説明

インクジェット式記録装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術の分野】本発明は、リザーバとノズル開口に連通する圧力発生室の容積を圧電振動子により変化させてインク滴を吐出させる記録ヘッドを備えた記録装置、より詳細には記録ヘッドの駆動技術に関する。
【0002】
【従来の技術】リザーバとノズル開口に連通する圧力発生室の容積を、台形波状の駆動信号を圧電振動子に印加してノズル開口からインク滴を吐出させる記録ヘッドは、インク滴の吐出後にメニスカスが残留振動するため、印刷データとは無関係な微小なインク滴が生じるという不都合がある。このような問題を解消するため、特開平9-5236号公報や特開平10-81012号公報に見られるように、駆動信号とは逆方向の台形波状の制振信号を印加して、圧力発生室の容積をインク滴を吐出しない程度に変化させてメニスカスの振動を強制的に減衰させることが行われている。このため、1印刷周期内に駆動信号と制振信号との2種類の信号を必要として1印刷周期が長くなり、高速駆動が困難であるという不都合がある。また、印刷品質の向上を図るため、乾燥速度の高いインクを使用した場合には、ノズル開口近傍のインクが増粘しやすく、インク滴の吐出に不都合を来すという問題がある。このような問題を解消するため、特開平9-201960号公報や、特開平10-81012号公報に見られるように、メニスカスを微小振動させるための信号を駆動信号に付随させて印加することも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これによれば、インク滴を安定に吐出させることが可能となるものの、1印字周期内にインク滴を吐出させるための駆動信号の他にメニスカスの平定や、目詰まり防止のための駆動信号を印加するための時間を確保する必要上、1印字周期が長くなり、駆動周波数が低下するという問題がある。本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、インク滴を安定の吐出させつつ、高速駆動が可能なインクジェット式記録装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような問題を解消するために本発明においては、ノズル開口と、インク供給口を介してリザーバに連通する圧力発生室と、該圧力発生室の容積を膨張、収縮させる圧電振動子とからなるインクジェット式記録ヘッドと、前記圧力発生室の容積を急速に変化させてインク滴を吐出させる第1の駆動信号と、インク滴を吐出しない程度に前記圧力発生室の容積を変化させ、かつ前記第1の駆動信号によりインク滴を吐出した後のメニスカスの残留振動がノズル開口側に反転する時点で発生する第2の駆動信号と、前記第1の駆動信号よりもインク量の少ないインク滴を吐出させるように前記圧力発生室の容積を変化させ、かつ前記第2の駆動信号の後に発生する第3の信号とを出力することができ、第1のインク量のインク滴を形成する場合には第1の駆動信号と第2の駆動信号とを、第2のインク量のインク滴を形成する場合には、前記第1、第2、及び第3の信号を、第3のインク量のインク滴を形成する場合には、前記第3の信号を、また、インク滴を形成せず、かつ目詰まりを防止する場合には前記第2の信号をそれぞれ選択的に出力させる駆動信号発生手段とを備えようにした。
【0005】
【作用】第2の駆動信号により、インク滴吐出後のメニスカスの残留振動抑制と、メニスカスを微小振動させて目詰まり解消とを行わせ、さらにこの第2の駆動信号を積極的に利用してインク滴のインク量を調整することができる
【0006】
【発明の実施の形態】そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。図1は、本発明の第一実施例を示すブロック図であって、駆動周期信号発生手段1は、図示しないホストから出力される印字モード情報に基づいて駆動周期信号を発生し、キャリッジ制御手段2に出力されて、ホストからの印字モード情報に基づき伝達手段3を介してキャリッジ4に接続するキャリッジ駆動モータ5を制御する。
【0007】記録ヘッド6は、この実施例においては、図2に示したように圧力発生室20と、インク供給口21と、リザーバ22とを形成する流路形成基板23の一方の面をノズル開口24が穿設されたノズルプレート25により、また他方の面を弾性変形可能な弾性板26に封止された流路ユニット27と、軸方向に伸長して弾性板26を変位させる圧電振動子28とから構成されている。
【0008】駆動信号発生手段7は、図3に示したようにインク滴吐出用の第1の駆動信号S1と、メニスカスの振動抑制及びノズル開口の目詰まり防止用の第2の駆動信号S2とを出力するように構成されている。第1の駆動信号S1は、圧力発生室20をインク滴吐出の前段階の膨張状態まで膨張させる膨張信号■と、この膨張状態を維持する保持信号■と、前記膨張状態からインク滴吐出が完了する収縮状態までインク滴の吐出に適した変化率で圧力発生室20の容積を縮小させる収縮信号■とにより構成されている。
【0009】また、第2の駆動信号S2は、インク滴を吐出させない程度の膨張信号■’、保持信号■’、及び収縮信号■’とにより構成されている。そして、膨張信号■’及び収縮信号■’は、これらの継続時間t1、及びt3が、圧電振動子28の固有周期Ta以上、好ましくは圧力発生室20のヘルムホルツ共振周期Tcとほぼ同一となるように設定されている。このように膨張信号■’及び収縮信号■’を可及的に短く設定することで1印字周期T0を短縮できるものの、メニスカスが無用に振動するのを防止するためには、ヘルムホルツ共振周期Tcに一致させるのが望ましい。
【0010】また、第2の駆動信号S2によりメニスカスが無用に振動するのをより確実に防止するため、膨張信号■’と収縮信号■’によるメニスカスの振動が相殺するように、保持信号■’をヘルムホルツ共振周期Tcのほぼ1/2と同一となるように設定するのが望ましい。
【0011】さらに、第2の駆動信号S2は、第1の駆動信号S1によってインク滴を吐出した後のメニスカスの残留振動を抑制するため、インク滴の吐出によるメニスカスの振動が一旦ノズル開口内に引き込まれ、その後にノズル開口側へ反転するタイミングに合わせて出力するのが望ましい。そのためには、第1の駆動信号S1の収縮信号■の継続時間と、第1の駆動信号■の終了時点と第2駆動信号■の印加開始時点との時間差(図3における時間T1)の合計時間が、ヘルムホルツ共振周期Tcと実質的に同一となるように時間T1を調整しておくのが望ましい。
【0012】なお、圧力発生室20のヘルムホルツ共振周期Tcは、周知のようにノズル開口24のイナータンスをLn、インク供給口21のイナータンスをLi、弾性板26のコンプライアンスをCv、インクのコンプライアンスをCinkとしたとき、Tc=2π√〔(CV+Cink)×Ln×Li〕/(Ln+Li)として表される値である。
【0013】これら第1、第2の動信号は、充放電回路の放電定数をスイツチング回路により適宜切替えたり、またROMに記憶された波形データや、ホストからの駆動信号情報に基づいて信号を発生するプログラマブル信号発生手段を使用することにより容易に発生させることができる。
【0014】ラッチ信号発生手段8は、非印字状態から印字状態に切り替わる直前に第2の駆動信号を選択的に複数回ラッチし、また印刷データが存在する場合には、第1の駆動信号S1をラッチするとともに、第1の駆動信号が出力された後、インク滴吐出後に生じるメニスカスの振動がノズル開口に向う時点(時間T1の経過後)で第2の駆動信号S2をラッチするラッチ信号を後述するスイッチング手段9に出力する。ヘッド駆動手段10は、印刷バッファ11に格納された図示しないホストからの印刷信号により生成されるピットマップデ―夕に基づいて、個々のノズル開口24からのインク滴の吐出を制御するスイッチング手段9に対応した印刷デ−夕をラッチ信号によりラッチさせ、個々のスイッチング素子をON・OFFを制御する。
【0015】この実施例において、記録ヘッド6が図示しないキャッピング手段から露出されて非印字状態におかれている場合には所定の周期で、駆動信号発生手段7の第2の駆動信号S2がラッチ信号発生手段8により選択的にラッチされて、圧電振動子28に印加される。これにより、圧力発生室20が微小膨張、収縮するから、ノズル開口24のメニスカスが圧力発生室20に引き込まれ、インク滴を吐出しない程度の振幅で振動を開始する。これにより、ノズル開口近傍で増粘したインクは、粘度が比較的低い圧力発生室20のインクと置換されて目詰まりが防止される。
【0016】また、印刷休止状態が継続している状態でホストから印刷データが出力されると、駆動信号発生手段7の第2の駆動信号S2がラッチ信号発生手段8により選択的にラッチされてノズル開口近傍で増粘したインクを、圧力発生室20のインクと置換して目詰まりを解消する準備動作が行われる。
【0017】印刷データが存在する場合には(図4(I))、第1の駆動信号S1がラッチされて、その膨張信号■により圧電振動子28が収縮して圧力発生室21が膨張し、リザーバ22からインクを圧力発生室20に充填するとともに、ノズル開口24のメニスカスを圧力発生室20に大きく引き込む。膨張信号■が所定電圧に到達すると、保持信号■により一定時間維持され、圧力発生室20の容積が一定に維持される。これにより、圧力発生室20に引き込まれたメニスカスは振動を開始し、所定時間の経過後にノズル開口側に反転する。
【0018】この時点で収縮信号■が印加されて圧電振動子28が伸長して圧力発生室20の容積が縮小する。これにより圧力発生室20のインクが加圧されてノズル開口24からインク滴が吐出する。
【0019】インク滴の吐出後、メニスカスは慣性により再び振動を開始するが、ノズル開口側に反転した時点で、第2の駆動信号S2がラッチされる。これにより圧力発生室20が微小膨張してノズル開口のメニスカスを圧力発生室20に引き込み、残留振動を強制的に停止させる。
【0020】この印刷周期においては、インク滴を吐出しているからノズル開口近傍の増粘したインクはインク滴として排出され、かわって圧力発生室20のインクに置換されているから、ノズル開口24が目詰まりを起こすことはない。
【0021】引き続き印刷データが存在する場合には(図4(II))は、前述と同様に第1の駆動信号S1と第2の駆動信号S2とがラッチされ、圧電振動子28に印加される。
【0022】一方、印刷データが存在しない場合には(図4(III))、第2の駆動信号S2だけがラッチされるため、圧力発生室20が微小膨張、収縮する。そして直前にはインク滴が吐出されていないため、ノズル開口24のメニスカスが静止状態にあり、したがって、圧力発生室20の膨張により、メニスカスは圧力発生室20に引き込まれ、インク滴を吐出しない程度の振幅で振動を開始する。これにより、ノズル開口近傍で増粘したインクは、粘度が比較的低い圧力発生室20のインクに置換されて目詰まりが防止される。
【0023】図5は、中ドットと小ドットを形成する実施例を示すものであって、前述の第1、第2の駆動信号S2、S2に引き続いて小ドットを形成するための第3の駆動信号S3が印刷周期中に付加され、これら3種類の信号S1、S2、S3により1印刷周期T0’が形成される。
【0024】第3の駆動信号は、圧力発生室20をインク滴吐出の前段階の膨張状態まで膨張させる膨張信号■"と、この膨張状態を維持する保持信号■"と、前記膨張状態からインク滴吐出が完了する収縮状態まで微小なインク滴の吐出に適した変化率で圧力発生室20の容積を縮小させる収縮信号■”とにより構成されている。
【0025】この実施例において、休止状態が継続している状態でホストから印刷データが出力されると、駆動信号発生手段7の第2の駆動信号S2がラッチ信号発生手段8により選択的にラッチされて、圧電振動子28に印加される。これにより、圧力発生室20が微小膨張、収縮するから、ノズル開口24のメニスカスが圧力発生室20に引き込まれ、インク滴を吐出しない程度の振幅で振動を開始する。これにより、ノズル開口近傍で増粘したインクは、粘度が比較的低い圧力発生室20のインクと置換されて目詰まりが防止される。
【0026】印刷データが存在し、かつ中ドットを形成する場合には(図6(I))、駆動信号S1がラッチされて、前述と同様にインク滴が吐出される。
【0027】インク滴の吐出後、ノズル開口側に反転した時点で、第2の駆動信号S2がラッチされ、残留振動が圧力発生室20の容積変化により強制的に停止される。この周期においては、インク滴を吐出しているからノズル開口近傍の増粘したインクはインク滴としてノズル開口から排出され、比較的粘度が低い圧力発生室20のインクと置換されているから、目詰まりを生じることはない。
【0028】印刷データが存在し、かつ小ドットを形成する場合には(図6(II))、第3の駆動信号S3がラッチされて、その膨張信号■"により圧電振動子28が収縮して圧力発生室21が膨張し、リザーバ22からインクを圧力発生室20に充填するとともに、ノズル開口24のメニスカスを圧力発生室20に引き込む。
【0029】膨張信号■"が所定電圧に到達すると、保持信号■"により一定時間維持され、圧力発生室20の容積が一定に維持される。これにより、圧力発生室20に引き込まれたメニスカスは振動を開始し、所定時間の経過後にノズル開口側に反転する。
【0030】この時点で収縮信号■”が印加されて圧電振動子28が伸長しノズル開口24から微小なインク滴が吐出する。
【0031】もとより、微小なインク滴の吐出によるメニスカスの振動振幅は、小さいから次の印刷周期が始まるまでに平定され、またこの印刷周期においては、インク滴を吐出しているからノズル開口近傍の増粘したインクはインク滴として排出され、かわって圧力発生室20のインクに置換されているから、ノズル開口24が目詰まりを起こすことはない。
【0032】一方、印刷データが存在しない場合には(図6(III))、第2の駆動信号S2だけがラッチされるため、圧力発生室20が微小膨張、収縮する。そして直前にはインク滴が吐出されていないため、ノズル開口24のメニスカスが静止状態にあり、したがって、圧力発生室20の膨張により、メニスカスは圧力発生室20に引き込まれ、インク滴を吐出しない程度の振幅で振動を開始する。これにより、ノズル開口近傍で増粘したインクは、粘度が比較的低い圧力発生室20のインクに置換されて目詰まりが防止される。
【0033】また、この実施例においては、同一印字周期内に中ドットと小ドットの両方を形成することもできる。すなわち、中ドットと小ドットとを同一点に形成して比較的大きなドットを形成する場合には、駆動信号S1、S2、S3の全てをラッチ信号発生手段8によりラッチする方法(図7(I))と、駆動信号S1と駆動信号S3とをラッチする方法(図7(II))がある。
【0034】前者の方法(図7(I))は、第1の駆動信号S1がラッチされて、前述と同様にインク滴が吐出して中ドットが形成され、前述と同様にメニスカスがノズル開口側に反転した時点で、第2の駆動信号S2がラッチされ、残留振動が急速に減衰される。これにより、第3の駆動信号S3がラッチされる時点では、インク滴吐出に適した位置とほとんど同一の位置にメニスカスが静止しているので、第3の駆動号S3により吐出されるインク滴により形成される小ドットは、1印字周期内で第3の駆動信号S3を単独に印加して形成される小ドットとほとんど同一のサイズである。したがって、中ドットと小ドットとが加算されて大きなドットが形成されることになる。
【0035】これに対して第2の方法(図7(II))、第1の駆動信号S1によってインク滴が吐出された後に第2の駆動信号S2がラッチされないため、メニスカスが残留振動を継続し、この状態で第3の駆動信号S3がラッチされる。この時点でのメニスカスは、図7における変位α分だけ余分にノズル開口面から突出しているから、第3の駆動信号S3によって吐出されるインク滴のインク量は、1印字周期内に単独で駆動する場合よりもβだけ増加する。したがって、形成されるドットは、小ドットプラス増加分βとなり結果として特大のドットを形することができる。
【0036】これにより、第2の方法により形成されるドットは、中ドットと小ドットの和にさらに増加分βを加算したインク量からなる特大のドットとなるから、ドットサイズの調整範囲が拡大して階調性の高い印字が可能となる。
【0037】これら2つの方法は、目的とする印字条件に適した方をプリンタドライバにより選択すればよい。そして、印字データが存在しない場合には、前述実施例と同様に第2の駆動信号S2だけをラッチして、ノズル開口近傍で増粘したインクを粘度の比較的低い圧力発生室20のインクと置換して目詰まりを防止する。
【0038】この実施例においても、第2の駆動信号S2が、インク滴吐出後のメニスカスの残留振動抑制用の信号と、メニスカスを微小振動させて目詰まり解消するための信号とを兼ねるため、それぞれを独立に用意する場合に比較して、印刷周期T0’を短縮することが可能となる。
【0039】なお、上述の実施例のおいては、軸方向に変位する圧電振動子をアクチュエータとする記録ヘッドに例を採って説明したが、図8に示したようにインク供給口30を介してリザーバ31に連通し、ノズル連通孔32を介してノズル開口33に連通する圧力発生室34の一部を弾性板35で封止し、この弾性板35にたわみ変位する圧電振動子36を設けた記録ヘッドに適用しても同様の作用を奏する。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては2の駆動信号により、インク滴吐出後のメニスカスの残留振動抑制と、メニスカスを微小振動させて目詰まり解消とを行わせることができ、インク滴吐出用の信号の他に、残留振動抑制用の信号と、目詰まり解消用の信号とを必要とする場合に比較して、1印刷周期を短縮できて、駆動周波数の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す装置のブロック図である。
【図2】インクジェット記録ヘッドの一実施例を示す断面図である。
【図3】駆動信号の一実施例を示す波形図である。
【図4】同上駆動信号による印刷時の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】駆動信号の他の実施例を示す波形図である。
【図6】同上駆動信号による印刷時の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の他の駆動方法を示す駆動信号とメニスカスの変位との関係を示す図である。
【図8】本発明が適用できる他の形式の記録ヘッドの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
6 記録ヘッド
9 スイッチング手段
20 圧力発生室
21 インク供給口
22 リザーバ
23 流路形成基板
24 ノズル開口
25 ノズルプレート
28 圧電振動子
S1 第1の駆動信号
S2 第2の駆動信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ノズル開口と、インク供給口を介してリザーバに連通する圧力発生室と、該圧力発生室の容積を膨張、収縮させる圧電振動子とからなるインクジェット式記録ヘッドと、前記圧力発生室の容積を急速に変化させてインク滴を吐出させる第1の駆動信号と、インク滴を吐出しない程度に前記圧力発生室の容積を変化させ、かつ前記第1の駆動信号によりインク滴を吐出した後のメニスカスの残留振動がノズル開口側に反転する時点で発生する第2の駆動信号と、前記第1の駆動信号よりもインク量の少ないインク滴を吐出させるように前記圧力発生室の容積を変化させ、かつ前記第2の駆動信号の後に発生する第3の信号とを出力することができ、第1のインク量のインク滴を形成する場合には第1の駆動信号と第2の駆動信号とを、第2のインク量のインク滴を形成する場合には、前記第1、第2、及び第3の信号を、第3のインク量のインク滴を形成する場合には、前記第3の信号を、また、インク滴を形成せず、かつ目詰まりを防止する場合には前記第2の信号をそれぞれ選択的に出力させる駆動信号発生手段とを備えたインクジェット式記録装置。
【請求項2】 ノズル開口と、インク供給口を介してリザーバに連通する圧力発生室と、該圧力発生室の容積を膨張、収縮させる圧電振動子とからなるインクジェット式記録ヘッドと、前記圧力発生室の容積を急速に変化させてインク滴を吐出させる第1の駆動信号と、インク滴を吐出しない程度に前記圧力発生室の容積を変化させ、かつ前記第1の駆動信号によりインク滴を吐出した後のメニスカスの残留振動がノズル開口側に反転する時点で発生する第2の駆動信号と、前記第1の駆動信号よりもインク量の少ないインク滴を吐出させるように前記圧力発生室の容積を変化させ、かつ前記第2の駆動信号の後に発生する第3の信号とを出力することができ、第1のインク量のインク滴を形成する場合には第1の駆動信号と第2の駆動信号とを、第2のインク量のインク滴を形成する場合には、前記第1の駆動信号と第3の駆動信号を、第3のインク量のインク滴を形成する場合には、第3の信号を、また、インク滴を形成せず、かつ目詰まりを防止する場合には前記第2の信号をそれぞれ選択的に出力させる駆動信号発生手段とを備えたインクジェット式記録装置。
【請求項3】 前記第2の駆動信号による前記圧電振動の充電時間が前記圧電振動子の固有周期Ta以上である請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項4】 前記第2の駆動信号による前記圧電振動の充電時間が前記圧力発生室のヘルムホルツ共振周期Tcと実質的に同一である請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項5】 前記第2の駆動信号による前記圧電振動子の充電後の放電時間が前記圧電振動子の固有周期Ta以上である請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項6】 前記第2の駆動信号による前記圧電振動子の充電後の放電時間が前記圧力発生室のヘルムホルツ共振周期Tcと実質的に同一である請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項7】 前記第2の駆動信号の電位保持時間が、前記圧力発生室のヘルムホルツ共振周期Tcの1/2実質的に同一である請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項8】 前記第1の駆動信号による前記圧電振動子の充電後の放電開始から、前記第2の駆動信号が出力するまでの時間が、前記圧力発生室のヘルムホルツ共振周期Tcと実質的に同一である請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項9】 印刷休止状態から印刷が開始される直前に前記第2の駆動信号が間欠的に出力される請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項10】 前記記録ヘッドが非キャッピング状態におかれている場合に、前記第2の駆動信号が一定周期で出力される請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【特許番号】特許第3514136号(P3514136)
【登録日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【発行日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−263197
【出願日】平成10年9月17日(1998.9.17)
【公開番号】特開2000−94669(P2000−94669A)
【公開日】平成12年4月4日(2000.4.4)
【審査請求日】平成14年7月2日(2002.7.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【参考文献】
【文献】特開 平7−178907(JP,A)