インクジェット記録装置
【課題】被記録媒体の厚みに依存せずに、被記録媒体と記録部との間隔を一定にすることができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】第1搬送ローラ60と、第1搬送ローラ60との間に記録用紙12を挟持して搬送路65に沿って搬送し、挟持される記録用紙12の厚みに応じて第1搬送ローラ60に対して接離する上下方向7に移動するピンチローラ61と、ピンチローラ61を第1搬送ローラ60に対して付勢する第1コイルバネ91と、第1搬送ローラ60よりも搬送向きの下流側において記録用紙12を支持するプラテン42と、プラテン42に対向配置されておりノズルからインク滴を吐出してプラテン42に支持された記録用紙12に画像を記録する記録部と、ピンチローラ61の上下方向7の移動に連動して、プラテン42を、ピンチローラ61との間の上下方向7の距離を同一に維持させつつ移動させる連動部70と、を備える。
【解決手段】第1搬送ローラ60と、第1搬送ローラ60との間に記録用紙12を挟持して搬送路65に沿って搬送し、挟持される記録用紙12の厚みに応じて第1搬送ローラ60に対して接離する上下方向7に移動するピンチローラ61と、ピンチローラ61を第1搬送ローラ60に対して付勢する第1コイルバネ91と、第1搬送ローラ60よりも搬送向きの下流側において記録用紙12を支持するプラテン42と、プラテン42に対向配置されておりノズルからインク滴を吐出してプラテン42に支持された記録用紙12に画像を記録する記録部と、ピンチローラ61の上下方向7の移動に連動して、プラテン42を、ピンチローラ61との間の上下方向7の距離を同一に維持させつつ移動させる連動部70と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送路を搬送される被記録媒体に対してインクジェット記録方式で画像を記録する記録部を備えたインクジェット記録装置が知られている。このようなインクジェット記録装置に搬送される被記録媒体は、薄い記録用紙の他、光沢紙やハガキといった厚みのあるものがある。
【0003】
また、このようなインクジェット記録装置では、被記録媒体に画像を記録する際、被記録媒体はプラテンに支持される。このとき、プラテンに支持された被記録媒体と記録部との間隔は、高精度で調整されることが要求される。しかしながら、上記間隔は、被記録媒体の厚みによって変化してしまう。その結果、被記録媒体に記録される画像の画質が悪化してしまうおそれがある。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1には、プラテンを2つの所定のポジションに移動させる機構を有した記録装置が開示されている。これにより、記録用紙などの薄い被記録媒体とハガキなどの厚い被記録媒体とでプラテンのポジションを変えることができる。その結果、上記間隔を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−315272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクジェット記録装置には、多種の厚みの被記録媒体が搬送される。更に、同種の被記録媒体であっても、各被記録媒体によって厚みにばらつきが生じることもある。つまり、搬送される被記録媒体の厚みは、不特定多数である。すると、特許文献1の記録装置において、搬送される被記録媒体の厚みの全てを網羅するように、プラテンのポジションを設定することは事実上不可能である。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被記録媒体の厚みに依存せずに、被記録媒体と記録部との間隔を一定にすることができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体が案内される搬送路に設けられており、被記録媒体を上記搬送路に沿った搬送向きに搬送する第1搬送ローラと、上記第1搬送ローラと対向して設けられており、上記第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持して上記搬送路に沿って搬送し、上記第1搬送ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じて上記第1搬送ローラに対して接離する第1方向に移動する従動ローラと、上記従動ローラを上記第1搬送ローラに対して付勢する第1付勢部材と、上記第1搬送ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、上記搬送路を搬送される被記録媒体を支持する第1支持部材と、上記第1支持部材と対向して上記搬送路の上側に設けられており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記第1支持部材に支持された被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記従動ローラの上記第1方向の移動に連動して、上記第1支持部材を移動させる連動部と、を備える。
【0009】
本構成によれば、従動ローラは、第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持することによって、被記録媒体の厚み分だけ第1方向に移動する。従動ローラが第1方向に移動すると、被記録媒体を支持する第1支持部材は、連動部によって、被記録媒体の厚み分だけ移動される。つまり、第1支持部材の第1方向の移動距離は、被記録媒体の厚みと同一となる。
【0010】
(2) 上記連動部は、上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備える。上記第1支持部材は、上記当接部が上記被当接部に押されることによって、上記第2付勢部材の付勢力に抗って移動する。
【0011】
本構成によれば、簡易な構成で(1)を実現することができる。
【0012】
(3) 本発明のインクジェット記録装置は、上記ノズルよりも上記搬送向きの上流側且つ上記第1支持部材と対向する位置に設けられており、上記第1支持部材に支持された被記録媒体の画像記録面に当接して当該被記録媒体を上記第1支持部材へ向けて押さえる押さえ部が上記搬送向きと直交する第2方向に複数が離間されて形成されている押さえ部材を更に備える。上記第1支持部材の上面には、上記第2方向における上記押さえ部と対向されない位置に、上記押さえ部の下端よりも上側まで突出した凸部が形成される。
【0013】
第1支持部材に支持された被記録媒体は、押さえ部材に押さえられて第1支持部材との間に挟持されることによって、第2方向に波打ちした状態となる。これにより、剛性が低い被記録媒体の搬送向きにおける剛性を高めることができ、記録後の搬送においても被記録媒体の変形や詰まりを抑制することができる。
【0014】
(4) 上記凸部は、上記押さえ部に対向する位置よりも上記搬送向きの下流側まで延びている。
【0015】
本構成によれば、凸部は、搬送向きに沿って長い。よって、凸部は、被記録媒体を広範囲に亘って支持することができる。その結果、被記録媒体の搬送精度を高くすることができる。
【0016】
(5) 上記移動部は、上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備える。上記第2支持部材は、被記録媒体が上記第1支持部材と上記押さえ部材との間に挟持された場合、上記第1付勢部材の付勢力により上記第1方向における位置が維持される。上記第1支持部材は、被記録媒体が上記第1支持部材と上記押さえ部材との間に挟持されることによって、上記第2付勢部材の付勢力に抗って、上記当接部が上記被当接部に対して離間する方向に移動する。
【0017】
本構成によれば、剛性が高くて押さえ部材による変形を吸収できないような被記録媒体が第1支持部材と押さえ部材との間に挟持された場合、第1支持部材は、(1)の場合よりも多くの距離を移動する。これにより、第1支持部材に支持される被記録媒体の高さの基準を、押さえ部材に押さえられた位置の高さとすることができる。また、本構成によれば、従動ローラが下側に配置され第1搬送ローラが上側に配置されている場合に、被記録媒体が第1支持部材と押さえ部材との間に挟持されたとき、第1支持部材に形成された当接部は、被記録媒体に押されることによって第2支持部材に形成された被当接部から離間する。つまり、このとき、第1支持部材は、第2支持部材(従動ローラ)とは別個に移動可能である。換言すると、第1支持部材の移動距離が長くなった場合であっても、従動ローラは必要以上に移動しない。以上より、本構成によれば、従動ローラと第1搬送ローラとが必要以上に離間することを防止することができる。
【0018】
(6) 本発明のインクジェット記録装置は、上記第1支持部材よりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、被記録媒体を上記搬送向きに搬送する第2搬送ローラを更に備える。上記第1支持部材は、上記第2搬送ローラの軸を中心として回動される。上記当接部は、上記第1支持部材の回動先端部に形成されている。上記第2付勢部材は、上記搬送向きと直交する第2方向における上記第1支持部材の中央部を上記第2支持部材に対して付勢する。
【0019】
本構成によれば、第1支持部材の回動先端部は、第2付勢部材の付勢力によって、第2支持部材に押しつけられる。また、第2支持部材に支持されている従動ローラは、第1付勢部材の付勢力によって、第1搬送ローラに押しつけられる。つまり、第1支持部材の回動先端部は、第1搬送ローラに押しつけられた状態となる。
【0020】
以上より、第1支持部材の回動先端部を、第2方向において、当該装置に固定された第1搬送ローラに沿わせることができる。ここで、第2付勢部材は、第2方向における第1支持部材の中央部を第2支持部材に対して付勢する。そのため、第1支持部材の回動先端部を第1搬送ローラに沿わせることは容易である。
【0021】
第1支持部材の回動先端部が当該装置に固定された第1搬送ローラに沿った状態となることによって、第1支持部材に支持された被記録媒体と記録部との間隔を固定させることができる。すると、被記録媒体に画像記録する際に、第1支持部材の反りに基づいてノズルを制御することによって、被記録媒体に記録される画像の品質の悪化を低減することができる。
【0022】
(7) 上記当接部及び上記被当接部は、上記搬送向きと直交する第2方向に複数が離間されて設けられている。上記第2付勢部材は、上記第2方向において、上記当接部及び上記被当接部と対向する位置に複数設けられている。
【0023】
本構成のように、設けられている第2付勢部材の数が多い程、第1支持部材を、より正確に第1搬送ローラに沿わせることができる。
【0024】
(8) 上記当接部、上記被当接部、及び上記第2付勢部材は、上記第2方向において、上記第1支持部材の中央部から対称に複数が離間されて設けられていてもよい。
【0025】
(9) 上記第1搬送ローラは、上記搬送路の上側に設けられている。上記従動ローラは、上記搬送路の下側に設けられている。
【0026】
本構成によれば、従動ローラは、第1搬送ローラと従動ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じた距離だけ下側に移動する。また、第1支持部材も従動ローラとの第1方向(上下方向)の距離を保ちつつ下側に移動する。これにより、被記録媒体が従動ローラによる支持位置から第1支持部材による支持位置へ突入する際の突入角度が小さくなることを、抑制できる。その結果、突入角度が小さくなることによって、被記録媒体が第1支持部材に引っ掛かって搬送路内で詰まる可能性を低くすることができる。
【0027】
(10) 本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体が案内される搬送路に設けられており、被記録媒体を上記搬送路に沿った搬送向きに搬送する第1搬送ローラと、上記第1搬送ローラと対向して設けられており、上記第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持して上記搬送路に沿って搬送し、上記第1搬送ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じて上記第1搬送ローラに対して接離する第1方向に移動する従動ローラと、上記従動ローラを上記第1搬送ローラに対して付勢する第1付勢部材と、上記第1搬送ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、上記搬送路を搬送される被記録媒体を支持する第1支持部材と、上記第1支持部材と対向して上記搬送路の上側に設けられており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記第1支持部材に支持された被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備え、上記第1支持部材は、上記当接部が上記被当接部に対して接離する方向に移動するものであると捉えることもできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1支持部材は、被記録媒体の厚みと同距離を移動する。よって、被記録媒体の厚みに依存せずに、第1支持部材に支持された被記録媒体と記録部との間隔を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1には複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、記録部24とプラテン42とガイドレール43、44とを示す斜視図である。
【図4】図4は、プラテン42と押さえ部材53と記録用紙12とを示す正面図である。
【図5】図5は、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とプラテン42とガイドレール43、44とを示す斜視図である。
【図6】図6は、プリンタ部11におけるプラテン42周辺を示す縦断面図であり、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが当接された状態が示されている。
【図7】図7は、プリンタ部11におけるプラテン42周辺を示す縦断面図であり、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが離間された状態が示されている。
【図8】図8は、プリンタ部11におけるプラテン42周辺を示す縦断面図であり、プラテン42が図7の状態よりも下方へ移動した状態が示されている。
【図9】図9(A)は、プラテン42の後端部の平面図であり、図9(B)は、図9(A)のA−A断面図であり、プラテン42に加えて第1搬送ローラ60とピンチローラ61とホルダ57とが示されている。
【図10】図10は、プラテン42と押さえ部材53を示す正面図であり、(A)には記録用紙12が搬送されていない状態が示されており、(B)には剛性の低い記録用紙12が搬送されている状態が示されており、(C)には剛性の高い記録用紙12が搬送されている状態が示されている。
【図11】図11は、連動部70周辺を示す斜視図である。
【図12】図12は、リンク部材76と記録部24とプラテン42との周辺を模式的に示す縦断面図であり、(A)には記録用紙12が搬送されていない状態が示されており、(B)には記録用紙12が搬送されている状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、複合機10(本発明のインクジェット記録装置の一例)が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0031】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式で記録用紙12(本発明の被記録媒体の一例、図2参照)に画像を記録するプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、本実施形態において、複合機10は、片面画像記録機能のみを有しているが、両面画像記録機能を有していてもよい。
【0032】
プリンタ部11は、正面に開口13が形成された筐体14を有している。また、各種サイズの記録用紙12を載置可能な給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。
【0033】
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙トレイ20から記録用紙12をピックアップして給送する給紙部15、給紙トレイ20の上方に設けられており、給紙部15によって給紙された記録用紙12にインク滴を吐出して記録用紙12に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)、第1搬送ローラ60(本発明の第1搬送ローラの一例)、及び第2搬送ローラ62(本発明の第2搬送ローラの一例)などを備えている。
【0034】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上方であって記録部24の下方に設けられている。給紙部15は、給送ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給送ローラ25は、給紙アーム26の先端部で軸支されている。給紙アーム26は、基端部に設けられた軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給送ローラ25は、給紙トレイ20に当接及び離間が可能である。つまり、給送ローラ25は、給紙トレイ20に載置された記録用紙12に当接可能である。
【0035】
給送ローラ25は、給紙用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給送ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙12のうち、一番上側の記録用紙12に当接された状態で、当該記録用紙12を他の記録用紙12から分離して以下で説明する湾曲路65Aへ送り出す。
【0036】
[搬送路65]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、給紙トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙トレイ21に至る搬送路65(本発明の搬送路の一例)が形成されている。搬送路65は、給紙トレイ20の先端から第1搬送ローラ60に至る間に形成された湾曲路65Aと、第1搬送ローラ60から排紙トレイ21に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。
【0037】
湾曲路65Aは、給紙トレイ20に設けられた分離傾斜板22の上端付近から記録部24に渡って延設された湾曲状の通路である。給送ローラ25によって給紙トレイ20から給送される記録用紙12は、湾曲路65Aに沿った搬送向き(図2において一点鎖線に付された矢印の向き、本発明の搬送向きの一例)に湾曲されて、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61(本発明の従動ローラの一例)による記録用紙12の挟持位置へ案内される。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって区画されている。
【0038】
排紙路65Bは、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61による記録用紙12の挟持位置から排紙トレイ21に亘って延設された直線状の通路である。記録用紙12は、排紙路65Bを搬送向きに案内される。排紙路65Bは、記録部24が設けられている箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24及び記録用紙12を支持可能な板状部材であるプラテン42(本発明の第1支持部材の一例)によって区画されている。また、排紙路65Bは、記録部24が設けられていない箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材82及び下側ガイド部材83によって区画されている。
【0039】
[プラテン42]
図2に示されるように、プラテン42は、排紙路65Bにおいて、第1搬送ローラ60よりも搬送向きの下流側に設けられている。プラテン42は、排紙路65Bの下側に設けられている。プラテン42は、左右方向9の両端をプリンタ部11のフレーム(不図示)に支持されている。
【0040】
図2、図3、及び図5に示されるように、プラテン42は、フレームに支持された状態において、前後方向8及び左右方向9の長さが上下方向7の長さよりも長い概ね平板形状である。プラテン42の上面には、上方に突出した複数のリブ52(本発明の凸部の一例)が形成されている。
【0041】
各リブ52は、前後方向8に延びている。詳細には、各リブ52は、少なくとも後述するノズル39と対向する位置において、前後方向8に延びている。本実施形態では、各リブ52は、ノズル39と対向する位置に加えて、後述する押さえ部材53の押さえ部55の下面51(図2及び図4参照)と対向する位置において、前後方向8に延びている。ここで、押さえ部55は、後述するように、ノズル39よりも搬送向きの上流側に設けられている。つまり、各リブ52は、前後方向8において、押さえ部55の下面51に対向する位置よりも搬送向きの下流側まで延びている。
【0042】
また、各リブ52は、左右方向9において、相互に所定の間隔を空けて形成されている。搬送路23を搬送される記録用紙15は、プラテン42によって、詳細にはプラテン42の上面に形成された各リブ52によって支持される。
【0043】
プラテン42の前端部には切り欠き67(図5参照)が形成されている。そして、当該切り欠き67には、第2搬送ローラ62の軸64が回転可能に嵌め込まれている。これにより、プラテン42は、第2搬送ローラ62の軸64を中心として回動する。つまり、プラテン42は、回動によって移動可能である。なお、本実施形態においては、プラテン42は軸64を中心として回動するが、プラテン42は回動以外によって移動されてもよい。例えば、プラテン42の全体が、公知のカム機能などによって、上下方向7に沿って移動されてもよい。
【0044】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、プラテン42と対向して排紙路65Bの上側に設けられている。記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。図3に示されるように、キャリッジ40は、プラテン42の後側及び前側に設けられたガイドレール43、44によって支持されている。ガイドレール43、44の少なくとも一方には、公知のベルト機構が設けられており、キャリッジ40は、当該ベルト機構と連結されている。これにより、キャリッジ40は、左右方向9に移動可能である。
【0045】
図2に示されるように、記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38の下面には、複数のノズル39(本発明のノズルの一例)が形成されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ40が左右方向9へ往復動しているときに、ノズル39からプラテン42に支持されている記録用紙12に対してインク滴が吐出される。これにより、記録用紙12に画像が記録される。
【0046】
[第1搬送ローラ60及びピンチローラ61]
図2に示されるように、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61が、搬送路65において、記録部24よりも搬送向きの上流側に設けられている。第1搬送ローラ60は、搬送路65の上側に設けられている。ピンチローラ61は、搬送路65の下側に第1搬送ローラ60と対向して配置されている。
【0047】
図5及び図9(B)に示されるように、ピンチローラ61は、左右方向9において互いに間隔を空けて配置された複数の回転体59と、複数の回転体59に共通の軸58とで構成されている。
【0048】
ピンチローラ61の軸58は、各回転体59の間において、ホルダ57(本発明の第2支持部材の一例)によって回転可能に支持されている。以下に詳述する。本実施形態において、ホルダ57は、底板46と、底板46から上方に突出された複数の支持部47とで構成されている。支持部47は、左右方向9において、所定の間隔を空けて設けられている。支持部47の各々には、左右方向9に沿った孔48が形成されている。孔48には、ピンチローラ61の軸58が挿通される。
【0049】
ホルダ57の下側には、第1コイルバネ91(本発明の第1付勢部材の一例)が配置されている。第1コイルバネ91は、下側からホルダ57を支持している。また、第1コイルバネ91は、下端をプリンタ部11のフレーム84に取り付けられている。これにより、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91によって付勢され、第1搬送ローラ60のローラ面に圧接される。換言すると、第1コイルバネ91は、ピンチローラ61を第1搬送ローラ60に対して付勢する、つまり上側へ付勢する。これにより、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61の間に記録用紙12を挟持して、搬送路65に沿って搬送向きに搬送する。
【0050】
第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間に厚みの大きい記録用紙12が挟持された場合、ピンチローラ61は、記録用紙12に押されることによって、第1コイルバネ91の上側への付勢力に抗って下方へ移動される。これにより、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60から離間される。このとき、ピンチローラ61を支持するホルダ57は、ピンチローラ61と一体に下方へ移動される。当該厚みのある記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間を通過した後、記録用紙12によって押されなくなったピンチローラ61は、第1コイルバネ91の上側への付勢力によって上方へ移動される。これにより、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60に圧接される。このとき、ピンチローラ61を支持するホルダ57は、ピンチローラ61と一体に上方へ移動される。
【0051】
一方、第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間に厚みの小さい記録用紙12が挟持された場合、ピンチローラ60の下方への移動量は、厚みの大きい記録用紙12が挟持された場合に比べて小さくなる。
【0052】
以上より、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60との間に挟持される記録用紙12の厚みに応じて第1搬送ローラ60に対して接離する上下方向7(本発明の第1方向の一例)に移動する。
【0053】
[第2搬送ローラ62及び拍車63]
図2に示されるように、第2搬送ローラ62及び拍車63が、排紙路65Bにおいて、記録部24よりも搬送向きの下流側に設けられている。第2搬送ローラ62は、排紙路65Bの下側に配置されている。拍車63は、第2搬送ローラ62の上方に第2搬送ローラ62と対向して配置されている。また、拍車63は、図示しないコイルバネなどの弾性部材によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ62及び拍車63は、記録部24で画像を記録された記録用紙12を狭持して、排紙路65Bに沿って搬送向きに搬送させる。これにより、記録用紙12は、排紙トレイ21に排出される。
【0054】
なお、上述の第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、記録用紙12は搬送向きに搬送される。
【0055】
[押さえ部材53]
図2に示されるように、搬送路65における記録部24よりも搬送向きの上流側には、押さえ部材53(本発明の押さえ部材の一例)が設けられている。押さえ部材53は、一つの取り付け部56と、複数の湾曲部54(図3及び図5参照)と、複数の押さえ部55(図3及び図5参照)とで構成されている。なお、本実施形態では、プリンタ部11は、押さえ部材53を備えているが、プリンタ部11は、押さえ部材53を備えていなくてもよい。
【0056】
取り付け部56は、左右方向9に延設された平板形状の部材である。複数の湾曲部54は、左右方向9(本発明の第2方向の一例)において、相互に離間されて取り付けられている。各湾曲部54は、取り付け部56から前側に突設されている。各湾曲部54は、前側に延びながら下側に向かって湾曲されている。各湾曲部54の先端部、つまり前端部からは押さえ部材55が前側に突出されている。これにより、複数の押さえ部55も、湾曲部54と同様に、左右方向9において相互に離間されて配置されている。
【0057】
図3及び図5に示されるように、取り付け部56は、ガイドレール43に取り付けられている。以下に詳述する。取り付け部56の上面には、複数の引っ掛け部75が上側に突出されている。引っ掛け部75は、上端部において後側に屈曲されている。一方、ガイドレール43には複数の開口45が設けられている。各引っ掛け部75は、開口45に挿通されて、開口45に引っ掛けられる。これにより、押さえ部材53の取り付け部56の上面は、ガイドレール43の下面に取り付けられる。
【0058】
図2〜図5に示されるように、各押さえ部55は、概ね平板形状である。各押さえ部55は、記録部24のノズル39よりも搬送向きの上流側、且つプラテン42と対向する位置に設けられている。各押さえ部55の下面51(本発明の押さえ部の一例、図4参照)は、記録ヘッド38の下面よりも下側に位置しており、プラテン42(詳細にはプラテン42に形成されたリブ52)に支持された記録用紙12の画像記録面、つまり記録用紙12の上面に当接する。これにより、記録用紙12は、各押さえ部55の下面51によって、下側へ向けて、つまりプラテン42へ向けて押さえられる。
【0059】
ここで、図4に示されるように、プラテン42に形成された各リブ52は、左右方向9において、各押さえ部55が形成されていない位置に形成されている。つまり、押さえ部55とリブ52とはお互いに対向していない。また、各リブ52は、各押さえ部55の下面51よりも上側まで突出されている。以上より、搬送路65を搬送されている記録用紙12は、プラテン42と押さえ部55との間において、前側或いは後側からみて波打った状態となっている。
【0060】
[連動部70]
図5、図9、及び図11に示されるように、プリンタ部11は、連動部70(本発明の連動部の一例)を備えている。連動部70は、上述したピンチローラ61のホルダ57と、当接部71(本発明の当接部の一例)と、被当接部72(本発明の被当接部の一例)と、第2コイルバネ73(本発明の第2付勢部材の一例)とを備えている。
【0061】
図5、図9、及び図11に示されるように、プラテン42には、ピンチローラ61のホルダ57に当接する当接部71が形成されている。
【0062】
本実施形態では、図9(A)に示されるように、プラテン42の後端部から、左右方向9に相互に離間した複数の突起74が後側に延びている。当接部71は、各突起74の先端部から上側に延びている。なお、上述したように、プラテン42は、前端部の切り欠き67に嵌め込まれた第2搬送ローラ62の軸64を中心として回動する。つまり、当接部71は、プラテン42の回動先端部に形成されている。ここで、上述したように、突起74は、左右方向9において、相互に離間して複数設けられている。よって、突起74に形成された当接部71も、左右方向9に複数が離間されて設けられている。
【0063】
また、図9(B)に示されるように、当接部71は、左右方向9において、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられている。本実施形態においては、複数の当接部71は、ピンチローラ61の各回転体59の間において、ピンチローラ61のホルダ57に形成された被当接部72に当接する。なお、ホルダ57の底板46における当接部71と対向する位置には、開口68が形成されており、当接部71は開口68に挿通されている。これにより、当接部71は被当接部72と当接可能となる。
【0064】
図5、図9、及び図11に示されるように、ピンチローラ61のホルダ57には、当接部71に当接される被当接部72が形成されている。
【0065】
本実施形態では、被当接部72は、図9(B)に示されるように、ホルダ57の支持部47の側面から、右向きまたは左向きに延びた突起である。ここで、上述したように、支持部47は、左右方向9において、所定の間隔を空けて設けられている。よって、支持部47に形成された被当接部72も、左右方向9に複数が離間されて設けられている。
【0066】
また、被当接部72は、左右方向9において、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられている。本実施形態においては、複数の被当接部72の各々は、上下方向7において、当接部71と対向して設けられている。これにより、被当接部72の下面は、当接部71の上面に当接される。
【0067】
図5、図9、及び図11に示されるように、プラテン42の下側には、プラテン42をピンチローラ61のホルダ57に対して付勢する第2コイルバネ73が設けられている。第2コイルバネ73は、左右方向9において、当接部71及び被当接部72と対向する位置に複数設けられている。つまり、各第2コイルバネ73は、下側からプラテン42の各突起74を支持している。また、各第2コイルバネ73は、下端をプリンタ部11のフレーム84に取り付けられている。これにより、プラテン42は、第2コイルバネ73によって付勢され、当接部71の上面は、被当接部72の下面に圧接される。
【0068】
上述したように、プラテン42の突起74は、左右方向9において、相互に離間して複数設けられている。よって、突起74の下側に形成された第2コイルバネ73も、左右方向9に複数が離間されて設けられている。
【0069】
また、上述したように、第2コイルバネ73は、左右方向9において、当接部71及び被当接部72と対向する位置に複数設けられている。ここで、上述したように、当接部71及び被当接部72は、左右方向9において、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられている。よって、第2コイルバネ73も、左右方向9において、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられている。これにより、第2コイルバネ73は、プラテン42を、その左端部から右端部に亘って、ピンチローラ61のホルダ57に対して付勢する。つまり、第2コイルバネ73は、左右方向9におけるプラテン42の少なくとも中央部をピンチローラ61のホルダ57に対して付勢する。
【0070】
[連動部70の動作]
以下、記録用紙12が搬送路65を搬送されたときの連動部70の動作、及び連動部70の動作に基づくプラテン42及びピンチローラ61の移動について、図6〜図8を参照しながら説明する。
【0071】
図6に示されるように、記録用紙12が搬送路65を搬送されていない状態において、ピンチローラ61は、ホルダ57を介して第1コイルバネ91(図9(B)参照)によって上方に付勢されている。また、記録用紙12が搬送路65を搬送されていない状態において、プラテン42は、第2コイルバネ73によって上方に付勢されている。これにより、ピンチローラ61のホルダ57の被当接部72は、プラテン42の当接部71に圧接される。以上より、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91及び第2コイルバネ73に付勢されて、第1搬送ローラ60に圧接される。また、このとき、図10(A)に示されるように、リブ52の上端は、押さえ部55の下面51よりも上方に位置する。
【0072】
まず、普通紙などの厚みが殆どない剛性の低い記録用紙12が搬送路65を搬送される場合が説明される。当該記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持された場合、ピンチローラ61及びホルダ57は殆ど下方に移動しない。当該記録用紙12は、厚みを殆ど有していないからである。
【0073】
次に、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持された記録用紙12が更に搬送向きに搬送されると、記録用紙12は、押さえ部材53の押さえ部55の真下に到達する。これにより、記録用紙12は、プラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持された状態となる。このとき、リブ52の上端は、押さえ部55の下面51よりも上方の位置を維持している。しかし、記録用紙12は、剛性が低いために、リブ52を下方に押すことができない。よって、押さえ部材53の真下において、記録用紙12の上面が押さえ部55の下面51と当接される。一方、リブ52の真上において、記録用紙12の下面が押さえ部55の下面51よりも上方に位置するリブ52の上端と当接される。その結果、記録用紙12は、図10(B)に一点鎖線で示されるように、左右方向9に波打った状態となる。そして、記録用紙12は、波打った状態を維持しながら、搬送路65を搬送される。
【0074】
次に、光沢紙などの普通紙よりも厚みがある剛性の高い記録用紙12が搬送路65を搬送される場合が説明される。図7に示されるように、搬送路65を搬送向きに搬送される記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持されると、ピンチローラ61及びホルダ57は、記録用紙12に押されることによって、第1コイルバネ91の付勢力に抗って下方に移動する。ホルダ57が下方に移動するとき、被当接部72が当接部71を下方に押す。これにより、プラテン42は、第2コイルバネ73の付勢力に抗って下方に移動する。ここで、プラテン42は、被当接部72によって押された量だけ、下方に移動する。つまり、ピンチローラ61の下方への移動量と、プラテン42の下方への移動量とは、同一である。すなわち、連動部70は、ピンチローラ61の上下方向7の移動に連動して、プラテン42を、ピンチローラ61との間の上下方向7の距離を同一に維持させつつ移動させる。
【0075】
図8に示されるように、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持された記録用紙12が更に搬送向きに搬送されると、当該記録用紙12は、押さえ部材53の押さえ部55の真下に到達する。これにより、記録用紙12は、プラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持された状態となる。すると、記録用紙12は、押さえ部材55の下面51によって、下方に押された状態となる。これにより、リブ52は、記録用紙12に下方に押されるため、プラテン42は、第2コイルバネ73の付勢力に抗って下方に移動する。その結果、プラテン42の当接部71は、ピンチローラ61の被当接部72から離間する。つまり、プラテン42は、ピンチローラ61から離間して下方に移動する。以上のように各部材が移動した結果、記録用紙12は、図10(C)に一点鎖線で示されるように、押さえ部55の下面51とプラテン42のリブ52とによって挟持された状態となる。
【0076】
以上より、連動部70は、記録用紙12がプラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持されることによって、ピンチローラ61との間の上下方向7の距離を長くするようにプラテン42を移動させる。また、プラテン42は、記録用紙12がプラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持されることによって、第2コイルバネ73の付勢力に抗って、当接部71が被当接部72に対して離間する方向に移動する。
【0077】
一方、ピンチローラ61は、記録用紙12がプラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持されても、図7の状態よりも下方に移動されることはない。つまり、ピンチローラ61のホルダ57は、記録用紙12がプラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持された場合、第1コイルバネ91の付勢力により上下方向7における位置が維持される。
【0078】
記録用紙12の搬送向きの後端が、第1搬送ローラ60とピンチローラ61との挟持位置を通過すると、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91の付勢力によって上方へ移動し、第1搬送ローラ60に圧接される。これにより、ホルダ57も上方へ移動する。しかし、記録用紙12は押さえ部55の下面51とプラテン42のリブ52の間に挟持された状態であるため、プラテン42は上方へ移動しない。その結果、ホルダ57の被当接部72とプラテン42の当接部71とが相互に離間される。その後、記録用紙12の搬送向きの後端が、プラテン42と押さえ部55の下面51との間を通過すると、プラテン42は、第2コイルバネ73の付勢力によって上方へ移動する。これにより、当接部71の上面が被当接部72の下面に再び圧接される。その結果、連動部70は、図6の状態となる。
【0079】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60との間に記録用紙12を挟持することによって、記録用紙12の厚み分だけ上下方向7に移動する。ピンチローラ61が上下方向7に移動すると、記録用紙12を支持するプラテン42は、連動部70によって、ピンチローラ61との間の上下方向7の距離を同一に維持させつつ移動される。つまり、プラテン42の上下方向7の移動距離は、記録用紙12の厚みと同一となる。以上より、本実施形態によれば、記録用紙12の厚みに依存せずに、プラテン42に支持された記録用紙12と記録部24との間隔を一定にすることができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、プラテン42に支持された記録用紙12は、押さえ部材53に押さえられてプラテン42との間に挟持されることによって、左右方向9に波打ちした状態となる。これにより、剛性が低い記録用紙12の前後方向8における剛性を高めることができる。その結果、記録後の搬送においても記録用紙12の変形や詰まりを抑制することができる。
【0081】
また、剛性が高くて押さえ部材53による変形が吸収できないような記録用紙12がプラテン42と押さえ部材53との間に挟持された場合、プラテン42は、記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持されており且つプラテン42と押さえ部材53とによって挟持されていない場合よりも、多くの距離を下方に移動する。これにより、プラテン42に支持される記録用紙12の高さの基準を、押さえ部材53に押さえられた位置の高さとすることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、リブ52は、搬送向きに沿って長い。よって、リブ52は、記録用紙12を広範囲に亘って支持することができる。その結果、記録用紙12の搬送精度を高くすることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、連動部70を、当接部71や被当接部72などを備えた簡易な構成で実現することができる。また、本実施形態によれば、ピンチローラ61が下側に配置され第1搬送ローラ60が上側に配置されている場合に、記録用紙12がプラテン42と押さえ部材53との間に挟持されたとき、プラテン42に形成された当接部71は、記録用紙12に押されることによってピンチローラ61のホルダ57に形成された被当接部72から離間する。つまり、このとき、プラテン42は、ホルダ57(ピンチローラ61)とは別個に移動可能である。換言すると、プラテン42の上下方向7の移動距離が長くなった場合であっても、ピンチローラ61は必要以上に移動しない。以上より、本実施形態によれば、ピンチローラ61と第1搬送ローラ60とが必要以上に離間することを防止することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、プラテン42の回動先端部は、第2コイルバネ73の付勢力によって、ピンチローラ61のホルダ57に押しつけられる。また、ホルダ57に支持されているピンチローラ61は、第1コイルバネ91の付勢力によって、第1搬送ローラ60に押しつけられる。つまり、プラテン42の回動先端部は、第1搬送ローラ60に押しつけられた状態となる。
【0085】
上記より、プラテン42の回動先端部を、左右方向9において、複合機10に固定された第1搬送ローラ60に沿わせることができる。ここで、本実施形態において、第2コイルバネ73は、左右方向9におけるプラテン42の中央部をピンチローラ61のホルダ57に対して付勢する。そのため、プラテン42の回動先端部を第1搬送ローラ60に沿わせることは容易である。
【0086】
プラテン42の回動先端部が複合機10に固定された第1搬送ローラ60に沿った状態となることによって、プラテン42に支持された記録用紙12と記録部24との間隔を固定させることができる。すると、記録用紙12に画像記録する際に、プラテン42の反りに基づいてノズル39を制御することによって、記録用紙12に記録される画像の品質の悪化を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態のように、設けられている第2コイルバネ73の数が多い程、プラテン42を、より正確に第1搬送ローラ60に沿わせることができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間に挟持される記録用紙12の厚みに応じた距離だけ下側に移動する。また、プラテン42もピンチローラ61との上下方向7の距離を保ちつつ下側に移動する。これにより、記録用紙12がピンチローラ61による支持位置からプラテン42による支持位置へ突入する際の突入角度が小さくなることを、抑制することができる。その結果、突入角度が小さくなることによって、記録用紙12がプラテン42に引っ掛かって搬送路65内で詰まる可能性を低くすることができる。
【0089】
[実施形態の変形例1]
上述の実施形態では、押さえ部材53は単体の部材として構成されていた。具体的には、押さえ部材53は、左右方向9に延設された取り付け部56から複数の湾曲部54が突出された構成であった。しかし、押さえ部材53は、複数設けられていてもよい。
【0090】
例えば、押さえ部材53の取り付け部56が、複数の湾曲部54の各々に対応して、複数設けられていてもよい。つまり、一つの取り付け部56と一つの湾曲部54と一つの押さえ部55よりなる押さえ部材53が、複数設けられていてもよい。なお、変形例1の場合、各取り付け部56は、左右方向9に所定の間隔を空けて、ガイドレール43に取り付けられる。
【0091】
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態では、プラテン42の上面には、前後方向8に延びたリブ52が形成されていた。そして、記録用紙12は、リブ52と押さえ部材53とによって波打ち状態とされていた。しかし、プラテン42の上面には、リブ52の代わりに、前後方向8の長さが短い凸部が形成されていてもよい。変形例2の場合、当該凸部は、少なくとも、前後方向8において押さえ部材53と同じ位置であり、左右方向9において押さえ部材53と異なる位置に設けられている。なお、凸部が前後方向7に沿って所定の間隔を空けて複数設けられていてもよい。
【0092】
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態では、当接部71、被当接部72、及び第2コイルバネ73は、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられていた。しかし、当接部71、被当接部72、及び第2コイルバネ72の配置は、上述の実施形態におけるものに限らない。
【0093】
例えば、当接部71、被当接部72、及び第2コイルバネ73は、左右方向9におけるプラテン42の両端にのみ配置されていてもよい。
【0094】
また、当接部71、被当接部72、及び第2コイルバネ73は、左右方向9におけるプラテン42の中央部に、それぞれ1つずつ配置されていてもよい。
【0095】
[実施形態の変形例4]
上述の実施形態では、プリンタ部11に、押さえ部材53が設けられた構成が説明された。しかし、プリンタ部11に、押さえ部材53が設けられていなくてもよい。この場合、連動部70は以下のように動作する。
【0096】
記録用紙12が搬送路65を搬送されていない状態においては、上述の実施形態の図6と同様に、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91及び第2コイルバネ73に付勢されて、第1搬送ローラ60に圧接される。また、プラテン42は、第2コイルバネ73に付勢されて、ピンチローラ61のホルダ57の被当接部72が、プラテン42の当接部71に圧接される。
【0097】
搬送路65を搬送される記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持されると、上述の実施形態の図7と同様に、ピンチローラ61及びホルダ57は、第1コイルバネ91の付勢力に抗って下方に移動する。また、ホルダ57が下方に移動するとき、被当接部72が当接部71を下方に押す。これにより、プラテン42は、第2コイルバネ73の付勢力に抗って下方に移動する。つまり、プラテン42は、当接部71が被当接部72に押されることによって、第2コイルバネ73の付勢力に抗って移動する。
【0098】
記録用紙12の搬送向きの後端が、第1搬送ローラ60とピンチローラ61との挟持位置を通過すると、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91の付勢力によって上方へ移動し、第1搬送ローラ60に圧接される。ピンチローラ61が上方へ移動すると、被当接部72によって下方へ押されていた当接部71は、第2コイルバネ73の付勢力によって、被当接部72に追随して上方へ移動する。その結果、当接部71と被当接部72とが当接した状態が維持される。
【0099】
変形例4によれば、押さえ部材53がない場合においても、連動部70を、当接部71や被当接部72などを備えた簡易な構成で実現することができる。
【0100】
[実施形態の変形例5]
上述の実施形態では、押さえ部55の下面51が本発明の押さえ部の一例であって、当該下面51が記録用紙12の上面と当接した。しかし、本発明の押さえ部は押さえ部55の下面51に限らない。例えば、押さえ部55に、少なくとも一つの拍車(不図示)が回転可能に設けられていてもよい。この場合、当該拍車が記録用紙12の上面と当接される。つまり、変形例5の場合、当該拍車が本発明の押さえ部の一例である。
【0101】
変形例5によれば、拍車が回転可能であるために、記録用紙12は押さえ部材53の下側を円滑に搬送されることが可能である。
【0102】
[実施形態の変形例6]
上述の実施形態では、第1搬送ローラ60が搬送路65の上側に設けられており、ピンチローラ61が搬送路65の下側に設けられていた。しかし、第1搬送ローラ60が搬送路65の下側に設けられており、ピンチローラ61が搬送路65の上側に設けられていてもよい。なお、変形例6の場合も上述の実施形態の場合と同様に、ピンチローラ61は上下方向7に移動可能に構成されている。また、変形例6の場合、第1コイルバネ91は、ピンチローラ61を下向きに付勢している。
【0103】
変形例6の場合、プリンタ部11は、本発明の連動部の一例として、図12(A)に示されるようなリンク部材76を備えている。図12は、プリンタ部11が押さえ部材53を備えていない場合の実施例が示されている。なお、変形例6の場合も、プリンタ部11は押さえ部材53を備えていてもよい。また、図12において、ピンチローラ61を第1搬送ローラ60に対して付勢、つまり、下側へ付勢する第1コイルバネ91は省略されている。リンク部材76は、左右方向9の両端をプリンタ部11のフレーム(不図示)などに回転可能に支持された軸77と、軸77からプラテン42の上端に向けて延設された第1アーム78と、軸77からピンチローラ61に向けて延設された第2アーム79とを備えている。リンク部材76は、軸77を中心として、矢印80の方向に回動可能である。なお、第1アーム78の左右方向9の位置は、搬送路65の外側である。
【0104】
第2アーム79の延設先端は、ピンチローラ61の軸58に取り付けられている。これにより、図12(B)に示されるように、ピンチローラ61が、搬送路65を搬送される記録用紙12に押されることによって、第1コイルバネ91の付勢力に抗って矢印81の向きに移動されると、リンク部材76も矢印81の向きに回動する。その結果、プラテン42は、リンク部材76の第1アーム78によって下側に押されて、下方に移動する。換言すると、プラテン42は、第1アーム78に押されることによって、第2搬送ローラ62の軸67を中心として、矢印85の向きに回動する。
【0105】
なお、記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間を通過すると、リンク部材76、ピンチローラ61、及びプラテン42は、上記とは逆に動作することによって、図12(B)の状態から図12(A)の状態に遷移する。
【0106】
以上より、変形例6の場合であっても、本発明の連動部の一例であるリンク部材76は、ピンチローラ61の上下方向7の移動に連動して、プラテン42を移動させる。
【符号の説明】
【0107】
10・・・複合機
12・・・記録用紙
24・・・記録部
39・・・ノズル
42・・・プラテン
60・・・第1搬送ローラ
61・・・ピンチローラ
65・・・搬送路
70・・・連動部
91・・・第1コイルバネ
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送路を搬送される被記録媒体に対してインクジェット記録方式で画像を記録する記録部を備えたインクジェット記録装置が知られている。このようなインクジェット記録装置に搬送される被記録媒体は、薄い記録用紙の他、光沢紙やハガキといった厚みのあるものがある。
【0003】
また、このようなインクジェット記録装置では、被記録媒体に画像を記録する際、被記録媒体はプラテンに支持される。このとき、プラテンに支持された被記録媒体と記録部との間隔は、高精度で調整されることが要求される。しかしながら、上記間隔は、被記録媒体の厚みによって変化してしまう。その結果、被記録媒体に記録される画像の画質が悪化してしまうおそれがある。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1には、プラテンを2つの所定のポジションに移動させる機構を有した記録装置が開示されている。これにより、記録用紙などの薄い被記録媒体とハガキなどの厚い被記録媒体とでプラテンのポジションを変えることができる。その結果、上記間隔を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−315272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクジェット記録装置には、多種の厚みの被記録媒体が搬送される。更に、同種の被記録媒体であっても、各被記録媒体によって厚みにばらつきが生じることもある。つまり、搬送される被記録媒体の厚みは、不特定多数である。すると、特許文献1の記録装置において、搬送される被記録媒体の厚みの全てを網羅するように、プラテンのポジションを設定することは事実上不可能である。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被記録媒体の厚みに依存せずに、被記録媒体と記録部との間隔を一定にすることができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体が案内される搬送路に設けられており、被記録媒体を上記搬送路に沿った搬送向きに搬送する第1搬送ローラと、上記第1搬送ローラと対向して設けられており、上記第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持して上記搬送路に沿って搬送し、上記第1搬送ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じて上記第1搬送ローラに対して接離する第1方向に移動する従動ローラと、上記従動ローラを上記第1搬送ローラに対して付勢する第1付勢部材と、上記第1搬送ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、上記搬送路を搬送される被記録媒体を支持する第1支持部材と、上記第1支持部材と対向して上記搬送路の上側に設けられており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記第1支持部材に支持された被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記従動ローラの上記第1方向の移動に連動して、上記第1支持部材を移動させる連動部と、を備える。
【0009】
本構成によれば、従動ローラは、第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持することによって、被記録媒体の厚み分だけ第1方向に移動する。従動ローラが第1方向に移動すると、被記録媒体を支持する第1支持部材は、連動部によって、被記録媒体の厚み分だけ移動される。つまり、第1支持部材の第1方向の移動距離は、被記録媒体の厚みと同一となる。
【0010】
(2) 上記連動部は、上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備える。上記第1支持部材は、上記当接部が上記被当接部に押されることによって、上記第2付勢部材の付勢力に抗って移動する。
【0011】
本構成によれば、簡易な構成で(1)を実現することができる。
【0012】
(3) 本発明のインクジェット記録装置は、上記ノズルよりも上記搬送向きの上流側且つ上記第1支持部材と対向する位置に設けられており、上記第1支持部材に支持された被記録媒体の画像記録面に当接して当該被記録媒体を上記第1支持部材へ向けて押さえる押さえ部が上記搬送向きと直交する第2方向に複数が離間されて形成されている押さえ部材を更に備える。上記第1支持部材の上面には、上記第2方向における上記押さえ部と対向されない位置に、上記押さえ部の下端よりも上側まで突出した凸部が形成される。
【0013】
第1支持部材に支持された被記録媒体は、押さえ部材に押さえられて第1支持部材との間に挟持されることによって、第2方向に波打ちした状態となる。これにより、剛性が低い被記録媒体の搬送向きにおける剛性を高めることができ、記録後の搬送においても被記録媒体の変形や詰まりを抑制することができる。
【0014】
(4) 上記凸部は、上記押さえ部に対向する位置よりも上記搬送向きの下流側まで延びている。
【0015】
本構成によれば、凸部は、搬送向きに沿って長い。よって、凸部は、被記録媒体を広範囲に亘って支持することができる。その結果、被記録媒体の搬送精度を高くすることができる。
【0016】
(5) 上記移動部は、上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備える。上記第2支持部材は、被記録媒体が上記第1支持部材と上記押さえ部材との間に挟持された場合、上記第1付勢部材の付勢力により上記第1方向における位置が維持される。上記第1支持部材は、被記録媒体が上記第1支持部材と上記押さえ部材との間に挟持されることによって、上記第2付勢部材の付勢力に抗って、上記当接部が上記被当接部に対して離間する方向に移動する。
【0017】
本構成によれば、剛性が高くて押さえ部材による変形を吸収できないような被記録媒体が第1支持部材と押さえ部材との間に挟持された場合、第1支持部材は、(1)の場合よりも多くの距離を移動する。これにより、第1支持部材に支持される被記録媒体の高さの基準を、押さえ部材に押さえられた位置の高さとすることができる。また、本構成によれば、従動ローラが下側に配置され第1搬送ローラが上側に配置されている場合に、被記録媒体が第1支持部材と押さえ部材との間に挟持されたとき、第1支持部材に形成された当接部は、被記録媒体に押されることによって第2支持部材に形成された被当接部から離間する。つまり、このとき、第1支持部材は、第2支持部材(従動ローラ)とは別個に移動可能である。換言すると、第1支持部材の移動距離が長くなった場合であっても、従動ローラは必要以上に移動しない。以上より、本構成によれば、従動ローラと第1搬送ローラとが必要以上に離間することを防止することができる。
【0018】
(6) 本発明のインクジェット記録装置は、上記第1支持部材よりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、被記録媒体を上記搬送向きに搬送する第2搬送ローラを更に備える。上記第1支持部材は、上記第2搬送ローラの軸を中心として回動される。上記当接部は、上記第1支持部材の回動先端部に形成されている。上記第2付勢部材は、上記搬送向きと直交する第2方向における上記第1支持部材の中央部を上記第2支持部材に対して付勢する。
【0019】
本構成によれば、第1支持部材の回動先端部は、第2付勢部材の付勢力によって、第2支持部材に押しつけられる。また、第2支持部材に支持されている従動ローラは、第1付勢部材の付勢力によって、第1搬送ローラに押しつけられる。つまり、第1支持部材の回動先端部は、第1搬送ローラに押しつけられた状態となる。
【0020】
以上より、第1支持部材の回動先端部を、第2方向において、当該装置に固定された第1搬送ローラに沿わせることができる。ここで、第2付勢部材は、第2方向における第1支持部材の中央部を第2支持部材に対して付勢する。そのため、第1支持部材の回動先端部を第1搬送ローラに沿わせることは容易である。
【0021】
第1支持部材の回動先端部が当該装置に固定された第1搬送ローラに沿った状態となることによって、第1支持部材に支持された被記録媒体と記録部との間隔を固定させることができる。すると、被記録媒体に画像記録する際に、第1支持部材の反りに基づいてノズルを制御することによって、被記録媒体に記録される画像の品質の悪化を低減することができる。
【0022】
(7) 上記当接部及び上記被当接部は、上記搬送向きと直交する第2方向に複数が離間されて設けられている。上記第2付勢部材は、上記第2方向において、上記当接部及び上記被当接部と対向する位置に複数設けられている。
【0023】
本構成のように、設けられている第2付勢部材の数が多い程、第1支持部材を、より正確に第1搬送ローラに沿わせることができる。
【0024】
(8) 上記当接部、上記被当接部、及び上記第2付勢部材は、上記第2方向において、上記第1支持部材の中央部から対称に複数が離間されて設けられていてもよい。
【0025】
(9) 上記第1搬送ローラは、上記搬送路の上側に設けられている。上記従動ローラは、上記搬送路の下側に設けられている。
【0026】
本構成によれば、従動ローラは、第1搬送ローラと従動ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じた距離だけ下側に移動する。また、第1支持部材も従動ローラとの第1方向(上下方向)の距離を保ちつつ下側に移動する。これにより、被記録媒体が従動ローラによる支持位置から第1支持部材による支持位置へ突入する際の突入角度が小さくなることを、抑制できる。その結果、突入角度が小さくなることによって、被記録媒体が第1支持部材に引っ掛かって搬送路内で詰まる可能性を低くすることができる。
【0027】
(10) 本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体が案内される搬送路に設けられており、被記録媒体を上記搬送路に沿った搬送向きに搬送する第1搬送ローラと、上記第1搬送ローラと対向して設けられており、上記第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持して上記搬送路に沿って搬送し、上記第1搬送ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じて上記第1搬送ローラに対して接離する第1方向に移動する従動ローラと、上記従動ローラを上記第1搬送ローラに対して付勢する第1付勢部材と、上記第1搬送ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、上記搬送路を搬送される被記録媒体を支持する第1支持部材と、上記第1支持部材と対向して上記搬送路の上側に設けられており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記第1支持部材に支持された被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備え、上記第1支持部材は、上記当接部が上記被当接部に対して接離する方向に移動するものであると捉えることもできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1支持部材は、被記録媒体の厚みと同距離を移動する。よって、被記録媒体の厚みに依存せずに、第1支持部材に支持された被記録媒体と記録部との間隔を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1には複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、記録部24とプラテン42とガイドレール43、44とを示す斜視図である。
【図4】図4は、プラテン42と押さえ部材53と記録用紙12とを示す正面図である。
【図5】図5は、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とプラテン42とガイドレール43、44とを示す斜視図である。
【図6】図6は、プリンタ部11におけるプラテン42周辺を示す縦断面図であり、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが当接された状態が示されている。
【図7】図7は、プリンタ部11におけるプラテン42周辺を示す縦断面図であり、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが離間された状態が示されている。
【図8】図8は、プリンタ部11におけるプラテン42周辺を示す縦断面図であり、プラテン42が図7の状態よりも下方へ移動した状態が示されている。
【図9】図9(A)は、プラテン42の後端部の平面図であり、図9(B)は、図9(A)のA−A断面図であり、プラテン42に加えて第1搬送ローラ60とピンチローラ61とホルダ57とが示されている。
【図10】図10は、プラテン42と押さえ部材53を示す正面図であり、(A)には記録用紙12が搬送されていない状態が示されており、(B)には剛性の低い記録用紙12が搬送されている状態が示されており、(C)には剛性の高い記録用紙12が搬送されている状態が示されている。
【図11】図11は、連動部70周辺を示す斜視図である。
【図12】図12は、リンク部材76と記録部24とプラテン42との周辺を模式的に示す縦断面図であり、(A)には記録用紙12が搬送されていない状態が示されており、(B)には記録用紙12が搬送されている状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、複合機10(本発明のインクジェット記録装置の一例)が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0031】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式で記録用紙12(本発明の被記録媒体の一例、図2参照)に画像を記録するプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、本実施形態において、複合機10は、片面画像記録機能のみを有しているが、両面画像記録機能を有していてもよい。
【0032】
プリンタ部11は、正面に開口13が形成された筐体14を有している。また、各種サイズの記録用紙12を載置可能な給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。
【0033】
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙トレイ20から記録用紙12をピックアップして給送する給紙部15、給紙トレイ20の上方に設けられており、給紙部15によって給紙された記録用紙12にインク滴を吐出して記録用紙12に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)、第1搬送ローラ60(本発明の第1搬送ローラの一例)、及び第2搬送ローラ62(本発明の第2搬送ローラの一例)などを備えている。
【0034】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上方であって記録部24の下方に設けられている。給紙部15は、給送ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給送ローラ25は、給紙アーム26の先端部で軸支されている。給紙アーム26は、基端部に設けられた軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給送ローラ25は、給紙トレイ20に当接及び離間が可能である。つまり、給送ローラ25は、給紙トレイ20に載置された記録用紙12に当接可能である。
【0035】
給送ローラ25は、給紙用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給送ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙12のうち、一番上側の記録用紙12に当接された状態で、当該記録用紙12を他の記録用紙12から分離して以下で説明する湾曲路65Aへ送り出す。
【0036】
[搬送路65]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、給紙トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙トレイ21に至る搬送路65(本発明の搬送路の一例)が形成されている。搬送路65は、給紙トレイ20の先端から第1搬送ローラ60に至る間に形成された湾曲路65Aと、第1搬送ローラ60から排紙トレイ21に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。
【0037】
湾曲路65Aは、給紙トレイ20に設けられた分離傾斜板22の上端付近から記録部24に渡って延設された湾曲状の通路である。給送ローラ25によって給紙トレイ20から給送される記録用紙12は、湾曲路65Aに沿った搬送向き(図2において一点鎖線に付された矢印の向き、本発明の搬送向きの一例)に湾曲されて、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61(本発明の従動ローラの一例)による記録用紙12の挟持位置へ案内される。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって区画されている。
【0038】
排紙路65Bは、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61による記録用紙12の挟持位置から排紙トレイ21に亘って延設された直線状の通路である。記録用紙12は、排紙路65Bを搬送向きに案内される。排紙路65Bは、記録部24が設けられている箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24及び記録用紙12を支持可能な板状部材であるプラテン42(本発明の第1支持部材の一例)によって区画されている。また、排紙路65Bは、記録部24が設けられていない箇所において、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材82及び下側ガイド部材83によって区画されている。
【0039】
[プラテン42]
図2に示されるように、プラテン42は、排紙路65Bにおいて、第1搬送ローラ60よりも搬送向きの下流側に設けられている。プラテン42は、排紙路65Bの下側に設けられている。プラテン42は、左右方向9の両端をプリンタ部11のフレーム(不図示)に支持されている。
【0040】
図2、図3、及び図5に示されるように、プラテン42は、フレームに支持された状態において、前後方向8及び左右方向9の長さが上下方向7の長さよりも長い概ね平板形状である。プラテン42の上面には、上方に突出した複数のリブ52(本発明の凸部の一例)が形成されている。
【0041】
各リブ52は、前後方向8に延びている。詳細には、各リブ52は、少なくとも後述するノズル39と対向する位置において、前後方向8に延びている。本実施形態では、各リブ52は、ノズル39と対向する位置に加えて、後述する押さえ部材53の押さえ部55の下面51(図2及び図4参照)と対向する位置において、前後方向8に延びている。ここで、押さえ部55は、後述するように、ノズル39よりも搬送向きの上流側に設けられている。つまり、各リブ52は、前後方向8において、押さえ部55の下面51に対向する位置よりも搬送向きの下流側まで延びている。
【0042】
また、各リブ52は、左右方向9において、相互に所定の間隔を空けて形成されている。搬送路23を搬送される記録用紙15は、プラテン42によって、詳細にはプラテン42の上面に形成された各リブ52によって支持される。
【0043】
プラテン42の前端部には切り欠き67(図5参照)が形成されている。そして、当該切り欠き67には、第2搬送ローラ62の軸64が回転可能に嵌め込まれている。これにより、プラテン42は、第2搬送ローラ62の軸64を中心として回動する。つまり、プラテン42は、回動によって移動可能である。なお、本実施形態においては、プラテン42は軸64を中心として回動するが、プラテン42は回動以外によって移動されてもよい。例えば、プラテン42の全体が、公知のカム機能などによって、上下方向7に沿って移動されてもよい。
【0044】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、プラテン42と対向して排紙路65Bの上側に設けられている。記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。図3に示されるように、キャリッジ40は、プラテン42の後側及び前側に設けられたガイドレール43、44によって支持されている。ガイドレール43、44の少なくとも一方には、公知のベルト機構が設けられており、キャリッジ40は、当該ベルト機構と連結されている。これにより、キャリッジ40は、左右方向9に移動可能である。
【0045】
図2に示されるように、記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38の下面には、複数のノズル39(本発明のノズルの一例)が形成されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ40が左右方向9へ往復動しているときに、ノズル39からプラテン42に支持されている記録用紙12に対してインク滴が吐出される。これにより、記録用紙12に画像が記録される。
【0046】
[第1搬送ローラ60及びピンチローラ61]
図2に示されるように、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61が、搬送路65において、記録部24よりも搬送向きの上流側に設けられている。第1搬送ローラ60は、搬送路65の上側に設けられている。ピンチローラ61は、搬送路65の下側に第1搬送ローラ60と対向して配置されている。
【0047】
図5及び図9(B)に示されるように、ピンチローラ61は、左右方向9において互いに間隔を空けて配置された複数の回転体59と、複数の回転体59に共通の軸58とで構成されている。
【0048】
ピンチローラ61の軸58は、各回転体59の間において、ホルダ57(本発明の第2支持部材の一例)によって回転可能に支持されている。以下に詳述する。本実施形態において、ホルダ57は、底板46と、底板46から上方に突出された複数の支持部47とで構成されている。支持部47は、左右方向9において、所定の間隔を空けて設けられている。支持部47の各々には、左右方向9に沿った孔48が形成されている。孔48には、ピンチローラ61の軸58が挿通される。
【0049】
ホルダ57の下側には、第1コイルバネ91(本発明の第1付勢部材の一例)が配置されている。第1コイルバネ91は、下側からホルダ57を支持している。また、第1コイルバネ91は、下端をプリンタ部11のフレーム84に取り付けられている。これにより、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91によって付勢され、第1搬送ローラ60のローラ面に圧接される。換言すると、第1コイルバネ91は、ピンチローラ61を第1搬送ローラ60に対して付勢する、つまり上側へ付勢する。これにより、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61の間に記録用紙12を挟持して、搬送路65に沿って搬送向きに搬送する。
【0050】
第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間に厚みの大きい記録用紙12が挟持された場合、ピンチローラ61は、記録用紙12に押されることによって、第1コイルバネ91の上側への付勢力に抗って下方へ移動される。これにより、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60から離間される。このとき、ピンチローラ61を支持するホルダ57は、ピンチローラ61と一体に下方へ移動される。当該厚みのある記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間を通過した後、記録用紙12によって押されなくなったピンチローラ61は、第1コイルバネ91の上側への付勢力によって上方へ移動される。これにより、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60に圧接される。このとき、ピンチローラ61を支持するホルダ57は、ピンチローラ61と一体に上方へ移動される。
【0051】
一方、第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間に厚みの小さい記録用紙12が挟持された場合、ピンチローラ60の下方への移動量は、厚みの大きい記録用紙12が挟持された場合に比べて小さくなる。
【0052】
以上より、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60との間に挟持される記録用紙12の厚みに応じて第1搬送ローラ60に対して接離する上下方向7(本発明の第1方向の一例)に移動する。
【0053】
[第2搬送ローラ62及び拍車63]
図2に示されるように、第2搬送ローラ62及び拍車63が、排紙路65Bにおいて、記録部24よりも搬送向きの下流側に設けられている。第2搬送ローラ62は、排紙路65Bの下側に配置されている。拍車63は、第2搬送ローラ62の上方に第2搬送ローラ62と対向して配置されている。また、拍車63は、図示しないコイルバネなどの弾性部材によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ62及び拍車63は、記録部24で画像を記録された記録用紙12を狭持して、排紙路65Bに沿って搬送向きに搬送させる。これにより、記録用紙12は、排紙トレイ21に排出される。
【0054】
なお、上述の第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、記録用紙12は搬送向きに搬送される。
【0055】
[押さえ部材53]
図2に示されるように、搬送路65における記録部24よりも搬送向きの上流側には、押さえ部材53(本発明の押さえ部材の一例)が設けられている。押さえ部材53は、一つの取り付け部56と、複数の湾曲部54(図3及び図5参照)と、複数の押さえ部55(図3及び図5参照)とで構成されている。なお、本実施形態では、プリンタ部11は、押さえ部材53を備えているが、プリンタ部11は、押さえ部材53を備えていなくてもよい。
【0056】
取り付け部56は、左右方向9に延設された平板形状の部材である。複数の湾曲部54は、左右方向9(本発明の第2方向の一例)において、相互に離間されて取り付けられている。各湾曲部54は、取り付け部56から前側に突設されている。各湾曲部54は、前側に延びながら下側に向かって湾曲されている。各湾曲部54の先端部、つまり前端部からは押さえ部材55が前側に突出されている。これにより、複数の押さえ部55も、湾曲部54と同様に、左右方向9において相互に離間されて配置されている。
【0057】
図3及び図5に示されるように、取り付け部56は、ガイドレール43に取り付けられている。以下に詳述する。取り付け部56の上面には、複数の引っ掛け部75が上側に突出されている。引っ掛け部75は、上端部において後側に屈曲されている。一方、ガイドレール43には複数の開口45が設けられている。各引っ掛け部75は、開口45に挿通されて、開口45に引っ掛けられる。これにより、押さえ部材53の取り付け部56の上面は、ガイドレール43の下面に取り付けられる。
【0058】
図2〜図5に示されるように、各押さえ部55は、概ね平板形状である。各押さえ部55は、記録部24のノズル39よりも搬送向きの上流側、且つプラテン42と対向する位置に設けられている。各押さえ部55の下面51(本発明の押さえ部の一例、図4参照)は、記録ヘッド38の下面よりも下側に位置しており、プラテン42(詳細にはプラテン42に形成されたリブ52)に支持された記録用紙12の画像記録面、つまり記録用紙12の上面に当接する。これにより、記録用紙12は、各押さえ部55の下面51によって、下側へ向けて、つまりプラテン42へ向けて押さえられる。
【0059】
ここで、図4に示されるように、プラテン42に形成された各リブ52は、左右方向9において、各押さえ部55が形成されていない位置に形成されている。つまり、押さえ部55とリブ52とはお互いに対向していない。また、各リブ52は、各押さえ部55の下面51よりも上側まで突出されている。以上より、搬送路65を搬送されている記録用紙12は、プラテン42と押さえ部55との間において、前側或いは後側からみて波打った状態となっている。
【0060】
[連動部70]
図5、図9、及び図11に示されるように、プリンタ部11は、連動部70(本発明の連動部の一例)を備えている。連動部70は、上述したピンチローラ61のホルダ57と、当接部71(本発明の当接部の一例)と、被当接部72(本発明の被当接部の一例)と、第2コイルバネ73(本発明の第2付勢部材の一例)とを備えている。
【0061】
図5、図9、及び図11に示されるように、プラテン42には、ピンチローラ61のホルダ57に当接する当接部71が形成されている。
【0062】
本実施形態では、図9(A)に示されるように、プラテン42の後端部から、左右方向9に相互に離間した複数の突起74が後側に延びている。当接部71は、各突起74の先端部から上側に延びている。なお、上述したように、プラテン42は、前端部の切り欠き67に嵌め込まれた第2搬送ローラ62の軸64を中心として回動する。つまり、当接部71は、プラテン42の回動先端部に形成されている。ここで、上述したように、突起74は、左右方向9において、相互に離間して複数設けられている。よって、突起74に形成された当接部71も、左右方向9に複数が離間されて設けられている。
【0063】
また、図9(B)に示されるように、当接部71は、左右方向9において、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられている。本実施形態においては、複数の当接部71は、ピンチローラ61の各回転体59の間において、ピンチローラ61のホルダ57に形成された被当接部72に当接する。なお、ホルダ57の底板46における当接部71と対向する位置には、開口68が形成されており、当接部71は開口68に挿通されている。これにより、当接部71は被当接部72と当接可能となる。
【0064】
図5、図9、及び図11に示されるように、ピンチローラ61のホルダ57には、当接部71に当接される被当接部72が形成されている。
【0065】
本実施形態では、被当接部72は、図9(B)に示されるように、ホルダ57の支持部47の側面から、右向きまたは左向きに延びた突起である。ここで、上述したように、支持部47は、左右方向9において、所定の間隔を空けて設けられている。よって、支持部47に形成された被当接部72も、左右方向9に複数が離間されて設けられている。
【0066】
また、被当接部72は、左右方向9において、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられている。本実施形態においては、複数の被当接部72の各々は、上下方向7において、当接部71と対向して設けられている。これにより、被当接部72の下面は、当接部71の上面に当接される。
【0067】
図5、図9、及び図11に示されるように、プラテン42の下側には、プラテン42をピンチローラ61のホルダ57に対して付勢する第2コイルバネ73が設けられている。第2コイルバネ73は、左右方向9において、当接部71及び被当接部72と対向する位置に複数設けられている。つまり、各第2コイルバネ73は、下側からプラテン42の各突起74を支持している。また、各第2コイルバネ73は、下端をプリンタ部11のフレーム84に取り付けられている。これにより、プラテン42は、第2コイルバネ73によって付勢され、当接部71の上面は、被当接部72の下面に圧接される。
【0068】
上述したように、プラテン42の突起74は、左右方向9において、相互に離間して複数設けられている。よって、突起74の下側に形成された第2コイルバネ73も、左右方向9に複数が離間されて設けられている。
【0069】
また、上述したように、第2コイルバネ73は、左右方向9において、当接部71及び被当接部72と対向する位置に複数設けられている。ここで、上述したように、当接部71及び被当接部72は、左右方向9において、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられている。よって、第2コイルバネ73も、左右方向9において、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられている。これにより、第2コイルバネ73は、プラテン42を、その左端部から右端部に亘って、ピンチローラ61のホルダ57に対して付勢する。つまり、第2コイルバネ73は、左右方向9におけるプラテン42の少なくとも中央部をピンチローラ61のホルダ57に対して付勢する。
【0070】
[連動部70の動作]
以下、記録用紙12が搬送路65を搬送されたときの連動部70の動作、及び連動部70の動作に基づくプラテン42及びピンチローラ61の移動について、図6〜図8を参照しながら説明する。
【0071】
図6に示されるように、記録用紙12が搬送路65を搬送されていない状態において、ピンチローラ61は、ホルダ57を介して第1コイルバネ91(図9(B)参照)によって上方に付勢されている。また、記録用紙12が搬送路65を搬送されていない状態において、プラテン42は、第2コイルバネ73によって上方に付勢されている。これにより、ピンチローラ61のホルダ57の被当接部72は、プラテン42の当接部71に圧接される。以上より、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91及び第2コイルバネ73に付勢されて、第1搬送ローラ60に圧接される。また、このとき、図10(A)に示されるように、リブ52の上端は、押さえ部55の下面51よりも上方に位置する。
【0072】
まず、普通紙などの厚みが殆どない剛性の低い記録用紙12が搬送路65を搬送される場合が説明される。当該記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持された場合、ピンチローラ61及びホルダ57は殆ど下方に移動しない。当該記録用紙12は、厚みを殆ど有していないからである。
【0073】
次に、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持された記録用紙12が更に搬送向きに搬送されると、記録用紙12は、押さえ部材53の押さえ部55の真下に到達する。これにより、記録用紙12は、プラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持された状態となる。このとき、リブ52の上端は、押さえ部55の下面51よりも上方の位置を維持している。しかし、記録用紙12は、剛性が低いために、リブ52を下方に押すことができない。よって、押さえ部材53の真下において、記録用紙12の上面が押さえ部55の下面51と当接される。一方、リブ52の真上において、記録用紙12の下面が押さえ部55の下面51よりも上方に位置するリブ52の上端と当接される。その結果、記録用紙12は、図10(B)に一点鎖線で示されるように、左右方向9に波打った状態となる。そして、記録用紙12は、波打った状態を維持しながら、搬送路65を搬送される。
【0074】
次に、光沢紙などの普通紙よりも厚みがある剛性の高い記録用紙12が搬送路65を搬送される場合が説明される。図7に示されるように、搬送路65を搬送向きに搬送される記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持されると、ピンチローラ61及びホルダ57は、記録用紙12に押されることによって、第1コイルバネ91の付勢力に抗って下方に移動する。ホルダ57が下方に移動するとき、被当接部72が当接部71を下方に押す。これにより、プラテン42は、第2コイルバネ73の付勢力に抗って下方に移動する。ここで、プラテン42は、被当接部72によって押された量だけ、下方に移動する。つまり、ピンチローラ61の下方への移動量と、プラテン42の下方への移動量とは、同一である。すなわち、連動部70は、ピンチローラ61の上下方向7の移動に連動して、プラテン42を、ピンチローラ61との間の上下方向7の距離を同一に維持させつつ移動させる。
【0075】
図8に示されるように、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持された記録用紙12が更に搬送向きに搬送されると、当該記録用紙12は、押さえ部材53の押さえ部55の真下に到達する。これにより、記録用紙12は、プラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持された状態となる。すると、記録用紙12は、押さえ部材55の下面51によって、下方に押された状態となる。これにより、リブ52は、記録用紙12に下方に押されるため、プラテン42は、第2コイルバネ73の付勢力に抗って下方に移動する。その結果、プラテン42の当接部71は、ピンチローラ61の被当接部72から離間する。つまり、プラテン42は、ピンチローラ61から離間して下方に移動する。以上のように各部材が移動した結果、記録用紙12は、図10(C)に一点鎖線で示されるように、押さえ部55の下面51とプラテン42のリブ52とによって挟持された状態となる。
【0076】
以上より、連動部70は、記録用紙12がプラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持されることによって、ピンチローラ61との間の上下方向7の距離を長くするようにプラテン42を移動させる。また、プラテン42は、記録用紙12がプラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持されることによって、第2コイルバネ73の付勢力に抗って、当接部71が被当接部72に対して離間する方向に移動する。
【0077】
一方、ピンチローラ61は、記録用紙12がプラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持されても、図7の状態よりも下方に移動されることはない。つまり、ピンチローラ61のホルダ57は、記録用紙12がプラテン42と押さえ部55の下面51との間に挟持された場合、第1コイルバネ91の付勢力により上下方向7における位置が維持される。
【0078】
記録用紙12の搬送向きの後端が、第1搬送ローラ60とピンチローラ61との挟持位置を通過すると、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91の付勢力によって上方へ移動し、第1搬送ローラ60に圧接される。これにより、ホルダ57も上方へ移動する。しかし、記録用紙12は押さえ部55の下面51とプラテン42のリブ52の間に挟持された状態であるため、プラテン42は上方へ移動しない。その結果、ホルダ57の被当接部72とプラテン42の当接部71とが相互に離間される。その後、記録用紙12の搬送向きの後端が、プラテン42と押さえ部55の下面51との間を通過すると、プラテン42は、第2コイルバネ73の付勢力によって上方へ移動する。これにより、当接部71の上面が被当接部72の下面に再び圧接される。その結果、連動部70は、図6の状態となる。
【0079】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60との間に記録用紙12を挟持することによって、記録用紙12の厚み分だけ上下方向7に移動する。ピンチローラ61が上下方向7に移動すると、記録用紙12を支持するプラテン42は、連動部70によって、ピンチローラ61との間の上下方向7の距離を同一に維持させつつ移動される。つまり、プラテン42の上下方向7の移動距離は、記録用紙12の厚みと同一となる。以上より、本実施形態によれば、記録用紙12の厚みに依存せずに、プラテン42に支持された記録用紙12と記録部24との間隔を一定にすることができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、プラテン42に支持された記録用紙12は、押さえ部材53に押さえられてプラテン42との間に挟持されることによって、左右方向9に波打ちした状態となる。これにより、剛性が低い記録用紙12の前後方向8における剛性を高めることができる。その結果、記録後の搬送においても記録用紙12の変形や詰まりを抑制することができる。
【0081】
また、剛性が高くて押さえ部材53による変形が吸収できないような記録用紙12がプラテン42と押さえ部材53との間に挟持された場合、プラテン42は、記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持されており且つプラテン42と押さえ部材53とによって挟持されていない場合よりも、多くの距離を下方に移動する。これにより、プラテン42に支持される記録用紙12の高さの基準を、押さえ部材53に押さえられた位置の高さとすることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、リブ52は、搬送向きに沿って長い。よって、リブ52は、記録用紙12を広範囲に亘って支持することができる。その結果、記録用紙12の搬送精度を高くすることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、連動部70を、当接部71や被当接部72などを備えた簡易な構成で実現することができる。また、本実施形態によれば、ピンチローラ61が下側に配置され第1搬送ローラ60が上側に配置されている場合に、記録用紙12がプラテン42と押さえ部材53との間に挟持されたとき、プラテン42に形成された当接部71は、記録用紙12に押されることによってピンチローラ61のホルダ57に形成された被当接部72から離間する。つまり、このとき、プラテン42は、ホルダ57(ピンチローラ61)とは別個に移動可能である。換言すると、プラテン42の上下方向7の移動距離が長くなった場合であっても、ピンチローラ61は必要以上に移動しない。以上より、本実施形態によれば、ピンチローラ61と第1搬送ローラ60とが必要以上に離間することを防止することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、プラテン42の回動先端部は、第2コイルバネ73の付勢力によって、ピンチローラ61のホルダ57に押しつけられる。また、ホルダ57に支持されているピンチローラ61は、第1コイルバネ91の付勢力によって、第1搬送ローラ60に押しつけられる。つまり、プラテン42の回動先端部は、第1搬送ローラ60に押しつけられた状態となる。
【0085】
上記より、プラテン42の回動先端部を、左右方向9において、複合機10に固定された第1搬送ローラ60に沿わせることができる。ここで、本実施形態において、第2コイルバネ73は、左右方向9におけるプラテン42の中央部をピンチローラ61のホルダ57に対して付勢する。そのため、プラテン42の回動先端部を第1搬送ローラ60に沿わせることは容易である。
【0086】
プラテン42の回動先端部が複合機10に固定された第1搬送ローラ60に沿った状態となることによって、プラテン42に支持された記録用紙12と記録部24との間隔を固定させることができる。すると、記録用紙12に画像記録する際に、プラテン42の反りに基づいてノズル39を制御することによって、記録用紙12に記録される画像の品質の悪化を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態のように、設けられている第2コイルバネ73の数が多い程、プラテン42を、より正確に第1搬送ローラ60に沿わせることができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間に挟持される記録用紙12の厚みに応じた距離だけ下側に移動する。また、プラテン42もピンチローラ61との上下方向7の距離を保ちつつ下側に移動する。これにより、記録用紙12がピンチローラ61による支持位置からプラテン42による支持位置へ突入する際の突入角度が小さくなることを、抑制することができる。その結果、突入角度が小さくなることによって、記録用紙12がプラテン42に引っ掛かって搬送路65内で詰まる可能性を低くすることができる。
【0089】
[実施形態の変形例1]
上述の実施形態では、押さえ部材53は単体の部材として構成されていた。具体的には、押さえ部材53は、左右方向9に延設された取り付け部56から複数の湾曲部54が突出された構成であった。しかし、押さえ部材53は、複数設けられていてもよい。
【0090】
例えば、押さえ部材53の取り付け部56が、複数の湾曲部54の各々に対応して、複数設けられていてもよい。つまり、一つの取り付け部56と一つの湾曲部54と一つの押さえ部55よりなる押さえ部材53が、複数設けられていてもよい。なお、変形例1の場合、各取り付け部56は、左右方向9に所定の間隔を空けて、ガイドレール43に取り付けられる。
【0091】
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態では、プラテン42の上面には、前後方向8に延びたリブ52が形成されていた。そして、記録用紙12は、リブ52と押さえ部材53とによって波打ち状態とされていた。しかし、プラテン42の上面には、リブ52の代わりに、前後方向8の長さが短い凸部が形成されていてもよい。変形例2の場合、当該凸部は、少なくとも、前後方向8において押さえ部材53と同じ位置であり、左右方向9において押さえ部材53と異なる位置に設けられている。なお、凸部が前後方向7に沿って所定の間隔を空けて複数設けられていてもよい。
【0092】
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態では、当接部71、被当接部72、及び第2コイルバネ73は、プラテン42の中央部から対称に複数が離間されて設けられていた。しかし、当接部71、被当接部72、及び第2コイルバネ72の配置は、上述の実施形態におけるものに限らない。
【0093】
例えば、当接部71、被当接部72、及び第2コイルバネ73は、左右方向9におけるプラテン42の両端にのみ配置されていてもよい。
【0094】
また、当接部71、被当接部72、及び第2コイルバネ73は、左右方向9におけるプラテン42の中央部に、それぞれ1つずつ配置されていてもよい。
【0095】
[実施形態の変形例4]
上述の実施形態では、プリンタ部11に、押さえ部材53が設けられた構成が説明された。しかし、プリンタ部11に、押さえ部材53が設けられていなくてもよい。この場合、連動部70は以下のように動作する。
【0096】
記録用紙12が搬送路65を搬送されていない状態においては、上述の実施形態の図6と同様に、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91及び第2コイルバネ73に付勢されて、第1搬送ローラ60に圧接される。また、プラテン42は、第2コイルバネ73に付勢されて、ピンチローラ61のホルダ57の被当接部72が、プラテン42の当接部71に圧接される。
【0097】
搬送路65を搬送される記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持されると、上述の実施形態の図7と同様に、ピンチローラ61及びホルダ57は、第1コイルバネ91の付勢力に抗って下方に移動する。また、ホルダ57が下方に移動するとき、被当接部72が当接部71を下方に押す。これにより、プラテン42は、第2コイルバネ73の付勢力に抗って下方に移動する。つまり、プラテン42は、当接部71が被当接部72に押されることによって、第2コイルバネ73の付勢力に抗って移動する。
【0098】
記録用紙12の搬送向きの後端が、第1搬送ローラ60とピンチローラ61との挟持位置を通過すると、ピンチローラ61は、第1コイルバネ91の付勢力によって上方へ移動し、第1搬送ローラ60に圧接される。ピンチローラ61が上方へ移動すると、被当接部72によって下方へ押されていた当接部71は、第2コイルバネ73の付勢力によって、被当接部72に追随して上方へ移動する。その結果、当接部71と被当接部72とが当接した状態が維持される。
【0099】
変形例4によれば、押さえ部材53がない場合においても、連動部70を、当接部71や被当接部72などを備えた簡易な構成で実現することができる。
【0100】
[実施形態の変形例5]
上述の実施形態では、押さえ部55の下面51が本発明の押さえ部の一例であって、当該下面51が記録用紙12の上面と当接した。しかし、本発明の押さえ部は押さえ部55の下面51に限らない。例えば、押さえ部55に、少なくとも一つの拍車(不図示)が回転可能に設けられていてもよい。この場合、当該拍車が記録用紙12の上面と当接される。つまり、変形例5の場合、当該拍車が本発明の押さえ部の一例である。
【0101】
変形例5によれば、拍車が回転可能であるために、記録用紙12は押さえ部材53の下側を円滑に搬送されることが可能である。
【0102】
[実施形態の変形例6]
上述の実施形態では、第1搬送ローラ60が搬送路65の上側に設けられており、ピンチローラ61が搬送路65の下側に設けられていた。しかし、第1搬送ローラ60が搬送路65の下側に設けられており、ピンチローラ61が搬送路65の上側に設けられていてもよい。なお、変形例6の場合も上述の実施形態の場合と同様に、ピンチローラ61は上下方向7に移動可能に構成されている。また、変形例6の場合、第1コイルバネ91は、ピンチローラ61を下向きに付勢している。
【0103】
変形例6の場合、プリンタ部11は、本発明の連動部の一例として、図12(A)に示されるようなリンク部材76を備えている。図12は、プリンタ部11が押さえ部材53を備えていない場合の実施例が示されている。なお、変形例6の場合も、プリンタ部11は押さえ部材53を備えていてもよい。また、図12において、ピンチローラ61を第1搬送ローラ60に対して付勢、つまり、下側へ付勢する第1コイルバネ91は省略されている。リンク部材76は、左右方向9の両端をプリンタ部11のフレーム(不図示)などに回転可能に支持された軸77と、軸77からプラテン42の上端に向けて延設された第1アーム78と、軸77からピンチローラ61に向けて延設された第2アーム79とを備えている。リンク部材76は、軸77を中心として、矢印80の方向に回動可能である。なお、第1アーム78の左右方向9の位置は、搬送路65の外側である。
【0104】
第2アーム79の延設先端は、ピンチローラ61の軸58に取り付けられている。これにより、図12(B)に示されるように、ピンチローラ61が、搬送路65を搬送される記録用紙12に押されることによって、第1コイルバネ91の付勢力に抗って矢印81の向きに移動されると、リンク部材76も矢印81の向きに回動する。その結果、プラテン42は、リンク部材76の第1アーム78によって下側に押されて、下方に移動する。換言すると、プラテン42は、第1アーム78に押されることによって、第2搬送ローラ62の軸67を中心として、矢印85の向きに回動する。
【0105】
なお、記録用紙12が第1搬送ローラ60とピンチローラ61との間を通過すると、リンク部材76、ピンチローラ61、及びプラテン42は、上記とは逆に動作することによって、図12(B)の状態から図12(A)の状態に遷移する。
【0106】
以上より、変形例6の場合であっても、本発明の連動部の一例であるリンク部材76は、ピンチローラ61の上下方向7の移動に連動して、プラテン42を移動させる。
【符号の説明】
【0107】
10・・・複合機
12・・・記録用紙
24・・・記録部
39・・・ノズル
42・・・プラテン
60・・・第1搬送ローラ
61・・・ピンチローラ
65・・・搬送路
70・・・連動部
91・・・第1コイルバネ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体が案内される搬送路に設けられており、被記録媒体を上記搬送路に沿った搬送向きに搬送する第1搬送ローラと、
上記第1搬送ローラと対向して設けられており、上記第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持して上記搬送路に沿って搬送し、上記第1搬送ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じて上記第1搬送ローラに対して接離する第1方向に移動する従動ローラと、
上記従動ローラを上記第1搬送ローラに対して付勢する第1付勢部材と、
上記第1搬送ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、上記搬送路を搬送される被記録媒体を支持する第1支持部材と、
上記第1支持部材と対向して上記搬送路の上側に設けられており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記第1支持部材に支持された被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記従動ローラの上記第1方向の移動に連動して、上記第1支持部材を移動させる連動部と、を備えるインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記連動部は、
上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、
上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、
上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、
上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備え、
上記第1支持部材は、
上記当接部が上記被当接部に押されることによって、上記第2付勢部材の付勢力に抗って移動する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記ノズルよりも上記搬送向きの上流側且つ上記第1支持部材と対向する位置に設けられており、上記第1支持部材に支持された被記録媒体の画像記録面に当接して当該被記録媒体を上記第1支持部材へ向けて押さえる押さえ部が上記搬送向きと直交する第2方向に複数が離間されて形成されている押さえ部材を更に備え、
上記第1支持部材の上面には、上記第2方向における上記押さえ部と対向されない位置に、上記押さえ部の下端よりも上側まで突出した凸部が形成される請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記凸部は、上記押さえ部に対向する位置よりも上記搬送向きの下流側まで延びている請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記連動部は、
上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、
上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、
上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、
上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備え、
上記第2支持部材は、
被記録媒体が上記第1支持部材と上記押さえ部材との間に挟持された場合、上記第1付勢部材の付勢力により上記第1方向における位置が維持され、
上記第1支持部材は、
被記録媒体が上記第1支持部材と上記押さえ部材との間に挟持されることによって、上記第2付勢部材の付勢力に抗って、上記当接部が上記被当接部に対して離間する方向に移動する請求項3または4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記第1支持部材よりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、被記録媒体を上記搬送向きに搬送する第2搬送ローラを更に備え、
上記第1支持部材は、上記第2搬送ローラの軸を中心として回動され、
上記当接部は、上記第1支持部材の回動先端部に形成され、
上記第2付勢部材は、上記搬送向きと直交する第2方向における上記第1支持部材の中央部を上記第2支持部材に対して付勢する請求項2または5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
上記当接部及び上記被当接部は、上記搬送向きと直交する第2方向に複数が離間されて設けられており、
上記第2付勢部材は、上記第2方向において、上記当接部及び上記被当接部と対向する位置に複数設けられている請求項2、5または6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
上記当接部、上記被当接部、及び上記第2付勢部材は、上記第2方向において、上記第1支持部材の中央部から対称に複数が離間されて設けられている請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
上記第1搬送ローラは、上記搬送路の上側に設けられており、
上記従動ローラは、上記搬送路の下側に設けられている請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
被記録媒体が案内される搬送路に設けられており、被記録媒体を上記搬送路に沿った搬送向きに搬送する第1搬送ローラと、
上記第1搬送ローラと対向して設けられており、上記第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持して上記搬送路に沿って搬送し、上記第1搬送ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じて上記第1搬送ローラに対して接離する第1方向に移動する従動ローラと、
上記従動ローラを上記第1搬送ローラに対して付勢する第1付勢部材と、
上記第1搬送ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、上記搬送路を搬送される被記録媒体を支持する第1支持部材と、
上記第1支持部材と対向して上記搬送路の上側に設けられており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記第1支持部材に支持された被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、
上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、
上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、
上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備え、
上記第1支持部材は、上記当接部が上記被当接部に対して接離する方向に移動するインクジェット記録装置。
【請求項1】
被記録媒体が案内される搬送路に設けられており、被記録媒体を上記搬送路に沿った搬送向きに搬送する第1搬送ローラと、
上記第1搬送ローラと対向して設けられており、上記第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持して上記搬送路に沿って搬送し、上記第1搬送ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じて上記第1搬送ローラに対して接離する第1方向に移動する従動ローラと、
上記従動ローラを上記第1搬送ローラに対して付勢する第1付勢部材と、
上記第1搬送ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、上記搬送路を搬送される被記録媒体を支持する第1支持部材と、
上記第1支持部材と対向して上記搬送路の上側に設けられており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記第1支持部材に支持された被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記従動ローラの上記第1方向の移動に連動して、上記第1支持部材を移動させる連動部と、を備えるインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記連動部は、
上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、
上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、
上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、
上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備え、
上記第1支持部材は、
上記当接部が上記被当接部に押されることによって、上記第2付勢部材の付勢力に抗って移動する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記ノズルよりも上記搬送向きの上流側且つ上記第1支持部材と対向する位置に設けられており、上記第1支持部材に支持された被記録媒体の画像記録面に当接して当該被記録媒体を上記第1支持部材へ向けて押さえる押さえ部が上記搬送向きと直交する第2方向に複数が離間されて形成されている押さえ部材を更に備え、
上記第1支持部材の上面には、上記第2方向における上記押さえ部と対向されない位置に、上記押さえ部の下端よりも上側まで突出した凸部が形成される請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記凸部は、上記押さえ部に対向する位置よりも上記搬送向きの下流側まで延びている請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記連動部は、
上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、
上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、
上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、
上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備え、
上記第2支持部材は、
被記録媒体が上記第1支持部材と上記押さえ部材との間に挟持された場合、上記第1付勢部材の付勢力により上記第1方向における位置が維持され、
上記第1支持部材は、
被記録媒体が上記第1支持部材と上記押さえ部材との間に挟持されることによって、上記第2付勢部材の付勢力に抗って、上記当接部が上記被当接部に対して離間する方向に移動する請求項3または4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記第1支持部材よりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、被記録媒体を上記搬送向きに搬送する第2搬送ローラを更に備え、
上記第1支持部材は、上記第2搬送ローラの軸を中心として回動され、
上記当接部は、上記第1支持部材の回動先端部に形成され、
上記第2付勢部材は、上記搬送向きと直交する第2方向における上記第1支持部材の中央部を上記第2支持部材に対して付勢する請求項2または5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
上記当接部及び上記被当接部は、上記搬送向きと直交する第2方向に複数が離間されて設けられており、
上記第2付勢部材は、上記第2方向において、上記当接部及び上記被当接部と対向する位置に複数設けられている請求項2、5または6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
上記当接部、上記被当接部、及び上記第2付勢部材は、上記第2方向において、上記第1支持部材の中央部から対称に複数が離間されて設けられている請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
上記第1搬送ローラは、上記搬送路の上側に設けられており、
上記従動ローラは、上記搬送路の下側に設けられている請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
被記録媒体が案内される搬送路に設けられており、被記録媒体を上記搬送路に沿った搬送向きに搬送する第1搬送ローラと、
上記第1搬送ローラと対向して設けられており、上記第1搬送ローラとの間に被記録媒体を挟持して上記搬送路に沿って搬送し、上記第1搬送ローラとの間に挟持される被記録媒体の厚みに応じて上記第1搬送ローラに対して接離する第1方向に移動する従動ローラと、
上記従動ローラを上記第1搬送ローラに対して付勢する第1付勢部材と、
上記第1搬送ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記搬送路の下側に設けられており、上記搬送路を搬送される被記録媒体を支持する第1支持部材と、
上記第1支持部材と対向して上記搬送路の上側に設けられており、ノズルからインク滴を吐出することによって上記第1支持部材に支持された被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記従動ローラを回転可能に支持し且つ上記従動ローラと一体に移動する第2支持部材と、
上記第1支持部材に形成されており、上記第2支持部材に当接する当接部と、
上記第2支持部材に形成されており、上記当接部に当接される被当接部と、
上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して付勢する第2付勢部材と、を備え、
上記第1支持部材は、上記当接部が上記被当接部に対して接離する方向に移動するインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−111837(P2013−111837A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259604(P2011−259604)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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