説明

インクジェット記録用紙及びそれを用いた画像形成方法

【課題】 高い光沢性を維持したまま、シート品やロール品の搬送性をいかなる環境下においても問題ないレベルに改善し、またプリント後のインクジェット記録用紙同士の重なりや取扱時の表面への傷の付きやすさを軽減したインクジェット記録用紙及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】 耐水性の支持体の片面または両面に2層以上のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体から最も離れたインク吸収層が、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上の少なくとも2種の球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)を含有し、該球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)の平均粒径がそれぞれ8〜25μm、0.5〜5μmであり、該支持体から最も離れたインク吸収層の膜厚が5〜12μmであることを特徴とするインクジェット記録用紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録用紙及びそれを用いた画像形成方に関し、詳しくは、搬送性を改善し、光沢性、耐擦過性に優れたインクジェット記録用紙及びそれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録シートに付着させ画像や文字等の記録を行うもので、耐水性の支持体上に無機微粒子やバインダーからなる多孔質の空隙型インク吸収層を設けた記録材料が知られている。その用途は、染料インク用、顔料インク用、薄手〜厚手用、ハガキの小サイズ〜商業用等大判サイズ、等多種多様に使用されるようになり、最近では、シート品での搬送時のプロッキング(メディア同士の接着現象及びそれに伴う重送)や、大判ロールプリントでの斜め搬送等がユーザーの余計な工数やロスを生じるために好ましくなく、その対策が非常に重要になってきている。大判ロールプリント、特に厚手のインクジェット記録用紙においてはプリント時の温湿度条件の影響を受けて搬送に支障をきたすことがある。またプリント後のインクジェット記録用紙同士の重なりや取扱時に表面が擦れた場合等に傷がつかないことも非常に重要な特性である。
【0003】
一方、近年プリンターの高画質化に伴い画像出力においては写真画質に近づいてきており、特に銀塩プリント特有の質感、深み、風合いを再現するためには、高い光沢性を持つことが重要となっている。また、光沢性が高いほど、表面への傷の付きやすさが目立ち、耐擦過性を同時解決できないことは高画質化のための大きな支障になり得る。
【0004】
搬送性をよくするために、特許文献1にはインク吸収層に球状微粒子ポリマーを含有する技術、特許文献2にはインク吸収層に無機微粒子と有機微粒子を含有する技術が記載されているが、この方法ではシート品でのブロッキングは改善できるが、大判のロールプリントでの搬送性には不十分であり、また、高画質化のために重要な光沢性の劣化が避けられないという問題があった。
【0005】
このように、近年益々簡便性や高画質化が求められているインクジェット記録において、従来技術では、多用な各種プリンターでの搬送性、耐擦過性、光沢性を両立することは困難であった。
【特許文献1】特開平7−25133号公報
【特許文献2】特開2002−264481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高い光沢性を維持したまま、シート品やロール品の搬送性をいかなる環境下においても問題ないレベルに改善し、またプリント後のインクジェット記録用紙同士の重なりや取扱時の表面への傷の付きやすさを軽減したインクジェット記録用紙及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
【0008】
(請求項1)
耐水性の支持体の片面または両面に2層以上のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体から最も離れたインク吸収層が、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上の少なくとも2種の球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)を含有し、該球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)の平均粒径がそれぞれ8〜25μm、0.5〜5μmであり、該支持体から最も離れたインク吸収層の膜厚が5〜12μmであることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0009】
(請求項2)
前記球状有機ポリマー微粒子(A)を前記支持体から最も離れたインク吸収層に10〜80mg/m2含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
【0010】
(請求項3)
前記球状有機ポリマー微粒子(B)を前記支持体から最も離れたインク吸収層に20〜200mg/m2含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
【0011】
(請求項4)
前記球状有機ポリマー微粒子(B)が分散度1以下の単分散微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0012】
(請求項5)
前記支持体から最も離れたインク吸収層の表面のJIS−Z−8741に規定される75度鏡面光沢度が65%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0013】
(請求項6)
前記支持体から最も離れたインク吸収層が空隙型インク吸収層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0014】
(請求項7)
前記耐水性の支持体が紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【0015】
(請求項8)
請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いることを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い光沢性を維持したまま、シート品やロール品の搬送性をいかなる環境下においても問題ないレベルに改善し、またプリント後のインクジェット記録用紙同士の重なりや取扱時の表面への傷の付きやすさを軽減したインクジェット記録用紙及びそれを用いた画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明者は鋭意研究の結果、支持体から最も離れたインク吸収層に2種の平均粒径が異なる球状有機ポリマー微粒子を併用することにより、光沢性と搬送性の両立を実現し、かつ耐擦過性を改良できることを見出した。
【0018】
詳しくは、耐水性の支持体の片面または両面に2層以上のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体から最も離れたインク吸収層が、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上の少なくとも2種の球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)を含有し、該球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)の平均粒径がそれぞれ8〜25μm、0.5〜5μmであり、該支持体から最も離れたインク吸収層の膜厚が5〜12μmであるインクジェット記録用紙により、高い光沢性を維持したまま、シート品やロール品の搬送性をいかなる環境下においても問題ないレベルに改善し、プリント後のインクジェット記録用紙同士の重なりや取扱時の表面への傷の付きやすさを軽減したインクジェット記録用紙が得られることを見出した。
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】
〔球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)〕
本発明のインクジェット記録用紙(以下、記録用紙ともいう)は、支持体から最も離れたインク吸収層にガラス転移温度(Tg)が70℃以上の少なくとも2種の球状有機ポリマー微粒子(A)及び(B)を含有し、該球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)の平均粒径がそれぞれ8〜25μm、0.5〜5μmであることが特徴の一つのである。
【0021】
(ガラス転移温度(Tg))
本発明に用いられる球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)のガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが必要であり、好ましくは80〜125℃である。ガラス転移温度(Tg)とは、ポリマー物質はじめ多くの分子性物質が液体状態から冷却していくと、過冷却液体を経てガラス状態となり、このガラス状態へ変化する時の温度をいう。
【0022】
通常、記録用紙は、室温下で使用されるが、使用前の保存状態は必ずしも室温とは限らず、特に、夏場の密閉された車中では非常に高温状態となるため、そのような環境を経た後でも支障なく使用できることが望まれる。このため、球状有機ポリマー微粒子のガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが必要であるが、好ましくは80〜125℃である。
【0023】
前述の球状有機ポリマー微粒子のガラス転位温度(Tg)が70℃未満の場合には、加熱による有機微粒子の融着を生じやすくなり、その結果として、記録用紙表面の空隙が縮小または減少し、インク吸収速度の低減が起こりやすくなる。
【0024】
ここで、本発明に係る有機微粒子の構成成分であるポリマーのTgは、共重合成分としての単量体単独重合体のTg及び単量体組成比から質量分率によって計算で求めることが可能である。例えば、スチレン(単独重合体Tg=100℃=373K):n−ブチルアクリレート(単独重合体Tg=−54℃=219K)が4:1(質量比)の組成からなるポリマーのTgとしては、1/((1/373K)×4/5+(1/219K)×1/5)=327K(=54℃)と求められる。単量体単独重合体のTgについては、POLYMER HANDBOOK(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION)に多数の測定値が掲載されている。
【0025】
(平均粒径)
本発明において、球状有機ポリマー微粒子の球状とは、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した粒子の写真(50〜100個の粒子を観察)から、粒子の長径aと短径b(各々、平均値である)を求め、短径と長径の比b/aが0.80〜1.00の範囲に入るものである。短径と長径の比b/aは0.90〜1.00が好ましく、さらに0.95〜1.00が好ましい。
【0026】
本発明に用いられる球状有機ポリマー微粒子(A)の平均粒径は8〜25μmであり、より好ましくは10〜20μmである。粒径分布は2以下の単分散であることが好ましい。本発明でいう分散度とは、コールターカウンター社製のコールターカウンター測定器による粒度分布測定により得られる球相当粒子直径から、ΣNV2/ΣNV(Vは個々の粒子の直径を表し、Nは粒径がVである個数を表す)を基準に算出された標準偏差及び平均粒径から、標準偏差/平均粒径の比で表される値をいう。
【0027】
球状有機ポリマー微粒子(A)は、支持体から最も離れたインク吸収層(以下、最表面層ともいう)に10〜80mg/m2含有することが好ましく、さらに好ましくは15〜60mg/m2含有させることが、本発明の搬送性、耐擦過性、高光沢性の両立という目的を達成するのに好ましい。
【0028】
本発明に用いられる球状有機ポリマー微粒子(B)の平均粒径は0.5〜5μmであり、より好ましくは1〜3μmである。粒径分布は分散度1以下の単分散であることが好ましく、さらに好ましくは分散度0.7以下である。
【0029】
球状有機ポリマー微粒子(B)は、最表面層に20〜200mg/m2含有することが好ましく、さらに好ましくは30〜120mg/m2含有させることが、本発明の目的を達成する点において好ましい。
【0030】
また、球状有機ポリマー微粒子(B)の屈折率は光沢性の観点から1.45以上1.60未満であることが好ましく、さらに好ましくは、1.48以上1.58未満である。ポリマーの種類を変えることにより屈折率を調整することができる。
【0031】
球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)の比重は1.00〜1.40であることが好ましく、1.10〜1.25であることがさらに好ましい。
【0032】
(材質)
球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)の材質としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、SBR、NBR、ポリテトラフルオロエチレン、クロロプレン、タンパク質、多糖類、ロジンエステル、セラック樹脂等、従来公知のものから選ばれる。特に好ましい材質は、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、SBR等であり、変成や共重合によって2種以上の単量体からなる樹脂も好ましく用いられ、樹脂に対して特定の修飾基を付加したものや脱離基を除いたものでもよく、2種以上の材質を混合して有機微粒子を形成してもよい。
【0033】
共重合に用いられる単量体としては、エチレン性不飽和基を有する従来公知の任意のものが選ばれる。これらは、単一の種類であっても、複数種類であってもよい。このような単量体の例としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステルまたはアルキルアミド等であり、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、または、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、または、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジブチルアミノメチルアクリレート、ジヘキシルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、(t−ブチル)アミノエチルアクリレート、ジイソヘキシルアミノエチルアクリレート、ジヘキシルアミノプロピルアクリレート、ジ(t−ブチル)アミノヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらのうち好ましく用いられるのは、スチレン、メチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレートである。
【0034】
本発明に好ましく用いられる球状有機ポリマー微粒子は下記一般式(1)で表されるものである。
【0035】
【化1】

【0036】
式中、R1、R2及びR3はそれぞれ水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R4及びR5はそれぞれアルキル基、アリール基または複素環基を表す。Mは水素原子またはカチオン基を表す。x、y及びzはそれぞれエチレン性不飽和化合物のモル比を表し、z/(x+y)<0.3である。
【0037】
球状有機ポリマー微粒子(A)及び(B)は種々の方法で合成できるが、例えば特開2001−96910号に記載されている製造方法で製造することができ、無架橋タイプでも一部架橋したタイプでも構わない。球状有機ポリマー微粒子はその製造方法により粒子径や分散度(粒度分布)をコントロールできる。
【0038】
本発明に係る球状有機ポリマー微粒子は、水系エマルジョンとして調製し、塗布液を構成することが好ましく、その場合のエマルジョン粒子のイオン性は塗布液と等しいか、または非イオン性であることが好ましい。また、球状有機ポリマー微粒子を含有する層の塗布液のイオン性は、他の層の塗布液のイオン性と等しいか、または非イオン性であることが好ましい。また、最も好ましいのは球状有機ポリマー微粒子と塗布液全てのイオン性がカチオン性または非イオン性であることである。
【0039】
以下に本発明で好ましく用いられる球状有機ポリマー微粒子(A)及び(B)の具体例、及びその他の微粒子の具体例、MP1〜MP8の組成を表1に示す。
【0040】
表中の数字は、ポリマーを形成するモノマーの共重合の比率(モル%)を表す。以下は無架橋ポリマー、及び0.5〜5%の架橋分があるものを含む。併せて、MP1〜MP8のガラス転移点Tgと屈折率の値を示す。
【0041】
【表1】

【0042】
〔インク吸収層〕
次に、インク吸収層について説明する。
【0043】
本発明の記録用紙は、支持体の片面または両面に2層以上のインク吸収層を有する。
【0044】
一般に、インク吸収層としては、大きく別けて膨潤型と空隙型がある。
【0045】
膨潤型としては、水溶性バインダーを用い、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布し、これをインク吸収層としたものである。空隙型としては、微粒子及び水溶性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。水溶性バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。上記の2タイプの内、連続高速プリントに適応するには、記録用紙のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、本発明においては、最表面層のインク吸収層としては空隙型を特に好ましく用いることができる。
【0046】
(空隙型インク吸収層)
以下、空隙型インク吸収層について、さらに詳しく説明する。
【0047】
空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子及び親水性または疎水性樹脂を含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、記録用紙を水あるいは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して、概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が400nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが、特に好ましい。
【0048】
〈無機微粒子〉
上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0049】
そのような無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、また、2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
【0050】
本発明においては、特に微細な空隙が形成できる観点より、シリカまたは擬ベーマイトが好ましく、特に平均粒径が100nm以下の気相法により合成されたシリカ、コロイダルシリカ及び擬ベーマイトが好ましい。
【0051】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0052】
本発明で用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカあるいは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子等任意の形状のものを使用することができる。無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。無機微粒子は、その粒径が400nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサー等により、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0053】
〈親水性バインダー〉
空隙層にはバインダーとして親水性バインダーを用いることが好ましい。親水性バインダーとしては、従来公知のものの中から適宜選択して使用することができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、寒天、カラギーナン、デキストラン、デキストリン、プルラン、ヒドロキシエチルセルロール、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。
【0054】
これらの親水性バインダーは2種以上を併用することもできる。
【0055】
特に好ましい親水性バインダーはポリビニルアルコールである。ポリビリルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0056】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜4000のものが好ましく用いられる。
【0057】
ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0058】
カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0059】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0060】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0061】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0062】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0063】
ポリビニルアルコールは重合度や変性の種類違い等2種類以上を併用することもできる。
【0064】
上記無機微粒子の使用量は、記録用紙1m2当たり3〜50gであり、特に5〜30gが好ましい。また、親水性バインダーの使用量は記録用紙1m2当たり0.5〜10g、特に1〜5gである。また、無機微粒子の親水性バインダーに対する比率は概ね質量比で3〜10である。
【0065】
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じる等の問題が生じやすい。
【0066】
インク保持能を有する空隙層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0067】
〈架橋剤〉
本発明の記録用紙のインク吸収層には、従来公知の架橋剤を併用してもよく、架橋剤の種類は親水性樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0068】
そのような架橋剤の具体例としては、例えば、エポキシ系架橋剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、活性ハロゲン系架橋剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸及びその塩、アルミ明礬等が挙げられる。
【0069】
特に、上記空隙層中には皮膜の造膜性を改善し、また皮膜の強度を高めるために、ほう酸またはその塩を含有することが好ましい。ほう酸またはその塩としては、ほう素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸、四ほう酸、五ほう酸及びそれらの塩が含まれる。
【0070】
ほう酸またはその塩の使用量は、塗布液の無機微粒子や親水性バインダーの量により広範に変わり得るが、親水性バインダーに対して概ね1〜60質量%、好ましくは5〜40質量%である。
【0071】
〈添加剤〉
本発明の記録用紙のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン、カチオン、非イオン、両性の各界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0072】
また、カチオン媒染剤は印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。カチオン媒染剤としては第1〜3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いこと等から、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。好ましいポリマー媒染剤は上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
【0073】
本発明においてはインク吸収層は2層以上から構成されるが、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0074】
〔支持体〕
本発明では耐水性の支持体を用いる。すなわち、吸水性支持体の場合よりも耐水性の支持体の場合の方が、記録用紙中に顔料インク中の水溶性有機溶媒が多量に残留し、有機微粒子溶解等に対し効果的に作用するため、本発明の効果を顕著に奏することができると推定している。なお、正確には、「インク中の水溶性有機溶媒を吸収しない支持体」を使用するのが好ましいのであるが、ここでは耐水性の支持体を用いても、本発明の効果を顕著に奏することができると考えている。
【0075】
そのような耐水性の支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアセテート系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明フィルム、あるいは紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂で被覆した樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに酸化チタンや硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペット等の半透明もしくは不透明支持体が用いられる。
【0076】
上記支持体に本発明の塗布組成物を塗布するに当たっては、支持体と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明の記録用紙は必ずしも無色である必要はなく着色された支持体であってもよい。
【0077】
本発明で特に好ましく用いられる支持体は透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム及び原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体である。
【0078】
特に好ましいのはポリエチレンでラミネートした紙支持体であり、以下に説明する。
【0079】
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及びまたはLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。
【0080】
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0081】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
【0082】
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ算分の質量%との和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%下であることが好ましい。
【0083】
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。さらに原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0084】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
【0085】
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0086】
特に塗布層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して概ね3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0087】
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
【0088】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は水系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明の水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
【0089】
さらに上記ポリエチレン被覆紙支持体は以下の特性を有していることが好ましい。
【0090】
引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kgであることが好ましい
引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g、横方向が20〜200gが好ましい
圧縮弾性率≧104N/cm2
表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であってもよい
不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい。
【0091】
球状有機ポリマー微粒子(A)及び(B)を含有する支持体から最も離れたインク吸収層(最表面層)の膜厚は5〜12μmである。球状有機ポリマー微粒子(A)及び(B)の粒径にも影響されるが、さらに好ましくは6〜10μmである。
【0092】
また、本発明のインク吸収層は少なくとも片面に2層以上有するが、インク吸収層の総膜厚は25〜35μmであることが本発明の効果を発揮する上で好適である。
【0093】
また、本発明の記録用紙の支持体を含む総膜厚は、本発明の効果の観点から200〜330μmが好ましく、特に240〜310μmであることが好ましい。
【0094】
本発明の記録用紙において、複数の空隙層を支持体上に塗布するに当たっては、公知の方法から適宜選択して行うことができるが、全ての空隙層を同時に塗布することが好ましい。
【0095】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0096】
(鏡面光沢度)
本発明の最表面層のJIS−Z−8741に規定される75度鏡面光沢度は65%以上であることが好ましい。銀塩プリントの高画質により近づけるために、さらに好ましくは70%以上である。
【0097】
鏡面光沢度は下記のようにして測定する。
【0098】
JIS−Z8741に規定される75度鏡面光沢度測定法に準じて、記録用紙のインク吸収層側より、光沢度計(GM−26D:村上色彩技術研究所製)を用いて測定する。
【0099】
インク吸収層の表面粗さRaは、光沢性の点から0.2〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.2μmであることがより好ましい。
【0100】
(表面粗さRa)
表面粗さRaは、未印字のインク吸収層面をJIS B 0601に規定される方法で測定し、中心線表面粗さ(いずれも基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した)し、下記基準で評価する。品質上問題にならないのはA及びBである。
【0101】
A:中心線表面粗さRaが0.8μm未満であり、優れた平滑性を有す
B:中心線表面粗さRaが0.8〜1.2μmであり、良好な平滑性を有す
C:中心線表面粗さRaが1.2〜1.5μmであり、やや平滑性に欠ける
D:中心線表面粗さRaが1.5μmよりも大きく、平滑性が劣り、問題あり。
【0102】
(バック層)
本発明の記録用紙の空隙層を有する側と反対側にはカール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写をさらに向上させるためにバック層を設けることが好ましい。
【0103】
バック層の構成は支持体の種類や厚み、表側の構成や厚みによっても変わるが、一般には親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。
【0104】
また、バック層には他の記録用紙とのくっつき防止、筆記性改良、さらにはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化できる。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機または無機の微粒子である。これらのバック層は予め設けていてもよく、本発明の塗布組成物を塗布した後で設けてもよい。
【0105】
本発明の記録用紙のバック層及び下引き層等必要に応じて適宜設けられる各種の層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもできる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0106】
(インク)
本発明の記録用紙を用いた画像形成方法においては、水性インクを用いる記録方法が好ましい。本発明でいう水性インクとは、下記の着色剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体を意味する。本発明で用いることのできる着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素等の水溶性染料または水分散性顔料を使用することができる。中でも、特に好ましい着色剤は、フタロシアニン系の染料をシアン染料として用いたインクである。フタロシアニン系染料は、シアン系染料の中でも特に広く知られ、かつ用いられているものである。水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル類が好ましい。
【0107】
その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤等が挙げられる。
【0108】
水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性を良好にするため、20℃において25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有することが好ましい。
【0109】
本発明の画像形成方法で用いることのできるプリンターは、市販されているプリンターのように、例えば、記録媒体収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録媒体収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであることが好ましい。使用するインクジェットプリントヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)等を挙げることができる。好ましくは電気−機械変換方式であるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【実施例】
【0110】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
【0111】
実施例1
〔支持体Aの作製〕
含水率が6.5質量%、坪量90g/m2の写真用原紙の裏面に、押し出し塗布法により密度が0.92の低密度ポリエチレンを25μmの厚さで塗布した。次いで、表側にアナターゼ型酸化チタンを5質量%添加した、密度が0.92の低密度ポリエチレンを15μmの厚さで溶融押し出し塗布法で塗布して、両面をポリエチレンで被覆した型づけ面を有する支持体を作製した。
【0112】
次いで表側にコロナ放電を行い、硬化剤を含有するポリビニルアルコール下引き層を0.03g/m2、裏面にもコロナ放電を行った後、平均粒径が約1μmのシリカ粒子をマット剤として含有するラテックス層を0.2g/m2になるように塗布して支持体Aを作製した。
【0113】
〔インク吸収層の形成〕
上記作製した支持体の表側に塗布するインク吸収層用塗布液を、下記のようにして調製した。
【0114】
(分散液の調製)
〈酸化チタン分散液1の調製〉
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:CR−50表面アルミナ処理品)を、pH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製:PVA235)500g、カチオンポリマー(P−1)の150g及び消泡剤(サンノブコ株式会社製:3N381)を10gを含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液1を得た。
【0115】
【化2】

【0116】
〈シリカ分散液1の調製〉
1次粒子の平均粒径が約0.014μm、BET表面積が220m2/gの気相法シリカ125kgを、硝酸でpH=2.5に調整した600Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を660Lに純水で仕上げて、シリカ分散液1を得た。
【0117】
〈シリカ分散液2の調製〉
カチオン性ポリマー(P−1)1.29kg、エタノール4.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)15Lに、上記調製したシリカ分散液1の66.0Lを攪拌しながら添加し、次いで、ホウ酸240gとホウ砂210gを含有する水溶液6.0Lを添加し、前記の消泡剤SN381を1g添加した。
【0118】
この混合液を前記の高圧ホモジナイザーを用いて分散し、全量を純水で90Lに仕上げてシリカ分散液2を調製した。
【0119】
〈シリカ分散液3の調製〉
カチオン性ポリマー(P−2)1.29kg、エタノール5.0Lを含有する水溶液(pH=2.3)15Lに、前記シリカ分散液1の66.0Lを攪拌しながら添加し、次いで、ホウ酸240gとホウ砂210gを含有する水溶液6.0Lを添加し、前記の消泡剤SN381を1g添加した。
【0120】
この混合液を前記の高圧ホモジナイザーを用いて分散し、全量を純水で90Lに仕上げてシリカ分散液3を調製した。
【0121】
【化3】

【0122】
〈乳化分散液1の調製〉
ジイソデシルフタレート3000gを酢酸エチル12Lに加熱溶解し、これに酸処理ゼラチン3500g、カチオン性ポリマー(P−1)、サポニン50%水溶液4000mlを含有する水溶液35Lに添加、混合した後、前記の高圧ホモジナイザーを用いて乳化し、次いで、減圧して酢酸エチルを除去した後、全量を50Lに仕上げて、乳化分散液1を調製した。
【0123】
〈球状有機ポリマー微粒子分散液1〜15の調製〉
球状有機ポリマー微粒子(A)は表1記載のMP2、球状有機ポリマー微粒子(B)は表1記載のMP1を使用し、表2記載の各平均粒径の球状有機ポリマー微粒子を用い、添加量を変えて、PVA235を3g含有する純水7L中に添加し、高速ホモジナイザーで分散し、全量を7.8Lに仕上げて球状有機ポリマー微粒子分散液1〜15を調製した。この球状有機ポリマー微粒子分散液は下記第4層に添加する。
【0124】
球状有機ポリマー微粒子(B)の分散度は何れも0.2〜0.5の範囲内であった。
【0125】
また球状有機ポリマー微粒子分散液14の球状有機ポリマー微粒子(A)と球状有機ポリマー微粒子分散液15の球状有機ポリマー微粒子(B)はシリカ微粒子を使用した。
【0126】
(インク吸収層塗布液の調製)
下記に記載の手順に従って、インク吸収層用の第1層、第2層、第3層、第4層の各塗布液を調製した。
【0127】
〈第1層用塗布液〉
前記調製したシリカ分散液2の560mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0128】
1:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液
6ml
2:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
170ml
3:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
120ml
4:乳化分散液1 22ml
5:酸化チタン分散液1 40ml
6:第一工業株式会社製:ラテックスエマルジョン・AE−803 24ml
7:純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0129】
〈第2層用塗布液〉
前記調製したシリカ分散液2の650mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0130】
1:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液
0.6ml
2:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
150ml
3:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
120ml
4:乳化分散液1 30ml
5:カヤフィックスM(日本化薬製) 12ml
6:純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0131】
〈第3層用塗布液〉
前記調製したシリカ分散液3の650mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0132】
1:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液
6ml
2:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
260ml
3:乳化分散液1 30ml
4:カヤフィックスM(日本化薬製) 6ml
5:純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0133】
6:酢酸ジルコニル(30%水溶液) 12ml
なお、6は、塗布直前にインラインミキサーにて第3層塗布液に添加した。
【0134】
〈第4層用塗布液〉
前記調製したシリカ分散液3の690mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0135】
1:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液
0.6ml
2:ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
220ml
3:シリコン分散液(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製:BY−22−839) 3.5ml
4:サポニン50%水溶液 4ml
5:球状有機ポリマー微粒子分散液1〜15 10ml
6:界面活性剤−1(6%溶液) 4ml
7:純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0136】
なお、各塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールの詳細を以下に示す。
【0137】
PVA235:ケン化度88%、平均重合度=3500
PVA245:ケンカ度88%、平均重合度=4500
【0138】
【化4】

【0139】
(インク吸収層の塗布)
上記のようにして調製した各塗布液を、下記のフィルターで濾過した。
【0140】
第1層と第2層:東洋濾紙株式会社製TCP10で2段
第3層と第4層:東洋濾紙株式会社製TCP30で2段
次いで、ポリオレフィンで両面を被覆した前記支持体Aに、第1層(40μm)、第2層(50μm)、第3層(50μm)、第4層(30μm)の順になるように各層を同時塗布した。かっこ内はそれぞれの湿潤膜厚を示す。
【0141】
塗布は、各塗布液を40℃で4層式スライドホッパーで塗布を行い、塗布直後に8℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃、相対湿度5〜30%の風で60秒間、55℃、相対湿度5〜20%の風で60秒間、45℃、相対湿度10〜30%の風で60秒間順次乾燥した後、23℃、相対湿度40〜60%で調湿して記録用紙1〜16を得た。
【0142】
第4層の乾燥膜厚を測定した結果は6.7〜7.1μmであった。
【0143】
また、記録用紙16のみは、第4層の付量を増量することにより乾燥膜厚が12.5μmとなるようにして、他の構成は記録用紙13と同様の構成で作製した。
【0144】
記録用紙の支持体を含む総厚さについては全て264〜267μmであった。
【0145】
得られた記録用紙1〜16の構成を表2に示す。
【0146】
〔評価〕
得られた記録用紙1〜16について下記評価を行った。評価の結果を表2に示す。
【0147】
(シート搬送性)
EPSON社製インクジェットプリンターPM900Cを用い、27℃、80%RH条件下でA4サイズの記録用紙を各30枚重ねて連続給紙し、これを10回繰り返して、給紙しなかったり、多重給紙を行った回数を調べ、下記の指標で評価した。
【0148】
A:0回
B:1〜2回
C:3〜7回
D:8〜15回
E:16回以上
(ロール搬送性)
HP社製インクジェットプリンターDJ5000を用い、24℃、55%RH条件下で36インチ幅のロール状の記録用紙をセットアップ完了時点で、ロール先端中央部の所定位置からのズレの長さ、及び左端と右端のズレの長さを測定し、下記の指標で評価した。
【0149】
〈所定位置からのズレ〉
a:所定位置からのズレが1mm未満
b:所定位置からのズレが1〜5mm未満
c:所定位置からのズレが5〜10mm未満
d:所定位置からのズレが10〜20mm未満
e:所定位置からのズレが20mm以上
〈左右間のズレ〉
A:左右間のズレが1mm未満
b:左右間のズレが1〜3mm未満
c:左右間のズレが3〜6mm未満
d:左右間のズレが6〜10mm未満
e:左右間のズレが10mm以上
(耐擦過性)
CANON社製インクジェットプリンターPIXUS950iを用い、27℃、80%RH条件下でA4サイズ記録用紙を各30枚連続印字を行い、搬送、印字後の記録用紙表面の擦り傷を詳細に調べ、下記の評価を行った。
【0150】
◎:全く傷が確認できない
○:一部の記録用紙に僅かな傷の発生が確認できた
△:傷は確認できるが、実技上プリント品質として問題とはならない許容限界レベル
×:明らかな傷が確認でき、プリント品質を劣化させる問題レベル
(光沢度)
EPSON社製インクジェットプリンターPM900Cを用いて印字した記録面側の光沢度を、日本電色工業株式会社製VGS−1001DPを用いて75度光沢度を測定した。
【0151】
【表2】

【0152】
表2から、本発明の記録用紙のみがシート搬送性、ロール搬送性、耐擦過性に問題がなく、光沢性に優れていることが分かる。
【0153】
実施例2
実施例1で作製した記録用紙のロール搬送時の環境条件を表3のように変えて、実施例1と同様の方法でロール搬送性を評価した。その結果を表3に示す。
【0154】
【表3】

【0155】
表3から、一般に低湿度(23℃、20%RH)及び高湿度(27℃、80%RH)では中湿度(24℃、60%RH)に比べロール搬送性は劣化するが、本発明の記録用紙は低湿度及び高湿度においても、良好なロール搬送性であることが分かる。
【0156】
実施例3
実施例1の記録用紙6の作製において、球状有機ポリマー微粒子(A)の種類、球状有機ポリマー微粒子(B)の分散度とポリマー種(屈折率違い)を表4のように変えて、記録用紙6−1〜6−13を作製し、実施例1と同様に評価した。なお、ロール搬送性は23℃、80%RHで行った。評価の結果を表4に示す。
【0157】
【表4】

【0158】
表4から、球状有機ポリマー微粒子(A)の種類、球状有機ポリマー微粒子(B)の分散度とポリマー種を変えた場合にも、本発明の効果が発揮できることが分かる。
【0159】
実施例4
実施例1の記録用紙1、2、6、7の作製において、使用する支持体の厚さを変えて、記録用紙の総膜厚を表5のように変えて記録用紙を作製し、実施例1と同様に評価した。なお、ロール搬送性は23℃、20%RHで行った。評価の結果を表5に示す。
【0160】
【表5】

【0161】
表5から、記録用紙の総膜厚が薄いとシート搬送性が劣化傾向にあり、厚くなるとロール搬送性が劣化傾向にあるが、本発明の構成では、記録用紙の総膜厚が厚くなってもロール搬送性に問題がなく、総膜厚が薄くなってもシート搬送性に問題がなく、耐擦過性、光沢性も良好であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐水性の支持体の片面または両面に2層以上のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体から最も離れたインク吸収層が、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上の少なくとも2種の球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)を含有し、該球状有機ポリマー微粒子(A)、(B)の平均粒径がそれぞれ8〜25μm、0.5〜5μmであり、該支持体から最も離れたインク吸収層の膜厚が5〜12μmであることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【請求項2】
前記球状有機ポリマー微粒子(A)を前記支持体から最も離れたインク吸収層に10〜80mg/m2含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項3】
前記球状有機ポリマー微粒子(B)を前記支持体から最も離れたインク吸収層に20〜200mg/m2含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項4】
前記球状有機ポリマー微粒子(B)が分散度1以下の単分散微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項5】
前記支持体から最も離れたインク吸収層の表面のJIS−Z−8741に規定される75度鏡面光沢度が65%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項6】
前記支持体から最も離れたインク吸収層が空隙型インク吸収層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項7】
前記耐水性の支持体が紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙を用いることを特徴とする画像形成方法。