説明

インビボ撮像のための装置およびシステム

【課題】消化管を撮像するため等の、インビボ撮像装置およびシステムを提供する。
【解決手段】本発明は画像収集プロセス(ステップ34)を起動する方法であって、外部磁石による抑止状態から画像収集プロセスに不可欠な構成要素の電源を開放するステップから構成され、また本発明は体腔内用に設計された、磁石を有する撮像システムを保管する適切なパッケージングを提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、消化管を撮像するため等の、インビボ撮像装置およびシステムに関する。
【0002】
既知のインビボ測定システムには内視鏡があり、これは多くの場合、上部または下部胃腸管の画像を提供するために利用される。しかしながら、内視鏡では、小腸の全長の像は得られない。更に、それらは苦痛を与え、患者にダメージを与える恐れがあり、操作が複雑である。
【0003】
消化作用によって消化管を通り抜け、データを収集してこのデータを受信システムに送信する嚥下可能な電子カプセルが知られており、その一例が「ハイデルベルグ」カプセルである。更に別の例が、米国特許第5,604,531号に開示されている。これらのカプセルを利用して、腸全体のpH、温度および圧力を測定することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の装置およびシステムによって、胃腸(GI)管の全長の画像等の、内腔または体腔内からのインビボ画像を得ることができる。この装置およびシステムは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像カメラを含む撮像システムを含む。また、この装置は、CMOS撮像カメラから受信システムに信号を送信するための超低電力無線周波数(RF)送信器も含む。
【0005】
CMOS撮像カメラは、超低電力撮像装置であり、赤色のスペクトルには感度が低く、チップ・スケール・パッケージ(CSP)内に設けられている。送信器は、高帯域幅入力を有する超低電力RF送信器であり、チップ・スケール・パッケージ内に設けることができる。
【0006】
本発明の装置およびシステムの撮像システムによって達成される高集積化および低消費電力は、CMOS技術の進展以前には得られないものであった。更に、当技術分野において、ビデオ信号のための超低電力、高帯域幅入力の送信器は知られていない。また、当技術分野において、CSP内のRF製品はこれまで開示されていない。
【0007】
更に、この撮像システムは、当技術分野において現在用いられている赤みがかった白熱豆電球またはRGB LEDではなく、白色光発光ダイオード(LED)を、光源として利用することができる。白色LEDは、品質向上を可能とし、アイ・イメージにいっそう快適である。
【0008】
従って、本発明の一実施形態によれば、インビボ撮像装置が提供される。この装置は、好ましくはデジタル出力であるビデオ出力を生成するための少なくとも1つの撮像システムと、このビデオ出力を受信システムに送信する送信器とを備える。
【0009】
撮像システムは、CMOS撮像カメラと、インビボの部位を照らすための少なくとも1つの照明源と、CMOS撮像カメラ上でインビボの部位を撮像するための光学系とを含む。
【0010】
照明源は、白色LEDとすることができる。ここで引用する場合、「白色LED」という語は、青色LEDチップ(青色スペクトル範囲の光を発する)および屈折結晶の組み合わせを指す。青色LEDチップを屈折結晶内に封入して、結晶に入射する青色光が異なるスペクトルで発光し、結果として白色光が得られるようになっている。屈折結晶から発した白色光は、少量の赤色光と、更に少量でほぼ皆無の赤外線(IR)光とを有する。
【0011】
照明源は、特定の一体型光源とすることができ、屈折クリスタル・マトリクスは、一体化された複数の青色LEDチップを有する。
【0012】
この装置の構成要素は、光窓を有する筐体に収容されている。筐体は、内腔または体腔内に挿入されて通過するように構成されている。
【0013】
また、本発明の一実施形態によれば、インビボ撮像のためのシステムが提供され、これは、好ましくはデジタル出力であるビデオ出力を生成する撮像システムと、撮像システムのビデオ出力を送信する送信器と、送信されたビデオ出力を受信するための受信システムとを含む。撮像システムは、CMOS撮像カメラと、インビボの部位を照らすための照明源と、CMOS撮像カメラ上でインビボの部位を撮像するための光学系と、から成る。
【0014】
このシステムは、更に、身体を取り囲むことができ、送信されたビデオ出力を受信し複数の受信信号を生成するための1つまたは複数のアンテナを備えたアンテナ・アレイを備える。また、このシステムは、複数の受信ビデオ信号を単一のビデオ・データストリームに変換することができる復調器を備えることができる。また、このシステムは、単一のデータストリームからトラッキングおよびビデオ・データを発生するデータ処理システムを備えることも可能である。
【0015】
受信システムおよびデータ・プロセッサは、通常、患者の外部に配置されている。
【0016】
任意選択的に、このシステムは、間欠的に送信器を動作させるための装置も含むことができる。
【0017】
本発明の一実施形態では、装置は、光窓を有し、GI管の全長のインビボ画像を得るための撮像システムと、得た画像を受信システムに送信する送信器とを含む嚥下可能カプセルである。
【0018】
撮像システムは、CMOS撮像カメラと、白色LEDと、GI管の部位をCMOS撮像カメラ上で撮像するためのレンズとから成る。また、嚥下可能カプセルは、カプセルの電気的素子全体にエネルギを供給するための内蔵エネルギ源も含む。
【0019】
また、本発明の一実施形態によれば、RFで信号を受信システムに送信するための送信器が提供される。この送信器は、常時開(NO)スイッチによって制御され、本発明の装置の照明および撮像装置を制御するための制御ブロックを含む。
【0020】
NOスイッチは、スイッチの近くにあるとスイッチを閉じたままとする外部磁石によって制御される。しかしながら、内部ブロックは、開スイッチの論理を維持し、外部磁石がある間は送信器の回路および全てのカプセルの主サブシステムをイナクティブのままとする。外部磁石を除去すると、スイッチが開き、内部ブロックが閉じ、これによって、送信器の回路およびカプセルの主サブシステムが作動する。
【0021】
更に、インビボの画像を得るための方法が提供される。この方法は、インビボの部位を照らすステップと、CMOS撮像カメラの画素上に送出光を集光し、これによってアナログ信号を発生するステップと、アナログ信号を処理してデジタル信号に変換するステップと、デジタル信号をランダム化するステップと、デジタル信号を受信システムに送信するステップと、送信された信号を処理してインビボの部位の画像を得るステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるインビボ撮像装置の概略的な長手方向の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるCMOS撮像カメラの概略表現である。
【図3】具体的な一体型照明源を含む、本発明の一実施形態による装置の断面の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による送信器のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による方法のブロック図表現である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、図面と関連付けて述べる以下の詳細な説明から、更に十分に理解され認められよう。
【0024】
本発明の装置およびシステムは、内腔および体腔内部を見るため、ならびに少なくともビデオ・データを送信するために用いられる。
【実施例】
【0025】
ここで、本発明の一実施形態による装置およびその構成要素を例示した図1を参照する。装置10は、通常、光窓21と、GI管等の内腔内部からの画像を得るための撮像システムとを備えている。撮像システムは、白色LED等の照明源23と、画像を検出するCMOS撮像カメラ24と、CMOS撮像カメラ24上に画像の焦点を合わせる光学系22とを含む。照明源23は、光窓21を介して内腔の内部を照らす。装置10は、更に、CMOS撮像カメラ24のビデオ信号を送信するための送信器26およびアンテナ27と、装置10の電気的素子に電力を供給する酸化銀電池等の電力源25とを含む。
【0026】
本発明の装置およびシステムには、複数のCMOS撮像カメラを用いても良いことは認められよう。装置またはシステムの特定の要件に合わせて、各CMOS撮像カメラが、それ自身の光学系および1つまたはそれ以上の照明源を含むことができる。
【0027】
CMOSカメラ24によって得た画像は、データ処理ユニットも含むことができる受信システム(図示せず)に送信される。受信システムおよびデータ処理ユニットは、通常、患者の外部に配置する。
【0028】
装置10は、カプセルの形状をしており、容易に飲み込むことができ、自然なぜん動によって押されて、GI管全体を受動的に通過することができる。
【0029】
しかしながら、この装置は、内腔または体腔の内部への挿入および通過に適したいかなる形状とすることも可能であることは認められよう。更に、本発明の装置は、内視鏡、腹腔鏡、ステント、針、カテーテル等、内腔または体腔内に挿入する器具に取り付けるかまたは貼りつけることができる。
【0030】
このため、この装置は、飲み込むことにより、内視鏡装置を用い、手術等によって、内腔または体腔内に導入することができる。
【0031】
適切なCMOS撮像カメラ24は、例えば、Given Imaging Ltd.(Yokneam、Israel)によって規定され、Photobit Corporation(California、USA)によって設計された「チップ上カメラ」タイプのCMOS撮像装置であり、一体型能動画素および後処理回路(図2を参照して更に述べる)を有する。単一のチップ・カメラによって、黒および白信号または色信号のいずれかを供給することができる。
【0032】
CMOS撮像カメラ24は、既知のCMOSカメラよりも赤色スペクトルの光に対する感度が低いように設計されている。
【0033】
光学系22は、少なくとも1枚のレンズおよび任意選択として鏡および/またはプリズムを備え、CMOS撮像カメラ24の画素上に送出光を集めると共に平行化する。通常、光学系は、非球面合焦レンズを備えている。適切なレンズは、例えば、特定の物体平面、ひずみ、および解像度のパラメータに応じた、Given Imaging Ltd.(Yokneam、Israel)によって設計されたレンズである。
【0034】
照明源23は、光窓21を介して、内腔の壁に光を送る。次いで、光学系22のレンズが、CMOS撮像カメラ24の画素上に送出光の焦点を合わせる。
【0035】
迷光を避けるため等の特定の撮像要件に合わせて、単一または複数の光源または特定の一体型光源を用い、配置することができる。また、光窓21は、装置の形状に合わせた、更に特定の撮像要件に合わせた位置および形状とすることができる。例えば、光窓21を楕円形状の半球を規定するように形成し、CMOS撮像チップ・カメラ・システム24および照明源23を、光半球によって規定される形状の焦点面の近くに配置した場合、最適な撮像条件が得られる。上述の撮像条件を得ることについては、WO 00/76391号に記載されており、これは、本発明の共通の譲受人に譲渡され、引用によりその全体がここに含まれるものとする。
【0036】
本発明において撮像されるインビボの部位は、通常、撮像装置に極めて近接している。例えば、小腸を通過し撮像する11x30ミリメートルのカプセルは、極めて短距離から小腸の壁を撮像する。従って、LED等の固体照明源を利用した撮像プロセスの照明要件を満たすことができる。
【0037】
本発明の一実施形態では、照明源は白色LEDである。白色LEDから発した白色光は、少量の赤色光と、更に少量のIR光とを有する。従って、白色LEDは、赤色光およびIR光に対するシリコンの感度のため、シリコン系の画像センサ(CMOS撮像カメラ等)と共に用いると有益である。
【0038】
本発明の、赤色スペクトルの光に対する感度が低いCMOS撮像カメラおよび白色LED照明源を含むシステムでは、IR排除フィルタ(明所視フィルタ)は不要である。
【0039】
適切な送信器は、CMOS撮像カメラからのビデオ信号(デジタルまたはアナログのいずれか)を受信する変調器、無線周波数(RF)増幅器、インピーダンス整合器およびアンテナを備えることができる。送信器については、図4において更に例示する。
【0040】
このシステムの他の任意選択的な部分、ならびに消化器系内におけるシステムを含むカプセルの位置決めの方法は、米国特許第5,604,531号(これは、本発明の共通の譲受人に譲渡され、引用によりその全体がここに含まれるものとする)に記載されたものと同様とすれば良い。
【0041】
装置10は、更に、pH、温度、圧力等を測定するためのセンサ素子を含むことができる。これらのセンサ素子は、そのいくつかが従来技術において記載されており、内腔(例えば消化器系)に広く行き渡る状態を測定するのに適切な、装置に添付または装置内に包含することができるいずれかの素子とすれば良い。
【0042】
ここで図2を参照すると、CMOS撮像カメラの概略的な構成が表されている。CMOS撮像カメラ200は、単一チップ上に能動画素および後処理回路を備えている。CMOS撮像カメラ200は、フォトセル202(CMOS撮像カメラの画素)と、相関二重サンプラ(CDS)204と、アナログ−デジタル(A/D)変換器206と、符号化およびランダム化ユニット208と、回路素子の制御および同期化のためのタイミング発生器210とを含む。
【0043】
光学系によって集められた光は、CMOS撮像カメラ200上に送出され、光がフォトセル202によって吸収されると、光子が電子に変換される。電子は電流に変換され、能動画素回路によってアナログ信号が生成される。アナログ信号は、オンチップ後処理回路によって更に処理するために送出される。信号は、CDS204によって更に処理される。CDS204は、ノイズ排除および信号整形のため、相関二重サンプリングを行い、その後、信号はA/D変換器206に送信される。A/D変換器206は、A/D変換した直列出力であり、信号の直列低電力送信を可能とする。信号はデジタル信号に変換され、更に符号化およびランダム化ユニット208に送信されて、フレームおよび行パラメータを規定し(符号化)、送信のため信号を用意する(ランダム化)。符号化およびランダム化ユニット208は、デジタル「0」および「1」の信号の発生をランダム化して、一方のタイプの信号の再発生によって送信が妨げられないようにする。
【0044】
CMOS撮像カメラ200は、インビボ撮像に合わせて調整した仕様に従って、Given Imaging Ltd.(Yokneam、Israel)によって規定され、Photobit Corporation(California、USA)によって設計される。CMOS撮像チップは、超低電力要件(3ミリワット未満)を有する。温度の関数としての、撮像カメラによって発生する暗電流の増大のダイナミクスは、当技術分野において既知の固体装置のものよりも小さく、37℃において、少量の出力ビデオ信号が暗電流である。更に、上述のように、撮像カメラは、赤色スペクトルの光に対して感度が低く、明所視フィルタの必要性が小さくなる。
【0045】
ここで図3を参照すると、具体的な一体型光源を備えたインビボ撮像のための装置が例示されている。装置300は、CMOS撮像カメラ302と、CMOS撮像カメラ302上にインビボ画像を撮像するための光学系(図示せず)と、インビボの部位を照らすための一体型光源304とを備えている。装置300は、更に、撮像カメラ302から受信器(図示せず)にビデオ・データを送信するための送信器305を含む。送信器305は、光源304のための高電圧電流源を発生する。一体型光源304は、接続ワイヤ301を介して送信器305に接続されている。装置の電気的構成要素は、装置内に含まれる電池(図示せず)によって給電される。
【0046】
一体型光源304は、CMOS撮像カメラ302を囲む屈折クリスタル・マトリクスのストリップ306を備えている。屈折クリスタル・マトリクスのストリップ306内に封入された青色LEDチップ308が、ストリップ306に沿って配置されて、CMOS撮像カメラ302の周りの円環に照明を与えるようになっている。
【0047】
また、青色LEDチップ308をストリップ306全体に散在させて、ストリップ306全体が発光するようにすることも可能である。
【0048】
ここで図4を参照すると、送信器のブロック図が例示されている。送信器400は、国際通信規格(FCC等)の基準を満たすように設計されたASIC(特定用途向け集積回路)であり、最小偏位変調(MSK)変調システム上で動作して、アンテナ426および427を介して無線周波数でデジタル信号の受信システムへの送信を実行する。また、送信器400は、本発明の装置の照明および撮像装置ならびに、スイッチの論理変換を(上述のように)制御する。送信器400は、外部プログラミング入力428と通信状態にあるワンタイム・プログラミング・ユニット408と、撮像装置と通信するための制御論理ブロック401と、変調器425と通信状態にある位相ロック・ループ(PLL)402と、任意選択的に、照明を制御するためのLED電力および制御ブロック403と、主発振器404と、内部電子スイッチ406を制御するスイッチ405とを含む。
【0049】
制御論理ブロック401は、撮像装置と通信し、予めプログラムされたパラメータを読み取り、プログラミング・モードにおいて、「外側」とのインタフェースを実行する。制御論理ブロック401は、主クロックを維持し、ビット・レート・データ412およびフレーム・レート413によって、撮像装置によって発生する制御411を介して同期化され、LED電力および制御ブロック403をトリガする。制御論理ブロック401は、更に、主クロック414および撮像装置停止415を制御する。
【0050】
停止の間、送信器は、ビーコン信号のみを送信する。停止によって、装置の電源を経済的に用いることができる。例えば、小腸を撮像するために設計された装置において、送信器400は、2時間の遅延を含むようにプログラムすることができ、その期間中、撮像装置および他の装置の電子機器回路の周期的な停止を実行する。2時間は、特に患者において、ほぼ、嚥下可能な装置が胃を通過して小腸に入るために要する時間である。このため、そういった患者では、装置が小腸に到達した時にのみ、画像を収集するために、装置は電池からの電力を利用する。
【0051】
PLL402は、送信周波数におけるドリフトを自動的に補正することを意図したフィードバック・システムである。PLL402は、チャネル周波数に依存しない高速分周のためのプリスケーラ424を含む。プリスケーラ424は、分周器421と通信状態にあり、分周器421は、発振器404の周波数を分割して、PLLのための基準周波数を実行する。分割値は、チャネルに依存する。また、PLL402は、PLLの周波数比較および位相比較を行うための位相周波数検出器(PED)422と、全ループのループ送信の整形を実行するためのチャージ・ポンプ423とを含む。
【0052】
LED電力および制御ブロック403は、外部コンデンサ431によって制御される高電圧源432を含む。また、LED電力および制御ブロック403は、高電流源433を含み、LEDのピーク電流値は、LedRes435に接続された抵抗によって制御される。
【0053】
送信器400は、外部磁気スイッチ405によって制御される。スイッチ405は、上述のように、外部磁石によって閉じたままとされる、常時開(NO)スイッチである。スイッチ405は、全ての装置のエレクトロニクスを制御する内部電子スイッチ406を制御する。電子スイッチ406は、NOスイッチ405の論理を「常時閉」(NC)論理に変換する低漏れ回路を含み、スイッチ405がNOスイッチであるにもかかわらず、これが閉じている間は送信器をイナクティブのままとするようにする。
【0054】
低漏れ回路は、1年当たり、電池電力の1%ないし3%を用いるだけであるので、内部電子スイッチ406は、この装置の電力方式において大きなファクタではない。
【0055】
本発明の一実施形態では、この装置は、光窓を有し、CMOS撮像カメラと、白色LEDと、光学系と、送信器と、電池とを備えた、嚥下可能カプセルである。嚥下可能カプセルは、PCT出願IL00/00752号(これは、本発明の共通の譲受人に譲渡され、引用によりその全体がここに含まれるものとする)に記載された磁気パッケージング等、磁石を有するパッケージ内に含まれている間はイナクティブのままである。用いる直前に、磁石を有するパッケージを除去してスイッチ405を開放可能とし、これによって送信器を作動させ、これと共に、撮像装置および照明動作を始動する。
【0056】
送信器400における情報の入力帯域幅は、毎秒1.35メガビットを超える。かかるビデオ・データ送信のための低電力高入力帯域幅の送信器は、当技術分野においていまだ示されていない。
【0057】
ここで図5を参照すると、本発明の方法のブロック図が例示されている。インビボ撮像のための方法は、以下のステップを含む。すなわち、インビボの部位を照らす(502)、CMOS撮像カメラの画素上に送出光を集めて、これによってアナログ信号を発生する(504)、アナログ信号をデジタル信号に変換する(506)、デジタル信号をランダム化する(508)、デジタル信号を受信システムに送信する(510)、送信された信号を処理してインビボ部位の画像を得る(512)、である。
【0058】
照明するステップ(502)は、インビボの部位を照らすために白色LEDを用いて行うと好ましい。システムの特定の要件に合わせて、照明は、連続的または交番したものとすることができる。
【0059】
インビボの部位から送出された光を集めること(504)およびこれをCMOS撮像チップの画素上に向けることは、レンズを備え、更にいずれかの適切なコリメータを備えていても良い光学系を用いることによって、達成される。
【0060】
アナログ信号からデジタル信号への変換(506)は、直列で行うと好ましい。
【0061】
デジタル信号のランダム化(508)、すなわちデジタル信号(「0」および「1」)の発生のランダム化は、一方のタイプの信号の再発生によって送信が妨げられないように行う。
【0062】
信号の送信(510)は、患者の身体に取り付けた多数のアンテナに対して、毎秒2ないし8フレームのレートで、無線周波数(約432〜434Mhz)を用いて達成する。アンテナによって、画像の捕捉が可能となり、また、アンテナを用いて、患者の身体内の撮像装置の位置を算出して示す。患者の身体内における撮像装置の位置の算出および表示の一例は、上述の米国特許第5,604,531号に記載されている。
【0063】
信号の処理(512)は、適切なプロセッサおよびソフトウエアを用いることで実行可能である。例えば、RAPIDソフトウエア(Given Imaging Ltd.(Yokneam、Israel)によって開発され所有される所有ソフトウエア)を用いて、GI管内から捕捉した画像のビデオ・クリップを得る。撮像装置がGI管を通過する際に、撮像装置の経路にビデオ・クリップを同期させて、GI管内の装置の位置を突き止めることを可能とする。
【0064】
更に、複数の受信アンテナを用いて、これらを最善の受信条件を可能とする位置に動かすことができる。
【0065】
画像は、ベルトに搭載した小さい携帯用記録器に格納し、続いて分析および検索のためにダウンロードすることができる。更に、受信器を固定データ記録器に直接接続することも可能である。
【0066】
CMOS撮像チップ、小型プロセッサ、白色LED光源、短焦点距離レンズ、小型送信器およびアンテナを備えた11x30ミリメートルのカプセルによって実験を行った。カプセルは、酸化銀電池によって給電し、飲み込んで、胃腸管からの画像を5時間以上連続して記録することができた。
【0067】
歩行する犬で、6時間までの間、高品質のビデオ画像を生放送で送信した。
【0068】
倫理委員会の承認を得て、人のボランティアによる研究を行った。カプセルは容易に飲み込まれた。胃および小腸から、動画が得られた。苦痛はなかった。光窓は、全ての送信の間、透明なままであった。
【0069】
信号強度の三角分析によって、カプセル位置を連続的に監視することができた。小腸の撮像は、2時間で成功のうちに完了した。
【0070】
本発明は、先に具体的に図示し説明したものに限定されないことは、当業者には理解されよう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定される。
【符号の説明】
【0071】
10 装置
21 光窓
22 光学系
23 照明源
24 CMOS撮像カメラ
25 電力源
26 送信器
200 CMOS撮像カメラ
202 フォトセル(CMOS撮像カメラの画素)
204 相関二重サンプラ(CDS)
206 アナログ−デジタル(A/D)変換器
208 符号化およびランダム化ユニット
210 タイミング発生器
300 装置
302 CMOS撮像カメラ
304 一体型光源
305 送信器
306 屈折クリスタル・マトリクスのストリップ
308 青色LEDチップ
400 送信器
401 制御論理ブロック
402 位相ロック・ループ(PLL)
403 制御ブロック
404 主発振器
405 スイッチ
406 内部電子スイッチ
408 ワンタイム・プログラミング・ユニット
411 制御
412 ビット・レート・データ
413 フレーム・レート
421 分周器
422 位相周波数検出器(PED)
424 プリスケーラ
425 変調器
426および427 アンテナ
433 高電流源
435 LedRes

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃腸管部位のインビボ撮像のための嚥下可能カプセルであって、前記カプセルが、長手方向軸を有するハウジングを有し、該ハウジングが前記長手方向軸の端部に頂点を有する単一のドーム形状の光窓を有しており、
該ハウジングはが、少なくとも:
前記胃腸管部位を撮像する撮像カメラと、
白色光を発生するように構成され、前記胃腸管部位を照明するための照明源と、
前記胃腸管部位から反射された光を収集し、前記撮像カメラ上に前記胃腸管部位の像を合焦するための光学システムと、
送信機回路と、を備え、
前記撮像カメラと前記光学システムは、前記長手方向軸上に配置され、前記撮像カメラ、照明源、および光学システムは、前記ドーム形状の光窓の後方に配置され、
前記光学システムは前記単一の光窓から離れており、かつ
前記撮像カメラは前記単一の光窓及び前記光学システムを介して前記胃腸管部位を撮像し、かつ
前記照明源は前記光学システムから等距離を隔てて配置されており、かつ前記光学システムではなく前記単一の光窓を介して直接的に前記胃腸管部位を照明する構成を有することを特徴とする嚥下可能カプセル。
【請求項2】
外部磁石によって作動される内部スイッチを有することを特徴とする、請求項1に記載の嚥下可能カプセル。
【請求項3】
前記無線送信機が常態開スイッチの論理を常態閉論理に変更する内部電子スイッチを有することを特徴とする、請求項1に記載の嚥下可能カプセル。
【請求項4】
前記照明源が白色LEDを有することを特徴とする、請求項1に記載の嚥下可能カプセル。
【請求項5】
前記撮像カメラが、CMOSを有することを特徴とする、請求項1に記載の嚥下可能カプセル。
【請求項6】
前記単一の光窓がドーム型であることを特徴とする、請求項1に記載の嚥下可能カプセル。
【請求項7】
前記無線送信機が撮像データを受信システムに送信することを特徴とする、請求項1に記載の嚥下可能カプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232210(P2012−232210A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196162(P2012−196162)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2006−112106(P2006−112106)の分割
【原出願日】平成13年3月8日(2001.3.8)
【出願人】(506203914)ギブン イメージング リミテッド (45)
【氏名又は名称原語表記】GIVEN IMAGING LTD.
【Fターム(参考)】