イベントデータ処理装置
【課題】 センサ端末によって取得した、人物の活動データを表示する技術に関する。センサ端末によって取得したデータは大量であり、人間の記憶の出来事と紐付けるために,人間の活動に関する連続的なセンサデータに適切な区切りを与えて表示する。
【解決手段】 第1の時刻における第1の対面人数と第2の時刻における第2の対面人数との差である対面人数差を算出し、前記対面人数差が予め定められた閾値である対面人数閾値以下であった場合、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間に連続したコミュニケーションが行われていたと判別して、前記第1の対面人数と前記第2の対面人数に含まれる人物と前記第1の時刻と前記第2の時刻とに対してイベントを識別するイベント識別子を関連づけて前記記録部に記録するイベントデータ処理装置。
【解決手段】 第1の時刻における第1の対面人数と第2の時刻における第2の対面人数との差である対面人数差を算出し、前記対面人数差が予め定められた閾値である対面人数閾値以下であった場合、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間に連続したコミュニケーションが行われていたと判別して、前記第1の対面人数と前記第2の対面人数に含まれる人物と前記第1の時刻と前記第2の時刻とに対してイベントを識別するイベント識別子を関連づけて前記記録部に記録するイベントデータ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ端末によって取得した、人物の活動データを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,遠隔オフィスでの業務や,プロジェクト型の業務(1人が同時に複数のプロジェクトに配属され,複数の上司を持つ)が増加しており,部下と上司,チームのメンバ同士が業務内容を互いに把握することが困難になっている。しかしながら,業務量の適切な配分,KnowHow・KnowWho情報を効率的に活用するためには,幅広く業務中の出来事や状況を共有することが必要である。そのために,業務の実態をセンサデータとして収集し,人間が理解しやすい区切りで出来事を表示することが効果的である。
【0003】
PC画面上に表示したファイルの操作ログから会議中の話題の区切りを見つける技術が示されている(たとえば特許文献1)。人々の滞在場所のデータから形成されている集団の発生と消滅を判定する技術が示されている(たとえば特許文献2)。また,マイクによって人物間の会話のやり取りを時系列に整理する技術が知られている(たとえば特許文献3)。また,人物に装着したセンサとPCの操作ログから特定した作業内容にノイズ除去処理を行い,連続した作業として特定する技術が知られている(たとえば特許文献4)。また,会議の議論の質向上のために,発言していない時間に着目して発言要請を出す技術が知られている(たとえば特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-64275
【特許文献2】特許第4525318
【特許文献3】特開2007-27918
【特許文献4】特開2009-211574
【特許文献5】特開平8-274888
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、人間の記憶の出来事と紐付けるために,人間の活動に関する連続的なセンサデータに適切な区切りを与えて表示することである。特に,ホワイトカラーの業務を対象とし,アドホックに複数人が集まって会話する対面イベントや,個人でPCに向かって文書を執筆するなどの個人作業イベントを抽出することで業務中の活動を区切って示す。対面イベントを抽出するためには,人物同士が正対して対面したというデータに基づき,対面イベントに参加したメンバとその開始時刻・終了時刻を特定することが必要である。
【0006】
そのためには,特許文献1では会議中のデータしか対象とならなく、また、,特許文献2ではセンサを設置した場所での集団しか検知できないため,上記の課題を十分に解決できない。また,特許文献2,特許文献4では,複数の人がアドホックに集まり解散するまでの柔軟な集団の形成・解体を一連の纏まったイベントとして抽出する方法は示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
イベントデータ処理装置であって、時刻と人物情報と人物同士が対面したことを示すデータとを含む対面情報が格納される記録部と、対面情報の入力を受け付けて記録部に記録する入力部と、入力部が入力を受け付けた対面情報から対面していた人数である対面人数を算出し、第1の時刻における第1の対面人数と第2の時刻における第2の対面人数との差である対面人数差を算出し、対面人数差が予め定められた閾値である対面人数閾値以下であった場合、第1の時刻と第2の時刻との間に連続したコミュニケーションが行われていたと判別して、第1の対面人数と第2の対面人数に含まれる人物と第1の時刻と第2の時刻とに対してイベントを識別するイベント識別子を関連づけて記録部に記録する制御部と、記録されたイベント識別子を出力する出力部と、を有することを特徴とするイベントデータ処理装置によって、上記課題は解決できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば,途中から会話に参加した人や途中で抜けた人がいてメンバ構成が変化した場合にも,大半のメンバ構成が一致していれば一連のイベントとして抽出される。同じ場所または特定の人を含んで,別のイベントが連続して発生した場合にも,メンバ構成が大きく変化していれば別のイベントとして区別される。また,同時刻に複数の異なる集団が発生している場合にも,別のイベントとして区別される。これによって,人物間の対面の有無に関するデータのみを用いて,職場で自然に発生・消滅する対面コミュニケーションのイベントの情報を,その開始時刻・終了時刻・メンバ構成を特定して抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】センシングデータ表示装置の構成と利用シーンを示す図の一例である。
【図2】クライアントとアプリケーションサーバの構成を示す図の一例である。
【図3】センサネットサーバと基地局の構成を示す図の一例である。
【図4】端末の構成を示す図の一例である。
【図5】センシングデータがセンサネットサーバに格納されるまでのシーケンス図の一例である。
【図6】アプリケーションサーバ(AS)を起点とするイベント抽出の処理と,ユーザがWebアプリケーションを操作する際の処理のシーケンス図の一例である。
【図7】Webアプリケーションの画面を示す図の一例である。
【図8】対面イベントの表示画面を示す図の一例である。
【図9】個人作業イベントの表示画面を示す図の一例である。
【図10】ユーザ属性リストを示す図の一例である。
【図11】グループ管理リストを示す図の一例である。
【図12】センシングデータベース(加速度データ)を示す図の一例である。
【図13】(A)センシングデータベース(対面データ)を示す図の一例である。(B)センシングデータベース(対面データ)を示す図の別の一例である。
【図14】対面イベントテーブルを示す図の一例である。
【図15】個人作業イベントテーブルを示す図の一例である。
【図16】主観情報テーブルを示す図の一例である。
【図17】データ処理変数画面を示す図の一例である。
【図18】対面要素イベント抽出処理のフローチャートである。
【図19】対面要素イベント結合処理のフローチャートである。
【図20】対面要素イベント抽出処理の手順を示す図の一例である。
【図21】(A)対面要素イベント特徴量抽出の手順に関する表の一例である。(B)対面要素イベント特徴量抽出の手順に関する表の別の一例である。
【図22】(A)対面要素イベント結合処理の手順に関する表の一例である。(B)対面要素イベント結合処理の手順に関する表の別の一例である。
【図23】個人作業イベント抽出処理のフローチャートである。
【図24】個人作業イベント抽出処理の手順を示す図の一例である。
【図25】個人作業イベント特徴量抽出の手順を示す図の一例である。
【図26】対面コミュニケーションの分類を示す図である。
【図27】アクティブ率の計算プロセスを示すフローチャートである。
【図28】アクティブ率を用いた表示画面を示す図の一例である。
【図29】活動報告書出力設定画面を示す図の一例である。
【図30】活動報告書出力ファイルを示す図の一例である。
【図31】行動リズムタペストリを示す図の一例である。
【図32】対面タペストリを示す図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、センシングデータを表示するセンシングデータ表示装置であり、人物間の対面に関するデータを用いて,複数人が集まり解散する対面イベントを抽出して表示することを特徴とする。以下、図面を用いて説明を行う。
【実施例1】
【0011】
最初に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
<図1:システム概要>
図1に、第1の実施の形態のシステム概要を示す。第1の実施の形態では、センサ端末(TR、TR2〜5:以下個体を識別しない場合にはすべてTRと示す)を組織のメンバがユーザ(US、US2〜5:以下個体を識別しない場合にはすべてUSと示す)として装着し、その端末(TR)によって各メンバの動きやメンバ間の交流(インタラクション)に関するセンシングデータを取得する。インタラクションについては、ユーザ(US)同士が対面した際に各端末(TR)間で赤外線を送受信することで対面を検知している。会議室などの多くの人が集まって会話する広い場所では,全ての同席者の端末(TR)同士で赤外線が届かない場合があるため,位置ビーコン(PB)を設置することで人物間の対面データを補うことも可能である。位置ビーコン(PB)は場所を示すIDを赤外線で発信しており,それを端末(TR)が受信することで,ユーザ(US)がその場所に滞在していたことを検知する。
【0013】
取得したセンシングデータは無線または有線で接続し基地局(GW,GW2:以下個体を識別しない場合にはすべてGWと示す)に送信され、ネットワーク(NW)を通じてセンサネットサーバ(SS)に格納される。センサネットサーバ(SS)は定期的にこれらのセンシングデータの下処理を行い、取り扱いしやすい二次データとして保管しておく。ユーザに見せるための画面を作成するためには、アプリケーションサーバ(AS)が定期的にセンサネットサーバ(SS)から二次データを取得し、データから対面イベントや個人作業イベントを抽出する。ユーザ(US)は,クライアント(CL)にアカウントやパスワードを入力することでアプリケーションサーバ(AS)のWebページにアクセスし,その閲覧者向けのコンテンツをクライアント(CL)上の画面(OD)にて閲覧する。
【0014】
<図2〜図4:全体システムのブロック図>
図2から図4は、本発明の実施の形態のセンシングデータ表示装置を実現するセンサネットワークシステムの全体構成を説明するブロック図である。図示の都合上分割して示してあるが、各々図示された各処理は相互に連携して実行される。また、図内のそれぞれの機能はハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される。(★日本の特許法の場合、ソフトとハードの協働で情報処理がなされることが明確でないといけないという決まりがあります。)。これらの各構成要素は図2〜4から明らかなように、制御部と記憶部と送受信部を有している。制御部は通常のコンピュータ等の処理部である中央処理部(Central Processing Unit:CPU、図示省略)などで構成され、記憶部は半導体記憶装置や磁気記憶装置等のメモリ装置で構成され、送受信部は有線・無線等のネットワークインタフェースで構成される。その他、必要に応じて時計等を備えている。
【0015】
端末(TR)でそれを装着した人物の動きやコミュニケーションに関するセンシングデータを取得し、センシングデータは基地局(GW)を経由して、センサネットサーバ(SS)に格納する。また、アプリケーションサーバ(AS)はセンシングデータから対面イベントや個人作業イベントを抽出し,クライアント(CL)を介したユーザ(US)のリクエストに応じて,その結果を提示する。図2から図4はこれらの一連の流れを示す。
【0016】
図2から図4における形の異なる6種類の矢印は、それぞれ、時刻同期、アソシエイト、取得したセンシングデータの格納、センシングデータの解析、ファームウェア更新、及び、制御信号のためのデータまたは信号の流れを表している。
【0017】
<図2:全体システム1(CL・AS)>
図2に、クライアント(CL)とアプリケーションサーバ(AS)の一実施例の構成を示す。
【0018】
<クライアント(CL)について>
クライアント(CL)は、ユーザ(US)との接点となって、データを入出力する。クライアント(CL)は、入出力部(CLIO)、送受信部(CLSR)、記憶部(図示省略)、制御部(CLCO)を備える。
【0019】
入出力部(CLIO)は、ユーザ(US)とのインタフェースとなる部分である。入出力部(CLIO)は、ディスプレイ(CLOD)、タッチパネル(CLIT)、キーボード(CLIK)及びマウス(CLIM)等を備える。必要に応じて外部入出力(CLIU)に他の入出力装置を接続することもできる。
【0020】
ディスプレイ(CLOD)は、CRT(Cathode−Ray Tube)又は液晶ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ(CLOD)は、プリンタ等を含んでもよい。ユーザによる入力を支援するためにタッチパネル(CLIT)を用いる場合には、タッチパネル(CLIT)をディスプレイ(CLOD)の画面(OD)と重なるように設置し、出力と入力を同じ画面上で行うように見せることもできる。
【0021】
送受信部(CLSR)は、アプリケーションサーバ(AS)や他のネットワークに接続した機器との間でデータや命令を送受信する。具体的には、送受信部(CLSR)は、表示する画面のリクエストをアプリケーションサーバ(AS)に送信し、リクエストに対応する画像を受信する。
【0022】
記憶部(図示なし)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(図示なし)は、表示の履歴やユーザ(US)のログインIDなどを保存させても良い。
【0023】
<アプリサーバ(AS)>
アプリケーションサーバ(AS)は、センシングデータの二次データを処理及び解析し、クライアント(CL)を通してユーザに提示するためのコンテンツ情報(多くは画像であるが、動画やテキストデータ、音声データなど他のデータでもよい)を生成する。
【0024】
アプリケーションサーバ(AS)は、送受信部(ASSR)、記憶部(ASME)及び制御部(ASCO)を備える。
【0025】
送受信部(ASSR)は、ネットワーク(NW)を通じて、センサネットサーバ(SS)、NTPサーバ(TS)、クライアント(CL)、及び個人用クライアント(CP)との間でデータの送信及び受信を行い、そのための通信制御を行う。
【0026】
記憶部(ASME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(ASME)は、作成したコンテンツ情報や、コンテンツ作成のためのプログラム、その他コンテンツ作成に関係するデータを格納する。具体的には、記憶部(ASME)は、ユーザ属性リスト(ASUL)、グループ管理リスト(ASGR),対面イベントテーブル(ASCE),個人作業イベントテーブル(ASPE),主観情報テーブル(ASST),データ処理変数リスト(ASDV),活動報告書出力設定(ASGO),イベント抽出プログラム(ASPP),及び二次データ読み込みプログラム(ASPR)を格納する。
【0027】
ユーザ属性リスト(ASUL)は、端末(TR)のIDと、その端末を装着したユーザ(US)の氏名・ユーザID・所属、メールアドレス、属性等との対照表である。人物間の対面時に相手から受信したIDを氏名と紐付けたり,WebにログインしたIDに従って表示内容を変更したりする際に参照する。図10にその具体例を示す。
【0028】
グループ管理リスト(ASGR)はWebアプリケーション上で設定したグループを管理するリストである。図11にその具体例を示す。グループは,フォーマルな組織体系ではなく,ユーザ(US)が自由に作成することができる。グループを定義すると同じグループの人のイベントを閲覧したり,行動や会議の指標をグループ単位で平均して表示したりすることができるようになる。グループ管理リスト(ASGR)では,グループ番号,そのグループが有効である開始日と終了日,グループ名,メンバリストとその属性に関する情報を管理する。メンバの属性によってデータの閲覧や制御の権限が異なる。オーナーはグループを作った人であり,グループ管理リスト(ASGR)の情報を変更する権限を持つ。また,開示・閲覧に関してはメンバとして扱われる。メンバは,自身のデータをグループのメンバ(スーパーバイザ含む)に開示し,また,グループの他のメンバのデータを閲覧できる。スーパーバイザは,直接一緒に業務をしているメンバではないが,そのグループの状況を把握しておくべき人であり(たとえば上長や他部署の関係者など),グループのメンバのデータを閲覧する権限はあるが,自身のデータはグループに開示されない。
【0029】
対面イベントテーブル(ASCE)は,対面イベントに関する一連の処理(ASCY,ASCC,ASCT)によって抽出された対面イベントの情報を格納するテーブルである。また,個人作業イベントテーブル(ASPE)は,個人作業イベントに関する一連の処理(ASPY,ASPT)によって抽出された個人作業イベントの情報を格納するテーブルである。また,主観情報テーブル(ASST)は,ユーザ(US)によって入力された主観情報を,対面イベントや個人作業イベントと関連付けて格納するテーブルである。
【0030】
データ処理変数リスト(ASDV)は,図17のデータ処理変数画面(ODDV)にてWebアプリケーションの管理者によって設定された,データ処理に関する諸々の変数を格納するテーブルである。
【0031】
活動報告書出力設定(ASGO)は,主観情報テーブル(ASST)に格納されたユーザの主観評価情報を,図30に示す活動報告書出力ファイルの例のように出力するための,設定条件を格納するものである。出力条件は,例えば,図29の活動報告書出力設定画面(ODKS)をユーザ(US)が操作することによって設定される。
【0032】
イベント抽出プログラム(ASPP)は,イベント抽出に関する処理(ASCY,ASCC,ASCT,ASPY,ASPT)を実行するためのプログラムである。
【0033】
二次データ読み込みプログラム(ASPR)は,二次データ要求(ASCP)においてセンサネットサーバ(SS)から受信する二次データ(例えば1分単位の対面相手のID一覧や加速度リズムのデータ)の形式に対応した,読み込みプログラムである。
【0034】
制御部(ASCO)は、CPU(図示省略)を備え、センサデータや主観評価情報を処理し,ユーザに提供するWebコンテンツをとして出力するためのプロセスを実行する。
【0035】
入出力制御(ASCIO)は,ユーザがWebアプリケーションを通じてイベントデータを閲覧したり,イベントに対する主観評価情報(実施したことやその反省点,次の課題など)を入力したりする際の制御を行うものである。ユーザがWebアプリケーションにログインする際のユーザ認証(ASCIU)後,ユーザの操作に従って対象データの日付や種類・対象グループを切り替えて画面を構成する表示画面生成(ASCID)や,入力した主観評価情報をイベントと関連付けて主観情報テーブル(ASST)に格納する主観評価入力(ASCIS)を行う。
【0036】
また,アプリケーションサーバ(AS)は時計(ASCK)を有しており,外部のNTPサーバ(TS)などに接続して正確な時刻を維持する。
【0037】
あらかじめ設定した時刻になるとタイマ起動(ASTK)し,二次データ読み込みプログラム(ASPR)とイベント抽出プログラム(ASPP)を起動する。二次データ要求(ASCP)では,センサネットサーバ(SS)に必要な期間・対象者・種類を指定して二次データを要求し,受信する。受信したデータを用いて,対面イベントの処理に関しては,対面要素イベント抽出処理(ASCY),対面要素イベント結合処理(ASCC),対面イベント特徴量抽出(ASCT)を順に実施する。個人作業イベントの処理に関しては,個人作業イベント抽出処理(ASPY),個人作業イベント特徴量抽出(ASPT)
を実施する。なお,プログラムの起動方法は手動でも良いし,センサネットサーバ(SS)で特定のパターンのデータを受信したことをトリガとして起動しても良い。
【0038】
<図3:全体システム2(SS・IS)>
図3は、センサネットサーバ(SS)及び基地局(GW)の一実施例の構成を示している。
【0039】
<センサネットサーバ(SS)>
センサネットサーバ(SS)は、全ての端末(TR)から集まったデータを管理する。具体的には、センサネットサーバ(SS)は、基地局(GW)から送られてくるセンシングデータをセンシングデータベース(SSDB)に格納し、また、アプリケーションサーバ(AS)やクライアント(CL)からの要求に基づいてセンシングデータまたは二次データを送信する。さらに、センサネットサーバ(SS)は、基地局(GW)とその管理下にある端末(TR)の情報を随時管理する。また、端末(TR)のファームウェアを更新するための制御コマンドの起点となる。
【0040】
センサネットサーバ(SS)は、送受信部(SSSR)、記憶部(SSME)及び制御部(SSCO)を備える。
【0041】
送受信部(SSSR)は、基地局(GW)、アプリケーションサーバ(AS)、個人用クライアント(CP)及びクライアント(CL)との間で、データの送信及び受信を行い、その際の通信制御を行う。
【0042】
記憶部(SSME)は、ハードディスク等のデータ記憶装置によって構成され、少なくとも、センシングデータベース(SSDB)、二次データベース(SSDT)、データ形式情報(SSMF)、端末管理テーブル(SSTT)及び端末ファームウェア(SSTFD)を格納する。さらに、記憶部(SSME)は、制御部(SSCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムを格納する。
【0043】
センシングデータベース(SSDB)は、各端末(TR)が取得したセンシングデータ、端末(TR)の情報、及び、各端末(TR)から送信されたセンシングデータが通過した基地局(GW)の情報等を記録しておくためのデータベースである。加速度、温度等、データの要素ごとにカラムが作成され、データが管理される。また、データの要素ごとにテーブルが作成されてもよい。どちらの場合にも、全てのデータは、取得された端末(TR)のIDである端末情報(TRMT)と、センシングされた時刻に関する情報とが関連付けて管理される。
【0044】
二次データベース(SSDT)は、センシングデータベース(SSDB)のデータをセンシングデータ処理(SSCDT)した結果を格納するデータベースである。二次データベース(SSDT)に格納されている二次データは、下処理済みの規格化されたデータであり、ノイズが取り除かれ、基本コンテンツを作成するために適した形式、例えば1日ごとにユーザ(US)の任意の2者間の合計対面時間を行列形式で出力するなど、で保管される。アプリケーションサーバ(AS)では処理前のセンシングデータではなく二次データを使うようにルール化することで、ノイズの除去など端末(TR)や通信状況に依存するセンシングデータの特性を考慮せず、アプリケーションのためのプログラムを開発することができる。データベースとしては、二次データベース(SSDT)はセンシングデータベース(SSDB)と共通のものを用い、テーブルを分けるだけでも良い。また、必要に応じて、基本コンテンツ作成(ASCBC)はセンシングデータベース(SSDB)からセンシングデータ処理(SSCDT)前のデータを取得しても良い。
【0045】
データ形式情報(SSMF)には、通信のためのデータ形式、基地局(GW)でタグ付けされたセンシングデータを切り分けてデータベースに記録する方法、センシングデータ処理(SSCDT)された二次データを二次データベース(SSDT)に記録する方法、及び、データの要求に対する対応方法を示す情報等が記録されている。データ受信の後、データ送信の前にはこのデータ形式情報(SSMF)が参照され、データ形式の変換とデータ振り分けが行われる。
【0046】
端末管理テーブル(SSTT)は、どの端末(TR)が現在どの基地局(GW)の管理下にあるかを記録しているテーブルである。基地局(GW)の管理下に新たに端末(TR)が加わった際に、端末管理テーブル(SSTT)が更新される。また、基地局(GW)と端末(TR)間を有線で接続している場合には、常時端末管理情報を監視していなくてもよい。
【0047】
端末ファームウェア(SSFW)は、端末を動作させるためのプログラムを記憶しているものであり、端末ファームウェア更新(SSCFW)が行われた際には、端末ファームウェア(SSFW)が更新され、ネットワーク(NW)を通じてこれを基地局(GW)に送り、さらにパーソナルエリアネットワーク(PAN)を通じて端末(TR)に送り、端末(TR)内のファームウェアを更新する(FMUD)。
【0048】
制御部(SSCO)は、CPU(図示省略)を備え、センシングデータの送受信やデータベースへの記録・取り出しを制御する。具体的には、CPUが記憶部(SSME)に格納されたプログラムを実行することによって、センシングデータ保管(SSCDB)、端末管理情報修正(SSTF)、端末ファームウェア更新(SSCFW)、センシングデータ処理(SSCDT)及び二次データ検索(SSCTS)等の処理を実行する。
【0049】
センシングデータ保管(SSCDB)は、基地局(GW)から送られてきたセンシングデータを受け取り、センシングデータベース(SSDB)に格納する処理である。時刻情報や端末ID、基地局を経由した時刻などの付加情報を合わせて1レコードとして、データベースに格納する。
【0050】
時計(SSCK)は、外部NTPサーバ(TS)と定期的に接続することによって、標準時刻を保持している。時計(SSCK)があらかじめ指定した時刻、または特定の条件を満たしたときに、センシングデータ処理(SSCDT)をタイマ起動(SSTK)する。
【0051】
センシングデータ処理(SSCDT)は、センシングデータベース(SSDB)からセンシングデータ、端末(TR)で取得されたもの、をデータ形式情報(SSMF)で指定された方法によって下処理し、二次データを生成する。二次データは二次データベース(SSDT)に格納する。一定間隔でセンシングデータ処理(SSCDT)を起動し、新しく追加されたセンシングデータを処理することで、二次データベースが常に更新された状態になるように保つ。
【0052】
二次データ検索(SSCTS)は、アプリケーションサーバ(AS)から依頼を受けた際に、二次データベース(SSDT)から依頼に対応した二次データを取り出し、依頼元に返す処理を行う。その際、二次データに付与された、日付やユーザIDなどのタグ情報に基づいて検索する。
【0053】
端末管理情報修正(SSTF)は、基地局(GW)から端末管理情報を修正するコマンドを受け取った際に、端末管理テーブル(SSTT)を更新する。各基地局(GW)の配下にある端末(TR)のリストを常時把握するためのものである。
【0054】
端末ファームウェア更新(SSCFW)は、手動または自動にて端末(TR)のファームウェアを更新する必要が生じた際に、記憶部(SSME)内の端末ファームウェア(SSFW)を更新し、さらに、基地局(GW)に配下の端末(TR)のファームウェアを更新するように命令を出す。また、各端末(TR)でファームウェア更新が完了したというレスポンスを受け取り、すべての端末(TR)の更新が完了するまで続ける。
【0055】
<基地局(GW)>
基地局(GW)は、端末(TR)とセンサネットサーバ(SS)を仲介する役目を持つ。端末(TR)と基地局(GW)間が無線で接続する場合には、無線の到達距離を考慮して、居室・職場等の領域をカバーするように複数の基地局(GW)が配置される。有線で接続する場合には、基地局(GW)の処理能力に合わせて管理する端末(TR)の個数の上限が設定される。
【0056】
基地局(GW)は、送受信部(GWSR)、記憶部(GWME)及び制御部(GWCO)を備える。
【0057】
送受信部(GWSR)は、端末(TR)からデータを無線または有線にて受信し、センサネットサーバ(SS)への有線又は無線による送信を行う。送受信に無線を用いる場合には、送受信部(GWSR)は無線を受信するためのアンテナを備える。また、必要に応じて、センシングデータの送受信の際にデータが欠損しないように輻輳制御、つまり通信のタイミング制御を行う。また、受信したデータの種類を区別する。具体的には、受信したデータが一般のセンシングデータであるか、アソシエイトのためのデータであるか、時刻同期のレスポンスであるか等をデータのヘッダ部分から識別して、それらのデータをそれぞれ適切な機能に渡す。
【0058】
記憶部(GWME)は、ハードディスク、メモリ、又はSDカードのような外部記録装置(図示省略)で構成される。記憶部(GWME)には、動作設定(GWMA)、データ形式情報(GWMF)、端末管理テーブル(GWTT)、基地局情報(GWMG)及び端末ファームウェア(GWTFD)が格納される。動作設定(GWMA)は、基地局(GW)の動作方法を示す情報を含む。データ形式情報(GWMF)は、通信のためのデータ形式を示す情報、及び、センシングデータにタグを付けるために必要な情報を含む。端末管理テーブル(GWTT)は、現在アソシエイトできている配下の端末(TR)の端末情報(TRMT)、及び、それらの端末(TR)を管理するために配布しているローカルIDを含む。有線で端末(TR)と接続し、常時配下の端末(TR)を把握している必要がない場合には、端末管理テーブル(GWTT)はなくてもよい。基地局情報(GWMG)は、基地局(GW)自身のアドレスなどの情報を含む。端末ファームウェア(GWTFD)は、端末を動作させるためのプログラムを記憶しているものであり、センサネットサーバ(SS)から命令と新規の端末ファームウェアを受け取った際に、ファームウェア更新データ(TRDFW)をパーソナルエリアネットワーク(PAN)を通じて端末(TR)に送信する(GWCFW)。
【0059】
記憶部(GWME)には、さらに、制御部(GWCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムが格納されてもよい。
【0060】
制御部(GWCO)は、CPU(図示省略)を備える。CPUが記憶部(GWME)に格納されているプログラムを実行することによって、端末(TR)からセンシングデータを受信するタイミング、センシングデータの処理、端末(TR)やセンサネットサーバ(SS)への送受信のタイミング、及び、時刻同期のタイミングを管理する。具体的には、センシングデータ受信制御(GWCSR)、センシングデータ送信(GWCSS)、アソシエイト(GWCTA)、端末管理情報修正(GWCTF)、端末ファームウェア更新(GWCFW)及び時刻同期(GWCS)等の処理を実行する。
【0061】
時計(GWCK)は時刻情報を保持する。一定間隔でその時刻情報は更新される。具体的には、一定間隔でNTP(Network Time Protocol)サーバ(TS)から取得した時刻情報によって、時計(GWCK)の時刻情報が修正される。
【0062】
時刻同期(GWCS)は、一定間隔、または、端末(TR)が基地局(GW)と接続されたのをトリガとして、配下の端末(TR)に時刻情報を送信する。これによって、複数の端末(TR)と基地局(GW)の時計(GWCK)の時刻が同期される。
【0063】
アソシエイト(GWCTA)は、端末(TR)から送られてきたアソシエイト要求(TRTAQ)に対して、割り付けたローカルIDを各端末(TR)に送信する、アソシエイト応答(TRTAR)を行う。アソシエイトが成立したら、アソシエイト(GWTA)は、端末管理テーブル(GWTT)を修正する端末管理情報修正(GWCTF)を行う。
【0064】
センシングデータ受信制御(GWCSR)は、端末(TR)から送られてきたセンシングデータ(SENSD)のパケットを受信する。データのパケットのヘッダを読み込み、データの種類を判別したり、同時に多数の端末(TR)からのデータが集中しないように輻輳制御したりする。
【0065】
センシングデータ送信(GWCSS)は、データが通過した基地局のIDやその時刻データを付与し、センシングデータをセンサネットサーバ(SS)に送信する。
【0066】
<図4:全体システム3(TR)>
図4は、センサノードの一実施例である端末(TR)の構成を示している。ここでは端末(TR)は名札型の形状をしており、人物の首からぶら下げることを想定しているが、これは一例であり、他の形状でもよい。端末(TR)は、多くの場合には、この一連のシステムの中に複数存在し、組織に属する人物がそれぞれ身に着けるものである。端末(TR)は人間の対面状況を検出するための複数の赤外線送受信部(AB)、装着者の動作を検出するための三軸加速度センサ(AC)、装着者の発話と周囲の音を検出するためのマイク(AD)、端末の裏表検知のための照度センサ(LS1F、LS1B)、温度センサ(AE)の各種センサを搭載する。搭載するセンサは一例であり、装着者の対面状況と動作を検出するために他のセンサを使用してもよい。
【0067】
本実施例では、赤外線送受信部を4組搭載する。赤外線送受信部(AB)は、端末(TR)の固有識別情報である端末情報(TRMT)を正面方向に向かって定期的に送信し続ける。他の端末(TR)を装着した人物が略正面(例えば、正面又は斜め正面)に位置した場合、端末(TR)と他の端末(TR)は、それぞれの端末情報(TRMT)を赤外線で相互にやり取りする。このため、誰と誰が対面しているのかを記録することができる。また、閲覧者検出器(CLVD)はこの端末情報(TRMT)を受信することで、どのユーザ(US)がクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)を閲覧しているかを検出することができる。また逆に、端末(TR)が閲覧者検出器(CLVD)から送信された検出器ID(CLVDID)を受信することで、ユーザ(US)がクライアント(CL)の設置場所に滞在していたことを記録することができる。
【0068】
各赤外線送受信部は一般に、赤外線送信のための赤外発光ダイオードと、赤外線フォトトランジスタの組み合わせにより構成される。赤外線ID送信部(IrID)は、自らのIDである端末情報(TRMT)を生成して赤外線送受信モジュールの赤外線発光ダイオードに対して転送する。本実施例では、複数の赤外線送受信モジュールに対して同一のデータを送信することで、全ての赤外線発光ダイオードが同時に点灯する。もちろん、それぞれ独立のタイミング、別のデータを出力してもよい。
【0069】
また、赤外線送受信部(AB)の赤外線フォトトランジスタによって受信されたデータは、論理和回路(IROR)によって論理和が取られる。つまり、最低どれか一つの赤外線受光部でID受光されていれば端末にIDとして認識される。もちろん、IDの受信回路を独立して複数持つ構成でもよい。この場合、それぞれの赤外線送受信モジュールに対して送受信状態が把握できるので、例えば、対面する別の端末がどの方向にいるかなど付加的な情報を得ることも可能である。
【0070】
センサによって検出したセンシングデータ(SENSD)はセンシングデータ格納制御部(SDCNT)によって、記憶部(STRG)に格納される。センシングデータ(SENSD)は通信制御部(TRCC)によって送信パケットに加工され、送受信部(TRSR)によって基地局(GW)に送信される。
【0071】
このとき、記憶部(STRG)からセンシングデータ(SENSD)を取り出し、無線または有線による送信のタイミングを決定するのが通信タイミング制御部(TRTMG)である。通信タイミング制御部(TRTMG)は、複数のタイミングを決定する複数のタイムベースを持つ。
【0072】
記憶部に格納されるデータには、その直前にセンサによって検出されたセンシングデータ(SENSD)の他、過去に蓄積した纏め送りデータ(CMBD)や、端末の動作プログラムであるファームウェアを更新するためのファームウェア更新データ(FMUD)がある。
【0073】
本実施例の端末(TR)は、外部電源接続検出回路(PDET)により、外部電源(EPOW)が接続されたことを検出し、外部電源検出信号(PDETS)を生成する。外部電源検出信号(PDETS)によって、タイミング制御部(TRTMG)が生成する送信タイミングを切り替えるタイムベース切替部(TMGSEL)、または無線通信されるデータを切り替えるデータ切替部(TRDSEL)は本端末(TR)特有の構成である。図4では一例として、送信タイミングを、タイムベース1(TB1)とタイムベース(TB2)の2つのタイムベースを、外部電源検出信号(PDETS)によってタイムベース切替部(TMGSEL)が切り替える構成を図示している。また通信されるデータを、センサから得たセンシングデータ(SENSD)と、過去に蓄積した纏め送りデータ(CMBD)と、ファームウェア更新データ(FMUD)とから、外部電源検出信号(PDETS)によってデータ切替部(TRDSEL)が切り替える構成を図示している。
【0074】
照度センサ(LS1F、LS1B)は、それぞれ端末(TR)の前面と裏面に搭載される。照度センサ(LS1F、LS1B)により取得されるデータは、センシングデータ格納制御部(SDCNT)によって記憶部(STRG)に格納されると同時に、裏返り検知部(FBDET)によって比較される。名札が正しく装着されているときは、前面に搭載されている照度センサ(LS1F)が外来光を受光し、裏面に搭載されている照度センサ(LS1B)は端末本体と装着者との間に挟まれる位置関係となるため、外来光を受光しない。このとき、照度センサ(LS1B)で検出される照度より、照度センサ(LS1F)で検出される照度の方が大きな値を取る。一方で、端末(TR)が裏返った場合、照度センサ(LS1B)が外来光を受光し、照度センサ(LS1F)が装着者側を向くため、照度センサ(LS1F)で検出される照度より、照度センサ(LS1B)で検出される照度の方が大きくなる。
【0075】
ここで、照度センサ(LS1F)で検出される照度と、照度センサ(LS1B)で検出される照度を裏返り検知部(FBDET)で比較することで、名札ノードが裏返って正しく装着していないことが検出できる。裏返り検知部(FBDET)で裏返りが検出されたとき、スピーカ(SP)により警告音を発生して装着者に通知する。
【0076】
マイク(AD)は、音声情報を取得する。音声情報によって、「騒々しい」又は「静か」等の周囲の環境を知ることができる。さらに、人物の声を取得・分析することによって、コミュニケーションが活発か停滞しているのか、相互に対等に会話をやり取りしているか一方的に話しているのか、怒っているのか笑っているのか、などの対面コミュニケーションを分析することができる。さらに、人物の立ち位置等の関係で赤外線送受信器(AB)が検出できなかった対面状態を、音声情報及び加速度情報によって補うこともできる。
【0077】
マイク(AD)で取得される音声は、音声波形及び、それを積分回路(AVG)で積分した信号の両方を取得する。積分した信号は、取得した音声のエネルギを表す。
【0078】
三軸加速度センサ(AC)は、ノードの加速度すなわちノードの動きを検出する。このため、加速度データから、端末(TR)を装着した人物の動きの激しさや、歩行などの行動を解析することができる。さらに、複数の端末が検出した加速度の値を比較することによって、それらの端末を装着した人物間のコミュニケーションの活性度や相互のリズム、相互の相関等を解析できる。
【0079】
本実施例の端末(TR)では、三軸加速度センサ(AC)で取得されるデータは、センシングデータ格納制御部(SDCNT)によって記憶部(STRG)に格納されると同時に、上下検知回路(UDDET)によって名札の向きを検出する。これは、三軸加速度センサ(AC)で検出される加速度は、装着者の動きによる動的な加速度変化と、地球の重力加速度による静的加速度の2種類が観測されることを利用している。
【0080】
表示装置(LCDD)は、端末(TR)を胸に装着しているときは、装着者の所属、氏名などの個人情報を表示する。つまり、名札として振舞う。一方で、装着者が端末(TR)を手に持ち、表示装置(LCDD)を自分の方に向けると、端末(TR)の天地が逆になる。このとき、上下検知回路(UDDET)によって生成される上下検知信号(UDDETS)により、表示装置(LCDD)に表示される内容と、ボタンの機能を切り替える。本実施例では、上下検知信号(UDDETS)の値により、表示装置(LCDD)に表示させる情報を、表示制御(DISP)によって生成される赤外線アクティビティ解析(ANA)による解析結果と、名札表示(DNM)とを切り替える例を示している。
【0081】
赤外線送受信部(AB)がノード間で赤外線をやり取りすることによって、端末(TR)が他の端末(TR)と対面したか否か、すなわち、端末(TR)を装着した人物が他の端末(TR)を装着した人物と対面したか否かが検出される。このため、端末(TR)は、人物の正面部に装着されることが望ましい。上述の通り、端末(TR)は、さらに、三軸加速度センサ(AC)等のセンサを備える。端末(TR)におけるセンシングのプロセスが、図5におけるセンシング(TRSS1)に相当する。
【0082】
端末は多くの場合には複数存在し、端末・基地局間が無線接続される場合には、それぞれが近い基地局(GW)と結びついてパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成している。
【0083】
端末(TR)の温度センサ(AE)は端末のある場所の温度を、照度センサ(LS1F)は端末(TR)の正面方向などの照度を取得する。これによって、周囲の環境を記録することができる。例えば、温度及び照度に基づいて、端末(TR)が、ある場所から別の場所に移動したこと等を知ることもできる。
【0084】
装着した人物に対応した入出力装置として、ボタン1〜3(BTN1〜3)、表示装置(LCDD)、スピーカ(SP)等を備える。
【0085】
記憶部(STRG)は、具体的にはハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発記憶装置で構成され、端末(TR)の固有識別番号である端末情報(TRMT)、センシングの間隔、及び、ディスプレイへの出力内容等の動作設定(TRMA)を記録している。この他にも記憶部(STRG)は一時的にデータを記録することができ、センシングしたデータを記録しておくために利用される。
【0086】
時計(TRCK)は、時刻情報(GWCSD)を保持し、一定間隔でその時刻情報(GWCSD)を更新する時計である。時間情報は、時刻情報(GWCSD)が他の端末(TR)とずれることを防ぐために、基地局(GW)から送信される時刻情報(GWCSD)によって定期的に時刻を修正する。
【0087】
センシングデータ格納制御部(SDCNT)は、記憶部(STRG)に記録された動作設定(TRMA)に従って、各センサのセンシング間隔などを制御し、取得したデータを管理する。
【0088】
時刻同期は、基地局(GW)から時刻情報を取得して時計を修正する。時刻同期は、後述するアソシエイトの直後に実行されてもよいし、基地局(GW)から送信された時刻同期コマンドに従って実行されてもよい。
【0089】
通信制御部(TRCC)は、データを送受信する際に、送信間隔の制御、及び、無線の送受信に対応したデータフォーマットへの変換を行う。通信制御部(TRCC)は、必要であれば、無線でなく有線による通信機能を持ってもよい。通信制御部(TRCC)は、他の端末(TR)と送信タイミングが重ならないように輻輳制御を行うこともある。
【0090】
アソシエイト(TRTA)は、基地局(GW)とパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成するためのアソシエイト要求(TRTAQ)と、アソシエイト応答(TRTAR)を送受信し、データを送信すべき基地局(GW)を決定する。アソシエイト(TRTA)は、端末(TR)の電源が投入されたとき、及び、端末(TR)が移動した結果それまでの基地局(GW)との送受信が絶たれたときに実行される。有線接続の場合には、端末(TR)が有線で基地局(GW)に接続されたことを検知したときに実行される。アソシエイト(TRTA)の結果、端末(TR)は、その端末(TR)からの無線信号が届く近い範囲にある一つの基地局(GW)と関連付けられる。
【0091】
送受信部(TRSR)は、アンテナを備え、無線信号の送信及び受信を行う。必要があれば、送受信部(TRSR)は、有線通信のためのコネクタを用いて送受信を行うこともできる。送受信部(TRSR)によって送受信されるデータ(TRSRD)は、基地局(GW)との間でパーソナルエリアネットワーク(PAN)を介して転送される。
【0092】
<図5:データ格納のシーケンス>
図5は、本発明の実施の形態において実行される、センシングデータを格納する手順を示すシーケンス図である。
【0093】
まず、端末(TR)の電源が入っており、かつ端末(TR)が基地局(GW)とアソシエイト状態になっていないとき、端末(TR)はアソシエイト(TRTA1)を行う。アソシエイトとは、端末(TR)が、ある一つの基地局(GW)と通信する関係であると規定することである。アソシエイトによってデータの送信先を決定することで、端末(TR)は確実にデータを送信することができる。
【0094】
基地局(GW)からアソシエイト応答を受け取り、アソシエイトが成功した場合、端末(TR)は、次に時刻同期(TRCS)を行う。時刻同期(TRCS)において、端末(TR)は、基地局(GW)から時刻情報を受け取り、端末(TR)内の時計(TRCK)を設定する。基地局(GW)は、NTPサーバ(TS)と定期的に接続し時刻を修正している。このため、全ての端末(TR)において時刻が同期される。これによって、後に解析する際に、センシングデータに付随した時刻情報を照らし合わせることで、人物間の同時刻におけるコミュニケーションにおける相互の身体表現又は音声情報のやり取りを分析することも可能になる。
【0095】
端末(TR)の三軸加速度センサ(AC)や温度センサ(AE)などの各種センサは、例えば10秒ごとの一定の周期でタイマ起動(TRST)し、加速度、音声、温度及び照度等をセンシングする(TRSS1)。端末(TR)は、端末情報(TRMT)の1つである端末IDを、赤外線によって他の端末(TR)との間で送受信することで、対面状態を検出する。端末(TR)の各種センサは、タイマ起動(TRST)せずに、常にセンシングを行ってもよい。しかし、一定の周期で起動することによって電源を効率的に使用することができ、充電することなく長時間端末(TR)を使用しつづけることができる。
【0096】
端末(TR)は、センシングしたデータに、時計(TRCK)の時刻情報及び端末情報(TRMT)を添付する(TRCT1)。データを解析する際には、端末情報(TRMT)によって、端末(TR)を装着した人物が識別される。
【0097】
データ形式変換(TRDF1)において端末(TR)は、センシングデータにセンシングの条件などのタグ情報を付与し、決められた無線送信フォーマットに変換する。このフォーマットは基地局(GW)内のデータ形式情報(GWMF)やセンサネットサーバ(SS)内のデータ形式情報(SSMF)と共通して保管されているものである。変換されたデータは、その後、基地局(GW)に送信される。
【0098】
加速度データ及び音声データ等の連続した多量のデータを送信する場合、端末(TR)は、データ分割(TRBD1)して複数のパケットに分割することで、一度に送信するデータ数を制限する。その結果、送信過程でデータが欠損するリスクが低下する。
【0099】
データ送信(TRSE1)は、無線の通信規格に則り、送受信部(TRSR)を通して、アソシエイト先の基地局(GW)にデータを送信する。
【0100】
基地局(GW)は、端末(TR)からデータを受信(GWRE)すると、受信完了レスポンスを端末(TR)に返す。レスポンスを受信した端末(TR)は、送信完了(TRSO)と判定する。
【0101】
一定の時間を経ても送信完了(TRSO)しない(すなわち端末(TR)がレスポンスを受信しない)場合、端末(TR)は、データ送信失敗と判定する。この場合、データは端末(TR)内に記憶され、再び送信状態が確立されたときにまとめて送信される。これによって、端末(TR)を装着している人物が無線の届かない場所に移動してしまった場合、又は、基地局(GW)の不具合でデータが受信されなくなった場合にも、データを失うことなく取得することが可能になる。これによって、十分な量のデータを得て、組織の性質を解析することができる。この、送信に失敗したデータを端末(TR)に保管し再送信する仕組みを、まとめ送りと呼ぶ。
【0102】
データのまとめ送りの手順を説明する。端末(TR)は、送信できなかったデータを記憶しておき(TRDM)、一定時間後に再びアソシエイトの依頼を行う(TRTA2)。ここで基地局(GW)からアソシエイト応答が得られた場合、端末(TR)は、データ形式変換(TRDF2)、データ分割(TRBD2)及びデータ送信(TRSE2)を実行する。これらの処理は、それぞれ、データ形式変換(TRDF1)、データ分割(TRBD1)及びデータ送信(TRSE1)と同様である。なお、データ送信(TRSE2)の際、無線が衝突しないように輻輳制御される。その後は通常の処理に戻る。
【0103】
アソシエイト応答が得られなかった場合、端末(TR)は、アソシエイトに成功するまで定期的にセンシング(TRSS1)と端末情報・時刻情報添付(TRCT1)を実行しつつ、新たに取得したデータを記憶(TRDM)していく。これらの処理によって取得されたデータは、基地局(GW)から受信完了レスポンスが得られるまで、端末(TR)内に記憶される。端末(TR)内に記憶されたセンシングデータは、アソシエイト成功後、もしくは無線圏内で充電している時、有線にて基地局(GW)と接続しているときなどの、安定して基地局と送受信できる環境が整った際に、まとめて基地局(GW)に送信される(TRSE2)。
【0104】
また、端末(TR)から送信されたセンシングデータは基地局(GW)によって受信(GWRE)される。基地局(GW)は、受信したデータが分割されたものであるか否かを、センシングデータに付随する分割フレーム番号によって判定する。データが分割されている場合、基地局(GW)は、データ結合(GWRC)を実行し、分割されたデータを連続したデータに結合する。さらに、基地局(GW)は、基地局固有の番号である基地局情報(GWMG)をセンシングデータに付与し(GWGT)、そのデータを、ネットワーク(NW)を介してセンサネットサーバ(SS)に向けて送信する(GWSE)。基地局情報(GWMG)は、その時刻における端末(TR)の大まかな位置を示す情報として、データ解析の際に利用することができる。
【0105】
センサネットサーバ(SS)は、基地局(GW)からデータを受信すると(SSRE)、受信したデータを時刻・端末情報・加速度・赤外線・温度などの要素ごとに分類する(SSPB)。この分類は、データ形式情報(SSMF)として記録されているフォーマットを参照することによって実行される。分類されたデータは、センシングデータベース(SSDB)のレコード(行)の適切なカラム(列)に格納される(SSKI)。同じ時刻に対応するデータを同じレコードに格納することで、時刻及び端末情報(TRMT)による検索が可能になる。このとき必要であれば、端末情報(TRMT)ごとにテーブルを作成しても良い。このデータ受信(SSRE)、データ分類(SSPB)、データ格納(SSKI)を、図3におけるセンシングデータ保管(SSCDB)において行う。
【0106】
<図6:イベント抽出とユーザ操作のシーケンス>
図6に,アプリケーションサーバ(AS)を起点とするイベント抽出の処理と,ユーザがWebアプリケーションを操作する際の処理のシーケンス図を示す。
【0107】
まず,イベント抽出処理については,アプリケーションサーバ(AS)にて所定の時刻にプログラムをタイマ起動(ASTK)し,必要な二次データをセンサネットサーバ(SS)に対象となるユーザや期間を指定して要求する(ASCP)。センサネットサーバ(SS)は,依頼に基づいて二次データベース(SSDT)を検索し(SSCTS),二次データを返す。アプリケーションサーバ(AS)は,受け取った二次データを処理して対面要素イベント抽出処理(ASCY),対面要素イベント結合処理(ASCC),対面イベント特徴量抽出(ASCT)を行い,対面イベントに関するイベント情報(イベントID,開始時刻,終了時刻,メンバID,各メンバの特徴量)を対面イベントテーブル(ASCE)として記憶部(ASME)に格納する。また,個人作業イベント抽出処理(ASPY),個人作業イベント特徴量抽出(ASPT)を行い,個人作業イベントに関するイベント情報(イベントID,メンバID,下位イベントID,各下位イベントの開始時刻・終了時刻・特徴量)を個人作業イベントテーブル(ASPE)として記憶部(ASME)に格納する。
【0108】
また,ユーザがWebアプリケーションを用いてデータを閲覧する際のプロセスを示す。ユーザ(US)はクライアント(CL)を操作し,まず,指定のWebサイトにアクセスしてログイン(CLCIU)する。アプリケーションサーバ(AS)は,受け取ったユーザアカウントとパスワードを照合してユーザ認証(ASCIU)し,クライアント(CL)に閲覧・操作許可を与える。ユーザ(US)は,たとえば図7に示すような画面をクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)などで閲覧し,表示切替エリア(ODSI)や日付切替エリア(ODSD)のボタン等を操作することによって,見たいデータやイベントのリクエストを送る(CLCOR)。リクエストに従ってアプリケーションサーバ(AS)で表示画面を生成(ASCID)し,クライアント(CL)の画面(OD)に表示する(CLCOD)。ユーザ(US)が主観評価情報を入力する際には,例えば図8や図9のユーザ操作部(ODEI_CC,ODEI_PC)を押すことで,入力画面が開き,イベントと対応づけて主観情報を数値や文字列で入力することが可能である(CLCIS)。入力した主観情報は,アプリケーションサーバ(AS)の主観情報テーブル(ASST)に格納される(ASCIS)。
【0109】
<図7:表示画面の例>
図7にクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)などの出力装置において出力する画面(OD)の例を示す。
【0110】
タイトルエリア(ODST)は,表示するページの種類を切り替えたり,現在ログインしているユーザ(US)の名前を確認したりするために用いる。
【0111】
「イベント」に関するページを開いている場合,イベント表示フィード(ODEI)に一日のイベントが時系列で並べて表示される。ここでは,種類の異なる,複数のメンバのイベントがすべてタイムスタンプによってソートされる。
【0112】
日付切替エリア(ODSD)は,イベント表示フィード(ODEI)に表示するデータの日付を切り替えるためのフィードである。
【0113】
表示切替エリア(ODSI)は,イベント表示フィード(ODEI)に表示する対象となるイベントの種類やグループを切り替えるためのエリアである。チェックボックスのチェックをON・OFFすることで表示のリクエストをアプリケーションサーバ(AS)に送ることができる(CLCOR)。グループの選択については,絞り込み方法を「構成メンバで絞り込み」を選択した場合には,チェックを入れたグループに所属するメンバが含まれるイベントを全て表示する。また,「グループで絞り込み」を選択した場合には,各イベントのグループ名にそのグループが定義されている場合のイベントのみを表示する。イベントをどのグループに定義づけるかは,ユーザ(US)が手動で行う。もしくは,対面の構成メンバの一致率などを見て,便宜的に自動でグループを定義しておいても良い。
【0114】
<図8:表示画面(対面イベントフィード)の例>
図8に,イベント表示フィード(ODEI)に表示される対面イベント表示フィード(ODEI_C)の1つを拡大した例を示す。
【0115】
データ表示部(ODEI_CD),イベント期間(ODEI_CE),イベント指標表示部(ODEI_CV)のデータは,センシングデータの処理結果から自動で算出され,表示されている。また,位置ビーコン(PB)によって場所が特定できた場合には場所名(ODEI_CP)も自動で表示される。グループ名(ODEI_CG),業務名(ODEI_CW)は,初期状態では空白だが,ユーザ(US)本人が入力することで埋められる。登録されたグループ名から選択肢を表示するなどして,ユーザ(US)の入力負荷を軽減することも可能である。
【0116】
データ表示部(ODEI_CD)には,対面イベントに参加したメンバに関して,参加時間,聴取時間,アクティブ時間が示され,その比率(アクティブ率と聴取率)がグラフとして表示される。メンバの並び順は,参加時間の長い順や,アクティブ率の高い順などでソートすることができる。
【0117】
イベント指標表示部(ODEI_CV)では,このイベントに要した延べ時間にデータ処理変数リスト(ASDV)に設定したコスト算出基準を掛けることで,およそのコストを算出する。また,活性化度は,アクティブ率と聴取率に重みづけし,例えばアクティブ率が高いほど高く,聴取率が低いほど高くなるように計算式を設けて算出する。活性化度の計算式は組織で理想とするコミュニケーションの仕方に合わせて決定する。例えば,時間が短いほど,アクティブ率のばらつきが少ないほど高くなるように設定しても良い。
【0118】
ユーザ操作部(ODEI_CC)は,ユーザがこのイベントに対して情報を付加するための操作を行うボタンを含む。「進めた/進んだ」はイベントの参加者がイベントの内容や感想などの主観評価情報を議事録のように記録するためのものである。自分や,他の参加者が記入した記録を並べて,主観評価情報表示部(ODEI_CS)に表示される。「Good!」ボタンは,コメントを残すほどではないが肯定的な意見を伝えるために,閲覧者が誰でも押すことができる。「コメント」はこのイベントに関するコメントを閲覧者が伝えるためのものである。「ファイル」はイベントに関する文書(例えば議事録や配布資料など)をアップロードするためのものである。「(秘)指定」に指定された場合,そのイベントはイベントの参加者以外には表示されないようになる。
【0119】
主観評価情報表示部(ODEI_CS)はユーザ操作部(ODEI_CC)から入力された,多様な人の主観情報を一覧にして表示する場所である。
【0120】
タイムスタンプ(ODEI_CT)は,イベント表示フィード(ODEI)内でイベントを時系列似並び替えるための基準となる時刻である。対面イベントの場合には,その開始時刻をタイムスタンプ(ODEI_CT)としても良い。
以上のように,センサデータによって実際に起こったイベントを自動的に切り出し,それに対応づけて複数の関係者の出来事や感想などの主観的な情報を集約していくことで,日々の仕事の状況を関係者同士で共有することが容易になる。会話中のアクティブ率などの質的な指標も含まれているため,その状況をよりイメージしやすいというメリットがある。このように,少ない手間で主観情報を記録していくことで,遠隔オフィスや横断プロジェクトなどのために上司やチームメイトと頻繁に会話する機会がない場合にも,互いの業務状況を共有して,問題の早期発見や業務の最適配分に役立てることができる。
【0121】
<図9:表示画面(対面イベントフィード)の例>
図9に,イベント表示フィード(ODEI)に表示される個人作業イベント表示フィード(ODEI_P)の1つを拡大した例を示す。
【0122】
各部位の役割としては,図8の対面イベント表示フィードとほぼ共通であり,データ表示部(ODEI_PD)は(ODEI_CD)に,グループ名(ODEI_PG)は(ODEI_CG)に,業務名(ODEI_PW)は(ODEI_CW)に,イベント期間(ODEI_PE)は(ODEI_CE)に,ユーザ操作部(ODEI_PC)は(ODEI_CC)に,タイムスタンプ(ODEI_PT)は(ODEI_CT)に,主観評価情報表示部(ODEI_PS)は(ODEI_CS)に,イベント指標表示部(ODEI_PV)は(ODEI_CV)にそれぞれ対応する。
【0123】
メンバ名(ODEI_PW)はその個人作業イベントを行った当事者名である。
【0124】
また,データ表示部(ODEI_PD)には,複数の個人作業イベント(図15では「下位イベント」と呼ぶもの)を並べ,イベント表示フィード(ODEI)内では1つの個人作業イベントとして扱ってもよい。これは,個人作業は一般に30分から90分程度しか連続せず,一日に複数個のイベントが発生するが,その個々に対して評価を記入することはユーザにとって負担になるためである。そのため,午前/午後/夜などにイベントを括り,ひとまとめにしても良い。また,データ表示部(ODEI_PD)内での個別のイベントの並び順はイベント表示フィード(ODEI)の並び順と逆でも良い。例えば,イベント表示フィード(ODEI)が降順の場合にデータ表示部(ODEI_PD)内は昇順でもよい。また,個人作業イベント表示フィード(ODEI_P)では,データとして各個人作業イベントの内訳として集中の度合いを3段階で示す。集中の度合いは体の動きによって判定しており,例えば「停滞」は加速度リズムが一定値以下の場合,その他を「集中」とし,「集中」が長く継続した場合を「集中(高)」そうでない場合を「集中(低)」として区別することができる。
【0125】
また,「集中(高)」に重みを付けて集中の度合いを計算することによって,イベント指標表示部(ODEI_PV)の集中度を算出することができる。
【0126】
<図10:ユーザ属性リスト(ASUL)の例>
図10は、アプリケーションサーバ(AS)の記憶部(ASME)内に保管される、ユーザ属性リスト(ASUL)の形式の例である。ユーザ属性リスト(ASUL)にはユーザ番号(ASUIT1)、ユーザ名(ASUIT2)、端末ID(ASUIT3)及びユーザの所属する部(ASUIT4)や課(ASUIT5)が相互に関連付けて記録されている。ユーザ番号(ASUIT1)は存在するユーザの通し番号を示すものである。また、ユーザ名(ASUIT2)は表示画面やコンテンツ生成時に用いるユーザ(US)の氏名もしくはニックネームの表記であり、端末ID(ASUIT3)はユーザ(US)が所有する端末(TR)の端末情報を示すものである。ユーザ(US)と端末ID(ASUIT3)は基本的に一対一で対応する。また、所属する部(ASUIT4)や課(ASUIT5)はユーザ(US)が所属する組織を情報であり、例えば、組織単位で基本コンテンツを作成する場合にはこの情報に基づき、データに含むメンバを特定する。
【0127】
なお、図10ではユーザと所属する組織の情報をテーブルの形式で規定したが、これはXMLなどを用いて階層的に示しても良い。その場合には、A社の下にA部、A部の下にA1課が存在する、というように組織階層に合わせて表記することが可能であり、該当する組織の中に個人のユーザ名や端末IDなどを記述することができる。なお、同じ人物が複数の組織を兼務することも現実にあり得るため、ユーザ1人に複数の組織が対応していても良い。
【0128】
<図12:センシングデータベース(SSDB)の例:加速度データテーブル>
図12にセンサネットサーバ(SS)内センシングデータベース(SSDB)に格納されるセンシングデータの例として、加速度データテーブルの例(SSDB_ACC_1002)を示す。これは、基本的に、端末(TR)で取得されたセンシングデータそのままのものであり、下処理をされていない状態のデータである。個人ごとにテーブルが作られ、サンプリング周期(例えば0.02秒)ごとに時刻情報(DBTM)と対応付けてX軸(DBAX)、Y軸(DBAY)、Z軸(DBAZ)の三軸方向それぞれの加速度データが格納される。なお、加速度センサが検出した生の数値を格納しても良いし、単位を重力定数[G]に変換した後の値を格納しても良い。このような加速度データテーブルをメンバごとに作成し、センシングした時刻の情報と対応付けて格納する。なお、ユーザIDを示すカラムを追加すれば、テーブルを個人ごとに分けずに統合しても良い。
【0129】
<図13:センシングデータベース(SSDB)の例:対面テーブル>
センシングデータベース(SSDB)には複数のメンバの複数種類のセンシングデータが記録されているが、そのうちの赤外線送受信による対面データをまとめたテーブルの例を図13の(A)(B)に示す。図13の(A)は、対面テーブル(SSDB_IR_1002)であり、端末IDが1002である端末(TR)が取得したデータを集めたテーブルであることを想定している。同様に、図13の(B)は、対面テーブル(SSDB_IR_1003)であり、端末IDが1003である端末(TR)が取得したデータを集めたテーブルとする。なお、カラムに赤外線受信側IDを加えれば、取得した端末(TR)ごとにテーブルを分けなくても良い。また、他の加速度や温度などのデータも同じテーブルに含んでも良い。また、位置ビーコン(PB)から受信した検出器ID(CLVDID)も、端末(TR)から受信したユーザIDと同様に赤外線送信側ID(DBR)に入れても良い。この場合、検出器IDをキーとしてテーブルを検索することで、誰がどの場所にいたかを調べたり,同時に同じ場所にいる人同士は対面していると判断して,角度や距離の問題から端末(TR)間で赤外線を送受信できなかったケースを補ったりすることができる。
【0130】
図13(A)・(B)の対面テーブルは、端末(TR)がデータを送信した時刻(DBTM)と、赤外線送信側ID(DBR1)とそのIDからの受信回数(DBN1)を10組(DBR1〜DBR10、DBN1〜DBN10)格納する例である。10秒間に1回データ送信を行う場合には、前回の送信後の10秒間に、どの端末(TR)から何回赤外線を受信したかを、このテーブルで表している。10秒間に、複数の端末(TR)と対面した場合にも、10組まで格納できるということである。なお、組の数は自由に設定することができる。対面、つまり赤外線の受信がなかった場合にはテーブルの値はnullとなる。また、図13(A)・(B)では時刻はミリ秒まで表記しているが、時刻の形式は統一されていればどのようなものでも良い。
【0131】
<図14:対面イベントテーブル(ASCE)>
図14に,対面イベントテーブル(ASCE)の形式の例を示す。対面イベントテーブル(ASCE)は,対面要素イベント抽出処理(ASCY),対面要素イベント結合処理(ASCC),対面イベント特徴量抽出(ASCT)の一連の処理の結果から抽出された,対面イベントの情報を格納するテーブルである。イベント毎にIDが振られ,その開始時刻,終了時刻,参加メンバのIDと,各メンバのイベント中の特徴量(例えば参加時間,アクティブ時間,聴取時間など)の情報を有する。この情報に基づいて,対面イベント表示フィード(ODEI_C)が生成される。
【0132】
<図15:個人作業イベントテーブル(ASPE)>
図15に,個人作業イベントテーブル(ASPE)の形式の例を示す。個人作業イベントテーブル(ASPE)は,個人作業イベント抽出処理(ASPY),個人作業イベント特徴量抽出(ASPT)の一連の処理の結果から抽出された,個人作業イベントの情報を格納するテーブルである。イベント毎にIDが振られ,その開始時刻,終了時刻,メンバのID,イベント中の特徴量(例えば最大集中継続時間,集中(高),集中(低),停滞の時間など)の情報を有する。この情報に基づいて,個人作業イベント表示フィード(ODEI_P)が生成される。複数の個人作業イベントを時間帯(午前/午後/夜)ごとにまとめて表示する方法を取る場合には,同じメンバの同時間帯のイベントにそれぞれ下位イベントのIDを振り,ひとくくりにしたイベントに別途イベントIDを振って管理しても良い。
【0133】
<図16:主観情報テーブル(ASST)>
図16に,主観情報テーブル(ASST)の形式の例を示す。主観評価入力(CLCIS,ASCIS)によってユーザがイベントに対応づけて入力した主観評価情報(進めた/進んだ,コメント,Good!などの情報)や分類(グループ分類,業務分類),(秘)指定,添付ファイルへのリンクなどを格納する。イベント表示フィード(ODEI)に表示する際には,センサデータに基づく対面イベントテーブル(ASCE)や個人作業イベントテーブル(ASPE)の情報と紐付けて表示する。
【0134】
<図17:データ処理変数画面(ODDV)>
アプリケーションサーバ(AS)内の制御部(ASCO)にて実行される処理に用いる変数の設定画面であるデータ処理変数画面(ODDV)の例を,図17に示す。ここで設定したデータはデータ処理変数リスト(ASDV)に格納され,処理を実行する際に参照される。データ処理変数画面(ODDV)の設定を変更できるのはシステム管理者の権限を持つもののみとする。
【0135】
<図31:二次データベース(SSDT)の例:行動リズムタペストリ>
二次データベース(SSDT)の例として、行動リズムタペストリ(SSDB_ACCTP_1min)の例を図31に示す。行動リズムタペストリ(SSDB_ACCTP_1min)は、加速度データテーブル(SSDB_ACC)を元にして、各ユーザ(US)の一定時間ごと(図31の例では1分ごと)の周波数(これを行動リズムと呼ぶ)を計算したものであり、1分ごとの時刻と、ユーザIDと対応付けてテーブルに格納したものである。なお、データを格納する形式はテーブル以外にも、CSVファイルなど別の方法でも良い。行動リズムを算出するには、時間単位ごとのXYZの三軸のゼロクロス回数を合計して求めてもよい。また、データに欠損があったり不適切であると判定された場合には、「Null」などの記号を入れ、基本コンテンツ作成(ASCBC)時に使えないデータであることを示しておく。また、他に、時間単位の異なる行動リズムタペストリ(SSDB_ACCTP)を何通りかセンサネットサーバ(SS)にて作成しておくと、それらを組み合わせて多様なコンテンツを作成できるため有用である。
【0136】
<図32:二次データベース(SSDT)の例:対面タペストリ>
二次データベース(SSDT)の例として、対面タペストリ(SSDB_IRTP_1min)の例を図32に示す。対面タペストリ(SSDB_IRTP_1min)は,対面テーブル(SSDB_IR)を元として,各ユーザ(US)の一定時間ごと(図32の例では1分ごと)に対面した相手のIDを示すように整理したものである。例えば,体の向きなどが要因となって,赤外線で通信される人物AのIDは人物Bの端末(TR)で受信されているのに,人物BのIDは人物Aの端末(TR)で受信されていないことがある。このような基礎的な不整合を補正したものが二次データとして二次データベース(SSDT)に格納される。
【0137】
このように、センサネットサーバ(SS)にてセンシングデータ処理(SSCDT)による下処理を行っておくことによって、アプリケーションサーバ(AS)でコンテンツを作成するプログラム(ASPPなど)を開発する際には、センシングデータの特性や下処理の方法を意識せずに開発することができる。
【0138】
<図18:対面要素イベント抽出処理(ASCY)のフローチャート>
図18に,対面要素イベント抽出処理(ASCY)の処理手順をフローチャートで示す。対面要素イベント抽出処理(ASCY)は,端末(TR)間の赤外線送受信によって人物間が対面したことを示す対面データを主に用いて,人がFace−to−Faceで集まっている状況(本明細書で「対面イベント」と呼ぶ)を抽出し,その開始時刻,終了時刻,参加メンバを特定するプロセスである。ただし,対面要素イベント抽出処理(ASCY)はある1人の人に着目し,同時刻に対面していたメンバ構成から対面要素イベント(1人の人を基準に抽出した対面イベントをここでは「対面要素イベント」と呼ぶ)を抽出するため,複数の人の視点から複数の対面要素イベントが抽出される。これらは同じ対面イベントを指していることがあるため,次に行う対面要素イベント結合処理(ASCC)にて類似した対面要素イベントを見つけて結合し,対面イベントの個数を最小限にする。
【0139】
この2つのプロセスによって,アドホックに人が集まり解散する曖昧な対面イベントを抽出することができる。その利点としては,連続している別のメンバ構成での対面イベントを識別できること,(参加時間比率をメンバ判定基準に含むため)短い時間の対面相手を参加メンバに含まないこと,途中から遅れて加わったり途中で抜けたりした人も参加メンバに含むことが挙げられる。
【0140】
対面要素イベント抽出処理(ASCY)の処理手順を,図20の具体例と合わせて図18で説明する。まず,二次データ要求(ASCP)において時系列の対面データを読み込む(ASCY1)。これは,図32のような対面タペストリ(SSCB_IRTP_1min)であり,イベントを切り出したい粒度に合わせて時間の単位は1分でも10分でも自由に設定して良い。また,必要な場合には位置ビーコンデータによる対面データ補完(ASCY2)を行う。これは,大きな会議室での集まりでは全員が参加者全員と端末(TR)間で送信できないことが多いため,会議テーブル上に置いた位置ビーコン(PB)を仲介として,同時刻に検知した人同士は直接対面したとみなす補完処理である。不要な場合にはASCY2はスキップしてよい。
【0141】
そして,時刻(t)を0(ASCY3),要素イベント(k)をk=0として開始(ASCY4)する。図20は,対面タペストリ(SSCB_IRTP_1min)から特定の人(Aさん)の対面相手を1分ごとに出力した例を挙げ,時刻tを1ずつ加えて行う対面要素イベントの判定プロセスを示している。判定の際には,時刻(t)と時刻(t+n)のメンバ一致率が閾値以上であるかどうかを基準とする(ASCY6)。ここで,nは図17で設定されたウィンドウ時間幅であり,図20の例ではn=4としている。図20において,t=03の行は,t=03とt=07(=03+4)のメンバ一致率を比較し,一致率が67%となり,図17のデータ処理変数画面(ODDV)で設定した閾値(th_m1)の50%より高いため,t=03から07までの5分間はイベント中であると判定し,イベントフラグ(ComEvent_A1)を1にする(ASCY7)。メンバ一致率は,{(時刻(t)と時刻(t+n)の両方に存在するメンバの数)÷(時刻(t)または時刻(t+n)の少なくともいずれかに存在するメンバの数)}によって計算される。tに1ずつ加えて(ASCY6)の判定を繰り返し,メンバ一致率が閾値以下になったとき(図20の例におけるt=10のとき)に,その要素イベント(ComEvent_A1)を終了とし,次のイベント(ComEvent_A2)が開始される(ASCY8)。図20では対面要素イベント(ComEvent_A2)はt=13からt=18までとなり,(ComEvent_A1)はメンバ構成がAさん,Bさん,Dさん,Eさんの5人で構成され,(ComEvent_A2)はAさんとCさんの2人で構成されるため,メンバ構成の異なる別の対面イベントが,適切に区別されたことがわかる。また,対面要素イベント(ComEvent_A1)では,AさんとBさん,Dさんとの対面について開始時刻も終了時刻も同時刻ではないが,共通部分が多いため同一のイベントとして柔軟に抽出されている。また別途,対面要素イベントの中で参加していた時間比率の低いメンバを削除する(ASCY10)ため,2分間だけ加わっていたEさんは対面要素イベント(ComEvent_A1)の参加メンバから省かれることになる。
【0142】
このように,時刻をずらして対面要素イベントの区切りと参加メンバを抽出していき,計算対象の最後の時刻(t)までを終了したら(ASCY5),最後にカウントしていた要素イベント(k)を終了させ,ここまでで抽出した各要素イベントにおいて参加比率の低いメンバを削除(ASCY10)した上で,特徴量を算出(ASCY11)する。特徴量の抽出例を図21に示す。イベント時間中の参加メンバの行動リズムタペストリ(SSDB_ACCTP_1min)をピックアップし(図21(A)),それがデータ処理変数画面(ODDV)のアクティブ判定閾値(th_act)以上である時間は,アクティブとし,聴取判定閾値(th_acl)未満の時間が所定の時間(th_lst,図では5分)以上継続した場合には聴取時間としてその数をカウントする。その結果の例を図21(B)に示す。特徴量は対面イベント中の各参加メンバの活動特性を表すものである。積極的に相手に働きかけるコミュニケーションをしている場合(発話したり頷いたり)には,体が動くので,コミュニケーションの積極度合いが加速度リズムに反映されるため,加速度リズムからコミュニケーションに関する特性を評価することができる。また,聴取時間は受動的な聞き手が長時間継続した時間を評価するものであり,プレゼンを聞いている時間などの,本人の意思でコミュニケーションの質を操作できない点が多いことが経験的に分かっている。
【0143】
以上のようにして得た要素イベントの情報(開始時刻,終了時刻,参加メンバ,各参加メンバの特徴量)を記憶部(ASME)に出力し(ASCY11),対面要素イベント抽出処理(ASCY)を終了する。
【0144】
<図19:対面要素イベント結合処理(ASCC)のフローチャート>
対面要素イベント結合処理(ASCC)の処理手順を,図22の具体例と合わせて図19で説明する。
【0145】
対面要素イベント抽出処理(ASCY)で抽出した要素イベントの情報全てを入力(ASCC1)し,そのうちの1組を選択し(ASCC2),それらが同一のイベントとみなすべきかを判定する。判定基準は,2つの対面要素イベントの時間重複率が閾値(th_c2)以上か,メンバ一致率が閾値(th_c1)以上か,の2点である。時刻一致率は,{(対面要素イベント(1)と対面要素イベント(2)が重複する時間)÷(対面要素イベント(1)または対面要素イベント(2)の長い方の時間)}で計算される。メンバ一致率は,{(対面要素イベント(1)と対面要素イベント(2)の両方に存在するメンバの数)÷(対面要素イベント(1)または対面要素イベント(2)の少なくともいずれかに存在するメンバの数)}によって計算される。共に満たす場合には,2つの要素イベントを合併すると判定し(ASCC5−1),イベント時間の長い方に合併して短い方の要素イベントを削除(ASCC6)する。いずれかの条件を満たさない場合には,2つの要素イベントは独立であり合併しないと判定する(ASCC5−2)。この手順を全ての要素イベントの組み合わせについて検査したら完了する(ASCC7)。
【0146】
図22に複数の対面要素イベントの例を示し,(A)にそれぞれが生じている時刻,(B)にその参加メンバとイベントが継続した時間を示す。この場合には,重複時間と共通メンバの比率が高いもの同士を結合していき,最も長いイベントが残されていくため,最終的にイベント[C01]と[C03]と[C07]が独立した対面イベントとして残ることになる。その後,イベント表示時間閾値(th_d)より短いイベントを削除(ASCY8)するため,イベント[C07]も削除される。残った要素イベント[C01]と[C03]が,対面イベントとしてIDを振られ,その特徴量と共に対面イベントテーブル(ASCE)に格納される。
【0147】
なお,2つの要素イベントを結合する際には,一方を残して一方を削除する方法ではなく,早い方の開始時刻から遅い方の終了時刻までを1つの新たなイベントとして定義し直しても良い。また,特徴量であるイベント内の参加メンバの活動指標についても,イベント結合を終えてから,再度計算し直したものを対面イベントテーブル(ASCE)に格納しても良い。
【0148】
以上の手順を踏むことによって,短いイベントは吸収または削除され,ある程度長いイベントのみが残されるため,ユーザ(US)自身の記憶と対応づけやすく,主観評価情報を記入しやすいという利点がある。個々のイベントが細かすぎると,全てに主観評価を入力できず,長すぎると1つのイベントに対して別の種類の主観評価を記入しなくてはならなくなるため,書きやすい長さ(例えば15分以上3時間以内)でイベントが区切られるよう,ウィンドウ時間幅(n)や閾値(th_m1,th_m2,th_c1,th_c2,th_d)の設定を調整すると良い。
【0149】
<図23:個人作業イベント抽出処理(ASPY)のフローチャート>
図23に,個人作業イベント抽出処理(ASPY)の処理手順をフローチャートで示す。図24は,この手順を具体的な例で示して説明するためのものである。ここで個人作業とは主にデスクワークを想定しており,端末(TR)を装着している時のデータであり,かつ,他者と対面コミュニケーションしておらず,かつ,体の動きが小さい場合を個人作業と判定する。そのために,端末装着判定,対面判定,活動判定に関する時系列データを用いるが,まとまった時間単位で個人作業イベントを抽出したいため,事前に各時系列データを補完してから順に判定する。補完が不要な場合はいずれかの補完プロセスをスキップしても良い。
【0150】
まず,端末装着判定,対面判定,活動判定に関する時系列データを入力する(ASPY1)。図24の例では1分単位のデータを用いている。
【0151】
端末装着判定は,ユーザ(US)が端末(TR)を装着していたかを示すデータである。端末(TR)が充電器に置かれている場合,机などに放置されていた場合,鞄の中に収納されている場合を,加速度データや照度データを用いて判定し,それを除いた結果である(図24のP1)。
【0152】
対面判定データは,少なくとも1人と対面していたと判定された結果である。特に赤外線による対面判定は,体の向きなどによって途切れることが多いため,対面判定データを補完してより連続的な対面であるとみなすようにする(ASPY2)。図24のP2−2の例では,4分間までの空白(判定結果が0)を埋める。これを,補完係数4で補完する,と表現する。なお,他の端末(TR)からの赤外線受信による判定だけでなく,テレビ会議や電話対応を判別した結果も,対面判定データに含んでも良い。
【0153】
活動判定データは,加速度リズム(周波数)が閾値(th_per)以上である場合を1として示すデータである。経験上,デスクワーク時には体の動きが少なく,端末(TR)で取得される加速度リズムも低い値になるため,活動判定が0の場合,つまり閾値未満である場合を,個人作業の候補とする。活動の合間に短時間だけ動きを止めた時間を個人作業と判定すると,短い個人作業イベントが抽出されてしまうため,必要であれば個人作業判定前に活動判定データ補完(ASPY3)を行っても良い。図24のP3−2の例では,補完係数を1として補完している。
【0154】
以上の補完を終えたあと,計算対象とする時間(t)の始めから終わりまでについて,順に個人作業かどうかを判定する(ASPY5)。ここでは,以上の補完済みの時系列データを用いて,端末装着あり,かつ,対面なし,かつ,活動なしの場合を個人作業であると判定する(ASPY6―1)。そうでない場合は個人作業でないと判定する(ASPY6―2)。その結果が図24の例ではP4−1となる。次に,再度個人作業判定データを補完し(ASPY7),個人作業イベントが連続的になるようにする。最後に,活動判定よりも高い閾値である,閾値(th_perL)を超えて大きな動きをしている場合を活動(大)とし,その場合のみは強制的に個人作業イベントを分割する(ASPY8)。
【0155】
最後に,イベントの継続時間が閾値(th_dp)以下の短時間のイベントを削除し(ASPY9),残った各個人作業イベントの特徴量(集中(高),集中(低),停滞,最大集中継続時間)を抽出して(ASPY10),イベント情報(開始時刻,終了時刻,メンバID,各特徴量)を個人作業イベントテーブル(ASPE)に出力(ASPY11)して終了となる。
【0156】
個人作業イベントの特徴量抽出の例を図25に示す。個人作業の特徴量は,デスクワークの質的な内訳を示すものである。具体的には,加速度リズムに着目して,うたた寝や瞑想・休息しているような動きがあまりに小さい場合を「停滞」,停滞以外の時間を「集中」として,さらに,集中が継続した時間が閾値(th_perS)以上であるものを「集中(高)」,閾値未満であるものを「集中(低)」に分類する。
【0157】
<図27:アクティブ率算出のフローチャート>
対面イベント特徴量抽出(ASCT)の特徴量であるアクティブ率の算出方法を図27のフローチャートにて示す。
【0158】
会話時の積極性は,ジェスチャーなどによる体の揺れに表れるため,端末(TR)の加速度リズムが高い時を「アクティブである」,つまり積極的なコミュニケーションをしているとみなして定量的に評価することができる。逆に,加速度リズムが低い時は「パッシブである」,つまり受動的なコミュニケーションをしているとみなせる。創造的なディスカッションは互いに積極的に考えを発言し合う状況になると考えられることから,このようなコミュニケーションの質を指標化し継続してモニタリングすることが,組織の創造性や生産性を高めるために,有用であると考えられる。
【0159】
コミュニケーションの質を示す指標として,アクティブな時間の比率を求める。このときに対面時間を分母として,{アクティブ率=アクティブ時間÷対面時間}として求めることが可能だが,この場合には,他人のプレゼンを聞くなど本人の努力で変えられないことによってパッシブな時間が増加し,アクティブ率が下がることが問題であった。そのため,長時間継続するパッシブな時間を「聴取時間」と定義し,対面時間から聴取時間を除いた「会話時間」をアクティブ率の分母として用いる。経験上,聴取時間は業務の性質に依存しているため,聴取時間を含んで算出したアクティブ率には本人の行動による特性が表れにくい。そのため,図26に示す模式図のように,会話時間でのアクティブ率を評価することによって本人の行動の結果としての会話の積極性が数値化される。よって,{アクティブ率=アクティブ時間÷会話時間}として値を算出する。
【0160】
なお,図27で示すアクティブ率の算出方法は,対面イベント時間中を対象としたアクティブ率を求めるだけでなく,特定の人の1日もしくは1ヶ月など所定の期間を対象として算出するためにも同様の方法で用いることができる。
【0161】
図27のフローチャートに沿ってアクティブ率の算出プロセスを説明すると,まず,計算対象の人物に関する対面データと加速度リズムの時系列データを,対面タペストリ(SSDB_IRTP_1min)と加速度タペストリ(SSDB_ACCTP_1min)から入力する(ASCT1)。少なくとも1人と対面している時刻を抽出し(ASCT2),同じ時刻の加速度リズムが閾値(th_act)以上である場合にはその時刻をアクティブ,閾値未満である場合にはパッシブと判定する(ASCT3)。なお,ASCT2における対面している時刻とは,他の端末(TR)から赤外線を受信した時刻のみでなく,音声データにより端末の所有者であるユーザ(US)が発話していると判別された時刻や,テレビ電話の前や特定の会議室にいると位置ビーコン(PB)で検知された時刻を「対面している時刻」とみなしても良い。
【0162】
次に,パッシブ時間が閾値(th_lst)の時間以上継続している部分を抽出し,その期間を「聴取時間」とする(ASCT4)。数値を求める対象となる期間中(対面イベントの期間,または,1日や1ヶ月)の,合計対面時間から合計聴取時間を引いたものを「会話時間」とする(ASCT5)。最後に,対象期間の合計アクティブ時間を合計会話時間で割った値を,その期間の有効なアクティブ率として算出する(ASCT6)。
【0163】
本手法によって算出したアクティブ率を用いた表示画面の例を図28に示す。アクティブ率の個人やグループの時系列変化を把握するために,個人の結果や,定義したグループでのイベントでの値を平均した結果を折れ線グラフで示すことが可能である。その値は,アクティブ率そのものではなく,複数組織,長期のデータを母数とした偏差値で表示しても良い。また,所属する組織における特定の期間のアクティブ率の分布をヒストグラムで表示し,その中に対象者のアクティブ率を示すことも可能である。
【0164】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形実施可能であり、上述した各実施形態を適宜組み合わせることが可能であることは、当業者に理解されよう。
【符号の説明】
【0165】
TR、TR2〜6 端末
GW,GW2 基地局
US、US2〜6 ユーザ
NW ネットワーク
PAN パーソナルエリアネットワーク
SS センサネットサーバ
AS アプリケーションサーバ
CL クライアント
CP 個人用クライアント
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ端末によって取得した、人物の活動データを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,遠隔オフィスでの業務や,プロジェクト型の業務(1人が同時に複数のプロジェクトに配属され,複数の上司を持つ)が増加しており,部下と上司,チームのメンバ同士が業務内容を互いに把握することが困難になっている。しかしながら,業務量の適切な配分,KnowHow・KnowWho情報を効率的に活用するためには,幅広く業務中の出来事や状況を共有することが必要である。そのために,業務の実態をセンサデータとして収集し,人間が理解しやすい区切りで出来事を表示することが効果的である。
【0003】
PC画面上に表示したファイルの操作ログから会議中の話題の区切りを見つける技術が示されている(たとえば特許文献1)。人々の滞在場所のデータから形成されている集団の発生と消滅を判定する技術が示されている(たとえば特許文献2)。また,マイクによって人物間の会話のやり取りを時系列に整理する技術が知られている(たとえば特許文献3)。また,人物に装着したセンサとPCの操作ログから特定した作業内容にノイズ除去処理を行い,連続した作業として特定する技術が知られている(たとえば特許文献4)。また,会議の議論の質向上のために,発言していない時間に着目して発言要請を出す技術が知られている(たとえば特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-64275
【特許文献2】特許第4525318
【特許文献3】特開2007-27918
【特許文献4】特開2009-211574
【特許文献5】特開平8-274888
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、人間の記憶の出来事と紐付けるために,人間の活動に関する連続的なセンサデータに適切な区切りを与えて表示することである。特に,ホワイトカラーの業務を対象とし,アドホックに複数人が集まって会話する対面イベントや,個人でPCに向かって文書を執筆するなどの個人作業イベントを抽出することで業務中の活動を区切って示す。対面イベントを抽出するためには,人物同士が正対して対面したというデータに基づき,対面イベントに参加したメンバとその開始時刻・終了時刻を特定することが必要である。
【0006】
そのためには,特許文献1では会議中のデータしか対象とならなく、また、,特許文献2ではセンサを設置した場所での集団しか検知できないため,上記の課題を十分に解決できない。また,特許文献2,特許文献4では,複数の人がアドホックに集まり解散するまでの柔軟な集団の形成・解体を一連の纏まったイベントとして抽出する方法は示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
イベントデータ処理装置であって、時刻と人物情報と人物同士が対面したことを示すデータとを含む対面情報が格納される記録部と、対面情報の入力を受け付けて記録部に記録する入力部と、入力部が入力を受け付けた対面情報から対面していた人数である対面人数を算出し、第1の時刻における第1の対面人数と第2の時刻における第2の対面人数との差である対面人数差を算出し、対面人数差が予め定められた閾値である対面人数閾値以下であった場合、第1の時刻と第2の時刻との間に連続したコミュニケーションが行われていたと判別して、第1の対面人数と第2の対面人数に含まれる人物と第1の時刻と第2の時刻とに対してイベントを識別するイベント識別子を関連づけて記録部に記録する制御部と、記録されたイベント識別子を出力する出力部と、を有することを特徴とするイベントデータ処理装置によって、上記課題は解決できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば,途中から会話に参加した人や途中で抜けた人がいてメンバ構成が変化した場合にも,大半のメンバ構成が一致していれば一連のイベントとして抽出される。同じ場所または特定の人を含んで,別のイベントが連続して発生した場合にも,メンバ構成が大きく変化していれば別のイベントとして区別される。また,同時刻に複数の異なる集団が発生している場合にも,別のイベントとして区別される。これによって,人物間の対面の有無に関するデータのみを用いて,職場で自然に発生・消滅する対面コミュニケーションのイベントの情報を,その開始時刻・終了時刻・メンバ構成を特定して抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】センシングデータ表示装置の構成と利用シーンを示す図の一例である。
【図2】クライアントとアプリケーションサーバの構成を示す図の一例である。
【図3】センサネットサーバと基地局の構成を示す図の一例である。
【図4】端末の構成を示す図の一例である。
【図5】センシングデータがセンサネットサーバに格納されるまでのシーケンス図の一例である。
【図6】アプリケーションサーバ(AS)を起点とするイベント抽出の処理と,ユーザがWebアプリケーションを操作する際の処理のシーケンス図の一例である。
【図7】Webアプリケーションの画面を示す図の一例である。
【図8】対面イベントの表示画面を示す図の一例である。
【図9】個人作業イベントの表示画面を示す図の一例である。
【図10】ユーザ属性リストを示す図の一例である。
【図11】グループ管理リストを示す図の一例である。
【図12】センシングデータベース(加速度データ)を示す図の一例である。
【図13】(A)センシングデータベース(対面データ)を示す図の一例である。(B)センシングデータベース(対面データ)を示す図の別の一例である。
【図14】対面イベントテーブルを示す図の一例である。
【図15】個人作業イベントテーブルを示す図の一例である。
【図16】主観情報テーブルを示す図の一例である。
【図17】データ処理変数画面を示す図の一例である。
【図18】対面要素イベント抽出処理のフローチャートである。
【図19】対面要素イベント結合処理のフローチャートである。
【図20】対面要素イベント抽出処理の手順を示す図の一例である。
【図21】(A)対面要素イベント特徴量抽出の手順に関する表の一例である。(B)対面要素イベント特徴量抽出の手順に関する表の別の一例である。
【図22】(A)対面要素イベント結合処理の手順に関する表の一例である。(B)対面要素イベント結合処理の手順に関する表の別の一例である。
【図23】個人作業イベント抽出処理のフローチャートである。
【図24】個人作業イベント抽出処理の手順を示す図の一例である。
【図25】個人作業イベント特徴量抽出の手順を示す図の一例である。
【図26】対面コミュニケーションの分類を示す図である。
【図27】アクティブ率の計算プロセスを示すフローチャートである。
【図28】アクティブ率を用いた表示画面を示す図の一例である。
【図29】活動報告書出力設定画面を示す図の一例である。
【図30】活動報告書出力ファイルを示す図の一例である。
【図31】行動リズムタペストリを示す図の一例である。
【図32】対面タペストリを示す図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、センシングデータを表示するセンシングデータ表示装置であり、人物間の対面に関するデータを用いて,複数人が集まり解散する対面イベントを抽出して表示することを特徴とする。以下、図面を用いて説明を行う。
【実施例1】
【0011】
最初に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
<図1:システム概要>
図1に、第1の実施の形態のシステム概要を示す。第1の実施の形態では、センサ端末(TR、TR2〜5:以下個体を識別しない場合にはすべてTRと示す)を組織のメンバがユーザ(US、US2〜5:以下個体を識別しない場合にはすべてUSと示す)として装着し、その端末(TR)によって各メンバの動きやメンバ間の交流(インタラクション)に関するセンシングデータを取得する。インタラクションについては、ユーザ(US)同士が対面した際に各端末(TR)間で赤外線を送受信することで対面を検知している。会議室などの多くの人が集まって会話する広い場所では,全ての同席者の端末(TR)同士で赤外線が届かない場合があるため,位置ビーコン(PB)を設置することで人物間の対面データを補うことも可能である。位置ビーコン(PB)は場所を示すIDを赤外線で発信しており,それを端末(TR)が受信することで,ユーザ(US)がその場所に滞在していたことを検知する。
【0013】
取得したセンシングデータは無線または有線で接続し基地局(GW,GW2:以下個体を識別しない場合にはすべてGWと示す)に送信され、ネットワーク(NW)を通じてセンサネットサーバ(SS)に格納される。センサネットサーバ(SS)は定期的にこれらのセンシングデータの下処理を行い、取り扱いしやすい二次データとして保管しておく。ユーザに見せるための画面を作成するためには、アプリケーションサーバ(AS)が定期的にセンサネットサーバ(SS)から二次データを取得し、データから対面イベントや個人作業イベントを抽出する。ユーザ(US)は,クライアント(CL)にアカウントやパスワードを入力することでアプリケーションサーバ(AS)のWebページにアクセスし,その閲覧者向けのコンテンツをクライアント(CL)上の画面(OD)にて閲覧する。
【0014】
<図2〜図4:全体システムのブロック図>
図2から図4は、本発明の実施の形態のセンシングデータ表示装置を実現するセンサネットワークシステムの全体構成を説明するブロック図である。図示の都合上分割して示してあるが、各々図示された各処理は相互に連携して実行される。また、図内のそれぞれの機能はハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される。(★日本の特許法の場合、ソフトとハードの協働で情報処理がなされることが明確でないといけないという決まりがあります。)。これらの各構成要素は図2〜4から明らかなように、制御部と記憶部と送受信部を有している。制御部は通常のコンピュータ等の処理部である中央処理部(Central Processing Unit:CPU、図示省略)などで構成され、記憶部は半導体記憶装置や磁気記憶装置等のメモリ装置で構成され、送受信部は有線・無線等のネットワークインタフェースで構成される。その他、必要に応じて時計等を備えている。
【0015】
端末(TR)でそれを装着した人物の動きやコミュニケーションに関するセンシングデータを取得し、センシングデータは基地局(GW)を経由して、センサネットサーバ(SS)に格納する。また、アプリケーションサーバ(AS)はセンシングデータから対面イベントや個人作業イベントを抽出し,クライアント(CL)を介したユーザ(US)のリクエストに応じて,その結果を提示する。図2から図4はこれらの一連の流れを示す。
【0016】
図2から図4における形の異なる6種類の矢印は、それぞれ、時刻同期、アソシエイト、取得したセンシングデータの格納、センシングデータの解析、ファームウェア更新、及び、制御信号のためのデータまたは信号の流れを表している。
【0017】
<図2:全体システム1(CL・AS)>
図2に、クライアント(CL)とアプリケーションサーバ(AS)の一実施例の構成を示す。
【0018】
<クライアント(CL)について>
クライアント(CL)は、ユーザ(US)との接点となって、データを入出力する。クライアント(CL)は、入出力部(CLIO)、送受信部(CLSR)、記憶部(図示省略)、制御部(CLCO)を備える。
【0019】
入出力部(CLIO)は、ユーザ(US)とのインタフェースとなる部分である。入出力部(CLIO)は、ディスプレイ(CLOD)、タッチパネル(CLIT)、キーボード(CLIK)及びマウス(CLIM)等を備える。必要に応じて外部入出力(CLIU)に他の入出力装置を接続することもできる。
【0020】
ディスプレイ(CLOD)は、CRT(Cathode−Ray Tube)又は液晶ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ(CLOD)は、プリンタ等を含んでもよい。ユーザによる入力を支援するためにタッチパネル(CLIT)を用いる場合には、タッチパネル(CLIT)をディスプレイ(CLOD)の画面(OD)と重なるように設置し、出力と入力を同じ画面上で行うように見せることもできる。
【0021】
送受信部(CLSR)は、アプリケーションサーバ(AS)や他のネットワークに接続した機器との間でデータや命令を送受信する。具体的には、送受信部(CLSR)は、表示する画面のリクエストをアプリケーションサーバ(AS)に送信し、リクエストに対応する画像を受信する。
【0022】
記憶部(図示なし)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(図示なし)は、表示の履歴やユーザ(US)のログインIDなどを保存させても良い。
【0023】
<アプリサーバ(AS)>
アプリケーションサーバ(AS)は、センシングデータの二次データを処理及び解析し、クライアント(CL)を通してユーザに提示するためのコンテンツ情報(多くは画像であるが、動画やテキストデータ、音声データなど他のデータでもよい)を生成する。
【0024】
アプリケーションサーバ(AS)は、送受信部(ASSR)、記憶部(ASME)及び制御部(ASCO)を備える。
【0025】
送受信部(ASSR)は、ネットワーク(NW)を通じて、センサネットサーバ(SS)、NTPサーバ(TS)、クライアント(CL)、及び個人用クライアント(CP)との間でデータの送信及び受信を行い、そのための通信制御を行う。
【0026】
記憶部(ASME)は、ハードディスク、メモリ又はSDカードのような外部記録装置で構成される。記憶部(ASME)は、作成したコンテンツ情報や、コンテンツ作成のためのプログラム、その他コンテンツ作成に関係するデータを格納する。具体的には、記憶部(ASME)は、ユーザ属性リスト(ASUL)、グループ管理リスト(ASGR),対面イベントテーブル(ASCE),個人作業イベントテーブル(ASPE),主観情報テーブル(ASST),データ処理変数リスト(ASDV),活動報告書出力設定(ASGO),イベント抽出プログラム(ASPP),及び二次データ読み込みプログラム(ASPR)を格納する。
【0027】
ユーザ属性リスト(ASUL)は、端末(TR)のIDと、その端末を装着したユーザ(US)の氏名・ユーザID・所属、メールアドレス、属性等との対照表である。人物間の対面時に相手から受信したIDを氏名と紐付けたり,WebにログインしたIDに従って表示内容を変更したりする際に参照する。図10にその具体例を示す。
【0028】
グループ管理リスト(ASGR)はWebアプリケーション上で設定したグループを管理するリストである。図11にその具体例を示す。グループは,フォーマルな組織体系ではなく,ユーザ(US)が自由に作成することができる。グループを定義すると同じグループの人のイベントを閲覧したり,行動や会議の指標をグループ単位で平均して表示したりすることができるようになる。グループ管理リスト(ASGR)では,グループ番号,そのグループが有効である開始日と終了日,グループ名,メンバリストとその属性に関する情報を管理する。メンバの属性によってデータの閲覧や制御の権限が異なる。オーナーはグループを作った人であり,グループ管理リスト(ASGR)の情報を変更する権限を持つ。また,開示・閲覧に関してはメンバとして扱われる。メンバは,自身のデータをグループのメンバ(スーパーバイザ含む)に開示し,また,グループの他のメンバのデータを閲覧できる。スーパーバイザは,直接一緒に業務をしているメンバではないが,そのグループの状況を把握しておくべき人であり(たとえば上長や他部署の関係者など),グループのメンバのデータを閲覧する権限はあるが,自身のデータはグループに開示されない。
【0029】
対面イベントテーブル(ASCE)は,対面イベントに関する一連の処理(ASCY,ASCC,ASCT)によって抽出された対面イベントの情報を格納するテーブルである。また,個人作業イベントテーブル(ASPE)は,個人作業イベントに関する一連の処理(ASPY,ASPT)によって抽出された個人作業イベントの情報を格納するテーブルである。また,主観情報テーブル(ASST)は,ユーザ(US)によって入力された主観情報を,対面イベントや個人作業イベントと関連付けて格納するテーブルである。
【0030】
データ処理変数リスト(ASDV)は,図17のデータ処理変数画面(ODDV)にてWebアプリケーションの管理者によって設定された,データ処理に関する諸々の変数を格納するテーブルである。
【0031】
活動報告書出力設定(ASGO)は,主観情報テーブル(ASST)に格納されたユーザの主観評価情報を,図30に示す活動報告書出力ファイルの例のように出力するための,設定条件を格納するものである。出力条件は,例えば,図29の活動報告書出力設定画面(ODKS)をユーザ(US)が操作することによって設定される。
【0032】
イベント抽出プログラム(ASPP)は,イベント抽出に関する処理(ASCY,ASCC,ASCT,ASPY,ASPT)を実行するためのプログラムである。
【0033】
二次データ読み込みプログラム(ASPR)は,二次データ要求(ASCP)においてセンサネットサーバ(SS)から受信する二次データ(例えば1分単位の対面相手のID一覧や加速度リズムのデータ)の形式に対応した,読み込みプログラムである。
【0034】
制御部(ASCO)は、CPU(図示省略)を備え、センサデータや主観評価情報を処理し,ユーザに提供するWebコンテンツをとして出力するためのプロセスを実行する。
【0035】
入出力制御(ASCIO)は,ユーザがWebアプリケーションを通じてイベントデータを閲覧したり,イベントに対する主観評価情報(実施したことやその反省点,次の課題など)を入力したりする際の制御を行うものである。ユーザがWebアプリケーションにログインする際のユーザ認証(ASCIU)後,ユーザの操作に従って対象データの日付や種類・対象グループを切り替えて画面を構成する表示画面生成(ASCID)や,入力した主観評価情報をイベントと関連付けて主観情報テーブル(ASST)に格納する主観評価入力(ASCIS)を行う。
【0036】
また,アプリケーションサーバ(AS)は時計(ASCK)を有しており,外部のNTPサーバ(TS)などに接続して正確な時刻を維持する。
【0037】
あらかじめ設定した時刻になるとタイマ起動(ASTK)し,二次データ読み込みプログラム(ASPR)とイベント抽出プログラム(ASPP)を起動する。二次データ要求(ASCP)では,センサネットサーバ(SS)に必要な期間・対象者・種類を指定して二次データを要求し,受信する。受信したデータを用いて,対面イベントの処理に関しては,対面要素イベント抽出処理(ASCY),対面要素イベント結合処理(ASCC),対面イベント特徴量抽出(ASCT)を順に実施する。個人作業イベントの処理に関しては,個人作業イベント抽出処理(ASPY),個人作業イベント特徴量抽出(ASPT)
を実施する。なお,プログラムの起動方法は手動でも良いし,センサネットサーバ(SS)で特定のパターンのデータを受信したことをトリガとして起動しても良い。
【0038】
<図3:全体システム2(SS・IS)>
図3は、センサネットサーバ(SS)及び基地局(GW)の一実施例の構成を示している。
【0039】
<センサネットサーバ(SS)>
センサネットサーバ(SS)は、全ての端末(TR)から集まったデータを管理する。具体的には、センサネットサーバ(SS)は、基地局(GW)から送られてくるセンシングデータをセンシングデータベース(SSDB)に格納し、また、アプリケーションサーバ(AS)やクライアント(CL)からの要求に基づいてセンシングデータまたは二次データを送信する。さらに、センサネットサーバ(SS)は、基地局(GW)とその管理下にある端末(TR)の情報を随時管理する。また、端末(TR)のファームウェアを更新するための制御コマンドの起点となる。
【0040】
センサネットサーバ(SS)は、送受信部(SSSR)、記憶部(SSME)及び制御部(SSCO)を備える。
【0041】
送受信部(SSSR)は、基地局(GW)、アプリケーションサーバ(AS)、個人用クライアント(CP)及びクライアント(CL)との間で、データの送信及び受信を行い、その際の通信制御を行う。
【0042】
記憶部(SSME)は、ハードディスク等のデータ記憶装置によって構成され、少なくとも、センシングデータベース(SSDB)、二次データベース(SSDT)、データ形式情報(SSMF)、端末管理テーブル(SSTT)及び端末ファームウェア(SSTFD)を格納する。さらに、記憶部(SSME)は、制御部(SSCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムを格納する。
【0043】
センシングデータベース(SSDB)は、各端末(TR)が取得したセンシングデータ、端末(TR)の情報、及び、各端末(TR)から送信されたセンシングデータが通過した基地局(GW)の情報等を記録しておくためのデータベースである。加速度、温度等、データの要素ごとにカラムが作成され、データが管理される。また、データの要素ごとにテーブルが作成されてもよい。どちらの場合にも、全てのデータは、取得された端末(TR)のIDである端末情報(TRMT)と、センシングされた時刻に関する情報とが関連付けて管理される。
【0044】
二次データベース(SSDT)は、センシングデータベース(SSDB)のデータをセンシングデータ処理(SSCDT)した結果を格納するデータベースである。二次データベース(SSDT)に格納されている二次データは、下処理済みの規格化されたデータであり、ノイズが取り除かれ、基本コンテンツを作成するために適した形式、例えば1日ごとにユーザ(US)の任意の2者間の合計対面時間を行列形式で出力するなど、で保管される。アプリケーションサーバ(AS)では処理前のセンシングデータではなく二次データを使うようにルール化することで、ノイズの除去など端末(TR)や通信状況に依存するセンシングデータの特性を考慮せず、アプリケーションのためのプログラムを開発することができる。データベースとしては、二次データベース(SSDT)はセンシングデータベース(SSDB)と共通のものを用い、テーブルを分けるだけでも良い。また、必要に応じて、基本コンテンツ作成(ASCBC)はセンシングデータベース(SSDB)からセンシングデータ処理(SSCDT)前のデータを取得しても良い。
【0045】
データ形式情報(SSMF)には、通信のためのデータ形式、基地局(GW)でタグ付けされたセンシングデータを切り分けてデータベースに記録する方法、センシングデータ処理(SSCDT)された二次データを二次データベース(SSDT)に記録する方法、及び、データの要求に対する対応方法を示す情報等が記録されている。データ受信の後、データ送信の前にはこのデータ形式情報(SSMF)が参照され、データ形式の変換とデータ振り分けが行われる。
【0046】
端末管理テーブル(SSTT)は、どの端末(TR)が現在どの基地局(GW)の管理下にあるかを記録しているテーブルである。基地局(GW)の管理下に新たに端末(TR)が加わった際に、端末管理テーブル(SSTT)が更新される。また、基地局(GW)と端末(TR)間を有線で接続している場合には、常時端末管理情報を監視していなくてもよい。
【0047】
端末ファームウェア(SSFW)は、端末を動作させるためのプログラムを記憶しているものであり、端末ファームウェア更新(SSCFW)が行われた際には、端末ファームウェア(SSFW)が更新され、ネットワーク(NW)を通じてこれを基地局(GW)に送り、さらにパーソナルエリアネットワーク(PAN)を通じて端末(TR)に送り、端末(TR)内のファームウェアを更新する(FMUD)。
【0048】
制御部(SSCO)は、CPU(図示省略)を備え、センシングデータの送受信やデータベースへの記録・取り出しを制御する。具体的には、CPUが記憶部(SSME)に格納されたプログラムを実行することによって、センシングデータ保管(SSCDB)、端末管理情報修正(SSTF)、端末ファームウェア更新(SSCFW)、センシングデータ処理(SSCDT)及び二次データ検索(SSCTS)等の処理を実行する。
【0049】
センシングデータ保管(SSCDB)は、基地局(GW)から送られてきたセンシングデータを受け取り、センシングデータベース(SSDB)に格納する処理である。時刻情報や端末ID、基地局を経由した時刻などの付加情報を合わせて1レコードとして、データベースに格納する。
【0050】
時計(SSCK)は、外部NTPサーバ(TS)と定期的に接続することによって、標準時刻を保持している。時計(SSCK)があらかじめ指定した時刻、または特定の条件を満たしたときに、センシングデータ処理(SSCDT)をタイマ起動(SSTK)する。
【0051】
センシングデータ処理(SSCDT)は、センシングデータベース(SSDB)からセンシングデータ、端末(TR)で取得されたもの、をデータ形式情報(SSMF)で指定された方法によって下処理し、二次データを生成する。二次データは二次データベース(SSDT)に格納する。一定間隔でセンシングデータ処理(SSCDT)を起動し、新しく追加されたセンシングデータを処理することで、二次データベースが常に更新された状態になるように保つ。
【0052】
二次データ検索(SSCTS)は、アプリケーションサーバ(AS)から依頼を受けた際に、二次データベース(SSDT)から依頼に対応した二次データを取り出し、依頼元に返す処理を行う。その際、二次データに付与された、日付やユーザIDなどのタグ情報に基づいて検索する。
【0053】
端末管理情報修正(SSTF)は、基地局(GW)から端末管理情報を修正するコマンドを受け取った際に、端末管理テーブル(SSTT)を更新する。各基地局(GW)の配下にある端末(TR)のリストを常時把握するためのものである。
【0054】
端末ファームウェア更新(SSCFW)は、手動または自動にて端末(TR)のファームウェアを更新する必要が生じた際に、記憶部(SSME)内の端末ファームウェア(SSFW)を更新し、さらに、基地局(GW)に配下の端末(TR)のファームウェアを更新するように命令を出す。また、各端末(TR)でファームウェア更新が完了したというレスポンスを受け取り、すべての端末(TR)の更新が完了するまで続ける。
【0055】
<基地局(GW)>
基地局(GW)は、端末(TR)とセンサネットサーバ(SS)を仲介する役目を持つ。端末(TR)と基地局(GW)間が無線で接続する場合には、無線の到達距離を考慮して、居室・職場等の領域をカバーするように複数の基地局(GW)が配置される。有線で接続する場合には、基地局(GW)の処理能力に合わせて管理する端末(TR)の個数の上限が設定される。
【0056】
基地局(GW)は、送受信部(GWSR)、記憶部(GWME)及び制御部(GWCO)を備える。
【0057】
送受信部(GWSR)は、端末(TR)からデータを無線または有線にて受信し、センサネットサーバ(SS)への有線又は無線による送信を行う。送受信に無線を用いる場合には、送受信部(GWSR)は無線を受信するためのアンテナを備える。また、必要に応じて、センシングデータの送受信の際にデータが欠損しないように輻輳制御、つまり通信のタイミング制御を行う。また、受信したデータの種類を区別する。具体的には、受信したデータが一般のセンシングデータであるか、アソシエイトのためのデータであるか、時刻同期のレスポンスであるか等をデータのヘッダ部分から識別して、それらのデータをそれぞれ適切な機能に渡す。
【0058】
記憶部(GWME)は、ハードディスク、メモリ、又はSDカードのような外部記録装置(図示省略)で構成される。記憶部(GWME)には、動作設定(GWMA)、データ形式情報(GWMF)、端末管理テーブル(GWTT)、基地局情報(GWMG)及び端末ファームウェア(GWTFD)が格納される。動作設定(GWMA)は、基地局(GW)の動作方法を示す情報を含む。データ形式情報(GWMF)は、通信のためのデータ形式を示す情報、及び、センシングデータにタグを付けるために必要な情報を含む。端末管理テーブル(GWTT)は、現在アソシエイトできている配下の端末(TR)の端末情報(TRMT)、及び、それらの端末(TR)を管理するために配布しているローカルIDを含む。有線で端末(TR)と接続し、常時配下の端末(TR)を把握している必要がない場合には、端末管理テーブル(GWTT)はなくてもよい。基地局情報(GWMG)は、基地局(GW)自身のアドレスなどの情報を含む。端末ファームウェア(GWTFD)は、端末を動作させるためのプログラムを記憶しているものであり、センサネットサーバ(SS)から命令と新規の端末ファームウェアを受け取った際に、ファームウェア更新データ(TRDFW)をパーソナルエリアネットワーク(PAN)を通じて端末(TR)に送信する(GWCFW)。
【0059】
記憶部(GWME)には、さらに、制御部(GWCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムが格納されてもよい。
【0060】
制御部(GWCO)は、CPU(図示省略)を備える。CPUが記憶部(GWME)に格納されているプログラムを実行することによって、端末(TR)からセンシングデータを受信するタイミング、センシングデータの処理、端末(TR)やセンサネットサーバ(SS)への送受信のタイミング、及び、時刻同期のタイミングを管理する。具体的には、センシングデータ受信制御(GWCSR)、センシングデータ送信(GWCSS)、アソシエイト(GWCTA)、端末管理情報修正(GWCTF)、端末ファームウェア更新(GWCFW)及び時刻同期(GWCS)等の処理を実行する。
【0061】
時計(GWCK)は時刻情報を保持する。一定間隔でその時刻情報は更新される。具体的には、一定間隔でNTP(Network Time Protocol)サーバ(TS)から取得した時刻情報によって、時計(GWCK)の時刻情報が修正される。
【0062】
時刻同期(GWCS)は、一定間隔、または、端末(TR)が基地局(GW)と接続されたのをトリガとして、配下の端末(TR)に時刻情報を送信する。これによって、複数の端末(TR)と基地局(GW)の時計(GWCK)の時刻が同期される。
【0063】
アソシエイト(GWCTA)は、端末(TR)から送られてきたアソシエイト要求(TRTAQ)に対して、割り付けたローカルIDを各端末(TR)に送信する、アソシエイト応答(TRTAR)を行う。アソシエイトが成立したら、アソシエイト(GWTA)は、端末管理テーブル(GWTT)を修正する端末管理情報修正(GWCTF)を行う。
【0064】
センシングデータ受信制御(GWCSR)は、端末(TR)から送られてきたセンシングデータ(SENSD)のパケットを受信する。データのパケットのヘッダを読み込み、データの種類を判別したり、同時に多数の端末(TR)からのデータが集中しないように輻輳制御したりする。
【0065】
センシングデータ送信(GWCSS)は、データが通過した基地局のIDやその時刻データを付与し、センシングデータをセンサネットサーバ(SS)に送信する。
【0066】
<図4:全体システム3(TR)>
図4は、センサノードの一実施例である端末(TR)の構成を示している。ここでは端末(TR)は名札型の形状をしており、人物の首からぶら下げることを想定しているが、これは一例であり、他の形状でもよい。端末(TR)は、多くの場合には、この一連のシステムの中に複数存在し、組織に属する人物がそれぞれ身に着けるものである。端末(TR)は人間の対面状況を検出するための複数の赤外線送受信部(AB)、装着者の動作を検出するための三軸加速度センサ(AC)、装着者の発話と周囲の音を検出するためのマイク(AD)、端末の裏表検知のための照度センサ(LS1F、LS1B)、温度センサ(AE)の各種センサを搭載する。搭載するセンサは一例であり、装着者の対面状況と動作を検出するために他のセンサを使用してもよい。
【0067】
本実施例では、赤外線送受信部を4組搭載する。赤外線送受信部(AB)は、端末(TR)の固有識別情報である端末情報(TRMT)を正面方向に向かって定期的に送信し続ける。他の端末(TR)を装着した人物が略正面(例えば、正面又は斜め正面)に位置した場合、端末(TR)と他の端末(TR)は、それぞれの端末情報(TRMT)を赤外線で相互にやり取りする。このため、誰と誰が対面しているのかを記録することができる。また、閲覧者検出器(CLVD)はこの端末情報(TRMT)を受信することで、どのユーザ(US)がクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)を閲覧しているかを検出することができる。また逆に、端末(TR)が閲覧者検出器(CLVD)から送信された検出器ID(CLVDID)を受信することで、ユーザ(US)がクライアント(CL)の設置場所に滞在していたことを記録することができる。
【0068】
各赤外線送受信部は一般に、赤外線送信のための赤外発光ダイオードと、赤外線フォトトランジスタの組み合わせにより構成される。赤外線ID送信部(IrID)は、自らのIDである端末情報(TRMT)を生成して赤外線送受信モジュールの赤外線発光ダイオードに対して転送する。本実施例では、複数の赤外線送受信モジュールに対して同一のデータを送信することで、全ての赤外線発光ダイオードが同時に点灯する。もちろん、それぞれ独立のタイミング、別のデータを出力してもよい。
【0069】
また、赤外線送受信部(AB)の赤外線フォトトランジスタによって受信されたデータは、論理和回路(IROR)によって論理和が取られる。つまり、最低どれか一つの赤外線受光部でID受光されていれば端末にIDとして認識される。もちろん、IDの受信回路を独立して複数持つ構成でもよい。この場合、それぞれの赤外線送受信モジュールに対して送受信状態が把握できるので、例えば、対面する別の端末がどの方向にいるかなど付加的な情報を得ることも可能である。
【0070】
センサによって検出したセンシングデータ(SENSD)はセンシングデータ格納制御部(SDCNT)によって、記憶部(STRG)に格納される。センシングデータ(SENSD)は通信制御部(TRCC)によって送信パケットに加工され、送受信部(TRSR)によって基地局(GW)に送信される。
【0071】
このとき、記憶部(STRG)からセンシングデータ(SENSD)を取り出し、無線または有線による送信のタイミングを決定するのが通信タイミング制御部(TRTMG)である。通信タイミング制御部(TRTMG)は、複数のタイミングを決定する複数のタイムベースを持つ。
【0072】
記憶部に格納されるデータには、その直前にセンサによって検出されたセンシングデータ(SENSD)の他、過去に蓄積した纏め送りデータ(CMBD)や、端末の動作プログラムであるファームウェアを更新するためのファームウェア更新データ(FMUD)がある。
【0073】
本実施例の端末(TR)は、外部電源接続検出回路(PDET)により、外部電源(EPOW)が接続されたことを検出し、外部電源検出信号(PDETS)を生成する。外部電源検出信号(PDETS)によって、タイミング制御部(TRTMG)が生成する送信タイミングを切り替えるタイムベース切替部(TMGSEL)、または無線通信されるデータを切り替えるデータ切替部(TRDSEL)は本端末(TR)特有の構成である。図4では一例として、送信タイミングを、タイムベース1(TB1)とタイムベース(TB2)の2つのタイムベースを、外部電源検出信号(PDETS)によってタイムベース切替部(TMGSEL)が切り替える構成を図示している。また通信されるデータを、センサから得たセンシングデータ(SENSD)と、過去に蓄積した纏め送りデータ(CMBD)と、ファームウェア更新データ(FMUD)とから、外部電源検出信号(PDETS)によってデータ切替部(TRDSEL)が切り替える構成を図示している。
【0074】
照度センサ(LS1F、LS1B)は、それぞれ端末(TR)の前面と裏面に搭載される。照度センサ(LS1F、LS1B)により取得されるデータは、センシングデータ格納制御部(SDCNT)によって記憶部(STRG)に格納されると同時に、裏返り検知部(FBDET)によって比較される。名札が正しく装着されているときは、前面に搭載されている照度センサ(LS1F)が外来光を受光し、裏面に搭載されている照度センサ(LS1B)は端末本体と装着者との間に挟まれる位置関係となるため、外来光を受光しない。このとき、照度センサ(LS1B)で検出される照度より、照度センサ(LS1F)で検出される照度の方が大きな値を取る。一方で、端末(TR)が裏返った場合、照度センサ(LS1B)が外来光を受光し、照度センサ(LS1F)が装着者側を向くため、照度センサ(LS1F)で検出される照度より、照度センサ(LS1B)で検出される照度の方が大きくなる。
【0075】
ここで、照度センサ(LS1F)で検出される照度と、照度センサ(LS1B)で検出される照度を裏返り検知部(FBDET)で比較することで、名札ノードが裏返って正しく装着していないことが検出できる。裏返り検知部(FBDET)で裏返りが検出されたとき、スピーカ(SP)により警告音を発生して装着者に通知する。
【0076】
マイク(AD)は、音声情報を取得する。音声情報によって、「騒々しい」又は「静か」等の周囲の環境を知ることができる。さらに、人物の声を取得・分析することによって、コミュニケーションが活発か停滞しているのか、相互に対等に会話をやり取りしているか一方的に話しているのか、怒っているのか笑っているのか、などの対面コミュニケーションを分析することができる。さらに、人物の立ち位置等の関係で赤外線送受信器(AB)が検出できなかった対面状態を、音声情報及び加速度情報によって補うこともできる。
【0077】
マイク(AD)で取得される音声は、音声波形及び、それを積分回路(AVG)で積分した信号の両方を取得する。積分した信号は、取得した音声のエネルギを表す。
【0078】
三軸加速度センサ(AC)は、ノードの加速度すなわちノードの動きを検出する。このため、加速度データから、端末(TR)を装着した人物の動きの激しさや、歩行などの行動を解析することができる。さらに、複数の端末が検出した加速度の値を比較することによって、それらの端末を装着した人物間のコミュニケーションの活性度や相互のリズム、相互の相関等を解析できる。
【0079】
本実施例の端末(TR)では、三軸加速度センサ(AC)で取得されるデータは、センシングデータ格納制御部(SDCNT)によって記憶部(STRG)に格納されると同時に、上下検知回路(UDDET)によって名札の向きを検出する。これは、三軸加速度センサ(AC)で検出される加速度は、装着者の動きによる動的な加速度変化と、地球の重力加速度による静的加速度の2種類が観測されることを利用している。
【0080】
表示装置(LCDD)は、端末(TR)を胸に装着しているときは、装着者の所属、氏名などの個人情報を表示する。つまり、名札として振舞う。一方で、装着者が端末(TR)を手に持ち、表示装置(LCDD)を自分の方に向けると、端末(TR)の天地が逆になる。このとき、上下検知回路(UDDET)によって生成される上下検知信号(UDDETS)により、表示装置(LCDD)に表示される内容と、ボタンの機能を切り替える。本実施例では、上下検知信号(UDDETS)の値により、表示装置(LCDD)に表示させる情報を、表示制御(DISP)によって生成される赤外線アクティビティ解析(ANA)による解析結果と、名札表示(DNM)とを切り替える例を示している。
【0081】
赤外線送受信部(AB)がノード間で赤外線をやり取りすることによって、端末(TR)が他の端末(TR)と対面したか否か、すなわち、端末(TR)を装着した人物が他の端末(TR)を装着した人物と対面したか否かが検出される。このため、端末(TR)は、人物の正面部に装着されることが望ましい。上述の通り、端末(TR)は、さらに、三軸加速度センサ(AC)等のセンサを備える。端末(TR)におけるセンシングのプロセスが、図5におけるセンシング(TRSS1)に相当する。
【0082】
端末は多くの場合には複数存在し、端末・基地局間が無線接続される場合には、それぞれが近い基地局(GW)と結びついてパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成している。
【0083】
端末(TR)の温度センサ(AE)は端末のある場所の温度を、照度センサ(LS1F)は端末(TR)の正面方向などの照度を取得する。これによって、周囲の環境を記録することができる。例えば、温度及び照度に基づいて、端末(TR)が、ある場所から別の場所に移動したこと等を知ることもできる。
【0084】
装着した人物に対応した入出力装置として、ボタン1〜3(BTN1〜3)、表示装置(LCDD)、スピーカ(SP)等を備える。
【0085】
記憶部(STRG)は、具体的にはハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発記憶装置で構成され、端末(TR)の固有識別番号である端末情報(TRMT)、センシングの間隔、及び、ディスプレイへの出力内容等の動作設定(TRMA)を記録している。この他にも記憶部(STRG)は一時的にデータを記録することができ、センシングしたデータを記録しておくために利用される。
【0086】
時計(TRCK)は、時刻情報(GWCSD)を保持し、一定間隔でその時刻情報(GWCSD)を更新する時計である。時間情報は、時刻情報(GWCSD)が他の端末(TR)とずれることを防ぐために、基地局(GW)から送信される時刻情報(GWCSD)によって定期的に時刻を修正する。
【0087】
センシングデータ格納制御部(SDCNT)は、記憶部(STRG)に記録された動作設定(TRMA)に従って、各センサのセンシング間隔などを制御し、取得したデータを管理する。
【0088】
時刻同期は、基地局(GW)から時刻情報を取得して時計を修正する。時刻同期は、後述するアソシエイトの直後に実行されてもよいし、基地局(GW)から送信された時刻同期コマンドに従って実行されてもよい。
【0089】
通信制御部(TRCC)は、データを送受信する際に、送信間隔の制御、及び、無線の送受信に対応したデータフォーマットへの変換を行う。通信制御部(TRCC)は、必要であれば、無線でなく有線による通信機能を持ってもよい。通信制御部(TRCC)は、他の端末(TR)と送信タイミングが重ならないように輻輳制御を行うこともある。
【0090】
アソシエイト(TRTA)は、基地局(GW)とパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成するためのアソシエイト要求(TRTAQ)と、アソシエイト応答(TRTAR)を送受信し、データを送信すべき基地局(GW)を決定する。アソシエイト(TRTA)は、端末(TR)の電源が投入されたとき、及び、端末(TR)が移動した結果それまでの基地局(GW)との送受信が絶たれたときに実行される。有線接続の場合には、端末(TR)が有線で基地局(GW)に接続されたことを検知したときに実行される。アソシエイト(TRTA)の結果、端末(TR)は、その端末(TR)からの無線信号が届く近い範囲にある一つの基地局(GW)と関連付けられる。
【0091】
送受信部(TRSR)は、アンテナを備え、無線信号の送信及び受信を行う。必要があれば、送受信部(TRSR)は、有線通信のためのコネクタを用いて送受信を行うこともできる。送受信部(TRSR)によって送受信されるデータ(TRSRD)は、基地局(GW)との間でパーソナルエリアネットワーク(PAN)を介して転送される。
【0092】
<図5:データ格納のシーケンス>
図5は、本発明の実施の形態において実行される、センシングデータを格納する手順を示すシーケンス図である。
【0093】
まず、端末(TR)の電源が入っており、かつ端末(TR)が基地局(GW)とアソシエイト状態になっていないとき、端末(TR)はアソシエイト(TRTA1)を行う。アソシエイトとは、端末(TR)が、ある一つの基地局(GW)と通信する関係であると規定することである。アソシエイトによってデータの送信先を決定することで、端末(TR)は確実にデータを送信することができる。
【0094】
基地局(GW)からアソシエイト応答を受け取り、アソシエイトが成功した場合、端末(TR)は、次に時刻同期(TRCS)を行う。時刻同期(TRCS)において、端末(TR)は、基地局(GW)から時刻情報を受け取り、端末(TR)内の時計(TRCK)を設定する。基地局(GW)は、NTPサーバ(TS)と定期的に接続し時刻を修正している。このため、全ての端末(TR)において時刻が同期される。これによって、後に解析する際に、センシングデータに付随した時刻情報を照らし合わせることで、人物間の同時刻におけるコミュニケーションにおける相互の身体表現又は音声情報のやり取りを分析することも可能になる。
【0095】
端末(TR)の三軸加速度センサ(AC)や温度センサ(AE)などの各種センサは、例えば10秒ごとの一定の周期でタイマ起動(TRST)し、加速度、音声、温度及び照度等をセンシングする(TRSS1)。端末(TR)は、端末情報(TRMT)の1つである端末IDを、赤外線によって他の端末(TR)との間で送受信することで、対面状態を検出する。端末(TR)の各種センサは、タイマ起動(TRST)せずに、常にセンシングを行ってもよい。しかし、一定の周期で起動することによって電源を効率的に使用することができ、充電することなく長時間端末(TR)を使用しつづけることができる。
【0096】
端末(TR)は、センシングしたデータに、時計(TRCK)の時刻情報及び端末情報(TRMT)を添付する(TRCT1)。データを解析する際には、端末情報(TRMT)によって、端末(TR)を装着した人物が識別される。
【0097】
データ形式変換(TRDF1)において端末(TR)は、センシングデータにセンシングの条件などのタグ情報を付与し、決められた無線送信フォーマットに変換する。このフォーマットは基地局(GW)内のデータ形式情報(GWMF)やセンサネットサーバ(SS)内のデータ形式情報(SSMF)と共通して保管されているものである。変換されたデータは、その後、基地局(GW)に送信される。
【0098】
加速度データ及び音声データ等の連続した多量のデータを送信する場合、端末(TR)は、データ分割(TRBD1)して複数のパケットに分割することで、一度に送信するデータ数を制限する。その結果、送信過程でデータが欠損するリスクが低下する。
【0099】
データ送信(TRSE1)は、無線の通信規格に則り、送受信部(TRSR)を通して、アソシエイト先の基地局(GW)にデータを送信する。
【0100】
基地局(GW)は、端末(TR)からデータを受信(GWRE)すると、受信完了レスポンスを端末(TR)に返す。レスポンスを受信した端末(TR)は、送信完了(TRSO)と判定する。
【0101】
一定の時間を経ても送信完了(TRSO)しない(すなわち端末(TR)がレスポンスを受信しない)場合、端末(TR)は、データ送信失敗と判定する。この場合、データは端末(TR)内に記憶され、再び送信状態が確立されたときにまとめて送信される。これによって、端末(TR)を装着している人物が無線の届かない場所に移動してしまった場合、又は、基地局(GW)の不具合でデータが受信されなくなった場合にも、データを失うことなく取得することが可能になる。これによって、十分な量のデータを得て、組織の性質を解析することができる。この、送信に失敗したデータを端末(TR)に保管し再送信する仕組みを、まとめ送りと呼ぶ。
【0102】
データのまとめ送りの手順を説明する。端末(TR)は、送信できなかったデータを記憶しておき(TRDM)、一定時間後に再びアソシエイトの依頼を行う(TRTA2)。ここで基地局(GW)からアソシエイト応答が得られた場合、端末(TR)は、データ形式変換(TRDF2)、データ分割(TRBD2)及びデータ送信(TRSE2)を実行する。これらの処理は、それぞれ、データ形式変換(TRDF1)、データ分割(TRBD1)及びデータ送信(TRSE1)と同様である。なお、データ送信(TRSE2)の際、無線が衝突しないように輻輳制御される。その後は通常の処理に戻る。
【0103】
アソシエイト応答が得られなかった場合、端末(TR)は、アソシエイトに成功するまで定期的にセンシング(TRSS1)と端末情報・時刻情報添付(TRCT1)を実行しつつ、新たに取得したデータを記憶(TRDM)していく。これらの処理によって取得されたデータは、基地局(GW)から受信完了レスポンスが得られるまで、端末(TR)内に記憶される。端末(TR)内に記憶されたセンシングデータは、アソシエイト成功後、もしくは無線圏内で充電している時、有線にて基地局(GW)と接続しているときなどの、安定して基地局と送受信できる環境が整った際に、まとめて基地局(GW)に送信される(TRSE2)。
【0104】
また、端末(TR)から送信されたセンシングデータは基地局(GW)によって受信(GWRE)される。基地局(GW)は、受信したデータが分割されたものであるか否かを、センシングデータに付随する分割フレーム番号によって判定する。データが分割されている場合、基地局(GW)は、データ結合(GWRC)を実行し、分割されたデータを連続したデータに結合する。さらに、基地局(GW)は、基地局固有の番号である基地局情報(GWMG)をセンシングデータに付与し(GWGT)、そのデータを、ネットワーク(NW)を介してセンサネットサーバ(SS)に向けて送信する(GWSE)。基地局情報(GWMG)は、その時刻における端末(TR)の大まかな位置を示す情報として、データ解析の際に利用することができる。
【0105】
センサネットサーバ(SS)は、基地局(GW)からデータを受信すると(SSRE)、受信したデータを時刻・端末情報・加速度・赤外線・温度などの要素ごとに分類する(SSPB)。この分類は、データ形式情報(SSMF)として記録されているフォーマットを参照することによって実行される。分類されたデータは、センシングデータベース(SSDB)のレコード(行)の適切なカラム(列)に格納される(SSKI)。同じ時刻に対応するデータを同じレコードに格納することで、時刻及び端末情報(TRMT)による検索が可能になる。このとき必要であれば、端末情報(TRMT)ごとにテーブルを作成しても良い。このデータ受信(SSRE)、データ分類(SSPB)、データ格納(SSKI)を、図3におけるセンシングデータ保管(SSCDB)において行う。
【0106】
<図6:イベント抽出とユーザ操作のシーケンス>
図6に,アプリケーションサーバ(AS)を起点とするイベント抽出の処理と,ユーザがWebアプリケーションを操作する際の処理のシーケンス図を示す。
【0107】
まず,イベント抽出処理については,アプリケーションサーバ(AS)にて所定の時刻にプログラムをタイマ起動(ASTK)し,必要な二次データをセンサネットサーバ(SS)に対象となるユーザや期間を指定して要求する(ASCP)。センサネットサーバ(SS)は,依頼に基づいて二次データベース(SSDT)を検索し(SSCTS),二次データを返す。アプリケーションサーバ(AS)は,受け取った二次データを処理して対面要素イベント抽出処理(ASCY),対面要素イベント結合処理(ASCC),対面イベント特徴量抽出(ASCT)を行い,対面イベントに関するイベント情報(イベントID,開始時刻,終了時刻,メンバID,各メンバの特徴量)を対面イベントテーブル(ASCE)として記憶部(ASME)に格納する。また,個人作業イベント抽出処理(ASPY),個人作業イベント特徴量抽出(ASPT)を行い,個人作業イベントに関するイベント情報(イベントID,メンバID,下位イベントID,各下位イベントの開始時刻・終了時刻・特徴量)を個人作業イベントテーブル(ASPE)として記憶部(ASME)に格納する。
【0108】
また,ユーザがWebアプリケーションを用いてデータを閲覧する際のプロセスを示す。ユーザ(US)はクライアント(CL)を操作し,まず,指定のWebサイトにアクセスしてログイン(CLCIU)する。アプリケーションサーバ(AS)は,受け取ったユーザアカウントとパスワードを照合してユーザ認証(ASCIU)し,クライアント(CL)に閲覧・操作許可を与える。ユーザ(US)は,たとえば図7に示すような画面をクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)などで閲覧し,表示切替エリア(ODSI)や日付切替エリア(ODSD)のボタン等を操作することによって,見たいデータやイベントのリクエストを送る(CLCOR)。リクエストに従ってアプリケーションサーバ(AS)で表示画面を生成(ASCID)し,クライアント(CL)の画面(OD)に表示する(CLCOD)。ユーザ(US)が主観評価情報を入力する際には,例えば図8や図9のユーザ操作部(ODEI_CC,ODEI_PC)を押すことで,入力画面が開き,イベントと対応づけて主観情報を数値や文字列で入力することが可能である(CLCIS)。入力した主観情報は,アプリケーションサーバ(AS)の主観情報テーブル(ASST)に格納される(ASCIS)。
【0109】
<図7:表示画面の例>
図7にクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)などの出力装置において出力する画面(OD)の例を示す。
【0110】
タイトルエリア(ODST)は,表示するページの種類を切り替えたり,現在ログインしているユーザ(US)の名前を確認したりするために用いる。
【0111】
「イベント」に関するページを開いている場合,イベント表示フィード(ODEI)に一日のイベントが時系列で並べて表示される。ここでは,種類の異なる,複数のメンバのイベントがすべてタイムスタンプによってソートされる。
【0112】
日付切替エリア(ODSD)は,イベント表示フィード(ODEI)に表示するデータの日付を切り替えるためのフィードである。
【0113】
表示切替エリア(ODSI)は,イベント表示フィード(ODEI)に表示する対象となるイベントの種類やグループを切り替えるためのエリアである。チェックボックスのチェックをON・OFFすることで表示のリクエストをアプリケーションサーバ(AS)に送ることができる(CLCOR)。グループの選択については,絞り込み方法を「構成メンバで絞り込み」を選択した場合には,チェックを入れたグループに所属するメンバが含まれるイベントを全て表示する。また,「グループで絞り込み」を選択した場合には,各イベントのグループ名にそのグループが定義されている場合のイベントのみを表示する。イベントをどのグループに定義づけるかは,ユーザ(US)が手動で行う。もしくは,対面の構成メンバの一致率などを見て,便宜的に自動でグループを定義しておいても良い。
【0114】
<図8:表示画面(対面イベントフィード)の例>
図8に,イベント表示フィード(ODEI)に表示される対面イベント表示フィード(ODEI_C)の1つを拡大した例を示す。
【0115】
データ表示部(ODEI_CD),イベント期間(ODEI_CE),イベント指標表示部(ODEI_CV)のデータは,センシングデータの処理結果から自動で算出され,表示されている。また,位置ビーコン(PB)によって場所が特定できた場合には場所名(ODEI_CP)も自動で表示される。グループ名(ODEI_CG),業務名(ODEI_CW)は,初期状態では空白だが,ユーザ(US)本人が入力することで埋められる。登録されたグループ名から選択肢を表示するなどして,ユーザ(US)の入力負荷を軽減することも可能である。
【0116】
データ表示部(ODEI_CD)には,対面イベントに参加したメンバに関して,参加時間,聴取時間,アクティブ時間が示され,その比率(アクティブ率と聴取率)がグラフとして表示される。メンバの並び順は,参加時間の長い順や,アクティブ率の高い順などでソートすることができる。
【0117】
イベント指標表示部(ODEI_CV)では,このイベントに要した延べ時間にデータ処理変数リスト(ASDV)に設定したコスト算出基準を掛けることで,およそのコストを算出する。また,活性化度は,アクティブ率と聴取率に重みづけし,例えばアクティブ率が高いほど高く,聴取率が低いほど高くなるように計算式を設けて算出する。活性化度の計算式は組織で理想とするコミュニケーションの仕方に合わせて決定する。例えば,時間が短いほど,アクティブ率のばらつきが少ないほど高くなるように設定しても良い。
【0118】
ユーザ操作部(ODEI_CC)は,ユーザがこのイベントに対して情報を付加するための操作を行うボタンを含む。「進めた/進んだ」はイベントの参加者がイベントの内容や感想などの主観評価情報を議事録のように記録するためのものである。自分や,他の参加者が記入した記録を並べて,主観評価情報表示部(ODEI_CS)に表示される。「Good!」ボタンは,コメントを残すほどではないが肯定的な意見を伝えるために,閲覧者が誰でも押すことができる。「コメント」はこのイベントに関するコメントを閲覧者が伝えるためのものである。「ファイル」はイベントに関する文書(例えば議事録や配布資料など)をアップロードするためのものである。「(秘)指定」に指定された場合,そのイベントはイベントの参加者以外には表示されないようになる。
【0119】
主観評価情報表示部(ODEI_CS)はユーザ操作部(ODEI_CC)から入力された,多様な人の主観情報を一覧にして表示する場所である。
【0120】
タイムスタンプ(ODEI_CT)は,イベント表示フィード(ODEI)内でイベントを時系列似並び替えるための基準となる時刻である。対面イベントの場合には,その開始時刻をタイムスタンプ(ODEI_CT)としても良い。
以上のように,センサデータによって実際に起こったイベントを自動的に切り出し,それに対応づけて複数の関係者の出来事や感想などの主観的な情報を集約していくことで,日々の仕事の状況を関係者同士で共有することが容易になる。会話中のアクティブ率などの質的な指標も含まれているため,その状況をよりイメージしやすいというメリットがある。このように,少ない手間で主観情報を記録していくことで,遠隔オフィスや横断プロジェクトなどのために上司やチームメイトと頻繁に会話する機会がない場合にも,互いの業務状況を共有して,問題の早期発見や業務の最適配分に役立てることができる。
【0121】
<図9:表示画面(対面イベントフィード)の例>
図9に,イベント表示フィード(ODEI)に表示される個人作業イベント表示フィード(ODEI_P)の1つを拡大した例を示す。
【0122】
各部位の役割としては,図8の対面イベント表示フィードとほぼ共通であり,データ表示部(ODEI_PD)は(ODEI_CD)に,グループ名(ODEI_PG)は(ODEI_CG)に,業務名(ODEI_PW)は(ODEI_CW)に,イベント期間(ODEI_PE)は(ODEI_CE)に,ユーザ操作部(ODEI_PC)は(ODEI_CC)に,タイムスタンプ(ODEI_PT)は(ODEI_CT)に,主観評価情報表示部(ODEI_PS)は(ODEI_CS)に,イベント指標表示部(ODEI_PV)は(ODEI_CV)にそれぞれ対応する。
【0123】
メンバ名(ODEI_PW)はその個人作業イベントを行った当事者名である。
【0124】
また,データ表示部(ODEI_PD)には,複数の個人作業イベント(図15では「下位イベント」と呼ぶもの)を並べ,イベント表示フィード(ODEI)内では1つの個人作業イベントとして扱ってもよい。これは,個人作業は一般に30分から90分程度しか連続せず,一日に複数個のイベントが発生するが,その個々に対して評価を記入することはユーザにとって負担になるためである。そのため,午前/午後/夜などにイベントを括り,ひとまとめにしても良い。また,データ表示部(ODEI_PD)内での個別のイベントの並び順はイベント表示フィード(ODEI)の並び順と逆でも良い。例えば,イベント表示フィード(ODEI)が降順の場合にデータ表示部(ODEI_PD)内は昇順でもよい。また,個人作業イベント表示フィード(ODEI_P)では,データとして各個人作業イベントの内訳として集中の度合いを3段階で示す。集中の度合いは体の動きによって判定しており,例えば「停滞」は加速度リズムが一定値以下の場合,その他を「集中」とし,「集中」が長く継続した場合を「集中(高)」そうでない場合を「集中(低)」として区別することができる。
【0125】
また,「集中(高)」に重みを付けて集中の度合いを計算することによって,イベント指標表示部(ODEI_PV)の集中度を算出することができる。
【0126】
<図10:ユーザ属性リスト(ASUL)の例>
図10は、アプリケーションサーバ(AS)の記憶部(ASME)内に保管される、ユーザ属性リスト(ASUL)の形式の例である。ユーザ属性リスト(ASUL)にはユーザ番号(ASUIT1)、ユーザ名(ASUIT2)、端末ID(ASUIT3)及びユーザの所属する部(ASUIT4)や課(ASUIT5)が相互に関連付けて記録されている。ユーザ番号(ASUIT1)は存在するユーザの通し番号を示すものである。また、ユーザ名(ASUIT2)は表示画面やコンテンツ生成時に用いるユーザ(US)の氏名もしくはニックネームの表記であり、端末ID(ASUIT3)はユーザ(US)が所有する端末(TR)の端末情報を示すものである。ユーザ(US)と端末ID(ASUIT3)は基本的に一対一で対応する。また、所属する部(ASUIT4)や課(ASUIT5)はユーザ(US)が所属する組織を情報であり、例えば、組織単位で基本コンテンツを作成する場合にはこの情報に基づき、データに含むメンバを特定する。
【0127】
なお、図10ではユーザと所属する組織の情報をテーブルの形式で規定したが、これはXMLなどを用いて階層的に示しても良い。その場合には、A社の下にA部、A部の下にA1課が存在する、というように組織階層に合わせて表記することが可能であり、該当する組織の中に個人のユーザ名や端末IDなどを記述することができる。なお、同じ人物が複数の組織を兼務することも現実にあり得るため、ユーザ1人に複数の組織が対応していても良い。
【0128】
<図12:センシングデータベース(SSDB)の例:加速度データテーブル>
図12にセンサネットサーバ(SS)内センシングデータベース(SSDB)に格納されるセンシングデータの例として、加速度データテーブルの例(SSDB_ACC_1002)を示す。これは、基本的に、端末(TR)で取得されたセンシングデータそのままのものであり、下処理をされていない状態のデータである。個人ごとにテーブルが作られ、サンプリング周期(例えば0.02秒)ごとに時刻情報(DBTM)と対応付けてX軸(DBAX)、Y軸(DBAY)、Z軸(DBAZ)の三軸方向それぞれの加速度データが格納される。なお、加速度センサが検出した生の数値を格納しても良いし、単位を重力定数[G]に変換した後の値を格納しても良い。このような加速度データテーブルをメンバごとに作成し、センシングした時刻の情報と対応付けて格納する。なお、ユーザIDを示すカラムを追加すれば、テーブルを個人ごとに分けずに統合しても良い。
【0129】
<図13:センシングデータベース(SSDB)の例:対面テーブル>
センシングデータベース(SSDB)には複数のメンバの複数種類のセンシングデータが記録されているが、そのうちの赤外線送受信による対面データをまとめたテーブルの例を図13の(A)(B)に示す。図13の(A)は、対面テーブル(SSDB_IR_1002)であり、端末IDが1002である端末(TR)が取得したデータを集めたテーブルであることを想定している。同様に、図13の(B)は、対面テーブル(SSDB_IR_1003)であり、端末IDが1003である端末(TR)が取得したデータを集めたテーブルとする。なお、カラムに赤外線受信側IDを加えれば、取得した端末(TR)ごとにテーブルを分けなくても良い。また、他の加速度や温度などのデータも同じテーブルに含んでも良い。また、位置ビーコン(PB)から受信した検出器ID(CLVDID)も、端末(TR)から受信したユーザIDと同様に赤外線送信側ID(DBR)に入れても良い。この場合、検出器IDをキーとしてテーブルを検索することで、誰がどの場所にいたかを調べたり,同時に同じ場所にいる人同士は対面していると判断して,角度や距離の問題から端末(TR)間で赤外線を送受信できなかったケースを補ったりすることができる。
【0130】
図13(A)・(B)の対面テーブルは、端末(TR)がデータを送信した時刻(DBTM)と、赤外線送信側ID(DBR1)とそのIDからの受信回数(DBN1)を10組(DBR1〜DBR10、DBN1〜DBN10)格納する例である。10秒間に1回データ送信を行う場合には、前回の送信後の10秒間に、どの端末(TR)から何回赤外線を受信したかを、このテーブルで表している。10秒間に、複数の端末(TR)と対面した場合にも、10組まで格納できるということである。なお、組の数は自由に設定することができる。対面、つまり赤外線の受信がなかった場合にはテーブルの値はnullとなる。また、図13(A)・(B)では時刻はミリ秒まで表記しているが、時刻の形式は統一されていればどのようなものでも良い。
【0131】
<図14:対面イベントテーブル(ASCE)>
図14に,対面イベントテーブル(ASCE)の形式の例を示す。対面イベントテーブル(ASCE)は,対面要素イベント抽出処理(ASCY),対面要素イベント結合処理(ASCC),対面イベント特徴量抽出(ASCT)の一連の処理の結果から抽出された,対面イベントの情報を格納するテーブルである。イベント毎にIDが振られ,その開始時刻,終了時刻,参加メンバのIDと,各メンバのイベント中の特徴量(例えば参加時間,アクティブ時間,聴取時間など)の情報を有する。この情報に基づいて,対面イベント表示フィード(ODEI_C)が生成される。
【0132】
<図15:個人作業イベントテーブル(ASPE)>
図15に,個人作業イベントテーブル(ASPE)の形式の例を示す。個人作業イベントテーブル(ASPE)は,個人作業イベント抽出処理(ASPY),個人作業イベント特徴量抽出(ASPT)の一連の処理の結果から抽出された,個人作業イベントの情報を格納するテーブルである。イベント毎にIDが振られ,その開始時刻,終了時刻,メンバのID,イベント中の特徴量(例えば最大集中継続時間,集中(高),集中(低),停滞の時間など)の情報を有する。この情報に基づいて,個人作業イベント表示フィード(ODEI_P)が生成される。複数の個人作業イベントを時間帯(午前/午後/夜)ごとにまとめて表示する方法を取る場合には,同じメンバの同時間帯のイベントにそれぞれ下位イベントのIDを振り,ひとくくりにしたイベントに別途イベントIDを振って管理しても良い。
【0133】
<図16:主観情報テーブル(ASST)>
図16に,主観情報テーブル(ASST)の形式の例を示す。主観評価入力(CLCIS,ASCIS)によってユーザがイベントに対応づけて入力した主観評価情報(進めた/進んだ,コメント,Good!などの情報)や分類(グループ分類,業務分類),(秘)指定,添付ファイルへのリンクなどを格納する。イベント表示フィード(ODEI)に表示する際には,センサデータに基づく対面イベントテーブル(ASCE)や個人作業イベントテーブル(ASPE)の情報と紐付けて表示する。
【0134】
<図17:データ処理変数画面(ODDV)>
アプリケーションサーバ(AS)内の制御部(ASCO)にて実行される処理に用いる変数の設定画面であるデータ処理変数画面(ODDV)の例を,図17に示す。ここで設定したデータはデータ処理変数リスト(ASDV)に格納され,処理を実行する際に参照される。データ処理変数画面(ODDV)の設定を変更できるのはシステム管理者の権限を持つもののみとする。
【0135】
<図31:二次データベース(SSDT)の例:行動リズムタペストリ>
二次データベース(SSDT)の例として、行動リズムタペストリ(SSDB_ACCTP_1min)の例を図31に示す。行動リズムタペストリ(SSDB_ACCTP_1min)は、加速度データテーブル(SSDB_ACC)を元にして、各ユーザ(US)の一定時間ごと(図31の例では1分ごと)の周波数(これを行動リズムと呼ぶ)を計算したものであり、1分ごとの時刻と、ユーザIDと対応付けてテーブルに格納したものである。なお、データを格納する形式はテーブル以外にも、CSVファイルなど別の方法でも良い。行動リズムを算出するには、時間単位ごとのXYZの三軸のゼロクロス回数を合計して求めてもよい。また、データに欠損があったり不適切であると判定された場合には、「Null」などの記号を入れ、基本コンテンツ作成(ASCBC)時に使えないデータであることを示しておく。また、他に、時間単位の異なる行動リズムタペストリ(SSDB_ACCTP)を何通りかセンサネットサーバ(SS)にて作成しておくと、それらを組み合わせて多様なコンテンツを作成できるため有用である。
【0136】
<図32:二次データベース(SSDT)の例:対面タペストリ>
二次データベース(SSDT)の例として、対面タペストリ(SSDB_IRTP_1min)の例を図32に示す。対面タペストリ(SSDB_IRTP_1min)は,対面テーブル(SSDB_IR)を元として,各ユーザ(US)の一定時間ごと(図32の例では1分ごと)に対面した相手のIDを示すように整理したものである。例えば,体の向きなどが要因となって,赤外線で通信される人物AのIDは人物Bの端末(TR)で受信されているのに,人物BのIDは人物Aの端末(TR)で受信されていないことがある。このような基礎的な不整合を補正したものが二次データとして二次データベース(SSDT)に格納される。
【0137】
このように、センサネットサーバ(SS)にてセンシングデータ処理(SSCDT)による下処理を行っておくことによって、アプリケーションサーバ(AS)でコンテンツを作成するプログラム(ASPPなど)を開発する際には、センシングデータの特性や下処理の方法を意識せずに開発することができる。
【0138】
<図18:対面要素イベント抽出処理(ASCY)のフローチャート>
図18に,対面要素イベント抽出処理(ASCY)の処理手順をフローチャートで示す。対面要素イベント抽出処理(ASCY)は,端末(TR)間の赤外線送受信によって人物間が対面したことを示す対面データを主に用いて,人がFace−to−Faceで集まっている状況(本明細書で「対面イベント」と呼ぶ)を抽出し,その開始時刻,終了時刻,参加メンバを特定するプロセスである。ただし,対面要素イベント抽出処理(ASCY)はある1人の人に着目し,同時刻に対面していたメンバ構成から対面要素イベント(1人の人を基準に抽出した対面イベントをここでは「対面要素イベント」と呼ぶ)を抽出するため,複数の人の視点から複数の対面要素イベントが抽出される。これらは同じ対面イベントを指していることがあるため,次に行う対面要素イベント結合処理(ASCC)にて類似した対面要素イベントを見つけて結合し,対面イベントの個数を最小限にする。
【0139】
この2つのプロセスによって,アドホックに人が集まり解散する曖昧な対面イベントを抽出することができる。その利点としては,連続している別のメンバ構成での対面イベントを識別できること,(参加時間比率をメンバ判定基準に含むため)短い時間の対面相手を参加メンバに含まないこと,途中から遅れて加わったり途中で抜けたりした人も参加メンバに含むことが挙げられる。
【0140】
対面要素イベント抽出処理(ASCY)の処理手順を,図20の具体例と合わせて図18で説明する。まず,二次データ要求(ASCP)において時系列の対面データを読み込む(ASCY1)。これは,図32のような対面タペストリ(SSCB_IRTP_1min)であり,イベントを切り出したい粒度に合わせて時間の単位は1分でも10分でも自由に設定して良い。また,必要な場合には位置ビーコンデータによる対面データ補完(ASCY2)を行う。これは,大きな会議室での集まりでは全員が参加者全員と端末(TR)間で送信できないことが多いため,会議テーブル上に置いた位置ビーコン(PB)を仲介として,同時刻に検知した人同士は直接対面したとみなす補完処理である。不要な場合にはASCY2はスキップしてよい。
【0141】
そして,時刻(t)を0(ASCY3),要素イベント(k)をk=0として開始(ASCY4)する。図20は,対面タペストリ(SSCB_IRTP_1min)から特定の人(Aさん)の対面相手を1分ごとに出力した例を挙げ,時刻tを1ずつ加えて行う対面要素イベントの判定プロセスを示している。判定の際には,時刻(t)と時刻(t+n)のメンバ一致率が閾値以上であるかどうかを基準とする(ASCY6)。ここで,nは図17で設定されたウィンドウ時間幅であり,図20の例ではn=4としている。図20において,t=03の行は,t=03とt=07(=03+4)のメンバ一致率を比較し,一致率が67%となり,図17のデータ処理変数画面(ODDV)で設定した閾値(th_m1)の50%より高いため,t=03から07までの5分間はイベント中であると判定し,イベントフラグ(ComEvent_A1)を1にする(ASCY7)。メンバ一致率は,{(時刻(t)と時刻(t+n)の両方に存在するメンバの数)÷(時刻(t)または時刻(t+n)の少なくともいずれかに存在するメンバの数)}によって計算される。tに1ずつ加えて(ASCY6)の判定を繰り返し,メンバ一致率が閾値以下になったとき(図20の例におけるt=10のとき)に,その要素イベント(ComEvent_A1)を終了とし,次のイベント(ComEvent_A2)が開始される(ASCY8)。図20では対面要素イベント(ComEvent_A2)はt=13からt=18までとなり,(ComEvent_A1)はメンバ構成がAさん,Bさん,Dさん,Eさんの5人で構成され,(ComEvent_A2)はAさんとCさんの2人で構成されるため,メンバ構成の異なる別の対面イベントが,適切に区別されたことがわかる。また,対面要素イベント(ComEvent_A1)では,AさんとBさん,Dさんとの対面について開始時刻も終了時刻も同時刻ではないが,共通部分が多いため同一のイベントとして柔軟に抽出されている。また別途,対面要素イベントの中で参加していた時間比率の低いメンバを削除する(ASCY10)ため,2分間だけ加わっていたEさんは対面要素イベント(ComEvent_A1)の参加メンバから省かれることになる。
【0142】
このように,時刻をずらして対面要素イベントの区切りと参加メンバを抽出していき,計算対象の最後の時刻(t)までを終了したら(ASCY5),最後にカウントしていた要素イベント(k)を終了させ,ここまでで抽出した各要素イベントにおいて参加比率の低いメンバを削除(ASCY10)した上で,特徴量を算出(ASCY11)する。特徴量の抽出例を図21に示す。イベント時間中の参加メンバの行動リズムタペストリ(SSDB_ACCTP_1min)をピックアップし(図21(A)),それがデータ処理変数画面(ODDV)のアクティブ判定閾値(th_act)以上である時間は,アクティブとし,聴取判定閾値(th_acl)未満の時間が所定の時間(th_lst,図では5分)以上継続した場合には聴取時間としてその数をカウントする。その結果の例を図21(B)に示す。特徴量は対面イベント中の各参加メンバの活動特性を表すものである。積極的に相手に働きかけるコミュニケーションをしている場合(発話したり頷いたり)には,体が動くので,コミュニケーションの積極度合いが加速度リズムに反映されるため,加速度リズムからコミュニケーションに関する特性を評価することができる。また,聴取時間は受動的な聞き手が長時間継続した時間を評価するものであり,プレゼンを聞いている時間などの,本人の意思でコミュニケーションの質を操作できない点が多いことが経験的に分かっている。
【0143】
以上のようにして得た要素イベントの情報(開始時刻,終了時刻,参加メンバ,各参加メンバの特徴量)を記憶部(ASME)に出力し(ASCY11),対面要素イベント抽出処理(ASCY)を終了する。
【0144】
<図19:対面要素イベント結合処理(ASCC)のフローチャート>
対面要素イベント結合処理(ASCC)の処理手順を,図22の具体例と合わせて図19で説明する。
【0145】
対面要素イベント抽出処理(ASCY)で抽出した要素イベントの情報全てを入力(ASCC1)し,そのうちの1組を選択し(ASCC2),それらが同一のイベントとみなすべきかを判定する。判定基準は,2つの対面要素イベントの時間重複率が閾値(th_c2)以上か,メンバ一致率が閾値(th_c1)以上か,の2点である。時刻一致率は,{(対面要素イベント(1)と対面要素イベント(2)が重複する時間)÷(対面要素イベント(1)または対面要素イベント(2)の長い方の時間)}で計算される。メンバ一致率は,{(対面要素イベント(1)と対面要素イベント(2)の両方に存在するメンバの数)÷(対面要素イベント(1)または対面要素イベント(2)の少なくともいずれかに存在するメンバの数)}によって計算される。共に満たす場合には,2つの要素イベントを合併すると判定し(ASCC5−1),イベント時間の長い方に合併して短い方の要素イベントを削除(ASCC6)する。いずれかの条件を満たさない場合には,2つの要素イベントは独立であり合併しないと判定する(ASCC5−2)。この手順を全ての要素イベントの組み合わせについて検査したら完了する(ASCC7)。
【0146】
図22に複数の対面要素イベントの例を示し,(A)にそれぞれが生じている時刻,(B)にその参加メンバとイベントが継続した時間を示す。この場合には,重複時間と共通メンバの比率が高いもの同士を結合していき,最も長いイベントが残されていくため,最終的にイベント[C01]と[C03]と[C07]が独立した対面イベントとして残ることになる。その後,イベント表示時間閾値(th_d)より短いイベントを削除(ASCY8)するため,イベント[C07]も削除される。残った要素イベント[C01]と[C03]が,対面イベントとしてIDを振られ,その特徴量と共に対面イベントテーブル(ASCE)に格納される。
【0147】
なお,2つの要素イベントを結合する際には,一方を残して一方を削除する方法ではなく,早い方の開始時刻から遅い方の終了時刻までを1つの新たなイベントとして定義し直しても良い。また,特徴量であるイベント内の参加メンバの活動指標についても,イベント結合を終えてから,再度計算し直したものを対面イベントテーブル(ASCE)に格納しても良い。
【0148】
以上の手順を踏むことによって,短いイベントは吸収または削除され,ある程度長いイベントのみが残されるため,ユーザ(US)自身の記憶と対応づけやすく,主観評価情報を記入しやすいという利点がある。個々のイベントが細かすぎると,全てに主観評価を入力できず,長すぎると1つのイベントに対して別の種類の主観評価を記入しなくてはならなくなるため,書きやすい長さ(例えば15分以上3時間以内)でイベントが区切られるよう,ウィンドウ時間幅(n)や閾値(th_m1,th_m2,th_c1,th_c2,th_d)の設定を調整すると良い。
【0149】
<図23:個人作業イベント抽出処理(ASPY)のフローチャート>
図23に,個人作業イベント抽出処理(ASPY)の処理手順をフローチャートで示す。図24は,この手順を具体的な例で示して説明するためのものである。ここで個人作業とは主にデスクワークを想定しており,端末(TR)を装着している時のデータであり,かつ,他者と対面コミュニケーションしておらず,かつ,体の動きが小さい場合を個人作業と判定する。そのために,端末装着判定,対面判定,活動判定に関する時系列データを用いるが,まとまった時間単位で個人作業イベントを抽出したいため,事前に各時系列データを補完してから順に判定する。補完が不要な場合はいずれかの補完プロセスをスキップしても良い。
【0150】
まず,端末装着判定,対面判定,活動判定に関する時系列データを入力する(ASPY1)。図24の例では1分単位のデータを用いている。
【0151】
端末装着判定は,ユーザ(US)が端末(TR)を装着していたかを示すデータである。端末(TR)が充電器に置かれている場合,机などに放置されていた場合,鞄の中に収納されている場合を,加速度データや照度データを用いて判定し,それを除いた結果である(図24のP1)。
【0152】
対面判定データは,少なくとも1人と対面していたと判定された結果である。特に赤外線による対面判定は,体の向きなどによって途切れることが多いため,対面判定データを補完してより連続的な対面であるとみなすようにする(ASPY2)。図24のP2−2の例では,4分間までの空白(判定結果が0)を埋める。これを,補完係数4で補完する,と表現する。なお,他の端末(TR)からの赤外線受信による判定だけでなく,テレビ会議や電話対応を判別した結果も,対面判定データに含んでも良い。
【0153】
活動判定データは,加速度リズム(周波数)が閾値(th_per)以上である場合を1として示すデータである。経験上,デスクワーク時には体の動きが少なく,端末(TR)で取得される加速度リズムも低い値になるため,活動判定が0の場合,つまり閾値未満である場合を,個人作業の候補とする。活動の合間に短時間だけ動きを止めた時間を個人作業と判定すると,短い個人作業イベントが抽出されてしまうため,必要であれば個人作業判定前に活動判定データ補完(ASPY3)を行っても良い。図24のP3−2の例では,補完係数を1として補完している。
【0154】
以上の補完を終えたあと,計算対象とする時間(t)の始めから終わりまでについて,順に個人作業かどうかを判定する(ASPY5)。ここでは,以上の補完済みの時系列データを用いて,端末装着あり,かつ,対面なし,かつ,活動なしの場合を個人作業であると判定する(ASPY6―1)。そうでない場合は個人作業でないと判定する(ASPY6―2)。その結果が図24の例ではP4−1となる。次に,再度個人作業判定データを補完し(ASPY7),個人作業イベントが連続的になるようにする。最後に,活動判定よりも高い閾値である,閾値(th_perL)を超えて大きな動きをしている場合を活動(大)とし,その場合のみは強制的に個人作業イベントを分割する(ASPY8)。
【0155】
最後に,イベントの継続時間が閾値(th_dp)以下の短時間のイベントを削除し(ASPY9),残った各個人作業イベントの特徴量(集中(高),集中(低),停滞,最大集中継続時間)を抽出して(ASPY10),イベント情報(開始時刻,終了時刻,メンバID,各特徴量)を個人作業イベントテーブル(ASPE)に出力(ASPY11)して終了となる。
【0156】
個人作業イベントの特徴量抽出の例を図25に示す。個人作業の特徴量は,デスクワークの質的な内訳を示すものである。具体的には,加速度リズムに着目して,うたた寝や瞑想・休息しているような動きがあまりに小さい場合を「停滞」,停滞以外の時間を「集中」として,さらに,集中が継続した時間が閾値(th_perS)以上であるものを「集中(高)」,閾値未満であるものを「集中(低)」に分類する。
【0157】
<図27:アクティブ率算出のフローチャート>
対面イベント特徴量抽出(ASCT)の特徴量であるアクティブ率の算出方法を図27のフローチャートにて示す。
【0158】
会話時の積極性は,ジェスチャーなどによる体の揺れに表れるため,端末(TR)の加速度リズムが高い時を「アクティブである」,つまり積極的なコミュニケーションをしているとみなして定量的に評価することができる。逆に,加速度リズムが低い時は「パッシブである」,つまり受動的なコミュニケーションをしているとみなせる。創造的なディスカッションは互いに積極的に考えを発言し合う状況になると考えられることから,このようなコミュニケーションの質を指標化し継続してモニタリングすることが,組織の創造性や生産性を高めるために,有用であると考えられる。
【0159】
コミュニケーションの質を示す指標として,アクティブな時間の比率を求める。このときに対面時間を分母として,{アクティブ率=アクティブ時間÷対面時間}として求めることが可能だが,この場合には,他人のプレゼンを聞くなど本人の努力で変えられないことによってパッシブな時間が増加し,アクティブ率が下がることが問題であった。そのため,長時間継続するパッシブな時間を「聴取時間」と定義し,対面時間から聴取時間を除いた「会話時間」をアクティブ率の分母として用いる。経験上,聴取時間は業務の性質に依存しているため,聴取時間を含んで算出したアクティブ率には本人の行動による特性が表れにくい。そのため,図26に示す模式図のように,会話時間でのアクティブ率を評価することによって本人の行動の結果としての会話の積極性が数値化される。よって,{アクティブ率=アクティブ時間÷会話時間}として値を算出する。
【0160】
なお,図27で示すアクティブ率の算出方法は,対面イベント時間中を対象としたアクティブ率を求めるだけでなく,特定の人の1日もしくは1ヶ月など所定の期間を対象として算出するためにも同様の方法で用いることができる。
【0161】
図27のフローチャートに沿ってアクティブ率の算出プロセスを説明すると,まず,計算対象の人物に関する対面データと加速度リズムの時系列データを,対面タペストリ(SSDB_IRTP_1min)と加速度タペストリ(SSDB_ACCTP_1min)から入力する(ASCT1)。少なくとも1人と対面している時刻を抽出し(ASCT2),同じ時刻の加速度リズムが閾値(th_act)以上である場合にはその時刻をアクティブ,閾値未満である場合にはパッシブと判定する(ASCT3)。なお,ASCT2における対面している時刻とは,他の端末(TR)から赤外線を受信した時刻のみでなく,音声データにより端末の所有者であるユーザ(US)が発話していると判別された時刻や,テレビ電話の前や特定の会議室にいると位置ビーコン(PB)で検知された時刻を「対面している時刻」とみなしても良い。
【0162】
次に,パッシブ時間が閾値(th_lst)の時間以上継続している部分を抽出し,その期間を「聴取時間」とする(ASCT4)。数値を求める対象となる期間中(対面イベントの期間,または,1日や1ヶ月)の,合計対面時間から合計聴取時間を引いたものを「会話時間」とする(ASCT5)。最後に,対象期間の合計アクティブ時間を合計会話時間で割った値を,その期間の有効なアクティブ率として算出する(ASCT6)。
【0163】
本手法によって算出したアクティブ率を用いた表示画面の例を図28に示す。アクティブ率の個人やグループの時系列変化を把握するために,個人の結果や,定義したグループでのイベントでの値を平均した結果を折れ線グラフで示すことが可能である。その値は,アクティブ率そのものではなく,複数組織,長期のデータを母数とした偏差値で表示しても良い。また,所属する組織における特定の期間のアクティブ率の分布をヒストグラムで表示し,その中に対象者のアクティブ率を示すことも可能である。
【0164】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形実施可能であり、上述した各実施形態を適宜組み合わせることが可能であることは、当業者に理解されよう。
【符号の説明】
【0165】
TR、TR2〜6 端末
GW,GW2 基地局
US、US2〜6 ユーザ
NW ネットワーク
PAN パーソナルエリアネットワーク
SS センサネットサーバ
AS アプリケーションサーバ
CL クライアント
CP 個人用クライアント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントデータ処理装置であって、
時刻と人物情報と人物同士が対面したことを示すデータとを含む対面情報が格納される記録部と、
前記対面情報の入力を受け付けて前記記録部に記録する入力部と、
前記入力部が入力を受け付けた対面情報から対面していた人数である対面人数を算出し、第1の時刻における第1の対面人数と第2の時刻における第2の対面人数との差である対面人数差を算出し、前記対面人数差が予め定められた閾値である対面人数閾値以下であった場合、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間に連続したコミュニケーションが行われていたと判別して、前記第1の対面人数と前記第2の対面人数に含まれる人物と前記第1の時刻と前記第2の時刻とに対してイベントを識別するイベント識別子を関連づけて前記記録部に記録する制御部と、
前記記録された前記イベント識別子を出力する出力部と、
を有することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記制御部は、前記入力部が入力を受け付けた対面情報から対面人物の構成員に関する情報である対面構成員情報を算出し、前記第1の時刻における第1の対面構成員情報と前記第二の時刻における第2の対面構成員情報との一致度合いであるメンバ一致率を算出し、前記メンバ一致率が予め定められた閾値であるメンバ一致率閾値以上である場合、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間に連続したコミュニケーションが行われていたと判別して、前記第1の対面人数と前記第2の対面人数に含まれる人物と前記第1の時刻と前記第2の時刻とに対してイベントを識別するイベント識別子を関連づけて前記記録部に記録することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項3】
イベントデータ処理装置であって、
時刻と人物情報と人物同士が対面したことを示すデータとを含む対面情報と、体の動きに関する情報である動作情報と、が互いに関連づけて格納される記録部と、
前記対面情報と前記動作情報と、の入力を受け付けて前記記録部に記録する入力部と、
前記入力部が入力を受け付けた対面情報から対面していた時間帯である対面時間帯を算出し、前記入力部が入力を受け付けた動作情報から人物の動作の大きさである動作値を算出し、前記対面時間帯のうち、前記動作値が予め定められた閾値である第1の動作閾値以上である時間帯の長さを、前記動作値が予め定められた閾値である第2の動作閾値以下である状態が所定の時間以上継続する時間帯を前記対面時間帯から除いた時間帯の長さで除算した値である評価指標を算出し、前記算出された評価指標を前記対面情報に関連づけて前記記録部に記録する制御部と、
前記記録された評価指標を出力する出力部と、
を有することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記動作情報は、加速度の周波数又はゼロクロス値を含むことを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
さらに画面を有し、
前記出力部は前記画面に前記イベント識別子を表示することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記入力部は、前記対面人数閾値の入力を受け付けることを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記入力部は、前記第1の時刻と前記第2の時刻の時間間隔の入力を受け付けることを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項8】
請求項2に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記入力部は、前記メンバ一致率閾値の入力を受け付けることを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記対面情報は赤外線の通信情報を含むことを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記入力部は、前記イベント識別子で識別されるイベントに対するコメントの入力を受け付け、前記イベント識別子に関連づけて前記コメントを前記記憶部に記憶することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記人物情報は、前記人物が所属するグループ情報を含むことを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載のイベントデータ処理装置であって、
さらに画面を有し,
前記出力部は前記グループ情報が識別するグループに所属する人物と関連するイベントか否かを基準として
前記画面に前記イベント識別子の表示を制御することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項13】
請求項3に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記制御部は、前記評価指標を異なる複数の前記対面時間帯に対して算出し、前記算出された複数の前記評価指標の時間変化率を算出し、
前記出力部は、前記時間変化率を出力することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項14】
請求項3に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記対面情報は、赤外線通信と位置ビーコンとを用いて取得されることを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項15】
請求項2に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記制御部は、第1のイベントと第2のイベントとに対し、前記第1のイベントと前記第2のイベントの時間重複率と、前記第1のイベントと前記第2イベントの対面構成員情報のメンバ重複率と、に基づいて前記第1のイベントと前記第2のイベントとを合併するか否かを判断し、合併する場合は前記第1のイベントと前記第2のイベントを新しく第3のイベントとして前記記録部に記録することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項1】
イベントデータ処理装置であって、
時刻と人物情報と人物同士が対面したことを示すデータとを含む対面情報が格納される記録部と、
前記対面情報の入力を受け付けて前記記録部に記録する入力部と、
前記入力部が入力を受け付けた対面情報から対面していた人数である対面人数を算出し、第1の時刻における第1の対面人数と第2の時刻における第2の対面人数との差である対面人数差を算出し、前記対面人数差が予め定められた閾値である対面人数閾値以下であった場合、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間に連続したコミュニケーションが行われていたと判別して、前記第1の対面人数と前記第2の対面人数に含まれる人物と前記第1の時刻と前記第2の時刻とに対してイベントを識別するイベント識別子を関連づけて前記記録部に記録する制御部と、
前記記録された前記イベント識別子を出力する出力部と、
を有することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記制御部は、前記入力部が入力を受け付けた対面情報から対面人物の構成員に関する情報である対面構成員情報を算出し、前記第1の時刻における第1の対面構成員情報と前記第二の時刻における第2の対面構成員情報との一致度合いであるメンバ一致率を算出し、前記メンバ一致率が予め定められた閾値であるメンバ一致率閾値以上である場合、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間に連続したコミュニケーションが行われていたと判別して、前記第1の対面人数と前記第2の対面人数に含まれる人物と前記第1の時刻と前記第2の時刻とに対してイベントを識別するイベント識別子を関連づけて前記記録部に記録することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項3】
イベントデータ処理装置であって、
時刻と人物情報と人物同士が対面したことを示すデータとを含む対面情報と、体の動きに関する情報である動作情報と、が互いに関連づけて格納される記録部と、
前記対面情報と前記動作情報と、の入力を受け付けて前記記録部に記録する入力部と、
前記入力部が入力を受け付けた対面情報から対面していた時間帯である対面時間帯を算出し、前記入力部が入力を受け付けた動作情報から人物の動作の大きさである動作値を算出し、前記対面時間帯のうち、前記動作値が予め定められた閾値である第1の動作閾値以上である時間帯の長さを、前記動作値が予め定められた閾値である第2の動作閾値以下である状態が所定の時間以上継続する時間帯を前記対面時間帯から除いた時間帯の長さで除算した値である評価指標を算出し、前記算出された評価指標を前記対面情報に関連づけて前記記録部に記録する制御部と、
前記記録された評価指標を出力する出力部と、
を有することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記動作情報は、加速度の周波数又はゼロクロス値を含むことを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
さらに画面を有し、
前記出力部は前記画面に前記イベント識別子を表示することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記入力部は、前記対面人数閾値の入力を受け付けることを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記入力部は、前記第1の時刻と前記第2の時刻の時間間隔の入力を受け付けることを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項8】
請求項2に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記入力部は、前記メンバ一致率閾値の入力を受け付けることを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記対面情報は赤外線の通信情報を含むことを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記入力部は、前記イベント識別子で識別されるイベントに対するコメントの入力を受け付け、前記イベント識別子に関連づけて前記コメントを前記記憶部に記憶することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記人物情報は、前記人物が所属するグループ情報を含むことを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載のイベントデータ処理装置であって、
さらに画面を有し,
前記出力部は前記グループ情報が識別するグループに所属する人物と関連するイベントか否かを基準として
前記画面に前記イベント識別子の表示を制御することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項13】
請求項3に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記制御部は、前記評価指標を異なる複数の前記対面時間帯に対して算出し、前記算出された複数の前記評価指標の時間変化率を算出し、
前記出力部は、前記時間変化率を出力することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項14】
請求項3に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記対面情報は、赤外線通信と位置ビーコンとを用いて取得されることを特徴とするイベントデータ処理装置。
【請求項15】
請求項2に記載のイベントデータ処理装置であって、
前記制御部は、第1のイベントと第2のイベントとに対し、前記第1のイベントと前記第2のイベントの時間重複率と、前記第1のイベントと前記第2イベントの対面構成員情報のメンバ重複率と、に基づいて前記第1のイベントと前記第2のイベントとを合併するか否かを判断し、合併する場合は前記第1のイベントと前記第2のイベントを新しく第3のイベントとして前記記録部に記録することを特徴とするイベントデータ処理装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図23】
【図27】
【図31】
【図32】
【図1】
【図7】
【図8】
【図9】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図23】
【図27】
【図31】
【図32】
【図1】
【図7】
【図8】
【図9】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2013−105471(P2013−105471A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251221(P2011−251221)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
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