説明

イオン成分除去装置、及びイオン成分除去方法

【課題】高温の処理液中の陽イオン及び陰イオンを、処理液中に新たな不純物を生成することなく効率的に除去する。
【解決手段】一般式HNb17・aHO(1)または一般式HNbO・bHO(2)(式中、aは0≦a、bは0≦bを満たす数である)で表される陽イオン交換体を含む装置11と、一般式L2+3+(OH2X+3Y・cHO(3)(式中、L2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価金属カチオンであり、M3+は、Fe3+、Al3+及びMn3+から選ばれる少なくとも一種の3価金属カチオンであり、X及びYは、0<X,0<Y,X+Y=8を満たす数であり、cは0≦cを満たす数である)で表される陰イオン交換体を含む装置12とを具え、接続ラインを介して直列に接続し、イオン成分除去装置10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン成分除去装置、及びイオン成分除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般産業の廃液中や、原子力発電プラントまたは火力発電プラントの炉水中に不純物として存在するイオンを分離回収する技術としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換システムが知られている。
【0003】
しかしながら、イオン交換樹脂を用いたイオン交換システムは、被処理液が高温になるとイオン交換樹脂の交換基が外れ、イオン交換性能が大幅に低下するため、高温条件で使用できない。このため、イオン交換樹脂を用いたイオン交換システムを用いて被処理液を処理する場合は、イオン交換システムに導入する前に被処理液を冷却する必要があり、被処理液の冷却や再加熱に多量のエネルギーが必要になる。
【0004】
そこで、高温のまま被処理液中に不純物として存在する陽イオンを分離回収する技術が提案されている。たとえば、特許第4418884号(特許文献1)には、ニオブ酸カリウムをイオン交換体としたイオン成分除去システムが記載されている。このイオン成分除去システムによれば、200℃程度の高温水中に含まれるコバルトイオンの除去が可能であるため、被処理液の冷却や再加熱に多量のエネルギーを必要としない。
【0005】
また、特許文献1のイオン成分除去システム以外の、被処理液中に不純物として存在する陰イオンを分離回収する技術として、モノサルフェート(3CaO・Al・CaSO・12HO)、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)、ハイドロタルサイト(Mg・Al(OH)16・CO・nHO, n:自然数)等のイオン交換体を用いることが知られている。これらのイオン交換体によれば、硫酸イオンや炭酸イオンが交換体となり、被処理液中の陰イオンを吸着することができる。
【0006】
さらに、特許第4337411号(特許文献2)には、マグネシウム、亜鉛、ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上とアルミニウムとで生成するハイドロタルサイト焼成物をケイ素、チタン、ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の金属酸化物で被覆した無機陰イオン交換体が記載されている。この無機陰イオン交換体によれば、吸湿性が少なく且つ陰イオン交換性能に優れる。
【0007】
しかしながら、特許文献1のイオン交換体で除去可能なイオンはコバルトイオン等の陽イオンのみであり、陰イオンを除去することはできない。しかも、特許文献1のイオン交換体を用いると、高温水中で使用するとイオン交換体に含まれるカリウムが処理済液に流出し、カリウムが新たな不純物となるおそれがある。
【0008】
また、特許文献2に記載された無機陰イオン交換体等のイオン交換体を用いても、除去可能なイオンは塩化物イオン等の陰イオンのみであり、陽イオンを除去することはできない。しかも、特許文献2に記載された無機陰イオン交換体等のイオン交換体を用いる場合は、高温水中でイオン交換体から硫酸イオンや炭酸イオン、金属や有機物等が流出し、処理済液の新たな不純物となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4418884号公報
【特許文献2】特許第4337411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高温の処理液中の陽イオン及び陰イオンを、処理液中に新たな不純物を生成することなく効率的に除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、一般式
[化1]
Nb17・aHO (1)
(式中、aは0≦aを満たす数である)
または一般式
[化2]
HNbO・bHO (2)
(式中、bは0≦bを満たす数である)
で表される陽イオン交換体を含む陽イオン交換装置と、
一般式
[化3]
2+3+(OH2X+3Y・cHO (3)
(式中、L2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価金属カチオンであり、M3+は、Fe3+、Al3+及びMn3+から選ばれる少なくとも一種の3価金属カチオンであり、X及びYは、0<X,0<Y,X+Y=8を満たす数であり、cは0≦cを満たす数である)
で表される陰イオン交換体を含む陰イオン交換装置とを具え、前記陽イオン交換装置と前記陰イオン交換装置とが、接続ラインを介して直列に接続されてなることを特徴とする、イオン成分除去装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高温の処理液中の陽イオン及び陰イオンを、処理液中に新たな不純物を生成することなく効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態におけるイオン成分除去装置の概略構成図である。
【図2】第2の実施形態におけるイオン成分除去装置の概略構成図である。
【図3】第3の実施形態におけるイオン成分除去装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のイオン成分除去装置の概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のイオン成分除去装置10は、陽イオン交換体11Aが所定の容器内に充填された陽イオン交換装置11と、陰イオン交換体12Aが所定の容器に充填された陰イオン交換装置12とを有している。なお、陽イオン交換装置11及び陰イオン交換装置12とは接続ライン16によって直列に接続されている。また、陽イオン交換装置11の外面には陽イオン交換体用ヒータ13が設けられ、陰イオン交換装置12の外面には陰イオン交換用ヒータ14が設けられている。
【0017】
陽イオン交換体11Aは、一般式
[化4]
Nb17・aHO (1)
(式中、aは0≦aを満たす数である)
または一般式
[化5]
HNbO・bHO (2)
(式中、bは0≦bを満たす数である)
で表される組成物からなる。
【0018】
これらの組成物からなる陽イオン交換体11Aは、高温耐性に優れるため、以下に説明する高温の処理水を通水してイオン交換による陽イオンの吸着及び除去を行う場合においても、組成物中の物質が被処理水中に流出してしまうことがなく、被処理水中に新たな不純物を生成することがない。
【0019】
逆に上記組成物からなる陽イオン交換体11Aによるイオン交換反応は、350℃以下、好ましくは200℃〜350℃、さらに好ましくは250℃〜350℃の温度範囲において最も効果を発揮する。
【0020】
なお、一般式(1)におけるaは、0≦aを満たす数であることが必要であるが、好ましくは0≦a≦5、さらに好ましくはa=0である。この場合、一般式(1)で表される陽イオン交換体11Aのイオン交換能が向上する。
【0021】
また、一般式(2)におけるbは、0≦bを満たす数であることが必要であるが、好ましくは0≦b≦5、さらに好ましくはb=0である。この場合、一般式(2)で表される陽イオン交換体11Aのイオン交換能が向上する。
【0022】
0≦a≦5、さらにはa=0なる要件、また、0≦b≦5、さらにはb=0なる要件は、陽イオン交換体11Aを上述のような温度範囲に設定することによって自ずから満たされる場合が多い。すなわち、陽イオン交換体11Aを上述した温度範囲で使用することにより、一般式(1)及び一般式(2)に表される組成物中の結晶水部分が減少あるいは除去され、陽イオン交換体11Aは、それぞれ一般式HNb17及びHNbOで表される組成物に近似あるいは同一となるため、陽イオン交換体11Aのイオン交換能が向上すると考えることができる。
【0023】
陰イオン交換体12Aは、一般式
[化6]
2+3+(OH2X+3Y・cHO (3)
(式中、L2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価金属カチオンであり、M3+は、Fe3+、Al3+及びMn3+から選ばれる少なくとも一種の3価金属カチオンであり、X及びYは、0<X,0<Y,X+Y=8を満たす数であり、cは0≦cを満たす数である)
で表される組成物からなる。
【0024】
上記組成物からなる陰イオン交換体12Aは、高温耐性に優れるため、以下に説明する高温の処理水を通水してイオン交換による陰イオンの吸着及び除去を行う場合においても、組成物中の物質が被処理水中に溶出してしまうことがなく、被処理水中に新たな不純物を生成することがない。
【0025】
逆に上記組成物からなる陰イオン交換体12Aによるイオン交換反応は、350℃以下、好ましくは200℃〜350℃、さらに好ましくは250℃〜350℃の温度範囲において最も効果を発揮する。
【0026】
なお、一般式(3)において、3価金属カチオンM3+は、特にAl3+であることが好ましい。この場合、一般式(3)で表される陰イオン交換体12Aのイオン交換能が向上する。
【0027】
また、一般式(3)におけるcは、0≦cを満たす数であることが必要であるが、好ましくは0≦c≦5、さらに好ましくはc=0である。この場合、一般式(3)で表される陽イオン交換体12Aのイオン交換能が向上する。
【0028】
上記同様に、0≦c≦5、さらにはc=0なる要件は、陰イオン交換体12Aを上述のような温度範囲に設定することによって自ずから満たされる場合が多い。すなわち、陰イオン交換体12Aを上述した温度範囲で使用することにより、一般式(3)に表される組成物中の結晶水部分が減少あるいは除去され、陰イオン交換体12Aは、一般式L2+3+(OH2X+3Yで表される組成物に近似あるいは同一となるため、陰イオン交換体12Aのイオン交換能が向上すると考えることができる。
【0029】
陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aは、粉末状として用いることもできるが、好ましくは所定の形に成型された成形体として用いることもできる。この場合、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aのハンドリングが容易になるとともに、イオン交換反応の温度制御などを容易に行うことができる。
【0030】
陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aを成形体とする場合、特に形状は限定されないものの、好ましくは球状であることが好ましい。この場合、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aの表面に角がなく、表面の反応性が均一となることから、イオン交換能がより向上するとともに、イオン交換反応の温度制御などをより簡易に行うことができる。また、比較的高い流動性を有するようになるので、被処理液を通水した場合においても、成形体が互いに衝突し、破損するのを防止することができる。
【0031】
成形体は、一般式(1)〜(3)で表される組成物の粉末をゴム等の型に充填し、CIP(冷間静水圧成形)法、HP(ホットプレス)法、HIP(熱間静水圧成形)法などの方法で、例えば上述したような球状に成型することができる。
【0032】
陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aを球状の成形体とする場合、その直径は好ましくは0.5mm〜5mmであり、さらに好ましくは1mm〜3mmである。このような範囲において、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aのイオン交換反応の温度制御などをより簡易に行うことができ、イオン交換能が向上するとともに、ハンドリングもより容易に行うことができるようになる。
【0033】
次に、図1に示すイオン成分除去装置10を用いたイオン成分除去方法について説明する。
【0034】
最初に、例えば原子力発電プラントあるいは火力発電プラントの炉水などの被処理水Lを、被処理水供給ライン17を介して陽イオン交換装置11内に導入し、所定時間滞留させる。被処理水Lは陽イオン交換装置11内に導入した際に、例えば80℃以上の温度となっているが、陽イオン交換装置11では外面に設けられた陽イオン交換装置用ヒータ13で陽イオン交換装置11内の、一般式(1)あるいは一般式(2)で表される陽イオン交換体11Aを、上述した350℃以下、好ましくは200℃〜350℃に加熱して、イオン交換能を向上させる。
【0035】
被処理水Lが陽イオン交換装置11内に滞留している間、被処理水Lは陽イオン交換体11Aとイオン交換反応を生ぜしめ、被処理水L中の陽イオンが陽イオン交換体11Aに吸着され、除去される。なお、被処理水Lのイオン交換反応時間は、被処理水Lの滞留時間と実質的に同一であるので、被処理水Lは、イオン交換反応が十分に行われて被処理水L中の陽イオンが十分に除去されるまで、陽イオン交換装置11内に滞留させる。
【0036】
次いで、被処理水Lは、接続ライン16を介して陰イオン交換装置12内に導入し、所定時間滞留させる。被処理水Lは陽イオン交換装置11での加熱操作によって十分に高い温度に設定されているので、陰イオン交換装置12内に導入した際にも、十分高い温度を保持している。したがって、被処理水L自体で、陰イオン交換装置12内に充填された、一般式(3)で表される陰イオン交換体12Aを上述したイオン交換能を活性化させる温度範囲、すなわち350℃以下、好ましくは200℃〜350℃にまで加熱させることができる。
【0037】
しかしながら、イオン交換反応時間が長期化し、滞留時間が長くなるような場合においては、陰イオン交換装置12の外面に設けられた陰イオン交換装置用ヒータ14で陰イオン交換装置12内に充填された陰イオン交換体12Aを、上述した350℃以下、好ましくは200℃〜350℃に加熱して、陰イオン交換装置12のイオン交換能を向上させる。
【0038】
被処理水Lが陰イオン交換装置12内に滞留している間、被処理水Lは陰イオン交換体12Aとイオン交換反応を生ぜしめ、被処理水L中の陰イオンが陰イオン交換体12Aに吸着され、除去される。なお、被処理水Lのイオン交換反応時間は、被処理水Lの滞留時間と実質的に同一であるので、被処理水Lは、イオン交換反応が十分に行われて被処理水L中の陰イオンが十分に除去されるまで、陰イオン交換装置12内に滞留させる。
【0039】
陰イオン交換装置12内で陰イオンが除去された被処理水Lは、処理済液排出ライン18からイオン成分除去装置10の外部に排出され、所定の処理に供される。
【0040】
本実施形態においては、イオン成分除去装置10が、直列に接続された陽イオン交換装置11及び陰イオン交換装置12を有しているので、被処理液Lを、これら陽イオン交換装置11及び陰イオン交換装置12に対して連続して通水し、それぞれにおいて所定時間滞留させるという簡易な操作によって、被処理液L中の陽イオン及び陰イオンを吸着除去することができ、被処理液Lからのイオン成分の除去を極めて簡易に行うことができる。
【0041】
また、陽イオン交換装置11内に充填した一般式(1)又は(2)で表される陽イオン交換体11A、及び陰イオン交換装置12内に充填した一般式(3)で表される陰イオン交換体12Aは、高温耐性を有しており、さらにはその高いイオン交換能を示す温度が350℃以下、好ましくは200℃〜350℃、さらに好ましくは250℃〜350℃の温度範囲であるので、被処理水Lが炉水などのように高温の場合においても、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aの一部が被処理水L中に溶出し、被処理水L中に新たな不純物を生じるという不都合を生じることがない。
【0042】
なお、本実施形態では、被処理水Lを最初に陽イオン交換装置11内に導入し、その後陰イオン交換装置12内に導入するようにしているが、導入の順番を逆転することもできる。さらに、被処理水Lとして、水中に存在するイオン成分の除去について説明しているが、所定の有機溶媒中に存在するイオン成分の除去をも上記操作方法に基づいて行うことができる。
【0043】
(第2の実施形態)
図2は、本実施形態のイオン成分除去装置の概略構成図である。なお、図1に示す構成要素と同一あるいは類似の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いている。
【0044】
図2に示すように、本実施形態のイオン成分除去装置20は、陽イオン交換体11Aが所定の容器内に充填された第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2と、陰イオン交換体12Aが所定の容器に充填された第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2とを有している。
【0045】
第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2の外面には、それぞれ第1の陽イオン交換装置用ヒータ13−1及び第2の陽イオン交換装置用ヒータ13−2が設けられ、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2の外面には、それぞれ第1の陰イオン交換装置用ヒータ14−1及び第2の陰イオン交換装置用ヒータ14−2が設けられている。
【0046】
また、第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2間は、接続ライン21及び22を介して互いに連通するように並列に配列されており、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2間は、接続ライン22及び23を介して互いに連通するようにして並列に配列されている。また、第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2と、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2との間は、接続ライン16及び22を介して直列に接続されている。
【0047】
第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2内には、一般式(1)あるいは一般式(2)で表される陽イオン交換体11Aが充填されており、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内には、一般式(3)で表される陰イオン交換体12Aが充填されている。
【0048】
一般式(1)及び(2)で表される陽イオン交換体11A及び一般式(3)で表される陰イオン交換体12Aに関する特徴及び特性は、第1の実施形態で説明した通りであるので、本実施形態については説明を省略する。
【0049】
陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aは、第1の実施形態と同様に、好ましくは所定の形に成型された成形体として用いる。この場合、イオン交換体11A及び12Aのハンドリングが容易になるとともに、イオン交換反応の温度制御などを容易に行うことができる。
【0050】
陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aを成形体とする場合、好ましくは球状であることが好ましくい。この場合、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aの表面に角がなく、表面の反応性が均一となることから、イオン交換能がより向上するとともに、イオン交換反応の温度制御などをより簡易に行うことができる。また、比較的高い流動性を有するようになるので、被処理液を通水した場合においても、成形体が互いに衝突し、破損するのを防止することができる。
【0051】
陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aを球状の成形体とする場合、その直径は好ましくは0.5mm〜5mmであり、さらに好ましくは1mm〜3mmである。このような範囲において、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aのイオン交換反応の温度制御などをより簡易に行うことができ、イオン交換能が向上するとともに、ハンドリングもより容易に行うことができるようになる。
【0052】
次に、図2に示すイオン成分除去装置20を用いたイオン成分除去方法について説明する。
【0053】
最初に、例えば原子力発電プラントあるいは火力発電プラントの炉水などの被処理水Lを、被処理水供給ライン17及び接続ライン21を介して第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2内に導入し、所定時間滞留させる。被処理水Lは第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2内に導入した際に、例えば80℃以上の温度となっている。
【0054】
しかしながら、第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2では、それぞれ外面に設けられた第1の陽イオン交換装置用ヒータ13−1及び第2の陽イオン交換装置用ヒータ13−2で、第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2内に充填された一般式(1)あるいは一般式(2)で表される陽イオン交換体11Aを、上述した350℃以下、好ましくは200℃〜350℃に加熱して、イオン交換能を向上させる。
【0055】
被処理水Lが第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2内に滞留している間、被処理水Lは陽イオン交換体11Aとイオン交換反応を生ぜしめ、被処理水L中の陽イオンが陽イオン交換体11Aに吸着され、除去される。なお、被処理水Lのイオン交換反応時間は、被処理水Lの滞留時間と実質的に同一であるので、被処理水Lは、イオン交換反応が十分に行われて被処理水L中の陽イオンが十分に除去されるまで、第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2内に滞留させる。
【0056】
次いで、被処理水Lは、接続ライン16及び22を介して第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内に導入し、所定時間滞留させる。被処理水Lは第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2での加熱操作によって十分に高い温度に設定されているので、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内に導入した際にも、十分高い温度を保持している。したがって、被処理水L自体で、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内に充填された陰イオン交換体12Aを上述したイオン交換能を活性化させる温度範囲、すなわち350℃以下、好ましくは200℃〜350℃にまで加熱させることができる。
【0057】
しかしながら、イオン交換反応時間が長期化し、滞留時間が長くなるような場合においては、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2それぞれの外面に設けられた第1の陰イオン交換装置用ヒータ14−1及び第2の陰イオン交換装置用ヒータ14−2で第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内の陰イオン交換体12Aを上述した350℃以下、好ましくは200℃〜350℃に加熱して、一般式(3)で表される陰イオン交換体12のイオン交換能を向上させる。
【0058】
被処理水Lが第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内に滞留している間、被処理水Lは陰イオン交換体12Aとイオン交換反応を生ぜしめ、被処理水L中の陰イオンが陰イオン交換体12Aに吸着され、除去される。なお、被処理水Lのイオン交換反応時間は、被処理水Lの滞留時間と実質的に同一であるので、被処理水Lは、イオン交換反応が十分に行われて被処理水L中の陰イオンが十分に除去されるまで、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内に滞留させる。
【0059】
第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内で陰イオンが除去された被処理水Lは、処理済液排出ライン18からイオン成分除去装置20の外部に排出され、所定の処理に供される。
【0060】
本実施形態においては、イオン成分除去装置20が、直列に接続された第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2と、第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2を有しているので、被処理液Lを、これら陽イオン交換装置11−1,11−2及び陰イオン交換装置12−1,12−2に対して連続して通水し、それぞれにおいて所定時間滞留させるという簡易な操作によって、被処理液L中の陽イオン及び陰イオンを吸着除去することができ、被処理液Lからのイオン成分の除去を極めて簡易に行うことができる。
【0061】
また、第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陽イオン交換装置11−2内に充填した一般式(1)又は(2)で表される陽イオン交換体11A、及び第1の陰イオン交換装置12−1及び第2の陰イオン交換装置12−2内に充填した一般式(3)で表される陰イオン交換体12Aは、高温耐性を有しており、さらにはその高いイオン交換能を示す温度が350℃以下、好ましくは200℃〜350℃、さらに好ましくは250℃〜350℃の温度範囲であるので、被処理水Lが炉水などのように高温の場合においても、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aの一部が被処理水L中に溶出し、被処理水L中に新たな不純物が生じるという不都合を生じることがない。
【0062】
さらに、本実施形態のイオン成分除去装置20においては、2つの陽イオン交換装置11−1及び11−2、並びに2つの陰イオン交換装置12−1及び12−2を有しているので、比較的多量の被処理水Lを処理することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、被処理水Lを第1の陽イオン交換装置11−1及び11−2、並びに第2の陰イオン交換装置12−1及び12−2に同時に流すようにしているが、接続ライン21、22、23等に適宜バルブを設け、いずれか一つの陽イオン交換装置及び陰イオン交換装置にのみ被処理水Lを流すようにすることができる。
【0064】
例えば、接続ライン21及び22に設けたバルブによって、被処理水Lを第1の陽イオン交換装置11−1及び第1の陰イオン交換装置12−1のみに流すことができ、あるいは第2の陽イオン交換装置11−2及び第2の陰イオン交換装置12−2のみに流すことができる。同様に、被処理水Lを第1の陽イオン交換装置11−1及び第2の陰イオン交換装置12−2のみに流すことができ、あるいは第2の陽イオン交換装置11−2及び第1の陰イオン交換装置12−1のみに流すことができる。
【0065】
これらの場合においては、被処理水Lを通水していない陽イオン交換装置及び陰イオン交換装置は適宜洗浄あるいはイオン交換体の交換等を行うことができ、イオン成分除去装置20の全体において、被処理水Lの処理能力を恒常的に一定に保持することができる。
【0066】
例えば、被処理水Lを第1の陽イオン交換装置11−1及び第1の陰イオン交換装置12−1のみに流した後、接続ライン21及び22に設けたバルブの開閉を切り替えることにより、被処理水Lを第2の陽イオン交換装置11−2及び第2の陰イオン交換装置12−2のみに流し、この間に、第1の陽イオン交換装置11−1及び第1の陰イオン交換装置12−1の洗浄や、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aの交換を行うことにより、イオン成分除去装置20の被処理水Lの処理能力を恒常的に一定に保持することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、被処理水Lを最初に陽イオン交換装置11−1及び11−2内に導入し、その後陰イオン交換装置12−1及び12−2内に導入するようにしているが、導入の順番を逆転することもできる。また、陽イオン交換装置及び陰イオン交換装置の数をそれぞれ2個としているが、必要に応じて3個以上とすることもできる。さらに、被処理水Lとして、水中に存在するイオン成分の除去について説明しているが、所定の有機溶媒中に存在するイオン成分の除去をも上記操作方法に基づいて行うことができる。
【0068】
(第3の実施形態)
図3は、本実施形態のイオン成分除去装置の概略構成図である。なお、図1に示す構成要素と同一あるいは類似の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いている。
【0069】
図3に示すように、本実施形態のイオン成分除去装置30は、第1の実施形態に係る図1に示すイオン成分除去装置10に対して、陽イオン交換装置11に対して酸供給ライン33を介して酸供給装置31が接続され、また供給した酸を排出するための酸排出ライン35が設けられ、陰イオン交換装置11に対してアルカリ供給ライン34を介してアルカリ供給装置32が接続され、また供給したアルカリを排出するためのアルカリ排出ライン36が設けられている。
【0070】
なお、本実施形態のイオン成分除去装置30のその他の特徴及び構成については、第1の実施形態に係る図1に示すイオン成分除去装置10と同じであるので、説明を省略する。
【0071】
次に、図3に示すイオン成分除去装置30を用いたイオン成分除去方法について説明する。なお、図1に示すイオン成分除去装置10を用いたイオン成分除去方法と同一あるいは類似の工程については、説明を簡略化する。
【0072】
最初に、例えば原子力発電プラントあるいは火力発電プラントの炉水などの被処理水Lを、被処理水供給ライン17を介して陽イオン交換装置11内に導入し、所定時間滞留させる。被処理水Lが陽イオン交換装置11内に滞留している間、被処理水Lは陽イオン交換体11Aとイオン交換反応を生ぜしめ、被処理水L中の陽イオンが陽イオン交換体11Aに吸着され、除去される。被処理水Lのイオン交換反応時間は、被処理水Lの滞留時間と実質的に同一であるので、被処理水Lは、イオン交換反応が十分に行われて被処理水L中の陽イオンが十分に除去されるまで、陽イオン交換装置11内に滞留させる。
【0073】
次いで、被処理水Lは、接続ライン16を介して陰イオン交換装置12内に導入し、所定時間滞留させる。そして、被処理水L中の陰イオンを陰イオン交換体12Aに吸着させ、除去する。なお、被処理水Lのイオン交換反応時間は、被処理水Lの滞留時間と実質的に同一であるので、被処理水Lは、イオン交換反応が十分に行われて被処理水L中の陰イオンが十分に除去されるまで、陰イオン交換装置12内に滞留させる。
【0074】
陰イオン交換装置12内で陰イオンが除去された被処理水Lは、処理済液排出ライン18からイオン成分除去装置10の外部に排出され、所定の処理に供される。
【0075】
次いで、被処理水Lの処理が完了した後、陽イオン交換装置11に対して、酸供給装置31から酸供給ライン33を介して塩酸、硝酸、硫酸等の酸を供給し、陽イオン交換装置11内の陽イオン交換体11Aに付着した陽イオンの脱離を行う。陽イオンの脱離は、酸から供給されるプロトン(H)と、陽イオンとのイオン交換反応を通じて行われる。陽イオン脱離後の酸は、酸排出ライン35を介して外部に放出され、適宜処理される。
【0076】
一方、陰イオン供給装置12に対して、アルカリ供給装置32からアルカリ供給ライン34を介して水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを供給し、陰イオン交換装置12内の陰イオン交換体12Aに付着した陰イオンの脱離を行う。陰イオンの脱離は、アルカリから供給される水酸化物イオン(OH)と、陰イオンとのイオン交換反応を通じて行われる。陰イオン脱離後のアルカリは、アルカリ排出ライン36を介して外部に放出され、適宜処理される。
【0077】
本実施形態では、被処理水Lの処理後において、陽イオン交換装置11内の陽イオン交換体11A及び陰イオン交換装置12内の陰イオン交換体12Aを、それぞれ酸及びアルカリを用いて洗浄しているので、これらイオン交換体がイオンを比較的多量に吸着し、イオン交換能、すなわちイオン吸着能が低下してきた場合に、その再生を図ることができる。
【0078】
なお、本実施形態におけるイオン成分除去方法のその他の特徴及び利点については、第1の実施形態の場合と同様である。すなわち、イオン成分除去装置30が、直列に接続された陽イオン交換装置11及び陰イオン交換装置12を有しているので、被処理液Lを、これら陽イオン交換装置11及び陰イオン交換装置12に対して連続して通水し、それぞれにおいて所定時間滞留させるという簡易な操作によって、被処理液L中の陽イオン及び陰イオンを吸着除去することができ、被処理液Lからのイオン成分の除去を極めて簡易に行うことができる。
【0079】
また、陽イオン交換装置11内に充填した一般式(1)又は(2)で表される陽イオン交換体11A、及び陰イオン交換装置12内に充填した一般式(3)で表される陰イオン交換体12Aは、高温耐性を有しており、さらにはその高いイオン交換能を示す温度が350℃以下、好ましくは200℃〜350℃、さらに好ましくは250℃〜350℃の温度範囲であるので、被処理水Lが炉水などのように高温の場合においても、陽イオン交換体11A及び陰イオン交換体12Aの一部が被処理水L中に溶出し、被処理水L中に新たな不純物を生じるという不都合を生じることがない。
【0080】
なお、本実施形態では、図1に示す構成のイオン成分除去装置10に対して酸供給装置31及びアルカリ供給装置32等を設ける構成としたが、図2に示すような構成の、陽イオン交換装置及び陰イオン交換装置を複数有するようなイオン成分除去装置に対しても、各陽イオン交換装置及び各陰イオン交換装置に酸供給装置及びアルカリ供給装置を設けるようにすることもできる。
【実施例】
【0081】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
【0082】
(実施例1)
[イオン成分除去システムの評価]
陽イオン交換体として一般式(1)で表わされるニオブ酸(HNb17)を10g充填した陽イオン吸着槽と、陰イオン交換体としてMgAl(OH)18・2HOを100g充填した陰イオン吸着槽とを図1に示すように直列に繋ぎ、陽イオン吸着槽と陰イオン吸着槽をそれぞれ280℃に保持した状態で、陽イオン吸着槽内及び陰イオン吸着槽内に0.1M硫酸コバルト水溶液を5ml/分で供給し、処理済液が吸着槽から排出され始めた時点を0としてコバルトイオンCo2+及び硫酸イオンSO2−の濃度の経時変化を測定した。測定結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1に示すように、経過時間30分までは被処理液中にコバルトイオン、硫酸イオンは検出されず、ほぼ全量が除去されることがわかった。また、処理済液にはNb、Mg、Alは検出されなかった。このように本実施例のイオン成分除去システムを用いると不純物を溶出することなく高温水中の不純物陽イオンと不純物陰イオンを除去できることがわかった。
【0085】
(実施例2)
[再生の評価]
実施例1で使用した陽イオン交換体10gを充填した陽イオン吸着槽と、陰イオン交換体100gを充填した陰イオン吸着槽に、図3に示すように、それぞれ酸、アルカリの供給ラインを設け、それぞれ80℃の温度に設定した。酸供給ラインには1M塩酸を20ml/分で供給し、アルカリ供給ラインには1M水酸化ナトリウム水溶液を20ml/分で供給し、処理済液が吸着槽から排出され始めた時点を0としてコバルトイオンCo2+及び硫酸イオンSO2−の濃度の経時変化を測定した。測定結果を表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
表2に示すように、経過時間90分以降は被処理液中にコバルトイオン、硫酸イオンは検出されず、ほぼ全量が除去されることがわかった。また、処理済液にはNb、Mg、Alは検出されなかった。このように本実施例のイオン成分除去システムを用いるとイオン交換体の再生が可能なことがわかった。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10,20,30 イオン成分除去装置
11 陽イオン交換装置
11−1 第1の陽イオン交換装置
11−2 第2の陽イオン交換装置
11A 陽イオン交換体
12 陰イオン交換装置
12−1 第1の陰イオン交換装置
12−2 第2の陰イオン交換装置
12A 陰イオン交換体
13 陽イオン交換装置用ヒータ
13−1 第1の陽イオン交換装置用ヒータ
13−2 第2の陽イオン交換装置用ヒータ
14 陰イオン交換装置用ヒータ
14−1 第1の陰イオン交換装置用ヒータ
14−2 第2の陰イオン交換装置用ヒータ
16 接続ライン
17 被処理液供給ライン
18 処理済液排出ライン
21,22,23 接続ライン
31 酸供給装置
32 アルカリ供給装置
33 酸供給ライン
34 アルカリ供給ライン
35 酸排出ライン
36 アルカリ排出ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
[化1]
Nb17・aHO (1)
(式中、aは0≦aを満たす数である)
または一般式
[化2]
HNbO・bHO (2)
(式中、bは0≦bを満たす数である)
で表される陽イオン交換体を含む陽イオン交換装置と、
一般式
[化3]
2+3+(OH2X+3Y・cHO (3)
(式中、L2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価金属カチオンであり、M3+は、Fe3+、Al3+及びMn3+から選ばれる少なくとも一種の3価金属カチオンであり、X及びYは、0<X,0<Y,X+Y=8を満たす数であり、cは0≦cを満たす数である)
で表される陰イオン交換体を含む陰イオン交換装置とを具え、
前記陽イオン交換装置と前記陰イオン交換装置とが、接続ラインを介して直列に接続されてなることを特徴とする、イオン成分除去装置。
【請求項2】
一般式
[化4]
Nb17・aHO (1)
(式中、aは0≦aを満たす数である)
または一般式
[化5]
HNbO・bHO (2)
(式中、bは0≦bを満たす数である)
で表される陽イオン交換体を含む複数の陽イオン交換装置と、
一般式
[化6]
2+3+(OH2X+3Y・cHO (3)
(式中、L2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価金属カチオンであり、M3+は、Fe3+、Al3+及びMn3+から選ばれる少なくとも一種の3価金属カチオンであり、X及びYは、0<X,0<Y,X+Y=8を満たす数であり、cは0≦cを満たす数である)
で表される陰イオン交換体を含む複数の陰イオン交換装置とを具え、
前記複数の陽イオン交換装置は第1の接続ラインを介して互いに連通するようにして並列に配列されるとともに、前記複数の陰イオン交換装置は第2の接続ラインを介して互いに連通するようにして並列に配列され、
前記複数の陽イオン交換装置と前記複数の陰イオン交換装置とは、第3の接続ラインを介して直列に接続されてなることを特徴とする、イオン成分除去装置。
【請求項3】
前記陽イオン交換装置又は前記複数の陽イオン交換装置には陽イオン交換体加熱手段が設けられ、
前記陰イオン交換装置又は前記複数の陰イオン交換装置には陰イオン交換体加熱手段が設けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のイオン成分除去装置。
【請求項4】
前記陽イオン交換装置又は前記複数の陽イオン交換装置には、それらに含まれる前記陽イオン交換体に酸を供給し、前記陽イオン交換体に吸着した陽イオンを脱離させるための酸供給装置が接続されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のイオン成分除去装置。
【請求項5】
前記陰イオン交換装置又は前記複数の陰イオン交換装置には、それらに含まれる前記陰イオン交換体にアルカリを供給し、前記陽イオン交換体に吸着した陰イオンを脱離させるためのアルカリ供給装置が接続されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のイオン成分除去装置。
【請求項6】
前記陽イオン交換体又は前記複数の陽イオン交換体および前記陰イオン交換体又は前記複数の陰イオン交換体は、成形体として形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のイオン成分除去装置。
【請求項7】
前記成形体は球状を呈することを特徴とする、請求項6に記載のイオン成分除去装置。
【請求項8】
前記成形体の直径が0.5mm〜5mmの範囲であることを特徴とする、請求項7に記載のイオン成分除去装置。
【請求項9】
一般式
[化7]
Nb17・aHO (1)
(式中、aは0≦aを満たす数である)
または一般式
[化8]
HNbO・bHO (2)
(式中、bは0≦bを満たす数である)
で表される陽イオン交換体を含む陽イオン交換装置に、温度80℃以上の被処理水を通水させ、前記被処理水中の陽イオン成分を吸着除去するステップと、
前記陽イオン交換装置に対して接続ラインを介して直列に接続された
一般式
[化9]
2+3+(OH2X+3Y・cHO (3)
(式中、L2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価金属カチオンであり、M3+は、Fe3+、Al3+及びMn3+から選ばれる少なくとも一種の3価金属カチオンであり、X及びYは、0<X,0<Y,X+Y=8を満たす数であり、cは0≦cを満たす数である)
で表される陰イオン交換体を含む陰イオン交換装置に、前記被処理水を通水させ、前記被処理水中の陰イオンを吸着除去するステップと、
を具えることを特徴とする、イオン成分除去方法。
【請求項10】
一般式
[化10]
Nb17・aHO (1)
(式中、aは0≦aを満たす数である)
または一般式
[化11]
HNbO・bHO (2)
(式中、bは0≦bを満たす数である)
で表される陽イオン交換体を含む第1の接続ラインを介して並列に配置された複数の陽イオン交換装置に、温度80℃以上の被処理水を通水させ、前記被処理水中の陽イオン成分を吸着除去するステップと、
前記複数の陽イオン交換体と第3の接続ラインを介して接続された
一般式
[化12]
2+3+(OH2X+3Y・cHO (3)
(式中、L2+は、Mg2+、Ca2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価金属カチオンであり、M3+は、Fe3+、Al3+及びMn3+から選ばれる少なくとも一種の3価金属カチオンであり、X及びYは、0<X,0<Y,X+Y=8を満たす数であり、cは0≦cを満たす数である)
で表される陰イオン交換体を含む第2の接続ラインを介して互いに複数の陰イオン交換装置とを具え、
前記複数の陽イオン交換装置は第1の接続ラインを介して互いに連通するようにして並列に配列されるとともに、前記複数の陰イオン交換装置は第2の接続ラインを介して並列に接続された複数の陰イオン交換装置に、前記被処理水を通水させ、前記被処理水中の陰イオン成分を吸着除去するステップと、
を具えることを特徴とする、イオン成分除去方法。
【請求項11】
前記陽イオン交換装置又は前記複数の陽イオン交換装置に前記被処理水を通水する際に、前記陽イオン交換装置又は前記複数の陽イオン交換装置を350℃以下の温度に加熱することを特徴とする、請求項9又は10に記載のイオン成分除去方法。
【請求項12】
前記陰イオン交換装置又は前記複数の陰イオン交換装置に前記被処理水を通水する際に、前記陰イオン交換装置又は前記複数の陰イオン交換装置を350℃以下の温度に加熱することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一に記載のイオン成分除去方法。
【請求項13】
前記陽イオン交換装置又は前記複数の陽イオン交換装置に含まれる前記陽イオン交換体に、酸供給装置から酸を供給し、前記陽イオン交換体に吸着した陽イオンを脱離させるステップを具えることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一に記載のイオン成分除去方法。
【請求項14】
前記陰イオン交換装置又は前記複数の陰イオン交換装置に含まれる前記陰イオン交換体に、アルカリ供給装置からアルカリを供給し、前記陰イオン交換体に吸着した陰イオンを脱離させるステップを具えることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一に記載のイオン成分除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−196636(P2012−196636A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63130(P2011−63130)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】