説明

イヤホーン及び袋体

【課題】 長時間耳に装着して使用する場合であっても、ユーザが耳に痛みを感じることがなく、また、移動しながら使用する場合であっても、耳から脱落することがなく、更に、未使用時の形態性に優れたイヤホーンを提供する。また、このイヤホーンに用いられる袋体を提供する。
【解決手段】 開口2を有する袋体1内にスピーカ11を配する。袋体1の開口部分をゴム7を用いて伸縮可能とする。袋体1を構成する生地は2枚のポリエステルシート5、5の間にグラスウール6を挟んだ生地とし、キルト加工を施す。イヤホーンの未使用時には、一方の袋体1内に他方の袋体1及びコード10を収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の耳に装着され、オーディオ装置が再生する音声を出力するイヤホーンに関する。また、イヤホーンを構成する袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、着脱可能なカセットテープ、CD又はMD等の記録媒体に記録された楽曲を再生し、小型でユーザが持ち運び可能な携帯型のオーディオ機器が普及している。近年においては、記録媒体としてハードディスク又はメモリIC等を内蔵し、数十曲〜数千曲の楽曲を記憶可能な携帯型のオーディオ機器がある。携帯型のオーディオ機器を用いて楽曲を聞く場合には、ユーザはイヤホーン又はヘッドホーン等を用いる。これにより、通勤若しくは通学途中の交通機関の中、又は図書館等の公共の場において、周囲に迷惑をかけずに楽曲を楽しむことができる。
【0003】
特許文献1においては、防寒耳あての2つの耳あて本体にイヤホーン装着用のポケットを設けることにより、イヤホーンを装着した防寒耳あてをヘッドホーンとして使用できるようにしている。また、特許文献2においては、ユーザの耳穴に挿入する耳栓型のイヤホーンと、イヤホーンに接続された受信部と、受信部をユーザの耳に引掛ける耳掛部とを備え、オーディオ装置に接続するコードが必要ないヘッドホンステレオが提案されている。
【特許文献1】実開昭62−21016号公報
【特許文献2】実開昭63−183797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イヤホーンは、ユーザの耳穴内に挿入される音声出力部と、携帯型オーディオ機器に接続するためのコードとを備える構成であり、未使用時には衣服のポケットに収まる程度のサイズで携帯性がよいという特徴がある。しかし、耳穴に挿入して装着するため、長時間使用する場合には、ユーザが痛みを感じることがあり、また、ユーザが移動しながらイヤホーンを使用する場合には、振動によってイヤホーンが脱落しやすいという問題がある。
【0005】
また、ユーザの耳の上部に引掛けるための湾曲したアーム部を備える耳掛式のイヤホーンがあり、耳掛式のイヤホーンでは、耳穴に音声出力部を挿入しなくてもよいため、ユーザが耳穴に痛みを感じることはない。しかし、汎用品であるためアーム部の形状はある程度決められており、ユーザの耳の形状及び大きさ等によってはアーム部にフィットせず、使用中にイヤホーンがずれる又は脱落する等の虞がある。
【0006】
ヘッドホーンは、ユーザの頭に装着される略逆U字型のヘッドバンド部と、ヘッドバンド部の両端に設けられた音声出力用のスピーカとを備える構成である。これにより、ユーザが耳に痛みを感じる事がなく、また、移動中に脱落する虞がないため、上記のイヤホーンの問題は解決できる。しかし、ヘッドホーンはイヤホーンと比較して装置のサイズが大きく、携帯型オーディオ機器よりも大きい場合もあり、携帯性が悪いという問題がある。
【0007】
特許文献1に記載の防寒耳あて、及び特許文献2に記載のヘッドホンステレオにおいても同様に、これらの問題を有している。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、袋体内に音声出力部を配し、袋体がユーザの耳を覆うように装着する構成とすることにより、ユーザが耳に痛みを感じる虞がなく、また、携帯性のよいイヤホーンを提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的とするところは、袋体の開口部分を伸縮可能とすることにより、ユーザが装着した場合に、耳から脱落しにくいイヤホーンを提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的とするところは、音声出力部を内部に有する袋体を、複数のシート材を重ねて構成することにより、音声出力部から出力された音声が外部に漏れにくいイヤホーンを提供することにある。
【0011】
また本発明の他の目的とするところは、シート材の間に吸音部材を挟んで袋体を構成することにより、音声出力部から出力された音声が外部により漏れにくいイヤホーンを提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的とするところは、袋体にキルト加工を施す構成とすることにより、シート材の間に挟まれた吸音材がずれる虞がなく、確実に音声出力部から出力された音声を吸収することができるイヤホーンを提供することにある。
【0013】
また本発明の他の目的とするところは、袋体内の音声出力部を着脱可能とすることにより、袋体を交換する、又は洗濯する等が行いやすいイヤホーンを提供することにある。
【0014】
また本発明の他の目的とするところは、音声出力部に音声信号を伝えるコードを袋体内に収納できる構成とすることにより、未使用時の携帯性がよいイヤホーンを提供することにある。
【0015】
また本発明の他の目的とするところは、袋体の開口を覆うカバーを備える構成とすることにより、未使用時にコードを袋体内に収納した場合に、コードが袋体の外に出る虞がなく、より携帯性のよいイヤホーンを提供することにある。
【0016】
また本発明の他の目的とするところは、袋体の開口を覆って閉じた状態、及び開口を開いた状態でカバーを固定できる構成とすることにより、未使用時にはコードが袋体の外に出ることを確実に防止でき、使用時にはカバーが装着の妨げとならないイヤホーンを提供することにある。
【0017】
また本発明の他の目的とするところは、内部に音声出力器が装着でき、耳を挿入するための開口が形成された構成とすることにより、イヤホーンとして使用することができる袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るイヤホーンは、音声を出力する音声出力部を備え、使用者の耳に装着されるイヤホーンにおいて、耳を挿入するための開口が設けられ、使用者の耳を覆う袋体を備え、前記音声出力部が前記袋体内に配設してあることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、開口を有する袋体の中に音声出力部を配する。ユーザは耳を開口から袋体の内部へ入れてイヤホーンを装着する。袋体をやわらかい素材で製作した場合、イヤホーンの装着時にユーザが耳に痛みを感じることがなく、また、未使用時には小さく畳んでポケットに収納することができる。
【0020】
また、本発明に係るイヤホーンは、前記袋体の前記開口部分が伸縮可能にしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、袋体の開口部分を、例えばゴムなどを用いて伸縮可能とする。これにより、耳の大きさ及び形状等が異なるユーザが装着した場合であっても、イヤホーンが簡単に耳にフィットする。
【0022】
また、本発明に係るイヤホーンは、前記袋体が、複数のシート材を重ねてなることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、複数のシート材を重ねて袋体を構成する。重ねるシート材の枚数が多いほど、音声出力部から出力される音声を遮音する効果が高くなる。
【0024】
また、本発明に係るイヤホーンは、前記複数のシート材の間に吸音材が挟まれていることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、シート材の間に吸音部材を挟んで袋体を構成する。音声出力部から出力された音声が吸音部材により吸音され、外部に漏洩しない。
【0026】
また、本発明に係るイヤホーンは、前記袋体にキルト加工が施されていることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、袋体にキルト加工を施し、シート材の間に挟まれた吸音部材を固定する。ユーザがイヤホーンを折りたたんでポケットに収容した場合等に、吸音部材がシート材の間で移動し、ずれることを防止できる。
【0028】
また、本発明に係るイヤホーンは、前記袋体内に、前記音声出力部を着脱可能に装着する装着部を備えることを特徴とする。
【0029】
本発明においては、袋体内部に配される音声出力部を着脱可能な構成とする。これにより、ユーザの好みに応じて異なるデザインの袋体を交換でき、また、袋体が汚れた場合に洗濯することができる。
【0030】
また、本発明に係るイヤホーンは、前記音声出力部に音声信号を伝えるコードを備え、該コードが前記袋体に収納可能にしてあることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、袋体の大きさを、オーディオ装置に接続するためのコードが袋体の内部に収納できる程度の大きさとする。これにより、イヤホーンの未使用時にコードを袋体内に収納して、イヤホーンをポケット又は鞄等に収納でき、コードが邪魔にならない。
【0032】
また、本発明に係るイヤホーンは、前記袋体の前記開口を覆って開閉するように設けられたカバーを備えることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、袋体に設けられたユーザの耳を挿入するための開口を覆うカバーを設ける。イヤホーンの未使用時には、コードを開口から袋体内に収納し、開口をカバーで閉じて、開口からコードが出ることを防止する。
【0034】
また、本発明に係るイヤホーンは、前記カバーが開いた状態及び閉じた状態で固定する固定手段を備えることを特徴とする。
【0035】
本発明においては、袋体の開口を覆うカバーを、開口を覆って閉じた状態、及び開口を開いた状態で固定できるようにする。これにより、イヤホーンの未使用時にコードを袋体内に収納した場合には、カバーにより確実に開口を閉じることができる。イヤホーンの使用時には、開口を確実に開いた状態にでき、ユーザがイヤホーンを装着するときにカバーが妨げとならない。
【0036】
また、本発明に係る袋体は、耳を挿入するための開口と、音声出力器を着脱可能に装着する装着部とを備え、複数のシート材を重ねてなることを特徴とする。
【0037】
本発明においては、袋体に耳を挿入するための開口を形成し、内部に音声出力器を装着できるようにする。音声出力器を装着し、袋体を開口から耳に挿入して装着することにより、袋体をイヤホーンとして使用できる。また、袋体をシート材を重ねて構成し、音声出力器が出力する音声が袋体の外部にもれないよう遮音する。
【発明の効果】
【0038】
本発明による場合は、袋体内に音声出力部を配し、袋体がユーザの耳を覆うように装着する構成とすることにより、袋体をやわらかい素材で製作した場合、イヤホーンの装着時にユーザが耳に痛みを感じることがないため、イヤホーンを長時間装着してオーディオ装置が再生する音声を楽しむことができる。また、未使用時には小さく畳んでポケットに収納することができるため、イヤホーンの携帯性を高めることができる。よって、ユーザが使用しやすいイヤホーンが実現できる。
【0039】
また、本発明による場合は、袋体の開口部分を伸縮可能とすることにより、耳の大きさ及び形状等が異なるユーザが装着した場合であっても、イヤホーンが各ユーザの耳にフィットする。よって、ユーザが移動しながらイヤホーンを使用する場合に、イヤホーンが脱落する虞がないため、ユーザが使用しやすいイヤホーンが実現できる。
【0040】
また、本発明による場合は、音声出力部を内部に有する袋体を、複数のシート材を重ねて構成することにより、シート材による遮音効果を高めることができるため、音声出力部から出力された音声が外部に漏れる虞をなくすことができ、交通機関又は図書館等の公共の場において、周囲に迷惑をかけずに、オーディオ装置が再生する音声を楽しむことができる。
【0041】
また、本発明による場合は、シート材の間に吸音部材を挟んで袋体を構成することにより、音声出力部から出力された音声が吸音部材により吸音されるため、より音声が外部に漏れる虞を無くすことができ、交通機関又は図書館等の公共の場において、周囲に迷惑をかけずに、オーディオ装置が再生する音声を楽しむことができる。
【0042】
また、本発明による場合は、袋体にキルト加工を施す構成とすることにより、シート材の間に挟まれた吸音部材を固定することができ、ユーザがイヤホーンを折りたたんでポケットに収容した場合等に、吸音部材がシート材の間で移動してずれることを防止できるため、吸音部材による吸音の効果を長期間確実に維持することができる。
【0043】
また、本発明による場合は、袋体内の音声出力部を着脱可能とすることにより、ユーザの好みに応じて異なるデザインの袋体を交換でき、また、袋体が汚れた場合に洗濯することができるため、ユーザが使用しやすいイヤホーンが実現できる。
【0044】
また、本発明による場合は、袋体の大きさを、音声出力部に音声信号を伝えるコードが収納できる程度の大きさとすることにより、イヤホーンの未使用時にコードを袋体内に収納して、イヤホーンをポケット又はかばん等に収納でき、コードが邪魔にならないため、ユーザが使用しやすいイヤホーンが実現できる。
【0045】
また、本発明による場合は、袋体に設けられたユーザの耳を挿入するための開口を覆うカバーを設けることにより、イヤホーンの未使用時に、コードを開口から袋体内に収納し、開口をカバーで閉じることができるため、開口からコードが出ることを防止することができる。よって、ユーザが使用しやすいイヤホーンが実現できる。
【0046】
また、本発明による場合は、袋体の開口を覆うカバーを、開口を覆って閉じた状態、及び開口を開いた状態で固定できる構成とすることにより、イヤホーンの未使用時にコードを袋体内に収納した場合に、開口を確実にカバーで閉じることができるため、コードが外に出ることを防止できる。また、イヤホーンの使用時には、開口を確実に開いた状態にできるため、ユーザがイヤホーンを装着するときにカバーが妨げとなる虞をなくすことができる。よって、ユーザが使用しやすいイヤホーンが実現できる。
【0047】
また、本発明による場合は、袋体を、内部に音声出力器が装着でき、耳を挿入するための開口が形成された構成とすることにより、音声出力器を内部に装着し、袋体を開口から耳に挿入して装着し、袋体をイヤホーンとして使用できるため、イヤホーンの携帯性を高める事ができ、また、ユーザが使用中に耳に痛みを感じる虞が少ない。また、袋体をシート材を重ねて構成することにより、音声出力器が出力する音声が袋体の外部に漏れることをより確実に防止できるため、交通機関又は図書館等の公共の場において、周囲に迷惑をかけずに、オーディオ装置が再生する音声を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係るイヤホーンの構成を示す斜視図である。また、図2は、本発明に係るイヤホーンの構成を示す模式的断面図であり、ユーザが耳に装着した場合を一方の耳側について図示したものである。
【0049】
図において1は円の中央が膨らんだ略円盤形をなす袋体であり、袋体1の一面の略中央には略円形の開口2が形成され、開口2により袋体1の内外が連通するようにしてある。袋体1は、2枚のポリエステルシート5、5の間にグラスウール6を挟んだ生地を縫い合わせて製作されたものである。生地には略格子状の縫い目4が設けられてキルト加工されており、ポリエステルシート5、5の間のグラスウール6がずれることを防止している。
【0050】
また、袋体1の大きさは、開口2から内部に挿入されたユーザの耳100の全体を覆って、内部に収容できる程度の大きさにされている。袋体1の開口2の周縁部分は折り返して縫い合わせてあり、折り返し部分にゴム7が通されている。ゴム7により、開口2が拡径及び縮径するよう、袋体1の開口2の周縁部分が伸縮可能にされている。ユーザは、袋体1内に耳100を収容する場合、及び耳100を覆う袋体1を外す場合に、開口2を拡径して耳100を通すことができる。
【0051】
袋体1がユーザの耳100を覆った状態では、ゴム7がユーザの耳100の付け根部分を締め付けるため、袋体1が耳100から簡単に脱落することはない。ただし、ユーザが痛みを感じないように、ゴム7は伸縮力があまり強くないものを用いる。
【0052】
袋体1の内部には、スピーカ11を装着するための装着部8が設けられており、装着部8に略円形の薄い板状のスピーカ11が着脱可能に装着されている。装着部8は、袋体1内の開口2に略対向する位置に配されており、袋体1がユーザの耳100を覆った場合に、スピーカ11がユーザの耳穴の近傍に位置し、スピーカ11から出力された音声をユーザが聞き取りやすくしてある。
【0053】
また、スピーカ11に接続されたコード10は、スピーカ11から袋体1の内壁に沿って開口2の外へ出される。本発明に係るイヤホーンは、袋体1及びスピーカ11を2つずつ備えており、ユーザの左右の耳100にそれぞれ装着される。2つのスピーカ11に接続されたコード10は、それぞれ袋体1の外に出された後、1つにまとめられて、図示しないオーディオ装置に接続される。
【0054】
図3は、本発明に係るイヤホーンの装着部8及びスピーカ11の模式的拡大断面図である。スピーカ11の音声が出力される面の反対面には、スピーカ11より小さい略円形の金属板に略円柱状の突起が形成された被装着部11aが、接着剤により接着されている。被装着部11aの突起の突出端は略球状に丸められており、突起の根元より直径が若干大きくされている。
【0055】
袋体1の装着部8は、スピーカ11の被装着部11aと同程度の大きさの略円板型の金属製であり、接着剤により接着されている。装着部8の厚さは被装着部11aの突起の突出長と同程度であり、中央には被装着部11aの突起を挿入するための挿入穴8aが形成されている。挿入穴8aは、穴の開口部分の直径が被装着部11aの根元部分の直径と同程度であり、穴の奥部分はこれより若干直径が大きい。
【0056】
スピーカ11を装着部8に装着する場合は、スピーカ11の被装着部11aの突起を装着部8の挿入穴8aに、一定以上の力を加えて押し込む。被装着部11aの突起が挿入穴8a内に挿入された状態では、突起の突出端部の直径が大きくしてあるため、挿入穴8aから突起が簡単に抜けることはなく、スピーカ11が装着部8から簡単に脱落しない。スピーカ11を装着部8から外す場合には、一定以上の力でスピーカ11の被装着部11aの突起を挿入穴8aから引き抜く。なお、袋体1の装着部8及びスピーカ11の被装着部11aは、ホック式のボタンを用いることで簡単に実現することができる。
【0057】
図4は、本発明に係るイヤホーンの未使用時の状態を示す模式図である。イヤホーンにてオーディオ装置から出力される音声を聞かないときには、まず、イヤホーンのコード10とオーディオ装置との接続を外す(図4(a)参照)。次いで、2つのうちの一方の袋体1を折り畳み、他方の袋体1の開口2からその中へ、折り畳んだ袋体1を収納する(図4(b)参照)。次いで、コード10を袋体1の中へ収納する(図4(c)参照)。これらにより、1つの袋体1の中に袋体1及びコード10が収納されて1つにまとまるため(図4(d)参照)、イヤホーンを持ち運びやすくできる。
【0058】
以上の構成のイヤホーンにおいては、スピーカ11が中に収められた袋体1を、ユーザの耳を覆うように装着する構成とすることにより、ユーザが耳に痛みを感じることがなく、また、移動中にイヤホーンが脱落する虞がない。また、袋体1の生地は、ポリエステルシート5の間に吸音材であるグラスウール6を挟んだ生地であるため、スピーカ11から出力される音声が袋体1の外部に漏れにくい。なお、遮音効果を更に高めるために、例えば、ポリエステルシート5を更に複数枚重ねる、又はポリエステルシート5に遮音効果のあるシリコンコーティングを施す等を行うことができる。また、袋体1の中にコード10及びもう一方の袋体1を収納できるため、携帯性がよい。
【0059】
なお、本実施の形態においては、袋体1の形状を中央が膨らんだ略円盤形としたが、これに限るものではなく、矩形盤形、球形、葉巻形又は耳形等の他の形状であってもよく、耳を覆って収容できる袋状であればよい。また、イヤホーンが左右の耳用に2つの袋体1を備える構成を示したが、これに限るものではなく、片側の耳のみに装着するように、1つの袋体1のみ備える構成であってもよい。
【0060】
また、袋体1内にスピーカ11を1つ装着する構成を示したが、これに限るものではなく、2つ以上のスピーカ11を袋体1内に装着する構成であってもよい。例えば、低音用のスピーカ及び高音用のスピーカの2つを袋体1内に備えてもよい。また、スピーカ11に接続されるコード10を袋体1の開口2から袋体1の外へ出す構成を示したが、これに限るものではなく、袋体1に貫通孔を形成してコード10を通す構成であってもよい。
【0061】
また、袋体1の生地は、ポリエステルシート5の間に吸音材としてグラスウール6を挟んだ生地としたが、これに限るものではなく、ポリオレフィン系樹脂又は塩化ビニール等のシート材を用いてもよい。また、ポリエステルシート5の間にグラスウール6を挟まない構成であってもよく、別の吸音材を挟む構成であってもよい。また、ポリエステルシート5をより多く重ねて遮音効果を高める構成であってもよく、複数種類のシート材を重ねる構成であってもよい。複数種類のシート材を重ねる場合に、遮音を効率よく行う周波数帯がそれぞれ異なるシート材を複数用いることで、より確実に音漏れを防止できる。また、袋体1にキルト加工を行う構成を示したが、これに限るものではなく、キルト加工を行わない構成であってもよい。
【0062】
また、イヤホーンの未使用時に、2つのうちの1つの袋体1の中に、もう1つの袋体1及びコード10を収納する構成を示したが、これに限るものではなく、袋体1内にコード10のみを収納する構成であってもよい。また、図4に示した収納手順では、袋体1の中に折り畳んだ袋体1を収納した後でコード10を収納する手順を示したが、これに限るものではなく、コード10を収納した後で折り畳んだ袋体1を収納してもよい。
【0063】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係るイヤホーンの構成を示す斜視図であり、図6は、図5のIV−IV線による断面図である。なお、図5及び図6においては、左右の耳用の2つの袋体のうちの1つのみを図示してあり、また、スピーカ11に接続されるコードは図示を省略してある。
【0064】
実施の形態2に係るイヤホーンの袋体51には、イヤホーンの未使用時に袋体51内にもう一方の袋体51及びコード10を収納した後、袋体51の開口2を覆って閉じるためのカバー52が設けられている。カバー52は、長方形の一辺を円弧状にした形状の2つの生地を、略円盤形をなす袋体51の周縁部分に生地の円弧部分が合うように、且つ、2つの生地が開口2を間にして反対の位置となるように、袋体51にそれぞれ縫い合わせたものである。2つの生地の円弧状の一辺の反対辺にはファスナー53の務歯がそれぞれ設けられており、ファスナー53の務歯を噛み合わせることで、開口2を覆った状態で2つの生地が固定され、開口2を閉じることができる。カバーを構成する2つの生地は略同じ大きさであり、開口2の略中央位置でファスナー53の務歯が噛み合うようにしてある。
【0065】
また、イヤホーンを使用する場合には、袋体51の開口2が形成された面の反対面側にて、カバー52の2つの生地をファスナー53で固定する。これにより、ユーザが袋体51を耳に装着する場合及び装着した後に、カバー52が妨げとなる虞がない。なお、図6には、(a)にイヤホーンの未使用時の状態を示し、(b)に使用時の状態を示してある。
【0066】
以上の構成のイヤホーンにおいては、カバー52により袋体51の開口2を確実に閉じることができるため、イヤホーンの未使用時に袋体51内に収納したコード10などが開口2からこぼれ出る虞がなく、携帯性を高める事ができる。また、イヤホーンの使用時には、袋体51の反対面にカバー52を固定することができ、カバー52が袋体1の装着の妨げとならず、また、スピーカ11から出力される音声の視聴の妨げとなることがない。
【0067】
なお、実施の形態2においては、カバー52をファスナー53を用いて固定する構成を示したが、これに限るものではなく、ボタン又は面ファスナー等を用いて固定する構成であってもよい。また、カバー52を略同形状の2つの生地により構成したが、これに限るものではなく、1つの生地で開口2を覆う構成であってもよい。
【0068】
なお、実施の形態2に係るイヤホーンのその他の構成は、実施の形態1に係るイヤホーンの構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るイヤホーンの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るイヤホーンの構成を示す模式的断面図である。
【図3】本発明に係るイヤホーンの装着部及びスピーカの模式的拡大断面図である。
【図4】本発明に係るイヤホーンの未使用時の状態を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るイヤホーンの構成を示す斜視図である。
【図6】図5のIV−IV線による断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 袋体
2 開口
4 縫い目
5 ポリエステルシート(シート材)
6 グラスウール(吸音材)
7 ゴム
8 装着部
10 コード
11 スピーカ(音声出力部)
51 袋体
52 カバー
53 ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を出力する音声出力部を備え、使用者の耳に装着されるイヤホーンにおいて、
耳を挿入するための開口が設けられ、使用者の耳を覆う袋体を備え、
前記音声出力部が前記袋体内に配設してあること
を特徴とするイヤホーン。
【請求項2】
前記袋体の前記開口部分が伸縮可能にしてある請求項1に記載のイヤホーン。
【請求項3】
前記袋体は、複数のシート材を重ねてなる請求項1又は請求項2に記載のイヤホーン。
【請求項4】
前記複数のシート材の間に吸音材が挟まれている請求項3に記載のイヤホーン。
【請求項5】
前記袋体にキルト加工が施されている請求項4に記載のイヤホーン。
【請求項6】
前記袋体内に、前記音声出力部を着脱可能に装着する装着部を備える請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のイヤホーン。
【請求項7】
前記音声出力部に音声信号を伝えるコードを備え、
該コードが前記袋体に収納可能にしてある請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のイヤホーン。
【請求項8】
前記袋体の前記開口を覆って開閉するように設けられたカバーを備える請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のイヤホーン。
【請求項9】
前記カバーが開いた状態及び閉じた状態で固定する固定手段を備える請求項8に記載のイヤホーン。
【請求項10】
耳を挿入するための開口と、
音声出力器を着脱可能に装着する装着部とを備え、
複数のシート材を重ねてなること
を特徴とする袋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−60274(P2007−60274A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242941(P2005−242941)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】