説明

インターフェース装置識別システム及び方法及びそのための差別化特徴

例えば医用人工呼吸器などの呼吸装置110のためのインターフェース装置識別システムは、人工呼吸器と連通する検出素子102、患者204の気道202へ人工呼吸器からのガスのフローを供給するための患者インターフェース装置112を含む患者インターフェースアセンブリ104、及び患者インターフェースアセンブリに組み込まれる差別化特徴106を含む。患者インターフェース装置は、例えば特定メーカー又はブランドなどの所定カテゴリから選択される。差別化特徴は、所定カテゴリの範囲に入る患者インターフェース装置を入らないものから区別するために検出素子によって検出可能である。患者インターフェース装置と併用される呼吸装置の動作は検出素子による差別化特徴の検出に依存する。関連する識別方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は2008年12月16日出願の米国仮出願第61/122,765号の35U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示概念は概してインターフェース装置に関し、より具体的には、患者へ呼吸ガスを供給するために呼吸装置とともに使用するための特定の患者インターフェース装置を識別するための識別システム及び方法に関する。開示概念はまた、インターフェース装置識別システムのための差別化特徴にも関する。
【背景技術】
【0003】
図1に示される通り、医学的障害を治療するために患者4の気道2へ呼吸ガスを供給するためのシステムは、典型的には呼吸装置10(例えば限定されないが医用人工呼吸器、非侵襲的人工呼吸器(NIV)、例えば限定はされないがCPAP装置など)、患者インターフェース装置12、及びその間にのびる空気供給管路を含む。
【0004】
図1の例において、患者インターフェース装置は呼吸マスク12であり、管路14の両端16,18はコネクタ20,22を含む。第1のコネクタ20は管路14の第1端16を呼吸装置10のレセプタクル24へ接続するように構成され、第2のコネクタ22は管路14の第2端18を個別スイベル26へ接続するように構成され、そしてスイベル26はマスク12のエルボ28に接続される。
【0005】
多様なマスク型、形状及びサイズが様々な異なる製造業者から利用可能であり、一般に前述の部品(例えば管路14、スイベル26)は容易に交換可能であり、幅広い異なるマスクのいずれもが(例えば12)、それとともに使用するために呼吸装置10へ結合されることができるようになっている。例えば、管路コネクタ20,22、装置レセプタクル24、スイベル26及びマスクエルボ28は典型的には標準的な寸法を持つ(例えば限定されないが、レセプタクル24とスイベル26は典型的には約22mmの外径(OD)を持つ)。しかしながら、マスク12又は他の適切な患者インターフェース装置(不図示)が呼吸装置10に適合することを確実にすることが必要である。つまり、適切に機能するために、例えば患者4が適切な治療を受けるために必要なフローコンペンセーションを提供するために、マスク12は呼吸装置10によって適切に識別され、特徴付けられなければならない(例えば同期される)。例えば特定のメーカー又はブランドの患者インターフェース装置(例えば限定されないがマスク)のみが、呼吸装置とともに、及びそのための差別化特徴において使用するために識別され許可されるように、この識別及び特徴付けプロセスを制御したいという要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って患者インターフェース装置識別システム及び方法、並びにそのための差別化特徴には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらのニーズなどは、開示概念の実施形態によって満たされ、これらは差別化特徴を含む患者インターフェース装置識別システム及び方法に向けられ、差別化特徴は、患者インターフェースアセンブリの少なくとも1つの部品に組み込まれ、かつ、呼吸装置とともに使用するための所定カテゴリの範囲に入る患者インターフェース装置を識別し区別するために検出可能である。
【0008】
開示概念の一態様として、インターフェース装置識別システムは呼吸装置に提供される。呼吸装置はガスのフローを生じるように構成される。インターフェース装置識別システムは、呼吸装置と連通するように構成される検出素子、患者の気道にガスのフローを供給するための患者インターフェース装置を有する患者インターフェースアセンブリ(該患者インターフェース装置は所定カテゴリから選択される)、及び、所定カテゴリの範囲に入る患者インターフェース装置を所定カテゴリの範囲に入らない患者インターフェース装置から区別するために患者インターフェースアセンブリに組み込まれる差別化特徴を有する。患者インターフェース装置と併用される呼吸装置の動作は、検出素子による差別化特徴の検出に依存する。
【0009】
開示概念の別の態様として、差別化特徴がインターフェース装置識別システムに提供される。インターフェース装置識別システムは、呼吸装置と連通するように構成される検出素子、及び患者の気道に呼吸装置からのガスのフローを供給するための患者インターフェース装置を有する患者インターフェースアセンブリを含む。患者インターフェース装置は所定カテゴリから選択される。差別化特徴は、患者インターフェースアセンブリの少なくとも1つの部品に組み込まれる所定材料特性を有し、該材料特性は少なくとも1つの部品が所定条件にさらされるときに示される。所定材料特性は所定カテゴリの範囲に入る患者インターフェース装置を所定カテゴリの範囲に入らない患者インターフェース装置から区別するために呼吸装置の検出素子によって検出可能であり、患者インターフェース装置と併用される呼吸装置の動作は所定材料特性の検出に依存する。
【0010】
開示概念の別の態様として、インターフェース装置識別方法は、(a)患者インターフェースアセンブリを設けるステップであって、該患者インターフェースアセンブリは、(1)患者の気道にガスのフローを供給するように構成される患者インターフェース装置(該患者インターフェース装置は所定カテゴリから選択される)、(2)呼吸装置と連通するように構成される検出素子、及び(3)患者インターフェースアセンブリに組み込まれる差別化特徴を有する、ステップ、(b)患者インターフェースアセンブリを呼吸装置に結合するステップ、及び(c)患者インターフェースアセンブリの差別化特徴が存在し、その結果所定カテゴリの範囲に入るかどうかを検出素子で検出するステップであって、(1)はいであれば患者インターフェース装置に呼吸装置との動作を承認し、(2)いいえであれば所定ユーザ入力がない限り呼吸装置の動作を禁止するステップを有する。
【0011】
開示概念の完全な理解は、添付の図面と併せて読まれる際に以下の好適な実施形態の記載から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】インターフェース装置システムの部分的に分解された部分側断面図である。
【図2】開示概念の一実施形態にかかる、インターフェース装置識別システム及びそのための差別化特徴の分解部分側断面図である。
【図3】開示概念の別の実施形態にかかる、インターフェース識別システム及びそのための差別化特徴の部分的に分解された部分側断面図である。
【図4】開示概念の別の実施形態にかかる、インターフェース識別システム及びそのための差別化システムの部分側断面図である。
【図5】開示概念の一実施形態にかかるインターフェース装置識別方法のためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示の目的のため、開示概念の実施形態は呼吸マスクに応用されるように記載されるが、これらは呼吸装置とともに使用するのに適したいかなる既知の又は適切な患者インターフェース装置を識別及び区別するためにも応用されることができることが明らかになるだろう。
【0014】
本明細書で利用される通り、"患者インターフェース装置"という語は、呼吸装置(例えば限定されないが、医用人工呼吸器、非侵襲的人工呼吸器(NIV)、例えば限定されないがCPAP装置など)と患者の気道との間に流体連通を確立するための任意の既知の又は適切な機構をあらわし、マスク、鼻カニューレ、鼻/口併用マスク、及び着脱式マウスピースなどの非侵襲的患者インターフェース、並びに気管チューブと気管内チューブなどの侵襲的患者インターフェース、並びに侵襲的若しくは非侵襲的であり得る加湿器、噴霧器、定量吸入器を明確に含むが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で利用される通り、"検出素子"という語は、所定カテゴリ(例えば限定されないが、メーカー若しくはブランド、任意の既知の若しくは適切な患者インターフェースアセンブリ又は患者インターフェース装置動作パラメータ、例えば限定されないが気流抵抗、呼気漏出速度又は任意の他の既知の若しくは適切なパラメータ)の患者インターフェース装置に関連する、差別化特徴(例えば限定されないが、色、蛍光、電気抵抗などの識別特徴)を検出するための任意の既知の若しくは適切な機構又は検知素子(例えば限定されないが、センサ、フォトアイ)をあらわす。
【0016】
本明細書で利用される通り、"蛍光を発する"、"蛍光性の"、"蛍光"という語は、所定条件にさらされるときの特定材料又は部品の光学特性をあらわす。例えば限定されないが、特定のポリカーボネート材料は特定波長を持つ光にされされるときに特定色の蛍光を発するように設計される。
【0017】
本明細書で利用される通り、2つ以上の部分が一緒に"結合される"という記述は、それらの部分が直接一緒に結合されるか又は1つ以上の中間部分を通して結合されることを意味するものとする。
【0018】
本明細書で利用される通り、"数"という語は1つ又は1つよりも多く(すなわち複数)を意味するものとする。
【0019】
図2は、例えば限定されないが医用人工呼吸器110(簡略化して示される)などの呼吸装置のためのインターフェース装置識別子システム100を示す。患者204の気道202(図2に隠線画で示される)への供給のためのガスのフロー(図2に矢印200で全体が示される)を発生させるための医用人工呼吸器(例えば110)の動作は一般に周知である。他の部品の中でも、人工呼吸器110はコントローラ150を含み、これは前述のガスのフロー200を発生させるためにフロー発生器152と連通する。説明の簡略化と開示の簡潔性のため、人工呼吸器110と部品(例えばセンサ102、コントローラ150、フロー発生器152)は簡略化して示される。
【0020】
インターフェース装置識別システム100は、人工呼吸器110のコントローラ150と連通するように構成される検出素子102(例えば限定されないがセンサ)、及び患者204の気道202へ人工呼吸器110からのガスのフロー200を供給するための患者インターフェース装置112を含む患者インターフェースアセンブリ104を含む。以下により詳細に記載されるように、患者インターフェース装置112は所定カテゴリから選択される。差別化特徴106は、かかる所定カテゴリの範囲に入る患者インターフェース装置112をその範囲に入らないものから区別するために、患者インターフェースアセンブリ104の少なくとも1つの部品に組み込まれる。また記載されるように、患者インターフェース装置112と併用される人工呼吸器110の動作は検出素子102による差別化特徴106の検出に依存する。
【0021】
従って開示概念は、患者インターフェース装置が所与の呼吸装置(例えば医用人工呼吸器110)と適切に動作可能であるように比較的迅速かつ容易に制御するためのシステム100及び方法160(図5を参照して以下に記載される)を提供することが理解される。つまり、例えば限定されないが、前述の所定カテゴリの患者インターフェース装置は特定メーカー又はブランドの患者インターフェース装置であり得(例えば特定企業によって製造及び/又は販売される患者インターフェース装置)、人工呼吸器110は特定ブランドの患者インターフェース装置(例えば112)のみと望ましいやり方で動作する。しかしながら、開示概念にかかる"所定カテゴリ"とは、代替的に又は付加的に、任意の既知の若しくは適切な患者インターフェースアセンブリ又は患者インターフェース装置動作パラメータ、例えば限定されないが、気流抵抗、呼気漏出速度又は任意の他の既知の若しくは適切なパラメータであり得ることが理解される。従って、開示概念にかかる差別化特徴(例えば106)は患者インターフェースアセンブリ(例えば104)の1つ以上の属性の識別及び区別を容易にすることが理解される。
【0022】
図2の実施例において、患者インターフェースアセンブリ104は第1及び第2の対向端116,118を持つ管路114をさらに含む。第1のコネクタ120は管路114の第1端116を人工呼吸器110の対応レセプタクル124に接続するように構成される。第2のコネクタ122は管路114の第2端118を呼吸マスク112に接続する。例示的な呼吸マスク112は一体スイベル130を持つエルボ128を含む。つまり、図示の通りエルボ128とその一体スイベル130は合わせて呼吸マスク112の成形延長部を形成する。従って、成形延長部128,130は、その間に個別アダプタ又はスイベル部材(例えば図1における管路14とエルボ28の間に配置される個別スイベル26参照)を必要とすることなく、管路114の対応コネクタ122に直接接続可能であることが理解される。従って、スイベル130は、後で一緒に結合される2つの個別部品があるのとは対照的に、エルボ128がスイベル130を含むという点でエルボ128と"一体"である。
【0023】
スイベル130は例えば対応する管路コネクタ122と管路114に対して、その間に個別スイベル(例えば図1の個別スイベル26参照)を必要とすることなく、呼吸マスク112の枢動運動を可能にする。他の利点の中でも、このエルボ/スイベルアセンブリ128,130は患者インターフェースアセンブリ104の部品の数を減らし、人工呼吸器110とマスク112の間の接続(例えば関節)の数を減らす。そしてこれはそうした接続で起こり得る漏出の可能性を有利に減らす。しかしながら、開示されるインターフェース装置識別システム100及び方法160(図5)はいかなる既知の若しくは適切な代替的種類及び/又は構成の患者インターフェース装置(不図示)とも利用されることができることが理解される。
【0024】
開示概念の限定されない一実施形態において、差別化特徴106は材料特性であり、これはかかる材料特性を有する患者インターフェースアセンブリ104の部品又は部品群が所定条件にさらされるときにあらわれる。図2において、例えば差別化特徴106は患者インターフェースアセンブリ104のマスク112に組み込まれ、材料特性はマスクが所定波長を持つ光にさらされるときに所定色の蛍光を発することである(例えば図2に参照記号108で全体が示される蛍光参照)。より具体的には、マスク112はこうした光(例えば限定されないが紫外(UV)光)にさらされるときに色を変化させる(例えば限定されないが蛍光を発する)のに適した材料(例えば限定されないがプラスチック)から作られる。例えば限定されない一実施形態において、マスク112は透明、半透明、又は概して色がない状態から、特定光によって活性化されると緑色の蛍光を発するように変化する。しかしながら、材料は開示概念の範囲から逸脱することなく、いかなる既知の又は適切な代替的色変化又は色変化の組み合わせ(例えば限定されないが色合い)を持つように考案され得ることが理解される。また、材料は予め選択された波長のみにおいて活性化する(例えば限定されないが蛍光を発する)ように、又は複数の異なる予め選択された波長の各々にさらされるときに異なる反応をするように作られ得ることも理解される。
【0025】
人工呼吸器110の検出素子(例えばセンサ102)は、特定の蛍光を検出し、それが前述の所定カテゴリの患者インターフェース装置112に対応するか否かを評価するためにコントローラ150と連通するのに適している。そうであれば、マスク112は人工呼吸器110との動作に適している。この識別方法はさらに図5を参照して以下により詳細に記載される。
【0026】
図3の限定されない実施形態例に示される通り、センサ102'は人工呼吸器110'のレセプタクル124'に隣接して配置され、前述の蛍光108'(例えば図2の蛍光108も参照)を検出するためのフォトアイ132を含む。図3において、人工呼吸器110'は、かかる蛍光108'(例えば図2の蛍光108も参照)を誘発又は活性化するために、所定波長又は他の必要属性を持つ光を発するライト134(例えば限定されないがUV光源、発光ダイオード(LED)、ブラックライト)も含む。しかしながら、ライト134又は他の既知の若しくは適切な露光装置(不図示)が或いは他の場所に(例えば限定されないがインターフェース装置識別システム100'の別の部品上、システム100'から離れて)配置されることができることが理解される。
【0027】
引き続き図3を参照すると、差別化特徴106'は代替的に又は付加的に患者インターフェースアセンブリ104'の別の部品に組み込まれ得ることが理解される。例えば限定されないが、図3において差別化特徴106'は第1のコネクタ120'に組み込まれる。具体的には、第1のコネクタ120'が人工呼吸器レセプタクル124'に取り付けられてライト134にさらされると、第1のコネクタ120'は前述の所定色の蛍光を発し(図3に参照記号108'で全体が示される)、これはフォトアイ132によって検出される。図3の実施例において、第1のコネクタ120'は図示の通り管路114'の第1端116'に直接成形されるが、個別コネクタ(例えば図4のコネクタ120"参照)もまた開示概念の範囲内である。従って、差別化特徴106が呼吸マスク112において使用される図2の実施形態とは異なり、図3の実施例においては、差別化特徴106'は代わりに管路114'の部分に、特にその第1のコネクタ120'の材料特性として組み込まれる。しかしながら、蛍光108'(図2の蛍光108も参照)及び/又は任意の他の既知の若しくは適切な差別化特徴106"(例えば限定されないが図4を参照して以下に記載される導電性塗料108")が、患者インターフェースアセンブリ104'の部品(例えば限定されないがマスク112'、管路114'、コネクタ120')のうちの1つ以上に利用されることができることが理解される。
【0028】
また図3において、以下でより詳細に論じられる通り、管路114'の外径(OD)140'は図2の実施例における管路114のOD140よりも小さいことが理解される。例えば限定されないが、OD140'は約15mmであり、一方図2の実施例におけるOD140は約20mmである。記載される通り、管路114'及び/又はそのための一体コネクタ120'のこの固有サイズは、患者インターフェースアセンブリ104'をさらに区別するのに役立つことができる。
【0029】
例示的な蛍光材料特性108(図2)、108'(図3)がより詳細に記載される。具体的には、例えば限定されないが特殊ポリカーボネートなどの特定材料は、特定の光(例えばUV又は所定波長のブラックライト)にさらされると色を変化させる(例えば蛍光を発する)。つまり、通常の状況下で、そうした露光がない場合、部品は正常な外見である(例えば透明、半透明、概して蛍光がない)。しかしながら特定の光条件にさらされると、部品は特定色の蛍光を発する。適切なポリカーボネート材料及びその色効果は、例えば米国特許第6,716,368及びWO2003/102,111に開示され、これらは本明細書に参照により組み込まれる。
【0030】
開示概念によれば、この蛍光は前述の検出素子(例えば限定されないが図2のセンサ102、図3のフォトアイ132及び図4のフォトアイ132"も参照)によって検出可能であり、従って、人工呼吸器110(図2)、110'(図3)、110"(図4)との動作のために許可又は拒絶する目的で、所定カテゴリ(例えば限定されないが特定ブランド若しくはメーカー、又は気流抵抗、呼気漏出速度又は任意の他の既知の若しくは適切なパラメータ)の患者インターフェース装置112(図2及び4)、112'(図3)と関連する。従って、部品(例えば限定されないが、マスク112、管路114、コネクタ120,122)のうちの1つ以上は、本明細書に定義される通り、これらの特定ブランド若しくはメーカーのマスク112(図2及び4)、112'(図3)又は他の適切な患者インターフェース装置(不図示)に固有の、特定の蛍光108(図2)、108'(図3)又は色変化を示すように作られることができることが理解される。従って、人工呼吸器110(図2)、110'(図3)、110"(図4)は、要望通り、いかなる他のブランド若しくはメーカーの患者インターフェース装置(不図示)とも、又はいかなる他の既知の若しくは適切なパラメータを持つか持たないかを問わず、所定カテゴリの範囲に入る患者インターフェース装置とも動作不可能にされることができる。
【0031】
図4は開示概念にかかる別の限定されない代替的実施形態を示し、マスク112はコネクタ120"に直接接続可能であり、そしてこれは人工呼吸器110"のレセプタクル124"に直接接続可能である。図4の識別システム100"はまた、前述の蛍光108(図2)、108'(図3)の代わりに又は加えて利用されることができる代替的差別化特徴106"も例示する。具体的には、シングルコネクタ120"は好適には導電性塗料(図4に参照記号108"で全体が示される)を含み、これは検出素子102"(例えば限定されないが導電体132")によって検出可能である所定の電気抵抗を持つ。患者インターフェースアセンブリ104"の他の部品もまた、要望通り、検出素子102"による適切な検出及び導電体132"との電気的連通のために導電性塗料を含み得る。図4の実施例において、エルボ/スイベルアセンブリ128,130は導電性塗料(図4に参照記号109で全体的に示される)を含み、これは塗料108"とほぼ同じ電気抵抗を持ち、従ってそれとともに電気的に接続可能である。或いは、エルボ/スイベルアセンブリ128,130及び特にその導電性塗料109は、接続された検出素子102"の導電体132"による検出のために人工呼吸器レセプタクル124"に直接接続されることができる(こうした直接接続は示されていない)。
【0032】
図2を参照してマスク112に関して記載された蛍光108差別化特徴106は、前述の導電性塗料108"なしに図4の実施形態において使用されることができることが理解される。つまり、マスク112はフォトアイ132"によって検出されるために図4のコネクタ120"を通して蛍光を発するように構成されることができる。
【0033】
前述のことに加えて、患者インターフェースアセンブリ104(図2)、104'(図3)、104"(図4)の様々な部品は、所定カテゴリ(例えば限定されないが特定メーカー若しくはブランド、任意の既知の若しくは適切な患者インターフェースアセンブリ若しくは患者インターフェース装置動作パラメータ、例えば限定されないが気流抵抗、呼気漏出速度、又は任意の他の若しくは適切なパラメータなど)の患者インターフェース装置112(図2及び4)、112'(図3)を他からさらに区別して識別するために、様々な特定のサイズ及び構造を持ち得る。例えば、図2において人工呼吸器レセプタクル124は外径(OD)134と内径(ID)136を持ち、これは限定されない一実施形態によればそれぞれ約22mmと約19mmであり、マスクエルボの端部128は、これもまた約19mmである外径(OD)138へ先細になる。従って、マスク112は、一般的に当該技術分野における標準管路寸法である、約22mmの外径(OD)140を持つ管路114とともに利用されることができることが理解される。より具体的には、固有マスクエルボ128のOD138は、管路114の第2のコネクタ122にそれとの直接接続のために挿入されるか、或いは人工呼吸器レセプタクル124のID136に直接挿入されることを可能にする。同様に、人工呼吸器レセプタクル124のOD134は、管路114の第1のコネクタ120にそれとの直接接続のために挿入されるようなサイズと構造である。しかしながら、患者インターフェースアセンブリ104の部品のうちの1つ以上は、開示概念の範囲から逸脱することなく適切な別の寸法及び/又は構造を持つように作られることができることが理解される。
【0034】
例えば限定されないが、図3の限定されない実施形態例において、人工呼吸器レセプタクル124'は前述の図2の実施形態例と同じOD134'を持ち、マスクエルボ128'の端部は同じOD138'を持つが、管路114'は異なる構造である。具体的には、管路114'のOD140'は図2の管路114のOD140よりも小さい。例えば限定されないが、限定されない一実施形態において、OD140'は約15mmである。この固有管路寸法(例えば限定されないがOD140')は、人工呼吸器レセプタクル124'への管路114'の第1端116'の接続を容易にするために固有コネクタ120'を必要とする。人工呼吸器レセプタクル124'とコネクタ120'の一部は、この構造的関係を図示するために図3に断面図で示される。図3の実施例において、コネクタ120'は管路114'の成形延長部であるが、これは或いは個別コネクタ(例えば図4の個別コネクタ120"参照)であることができることが理解される。管路114'の第2端118'に取り付けられる第2のコネクタ122'は図2の実施例における第2のコネクタ122とほぼ同様のサイズである。従って管路114'とそのコネクタ120'及びマスクエルボ128'の減少したOD138'はサイズと構成が独特であり、従って所定カテゴリ(例えば限定されないが特定ブランド又はメーカー)のマスク112'との使用にのみ適していることが理解される。
【0035】
図5は、開示概念の一実施形態にかかる特定の呼吸装置110(図2)、110'(図3)、110"(図4)とともに使用するための患者インターフェース装置112(図2及び4)、112'(図3)を識別する方法160を示す。開示の簡略化のため、方法160は図2の限定されない実施形態を参照して記載されるが、以下のステップは開示概念にかかる他の実施形態にとってほぼ同様であろうことが理解される。具体的には、最初のステップ162において患者インターフェース装置112が呼吸装置110に結合される。ステップ164において呼吸装置110の検出素子(例えば限定されないが図2のセンサ102)が患者インターフェースアセンブリ104の差別化特徴106が存在するかどうかを検出し、その場合インターフェース装置112は所定カテゴリ(例えば特定ブランド又はメーカーの患者インターフェース装置112)の範囲に入る。具体的には、差別化特徴106が検出される場合、ステップ166において患者インターフェース装置112は呼吸装置110との動作を承認され、インターフェース装置補正ルーチンを実行するか否かの判断がなされる。こうした補正ルーチンは、例えば同一出願人による米国特許第6,360,741号に開示され、これは本明細書に参照により組み込まれる。もしそうなら、ステップ168において呼吸装置動作特性が患者インターフェース装置112と同期される。最後に、ステップ170において呼吸装置110は患者204(図2及び3)に所望の治療を提供するように操作される。
【0036】
ステップ164に戻り、患者インターフェースアセンブリ104の差別化特徴106が検出素子102によって検出されない場合、患者インターフェース装置112は所定カテゴリの範囲に入らないので、ステップ172に示される通り、これは認識されない。図5の実施例において、方法160は、患者インターフェース装置112が所定カテゴリの範囲に入らないという事実にもかかわらず動作することを許可するために(すなわちステップ170において)、呼吸装置110のマニュアルオーバーライドを実行するか否かを判断する随意ステップ174を含む。例えば限定されないが、こうしたマニュアルオーバーライド手順は、特定のパスワード若しくはコードの入力、及び/又は、1つ以上の呼吸装置動作パラメータの手動入力(例えば限定されないが、換気形式及び期間、患者インターフェース装置のリスト又はメニューからの選択)を伴い得る。こうしたマニュアルオーバーライド手順が実行されない場合、或いはこうしたオプションが利用可能でない場合、方法160はステップ176で終了し、呼吸装置110は未確認の患者インターフェース装置(不図示)とともに動作することができない。
【0037】
図5の方法例160はまた、ステップ166において患者インターフェース動作パラメータ(例えば限定されないがインターフェース装置の種類、治療の種類及び/又は期間)を手動選択及び/又は入力するオプションも含み、これは前述のような自動患者インターフェース装置補正ルーチンを実行するのとは対照的に、呼吸装置110を操作する(すなわちステップ170)前にステップ178において起こる。
【0038】
従って、開示のインターフェース装置識別システム100(図2)、100'(図3)、100"(図4)及び方法160(図5)は、特定の呼吸装置(例えば限定されないが、図2の医用人工呼吸器110参照、それぞれ図3及び4の医用人工呼吸器110'及び110"も参照)とともに所望のやり方で使用されることができる、所定カテゴリ(例えば限定されないが特定ブランド又はメーカー)の患者インターフェース装置(例えば限定されないが、図2及び4の呼吸マスク112参照、図3の呼吸マスク112'も参照)の比較的迅速で容易な制御を提供する。
【0039】
開示概念の具体的実施形態が詳細に記載されているが、こうした詳細への様々な変更及び代替案が開示の全教示を踏まえて展開され得ることが当業者に理解される。従って、開示された特定の配置は例示に過ぎず、開示概念の範囲に関して限定しないことを意図し、これは添付の請求項及びそのありとあらゆる均等物の全容を与えられるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸装置のためのインターフェース装置識別システムであって、前記呼吸装置はガスのフローを生成し、前記インターフェース装置識別システムは、
前記呼吸装置と連通する検出素子と、
患者の気道に前記ガスのフローを供給するための患者インターフェース装置を有する患者インターフェースアセンブリであって、前記患者インターフェース装置は所定カテゴリから選択される、患者インターフェースアセンブリと、
前記所定カテゴリの範囲に入る患者インターフェース装置を、前記所定カテゴリの範囲に入らない患者インターフェース装置から区別するために、前記患者インターフェースアセンブリに組み込まれる差別化特徴とを有し、
前記患者インターフェース装置と併用される前記呼吸装置の動作は前記検出素子による前記差別化特徴の検出に依存する、インターフェース装置識別システム。
【請求項2】
前記所定カテゴリの患者インターフェース装置が特定ブランドの患者インターフェース装置である、請求項1に記載のインターフェース装置識別システム。
【請求項3】
前記呼吸装置がレセプタクルを含み、前記検出素子が前記レセプタクルに隣接して配置されるセンサであり、前記患者インターフェース装置が呼吸マスクであり、前記患者インターフェースアセンブリが前記呼吸マスクを前記レセプタクルに結合する少なくとも1つのコネクタをさらに有し、前記少なくとも1つのコネクタと前記呼吸マスクが前記レセプタクルに結合されるとき、前記差別化特徴が前記センサによって検出可能である、請求項1に記載のインターフェース装置識別システム。
【請求項4】
前記患者インターフェースアセンブリが管路をさらに有し、前記管路が第1端と、前記第1端から遠位に反対に配置される第2端と、所定直径とを含み、前記少なくとも1つのコネクタが、前記管路の前記第1端を前記呼吸装置の前記レセプタクルに接続する第1のコネクタ、及び前記管路の前記第2端を前記呼吸マスクに接続する第2のコネクタである、請求項3に記載のインターフェース装置識別システム。
【請求項5】
前記第1のコネクタが前記管路の前記第1端に直接成形される、請求項4に記載のインターフェース装置識別システム。
【請求項6】
前記呼吸マスクが一体スイベルを持つエルボを含み、前記エルボ及び前記一体スイベルが前記呼吸マスクの成形延長部を有し、前記成形延長部が、その間に個別スイベルを要することなく前記少なくとも1つのコネクタに対して前記呼吸マスクの枢動運動を可能にするために前記少なくとも1つのコネクタの対応する1つに直接接続可能である、請求項3に記載のインターフェース装置識別システム。
【請求項7】
前記差別化特徴が材料特性であり、前記患者インターフェースアセンブリの少なくとも1つの部品が前記材料特性を有し、前記少なくとも1つの部品が所定条件にさらされるときに前記材料特性が示される、請求項1に記載のインターフェース装置識別システム。
【請求項8】
前記所定条件が所定波長を持つ光への露光であり、前記材料特性が、前記光への露光によって誘発される所定色の蛍光であり、前記呼吸装置の前記検出素子が前記蛍光を検出するフォトアイを有する、請求項7に記載のインターフェース装置識別システム。
【請求項9】
前記材料特性が導電性塗料であり、前記導電性塗料が所定抵抗を持ち、前記呼吸装置の前記検出素子が前記所定抵抗を検出する、請求項7に記載のインターフェース装置識別システム。
【請求項10】
呼吸装置と連通する検出素子と、前記呼吸装置からのガスのフローを患者の気道へ供給するための患者インターフェース装置を有する患者インターフェースアセンブリとを含むインターフェース装置識別システムのための差別化特徴であって、前記患者インターフェース装置は所定カテゴリから選択され、前記差別化特徴は、
前記患者インターフェースアセンブリの少なくとも1つの部品に組み込まれる所定材料特性を有し、前記材料特性は前記少なくとも1つの部品が所定条件にさらされるときに示され、
前記所定材料特性は、前記所定カテゴリの範囲に入る患者インターフェース装置を、前記所定カテゴリの範囲に入らない患者インターフェース装置から区別するために、前記呼吸装置の前記検出素子によって検出可能であり、
前記患者インターフェース装置と併用される前記呼吸装置の動作が前記所定材料特性の検出に依存する、差別化特徴。
【請求項11】
前記所定カテゴリの患者インターフェース装置が特定ブランドの患者インターフェース装置であり、前記所定材料特性が前記特定ブランドの患者インターフェース装置に組み込まれる、請求項10に記載の差別化特徴。
【請求項12】
前記患者インターフェース装置が呼吸マスクであり、前記患者インターフェースアセンブリが管路をさらに有し、前記呼吸マスクが一体スイベルを持つエルボを含み、前記エルボ及び前記一体スイベルが前記呼吸マスクの成形延長部を有し、前記成形延長部が、その間に個別スイベルを要することなく前記管路に対して前記呼吸マスクの枢動運動を可能にするために前記管路に直接接続可能である、請求項10に記載の差別化特徴。
【請求項13】
インターフェース装置識別方法であって、
(a)患者インターフェースアセンブリを提供するステップであって、前記患者インターフェースアセンブリは、
(1)患者の気道にガスのフローを供給する患者インターフェース装置であって、前記患者インターフェース装置は所定カテゴリから選択される、患者インターフェース装置と、
(2)呼吸装置と連通する検出素子と、
(3)前記患者インターフェースアセンブリに組み込まれる差別化特徴とを有する、ステップと、
(b)前記患者インターフェースアセンブリを前記呼吸装置に結合するステップと、
(c)前記患者インターフェースアセンブリの前記差別化特徴が存在し、その結果前記所定カテゴリの範囲に入るかどうかを、前記検出素子を用いて検出するステップであって、
(1)はいであれば、前記患者インターフェース装置に前記呼吸装置との動作を承認し、
(2)いいえであれば、所定ユーザ入力がない限り前記呼吸装置の動作を禁止するステップとを有する、インターフェース装置識別方法。
【請求項14】
(a)前記検出素子が前記呼吸装置のレセプタクルに隣接して配置されるセンサを有し、
(b)前記患者インターフェース装置が呼吸マスクを有し、
(c)少なくとも1つのコネクタで前記呼吸マスクを前記呼吸装置の前記レセプタクルに結合するステップと、
(d)前記呼吸マスク及び前記少なくとも1つのコネクタが前記レセプタクルに結合されるのに応じて、前記差別化特徴の有無を前記センサで検出するステップをさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)前記少なくとも1つのコネクタがシングルコネクタを有し、
(b)前記シングルコネクタの一端を前記呼吸装置の前記レセプタクルに直接接続するステップと、
(c)前記シングルコネクタのもう一方の端に前記呼吸マスクを直接接続するステップとをさらに有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(a)前記患者インターフェースアセンブリに管路を設けるステップと、
(b)前記少なくとも1つのコネクタとして第1のコネクタと第2のコネクタを設けるステップと、
(c)前記管路の第1端を前記呼吸装置の前記レセプタクルに前記第1のコネクタで接続するステップと、
(d)前記管路の第2端を前記呼吸マスクに前記第2のコネクタで接続するステップとをさらに有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
(a)前記差別化特徴として、前記患者インターフェースアセンブリの少なくとも1つの部品の所定材料特性を設けるステップと、
(b)前記材料特性の有無を検出するために前記少なくとも1つの部品を所定条件にさらすステップとをさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
(a)前記少なくとも1つの部品を所定波長を持つ光にさらすステップと、
(b)前記露光に応じて、所定色の蛍光の有無をフォトアイで検出するステップとをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記差別化特徴が検出されるのに応じて、患者インターフェース装置補正ルーチンを実行するステップと、
(b)前記補正ルーチンに応じて、前記呼吸装置の複数の動作特性を前記患者インターフェース装置と同期させるステップ
(c)前記患者インターフェース装置とともに前記呼吸装置を操作するステップとをさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
(a)前記差別化特徴が検出されないのに応じて、前記所定ユーザ入力として前記呼吸装置のマニュアルオーバーライドを実行するステップと、
(b)前記呼吸装置の複数の動作特性を手動選択するステップと、
(c)前記手動選択された動作特性に基づいて前記呼吸装置を操作するステップとをさらに有する、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−511949(P2012−511949A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540273(P2011−540273)
【出願日】平成21年11月21日(2009.11.21)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055253
【国際公開番号】WO2010/070494
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)