43が、図4において破線の括弧44で示されているように、より右側にある場合、IF信号はその括弧の範囲の左側にあってユーザ帯域33と干渉しないようにすべきである。従って、RX信号はユーザ帯域33より低い帯域のIFへとダウンコンバートされる。IF信号がユーザ帯域のいずれかの側にあるような状況もあり得る。
【0025】
図3の構成は、1つのフィーダを備えた4ウェイダイバーシチを提供する。
【0026】
無線基地局において、フィーダにより搬送された信号はデュープレックスフィルタ22と低雑音増幅器26を通過して、トランシーバ30に入力される。そのトランシーバでは信号は4つのRXチェインへと分割される。ダイバーシチブランチB、C、Dに関係する信号は周波数変換される。ダイバーシチブランチA〜D各々の信号にはダイバーシチ処理が施される。ダイバーシチ処理はダイバーシチ受信器で行なわれても良い。
【0027】
図5に示される構成は図3と類似のものであるが、この時には、タワー搭載型増幅器45は周波数変換器36を1つだけ有する。コンバイナ39では、ダイバーシチブランチ39での元々の信号がブランチBでのIF信号と結合されて合成信号となり、この合成信号が単一のフィーダ2で無線基地局に転送される。この構成は、1つのフィーダでの2ウェイダイバーシチを提供する。単一のフィーダ2での周波数スペクトラムは図6に示されている。
【0028】
2つのフィーダを備えた4ウェイダイバーシチを提供する構成が図7に示されている。この構成は、図5に示された構成を二重にすることにより得られ、2つのTMA45を用いる。2つのTMAからのフィーダ2、4は無線基地局の各デュープレックスフィルタに接続される。上述のように、原理上、1つだけのTRXを用いることは可能であるが、実際には、無線基地局は複数のトランシーバを有している。なお、フィーダ2、4は同じ2つのユーザ帯域33と同じ中間周波数40〜42を搬送することを理解されたい。従って、図8に示された周波数の図は2つのフィーダに対して同一である。
【0029】
直接のアンテナ信号がIF信号と統合され、その結果得られる合成信号が単一のフィーダで無線基地局に転送されるTMAを用いる複数の実施例の利点は、現存する無線基地局が変更される必要はないという点にある。なぜなら、それらの基地局は既に周波数変換器を有しており、その変換器により、IF信号+直接のアンテナ信号が第2のIF信号に変換されるからである。
【0030】
本発明に従う構成を用いることで、ダイバーシチアンテナと同数のフィーダがあり、各ダイバーシチ信号が専用のフィーダで転送される構成の従来例と比較して、少ない数のフィーダでダイバーシチ信号が無線基地局に転送されることが達成される。
【0031】
図9は図3に示した実施例の変形例を図示している。ここでは、全てのアンテナ信号は周波数変換される。付加的な周波数変換器46が用いられ、それはアンテナ10のダイバーシチブランチAに挿入される。この実施例では、4つのIF信号が統合されて合成信号となり、その合成信号が単一のフィーダ2で無線基地局へと転送される。これは1フィーダで4ウェイダイバーシチを提供する。この実施例では、無線基地局は、図示はしていないが、ただ1つのデュープレックスフィルタ、1つの低雑音増幅器、1つのトランシーバを有している。ただ1つのトランシーバが用いられるので、ただ1つのユーザチャネルがユーザ帯域では用いられ、それ故に、図10の周波数を示す図には2つの矩形が示されてはいない。この実施例では、フィルタRX1を通過する信号は、数GHz(109)のレベルにあり、フィーダ上のIF信号は数10MHz(107)のレベルにあるかもしれない。基準信号の周波数f1〜f4は、これらの間には周波数の範囲にある。
【0032】
図5と図7とに示された構成の変形例は、全てのダイバーシチアンテナ信号を周波数変換し、図9の実施例における周波数変換器46に類似の付加的な周波数変換器を用いることである。
【0033】
図11において、アンテナ11、12、13のRX信号は、フィルタIF1、IF2、IF3に接続されている周波数変換器36、37、38で最初の周波数変換が施される(f1、f2、f3は同じ周波数で良いが、その場合、f5、f6、f7は異なる周波数をもたなければならない)。しかしながら、アンテナ10でのRX信号はTMAでどんな周波数変換も施されない。図11の実施例の特徴は、フィルタIF1、IF2、IF3の出力における周波数変換されたIF信号が、それらのIF信号を第2のセットの基準信号f5、f6、f7とミキシングし、周波数変換器47、48、49に接続されたIFフィルタRX3、RX4、RX5において結果として得られた信号をフィルタすることにより、周波数変換器47、48、49において第2の周波数変換が施されることである。直接の元々のアンテナ信号は、デュープレックスフィルタ14のフィルタRX1と、低雑音増幅器17と、デュープレックス14のフィルタRX1と類似の第2のフィルタRX1を通過し、コンバイナ39で、フィルタRX3〜RX5の出力からの2回周波数変換された信号と結合される。全てのダイバーシチブランチの合成信号は、単一のフィーダ2で無線基地局に転送される。
【0034】
基準信号f5〜f7は、フィルタRX3〜RX5の出力での信号が、図12において、括弧51で示されたフィルタされた直接の信号の周波数に隣接する、括弧50で示されたような周波数になるように選択される。この実施例は、鋭い特性と正確なパスバンド周波数とを備えたSAW(表面弾性波)フィルタIF1〜IF4の使用を可能にしている。
【0035】
図13はタワー搭載型増幅器35と無線基地局1との間に接続された周波数変換ユニット52を有する実施例を図示している。その周波数変換ユニットは無線基地局と共に用いられ、その無線基地局は分割された信号を1つの同じ周波数へと周波数変換し、その分割された信号のダイバーシチ処理のために備えるための十分な数の周波数変換器をもっていない。
【0036】
図13では、TMA35は図9に示されたものと類似しているが、フィルタと基準周波数のために用いられる表記は異なっている。異なるIF周波数でのIF信号を有する合成信号は単一のフィーダ2で周波数変換ユニット52にフィードされる。
【0037】
周波数変換ユニット52は、フィルタTXとフィルタ54(RX2〜5)を備えたデュープレックスフィルタ53を有している。そのデュープレックスフィルタは周波数変換器55〜58に接続され、その内、周波数変換器55はデュープレックスフィルタ59に接続され、周波数変換器56〜58はフィルタ60〜62に夫々接続されている。デュープレックスフィルタ59のRXフィルタとフィルタ60〜62とは全て、TMA35のフィルタRX1に類似のものである。基準信号f5〜f8は、周波数変換器55〜58の出力において結果として得られる周波数変換された信号が全て、同じ周波数であるように選択される。それらフィルタされ周波数変換された信号は周波数変換ユニットの出力に現れ、それらはダイバーシチ処理のために適合される。
【0038】
フィーダと周波数変換ユニット52に現れる信号の周波数は図14に示されている。フィーダ2での合成信号の周波数は図9に示されたものと同じである。なお、その図におけるRX1信号は周波数変換ユニットからの4つの出力信号を示している。
【0039】
図示はされていないが、ダイバーシチブランチA、即ち、元々の周波数変換されないRX信号を搬送するブランチの低雑音増幅器17の後段に、不図示の雑音低減フィルタが挿入されることを理解されたい。
【0040】
本発明の上述の実施例の多くにおいて、周波数変換器の出力におけるフィルタRX2〜RX5が各信号が隣接のダイバーシチブランチに漏れ出すのを防止するなら、フィルタRX2とRX2〜5は夫々、省略されても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局(1)と、夫々が全て同じ周波数である個別のRF信号の受信に適合した少なくとも2つのアンテナ(10−13)を有したダイバーシチアンテナとの間のフィーダの数を削減する方法であって、
1つ以上の受信アンテナ信号を、対応する数の基準信号(f1−f4)の第1のセットでミキシングすることにより、対応する数のIF(中間周波数)信号に変換し、
前記IF信号の1つを、未変換で元々のアンテナ信号と他の変換された複数のIF信号との内の少なくともいずれかと共に少ない数のフィーダ(2,4)で前記無線基地局に転送することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ダイバーシチアンテナはn個(nは整数)のアンテナを有し、
1つを除いた全ての受信アンテナ信号をIF信号へと変換し、
前記未変換のアンテナ信号を全てのIF信号と共に、単一のフィーダで前記無線基地局に転送し、
1つの(単一の)フィーダでnウェイのダイバーシチを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイバーシチアンテナはn個(nは整数)のアンテナを有し、
全ての受信アンテナ信号を変換し、
前記全ての受信アンテナ信号を単一のフィーダで前記無線基地局に転送し、
1つの(単一の)フィーダでnウェイのダイバーシチを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記IF信号を基準信号(f5−f7)の第2のセットでミキシングすることにより、前記IF信号を第2のIF周波数に変換し、少ない数のフィーダで転送される第2のセットのIF信号を取得することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ダイバーシチアンテナは第1のアンテナ(10)と第2のアンテナ(11)とを有し、
前記第2のアンテナにおけるアンテナ信号をIF信号に変換し、
前記IF信号を、前記第1のアンテナにおける未変換のアンテナ信号と共に単一のフィーダ(2)で前記無線基地局に転送し、
1つの(単一の)フィーダで2ウェイのダイバーシチを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ダイバーシチアンテナは第1のアンテナ(10)と第2のアンテナ(11)と第3のアンテナ(12)と第4のアンテナ(13)とを有し、
前記第2のアンテナからと前記第4のアンテナからの前記RF信号を、両方とも同じ中間周波数をもつ第1と第2のIF信号に変換し、
前記第1のアンテナにおける未変換のアンテナ信号を、第1のフィーダの前記第1のIF信号と共に前記無線基地局に転送し、
前記第3のアンテナにおける未変換のアンテナ信号を、第2のフィーダの前記第2のIF信号と共に前記無線基地局に転送し、
2つのフィーダ(2,4)で4ウェイのダイバーシチを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記無線基地局において、前記複数のIF信号を複数の基準信号(f5−f8)のセットでミキシングすることにより、前記複数のIF信号を全て同じ中間周波数の他の複数のIF信号に変換し、
共通の中間周波数で2度周波数変換された信号にダイバーシチ信号処理を施すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
無線基地局(1)と、夫々が全て同じ周波数である個別のRF信号の受信に適合した少なくとも2つのダイバーシチアンテナ(10−13)を有したダイバーシチアンテナとの間のフィーダの数を削減する機器であって、
各アンテナ信号を、所定の基準信号(f1,f2,f3,或はf4)でミキシングすることにより、対応する中間周波数信号(IF信号)に変換するよう夫々が適合された1つ以上の周波数変換器(36−38)と、
前記IF信号の1つを、未変換のアンテナ信号と他のIF信号との内の少なくともいずれかと結合し、少ない数のフィーダ(2,4)で前記無線基地局に転送する合成信号を形成するコンバイナ(39)とを有することを特徴とする機器。
【請求項9】
ダイバーシチアンテナからの受信(RX)信号はダイバーシチブランチ(A−D)に続き、1つのブランチを除く各ダイバーシチブランチには周波数変換器(36−38)を備えることを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項10】
ダイバーシチアンテナからの受信(RX)信号はダイバーシチブランチ(A−D)に続き、各ダイバーシチブランチには周波数変換器(46,36−38)を備えることを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項11】
第1のセットのIF信号を第2のセットのIF信号に変換し、少ない数のフィーダ(2,4)で前記無線基地局に転送するよう適合された第2のセットの周波数変換器(47−49)をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の機器。
【請求項12】
2つのダイバーシチアンテナ(10,11)があり、
前記2つのアンテナの内の1つは第1のデュープレックスフィルタ(14)に接続されて送受信のために備えられ、
第2のアンテナ(11)からのアンテナ信号を中間周波数に変換してIF信号を形成する単一の周波数変換器(36)をさらに有し、
前記コンバイナ(39)は、第1のアンテナ(10)からの元々の受信(RX)信号を前記IF信号と結合して合成信号を生成し、
さらに、前記合成信号を前記無線基地局に転送する単一のフィーダ(2)を有し、
前記1つの(単一の)フィーダ(2)で2ウェイダイバーシチを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の機器。
【請求項13】
前記機器を二重化し、4つのアンテナ(10−13)と2つのフィーダ(2,4)とを有する機器を備え、
2つのフィーダで4ウェイダイバーシチを備えることを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項14】
相互に異なる周波数で複数の信号が転送される少なくとも1つのフィーダ(2)が備えられて用いられる周波数変換装置であって、
前記複数の信号を全て同じ周波数(RX1)で対応する数の信号に変換する、夫々に対応する複数の周波数変換器(55−58)を有することを特徴とする周波数変換装置。
【請求項15】
ダイバーシチ信号と呼ばれる複数の周波数変換信号を全て同じ周波数で提供するために適合された複数の周波数変換器を備えたトランシーバ(TRX)と、前記ダイバーシチ信号を信号処理して改善された信号を得るための手段とを有した無線基地局であって、
前記トランシーバの入力に接続され、少なくとも1つの中間周波数信号(IF信号)を、周波数変換されていないRFアンテナ信号と他の変換された複数のIF信号との内の少なくともいずれかと共に、1つのフィーダから受信し、前記複数の周波数変換器各々に前記他の変換された複数のIF信号を供給して、前記ダイバーシチ信号を提供する手段を有することを特徴とする無線基地局。
【請求項16】
無線基地局(RBS)と、フィルタ(14)とRF増幅器(17)とを備えた少なくとも1つのタワー設置型のユニット(TMA)と、ダイバーシチのある少なくとも2つのアンテナ(10−13)と、前記TMAと前記RBSとの間に伸長し、受信(RX)信号と送信(TX)信号とを交換する少なくとも1つのフィーダ(2,4)とを有し、前記アンテナにより受信する信号は全てが同じ受信(RX)周波数のRF信号である無線基地局システムであって、
前記TMAに備えられ、前記複数のダイバーシチアンテナの1つに接続され、前記アンテナのRF信号を未使用周波数のIF信号に変換する少なくとも1つの周波数変換器(36−38)と、
前記IF信号と、未変換のRFアンテナ信号と他の変換されたIF信号との内の少なくともいずれかと結合して、前記フィーダに印加される合成信号を生成するコンバイナ(39)とを有し、フィーダの数を削減することを特徴とする無線基地局システム。
【請求項1】
無線基地局(1)と、夫々が全て同じ周波数である個別のRF信号の受信に適合した少なくとも2つのアンテナ(10−13)を有したダイバーシチアンテナとの間のフィーダの数を削減する方法であって、
1つ以上の受信アンテナ信号を、対応する数の基準信号(f1−f4)の第1のセットでミキシングすることにより、対応する数のIF(中間周波数)信号に変換し、
前記IF信号の1つを、未変換で元々のアンテナ信号と他の変換された複数のIF信号との内の少なくともいずれかと共に少ない数のフィーダ(2,4)で前記無線基地局に転送することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ダイバーシチアンテナはn個(nは整数)のアンテナを有し、
1つを除いた全ての受信アンテナ信号をIF信号へと変換し、
前記未変換のアンテナ信号を全てのIF信号と共に、単一のフィーダで前記無線基地局に転送し、
1つの(単一の)フィーダでnウェイのダイバーシチを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイバーシチアンテナはn個(nは整数)のアンテナを有し、
全ての受信アンテナ信号を変換し、
前記全ての受信アンテナ信号を単一のフィーダで前記無線基地局に転送し、
1つの(単一の)フィーダでnウェイのダイバーシチを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記IF信号を基準信号(f5−f7)の第2のセットでミキシングすることにより、前記IF信号を第2のIF周波数に変換し、少ない数のフィーダで転送される第2のセットのIF信号を取得することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ダイバーシチアンテナは第1のアンテナ(10)と第2のアンテナ(11)とを有し、
前記第2のアンテナにおけるアンテナ信号をIF信号に変換し、
前記IF信号を、前記第1のアンテナにおける未変換のアンテナ信号と共に単一のフィーダ(2)で前記無線基地局に転送し、
1つの(単一の)フィーダで2ウェイのダイバーシチを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ダイバーシチアンテナは第1のアンテナ(10)と第2のアンテナ(11)と第3のアンテナ(12)と第4のアンテナ(13)とを有し、
前記第2のアンテナからと前記第4のアンテナからの前記RF信号を、両方とも同じ中間周波数をもつ第1と第2のIF信号に変換し、
前記第1のアンテナにおける未変換のアンテナ信号を、第1のフィーダの前記第1のIF信号と共に前記無線基地局に転送し、
前記第3のアンテナにおける未変換のアンテナ信号を、第2のフィーダの前記第2のIF信号と共に前記無線基地局に転送し、
2つのフィーダ(2,4)で4ウェイのダイバーシチを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記無線基地局において、前記複数のIF信号を複数の基準信号(f5−f8)のセットでミキシングすることにより、前記複数のIF信号を全て同じ中間周波数の他の複数のIF信号に変換し、
共通の中間周波数で2度周波数変換された信号にダイバーシチ信号処理を施すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
無線基地局(1)と、夫々が全て同じ周波数である個別のRF信号の受信に適合した少なくとも2つのダイバーシチアンテナ(10−13)を有したダイバーシチアンテナとの間のフィーダの数を削減する機器であって、
各アンテナ信号を、所定の基準信号(f1,f2,f3,或はf4)でミキシングすることにより、対応する中間周波数信号(IF信号)に変換するよう夫々が適合された1つ以上の周波数変換器(36−38)と、
前記IF信号の1つを、未変換のアンテナ信号と他のIF信号との内の少なくともいずれかと結合し、少ない数のフィーダ(2,4)で前記無線基地局に転送する合成信号を形成するコンバイナ(39)とを有することを特徴とする機器。
【請求項9】
ダイバーシチアンテナからの受信(RX)信号はダイバーシチブランチ(A−D)に続き、1つのブランチを除く各ダイバーシチブランチには周波数変換器(36−38)を備えることを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項10】
ダイバーシチアンテナからの受信(RX)信号はダイバーシチブランチ(A−D)に続き、各ダイバーシチブランチには周波数変換器(46,36−38)を備えることを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項11】
第1のセットのIF信号を第2のセットのIF信号に変換し、少ない数のフィーダ(2,4)で前記無線基地局に転送するよう適合された第2のセットの周波数変換器(47−49)をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の機器。
【請求項12】
2つのダイバーシチアンテナ(10,11)があり、
前記2つのアンテナの内の1つは第1のデュープレックスフィルタ(14)に接続されて送受信のために備えられ、
第2のアンテナ(11)からのアンテナ信号を中間周波数に変換してIF信号を形成する単一の周波数変換器(36)をさらに有し、
前記コンバイナ(39)は、第1のアンテナ(10)からの元々の受信(RX)信号を前記IF信号と結合して合成信号を生成し、
さらに、前記合成信号を前記無線基地局に転送する単一のフィーダ(2)を有し、
前記1つの(単一の)フィーダ(2)で2ウェイダイバーシチを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の機器。
【請求項13】
前記機器を二重化し、4つのアンテナ(10−13)と2つのフィーダ(2,4)とを有する機器を備え、
2つのフィーダで4ウェイダイバーシチを備えることを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項14】
相互に異なる周波数で複数の信号が転送される少なくとも1つのフィーダ(2)が備えられて用いられる周波数変換装置であって、
前記複数の信号を全て同じ周波数(RX1)で対応する数の信号に変換する、夫々に対応する複数の周波数変換器(55−58)を有することを特徴とする周波数変換装置。
【請求項15】
ダイバーシチ信号と呼ばれる複数の周波数変換信号を全て同じ周波数で提供するために適合された複数の周波数変換器を備えたトランシーバ(TRX)と、前記ダイバーシチ信号を信号処理して改善された信号を得るための手段とを有した無線基地局であって、
前記トランシーバの入力に接続され、少なくとも1つの中間周波数信号(IF信号)を、周波数変換されていないRFアンテナ信号と他の変換された複数のIF信号との内の少なくともいずれかと共に、1つのフィーダから受信し、前記複数の周波数変換器各々に前記他の変換された複数のIF信号を供給して、前記ダイバーシチ信号を提供する手段を有することを特徴とする無線基地局。
【請求項16】
無線基地局(RBS)と、フィルタ(14)とRF増幅器(17)とを備えた少なくとも1つのタワー設置型のユニット(TMA)と、ダイバーシチのある少なくとも2つのアンテナ(10−13)と、前記TMAと前記RBSとの間に伸長し、受信(RX)信号と送信(TX)信号とを交換する少なくとも1つのフィーダ(2,4)とを有し、前記アンテナにより受信する信号は全てが同じ受信(RX)周波数のRF信号である無線基地局システムであって、
前記TMAに備えられ、前記複数のダイバーシチアンテナの1つに接続され、前記アンテナのRF信号を未使用周波数のIF信号に変換する少なくとも1つの周波数変換器(36−38)と、
前記IF信号と、未変換のRFアンテナ信号と他の変換されたIF信号との内の少なくともいずれかと結合して、前記フィーダに印加される合成信号を生成するコンバイナ(39)とを有し、フィーダの数を削減することを特徴とする無線基地局システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−151819(P2011−151819A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−33800(P2011−33800)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2007−502751(P2007−502751)の分割
【原出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33800(P2011−33800)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2007−502751(P2007−502751)の分割
【原出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
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