説明

インクジェット記録要素

本発明は、時間内に非常に良好な色素を保つ性質を有するインクジェット記録要素に関する。前記のインクジェット記録要素は、支持体及び少なくとも一つのインクを受容する層を含み、前記のインクを受容する層は、少なくとも一つの水溶性の結合剤、及び、少なくとも一つのアルミノケイ酸塩の重合体を含み、その少なくとも一つのアルミノケイ酸塩の重合体は、シラノール基の存在下で、水性のアルカリと共に、加水分解性の置換基のみを有する少なくとも一つのケイ素アルコキシド及び非加水分解性の置換基を有する少なくとも一つのケイ素アルコキシドの混合物で、ハロゲン化アルミニウムを処理すること、そして、混成のアルミノケイ酸塩の重合体を形成するために十分に長い時間の間、シラノール基の存在下で、周囲温度で結果として生じる混合物を攪拌することに存する調製方法によって得ることが可能なものであり、ハロゲン化アルミニウムを処理する際に、そのアルミニウムの濃度は、0.3mol/l未満に維持され、Al/Siのモルの比は、1と3.6との間に維持されると共にそのアルカリ/Alのモルの比は、2.3と3との間に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル写真技術は、数年の間に速く成長してきていると共に一般公衆は、今、効率的な且つ適度に値段が付けられたディジタルカメラへのアクセスを有する。従って、人々は、最も良好な可能な品質で、単純なコンピューター及びそれのプリンターから写真印画を生じさせることができることを、捜し求めている。
【0003】
多くのプリンターは、特に個人のオフィスの自動化に連結されたものは、インクジェット印刷の技術を使用する。インクジェット印刷の技術の二つの主要な系統、連続噴射及びドロップオンデマンドがある。
【0004】
連続噴射は、より単純なシステムである。加圧されたインク(3.10Pa)は、そのインクが、小滴の流れに変換されるように、一つ以上のノズルを通り抜けることを余儀なくされる。最も規則的な可能な大きさ及び滴の間の間隔を得るためには、規則的な圧力のパルスが、例えば、高い(1MHzまでの)周波数の交流電源を有する、そのインクと接触した圧電性結晶を使用して、送られる。メッセージを単一のノズルを使用して印刷することができるように、あらゆる滴を、個々に制御すると共に方向付けしなければならない。静電的なエネルギーが、これのために使用される。電極が、滴が形をなす所でそのインクジェットのまわりに置かれる。そのジェットは、電磁誘導によって帯電させられると共にあらゆる滴は、これからは、電荷を所持するが、その電荷の値は、その印加電圧に依存する。そして、それら滴は、反対の符号で帯電させられた二つの偏向板の間で通過すると共に、そして、与えられた方向を追跡するが、その移動の大きさは、それらの各々によって所持された電荷に比例するものである。他の滴がその紙に到達することを予防するために、それらは、帯電させられない状態にしておかれる。そこで、その支持体へ行くことの代わりに、それらは、偏向されることなく、それらの経路を継続させると共に容器の中へ直接的に進入する。そして、そのインクを、ろ過すると共に、再使用することができる。
【0005】
インクジェットプリンターの他方の部類は、ドロップオンデマンド(DOD)である。これは、オフィスの自動化で使用されたインクジェットプリンターの基礎を構成する。この方法では、そのインクカートリッジにおける圧力は、一定なものに維持されないが、しかし、文字を形成する必要があるときに、適用される。一つの広く行き渡ったシステムにおいては、12個の開放ノズルの行があるが、それらの各々は、圧電性結晶で起動させられる。そのヘッドに含有されたインクには、パルスが与えられる。その圧電素子は、ある電圧で収縮するが、それは、体積の減少を引き起こし、そのノズルによるその滴の排出に至る。その素子が、それの初期の形状を取り戻すとき、それは、その貯蔵器において、新しい印刷に必要なインクを汲み出す。このように、ノズルの行は、その滴の偏向が、必要なことではないように、列のマトリックスを発生させるために、使用される。このシステムの一つの変動は、その圧電性結晶を、各々のノズルの後方における小さい加熱素子によって、取り替えることに存する。それら滴は、溶剤の蒸気の泡の形成に従って、射出される。その体積の増加は、その滴の排出を可能とする。最後に、そのインクが、周囲温度で固体である、パルス化されたインクジェットシステムがある。このように、印刷ヘッドを、そのインクが、液化すると共に、印刷することができるように、加熱する必要がある。これは、従来のシステムよりも生産物のより広い範囲で、急速な乾燥を可能とする。
【0006】
今、優れた品質の写真の画像を生じさせることが可能な新しい“インクジェット”プリンターが、存在する。しかしながら、それらは、劣った品質の印刷用紙を使用するとすれば、良好な校正刷りを供給することができない。印刷用紙の選択は、得られた画像の品質に重要なことである。その印刷用紙は、以下の性質、高い品質の印刷された画像、印刷した後の急速な乾燥、時間内における良好な色素の保持、滑らかな様相、及び高い光沢を組み合わせなければならない。
【0007】
一般的には、その印刷用紙は、要求された性質に従って一つ以上の層で被覆された支持体を含む。例えば、一次の付着層、吸着性の層、インクを定着させる層、及び、その記録要素の光沢度を提供するための保護層又は表面の層を支持体に設けることは、可能なことである。その吸収性の層は、その画像の生成の後で、水を主材料としたインク組成物の液体の部分を吸収する。その液体の除去は、その表面へのインクの移動の危険度を減少させる。そのインクを定着させる層は、印刷するドットの大きさにおける増加を助長すると共にその画像の品質を減少させるであろう過剰なインクを予防する一方で、良好な色の飽和を得るために、その用紙の基礎の繊維の中へのどんなインクの喪失をも予防する。また、その吸収性の層及び定着させる層は、両方の機能を保証する単一のインクを受容する層を構成することができる。その保護層は、指紋に対する保護及びそのプリンターの供給ローラーの圧力かぶりを保証するように、設計される。そのインクを受容する層は、通常、結合剤、受容試剤、及び様々な添加剤を含む。その受容試剤の目的は、その印刷用紙において、それら色素を定着させることである。最も良く知られた無機の受容体は、コロイド状のシリカ又はベーマイトである。例えば、特許文献1及び特許文献2は、そのインクを受容する層が、無機の受容体として、Grace Corporationによって市場に出されたLudoxTM(登録商標) CL(コロイド状のシリカ)又はSasolによって市場に出されたDispalTM(登録商標)(コロイド状のベーマイト)を含有する、インクジェット印刷用の材料を記載する。しかしながら、このような無機の受容体を含有するインクを受容する層を含む印刷用紙は、色の密度の喪失によって証明される、時間内における乏しい画像の安定性を有し得る。
【特許文献1】欧州特許出願公開第976,571号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1,162,076号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
写真の品質、印刷のスピード、及び、色の安定性の点における市場の新しい要求を満たすために、上に定義したような性質、より詳しくは、高い光沢のみならず時間内に良好な色素を保つ性質を有する新しいインクジェット記録要素を提示することは、必要なことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った新しいインクジェット記録要素は、支持体、及び、少なくとも一つのインクを受容する層を含むが、その少なくとも一つのインクを受容する層は、少なくとも一つの水溶性の結合剤並びに以下のステップa)、b)、及びc)を含む調製の方法によって得ることが可能な少なくとも一つの混成のアルミノケイ酸塩の重合体を含み、
ステップa)は、水性のアルカリと共に、シラノール基の存在下で、
混合したアルミニウム及びケイ素が加水分解性の置換基及び非加水分解性の置換基の両方を有するケイ素アルコキシド
又は
混合した、アルミニウム、並びに、アルミニウムの化合物並びに加水分解性の置換基のみを有するケイ素の化合物及び非加水分解性の置換基を有するケイ素の化合物の混合物の加水分解から結果として生じるケイ素の前駆体
を処理することであり、
そのアルミニウムの濃度は、0.3mol/l未満に維持され、そのAl/Siのモルの比は、1と3.6との間に維持され、且つ、そのアルカリ/Alのモルの比は、2.3と3との間に維持され、
ステップb)は、その混成のアルミノケイ酸塩の重合体を形成するために十分に長い時間の間、シラノール基の存在下で、周囲温度でステップa)から結果として生じる混合物を攪拌することであり、
ステップc)は、その反応の媒質からステップa)及びb)の間に形成された副産物を除去することであり、
ここで、そのインクを受容する層は、また、無機の粒子をも含む。これらの無機の粒子は、金属の酸化物又は金属の水酸化物を主材料とする。それらは、ベーマイト、ヒュームドアルミナ、コロイド状のシリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、二酸化ケイ素、及び二酸化チタンのような、アルミナ、シリカ、チタン、ジルコニウム、又は、それらの混合物を主材料とすることができる。また、使用されたそれら無機の粒子は、炭酸カルシウム、又は、炭酸バリウムを主材料とすることができる。
【0010】
本記載のいたるところで、表現“非加水分解性の置換基”は、その過程の間に、及び、特に、その水性のアルカリでの処理の時間に、ケイ素の原子から分離する置換基を意味する。このような置換基は、例えば、水素、フッ化物イオン、又は、有機基である。これに反して、表現“加水分解性の置換基”は、同じ条件で加水分解によって除去された置換基を意味する。
【0011】
以下において、表現“変更された混合したアルミナ及びケイ素アルコキシド”は、そのアルミニウムの原子が、加水分解性の置換基のみを有すると共にそのケイ素の原子が、加水分解性の置換基及び非加水分解性の置換基の両方を有する、混合したアルミニウム及びケイ素アルコキシドを意味する。
【0012】
同様に、表現“変更された混合したアルミニウム及びケイ素の前駆体”は、アルミニウムの化合物並びに加水分解性の置換基のみを有するケイ素の化合物及び非加水分解性の置換基を有するケイ素の化合物の混合物の加水分解によって得られた前駆体を意味する。これは、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体の材料に再度見出されることになる非加水分解性の置換基である。
【0013】
より一般的には、“変更されてない”化合物は、加水分解性の置換基のみからなる化合物であると共に、“変更された”化合物は、非加水分解性の置換基からなる化合物である。
【0014】
本発明に従った要素の中への無機の粒子の添加は、市場で利用可能なインクジェット記録要素と比較した良好な光沢のみならず時間内に保つ改善された色素を有する要素を得る一方で、その受容する層に使用された混成のアルミノケイ酸塩の重合体の品質が、減少させられることを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に従ったインクジェット記録要素は、第一に、支持体を含む。この支持体は、所望の使用目的に従って選択される。それは、透明な又は不透明な熱可塑性のフィルム、特に、ポリエステルを主材料としたフィルム、セルロースエステル、三酢酸セルロース、二酢酸セルロースのようなセルロース誘導体、ポリアクリラート類、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリカーボナート類、ポリスチレン類、ポリオレフィン類、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド類、ポリ塩化ビニルのようなビニル重合体、及びそれらの混合物であることができる。また、本発明において使用された支持体は、紙であることができるが、その紙の両側が、ポリエチレンの層で覆われてもよい。その紙のパルプを含む支持体が、ポリエチレンを備えた両側に被覆されるとき、それは、樹脂被覆紙(RCペーパー)と呼ばれると共に様々な銘柄の名前で市場に出される。このタイプの支持体は、特に、インクジェット記録要素を構成するために、好適なものである。使用される支持体の側を、その支持体における第一の層の付着を保証するために、ゼラチン又は別の組成物の非常に薄い層で被覆することができる。その支持体におけるそのインクを受容する層の付着を改善するために、その指示体の表面を、また、そのインクを受容する層を設ける前に、コロナ放電による予備的な処理にさらしておくことができる。
【0016】
そして、本発明に従ったインクジェット記録要素は、少なくとも一つの水溶性の結合剤を含む少なくとも一つのインクを受容する層を含む。前記の水溶性の結合剤は、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアセトアミド)、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、スルホン化された又はリン酸化されたポリエステル及びポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、デキストラン、ペクチン、コラーゲンの誘導体、寒天、グアー、カラギナン、トラガカント、キサンタン、並びにその他のもののような親水性の重合体であることができる。好ましくは、ゼラチン又はポリビニルアルコールを使用する。そのゼラチンは、写真の分野で従来より使用されたものである。このようなゼラチンは、Research Disclosure,September 1994,No.36544,part IIAに記載される。Research Disclosureは、Kenneth Mason Publications Ltd.(Dudley House,12 North Street,Emsworth,Hampshire PO10 7DQ,United Kingdom)の刊行物である。そのゼラチンを、SKWから得ることができると共にポリビニルアルコールをNippon Gohsei、又は、Airvol(R)(登録商標) 130の名前でAir Productから得ることができる。
【0017】
そのインクを受容する層は、受容試剤として、以下のステップa)、b)、及びc)を含む調製の方法によって得ることが可能な少なくとも一つの混成のアルミノケイ酸塩の重合体を含む。
【0018】
ステップa)は、水性のアルカリと共に、シラノール基の存在下で、
混合したアルミニウム及びケイ素が加水分解性の置換基及び非加水分解性の置換基の両方を有するケイ素アルコキシド、又は
混合した、アルミニウム、並びに、アルミニウムの化合物並びに加水分解性の置換基のみを有するケイ素の化合物及び非加水分解性の置換基を有するケイ素の化合物の混合物の加水分解から結果として生じるケイ素の前駆体
を処理することであり、
そのアルミニウムの濃度は、0.3mol/l未満に維持され、そのAl/Siのモルの比は、1と3.6との間に維持され、且つ、そのアルカリ/Alのモルの比は、2.3と3との間に維持され、
ステップb)は、その混成のアルミノケイ酸塩の重合体を形成するために十分に長い時間の間、シラノール基の存在下で、周囲温度でステップa)から結果として生じる混合物を攪拌することであり、
ステップc)は、その反応の媒質からステップa)及びb)の間に形成された副産物を除去することである。
【0019】
仏国特許出願公開第02/9086号明細書に記載された、この混成のアルミノケイ酸塩の重合体は、非常に良好な光沢の性質及び画像の安定性を有する、インクジェット記録要素が、生産されることを可能とする。
【0020】
一つの実施形態に従って、その変更された混合したアルミニウム及びケイ素の前駆体は、現場で、水性の媒質において、(i)アルミニウムの塩、アルミニウムアルコキシド、及びアルミニウムハロゲノアルコキシドからなる群より選択された一つの化合物、並びに、(ii)変更されてないケイ素アルコキシド及びクロロアルコキシドからなる群より選択された少なくとも一つの化合物、並びに、(iii)変更されたケイ素アルコキシド及びクロロアルコキシドからなる群より選択された少なくとも一つの化合物を混合することによって、形成される。
【0021】
そのアルミニウムの化合物又はケイ素の化合物の変更された又は変更されてないアルコキシドのラジカルは、好ましくは、メトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、又はi−プロポキシドのような、1個から5個までの炭素の原子を含有する。
【0022】
好ましくは、ハロゲン化物(例えば、塩化物又は臭化物)、過ハロゲン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、又はカルボン酸塩のような、アルミニウムの塩が、使用される。アルミニウムの、塩化物のようなハロゲン化物は、特に、好適なものである。
【0023】
好ましくは、ケイ素の化合物は、アルコキシドの形態で使用される。
【0024】
単一の変更されてないケイ素アルコキシド若しくは変更されてないケイ素アルコキシドの混合物、若しくは、単一の変更されてないケイ素クロロアルコキシド若しくは変更されてないケイ素クロロアルコキシドの混合物、又は、変更されてないケイ素アルコキシド及びクロロアルコキシドの混合物を、使用することができる。同様に、単一の変更されたケイ素アルコキシド若しくは変更されたケイ素アルコキシドの混合物、若しくは、単一の変更されたケイ素クロロアルコキシド若しくは変更されたケイ素クロロアルコキシドの混合物、又は、変更されたケイ素アルコキシド及びクロロアルコキシドの混合物を、使用することができる。
【0025】
好ましくは、ハロゲン化アルミニウムの混合物(i)、並びに、少なくとも一つの変更されてないケイ素アルコキシド及び少なくとも一つの変更されたケイ素アルコキシドを備えた混合物(ii)を、生じさせる。
【0026】
変更されてないケイ素アルコキシドを、式Si−(OR)によって表すことができると共に変更されたケイ素アルコキシドを、式R’−Si−(OR)によって表すことができるが、
ここで
Rは、1個から5個の炭素の原子を含むアルキル基を表す。
【0027】
R’は、H、F、又は、1個から8個までの炭素の原子を含む、置換された若しくは置換されてない直鎖の若しくは分岐鎖のアルキル若しくはアルケニル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、3−クロロプロピル基、若しくはビニル基を表す。
【0028】
好ましくは、その変更されてないケイ素アルコキシドは、オルトケイ酸テトラメチル又はテトラエチルであると共に、その変更されたケイ素アルコキシドは、メチルトリエトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである。
【0029】
変更されたケイ素アルコキシドに対する変更されてないケイ素アルコキシドの比は、ケイ素のモルで0.1と10との間にあると共に、好ましくは、約1である。
【0030】
実際には、変更されてないケイ素アルコキシド及び変更されたケイ素アルコキシドの混合物は、最初に、純粋に生産されるか、又は、アルコールのような補助溶剤において希釈される。前記のアルコールは、好ましくは、一度それらケイ素の化合物を、そのアルミニウムの化合物と混合すると、澄んだ均質な混合物を得るための十分な量で使用された、エタノールである。そして、この混合物は、澄んだ均質な混合物が得られるまで、15℃と35℃との間の、好ましくは、20℃と25℃との間の、周囲温度で、攪拌すると共に、水性の溶液でそのアルミウムの塩へ添加される。変更された混合したアルミニウム及びケイ素の前駆体は、このように、得られる。その攪拌する時間は、10分から240分まで変動すると共に、好ましくは120分である。
【0031】
そして、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための方法のステップa)に従って、その前駆体又は変更された混合したアルミニウム及びケイ素アルコキシドは、水性のアルカリと接触して置かれるが、そのアルミニウムの濃度は、0.3mol/l未満に維持され、そのAl/Siのモルの比は、1と3.6との間に維持され、且つ、そのアルカリ/Alのモルの比は、2.3と3との間に維持される。都合良くは、そのアルミニウムの濃度は、1.4×10−2mol/lと0.3mol/lとの間に、及び、よりいっそう好ましくは、4.3×10−2mol/lと0.3mol/lとの間に、ある。好ましくは、そのAl/Siのモルの比は、1と2との間にある。
【0032】
好ましくは、0.5Mと3Mとの間の、及び好ましくは3Mの濃度を備えた、ナトリウム、カリウム、又はリチウムの水酸化物の水性の溶液が、使用される。また、そのアルカリは、水性アルコールの溶液の形態であり得る。
【0033】
そのアルカリは、好ましくは、50mmol/時と650mmol/時との間の割合で、その前駆体に、又は、その変更された混合したアルミニウム及びケイ素アルコキシドに、添加される。
【0034】
ステップa)におけるそのアルカリは、シラノール基の存在下で添加される。これらの基を、表面のヒドロキシ基を有する、ガラス又はシリカ(ガラスウール)の粒子又はビーズによって、補給することができる。処理されるものである液体の体積が、大きいものであるとき、ビーズの量を増加させることが、望ましいことであることもある。それらビーズの直径を、0.2mmと5mmとの間に、及び好ましくは、1mmと3mmとの間に、あることができる。本発明において使用された混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための方法の実施を単純化するために、その混合したアルミニウム及びケイ素の前駆体の調製を、また、シラノール基の存在下で、例えば、ガラスのビーズの下地で、その混合物を循環させることによって、行うことができる。
【0035】
そのアルカリの添加の後に、本発明において使用された混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための方法のステップb)は、前記の混成のアルミノケイ酸塩の重合体を形成するために十分に長い時間の間、シラノール基の存在下で、周囲温度でステップa)から結果として生じる混合物を攪拌することに存する。
【0036】
そして、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための方法のステップc)は、その反応の媒質から、ステップa)で使用されたアルカリから本質的に由来する残余のイオンのような、ステップa)及びb)の間に形成された副産物を除去することに存する。それら残余のイオンを、洗浄することによって、継続的な沈降によって、又は、ダイアフィルトレーションによって、除去することができる。そして、ステップc)から結果として生じるその混成のアルミノケイ酸塩の重合体の材料を、遠心分離又はナノフィルトレーションによって、濃縮することができる。有機官能基のような、非加水分解性の置換基の導入は、例えば、それら結果として生じる混成のアルミノケイ酸塩の重合体に対する有機親和特性を提供することを可能とする。
【0037】
本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための方法の第一の実施形態において、ステップa)の間に、ある量のアルカリが、約2.3のアルカリ/Alのモルの比を得るために、添加される。この場合には、そのpHは、4と5との間に、及び、好ましくは、4.2と4.3との間に、維持される。そして、上述したようなステップb)が、適用される。本発明において使用された混成のアルミノケイ酸塩の重合体は、このように、分散系の形態で得られる。そして、それら残余のイオンを除去するためのステップc)を、ナノフィルトレーションの濃縮が後に続けられた、ダイアフィルトレーションによって、行うことができる。
【0038】
本発明において使用された混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための方法の第二の実施形態において、ステップa)の間に、ある量のアルカリが、約3のアルカリ/Alのモルの比を得るために、添加される。そして、上述したようなステップb)が、適用される。本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体は、このように、懸濁液の形態で得られる。そして、それら残余のイオンを除去するためのステップc)を、ナノフィルトレーションの濃縮が後に続けられた、ダイアフィルトレーションによって、行うことができるが、その混成のアルミノケイ酸塩の重合体を、塩酸若しくは酢酸又はそれらの混合物のような、酸を添加することによって、予め再度分散させておく。
【0039】
第三の実施形態において、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための方法は、ステップb)の後且つステップc)の前に、付加的なステップd)を含む。前記のステップd)は、3のアルカリ/Alのモルの比に、この比が、ステップa)の間にまだ到達されてきてないとすれば、到達するために、数分で、付加的な量の水性のアルカリを添加することに存する。本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体は、このように、懸濁液の形態で得られる。そして、それら残余のイオンを除去するためのステップc)を、ナノフィルトレーションの濃縮が後に続けられた、ダイアフィルトレーションによって、行うことができるが、その混成のアルミノケイ酸塩の重合体を、塩酸を添加することによって、予め再度分散させておく。また、ステップc)を、遠心分離の濃縮が後に続けられた、継続的な沈降による浸透させた水で洗浄することによって、行うことができる。
【0040】
ある濃縮が後に続けられた、ステップc)から結果として生じる本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体は、物理的なゲルの形態を有する。そのAl/Siのモルの比は、1と3.6との間にある。その後の凍結乾燥は、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体が、粉末の形態で得られることを可能とする。このような混成のアルミノケイ酸塩の重合体を、それのラマンスペクトルが、スペクトル領域の200cm−1から600cm−1までにおいて、そのケイ素の非加水分解性の置換基に対応する帯域のみならず、250±5cm−1における広い帯域、359±4cm−1における広い強い帯域、407±7cm−1における肩、及び、501±2cm−1における広い帯域を含むと共に、そのケイ素の非加水分解性の置換基に連結された帯域を、他の帯域と並置させることができるという点で、特徴付けることができる。ラマンスペクトルは、ステップb)の後且つステップc)の前に、その結果として生じる混成のアルミノケイ酸塩の重合体について、生じさせられると共に、凍結乾燥させられる。
【0041】
本発明に従って、そのインクを受容する層は、また、無機の粒子を含む。一つの実施形態において、前記の無機の粒子は、金属の酸化物又は金属の水酸化物を主材料とする。好ましくは、それら無機の粒子は、アルミナ、シリカ、チタン、ジルコニウム、又はそれらの混合物を主材料とする。好ましくは、それら無機の粒子は、ベーマイト、ヒュームドアルミナ、コロイド状のシリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、二酸化ケイ素、及び二酸化チタンからなる群の間より選択される。別の実施形態に従って、それら無機の粒子は、炭酸カルシウム、又は炭酸バリウムを主材料とする。
【0042】
当業者は、インクを受容する層における受容試剤として使用された、このような無機の粒子が、要求された画像の安定性も光沢もまた、インクジェット記録要素について得られることを可能としないことを知る。
【0043】
無機の粒子の量は、そのインクを受容する層における前記の無機の粒子の追加が、単独で使用されるとき、このアルミノケイ酸塩の重合体で得られた画像の安定性及び光沢の性質を保つ一方で、使用された混成のアルミノケイ酸塩の重合体の量を減少させることを可能とするように、選択される。本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体の量は、その乾燥状態において、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体及びそれら無機の粒子の乾燥重量によって表された、合計の乾燥した無機物の質量と比較した5重量%と80重量%との間にある。好ましくは、乾燥した状態における本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体の量は、その乾燥した無機物の合計の重量と比較して、5重量%と50重量%との間にある。より好適な方式では、乾燥した状態における本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体の量は、その乾燥した無機物の合計の重量と比較して、5重量%と20重量%との間にある。
【0044】
そのインクを受容する層において、その無機物の合計の乾燥重量(混成のアルミノケイ酸塩の重合体及び無機の粒子)は、その乾燥した状態のインクを受容する層の合計の重量の5%と95%との間にある。好ましくは、その合計の乾燥した無機物の重量は、その乾燥した受容する層の合計の重量の85%と95%との間にある。
【0045】
また、本発明は、上述したインクジェット記録要素のインクを受容する層を構成するための、その支持体に被覆されることが意図された組成物に関する。この組成物を生産するために、その水溶性の結合剤は、それの粘度を調節するために、水に希釈されると共に、それの被覆を容易にする。好ましくは、水性の溶液の形態で、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体及びそれら無機の粒子を使用する。好ましくは、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体及びそれら無機の粒子は、最初に、互いに混合させられると共に、そして、その水溶性の結合剤が、添加される。そして、その組成物は、全ての必要な成分を含有する、水性の溶液又は分散系の形態を有する。
【0046】
また、その組成物は、それの被覆の性質を改善するための界面活性剤を含むことができる。その組成物を、ブレード、ナイフ、又はカーテンコーティングのような、適切な被覆の方法のいずれに従っても、その支持体に被覆することができる。その組成物は、湿った状態で、おおよそ100μmと200μmとの間の厚さで設けられる。そのインクを受容する層を形成する組成物を、その支持体の両側へ設けることができる。また、そのインクを受容する層で被覆されたその支持体の背後に、帯電防止の又は屈曲防止の層を提供することも、可能なことである。
【0047】
本発明に従ったインクジェット記録要素は、上述したインクを受容する層の他には、前記のインクを受容する層より上又は下に配置された、別の機能を有する他の層を含むことができる。そのインクを受容する層は、他方の層のみならず、UV光線の吸収体、光学的な光沢剤、酸化防止剤、可塑剤などのような、その結果として生じる画像の性質を改善するために、当業者に知られた全ての他の添加剤を含むことができる。
【0048】
本発明において有用なインクを受容する層は、乾燥状態において、一般には5μmと50μmとの間の厚さを有する。このようなインクを受容する層を含むインクジェット記録要素は、良好な光沢のみならず時間内に改善された色素を保つ性質を有する。それを、この技術のために開発された全てのインクについてのもののみならず、いずれのタイプのインクジェットプリンターに使用することができる。
【0049】
しかしながら、以下の例は、本発明を、その範囲を限定することなく、図説する。
【0050】
1)本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体の調製
4.53モルのAlCl・6HOを、100lの浸透した水へ添加した。別個に、オルトケイ酸テトラエチル及びメチルトリエトキシシランの混合物を、2.52モルのケイ素に対応する量で、及び、ケイ素のモルで1のメチルトリエトキシシランに対するオルトケイ酸テトラエチルの比を有するために、調製した。この混合物を、その塩化アルミニウムの溶液に添加した。結果として生じる混合物を、8l/分の出力を備えたポンプを使用して、2mmの直径の1kgのガラスのビーズで形成された下地を通じて、同時に、攪拌すると共に循環させた。変更された混合したアルミニウム及びケイ素の前駆体を調製する操作は、120分かかった。そして、その混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための方法のステップa)に従って、10.5モルのNaOHの3Mを、四時間内に添加した。アルミニウムの濃度は、4.3×10−2mol/lであり、Al/Siのモルの比は、1.8であり、且つ、アルカリ/Alの比は、2.31であった。その反応の媒質は、曇った。その調製方法のステップb)に従って、その混合物を、48時間の間、攪拌した。その媒質は、澄んだものになった。その循環を、そのガラスのビーズの下地で停止させた。本発明において使用された混成のアルミノケイ酸塩の重合体は、このように、分散系の形態で得られた。本発明に従った方法のステップc)は、100よりも大きいAl/Naの割合を得るためにそのナトリウム塩を除去するために、Filmtec NF 2540のナノフィルトレーション膜(表面積6m)を使用して、ナノフィルトレーション、そして、ダイアフィルトレーションによる3倍の予備濃縮を行うことに存した。ナノフィルトレーションによるダイアフィルトレーションから結果として生じる濃縮水を、本発明において使用した混成のアルミノケイ酸塩の重合体の約20重量%でゲルを得るために、濃縮した。
【0051】
2)支持体に被覆されたインクを受容する層を構成する被覆組成物の調製
浸透水に9%まで希釈した、水溶性の結合剤、ポリビニルアルコール(Nippon Gohseiによって市場に出されたGohsenolTM(登録商標) GH23)を、使用した。
【0052】
例1に従って調製された混成のアルミノケイ酸塩の重合体の粉末を、脱イオン水において16.66パーセントで本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体の溶液を調製するために、使用した。
【0053】
使用した無機の粒子を、以下、表1に与える。
【0054】
表I
【0055】
【表1】


最初に様々な混合物を、50gの混合物について五個の10mmの直径のガラスのビーズを含むガラスのフラスコ中で、合計の乾燥した無機物の重量と比較した、0重量パーセントから100重量パーセントの混成のアルミノケイ酸塩の重合体を含む、混成のアルミノケイ酸塩の重合体及び無機の粒子で作った。その混合物を、ローラー攪拌機によって、二時間の間、攪拌した。そして、ポリビニルアルコールを、添加し、且つ、ローラー攪拌機を使用して、12時間の間、攪拌した。
【0056】
組成物1(比較)
組成物1を、10.5gの脱イオン水、7.5gのヒュームドアルミナの分散系、4gの、9パーセントのポリビニルアルコールを混合することによって、調製した。
【0057】
組成物2(本発明)
組成物2を、1.5gのヒュームドアルミナの分散系を、混成のアルミノケイ酸塩の重合体の3.6gの溶液によって取り替えることによって、組成物1と同じ方式で、調製した。混成のアルミノケイ酸塩の重合体/無機の粒子の重量比は、20/80であった。脱イオン水の量を、乾燥した物質の、組成物1と同じ濃度を保つために、調節した。
【0058】
組成物3(本発明)
組成物3を、3.75gのヒュームドアルミナの分散系を、混成のアルミノケイ酸塩の重合体の9gの溶液によって取り替えることによって、組成物1と同じ方式で、調製した。混成のアルミノケイ酸塩の重合体/無機の粒子の重量比は、50/50であった。脱イオン水の量を、乾燥した物質の、組成物1と同じ濃度を保つために、調節した。
【0059】
組成物4(本発明)
組成物4を、6gのヒュームドアルミナの分散系を、混成のアルミノケイ酸塩の重合体の14.4gの溶液によって取り替えることによって、組成物1と同じ方式で、調製した。混成のアルミノケイ酸塩の重合体/無機の粒子の重量比は、80/20であった。脱イオン水の量を、乾燥した物質の、組成物1と同じ濃度を保つために、調節した。
【0060】
組成物5(比較)
組成物5を、全てのヒュームドアルミナの分散系を、混成のアルミノケイ酸塩の重合体の18gの溶液によって取り替えることによって、組成物1と同じ方式で、調製した。脱イオン水の量を、乾燥した物質の、組成物1と同じ濃度を保つために、調節した。
【0061】
組成物6(比較)
組成物6を、10.5gの脱イオン水、7.5gのコロイド状のシリカの分散系、4gの、9パーセントのポリビニルアルコールを混合することによって、調製した。
【0062】
組成物7(本発明)
組成物7を、0.375gのコロイド状のシリカの分散系を、混成のアルミノケイ酸塩の重合体の0.9gの溶液によって取り替えることによって、組成物6と同じ方式で、調製した。混成のアルミノケイ酸塩の重合体/無機の粒子の重量比は、5/95であった。脱イオン水の量を、乾燥した物質の、組成物6と同じ濃度を保つために、調節した。
【0063】
組成物8(本発明)
組成物8を、0.937gのコロイド状のシリカの分散系を、混成のアルミノケイ酸塩の重合体の2.25gの溶液によって取り替えることによって、組成物6と同じ方式で、調製した。混成のアルミノケイ酸塩の重合体/無機の粒子の重量比は、12.5/87.5であった。脱イオン水の量を、乾燥した物質の、組成物6と同じ濃度を保つために、調節した。
【0064】
組成物9(本発明)
組成物9を、1.5gのコロイド状のシリカの分散系を、混成のアルミノケイ酸塩の重合体の3.6gの溶液によって取り替えることによって、組成物6と同じ方式で、調製した。混成のアルミノケイ酸塩の重合体/無機の粒子の重量比は、20/80であった。脱イオン水の量を、乾燥した物質の、組成物6と同じ濃度を保つために、調節した。
【0065】
3)インクジェット記録要素の調製
これをするために、樹脂被覆紙タイプの支持体を、被覆機に置き、最初に非常に薄いゼラチンの層で被覆し、及び、真空によってその被覆機に保持した。この支持体を、200μmの厚さのフィルモグラフを使用して、段落2に従って調製したような組成物で、被覆した。そして、それを、約15g/mの乾燥した層を得るために、乾燥するためにその雰囲気(21℃)に放置した。
【0066】
結果として生じる記録要素は、インクを受容する層で使用された混成のアルミノケイ酸塩の重合体に添加された無機の粒子及び混成のアルミノケイ酸塩の重合体/無機の粒子の重量の比を指定することによって、以下、表IIに与えられた例に対応する。
【0067】
表II
【0068】
【表2】


4)時間内における色素を保つ性質の見積もり及び光沢の見積もり
時間内における色素を保つ性質を見積もるために、オゾンに対する露出による色素の退色の試験を、各々の結果として生じる記録要素について、行った。これをするために、三個の色(黄色、シアン、及びマゼンタ)を含む、標的を、KODAK PPM 200プリンター及び関係したインクを使用して、各々の記録要素に印刷した。それら標的を、様々な色の強度を測定したGreat MacbethTM(登録商標) Spectrolinoの分光器を使用して、分析した。そして、それら記録要素を、三週間の間、制御されたオゾンの雰囲気(60ppb)を備えた部屋における暗がりへ置いた。各々の週で、その色の密度のいずれの劣化も、その分光器を使用して、監視した。
【0069】
その光沢を、Erichsenによって市場に出されたPicogloss 560の装置(60°の幾何学的配置)を使用して、様々な結果として生じる記録要素について測定した。
【0070】
図1は、例1から5までについて、一週間後におけるそれら標的の三個の色について、最大の密度について観察された密度の喪失の百分率を表す。文字C、M及びYは、それぞれ、それらの色、シアン、マゼンタ、及び黄色を表す。
【0071】
本発明に従ったインクジェット記録要素(例2から4まで)が、受容試剤として無機の粒子のみを含有する要素(例1)について観察されたものに対して非常に上等な時間内で色素を保つ性質を有することは、理解されてもよい。本発明に従った記録要素は、それら全ての色について、ほとんど安定なものである。それらが、例5の記録要素よりも少ない、ある量の混成のアルミノケイ酸塩の重合体を含む一方で、本発明の記録要素は、受容試剤として混成のアルミノケイ酸塩の重合体のみを含有する要素のものと同様に、色の安定性が得られることを可能とする。ヒュームドアルミナのような、無機の粒子の添加は、単独で使用されたときこの混成のアルミノケイ酸塩の重合体によって得られた画像の安定性の性質を保つ一方で、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体の量を減少させることを可能とする。
【0072】
図2は、例5、6から9までについて、三週間後に、それら標的の三個の色についての最大の密度について観察された密度の喪失の百分率のみならず光沢を表す。ここで重ねて、図2は、本発明に従った記録要素(例7から9まで)が、無機の粒子のみを含有する記録要素(例6)よりも良好な色素を保つ性質を有することを明確に示す。また、本発明に従った記録要素の光沢は、無機の粒子のみを含有する記録要素のものよりも上等なものである。特に、例8及び9に従った記録要素は、それらが、例5の記録要素よりも少ない、ある量の混成のアルミノケイ酸塩の重合体を含有する一方で、その混成のアルミノケイ酸塩の重合体のみを含有する要素のものと同様に、光沢及び色の安定性が得られることを可能とする。コロイド状のシリカの添加は、単独で使用されたときこの混成のアルミノケイ酸塩の重合体によって得られた画像の安定性及び光沢の性質を保つ一方で、本発明において有用な混成のアルミノケイ酸塩の重合体の量を減少させることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】オゾンに露出させたときの、様々な比較的な記録要素についての及び本発明に従った色の密度の喪失の百分率を表す。
【図2】オゾンに露出させたときの、様々な比較的な記録要素についての及び本発明に従った光沢及び色の密度の喪失の百分率を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、並びに
少なくとも一つの水溶性の結合剤並びに
以下のステップa)、b)、及びc)を含む調製の方法によって得ることが可能な少なくとも一つの混成のアルミノケイ酸塩の重合体
を含む少なくとも一つのインクを受容する層
を含むインクジェット記録要素であって、
ステップa)は、
水性のアルカリと共に、シラノール基の存在下で、
混合したアルミニウム並びにケイ素が加水分解性の置換基及び非加水分解性の置換基の両方を有するケイ素アルコキシド、
又は、
混合した
アルミニウム並びに
アルミニウムの化合物並びに
加水分解性の置換基のみを有するケイ素の化合物及び
非加水分解性の置換基を有するケイ素の化合物
の混合物の加水分解から結果として生じるケイ素の前駆体
を処理するステップであって、
アルミニウムの濃度は、0.3mol/l未満で維持され、
Al/Siのモルの比は、1と3.6との間に維持され、且つ
アルカリ/Alのモルの比は、2.3と3との間に維持され、
ステップb)は、
該混成のアルミノケイ酸塩の重合体を形成するために十分に長い間、シラノール基の存在下で周囲温度でステップa)から結果として生じる混合物を攪拌する
ステップであり、且つ、
ステップc)は、
反応の媒質からのステップa)及びb)の間に形成された副産物を除去する
ステップであり、
該インクを受容する層は、また、無機の粒子を含む、記録要素。
【請求項2】
前記無機の粒子は、金属の酸化物又は金属の水酸化物を主材料とする、請求項1に記載の記録要素。
【請求項3】
前記無機の粒子は、アルミナ、シリカ、チタン、ジルコニウム、又はそれらの混合物を主材料とする、請求項2に記載の記録要素。
【請求項4】
前記無機の粒子は、ベーマイト、ヒュームドアルミナ、コロイド状のシリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、二酸化ケイ素、及び二酸化チタンからなる群の間より選択される、請求項3に記載の記録要素。
【請求項5】
前記無機の粒子は、炭酸カルシウム又は炭酸バリウムを主材料とする、請求項1に記載の記録要素。
【請求項6】
前記インクを受容する層は、合計の乾燥した無機物の重量と比較して5重量%と20重量%との間で、乾燥した状態で、ある量の混成のアルミノケイ酸塩の重合体を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の記録要素。
【請求項7】
前記インクを受容する層において、前記合計の乾燥した無機物の重量は、合計の乾燥した受容する層の重量の5パーセントと95パーセントとの間にある、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の記録要素。
【請求項8】
前記混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するためのステップa)のアルカリは、ナトリウム、カリウム、及びリチウムの水酸化物からなる群より選択される、請求項1に記載の記録要素。
【請求項9】
前記混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するために使用されたアルミニウムの濃度は、1.4×10−2mol/lと0.3mol/lとの間に維持される、請求項1に記載の記録要素。
【請求項10】
前記混成のアルミノケイ酸塩の重合体を調製するための前記アルカリ/Alのモルの比は、約2.3である、請求項1に記載の記録要素。
【請求項11】
前記混合した
アルミニウム並びに
アルミニウムの化合物並びに
加水分解性の置換基のみを有するケイ素の化合物及び
非加水分解性の置換基を有するケイ素の化合物
の混合物の加水分解から結果として生じるケイ素の前駆体は、
水性の媒質において、
(i)アルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド及びアルミニウムハロゲノアルコキシドからなる群より選択された化合物、並びに、
(ii)加水分解性の置換基のみを有するケイ素アルコキシド及びクロロアルコキシドからなる群より選択された少なくとも一つの化合物、並びに、
(iii)非加水分解性の置換基を有するケイ素アルコキシド及びクロロアルコキシドからなる群より選択された少なくとも一つの化合物
の混合物から結果として生じる生産物である、請求項1に記載の記録要素。
【請求項12】
前記混合したアルミニウム及びケイ素の前駆体は、
(i)ハロゲン化アルミニウム、並びに、
(ii)加水分解性の置換基のみを有する少なくとも一つのケイ素アルコキシド及び非加水分解性の置換基を有する少なくとも一つのケイ素アルコキシドを有する混合物
の混合物から結果として生じる生産物である、請求項11に記載の記録要素。
【請求項13】
前記非加水分解性の置換基を有するケイ素アルコキシドに対する前記加水分解性の置換基のみを有するケイ素アルコキシドの比は、ケイ素のモルで、0.1と10との間にある、請求項12に記載の記録要素。
【請求項14】
前記非加水分解性の置換基を有するケイ素アルコキシドは、式
R’−Si−(OR)
によって表され、
Rは、1個から5個までの炭素の原子を含むアルキル基を表し、
R’は、H、F、又は、1個から8個までの炭素の原子を含む、置換された若しくは置換されてない直鎖の若しくは分岐鎖のアルキル若しくはアルケニル基を表す、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の記録要素。
【請求項15】
R’は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、3−クロロプロピル、又はビニル基を表す、請求項14に記載の記録要素。
【請求項16】
前記非加水分解性の置換基を有するケイ素アルコキシドは、メチルトリエトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである、請求項15に記載の記録要素。
【請求項17】
前記加水分解性の置換基のみを有するケイ素アルコキシドは、オルトケイ酸テトラメチル又はオルトケイ酸テトラエチルである、請求項11に記載の記録要素。
【請求項18】
前記親水性の結合剤は、ゼラチン又はポリビニルアルコールである、請求項1に記載の記録要素。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−528809(P2007−528809A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519800(P2006−519800)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007183
【国際公開番号】WO2005/014299
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】