説明

インクジェット記録媒体

【課題】 発色性、吸収性、耐折り割れ性のいずれもが良好なインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】 支持体の上に、インク受容層を有するインクジェット記録媒体であって、前記インク受容層は、前記支持体から遠い層である上層と、支持体から近い層である下層を有し、前記上層および前記下層は、無機微粒子と親水性バインダーと架橋剤を含み、前記無機微粒子は、アルミナの微粒子およびアルミナ水和物の微粒子から選ばれる少なくとも1種の微粒子を含み、前記上層に含まれる前記無機微粒子の比表面積が110m/g以上200m/g以下であり、前記下層に含まれる前記無機微粒子の比表面積が60m/g以上110m/g未満であり、前記上層と前記下層の厚みの合計が10μm以上30μm以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、支持体の上にインク受容層を設けた様々なインクジェット記録媒体が提案されている。
【0003】
例えば、インクをムラなく吸収し(吸収性が良好)、折り目部の割れや剥がれによる画像の欠損が少ない(耐折り割れ性が良好)インクジェット記録媒体として、インク受容層が平均孔径100〜500nmの空隙を有するインクジェット記録媒体が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、インクをムラなく吸収し(吸収性が良好)、印字濃度が高い(発色性が良好)インクジェット記録媒体として、支持体上に下層および上層を順次積層し、平均細孔半径が異なるアルミナを、特定の重量比で上層および下層にそれぞれ含有させ、且つ、上層と下層との厚み比を特定の範囲としたインクジェット記録媒体が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−237485号公報
【特許文献2】WO2007/043713
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載のインクジェット記録媒体は、発色性の点で改良の余地があり、特許文献2に記載のインクジェット記録媒体は、耐折り割れ性の点で改良の余地があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、発色性と、吸収性と、耐折り割れ性の、いずれもが良好であるインクジェット記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、支持体の上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体について鋭意検討した。この結果、インク受容層に含まれる無機微粒子の比表面積を特定の範囲とし、インク受容層の厚みを特定の範囲とすることで、上記の課題が解決できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、支持体の上に、インク受容層を有するインクジェット記録媒体であって、前記インク受容層は、前記支持体から遠い層である上層と、前記支持体から近い層である下層を有し、前記上層および前記下層は、無機微粒子と親水性バインダーと架橋剤を含み、前記無機微粒子は、アルミナの微粒子およびアルミナ水和物の微粒子から選ばれる少なくとも1種の微粒子を含み、前記上層に含まれる前記無機微粒子の比表面積が110m/g以上200m/g以下であり、前記下層に含まれる前記無機微粒子の比表面積が60m/g以上110m/g未満であり、前記上層と前記下層の厚みの合計が10μm以上30μm以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発色性、吸収性、耐折り割れ性のいずれもが良好なインクジェット記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明のインクジェット記録媒体をその好ましい実施形態に基づいて説明する。なお、本発明はこれらの記載に限定して解釈されるものではない。
【0012】
<無機微粒子>
本発明で用いられる無機微粒子は、アルミナの微粒子およびアルミナ水和物の微粒子から選ばれる少なくとも1種を含む。以下、アルミナの微粒子およびアルミナ水和物の微粒子について説明する。
【0013】
アルミナの微粒子としては、例えばγ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナが挙げられる。これらの中でも、発色性、インク吸収性の観点から、気相法で合成されたγ−アルミナが好ましい。γ−アルミナは、公知の方法で製造されたアルミナ水和物を400℃以上900℃以下の温度で加熱、焼成することによって得られる。
【0014】
一方、アルミナ水和物は下記一般式(1)により表される。
一般式(1) Al3−n(OH)2n・mH
(式中、nは0、1、2または3のうちのいずれかを表わし、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下の数を表わす。mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表わすものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、アルミナ水和物を加熱すると、mは0の値をとりうる。ただし、nとmは同時に0にはならない。)
【0015】
アルミナ水和物の微粒子の中でも、X線回折法による分析でベーマイト構造または非晶質を示すものが好ましい。具体例としては、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報に記載されたアルミナ水和物の微粒子を挙げることができる。本発明に用いるアルミナ水和物の微粒子は、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法やアルミン酸ナトリウムを加水分解する方法の如き公知の方法で製造できる。また、特公昭57−447605号公報に記載されている、アルミン酸ナトリウムの水溶液に、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムの水溶液を加えて中和する公知の方法でも製造することができる。
【0016】
特に、一次粒子の数平均粒子径が5nm以上50nm以下のアルミナ水和物の微粒子が好ましく、アスペクト比が2以上の板状アルミナ水和物の微粒子が好ましい。アスペクト比は、電子顕微鏡でアルミナ水和物の微粒子の長辺と短辺を測定することにより求めることができる。
【0017】
以上のアルミナの微粒子およびアルミナ水和物の微粒子は、混合して用いてもよい。アルミナの微粒子およびアルミナ水和物の微粒子を粉体状態で混合、分散し、イオン交換水等を分散媒として分散液とするほか、アルミナ分散液とアルミナ水和物分散液とを混合して用いてもよい。
【0018】
特に、気相法で合成されたγ−アルミナの微粒子とアルミナ水和物の微粒子を混合して用いると、インク吸収性が良好となるため好ましい。混合質量比は、(気相法で合成されたγ−アルミナ):(アルミナ水和物)=50:50〜5:95であることが好ましい。また、30:70〜10:90であることがより好ましい。
【0019】
また、下層に用いられるアルミナの微粒子としては、気相法アルミナの微粒子が好ましい。気相法アルミナの微粒子は、アルミナ水和物の微粒子と比較し、耐折り割れ性が向上する。その理由として、アルミナ水和物の微粒子と比較すると、気相法アルミナの微粒子は、より粒子構造が強固で、受容層を形成した際に耐久性が増すためと考えられる。
【0020】
なお、後述するが、本発明は無機微粒子の比表面積が特徴事項の1つである。比表面積が110m/g以上のアルミナ水和物の微粒子の具体例としては、市販のアルミナ水和物(商品名:DISPERAL HP14、サソール製)を挙げることができる。比表面積が110m/g未満のアルミナの微粒子の具体例としては、市販のアルミナ(商品名:AEROXIDE Alu65、Evonik製)を挙げることができる。比表面積が110m/g未満のアルミナ水和物の微粒子の具体例としては、市販のアルミナ水和物(商品名:DISPERAL HP22、サソール製)を挙げることができる。
【0021】
上層および下層に含まれる無機微粒子のうち、アルミナの微粒子および/またはアルミナ水和物の微粒子の含有量は、80質量%以上であることが好ましい。上限は特になく、100質量%全てをアルミナの微粒子および/またはアルミナ水和物の微粒子としてもよい。
【0022】
また、本発明で用いられる無機微粒子は、アルミナの微粒子およびアルミナ水和物の微粒子に限られない。例えば、本発明の効果を妨げない範囲で、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、および/または水酸化マグネシウムを無機微粒子として含んでもよい。
【0023】
<上層および下層に含まれる無機微粒子の比表面積>
本発明の上層に含まれる無機微粒子の比表面積は、110m/g以上200m/g以下であり、下層に含まれる無機微粒子の比表面積は、60m/g以上110m/g未満である。こうした構成とすることで、本発明者らは、発色性と吸収性と耐折り割れ性のいずれもが良好なインクジェット記録媒体が得られることを見出した。以下、上層と下層の無機微粒子の比表面積と、発色性、吸収性、耐折り割れ性の関係について詳細に説明する。
【0024】
本発明者らは、上層に含まれる無機微粒子の比表面積を大きくすると、発色性は向上するが、吸収性は低下することを見出した。発色性が良好になるのは、上層に含まれる無機微粒子の比表面積を大きくすることで、細孔径が小さくなり、光の散乱が抑制できることに起因すると考えられる。また、吸収性が低下するのは、上層に含まれる無機微粒子の比表面積を大きくすると、上層の無機微粒子間の空隙が狭くなり、インク吸収速度が低下することに起因すると考えられる。
【0025】
さらに、本発明者らは、下層に含まれる無機微粒子の比表面積を小さくすることで、吸収性と耐折り割れ性が向上することを見出した。吸収性が良好になるのは、下層に含まれる無機微粒子の比表面積を小さくすることで、下層の無機微粒子間の空隙が大きくなり、インク吸収速度が速くなることに起因すると考えられる。また、耐折り割れ性が向上するのは、下層に含まれる無機微粒子の比表面積を小さくすると、下層の空隙が大きくなり、折り曲げた際の応力を緩和することができることにより、発生するインク受容層の亀裂が小さくなることに起因すると考えられる。
【0026】
以上のように、発色性、吸収性、耐折り割れ性は、上層および下層に含まれる無機微粒子の比表面積に影響を受ける。本発明者らが鋭意検討した結果、上層および下層に含まれる無機微粒子の比表面積を特定の範囲とすることで、発色性、吸収性、耐折り割れ性のいずれもが良好なインクジェット記録媒体を得ることができることを見出した。
【0027】
すなわち、上層に含まれる無機微粒子の比表面積を110m/g以上200m/g以下とし、下層に含まれる無機微粒子の比表面積を60m/g以上110m/g未満とすることで、発色性と吸収性と耐折り割れ性が良好なインクジェット記録媒体を得ることができる。
【0028】
上層に含まれる無機微粒子の比表面積が110m/g未満となると発色性が低下し、200m/gを超えると吸収性が低下する。下層に含まれる無機微粒子の比表面積が60m/g未満となると発色性や耐折り割れ性が低下し、110m/g以上となると耐折り割れ性が低下する。
【0029】
上層に含まれる無機微粒子の比表面積は、125m/g以上であることが好ましい。また、175m/g以下であることが好ましい。上層に含まれる無機微粒子は、比表面積が110m/g以上200m/g以下の無機微粒子が80質量%以上であることが好ましい。但し、本発明の効果を妨げない範囲で、上層に比表面積が110m/g未満の無機微粒子をさらに含有してもよい。
【0030】
下層に含まれる無機微粒子の比表面積は、65m/g以上100m/g以下であることが好ましい。より好ましくは85m/g以下である。なお、下層は比表面積が65m/g以上110m/g未満の無機微粒子を含有していることが好ましい。下層に含まれる無機微粒子のうち、比表面積が65m/g以上110m/g未満の無機微粒子の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0031】
また、本発明の下層は、比表面積が110m/gを超え、200m/g以下の無機微粒子をさらに含むことが好ましい。下層が、比表面積が110m/gを超え、200m/g以下の無機微粒子をさらに含むことで、色材の定着が下層にも進み、インク受容層の厚み方向の広い範囲で色材が存在し、折り曲げた際に割れが生じても、断面の着色により白ぬけが目立たなくなる効果がある。すなわち、発色性と耐折り割れ性の観点から、下層に含まれる無機微粒子のうち、比表面積が110m/gを超え、200m/g以下の無機微粒子の含有量は、10質量%以上50質量%以下であること好ましい。
【0032】
無機微粒子の比表面積は、BET法により、求めることができる。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1g当たりの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。このBET法では、通常、吸着気体として窒素ガスが用いられ、吸着量を被吸着気体の圧力または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられる。この際、多分子吸着の等温線を表すものとして最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であって、BET式と呼ばれ、比表面積決定に広く用いられている。上記BET法では、BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けることにより比表面積が得られる。BET法では、窒素吸着脱離法の測定において、ある相対圧力における吸着量の関係を数点測定し、最小二乗法によりそのプロットの傾き、切片を求めることで比表面積を導き出す。本発明では、相対圧力と吸着量の関係は10点測定して算出し、比表面積を測定した。
【0033】
<上層と下層の厚みの合計>
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体上にインク受容層を有する。かかるインク受容層は、支持体から遠い層である上層と、支持体から近い層である下層を有する。
【0034】
本発明のインク受容層は、上層と下層の厚みの合計が10μm以上30μm以下である。こうした構成とすることで、本発明者らは、耐折り割れ性と吸収性が向上することを見出した。以下、厚みと、耐折り割れ性、吸収性の関係について詳細に説明する。
【0035】
インクジェットプリント物を折り曲げた際に発生する折り割れ部は、特に黒などの明度の低い画像の部分が特に目立つ。これは、折り曲げた部分に発生するインク受容層の亀裂により、下地である白い支持体が見えるほか、インク受容層の断面の白い部分が見えることによる。よって、明度の低いところでは、黒地に白の高いコントラストが発生することにより、折り割れ部分が白く目立つのである。したがって、亀裂を小さくすることと、折り割れにより見えてしまうインク受容層の断面を小さくすることで折り割れ部が目立たなくなる。
【0036】
すなわち、インク受容層を薄くすることにより、インク受容層の断面における着色部分の割合が増え、断面の白地を減らすことができる。この点に着目し、本発明者らが検討した結果、上層と下層の厚みの合計を、30μm以下とすることにより、折り割れ部が目立たなくなることを見出した。
【0037】
一方、本発明者らは、上層と下層の厚みの合計を薄くしていくと、吸収性が低下することを見出した。これは、インク受容層が薄くなると、吸収できるインク容量が低下することに起因すると考えられる。
【0038】
本発明者らが鋭意検討した結果、インク受容層の上層と下層の厚みの合計を10μm以上30μm以下とすることにより、耐折り割れ性と吸収性という相反する性質が、共に良好なインクジェット記録媒体を得ることができることを見出した。なお、上層と下層の厚みの合計は15μm以上25μm以下であることが好ましい。
【0039】
上層の厚みは、耐折り割れ性の観点から、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。また、上層の厚みは、3μm未満となると発色性が低下するので、3μm以上であることが好ましい。
【0040】
下層の厚みは、吸収性の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、耐折り割れ性の観点から、25μm以下が好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
【0041】
なお、本発明における厚みとは絶乾時の厚みであり、走査電子顕微鏡を用いて記録媒体の断面を4点測定した平均値を指す。測定箇所は夫々なるべく離れている方が好ましい。本発明では、四角形の記録媒体を用い、四隅から四角形の重心方向に1cm離れた部分で測定した値の平均値である。
【0042】
また、本発明のインク受容層の構成は、上層は支持体から遠い層であり、下層は支持体から近い層であるが、上層と下層の間や、上層の上に厚み1μm以下の薄層を設けてもよい。また、支持体と下層の間に別の層を設けてもよい。なお、上層は支持体から最も遠い層であることが好ましい。また、下層は上層に隣接する層であることが好ましい。
【0043】
<比表面積の平均値と厚みの関係>
本発明のインクジェット記録媒体の構成は、上層に含まれる無機微粒子の比表面積が110m/g以上200m/g以下であり、下層に含まれる無機微粒子の比表面積が60m/g以上110m/g未満であり、さらに上層と下層の厚みの合計が10μm以上30μm以下である。
【0044】
本発明は、インク受容層の厚みと、インク受容層に含まれる無機微粒子の比表面積、という2つの要素を同時に制御することで、本発明の目的を達成するものであり、いずれか一方の要素を制御するだけでは、本発明の目的を達成することはできない。これは、発色性、吸収性および耐折り割れ性という3つの性質が、インク受容層の厚みとインク受容層に含まれる無機微粒子の比表面積により、複雑な影響を受けるからである。
したがって、本発明では、上記2つの要素を同時に制御することが極めて重要である。
【0045】
<親水性バインダー>
本発明の上層および下層は、親水性バインダーを含有する。親水性バインダーとしては、アルミナの微粒子やアルミナ水和物の微粒子を結着し、被膜を形成する能力のある材料であって、かつ、本発明の効果を損なわないものが好ましい。例えば、以下のものを挙げることができる。酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉の如き澱粉誘導体。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースの如きセルロース誘導体。カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白およびポリビニルアルコール、それらの誘導体。ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の如き共役重合体ラテックス。アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体の如きアクリル系重合体ラテックス。エチレン−酢酸ビニル共重合体の如きビニル系重合体ラテックス。上記の各種バインダーのカルボキシル基の如き官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス。カチオン基を用いて上記の各種バインダーをカチオン化したもの。カチオン性界面活性剤を用いて上記の各種バインダーの表面をカチオン化したもの。カチオン性ポリビニルアルコール下で上記の各種バインダーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの。カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記の各種バインダーの重合を行い、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの。メラミン樹脂、尿素樹脂の如き熱硬化合成樹脂の水性バインダー。ポリメチルメタクリレートの如きアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体および共重合体樹脂。ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂の如き合成樹脂系バインダー。これらの親水性バインダーは、単独で、または複数種を混合して用いることができる。
【0046】
中でも最も好ましく用いられる親水性バインダーは、ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルを加水分解することで合成することができる。インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコールは完全にまたは部分的にケン化された、ポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましい。さらに耐水性、発色性の観点から、粘度平均重合度2000以上、かつ、けん化度が85モル%以上98モル%以下であるポリビニルアルコールがより好ましい。さらに、粘度平均重合度は、2000以上5000以下であることが特に好ましい。
【0047】
ポリビニルアルコールのケン化度とは、JIS K 6726の方法で測定した値である。化学的には、ポリ酢酸ビニルをケン化してポリビニルアルコールを得た際の、ケン化反応によって生じた水酸基のモル数の割合である。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度とは、JIS K 6726(1994)に記載の方法で求めた値である。
【0048】
ポリビニルアルコールは水溶液の状態で使用することが好ましい。ポリビニルアルコール含有水溶液のポリビニルアルコール乾燥固形分濃度は、3.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。この範囲とすることで、塗工液の濃度が過度に低下して乾燥速度が大幅に低下することを優れて防ぎ、また、塗工液濃度の上昇により塗工液粘度が大幅に上昇して塗工面の平滑性が損なわれるのを特に抑制することができる。
【0049】
また、必要に応じてポリビニルアルコール以外の親水性バインダーも併用できるが、発色性の観点から、その使用量はポリビニルアルコールの使用量に対して50.0質量%以下であることが好ましい。
【0050】
上層のポリビニルアルコールの含有量は、インク吸収性の点から、上層に含まれる無機微粒子の含有量に対して13.0質量%以下であることが好ましく、11.0質量%以下であることがより好ましい。また、耐折り割れ性の点から、3.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%を超えることがより好ましい。
【0051】
下層のポリビニルアルコールの含有量は、インク吸収性の点から、下層に含まれる無機微粒子の含有量に対して30.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以下であることがより好ましく、15.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、耐折り割れ性の点から、10.0質量%以上であることが好ましい。
【0052】
<架橋剤>
本発明の上層および下層は、発色性、吸収性、耐折り割れ性の観点から、架橋剤を含む。架橋剤としては、ホウ酸、ホウ酸塩、水溶性ジルコニム化合物が挙げられる。中でも、ホウ酸およびホウ酸塩が好ましい。
【0053】
上層および下層のいずれか一方でも架橋剤を含まないと、発色性、吸収性、折り割れ性の少なくともいずれかが低下する。インク受容層に含まれる架橋剤の量が多すぎると、インク受容層の柔軟性が低下し、耐折り割れ性が低下する。一方、インク受容層に含まれる架橋剤の量が少なすぎると、吸収性が低下する。これは、塗布・乾燥時に発生するひび割れが顕著となることに起因すると考えられる。さらに、架橋剤の量が少なすぎると、耐折り割れ性が低下するが、これは、親水性バインダーと無機微粒子との間の凝集結合力が弱まることに起因すると考えられる。
【0054】
本発明者らが鋭意検討した結果、インク受容層を上層と下層に分け、それぞれに含まれる架橋剤の量を下記の範囲とすることで、発色性、吸収性と耐折り割れ性のいずれもが良好となることを見出した。
すなわち、上層の架橋剤の含有量は、上層に含まれる無機微粒子の含有量に対して0.45質量%以上2.20質量%以下であることが好ましい。また、0.50質量%を超えることがより好ましい。また、2.00質量%以下であることがより好ましい。
【0055】
また、下層の架橋剤の含有量は、下層に含まれる無機微粒子の含有量に対して0.30質量%以上1.50質量%以下であることが好ましい。また、0.50質量%以上であることがより好ましい。また、1.00質量%以下であることがより好ましい。
【0056】
<ホウ酸およびホウ酸塩>
本発明に用いる架橋剤として使用できるホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)だけでなく、メタホウ酸や次ホウ酸も挙げられる。
【0057】
ホウ酸塩としては、例えば、オルトホウ酸塩(例えば、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO)、二ホウ酸塩(例えば、Mg、Co)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四ホウ酸塩(例えば、Na・10HO)、五ホウ酸塩(例えば、KB・4HO、CsB)を挙げることができる。これらのホウ酸およびホウ酸塩の中でも、塗工液の経時安定性と、クラック発生の抑制効果の点からオルトホウ酸を用いることが好ましい。
【0058】
オルトホウ酸は、水溶液の状態で使用することが好ましい。オルトホウ酸含有水溶液の乾燥固形分濃度は、0.5質量%以上8.0質量%以下が好ましい。この範囲にすることで、塗工液の濃度が低下して乾燥速度が大幅に低下することを優れて防ぎ、オルトホウ酸が析出することを特に抑制できる。
【0059】
上層および下層には、必要に応じて各種の添加剤を含有してもよい。例えば、各種カチオン性樹脂の如き定着剤、多価金属塩の如き凝集剤、界面活性剤、蛍光増白剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、pH調節剤である
【0060】
<支持体>
本発明の支持体としては、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(表面がポリオレフィンの如き樹脂で被覆された樹脂被覆紙)の如き紙類を好ましく用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートの如き樹脂から形成される透明な熱可塑性フィルムを好ましく用いることができる。これ以外にも、適度なサイジングが施された紙である無サイズ紙やコート紙、無機物の充填もしくは微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙等)を使用できる。また、ガラスまたは金属からなるシートを使用しても良い。さらに、これらの支持体とその上に形成する層との接着強度を向上させるため、支持体の表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施してもよい。上述した支持体の中でも、記録媒体の光沢感の点から、レジンコート紙を用いることが好ましい。
【0061】
<インクジェット記録媒体の製造方法>
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法として、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、無機微粒子、バインダー、架橋剤、pH調整剤、各種添加剤、水等を必要に応じて混合した塗工液を、各層毎に調製する。これらの塗工液を、支持体上或いは層上に塗工する。塗工は、例えば、各種カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターを用い、オンマシンやオフマシンで塗工する。塗工時に、各塗工液の粘度調整を目的として、塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温してもよい。また、塗工後の塗工液の乾燥は、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーの如き熱風乾燥機を用いて行う。また、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波を利用した乾燥機等を用いてもよい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例および比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、「部」或いは「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0063】
<支持体>
下記条件にて支持体を作製した。まず、下記組成の紙料を固形分濃度が3.0%となるように水で調製した。
・パルプ 100部
(濾水度450mlCSF(Canadian Standard Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)(80部)、および濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)(20部))
・カチオン化澱粉 0.60部
・重質炭酸カルシウム 10.00部
・軽質炭酸カルシウム 15.00部
・アルキルケテンダイマー 0.10部
・カチオン性ポリアクリルアミド 0.03部
【0064】
次に、この紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。この後、サイズプレス装置で、固形分濃度が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸させ、乾燥させた。この後、マシンカレンダー仕上げをして、坪量170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基紙Aを製造した。
【0065】
基紙A上に、低密度ポリエチレン(70部)と、高密度ポリエチレン(20部)と、酸化チタン(10部)とからなる樹脂組成物を25g/m塗布した。さらに、その基紙Aの裏面に、高密度ポリエチレン(50部)と、低密度ポリエチレン(50部)とからなる樹脂組成物を、25g/m塗布することにより、樹脂被覆層を設けた支持体を製造した。
【0066】
(アルミナ水和物分散液1の調製)
イオン交換水333部に対して、解膠酸として、メタンスルホン酸1.5部を添加し、メタンスルホン酸水溶液を調製した。このメタンスルホン酸水溶液をホモミキサー(商品名:T.K.ホモミクサーMARKII2.5型、特殊機化工業製)で3000rpmの回転条件で攪拌しながら比表面積が130m/gのアルミナ水和物の微粒子(DISPERAL HP14、サソール製)100部を少量ずつ添加した。添加終了後もそのまま30分間攪拌し、固形分濃度23%のアルミナ水和物分散液1を調製した。
【0067】
(アルミナ分散液1の調製)
イオン交換水333部に対して、解膠酸として、メタンスルホン酸1.5部を添加し、メタンスルホン酸水溶液を調製した。このメタンスルホン酸水溶液をホモミキサー(商品名:T.K.ホモミクサーMARKII2.5型、特殊機化工業製)で3000rpmの回転条件で攪拌しながら比表面積が65m/gの気相法アルミナの微粒子(Aeroxide Alu 65、Evonik製)100部を少量ずつ添加した。添加終了後もそのまま30分間攪拌し、固形分濃度23%のアルミナ分散液1を調製した。
【0068】
<塗工液の調製>
下記の組成で、各塗工液を調製した。なお、塗工液組成の配合部数は、無機微粒子の総固形分を100部とした値である。
【0069】
(上層用塗工液1)
・アルミナ水和物分散液1(固形分濃度23%) 435.0部
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分濃度8%) 87.5部
・オルトホウ酸水溶液(固形分濃度5%) 20.0部
さらに、上記材料に水を加えて全体の固形分濃度が18.0%となるように調整した。これに、界面活性剤(サーフィノール465)を0.1%となるように添加し、上層用塗工液1を作成した。
【0070】
(下層用塗工液1)
・アルミナ水和物分散液1(固形分濃度23%) 304.0部
・アルミナ分散液1(固形分濃度23%) 130.0部
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分濃度8%) 125.0部
・オルトホウ酸水溶液(固形分濃度5%) 20.0部
さらに、上記材料に水を加えて全体の固形分濃度が18.0%となるように調整した。
【0071】
<実施例1>
上層用塗工液1および下層用塗工液1を、上層用塗工液が支持体から離れた位置となるようにし、下層用塗工液を支持体に近い位置となるよう、合計2層を多層スライドホッパー型塗工装置にて支持体の表面側に塗工し、続いて温度60℃で乾燥を行い、上層の厚みが5μm、下層の厚みが15μmとなるようにし、記録媒体1を得た。
【0072】
<実施例2>
上層の無機微粒子を、比表面積が110m/gのアルミナ水和物の微粒子(Disperal HP18、Sasol製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体2を得た。
【0073】
<実施例3>
上層の無機微粒子を、比表面積が200m/gのアルミナ水和物の微粒子(Disperal HP10、Sasol製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体3を得た。
【0074】
<実施例4〜7、比較例1、2>
下層におけるアルミナ水和物とアルミナの比率を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体4〜7、比較記録媒体1、2を得た。
【0075】
<実施例8>
下層のアルミナを、比表面積が40m/gのアルミナ水和物の微粒子(Disperal HP30、Sasol製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体8を得た。
【0076】
<実施例9>
下層のアルミナを、比表面積が80m/gのアルミナ水和物の微粒子(Disperal HP30、Sasol製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体9を得た。
【0077】
<実施例10>
下層のアルミナを、比表面積が100m/gのアルミナの微粒子(AEROXIDE Alu C、Evonik製)に変更した以外は、実施例3と同様に行い、記録媒体10を得た。
【0078】
<実施例11〜14>
上層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体11〜14を得た。
【0079】
<実施例15〜18、比較例3、4>
下層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体15〜18、比較記録媒体3、4を得た。
【0080】
<実施例19〜26、比較例5>
上層の親水性バインダーと架橋剤の添加量を変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体19〜26、比較記録媒体5を得た。
【0081】
<実施例27〜34、比較例6>
下層の親水性バインダーと架橋剤の添加量を変更した以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体27〜34、比較記録媒体6を得た。
【0082】
<実施例35>
支持体に樹脂被覆層を設けない以外は、実施例1と同様に行い、記録媒体35を得た。
【0083】
<比較例7>
上層のアルミナ水和物を、比表面積が80m/gのアルミナ水和物の微粒子(Disperal HP22、Sasol製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、比較記録媒体7を得た。
【0084】
<比較例8>
下層のアルミナを、比表面積が110m/gのアルミナ水和物の微粒子(Disperal HP18、Sasol製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、比較記録媒体8を得た。
【0085】
上記のようにして得られた実施例、比較例の記録媒体について、以下の評価を行った。評価方法を以下に説明する。評価結果の一覧を表1に示す。
【0086】
(耐折り割れ性)
得られた記録媒体をA4サイズにし、インクジェットプリンター(商品名:MP990、キヤノン製)を用いて、記録面全面にブラックのベタ印字を行った。印字を行った記録媒体を印字面が内側になるようにして2つ折りにし、さらに、プレス機を用いて500kgの荷重をかけて5分間保持し、折目をつけた。折目がついた記録媒体を20回開閉した後、折目部分を目視で確認し、以下の基準で評価を行った。
・評価基準
5:白い筋がほとんど見えない。
4:白い筋がわずかに見える。
3:白い筋が少し見える。
2:白い筋が見える。
1:白い筋がはっきり見える。
【0087】
(インク吸収性)
得られた記録媒体のそれぞれの記録面に、インクジェットプリンター(商品名:MP990、キヤノン製)を用いて、写真用紙 光沢ゴールド、色補正なしモードにて、グリーンのベタ印字を行った。さらに、印字部を目視にて観察し、下記の基準で判定した。
・評価基準
5:ベタ部にムラがほとんど見られない。
4:ベタ部にムラがわずかに見られる。
3:ベタ部にムラが少し見られる。
2:ベタ部にムラがかなり見られる。
1:ベタ部にインクのあふれが見られる。
【0088】
(発色性)
得られた記録媒体のそれぞれの記録面に、インクジェットプリンター(商品名:MP990、キヤノン製)を用いて、写真用紙 光沢ゴールド、色補正なしモードにて、ブラックのベタ印字を行った。これらの光学濃度を光学反射濃度計(商品名:530分光濃度計、X−Rite製)を用いてそれぞれ測定した。
5:2.20以上
4:2.15以上2.20未満
3:2.10以上2.15未満
2:2.00以上2.10未満
1:2.00未満
各実施例の記録媒体および各比較例の記録媒体の評価の結果を表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
表1に示す通り、実施例1〜35のインクジェット記録媒体は、全ての評価が「3」以上であり、吸収性、耐折り割れ性、発色性のいずれも良好である。一方、比較例1のインクジェット記録媒体は、下層に含まれる無機微粒子の比表面積が130m/gと大きいため、吸収性、耐折り割れ性が良好でない。比較例2のインクジェット記録媒体は、下層に含まれる無機微粒子の比表面積が123.5m/gと大きいため、吸収性、耐折り割れ性が良好でない。比較例3のインクジェット記録媒体は、上層と下層を合わせた厚みの合計が8μmと薄いため、発色性、吸収性が良好でない。比較例4のインクジェット記録媒体は、上層と下層を合わせた厚みの合計が38μmと厚いため、耐折り割れ性が良好でない。比較例5のインクジェット記録媒体は、上層が架橋剤を含まないため、吸収性、耐折り割れ性が良好でない。比較例6のインクジェット記録媒体は、下層が架橋剤を含まないため、吸収性、耐折り割れ性が良好でない。比較例7のインクジェット記録媒体は、上層に含まれる無機微粒子の比表面積が65m/gと小さいため、発色性が良好でない。比較例8のインクジェット記録媒体は、下層に含まれる無機微粒子の比表面積が116m/gと大きいため、耐折り割れ性が良好でない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の上に、インク受容層を有するインクジェット記録媒体であって、前記インク受容層は、前記支持体から遠い層である上層と、支持体から近い層である下層を有し、前記上層および前記下層は、無機微粒子と親水性バインダーと架橋剤を含み、前記無機微粒子は、アルミナの微粒子およびアルミナ水和物の微粒子から選ばれる少なくとも1種の微粒子を含み、前記上層に含まれる前記無機微粒子の比表面積が110m/g以上200m/g以下であり、前記下層に含まれる前記無機微粒子の比表面積が60m/g以上110m/g未満であり、前記上層と前記下層の厚みの合計が10μm以上30μm以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【請求項2】
前記下層が、比表面積が110m/gを超え、200m/g以下の無機微粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項3】
前記下層に含まれる無機微粒子のうち、比表面積が60m/g以上110m/g未満の無機微粒子の含有量が50質量%以上90質量%以下であり、比表面積が110m/gを超え、200m/g以下の無機微粒子の含有量が10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項4】
前記上層と前記下層の厚みの合計が15μm以上25μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項5】
前記上層の架橋剤の含有量が、上層に含まれる無機微粒子の含有量に対して0.45質量%以上2.20質量%以下であり、前記下層の架橋剤の含有量が、下層に含まれる無機微粒子の含有量に対して0.30質量%以上1.50質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項6】
前記上層および前記下層に含まれる前記親水性バインダーがポリビニルアルコールであり、前記架橋剤がホウ酸およびホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。


【公開番号】特開2012−218216(P2012−218216A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83784(P2011−83784)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】