説明

インクジェット記録用紙及びその製造方法

【課題】 本発明の目的は、コックリング耐性に優れ、プリント画像保存後の剥がれを引き起こすことがなく、高光沢性で写像性が良好なインクジェット記録用紙とその製造方法を提供する。
【解決手段】 セルロースパルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させた樹脂を含有する下塗層とインク吸収層とを積層したことを特徴とするインクジェット記録用紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のインクジェット記録用紙及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録方式においては、急速に画質向上が図られてきており、銀塩写真に迫りつつある。このような写真画質をインクジェット記録で達成するための手段として、使用されるインクジェット記録用紙についても急速に技術改良が試みられている。
【0003】
インクジェット記録用紙に用いられる支持体については、一般に紙等の吸水性支持体とポリエステルフィルムや樹脂被覆紙等の非吸水性支持体とが知られている。
【0004】
前者の吸水性支持体、例えば、普通紙、上質紙あるいはコート紙やキャストコート紙のような多孔質基材では、支持体自身がインクを吸収できるため、高インク吸収能を有する利点がある反面、支持体の吸水性に起因して製造時やプリント時に皺が発生(コックリングともいう)するという問題があった。また、インクの色材として染料を用いた場合、染料が支持体へ浸透してしまい最高濃度が出にくく鮮明な画像が得難いなど、高品位なプリントが得にくかった。更には、プリント時のコックリングに起因する、インクジェット記録ヘッドによるプリント表面の擦り傷を起し易いなどの課題を有している。上記課題に対し、例えば、普通紙基材とインク吸収層との間にガラス転移点が30〜60℃の接着剤と顔料からなる中間層を設けることでコックリングを改良する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、その効果は未だ不十分であり、更なる改良が必要とされている。
【0005】
一方、後者の非吸水性支持体は、上述のような問題はなく、高品位なプリントが得られる利点がある。非吸水性支持体の例としては、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。特に、後者は高品位なプリントを手軽に得ることができる点で有用であり、代表的には、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体が挙げられ、この支持体上に多孔質インク吸収層を設けることにより、高光沢な写真画質を実現することができた(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
他の非吸収性支持体を用いたインクジェット記録用紙の例として、紙の少なくとも片面に不飽和有機化合物を電子線照射で硬化させた樹脂被覆層を設け、更にインク吸収層を積層した例が示されている(特許文献3参照)。
【0007】
また、原紙に水分散性エマルジョンを塗布乾燥し、カレンダー処理することによって、水分散性エマルジョンを加熱成膜して平滑化し、支持体の表面光沢度を向上する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平5−85035号公報
【特許文献2】特許第3321700号公報
【特許文献3】特開平9−193533号公報
【特許文献4】特開2004−347722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の普通紙基材とインク吸収層との間にガラス転移点が30〜60℃の接着剤と顔料からなる中間層を設ける発明により、コックリングを改良する方法が提案されているが、その効果は未だ不十分であり、更なる改良が必要とされている。
【0009】
また、特許文献2に記載の紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体を用いたインクジェット記録用紙は、は支持体を製造するにはコストが高く、より手軽に使用するインクジェット記録用紙を実現するには限界があった。また、該支持体の高光沢性、高平滑性に起因して高画質のプリント画像を得ることはできるが、プリント物をテープで掲示するような場合、特に高温・高湿下で保存した後にテープを剥がすと記録用紙が剥離してしまう問題があることが分かった。
【0010】
一方、特許文献3に記載の不飽和有機化合物を電子線照射で硬化させた樹脂被覆層を設けた紙支持体に微粒子および親水性ポリマーを有するインク吸収層を積層したインクジェット記録用紙は、上記のような膜剥がれの問題がやや改善されるが、十分ではなく、更に、それ以上の新たな課題として、光沢や写像性がまったく不十分であり、また、ひび割れが生じやすいことがわかった。
【0011】
また、特許文献4に記載の原紙に水分散性エマルジョンを加熱成膜して支持体の表面光沢度を向上する技術は、該水分散性エマルジョン塗布液自身が水性塗布液であるがゆえに製造時に水によって紙繊維の水素結合を切断する等に起因してコックリング耐性が低下し、その後にカレンダー処理してもコックリング耐性の回復には限界がある支持体しか得られないことが分かった。更に、Tgよりも高い温度でカレンダー処理することにより加熱成膜するために水分散性エマルジョンがゴム状に軟化するため、カレンダーロールに転写し、ロール表面を汚してしまうという問題点があることも判明した。
【0012】
従って、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、コックリング耐性に優れ、プリント画像保存後の剥がれを引き起こすことがなく、かつ高光沢性で写像性が良好でひび割れのないインクジェット記録媒体とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0014】
(1)セルロースパルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させた樹脂を含有する下塗層とインク吸収層とを積層したことを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0015】
(2)前記光重合性オリゴマーが、光ラジカル重合型の多官能性アクリレート類であることを特徴とする前記(1)項に記載のインクジェット記録用紙。
【0016】
(3)前記光重合性オリゴマーが、ウレタンアクリレート類であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のインクジェット記録用紙。
【0017】
(4)前記インク吸収層が親水性ポリマーを含有し、該親水性ポリマーが、電離放射線により架橋されて形成された化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0018】
(5)前記インク吸収層が、空隙型インク吸収層であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0019】
(6)セルロースパルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させた樹脂を主成分とする下塗層を塗布し、その表面にカレンダー処理を施した後、インク吸収層を積層することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
【0020】
(7)前記光重合性オリゴマーが、光ラジカル重合型の多官能性アクリレート類であることを特徴とする前記(6)に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0021】
(8)前記光重合性オリゴマーが、ウレタンアクリレート類であることを特徴とする前記(6)または(7)に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0022】
(9)前記インク吸収層が親水性ポリマーを含有し、該親水性ポリマーが、電離放射線により架橋されて形成された化合物であることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0023】
(10)前記インク吸収層が、空隙型インク吸収層であることを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コックリング耐性に優れ、プリント画像保存後の剥がれを引き起こすことがなく、高光沢性で写像性が良好でひび割れのないインクジェット記録用紙とその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0026】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、1)セルロースパルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させた樹脂を含有する下塗層とインク吸収層とを積層したことを特徴とするインクジェット記録用紙、あるいは2)セルロースパルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させた樹脂を主成分とする下塗層を塗布し、その表面にカレンダー処理を施した後、インク吸収層を積層することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法により、コックリング耐性に優れ、プリント画像保存後の剥がれを引き起こすことがなく、かつ高光沢性で写像性が良好でひび割れのないインクジェット記録用紙およびその製造方法を見出し、本発明に至った次第である。
【0027】
すなわち、前述のように、特許文献1に記載の方法では、コックリングの改良効果としては未だ不十分であり、更なる改良が必要とされていたが、本発明のインクジェット記録用紙、あるいはインクジェット記録用紙の製造方法はこれを解決したものであって、コックリングを引き起こすことのないインクジェット記録用紙とその製造方法を提供することができる。
【0028】
また、前述の特許文献2に記載のインクジェット記録用紙では、支持体の高光沢性、高平滑性に起因して高画質のプリント画像を得ることはできるが、これは製造するにかかるコストが高いうえに、プリント物をテープで掲示するような場合、特に高温・高湿下で保存した後にテープを剥がすと記録用紙が剥離してしまう問題を有していたが、これは、多孔質インク吸収層自体ではなく、支持体の紙または紙とポリエチレン樹脂層の界面が剥がれることによって起きる現象であることが判明し、本発明のインクジェット記録用紙、あるいはインクジェット記録用紙の製造方法により、これらの課題を解決すべく本発明を完成するに至った。
【0029】
また、前述の特許文献3に記載のインクジェット記録用紙では、支持体の紙と樹脂被覆層との界面が剥がれる現象がやや改善されるが、十分ではなく、更に、それ以上の新たな課題として、光沢や写像性がまったく不十分であり、また、ひび割れが生じやすいことが判明した。これは、電子線のような高エネルギーの電離放射線を、樹脂被服層を設けた紙支持体に照射した場合、紙支持体中の水分が瞬間的に蒸発して気泡となり樹脂被服層表面の平滑性を劣化させたり、該樹脂被覆層にピンホールが生じやすい。ピンホールがあると、その上に設けるインク吸収層用塗布液の塗布時に、該塗布液がピンホールに浸透した結果、押し出された空気が気泡核となってインク吸収層にひび割れが生じることが原因となっていると本発明者らは考え、これらの課題を解決すべく本発明を完成するに至った。
【0030】
更に、前述の特許文献4に記載の原紙に水分散性エマルジョンを加熱成膜して表面光沢度を向上させた支持体は、該水分散性エマルジョン塗布液自身が水性塗布液であるがゆえに支持体製造時に水によって紙繊維の水素結合を切断する等に起因してコックリング耐性が低下し、その後にカレンダー処理してもコックリング耐性の回復には限界がある支持体しか得られないことが分かった。更に、Tgよりも高い温度でカレンダー処理することにより加熱成膜するために水分散性エマルジョンがゴム状に軟化するため、カレンダーロールに転写し、ロール表面を汚してしまうという問題点があるが、これらの課題を解決すべく本発明を完成するに至った。
【0031】
上記課題に対し、本発明のインクジェット記録用紙とその製造方法とすることにより、電子線に比べて低エネルギーである紫外線を用いることによって、紙支持体中の水分の瞬間的な蒸発という現象を引き起こすことはなく、上述したような光沢や写像性、およびひび割れという課題を解決することができたものである。
【0032】
普通紙や上質紙が例示できるセルロースパルプを主成分とする支持体に、本発明の光重合性オリゴマー、あるいは光重合性オリゴマー溶液(好ましくは非水系溶液)の塗布等を行って、紫外線硬化させることにより支持体の紙繊維の結合に影響することなく下塗層を形成できるため、製造時のコックリング耐性を満たすことができるものと考えている。また、セルロースパルプを主成分とする支持体に、本発明に係る下塗層を設けることにより、インク吸収層を形成する際、および、プリントする際に発生しやすいコックリングを防止することができるものと考えている。
【0033】
特に本発明においては、下塗層形成用塗布液で用いる溶媒は非水系溶剤であることが製造時のコックリング発生を防止するという点で好ましい。また、下塗層形成用塗布液を塗設すると同時あるいは短時間のうちに紫外線を照射して下塗層を形成することが好ましい。
【0034】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0035】
本発明のインクジェット記録用紙においては、セルロースパルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させた樹脂を含有する下塗層とインク吸収層とを積層したことを特徴とする。
【0036】
本発明に係る光重合性オリゴマーとは、モノマーの繰り返し単位が2〜20程度で、2〜6個の二重結合反応基を有する重合体でありプレポリマーともいうものであり、光ラジカル重合型の多官能性アクリレート類、または、光カチオン重合型オリゴマーであることが好ましく、特に光ラジカル重合型の多官能性アクリレート類は紫外線硬化時に湿度や温度による影響を受けにくく、安定にインクジェット記録用紙を提供できる点から好ましく用いられる。
【0037】
光ラジカル重合型の多官能性アクリレート類としては、以下に示す化合物が知られている(参考文献;「光硬化技術」技術情報協会 p3−5)。
【0038】
例えば、
(1)ビスフェノール型エポキシ樹脂あるいはエポキシアクリレート類、
(2)ウレタンアクリレート類、
(3)ポリエステルアクリレート類、
(4)ポリエーテルアクリレート類、
(5)側鎖のエポキシ基にアクリル酸を反応させて合成した反応性ポリアクリレート類、
(6)カルボキシル基を有する酸変性型のエポキシアクリレート類、
(7)カルボキシル基を有する酸変性型の反応性ポリアクリレート類、
等が挙げられる。
【0039】
本発明の目的の1つであるセルロースパルプを主成分とする支持体と下塗層との接着性をより高める点において、光重合性オリゴマーとしてはウレタンアクリレート類が特に好ましく用いられる。
【0040】
ウレタンアクリレートは、トリレンジイソシアネートのような多価イソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのような水酸基含有アクリル酸エステル、更に必要に応じ多価アルコールを反応させて得られる樹脂であり、具体例としては、ポリエステル(エチレングリコール・アジピン酸)・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエーテル(ポリエチレングリコール)・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0041】
本発明に係る光重合性オリゴマーを含有する塗布液の調製において、塗布液の粘度を調整する目的で、種々の反応性モノマーを併用することができる。
【0042】
本発明で用いることのできる反応性モノマーとは、例えば、光重合性モノマーが挙げられ、光重合性オリゴマー単独で構成された塗布液では粘度が高すぎる場合、粘度低下させる等により塗布液粘度を調整することを主な目的として使用するが、これにより下塗層塗布面のレベリングにより平滑性をより高めて、高平滑なインクジェット記録用紙を提供することができる。
【0043】
更にそれ自身が反応して硬化することによって下塗層の膜強度を高めたり、柔軟性をコントロールすることができる。
【0044】
反応性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、セロソルブ(メタ)アクリレート、メチルセロソルブ(メタ)アクリレート、ブチルセロソルブ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、メチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物などの単官能性不飽和化合物及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオベンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能性不飽和化合物などが挙げられる。
【0045】
これらのうちでも、硬化によって膜強度の向上に寄与する点、および皮膚刺激性や臭気がない点から2官能以上の多官能アクリレートが好ましく、特に2官能アクリレートは粘度低下能力に優れること、硬化時の体積収縮率が比較的小さい為、支持体あるいはインク吸収層との接着性に優れた下塗層を形成できるという観点において好ましく用いることができる。殊に、これらの観点において好ましいのはポリエチレングリコールジアクリレートなど多価アルコールの2官能アクリレートである。
【0046】
また、本発明に係る光重合性オリゴマーを含有する塗布液の調製において、塗布液の粘度を調整するために種々の溶媒を併用することもできる。
【0047】
ここで用いる溶媒としては、支持体中のセルロースを膨潤させカールを生じるおそれのないよう有機溶剤を用いることが好ましく、従って本発明の下塗層の塗布液は実質的に水を含まないことが好ましい。
【0048】
有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1、2−ジメトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルチミン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸系溶剤、エステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等のアミド系溶剤、アセトン、メチエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、スルホキシド系溶剤の他、ピリジン、トリエチルアミン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフランなどを使用できる。これら1種または2種以上を混合して使用してもよい。特に好ましい有機溶剤としては、酢酸エチル等のエステル系溶剤が挙げられる。
【0049】
上述したような各種有機溶剤を用いることができるが、エチレングリコール、ジエレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンのように紙基材中の水素結合性を変化させる有機溶剤は、むしろカール特性を劣化させる懸念があるため、使用しないほうが好ましい。
【0050】
本発明に係る光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させる際には、光重合開始剤や光増感剤を共存させることが好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは光重合性オリゴマーに対して化学的に結合されていてもよい。
【0051】
本発明で用いることのできる光重合開始剤、光増感剤は特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。光重合開始剤、光増感剤の例としては、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類;エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリハロメチルトリアジン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が挙げられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもよい。
【0052】
上記化合物のうち、ラジカル生成効率が良好である点において、アセトフェノン類が好ましい。
【0053】
上記化合物の添加量は、概ね光重合性オリゴマーに対して0.5〜20質量%であり、好ましくは2〜10質量%である。
【0054】
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0055】
本発明に係る下塗層の膜厚としては特に制限は無いが、概ね0.5〜10μmであり、0.5μm以上であれば水の浸透防止効果が顕著でコックリングの発生を抑制することができる。また、10μm以下であればインクジェット記録用紙を様々な温湿度環境下で取り扱う際のカールの発生を有効に防止することができる。
【0056】
本発明に係る下塗層を形成するのと同時あるいは形成後に、下塗層にカレンダー処理を施すことによって、顕著に光沢向上できることから好ましい。
【0057】
本発明に適用できるカレンダー処理は、例えば、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダー等を挙げることができる。カレンダー処理は、下塗層を設けた支持体を、金属ロールと他のロールとの間のニップ(間隙)を通すことにより圧力、せん断力による加圧処理及び熱による加熱処理を施すことにより、表面光沢を向上させるものである。金属ロールとしては、鋼鉄等のロール表面にニッケル、クロム、セラミック等を溶射して保護層としたものが通常使用され、表面は鏡面光沢を有するように研磨される。金属ロールと組み合わされる他のロールとしては、金属ロール、弾性ロール等が用いられるが、樹脂含有層表面の光沢の均一性からは弾性ロールが好ましい。弾性ロールは、コットン、ウール、パルプ等を鉄芯に巻いて高圧加工、研磨したロール、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の合成樹脂ロール、アラミド繊維ロール等が使用される。
【0058】
本発明に係る表面平滑化処理においては、カレンダー処理時の金属ロールと他のロール間のニップの線圧としては、1kN/cm以上、5kN/cm以下であることが好ましい。ニップの線圧が1kN/cm以上であれば顕著な表面平滑性が認められる。また、5kN/cm以下であれば装置上実施も容易である。
【0059】
また、処理速度により好ましいニップ線圧は変化するが、少なくとも1ニップあたり、処理速度として20m/分以上で処理するのが好ましい。処理速度の上限は特に無いが品質安定性や操業性の観点からは500m/分以下が好ましい。
【0060】
次いで、本発明のインクジェット記録用紙に用いるセルロースパルプを主成分とする支持体について説明する。
【0061】
本発明に係るセルロースパルプを主成分とする支持体の原料としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
【0062】
紙基材中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。サイズ剤としては高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等が、顔料としては炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等が、紙力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が、定着剤としては硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0063】
紙基材は、木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙後にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理をしたり、各種コート処理をしたり、カレンダー処理したりすることができる。
【0064】
次いで、本発明に係るインク吸収層について説明する。
【0065】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層は、膨潤型インク吸収層、空隙型インク吸収層のいずれも用いることができるが、好ましくは空隙型構造を有する空隙型インク吸収層である。
【0066】
膨潤型のインク吸収層は、主として親水性樹脂から構成され、親水性樹脂が膨潤することでインクを吸収する。この親水性樹脂としては、好ましくは架橋したゼラチンが用いられるが、それ以外の親水性高分子も用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル等の如きセルロース誘導体;アルギン酸ナトリウム、セルロース硫酸エステル、デキストリン、デキストラン、デキストラン硫酸塩などの糖誘導体;ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子の架橋体を用いることができる。ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを併用してもよく、更にゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物を用いることもできる。これらの親水性樹脂は、単独で用いても複数の種類を用いてもよい。
【0067】
次に、本発明のインクジェット記録用紙で好ましく適用される空隙型構造を有するインク吸収層について説明する。
【0068】
空隙型のインク吸収層としては、無機微粒子と有機バインダーから空隙を形成するもの、ポリマーの相分離から空隙を形成するもの、有機微粒子と有機バインダーで空隙を形成するものなどがある。
【0069】
本発明においては、空隙型のインク吸収層に無機微粒子と有機バインダーから空隙を形成するものが、インク吸収速度の点から特に好ましい。また水性インク記録に対しては、有機バインダーとして親水性バインダーであることが好ましい。
【0070】
インク吸収層の空隙を形成するのに好ましく使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0071】
無機微粒子の平均二次粒径は、粒子そのものあるいはインク吸収層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0072】
本発明においては、無機微粒子としては、シリカ、及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
【0073】
本発明で好ましく用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0074】
無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
【0075】
本発明においては、インク吸収層には有機バインダーを含有するが好ましくは親水性バインダーである。本発明で用いることのできる親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの親水性バインダーは、二種以上併用することも可能である。また、電離放射線により架橋または重合される有機バインダー樹脂を使用することも好ましい態様の1つである。
【0076】
本発明で好ましく用いられる親水性バインダーは、ポリビニルアルコールである。
【0077】
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアコールも含まれる。
【0078】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0079】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0080】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0081】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0082】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0083】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0084】
インク吸収層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、インク吸収層の空隙率、無機顔料の種類、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には、記録媒体1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0085】
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と有機バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。
【0086】
また、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0087】
インク吸収層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0088】
インク保持能を有するインク吸収層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0089】
本発明のインクジェット記録用紙においては、親水性バインダーとして、主鎖に複数の側鎖を有する親水性高分子化合物に電離放射線を照射して、側鎖間に架橋結合をさせた高分子化合物を含有することが、本発明の効果を更に高めることができ好ましい。
【0090】
本発明において、主鎖に複数の側鎖を有する親水性高分子化合物とは、電離放射線を照射すると側鎖間で架橋結合される高分子化合物である。そして、主鎖が(a)ポリ酢酸ビニルのケン化物、(b)ポリビニルアセタール、(c)ポリエチレンオキサイド、(d)ポリアルキレンオキサイド、(e)ポリビニルピロリドン、(f)ポリアクリルアミド、(g)ヒドロキシエチルセルロース、(h)メチルセルロース、(i)ヒドロキシプロピルセルロース、(j)前記(a)〜(i)の少なくとも一種の誘導体、および(k)(a)〜(j)を含む共重合体より選ばれる少なくとも一種で構成される。
【0091】
これらの親水性高分子化合物は、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により、架橋結合後に、架橋結合前よりも水に溶けにくくなる樹脂であることが好ましい。
【0092】
また、側鎖は、光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、および光解重合型より選ばれる少なくとも一種の変成基により構成されていることが好ましく、上記(a)〜(k)より選ばれる少なくとも一種の主鎖を変性することにより得ることが好ましい。
【0093】
本発明で用いる主鎖に複数の側鎖を有する親水性高分子化合物は、架橋結合のために、重合開始剤、重合禁止剤等が実質必要なく、また電離放射線照射後に未反応遊離基が生じることを抑制できるので、経時的に塗膜の折り割れ性が劣化するということを抑制できる。また、本発明の主鎖に複数の側鎖を有する親水性高分子化合物に電離放射線を照射し、側鎖間を架橋結合させた高分子化合物を含むバインダーを含有する多孔質層の網目構造は、架橋剤のみを用いて架橋結合させて形成される多孔質の網目構造や、主鎖に複数の側鎖を有さない親水性高分子化合物または重合度が低い親水性高分子化合物に電離放射線を照射して架橋結合させて形成された多孔質の網目構造のような比較的短い距離での三次元構造とは異なった、長い距離での架橋を含むため、多くの無機微粒子を保持しやすい構造を有しており、より少ないバインダー量で、即ち、無機微粒子に対するバインダーの比率をより小さくして、均一な膜を形成することができる。
【0094】
このように、無機微粒子に対するバインダー比が小さい方が、インク吸収層の空隙率は上がり、インクをより保持しやすくなる(インクを吸収しやすくなる)ので、インク溢れを抑制でき、乾燥が早く、形成される塗膜が強固で、折り曲げ等に対し強いほか、インクジェット記録用紙を形成した後の印字或いは印画前の記録層のひび割れ、剥落等が少なく、更に印画或いは印字の後においても折り曲げ等によるストレスに対し耐性が強い空隙型インク吸収層を有するインクジェット記録用紙を得ることが出来る。
【0095】
従って、高インク吸収性で、耐水性が改善され、折り割れおよびひび割れが少ないインクの乾燥速度の速いインクジェット記録用紙を得ることができる。
【0096】
主鎖に複数の側鎖を有する親水性高分子化合物としては、光二量化型のジアゾ型、もしくはシンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基を導入したものが好ましい。また、光架橋後アニオン染料等の水溶性染料により染色される樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、一級アミノ基ないし四級アンモニウム基等のカチオン性基を有する樹脂、例えば、特開昭56−67309号、同60−129742号、同60−252341号、同62−283339号、特開平1−198615号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)、硬化処理によりアミノ基になり、カチオン性になるアジド基のような基を有する樹脂、例えば、特開昭56−67309号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
【0097】
具体的には、例えば、特開昭56−67309号公報記載のポリビニルアルコール構造体中に、下記式(I)
【0098】
【化1】

【0099】
で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、又は下記式(II)
【0100】
【化2】

【0101】
で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物が好ましい。
【0102】
樹脂の具体例は、該公報中の実施例1及び2に、樹脂の構成成分及びその使用割合は該公報第2頁に記載されている。
【0103】
また。特開昭60−129742号公報に記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記式(III)または(IV)
【0104】
【化3】

【0105】
で示される構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂である。式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、A-はアニオンを示す。これらは、ポリビニルアルコールまたは部分鹸化ポリ酢酸ビニルに、ホルミル基を有するスチリルピリジニウム塩またはスチリルキノリニウム塩を作用させて製造した、スチリルピリジニウム(スチルバゾリウム)構造或いはスチリルキノリニウム構造を有する構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂であり、製造法については特開昭60−129742号に詳細に記載されており、これを参考に容易に製造できる。
【0106】
これら、スチリルピリジニウム基またはスチリルキノリニウム基を有するポリビニルアルコール中の、スチリルピリジニウム基またはスチリルキノリニウム基の割合は、ビニルアルコール単位あたり、0.2〜10.0モル%の割合であることが好ましい。10.0モル%以下とすることにより、塗布液への溶解性を向上することができる。また、0.2モル%以上とすることにより、架橋後の強度を向上することができる。
【0107】
また、上記において、ベースとなるポリビニルアルコールは、一部未鹸化のアセチル基を含んでいてよく、アセチル基の含有率は30%未満であることが望ましい。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、90〜100%のものが特に好ましい。また、その重合度は300〜3000程度であることが好ましく、400以上であることがより好ましい。重合度を300以上とすることにより、架橋反応のための放射線の照射時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。また、重合度を3000以下とすることにより、粘度が増大することを抑制でき、取り扱いが容易となる。
【0108】
なお、バインダーとして、上記主鎖に複数の側鎖を有する親水性高分子化合物とともに、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂を併用してもよい。
【0109】
本発明においては、光開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
【0110】
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
【0111】
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はないが、一例とし、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類、エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類、アセトフェノン類、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が挙げられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
【0112】
特に、水溶性の1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−(2−ヒドロキシ)−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等の水溶性開始剤が、混合性等に優れ架橋効率の観点からも好ましい。また、電離放射線として紫外線を使用する場合には、増感剤として、例えば、チオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテルキサントン、ジメチルキサントン、ベンゾフェノン、N,N,N′,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等の増感剤が好ましい。
【0113】
なお、増感剤を使用する場合、その使用量は塗布液中の電離放射線硬化型樹脂に対して0.2〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%程度の範囲で調節するのが望ましい。
【0114】
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。塗布組成物中の電離放射線硬化型樹脂に対して0.05〜3質量%程度混合してもよい。
【0115】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、第1〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を、該ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより得られる。
【0116】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0117】
上記バインダーを含有するインク吸収層を塗設後に、塗膜に電離放射線、例えば、紫外線(水銀灯或いはメタルハライドランプ等)等を照射する。この電離放射線の照射により、親水性高分子化合物の側鎖間で架橋反応を生じさせ、水性塗膜の粘度を上昇させ、流動化を防いで(いわゆるセットさせて)均一な塗膜を形成させることができる。電離放射線照射後に、塗膜を乾燥させ、支持体上に均一な、親水性バインダーと微粒子を主として含有する空隙型インク吸収層が形成されたインクジェット記録用紙を得ることができる。
【0118】
本発明においては、電離放射線を照射後、塗膜を乾燥させ、塗膜に含有される水を主体とする水性溶媒を蒸発させることが好ましい。水性溶媒が一部或いは大部分が蒸発していても良いが、塗膜が親水性の溶媒を含有した状態で電離放射線を照射することが好ましく、塗布後直ぐに電離放射線を照射することがより好ましい。これにより、塗布膜中の親水性高分子化合物の側鎖間の架橋反応によって、塗膜の流動化を抑えた上で塗膜を乾燥させて多孔質層を形成することができるので、均一な空隙型インク吸収層を有するインクジェット記録用紙を得ることができる。
【0119】
電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線等があげられ、人体への影響が少なく、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましく用いられる。
【0120】
電離放射線として電子線を使用する場合、照射する電子線の量は0.1〜20Mrad程度の範囲で調節するのが望ましい。0.1Mrad以上とすることにより、充分な照射効果を得ることができ、20Mrad以上とすることにより、支持体、特に紙やある種のプラスチックの劣化を抑制することができる。電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等が採用され、電子線を照射する際の加速電圧は100〜300kV程度が好ましい。なお、電子線照射方式は、紫外線照射に比べて生産性が高く、増感剤添加による臭気や着色の問題がなく、更に均一な架橋構造をとりやすいといった利点がある。
【0121】
本発明において好ましく用いられる主鎖に複数の側鎖を有する親水性高分子化合物は、特に、上記の増感剤等を添加しないでも例えば紫外線に感光し、容易に架橋反応することができ、紫外線の光源としては、紫外線ランプ(例えば0.5kPa〜1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ)、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ等が用いられ、5000〜8000μW/cm2程度の強度を有する紫外線が好ましく照射される。硬化に要するエネルギー量としては0.02〜20kJ/cm2の範囲が用いられる。
【0122】
また、本発明のインクジェット記録用紙において、ポリマー相分離により空隙を形成する方法としては、(1)ポリマーを良溶媒に溶解した溶液をインク吸収層上に塗布した後、塗布層上に前記ポリマーの貧溶媒をオーバーコートすることで空隙を形成する湿式相転換法、(2)ポリマーと、このポリマーの良溶剤と、この良溶剤よりも沸点が高く、前記ポリマーの貧溶剤を含む塗布液を塗布した後、溶媒を蒸発させて乾燥することによりミクロ相分離を生じて空隙を形成する乾式相転換法がある。
【0123】
前記ポリマーとしては、オレフィン系ポリマー、ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシドから誘導されるポリマー、セルロース誘導体などがあげられる。
【0124】
有機微粒子と有機バインダーからなる空隙型のインク吸収層において使用される有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等があげられる。
【0125】
また、有機バインダーとしては、無機微粒子と有機バインダーからなる空隙型のインク吸収層と同様のものが使用できる。
【0126】
本発明に係るインク吸収層には、染料インクの定着剤や微粒子の分散助剤としてカチオン性ポリマーを用いることができる。カチオン性ポリマー例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
【0127】
また、無機微粒子の分散剤としては上記カチオンポリマーの他に、ポリアクリル酸などのノニオン性、アニオン性のものも使用できる。この場合、染料インクの定着剤は、インク吸収層を塗布した後に上記カチオンポリマーや多価金属塩をオーバーコートすることで付与することができる。
【0128】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン、カチオン、非イオン、両性の各界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0129】
インク吸収層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。
【0130】
本発明において、支持体上に本発明に係る下塗層あるいはインク吸収層を設ける塗布方法としては、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法も用いることができる。
【0131】
本発明の記録用紙においては、カールバランスをとるために、支持体をはさんでインク吸収層と反対面にバックコート層を設けることがカールの発生を抑制する点で好ましく、これにより、プリント時にインクジェットプリンタの記録ヘッドに接触してふちが汚れたりすることを防ぐ。
【0132】
バックコート層を構成する材料としては、水分散性エマルジョン、水溶性樹脂、微粒子、有機溶剤系樹脂などがある。バックコート層の構成素材としては、上述のインク吸収層と紙基材の間に形成される有機溶剤に可溶の樹脂と微粒子を含む層と同じであることが、カールバランスがとりやすくなる観点から好ましい。この場合、インク吸収層の収縮応力を加味して、表裏の下塗層の厚さを変えるほうが好ましい。また、あらかじめ片面に樹脂層などのバックコート層が塗設されている紙基材を使用して、その反対面に本発明の下塗層とインク吸収層してもよい。例えば、一般のキャストコート紙のキャストコートされていない側に本発明に係る下塗層とインク吸収層を形成すれば、キャストコート層がバックコート層となる。バックコート層には必要に応じてマット剤や帯電防止剤を添加することができ、その塗設方法についてはインク吸収層と同様の方法で塗布することができる。
【0133】
バックコート層はおもて面の下塗層やインク吸収層を形成する前に塗布してもよいし、インク吸収層を塗布した後に塗布してもよい。
【0134】
本発明のインクジェット記録用紙を用いて画像形成を行う際、インクジェットインクを用いることができ、その中でも、水溶性染料、水、有機溶剤等を含有している水性染料インクを用いることが好ましい。
【0135】
本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができ、その具体的化合物としては、例えば、特開2002−264490号公報に例示した染料を挙げることができる。
【0136】
本発明で用いることのできるインクが含有する有機溶媒は、特に制限はないが、水溶性の有機溶媒が好ましく、具体的にはアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナトリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0137】
本発明に係るインクにおいて、各種の界面活性剤を用いることができる。本発明で用いることのできる界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0138】
また、本発明におけるインク中に、高分子界面活性剤も用いることができ、例えば、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
【0139】
本発明に係るインクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0140】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0141】
実施例1
《下塗り層用塗布液の調製》
〔下塗り層用塗布液Aの調製〕
ウレタンアクリレート系オリゴマー(第一工業製薬製R−1213) 53部
ポリエチレングリコールジアクリレート(第一工業製薬製PE−200) 43部
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ製 Irgacure184)4部
上記各添加剤を室温で攪拌しながら混合して、下塗り層用塗布液Aを調製した。
【0142】
〔下塗り層用塗布液Bの調製〕
上記下塗り層用塗布液Aの調製において、ウレタンアクリレート系オリゴマー(第一工業製薬製R−1213)を、エポキシアクリレート系オリゴマー(荒川化学製ビームセットAQ−9)に変更した以外は同様にして、下塗り層用塗布液Bを調製した。
【0143】
〔下塗り層用塗布液Cの調製〕
上記下塗り層用塗布液Aの調製において、光重合開始剤を除いた以外は同様にして下塗り層用塗布液Cを調製した。
【0144】
《シリカ分散液S−1の調製》
10%のカチオン性ポリマーP−1水溶液(n−プロパノールを10%およびエタノールを2質量%含有する)の150gに、予め均一に分散されている一次粒子の平均粒径が約7nmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル300)を23%含有するシリカ分散液(pH2.6、エタノール0.5%含有)の435gと、ホウ酸3.6g及びホウ砂0.8gを室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。
【0145】
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、シリカ含有量が18%になるように全量を純水で仕上げて、シリカ分散液S−1を得た。得られたシリカ分散液S−1を、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。シリカ微粒子の平均二次粒径を測定したところ、39nmであった。なお、平均二次粒径は、シリカ分散液を50倍に希釈し動的光散乱法式粒子径測定装置ゼータサイザー1000HS(マルバーン社製)を用いて測定した値である。
【0146】
【化4】

【0147】
《インク吸収層塗布液の調製》
〔インク吸収層塗布液Aの調製〕
500gの上記シリカ分散液S−1を40℃で攪拌しながら、重合度3500のポリビニルアルコール(クラレ製PVA235)の8%水溶液263gを徐々に加え、最後に純水で全量を1000gに仕上げて、インク吸収層塗布液Aを調製した。
【0148】
〔インク吸収層塗布液Bの調製〕
インク吸収層塗布液Aの調製において、使用したポリビニルアルコールを以下の変性ポリビニルアルコール水溶液に変更し、光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ製Irgacure2959)の10質量%イソプロパノール溶液を6ml加えた以外は同様にして、インク吸収層塗布液Bを調製した。
【0149】
〈変性ポリビニルアルコール水溶液〉
特開2000−181062号公報に記載の方法を参考にして、重合度1700、ケン化度98%のポリビニルアルコールにpH(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドを反応させ、架橋基変性率1mol%、固形分濃度8%の紫外線重合型ポリビニルアルコール誘導体の水溶液を調製した。
【0150】
《記録用紙の作製》
〔記録用紙1の作製〕
上質紙(しらおい 日本大昭和板紙社製)に、下塗り層用塗布液Aを湿潤膜厚が10μmになるようにアプリケーターを使用して塗布し、連続して365nmに主波長を持つメタルハライドランプを用いエネルギー量で200mJ/cm2となる条件で紫外線を照射し、樹脂層Aを形成した。更に、樹脂層Aを設けた側の裏面にも同様にして樹脂層Aを設け非吸水性支持体1を作製した。
【0151】
次に、非吸水性支持体1の片面にインク吸収層塗布液Aを湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、5℃に冷却後20〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して記録用紙1を作製した。
【0152】
〔記録用紙2の作製〕
上記記録用紙1の作製において、形成した樹脂層A表面に、金属ロールを備えたカレンダー装置を用いて、金属ロールの表面温度60℃、線圧3.0kN/cm、速度20m/秒でカレンダー処理を施した後に、インク吸収層塗布液Aを塗布、乾燥した以外は同様にして、記録用紙2を作製した。
【0153】
〔記録用紙3の作製〕
上記記録用紙1の作製で使用した非吸水性支持体1を用いて、その片面にインク吸収層塗布液Bを湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、連続して365nmに主波長を持つメタルハライドランプを用いエネルギー量で30mJ/cm2となる条件で紫外線を照射した後、20〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、記録用紙3を作製した。
【0154】
〔記録用紙4の作製〕
上記記録用紙1の作製において、下塗り層用塗布液Aを下塗り層用塗布液Bに変更して樹脂層Bを形成した以外は同様にして、記録用紙4を作製した。
【0155】
〔記録用紙5の作製〕
上質紙(しらおい 日本大昭和板紙社製)に、ウレタンアクリレート系オリゴマー(第一工業製薬社製、R−1213)を湿潤膜厚が10μmになるようにアプリケーターを使用して塗布し、連続して365nmに主波長を持つメタルハライドランプを用いエネルギー量で200mJ/cm2となる条件で紫外線を照射し樹脂層Cを形成した。更に、樹脂層Cを設けた側の裏面にも同様にして樹脂層Cを設けた。形成した樹脂層C表面に、金属ロールを備えたカレンダー装置を用いて、金属ロールの表面温度60℃、線圧3.0kN/cm、速度20m/秒でカレンダー処理を施して非吸水性支持体2を作製した。
【0156】
次に、非吸水性支持体2の片面にインク吸収層塗布液Aを湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、5℃に冷却後20〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、記録用紙5を作製した。
【0157】
〔記録用紙6の作製〕
上質紙(しらおい 日本大昭和板紙社製)に、下塗り層用塗布液Cを湿潤膜厚が10μmになるようにアプリケーターを使用して塗布し、塗布した側の裏面から加速電圧175kV、吸収線量2Mradの条件で電子線を照射して樹脂層Dを形成した。更に、樹脂層Dを設けた側の裏面にも同様にして樹脂層Dを設け、非吸水性支持体3を作製した。
【0158】
次に、非吸水性支持体3の片面にインク吸収層塗布液Aを湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、5℃に冷却後20〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して、記録用紙6を作製した。
【0159】
〔記録用紙7の作製〕
坪量170g/m2の原紙上の両面に、水分散性エマルジョン(星光PMC製T−XP163、Tg=50℃)を固形分付量が5g/m2になるように調整してワイヤーバーにて塗布、乾燥させた後、金属ロールを備えたカレンダー装置を用いて、金属ロールの表面温度70℃、線圧2kN/cm、速度20m/分で表面平滑化処理(カレンダー処理ともいう)を行い、樹脂層Eを形成して非吸水性支持体4を作製した。ついで、非吸水性支持体4の片面にインク吸収層塗布液Aを湿潤膜厚が180μmになるようにスライドホッパーを使用して塗布し、5℃に冷却後20〜65℃に段階的に温度を変化させた風で順次乾燥して記録用紙7を作製した。
【0160】
《記録用紙の評価》
上記作製した各記録用紙について、下記の各評価を行った。
【0161】
〔コックリング耐性の評価1:印字部〕
インクジェットプリンターPM−G800(セイコーエプソン(株)製)を使用して、各記録媒体に黒ベタ画像を印字し、25℃で放置した後、形成した黒ベタ画像面を目視観察し、下記基準に従ってコックリング耐性の評価を行った。評価ランクとして△以上であれば、実用上問題の無い品質であると判定した。
【0162】
◎:表面のうねりは判らず、美観を損なわない
○:表面にわずかにうねりが観察されるものの、光沢感を損なうほどではない
△:表面のうねりは小さく、美観を損なうことはない
×:表面にうねりが大きく観察され、美観を損なう
〔コックリング耐性の評価2:非印字部〕
各記録用紙の印字していない白地部を目視観察し、下記基準に従ってコックリング耐性の評価を行った。評価ランクとして△以上であれば、実用上問題の無い品質であると判定した。
【0163】
◎:表面のうねりは判らず、美観を損なわない
○:表面にわずかにうねりが観察されるものの、光沢感を損なうほどではない
△:表面のうねりは小さく、美観を損なうことはない
×:表面にうねりが大きく観察され、美観を損なう
〔光沢感の評価〕
光沢感は、各記録用紙のインク吸収層面側の光沢について、銀塩写真のカラーペーパー(コニカミノルタフォトイメージング社製カラーペーパー 光沢タイプQAペーパー 光沢タイプQAペーパー)と相対比較を行って、下記基準に従って光沢感の評価を行った。
【0164】
◎:銀塩写真と同等または同等以上の光沢感を有している
○:銀塩写真に比べるとやや光沢感は劣るが、実用上まったく問題ない範囲にある
△:銀塩写真に比べると光沢感は劣るが、ある程度の光沢は感じられる
×:銀塩写真に比べ、明らかに光沢感が劣る
〔写像性の評価〕
各記録用紙のC値を、写像性測定装置ICM−1DP(スガ試験機社製)により反射60度、光学くし2mmでの写像性(C値%)を測定した。
【0165】
◎:C値が60%以上であって、写像性が良好である
○:C値が45〜60%であって、写像性にやや劣るが実用上問題ない
×:C値が45%未満であって、写像性が不足する
〔ひび割れ耐性の評価〕
各記録用紙100cm2について、インク吸収層塗設面側をルーペを用いて観察し、5μm以上の大きさのひび割れ個数をカウントし、下記の基準に従って故障耐性(ひび割れ耐性)を評価した。画像品位上の許容限界レベルを△、実用上許容範囲外の品質を×とした。
【0166】
○:ひび割れの発生数が3個以下である
△:ひび割れの発生数が4〜9個
×:ひび割れの発生数が10個以上
〔写像性の評価〕
JIS H8686−2に記載の方法で、スガ試験機(株)製写像性測定器にて、反射45°、2.0mmの光学くしにおけるC値を測定し、下記の基準に従って写像性の評価を行った。
【0167】
◎:C値が60以上である
○:C値が50以上、60未満である
△:C値が40以下、50未満である
×:C値が40未満である
〔膜付耐性の評価〕
インクジェットプリンターPM−G800(セイコーエプソン(株)製)を使用して、各記録媒体に黒ベタ画像を印字し、形成した黒ベタ画像表面にセロハンテープを貼り付け、40℃80%RHの環境下で1週間保存した後にセロハンテープを剥がした時の膜の剥離状態を目視観察し、下記の基準に従って、膜付耐性を評価した。
【0168】
◎:ベタ画像が全く剥離しなかった
○:ベタ画像でほぼ剥離が認められなかった
△:ベタ画像の一部で微小な剥離は認められるが、実用上許容される品質である
×:ベタ画像部のかなりの領域で剥離が認められ、実用に耐えない品質である
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0169】
【表1】

【0170】
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるインクジェット記録用紙、あるいは本発明で規定する方法に従って製造したインクジェット記録用紙は、比較例に対し、コックリング耐性、光沢感、写像性、ひび割れ耐性及び膜付耐性に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースパルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させた樹脂を含有する下塗層とインク吸収層とを積層したことを特徴とするインクジェット記録用紙。
【請求項2】
前記光重合性オリゴマーが、光ラジカル重合型の多官能性アクリレート類であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項3】
前記光重合性オリゴマーが、ウレタンアクリレート類であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項4】
前記インク吸収層が親水性ポリマーを含有し、該親水性ポリマーが、電離放射線により架橋されて形成された化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項5】
前記インク吸収層が、空隙型インク吸収層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項6】
セルロースパルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、光重合性オリゴマーを紫外線により硬化させた樹脂を主成分とする下塗層を塗布し、その表面にカレンダー処理を施した後、インク吸収層を積層することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
【請求項7】
前記光重合性オリゴマーが、光ラジカル重合型の多官能性アクリレート類であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【請求項8】
前記光重合性オリゴマーが、ウレタンアクリレート類であることを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【請求項9】
前記インク吸収層が親水性ポリマーを含有し、該親水性ポリマーが、電離放射線により架橋されて形成された化合物であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【請求項10】
前記インク吸収層が、空隙型インク吸収層であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。

【公開番号】特開2007−69414(P2007−69414A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257604(P2005−257604)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】