説明

イメージスキャナ読取装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイメージスキャナ読取装置に係り、特に読取り情報を、ホストからの指令により所定の解像度に変換したり、圧縮、回転処理等を行うとき、一回の原稿読取にもとづき、複数の処理を可能としたものである。
【0002】
【従来の技術】画像処理装置等においては、例えばCCDの如き光電変換素子を有するイメージスキャナ読取装置で読み取った画像データを、ホスト側からの指令にもとづきその解像度を変換したり、画像データを圧縮したり、あるいはこの画像データを回転処理することが行われている。このようなホスト側からの指令により処理を行う場合、従来では解像度変換の場合はその変換処理の度にそれぞれイメージスキャナで原稿読取を行うことが必要であり、また圧縮、回転の場合も、それぞれ指令の度に原稿読取りを行うことが必要であった。
【0003】また、ホストコンピュータが持つ表示画面(一般的にディスプレイ)の持つ解像度または階調性とイメージスキャナのそれとに大きな隔たりが存在している。例えばディスプレイでは70dpi程度で16階調位であり、イメージスキャナでは300〜400dpi程度で256階調位である。しかも保存するためのイメージデータの解像度は年々高解像化している。
【0004】従来のイメージスキャナ読取装置では、図5R>5に示す如く、例えば原稿30を光電読取ユニット31で読み取り、原稿に応じた画像データを出力している。光電読取ユニット31には原稿30を照射する光源32と、これを受けて画像データを出力するプリント回路板33を有する。プリント回路板33には、CCD及びCCDを動作させるためのCCD制御回路等を有する読取回路35、この画像データ出力を保持する画面バッファ36、この画像データを例えば解像度変換したり圧縮、回転処理する画像処理回路37、ホスト側との送受信処理を行うインタフェース回路38等が具備されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところでイメージスキャナ読取装置における解像度は300〜600dpiである。例えば300dpiのものに対して、ホスト側より75dpiで変換した75dpi読取命令が伝達されたとき、イメージスキャナ読取装置側では、原稿30を読取りこれを300dpiの画像データとして画面バッファ36に一度保持してから画像処理回路37で75dpiで解像度変換してインタフェース回路38よりホスト側に送出する。
【0006】引続き、ホスト側より同じ原稿30に対して今度は30度回転処理した画像データの送信命令が伝達されたとき、イメージスキャナ読取装置では、再び原稿を読取りこれを画面バッファ36に保持してから画像処理回路37で30度回転処理してこれをホスト側に送出する。
【0007】このように従来では、同一原稿に対してホスト側より連続的に、例えば解像度変換、圧縮、回転等の命令が伝達されたとき、各命令毎に原稿読取りからくり返し行うことが必要であったので、全体としての画像処理時間が長くなるという問題があった。したがって本発明の目的は、このような同一のものに対して処理命令が連続するとき、その処理時間を短くするようにしたイメージスキャナ読取装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明では、図1に示す如く、ホスト側から命令が伝達されたとき例えば原稿10をCCDの如き光電変換素子を有する読取回路5によりこれを読取り、この光電読取ユニット1の通常の解像度である例えば300dpiで画面バッファ6に保持する。そしてホスト側から命令の内容に応じて制御部9が画像処理回路7を動作させる。
【0009】ホストから第1の命令に対する画像データをインタフェース回路8から送出しても、画面バッファ6に保持した読取データを消去しない。そしてホスト側から例えば回転命令が伝達されると、制御部9はこれを解読して画像処理回路7に対し今度は回転処理を実行させ、これをホストに返送する。このようにして画面バッファ6における読取りデータをホストから終了命令が伝達されるまで保持する。
【0010】
【作用】ホストから初めに命令が伝達されたとき、それに対して読取りデータを画面バッファ6に格納し、終了命令が伝達されるまでこれを保持しているので、2番目以降の命令についてはすでに格納されている画面バッファ6内の読取りデータにもとづき処理を行うことができ、従来のように命令毎に画像データ読取りを行う必要がなく、したがって複数の命令を短時間で実行することができる。
【0011】
【実施例】本発明の一実施例を図2及び図3にもとづき説明する。図2は本発明の一実施例を示し、(A)は一実施例構成図、(B)はその動作説明図である。図3は変換状態説明図である。図2において図1と同符号部は同一部分を示し、また、光電読取ユニット1は図5における光電読取ユニット31に対応し、光源2は光源32に対応し、プリント回路板3はプリント回路板33に対応し、読取回路5は読取回路35に対応し、画面バッファ6は画面バッファ36に対応し、画像処理回路7は画像処理回路37に対応し、インタフェース回路8はインタフェース回路38に対応する。
【0012】制御部はホストから伝達された命令を解読してこれにもとづく制御を行うものであり、例えば最初の命令の場合は画像読取り制御を行って得られた画像データを画像処理回路7で対応処理制御したり、終了命令の場合は画面バッファ6に格納された画像データを消去する等の制御を行う。
【0013】画像処理回路7は画面バッファ6に保持されている画像データを処理してインタフェース回路8を経由してホストに送出するものであり、例えばドットレート変換部7−1、圧縮処理部7−2、回転処理部7−3等を具備する。また画像バッファ6に格納された画像を加工制御せずにそのままスルーで送出することも行う。
【0014】なお、低い解像度から高い解像度に変換した場合、画像が良くなるということではない。この場合のスキャナの用途はきれいな画像を出力することが目的ではなく、例えば単純に読み取った画像を拡大して見たいときに用いる。
【0015】画像処理回路7のドットレート変換部7−1において、600dpiで読み取った画像データを1200dpiに拡大変換する処理状態を図3にもとづき説明する。例えば図3(A)に示す如く、600dpiで読み取った濃度、A1 、A2 、A3 ・・・B1 、B2 、B3 ・・・の画像データを同(B)に示す如く、1200dpiで読み取ったデータとして変換する場合について説明する。この場合はA1 、A2 、B1 、B2 の領域を2倍の領域に変換することになる。
【0016】変換に際しては、A1 、A2 、B1 、B2 に対しては図3(B)の状態に割りあてる。そして■、■・・・の領域については、図3(C)に示す如く、■においてはA1 とA2 の平均値、■についてはA2 とA3 の平均値、■についてはA1 とB1 の平均値、■については■と■の平均値というように、演算することにより行うことができる。
【0017】勿論他のドットレートで変換する場合、その変換度に応じて予め変換式を定めておき、これにもとづく制御を行うことになる。本発明の動作を図2(B)に示す如き命令がホストから伝達された場合について説明する。
【0018】(1) まずホストから75dpiの読取命令が伝達されたとき、これがインタフェース回路8を経由して制御部9により解読される。制御部9は、これにより読取回路5を動作させ600dpiの画像データを画面バッファ6に格納させる。それから制御部9はドットレート変換部7−1を600dpi→75dpiに変換するようにこれを制御する。かくして画面バッファ6に保持された画像データは75dpiに変換され、インタフェース回路8を経由してホストに送出される。なお、ここでスキャナの読み取り能力が600dpiである。
【0019】(2) 次にホストから300dpiの解像度変換命令が伝達されると、制御部9でこれが解読される。このとき制御部9はこの命令が最初の命令でないことを認識し、直ちにドットレート変換部7−1に対して600dpi→300dpiに変換するように制御する。これにより、前記(1)において、画面バッファ6に保持された画像データに対して300dpiに変換する制御が行われ、インタフェース回路8を経由してホストにこれが送出される。
【0020】(3) 引続きホストから400dpiの解像度変換命令、データの圧縮命令、画像の回転命令等が順次伝達されると、同様にドットレート変換部7−1が動作して画面バッファ6に格納ずみの画像データに対して400dpiに変換する制御が行われ、これがホストに送出され、圧縮処理部7−2が動作して指示された圧縮率で圧縮処理が行われてこれがホストに送出される。そして回転命令に対しては回転処理部7−3が動作して、画面バッファ6に格納ずみの画像データに対して指示された回転角で回転処理が行われ、ホストに送出される。
【0021】(4) このように各命令に応じてその都度処理が行われ、所定の画像データがホストに送出される。そしてホストから終わりの命令つまり動作終了命令が伝達されると制御部9はこれにもとづき、画面バッファ6に保持された画像データを消去する。そしてこの次にホストから命令が伝達されたときは、再び画像データの読取りから行われるものとなる。
【0022】なおホストからの命令が一画面分を分割した状態毎に送出される場合には、画像データを分割して分割単位毎に前記の如き処理を行うことができ、画面バッファ6のサイズは1画面分以下のものとすることができる。
【0023】本発明の第2実施例を図4により説明する。図4では、原稿等を読取る読取部15と、変換処理等を行う変換部16がそれぞれ別々に構成されている場合を示す。図4において他図と同記号は同一部分を示す。インタフェース回路4は変換部16との間のインタフェースを行うものである。
【0024】また読取回路5−1は、図2における読取回路5のうち、CCD及びCCDを動作させるためのCCD制御回路等を有し、画像処理回路5−2は読取回路5−1より送出されたアナログの画像データを多値化してディジタル信号に処理するものである。そしてこの読取回路5−1と画像処理回路5−2が、図2の読取回路5に対応する。
【0025】前記の如く、画像処理回路5−2でディジタル信号に処理された画像データはインタフェース回路4を経由して変換部16の画像バッファ6に一時格納される。ホストからの命令が伝達されたときの動作については、前記図2図3と同様であるので、説明簡略のため省略する。
【0026】なお、本発明では、ホストより送出された画像データを一旦画面バッファ6に蓄積し、例えば解像度変換、圧縮・伸長、回転等の所定の処理を施して、ホストに再びその画像データを送出することもできる。
【0027】また前記説明では600dpiの読取画像データの例について説明したが、本発明は勿論これに限定されるものではない。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、ホストから第1の命令が伝達されたとき、読取手段で画像読取りを行い、得られた画像データをバッファで保持してこれを画像処理手段で画像処理を行い、ホストにイメージデータを送出し、前記第1の命令のあと、終了信号が伝達されるまでの間、ホストから伝達された次の画像処理を行うことを指示する命令を前記バッファに保持されている前記読取手段により得られた画像データに対して行うように構成したので、従来のようにホストからの命令毎に画像データの読取りを行う必要がない。従って一つの画像データに対して複数の命令を遂行する場合、非常に短い時間で効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】本発明の一実施例説明図である。
【図3】本発明における解像度変換状態説明図である。
【図4】本発明の第二実施例である。
【図5】従来例を示す。
【符号の説明】
1 光電読取ユニット
2 光源
3 プリント回路板
5 読取回路
6 画面バッファ
7 画像処理回路
8 インタフェース回路
9 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】イメージデータを処理して上位装置に送出可能なイメージスキャナ装置において、読取手段で読み取りこれより得たディジタルの画像データを保持する画面バッファと、この画面バッファの画像データに対して処理を行う画像処理手段と、上位装置から終了信号が伝達されたとき、前記画面バッファに保持された画面データを消去制御する制御手段を有し、上位装置から第1の命令が伝達されたとき、前記読取手段で画像読取りを行い、得られた画像データを前記画面バッファで保持してこれを前記画像処理手段で画像処理を行い上位装置にイメージデータを送出し、前記第1の命令のあと、終了信号が伝達されるまでの間、上位装置から伝達された次の画像処理を行うことを指示する命令を前記画面バッファに保持されている前記読取手段により得られた画像データに対して行うことを特徴とするイメージスキャナ読取装置。
【請求項2】前記画像処理手段には、解像度変換手段、回転手段、圧縮手段等の複数の処理手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のイメージスキャナ読取装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2837581号
【登録日】平成10年(1998)10月9日
【発行日】平成10年(1998)12月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−162552
【出願日】平成4年(1992)6月22日
【公開番号】特開平6−4652
【公開日】平成6年(1994)1月14日
【審査請求日】平成8年(1996)6月6日
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【参考文献】
【文献】特開 平2−109457(JP,A)
【文献】特開 平3−250866(JP,A)
【文献】特開 昭63−214884(JP,A)
【文献】特開 平1−234977(JP,A)
【文献】特開 平2−218261(JP,A)