説明

インジエクシヨン・モールドジョイント用金型の包囲体

【構成】 金型2は、包囲体10によりその全体が覆われている。この包囲体10は透明プラスチックフィルムから成る本体11と、該本体11を立方体形状に形成している枠部材12とを備えている。本体11の両側壁にはCVケーブル1、1を突出させるための貫通穴11a,11aが設けられ、又正面壁には送給管6を貫通させるための図示しない貫通穴が設けられている。そして、本体11の内壁面にはアルミニウム箔13が蒸着されている。
【効果】 金型を包囲体により覆ったことで、金型をほぼ一定温度に保持することかできる上に金型内に塵等が入り込むのを有効に防止することができる。従って、絶縁特性の優れた絶縁層を有するケーブル接続部等を作業性よく製作することかできる。

【発明の詳細な説明】
(発明の技術分野)本発明は、インジエクシヨン・モールドジョイント方式に用いられる金型を覆うための包囲体に関する。
(発明の技術的背景)ケーブル接続部の絶縁体は、最近では、相互に接続されたケーブルコア上に金型をセットし、押出機により金型内にポリエチレン樹脂を注入する、インジェクション・モールドジョイント方式により形成されている。
(背景技術の問題点)ところで、金型は、従来、マンホールや洞道内にそのまま、即ち、外気に直接触れる状態で配されていた。このため、金型温度が外気温や風の影響によって、例えば、10〜20℃の温度範囲で変化し、その温度制御が困難になつてしまうことがあった。そして、金属温度が低すぎる場合にはポリエチレン樹脂が金型内に確実に充填されず、又高すぎる場合にはケーブルコアが伸びて湾曲してしまうので、不良接続部が得られてしまう。また、金型のオーバーフロー孔は、樹脂注入時には樹脂を金型内に完全に充填するために開放しておく必要があるので、金型内に塵等が入り込む恐れがあった。
(発明の目的)本発明の目的は、金型温度をほぼ一定に保持し、かつ塵等が金型内に入り込むのを防止するための包囲体を提供することにある。
(発明の概要)本発明は、金型を包囲体にて覆うことを特徴とする。
(発明の実施例)以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。第2図にはインジェクション・モールドジョイント方式の全体構成が示されており、CVケーブル1、1の相互に接続されたケーブルコア上には金型2が設けられている。この金型2はヒータを内蔵し、ヒータにはヒータ制御器3が接続されている。また、この金型2には樹脂圧を計測するための樹脂圧計4が取付けられている。金型2には三方バルブ5を介して送供管6が接続され、送供管6には押出機7が接続されている。押出機7に架橋剤入りのポリエチレン樹脂が供給されると、この樹脂は溶融、混練されて連続的に送給管6及び三方バルブ5を介して金型2内に注入される。この樹脂注入時には、樹脂圧計4により金型2内の樹脂圧を計測し、例えば、15〜20kg/cmの圧力範囲で金型2内の圧力を調整する。金型2内に樹脂を注入した後は三方バルブ5を両開き操作し、金型2側に更に樹脂を送りつつ一部を金型2のオーバーフロー孔2aから排出しながら樹脂圧を減圧する。樹脂が硬化した後には三方バルブ5を排出側に操作し、これによりケーブルコア上にポリエチレン樹脂から成る絶縁層を形成する。さて、上記金型2は、第1図に示すように、本発明に係る包囲体10によりその全体が覆われている。この包囲体10は透明プラスチックフィルムから成る本体11と、該本体11を立方体形状に形成している枠部材12とを備えている。本体11の両側壁にはCVケーブル1、1を突出させるための貫通穴11a,11aが設けられ、又正面壁には送給管6を貫通させるための図示しない貫通穴が設けられている。そして、本体11の内壁面にはアルミニウム箔13が蒸着されている。ところで、金型2は内蔵するヒータにより予め加熱され、樹脂が注入されている間はその加熱温度がヒータ制御器3により制御されている。従って、金型2が外気に直接触れる場合には、外気温度が変化すると金型温度も変化する。また、風の影響によっても金型温度が低下してしまう。しかるに、上述したように、本発明の包囲体10にて金型2を全体的に覆うと、包囲体10内の温度は金型2の加熱温度により徐々に上昇するだけであり、外気温や風の影響を殆ど受けることがない。そして、包囲体10の内壁面にはアルミニウム箔13が設けられているので、包囲体10内の熱が輻射により外部に放散されるのを最小に抑えることができる。従って、包囲体10内は金型2の加熱温度とほぼ同一温度に保持されるので、ヒータ制御器3による温度制御が非常に簡単になる。また、金型2を包囲体10にて覆うと、金型2のオーバーフロー孔2aから金型2内に塵等が入り込むのを防止することができるので、樹脂から形成された絶縁層の絶縁特性が塵等により劣化することもなくなる。更に、包囲体10の本体11を透明プラスチックフィルムから形成し、アルミニウム箔13を設ける場合には、本体11が半透明となり、包囲体10の内部を外部から目視することができるので、樹脂圧や金型温度を常時監視することができ、作業上有利である。上記実施例において、包囲体10は立方体形状を有しているが、要は作業性を考慮した形状であればよい。また、包囲体10の内壁面には他の金属箔を設けてもよいのは勿論であり、又全面に設ける必要もない。
(発明の効果)本発明によれば、金型を包囲体により覆ったことで、金型をほぼ一定温度に保持することかできる上に金型内に塵等が入り込むのを有効に防止することができる。従って、絶縁特性の優れた絶縁層を有するケーブル接続部等を作業性よく製作することかできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る包囲体の使用態様を示す断面図、第2図はインジェクション・モールドジョイント方式に用いられる各種装置の全体構成図である。
1…………CVケーブル
2…………金 型
10…………包囲体
13…………アルミニウム箔

【特許請求の範囲】
1.相互に接続された導体接続部上に配されて樹脂が注入される金型を全体的に覆うことを特徴とするインジエクシヨン・モールドジョイント用金型の包囲体。
2.前記包囲体が透明フィルムから形成され、内壁面に金属箔が設けられていることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のインジエクシヨン・モールドジョイント用金型の包囲体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平7−192833
【公開日】平成7年(1995)7月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−132423
【出願変更の表示】実願昭60−69876の変更
【出願日】昭和60年(1985)5月10日
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)