説明

イレーザー

【課題】 布地を張力付与手段で一定の張力に張っった状態で、筆跡をこすって消去したときに、布地はずれることがなく、従来よりも簡単に筆跡を消去できるようにする。
【解決手段】 上方を開放した箱形状の内側ケース本体3と、この内側ケース本体3に着脱可能な下方を開放した箱形状の外側ケース本体5と、拭き取り体となる適宜な大きさの布地7と、前記内側ケース本体3における底面3D、左右の側面3L、3Rの外表面を覆った前記布地7の両端を前記内側ケース本体3内に収めて前記布地7に張力を与えて保持すべく、前記内側ケース本体3と外側ケース本体5とに有した張力付与手段9と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばインキ不浸透性の筆記面を有する特にホワイトボードなどの筆記板にマーキングペンで筆記された文字および図形等である筆跡を消去するイレーザーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばインキ不浸透性の筆記面を有する特にホワイトボードなどの筆記板にマーキングペンで筆記された文字および図形等である筆跡を消去するイレーザーとしては、例えば特許文献1などで知られているように、固定部材としてのケース内にパッドが収容され、そのパッドの上に消去用部材としての外部に通じた孔を有する発泡体が接着剤などで固定されたものがある。
【0003】
また、他のイレーザーとしては、例えば特許文献2などで知られているように、洗浄可能なように拭き取り部材が箱型に縫製され、把持部材には嵌の込む構造をしたものがある。
【0004】
さらに、別のイレーザーとしては、例えば特許文献3などで知られているように、手持ち式のイレーザーボディーと、着色部のインクを拭き取るための消去用シートとを有し、この消去用シートが前記イレーザーボディーに対して着脱可能にしたものがある。
【特許文献1】特開2003−211895号公報
【特許文献2】特開2003−19898号公報
【特許文献3】特開平11−170778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来の特許文献1などで知られているイレーザーでは、長時間の使用により何回も筆跡の消去を行って消去用部材としての発泡体が汚れたときには、その拭き取り消去性能が劣化し、そのために拭き取りの際に紛状となったインクが発泡体に付着されず、手や衣服のそで口を汚す原因となる問題点を有している。また、交換持にはケース内から発泡体が接着剤などで固定されたパッドが外されて新しいものと交換される。この場合には発泡体とパッドとが同時に交換されるため、消耗品のコストが余分にかかるという問題がある。
【0006】
また、従来の特許文献2、3などで知られているイレーザーでも、同様に長時間の使用により何回も筆跡の消去を行って拭き取り部材や消去用シートが汚れたときには、その拭き取り消去性能が劣化し、そのために拭き取りの際に紛状となったインクが発泡体に付着されず、手や衣服のそで口を汚す原因となる問題点を有している。また、交換持には拭き取り部材や消去用シートをそれぞれ把持部材やイレーザーボディーから交換して新たなものと交換していた。この場合には、いずれも拭き取り部材や消去用シートは使い捨てとなっおり、消耗品として扱われ、消耗品代がかかるという問題がある。
【0007】
さらに、これらの拭き取り部材や消去用シートは把持部材やイレーザーボディーに取り付けるのにただ単に取り付けられているため、拭き取り部材や消去用シートの拭き取り面が常に一定の張力がかかっているとは限らず、不安定のものであって、ずれてしまうという問題がある。
【0008】
この発明は上述の課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記発明が解決しようとする課題を達成するためにこの発明のイレーザーは、上方を開放した箱形状の内側ケース本体と、この内側ケース本体に着脱可能な下方を開放した箱形状の外側ケース本体と、拭き取り体となる適宜な大きさの布地と、前記内側ケース本体における底面、前、後面の外表面を覆った前記布地の両端を前記内側ケース本体内に収めて前記布地に張力を与えて把持すべく、前記内側ケース本体と外側ケース本体とに有した張力付与手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明のイレーザーは、前記イレーザーにおいて、前記内側ケース本体と外側ケース本体とがそれぞれ生分解性プラスチックで形成されていることが好ましい。
【0011】
この発明のイレーザーは、前記イレーザーにおいて、前記張力付与手段が、前記内側ケース本体内に平面視にて左右方向へ形成された前後2本の溝と、前記外側ケース本体内の前記溝の位置に対応した位置に形成され、高さ方向へ突出した突出片と、で構成されていることが好ましい。
【0012】
この発明のイレーザーは、前記イレーザーにおいて、前記張力付与手段が、前記布地における前後側両端に形成された複数の切り欠き部と、この各切り欠き部を引っかけるために前記内側ケース本体の前後両側に前記複数の各切り欠き部に対応した位置の上方へ突出した引っかけ部材と、で構成されていることが好ましい。
【0013】
この発明のイレーザーは、前記イレーザーにおいて、前記内側ケース本体における底面の一部に磁石を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のごとき課題を解決するための手段の説明から理解されるように、この発明によれば、内側ケース本体における底面、前、後面の外表面を、拭き取り体となる適宜な大きさの布地で覆い、この布地の両端を前記内側ケース本体内に収める。この状態で前記内側ケース本体と外側ケース本体とに有した張力付与手段で、前記布地に張力を与えて把持して、内側ケース本体に外側ケース本体がはめこまれてセットされる。
【0015】
この状態で、作業者が手で外側ケース本体を持ち、例えばホワイトボードなどの筆記板のインキ不浸透性の筆記面にマーキングペンで筆記された文字および図形等である筆跡を前記布地で容易に消去することができる。
【0016】
前記布地は、張力付与手段で一定の張力に張られているから、筆跡をこすって消去したときに、布地はずれることがなく、従来よりも簡単に筆跡を消去することができる。
【0017】
また、長時間の使用により何回も筆跡の消去を行って消去用部材としての布地が汚れて拭き取り消去性能が劣化してきたときには、外側ケース本体を内側ケース本体から外すことで、容易に布地を取り外すことができ、予め準備しておいた新しいの布地に容易に交換することができる。汚れた布地は、その間に洗濯することが可能で再度使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1を参照するに、イレーザー1は、上方を開放した箱形状の内側ケース本体3と、この内側ケース本体3に着脱可能な下方を開放した箱形状の外側ケース本体5と、拭き取り体となる適宜な大きさの布地7とで構成されている。前記内側ケース本体3は、図2および図4を併せて参照するに、前面部3F、後面部3B、左面部3L、右面部3R及び底面部3Dを一体化し、しかも、上方部を開放した箱形状を呈している。前記外側ケース本体5は、同様に図2および図4を併せて参照するに、前面部5F、後面部5B、左面部5L、右面部5R及び上面部5Uを一体化し、しかも、下方部を開放した箱形状を呈している。
【0020】
前記内側ケース本体3および外側ケース本体5は、プラスチックからなっており、特に、生分解性プラスチックからなっている。この生分解性プラスチックは、使用状態では従来のプラスチックと同等の機能を有し、使用後廃棄されたときは土中または海水中などの微生物により分解され、最終的に水と二酸化炭素になる性質を有しているものである。したがって、このイレーザー1が使用されなくなったときには廃棄物とならずリサイクルされ再使用される。
【0021】
また、前記内側ケース本体3における底面部3D、左右の側面部3L、3Rの外表面を覆った前記布地7の両端を前記内側ケース本体3内に収めて前記布地7に一定の張力を与えて把持すべく、前記内側ケース本体3と外側ケース本体5とに張力付与手段9を備えている。
【0022】
この張力付与手段9の一例としては、図1および図4に示されているように、前記内側ケース本体3における底面部3D上において、前後にそれぞれ左右方向へ延伸された2本の支持プレート11A、11B:13A、13Bが立設されており、しかも、前記支持プレート11A、11B:13A、13Bの左右部は、前記側面部3L、3Rの内表面に一体化されている。前記支持プレート11Aと支持プレート11Bとの間には適宜な幅の溝11Vが形成されている。同様に、前記支持プレート13Aと支持プレート13Bとの間には適宜な幅の溝13Vが形成されている。
【0023】
前記外側ケース本体5における上面部3Dにおいて、図1および図4に示されているように、前記内側ケース本体3に形成されている溝11V、13Vに対応した位置には、下方へ延伸された突出片15A、15Bが一体化されていて、しかも、この突出片15A、15Bの先端部(下端部)は前記前面部5F、後面部5Bの先端部(下端部)より下方へ突出されている。突出片15A、15Bの厚さは、前記溝11V、13Vの幅より狭くなっており、突出片15A、15Bがそれぞれ前記溝11V、13V内に入り込むようになっている。
【0024】
前記内側ケース本体3に対して、前記外側ケース本体5が着脱可能に設けられている。この一例としては、図1および図2に示されているように、前記内側ケース本体3の左右の側面部3L、3Rの外表面における前後のほぼ中央上面部には係合爪17L、17Rがそれぞれ外側へ向けて設けられている。この係合爪17L、17Rの前後の左右の側面部3L、3Rには上下方向へスリット19が形成されている。一方、前記外側ケース本体5の側面部5L、5Rの外表面における前後のほぼ中央部には前記係合爪17L、17Rが係合されるための係合孔21R、21Lが形成されている。
【0025】
前記内側ケース本体3の底面部には複数の磁石23が埋め込まれていて、この磁石23の作用によりイレーザー1が使用されていないときには例えば磁性体からなるホワイドボード等にイレーザー1が固定されるようになる。
【0026】
前記拭き取り体となる適宜な大きさの布地7としては、例えばタオル地、ニット地、織り地、不織布、フエルト地などが用いられる。特に、コール天地のような表面に凹凸があるものが適している。
【0027】
上記構成により、図1、図2および図4に示されているように、前記布地7を前記内側ケース本体3の底面部3D、前、後面部3F、3Bを覆い、前記布地7の例えば左側を前面部3Fの上面部部分で折り曲げて布地7の左端を図1示されているように開放部分に垂らす。ついで、同様に、前記布地7の例えば右側を後面部3Bの上面部部分で折り曲げて布地7の右端を開放部分に垂らすと、図4に示されているような状態となる。
【0028】
つぎに、図2、図4の状態から図3、図5に示されているように、前記外側ケース本体5を前記内側ケース本体3に向けて下げて、突出片15A、15Bをそれぞれ前記溝11V、13V内に入り込ませ、さらに、図3に示されているように、前記係合爪17L、17Rをそれぞれ係合孔21R、21Lに係合させると、前記外側ケース本体5が図6に示されているように、前記内側ケース本体3に係合されて使用状態となる。
【0029】
この図6に示されている状態のイレーザー1を例えば右手でもって、インキ不浸透性の筆記面を有する特にホワイトボードなどの筆記板に、マーキングペンで筆記された文字および図形等である筆跡を布地7の表面で容易に確実に消去することができる。
【0030】
特に図5に示されているように、突出片15A、15Bをそれぞれ前記溝11V、13V内に入り込ませると、前記突出片15A、15Bの先端部(下端部)が前記溝11V、13V内で布地5が前記溝11V、13V内に押し込まれて布地5を把持すると共に一定の張力を付与せしめることができ、底面部3Dを覆っている布地7が適度に張られた状態になるので、文字および図形等である筆跡を拭いたときには、布地7はずれることなく、従来よりも簡単に筆跡を消去することができる。
【0031】
また、長時間の使用により何回も筆跡の消去を行って消去用部材としての布地7が汚れて拭き取り消去性能が劣化してきたときには、外側ケース本体5を内側ケース本体3から外すこと、すなわち、係合孔21L、21Rから係合爪17L、17Rを外すことで、容易に布地7を取り外すことができ、予め準備しておいた新しい布地7に容易に交換することができる。汚れた布地7は、その間に洗濯することが可能で再度使用することができる。
【0032】
イレーザー1が使用されていないときには例えば磁性体からなるホワイドボード等にイレーザー1における内側ケース本体3の底面部3Dに埋め込まれている複数の磁石23によりレーザー1が固定されて容易に保管することができる。また、イレーザー1における内側ケース本体3、外側ケース本体5が壊れて使用できなくなった場合には、前記内側ケース本体3および外側ケース本体5が生分解性プラスチックからなっているので、土中または海水中などの微生物により分解され、最終的に水と二酸化炭素になる性質を有しているものであるから、廃棄物とならずリサイクルされ再使用することができる。
【0033】
図7、図8および図9には、図1〜図6に示されたイレーザー1に代わる他の実施形態のイレーザー25が示されている。図7、図8および図9において、図1〜図6における符号と同一の符号には同じ符号を符して重複する説明を省略する。
【0034】
図7、図8および図9において、イレーザー25が前記イレーザー1と異なる点は、張力付与手段9が異なり、他の構成は同じである。すなわち、この張力付与手段9としては、図7、図8に示されているように、内側ケース本体3の前後面部3F、3Bの左右方向には適宜な間隔で例えば3つの引っかけ部材27が上方向へ突出されて一体化されている。一方、この各引っかけ部材27に対応して前記布地7の前後には図9に示されているように、切り欠き部7Aが形成されている。
【0035】
上記構成により、例えば図8および図10(A)、(B)に示されているように、布地7を内側ケース本体3の底面部3D、前、後面部3F、3Bを覆い、前記布地7の例えば左側を前面部3Fの上面部部分で折り曲げて布地7の前側における各切り欠き部7Aを、内側ケース本体3の前部の引っかけ部材27に引っかける。ついで、前記布地7の例えば右側を後面部3Bの上面部部分で折り曲げて布地7の後側における各切り欠き部7Aを、内側ケース本体3の後部の引っかけ部材27に引っかけることで、布地7が内側ケース本体3の底面部3Dの表面で一定の張力を付与せしめることができ、底面部3Dを覆っている布地7が適度に張られた状態になるので、文字および図形等である筆跡を拭いたときには、布地7はずれることなく、従来よりも簡単に筆跡を消去することができる。
【0036】
前記イレーザー25のその他の構成、効果は、前記イレーザー1の構成、効果と同じであるので、詳細は上述してあるから、省略する。
【0037】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明のイレーザーの内側ケース本体、上側ケース本体および布地を示した分解斜視図である。
【図2】この発明のイレーザーの内側ケース本体、上側ケース本体の各々の正面断面図である。
【図3】この発明のイレーザーの内側ケース本体に上側ケース本体を着脱せしめた正面断面図である。
【図4】この発明のイレーザーの内側ケース本体、上側ケース本体の各々の側面断面図である。
【図5】この発明のイレーザーの内側ケース本体に上側ケース本体を着脱せしめた側面断面図である。
【図6】この発明のイレーザーのを示した斜視図である。
【図7】この発明の他の例のイレーザーの内側ケース本体に上側ケース本体を着脱せしめた正面断面図である。
【図8】この発明の他の例のイレーザーの内側ケース本体に上側ケース本体を着脱せしめた側面断面図である。
【図9】この発明の他の例のイレーザーに使用する布地の斜視図である。
【図10】(A)、(B)は布地の各切り欠き部を内側ケース本体に設けた引っかけ部材に引っかける状態を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
1 イレーザー
3 内側ケース本体
3F 前面部
3B 後面部
3L 左面部
3R 右面部
3D 底面部
5 外側ケース本体
5F 前面部
5B 後面部
5L 左面部
5R 右面部
5U 上面部
7 布地
7A 切り欠き部
9 張力付与手段
11A、11B 支持プレート
13A、13B 支持プレート
15A、15B 突出片
17L、17R 係合爪
19 スリット
21L、21R 係合孔
23 磁石
25 イレーザー
27 引っかけ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方を開放した箱形状の内側ケース本体と、
この内側ケース本体に着脱可能な下方を開放した箱形状の外側ケース本体と、
拭き取り体となる適宜な大きさの布地と、
前記内側ケース本体における底面、前、後面の外表面を覆った前記布地の両端を前記内側ケース本体内に収めて前記布地に張力を与えて把持すべく、前記内側ケース本体と外側ケース本体とに有した張力付与手段と、
を備えていることを特徴とするイレーザー。
【請求項2】
前記内側ケース本体と外側ケース本体とがそれぞれ生分解性プラスチックで形成されていることを特徴とする請求項1記載のイレーザー。
【請求項3】
前記張力付与手段が、前記内側ケース本体内に平面視にて左右方向へ形成された前後2本の溝と、前記外側ケース本体内の前記溝の位置に対応した位置に形成され、高さ方向へ突出した突出片と、で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のイレーザー。
【請求項4】
前記張力付与手段が、前記布地における前後側両端に形成された複数の切り欠き部と、この各切り欠き部を引っかけるために前記内側ケース本体の前後両側に前記各切り欠き部に対応した位置の上方へ突出した引っかけ部材と、で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のイレーザー。
【請求項5】
前記内側ケース本体における底面に磁石を備えていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のイレーザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−55835(P2008−55835A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237715(P2006−237715)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(591275469)三喜産業株式会社 (6)
【出願人】(501089623)株式会社デビカ (5)