説明

インクジェット記録媒体

【課題】 発色性及び耐湿性と、高速印刷時のインク吸収性、搬送時のインク受容層の耐割れ性、並びにインク受容層の耐傷性を有するインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】 本発明は、支持体上に、アルミナ顔料と、炭素数が1以上4以下のアルキルスルホン酸を含むインク受容層を有するインクジェット記録媒体において、前記インク受容層はホウ酸又はホウ酸塩、高分子化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を更に含み、前記高分子化合物は、2つ以上の活性水素基を有する含硫黄有機化合物(A)、イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物(B)及び2つ以上の活性水素基を有するアミン化合物(C)の少なくとも3種の化合物を反応させ、さらに得られる生成物中のアミノ基の少なくとも一部が酸によりカチオン化されてなる高分子化合物であるインクジェット記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録媒体としては、シリカやアルミナ水和物等の無機顔料を、ポリビニルアルコール等のバインダーで保持したインク受容層を有するものが一般的である。このようなインクジェット記録媒体には、発色性、耐湿性、インク吸収性、さらには記録媒体をプリンタで搬送する際にインク受容層が割れないことや、傷付きにくいことが要求されている。
【0003】
特許文献1には、インク受容層中にアルミナ水和物とジルコニウム塩と0.05μm以下のカチオン性ウレタン樹脂を含有させることで、耐湿性に優れたインクジェット記録媒体を製造できることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、インク受容層中にアルミナ水和物とカチオン性ウレタン化合物を含有させることで、耐湿性、耐ガス性、耐光性に優れたインクジェット記録媒体を製造できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−15655号公報
【特許文献2】特開2005−336480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に使用されているカチオン性ウレタン樹脂をインク受容層に添加したインクジェット記録媒体では、高速印字時のインク吸収性に改善の余地があった。また、特許文献2に記載のインクジェット記録媒体では、高速印字時のインク吸収性と、プリンタで搬送する際のインク受容層の耐傷性に改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものである。従って、本発明の目的は、発色性及び耐湿性と、高速印刷時のインク吸収性、インクジェット記録媒体をプリンタで搬送する際のインク受容層の耐割れ性、並びにインク受容層の耐傷性を両立させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、支持体上に、アルミナ顔料と、炭素数が1以上4以下のアルキルスルホン酸と、ホウ酸又はホウ酸塩と、高分子化合物と、水溶性ジルコニウム化合物と、を含むインク受容層、を有するインクジェット記録媒体であって、前記インク受容層は、アルミナ顔料100質量部に対して、0.5質量部以上、8質量部以下の前記高分子化合物、0.15質量部以上、3質量部以下の前記水溶性ジルコニウム化合物、並びに0.8質量部以上、3質量部以下の前記ホウ酸又はホウ酸塩を含み、前記高分子化合物は、2つ以上の活性水素基を有する含硫黄有機化合物(A)、イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物(B)、及び2つ以上の活性水素基を有するアミン化合物(C)の少なくとも3種の化合物を反応させ、得られる生成物中のアミノ基の少なくとも一部が更に酸によりカチオン化された高分子化合物であり、前記インク受容層において、アルミナ顔料100質量部に対して、前記高分子化合物の質量比がA質量部、前記水溶性ジルコニウム化合物の質量比がB質量部の時、B/Aが0.02以上6以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体に関する。
【発明の効果】
【0009】
発色性及び耐湿性と、高速印刷時のインク吸収性、インクジェット記録媒体をプリンタで搬送する際のインク受容層の耐割れ性、並びにインク受容層の耐傷性を両立させたインクジェット記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明のインクジェット記録媒体を詳細に説明する。本発明のインクジェット記録媒体は、支持体上の少なくとも一方の面上にインク受容層を有する。
【0011】
<支持体>
支持体としては、例えば、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(両面がポリオレフィンなどの樹脂で被覆された樹脂皮膜紙)等の紙類、フィルムからなるものなどが好ましい。中でも、インク受容層形成後の光沢性の点から、レジンコート紙が好ましい。フィルムとしては例えば、下記の透明な熱可塑性樹脂フィルムが好ましい。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート。
【0012】
これ以外にも、適度なサイジングが施された紙である無サイズ紙やコート紙、無機物の充填若しくは微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙など)を使用してもよい。また、ガラス又は金属などからなるシートなどを使用してもよい。支持体とインク受容層との接着強度を向上させるため、支持体の表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施してもよい。
【0013】
<インク受容層>
(アルミナ顔料)
インク受容層は、アルミナ顔料を含有する。アルミナ顔料としては、アルミナ水和物が好ましい。特に、下記一般式(X)により表される構造を有するアルミナ水和物が好ましい。
Al3−n(OH)2n・mHO・・・・(X)(上記式(X)中、nは0、1、2又は3の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すため、mは整数又は整数でない値をとることができる。又、加熱するとmは0の値になることがあり得る)。
【0014】
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、キブサイト型、ベーマイト型が知られており、これらのうち、何れの結晶構造のものも使用可能である。これらの中でも好適なアルミナ水和物としては、X線回折法による分析でベーマイト構造、又は非晶質を示すアルミナ水和物である。具体的には、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されたアルミナ水和物を挙げることができる。このアルミナ水和物は、インク受容層形成時のインク受容層全体の平均細孔半径が7.0nm以上、10nm以下となるものを用いることが好ましい。また、8.0nm以上となるものを用いるのがより好ましい。インク受容層全体の平均細孔半径が、上記範囲内にあることによって、優れたインク吸収性及び発色性を発揮することができる。インク受容層全体の平均細孔半径が上記範囲よりも小さいと、インク吸収性が不足して、アルミナ水和物に対するバインダーの量を調整したとしても、十分なインク吸収性を得ることができない場合がある。また、インク受容層全体の平均細孔半径が上記範囲よりも大きくなると、インク受容層のヘイズが大きくなり、良好な発色性が得られない場合がある。さらに、インク受容層には細孔半径が25nm以上の細孔が存在しないことが好ましい。25nm以上の細孔が存在する場合には、インク受容層のヘイズが大きくなり、良好な発色性が得られない場合がある。
【0015】
インク受容層全体の細孔容積は、全細孔容積で0.50ml/g以上であることが好ましい。全細孔容積がこの値未満になると、インク受容層全体のインク吸収性が不足して、アルミナ水和物に対するバインダーの量を調整したとしても、十分なインク吸収性を得ることができない場合がある。
【0016】
尚、上記の平均細孔半径、全細孔容積とは、記録媒体を窒素吸着脱離法によって測定した、窒素ガスの吸着脱離等温線よりBJH(Barrett−Joyner−Halenda)法を用いて求められる値である。特に、平均細孔半径とは、窒素ガス脱離時に測定される全細孔容積と比表面積から計算によって求まる値である。
【0017】
インクジェット記録媒体を窒素吸着脱離法により測定した場合には、インク受容層以外の部分に対しても測定が行われることとなる。しかし、インク受容層以外の成分(例えば、支持体、樹脂被膜層等)は窒素吸着脱離法で一般的に測定できる範囲である1〜100nmに細孔を持っていない。このため、インクジェット記録媒体全体を窒素吸着脱離法で測定した場合は、インク受容層の平均細孔半径を測定しているものと考えられる。このことは、レジンコート紙を窒素吸着脱離法によって細孔分布を測定した場合、1〜100nmの間に細孔を有していないことからも推測される。
【0018】
上記のような平均細孔半径を有するインク受容層を形成するためには、BET比表面積が、100m/g以上200m/g以下であるアルミナ水和物を用いることが好ましい。より好ましくは、125m/g以上、175m/g以下である。尚、BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。このBET法では、通常、吸着気体として窒素ガスが用いられ、吸着量を被吸着気体の圧又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられる。この際、多分子吸着の等温線を表すものとして最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であって、BET式と呼ばれ比表面積決定に広く用いられている。上記BET法では、BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けることにより比表面積が得られる。BET法では、窒素吸着脱離法の測定において、ある相対圧力における吸着量の関係を数点測定し、最小二乗法によりそのプロットの傾き、切片を求めることで比表面積を導き出す。このため、測定の精度を上げるためには、相対圧力と吸着量の関係は少なくとも5点測定しておくことが好ましく、10点以上測定しておくことがより好ましい。
【0019】
アルミナ水和物は、平板状で、平均アスペクト比が3.0以上10以下、平板面の縦横比が0.60以上1.0以下のものが好ましい。なお、アスペクト比は、特公平5−16015号公報に記載された方法により求めることができる。アスペクト比は、粒子の(厚さ)に対する(直径)の比で示される。ここで「直径」とは、アルミナ水和物を顕微鏡又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(円相当径)を示す。また、平板面の縦横比は、アスペクト比と同様に、粒子を顕微鏡で観察した場合の、平板面の最小値を示す直径と、最大値を示す直径の比を示す。アスペクト比が上記範囲外となるアルミナ水和物を使用した場合、形成したインク受容層の細孔分布範囲が狭くなる場合がある。このため、アルミナ水和物の粒子径を揃えて合成するのが困難になる場合がある。また、同様に、縦横比が上記範囲外のものを使用した場合も、インク受容層の細孔径分布が狭くなる。
【0020】
アルミナ水和物には繊毛状と、繊毛状でない形状のものがあることが知られている。本発明者らの知見によれば、同じアルミナ水和物であっても、平板状のアルミナ水和物の方が、繊毛状のアルミナ水和物よりも分散性が良い。また、繊毛状のアルミナ水和物は、塗工時に支持体の表面に対して平行に配向し形成される細孔が小さくなって、インク受容層のインク吸収性が小さくなることがある。これに対して、平板状のアルミナ水和物は、塗工により配向する傾向が小さく形成されるインク受容層の細孔の大きさやインク吸収性へ悪影響を及ぼしにくい。このため、平板状のアルミナ水和物を用いることが好ましい。アルミナ水和物の具体例としては、例えばサソール社製、DISPERAL HP14が好ましい。
【0021】
(他のアルミナ顔料)
インク受容層には、アルミナ水和物以外のアルミナ顔料として、γ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナ等を併用して用いることができる。これらの中でもインク吸収性、搬送時の耐傷性の観点から、気相法で合成されたγ−アルミナ(以下、「気相法アルミナ」ともいう)が好ましい。γ−アルミナは、公知の方法で製造されたアルミナ水和物を400℃以上900℃以下の温度で加熱、焼成することによって得られる。
【0022】
気相法アルミナとしては、BET比表面積がアルミナ水和物よりも小さいもの、即ち一次粒子径が大きいものが、インク吸収性、搬送時の耐傷性の点で好ましい。耐傷性が良化するメカニズムは明らかでないが、本発明者らは以下のように推測している。アルミナ水和物のような板状構造の粒子が記録媒体の最表面(第1のインク受容層の表面)にある場合、搬送ローラーで加圧される際に記録媒体の変形と最表面に存在する粒子の向きが変化することにより、光沢度が若干変化する。この光沢度の変化によって、搬送傷を目立ちやすくする。一方、気相法アルミナは、形状が比較的球形に近く、形状の異方性がないため、粒子の向きが変化しても光沢度の変化が比較的小さい。このため、搬送傷が目立ちにくくなるものと推定している。
【0023】
気相法アルミナは、BET比表面積が50g/m以上であることが好ましく、80g/m以上であることがより好ましい。また、BET比表面積が150g/m以下であることが好ましく、120g/m以下であることがより好ましい。気相法アルミナの一次粒子径は、5nm以上であることが好ましく、11nm以上であることがより好ましい。また、一次粒子径は、30nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。
【0024】
気相法アルミナとして、市販品を用いることもできる。具体的には、下記のものを使用することができる。
AEROXIDE AluC(EVONIC製、一次粒子径13nm、BET比表面積100g/m)。
AEROXIDE Alu130(EVONIC製、一次粒子径10nm、BET比表面積130g/m)。
AEROXIDE Alu65(EVONIC製、一次粒子径20nm、BET比表面積65g/m)。
【0025】
中でもAEROXIDE AluC、AEROXIDE Alu65を用いると、インク吸収性及び耐搬送傷性が向上するため、より好ましい。AEROXIDE AluCを用いると、発色性が低下しにくいため、特に好ましい。インク受容層中のアルミナ水和物と気相法アルミナの質量比は、(アルミナ水和物):(気相法アルミナ)=100:0〜70:30であることが好ましく、60:40〜95:5であることがより好ましく、特に好ましくは、70:30〜90:10である。
【0026】
(バインダー)
インク受容層は、バインダーを含有することが好ましい。バインダーとしては、上記に挙げたアルミナ水和物を結着し、皮膜を形成する能力のある材料であって、且つ、本発明の効果を損なわない範囲のものであれば、特に制限なく利用することができる。例えば、下記のものを挙げることができる。
酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体。
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体。
カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体。
ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス。
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系重合体ラテックス。
エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス。
上記の各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス。
カチオン基を用いて上記各種重合体をカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤を用いて上記各種重合体の表面をカチオン化したもの。
カチオン性ポリビニルアルコール下で上記各種重合体を重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの。
カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記各種重合体の重合を行い、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの。
メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダー。
ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂。
ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー。
【0027】
これらのバインダーは、単独で、又は複数種を混合して用いることができる。中でも、ポリビニルアルコールが最も好ましい。ポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールを挙げることができる。ポリビニルアルコールは、平均重合度が1500以上のものが好ましく、平均重合度が2000以上5000以下のものがより好ましい。また、ケン化度は80以上100以下のものが好ましく、85以上100以下のものがより好ましい。
【0028】
インク受容層中のポリビニルアルコールの含有量は、アルミナ水和物に対して7.0質量%以上12.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、8.0質量%以上、9.0質量%以下である。7.0質量%未満の場合は、強度の高い塗膜が形成されにくい場合があり、12.0質量%より高い場合、ゲル化が促進されて塗工適性が低下することがある。
【0029】
(解膠剤)
インク受容層は、アルミナ水和物を安定的に分散させるために、炭素数が1以上4以下のアルキルスルホン酸を解膠剤として含有する。解膠剤として炭素数が5以上のアルキルスルホン酸やベンゼン環を有するスルホン酸を用いると、色安定性が劣化し、画像濃度が低くなりやすい。この理由は、炭素数が多くなると解膠剤の疎水性が強くなり、結果としてアルミナ表面の疎水性が強くなるので、アルミナ表面での染料定着速度が遅くなるためと考えられる。また、炭素数が5以上のアルキルスルホン酸やベンゼン環を有するスルホン酸でアルミナ水和物を解膠すると、十分な分散安定性を得ることが困難であり、増粘が進みやすく、生産適性が低くなる。更に、アルミナ水和物が凝集してしまい、画像濃度の低下を引起す。
【0030】
炭素数が1以上4以下のアルキルスルホン酸は、可溶化基としてスルホン酸基のみを有する1塩基酸であることが好ましい。アルキル基は、水酸基やカルボン酸基といった可溶化基を有さないアルキル基であることが、耐湿性の点で好ましい。アルキル基は、無置換アルキル基であることが好ましい。また、直鎖あるいは分岐のいずれでもよい。好ましいアルキルスルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、I−ブタンスルホン酸、t−ブタンスルホン酸等が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸が好ましい。さらに好ましくは、メタンスルホン酸である。
【0031】
インク受容層における、炭素数が1以上4以下のアルキルスルホン酸の含有量は、アルミナ顔料100質量部に対して1.0質量部以上、2.0質量部以下であることが好ましい。1.0質量部よりも少ないと耐オゾン性が低下する場合があり、2.0質量部よりも多いとインク吸収性が良好でない場合がある。また、1.3質量部以上、1.6質量部以下であることがより好ましい。
【0032】
(水溶性ジルコニウム化合物)
インク受容層は、耐傷性、インク吸収性を向上するために、水溶性ジルコニウム化合物を含有する。水溶性ジルコニウム化合物としては、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、塩化ジルコニウム等が挙げられる。この中でも酢酸ジルコニウムがアルミナ塗工液の分散性を損ねずに最も添加しやすいため、好ましい。添加量は、アルミナ顔料100質量部に対して0.15質量部以上、3質量部以下である。0.15質量部より少ないと、耐傷性の効果が小さく、また3質量部を超えると、プリンタ搬送時に記録媒体が大きく反った際にインク受容層がひび割れる(屈曲時の割れ)場合がある。好ましくは、0.3質量部以上、1質量部以下である。
【0033】
(ホウ酸、ホウ酸塩)
インク受容層は、耐傷性、インク吸収性を向上する目的で、インク受容層中に水溶性ジルコニウム化合物以外のバインダーの架橋成分としてホウ酸又はホウ酸塩を含有する。インク受容層におけるホウ酸又はホウ酸塩の合計含有量は、アルミナ顔料100質量部に対して0.8質量部以上、3質量部以下である。0.8質量部よりも少ないとインク吸収性、耐傷性が不十分である。3質量部よりも多いとプリンタ搬送時に記録媒体が大きく反った際にインク受容層がひび割れる(屈曲時の割れ)場合がある。好ましくは、1質量部以上、3質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上、2質量部以下である。ホウ酸塩としては、具体的にはホウ酸ナトリウムが挙げられる。
【0034】
(高分子化合物)
インク受容層は、高分子化合物を含有する。高分子化合物は、2つ以上の活性水素基を有する含硫黄有機化合物(A)、イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物(B)および2つ以上の活性水素基を有するアミン化合物(C)の少なくとも3種の化合物を反応させ、得られる生成物中のアミノ基の少なくとも一部が更に酸によりカチオン化されたものである。高分子化合物の具体例としては、下記一般式(1)〜(6)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であり、その重量平均分子量は2000〜150000である。mは上記範囲の重量平均分子量となるように決められる。
【0035】
【化1】

【0036】
(一般式(1)中、nは1または2、Rはメチレン基、エチレン基、またはプロピレン基を表す。Rはアルキレン基もしくは複脂環(脂環構造)を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【0037】
【化2】

【0038】
(一般式(2)中、nは1または2、RおよびRはそれぞれ独立で水素原子、水酸基またはアルキル基を表し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。Rはアルキレン基もしくは複脂環(脂環構造)を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【0039】
【化3】

【0040】
(一般式(3)中、nは0または1、Rはアルキレン基もしくは複脂環(脂環構造)を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【0041】
【化4】

【0042】
(一般式(4)中、nは1または2、Rは硫黄原子または酸素原子、Rは硫黄原子または−SO−を表し、RおよびRは同一ではなく、それぞれ異なる基で構成される。Rはアルキレン基もしくは複脂環(脂環構造)を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【0043】
【化5】

【0044】
(一般式(5)中、RおよびRはそれぞれ独立で水素原子またはアルキル基を表し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。Rはアルキレン基もしくは複脂環(脂環構造)を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【0045】
【化6】

【0046】
(一般式(6)中、Rは水酸基またはアルキル基を表す。Rはアルキレン基もしくは複脂環(脂環構造)を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)。
【0047】
高分子化合物の合成に用いられる化合物(A)は特に限定はされないが、分子内にスルフィド基を少なくとも1つ有する化合物が好ましい。具体的には下記一般式(7)〜(12)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を挙げることができる。特に、一般式(8)または一般式(12)に表される化合物は、大気中の酸性ガスや光による画像の変退色を抑える効果が高く、好ましく使用できる。また、以下の化合物(A)は、単独、若しくは2種以上を同時に使用して本発明の高分子化合物を合成することが可能である。
【0048】
【化7】

【0049】
(一般式(7)中、nは1または2、Rはメチレン基、エチレン基、またはプロピレン基を表す。)
【0050】
【化8】

【0051】
(一般式(8)中、nは1または2、RおよびRはそれぞれ独立で水素原子、水酸基またはアルキル基を表し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。)
【0052】
【化9】

【0053】
(一般式(9)中、nは0または1を表す。)
【0054】
【化10】

【0055】
(一般式(10)中、nは1または2、Rは硫黄原子または酸素原子、Rは硫黄原子または−SO−を表し、RおよびRは同一ではなく、それぞれ異なる基で構成される。)
【0056】
【化11】

【0057】
(一般式(11)中、RおよびRはそれぞれ独立で水素原子またはアルキル基を表し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。)
【0058】
【化12】

【0059】
(一般式(12)中、Rは水酸基またはアルキル基を表す。)。
【0060】
高分子化合物の合成に用いられる化合物(B)としては、例えば、下記の化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート。
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート。
3,3′−ジクロロ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート。
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート。
キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート。
【0061】
また、これらポリイソシアネート化合物を単独、若しくは2種以上同時に使用して、高分子化合物を合成することが可能である。
【0062】
高分子化合物の合成に用いられる化合物(C)としては、例えば、下記一般式(13)で表わされるような3級アミンが好ましい。
【0063】
【化13】

【0064】
(一般式(13)中、R、R、及びRはいずれか一つが炭素数1〜6のアルキル基、アルカノール基、またはアミノアルキル基であり、それ以外は同一若しくは異なっていてもよく、アルカノール基、アミノアルキル基、またはアルカンチオール基を表す。)。
【0065】
一般式(13)で表わされる化合物(C)の具体例として、例えば、ジオール化合物としてはN−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N−エチル−N,N−ジエタノールアミン、N−イソブチル−N,N−ジエタノールアミン、N−t−ブチル−N,N−ジエタノールアミン、N−t−ブチル−N,N−ジイソプロパノールアミンなどが挙げられ、トリオール化合物としてはトリエタノールアミンなどが挙げられる。また、ジアミン化合物としてはメチルイミノビスプロピルアミン、ブチルイミノビスプロピルアミンなどが挙げられ、トリアミン化合物としてはトリ(2−アミノエチル)アミンなどが挙げられる。これらアミン化合物は単独、または2種以上を同時に使用して、高分子化合物を合成することが可能である。
【0066】
高分子化合物は、上記の通り化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)とを反応させ、化合物(A)ユニットと化合物(B)ユニットと化合物(C)ユニット(該ユニット中の3級アミンはカチオン化されている)を分子中に含む高分子として得られる。該高分子中の化合物(C)の含有量がモル比で5.5〜18.5%であることが好ましい。化合物(C)の含有量がモル比で5.5%より低いと、親水基の含有率が低下して、高分子化合物の水分散体を調製する際に不都合となったり、インク受容層を形成する際の水性塗工液中への配合が難しくなったりする場合がある。一方、化合物(C)の含有量がモル比で18.5%より高いと、該高分子化合物を含有させたインクジェット記録媒体において、光沢度や印字濃度が低下する場合がある。
【0067】
高分子化合物は、化合物(C)のモル比が上記の範囲であれば、化合物(C)ユニットは、該高分子化合物中において3〜80質量%を占めることが可能である。この範囲を超えると前述したような高分子化合物の機能低下を引き起こす場合がある。
【0068】
高分子化合物において、化合物(C)の含有量が前述の範囲内のとき、組み込まれた化合物(A)ユニットの質量は、該高分子化合物中において10〜65質量%を占めることが好ましい。より好ましくは30〜65質量%を占める割合である。化合物(A)ユニットの占める割合が10質量%未満では高分子化合物としての効果が不十分となる場合がある。一方、化合物(A)ユニットの占める割合が65質量%を超えると相対的に親水性基の含有率が低下して、高分子化合物の水分散物を調整する際に不都合となる場合がある。
【0069】
また、化合物(B)は、化合物(A)と化合物(C)とを連結させる機能を有し、その使用量は特に限定されない。化合物(C)の含有量が前述の範囲のとき、好ましくは、化合物(B)ユニットの質量は、得られる高分子化合物中において10〜80質量%を占めるのが良い。より好ましくは30〜60質量%を占める割合である。化合物(B)ユニットの占める割合がこの範囲内であれば、化合物(A)と化合物(C)のユニットの機能を充分発揮するに足る量を結合することができる。
【0070】
また、上記化合物(A)〜(C)を用いる高分子化合物の合成方法は、ワンショット方法でも、プレポリマー法でも良い。ワンショット方法では、上記化合物(A)〜(C)を一度に反応させてランダム重合体とする。プレポリマー法では、化合物(A)(または化合物(C))と化合物(B)とをイソシアネート基リッチの割合で反応させて、末端イソシアネート基を有するプレポリマーを合成し、該プレポリマーと化合物(C)(または化合物(A))とを反応させる。また、何れの方法においても低分子量ポリオールや低分子量ジアミンなどの鎖伸長剤を併用してもよい。また、得られる高分子化合物の分子量は、化合物(A)〜(C)の使用量の変更や、モノアルコールやモノアミンなどの反応停止剤を適当なタイミングで反応系に添加することによって調整することができる。
【0071】
このようにして得られた高分子化合物の重量平均分子量は反応条件にもよるが、2000以上150000以下の範囲が好ましく、2000以上50000以下の範囲がさらに好ましい。高分子化合物の重量平均分子量が2000未満では光沢度や印字濃度が低下する場合があり、150000を越えると反応時間が長くなり合成コストが増加するので好ましくない。
【0072】
また、高分子化合物の合成に際しては、前記化合物(A)および化合物(C)以外の、2つ以上の活性水素基を有する化合物(以下「化合物(D)」という)を必要に応じて共重合させてもよい。このような化合物(D)としては、以下のようなポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールを単独、若しくは2種以上同時に使用することが可能である。
【0073】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量が300〜1000であるポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン、アルキレンオキシド付加体などのグリコール成分と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘンデカンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p′−ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物ないしエステル形成性誘導体などの酸成分とから、脱水縮合反応によって得られたポリエステル類をはじめとして、さらにはε−カプロラクトンなどの環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル類、またはそれらの共重合ポリエステル類などが挙げられる。
【0074】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、しょ糖、ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA、アコニット酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタール酸、1,2,3−プロパントリチオールなどの活性水素を少なくとも2個有する化合物を、開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレンなどのモノマーの1種または2種以上を用いて、常法により付加重合したものが挙げられる。また、ポリオールとして、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの1級アミノ基を少なくとも2個有する化合物を開始剤として用いて、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレンなどのモノマーの1種または2種以上を常法により付加重合したものを用いることもできる。特に好ましいものはポリエチレングリコールである。
【0075】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどのグリコールとジフェニルカーボネートおよびホスゲンとの反応によって得られる化合物などが挙げられる。
【0076】
高分子化合物は、イソシアネート重付加反応において、錫系触媒および/またはアミン系触媒を用いることが望ましい。かかる錫系触媒としては、ジブチルスズジラウレート、スタナスオクトエートなどが挙げられる。また、アミン系触媒としてはトリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N−メチルモルホリンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
上記のイソシアネート重付加反応は、組成によっては無溶剤下で行うことも可能である。しかし、反応系の反応抑制やベース粘度コントロールなどの目的でイソシアネート重付加反応系に直接関与しない親水性有機溶剤を反応溶媒として用いることが一般的である。このような親水性有機溶剤としては、例えば、下記の化合物を挙げることができる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンの如きケトン類。
蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチルの如き有機酸エステル。
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンの如きアミン類。
また、使用した親水性有機溶剤は最終的に取り除かれるのが好ましい。
【0078】
高分子化合物は、前記化合物(C)ユニットの少なくとも一部を酸によりカチオン化することにより、水中に分散安定化または溶解させることができる。他の方法として、ハロゲン化アルキルの如き4級化剤でカチオン化した場合、水中に好ましい粒子径で、高分子化合物を分散安定化または溶解させることはできない。ここで用いられる酸としては、特に限定はされないが、多価酸を用いた場合、高分子化合物を水中に分散または溶解する際に、増粘を起すことがあることから、燐酸および/または一価の酸が好ましい。燐酸としては、例えば、燐酸、亜燐酸が挙げられる。また、一価の酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸などの有機酸、および塩酸、硝酸などの無機酸が挙げられる。これらの酸は、化合物(C)ユニットをカチオン化することにより、酸陰イオンとなる。また、ヒドロキシ酸でカチオン化した高分子化合物は、これをインクジェット記録媒体のインク受容層の形成に適用した場合、他の酸でカチオン化した高分子化合物を用いた場合と比べて、非印字部分(白紙部)の黄変が抑制される。このため、より好ましくは、ヒドロキシ酸でカチオン化した高分子化合物を用いるのが良い。
【0079】
以上の方法で得られる高分子化合物、および高分子化合物の中で特に好ましいものは前記一般式(1)〜(6)で表される。
【0080】
インク受容層中の上記した高分子化合物の含有量は、インク受容層中のアルミナ顔料100質量部に対して0.5質量部以上、8質量部以下である。本発明においては、インク受容層中の上記した高分子化合物の含有量は、インク受容層中のアルミナ顔料100質量部に対して2質量部以上4質量部以下であることが好ましい。
【0081】
インク受容層において、アルミナ顔料100質量部に対して、高分子化合物の質量比がA質量部、水溶性ジルコニウム化合物の質量比がB質量部の時、B/Aは0.02以上6以下となっている。B/Aが0.02より少ないと、耐傷性の効果が小さく、6を超えると、プリンタ搬送時にインク受容層がひび割れる(屈曲時の割れ)場合がある。B/Aは、0.1以上1.5以下であることが好ましく、0.15以上0.2以下であることがより好ましい。
【0082】
なお、高分子化合物を水性媒体に分散させた場合、保存安定性の観点から該分散体の平均粒子径は5nm〜500nmの範囲であることが好ましい。さらに水溶性ジルコニウム化合物を含有するアルミナ分散液中で安定的に存在し、インクジェット記録媒体となった際にインク吸収性を向上するためには50nmよりも大きく200nm以下であることが好ましい。また、本発明でいう平均粒子径は動的光散乱法によって測定される。例えばナノトラック(UPA−150EX、日機装株式会社製)を用いて容易に測定することができる。
【0083】
また、高分子化合物は、ガラス転移温度(Tg)が、50℃以上80℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度は、DSCにて容易に測定が可能である。高分子化合物と水溶性ジルコニウム化合物は、共存していると、主にインクジェット記録媒体を製造する際の乾燥工程において、適度な凝集により細孔を形成する。ガラス転移温度が50℃以上80℃以下であることにより、高分子化合物の粒子形状が残存している間に水溶性ジルコニウム塩との相互作用により細孔を形成し、その後の乾燥により増膜するものと推定している。その結果として高速印字時のインク吸収性に優れた細孔構造を有するインクジェット記録媒体が得られる。Tgが50℃よりも低いと乾燥以前、もしくは乾燥後直ちに増膜してしまうため、上記のような細孔を形成するようなことがなく、インク吸収性を向上する効果が小さい場合がある。Tgが80℃よりも高温であると、乾燥工程を経ても粒子性が残存してしまい、透明な膜を得ることが難しくなる場合がある。
【0084】
高分子化合物のインク受容層中における含有量は、アルミナ顔料100質量部に対して0.5質量部以上、8質量部以下である。0.5質量部未満ではインク吸収性が不十分である。8質量部よりも多く含有すると、発色性が低下する。より好ましくは2質量部以上4質量部以下である。
【0085】
(その他添加剤)
インクジェット記録媒体には、添加剤として、pH調製剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料を添加しても良い。また、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料等を添加しても良い。
【実施例】
【0086】
以下、実施例、比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。尚、以下に「部」または「%」とあるのは、特に断らない限り質量基準である。
【0087】
<高分子化合物1−1の合成>
以下のようにして高分子化合物1−1を合成した。攪拌装置、温度計および還流冷却管を備えた反応容器に、反応溶媒としてアセトン140gを投入し、撹拌下、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを50.00gおよびメチルジエタノールアミン10.46g溶解させた。この後、40℃まで昇温してイソホロンジイソシアネートを79.66g加えた。その後、50℃まで昇温して錫系触媒を0.4g加え、さらに55℃まで昇温して撹拌しながら4時間、反応を行なった。
【0088】
反応終了後、反応溶液を室温まで冷却して35%塩酸9.14gを加えてカチオン化した。さらに水573gを加えた後、減圧濃縮をしてアセトンを除去して、さらに水で濃度調製することにより、固形分20%の本発明の高分子化合物1の水分散液(高分子化合物1−1)を合成した。1%水溶液でUPA−150EXを用いて平均粒子径を測定したところ35nmであった。また、ガラス転移温度(Tg)を測定したところ、60℃であった。
【0089】
<高分子化合物1−2の合成>
3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを55.00gとした以外は、高分子化合物1−1と同様の方法により高分子化合物1−2を合成し、固形分20%の高分子化合物1−2の水分散液を得た。平均粒子径は54nm、Tgは64℃であった。
【0090】
<高分子化合物1−3の合成>
3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを48.00gとした以外は、高分子化合物1−1と同様の方法により高分子化合物1−3を合成し、固形分20%の高分子化合物1−2の水分散液を得た。平均粒子径は96nm、Tgは60℃であった。
【0091】
<高分子化合物1−4の合成>
3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを53.00gとした以外は、高分子化合物1−1と同様の方法により高分子化合物1−4を合成し、固形分20%の高分子化合物1−2の水分散液を得た。平均粒子径は155nm、Tgは64℃であった。
【0092】
<支持体の作製>
まず、下記組成の紙料を調整した。
・パルプスラリー 100質量部
・濾水度450ml CSF(Canadian Standarad Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP) 80質量部
・濾水度480ml CSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)
20質量部
・カチオン化澱粉 0.60質量部
・重質炭酸カルシウム 10質量部
・軽質炭酸カルシウム 15質量部
・アルキルケテンダイマー 0.10質量部
・カチオン性ポリアクリルアミド 0.03質量部。
【0093】
次に、この紙料を長網抄紙機で抄造し3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。この後、サイズプレス装置で、固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸させ、乾燥させた。さらに、マシンカレンダー仕上げをして、坪量170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基紙を得た。
【0094】
この基紙上に、低密度ポリエチレン(70質量部)と、高密度ポリエチレン(20質量部)と、酸化チタン(10質量部)からなる樹脂組成物を25g/m塗布した。さらに裏面に、高密度ポリエチレン(50質量部)と、低密度ポリエチレン(50質量部)からなる樹脂組成物を、25g/m塗布することで、樹脂被覆した支持体を作製した。
【0095】
<アルミナ水和物分散液の作製>
純水213g中に、アルミナ顔料1としてアルミナ水和物Disperal HP14(サソール社製)100g、解膠酸であるメタンスルホン酸を1.5g(アルミナ顔料100質量部に対して1.5質量部)混合した。そして、ミキサーで30分間撹拌し、アルミナ分散液1を調製した。同様の方法にて、アルミナ分散液2〜31を調製した。なお、アルミナ分散液2〜31では場合によっては、解膠酸としてメタンスルホン酸の代わりにエタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、酢酸、アミド硫酸、ベンゼンスルホン酸を使用した。また、アルミナ顔料1に加え、アルミナ顔料2(Alu−C、正式名称:Aluminium Oxide C、デグッサ製)を使用する場合には、予めアルミナ顔料1とアルミナ顔料2を粉黛状態で混合し、アルミナ分散液1と同様の方法により、アルミナ分散液を調製した。
【0096】
(実施例1)
ポリビニルアルコールとしてPVA235(クラレ製、重合度:3500、ケン化度:88%)をイオン交換水中に溶解させて、固形分9.0質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液と、アルミナ分散液1を、ポリビニルアルコールの固形分をXg、アルミナ水和物の固形分をYgとした時に、(X/Y)×100=9%となるように混合した。次に酢酸ジルコニウム、ホウ酸、高分子化合物1−1を表1に記載の数量を混合し、インク受容層用塗工液とした。
【0097】
このインク受容層用塗工液を、作製した支持体上に35g/mとなるようにスライドダイを用いて塗布した。塗工液の液温は45℃とした。塗工後、80℃で乾燥して、インクジェット記録媒体1を作製した。
【0098】
実施例2〜実施例19、比較例1〜10の記録媒体についてもアルミナ顔料1(Disperal HP14、サソール社製)、アルミナ顔料2(Alu−C、正式名称:Aluminium Oxide C、デグッサ製)、解膠酸、架橋剤1、架橋剤2、高分子化合物を表1に示す配合で、実施例1と同様に記録媒体を作成した。
【0099】
なお、比較例9、10には、高分子化合物とは別のカチオン性ウレタン化合物を添加剤として加え、インクジェット記録媒体を作成した。使用したカチオン性ウレタンはそれぞれスーパーフレックス620(SF620:平均粒子径30nm、Tg43℃、第一工業製薬製)、スーパーフレックス640(SF640:平均粒子径15nm、Tg−17℃、第一工業製薬製)である。
【0100】
【表1】

【0101】
<評価>
次に、インクジェット記録媒体の評価方法について説明する。
【0102】
<評価1;BkO.D.値>
上記で得られたインクジェット記録媒体1〜31のBkO.D.値を測定した。(RGB)値(000)の黒色のベタパターンをiP4600(キヤノン製)にて印字し、1日放置後グレタグスペクトロリノ(グレタグマクベス社製)にて測色した。測定結果を表1に示す。
【0103】
<評価2;耐湿性>
上記で得られた記録媒体1〜31の耐湿性を評価した。記録装置としては、iP4600(キヤノン製)を用い、ブルーのベタ画像上に「電驚」の白抜き文字を48ポイント、10ポイントで印字し、30℃、90%の環境で、14日間放置した。放置前後での白抜き部分への色材のにじみ度合いを目視にて下記の基準で評価した。
ランク5:10ポイント、及び48ポイント白抜き文字が共に全く滲みがなく、極めて良好。
ランク4:10ポイント白抜き文字は滲んでいるが、48ポイント白抜き文字は全く滲みがない。
ランク3:10ポイント、及び48ポイント白抜き文字が共に滲んでいるが、完全には滲んでいない。
ランク2:10ポイント白抜き文字は完全に滲んだ。48ポイント白抜き部はにじみがあるものの、完全には滲んでいない。
ランク1:10ポイント、及び48ポイント白抜き文字の白抜き部が完全に滲んだ。
【0104】
<評価3;インク吸収性>
上記で得られたインクジェット記録媒体1〜31の高速印字におけるインク吸収性を評価した。記録装置としては、Pro9000(キヤノン製)の印字処理方法を改造した装置を使用した。印字方法は、キャリッジ速度が15インチ/秒で、1回のパスで印字が完了する片方向印字とした。印字パターンは、Cyan色、Yellow色、Green色の3色を用い、境界の滲み度合い(いわゆるブリード)を判定でき、かつインクの打ち込み量が可変できるパターンを使用した。最大打ち込み量は160%Dutyとし、10%Duty刻みで可変できるように作成した。印字環境は30℃、80%の高湿環境下で行った。尚、本装置における100%Dutyとは、600dpi四方に22ngのインクを付与することを意味する。評価は目視で下記の基準で行った。
ランク5:160%Dutyでもビーディングしていない。
ランク4:160%Dutyではビーディングしているが、150%Dutyでビーディングが観察されない。
ランク3:150%Dutyではビーディングしているが、130%Dutyでビーディングが観察されない。
ランク2:130%Dutyではビーディングしているが、120%Dutyでビーディングが観察されない。
ランク1:100%Dutyでビーディングしている。
【0105】
<評価4;搬送時の割れ性>
上記で得られたインクジェット記録媒体1〜31の高速印字における搬送時のインク受容層の割れ性を評価した。搬送時のインク受容層の割れ性とは、カット紙のUターン搬送時や、ロール紙の搬送時にインク受容層にひびが入ることである。評価方法は、様々な直径の金属ロールにインクジェット記録媒体を押し当て、金属ロールの直径相当の曲面で曲げた際に記録媒体が割れるかどうかで評価した。評価は目視にて行った。
ランク5:直径8mmでも割れない。
ランク4:直径12mmで割れないが、8mmで割れる。
ランク3:直径20mmで割れないが、12mmで割れる。
ランク2:直径25mmで割れないが、20mmで割れる。
ランク1:直径25mmで割れる。
【0106】
<評価5;搬送時の耐傷性>
上記で得られたインクジェット記録媒体1〜31の高速印字における搬送時の表面傷を評価した。搬送時の表面傷とは、インクジェット記録媒体を搬送時に支えるローラーなどの硬い部材との接触により、接触部の光沢性が変化することで、傷として認識される現象である。評価装置としては、Pro9000(キヤノン製)を改造した装置を使用し、黒ベタを印字した際に、傷の目立ちやすさを目視にて評価した。目視評価は、オフィス環境(環境1)と晴れた日の屋外環境(環境2)の2環境にて評価した。屋外環境の方が直射日光の強い光があたるため、傷が目立ちやすかった。
ランク5:環境1、環境2共に傷が全く目立たない。
ランク4:環境1では傷が全く目立たないが、環境2ではやや気になる。
ランク3:環境1、環境2共に傷がやや気になる程度。
ランク2:環境1では傷がやや気になる程度だが、環境2ではひどく目立つ。
ランク1:環境1、環境2共に傷がひどく目立つ。
【0107】
上記評価方法により、評価した実施例1〜21及び比較例1〜10の結果を表2に示す。
【0108】
【表2】

【0109】
表2の結果より、本実施例では、O.D.値が大きく、耐湿性、インク吸収性、受容層の割れ、及び耐傷性の何れの評価結果でも3以上の結果が得られていることが分かる。これに対して、比較例では、O.D.値が比較的、小さく、耐湿性、インク吸収性、受容層の割れ、及び耐傷性のうち何れかが2以下となっていることが分かる。以上より、本発明の構成とすることにより、発色性及び耐湿性、インク吸収性、インク受容層の耐割れ性及び耐傷性を両立できることを確認できた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、
アルミナ顔料と、炭素数が1以上4以下のアルキルスルホン酸と、ホウ酸又はホウ酸塩と、高分子化合物と、水溶性ジルコニウム化合物と、を含むインク受容層、
を有するインクジェット記録媒体であって、
前記インク受容層は、アルミナ顔料100質量部に対して、0.5質量部以上、8質量部以下の前記高分子化合物、0.15質量部以上、3質量部以下の前記水溶性ジルコニウム化合物、並びに0.8質量部以上、3質量部以下の前記ホウ酸又はホウ酸塩を含み、
前記高分子化合物は、2つ以上の活性水素基を有する含硫黄有機化合物(A)、イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物(B)、及び2つ以上の活性水素基を有するアミン化合物(C)の少なくとも3種の化合物を反応させ、得られる生成物中のアミノ基の少なくとも一部が更に酸によりカチオン化された高分子化合物であり、
前記インク受容層において、アルミナ顔料100質量部に対して、前記高分子化合物の質量比がA質量部、前記水溶性ジルコニウム化合物の質量比がB質量部の時、B/Aが0.02以上6以下であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【請求項2】
前記高分子化合物は、下記一般式(1)〜(6)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であり、重量平均分子量が2000〜150000であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
【化1】


(一般式(1)中、nは1または2、Rはメチレン基、エチレン基、またはプロピレン基、Rはアルキレン基もしくは複脂環を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【化2】


(一般式(2)中、nは1または2、RおよびRはそれぞれ独立で水素原子、水酸基またはアルキル基を表し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。Rはアルキレン基もしくは複脂環を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【化3】


(一般式(3)中、nは0または1、Rはアルキレン基もしくは複脂環を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【化4】


(一般式(4)中、nは1または2、Rは硫黄原子または酸素原子、Rは硫黄原子または−SO−を表し、RおよびRは同一ではなく、それぞれ異なる基で構成される。Rはアルキレン基もしくは複脂環を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【化5】


(一般式(5)中、RおよびRはそれぞれ独立で水素原子またはアルキル基を表し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。Rはアルキレン基もしくは複脂環を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【化6】


(一般式(6)中、Rは水酸基またはアルキル基、Rはアルキレン基もしくは複脂環を1つ以上含む脂肪族炭化水素基、R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11およびR12はそれぞれ独立で水素原子もしくはメチル基、Xは酸陰イオンを表す。)
【請求項3】
前記アルキルスルホン酸はメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項4】
前記アルミナ顔料として、アルミナ水和物、又はアルミナ水和物と気相法アルミナを含み、
前記アルミナ水和物と気相法アルミナの質量比が100:0〜70:30であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項5】
前記B/Aの値が0.15以上1.5以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項6】
前記水溶性ジルコニウム化合物は酢酸ジルコニウムであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。

【公開番号】特開2012−254628(P2012−254628A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114832(P2012−114832)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】