説明

インテリジェントフロアマット

自動車用途に適したフロアマットが、自動車内(例えばラジオ)または自動車外(例えば電動ガレージドアオープナー、セキュリティシステム、ゲート、電動ドアロック、照明装置、装置類など)の両方の遠隔制御装置を操作するための回路を有する。別の実施形態では、フロアマットが、主要道路、橋、トンネルの料金所で一般に用いられるような呼び掛け装置に応答する応答機を備えている。また、別の実施形態では、GPS受信機が、自動車の位置を遠隔トラッキングステーションに送信する送信機と同様にフロアマットに組み込まれている。また、別の実施形態では、振動装置がフロアマットに組み込まれている。また、別の実施形態では、フロアマットがバックアップ警告システムを制御する。また、別の実施形態では、フロアマットがEメールを受信し、ユーザーに読み上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2003年8月1日に出願された「遠隔制御装置の操作フロアマット」と題された米国仮出願第60/491562号の優先権を主張する。その仮出願の全体がここで言及することにより盛り込まれている。
【0002】
本発明は、概して、フロアマット、特に、自動車用途に適したフロアマットに関する。
【背景技術】
【0003】
今日、自動車内にあるほとんどすべてのフロアマットは、ユーザーの足による汚れやダメージから自動車の床を保護するだけである。(ここで用いるユーザーには、自動車内の乗客と同様に、自動車のオペレーターまたはドライバーの両方を含む。自動車には、乗用車に限定されることなく、トラック、列車、飛行機、ボートを含むすべてのタイプの乗り物を含む。)フロアマットのこのような限定された用途は、情報処理センターやその他の装置のコントローラーとして機能を果たすようなそれらの可能性を無視することになる。様々な状況において、このようにフロアマットを用いることは、ユーザーにとって安全性と利便性の両方を改善することが可能となる。この可能性を十分に実現することができる方法と装置が必要とされている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6556813号明細書
【特許文献2】米国特許第6594614号明細書
【特許文献3】米国特許第5314037号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、他の装置と通信し、および/または、他の装置を制御し、情報処理センターとして機能を果たす能力を有する高性能のフロアマットを提供することによって、前述の課題の多くの部分を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態において、自動車用途に適したフロアマットは、ユーザーの足を用いて、または、限定するものではないが図示した手段のようなユーザーの音声を含むような他の手段によって、遠隔制御装置を起動および/または停止させる能力をユーザーに提供する。これによってユーザーの手は他の作業のために自由になる。ユーザーがドライバーの場合、この特徴のため、遠隔操作装置を起動するときにドライバーが両手をステアリング上に置いたままにできるので安全性が向上する。遠隔制御装置は自動車内(例えばラジオ)または自動車外(例えば電動ガレージドアオープナー、セキュリティシステム、ゲート、電動ドアロック、照明装置、装置類など)でもよい。
【0007】
本発明の別の実施形態において、フロアマットは、主要道路、橋、トンネルの料金所で一般に用いられるような呼び掛け装置に応答する応答機を備えている。応答機をフロントガラスに配置するよりもむしろフロアマットに組み込むことで、ユーザーの視界を遮ることを避け、それによって安全性を向上させる。
【0008】
本発明の別の実施形態において、GPS(グローバルポジショニングシステム)受信機または他のポジショニングシステムが、自動車の位置を遠隔トラッキングステーションに送信する送信機と同様にフロアマットに組み込まれる。これは自動車の位置のトラッキングを可能にする。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態において、振動装置がフロアマットに組み込まれている。振動装置は、同様にフロアマットに組み込まれている処理装置の制御下でフロアマットを振動させる。ユーザーが意識明瞭のままでいることを支援するために、処理装置はランダムなパターンまたは周期的なパターンで振動装置を起動および停止させて、それによって安全性を向上させる。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態において、フロアマットはバックアップ警告システムを制御する。これによってユーザーはバックアップ警告システムを選択的に起動させ、停止させることが可能となる。
【0011】
本発明の別の実施形態において、フロアマットは、BLACKBERRY(登録商標)のようなワイヤレスEメール装置からEメールを受信し、Eメールの内容のテキストから音声への認識処理を実行し、Eメールがユーザーに読み上げられるように音声信号をスピーカーへ出力する。これによってユーザーは道路から目を離すことなくEメールのメッセージを点検することが可能となる。
【0012】
本発明の特徴は「着脱可能(plugable)」であること、すなわち、フロアマットと(以下に、より詳細に説明されるような)それに関連する他の装置とを自動車へ追加することを通じて、アフターマーケットの既存の自動車に新しい機能性とテクノロジーを加えることができることである。
【0013】
以下の詳細な記載と添付図面を参照すれば、本発明の前述の利点と特徴とをより簡単に理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を完全に理解することができるように、以下の詳細な説明において、通信システムのタイプやフロアマットによって制御される装置のタイプのような複数の特定の詳細について説明する。好適な実施形態に関して説明する詳細は本発明を限定するものではない。さらに、理解し易いように、或る方法のステップを別々のステップとして示すが、これらステップは、それらの機能上、必ずしも、異なるものでなくてもよいし、順序が異なっていてもよい。
【0015】
本発明の実施形態によるフロアマットの用途に適切な遠隔制御装置20を起動させたり停止させたりするように動作する回路10のブロック図が図1に示されている。回路10はバッテリ2によって電力が供給される制御ユニット1を有する。また、抵抗3とスイッチ4とがバッテリ2の陽極と制御ユニット1との間に直列に接続されている。好ましくは、スイッチ4は感圧式で、通常、ユーザーの足によって起動するのに適した常時開スイッチである。送信機5も制御ユニットに接続されている。アンテナ6は送信機5に接続されている。送信機5とアンテナ6とは、好ましくは、遠隔制御装置20にメッセージを無線で送信するのに適している。送信機5は、ラジオ周波数、マイクロ波、あるいは従来公知の任意の他の周波数を送信する。通常動作時に、制御ユニット1は、スイッチ4が閉じるのを検知し、送信機5に送られてアンテナ6を介して遠隔制御装置20に送信される信号を発することによって応答する。
【0016】
前述のように、自動車の中と外の両方の装置を含む、本発明によるフロアマットによって制御される多種多様の遠隔制御装置20がある。自動車外の装置は、特に遠隔に制御できるように構成された電動ガレージドアオープナー、遠隔制御ゲート、および電子ドアロックのような装置を含む。しかし、フロアマットは遠隔に制御可能なように通常は構成されていない装置を制御するために用いてもよい。このような装置は、装置の電源コードとその電源(例えば、壁のコンセント)との間に遠隔制御可能なパワーモジュールを配置することによって、本発明のフロアマットを用いて制御される。このような遠隔制御可能なパワーモジュールの例は、PLUG ‘N POWER(登録商標)の名称でRadioShack(登録商標)から入手できるものとX10から入手できるもの等である。このようなパワーモジュールは、当業者にとって公知であり、ここでさらには詳述しない。従って、ありふれた電気製品(コーヒーメーカー、食器洗い機など)、照明、および他の家庭にある電動の装置は、本発明のフロアマットですべて制御可能である。
【0017】
自動車内の装置も、図1の回路10を組み込んだフロアマットで制御可能である。例えば、多くの新しい車は、現在、Bluetooth(登録商標)対応ラジオが利用可能である。これらラジオは、Bluetooth(登録商標)対応携帯電話のハンズフリーの操作を可能にする。携帯電話が着信すると、ユーザーが電話の呼び出しを聞くことができるように音量低減信号をラジオに自動的に送る。さらに、携帯電話は、発信者の音声が車のオーディオシステムを通して聞こえるように、発信者の音声を車のオーディオシステムに送信することができる。この装置は、ユーザーの携帯電話がBluetooth(登録商標)対応の場合にうまく動作する。しかし、多くの携帯電話がBluetooth(登録商標)対応ではない。このような携帯電話を持つユーザーは、このような、より古くてBluetooth(登録商標)非対応の携帯電話を使用する電話を聞くために、ラジオの音量を下げなければならない。しかし、本発明のいくつかの実施形態において、フロアマットの送信機5は、Bluetooth(登録商標)送信機であり、制御ユニット1は、ユーザーが足でスイッチ4を入れると、ラジオの音を消す信号を発し、それによってユーザーの手が自由になる。前述したのは、本発明のフロアマットを用いて制御される自動車内に置かれる遠隔制御装置の一例でしかない。
【0018】
従来技術で公知のように、遠隔制御装置はしばしばコードを含む信号によって起動する。回路10の制御ユニット1は、このような装置を用いて使用される本発明の実施形態において、所要のコードを含む信号を発することに関与している。ここで述べられるこれらの実施形態のいくつかは、必要なコードと他の送信パラメータ(例えばキャリア信号周波数)が前もって知られている特定の遠隔制御装置20を対象にしている。それゆえ、制御ユニット1は従来公知の方法で、必須の信号とコードを発するように前もって構成することができる。
【0019】
しかし、多種多様な遠隔制御装置を制御することが可能なフロアマットを提供することが望ましい。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、多種多様な遠隔制御装置に関連する遠隔制御送信機から受け取るコードを含む信号を複製することができる制御ユニット1を備える。ここで言及することによって盛り込まれる内容を含んでいる特許文献1には、本発明の用途に適した一つの公知の「ユニバーサル送信機」が記載されている。
【0020】
バッテリ2がなくなることを避け且つ遠隔制御装置20の意図しない起動/停止を避けるために、好ましくは、スイッチ4はユーザーが何気なくスイッチを踏まないような位置に配置される。ドライバーの位置に置かれるフロアマット50のスイッチ4の例示的な位置が、図2のXによって示されている。当然のことながら、フロアマット50は、ゴム、ビニール、プラスチック、布、カーペット、および他の素材のような任意の素材から成る。さらに当然のことながら、フロアマット50の形状は、図2に示される形状に限定されず、フロアマット50は自動車に適した任意の形状とすることができる。
【0021】
本発明の好適な実施形態において、回路10はフロアマット50内に収容されている。あるいは、回路10はフロアマット50の上面または下面に取り付けられてもよい。これらの実施形態において、回路10は、あるフロアマット50から別のフロアマットへ移動可能でもよく、あるいは、単一のフロアマット50に恒久的に取り付けられてもよい。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、フロアマット内に積み重ねられるか、あるいは、マットの下面に取り付けるための片面または一連のマットに貼り付ける接着剤を有するプラスチックフィルムの柔軟なパッチに、回路10の構成部品が取り付けられる。ここで用いられるような、「隣接した」はフロアマット内に回路を組み込む前述のすべての方法を含む。
【0023】
回路10とここで述べるすべての回路は、別個の構成要素をシングルチップの集積回路、セグメントチップ、あるいは複数のチップ等として構成することによって実現される。アンテナ6は、フロアマット内に組み込まれてもよく、あるいは、(例えば、ダッシュボードまたは車の外側表面に取り付けられた)遠隔位置に置かれてもよく、ケーブルによって送信機5に接続されてもよい。
【0024】
前述の実施形態において、制御ユニット1はユーザーの足によってスイッチ4が入れられたときに信号を遠隔制御装置20に送る。図3に示された別の実施形態では、回路10のスイッチ4が、回路310内のA/Dコンバータ308とマイクロホン309によって置き換えられている。回路310は遠隔制御装置320がユーザーの音声によって制御されることを可能にする。マイクロホン309はユーザーの音声を検知し、それをアナログ信号に変換する。アナログ信号は、A/Dコンバータ308によってデジタル信号に変換される。それから、デジタル信号がデジタル信号に音声認識処理を実行する制御ユニット301に入力される。このような音声認識処理は従来公知であり、ここでさらに詳述はしない。制御ユニット301内の音声認識処理がユーザーからのコマンドを検出すると、対応する信号が送信機305に送られる。送信機305はアンテナ306を介して遠隔制御装置にコマンドを送信する。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態では、制御ユニットはスイッチ起動ではなくむしろ無線信号の受信によって起動される。無線信号は、フロアマットによって制御される遠隔制御装置によって発せられられてもよいし、遠隔制御装置の他の周辺機器によって発せられてもよい。制御ユニットは遠隔制御装置を起動する第二の信号を発することによって無線信号に応答する。このようにして、自動車が車庫への私道へ入ると、ドライバーが何らの動作をすることを必要とすることなく、電動ガレージドアオープナーのような遠隔制御装置を自動的に起動することが可能となる。このような実施形態は、自動動作を望まない場合に、制御ユニットが遠隔制御装置に信号を発しないようにすることをドライバーができるように無効スイッチを備えてもよい。
【0026】
前述の通り、本発明の特徴は、既存の自動車を新しい機能を備えるように最新のものにすることができることである。前述のいくつかの実施形態は、自動車をほとんどあるいはまったく改造をすることなく自動車に組み込むことができる。したがって、このような実施形態は着脱可能(plugable)である。
【0027】
前述の実施形態は、主に、遠隔制御装置の制御に向けられたものである。しかし、本発明はこの機能に限定されることはない。トラッキング回路400を有するフロアマットが図4に示されている。トラッキング回路によって、トラッキングステーション420がフロアマットの位置、従って、フロアマットが設置されている自動車の位置をトラッキングすることが可能となる。このようなシステムは、いくつかの目的で有用である。保険会社が、家からある距離で働いていると主張する顧客が実際にはその距離内で働いており、より高い保険料が支払われるようなその顧客の家からさらに遠い距離の市街地ではないということを確認するために用いてもよい。また、このようなシステムは、自動車が盗まれた場合に捜査当局が、フロアマットが設置されている自動車をトラッキングするために用いてもよい。
【0028】
回路400は以下のように動作する。GPS受信機480(または他のポジショニングシステム)は、アンテナ481を介して複数の人工衛星から信号を受信する。GPS受信機は、標準的なGPS受信機、ディファレンシャルGPS受信機、あるいは任意の他のタイプのGPS受信機である。GPS受信機480は、これら人工衛星の信号からその位置を算出し、この位置を制御ユニット401に送信する。好ましくは、制御ユニット401はGPS受信機480からの位置の大まかなエラーチェック(例えば、制御ユニット401は前に報告された位置からあまりに違いすぎる位置を消去するなど)を行い、送信機405とアンテナ406とを介してトラッキングステーション420に現在位置を定期的に送信する。他の実施形態において、フィルター処理した位置信号を形成するために、制御ユニットはGPS受信機480から受信した位置にフィルター処理を行う。注目すべきは、トラッキングステーション420は、フロアマットが設置された自動車から離れた位置にあってもよく、あるいは、自動車内(例えば、乗用車内のトランク内)に設置されてもよいということである。トラッキングステーション420が自動車内に設置された場合、送信機405は、例えば、Bluetooth(登録商標)送信機であり、トラッキングステーション420はトラッキング回路400によって報告された位置を、例えば、要望通りの調査のために取り外せるテープまたはフロッピー(登録商標)ディスクのような取り外し可能な記録媒体に記録する。
【0029】
ドライバーが意識明瞭のままでいることを支援する本発明の実施形態が図5に示されている。フロアマットは、周期的にモータ590を起動したり停止したりするように構成された制御ユニット501を含む振動回路550を有する。起動されると、モータはカム592が接続されるシャフト591を回転させる。カム592が回転すると、その不均整の形状のため、カム592に隣接するプレート551が振動する。プレート551は、その振動がユーザーの足によって感知されるようにフロアマット内に設置される。振動が常にというよりはむしろ周期的に起こるので、振動の開始と停止がユーザーの注意を引き、それによって、ユーザーが意識明瞭のままでいるようになる。ここで用いられるような、「周期的な」は時々を意味し、モータ590の起動と停止との間の時間間隔が一定である場合と一定ではない場合(ランダムを含む)との両方を含む。本発明の一つの実施形態では、制御ユニット501は、約2秒間モータ590を回転させ、約20秒間モータを停止させ、そして、この行程を繰り返す。図5の実施形態では、ユーザーは、制御ユニット501によるモータ590の起動の制御をすることができない。別の実施形態では、振動機能を望まない場合には切ることができるように、ユーザーが回路550の起動と停止とを行うことを可能にするスイッチが備わっている。
【0030】
図6は衝突防止システム670を制御するように構成されたフロアマット650を示す。衝突防止システムは従来公知である。一般にこれらのシステムは、超音波送信機、赤外線送信機、あるいはレーダー送信機および自動車の後の物体の存在を検知するためのセンサーを用いている。このような衝突防止システムの一つは、バックアップセンサーシステム(例えば、バックする自動車の進路に物体があるときに検知するセンサーシステム)である、アメリカンロードプロダクツから入手可能なREVERSEGUARD(登録商標)システムである。このシステムは、ナンバープレートのフレームに取り付けられて、自動車のバックライトが点灯すると起動する(したがって、REVERSEGUARD(登録商標)システムは、REVERSEGUARD(登録商標)が起動されるべき時であると判断する信号として、バックライトの電源の供給を用いる)。本発明において、ここで言及することにより盛り込まれている特許文献2と特許文献3の両方に記載されている他のバックアップシステムと衝突防止システムとを用いてもよい。
【0031】
このようにシステムは有用であるが、それらが邪魔となる時もある。フロアマット650はユーザーがこのような場合にシステムを停止させることを可能にする。(前記REVERSEGUARD(登録商標)システムによって用いられるようなバックライトの起動に相当する信号のような)バックアップセンサーシステム670を起動する信号を伝達するワイヤー609は、フロアマット650のスイッチ604に接続されている。スイッチ604の他方の側は、自動車の進路にある物体のために自動車の後方をモニターするセンサー675を制御するセンサーシステム670の起動の入力に接続されている。スイッチ650を制御することによって、ユーザーは、センサーシステム670を選択的に起動したり停止したりできる。
【0032】
衝突防止システムがあらかじめ設置された自動車に前述のフロアマット650を追加することは、当業者にとっては当然のことである。あるいは、衝突防止システムとフロアマット650は同時に自動車に追加されるのでもよい。
【0033】
図7は応答機707を有するフロアマット750を示している。応答機707は、多くの主要道路、橋、トンネルに見られる料金徴収装置のような受信装置720のために、フロアマット750が設置されている自動車を識別するために用いられる。応答機707は、例えば、EZ−PASS(登録商標)システムに用いられているような従来公知の任意のタイプである。応答機707をフロアマット750に組み込むことによって、フロントガラスに応答機を取り付ける必要性および/またはグローブボックス若しくは他の保管領域から応答機を取り外す必要性がなくなる。これはユーザーの視界を改善し、および/または、ユーザーの手を自由なままにする。
【0034】
図8は、ユーザーのワイヤレスEメール装置からEメールを受信し、ユーザーにEメールを読み上げるように構成された回路800を有するフロアマットを示している。これは、ユーザーの目または手を用いることを必要とすることなく、ユーザーが運転中にEメールを点検することを可能にする。好適な実施形態において、ワイヤレスEメール装置は、BLACKBERRY(登録商標)のワイヤレスPDA、より好ましくは、Bluetooth(登録商標)のワイヤレスインターフェースを用いて同期するように構成されたBLACKBERRY(登録商標)のワイヤレスPDA(あるいは、従来の有線インターフェースを用いて同期するように構成されたBLACKBERRY(登録商標)のワイヤレスPDA)である。
【0035】
回路800は以下のように動作する。ワイヤレスEメール装置820が回路800の周辺にある時、ワイヤレスEメール装置820と回路800の間の同期処理は従来公知の方法で開始される。この同期処理において、回路800のEメールメモリ809にまだ保存されていない、ワイヤレスEメール装置820によって保持されるすべてのEメールメッセージは、ワイヤレスEメール装置820から、制御ユニット801の制御下のアンテナ806と送受信機805とを介してEメールメモリ809にダウンロードされる。前述のように、送受信機805は、好ましくは、Bluetooth(登録商標)規格に準拠して構成されている。
【0036】
ユーザーが(図1に関して前述したのと同様の方法で、抵抗803を介して制御ユニット801とバッテリ802との間に接続された)スイッチ804を入れると、制御ユニット801は、最初の新しいEメールメッセージをEメールメモリ809から読み出し、Eメールのテキストから音声への変換処理を行う。いくつかの実施形態において、変換処理は、パラベンコーポレーションから入手可能な、WAVファイルを出力するPARABEN VOICE−TO−TEXT(登録商標)ソフトウェアを用いて行われる。制御ユニット801はWAVファイルをサウンドカード830に渡す(「サウンドカード830」は、コンピュータ技術におけるサウンドカードとして一般に言われるものの機能を果たす回路に及んで理解されるべきであって、このような回路を別体のプリント基板またはチップ上に備えるという要望として理解されるべきではない)。サウンドカード830は、WAVファイルをアナログの電気信号に変換し、それから、アナログの電気信号はユーザーがEメールメッセージを聞くことができるようにスピーカー840に出力される。いくつかの実施形態において、Eメールが読み上げられている間に、ユーザーがスイッチ804を押下すると、制御ユニット801が読み上げられているEメールの読み込みを止め、次のEメールを読み始める。
【0037】
注目すべきは、前述のフロアマットに組み込まれた様々なシステムおよび回路の電力は、フロアマット内に組み込まれた寿命の長いバッテリから来るということである。他の実施形態では、フロアマットから自動車の電気系統への接続がなされている。さらに他の実施形態(例えば、図7の応答機の実施形態)では、外部電源からの電界が応答機の公知の技術でフロアマット内のコイルに電流を発生させた時に電力が発生する。
【0038】
当然のことながら、ここで述べた様々な実施形態は相互に排他的ではなく、ここで述べた一つまたはすべての回路および機能は単一のフロアマット内に結合することができる。さらに、一つまたは複数の同じタイプの回路が単一のフロアマット内に存在してもよい。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、フロアマットは遠隔制御装置を制御する回路と応答機の両方を有する。同様に、本発明のいくつかの実施形態は、複数の遠隔制御装置(例えば、電動ガレージドアオープナーと照明装置)を制御することができ、したがって、フロアマット内の異なる位置に好ましくは離間した複数のスイッチを有する。
【0039】
もちろん、本発明の多くの他の改良および変更が、先の教示を考慮して可能である。それゆえに、本発明は、添付した特許請求の範囲内で、ここで具体的に述べたのとは別の方法で実践することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第一の実施形態による遠隔制御装置を制御するためのフロアマット制御回路のブロック図である。
【図2】図1のフロアマット制御回路のスイッチの配置を示す概略図である。
【図3】本発明の第二の実施形態による遠隔制御装置を制御するためのフロアマット制御回路のブロック図である。
【図4】本発明の第三の実施形態によるトラッキング回路を含むフロアマットのブロック図である。
【図5】本発明の第四の実施形態による振動板を組み込んだフロアマットのブロック図である。
【図6】本発明の第五の実施形態によるバックアップセンサーシステムを起動するためのスイッチを有するフロアマットのブロック図である。
【図7】本発明の第六の実施形態による識別応答機を有するフロアマットのブロック図である。
【図8】本発明の第七の実施形態によるユーザーにEメールを受信して読み上げるように構成されたフロアマットのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御装置を制御するフロアマットであって、マット部と、該マット部に隣接し、該マット部に配置されると共にユーザーの足によって操作可能なように構成されたスイッチと、該スイッチの第一端子に接続され、前記ユーザーの足による前記スイッチの操作を感知すると共に該操作に応答して前記遠隔制御装置を制御する制御信号を発するように構成された制御ユニットと、該制御ユニットに接続されると共に該制御ユニットによって発せられる前記制御信号を前記遠隔制御装置に送信するように構成された送信機とを具備するフロアマット。
【請求項2】
前記送信機に接続されたアンテナをさらに具備する請求項1に記載のフロアマット。
【請求項3】
前記スイッチの第二端子に接続された電源をさらに具備する請求項1に記載のフロアマット。
【請求項4】
前記電源が長寿命バッテリである請求項3に記載のフロアマット。
【請求項5】
前記スイッチの第二端子が当該フロアマットが設置された自動車の電気系統に接続される請求項1に記載のフロアマット。
【請求項6】
前記制御信号がコードを含む請求項1に記載のフロアマット。
【請求項7】
前記コードが電動ガレージドアオープナーに対応する請求項6に記載のフロアマット。
【請求項8】
前記コードが遠隔に設置された装置への電力供給を制御するパワーモジュールに対応する請求項6に記載のフロアマット。
【請求項9】
前記送信機が当該フロアマットが設置された自動車の外側に配置された遠隔制御装置に前記制御信号を送信するように構成された請求項1に記載のフロアマット。
【請求項10】
前記送信機が当該フロアマットが設置された自動車の内側に配置された遠隔制御装置に前記制御信号を送信するように構成された請求項1に記載のフロアマット。
【請求項11】
前記送信機がBluetooth(登録商標)送信機である請求項10に記載のフロアマット。
【請求項12】
前記送信機と制御ユニットとが1つのチップの1つの集積回路の一部を形成する請求項1に記載のフロアマット。
【請求項13】
前記送信機と制御ユニットとが別々のチップの別個の集積回路を形成する請求項1に記載のフロアマット。
【請求項14】
前記送信機と制御ユニットとが1つのセグメントチップの別個の集積回路を形成する請求項1に記載のフロアマット。
【請求項15】
遠隔制御装置を制御するフロアマットであって、マット部と、該マット部に隣接してユーザーの音声を表すアナログ信号を発するように構成されたマイクロホンと、該マイクロホンに接続されると共に前記アナログ信号を表すデジタル信号を発するように構成されたA/Dコンバータと、該A/Dコンバータから前記デジタル信号を受け取るために接続され、音声認識処理を実行して対応するコマンドが前記デジタル信号内で検出されると前記遠隔制御装置を制御する制御信号を発するように構成された制御ユニットと、該制御ユニットに接続されると共に該制御ユニットによって発せられる前記制御信号を前記遠隔制御装置に送信するように構成された送信機とを具備するフロアマット。
【請求項16】
前記送信機に接続されたアンテナをさらに具備する請求項15に記載のフロアマット。
【請求項17】
前記制御信号がコードを含む請求項15に記載のフロアマット。
【請求項18】
前記コードが電動ガレージドアオープナーに対応する請求項17に記載のフロアマット。
【請求項19】
前記コードが遠隔に設置された装置への電力供給を制御するパワーモジュールに対応する請求項17に記載のフロアマット。
【請求項20】
マット部と、該マット部に隣接し、位置を示す第一位置信号を算出して出力するように構成されたポジショニングシステムと、該ポジショニングシステムに接続され、前記第一位置信号を受け取って該第一位置信号を基に第二位置信号を出力するように構成された制御ユニットと、該制御ユニットから前記第二位置信号を受け取るために接続され、該第二位置信号をモニタリングステーションに送信するように構成された送信機とを具備するフロアマット。
【請求項21】
前記制御ユニットが前記第一位置信号のエラーチェックを行う請求項20に記載のフロアマット。
【請求項22】
前記制御ユニットが複数の前記第一位置信号をフィルター処理することによって前記第二位置信号を算出する請求項20に記載のフロアマット。
【請求項23】
前記ポジショニングシステムがグローバルポジショニングシステム(GPS)受信機である請求項20に記載のフロアマット。
【請求項24】
マット部と、該マット部に接続要素によって接続されたモータであって該モータが起動すると前記マット部が振動してユーザーの足によって感知されるモータと、該モータに接続され、該モータを周期的に起動し、それによって前記ユーザーが意識明瞭のままでいるように構成された制御ユニットとを具備するフロアマット。
【請求項25】
前記接続要素が前記モータのシャフトに取り付けられたカムを有する請求項24に記載のフロアマット。
【請求項26】
自動車に取り付けられ、該自動車の後の物体を検知するように配置されかつ構成され、起動信号の制御下で起動と停止とを行うように構成された衝突防止システムと、隣接するスイッチを備えるフロアマットとを具備し、前記スイッチが前記衝突防止システムに接続された第一端子を有すると共に前記衝突防止システムの起動を制御するためにユーザーの足によって操作可能であるシステム。
【請求項27】
前記衝突防止システムがバックアップセンサーシステムである請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
マット部と、該マット部に隣接し、遠隔装置からの呼び掛け信号の受信したときに識別を送信するように構成された応答機の回路とを具備するフロアマット。
【請求項29】
マット部と、該マット部に隣接する回路とを具備するフロアマットであって、該回路が、ワイヤレスEメール装置と通信するように構成された送受信機と、該送受信機に接続された制御ユニットと、該制御ユニットに接続されたメモリと、前記制御ユニットに接続されたサウンドカードと、該サウンドカードに接続されたスピーカーとを具備し、前記制御ユニットが前記ワイヤレスEメール装置から受信したEメールについてテキストから音声への変換処理を行うと共に、前記スピーカーを介して前記Eメールの内容の可聴の口語表現を作り出す前記サウンドカードに前記Eメールの内容を表す信号を出力するように構成されたフロアマット。
【請求項30】
前記送受信機がBluetooth(登録商標)送受信機である請求項29に記載のフロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−501158(P2007−501158A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522654(P2006−522654)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/024877
【国際公開番号】WO2005/011458
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506036541)ジージー ベイリー リミティド ライアビリティ カンパニー (1)