説明

インクジェットプリント用メディア

【課題】アクリレート系の紫外線硬化型樹脂を主成分とするUVインクを用いてインクジェットプリントをおこなうにあたり、UVインクとの密着性及び耐揉み性に優れたメディアを提供すること。
【解決手段】表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物の少なくとも一面側を、アクリル系樹脂を30〜60重量%含有する混合樹脂にて被覆したインクジェットプリント用メディアである。また、アクリル系樹脂と混合する樹脂は塩化ビニル系樹脂がよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリント用メディアに関する。さらに詳細には、アクリレート系の紫外線硬化型樹脂を主成分とする紫外線硬化型インクを用いてインクジェットプリントをおこなうに最適なメディアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内や屋外において掲示される広告物をインクジェットプリンタにて印刷するケースが増えてきている。通常、広告というものは掲示期間が比較的短く、展示会等のイベントであれば数日、音楽や衣料等の新商品キャンペーン等で数週間、万博等の大型イベントで数ヶ月、企業イメージ等のもので1年程度であり、平均すると2ヶ月程度で撤去される。よって、このように短いサイクルで次々と新しいものに替えていく広告物への印刷方法として、多品種・小ロット生産に適しているインクジェットプリントは最適な印刷方法であるといえる。
【0003】
そして、このような屋内や屋外において掲示される広告物には、耐熱性、耐水性、耐候性、耐薬品性、寸法安定性等の様々な耐久性が要求され、そのような物性を備えたインクジェットプリント用メディアとして、例えば、特許文献1には、ガラス布帛を基材とした被記録用材料が開示されている。
【0004】
ところで、インクジェットプリントをおこなう際に使用するインクについては、水系と溶剤系インクに大別されるが、その他のインクとして、紫外線硬化型インク(以下、UVインク)がある。特許文献1に記載の被記録用材料は、このUVインクを想定したものではなく、UVインクを使用した場合に最適なインクジェットプリント用メディアはあまり多く提案されていない、というのが実情である。
【0005】
本出願人は、インクジェットプリント用メディアが主用途ではないものの、この用途にも適用可能なガラス繊維シートとして、ガラス繊維からなる布帛にUVインクによる画像層およびホットメルトフィルム層が形成されているガラス繊維シート(特許文献2)を提案しているが、シートの寸法安定性が悪い、各層と布帛の密着性に難があり印刷物に割れや剥がれが発生する、製造コストがそれ程安価ではない、等の課題があり、実用化には至っておらず、UVインクを使用する場合のインクジェットプリント用メディア開発がより一層望まれるところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−316979号公報
【特許文献2】特開2007−022026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、アクリレート系の紫外線硬化型樹脂を主成分とするUVインクを用いてインクジェットプリントをおこなうにあたり、UVインクとの密着性及び耐揉み性に優れたメディアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(1)表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物の少なくとも一面側を、アクリル系樹脂を30〜60重量%含有する混合樹脂にて被覆したインクジェットプリント用メディアである。
さらに、 (2)アクリル系樹脂と混合する樹脂が塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。
また、 (3)(1)または(2)のインクジェットプリント用メディアの上記混合樹脂にて被覆された面の少なくとも一面側に、アクリレート系の紫外線硬化型樹脂を主成分とする紫外線硬化型インクを用いてインクジェットプリントがされたプリント物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アクリレート系の紫外線硬化型樹脂を主成分とするUVインクを用いてインクジェットプリントをおこなうにあたり、UVインクとの密着性及び耐揉み性に優れたメディアを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のインクジェットプリント用メディアは、まず、ガラス繊維からなる平織物の表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆する。ガラス繊維からなる平織物の表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆する理由については、平織物の組織を拘束し、加重が負荷された際に組織の変形を抑制するためであり、塩化ビニル系樹脂は柔軟性と強靭性を併せ持ち、また、耐候性に優れ、高い難燃性を有するためである。表裏両面を被覆する方法としては、カレンダーロール法やナイフコーティング法などが挙げられる。平織物とする理由については、他の形態に比べて、メディアの伸び縮みが少なく寸法安定性に優れること、また、メディアの厚みを薄く設計できること、からである。また、ガラス繊維からなる平織物は、強度と取り扱い性を考慮すると、単繊維径が5〜10μmのものを50〜800本収束したガラス繊維を用いて、経、緯共に30本以上/インチで構成し、布帛の厚みが100〜500μmであり、布帛の目付が100〜500g/mのものを選択することが好ましい。
【0011】
ガラス繊維の種類については、特に限定されず、例えば、Eガラス、ECRガラス、ARGガラス、Aガラス、Sガラス、含アルカリガラス、Cガラス、シリカファイバー、Dガラス等が挙げられ、これらを単独もしくは組合せて使用可能である。
【0012】
本発明のインクジェットプリント用メディアは、次に、このように表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物の少なくとも一面側を、アクリル系樹脂を30〜60重量%含有する混合樹脂にて被覆する。アクリル系樹脂を30〜60重量%含有されることにより、硬化したUVインクとの密着性が良好なものとなる。
【0013】
アクリル系樹脂と混合する樹脂については、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などが例示でき、なかでも塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物との密着性を考慮すると、混合する樹脂は塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。またさらに、フッ素系樹脂を混合することで防汚効果を高めることも可能である。
【0014】
混合樹脂の付与量については、乾燥後の膜厚が5〜15μmとなるような付与量にて付与することが好ましい。付与方法としては、ナイフコート、ロールコート、グラビアコート等のコーティング法が好ましく用いられる。
【0015】
このようにして作製した本発明のインクジェットプリント用メディアの混合樹脂が被覆された面に、アクリレート系の紫外線硬化型樹脂を主成分とするUVインクを用いてインクジェットプリントがされて、画像が印刷されたメディアが作製される。
【0016】
UVインクの成分については、染料、顔料等の色材、反応性モノマー、反応性オリゴマー及び光重合開始剤を含むものであれば使用可能である。必要に応じて、その他成分として、光重合開始剤の開始反応を促進させるための増感剤、分散剤、熱安定剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、浸透剤、難燃剤等の添加剤を加えてもよい。
【0017】
反応性モノマーとしては、単官能アクリレートや2官能アクリレートを使用することが好ましい。
【0018】
単官能アクリレートとしては、カプロラクトンアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールジアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ネオペンチルフリコールアクリル酸安息香酸エステル、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸などがあげられる。
【0019】
2官能アクリレートとしては、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートなどがあげられる。
【0020】
反応性モノマーはUVインク中に70〜92重量%含まれることが好ましい。70重量%未満の場合、インクの粘度が高くなるため吐出不良を生じるおそれがあり、92重量%を超えると硬化に必要な他の成分が不足し、硬化不良になるおそれがある。
【0021】
反応性オリゴマーについては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエンアクリレートがあげられ、単独または2種以上を組合せて使用することができる。なかでも本発明のメディアとの密着性がよいとの理由からウレタンアクリレートが好ましい。
【0022】
反応性オリゴマーはUVインク中に5〜20重量%含まれることが好ましい。5重量%未満では硬化したインクの物性にあまり変化が無く、20重量%を超えると吐出時のインク粘度が高くなって吐出不良になるおそれがある。
【0023】
光重合開始剤については、ベンゾイン類、ベンジルケタール類、アミノケトン類、チタノセン類、ビスイミダゾール類、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類があげられ、単独または2種以上を組合せて使用することができる。光重合開始剤のなかでは、高反応性であり、難黄変性である点で、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類が好ましい。光重合開始剤はUVインク中に3〜10重量%含まれることがより好ましい。3重量%未満では重合が不完全でインクが未硬化となるおそれがあり、一方、10重量%を超えて添加しても、それ以上の硬化率や硬化スピードの効率向上が期待できず、コスト高となる。
【0024】
UVインクは、使用する材料を混合してさらにその混合物をロールミル、ボールミル、コロイドミル、ジェットミル、ビーズミル等の分散機を使って分散させ、その後、ろ過を行えばよい。
【0025】
UVインクを吐出するインクジェット記録装置については特に限定されない。例えば、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式およびインクミスト方式などの連続方式、ピエゾ方式、サーマル方式、バブルジェット(登録商標)方式および静電吸引方式などのオン・デマンド方式などを用いることができる。さらに具体的なインクジェット記録装置としてはシリアル型、ライン型などがあげられいずれも使用可能である。
【0026】
シリアル型とはキャリッジの駆動によりシリアル型印刷ヘッドをキャリッジの移動方向(主走査方向)に走査させるとともに、基材を主走査方向に直交する搬送方向(副走査方向)に間欠搬送させながらインクを吐出させ画像を形成する。印刷ヘッドには、例えばブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)などのインクのカートリッジが搭載されており、各色のカートリッジには、複数個のインク吐出ノズルが主走査方向および副走査方向の両方向に沿って設けられている。印刷ヘッドに紫外線照射装置を設けてもよい。
【0027】
シリアル型の印刷ヘッドを用いる場合、インク液滴を基材に付与する工程、および、紫外線を照射する工程を、主走査毎に繰り返して行う。ここで、主走査とは、シリアル型印刷ヘッドが同一ライン上を移動することをいい、印刷ヘッドが、副走査方向に移動しないで、左から右へ1回移動する態様、左から右へ複数回移動する態様、右から左へ1回移動する態様、右から左へ複数回移動する態様、1往復する態様、複数回往復する態様等が含まれる。主走査毎とは、シリアル型印刷ヘッドが一つのラインから別のラインに移動する毎に(副走査方向の移動が行われる毎に)という意味である。前記このような印刷ヘッドの主走査毎に、インク付与工程の終了後に、あるいは、前記インク付与工程と平行して、紫外線照射によるインクの硬化を行う。
【0028】
ライン型とは、プリンタの幅方向(印刷基材の搬送方向に直交する方向)に亘って各色のインクの吐出ノズルがライン状に設けられており、例えばブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)などの吐出ノズルがライン状に設けられている。前記ライン型ヘッドでのインク付与工程の終了後に紫外線照射によるインクの硬化を行うことも可能であるし、またはこのライン型の印刷ヘッドに紫外線照射装置を設けてもよい。このようなライン型の印刷ヘッドを使用する場合、1ラインの印刷毎に色替えが行われ、色替ごとに紫外線を照射して、基材に付与されたインク液滴の硬化を行う。
【0029】
上記インクジェット記録装置においてUVインクを吐出する場合には、インクジェット記録装置に装備されたヘッドに加熱装置を装備し、インクを加熱することによりインク粘度を低くして吐出してもよい。インクの加熱温度としては25〜150℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。25℃未満の場合、インクの粘度を低くすることができないおそれがあり、150℃を超えるとインクが硬化してしまうおそれがある。インクの加熱温度は、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマーの熱に対する硬化性を考慮して定められ、熱により硬化が開始する温度よりも低く設定する。
【0030】
UVインクに含まれる反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマーを硬化させるための紫外線照射の条件としては、紫外線ランプの出力が、50〜280W/cmが好ましく、80〜200W/cmがより好ましい。紫外線ランプの出力が50W/cm未満であると、紫外線のピーク強度および積算光量不足によりインクが十分に硬化しない傾向にあり、280W/cmを超えると、着色媒体が紫外線ランプの熱により変形または溶融し、また、インクの硬化皮膜が劣化する傾向にある。紫外線の照射は、照射エネルギーによる基材の劣化や変形を防止する観点から、0.1〜1.0秒の照射を10〜30回繰り返すことが好ましい。
【実施例】
【0031】
次に本発明について実施例をあげて説明するが、本発明は必ずしもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1
平織ガラス繊維布(目付220g/m、シランカップリング剤処理品)に対し、ストレート塩化ビニル樹脂(平均重合度=1000)50%、フタル酸エステル系可塑剤35%、三酸化アンチモン系難燃剤5%、Ba−Zn系安定剤5%、酸化チタン5%を配合し、ロール温度170℃のカレンダーロール成形にて50g/mフィルムを形成し、当該基布の両面に付与した。
次に、混合樹脂(アクリル系樹脂―塩化ビニル系樹脂 30/70重量比)20%、希釈溶剤(トルエンーMEK 50/50重量比)80%の配合にて、両面にグラビアコーターを用いて10g/mコーティング後120℃、1min乾燥することで乾燥後重量2g/m塗布し、本発明のインクジェットプリント用メディアを得た。
【0033】
実施例2
平織ガラス繊維布(目付220g/m、シランカップリング剤処理品)に対し、ストレート塩化ビニル樹脂(平均重合度=1000)50%、フタル酸エステル系可塑剤35%、三酸化アンチモン系難燃剤5%、Ba−Zn系安定剤5%、酸化チタン5%を配合し、ロール温度170℃のカレンダーロール成形にて50g/mフィルムを形成し、当該基布の両面に付与した。
次に、混合樹脂(アクリル系樹脂―塩化ビニル系樹脂 60/40重量比)20%、希釈溶剤(トルエンーMEK 50/50重量比)80%の配合にて、両面にグラビアコーターを用いて10g/mコーティング後120℃、1min乾燥することで乾燥後重量2g/m塗布し、本発明のインクジェットプリント用メディアを得た。
【0034】
比較例1
平織ガラス繊維布(目付220g/m、シランカップリング剤処理品)に対し、ストレート塩化ビニル樹脂(平均重合度=1000)50%、フタル酸エステル系可塑剤35%、三酸化アンチモン系難燃剤5%、Ba−Zn系安定剤5%、酸化チタン5%を配合し、ロール温度170℃のカレンダーロール成形にて50g/mフィルムを形成し、当該基布の両面に付与し、インクジェットプリント用メディアを得た。
【0035】
比較例2
平織ガラス繊維布(目付220g/m、シランカップリング剤処理品)に対し、ストレート塩化ビニル樹脂(平均重合度=1000)50%、フタル酸エステル系可塑剤35%、三酸化アンチモン系難燃剤5%、Ba−Zn系安定剤5%、酸化チタン5%を配合し、ロール温度170℃のカレンダーロール成形にて50g/mフィルムを形成し、当該基布の両面に付与した。
次に、混合樹脂(アクリル系樹脂―塩化ビニル系樹脂 20/80重量比)20%、希釈溶剤(トルエンーMEK 50/50重量比)80%の配合にて、両面にグラビアコーターを用いて10g/mコーティング後120℃、1min乾燥することで乾燥後重量2g/m塗布し、インクジェットプリント用メディアを得た。
【0036】
比較例3
平織ガラス繊維布(目付220g/m、シランカップリング剤処理品)に対し、ストレート塩化ビニル樹脂(平均重合度=1000)50%、フタル酸エステル系可塑剤35%、三酸化アンチモン系難燃剤5%、Ba−Zn系安定剤5%、酸化チタン5%を配合し、ロール温度170℃のカレンダーロール成形にて50g/mフィルムを形成し、当該基布の両面に付与した。
次に、混合樹脂(アクリル系樹脂―塩化ビニル系樹脂 70/30重量比)20%、希釈溶剤(トルエンーMEK 50/50重量比)80%の配合にて、両面にグラビアコーターを用いて10g/mコーティング後120℃、1min乾燥することで乾燥後重量2g/m塗布し、インクジェットプリント用メディアを得た。
【0037】
実施例1、2及び比較例1〜3にて得られたインクジェットプリント用メディアを用いて、以下の方法でインクジェットプリントをおこない、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0038】
〔UVインクの作製〕
反応性モノマー(サートマージャパン(株)製、商品名:SR238F、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2官能)75重量部と、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア184、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)5重量部と、反応性オリゴマー(サートマージャパン(株)製、商品名:CN983、ウレタンアクリレートオリゴマー)20重量部とを混合し、ビーズミル分散機を用いて分散した後、ろ過を行って不純物除去し、紫外線硬化型インクを作製した。
【0039】
得られたUVインクを、インクジェットプリンタを用いて下記条件で基材に印刷した。次いで、紫外線ランプを用いて下記の条件で紫外線を照射し、インクを硬化させて印刷物を得た。
【0040】
〔プリント条件〕
イ)ノズル径 : 70(μm)
ロ)印加電圧 : 50(V)
ハ)パルス幅 : 20(μs)
ニ)駆動周波数: 3(kHz)
ホ)解像度 : 180(dpi)
ヘ)加熱温度 : 60(℃)
ト)インク総付与量:40(g/m
【0041】
〔紫外線照射条件〕
あ)ランプ種類: メタルハライドランプ
い)電圧 : 120(W/cm)
う)照射時間 : 1(秒)
え)照射距離 : 10(cm)
【0042】
評価方法
(1)UVインクとの密着性
得られた印刷物に対し、スコット磨耗法JIS L 1096に準じ、荷重1kgf×100回の条件で試験した後下記基準に従って判定した。
○ 剥離なし
× 剥離が発生
【0043】
(2)耐揉み性
得られた印刷物に対し、スコット磨耗法JIS L 1096に準じ、荷重1kgf×200回の条件で試験した後下記基準に従って判定した。
○ メディアの破壊がみられない
× ガラス繊維がばらけている、或いは樹脂層間で剥離がみられる
【0044】
(3)荷重負荷時の寸法安定性
得られた印刷物を30mm×300mmの短冊形状にサンプルカットし、引張試験機にてチャック間隔100mmでサンプルをセットし、1000Nの荷重を3秒間負荷した後の状態における寸法変化率を下記基準に従い評価した。
○ 寸法変化率1%未満
× 寸法変化率1%以上
【0045】
(4)光透過性
得られた印刷物の光透過率をマクベスCOLOREYE3000(GretagMacbeth社製)を用いて、波長360〜740nmを測定範囲をとして10nm単位毎に測定し、各波長での測定値の平均をここでいう光透過率とし、下記基準に従って判定した。
○ 光透過率10%〜50%
× 光透過率0%〜10%
【0046】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物の少なくとも一面側を、アクリル系樹脂を30〜60重量%含有する混合樹脂にて被覆したインクジェットプリント用メディア。
【請求項2】
アクリル系樹脂と混合する樹脂が塩化ビニル系樹脂である請求項1記載のインクジェットプリント用メディア。
【請求項3】
請求項1または2記載のインクジェットプリント用メディアの上記混合樹脂にて被覆された面の少なくとも一面側に、アクリレート系の紫外線硬化型樹脂を主成分とする紫外線硬化型インクを用いてインクジェットプリントがされたプリント物。

【公開番号】特開2011−161645(P2011−161645A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23331(P2010−23331)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】