説明

インジケータラベル

【目的】発色時間を正確に把握するとともに、2つ以上の発色時間を1つのインジケ−タにて表示できるインジケータラベルを提供する。
【構成】透明な基体上に、顔料と可塑剤及び高分子樹脂からなる隠蔽層及び染料拡散層を設け、更にその上に粘着層を設けて剥離紙と貼りあわせてなるラベルと、染料を印刷した基材とを貼り合わせてなるインジケ−タラベルにおいて、隠蔽層に用いる顔料に複数の色を用いてパタ−ン印刷すると共に染料に複数の色の染料を用いるインジケ−タラベルである。また、実施態様としては、前記染料が、分散染料と油溶性染料の組み合わせにより、発色時間に違いがあるインジケ−タラベルである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は期間、温度による履歴を示すインジケータラベルに関し、詳しくは、入場券等のチケット、食品の賞味期限、化学薬品の有効期間等を一目にて知ることのできるインジケータラベルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】商品の有効期限等に関しその期間による履歴を示すためのインジケータとしては以下に述べるものがある。揮発性の薬剤において成分が溶剤、ワックス状でこれらの拡散が容器の外から目視できるものがある。しかしこの方式においては成分が空気中に拡散されるためその衛生性等に問題がある。空気中の酸素、二酸化炭素等のガスによる色変化により期間を知るインジケータもある。しかしこの方式においては空気中の湿度に大きく影響される。
【0003】これらの問題点を解決する目的で期間経過表示ラベルが提案された。(特願平4ー185027号)しかしこの方式においては、発色時間が曖昧であり且つ、1つの発色時間しか表示できない問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問題点に着目したもので、発色時間を正確に把握するとともに、2つ以上の発色時間を1つのインジケータにて表示できるインジケータラベルを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、透明な基体上に、顔料と可塑剤及び高分子樹脂からなる隠蔽層及び染料拡散層を設け、更にその上に粘着層を設けて剥離紙と貼りあわせてなるラベルと、染料を印刷した基材とを貼り合わせてなるインジケータラベルにおいて、隠蔽層に用いる顔料に複数の色を用いてパターン印刷すると共に染料に複数の色の染料を用いるインジケータラベルである。また、実施態様としては、前記染料が、分散染料と油溶性染料の組み合わせにより、発色時間に違いがあるインジケータラベルである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の原理は、染料の拡散を利用したものであり、発色性は隠蔽層及び染料拡散層に用いられる高分子樹脂の種類、塗布量、添加する可塑剤の種類、量、染料の種類により任意に設定できる。
【0007】図1は本発明のインジケータラベルの断面図である。インジケータラベルは透明基体(1)、隠蔽層(2)、染料拡散層(3)、粘着層(4)、剥離紙(5)からなり、これに染料(6)を印刷した基材(7)を貼り合わせてなる。本発明に使用される透明基体(1)は、通常一般に使用されるプラスチックフィルム、シート、ガラス等が使用可能である。例えば、セロハン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン等のフィルム、シートである。
【0008】本発明に使用される隠蔽層(2)は白、黄、赤、または青の顔料、可塑剤及び、高分子樹脂からなる。顔料として用いられるものは酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、カドミエロー、黄鉛、チタンエロー、ジンクロメート、黄土、アンバー、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄カドミウムレッド、酸化クロムグリーン、コバルトブルー、コバルトバイオレット、ベンジンエロー、ハンザエロー、リソールレット、アリザリンレーキ、ピグメントスカーレット3B、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF−5R、レーキレッドC、パーマネントレッド4R、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、パラレッド、ピーコックブルーレーキ、フタロシアニンブルー、パーマネントエローHR、キナクリドン、ペリノンペリレン、クロモフタールエロー6G、クロモフタールエロー3G等の白、黄、赤、または青の顔料である。
【0009】可塑剤としては、比較的難揮発性で、使用する高分子樹脂と相溶性がなくてはならない。そのような化合物であればいずれも使用可能であり、例えば、燐酸トリブチル、燐酸トリ2−エチルヘキシル、燐酸トリクレシル等の燐酸エステル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪族−塩基酸エステル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸2エチルヘキシル、セバチン酸ジブチル、セバチン酸2エチルヘキシル等の脂肪族2塩基酸エステル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ2エチルブチラール等の2価アルコールエステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等のオキシ酸エステル、塩化パラフィン、アビエチン酸メチル、トリメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤等である。
【0010】本発明に使用される高分子樹脂としては、熱可塑性樹脂であり、例えば、ニトロセルロース、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。上記樹脂を単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。
【0011】本発明において、隠蔽層の塗布量は2〜20g/m2 の範囲におさまることがのぞましい。組成物の組成比は隠蔽性を考慮して高分子樹脂100部に対し顔料100〜500部の範囲で使用することが好ましい。可塑剤は1〜30部でよい。
【0012】本発明の染料拡散層(3)は、黒色顔料あるいは金属ペースト、可塑剤及び高分子樹脂からなる。黒色顔料あるいは金属ペーストとしては、隠蔽性の高いものが好ましく、例えば、カーボンブラック、アニオンブラック、アルミペースト等が使用される。可塑剤、及び高分子樹脂としては、上記隠蔽層で記載したものを同様に使用することができる。本発明において、染料拡散層の塗布量は1〜10g/m2 の範囲におさまることがのぞましい。組成物の組成比は隠蔽性を考慮して高分子樹脂100部に対し顔料50〜300部の範囲で使用することが好ましい。可塑剤は1〜30部でよい。
【0013】本発明の粘着層(4)に用いる粘着剤としては、一般に使用されている粘着剤が使用可能である。樹脂系としてはゴム系、アクリル系、シリコーン系が挙げられ、有機溶剤溶解のものとエマルジョンのものがある。粘着剤にも場合により、上記可塑剤を添加しても良い。
【0014】このインジケータラベルは、まず隠蔽層を適当な溶剤を用いて塗料化しその塗料を透明基体に塗布する。塗布方法としてはグラビアコート、ロールコート、フレキソコート、スクリーンコート、コンマコート、ダイコート、オフセットコート、マイクログラビアコート等の塗布方法が使用可能である。染料拡散層、粘着層の塗料化、塗布方法についても隠蔽層と同様である。
【0015】本発明の剥離紙に用いるものとしては、シリコンを塗布したもの、あるいはポリエチレンを紙のうえに押し出し加工したものが用いられる。基材はフィルムでもよくこのばあい離型性のあるフィルムならばなんでも使用可能でポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等のフィルムを単体あるいはシリコン、フッ素等を練り込んだり、コーティングしたものが用いられる。
【0016】このインジケータラベルは、あらかじめ染料を印刷してある基材を貼り合わせる。貼り合わせてからの温度、時間による履歴が表示される。ここで使用される染料(6)としては昇華性のある油溶性染料及び分散染料である。例えば、ソルベントエロー2、ソルベントオレンジ1、ソルベントレッド24、ソルベントブラウン3等のアゾ染料、ソルベントエロー10、ソルベントオレンジ5、ソルベントブラウン37、ソルベントオレンジ5、ソルベントレッド8等のアゾ金属錯塩、ソルベントバイオレット13、ソルベントブルー11、ソルベントグリーン3等のアントラキノン染料、ソルベントブルー25等のフタロシアニン染料、ディスパーズオレンジ3、ディスパーズレッド1、ディスパーズエロー3、ディスパーズバイオレット24、ディスパーズブルー44等のアミノアゾ染料、ディスパーズオレンジ11、ディスパーズレッド4、ディスパーズバイオレッド1、ディスパーズブルー4等のアミノアントラキノン染料、ユトロアリールアミン染料等である。染料においては、油溶性染料が分散染料と比較して発色性が高く、したがって発色時間が短い色として油溶性染料を長い色として分散染料を用いることが好ましい。染料を印刷する方法としてはグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等任意の印刷方法が可能である。しかし色を多色刷りする関係上、パターン印刷できるものが好ましい。
【0017】
【作用】本発明によれば、入場券等のチケット、食品の賞味期限、化学薬品の有効期間等を一目にて知ることのできるインジケータラベルにおいて、発色時間を正確に且つ、1つのインジケータにて2つ以上の時間を測定できるインジケータラベルを生産することが可能である。
【0018】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明する。
<実施例1>〔保護フィルム〕
ポリエステルフィルム (東洋紡績(株)製 E5100) 50μ〔隠蔽層A〕
ウレタン樹脂 (東洋インキ製造(株)製 ラミスター メジウム) 20部 酸化チタン 20部 フタル酸ジエチルヘキシル 2部 トルエン/メチルエチルケトン=1/1 80部〔隠蔽層B〕
ウレタン樹脂 (東洋インキ製造(株)製 ラミスター メジウム) 20部 コバルトブルー 20部 トルエン/メチルエチルケトン=1/1 80部〔隠蔽層C〕
ウレタン樹脂 (東洋インキ製造(株)製 ラミスター メジウム) 20部 赤色酸化鉄 20部 トルエン/メチルエチルケトン=1/1 80部〔染料拡散層〕
ポリエステルウレタン樹脂 (東洋紡績(株)製 UR3200) 20部 カーボンブラック 10部 フタル酸ジエチルヘキシル 2部 トルエン/メチルエチルケトン=1/1 80部〔粘着層〕
アクリル系粘着剤(東洋インキ製造(株)製 オリバインBPS3233D)
80部 フタル酸ジエチルヘキシル 2部 トルエン 40部〔剥離紙〕
ポリエチレンコート紙(リンテック(株)製 NA) 150μ
【0019】上記保護フィルム上に上記隠蔽層B、Cを1μ塗布しその上に上記隠蔽層Aを6μ塗布し、その上に上記染料拡散層を2μ塗布、更にその上に上記粘着層を4μ塗布し上記剥離紙と貼り合わせてインジケータラベルを得た。
【0020】<実施例2>〔隠蔽層D〕
ウレタン樹脂 (大日本インキ化学工業(株)製 SNACKVUREメジウム) 20部 酸化チタン 20部 アジピン酸ジエチルヘキシル 2部 トルエン/メチルエチルケトン=6/4 80部〔隠蔽層E〕
ウレタン樹脂 (大日本インキ化学工業(株)製 SNACKVUREメジウム) 20部 コバルトブルー 20部 トルエン/メチルエチルケトン=6/4 80部〔隠蔽層F〕
ウレタン樹脂 (大日本インキ化学工業(株)製 SNACKVUREメジウム) 20部赤色酸化鉄 20部トルエン/メチルエチルケトン=6/4 80部〔染料拡散層〕
ポリエステルウレタン樹脂 (東洋紡績(株)製 UR3200) 20部 カーボンブラック 10部 アジピン酸ジエチルヘキシル 2部 トルエン/メチルエチルケトン=1/1 80部〔粘着層〕
アクリル系粘着剤(東洋インキ製造(株)製 オリバインBPS3233D)
80部 アジピン酸ジエチルヘキシル 2部 トルエン 40部
【0021】実施例1と同様の保護フィルムに上記隠蔽層E、Fを1μ、上記隠蔽層Dを6μその上に上記染料拡散層を2μ、その上に上記粘着層を4μ塗布し、実施例1と同様の剥離紙と貼り合わせ、インジケータラベルを得た。
【0022】「評価」実施例1、2で得られたインジケータラベルの剥離紙を剥がし、あらかじめ下記染料をパターン印刷されている基材上に 貼り合わせて、保護フィルム上の赤、青の色が、顔料インキにて印刷された色と同じ濃度となる時間を発色時間とした。その結果を(表1)に示す。
〔染料〕
イ) ソルベントブルー25 (保土谷化学工業(株)製)
ロ) ディスパージョンブルー4 (保土谷化学工業(株)製)
ハ) ソルベントレッド24 (保土谷化学工業(株)製)
ニ) ディスパージョンレッド4 (保土谷化学工業(株)製)
【0023】
【表1】


【0024】
【発明の効果】本発明によれば、入場券等のチケット、食品の賞味期限、化学薬品の有効期間等を一目にて知ることのできるインジケータラベルにおいて、発色時間を正確に且つ1つのインジケータにて2つ以上の時間を測定できるインジケータラベルを生産することが可能である。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例構成を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1…透明基体 2…隠蔽層 3…染料拡散層 4…粘着層 5…剥離紙 6…染料 7…基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】透明な基体上に、顔料と可塑剤及び高分子樹脂からなる隠蔽層及び染料拡散層を設け、更にその上に粘着層を設けて剥離紙と貼りあわせてなるラベルと、染料を印刷した基材とを貼り合わせてなるインジケータラベルにおいて、隠蔽層に用いる顔料に複数の色を用いてパターン印刷すると共に染料に複数の色の染料を用いることを特徴とするインジケータラベル。
【請求項2】請求項1に用いられる染料が、分散染料と油溶性染料の組み合わせにより、発色時間に違いがあることを特徴とするインジケータラベル。

【図1】
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【公開番号】特開平7−92910
【公開日】平成7年(1995)4月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−234773
【出願日】平成5年(1993)9月21日
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)