説明

イチゴの計画栽培方法

【課題】年間を通じて複数回現れるイチゴ需要量のピーク期間にイチゴ収穫量のピーク期間が一致するようにイチゴを栽培可能なイチゴの計画栽培方法を提案すること。
【解決手段】イチゴの計画栽培方法では、子株の第二開花時期を前後にずらすための育苗期間設定、定植時期を前後にずらすことで第一開花時期を前後にずらす定植時期設定、および、子株の第二開花時期を前後にずらすための定植後の日射量設定を行うことによって、子株の第一開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を需要のピーク期間のうちの一つのピーク期間に一致させ、当該子株の第二開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を需要のピーク期間のうちの別のピーク期間に一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は年間を通じてイチゴ需要量の変化に合わせてイチゴ収穫量を調整することのできるイチゴの計画栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
施設園芸(ハウス栽培)は、栽培環境条件を人工的に制御することにより、イチゴ等の生産物の収穫時期(出荷時期)を露地栽培に比べてより簡単に調整できることが特徴であり、収穫時期を月単位程度の期間早くする促成栽培が定着している。例えば、特許文献1(特開平7−322759号公報)に記載されているように、イチゴ等の促成栽培は、暗黒・低温処理により花芽分化を促進した苗を定植することにより行われる。また、特許文献2(特開2002−272262号公報)には、栽培ベッドに定植したイチゴをイチゴ栽培冷却装置によって冷却することによって、収穫時期を9月から気温の高い8月に早めることが提案されている。
【0003】
一方、特許文献3(特開平6−90614号公報)には、イチゴのハウス栽培において、周年にわたってイチゴを栽培できるようにするために、イチゴの定植部周辺の地温を所定温度に維持すると共に、高温長日期間中においては8〜10時間の短日処理を行うことが記載されている。また、特許文献4(特開平10−178944号公報)には、短日処理等を行って果実収量を安定的に高めるイチゴの水耕栽培方法が記載されている。
【0004】
このように、従来におけるイチゴのハウス栽培としては、温度、日射量を管理して、収穫時期(出荷時期)を月単位程度の期間で早める促成栽培が定着しており、また、通年に亘って安定的に収穫量を維持するための試みもなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−322759号公報
【特許文献2】特開2002−272262号公報
【特許文献3】特開平6−90614号公報
【特許文献4】特開平10−178944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、イチゴの需要量は、年間を通じて一定ではなく、異なる時期にピークが複数回現れる。例えば、イチゴ園では、12月のクリスマス期間、2〜3月にかけての春休みのいちご狩りの期間、5月の連休時のいちご狩りの期間において需要のピークが発生する。これらのうち、特に、2〜3月にかけての期間と5月の連休時の期間における需要量が多い。
【0007】
しかしながら、従来におけるイチゴの栽培方法では、かかる年間を通じてのイチゴの需要量の経時変化に応じた収穫量が得られるように栽培を行うことについては何ら着目されていない。また、このような需要の変化に応じた計画生産方法についても何ら提案されていない。さらに、従来の促成栽培では月単位程度で収穫時期を早めることはできるものの、これよりも短い期間、例えば、週単位、日単位で収穫時期を調整することは不可能である。
【0008】
このために、イチゴ園では、最も需要の多い2〜3月にかけての期間と5月の連休中の期間において、イチゴが不足してしまい閉園せざるを得ないという事態も発生している。勿論、需要のピークに対応できるように多量のイチゴの苗を栽培しておけばよいが、このようにすると、需要のピーク以外の期間においては値崩れの発生、過剰な果実の廃棄処分が必要になってしまうので現実的な解決策ではない。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、年間を通じて複数回現れるイチゴ需要量のピーク期間にイチゴ収穫量のピーク期間が一致するようにイチゴを栽培することのできるイチゴの計画栽培方法を提案することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、年間を通じてイチゴ需要量の変化に合わせてイチゴ収穫量を調整することのできるイチゴの計画栽培方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明のイチゴの計画栽培方法は、年間を通して異なる時期に現れる複数回のイチゴ需要量のピーク期間に合わせてイチゴ収穫量のピーク期間が現れるようにイチゴ栽培を行うために、
(1)親株から切り離した子株を育苗床に植えた時点から定植床に移植するまでの間の育苗期間を調整することで、当該子株の第二開花時期を前後にずらす育苗期間設定、
(2)育苗後の子株を定植床に移植する定植時期を前後にずらすことで、当該子株の第一開花時期を前後にずらす定植時期設定、および
(3)定植後の子株に対する日射量を増減することで、前記子株の第二開花時期を前後にずらす日射量設定のうち、
少なくとも(1)および(2)の設定、または、少なくとも(2)および(3)の設定を行うことによって、
前記子株の第一開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を前記需要のピーク期間のうちの一つのピーク期間に一致させ、当該子株の第二開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を前記需要のピーク期間のうちの別のピーク期間に一致させることを特徴としている。
【0012】
イチゴ苗の定植から第一開花(開花率60%)までの所要日数は苗の種類に応じて定まっており、一般的に60日程度である。イチゴ需要量のピーク時期にイチゴ果実の収穫量のピーク時期を合わせるために、イチゴ苗の定植時期を調整して第一開花後の結実時期を調整することは一般的に行われている。しかしながら、イチゴ苗の定植から第二開花までの所要日数を、週単位あるいは日単位で調整することができないので、第二開花後の結実時期をイチゴ需要の次のピーク時期に合わせることができない。
【0013】
本発明では、定植時期を予め設定して第一開花後の結実時期を調整すると共に、育苗期間設定および日射量設定(遮光率設定)のうちの少なくとも一方を予め行って、定植時期から第二開花までの所要日数を調整している。本発明者は、各種の栽培環境条件の下でのイチゴ苗の生育状態を観察し、その苗特性などを分析した結果、育苗期間と定植日から第二開花までの所要日数との間に有意の関係があることを見出した。
【0014】
すなわち、育苗期間を増減するとそれに伴なって苗特性が変化し、定植後の開花率の経時変化特性が変化することが確認された。特に、定植時期が同一であれば、育苗期間が長いと第二開花時期が早まり、育苗期間が短いと逆に第二開花時期が遅くなることが確認された。また、育苗期間を増減することで、日単位で第二開花時期を前後できる事も確認された。なお、いずれの場合においても第一開花時期には殆ど変化は見られないことも確認された。
【0015】
また、本発明者は、定植後の栽培条件のうち日射量(遮光率)以外を同一にした場合に、日射量(遮光率)を変えることによって、第一開花時期に変化は見られないものの、第二開花時期を週単位あるいは日単位で調整できることを見出した。例えば、日射量を30%遮光した場合には、35日程度、第二開花時期が遅くなることが確認された。
【0016】
本発明のイチゴの計画栽培方法は、本発明者による上記の知見に基づきなされたものであり、定植時期を事前に設定することで第一開花時期を調整でき、育苗期間および定植後の遮光率を事前に設定することで第一開花時期を変化させることなく第二開花時期のみを調整できる。この結果、第一開花後の結実時期および第二開花後の結実時期を、イチゴ需要の2つのピーク期間にそれぞれ一致するようにイチゴを計画栽培することが可能になる。したがって、本発明によれば、従来の栽培方法の場合と同一数のイチゴ苗を用いて効率良くイチゴを収穫(出荷)することができる。
【0017】
ここで、前記の(1)、(2)および(3)の設定を共に行うようにすれば、子株の第一開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を需要のピーク期間のうちの一つのピーク期間に一致させ、当該子株の第二開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を需要のピーク期間のうちの別のピーク期間に一致させる計画栽培を週単位あるいは日単位で精度良く行うことができる。
【0018】
また、実際の計画栽培に当っては、事前に、次の(a)、(b)および(c)の特性を求めておけばよい。例えば、予め定めた栽培条件下において育苗期間、遮光率を変えてイチゴ苗を実際に栽培し、その生育状態を観察すればよい。
(a)前記子株の育苗期間を変更した場合における当該子株の定植後の時間経過に伴う開花率の変化を表す第1開花率経時変化特性
(b)前記子株の定植時期から第一開花時期までの所要日数
(c)前記子株の定植後の日射量を変更した場合における当該子株の定植後の時間経過に伴う開花率の変化を表す第2開花率経時変化特性
【0019】
そして、これら(a)、(b)および(c)の特性に基づき、子株の第一開花後のイチゴ収穫量のピーク期間が需要のピーク期間のうちの一つのピーク期間に一致し、当該子株の第二開花後のイチゴ収穫量のピーク期間が需要のピーク期間のうちの別のピーク期間に一致するように、育苗期間調整、定植時期調整および日射量調整を行うようにすればよい。
【0020】
次に、年間を通じてイチゴ需要量の変化に一致するようにイチゴの合計収穫量を増減するためには、イチゴ苗を特性の異なる複数の群に分け、これらの群について、定植時期調整および遮光率調整(日射量調整)を個別に行うようにすればよい。これによって、より精度良く、通年を通じてイチゴ需要の変化に対応するようにイチゴの収穫量(出荷量)を増減させることが可能になる。
【0021】
一方、定植後においては子株の生育状況を実際に観察し、観察された生育状況に応じて、日射量調整(遮光率調整)と、栽培環境の温度調整およびCO濃度調整とを行って、子株の実際の成長速度を制御することが望ましい。例えば、予め定めた成長状態よりも遅れている場合には、日射量を増やすと共に、環境温度およびCO濃度を上げて成長の遅れを取り戻すようにすればよい。逆に、実際の成長が速すぎる場合には、日射量を減らし、環境温度およびCO濃度を下げて、成長を遅らせるようにすればよい。このようにして、子株の成長速度(開花率変化)を調整することにより、より精度良く、イチゴ需要に一致したイチゴ収穫量を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のイチゴ計画栽培方法の例を示す説明図である。
【図2】遮光率に起因する第二開花時期の変化を示すグラフである。
【図3】育苗期間に起因する第二開花時期の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して本発明を適用したイチゴの計画栽培方法の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は本発明のイチゴの計画栽培方法を示す説明図である。この図に示すように、イチゴの栽培は、大きく分けて、親株の苗を培地に植えてランナー増殖させる苗増殖期間P1と、増殖によって得られた子株の苗を育成する育苗期間P2と、育苗後の子株の苗を定植床に移植して栽培する栽培期間P3から成り立っている。栽培期間P3において開花、受粉、結実、収穫が繰り返される。
【0025】
図1の最も上の第1段目には、予め定めた基本条件に従って苗増殖、育苗、栽培を行う場合におけるイチゴ苗の生育状態を時間軸に沿って示してある。t1は親株の苗の植え付け時点、t2は子株の苗の植え付け時点、t3は苗の定植時点、t4は第一開花時点(開花率60%)、t5は第二開花時点(開花率60%)である。また、第一開花後の第1収穫期間h1および第二開花後の第2収穫期間h2をそれぞれ斜線で示してある。
【0026】
図1の第2段目には、栽培期間P3における日射量を第1段目の場合に比べて70%に減らした場合、換言すると遮光率を30%とした場合のイチゴ苗の生育状態を示してある。遮光率以外の栽培条件は第1段目の基本条件と同一である。遮光率を増やすと第一開花時期に変動はないが、第二開花時点が時点t5を時点t5bに遅らせることができる。この結果、第二開花後の第2収穫期間を全体として期間h2からh2bに遅らせることができる。
【0027】
図1の第3段目には、育苗期間T(時点t2から時点t3までの間)を、第1段目の場合に比べて長くした場合におけるイチゴ苗の生育状態を示してある。これ以外の条件は第1段目の栽培条件と同一である。育苗期間を長くすると第一開花時期に変動はないが、第二開花時点が時点t5から時点t5aに早めることができる。この結果、第二開花後の第2収穫期間を全体として期間h2からh2aに早めることができる。
【0028】
ここで、第1段目、第2段目および第3段目の各栽培条件においては、それらのイチゴ苗の定植時点t3が同一であるので、第一開花時点t4は同一時点のままである。すなわち、栽培期間における遮光率および育苗期間の長短のいずれにも殆ど影響されない。したがって、第一開花後の第1収穫期間h1は定植時点t3によって定めることができる。
【0029】
この結果、図1の第4段目に示すように、第1収穫期間h1においては第1〜第3段目のイチゴ苗から果実を同時的に収穫することができるので、当該収穫期間における収穫量が最も多くなる。この後は、早まった第2収穫期間h2a、通常の第2収穫期間h2、遅れた第2収穫期間h2bにおいて、それぞれ収穫量のピークが現れる。よって、同一種類のイチゴ苗を定植時期を同一として栽培した場合において、育苗期間を調整して苗の特性を変えると共に栽培期間における遮光率(日射量)を調整することにより、異なる時期に複数の収穫量のピークを形成することができる。
【0030】
これにより、例えば、図1の最も下の第5段目に描かれているような通年において異なる時期に複数回のピーク期間が現れるイチゴ需要に一致させてイチゴを収穫することができる。また、遮光率および育苗期間を調整すると、他の栽培条件を調整する場合に比べて、精度良く収穫期間を前後に調整することができる。すなわち、従来においては月単位でしか調整できなかった収穫期間を、日単位あるいは週単位で調整することが可能である。
【0031】
ここで、図2には、本発明者が行った遮光率に起因するイチゴ苗の開花率の経時変化特性の変化の例を示すグラフである。この図において、実線Aは予め定めた日射量でイチゴ苗を栽培した場合の開花率の変化を示し、破線Bは日射量を30%遮光(遮光率30%)した場合のイチゴ苗の開花率の変化を示すものである。第一開花時点t4(開花率60%)は双方ともにほぼ同時期であるが、第二開花時点は日射量が多いものが時点t5であるのに対して日射量が少ないもの(遮光率30%)のものは約35日遅い時点t5bにシフトしている。
【0032】
次に、図3は本発明者が行った育苗期間に起因するイチゴ苗の開花率の経時変化特性の変化の例を示すグラフである。この図において、曲線Iは育苗期間が43日、定植時期が8月6日の場合を示し、曲線IIは育苗期間が42日、定植時期が7月31日の場合を示し、曲線IIIは育苗期間が41日、定植時期が8月2日の場合を示し、曲線IVは育苗期間が51日、定植時期が8月20日の場合を示している。
【0033】
これらの曲線を比較すると、育苗期間の相違に拘わりなく、第一開花時点は、略定植時期の前後に応じて前後した時点に現れる。これに対して、第二開花時点は定植時期の前後に対応する順番にはならず、育苗期間の長短によって大きく影響を受けていることが分かる。例えば、育苗期間が最も長く定植時期が最も遅い曲線IVでは、第二開花時期が早まって第一開花に連続している。
【0034】
したがって、イチゴの計画栽培においては、次の(a)、(b)および(c)の特性を予め求め、
(a)前記子株の育苗期間を変更した場合における当該子株の定植後の時間経過に伴う開花率の変化を表す第1開花率経時変化特性
(b)子株の定植時期から第一開花時期までの所要日数
(c)子株の定植後の日射量を変更した場合における当該子株の定植後の時間経過に伴う開花率の変化を表す第2開花率経時変化特性
これら(a)、(b)および(c)の特性に基づき、子株の第一開花後のイチゴ収穫量のピーク期間が需要のピーク期間のうちの一つのピーク期間に一致し、当該子株の第二開花後のイチゴ収穫量のピーク期間が需要のピーク期間のうちの別のピーク期間に一致するように、予め、育苗期間および定植時期を設定しておけばよい。また、栽培期間における日射量(遮光率)を予め設定しておけばよい。
【0035】
また、複数回のピーク期間が異なる時期に現れるイチゴ需要に対応できるようにするためには、多数本の子株を複数の群に分け、年間を通じてイチゴ需要量の変化に対応して各群の合計イチゴ収穫量が増減するように、各群に対する育苗期間、定植時期、および日射量(遮光率)を群毎に個別に設定しておけばよい。例えば、図1に示したように、第1段目、第2段目および第3段目の3つの群に、イチゴの苗木を分け、それぞれの育苗、栽培条件を設定しておけばよい。
【0036】
さらに、イチゴ苗の栽培期間においては、イチゴ苗の生育状況を観察し、生育状況に応じて、栽培環境条件を調整して苗の成長速度を調整すればよい。この場合には、日射量調整、栽培環境の温度調整およびCO濃度調整を行うことにより、効率良く、イチゴ苗の成長速度を制御することができる。
【0037】
なお、上記の説明においては、理解を容易にするためにイチゴ苗木が単一種類のものであることを前提として説明した。異なる種類のイチゴ苗を用いれば、それぞれの苗特性が異なり、育苗期間に起因する苗特性の変化、遮光率に起因する苗特性の変化も相違する。したがって、それぞれの苗木の特性に応じて適切に育苗期間、遮光率を設定すればよい。
【符号の説明】
【0038】
P1 苗増殖期間
P2 育苗期間
P3 栽培期間
t1 親株の植え付け時点
t2 子株の植え付け時点
t3 定植時点
t4 第一開花時点
t5、t5a、t5b 第二開花時点
h1 第1収穫期間
h2、h2a、h2b 第2収穫期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
年間を通して異なる時期に現れる複数回のイチゴ需要量のピーク期間に合わせてイチゴ収穫量のピーク期間が現れるようにイチゴ栽培を行うイチゴの計画栽培方法であって、
(1)親株から切り離した子株を育苗床に植えた時点から定植床に移植するまでの間の育苗期間を調整することで、当該子株の第二開花時期を前後にずらす育苗期間設定、
(2)育苗後の子株を定植床に移植する定植時期を前後にずらすことで、当該子株の第一開花時期を前後にずらす定植時期設定、および
(3)定植後の子株に対する日射量を増減することで、前記子株の第二開花時期を前後にずらす日射量設定のうち、
少なくとも(1)および(2)の設定、または、少なくとも(2)および(3)の設定を行うことによって、
前記子株の第一開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を前記需要のピーク期間のうちの一つのピーク期間に一致させ、当該子株の第二開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を前記需要のピーク期間のうちの別のピーク期間に一致させることを特徴とするイチゴの計画栽培方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記の(1)、(2)および(3)の設定を行うことによって、前記子株の第一開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を前記需要のピーク期間のうちの一つのピーク期間に一致させ、当該子株の第二開花後のイチゴ収穫量のピーク期間を前記需要のピーク期間のうちの別のピーク期間に一致させることを特徴とするイチゴの計画栽培方法。
【請求項3】
請求項2において、
次の(a)、(b)および(c)の特性を予め求め、
(a)前記子株の育苗期間を変更した場合における当該子株の定植後の時間経過に伴う開花率の変化を表す第1開花率経時変化特性
(b)前記子株の定植時期から第一開花時期までの所要日数
(c)前記子株の定植後の日射量を変更した場合における当該子株の定植後の時間経過に伴う開花率の変化を表す第2開花率経時変化特性
これら(a)、(b)および(c)の特性に基づき、前記子株の第一開花後のイチゴ収穫量のピーク期間が前記需要のピーク期間のうちの一つのピーク期間に一致し、当該子株の第二開花後のイチゴ収穫量のピーク期間が前記需要のピーク期間のうちの別のピーク期間に一致するように、前記育苗期間設定、前記定植時期設定および前記日射量設定を行うことを特徴とするイチゴの計画栽培方法。
【請求項4】
請求項3において、
多数本の前記子株を複数の群に分け、
年間を通じてイチゴ需要量の変化に対応して各群の合計イチゴ収穫量が増減するように、各群に対する前記育苗期間調整、定植時期調整、および前記日射量調整を群毎に個別に行うことを特徴とするイチゴの計画栽培方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
定植後の前記子株の生育状況を観察し、
生育状況に応じて、前記日射量調整と、栽培環境の温度調整およびCO濃度調整とを行って、前記子株の実際の成長速度を制御することを特徴とするイチゴの計画栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−244946(P2012−244946A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119756(P2011−119756)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(503228192)こもろ布引いちご園株式会社 (7)
【Fターム(参考)】