説明

イオン発生装置

【課題】室内にイオンを好ましい濃度で分布させるイオン発生装置を提供する。
【解決手段】イオン発生装置は、イオンを空気中に放出させるイオン発生装置本体100と、空気中に放出されたイオンの量を検出するイオン量検出器91,92,93,94とを備える。イオン発生装置本体100は、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62と、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62で発生されたイオンを空気中に放出するイオン放出口73とを含む。イオン量検出器91,92,93,94はイオン発生装置本体100から離隔して配置される。イオン量検出器91,92,93,94は、それぞれ、互いに離隔して配置される。イオン発生装置は、それぞれのイオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出口73から空気中に放出されるイオンの放出方向を変更する回転台80をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的にはイオン発生装置に関し、特定的には、空気中にイオンを放出するイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中に正イオン(プラスイオン)および/または負イオン(マイナスイオン)を放出するイオン発生装置がある。イオン発生装置では、例えば、イオン発生装置の内部において通風路の途中に配置されているイオン発生器でイオンを発生させる。イオン発生装置に用いられる標準的なイオン発生器では、針電極と対向電極との間、または、放電電極と誘電電極との間に高電圧の駆動電圧を印加することにより、コロナ放電を発生させて正イオンおよび/または負イオンを発生させる。イオン発生器で発生された正イオンおよび/または負イオンは、通風路を通過する空気とともに、イオン発生装置の外部の空間に放出される。
【0003】
正イオンおよび/または負イオンには、居住空間等の空間内に浮遊している浮遊粒子を不活性化させたり、浮遊細菌を死滅させたりするとともに、臭気成分を変性させるものがある。このような正イオンおよび/または負イオンを空気中に放出することによって、空気を清浄化することができる。そこで、このような正イオンおよび/または負イオンを空気中に放出するイオン発生装置は、例えば、居住区間内の全体の空気を清浄化するための空気清浄機として用いられたり、空気調和機等の電気機器に備えられたりする。
【0004】
例えば、イオン発生装置を備える市販の空気調和機では、空気調和機本体の表示部に、空気調和機の運転状況や、イオンの発生量等を表示するものがある。このような空気調和機では、空気調和機の運転状況等によって制御部が算出したイオン発生量が表示されることが多い。
【0005】
しかし、イオンは空気中で消滅するため、制御部が算出したイオン発生量と、イオンが放出された空間におけるイオン量とは異なる。正イオンも負イオンも、イオンそのものは人の目で見たり、人の感覚によって感じ取ったりすることができるものではない。そのため、上記のような、空気調和機の制御部が算出したイオンの発生量を表示する表示部を見ても、使用者は、実際にはどれだけのイオンが室内にあるのかがわからない。室内にどれだけのイオンがあるのかを知るためには、室内のイオンを検出する必要がある。
【0006】
例えば、特開2002−260820号公報(特許文献1)には、イオン発生機能を備える本体と、本体を操作するリモコンを備えるイオン発生装置において、リモコンにイオン検知部が備えられている。リモコンによって検知されたイオンの量は、イオン発生装置本体の表示部とリモコンの表示部に表示される。使用者は、イオンの測定場所を任意に選ぶことができる。
【0007】
また、特開平10−332164号公報(特許文献2)に記載の空気調和機では、室内機の吸込口から吹出口への送風経路にイオン発生用の放射電極が備えられ、吸込口にイオンセンサが取り付けられている。この空気調和機では、イオンセンサからの信号をもとに表示部にイオン量を表示する。また、室内機の制御部は、イオンセンサから受けた信号によって、空気中のイオン量が設定値よりも少なければイオンの発生量を増加し、空気中のイオン量が多すぎる場合にはイオンの発生量を減少させる。
【0008】
また、特開2005−55028号公報(特許文献3)には、天井埋め込み型の室内機と加湿機とイオン発生装置を有する空気清浄機と、湿度センサとイオンセンサとから構成される空気調和システムが記載されている。湿度センサとイオンセンサは、室内の各壁に1個ずつ設けられている。空気清浄機は、湿度センサで検知された湿度とイオンセンサで検知されたイオン量とに基づいて、加湿量やイオン発生量を調整することによって、室内でのばらつきを緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−260820号公報
【特許文献2】特開平10−332164号公報
【特許文献3】特開2005−55028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、正イオンと負イオンは、発生後、時間の経過とともに急速に数が減少する。特に、正イオンと負イオンとを同時に、同一の空間内に放出する場合には、プラスイオンとマイナスイオンとの再結合によって急速にイオン数が減少する。また、イオンをイオン供給対象室内に送出する風の風向や風量によって、室内の位置によって分布量が異なる。そのため、特開2002−260820号公報(特許文献1)に記載のイオン発生装置では、例えば表示部に表示されるイオンの量が変化しても、リモコンを持った使用者が移動したためであるのか、室内のイオンの量が変化したためであるのかがわからない。
【0011】
また、特開平10−332164号公報(特許文献2)に記載の空気調和機では、室内機の吸込口にイオンセンサが配置されているので、室内機から離れた位置でのイオン量を検出することができない。
【0012】
また、特開2005−55028号公報(特許文献3)に記載の空気調和システムでは、イオンセンサと湿度センサの各々を室内の各壁面上に設置して、これらのセンサの検出結果に基づいて加湿量やイオン発生量を調整しているが、上述のように、イオン濃度の分布は、湿度の分布よりも時間とともに変化しやすく、位置による差異も大きい。そのため、イオンセンサが各壁面に取り付けられて、その各イオンセンサが検出したイオン量に基づいてイオンの発生量を調整しても、室内全体のイオンの濃度を適切に調整することができない。
【0013】
プラスイオンおよび/またはマイナスイオンの濃度が一定のイオン濃度に保たれなければ、イオンによる本来の空気清浄効果、すなわち、殺菌、除菌、脱臭等の効果が得られない場合がある。プラスイオンおよび/またはマイナスイオンによって、イオン供給対象室内の清浄化を行なうためには、プラスイオンおよび/またはマイナスイオンが、イオン供給対象空間内の広い範囲において好ましい濃度分布になるように供給される必要がある。
【0014】
そこで、この発明の目的は、イオン供給対象室内において、イオンを好ましい濃度で分布させることが可能なイオン発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に従ったイオン発生装置は、イオンを空気中に放出させるイオン発生装置本体と、空気中に放出されたイオンの量を検出する複数のイオン検出部とを備える。
【0016】
イオン発生装置本体は、イオンを発生させるイオン発生部と、イオン発生部で発生されたイオンを空気中に放出するイオン放出部とを含む。
【0017】
イオン検出部は、イオン発生装置本体から離隔して配置される。複数のイオン検出部は、それぞれ、互いに離隔して配置される。イオン発生装置は、それぞれのイオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出部から空気中に放出されるイオンの放出方向を変更するイオン放出方向変更部をさらに備える。
【0018】
このように、複数のイオン検出部がイオン発生装置本体から離隔して配置され、複数のイオン検出部は、それぞれ、互いに離隔して配置されることによって、イオン供給対象室内において、より広い範囲のイオンを検出することができる。そして、イオン放出方向変更部によって、イオン放出部から放出されるイオンの放出方向を変更することにより、それぞれのイオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出部からそれぞれのイオン検出部が配置されている方向に放出されるイオンの量を容易に変更することができる。これにより、イオン供給対象室内においてより広い範囲に配置されるイオン検出部によって検出されたイオンの量に基づいて、イオン放出部から空気中に放出されるイオンの放出方向を変更することによって、イオン供給対象室内のより広い範囲におけるイオンの分布を調整しやすくなる。
【0019】
このようにすることにより、イオン供給対象室内において、イオンを好ましい濃度で分布させることが可能なイオン発生装置を提供することができる。イオンを好ましい濃度で分布させることによって、イオンによる本来の空気清浄効果、すなわち、殺菌、除菌、脱臭等の効果が得られる。
【0020】
この発明に従ったイオン発生装置においては、イオン発生部は、それぞれのイオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、発生させるイオンの量を変更するように構成されていることが好ましい。
【0021】
イオン発生部が発生させるイオンの量を変更することにより、それぞれのイオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出部から空気中に放出されるイオンの量を容易に変更することができる。
【0022】
この発明に従ったイオン発生装置においては、イオン発生部は、イオン検出部が検出したイオンの量が、あらかじめ定められた所定の量よりも少ない場合に、発生させるイオンの量を増加させるように構成されていることが好ましい。
【0023】
このようにすることにより、イオン供給対象室内のより広い範囲において、イオンの量をあらかじめ定められた所定の量よりも多く保つことができる。したがって、イオン供給対象室内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。
【0024】
この発明に従ったイオン発生装置においては、イオン発生部は、イオン検出部が検出したイオンの量が、あらかじめ定められた所定の量よりも多い場合に、発生させるイオンの量を減少させるように構成されていることが好ましい。
【0025】
このようにすることにより、イオン供給対象室内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。また、不必要に放出されるイオンを減少させることができるので、省エネルギーになる。
【0026】
この発明に従ったイオン発生装置においては、イオン放出方向変更部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量が最も少ないイオン検出部の方向にイオンを放出するように、イオン放出部のイオンの放出方向を変更することが好ましい。
【0027】
このようにすることにより、イオン供給対象室内におけるイオン量の分布の幅を小さくすることができる。
【0028】
この発明に従ったイオン発生装置においては、イオン放出方向変更部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ないイオン検出部の方向にイオンを放出するように、イオン放出部のイオンの放出方向を変更することが好ましい。
【0029】
このようにすることにより、イオン供給対象室内のより広い範囲において、イオンの量をあらかじめ定められた所定の量よりも多く保つことができる。したがって、イオン供給対象室内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。
【0030】
この発明に従ったイオン発生装置においては、イオン放出方向変更部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多いイオン検出部の方向に放出されるイオンの量を減少させるように、イオン放出部のイオンの放出方向を変更することが好ましい。
【0031】
このようにすることにより、イオン供給対象室内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。また、不必要に放出されるイオンを減少させることができるので、省エネルギーになる。
【0032】
この発明に従ったイオン発生装置は、イオン発生部で発生されるイオンを送出するために送風を行う送風部を備えることが好ましい。送風部は、それぞれのイオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、送風の向き、および/または、送風の量を変更するように構成されていることが好ましい。
【0033】
送風部が送風の向き、および/または、送風の量を変更するように構成されていることにより、それぞれのイオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出部からそれぞれのイオン検出部が配置されている方向に放出されるイオンの量を容易に変更することができる。
【0034】
この発明に従ったイオン発生装置においては、送風部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量が最も少ないイオン検出部の方向に送風するように送風の向きを変更するように構成されていることが好ましい。
【0035】
この発明に従ったイオン発生装置においては、送風部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量が最も少ないイオン検出部の方向に送風される風量を増加させるように構成されていることが好ましい。
【0036】
このようにすることにより、イオンを検出した量が最も少ないイオン検出部の方向により多くのイオンを放出させることができるので、イオン供給対象室内におけるイオン量の分布の幅を小さくすることができる。
【0037】
この発明に従ったイオン発生装置においては、送風部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ないイオン検出部の方向に送風するように送風の向きを変更するように構成されていることが好ましい。
【0038】
この発明に従ったイオン発生装置においては、送風部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ないイオン検出部の方向に送風される風量を増加させるように構成されていることが好ましい。
【0039】
このようにすることにより、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ないイオン検出部の方向により多くのイオンを放出させることができるので、イオン供給対象室内のより広い範囲において、イオンの量をあらかじめ定められた所定の量よりも多く保つことができる。したがって、イオン供給対象室内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。
【0040】
この発明に従ったイオン発生装置においては、送風部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多いイオン検出部の方向に送風される風量が少なくなるように送風の向きを変更するように構成されていることが好ましい。
【0041】
この発明に従ったイオン発生装置においては、送風部は、複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多いイオン検出部の方向に送風される風量を少なくするように構成されていることが好ましい。
【0042】
このようにすることにより、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多いイオン検出部の方向に放出されるイオンの量を減少させることができるので、イオン供給対象室内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。また、不必要に放出されるイオンを減少させることができるので、省エネルギーになる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、この発明によれば、イオン供給対象室内において、イオンを好ましい濃度で分布させることが可能なイオン発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の一つの実施の形態として、イオン発生装置が配置されたイオン供給対象室内の様子を模式的に示す図である。
【図2】この発明の一つの実施の形態として、イオン発生装置本体の構成を示す縦断正面図である。
【図3】この発明の一つの実施の形態として、イオン発生装置本体の構成を示す縦断側面図である。
【図4】イオン発生装置本体内に配置されたイオン発生器を示す正面図である。
【図5】イオン発生器の構成を示す縦断側面図である。
【図6】回転台の上面図(A)と、(A)に示すB−B線の方向から見た回転台の断面図(B)である。
【図7】イオン発生装置の制御関連の構成を示すブロック図である。
【図8】イオン発生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0046】
図1に示すように、居住空間等のイオン供給対象室200内には、イオン発生装置本体100と、回転台80と、4つのイオン量検出器91,92,93,94が設置される。イオン発生装置本体100は、床面201上に配置される回転台80の上に取り付けられて固定されている。回転台80は、ほぼ水平な面内で回転可能であるように構成されている。4つのイオン量検出器91,92,93,94は、イオン発生装置本体100から離隔して、壁面202上に配置されている。また、4つのイオン量検出器91,92,93,94は、互いに離隔して配置されている。
【0047】
イオン発生装置本体100はイオンを空気中に放出させる。イオン量検出器91,92,93,94は、空気中に放出されたイオンの量を検出する複数のイオン検出部の一例である。回転台80は、イオン放出方向変更部の一例である。イオン発生装置本体100と、回転台80と、イオン量検出器91,92,93,94はイオン発生装置を構成している。なお、この実施の形態においては、イオン量検出器は4つ配置されているが、イオン量検出器の数は4つでなくてもよい。イオン量検出器91,92,93,94としては、市販されているイオン量検出器を用いることができる。
【0048】
図2と図3に示す二点鎖線の矢印は、気流の流れる方向を表す。図3においては、左側がイオン発生装置本体100の正面側である。図2と図3に示すように、イオン発生装置本体100は、ハウジング1によって全体が覆われている。ハウジング1は、略直方体に形成され、側壁1a,1b、天壁1c、底壁1d、前壁1e、後壁1fとから構成されている。側壁1a,1bは互いに離隔して配置され、互いに対向するように配置されている。側壁1a,1bは、それぞれ、下部に吸込口11を有する。天壁1cは、中央部に2つの嵌合孔12を有する。
【0049】
ハウジング1内の下部には、回転軸方向に延びる出力軸21,21を有するモータ2が配される。出力軸21,21は、モータ2の回転軸方向において、モータ2の両側に配置されている。モータ2の出力軸21,21のそれぞれには、羽根車3,3が装着されている。羽根車3,3は、二つのケーシング4,4に回転自在に収容される。
【0050】
羽根車3,3の上方には、羽根車3,3のそれぞれの回転により発生する気流を個別に上方へ通流させる筒部としての2つのダクト5,5が、それぞれ配設されている。ダクト5,5のそれぞれは、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62とを含むイオン発生器6a,6c、6b,6dを下部に有する。イオン発生器6a,6bは、それぞれ、イオン発生器6c,6dの上方に配置されている。また、ダクト5,5のそれぞれは、嵌合孔12,12に取外しを可能に配置された風向体7,7を備える。
【0051】
イオン発生器6a,6bの上方には、発生したイオンを捕集する捕集電極66および捕集電極66の電位を計測する計測部67が配されている。モータ2と、羽根車3,3とが送風部を構成する。なお、送風部による送風の向きは、回転台80(図1)によって変更される。
【0052】
ハウジング1の底壁1dは、平面視矩形に形成されている。前壁1eおよび後壁1fは、底壁1dの前後の二辺に連なる。両側壁1a,1bの下部の吸込口11,11には、フィルタ8,8が取り付けられている。フィルタ8,8は、羽根車3,3が吸込口11,11から吸込む空気を通過させ、空気中の異物を除去して清浄空気にする。天壁1cの嵌合孔12,12は、長手方向がイオン発生装置本体100の前後方向に沿って延びる長方形をなしている。嵌合孔12,12の前側の内面が鉛直に対して前方へ傾斜し、後側の内面が鉛直に対して後方へ傾斜している。また、ハウジング1は上下方向の途中で上分体と下分体とに分断されている。ハウジング1の下分体にケーシング4,4が装着され、上分体にダクト5,5が装着されている。
【0053】
羽根車3,3は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根3aを有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコファンである。羽根車3,3は一端に軸受板を有し、軸受板の中心に開設されている軸孔にモータ2の出力軸21,21が取り付けられている。羽根車3,3は、羽根車3,3の他端の開口から中心部の空洞へ吸込んだ空気を外周部の羽根3a間から放出するように構成されている。
【0054】
ケーシング4,4は、羽根車3,3の回転により発生する気流を羽根車3,3の回転方向へ誘導し、気流の速度を増すための円弧形誘導壁41,41と、円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ上向きに開放された吹出口42,42とを有する。吹出口42,42は円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方に突出し、かつ、鉛直方向に対して斜め方向に突出する角筒形状をなしている。
【0055】
また、ケーシング4,4は、深皿形をなし、ケーシング本体4a,4aと、蓋板4b,4bを備える。ケーシング本体4a,4aは、円弧形誘導壁41,41および吹出口42,42用の開放部を有する。蓋板4b,4bは、羽根車3,3の開口と対応する箇所が開放されているケーシング本体4a,4aの開放側を閉塞する。ケーシング本体4a,4aのそれぞれの対向側が仕切り用の連結壁43にて一体に連結されている。また、蓋板4b,4bの開放部とフィルタ8,8との間に、複数の通気孔を有する通気板9,9が設けられている。
【0056】
連結壁43のモータ2と対応する箇所は一方のケーシング本体4a側へ窪む凹所を有する。凹所の縁部に深皿状の支持板44が取り付けられ、凹所と支持板44の中央部間にゴム板45,45を介してモータ2が挾着保持される。凹所と支持板44の中央部に開設されている軸孔に出力軸21,21が挿通される。このようにして、出力軸21,21に羽根車3,3を取り付けてある。また、連結壁43の上端はケーシング4,4よりも上方へ延出されている。
【0057】
ダクト5,5の下端は吹出口42,42に連なり、ダクト5,5の上端は嵌合孔12,12に連なる。ダクト5,5は上下方向の途中が絞られている角筒形の筒部からなる。また、ダクト5,5は、吹出口42,42から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方に沿って配された前壁5a,5a、および吹出口42,42からほぼ鉛直に配された後壁5b,5bを有する。前壁5a,5aおよび後壁5b,5bには、ほぼ鉛直に配された二つの側壁5c,5c、5d,5dが連なっており、吹出口42,42から吹き出された空気を、前壁5a,5aおよび側壁5c,5c、5d,5dに沿って層流とし、鉛直に沿わせて通流させるように構成されている。
【0058】
前壁5a,5aには、イオン発生器6a,6b,6c,6dのそれぞれのプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62とに対応する貫通孔が開設されている。貫通孔にはイオン発生器6a,6b,6c,6dが嵌込みにより取り付けられている。後壁5b,5bにはモータ2、イオン発生器6a,6b,6c,6dと、計測部67および電源線に接続されている回路基板10と、回路基板10を被覆するカバー20とが取り付けられている。
【0059】
ダクト5,5は上下方向の途中でダクト上分体51とダクト下分体52とに分断されている。ダクト下分体52は角筒形をなし、横方向の中央が連結壁43にて仕切られている。ダクト上分体51は、横方向に離隔して並置される角筒部51a,51aの下部が連結部51bにて一体に連なっており、連結部51bおよび連結壁43にて仕切られている。また、ダクト上分体51の上端には、外部から指等の異物が挿入されるのを防ぐための防護網30,30を配してある。
【0060】
風向体7,7は、角枠部71,71と複数の風向板72,72を有する。角枠部71,71は、イオン発生装置本体100の前後方向に沿う面内における断面形状が逆台形をなす。風向板72,72は、角枠部71,71内に、イオン発生装置本体100の前後方向において離隔して並置されて、鉛直に対して前後方向一方へ傾斜する。角枠部71,71の前後の壁は鉛直に対してイオン発生装置本体100の前後方向へ傾斜している。
【0061】
捕集電極66は、イオンを捕集する略矩形の板状電極によって構成されている。イオン発生器6a,6bのそれぞれのプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62が発生させたイオンを重点的に検出するために、捕集電極66はプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62の直近に配置されて、電極面がダクト5,5内に露出されている。
【0062】
図4に示す矢印Pは、イオン発生装置本体の送風部による送風の方向を表す。図4に示すように、捕集電極66の風上部にイオン発生器6a,6b,6c,6dが配置されている。捕集電極66にプラスとマイナスの双方のイオンを捕集させるために、捕集電極66直下にプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62の放電電極が配置されている。イオン発生器6aとイオン発生器6bとは、イオン発生器6aのプラスイオン発生部61とイオン発生器6bのマイナスイオン発生部62とが対向するように配置されている。イオン発生器6cとイオン発生器6dは、イオン発生器6cのマイナスイオン発生部62とイオン発生器6dのプラスイオン発生部61が対向するように配置されている。また、イオン発生器6aのマイナスイオン発生部62とプラスイオン発生部61は、それぞれ気流の流れる方向に沿って、イオン発生器6cのプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62に対向するように配置されている。イオン発生器6bのマイナスイオン発生部62とプラスイオン発生部61は、それぞれ気流の流れる方向に沿って、イオン発生器6dのプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62に対向するように配置されている。イオン発生器6a,6b,6c,6dそれぞれのプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62は、貫通孔からダクト5,5(図2)内に臨んでいる。
【0063】
図5に示すように、イオン発生器6a,6b,6c,6dのそれぞれは、略直方体のケース60に収納されており、羽根車3,3(図2、図3)の回転により発生する空気の通流方向と略直交する方向に沿って離隔されたプラスイオンイオン発生部61とマイナスイオン発生部62とを備える。プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62のそれぞれは、電極基板63に配されており、尖鋭状をなす放電電極61a,62aと放電電極61a,62aを囲繞する誘導電極61b,62bを有する。放電電極61a,62aに高電圧を印加されると、コロナ放電が発生する。これにより、プラスイオン発生部61がプラスのイオンを、マイナスイオン発生部62がマイナスのイオンをそれぞれ発生させる。
【0064】
電極基板63には、トランジスタ、抵抗等の回路素子が配された回路基板64が対向している。回路基板64は、マイナスイオン発生部62と対向する側に、高電圧を発生させる昇圧トランス65を有する。図5に示す破線は、昇圧トランス65の巻線から漏洩する磁束を表す。昇圧トランス65の巻線の巻方向は、図5に破線で示すように、巻線から漏洩する磁束がマイナスイオン発生部62の近傍において、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62の並設方向と略平行になるようにしてある。電極基板63と回路基板64との間と、昇圧トランス65の周囲には、合成樹脂が充填されている。
【0065】
図4と図5に示すように、捕集電極66の電極面は、イオン発生器6a,6bが隣り合う方向、すなわち、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62の並設方向と略平行となるようにしてある。これにより、昇圧トランス65,65から漏洩する磁束がプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62と対向する部分において捕集電極66の電極面と略平行となるため、昇圧トランス65,65から漏洩する磁束が捕集電極66と最小限に鎖交することになる。
【0066】
図6の(A)と(B)に示すように、回転台80は、テーブル81と、回転軸82と、回転台駆動部83と、角度検出器84と、底板85とから構成される。回転軸82と回転台駆動部83と角度検出器84は、テーブル81と底板85によって覆われている。
【0067】
テーブル81の上面は円形状を有し、平らに形成されている。なお、テーブル81の形状は、円形状でなくてもよい。テーブル81は、回転台駆動部83によって、回転軸82を中心にして回転される。テーブル81は、上方向から見て時計回りと反時計回りのどちらの方向にも、任意の角度だけ回転可能である。
【0068】
テーブル81の上には、イオン発生装置本体100(図2、図3)が載せられて固定される。回転台駆動部83によってテーブル81が回転されると、イオン発生装置本体100がテーブル81とともに回転する。このようにして、イオン発生装置本体100を回転させることによって、イオン放出口(図2、図3)からイオン発生装置本体100の外部にイオンを放出する方向を変更することができる。
【0069】
回転台80の角度検出器84としては、多点スイッチ、トリマー、マグネットスイッチなどを用いることができる。また、回転台駆動部83をステッピングモータとして、回転台駆動部83が角度検出器84を兼ねることも可能である。
【0070】
図7に示すように、イオン発生装置は、制御関連の構成として、制御部110と、運転スイッチ101と、表示部102と、モータ2と、プラスイオン発生部61と、マイナスイオン発生部62と、回転台80(図6)の角度検出器84と、回転台駆動部83と、イオン量検出器91,92,93,94とを備える。
【0071】
使用者が運転スイッチ101を操作すると、運転スイッチ101から制御部110に信号が送信される。制御部110は、運転スイッチ101から受信した信号に基づいて、プラスイオンとマイナスイオンとを発生させたり、イオンの発生を停止したりするように、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62に制御信号を送信する。また制御部110は、モータ2に制御信号を送信して、送風量を変更する。また、制御部110は、プラスイオンとマイナスイオンの発生状況等を表示させるように、表示部102に制御信号を送信する。
【0072】
イオン量検出器91,92,93,94は、イオン発生装置本体100(図2、図3)から空気中に放出されたプラスイオンとマイナスイオンを検出して、制御部110に信号を送信する。イオン量検出器91,92,93,94から制御部110への信号の送信は、例えば、赤外線通信によって行なわれる。
【0073】
制御部110は後述するように、イオン量検出器91,92,93,94から受信した信号に基づいて、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62、モータ2、回転台駆動部83を制御する。また、制御部110は、イオン量検出器91,92,93,94から受信した信号に基づいて、イオン量検出器91,92,93,94で検出されたプラスイオンとマイナスイオンの量を表示するように、表示部102に制御信号を送信する。
【0074】
また、制御部110は、イオン量検出器91,92,93,94に信号を送信して、イオン量検出器91,92,93,94において検出されたイオン量と、あらかじめ定められた所定のイオン量との差を制御部に送信するように設定することができる。
【0075】
なお、イオン量検出器91,92,93,94は、互いに信号を送受信するように構成されていてもよい。
【0076】
角度検出器84は、回転台80(図6)が回転台駆動部83によって回転された角度を検出して、制御部110に信号を送信する。
【0077】
以上のように構成されるイオン発生装置の動作の一例について、図1〜図8を用いて説明する。図8に示すフローチャートにおいて、所定の判断の主体は制御部110である。
【0078】
使用者によって運転スイッチ101が操作され、イオン発生装置の運転が開始されると、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62と、送風部のモータ2とが駆動される。
【0079】
プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62とが駆動されると、イオン発生器6a,6b,6c,6dでは、それぞれ、プラスイオンとマイナスイオンが発生される。
【0080】
モータ2が駆動されると、羽根車3,3が回転し、室内の空気が2つの吸込口11,11から二つのケーシング4,4内へ吸込まれる。吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ8,8により除去される。ケーシング4,4内に吸込まれた空気は、羽根車3,3の周りの円弧形誘導壁41,41により層流になる。この層流になった空気は、円弧形誘導壁41,41に沿って吹出口42,42へ通流し、吹出口42,42からダクト5,5内へ吹き出される。
【0081】
ダクト5内では、イオン発生器6a,6b,6c,6dを通過する空気にプラスイオンとマイナスイオンが含まれる。プラスイオンとマイナスイオンとを含んだ空気は、イオン放出口73からイオン発生装置本体100の外部に放出されて、イオン供給対象室200内に供給される。
【0082】
ステップS001では、イオン供給対象室200内に供給されたプラスイオンとマイナスイオンは、イオン量検出器91,92,93,94によって検出される。ステップS002では、制御部110は、イオン発生装置の運転開始から所定の時間が経過したかどうかを判断する。イオン発生装置の運転開始から所定の時間が経過していなければ、ステップS002に戻る。イオン発生装置の運転開始から所定の時間が経過していれば、ステップS003に進む。
【0083】
ステップS003では、制御部110は、回転台80のテーブル81を所定の角度だけ回転させるように、回転台駆動部83を制御する。回転台駆動部83を回転させると、回転の角度に応じて、イオン量検出器91,92,93,94のうちの特定のイオン量検出器と制御部110とが赤外線通信を行なう。ステップS004では、制御部110はイオン量検出器91,92,93,94と制御部110とが赤外線通信を行なうことによって信号を受信する。制御部110は、イオン量検出器91,92,93,94のうちの1つと赤外線通信を行なう度に、その時に角度検出器84によって検出されている角度を記憶する。このようにすることにより、以後の行程では、制御部110は、イオン量検出器91,92,93,94を、それぞれ、赤外線通信が行なわれるときに角度検出器84によって検出される角度で識別することができる。
【0084】
ステップS005では、制御部110は、イオン量検出器91,92,93,94のうち、検出したイオンの量が、あらかじめ定められた所定のイオンの量として、第1の設定値よりも小さいイオン量検出器があるかどうかを判断する。検出したイオンの量が第1の設定値よりも小さいイオン量検出器があれば、ステップS006に進む。検出したイオンの量が第1の設定値よりも小さいイオン量検出器がなければ、ステップS007に進む。
【0085】
ステップS006では、制御部110は、検出したイオンの量が第1の設定値よりも小さいイオン量検出器の方向にイオン放出口73を向けるように、回転台駆動部83を制御する。制御部110は所定時間、回転台80の回転を停止させて、検出したイオンの量が第1の設定値よりも小さいイオン量検出器の方向にイオンを放出させ続ける。この時、制御部110は、イオン放出口73から送出される風量を増加させるようにモータ2を制御してもよい。所定時間経過後、ステップS005に戻る。
【0086】
イオン発生装置は、検出したイオンの量が第1の設定値よりも小さいイオン量検出器がなくなるまで、ステップS005とステップS006とを繰り返す。このようにすることにより、イオン供給対象室200内においては、イオン量検出器91,92,93,94のいずれが配置されている位置でも、イオンの量を第1の設定値よりも大きくすることができる。
【0087】
ステップS007では、制御部110は、イオン量検出器91,92,93,94のうち、検出したイオンの量が、あらかじめ定められた所定のイオンの量として、第2の設定値よりも大きいイオン量検出器があるかどうかを判断する。検出したイオンの量が、第2の設定値よりも大きいイオン量検出器があれば、ステップS008に進む。検出したイオンの量が、第2の設定値よりも大きいイオン量検出器がなければ、ステップS003に戻る。第2の設定値は、第1の設定値よりも大きい値である。
【0088】
ステップS008では、制御部110は、検出したイオンの量が第2の設定値よりも大きいイオン量検出器の方向への送風量を減少させるように、回転台駆動部83とモータ2を制御する。例えば、制御部110は、回転台駆動部83を駆動して、検出したイオンの量が第2の設定値よりも大きいイオン量検出器の方向に送風されないように、イオン発生装置本体100のイオン放出口73の向きを変更する。また、例えば、制御部110はモータ2を制御して、検出したイオンの量が第2の設定値よりも大きいイオン量検出器の方向への送風量を減少させる。その後、ステップS005に戻る。
【0089】
イオン発生装置は、検出したイオンの量が第1の設定値よりも小さいイオン量検出器がなくなり、また、検出したイオンの量が第2の設定値よりも大きいイオン量検出器がなくなるまで、ステップS005からステップS008までを繰り返す。このようにすることにより、イオン供給対象室200内においては、イオン量検出器91,92,93,94のいずれが配置されている位置でも、イオンの量が第1の設定値よりも大きく、第2の設定値よりも小さい範囲内にすることができる。
【0090】
なお、この実施形態においては、制御部110は、イオン発生装置本体100が回転台80によって回転させられることによって、特定の回転角度のときに特定のイオン量検出器91,92,93,94と赤外線通信を行なうことによって信号を送受信する。しかし、イオン量検出器91,92,93,94と制御部110とは、他の方法で信号の送受信を行なってもよい。例えば、イオン量についてのデータの送受信方式については、特定小電力無線などの方式とすることも可能である。イオン量検出器91,92,93,94と制御部110との間で、データを特定小電力無線等の電波で送信する場合には、イオン量検出器91,92,93,94の設置場所を特定することが必要になる。そのため、この場合には、イオン量検出器91,92,93,94の設置場所のデータを、イオン量についてのデータと同時に送信することができるような機器構成が必要である。例えば、イオン量検出器91,92,93,94に小型GPSを搭載することが考えられる。小型GPSを搭載したイオン量検出器91,92,93,94を用いる場合には、イオン発生装置本体100を中心として、イオン量検出器91,92,93,94を左右方向に複数に角度分割する。イオン量検出器91,92,93,94は、「右1」、「右2」、「左1」、「左2」などのように、イオン量検出器91,92,93,94が配置されている方向を、イオン量検出器91,92,93,94で検出されたイオンの量とともに、イオン発生装置本体100の制御部110に送信する。
【0091】
また、この実施の形態においては、イオン量検出器91,92,93,94と制御部110との間で行なわれる通信は無線通信としたが、有線通信であってもよい。
【0092】
また、イオン量検出器91,92,93,94は、所定時間ごとに制御部110にイオン量についての情報を送信するように構成されていてもよい。
【0093】
また、この実施の形態においては、回転台80を回転させてイオン放出口73の向きを変更したり、モータ2を制御して送風量を変更したりすることによって、イオン放出口から放出されるプラスイオンとマイナスイオンの量を調整している。しかし、イオン発生装置においては、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62とを制御することによって、プラスイオンとマイナスイオンの発生量を調整してもよい。プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62とにおいてイオンの発生量を増加する方法としては、イオン発生器6a,6b,6c,6dの放電電圧を上げたり、イオン発生器6a,6b,6c,6dの印加パルスを増加させたり、イオン発生器6a,6b,6c,6dへの送風量を増加させる、すなわち、イオン発生器6a,6b,6c,6dへの送風速度を増加させたりする方法がある。また、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62とにおいてイオン発生量を減少させるには逆に、イオン発生器6a,6b,6c,6dの放電電圧を下げたり、イオン発生器6a,6b,6c,6dの印加パルスを減少させたり、イオン発生器6a,6b,6c,6dへの送風量を減少させる、すなわち、イオン発生器6a,6b,6c,6dへの送風速度を減少させたりすることが一般的である。
【0094】
また、図8に示すフローチャートのステップS006では、検出したイオンの量が第1の設定値よりも小さいイオン量検出器の方向に放出されるイオンの量を増加させている。しかし、イオン発生装置を簡素化するために、ステップS006では、すべてのイオン量検出器91,92,93,94で検出されるイオン量が第1の設定値よりも大きくなるまで、イオン発生装置本体100からイオンを放出させながら回転台80を時計回りと反時計回りに回転させ続けてもよい。
【0095】
また、この実施の形態においては、イオン供給対象室200内で検出されるイオンの濃度が第1の設定値と第2の設定値との間の範囲になるように制御されている。しかし、制御部110は、例えば、イオン量検出器91,92,93,94のそれぞれで検出されたイオン量のうち、最小のイオン量を示すイオン量検出器の方向に、イオンを含む空気が送風されるようにモータ2と回転台駆動部83を駆動してもよい。また、最も少ないイオン量を検出したイオン量検出器の方向にイオンを含む空気が送風されるようにモータ2と回転台駆動部83を駆動してもよい。
【0096】
さらにまた、この発明の実施の形態においては、イオン量検出器91,92,93,94の設定値を2つにしているが複数の値が設定されてもよい。また、イオン量検出器91,92,93,94からは、設定値に対する偏差値情報や、単に設定値以上であるか、設定値未満であるか、という判断の結果を制御部110に送信してもよい。この実施形態においては第1の設定値をイオン量の下限値、第2の設定値をイオン量の上限値として説明したが、設定値と関係なく、イオン量検出器91,92,93,94で検出された値をそのままデータとして送信し、イオン量の分布を絶対値で管理することも可能である。
【0097】
また、イオン量検出器91,92,93,94からの信号の送信は「イベント」発生時のみとすることも可能である。「イベント」発生時のみ信号を送信する方法としては、例えば、イオン量が設定値の上限または下限を逸脱した時のみ制御部110に対して情報を送信する方法がある。このようにすることにより、通常、リモコンの電源として使用される電池の消耗を防止することができ、電池の長期使用を可能にする。
【0098】
以上の実施の形態では、イオン発生装置について述べているが、本発明はイオン発生装置を備える他の装置、例えば、空気清浄機や空気調和機に用いることができる。
【0099】
以上のように、この実施の形態のイオン発生装置は、イオンを空気中に放出させるイオン発生装置本体100と、空気中に放出されたイオンの量を検出する複数のイオン量検出器91,92,93,94とを備える。
【0100】
イオン発生装置本体100は、イオンを発生させるプラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62と、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62で発生されたイオンを空気中に放出するイオン放出口73とを含む。
【0101】
イオン量検出器91,92,93,94は、イオン発生装置本体100から離隔して配置される。複数のイオン量検出器91,92,93,94は、それぞれ、互いに離隔して配置される。イオン発生装置は、それぞれのイオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出口73から空気中に放出されるイオンの放出方向を変更する回転台80をさらに備える。
【0102】
このように、複数のイオン量検出器91,92,93,94がイオン発生装置本体100から離隔して配置され、複数のイオン量検出器91,92,93,94は、それぞれ、互いに離隔して配置されることによって、イオン供給対象室200内において、より広い範囲のイオンを検出することができる。そして、回転台80によって、イオン放出口73から放出されるイオンの放出方向を変更することにより、それぞれのイオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出口73からそれぞれのイオン量検出器91,92,93,94が配置されている方向に放出されるイオンの量を容易に変更することができる。これにより、イオン供給対象室200内においてより広い範囲に配置されるイオン量検出器91,92,93,94によって検出されたイオンの量に基づいて、イオン放出口73から空気中に放出されるイオンの放出方向を変更することによって、イオン供給対象室200内のより広い範囲におけるイオンの分布を調整しやすくなる。
【0103】
このようにすることにより、イオン供給対象室200内において、イオンを好ましい濃度で分布させることが可能なイオン発生装置を提供することができる。イオンを好ましい濃度で分布させることによって、イオンによる本来の空気清浄効果、すなわち、殺菌、除菌、脱臭等の効果が得られる。
【0104】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62は、それぞれのイオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量に基づいて、発生させるイオンの量を変更するように構成されていることが好ましい。
【0105】
プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62が発生させるイオンの量を変更することにより、それぞれのイオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出口73から空気中に放出されるイオンの量を容易に変更することができる。
【0106】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62は、イオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量が、あらかじめ定められた所定の量よりも少ない場合に、発生させるイオンの量を増加させるように構成されていることが好ましい。
【0107】
このようにすることにより、イオン供給対象室200内のより広い範囲において、イオンの量をあらかじめ定められた所定の量よりも多く保つことができる。したがって、イオン供給対象室200内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。
【0108】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62は、イオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量が、あらかじめ定められた所定の量よりも多い場合に、発生させるイオンの量を減少させるように構成されていることが好ましい。
【0109】
このようにすることにより、イオン供給対象室200内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。また、不必要に放出されるイオンを減少させることができるので、省エネルギーになる。
【0110】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、回転台80は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量が最も少ないイオン量検出器91,92,93,94の方向にイオンを放出するように、イオン放出口73のイオンの放出方向を変更することが好ましい。
【0111】
このようにすることにより、イオン供給対象室200内におけるイオン量の分布の幅を小さくすることができる。
【0112】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、回転台80は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ないイオン量検出器91,92,93,94の方向にイオンを放出するように、イオン放出口73のイオンの放出方向を変更する。
【0113】
このようにすることにより、イオン供給対象室200内のより広い範囲において、イオンの量をあらかじめ定められた所定の量よりも多く保つことができる。したがって、イオン供給対象室200内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。
【0114】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、回転台80は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多いイオン量検出器91,92,93,94の方向に放出されるイオンの量を減少させるように、イオン放出口73のイオンの放出方向を変更することが好ましい。
【0115】
このようにすることにより、イオン供給対象室200内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。また、不必要に放出されるイオンを減少させることができるので、省エネルギーになる。
【0116】
また、この実施の形態のイオン発生装置は、プラスイオン発生部61とマイナスイオン発生部62で発生されるイオンを送出するために送風を行うモータ2と羽根車3を備える。モータ2と羽根車3は、それぞれのイオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量に基づいて、送風の向き、および/または、送風の量を変更するように構成されていることが好ましい。
【0117】
モータ2と羽根車3が送風の向き、および/または、送風の量を変更するように構成されていることにより、それぞれのイオン量検出器91,92,93,94が検出したイオンの量に基づいて、イオン放出口73からそれぞれのイオン量検出器91,92,93,94が配置されている方向に放出されるイオンの量を容易に変更することができる。
【0118】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、モータ2と羽根車3は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量が最も少ないイオン量検出器91,92,93,94の方向に送風するように送風の向きを変更するように構成されていることが好ましい。
【0119】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、モータ2と羽根車3は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量が最も少ないイオン量検出器91,92,93,94の方向に送風される風量を増加させるように構成されていることが好ましい。
【0120】
このようにすることにより、イオンを検出した量が最も少ないイオン量検出器91,92,93,94の方向により多くのイオンを放出させることができるので、イオン供給対象室200内におけるイオン量の分布の幅を小さくすることができる。
【0121】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、モータ2と羽根車3は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ないイオン量検出器91,92,93,94の方向に送風するように送風の向きを変更するように構成されていることが好ましい。
【0122】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、モータ2と羽根車3は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ないイオン量検出器91,92,93,94の方向に送風される風量を増加させるように構成されていることが好ましい。
【0123】
このようにすることにより、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ないイオン量検出器91,92,93,94の方向により多くのイオンを放出させることができるので、イオン供給対象室200内のより広い範囲において、イオンの量をあらかじめ定められた所定の量よりも多く保つことができる。したがって、イオン供給対象室200内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。
【0124】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、モータ2と羽根車3は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多いイオン量検出器91,92,93,94の方向に送風される風量が少なくなるように送風の向きを変更するように構成されていることが好ましい。
【0125】
また、この実施の形態のイオン発生装置においては、モータ2と羽根車3は、複数のイオン量検出器91,92,93,94のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多いイオン量検出器91,92,93,94の方向に送風される風量を少なくするように構成されていることが好ましい。
【0126】
このようにすることにより、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多いイオン量検出器91,92,93,94の方向に放出されるイオンの量を減少させることができるので、イオン供給対象室200内におけるイオンの分布を好ましい濃度分布にしやすくなる。また、不必要に放出されるイオンを減少させることができるので、省エネルギーになる。
【0127】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0128】
2:モータ、3:羽根車、61:プラスイオン発生部、62:マイナスイオン発生部、73:イオン放出口、80:回転台、91,92,93,94:イオン量検出器、100:イオン発生装置本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを空気中に放出させるイオン発生装置本体と、
空気中に放出されたイオンを検出する複数のイオン検出部とを備え、
前記イオン発生装置本体は、
イオンを発生させるイオン発生部と、
前記イオン発生部で発生されたイオンを空気中に放出するイオン放出部とを含み、
前記イオン検出部は、前記イオン発生装置本体から離隔して配置され、
前記複数のイオン検出部は、それぞれ、互いに離隔して配置され、さらに、
それぞれの前記イオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、前記イオン放出部から空気中に放出されるイオンの放出方向を変更するイオン放出方向変更部を備える、イオン発生装置。
【請求項2】
前記イオン発生部は、それぞれの前記イオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、発生させるイオンの量を変更するように構成されている、請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記イオン発生部は、前記イオン検出部が検出したイオンの量が、あらかじめ定められた所定の量よりも少ない場合に、発生させるイオンの量を増加させるように構成されている、請求項1または請求項2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記イオン発生部は、前記イオン検出部が検出したイオンの量が、あらかじめ定められた所定の量よりも多い場合に、発生させるイオンの量を減少させるように構成されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記イオン放出方向変更部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量が最も少ない前記イオン検出部の方向にイオンを放出するように、前記イオン放出部のイオンの放出方向を変更する、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記イオン放出方向変更部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ない前記イオン検出部の方向にイオンを放出するように、前記イオン放出部のイオンの放出方向を変更する、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記イオン放出方向変更部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多い前記イオン検出部の方向に放出されるイオンの量を減少させるように、前記イオン放出部のイオンの放出方向を変更する、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記イオン発生部で発生されるイオンを送出するために送風を行う送風部を備え、
前記送風部は、それぞれの前記イオン検出部が検出したイオンの量に基づいて、送風の向き、および/または、送風の量を変更するように構成されている、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項9】
前記送風部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量が最も少ない前記イオン検出部の方向に送風するように送風の向きを変更するように構成されている、請求項8に記載のイオン発生装置。
【請求項10】
前記送風部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量が最も少ない前記イオン検出部の方向に送風される風量を増加させるように構成されている、請求項8または請求項9に記載のイオン発生装置。
【請求項11】
前記送風部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ない前記イオン検出部の方向に送風するように送風の向きを変更するように構成されている、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項12】
前記送風部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも少ない前記イオン検出部の方向に送風される風量を増加させるように構成されている、請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項13】
前記送風部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多い前記イオン検出部の方向に送風される風量が少なくなるように送風の向きを変更するように構成されている、請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項14】
前記送風部は、前記複数のイオン検出部のうち、イオンを検出した量があらかじめ定められた所定の量よりも多い前記イオン検出部の方向に送風される風量を少なくするように構成されている、請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−266139(P2010−266139A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118460(P2009−118460)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】