説明

インターナルポンプのモータ搬送方法

【課題】モータカバーの製造に要する時間を短縮でき、ポンプ駆動モータを上下動させるネジ棒に噛み合うナット部材に伝えられるモータの荷重のうちモータカバーに取り付けられるネジ部材に掛かる荷重を低減できるインターナルポンプを提供する。
【解決手段】インターナルポンプ1は、下端部にモータカバー8Aを取り付けた水中モータ3をポンプケーシング2内に装着している。昇降装置37のガイドスクリュー38に噛み合わされたナット部材40Aは、モータカバー8の下面に接触する突起部46を有する。水中モータ3をポンプケーシング2から引き抜くとき、ガイドスクリュー38に噛み合ったナット部材40Aの突起部46をモータカバー8の下面に接触させて、ナット部材40Aをボルトでモータカバー8に取り付ける。その後、ガイドスクリューを回転させることによって水中モータ3がモータケーシング2から取り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターナルポンプのモータ搬送方法に係り、特に、改良型沸騰水型原子炉(ABWRという)に用いるのに好適なインターナルポンプのモータ搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ABWRにおいては、原子炉圧力容器内の炉水に冷却水を供給するために、インターナルポンプが原子炉圧力容器の底部に複数台設置されている。インターナルポンプは、ケーシング、水中モータ、水中モータに連結されるシャフト、シャフトの先端部に取り付けられたインペラ、及びインペラを内包するディフューザを有する。水中モータ及びシャフトはケーシング内に配置される。インペラ及びディフューザは原子炉圧力容器内に設置される。ケーシングは、原子炉圧力容器の底部に溶接にて取り付けられ、原子炉圧力容器から下方に向かって伸びている。水中モータの下方に位置するモータカバーが、ケーシングの底部にスタッドボルト及びナットによって取り付けられる。
【0003】
水中モータは、ABWRの運転停止後に、保守点検のためにケーシングから取り外される。この水中モータの取り外し作業は、モータ取り扱い装置を用いて行われる。モータ取り扱い装置の例が、特公平5−31959号公報、特公平5−31956号公報及び特開平4−361197号公報に記載されている。
【0004】
特公平5−31959号公報及び特公平5−31956号公報に記載されたモータ取り扱い装置は、一対のネジ棒、各ネジ棒に噛み合うナット及び各ネジ棒に連結される各ネジ棒駆動機構を有する。水中ポンプに設置されたモータカバー(フランジ)に取り付けられた一対のラグ(ブラケット)に各ナットを取り付ける。モータカバーとケーシングを締結するボルトが取り外される。ケーシングに取り付けられた各ネジ棒駆動機構を駆動し、それぞれのネジ棒が回転される。水中ポンプがケーシングから下方に引き抜かれる。
【0005】
特開平4−361197号公報に記載されたモータ取り扱い装置も、一対のネジ棒、各ネジ棒に噛み合うナット及び各ネジ棒に連結される各ネジ棒駆動機構を有する。ラグを有するガイドスクリュウサポートがボルトによりモータケーシングに取り付けられている。ネジ棒の上端部はこのガイドスクリュウサポートによりモータケーシングに保持される。
【0006】
また、特開平4-169896号公報は、水中モータをモータケーシングから引き抜くときに、水中モータに設けられたラグと、ネジ棒に噛み合うナットを結合することを記載している。このラグは水中モータと一体化されている。
【0007】
【特許文献1】特公平5−31959号公報
【特許文献2】特公平5−31956号公報
【特許文献3】特開平4−361197号公報
【特許文献4】特開平4-169896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特公平5−31959号公報、特公平5−31956号公報及び特開平4-169896号公報に記載されたように、ネジ棒と噛み合うナットを取り付ける一対のラグがモータカバーと一体になっている。このため、一対のラグを有するモータカバーの形状が複雑になるので、素材の物量が多くなり、加工に多くの時間を有していた。
【0009】
本発明の目的は、モータカバーの製造に要する時間を短縮でき、ポンプ駆動モータを上下動させるネジ棒に噛み合うナット部材に伝えられるモータの荷重のうちモータカバーに取り付けられるネジ部材に掛かる負荷を低減できるインターナルポンプのモータ搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子炉容器に設けられたモータケーシングに装着されているインターナルポンプのモータのモータカバーに、昇降装置に連結されたネジ棒に噛み合って突起部を有するナット部材を、この突起部をモータカバーの下面に接触させて、着脱自在に取り付け、その後、ネジ棒を回転させることによってモータをモータケーシングから引き抜き、モータの引き抜き後、モータカバーとナット部材との結合状態を解除し、ナット部材が取り外されたモータをモータ搬送装置により搬送することにある。
【0011】
原子炉容器に設けられたモータケーシングに装着されているインターナルポンプのモータのモータカバーの下面に接触させる突起部を昇降装置に連結されたネジ棒に噛み合うナット部材に形成しているので、モータカバーの下降に必要な素材の量が少なく、モータカバーの下降時間が短縮される。さらに、モータをモータケーシングから引き抜いているときにモータの荷重は突起部を介してネジ部材に伝えられるので、モータカバーに取り付けられるネジ部材に掛かる荷重を低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、モータカバーの製造に要する時間を短縮でき、ポンプ駆動モータを上下動させるネジ棒に噛み合うナット部材に伝えられるモータの荷重のうちモータカバーに取り付けられるネジ部材に掛かる負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1のインターナルポンプの縦断面図である。
【図2】図1に示すポンプカバーの構造図であり、(A)はポンプカバーの縦断面図、(B)はポンプカバーの平面図である。
【図3】モータ搬送装置の構造図であり、(A)はモータ搬送装置の側面図、(B)はモータ搬送装置の正面図である。
【図4】補修室からモータケーシングまでのインターナルポンプの搬送方法を示す説明図である。
【図5】インターナルポンプのモータカバーへの接続部材の取り付け状態を示す説明図である。
【図6】昇降装置のガイドスクリューに設けられたベアリングボックスとモータケーシングに取り付けられたブラケットとの接続状態、及びガイドスクリューと噛み合っているナット部材とモータカバーに取り付けられた接合部材との接続状態を示す説明図である。
【図7】水中モータを昇降装置によってモータケーシングに挿入する作業を示す説明図である。
【図8】本発明の他の実施例であるインターナルポンプの搬送方法におけるガイドスクリューと噛み合っているナット部材とモータカバーとの接合状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の好適な一実施例であるインターナルポンプ及びインターナルポンプの搬送方法を、図1〜図7を用いて以下に説明する。
【0016】
ABWRは、インターナルポンプ1及び原子炉圧力容器7を備えている。原子炉圧力容器7はペデスタル50に据え付けられている。複数台のインターナルポンプ1が、原子炉圧力容器7の底部に設置され、原子炉圧力容器7内に配置される炉心(図示せず)に冷却水を供給する。
【0017】
インターナルポンプ1は、ポンプケーシング2、水中モータ3、シャフト4、インペラ5及びディフューザ6を有する。ケーシング2は原子炉圧力容器7の底部に設けられ、原子炉圧力容器7より下方に向かって伸びている。水中モータ3及び水中モータ3の回転軸に連結されたシャフト4は、ポンプケーシング2内に配置される。インペラ5及びディフューザ6は原子炉圧力容器7内に配置される。インペラ5はシャフト4に連結されており、ディフューザ6は原子炉圧力容器7に取り付けられている。
【0018】
水中モータ3の下端部に設置されたモータカバー8がスタッドボルト10及びナット11によってポンプケーシング2に取り付けられている。補助カバー9がモータカバー8に取り付けられており、ポンプケーシング2の密封性はモータカバー8及び補助カバー9により補償されている。モータカバー8は、互いに反対方向を向いている2つの側面13,15に外側に向かって突出する突起部14,16を形成している。これらの突起部14,16は、それぞれの側面に沿って水平方向に突出している。これらの突起部14,16におけるそれぞれの側面から突出している長さは、後述の接続部材12の溝34と噛み合えばよいので、従来のモータカバーと一体化されているラグの、モータカバーの側面から突出している長さよりもかなり短い。
【0019】
モータ搬送装置20は、図3に示すように、4つの車輪26が取り付けられたフレーム21、2本の支持部材22、軸受け部材23及びモータコンテナ27を有する。2本の支持部材22は、間隔をあけてフレーム21上に設置され、フレーム21から上方に向かって伸びている。一対の軸25が、モータコンテナ26の軸心を通ってこの軸心と直交する直線上に並んで反対方向に伸びるように、モータコンテナ27の外面に取り付けられる。各軸25は別々の軸受け部材23に回転可能に支持される。コンテナ受け部材24は、軸25から離れた位置である、モータコンテナ27の一端部に、フレーム21に向って伸びるように設けられる。コンテナ受け部材24は横転されたモータコンテナ27の一端部をフレーム21上に支持する。モータコンテナ27は周方向に二分割できる構造となっており、複数のボルトにより分離可能に結合されている。
【0020】
原子炉格納容器は、原子炉圧力容器7及びペデスタル50を取り囲んでいる。モータ取り扱い装置36は、原子炉圧力容器7の下方でペデスタル50に取り囲まれた領域内に回転可能に設置されたプラットホーム51に取り付けられている。モータ取り扱い装置36は、図4及び図6に示すように、昇降装置37、一対のガイドスキュウリュー38、一対のナット部材40及びモータ取り付けナット着脱装置(図示せず)を有する。モータ取り付けナット着脱装置としては、例えば、特公平5−31959号公報に記載されたモータ部取り付けナット着脱装置が用いられる。一対のガイドスキュウリュー38の下端部は、昇降装置37の回転装置にそれぞれ連結される。各ナット部材40はそれぞれのガイドスキュウリュー38と噛み合っている。
【0021】
保守点検時に水中モータ3は、モータ取り扱い装置36によりポンプケーシング2から取り外され、モータ搬送装置20により原子炉格納容器(図示せず)外の補修室28まで搬送される。保守点検及び補修が終了した水中モータ3には、補修室28(図4参照)において、二分割されたモータコンテナ27が装着される。これらのモータコンテナ27はボルト及びナットによって結合される。モータコンテナ27を装着した水中モータ3は、モータ搬送装置20のフレーム21上に乗せられる。このとき、水中モータ3は横転されており、モータコンテナ27に設けられた一対の軸25が各軸受け部材23によって支持され、モータコンテナ27の一端部がコンテナ受け部材24によって保持されている。モータカバー8はモータコンテナ27の外部に突出している。モータ搬送装置20の各車輪26は、ペデスタル50内の空間から補修室28まで伸びるガイドレール29上に置かれている。モータ搬送装置20は、ガイドレール29に沿ってペデスタル50内まで移動され、プラットホーム51上に達する。
【0022】
モータ搬送装置20がプラットホーム51に到達した後、モータコンテナ27は、ペデスタル50の内面に取り付けられたチェーンブロック35によって引き起こされるので、モータ搬送装置20の軸受け部材23で支持されている軸25を中心にaの方向(図3(B)及び図4参照)に90°回転する。このため、水中モータ3を包囲したモータコンテナ27が直立状態になる。チェーンブロック35を操作して水中モータ3を包囲したモータコンテナ27をさらに吊り上げる。その後、プラットホーム51に取り付けられた昇降装置37が吊り上げられた水中モータ3の真下の位置に来るまで、プラットホーム51を旋回させる。チェーンブロック35の操作によって、水中モータ3の下端が昇降装置37の上端に接触するまでモータコンテナ27を下降させる。水中モータ3が昇降装置37の上に載せられる。このとき、モータコンテナ27は水中モータ3から取り外される。
【0023】
水中モータ3が昇降装置37の上に載せられた状態で、昇降装置37に連結された一対のガイドスクリュー38が、モータケーシング2及び水中モータ3に接続される。水中モータ3とガイドスクリュー38の結合を、図5及び図6を用いて説明する。水中モータ3に取り付けられたモータカバー8の2つの側面13,15に、一対のラグ31が形成された接続部材12をそれぞれ取り付ける。側面13への接続部材12の取り付けを例にとって説明する。接続部材12の側面13と対向する面に溝34が形成されている。この溝34内に突起部14を挿入して接続部材12を側面13に接触させる。ボルト33Aが、接続部材12に形成された貫通孔32Aを通して、側面13に形成されたネジ孔30Aに噛み合わされる。ボルト33Bが、接続部材12に形成された貫通孔32Bを通して、側面13に形成されたネジ孔30Bに噛み合わされる。ボルト33Cが、接続部材12に形成された貫通孔32Cを通して、側面13に形成されたネジ孔30Cに噛み合わされる。これらのボルトが締め付けられることによって接続部材12がモータカバー8の側面13に取り付けられる。接続部材12のモータカバー8の側面15への取り付けも同様に行われる。それぞれのガイドスクリュー38に噛み合わされた各ナット部材40は、ボルト39A,39Bによってそれぞれの接続部材12に結合される。すなわち、ボルト39Aは1つのラグ31に設けられた貫通孔を通してナット部材40に形成されたネジ孔に噛み合わされる。ボルト39Bは他のラグ31に設けられた貫通孔を通して同じナット部材40に形成されたネジ孔に噛み合わされる。
【0024】
ガイドスクリュー38のモータケーシング2への取り付けを、図6を用いて説明する。一対のラグ42を形成しているブラケット41をモータケーシング2に取り付ける。ガイドスクリュー38に取り付けられたベアリングボックス43が、ボルト44A,44Bによってブラケット41のそれぞれのラグ42に取り付けられる。他方のガイドスクリュー38も、同様にして、モータケーシング2の180°反対側の面に取り付けられる。前述したボルト39A,39B,44A,44Bは、それぞれ、ピンに変更してもよい。
【0025】
水中モータ3をモータケーシング2に向かって上昇させるとき、昇降装置37内の回転装置が回転される。これによって、一対のガイドスクリュー38が回転する。ベアリングボックス43は、これらのガイドスクリュー38が回転しても上下方向に移動しない。しかしながら、一対のナット部材40は、ガイドスクリュー38と噛み合っているので、それらのガイドスクリュー38の回転によって上昇する。このため、一対のナット部材40に結合された水中モータ3は上方に向って移動する。水中モータ3がモータケーシング2内に挿入され、モータカバー8の上面がモータケーシング2の下端面に接触する。このとき、昇降装置37内の回転装置の駆動が停止される。
【0026】
モータケーシング2に取り付けられた複数のスタッドボルト10がモータカバー8を貫通している。ナット11が、モータ取り付けナット着脱装置によって下方よりスタッドボルト10に取り付けられ、締め付けられる。モータカバー8がモータケーシング2に取り付けられ、水中モータ3がモータケーシング2に装着される。その後、ボルト39A,39Bが取り外され、ナット部材40と接続部材12との結合状態が解除される。さらに、ボルト44A,44Bが取り外されてベアリングボックス43とブラケット41の結合状態が解除される。
【0027】
プラットホーム51が旋回され、昇降装置37が次に取り外すべき他の水中モータ3の真下の位置まで旋回される。それぞれのガイドスクリュー38の上端部に設けられた各ベアリングボックス43が、他の水中モータ3が収納されているモータケーシング2に取り付けられた2つのブラケット41にボルト44A,44Bによってそれぞれ結合される。それぞれのガイドスクリュー38に噛み合っている各ナット部材40が、ボルト39A,39Bによって、引き抜き対象の水中モータ3のモータカバー8に取り付けられている接続部材12に結合される。前述した水中モータ3をモータケーシング2から取り外して補修室28まで移送する手順は、水中モータ3をモータケーシング2に取り付ける手順の逆となる。ガイドスクリュー38の回転によってモータカバー8が昇降装置37の上端と接触するまで水中モータ3が下降されたとき、ナット部材40と接続部材12との結合状態が解除され、ボルト33A〜33Cが取り外されて接続部材12がモータカバー8から取り外される。接続部材12が付いていない状態で水中ポンプ3がモータ搬送装置20によって補修室28まで移送される。
【0028】
本実施例では、一対のラグ31を有する接続部材12がボルトによってモータカバー8に取り付けられる。このため、180°反対側の2つの側面13,15にそれぞれ突起部を形成しているモータカバー8は、それぞれの側面に一対のラグが一体化されている従来のモータカバーに比べて下降に要する時間が短縮される。各突起部の側面から突出している長さが、従来のラグのその長さよりも短いので、本実施例に用いられるモータカバー8の素材の量が従来のそれよりも少なくて済み、加工時間が短縮される。
【0029】
本実施例では、さらに、モータカバー8がナット部材40に取り付けられる接続部材12の溝34に噛み合わされる突起部14を形成しているので、水中モータ3の荷重は突起部14及び溝34を介してナット部材40に伝えられる。したがって、ボルト33A〜33Cに加わるその荷重を低減することができ、ボルト33A〜33Cのせん断を防止することができる。突起部14は、接続部材12をモータカバー8に取り付ける際の開度の役割を果たし、モータカバー8上での接続部材12の位置決めを容易に行うことができる。
【0030】
さらに、本実施例によれば、モータカバー8から接続部材12を取り外した状態で水中モータ3を、モータ搬送装置20に乗せて、プラットホーム51と補修室28の間を搬送することができる。このため、支持部材22相互間の間隔を狭くすることができ、フレーム21の幅も狭くできる。したがって、モータ搬送装置20は小型化される。従来のように、モータカバー8の180°反対側に位置する両側面から突出している長さが長いラグがモータカバー8と一体化されている場合には、支持部材22相互間の間隔が広くなり、モータ搬送装置のフレームの幅を広くしなければならない。モータ搬送装置の載せられた水中モータ3はプラットホーム15上でチェーンブロック35により引き起こす必要がある。従来の水中モータでは、そのときに、両側面に設けられたラグが支持部材22と干渉しないように支持部材22の相互間の間隔を広くしている。しかしながら、ラグ31を有する接続部材12が取り外されて側面13,15からの突出長さが短い突起部14を有するモータカバー8を用いた水中モータ3では、支持部材22の相互間の間隔を従来例よりも狭くすることができる。したがって、本実施例では、モータ搬送装置20を小型化することができる。
【0031】
上記した実施例では、突起部14をモータカバー8に形成して溝34を接続部材12に形成しているが、逆に、突起部14を接続部材12に形成して溝34をモータカバー8に形成してもよい。これによっても、本実施例で生じる各効果を得ることができる。モータカバー8に突起部14が形成されないので、支持部材22相互間の間隔をさらに狭くすることができ、モータ搬送装置20をより小型化することができる。
【実施例2】
【0032】
本発明の他の実施例であるインターナルポンプ及びインターナルポンプの搬送方法を、図8を用いて以下に説明する。本実施例のインターナルポンプ1は、モータカバー8の両側面13,15に突起部14を形成していない。モータカバー8の両側面13,15は平面になっており、ネジ孔45A,45Bが形成されている。これは、図8に示すナット部材40Aを採用しているからである。ナット部材40Aは下端部に一方向に突出する突起部46を有している。突起部46の上方で、貫通孔47A,47Bがナット部材40Aに形成されている。
【0033】
ガイドスクリュー38に噛み合っているナット部材40Aは、補修室28から搬送されて来てモータケーシング2内に装着される水中モータ3のモータカバー8に取り付けられる。ナット部材40Aのモータカバー8への取り付けは、ボルト48Aを、貫通孔47Aを通してネジ孔45Aに噛み合わせ、ボルト48Bを、貫通孔47Bを通してネジ孔45Bに噛み合せることによって行われる。ボルト48A,48Bが完全に締め付けられて、ナット部材40Aのモータカバー8への取り付けが終了する。水中モータ3がモータケーシング2内に装着されたとき、ボルト48A,48Bを緩めてナット部材40Aがモータカバー8から取り外される。ブラケット41とガイドスキュウリュー38に取り付けられたベアリングボックス43との結合状態も解除される。
【0034】
昇降装置37は、プラットホーム51の旋回によって、次に取り外すべき水中モータ3の真下まで移動する。この水中モータ3のモータケーシング2に取り付けられているブラケット41とガイドスクリュー38に取り付けられたベアリングボックス43がボルト44A,44Bによって結合される。ガイドスクリュー38と噛み合っているナット部材40Aが、ボルト48A,48Bによって、その水中モータ3のモータカバー8Aに取り付けられる。このとき、ナット部材40Aの突起部46がモータカバー8Aの下方に位置してモータカバー8Aの下面が突起部46の上面に接触している。
【0035】
モータケーシング2に取り付けられた複数のスタッドボルト10に装着されている各ナット11をモータ取り付けナット着脱装置によって取り外す。その後、昇降装置37の回転装置を駆動させて水中モータ3をモータケーシング2から引き抜く。ナット部材40Aとモータカバー8Aの結合状態を解除し、実施例1と同様に、水中モータ3をモータ搬送装置20によって補修室28まで移送する。
【0036】
本実施例も、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、ナット部材40Aの突起部46が水中モータ3の荷重を受けており、モータカバー8Aには実施例1のような突起部14が形成されていない。このため、モータカバー8Aの素材の量がモータカバー8のそれよりも少なくて済み、加工時間もモータカバー8よりもさらに短縮される。また、支持部材22相互の間隔をさらに狭くできるので、モータ搬送装置20を実施例1よりもさらに小型化することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…インターナルポンプ、2…ポンプケーシング、3…水中モータ、4…シャフト、5…インペラ、7…原子炉圧力容器、8,8A…モータカバー、12…接続部材、14,16,46…突起部、20…モータ搬送装置、21…フレーム、22…支持部材、27…モータコンテナ、34…溝、36…モータ取り扱い装置、37…昇降装置、38…ガイドスクリュー、40,40A…ナット部材、41…ブラケット、43…ベアリングボックス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉容器に設けられたモータケーシングに装着されているインターナルポンプのモータのモータカバーに、昇降装置に連結されたネジ棒に噛み合って突起部を有するナット部材を、この突起部を前記モータカバーの下面に接触させて、着脱自在に取り付け、
その後、前記ネジ棒を回転させることによって前記モータを前記モータケーシングから引き抜き、
前記モータの引き抜き後、前記モータカバーと前記ナット部材との結合状態を解除し、
前記ナット部材が取り外された前記モータをモータ搬送装置により搬送することを特徴とするインターナルポンプのモータ搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−123020(P2012−123020A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−68558(P2012−68558)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【分割の表示】特願2008−278964(P2008−278964)の分割
【原出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)