アンビエント通信システム、当該システム用の動作デバイス、作動方法、及び計算機で読み取り可能な媒体
周囲環境/雰囲気/気持ちも伝える通信システム10が提供されている。当該システム10は、二人以上の通話当事者間の電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送受信するための少なくとも一つの送信器11及び対応する受信器12を有する。当該システムは更に、情報信号のコンテンツ分析の結果に基づいて動作を実行するか、又は特定の物理的な姿勢を呈するよう構成されている動作デバイス14を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、周囲環境/雰囲気/気持ちも伝える(アンビエント)通信システムの分野、斯様なシステムを作動させる方法、及び当該方法を実行するためのコード・セグメントを有する計算機可読の媒体に関する。本発明はとりわけアンビエント通信システムに関し、当該システムは、二人以上の通話当事者間で例えば会話情報などの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するための送信器及び対応する受信器をもつ少なくとも一つの電話ユニットを有し、当該電話ユニットは更に、会話情報の、雰囲気などのコンテンツに応じて特定の態様で物理的に動作する動作デバイスを有する。
【背景技術】
【0002】
現行の通信媒体により伝達されるコミュニケーションが、十分なコミュニケーションのポテンシャルへと援助されることはない。個人的な関係の底意は感知されることができず、「差し向かい」の感じからはほど遠い。
【0003】
通話者の間の個人的な関係の底意は、重要な連絡、通話の習慣、及び両者の間の体験に関連して特に重要である。
【0004】
この点において周囲環境電話が開発されてきた。周囲環境電話は、電話の会話を家庭環境に混ぜ入れるというアイデアである。周囲環境電話システムは家の中にある複数の拡声器及び複数のマイクロフォンのセットから成り、これらはユーザが居る家のエリア内のみで当該ユーザが移動し、電話をかけるのを検出し、自由な移動を可能にして、「追いかけ」効果をユーザへ提供する。これは、製品を限定することなく又は物理的な場所の限界なしで、完全にハンドフリーな通話を可能にする。これは、単なる電話ではなく実際に訪問している感覚を誘起し、通信が介在しているとの認識を低下させることを意図している。
【0005】
周囲環境電話の成功及び最適な体験のために複数のファクタが重要である。これらのファクタの幾つかの例は、音響品質及び音響の空間的な分布、当該製品が家庭環境を混ぜ入れる程度、使いやすさ、及びユーザにより知覚される感じである。周囲環境電話に要望される感じの中に、社会的な存在感(臨場感)がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現行の周囲環境電話は、遠隔地にいる電話のかけ手の社会的な存在感のフィードバックが低いことが欠点である。周囲環境電話が提供する移動の自由度は、追いかけ効果についてのフィードバック及び電話がかけられている場所についてのフィードバックを提供することが特に重要になる。一緒に居るという実感を提供するために、遠隔地にいる相手が同じ場所に居るとの感覚をユーザに提供することが重要である。今日の周囲環境電話は、追いかけ効果のフィードバックが十分ではないとの欠点ももっている。より正確に言うと、ユーザは、電話が当該ユーザに追従しているかどうかよくわからない。更にまた周囲環境電話は、遠隔地にいる相手の表現が十分ではないとの欠点をもっている。周囲環境電話を使用する際、ユーザは遠隔地にいる電話のかけ手の特定の視覚的な合図と、特定の見ている場所とを見逃すかも知れない。
【0007】
このように、周囲環境電話の分野の中に、改善された追いかけ効果、及び遠隔地にいる電話のかけ手の考え得る雰囲気及び/又は感じ方を含む改善された表現を可能にする開発の必要性がある。
【0008】
したがって本発明は、上で認識した従来技術の欠陥及び欠点の一つ以上を単独で又は何らかの組合せで緩和、軽減、又は除去することを好ましくは探求し、添付の特許項による周囲環境通信システム、動作デバイス、当該システムの作動方法、及びコンピュータ可読媒体を提供することによって、少なくとも上述の課題を解決することを探求する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の着想は、電話の間にユーザの注意を相手に集中させるために、周囲環境電話システムをユーザに提供することである。
【0010】
本発明の着想は、少なくとも二人の通話当事者間で送られた会話情報を含む情報信号に応じて特定の物理的な姿勢を呈するよう構成されているか又は動作するよう構成された動作デバイスを有する周囲環境電話システムを提供することである。動作又は姿勢は、人間の特定の親密度を表す挙動及び直接的な挙動となるよう選択される。この態様で周囲環境電話は、遠隔地にいる電話のかけ手の底意がある抽象的な表現を再生することによって社会的な存在感(一緒に居る感覚)を提供し、動作デバイスは、電話の間にユーザが自身の注意を集中させることができる対象として機能する。
【0011】
したがって本発明の長所は、親密な合図及び直接的な合図が差し向かいでのコミュニケーションに似せて提供されるので、ユーザ体験をより豊かにすることである。更に、どのように対話が行われているかについてのフィードバックも提供する。
【0012】
本発明の重要な特徴は、動作デバイスを有する一つ以上のPhone-let(フォンレット)のセットによる動作及び姿勢であり、ユーザに、彼(女)の遠隔地にいる電話のかけ手を連想させる特定の姿勢で電話がかけられる。特定の動作及び姿勢特性は、電話のかけ手の底意がある特性を検出し且つ描写することによって、及び/又は動作パターンを介した対話によって、電話体験を更に豊かにする。この態様で、フォンレットは電話のかけ手の底意がある表現となり、両方の通話者が同じ部屋に居る感覚を提供し、ユーザが家の中を移動するときの動きのフィードバックを提供する。
【0013】
本発明の一態様によれば、周囲環境通信システムが提供される。当該周囲環境通信システムは、二人以上の通話当事者間の電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するための少なくとも一つの送信器及び対応する受信器を有する。更にまた周囲環境通信システムは、情報信号のコンテンツに基づいて動作を実行する、又は特定の物理的な姿勢を呈するよう構成されている少なくとも一つの動作デバイスを有する。
【0014】
本発明の別の態様によれば、二人以上の通話当事者の間の情報信号を送信且つ受信するための周囲環境通信システムを作動させる方法が提供される。当該方法は、送信器及び対応する受信器を複数の送信器及び対応する複数の受信器のセットの中から選択するステップを含む。更にまた当該方法は、送信器及び受信器からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するステップを含む。本方法は更に、情報信号のコンテンツの分析の結果に基づいて特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイスを起動させるステップを含む。
【0015】
更に別の態様では、コンピュータ可読媒体であって、コンピュータによって処理するためのコンピュータプログラムを当該媒体上に収録したコンピュータ可読媒体が提供される。当該コンピュータプログラムは、複数の送信器及び対応する複数の受信器のセットの中から送信器及び対応する受信器を選択するためのコード・セグメントを有する。更にコンピュータプログラムは、送信器及び受信器からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するためのコード・セグメントを有する。コンピュータプログラムは更に、情報信号のコンテンツに基づいて特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイスを起動させるためのコード・セグメントを有する。
【0016】
本発明が可能なこれらの及び他の態様、特徴、及び長所は、添付の図面を参照して成される本発明の実施例の以下の説明から明らかであり、且つ解明されることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例によるシステムの概観的な例示を示す。
【図2】実施例による動作デバイスを例示する。
【図3a】中間部が柔軟に動くことができる動作デバイスを例示する。
【図3b】中間部が関節構造になっている動作デバイスを例示する。
【図4a】動作デバイスの頂部が、通話の間、ユーザに注目するよう構成された動作デバイスの例を示す。
【図4b】頂部が下方に傾きつつある動作デバイスを示す。
【図4c】頂部と中間部とが前屈した状態から正立状態へと移動する動作デバイスを示す。
【図4d】頂部が下方を向いている動作デバイスを示す。
【図4e】頂部と中間部とがやや上方を向いたまま仰け反りつつある動作デバイスを示す。
【図4f】頂部が前方を向いたまま中間部が前進しつつある動作デバイスを示す。
【図4g】頂部が前方を向いたまま中間部が後退しつつある動作デバイスを示す。
【図4h】頂部が下方を向きつつある動作デバイスを示す。
【図4i】頂部が前方を向いたまま中間部が前進しつつある動作デバイスを示す。
【図4j】頂部が前方を向いたまま中間部が後退しつつある動作デバイスを示す。
【図4k】頂部のみが下方を向いている動作デバイスを示す。
【図4l】頂部のみが上方を向いている動作デバイスを示す。
【図5a】大きな声の積極的な議論で、動作デバイスが上方へ動き後方へと傾く様子を示す。
【図5b】低い音量の会話で遅いやりとりを伴う親密な対話で、動作デバイスが前方へと傾く様子を示す。
【図6】実施例による方法のフロー図を示す。
【図7】実施例によるコンピュータプログラムのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者が本発明を実施できるよう、本発明の複数の実施例が添付の図面を参照して以下で更に詳細に説明されることであろう。しかしながら本発明は多くの異なる形態で実施されることができ、本願明細書で説明されている実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。それよりむしろ、本開示は完全で且つ完結しており、当業者に対して本発明の範囲を十分に伝えるために、これらの実施例が提供されている。これらの実施例が本発明を限定することはなく、本発明は添付の特許項によってのみ限定される。更にまた、添付の図中に例示された具体例の詳細な説明で使われている用語は、本発明を限定することを意図してはいない。
【0019】
家の形態をした実験室の天井に組み込まれた周囲環境電話の基本的なセットアップを使った実験は、コードレス電話と比較して、社会的な存在感に対する周囲環境電話の肯定的な傾向を示した。相手方と交流する感覚、及びこの体験がどれくらい有意義であったかに関して、周囲環境電話はコードレス電話に対して著しく良好な結果(p<0.05)であった。特にハンドフリー性及びロケーションフリー性に関しては、周囲環境電話をコードレス電話よりも快適で便利であるとみなし、実験参加者達は非常に肯定的に周囲環境電話についてコメントした。何人かの参加者は、あたかも電話のかけ手が同じ部屋にいるかのように、対話者同士の交信がより間近であると感じたことについてコメントした。
【0020】
Philips社の研究施設において行われた周囲環境電話とコードレス電話とを比較する実験では、参加者達は天井のスピーカなどの音源に気付き、多くの場合、音源へ向かって親密な反応、例えばキスを送る、うなずく、凝視する等を ‐意識的に及び無意識に ‐ 示した。一方で、「天井に向かって話す」、「空虚である」、「不自然な」音の位置、見るものが何も無い、との否定的な意見があった。複数の作業をしている場合、これは不快である。
【0021】
後日行われた実験では、意味がある色を、呼び出しをした電話システムに点灯させた。これは、社会的な存在感の顕著な改善と、快適さ及び便利さについての全体的に良好なコメントとを伴う有望な結果を示した。ユーザは、通話の間に彼等の注意を集中させることに関して、追いかけ効果の改善されたフィードバックに関して、遠隔地にいる相手の存在感に関して、及び遠隔地にいる相手の改善された表現に関して、光の利点について明確なコメントをした。光が注意を惹き、通話の間及び関与する会話がないときに、光に注目するようユーザを引きつけたとユーザは意見を述べた。このように、通話当事者間の会話の感覚が改善され、沈黙の存在も可能にした。光が一旦点灯すると、通話当事者達は彼等が聞かれていることを知り、相手方が電話口に居ることを知る。
【0022】
本発明の発明者は、このように通話当事者間の視覚的な接続を提供することによって、電話体験が改善するであろう点を理解した。
【0023】
これに関し本発明の発明者は、二人以上の通話当事者間の例えば会話情報を有する電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するための周囲環境通信システム10を提供することによって、上で認識した実験の利益を抽出し編集した。周囲環境通信システム10は、複数の送信器11のセットと複数の受信器12のセットとを有する。これは、送信器11及び受信器12をフォンレットなどの送/受信ユニット内に一体化することにより実現されることができ、複数の斯様な送/受信ユニットのセットを有する通信システム10をもつことにより実現されることができる。送信器11は例えば拡声器であり、受信器12は例えばマイクロフォンである。複数の異なる限定空間で音声送信及び/又は音声受信ができるように、複数の異なる送信器11及び受信器12が、異なる部屋などの複数の限定空間に置かれることができる。本システム10は制御ユニット13を有する。当該制御ユニット13は、最も強い音声受信の場所にある送信器11及び受信器12が起動されるよう音声送信及び/又は音声受信を制御するアルゴリズムを有する。好ましくは当該アルゴリズムは、家庭用設備など他の形態の音よりも音声が優勢であるようにされる。このように本システムは、例えばユーザが居る住宅のエリア内でのみユーザが移動するのを検知し、電話をかける。これは、製品を限定することなく又は物理的な場所の限界なしで、自由な移動及び完全にハンドフリーな通話を可能にする。
【0024】
送信器11及び/又は受信器12の各々が、対応する動作デバイス14に接続される。当該動作デバイスは、受信器12及び/又は送信器11によって受信及び/又は送信される情報信号のコンテンツに応じて特定の態様で動作するよう構成されている。一実施例では当該動作デバイスは、送信器11が音声を送信するときに動作デバイス14の物理的な動作が起動されるよう、対応する送信器11と同じユニットに一体化されている。このように、動作デバイス14が上記に従って送信/受信ユニットに一体化される。制御ユニット13は、起動中の送信器11に対応して動作デバイス14の物理的な動作を起動させるアルゴリズムを有するよう構成される。この態様で、音が受信され及び/又は送信されるのと同じ場所から動作が実行される。この態様で、ユーザは動作デバイスの動作から、どの送信器11及び/又は受信器12が起動しているかを知るので、通話中に注意を集中するという目標が達成され、同時に追いかけ効果を改善する。
【0025】
一実施例では、情報信号は、通話している当事者間の電話の会話の音から生じる音声情報を有する。しかしながら当該情報信号は、動作デバイスが電話のかけ手の識別情報に応じた姿勢を呈するよう、電話番号表示と同様、電話の相手の識別情報も有することができる。
【0026】
別の実施例では情報信号は、例えば通信チャネルの何れかの側にあるカメラを使用して得られたビデオ情報を有する。これゆえ、送信/受信ユニットがカメラに接続された場合、遠隔地側のユーザの例えば表情又はボディ・ランゲージを視覚化するために、制御ユニットはビデオ情報を処理し、これにしたがって動作デバイスを起動させる。制御ユニットは、普通に知られている顔の検出技術又はボディ・ランゲージ識別技術を使用してビデオ情報を処理してもよい。
【0027】
更にまた、動作デバイス14の動作又は姿勢を介して、ユーザは、通話の間の相手の雰囲気の視覚的な表示、及び/又は彼自身/彼女自身の動きの表示を受信する。
【0028】
一実施例では、動作デバイス14の動作がユーザによってプリセットされてもよい。動作デバイスの異なる姿勢はそれぞれ、遠隔地にいる電話のかけ手がユーザに対してもっている底意に対応している。
【0029】
例えば、ユーザが複数のフォンレットの複数の異なる検知領域の間を移動する際に、電話をかけている第1のフォンレットの第1の動作デバイス14の物理的な姿勢が維持され、第2のフォンレットに接続された第2の動作デバイス14へと伝達されることだろう。動作デバイス14の姿勢が姿勢による着信音として使われる場合、動作デバイスの物理的な姿勢は、ユーザが遠隔地にいる相手を通話の前に認識することも可能にし、通話の間及び会話が途切れた場合、音声及び映像をマッチングさせることによって相手が電話口に居る感じを強めることができる。電話会議モードなど複数の電話のかけ手が通話をする場合、異なる電話のかけ手が話すときに、異なる姿勢によって視覚化されてもよい。
【0030】
電話のかけ手がもっている雰囲気及び/又は気持ちを、特定の態様の動き又は特定の姿勢に到達する動きへと変換するよう動作デバイス14を構成することも可能である。例えば電話のかけ手は彼/彼女の通信システムで、彼/彼女が幸福である、悲しい、又は怒っていることを示してもよく、これらは動作デバイス14をそれぞれ異なる位置へ動かすことによって視覚化されることができる。このように、電話のかけ手の雰囲気又は気持ちが、電話を受けるユーザに対して視覚化されることができる。
【0031】
動作デバイス14が、遠隔地にいる電話のかけ手の場所にあるとは限定されないことを理解されたい。したがって、通信チャネルの何れかの側又は各々の側が例えば動作デバイスを具備してもよく、当該動作デバイスは遠隔地にいるユーザからの例えば音声情報を含む入力した情報信号を少なくとも視覚化する。
【0032】
更にまた、遠隔地にいる何れのユーザも、相手の側にいるユーザの雰囲気及び/又は気持ちの視覚的な表示を当該動作デバイスを用いて受信できる。
【0033】
また、電話での通話の間、動作デバイスの動作又は姿勢が、遠隔地にいるユーザの雰囲気及び/又は気持ちに対応してもよい。これゆえ、通話当事者間で送られた全ての情報信号、したがって音声情報が制御ユニット13により分析され、例えば各々の通話当事者の場所にある動作デバイスによる動作へと変換され、これによって通話当事者への連続したフィードバックを提供する。
【0034】
制御ユニット13は通信チャネルの送信端又は受信端にある。当該ユニットが送信端にある場合、制御情報が第1のユーザの場所から第2のユーザの場所へと音声データの副情報として送られてもよい。
【0035】
代替の実施例では制御ユニット13は、制御メッセージの分析及び生成が通信インフラの一部であるセントラルサーバで実行されるよう通信オペレータにより提供されるサービスの一部である。
【0036】
一実施例では制御ユニットは、コンテンツの分析に基づいて当事者間に送られる情報信号を処理するよう構成される。当該コンテンツ分析は、例えば多くの普通に知られている会話アクティビティ検出(Speech Activity Detector)アルゴリズムのうちの一つである。
【0037】
一実施例では、入力された音声信号の会話アクティビティが制御ユニット13を用いて分析される。一実施例では制御ユニット13は、通話のコンテンツ分析を利用して相手方の通話当事者の雰囲気及び/又は考え方の変化を想定し、動作デバイスの動作及び/又は姿勢を、通話の進行の間、変化させるよう構成される。特に、通話中の感情の自動検出のための普通に知られたアルゴリズムが使用されてもよい。斯様なコンテンツ分析は、例えば会話の長い中断や、相手側の通話当事者の動作や、例えば「フーム」、「フム」、「ウーン」などの曖昧語、又は「素晴らしい」、「良い」等の積極的な単語の発生頻度に基づいている。
【0038】
これらの雰囲気を表す単語及び/又はフレーム設定された単語は、予め規定されたリスト中のキーワードを識別するものとして集積される。このように、対話の倦怠感、雰囲気、及び親密度を分析することが可能であり、これをフォンレットなどの送信/受信ユニット上に光のパターンで表示することが可能である。これは更に、電話が事務的な電話か又は感情的な電話かどうかを示すことができる。相手側の通話当事者若しくは複数の当事者の怒鳴り声又は囁きなどの音量及び音量の変化も、雰囲気若しくは考え方、又はこれらの変化を視覚化するために動作デバイスの動作又は姿勢に影響するファクタである。相手側の通話当事者若しくは複数の当事者の雰囲気若しくは考え方、又はこれらの変化を視覚化するために動作又は姿勢に影響する他のファクタは、相手側の通話当事者若しくは複数の当事者の動作又は不動作であり、相手側の通話当事者若しくは複数の当事者の動きである。
【0039】
別の実施例では、動作デバイス14の動作又は姿勢によって複数のユーザの存在が示されることができる。フォンレットなどの送信/受信ユニットに対して種々異なる距離をもつ複数のユーザがいる場合、例えば各送信/受信ユニットの場所にある動作デバイスの各々は、遠隔地にいるユーザに対する(こちら側にいる)ユーザの電話送信/受信ユニットの相対的な距離に従って特定の姿勢を呈することであろう。このように、遠隔地に2名の人がおり、1人がもう1人よりも送信/受信ユニットから更に離れている場合、2つの動作デバイスは異なる動作又は姿勢を呈するであろうし、最も遠くにあるフォンレットが、送信/受信ユニットから最も遠くの遠隔地にいるユーザを表示することであろう。遠隔地にいる両方の人が一緒に徐々に近づく場合、例えば一つの動作デバイス14のみが、ある姿勢へと徐々に大きく動かされる。相対的な距離は例えば少なくとも一つのマイクロフォンを利用して算出されることができる。
【0040】
制御ユニット中の会話アクティビティ検出(SAD)を利用することによって、動作デバイスの動作及び姿勢が、かけてきた電話のかけ手の現在の会話動作を表現するよう制御されてもよい。SAD情報のみを用いて、動作が、進行する会話及び会話の中断と同期できる。
【0041】
一実施例では、コンテンツ分析は会話動作のピッチを推定するアルゴリズムを有する。ピッチは、自然な話し手の場合しばしば頭の動きとも同期する最も重要な韻律法に適った合図のうちの一つである。普通に知られた利用可能なピッチ推定技術が複数ある。例えば、制御ユニットがピッチ曲線の上昇を検出した実施例では、当該ユニットは動作デバイスが上方に上昇する動きを実行するよう制御を行い、ピッチ曲線の減少を検出すると、結果としてうなずく態様で、動作デバイスが下方に下降する動きを実行する。
【0042】
一実施例では制御ユニットは、自動音声認識(ASR)及び自然言語通訳のためのソフトウェアを有する。この最も単純なケースでは、これは例えば図4及び図5に例示された態様で、見つけた単語を動作へと変換する予め規定された規則に含まれている単語を見つけることができる限定された語彙ASRシステムである。代替の実施例では制御ユニットは、ユーザにより議論された話題に関する高レベルの前後関係の情報を引き出すことができる、自然言語通訳と組み合わされたASR用のソフトウェアを有する。
【0043】
図2は、一実施例による動作デバイス14を例示する。当該動作デバイスはベース部21、中間部22、及び頂部23を有する。ベース部、中間部、及び頂部は、少なくとも一つのジョイント、例えばボール・ジョイント及びソケット・ジョイントをおそらくは含む可動スティック(図示せず)を組み込んでいる。当該可動スティックは、同スティックを動かすか又は姿勢を呈するための少なくとも一つのモータ(図示せず)に接続している。モータ又は可動スティックは、どのような適切な周知のモータ又は可動スティックでもよい。
【0044】
一実施例では中間部22は、普通に知られている学習用ランプ又はグースネック・ランプで使われているのと同様な柔軟に動く首として構成される。
【0045】
一実施例では、動作デバイスの外側は可撓性がある材料でできている。
【0046】
一実施例では動作デバイスは更に、動作デバイスが位置しているか又は取り付けられている表面に対する動作デバイスの一部の相対位置を検出するための、何らかの周知のセンサのような、少なくとも一つのセンサを有する。
【0047】
オプションで動作デバイスは、より詳細が以下で説明されるであろう発光ユニット15を有する。動作デバイスは、通話の間、ユーザの音声が相手方に送信され、同様にユーザが相手方の音声を聞くことができるよう、マイクロフォン及び/又はスピーカ(図示せず)を更に具備してもよい。
【0048】
図3a及び図3bは、異なるデザインの動作デバイスを例示している。例えば、対話が頻繁なやりとりと速い会話のリズムとを伴って非常にアクティブ且つダイナミックになった場合、動作デバイスは上方を向くように構成される。対話のペースが遅い場合はいつでも動作デバイスの本体が下を向き、電話が終わると頂部が下方を向く。
【0049】
図4a乃至図4hは、動作デバイスの、ベース部に対する並進動及び回転動を例示している。図4aは、動作デバイスの頂部が、通話の間、ユーザに注目するよう構成された動作デバイスを例示している。これは動作デバイスに対してユーザが位置している方向を検出することによって可能である。これは例えば、各々が会話の音量を記録する2つ以上のマイクロフォンを動作デバイス上に配置することにより実現されることができ、
制御ユニットは、記録された音量の相関を取り、動作デバイスを最も高い音量が検出された方向へと向きを動かすよう制御する。この態様で、デバイスが種々異なる高さに位置していたとしても、又は壁上に位置していてさえ、動作デバイスはユーザに追従することができ、差し向かいで会話する態様で彼/彼女を凝視する。
【0050】
図4c乃至図41は、検出された会話情報中にある種々異なる雰囲気又は気持ちに対する種々異なる動き及び対応する最終姿勢を例示している。更に図4c乃至図41は、より高い音量の会話をユーザに要求して、音量が低いときには前方へ傾き、又は(非常にダイナミックな議論などの場合)、非常にオープンな態度で話していることを示すために頭を上げて後方に傾けるなどのような直接的な合図を送るために、種々異なる動きがどのように人体の挙動を指し示すことができるかを例示している。
【0051】
図5a及び図5bは、一実施例による使用中の動作デバイス14を例示している。例えば対話のタイプによって、大きな声のアクティブな議論は動作デバイスを上方へ動かし後方へと傾けさせ、一方で、低い音量の会話で遅いやりとりを伴う親密な対話は、関心を示すために、動作デバイスを前方へと傾けさせる。
【0052】
一実施例では、動作デバイスのベース部は部屋の壁又は天井に載置するように構成される。
【0053】
一実施例では動作デバイスのベース部は、テーブルなど基本的に水平面に載置するように構成される。
【0054】
一実施例では動作デバイスのベース部は、どのような表面にも載置するように構成される。
【0055】
一実施例では動作デバイス14は更に、対応する発光ユニット15へと接続している。当該発光ユニットは、フォンレットが起動していることをユーザに見えるようにするために、又は、電話のかけ手、当事者、又はユーザの雰囲気若しくは気持ちに応じて種々異なる色又は光強度を視覚化するために、動作デバイスと類似した機能をもつ。幾つかの実施例では、発光ユニット15は動作デバイスと同じ能力をもつが、一方、動作又は姿勢は色及び/若しくは光強度で代わりに提供される。この態様で、音及び色付けされた光は、メッセージを送信する音声などの音、及び遠隔地にいる電話のかけ手の底意がある抽象的な表現として機能する色付けされた光とマッチする。この組合せは、ユーザ経験を豊かにすることが判明した。
【0056】
好ましくは、発光ユニット15は動作デバイス14上へ設けられており、使用中、ユーザは、動作デバイス14からの動作情報又は姿勢情報、及び発光ユニット15からの光情報の両方を受信する。
【0057】
当該情報信号のコンテンツ分析の結果に応じて、制御ユニットは、発光ユニットにより発される光の色及び/又は強度などの光特性を制御する。
【0058】
一実施例では、発光ユニット15は送信/受信ユニットの一体部分として提供されている。
【0059】
本発明の一実施例では、送信/受信ユニットがTVなどの日常的な物に一体化されてもよい。この態様で、ユーザが自分のTVの隣にいるか又は前にいる場合、当該TVのスイッチが入り、光だけではなくスクリーンを介して遠隔地にいる電話のかけ手の底意ある表現を提供する。他のタイプの送信/受信ユニットが、デジタルフォトフレーム、タブレットPC、冷蔵庫、ソファー等を含むグループから選択されてもよい。本願明細書で説明された通信システムは、Philips社のambiPhone、ambiPhone用の専用デバイス、Philips社のambilightTVのambiPhone、照明用から写真用又はビデオ用まで光強度が可変なデジタルフォトフレームのambiPhone、マジックミラー、ハイファイシステム、等を含むグループから選択されたデバイス若しくはデバイスの組合せと、少なくとも組み合わせるか又は一体化できる。
【0060】
制御ユニット13は、関連する作業を遂行するために通常使用するどのようなユニット、例えばメモリを備えたプロセッサなどのハードウェアでもよい。
【0061】
図6による実施例では、2人以上の通話当事者間で情報信号を送信且つ受信するためのアンビエント通信システム10を作動する方法60が提供されている。当該方法は、複数の送信器11及び対応する複数の受信器12のセットの中から送信器11及び対応する受信器12を選択するステップ61を含む。当該方法は更に、送信器11及び受信器12からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するステップ62を含む。更に本方法は、情報信号のコンテンツ分析の結果に基づいて特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイス14を起動させるステップ63を含む。
【0062】
一実施例では、複数の送信器11及び対応する複数の受信器12のセットの中から送信器11及び対応する受信器12を選択するステップが、ユーザに最も近い送信器11及び対応する受信器12を選択するステップを含む。
【0063】
一実施例では本方法は、複数の実施例によるアンビエント通信システムの何れかの機能を実行するステップを含む。
【0064】
図7による実施例では、コンピュータ可読媒体であって、コンピュータによって実行するためのコンピュータプログラムが当該媒体上に収録されたコンピュータ可読媒体70が提供されている。このコンピュータプログラムは、複数の送信器11及び対応する複数の受信器12のセットの中から送信器11及び対応する受信器12を選択するためのコード・セグメント71を有する。当該コンピュータプログラムは更に、送信器11及び受信器12からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するためのコード・セグメント72を有する。さらに当該コンピュータプログラムは、情報信号のコンテンツに基づいて特定の物理姿勢を呈するよう動作デバイス14を起動させるためのコード・セグメント73を有する。
【0065】
一実施例ではコンピュータ可読媒体は、コンピュータ処理する特性をもつ装置で実行する際に、幾つかの実施例で規定された方法ステップの全てを実施するよう構成されたコード・セグメントを有する。
【0066】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの何らかの組合せを含むどのような適切な形態にても実行されることができる。しかしながら、好ましくは本発明は一つ以上のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で動作するコンピュータソフトウェアとして実行される。本発明の実施例のエレメント及びコンポーネントは、何らかの適切な態様で物理的、機能的、及び論理的に実行されることができる。実際、機能は、単一のユニットで、複数のユニットで、又は他の複数の機能ユニットの一部として実行されることができる。このように、本発明は単一のユニットで実行されることができ、又は種々異なるユニットとプロセッサとの間に物理的且つ機能的に分散されることができる。
【0067】
本発明が特定の実施例を引用して上で説明されたものの、本発明は本願明細書に記載されている特定の形態に限定されることを意図してはいない。むしろ、本発明は添付の請求項によってのみ限定され、上で規定された以外の他の実施例が、これらの従属請求項の範囲で等しく考えられる。
【0068】
請求項において、用語「有する/有している」が他のエレメント又は他のステップの存在を排除することはない。更にまた、個別に記載されたにもかかわらず、複数の手段、複数のエレメント、又は複数の方法のステップが例えば単一のユニット又は単一のプロセッサにより実行されてもよい。これに加え、個別の特徴が異なる請求項に含まれているにもかかわらず、これらはおそらく都合よく組み合わされることができ、種々異なる複数の請求項に包含されていることが、特徴の組合せが実現可能でない及び/又は有利ではないと意味してはいない。加えて、単数の引用が複数を除外することはない。用語「a」、「an」、「第1の」、「第2の」等が複数を排除することはない。請求項中の引用符号は、単に例を明らかにするものとして提供されており、いかなる態様であれ請求項の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、周囲環境/雰囲気/気持ちも伝える(アンビエント)通信システムの分野、斯様なシステムを作動させる方法、及び当該方法を実行するためのコード・セグメントを有する計算機可読の媒体に関する。本発明はとりわけアンビエント通信システムに関し、当該システムは、二人以上の通話当事者間で例えば会話情報などの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するための送信器及び対応する受信器をもつ少なくとも一つの電話ユニットを有し、当該電話ユニットは更に、会話情報の、雰囲気などのコンテンツに応じて特定の態様で物理的に動作する動作デバイスを有する。
【背景技術】
【0002】
現行の通信媒体により伝達されるコミュニケーションが、十分なコミュニケーションのポテンシャルへと援助されることはない。個人的な関係の底意は感知されることができず、「差し向かい」の感じからはほど遠い。
【0003】
通話者の間の個人的な関係の底意は、重要な連絡、通話の習慣、及び両者の間の体験に関連して特に重要である。
【0004】
この点において周囲環境電話が開発されてきた。周囲環境電話は、電話の会話を家庭環境に混ぜ入れるというアイデアである。周囲環境電話システムは家の中にある複数の拡声器及び複数のマイクロフォンのセットから成り、これらはユーザが居る家のエリア内のみで当該ユーザが移動し、電話をかけるのを検出し、自由な移動を可能にして、「追いかけ」効果をユーザへ提供する。これは、製品を限定することなく又は物理的な場所の限界なしで、完全にハンドフリーな通話を可能にする。これは、単なる電話ではなく実際に訪問している感覚を誘起し、通信が介在しているとの認識を低下させることを意図している。
【0005】
周囲環境電話の成功及び最適な体験のために複数のファクタが重要である。これらのファクタの幾つかの例は、音響品質及び音響の空間的な分布、当該製品が家庭環境を混ぜ入れる程度、使いやすさ、及びユーザにより知覚される感じである。周囲環境電話に要望される感じの中に、社会的な存在感(臨場感)がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現行の周囲環境電話は、遠隔地にいる電話のかけ手の社会的な存在感のフィードバックが低いことが欠点である。周囲環境電話が提供する移動の自由度は、追いかけ効果についてのフィードバック及び電話がかけられている場所についてのフィードバックを提供することが特に重要になる。一緒に居るという実感を提供するために、遠隔地にいる相手が同じ場所に居るとの感覚をユーザに提供することが重要である。今日の周囲環境電話は、追いかけ効果のフィードバックが十分ではないとの欠点ももっている。より正確に言うと、ユーザは、電話が当該ユーザに追従しているかどうかよくわからない。更にまた周囲環境電話は、遠隔地にいる相手の表現が十分ではないとの欠点をもっている。周囲環境電話を使用する際、ユーザは遠隔地にいる電話のかけ手の特定の視覚的な合図と、特定の見ている場所とを見逃すかも知れない。
【0007】
このように、周囲環境電話の分野の中に、改善された追いかけ効果、及び遠隔地にいる電話のかけ手の考え得る雰囲気及び/又は感じ方を含む改善された表現を可能にする開発の必要性がある。
【0008】
したがって本発明は、上で認識した従来技術の欠陥及び欠点の一つ以上を単独で又は何らかの組合せで緩和、軽減、又は除去することを好ましくは探求し、添付の特許項による周囲環境通信システム、動作デバイス、当該システムの作動方法、及びコンピュータ可読媒体を提供することによって、少なくとも上述の課題を解決することを探求する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の着想は、電話の間にユーザの注意を相手に集中させるために、周囲環境電話システムをユーザに提供することである。
【0010】
本発明の着想は、少なくとも二人の通話当事者間で送られた会話情報を含む情報信号に応じて特定の物理的な姿勢を呈するよう構成されているか又は動作するよう構成された動作デバイスを有する周囲環境電話システムを提供することである。動作又は姿勢は、人間の特定の親密度を表す挙動及び直接的な挙動となるよう選択される。この態様で周囲環境電話は、遠隔地にいる電話のかけ手の底意がある抽象的な表現を再生することによって社会的な存在感(一緒に居る感覚)を提供し、動作デバイスは、電話の間にユーザが自身の注意を集中させることができる対象として機能する。
【0011】
したがって本発明の長所は、親密な合図及び直接的な合図が差し向かいでのコミュニケーションに似せて提供されるので、ユーザ体験をより豊かにすることである。更に、どのように対話が行われているかについてのフィードバックも提供する。
【0012】
本発明の重要な特徴は、動作デバイスを有する一つ以上のPhone-let(フォンレット)のセットによる動作及び姿勢であり、ユーザに、彼(女)の遠隔地にいる電話のかけ手を連想させる特定の姿勢で電話がかけられる。特定の動作及び姿勢特性は、電話のかけ手の底意がある特性を検出し且つ描写することによって、及び/又は動作パターンを介した対話によって、電話体験を更に豊かにする。この態様で、フォンレットは電話のかけ手の底意がある表現となり、両方の通話者が同じ部屋に居る感覚を提供し、ユーザが家の中を移動するときの動きのフィードバックを提供する。
【0013】
本発明の一態様によれば、周囲環境通信システムが提供される。当該周囲環境通信システムは、二人以上の通話当事者間の電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するための少なくとも一つの送信器及び対応する受信器を有する。更にまた周囲環境通信システムは、情報信号のコンテンツに基づいて動作を実行する、又は特定の物理的な姿勢を呈するよう構成されている少なくとも一つの動作デバイスを有する。
【0014】
本発明の別の態様によれば、二人以上の通話当事者の間の情報信号を送信且つ受信するための周囲環境通信システムを作動させる方法が提供される。当該方法は、送信器及び対応する受信器を複数の送信器及び対応する複数の受信器のセットの中から選択するステップを含む。更にまた当該方法は、送信器及び受信器からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するステップを含む。本方法は更に、情報信号のコンテンツの分析の結果に基づいて特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイスを起動させるステップを含む。
【0015】
更に別の態様では、コンピュータ可読媒体であって、コンピュータによって処理するためのコンピュータプログラムを当該媒体上に収録したコンピュータ可読媒体が提供される。当該コンピュータプログラムは、複数の送信器及び対応する複数の受信器のセットの中から送信器及び対応する受信器を選択するためのコード・セグメントを有する。更にコンピュータプログラムは、送信器及び受信器からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するためのコード・セグメントを有する。コンピュータプログラムは更に、情報信号のコンテンツに基づいて特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイスを起動させるためのコード・セグメントを有する。
【0016】
本発明が可能なこれらの及び他の態様、特徴、及び長所は、添付の図面を参照して成される本発明の実施例の以下の説明から明らかであり、且つ解明されることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例によるシステムの概観的な例示を示す。
【図2】実施例による動作デバイスを例示する。
【図3a】中間部が柔軟に動くことができる動作デバイスを例示する。
【図3b】中間部が関節構造になっている動作デバイスを例示する。
【図4a】動作デバイスの頂部が、通話の間、ユーザに注目するよう構成された動作デバイスの例を示す。
【図4b】頂部が下方に傾きつつある動作デバイスを示す。
【図4c】頂部と中間部とが前屈した状態から正立状態へと移動する動作デバイスを示す。
【図4d】頂部が下方を向いている動作デバイスを示す。
【図4e】頂部と中間部とがやや上方を向いたまま仰け反りつつある動作デバイスを示す。
【図4f】頂部が前方を向いたまま中間部が前進しつつある動作デバイスを示す。
【図4g】頂部が前方を向いたまま中間部が後退しつつある動作デバイスを示す。
【図4h】頂部が下方を向きつつある動作デバイスを示す。
【図4i】頂部が前方を向いたまま中間部が前進しつつある動作デバイスを示す。
【図4j】頂部が前方を向いたまま中間部が後退しつつある動作デバイスを示す。
【図4k】頂部のみが下方を向いている動作デバイスを示す。
【図4l】頂部のみが上方を向いている動作デバイスを示す。
【図5a】大きな声の積極的な議論で、動作デバイスが上方へ動き後方へと傾く様子を示す。
【図5b】低い音量の会話で遅いやりとりを伴う親密な対話で、動作デバイスが前方へと傾く様子を示す。
【図6】実施例による方法のフロー図を示す。
【図7】実施例によるコンピュータプログラムのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者が本発明を実施できるよう、本発明の複数の実施例が添付の図面を参照して以下で更に詳細に説明されることであろう。しかしながら本発明は多くの異なる形態で実施されることができ、本願明細書で説明されている実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。それよりむしろ、本開示は完全で且つ完結しており、当業者に対して本発明の範囲を十分に伝えるために、これらの実施例が提供されている。これらの実施例が本発明を限定することはなく、本発明は添付の特許項によってのみ限定される。更にまた、添付の図中に例示された具体例の詳細な説明で使われている用語は、本発明を限定することを意図してはいない。
【0019】
家の形態をした実験室の天井に組み込まれた周囲環境電話の基本的なセットアップを使った実験は、コードレス電話と比較して、社会的な存在感に対する周囲環境電話の肯定的な傾向を示した。相手方と交流する感覚、及びこの体験がどれくらい有意義であったかに関して、周囲環境電話はコードレス電話に対して著しく良好な結果(p<0.05)であった。特にハンドフリー性及びロケーションフリー性に関しては、周囲環境電話をコードレス電話よりも快適で便利であるとみなし、実験参加者達は非常に肯定的に周囲環境電話についてコメントした。何人かの参加者は、あたかも電話のかけ手が同じ部屋にいるかのように、対話者同士の交信がより間近であると感じたことについてコメントした。
【0020】
Philips社の研究施設において行われた周囲環境電話とコードレス電話とを比較する実験では、参加者達は天井のスピーカなどの音源に気付き、多くの場合、音源へ向かって親密な反応、例えばキスを送る、うなずく、凝視する等を ‐意識的に及び無意識に ‐ 示した。一方で、「天井に向かって話す」、「空虚である」、「不自然な」音の位置、見るものが何も無い、との否定的な意見があった。複数の作業をしている場合、これは不快である。
【0021】
後日行われた実験では、意味がある色を、呼び出しをした電話システムに点灯させた。これは、社会的な存在感の顕著な改善と、快適さ及び便利さについての全体的に良好なコメントとを伴う有望な結果を示した。ユーザは、通話の間に彼等の注意を集中させることに関して、追いかけ効果の改善されたフィードバックに関して、遠隔地にいる相手の存在感に関して、及び遠隔地にいる相手の改善された表現に関して、光の利点について明確なコメントをした。光が注意を惹き、通話の間及び関与する会話がないときに、光に注目するようユーザを引きつけたとユーザは意見を述べた。このように、通話当事者間の会話の感覚が改善され、沈黙の存在も可能にした。光が一旦点灯すると、通話当事者達は彼等が聞かれていることを知り、相手方が電話口に居ることを知る。
【0022】
本発明の発明者は、このように通話当事者間の視覚的な接続を提供することによって、電話体験が改善するであろう点を理解した。
【0023】
これに関し本発明の発明者は、二人以上の通話当事者間の例えば会話情報を有する電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するための周囲環境通信システム10を提供することによって、上で認識した実験の利益を抽出し編集した。周囲環境通信システム10は、複数の送信器11のセットと複数の受信器12のセットとを有する。これは、送信器11及び受信器12をフォンレットなどの送/受信ユニット内に一体化することにより実現されることができ、複数の斯様な送/受信ユニットのセットを有する通信システム10をもつことにより実現されることができる。送信器11は例えば拡声器であり、受信器12は例えばマイクロフォンである。複数の異なる限定空間で音声送信及び/又は音声受信ができるように、複数の異なる送信器11及び受信器12が、異なる部屋などの複数の限定空間に置かれることができる。本システム10は制御ユニット13を有する。当該制御ユニット13は、最も強い音声受信の場所にある送信器11及び受信器12が起動されるよう音声送信及び/又は音声受信を制御するアルゴリズムを有する。好ましくは当該アルゴリズムは、家庭用設備など他の形態の音よりも音声が優勢であるようにされる。このように本システムは、例えばユーザが居る住宅のエリア内でのみユーザが移動するのを検知し、電話をかける。これは、製品を限定することなく又は物理的な場所の限界なしで、自由な移動及び完全にハンドフリーな通話を可能にする。
【0024】
送信器11及び/又は受信器12の各々が、対応する動作デバイス14に接続される。当該動作デバイスは、受信器12及び/又は送信器11によって受信及び/又は送信される情報信号のコンテンツに応じて特定の態様で動作するよう構成されている。一実施例では当該動作デバイスは、送信器11が音声を送信するときに動作デバイス14の物理的な動作が起動されるよう、対応する送信器11と同じユニットに一体化されている。このように、動作デバイス14が上記に従って送信/受信ユニットに一体化される。制御ユニット13は、起動中の送信器11に対応して動作デバイス14の物理的な動作を起動させるアルゴリズムを有するよう構成される。この態様で、音が受信され及び/又は送信されるのと同じ場所から動作が実行される。この態様で、ユーザは動作デバイスの動作から、どの送信器11及び/又は受信器12が起動しているかを知るので、通話中に注意を集中するという目標が達成され、同時に追いかけ効果を改善する。
【0025】
一実施例では、情報信号は、通話している当事者間の電話の会話の音から生じる音声情報を有する。しかしながら当該情報信号は、動作デバイスが電話のかけ手の識別情報に応じた姿勢を呈するよう、電話番号表示と同様、電話の相手の識別情報も有することができる。
【0026】
別の実施例では情報信号は、例えば通信チャネルの何れかの側にあるカメラを使用して得られたビデオ情報を有する。これゆえ、送信/受信ユニットがカメラに接続された場合、遠隔地側のユーザの例えば表情又はボディ・ランゲージを視覚化するために、制御ユニットはビデオ情報を処理し、これにしたがって動作デバイスを起動させる。制御ユニットは、普通に知られている顔の検出技術又はボディ・ランゲージ識別技術を使用してビデオ情報を処理してもよい。
【0027】
更にまた、動作デバイス14の動作又は姿勢を介して、ユーザは、通話の間の相手の雰囲気の視覚的な表示、及び/又は彼自身/彼女自身の動きの表示を受信する。
【0028】
一実施例では、動作デバイス14の動作がユーザによってプリセットされてもよい。動作デバイスの異なる姿勢はそれぞれ、遠隔地にいる電話のかけ手がユーザに対してもっている底意に対応している。
【0029】
例えば、ユーザが複数のフォンレットの複数の異なる検知領域の間を移動する際に、電話をかけている第1のフォンレットの第1の動作デバイス14の物理的な姿勢が維持され、第2のフォンレットに接続された第2の動作デバイス14へと伝達されることだろう。動作デバイス14の姿勢が姿勢による着信音として使われる場合、動作デバイスの物理的な姿勢は、ユーザが遠隔地にいる相手を通話の前に認識することも可能にし、通話の間及び会話が途切れた場合、音声及び映像をマッチングさせることによって相手が電話口に居る感じを強めることができる。電話会議モードなど複数の電話のかけ手が通話をする場合、異なる電話のかけ手が話すときに、異なる姿勢によって視覚化されてもよい。
【0030】
電話のかけ手がもっている雰囲気及び/又は気持ちを、特定の態様の動き又は特定の姿勢に到達する動きへと変換するよう動作デバイス14を構成することも可能である。例えば電話のかけ手は彼/彼女の通信システムで、彼/彼女が幸福である、悲しい、又は怒っていることを示してもよく、これらは動作デバイス14をそれぞれ異なる位置へ動かすことによって視覚化されることができる。このように、電話のかけ手の雰囲気又は気持ちが、電話を受けるユーザに対して視覚化されることができる。
【0031】
動作デバイス14が、遠隔地にいる電話のかけ手の場所にあるとは限定されないことを理解されたい。したがって、通信チャネルの何れかの側又は各々の側が例えば動作デバイスを具備してもよく、当該動作デバイスは遠隔地にいるユーザからの例えば音声情報を含む入力した情報信号を少なくとも視覚化する。
【0032】
更にまた、遠隔地にいる何れのユーザも、相手の側にいるユーザの雰囲気及び/又は気持ちの視覚的な表示を当該動作デバイスを用いて受信できる。
【0033】
また、電話での通話の間、動作デバイスの動作又は姿勢が、遠隔地にいるユーザの雰囲気及び/又は気持ちに対応してもよい。これゆえ、通話当事者間で送られた全ての情報信号、したがって音声情報が制御ユニット13により分析され、例えば各々の通話当事者の場所にある動作デバイスによる動作へと変換され、これによって通話当事者への連続したフィードバックを提供する。
【0034】
制御ユニット13は通信チャネルの送信端又は受信端にある。当該ユニットが送信端にある場合、制御情報が第1のユーザの場所から第2のユーザの場所へと音声データの副情報として送られてもよい。
【0035】
代替の実施例では制御ユニット13は、制御メッセージの分析及び生成が通信インフラの一部であるセントラルサーバで実行されるよう通信オペレータにより提供されるサービスの一部である。
【0036】
一実施例では制御ユニットは、コンテンツの分析に基づいて当事者間に送られる情報信号を処理するよう構成される。当該コンテンツ分析は、例えば多くの普通に知られている会話アクティビティ検出(Speech Activity Detector)アルゴリズムのうちの一つである。
【0037】
一実施例では、入力された音声信号の会話アクティビティが制御ユニット13を用いて分析される。一実施例では制御ユニット13は、通話のコンテンツ分析を利用して相手方の通話当事者の雰囲気及び/又は考え方の変化を想定し、動作デバイスの動作及び/又は姿勢を、通話の進行の間、変化させるよう構成される。特に、通話中の感情の自動検出のための普通に知られたアルゴリズムが使用されてもよい。斯様なコンテンツ分析は、例えば会話の長い中断や、相手側の通話当事者の動作や、例えば「フーム」、「フム」、「ウーン」などの曖昧語、又は「素晴らしい」、「良い」等の積極的な単語の発生頻度に基づいている。
【0038】
これらの雰囲気を表す単語及び/又はフレーム設定された単語は、予め規定されたリスト中のキーワードを識別するものとして集積される。このように、対話の倦怠感、雰囲気、及び親密度を分析することが可能であり、これをフォンレットなどの送信/受信ユニット上に光のパターンで表示することが可能である。これは更に、電話が事務的な電話か又は感情的な電話かどうかを示すことができる。相手側の通話当事者若しくは複数の当事者の怒鳴り声又は囁きなどの音量及び音量の変化も、雰囲気若しくは考え方、又はこれらの変化を視覚化するために動作デバイスの動作又は姿勢に影響するファクタである。相手側の通話当事者若しくは複数の当事者の雰囲気若しくは考え方、又はこれらの変化を視覚化するために動作又は姿勢に影響する他のファクタは、相手側の通話当事者若しくは複数の当事者の動作又は不動作であり、相手側の通話当事者若しくは複数の当事者の動きである。
【0039】
別の実施例では、動作デバイス14の動作又は姿勢によって複数のユーザの存在が示されることができる。フォンレットなどの送信/受信ユニットに対して種々異なる距離をもつ複数のユーザがいる場合、例えば各送信/受信ユニットの場所にある動作デバイスの各々は、遠隔地にいるユーザに対する(こちら側にいる)ユーザの電話送信/受信ユニットの相対的な距離に従って特定の姿勢を呈することであろう。このように、遠隔地に2名の人がおり、1人がもう1人よりも送信/受信ユニットから更に離れている場合、2つの動作デバイスは異なる動作又は姿勢を呈するであろうし、最も遠くにあるフォンレットが、送信/受信ユニットから最も遠くの遠隔地にいるユーザを表示することであろう。遠隔地にいる両方の人が一緒に徐々に近づく場合、例えば一つの動作デバイス14のみが、ある姿勢へと徐々に大きく動かされる。相対的な距離は例えば少なくとも一つのマイクロフォンを利用して算出されることができる。
【0040】
制御ユニット中の会話アクティビティ検出(SAD)を利用することによって、動作デバイスの動作及び姿勢が、かけてきた電話のかけ手の現在の会話動作を表現するよう制御されてもよい。SAD情報のみを用いて、動作が、進行する会話及び会話の中断と同期できる。
【0041】
一実施例では、コンテンツ分析は会話動作のピッチを推定するアルゴリズムを有する。ピッチは、自然な話し手の場合しばしば頭の動きとも同期する最も重要な韻律法に適った合図のうちの一つである。普通に知られた利用可能なピッチ推定技術が複数ある。例えば、制御ユニットがピッチ曲線の上昇を検出した実施例では、当該ユニットは動作デバイスが上方に上昇する動きを実行するよう制御を行い、ピッチ曲線の減少を検出すると、結果としてうなずく態様で、動作デバイスが下方に下降する動きを実行する。
【0042】
一実施例では制御ユニットは、自動音声認識(ASR)及び自然言語通訳のためのソフトウェアを有する。この最も単純なケースでは、これは例えば図4及び図5に例示された態様で、見つけた単語を動作へと変換する予め規定された規則に含まれている単語を見つけることができる限定された語彙ASRシステムである。代替の実施例では制御ユニットは、ユーザにより議論された話題に関する高レベルの前後関係の情報を引き出すことができる、自然言語通訳と組み合わされたASR用のソフトウェアを有する。
【0043】
図2は、一実施例による動作デバイス14を例示する。当該動作デバイスはベース部21、中間部22、及び頂部23を有する。ベース部、中間部、及び頂部は、少なくとも一つのジョイント、例えばボール・ジョイント及びソケット・ジョイントをおそらくは含む可動スティック(図示せず)を組み込んでいる。当該可動スティックは、同スティックを動かすか又は姿勢を呈するための少なくとも一つのモータ(図示せず)に接続している。モータ又は可動スティックは、どのような適切な周知のモータ又は可動スティックでもよい。
【0044】
一実施例では中間部22は、普通に知られている学習用ランプ又はグースネック・ランプで使われているのと同様な柔軟に動く首として構成される。
【0045】
一実施例では、動作デバイスの外側は可撓性がある材料でできている。
【0046】
一実施例では動作デバイスは更に、動作デバイスが位置しているか又は取り付けられている表面に対する動作デバイスの一部の相対位置を検出するための、何らかの周知のセンサのような、少なくとも一つのセンサを有する。
【0047】
オプションで動作デバイスは、より詳細が以下で説明されるであろう発光ユニット15を有する。動作デバイスは、通話の間、ユーザの音声が相手方に送信され、同様にユーザが相手方の音声を聞くことができるよう、マイクロフォン及び/又はスピーカ(図示せず)を更に具備してもよい。
【0048】
図3a及び図3bは、異なるデザインの動作デバイスを例示している。例えば、対話が頻繁なやりとりと速い会話のリズムとを伴って非常にアクティブ且つダイナミックになった場合、動作デバイスは上方を向くように構成される。対話のペースが遅い場合はいつでも動作デバイスの本体が下を向き、電話が終わると頂部が下方を向く。
【0049】
図4a乃至図4hは、動作デバイスの、ベース部に対する並進動及び回転動を例示している。図4aは、動作デバイスの頂部が、通話の間、ユーザに注目するよう構成された動作デバイスを例示している。これは動作デバイスに対してユーザが位置している方向を検出することによって可能である。これは例えば、各々が会話の音量を記録する2つ以上のマイクロフォンを動作デバイス上に配置することにより実現されることができ、
制御ユニットは、記録された音量の相関を取り、動作デバイスを最も高い音量が検出された方向へと向きを動かすよう制御する。この態様で、デバイスが種々異なる高さに位置していたとしても、又は壁上に位置していてさえ、動作デバイスはユーザに追従することができ、差し向かいで会話する態様で彼/彼女を凝視する。
【0050】
図4c乃至図41は、検出された会話情報中にある種々異なる雰囲気又は気持ちに対する種々異なる動き及び対応する最終姿勢を例示している。更に図4c乃至図41は、より高い音量の会話をユーザに要求して、音量が低いときには前方へ傾き、又は(非常にダイナミックな議論などの場合)、非常にオープンな態度で話していることを示すために頭を上げて後方に傾けるなどのような直接的な合図を送るために、種々異なる動きがどのように人体の挙動を指し示すことができるかを例示している。
【0051】
図5a及び図5bは、一実施例による使用中の動作デバイス14を例示している。例えば対話のタイプによって、大きな声のアクティブな議論は動作デバイスを上方へ動かし後方へと傾けさせ、一方で、低い音量の会話で遅いやりとりを伴う親密な対話は、関心を示すために、動作デバイスを前方へと傾けさせる。
【0052】
一実施例では、動作デバイスのベース部は部屋の壁又は天井に載置するように構成される。
【0053】
一実施例では動作デバイスのベース部は、テーブルなど基本的に水平面に載置するように構成される。
【0054】
一実施例では動作デバイスのベース部は、どのような表面にも載置するように構成される。
【0055】
一実施例では動作デバイス14は更に、対応する発光ユニット15へと接続している。当該発光ユニットは、フォンレットが起動していることをユーザに見えるようにするために、又は、電話のかけ手、当事者、又はユーザの雰囲気若しくは気持ちに応じて種々異なる色又は光強度を視覚化するために、動作デバイスと類似した機能をもつ。幾つかの実施例では、発光ユニット15は動作デバイスと同じ能力をもつが、一方、動作又は姿勢は色及び/若しくは光強度で代わりに提供される。この態様で、音及び色付けされた光は、メッセージを送信する音声などの音、及び遠隔地にいる電話のかけ手の底意がある抽象的な表現として機能する色付けされた光とマッチする。この組合せは、ユーザ経験を豊かにすることが判明した。
【0056】
好ましくは、発光ユニット15は動作デバイス14上へ設けられており、使用中、ユーザは、動作デバイス14からの動作情報又は姿勢情報、及び発光ユニット15からの光情報の両方を受信する。
【0057】
当該情報信号のコンテンツ分析の結果に応じて、制御ユニットは、発光ユニットにより発される光の色及び/又は強度などの光特性を制御する。
【0058】
一実施例では、発光ユニット15は送信/受信ユニットの一体部分として提供されている。
【0059】
本発明の一実施例では、送信/受信ユニットがTVなどの日常的な物に一体化されてもよい。この態様で、ユーザが自分のTVの隣にいるか又は前にいる場合、当該TVのスイッチが入り、光だけではなくスクリーンを介して遠隔地にいる電話のかけ手の底意ある表現を提供する。他のタイプの送信/受信ユニットが、デジタルフォトフレーム、タブレットPC、冷蔵庫、ソファー等を含むグループから選択されてもよい。本願明細書で説明された通信システムは、Philips社のambiPhone、ambiPhone用の専用デバイス、Philips社のambilightTVのambiPhone、照明用から写真用又はビデオ用まで光強度が可変なデジタルフォトフレームのambiPhone、マジックミラー、ハイファイシステム、等を含むグループから選択されたデバイス若しくはデバイスの組合せと、少なくとも組み合わせるか又は一体化できる。
【0060】
制御ユニット13は、関連する作業を遂行するために通常使用するどのようなユニット、例えばメモリを備えたプロセッサなどのハードウェアでもよい。
【0061】
図6による実施例では、2人以上の通話当事者間で情報信号を送信且つ受信するためのアンビエント通信システム10を作動する方法60が提供されている。当該方法は、複数の送信器11及び対応する複数の受信器12のセットの中から送信器11及び対応する受信器12を選択するステップ61を含む。当該方法は更に、送信器11及び受信器12からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するステップ62を含む。更に本方法は、情報信号のコンテンツ分析の結果に基づいて特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイス14を起動させるステップ63を含む。
【0062】
一実施例では、複数の送信器11及び対応する複数の受信器12のセットの中から送信器11及び対応する受信器12を選択するステップが、ユーザに最も近い送信器11及び対応する受信器12を選択するステップを含む。
【0063】
一実施例では本方法は、複数の実施例によるアンビエント通信システムの何れかの機能を実行するステップを含む。
【0064】
図7による実施例では、コンピュータ可読媒体であって、コンピュータによって実行するためのコンピュータプログラムが当該媒体上に収録されたコンピュータ可読媒体70が提供されている。このコンピュータプログラムは、複数の送信器11及び対応する複数の受信器12のセットの中から送信器11及び対応する受信器12を選択するためのコード・セグメント71を有する。当該コンピュータプログラムは更に、送信器11及び受信器12からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するためのコード・セグメント72を有する。さらに当該コンピュータプログラムは、情報信号のコンテンツに基づいて特定の物理姿勢を呈するよう動作デバイス14を起動させるためのコード・セグメント73を有する。
【0065】
一実施例ではコンピュータ可読媒体は、コンピュータ処理する特性をもつ装置で実行する際に、幾つかの実施例で規定された方法ステップの全てを実施するよう構成されたコード・セグメントを有する。
【0066】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの何らかの組合せを含むどのような適切な形態にても実行されることができる。しかしながら、好ましくは本発明は一つ以上のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で動作するコンピュータソフトウェアとして実行される。本発明の実施例のエレメント及びコンポーネントは、何らかの適切な態様で物理的、機能的、及び論理的に実行されることができる。実際、機能は、単一のユニットで、複数のユニットで、又は他の複数の機能ユニットの一部として実行されることができる。このように、本発明は単一のユニットで実行されることができ、又は種々異なるユニットとプロセッサとの間に物理的且つ機能的に分散されることができる。
【0067】
本発明が特定の実施例を引用して上で説明されたものの、本発明は本願明細書に記載されている特定の形態に限定されることを意図してはいない。むしろ、本発明は添付の請求項によってのみ限定され、上で規定された以外の他の実施例が、これらの従属請求項の範囲で等しく考えられる。
【0068】
請求項において、用語「有する/有している」が他のエレメント又は他のステップの存在を排除することはない。更にまた、個別に記載されたにもかかわらず、複数の手段、複数のエレメント、又は複数の方法のステップが例えば単一のユニット又は単一のプロセッサにより実行されてもよい。これに加え、個別の特徴が異なる請求項に含まれているにもかかわらず、これらはおそらく都合よく組み合わされることができ、種々異なる複数の請求項に包含されていることが、特徴の組合せが実現可能でない及び/又は有利ではないと意味してはいない。加えて、単数の引用が複数を除外することはない。用語「a」、「an」、「第1の」、「第2の」等が複数を排除することはない。請求項中の引用符号は、単に例を明らかにするものとして提供されており、いかなる態様であれ請求項の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二人以上の通信当事者間の電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送受信するための少なくとも一つの送信器及び対応する受信器と、
当該情報信号のコンテンツに基づいて、動作を実行し、又は特定の物理的な姿勢を呈する少なくとも一つの動作デバイスと、を有する、アンビエント通信システム。
【請求項2】
前記情報信号のコンテンツ分析を実行し、
当該コンテンツ分析の結果に基づいて動作を実行し、特定の物理的な姿勢を呈するよう前記動作デバイスを起動する制御ユニットを更に有する、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項3】
対応する前記送信器又は前記受信器が起動モードにある場合、前記動作デバイスが動作を実行するか、又は特定の物理的な姿勢を呈することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアンビエント通信システム。
【請求項4】
前記送信器、前記受信器、及び前記動作デバイスが、送受信ユニット内に一体化されていることを特徴とする、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項5】
起動した前記送信器に対応して前記動作ユニットの動作を起動させる前記制御ユニットを更に有する、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項6】
前記動作デバイスが、動作スティックと当該動作スティックを動かすためのモータとを有することを特徴とする、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項7】
前記送信器が拡声器であり、前記受信器がマイクロフォンであることを特徴とする、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項8】
前記動作デバイスの特定の姿勢が、遠隔地にいる特定の発信者に応じてプリセットされていることを特徴とする、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項9】
前記情報信号は音声情報を含み、当該情報信号に実施された前記コンテンツ分析が、
−前記ユーザ又は他の通話当事者若しくは他の複数の通話当事者の雰囲気及び/又は気持ちか、
−前記遠隔地にいる発信者の識別情報か、
−前記音声情報の音量の検出に基づいた、前記送信器、前記受信器、又は前記動作デバイスから他の通信当事者への距離か、
−前記通信当事者の音声の音量の変化か、
−前記通信当事者の動作又は不動作か、
−他の通信当事者の物理的な動きか、
−対話の長い中断か、
−他の通信当事者の前記通話当事者の行動か、
−曖昧語の発生か、又は
−積極的若しくは消極的な単語の発生か、
を検出することを特徴とする、請求項2に記載のアンビエント通信システム。
【請求項10】
前記情報信号の前記コンテンツに基づいて特定の光特性をもつ光を発する発光ユニットを更に有する、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項11】
二人以上の通信当事者間の電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するための送信器及び対応する受信器を有する動作デバイスであって、前記情報信号のコンテンツ分析の結果に基づいて動作を実行するか、又は姿勢を呈する、動作デバイス。
【請求項12】
前記情報信号の前記コンテンツ分析に基づいて特定の光特性をもつ光を発する発光ユニットを更に有する、請求項11に記載の動作デバイス。
【請求項13】
二人以上の通信当事者間の情報信号を送受信するためのアンビエント通信システムを作動させる方法であって、
−複数の送信器及び対応する複数の受信器のセットの中から、送信器及び対応する受信器を選択するステップと、
−電子的又はデジタル的に符号化された前記情報信号を前記送信器及び前記受信器との間で送受信するステップと、
−前記情報信号のコンテンツ分析の結果に基づいて、特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイスを起動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
複数の前記送信器及び対応する複数の前記受信器のセットの中から送信器及び対応する受信器を選択するステップが、前記ユーザに最も近い送信器及び対応する受信器を選択するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータによって処理するためのコンピュータプログラムが媒体上に記録されたコンピュータ可読媒体であって、当該コンピュータプログラムは、
−複数の送信器及び対応する複数の受信器のセットの中から送信器及び対応する受信器を選択するためのコード・セグメントと、
−前記送信器及び前記受信器からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送受信するためのコード・セグメントと、
−前記情報信号のコンテンツに基づいて特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイスを起動させるためのコード・セグメントと、
を有する、コンピュータ可読媒体。
【請求項1】
二人以上の通信当事者間の電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送受信するための少なくとも一つの送信器及び対応する受信器と、
当該情報信号のコンテンツに基づいて、動作を実行し、又は特定の物理的な姿勢を呈する少なくとも一つの動作デバイスと、を有する、アンビエント通信システム。
【請求項2】
前記情報信号のコンテンツ分析を実行し、
当該コンテンツ分析の結果に基づいて動作を実行し、特定の物理的な姿勢を呈するよう前記動作デバイスを起動する制御ユニットを更に有する、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項3】
対応する前記送信器又は前記受信器が起動モードにある場合、前記動作デバイスが動作を実行するか、又は特定の物理的な姿勢を呈することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアンビエント通信システム。
【請求項4】
前記送信器、前記受信器、及び前記動作デバイスが、送受信ユニット内に一体化されていることを特徴とする、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項5】
起動した前記送信器に対応して前記動作ユニットの動作を起動させる前記制御ユニットを更に有する、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項6】
前記動作デバイスが、動作スティックと当該動作スティックを動かすためのモータとを有することを特徴とする、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項7】
前記送信器が拡声器であり、前記受信器がマイクロフォンであることを特徴とする、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項8】
前記動作デバイスの特定の姿勢が、遠隔地にいる特定の発信者に応じてプリセットされていることを特徴とする、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項9】
前記情報信号は音声情報を含み、当該情報信号に実施された前記コンテンツ分析が、
−前記ユーザ又は他の通話当事者若しくは他の複数の通話当事者の雰囲気及び/又は気持ちか、
−前記遠隔地にいる発信者の識別情報か、
−前記音声情報の音量の検出に基づいた、前記送信器、前記受信器、又は前記動作デバイスから他の通信当事者への距離か、
−前記通信当事者の音声の音量の変化か、
−前記通信当事者の動作又は不動作か、
−他の通信当事者の物理的な動きか、
−対話の長い中断か、
−他の通信当事者の前記通話当事者の行動か、
−曖昧語の発生か、又は
−積極的若しくは消極的な単語の発生か、
を検出することを特徴とする、請求項2に記載のアンビエント通信システム。
【請求項10】
前記情報信号の前記コンテンツに基づいて特定の光特性をもつ光を発する発光ユニットを更に有する、請求項1に記載のアンビエント通信システム。
【請求項11】
二人以上の通信当事者間の電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送信且つ受信するための送信器及び対応する受信器を有する動作デバイスであって、前記情報信号のコンテンツ分析の結果に基づいて動作を実行するか、又は姿勢を呈する、動作デバイス。
【請求項12】
前記情報信号の前記コンテンツ分析に基づいて特定の光特性をもつ光を発する発光ユニットを更に有する、請求項11に記載の動作デバイス。
【請求項13】
二人以上の通信当事者間の情報信号を送受信するためのアンビエント通信システムを作動させる方法であって、
−複数の送信器及び対応する複数の受信器のセットの中から、送信器及び対応する受信器を選択するステップと、
−電子的又はデジタル的に符号化された前記情報信号を前記送信器及び前記受信器との間で送受信するステップと、
−前記情報信号のコンテンツ分析の結果に基づいて、特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイスを起動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
複数の前記送信器及び対応する複数の前記受信器のセットの中から送信器及び対応する受信器を選択するステップが、前記ユーザに最も近い送信器及び対応する受信器を選択するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータによって処理するためのコンピュータプログラムが媒体上に記録されたコンピュータ可読媒体であって、当該コンピュータプログラムは、
−複数の送信器及び対応する複数の受信器のセットの中から送信器及び対応する受信器を選択するためのコード・セグメントと、
−前記送信器及び前記受信器からの電子的又はデジタル的に符号化された情報信号を送受信するためのコード・セグメントと、
−前記情報信号のコンテンツに基づいて特定の物理的な姿勢を呈するよう動作デバイスを起動させるためのコード・セグメントと、
を有する、コンピュータ可読媒体。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図4g】
【図4h】
【図4i】
【図4j】
【図4k】
【図4l】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図4g】
【図4h】
【図4i】
【図4j】
【図4k】
【図4l】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2012−524445(P2012−524445A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505272(P2012−505272)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051571
【国際公開番号】WO2010/119393
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051571
【国際公開番号】WO2010/119393
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]