説明

インサートをバネ付勢により支持するタフティング・グリッパ

【課題】カットパイル製作するためのタフティンググリッパは切断ナイフと相互に作用する。使用されるパイル糸は微細なフィラメント糸からなりインサートとグリッパとの隙間、段差があると糸を損傷させる。
【解決手段】タフティング・グリッパはインサート25を有するくぼみ26を備え、当該インサートを少なくとも一時的に、くぼみの所定のあらかじめ特定された位置に、締め付けおよび固定するための、バネ手段34を伴う。バネ手段34は、グリッパの先端の方向に、好ましくはインサート25を押し付けて、タフティング・グリッパの本体19とインサート25、特に当該インサートの先端33との間のその部分に、特になめらかな移行部分を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタフテッド(パイル)製品の製造のための、特にカット・パイルを有するタフテッド(パイル)製品の製造のための、タフティング機のタフティング・グリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
タフティング機において、タフティング・グリッパは、タフティング針によってあらかじめ構成された糸ループを把持するために設けられ、当該針は平面のバッキング材料を通してパイル糸を打ち込む。カット・パイルを製作するために、シンカに保持される多数のタフティング・グリッパは、同様にシンカに保持されタフティング・グリッパの動作に対抗して切断動作を遂行する、切断ナイフと相互に作用する。タフティング・グリッパの切断エッジの摩耗を減らすために、当該グリッパには、しばしば切断エッジを備えたインサート(差し込み)が具備されている。このようなタフティング・グリッパは特許文献1により知られている。グリッパは、硬質金属からなる切断インサートを有し、当該インサートはグリッパ本体のくぼみに配置され、くぼみの縁にある突出部により当該くぼみに固着される。これらの突出部は、くぼみ縁の塑性変形により製作される。この構成、すなわちインサートを固定するこの形式は、特に、タフティング・グリッパがある程度の側面の柔軟性を呈しなければならず、そして硬質金属インサートが大きな剛性を呈する場合において、大きな長所を提供する。他方、ある程度の隙間がくぼみ縁と硬質金属インサートとの間に存在しなければならない。
【0003】
ループ・パイルの製造に使われる、特にカット・パイル製造のための、あるパイル糸は、非常に微細なフィラメントからなる。これらのフィラメントは、タフティング・グリッパの下部のエッジに沿って自由にすべり、インサートとグリッパ本体との間の隙間または段差に捕えられるとは想定されていない。このような隙間が硬ろう(ソルダ)によって埋められているとしても、残る段差は結果として糸を損傷させ得る。これは優れた生産品質を達成するために防止されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1953290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑み、加工困難なパイル糸の場合であっても、高品質のパイルの形成ができるようにする思想概念を開示することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明のタフティング・グリッパを用いることにより達成される。
【0007】
本発明のタフティング・グリッパは、インサート、例えば、切断インサート、反摺動(anti-sliding)インサートまたは組み合わせによる切断および反摺動インサート、を設けることができる、くぼみを有するグリッパ本体からなる。ばね手段がくぼみに配置され、当該ばね手段はインサートに付随する。インサートがくぼみに挿入されると、ばね手段はその場所に嵌め合うようにインサートを締めつける。ばね力はグリッパ本体の先端の方向に向けられるのが好ましい。ばね力のため、インサートは明確な位置に位置決めされ、所定の位置に締めつけられる。結果として、グリッパ本体からインサートへの移行部の隙間の大きさは、特にくぼみの先端の側端部で、最小であるかまたはゼロである。タフティング・グリッパは、ばね手段により作用する締め付け力が、所定の位置にインサートを保持し固定するのに十分であるように、構成され得る。あるいは、さらに、材料接合(material-bonding)接続手段、例えば接着剤またはんだ、により、その所望の位置にタフティング・グリッパを固定することが可能である。この場合、ばね手段は、接着剤が付加されて固まる間、またはんだが付加されて固まる間、インサートのすべりまたは紛失を防止するために、そして制御された接合隙間の狭いギャップ幅を達成するために設けられる。目的はギャップ幅をできるだけ小さくし、そして理想的にはゼロに近づけることである。ばね手段の作用のため、インサートおよびグリッパ本体の材料接合の接続の場合、インサートの厳密な位置決めおよびこの位置の保持を確実にすることができる。これはインサートとグリッパ本体の間の移行部の品質に寄与する。インサートがより精密に位置決めされるほど、接合隙間はより小さくなる。接続剤(接着剤、はんだ等)が固まる間、側面からの衝撃力は、固定に悪影響を及ぼさない。これは、例えばレーザ溶接スポットの適用のような、接続のために使用する溶接工程にも当てはまる。当該スポットはくぼみの縁にインサートを結合する。
【0008】
くぼみは底部を有してもよく、したがって、タフティング・グリッパの一方の側へだけ開いてもよい。くぼみが平坦な側の両方へ開いていることも可能である。この場合、2つの異なるインサートがくぼみに配置されてもよく、当該インサートはタフティング・グリッパの2つの平坦な側の方へ面し、異なる表面を有する。また、互いから離れた位置にある側に異なる表面特性を呈する複合インサートを備えることも可能である。くぼみの縁は、タフティング・グリッパの横向方向において、直線であるように構成されるのが好ましい。この場合、はんだまたはその他の材料接合の接続媒体が用いられない場合、インサートは摩擦により保持される。くぼみの縁は、嵌め合うようにくぼみにインサートを固定する、1以上のアンダーカット(溝)を備えていてもよい。この例では、ばね手段は、グリッパ先端の方の方向に、くぼみの縁に適切に構成された凹所の方へ、インサートを押し付けるのが好ましい。くぼみの縁に備えられた凹所または高まりは、タフティング・グリッパの動作中でも、追加の接続手段なしにインサートを確実に保持する。
【0009】
ばね手段は、くぼみの端に設けることのできるばねタブであるのが好ましい。それはタフティング・グリッパの素材から成り、継ぎ目なくそして隙間のないように当該タフティング・グリッパに接続されるのが好ましい。ばねタブは、インサートが対応する側面の長さの4分の3より長く延び、したがって、当該インサートを、一方では充分な弾力をもって、そして他方では充分な締め付け力をもって、所定の位置に確実に締めつける。
【0010】
所望の接合厚みを確実にするために、インサートまたはグリッパ本体はスペーシング手段を備えてもよく、これらは、例えば、ノブとして構成される。それにより、接着またはんだ接合個所の品質を確実にすることが可能である。
【0011】
本発明の有利な実施態様のさらなる詳細は、請求項、明細書の記載および図面の要旨である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】タフティング・グリッパを備えたタフティング装置の概略図。
【図2】図1のタフティング・グリッパの別の斜視図。
【図3】図1のタフティング・グリッパのさらに別の斜視図。
【図4】図2および図3のタフティング・グリッパの、図2の線IV−IVに沿った断面図。
【図5】図1〜図4のタフティング・グリッパのためのインサートの概略側面図。
【図7】本発明のタフティング・グリッパの変形実施態様の、図4に類似した断面図。
【図6】本発明のタフティング・グリッパの他の実施態様の、図4に類似した断面図。
【図8】本発明のタフティング・グリッパの追加の実施態様の、図3の断面の線VIII−VIIに沿った断面における、長手方向の詳細断面図。
【図9】本発明のタフティング・グリッパの追加の実施態様の、図3の断面の線VIII−VIIに沿った断面における、長手方向の詳細断面図。
【図10】本発明のタフティング・グリッパの追加の実施態様の、図3の断面の線VIII−VIIに沿った断面における、長手方向の詳細断面図。
【図11】本発明のタフティング・グリッパの追加の実施態様の、図3の断面の線VIII−VIIに沿った断面における、長手方向の詳細断面図。
【図12】本発明のタフティング・グリッパの追加の実施態様の、図3の断面の線VIII−VIIに沿った断面における、長手方向の詳細断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、例えばカーペットなどのパイル製品11の製造のために設けられる、タフティング装置10を示す。パイル製品11は、複数のパイル糸13を用いてループ14が付加される平面バッキング材料12であって、当該ループは、一旦それらが切り開かれるとカット・パイル15となるものを備える。これは、シンカに保持された多数のタフティング・グリッパ16により達成され、当該グリッパは切断ナイフ17を伴う。パイル糸13は、シンカにより保持された一群のタフティング針18によって、バッキング材料12を通して打ち込まれる。できたループ14は、タフティング・グリッパ16によって取り込まれる。そのために、当該タフティング・グリッパは先端20の方へ伸びるフィンガ21を有する、グリッパ本体19を備える。フィンガ21を含むグリッパ本体19は、平面かまたは少なくとも平面部を有する2つの平坦な側22、23を有する平らな部品である。スリットのような通路が、隣接するタフティング・グリッパ16の隣接する平坦な側との間に形成され、タフティング針18が当該通路に入り、続いて、タフティング・グリッパ16が、バッキング材料12を通してタフティング針18によって打ち込まれたループを取り込むことができる。
【0014】
フィンガ21上のループを保持して、それらを滑り落ちないようにするために、タフティング・グリッパ16の先端20は、フックの形で下方へ曲げられてもよい。しかしながら、示すように、当該先端は、フィンガ21の直線の延長部分にあってもよい。この場合、編み目は、図1の点線で示されるばね24によって、すべり落ちから防止され得る。このばね24は、フィンガ21の端部に対して側面から当接する薄いばね鋼のタブでよい。
【0015】
タフティング・グリッパ16は、例えば硬質金属、セラミック等からなる、インサート25を備える。インサート25は、グリッパ本体19に備えられたくぼみ26に設置され、その縁27は、インサート25の輪郭に従う。インサート25は、例えば、切断インサートとして構成されてもよい。当該インサートは、その場合フィンガ21のより長い部分に沿って延び、くぼみ26に設置される。切断エッジ28(図3)は、インサート25の、波形の、歯状の、直線の、曲がったあるいは段階状の低い、例えば水平な、縁に設けられていてよく、当該切断エッジはナイフ17と相互に作用して、ループ14を切り開く。
【0016】
示すように、インサート25は、輪郭が整合するように重畳され、場合により例えば、互いに接着されるか、互いに溶接されるか、または互いにはんだ付けされて接続される、2つの平らな部分的なインサート29、30を備えてもよい。これらの部分的なインサートは、互いに当接するか、あるいは、平坦であるかまたは特定の輪郭を備えた界面31に沿って互いに接続されてもよい。例えば、部分的なインサート30は、硬質のインサートとして構成されて、切断エッジ28を定める。この部分的なインサートは、硬質の材料からなるか、または硬質材表面を備えていてもよい。これに関しては、硬質の材料は、硬質金属、例えばタングステンカーバイドのような金属炭化物からなるか、あるいはまた、例えば窒化チタン、炭化チタン、アルミナ、セラミックなどの硬質材の層を備える。これにより、切断エッジ28の耐摩耗性が確保される。
【0017】
他のインサート29は、例えば、反摺動インサートとして構成されてもよい。針が当該反摺動インサートに沿って滑るときに、針への損傷を減らすかまたは除去する、他の材料からなってもよい。例えば、この材料は、柔らかい材料、場合によっては非常の潤滑特性を示す材料でもよい。あるいは、材料がタフティング針18の材料と組み合わせられるときに低い摩擦係数を示す表面を有する、特に平滑な材料でもよい。セラミックの使用、特にガラスのような表面を有するもの、炭素またはスズ充填金属マトリクス、炭素窒化コーティングした表面の使用が可能である。図4は横断面の基本構成を示す。ここで見られるように、例えば、くぼみ26のエッジ27は横断方向において直線である。したがって、平坦な側22、23は、くぼみ26のエッジ27に関して、直角に延びる。
【0018】
くぼみ26の先端側端部は、短くて円弧形である部分32(図2および図3)として構成されるのが好ましく、当該部分は、インサート25の先端33を囲み、そして、したがって、当該先端の下に延びる。下から見ると、円弧状部32は、くぼみ26の先端側端部にアンダーカット(溝)を構成する。このアンダーカットは、インサート25を嵌め合うように垂直方向にフィンガ21に固定する。例えば、部分32は円筒形の壁にならう。結果的に、インサート25は、側面からくぼみ26に挿入されることができ、そして当該くぼみに保持され得る。
【0019】
部分32の対向する側に位置するくぼみ26の端部には、先端20の方向に、すなわち、くぼみ26の端部、先端20と隣接している当該端部へ、インサート25を押し出すために設けられた、ばね手段34が構成されているのが好ましい。原則として、バネ手段34はくぼみ26の他の場所に配置されてもよいが、図1〜図3で示された後方ポケットの縁に描かれた配置が好まれる。
【0020】
バネ手段34は、インサート25の輪郭36と密接に接触する、すなわち、先端33の反対側にある当該輪郭に従う、可撓性ばね35であるのが好ましい。本実施例では、輪郭36は円弧状に丸くなっている。同様に、インサート25に面する側にある可撓性ばね35は円弧状に丸くなっている。結果的に、可撓性ばね35は、くぼみ26の縁27の一部を構成する。
【0021】
好ましくは、可撓性ばね35は、グリッパ本体19の材料から成り、切り欠き37がそこに構成され、当該切り欠きは、縁27から、そして、縁27から離れて伸びて、そして少し離れて当該縁に従う。この結果として、可撓性ばね35は解放される。示すように、当該可撓性ばねは、その先端からその端部38、すなわち、グリッパ本体19に終端として接続するその付け根まで、その長さに沿って均等な厚みを有することができる。しかしながら、図3に示すように、可撓性ばね35は、その付け根の方へ厚みを増すようにしてもよい。更に、当該可撓性ばねは、別に、くぼみ26に面する側のその付け根38の近くに、浅いへこみ39を有してもよい。これは可撓性ばね35の非弾性的であるか十分に弾力的でない構成要素に対してインサート25が押しつけられるのを防ぐためである。
【0022】
このようなグリッパ16は、インサート25がくぼみ26に押しつけられ、そこで所望の位置を定められるように組立てられる。所望の位置において、インサート25の2つの平坦な側40、41は、段差なく、そしてオフセットされることなく、グリッパ本体19の平坦な側22、23に隣接する(図6)。可撓性ばね35またはその他のばね手段34の締め付け動作のため、インサート25の先端33は、くぼみ26の部分32の弧状端部に押しつけられる。この結果、インサート35は、横方向について所定の位置に締めつけられて、垂直方向にぴったりと嵌め合って保持される。インサート25のグリッパ本体19への移行部の各隙間または各段差は最小である。必要な場合、少なくとも選択的に、インサート25は、材料接合法、例えば、接着、はんだ付けまたは溶接などで、グリッパ本体19に接続されてもよい。接着の場合、バネ手段34は、接着剤が完全に固まるまで、インサートがその所望の位置に確実に着座していること保証する。はんだ付けの場合、はんだが冷却して固まるまで、これは同様に作用する。溶接が接続のために用いられる場合、弾力的な締め付け動作も、インサートを所定の位置に固定する。結果的に、グリッパ本体19にインサート25を材料接合で接続する場合、バネ手段34は、インサート25の厳密な位置決めを確実にし、したがって、当該インサートをその位置に保持する。これは、インサート25とグリッパ本体19の間の移行部の品質のために役立つ。より正確にインサート25の位置を定めれば、隙間または段差はより小さなものとなる。材料接合の接合個所が固まる間に生じる横力は、固定ことに対していかなる負の影響をも及ぼさない。
【0023】
簡潔には、タフティング装置10は、以下のように作動する。
【0024】
動作中、シンカに保持されたグリッパ16は、揺動運動をし、その過程でそれらは、連続的に、タフティング針18がバッキング材料12を刺すことにより構成されたパイル糸ループを取り込む。図1に示すように、ループ14はフィンガ21に纏まる。バッキング材料12が進行すると、タフティング・グリッパ16により、取り込まれたループ14は、タフティング・グリッパ16の先端20から離れてスライドする。先端33がくぼみ26に位置し、円弧状部32により覆われているので、ループ14のいずれも縁27とインサート25との間のいかなる隙間にも入ることができない、ことが保証される。
【0025】
これまでに示された本発明の、多くの変形が可能である。例えば、バネ手段34は、くぼみ26の縁27に固定されるかあるいは、適当な凹所において配置される、独立した構成部品から成ってもよい。さらにまた、材料接合の接続は、インサート25の部品または部分に限定されてもよいし、あるいは全ての縁27を占めてもよい。最初に述べた場合では、表面全てが材料接合により結合されたインサートを備えたタフティング工具と比較し、弾力が増す。結果的に、本発明に従うタフティング工具は、タフティング針18の切断ナイフ17から、あるいはループ14からもたらされる、いずれの横向きの衝撃力にもよりよく反応できる。
【0026】
さらにまた、インサート25に、くぼみ26の縁27に沿って、または当該縁の選択された場所に、インサート25と縁27との間に定められる空間を創設するスペーシング手段42を備けることが可能である。このようなスペーシング手段42は、例えば、インサート25の外側外周に備えられるノブ43、44でもよい。このようなノブ、リブまたは他の突出部は、接着剤の隙間またはんだ隙間の潜在性厚みと同じ高さを有するのが好ましい。これは、例えば、1ミリメートルの1/10の数倍である。
【0027】
図6は、他の可能な変形を示す。この場合のインサート25は、均等な材料の本体からなり、当該本体は互いに離れたその2つの平坦な側40、41にコーティング45、46を備える。これらのコーティングは異なる種類のものであるのが好ましい。例えば、コーティング45は切断縁28を同様に囲む硬質の材料層でもよい一方、例えば、コーティング46は柔らかい減摩用コーティングでもよい。この場合、コーティング45は切断刃17に作用するが、コーティング46は針に作用し、可能な限り針に摩耗による損傷を引き起こさない。
【0028】
あるいは、インサート25の基体は、コーティング46だけを備える硬質の材料から成ってもよい。この場合、コーティング45は省略され得る。また、これに対して、インサート25は、コーティング45を備えた、柔らかい、摩耗最小の材料からなってもよい。この場合、コーティング46は省略され得る。
【0029】
図7は、他の変形を示す。これは、くぼみ26が底部47を有するという事に基づく。追加のくぼみ48が、タフティング・グリッパ16の反対側に備えられ得る。このくぼみはくぼみ26と同じ輪郭を有するよう構成されてもよいし、またはそれは異なる輪郭を有してもよい。このくぼみはそれ自体のインサート49を有する。インサート25、49の各々は、前に説明した適切なバネ手段を備えていてもよく、当該ばね手段は所定の所望の接合位置にインサート25、49を締めつける。単一のバネ手段34によって、それらの接合位置に2つの別々のインサート25、49を保持することも可能である。これを達成するために、グリッパ本体19は、ばね手段34が保持される適当な凹所を有し、両方のインサート25、49にばね力を及ぼすことができる。
【0030】
上記の記載では、縁27は横方向についてはその全ての長さに沿って直線であると仮定した。しかしながら、図8〜図11に示されるように、この構成から逸脱する事も、少なくとも局所的には、可能である。図8は、小さな突出部50が縁27に備えられていてもよいことを示し、当該突出部も、側面から嵌め合うように先端37を固定する。この場合、インサート25は、材料接合により固定される必要はない。これは、図9で示すように、縁27が横向方向Qに対し傾斜するように配置されるか、または構成される時にも当てはまる。
【0031】
逆に、図10は、アンダーカットのない縁27の構成、すなわち、横向方向Qの当該縁の方向を示し、その場合くぼみ26の底部47とインサート25との間に設けられた接着剤51またははんだが、インサート25の永続的な側面の固定を担う。
【0032】
また、インサート25に関する図11および図12に示されるように、当該インサートは、グリッパの全ての厚みに沿って連続的であり、横向方向Qについて、当該インサートを嵌め合い方で確実に固定する選択肢がある。例えば、図12に示されるように、縁27は、部分32において、または他の適切な部においても同様に、横向方向の直線の形から逸脱してもよく、あるいは突出部50、52を有してもよい。
【0033】
タフティング・グリッパ16は、インサート25を有するくぼみ26を備え、当該インサートを少なくとも一時的に、くぼみの所定のあらかじめ特定された位置に、締め付けおよび固定するための、バネ手段34を伴う。バネ手段34は、グリッパの先端の方向に、好ましくはインサート25を押し付けて、タフティング・グリッパ16の本体19とインサート25、特に当該インサートの先端33との間のその部分に、特になめらかな移行部分を形成する。
【符号の説明】
【0034】
10 タフティング装置
11 パイル製品
12 バッキング材料
13 パイル・フィラメント
14 ループ
15 カット・パイル
16 タフティング・グリッパ
17 切断ナイフ
18 タフティング針
19 グリッパ本体
20 先端
21 フィンガ
22 タフティング・グリッパ16の第1の平坦な側
23 タフティング・グリッパ16の第2の平坦な側
24 フィンガ21にループ14を保持するためのばね
25 インサート
26 くぼみ
27 くぼみ26の縁
28 切断エッジ
29 部分的なインサート
30 部分的なインサート
31 界面
32 くぼみ26の縁27の円弧状部
33 インサート25の先端
34 ばね手段
35 可撓性ばね
36 輪郭
37 切り欠き
38 付け根
39 へこみ
40 インサート25の第1の平坦な側
41 インサート25の第2の平坦な側
42 スペーシング手段
43 ノブ
44 ノブ
45 硬質材のコーティング
46 摺動特性を呈するコーティング
47 底部
48 くぼみ
49 インサート
50 インサート25を側面から固定するための突出部
51 接着剤
52 インサート25を側面から固定するための突出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッパ本体(19)と、
当該グリッパ本体(19)のくぼみ(26)に配置されたインサート(25)と、
当該くぼみ(26)に配置されて、当該インサート(25)に伴うバネ手段(34)と
からなるタフティング機のためのタフティング・グリッパ(16)。
【請求項2】
前記グリッパ本体(19)は2つの平坦な側(22、23)を有し、前記くぼみ(26)は当該平坦な側(22、23)の少なくとも1へ開いている、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項3】
前記くぼみ(26)は、前記平坦な側(22、23)の両方へ開いている、ことを特徴とする請求項2に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項4】
前記くぼみ(26)は、前記平坦な側(22)の一方から前記平坦な側(23)の他方まで延びる横向方向(Q)において、直線である縁(27)を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項5】
前記ばね手段(34)は、前記くぼみ(25)の縁(27)に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項6】
前記ばね手段(34)は、前記インサート(25)に締め付け力を与え、前記インサート(25)と前記グリッパ本体(19)との間に材料接合の接続がない場合、ばね力が所望の位置に嵌め合うように前記インサートを保持する、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項7】
一端(38)が前記グリッパ本体(19)に結合された、前記インサート(25)に当接するばねタブ(35)により前記ばね手段(34)が構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項8】
前記ばねタブ(35)は、前記グリッパ本体(19)の素材からなる、ことを特徴とする請求項7に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項9】
前記ばねタブ(35)の長さは前記インサート(25)の側の長さの4分の3を超え、前記ばねタブ(35)は当該側に対して当接する、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項10】
前記インサート(25)は材料接合により前記くぼみ(26)に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項11】
前記インサート(25)と前記グリッパ本体(19)との間に生じる接合隙間のギャップ幅を制御して定めるため、スペーシング手段(42)が前記インサート(25)または前記くぼみ(26)に備えられる、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項12】
スペーシング手段(42)はリブまたはノブ(44)である、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項13】
前記インサート(25)は、前記グリッパ本体(19)の平坦な側(22、23の)の少なくとも1に、平らにそして段差のないように接合する、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。
【請求項14】
前記インサート(25)は、前記グリッパ本体(19)の2つの平坦な側(22、23)に、平らにそして段差のないように隣接する、ことを特徴とする請求項1に記載のタフティング・グリッパ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−31562(P2012−31562A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−164862(P2011−164862)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)