イムノクロマトグラフィー用キット
【課題】
簡便に作製可能で、正確な判定が可能なイムノクロマトグラフィー用キットを提供すること。
【解決手段】
本発明のイムノクロマトグラフィー用キットは、試料を収容した試験容器と、一端側から試験容器に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験具と、を備え、試験具が試料中の第1測定対象の検出を判定するための第1判定部を有し、試験容器が試験具の第1判定部に対応する位置に、第1判定部の種別の表示を有する。
簡便に作製可能で、正確な判定が可能なイムノクロマトグラフィー用キットを提供すること。
【解決手段】
本発明のイムノクロマトグラフィー用キットは、試料を収容した試験容器と、一端側から試験容器に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験具と、を備え、試験具が試料中の第1測定対象の検出を判定するための第1判定部を有し、試験容器が試験具の第1判定部に対応する位置に、第1判定部の種別の表示を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イムノクロマトグラフィー用キット及びイムノクロマトグラフィーに用いる試験容器に関する。
【背景技術】
【0002】
血液、血清、咽頭拭い液などの体液を検体として用いて、簡易に各種疾患の検査を行う方法してイムノクロマトグラフィーを用いる方法がある。
【0003】
従来のイムノクロマトグラフィーは試料添加用部材に検体を滴下すると、乾燥させてあるラテックス粒子で標識された抗体が検体により移動しながら検体中の測定対象と複合体を形成する。この複合体は、支持体に粘着させたクロマト用膜担体上を移動し、クロマト用膜担体に固定されている抗体に捕捉されて判定部にラテックス粒子による有色のラインが形成される。この有色のラインを目視することにより、検体中の測定対象の存在の有無を確認する。
【0004】
一方、判定部に有色のラインが形成されない場合として、操作は正常に行われたが、検体中に測定対象が含まれていない場合や、何らかの理由で検体が判定部にまで達していない場合の操作自体が異常な場合がある。従って、測定対象の有無に関わらず、上記判定部に試料が通過するとラインが形成される対照部が必要となる。
【0005】
従来はイムノクロマトグラフィーに必要な構成物がケースに収容された状態で供給され、そのケース上に、形成された上記判定部や対照部のラインの種別の表示を行っていた。
【0006】
しかし、近年イムノクロマトグラフィーに必要な構成物がケースに収容されていない形態で供給されるようになり、従来ケースに表示を行っていたラインの種別ができなくなった。そのため、どの位置に判定部に相当するラインが形成され、どの位置に対照部に相当するラインが形成されるか判断が難しいという問題があった。
【0007】
そのため、判定部や対照部のラインが形成されるクロマト用膜担体上に直接ライン種別を印刷する方法が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−013143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
クロマト用膜担体に直接ライン種別を印刷する方法は、クロマト用膜担体にライン種別を印刷するという作業工程が一工程増えるのでコスト高になるという問題があった。また、細いクロマト用膜担体に直接ライン種別を印刷するのは困難であり、また、印刷に用いるインク等が操作自体に影響を及ぼしたり、さらに、印刷の際にクロマト用膜担体を傷つけるといった問題があった。
【0009】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、簡便に作製可能で、正確な判定が可能なイムノクロマトグラフィー用キットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のイムノクロマトグラフィー用キットは、試料を収容した試験容器と、一端側から試験容器に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験具とを備え、試験具が試料中の第1測定対象の検出を判定するための第1判定部を有し、試験容器が試験具の第1判定部に対応する位置に、第1判定部の種別の表示を有する。
本発明者らは、検体を収容しイムノクロマトグラフィー用試験具が挿入される試験容器に、判定部に対応する位置に判定部の種別を表示することにより、簡便に作製可能で、正確な判定が可能なイムノクロマトグラフィー用キットを提供できることを見出した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便に作製可能で、正確な判定が可能なイムノクロマトグラフィー用キットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図面は、説明の便宜のために用いられるものであり、本発明の範囲は、図面に示す実施形態に限定されない。
【0013】
1.第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットを示す。このキットは、試料を収容するための試験容器1と、一端側4aから試験容器1に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験具4とを備える。また、図2は、図1の試験具4の(a)平面図、(b)側面図である。
【0014】
試験具4は、図2に示すように、表面に粘着層を有するプラスチック板からなる基材12上に、レーヨンの不織布からなる試料添加用部材5と、グラスファイバーの不織布からなる標識保持部材7と、ニトロセルロースの多孔体からなるクロマト用膜担体9と、セルロースの不織布からなる吸収部材11とを備える。標識保持部材7は、試料添加用部材5に接触して配置され、試料中の測定対象と抗原抗体反応する標識物質を保持する。クロマト用膜担体9は、標識保持部材7に接触して配置され、測定対象と抗原抗体反応する固定化用物質が固定された判定部を有する。吸収部材11は、クロマト用膜担体9と接触するように配置されている。
【0015】
クロマト用膜担体9には、上流側から順に、ライン状の第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cが形成され、標識保持部材7には、第1標識物質、第2標識物質及び対照用標識物質が保持されている。第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cには、固定化用物質として、それぞれ、抗インフルエンザA抗体、抗インフルエンザB抗体(以下、それぞれ「抗FluA抗体」、「抗FluB抗体」とする。)、ビオチンが固定されている。第1標識物質及び第2標識物質は、それぞれ、青色ラテックス粒子で標識された抗FluA抗体及び抗FluB抗体であり、対照用標識物質は、赤色ラテックス粒子で標識されたアビジンである。抗FluA抗体及び抗FluB抗体は、それぞれ、第1測定対象であるインフルエンザA型ウィルス及び第2測定対象であるインフルエンザB型ウィルス(以下、それぞれ「FluAウィルス」、「FluBウィルス」とする。)と抗原抗体反応により結合する。
【0016】
FluAウィルスを例にとると、試料中にFluAウィルスが含まれていると、標識保持部材7にある標識された抗FluA抗体は、FluAウィルスの所定部位を認識して、抗原抗体反応により結合して複合体を形成する。次に、クロマト用膜担体9にある抗FluA抗体は、FluAウィルスの別の部位を認識して複合体を捕捉する。複合体が捕捉されると、第1判定部9Aには青色のラインが現れ、FluAウィルスが目視により検出される。
【0017】
また、アビジンは、クロマト用膜担体9にある抗FluA抗体、抗FluB抗体には捕捉されないが、ビオチンと特異的に結合するので、対照部9Cに固定されたビオチンに捕捉される。アビジンが捕捉されると、対照部9Cには赤色のラインが現れ、アビジンが対照部9Cに到達したことが目視される。対照部9Cは、第1判定部9A及び第2判定部9Bの下流に設けられるので、赤色のラインを確認することにより、試料が第1判定部9A及び第2判定部9Bを通過したことが確認される。
【0018】
試験容器1は、ガラスからなり、試験容器1には、試験具4の第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cに対応する位置に第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cの種別を表示(それぞれ、「A」,「B」,「!」で表している。)するラベル3が貼られている。ラベル3は、透明基材の所定の位置に「A」,「B」,「!」を印刷したものであり、ラベル3の上端を試験容器1の入口に一致させることにより、ラベル3と試験容器1の上下方向の位置合わせを行っている。
【0019】
次に、本発明のキットの使用方法について、図3を用いて説明する。
まず、患者の鼻腔吸引液などの検体を展開溶媒に希釈して調製した試料13を試験容器1内に所定量注入する。次に、試験具4を一端4aから試験容器1に挿入し、一端4aを試験容器1の底部1aに接触させる(なお、ここでいう「底部」とは、試験容器1の丸みを帯びた部分を意味する。)。これにより、試験具4と試験容器1とが上下方向に位置合わせされる。この状態で、10〜20分程度放置すると、試料13が毛管現象により、試料添加用部材5、標識保持部材7、クロマト用膜担体9、吸収部材11を順次移動する。試料13が、標識保持部材7を通過する際に、標識保持部材7に保持されている標識物質(第1、第2及び対照用標識物質)が展開溶媒に溶出する。試料中にFluAウィルス又はFluBウィルスが含まれていると、上述した作用により、第1判定部9A又は第2判定部9Bには青色のラインが現れる。また、ウィルスの有無に関わらず、対照部9Cに赤色のラインが現れる。
【0020】
ここで、図4を用いて、ラベル3がある場合(図4(a))とない場合(図4(b))での測定結果を比較する。図4(a)が、本発明のキットに対応する。図4(a),(b)は、いずれも、試料中にFluAウィルスのみが含まれていた場合の結果を示す。
【0021】
まず、図4(b)を参照すると、試験具4に青色のライン15aと赤色のライン15bが現れていることが分かる。赤色のライン15bは、その色から参照部9Cに現れたものであることが分かる。しかし、青色のライン15aは、第1判定部9Aと第2判定部9Bのどちらに現れたものであるかの判断が難しい。
【0022】
次に、図4(a)を参照すると、試験容器に貼られたラベル3内の文字「A」が青色のライン15aに対応した位置にあることが分かる。この文字「A」があることにより、本発明のキットでは、青色のライン15aが第1判定部9Aに現れたものであると判断することができ、試料中にはFluAウィルスのみが含まれていたことが分かる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、現れたラインの種別を正確に識別することができる。
【0024】
ここまで、特定の実施形態を例にとって説明してきたが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0025】
検出物質は抗原抗体反応を生じる物質であれば特に限定されず、細菌、原生生物や真菌などの細胞、ウイルス、タンパク質、多糖類などが挙げられる。例えば、前記インフルエンザウイルスのほか、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、マイコプラズマニューモニエ、ロタウイルス、カルシウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、肝炎ウイルス、重症急性呼吸器症候群の病原ウイルス、大腸菌、スタフィロコッカスアウレウス、ストレプトコッカスニューモニエ、ストレプトコッカスピヨゲネス、マラリア原虫、その他、消化器系疾患、中枢神経系疾患、出血熱等の様々な疾患の病原体、これらの代謝産物、癌胎児性抗原やシフラなどの腫瘍マーカー、ホルモンなどが例示される。
【0026】
基材12は、試料添加用部材5や標識保持部材7などの上記部材を適切に配置するためのものであり、プラスチック以外にも紙やガラスなど種々の材質のものを用いることができる。試料添加用部材5は、レーヨン以外にも、グラスファイバー又はセルロースファイバーなどの種々の素材で形成することができる。標識保持部材7は、グラスファイバー以外にも、セルロースファイバーなどの種々の素材で形成することができる。クロマト用膜担体9は、ニトロセルロース以外にも、ナイロン(例えば、カルボキシル基やアルキル基を置換基として有してもよいアミノ基が導入された修飾ナイロン)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、セルロースアセテートなどの種々の素材で形成することができる。吸収部材11は、セルロース以外にも、グラスファイバーなどの種々の素材で形成することができる。試料添加用部材5、標識保持部材7、クロマト用膜担体9及び吸収部材11には、不織布又は多孔体以外にも、毛管現象により試料を展開可能な種々の構造のものを用いることができる。
【0027】
クロマト用膜担体9は、判定部を1つだけ備えてもよく、2つ以上備えてもよい。また、クロマト用膜担体9は、対照部を備えなくてもよい。また、判定部・対照部は、ライン状でなくてもよく、例えば島状に形成してもよい。標識保持部材7は、標識物質を1種だけ保持してもよく、2種以上保持してもよい。また、標識保持部材7は、対照用標識物質を保持しなくてもよい。標識物質は、青や赤以外のラテックス粒子や、金などの金属コロイド、色素分子などで標識されてもよい。標識物質が2種以上ある場合、各標識物質は、互いに異なる色に標識されても、同じ色に標識されてもよい。さらに標識物質及び対照用標識物質は、互いに異なる色に標識されても、同じ色に標識されてもよい。本発明によれば、各標識物質が同じ色に標識された場合でも現れるラインの種別を正確に識別することができる。
【0028】
固定化用物質及び標識物質には、種々の抗体又は抗原を用いることができる。すなわち、測定対象が抗原である場合、固定化用物質及び標識物質は、この抗原と抗原抗体反応する抗体を用い、測定対象が抗体である場合、固定化用物質及び標識物質は、この抗体と抗原抗体反応する抗原を用いる。
【0029】
対照部の固定化用物質がアビジンであり、対照用標識物質がビオチンであってもよい。さらに、対照部の固定化用物質と対照用標識物質は、ビオチンとアビジンの組み合わせ以外であってもよい。例えば、抗原抗体反応により結合する組み合わせであってもよい。例えば、対照用標識物質に抗原を用い、対照部の固定化用物質にこの抗原と抗原抗体反応する抗体を用いる。この逆であってもよい。対照用標識物質には、測定対象や判定部の固定化用物質と抗原抗体反応しないものを用いる。
【0030】
試験容器1は、ガラス以外にも、プラスチックなどで形成してもよい。試験容器1の底部1aは、図5(a)のように斜面を有していてもよく、図5(b)のように平坦であってもよく、図5(c)にように試験容器の内側に突出していてもよい。いずれの場合でも、試験具4と試験容器1は、上下方向に位置合わせされる。試験容器1のラベル3は、試験容器1の最下部にラベル3の下端を合わせるようにして上下方向の位置合わせを行ってもよい。また、ラベル3は、不透明なものであってもよい。また、種別表示を印刷したラベル3を試験容器1に貼り付ける代わりに、種別表示を試験容器に直接印刷してもよい。また、試験容器に種別表示を彫刻してもよい。種別表示は、アルファベットや記号以外にも、測定対象の名前などでもよい。また、単に、判定部・対照部に対応する位置に、点や線などを付しておくだけでもよい。例えば、第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cに対応する位置に、それぞれ点を打っておくと、3つの点が、下から順に第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cを示すことが分かる。このような点や線なども「種別の表示」に含まれる。
また、例えば上記実施形態のように対照用標識物質のみを異なる色で標識している場合、対照部の種別表示を試験容器に付さなくてもよい。種別表示がなくても、現れるラインの色から、そのラインが対照部に現れたものであることが分かるからである。
【0031】
試験具4としては、図2に示したもの以外に、図6(a)〜(c)に示すものなどであってもよい。図6(a)の試験具では、試料添加用部材5が、標識保持部材7を覆ってクロマト用膜担体9に接触するように構成されている。図6(b)の試験具では、標識保持部材7が、クロマト用膜担体9と間隔を介して配置され、試料添加用部材5が、標識保持部材7を覆ってクロマト用膜担体9に接触するように構成されている。図6(c)の試験具では、標識保持部材7が、クロマト用膜担体9と間隔を介して配置され、展開用部材17が、標識保持部材7及びクロマト用膜担体9と接触するように配置されている。展開用部材17は、試料添加用部材5と同様にレーヨン、グラスファイバー又はセルロースファイバーなどの種々の素材の不織布で構成することができる。図6(b),(c)の構成では、標識保持部材7とクロマト用膜担体9の間に試料の展開速度が速い部材が挟まれているので、標識保持部材7内の標識物質の溶出が速くなり、迅速な測定が可能になる。
【0032】
また、上記実施形態では、図3に示すように、試験具4の一端4aを試験容器1の底部1aに接触させることによって、両者の上下方向の位置合わせを行ったが、図7に示すように、試験具4のもう一方の端(他端)4bに凸部19を設け、試験容器1の長さを試験具4よりも長くし、図8に示すように、試験具4の凸部19が試験容器1の入口に引っかかるようにすることによって、両者の上下方向の位置合わせを行ってもよい。凸部19は、基材12自体に形成してもよく、基材12の裏面に別の部材(プラスチック板など)を貼り付けることによって形成してもよい。凸部19は、図8に示すように、試験容器1の入口をまたぐような形状であってもよく、図9に示すように、鉤状にして、試験容器1の側壁に引っ掛けるような形状であってもよい。
【0033】
2.第2の実施形態
図10は、本発明の第2の実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットを示す。また、図11は、図10の試験具4の(a)平面図、(b)側面図である。
【0034】
このキットは、第1の実施形態と比べて、試験具4が標識保持部材7を有しない点と、試験容器1が標識物質21を収容している点が異なっている。本実施形態での試験具4では、図11に示すように、試料添加用部材5とクロマト用膜担体9とが接触している。標識物質21には、第1標識物質、第2標識物質及び対照用標識物質が含まれている。
【0035】
次に、本実施形態のキットの使用方法について、図12を用いて説明する。
まず、患者の鼻腔吸引液などの検体を展開溶媒に希釈して調製した試料13を試験容器1内に所定量注入する。次に、試料13と、試験容器1に収容されている標識物質21とを十分に攪拌する。次に、試験具4を一端4aから試験容器1に挿入し、一端4aを試験容器1の底部1aに接触させる。これにより、試験具4と試験容器1とが上下方向に位置合わせされる。この状態で、10〜20分程度放置すると、試料13が毛管現象により、試料添加用部材5、クロマト用膜担体9、吸収部材11を順次移動する。試料中にFluAウィルス又はFluBウィルスが含まれていると、第1の実施形態で説明した作用により、第1判定部9A又は第2判定部9Bには青色のラインが現れる。また、ウィルスの有無に関わらず、対照部9Cに赤色のラインが現れる。
【0036】
本実施形態のキットでも、試験容器に判定部の種別が表示されているので、現れたラインの種別を正確に識別することができる。また、本実施形態のキットについても、第1の実施形態で説明した種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットの構成を示す。
【図2】図1のキットの試験具の(a)平面図、(b)側面図である。
【図3】図1のキットの使用状態を示す。
【図4】試験容器にラベルが(a)ある場合と(b)ない場合の比較を示す。
【図5】試験容器の底部の種々の形態を示す。
【図6】図1のキットの試験具の種々の変形例を示す。
【図7】図1のキットの変形例を示す。
【図8】図7のキットの使用状態を示す。
【図9】図7のキットの変形例の使用状態を示す。
【図10】本発明の第2の実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットの構成を示す。
【図11】図10のキットの試験具の(a)平面図、(b)側面図である。
【図12】図10のキットの使用状態を示す。
【符号の説明】
【0038】
1:試験容器 1a:試験容器の底部 3:ラベル 4:イムノクロマトグラフィー用試験具 4a:試験具の一端 4b:試験具の他端 5:試料添加用部材 7:標識保持部材 9:クロマト用膜担体 9A:第1判定部 9B:第2判定部 9C:対照部 11:吸収部材 12:基材 13:試料 15a:青色ライン 15b:赤色ライン 17:展開用部材 19:凸部 21:標識物質
【技術分野】
【0001】
本発明は、イムノクロマトグラフィー用キット及びイムノクロマトグラフィーに用いる試験容器に関する。
【背景技術】
【0002】
血液、血清、咽頭拭い液などの体液を検体として用いて、簡易に各種疾患の検査を行う方法してイムノクロマトグラフィーを用いる方法がある。
【0003】
従来のイムノクロマトグラフィーは試料添加用部材に検体を滴下すると、乾燥させてあるラテックス粒子で標識された抗体が検体により移動しながら検体中の測定対象と複合体を形成する。この複合体は、支持体に粘着させたクロマト用膜担体上を移動し、クロマト用膜担体に固定されている抗体に捕捉されて判定部にラテックス粒子による有色のラインが形成される。この有色のラインを目視することにより、検体中の測定対象の存在の有無を確認する。
【0004】
一方、判定部に有色のラインが形成されない場合として、操作は正常に行われたが、検体中に測定対象が含まれていない場合や、何らかの理由で検体が判定部にまで達していない場合の操作自体が異常な場合がある。従って、測定対象の有無に関わらず、上記判定部に試料が通過するとラインが形成される対照部が必要となる。
【0005】
従来はイムノクロマトグラフィーに必要な構成物がケースに収容された状態で供給され、そのケース上に、形成された上記判定部や対照部のラインの種別の表示を行っていた。
【0006】
しかし、近年イムノクロマトグラフィーに必要な構成物がケースに収容されていない形態で供給されるようになり、従来ケースに表示を行っていたラインの種別ができなくなった。そのため、どの位置に判定部に相当するラインが形成され、どの位置に対照部に相当するラインが形成されるか判断が難しいという問題があった。
【0007】
そのため、判定部や対照部のラインが形成されるクロマト用膜担体上に直接ライン種別を印刷する方法が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−013143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
クロマト用膜担体に直接ライン種別を印刷する方法は、クロマト用膜担体にライン種別を印刷するという作業工程が一工程増えるのでコスト高になるという問題があった。また、細いクロマト用膜担体に直接ライン種別を印刷するのは困難であり、また、印刷に用いるインク等が操作自体に影響を及ぼしたり、さらに、印刷の際にクロマト用膜担体を傷つけるといった問題があった。
【0009】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、簡便に作製可能で、正確な判定が可能なイムノクロマトグラフィー用キットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のイムノクロマトグラフィー用キットは、試料を収容した試験容器と、一端側から試験容器に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験具とを備え、試験具が試料中の第1測定対象の検出を判定するための第1判定部を有し、試験容器が試験具の第1判定部に対応する位置に、第1判定部の種別の表示を有する。
本発明者らは、検体を収容しイムノクロマトグラフィー用試験具が挿入される試験容器に、判定部に対応する位置に判定部の種別を表示することにより、簡便に作製可能で、正確な判定が可能なイムノクロマトグラフィー用キットを提供できることを見出した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便に作製可能で、正確な判定が可能なイムノクロマトグラフィー用キットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図面は、説明の便宜のために用いられるものであり、本発明の範囲は、図面に示す実施形態に限定されない。
【0013】
1.第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットを示す。このキットは、試料を収容するための試験容器1と、一端側4aから試験容器1に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験具4とを備える。また、図2は、図1の試験具4の(a)平面図、(b)側面図である。
【0014】
試験具4は、図2に示すように、表面に粘着層を有するプラスチック板からなる基材12上に、レーヨンの不織布からなる試料添加用部材5と、グラスファイバーの不織布からなる標識保持部材7と、ニトロセルロースの多孔体からなるクロマト用膜担体9と、セルロースの不織布からなる吸収部材11とを備える。標識保持部材7は、試料添加用部材5に接触して配置され、試料中の測定対象と抗原抗体反応する標識物質を保持する。クロマト用膜担体9は、標識保持部材7に接触して配置され、測定対象と抗原抗体反応する固定化用物質が固定された判定部を有する。吸収部材11は、クロマト用膜担体9と接触するように配置されている。
【0015】
クロマト用膜担体9には、上流側から順に、ライン状の第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cが形成され、標識保持部材7には、第1標識物質、第2標識物質及び対照用標識物質が保持されている。第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cには、固定化用物質として、それぞれ、抗インフルエンザA抗体、抗インフルエンザB抗体(以下、それぞれ「抗FluA抗体」、「抗FluB抗体」とする。)、ビオチンが固定されている。第1標識物質及び第2標識物質は、それぞれ、青色ラテックス粒子で標識された抗FluA抗体及び抗FluB抗体であり、対照用標識物質は、赤色ラテックス粒子で標識されたアビジンである。抗FluA抗体及び抗FluB抗体は、それぞれ、第1測定対象であるインフルエンザA型ウィルス及び第2測定対象であるインフルエンザB型ウィルス(以下、それぞれ「FluAウィルス」、「FluBウィルス」とする。)と抗原抗体反応により結合する。
【0016】
FluAウィルスを例にとると、試料中にFluAウィルスが含まれていると、標識保持部材7にある標識された抗FluA抗体は、FluAウィルスの所定部位を認識して、抗原抗体反応により結合して複合体を形成する。次に、クロマト用膜担体9にある抗FluA抗体は、FluAウィルスの別の部位を認識して複合体を捕捉する。複合体が捕捉されると、第1判定部9Aには青色のラインが現れ、FluAウィルスが目視により検出される。
【0017】
また、アビジンは、クロマト用膜担体9にある抗FluA抗体、抗FluB抗体には捕捉されないが、ビオチンと特異的に結合するので、対照部9Cに固定されたビオチンに捕捉される。アビジンが捕捉されると、対照部9Cには赤色のラインが現れ、アビジンが対照部9Cに到達したことが目視される。対照部9Cは、第1判定部9A及び第2判定部9Bの下流に設けられるので、赤色のラインを確認することにより、試料が第1判定部9A及び第2判定部9Bを通過したことが確認される。
【0018】
試験容器1は、ガラスからなり、試験容器1には、試験具4の第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cに対応する位置に第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cの種別を表示(それぞれ、「A」,「B」,「!」で表している。)するラベル3が貼られている。ラベル3は、透明基材の所定の位置に「A」,「B」,「!」を印刷したものであり、ラベル3の上端を試験容器1の入口に一致させることにより、ラベル3と試験容器1の上下方向の位置合わせを行っている。
【0019】
次に、本発明のキットの使用方法について、図3を用いて説明する。
まず、患者の鼻腔吸引液などの検体を展開溶媒に希釈して調製した試料13を試験容器1内に所定量注入する。次に、試験具4を一端4aから試験容器1に挿入し、一端4aを試験容器1の底部1aに接触させる(なお、ここでいう「底部」とは、試験容器1の丸みを帯びた部分を意味する。)。これにより、試験具4と試験容器1とが上下方向に位置合わせされる。この状態で、10〜20分程度放置すると、試料13が毛管現象により、試料添加用部材5、標識保持部材7、クロマト用膜担体9、吸収部材11を順次移動する。試料13が、標識保持部材7を通過する際に、標識保持部材7に保持されている標識物質(第1、第2及び対照用標識物質)が展開溶媒に溶出する。試料中にFluAウィルス又はFluBウィルスが含まれていると、上述した作用により、第1判定部9A又は第2判定部9Bには青色のラインが現れる。また、ウィルスの有無に関わらず、対照部9Cに赤色のラインが現れる。
【0020】
ここで、図4を用いて、ラベル3がある場合(図4(a))とない場合(図4(b))での測定結果を比較する。図4(a)が、本発明のキットに対応する。図4(a),(b)は、いずれも、試料中にFluAウィルスのみが含まれていた場合の結果を示す。
【0021】
まず、図4(b)を参照すると、試験具4に青色のライン15aと赤色のライン15bが現れていることが分かる。赤色のライン15bは、その色から参照部9Cに現れたものであることが分かる。しかし、青色のライン15aは、第1判定部9Aと第2判定部9Bのどちらに現れたものであるかの判断が難しい。
【0022】
次に、図4(a)を参照すると、試験容器に貼られたラベル3内の文字「A」が青色のライン15aに対応した位置にあることが分かる。この文字「A」があることにより、本発明のキットでは、青色のライン15aが第1判定部9Aに現れたものであると判断することができ、試料中にはFluAウィルスのみが含まれていたことが分かる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、現れたラインの種別を正確に識別することができる。
【0024】
ここまで、特定の実施形態を例にとって説明してきたが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0025】
検出物質は抗原抗体反応を生じる物質であれば特に限定されず、細菌、原生生物や真菌などの細胞、ウイルス、タンパク質、多糖類などが挙げられる。例えば、前記インフルエンザウイルスのほか、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、マイコプラズマニューモニエ、ロタウイルス、カルシウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、肝炎ウイルス、重症急性呼吸器症候群の病原ウイルス、大腸菌、スタフィロコッカスアウレウス、ストレプトコッカスニューモニエ、ストレプトコッカスピヨゲネス、マラリア原虫、その他、消化器系疾患、中枢神経系疾患、出血熱等の様々な疾患の病原体、これらの代謝産物、癌胎児性抗原やシフラなどの腫瘍マーカー、ホルモンなどが例示される。
【0026】
基材12は、試料添加用部材5や標識保持部材7などの上記部材を適切に配置するためのものであり、プラスチック以外にも紙やガラスなど種々の材質のものを用いることができる。試料添加用部材5は、レーヨン以外にも、グラスファイバー又はセルロースファイバーなどの種々の素材で形成することができる。標識保持部材7は、グラスファイバー以外にも、セルロースファイバーなどの種々の素材で形成することができる。クロマト用膜担体9は、ニトロセルロース以外にも、ナイロン(例えば、カルボキシル基やアルキル基を置換基として有してもよいアミノ基が導入された修飾ナイロン)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、セルロースアセテートなどの種々の素材で形成することができる。吸収部材11は、セルロース以外にも、グラスファイバーなどの種々の素材で形成することができる。試料添加用部材5、標識保持部材7、クロマト用膜担体9及び吸収部材11には、不織布又は多孔体以外にも、毛管現象により試料を展開可能な種々の構造のものを用いることができる。
【0027】
クロマト用膜担体9は、判定部を1つだけ備えてもよく、2つ以上備えてもよい。また、クロマト用膜担体9は、対照部を備えなくてもよい。また、判定部・対照部は、ライン状でなくてもよく、例えば島状に形成してもよい。標識保持部材7は、標識物質を1種だけ保持してもよく、2種以上保持してもよい。また、標識保持部材7は、対照用標識物質を保持しなくてもよい。標識物質は、青や赤以外のラテックス粒子や、金などの金属コロイド、色素分子などで標識されてもよい。標識物質が2種以上ある場合、各標識物質は、互いに異なる色に標識されても、同じ色に標識されてもよい。さらに標識物質及び対照用標識物質は、互いに異なる色に標識されても、同じ色に標識されてもよい。本発明によれば、各標識物質が同じ色に標識された場合でも現れるラインの種別を正確に識別することができる。
【0028】
固定化用物質及び標識物質には、種々の抗体又は抗原を用いることができる。すなわち、測定対象が抗原である場合、固定化用物質及び標識物質は、この抗原と抗原抗体反応する抗体を用い、測定対象が抗体である場合、固定化用物質及び標識物質は、この抗体と抗原抗体反応する抗原を用いる。
【0029】
対照部の固定化用物質がアビジンであり、対照用標識物質がビオチンであってもよい。さらに、対照部の固定化用物質と対照用標識物質は、ビオチンとアビジンの組み合わせ以外であってもよい。例えば、抗原抗体反応により結合する組み合わせであってもよい。例えば、対照用標識物質に抗原を用い、対照部の固定化用物質にこの抗原と抗原抗体反応する抗体を用いる。この逆であってもよい。対照用標識物質には、測定対象や判定部の固定化用物質と抗原抗体反応しないものを用いる。
【0030】
試験容器1は、ガラス以外にも、プラスチックなどで形成してもよい。試験容器1の底部1aは、図5(a)のように斜面を有していてもよく、図5(b)のように平坦であってもよく、図5(c)にように試験容器の内側に突出していてもよい。いずれの場合でも、試験具4と試験容器1は、上下方向に位置合わせされる。試験容器1のラベル3は、試験容器1の最下部にラベル3の下端を合わせるようにして上下方向の位置合わせを行ってもよい。また、ラベル3は、不透明なものであってもよい。また、種別表示を印刷したラベル3を試験容器1に貼り付ける代わりに、種別表示を試験容器に直接印刷してもよい。また、試験容器に種別表示を彫刻してもよい。種別表示は、アルファベットや記号以外にも、測定対象の名前などでもよい。また、単に、判定部・対照部に対応する位置に、点や線などを付しておくだけでもよい。例えば、第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cに対応する位置に、それぞれ点を打っておくと、3つの点が、下から順に第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cを示すことが分かる。このような点や線なども「種別の表示」に含まれる。
また、例えば上記実施形態のように対照用標識物質のみを異なる色で標識している場合、対照部の種別表示を試験容器に付さなくてもよい。種別表示がなくても、現れるラインの色から、そのラインが対照部に現れたものであることが分かるからである。
【0031】
試験具4としては、図2に示したもの以外に、図6(a)〜(c)に示すものなどであってもよい。図6(a)の試験具では、試料添加用部材5が、標識保持部材7を覆ってクロマト用膜担体9に接触するように構成されている。図6(b)の試験具では、標識保持部材7が、クロマト用膜担体9と間隔を介して配置され、試料添加用部材5が、標識保持部材7を覆ってクロマト用膜担体9に接触するように構成されている。図6(c)の試験具では、標識保持部材7が、クロマト用膜担体9と間隔を介して配置され、展開用部材17が、標識保持部材7及びクロマト用膜担体9と接触するように配置されている。展開用部材17は、試料添加用部材5と同様にレーヨン、グラスファイバー又はセルロースファイバーなどの種々の素材の不織布で構成することができる。図6(b),(c)の構成では、標識保持部材7とクロマト用膜担体9の間に試料の展開速度が速い部材が挟まれているので、標識保持部材7内の標識物質の溶出が速くなり、迅速な測定が可能になる。
【0032】
また、上記実施形態では、図3に示すように、試験具4の一端4aを試験容器1の底部1aに接触させることによって、両者の上下方向の位置合わせを行ったが、図7に示すように、試験具4のもう一方の端(他端)4bに凸部19を設け、試験容器1の長さを試験具4よりも長くし、図8に示すように、試験具4の凸部19が試験容器1の入口に引っかかるようにすることによって、両者の上下方向の位置合わせを行ってもよい。凸部19は、基材12自体に形成してもよく、基材12の裏面に別の部材(プラスチック板など)を貼り付けることによって形成してもよい。凸部19は、図8に示すように、試験容器1の入口をまたぐような形状であってもよく、図9に示すように、鉤状にして、試験容器1の側壁に引っ掛けるような形状であってもよい。
【0033】
2.第2の実施形態
図10は、本発明の第2の実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットを示す。また、図11は、図10の試験具4の(a)平面図、(b)側面図である。
【0034】
このキットは、第1の実施形態と比べて、試験具4が標識保持部材7を有しない点と、試験容器1が標識物質21を収容している点が異なっている。本実施形態での試験具4では、図11に示すように、試料添加用部材5とクロマト用膜担体9とが接触している。標識物質21には、第1標識物質、第2標識物質及び対照用標識物質が含まれている。
【0035】
次に、本実施形態のキットの使用方法について、図12を用いて説明する。
まず、患者の鼻腔吸引液などの検体を展開溶媒に希釈して調製した試料13を試験容器1内に所定量注入する。次に、試料13と、試験容器1に収容されている標識物質21とを十分に攪拌する。次に、試験具4を一端4aから試験容器1に挿入し、一端4aを試験容器1の底部1aに接触させる。これにより、試験具4と試験容器1とが上下方向に位置合わせされる。この状態で、10〜20分程度放置すると、試料13が毛管現象により、試料添加用部材5、クロマト用膜担体9、吸収部材11を順次移動する。試料中にFluAウィルス又はFluBウィルスが含まれていると、第1の実施形態で説明した作用により、第1判定部9A又は第2判定部9Bには青色のラインが現れる。また、ウィルスの有無に関わらず、対照部9Cに赤色のラインが現れる。
【0036】
本実施形態のキットでも、試験容器に判定部の種別が表示されているので、現れたラインの種別を正確に識別することができる。また、本実施形態のキットについても、第1の実施形態で説明した種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットの構成を示す。
【図2】図1のキットの試験具の(a)平面図、(b)側面図である。
【図3】図1のキットの使用状態を示す。
【図4】試験容器にラベルが(a)ある場合と(b)ない場合の比較を示す。
【図5】試験容器の底部の種々の形態を示す。
【図6】図1のキットの試験具の種々の変形例を示す。
【図7】図1のキットの変形例を示す。
【図8】図7のキットの使用状態を示す。
【図9】図7のキットの変形例の使用状態を示す。
【図10】本発明の第2の実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットの構成を示す。
【図11】図10のキットの試験具の(a)平面図、(b)側面図である。
【図12】図10のキットの使用状態を示す。
【符号の説明】
【0038】
1:試験容器 1a:試験容器の底部 3:ラベル 4:イムノクロマトグラフィー用試験具 4a:試験具の一端 4b:試験具の他端 5:試料添加用部材 7:標識保持部材 9:クロマト用膜担体 9A:第1判定部 9B:第2判定部 9C:対照部 11:吸収部材 12:基材 13:試料 15a:青色ライン 15b:赤色ライン 17:展開用部材 19:凸部 21:標識物質
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容するための試験容器と、一端側から試験容器に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験具とを備え、
試験具が、試料中の第1測定対象の検出を判定するための第1判定部を有し、試験容器が、試験具の第1判定部に対応する位置に、第1判定部の種別の表示を有するイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項2】
試験具が、試料中の第2測定対象の検出を判定するための第2判定部を有し、試験容器が、試験具の第2判定部に対応する位置に、第2判定部の種別の表示を有する請求項1に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項3】
試験具が、試料が第1判定部を通過したことを確認するための対照部を有し、対照部が、第1判定部の下流側に配置される請求項1に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項4】
試験具が、試料が第1判定部及び第2判定部を通過したことを確認するための対照部を有し、対照部が、第1判定部及び第2判定部の下流側に配置される請求項2に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項5】
試験具が、基材上に、試料添加用部材と、試料中の第1測定対象と抗原抗体反応する第1標識物質及び対照用標識物質を保持する標識保持部材と、第1測定対象と抗原抗体反応する第1固定化用物質が固定化された第1判定部及び対照用標識物質を捕捉する対照部とを有するクロマト用膜担体を備えてなる請求項3に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項6】
試験具が、基材上に、試料添加用部材と、試料中の第1測定対象と抗原抗体反応する第1標識物質、試料中の第2測定対象と抗原抗体反応する第2標識物質及び対照用標識物質を保持する標識保持部材と、第1測定対象と抗原抗体反応する第1固定化用物質が固定化された第1判定部及び第2測定対象と抗原抗体反応する第2固定化用物質及び対照用標識物質を捕捉する対照部とを有するクロマト用膜担体を備えてなる請求項4に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項7】
試験容器が、試料中の第1測定対象と抗原抗体反応する第1標識物質及び対照用標識物質を収容し、試験具が、基材上に、試料添加用部材と、第1測定対象と抗原抗体反応する第1固定化用物質が固定化された第1判定部及び対照用標識物質を捕捉する対照部を有するクロマト用膜担体とを備える請求項3に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項8】
試験容器が、試料中の第1測定対象と抗原抗体反応する第1標識物質、試料中の第2測定対象と抗原抗体反応する第2標識物質及び対照用標識物質を収容し、試験具が、基材上に、試料添加用部材と、第1測定対象と抗原抗体反応する第1固定化用物質が固定化された第1判定部、第2測定対象と抗原抗体反応する第2固定化用物質及び対照用標識物質を捕捉する対照部を有するクロマト用膜担体とを備える請求項4に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項9】
試験容器が、試験具の対照部に対応する位置に、対照部を表す表示を有する請求項3または4に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項10】
イムノクロマトグラフィー用試験具により測定対象の検出が判定される試料を収容するための試験容器であって、試験具の判定部に対応する位置に、判定部の種別の表示を有する試験容器。
【請求項11】
測定対象が、第1測定対象および第2測定対象であり、判定部が第1測定対象の検出を判定するための第1判定部および第2測定対象の検出を判定するための第2判定部からなり、試験具の第1判定部および第2判定部に対応する位置に、第1判定部および第2判定部の種別の表示を有する請求項10に記載の試験容器。
【請求項12】
試験具が、試料が判定部を通過したことを確認するための対照部を有し、試験具の対照部に対応する位置に、対照部を表す表示を有する請求項10または請求項11に記載の試験容器。
【請求項1】
試料を収容するための試験容器と、一端側から試験容器に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験具とを備え、
試験具が、試料中の第1測定対象の検出を判定するための第1判定部を有し、試験容器が、試験具の第1判定部に対応する位置に、第1判定部の種別の表示を有するイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項2】
試験具が、試料中の第2測定対象の検出を判定するための第2判定部を有し、試験容器が、試験具の第2判定部に対応する位置に、第2判定部の種別の表示を有する請求項1に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項3】
試験具が、試料が第1判定部を通過したことを確認するための対照部を有し、対照部が、第1判定部の下流側に配置される請求項1に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項4】
試験具が、試料が第1判定部及び第2判定部を通過したことを確認するための対照部を有し、対照部が、第1判定部及び第2判定部の下流側に配置される請求項2に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項5】
試験具が、基材上に、試料添加用部材と、試料中の第1測定対象と抗原抗体反応する第1標識物質及び対照用標識物質を保持する標識保持部材と、第1測定対象と抗原抗体反応する第1固定化用物質が固定化された第1判定部及び対照用標識物質を捕捉する対照部とを有するクロマト用膜担体を備えてなる請求項3に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項6】
試験具が、基材上に、試料添加用部材と、試料中の第1測定対象と抗原抗体反応する第1標識物質、試料中の第2測定対象と抗原抗体反応する第2標識物質及び対照用標識物質を保持する標識保持部材と、第1測定対象と抗原抗体反応する第1固定化用物質が固定化された第1判定部及び第2測定対象と抗原抗体反応する第2固定化用物質及び対照用標識物質を捕捉する対照部とを有するクロマト用膜担体を備えてなる請求項4に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項7】
試験容器が、試料中の第1測定対象と抗原抗体反応する第1標識物質及び対照用標識物質を収容し、試験具が、基材上に、試料添加用部材と、第1測定対象と抗原抗体反応する第1固定化用物質が固定化された第1判定部及び対照用標識物質を捕捉する対照部を有するクロマト用膜担体とを備える請求項3に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項8】
試験容器が、試料中の第1測定対象と抗原抗体反応する第1標識物質、試料中の第2測定対象と抗原抗体反応する第2標識物質及び対照用標識物質を収容し、試験具が、基材上に、試料添加用部材と、第1測定対象と抗原抗体反応する第1固定化用物質が固定化された第1判定部、第2測定対象と抗原抗体反応する第2固定化用物質及び対照用標識物質を捕捉する対照部を有するクロマト用膜担体とを備える請求項4に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項9】
試験容器が、試験具の対照部に対応する位置に、対照部を表す表示を有する請求項3または4に記載のイムノクロマトグラフィー用キット。
【請求項10】
イムノクロマトグラフィー用試験具により測定対象の検出が判定される試料を収容するための試験容器であって、試験具の判定部に対応する位置に、判定部の種別の表示を有する試験容器。
【請求項11】
測定対象が、第1測定対象および第2測定対象であり、判定部が第1測定対象の検出を判定するための第1判定部および第2測定対象の検出を判定するための第2判定部からなり、試験具の第1判定部および第2判定部に対応する位置に、第1判定部および第2判定部の種別の表示を有する請求項10に記載の試験容器。
【請求項12】
試験具が、試料が判定部を通過したことを確認するための対照部を有し、試験具の対照部に対応する位置に、対照部を表す表示を有する請求項10または請求項11に記載の試験容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−194688(P2006−194688A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5394(P2005−5394)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
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