説明

ウイルス性抗原

【課題】子宮頸癌に対する広く効果的なワクチン組成物を提供する。
【解決手段】HPV16 VLP、HPV 18 VLP、HPV 31 VLP、およびHPV 45 VLPの混合物を含み、ここで、各VLPは、1種のみのHPV遺伝子型に由来するL1タンパク質または機能的L1タンパク質誘導体を含むワクチン組成物。さらに性感染症を引き起こす生物に由来する抗原、例えばHSV抗原、クラミジア抗原やHIV抗原またはその免疫学的に活性な断片をも含有し、水酸化アルミニウムをアジュバントとして含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HPVに対するワクチンに関するものである。
【0002】
特に、本発明はウイルス様粒子(virus like particle:VLP)を含むワクチン、具体的には、ヒトパピローマウイルス(HPV)に由来するタンパク質を含有するウイルス様粒子を含むワクチンに関する。
【背景技術】
【0003】
パピローマウイルスは小さいDNA腫瘍ウイルスである。そして、それは高い種特異性を有する。これまで、100以上のヒトパピローマウイルス(HPV)遺伝子型が報告されてきた。HPVは、通常、皮膚(例えばHPV-1および-2)または粘膜表面(例えばHPV-6および-11)に特異的であって、通常、数カ月または数年存在する良性腫瘍(疣)を引き起こす。このような良性腫瘍は、関与する個人には悲惨であり得るが、2、3の例外を除いて、生命を脅かすものではないでない。
【0004】
HPVには、癌に関与するものもある。HPVとヒトの癌との最も強いポジティブな関連性は、HPV-16およびHPV 18と子宮頸癌との関連性である。子宮頸癌は発展途上国では最もよくある悪性病変であり、毎年世界で約500,000の新しい症例が認められる。それは、現在、原発性HPV-16感染症、および既に発生したHPV-16を含む癌とも積極的に対峙することは、技術的に可能である。HPV-16の予防および治療的なワクチン接種の見込については、Clin. Immunother. 1994; 1(4) 293-306 and Hagenesee M.E., Infections in Medicine 1997 14(7) 555-556,559-564.を参照されたい。
【0005】
小さな変異が起こるにもかかわらず、全てのHPVゲノムは、少なくとも8つの初期遺伝子(E1〜8)と2つの後期遺伝子(L1とL2)を有している。加えて、上流の調節性領域は、HPVゲノムの大部分の転写イベントを制御するであろう制御配列を担持している。
【0006】
HPV L1ベースのワクチンは、WO94/00152、WO94/20137、WO93/02184およびWO94/05792で開示されている。このようなワクチンは、単量体、キャプソマーまたは粒子などのウイルスとしてL1抗原を含み得る。VLPの調製方法は、公知技術であって、均質性を増大するために、例えばWO0057906、WO9913056およびUS6245568などに記載されている、VLP分離-再構築アプローチ(VLP disassembly-reassembly approach)を含む。このような分子は、さらにL2タンパク質を含み得る。L2ベースのワクチンは、例えばWO93/00436に記載される。他のHPVワクチンは、初期タンパク質(例えばE7またはL2-E7などの融合タンパク質)に基づくものである。
【0007】
HPVワクチンの研究にもかかわらず、子宮頸癌に対する広く効果的ワクチンは未だ存在しない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ヒトパピローマウイルスに対する改良ワクチンに関するものである。
【0009】
第1の態様において、本発明は、HPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45からの誘導物である機能的L1タンパク質誘導体またはL1タンパク質を含有するVLPを含むワクチンの組成に関するものである。
【0010】
さらに、本発明は、HPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45に由来するL1タンパク質または機能的L1タンパク質誘導体を含有するVLPを組合わせることを含む方法に関するものである。
【0011】
本発明はさらに、HPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45に由来するL1タンパク質または機能的L1タンパク質誘導体を含有するVLPの混合物の、子宮頸癌の予防のためのワクチンの調製における使用に関する。
【0012】
本発明はさらに、子宮頸癌を予防する方法であって、子宮頸癌のリスクのある個体に有効量の、HPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45のVLPの混合物を含むワクチンなどの上記ワクチンを送達することを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、EMによって評価した場合の、HPV 16 VLPと混合VLPの比較を示す。
【図2】図2は、混合VLPの粒度分布を示す。
【図3】図3は、混合VLPの粒度分布を示す。
【図4】図4は、混合HPV 16、18、31、45の混合ワクチン中のHPV 16に対する抗体産生応答とコントロールのHPV 16に対する抗体産生応答を示す。
【図5】図5は、混合HPV 16、18、31、45の混合ワクチン中のHPV 18に対する抗体産生応答とコントロールのHPV 18に対する抗体産生応答を示す。
【図6】図6は、混合HPV 16、18、31、45の混合ワクチン中のHPV 31に対する抗体産生応答とコントロールのHPV 31に対する抗体産生応答を示す。
【図7】図7は、混合HPV 16、18、31、45の混合ワクチン中のHPV 45に対する抗体産生応答とコントロールのHPV 45に対する抗体産生応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のVLPは、参照によってこの中に組み込まれるWO99/13056で開示される方法などの当技術分野における標準的方法を使用して、全長HPV L1タンパク質または特定のL1誘導体から調製され得る。
【0015】
VLPを調製するのに用いられるL1タンパク質は、末端切断型L1タンパク質であることが好ましい。好ましくは、VLPのうちの少なくとも1つは、末端切断型L1タンパク質を含み、また好ましくは、ワクチンに混合される全てのL1タンパク質は末端切断型L1タンパク質である。好ましくは、末端切断型は核局在化シグナルを欠損するものである。また、好ましくは、末端切断型はC末端を切断したたものである。好ましくは、かかるC末端の切断は、50未満のアミノ酸、より好ましくは、40未満のアミノ酸を除去するものである。最も好ましいC末端の切断は、HPV 16から34アミノ酸およびHPV 18から35アミノ酸を除くものである。
【0016】
末端切断型L1タンパク質は、好ましくは、機能的L1タンパク質誘導体である。機能的L1タンパク質誘導体は、免疫応答を増大させることができ(必要に応じて適切にアジュバント化される場合がある)、該免疫応答は、全長L1タンパク質からなるVLPおよび/またはL1タンパク質が由来するHPVタイプを認識することができる。
【0017】
本発明のVLPはまた、全長または末端切断型HPV L1タンパク質の変異(例えば削除、置換または挿入など)を含む他のタイプの機能的タンパク質誘導体を含んでもよい。適切な誘導体はまた、コドン最適化配列を含む。L1タンパク質または誘導体はまた、融合タンパク質(例えばL2または初期タンパク質とL1タンパク質との融合タンパク質など)であってもよい。好ましくは、融合タンパク質は1種だけのHPV遺伝子型に由来するタンパク質を含む。1種の遺伝子型に由来するL1タンパク質が他の遺伝子型に由来するL1タンパク質に結合されたキメラL1タンパク質から作製されるVLPは好ましくない。
【0018】
L1タンパク質または機能的タンパク質誘導体は、適切にVLPを形成することができ、VLPの形成は、例えば、電子顕微鏡法およびダイナミックレーザー光散乱などの標準的技法によって評価できる。
【0019】
本明細書中に述べられるような条件下で、Malvern Zetasiz 3000HSを使用して測定された場合、VLPの多分散(polydispersity)は、0.15未満であることが好ましく、より好ましくは0.1未満で、さらに好ましくは0.08未満である。
【0020】
本明細書において使用する場合、用語「タンパク質」または特定のタンパク質(例えば「L1」)は、特に明記しないか、または前後関係から明らかでない限り、機能的タンパク質誘導体をも包含する。
【0021】
本発明の好ましい態様において、本発明のワクチンにはVLPタイプは4種の、すなわち、HPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45のVLPのみを有する。好ましくは、VLPは、これらの4つの遺伝子型の各々に由来するL1のみのVLP(L1 only VLP)である。
【0022】
あるいは、最も好ましくは、ワクチンはさらなるHPV結合価を含み得、5価のワクチンとなり得る。好ましくは、さらなる結合価は、HPV 52、53、58、33、35、56および59のうちの1つに由来する、上記同様のL1タンパク質または機能的誘導体を含むVLPである。好ましくは、5番目の遺伝子型は、ワクチンを南アメリカで使用するためにはHPV 33であり、アジアで使用するためには、HPV 52、53または58である。
【0023】
本発明はまた、2つ以上のさらなる結合価を含むワクチンをも包含し、6つ以上の遺伝子型を有するワクチンをも提供する。
【0024】
1つの好ましい態様において、HPV 6a、6bまたはHPV 11遺伝子型に由来するVLPは排除される。
【0025】
好ましくは、本発明のワクチンは、子宮頸癌の予防において、少なくとも55%、より好ましくは60%、65%、70%、75%、さらに好ましくは80%以上の有効性を有する。誤解を防ぐため、子宮頸癌の予防の有効性%は、HPV感染によって誘発される全ての子宮頸癌の予防を意味し、1つの遺伝子型に起因する癌のみの予防を意味するものではないことを明記する。ワクチンは、2、3、4、5年またはそれ以上にわたって、等しく効果的であることが好ましいが、予防は、初回のワクチン接種後1年間で適切に評価され得る。有効性%は、特定の地理的領域に特異的なワクチン製剤をターゲットとするのに適切なHPV遺伝子型を選択することにより増大させることができる。
【0026】
ワクチンのVLPの組合せは、各々のVLPタイプの免疫原性を低減させないことが好ましい。特に、本発明の複合VLPワクチンが、ワクチン内の各HPV遺伝子型によって、効果的な感染予防を提供することができるように、本発明の組合せにおけるHPV VLPの間に干渉がないことが好ましい。適切には、組合せにおける所定のVLPタイプに対する免疫応答は、同じVLPタイプを個々に測定した場合の免疫応答の少なくとも50%、好ましくは100%または実質的に100%である。HPV 16とHPV 18に対する応答について、本発明の混合ワクチンは、混合HPV 16/HPV 18 VLPワクチンにより提供される免疫応答の少なくとも50%の免疫応答を刺激することが好ましい。適切には、本発明のワクチンによって生じる免疫応答は、各VLPタイプの予防効果が認められるレベルにある。本明細書に例示されるように、免疫応答は、例えば抗体反応により適切に測定され得る。
【0027】
本発明のワクチンは、HPV感染および/または疾患を治療または予防するのに用いられ得る。例えば、ワクチンは子宮頸癌またはCIN III後遺症に至るウイルスの負荷および/または感染を低減させるために治療的に用いられ得る。本発明は、このように、HPV感染症に関連する疾患の治療処置、および感染または疾患の予防における、本発明のワクチンの使用に関する。本発明はまた、HPV 16、18、31および45に対する免疫応答の誘発における本発明のVLPの組合せの使用に関する。
【0028】
本発明のワクチンは、場合によっては、例えばHPV 6a、6bおよび/またはHPV 11に由来するL1タンパク質を含むVLPなどの、性器疣贅(gnital warts)に対する予防を提供するVLPとともに処方され得る。
【0029】
好ましくは、VLPはHPV L1タンパク質のみを含み、L2タンパク質またはタンパク質断片は含まない。
【0030】
本発明のワクチンは、L1タンパク質または誘導体に加えて他のタンパク質またはタンパク質断片を含み得る。タンパク質/ペプチドは、VLP中でL1タンパク質とのキメラの形態で送達されるか、VLP中にカプセル化されるか、またはVLPとの混合物中に製剤されてもよい。他のタンパク質またはペプチドはまた、本発明のワクチンと同時投与されてもよい。
【0031】
1の態様では、ワクチンは、例えば、参照により本明細書に組込まれるK. Kawana ら、Vaccine 19, (2001) p1496-1502に開示されているL2ペプチドなどのHPV L2タンパク質またはL2誘導体を含み得る。更なる好ましい態様において、本発明のワクチンは、HPV早期抗原(例えばE1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8またはこれらの免疫学的に活性な誘導体)とともに処方され得る。キメラ形態で送達される場合、早期抗原の約30〜60のアミノ酸の免疫原断片を利用することが好ましい。
【0032】
場合によっては、ワクチンはまた、非HPV抗原とともに処方されるか、または同時投与され得る。適切には、これらの抗原は、他の疾患、最も好ましくは単純ヘルペスウイルス、クラミジアのような性感染症およびHIVからの予防を提供し得るものである。本発明者らは、特にワクチンがHSV由来のgDタンパク質またはその末端切断型を含むことが好ましく、より好ましくはWO 99/45957に記載のgD2tタンパク質を含む。このように、ワクチンはHPVとHSVに対する予防を提供する。好ましいHIV抗原は、WO/9916884およびWO/0154719に記載されている。
【0033】
本発明は、一般にHPV16、18、31および45に由来するキャプシドタンパク質を含むVLP((例えばL1のみのVLP)の混合物に関する。
【0034】
特に好ましい態様において、本発明は、HPV 16 VLP、HPV 18 VLP、HPV 31 VLPおよびHPV 45 VLPの混合物を含むワクチンを提供する。本明細書中「HPV 16 VLP」は、例えば、HPV 16に由来するL1タンパク質またはL1誘導体であるL1 VLPを指す。本明細書中に記載される他のVLPについても拡張解釈して、同じ命名法原理を、HPV 18、HPV 31およびHPV 45 VLPなどにも適用する。
【0035】
好ましくは、各々のVLPは、1種のみのHPV遺伝子型に由来するL1タンパク質を含む。このようなワクチンはHPV 16、18、31および45に由来する個々のVLPを調製し、続いてかかるVLPの組合せを調製することによって処方され得る。好ましくは、L1以外には他のいかなるHPVタンパク質もVLP中に存在しない。
【0036】
また、1種のみのHPV遺伝子型由来のタンパク質を含むVLP、例えばHPV 16由来のL1およびL2のVLPなどが好ましい。
【0037】
しかしながら、本発明の他の態様で、VLPは混合VLPであってよく、1つの遺伝子型由来のL1タンパク質と第2の遺伝子型由来のL1タンパク質との組合わせを含む混合VLPであって、ここで、異なるL1タンパク質は、キメラL1タンパク質ではなく、免疫原VLPを形成するために同じキャプシド構造内で一緒になっているものでもよい。
【0038】
好ましい組合せは、任意の順列の遺伝子型16、18、31および45を含んでよく、例えば、本発明は、混合HPV31/HPV 45 VLPと組み合わさった混合HPV 16/HPV 18 VLP、または18/45 VLPと組み合わさった16/31 VLPを含み得る。1つのVLP内での2つ以上のL1遺伝子型の組合せもまた考慮される。
【0039】
本明細書に示されるように、混合VLPは、個々のL1タンパク質を別々に発現させて生産し、VLPを形成させるために混合して作製してもよい。あるいは、複数のL1タンパク質を、一つ以上のDNA構築物から同一の細胞内で発現させることもできる。例えば、複数のDNA構築物で、各ベクターが異なるL1タンパク質をコードするものを宿主細胞に形質転換または形質導入してもよい。あるいは、共有プロモーターまたはそれぞれに複数のプロモーターによって制御される複数のL1遺伝子を有する1つのベクターを使用してもよい。必要に応じて、IRESエレメントをベクターに組み込んでもよい。このような発現手段を用いて、共発現させたL1タンパク質は、後のVLP形成のために同時に精製することもでき、または、自発的に混合VLPを形成させて、その後精製することもできる。
【0040】
混合VLPを使用する場合、混合VLP作製のための好ましい方法は、異なるパピローマウイルス遺伝子型に由来する、VLP L1タンパク質または誘導体(例えばL1タンパク質)を調製すること、必要に応じてタンパク質を混合させること、および、混合VLPを生産するためにタンパク質をアセンブリ(assembly)させることを含む。L1タンパク質は、粗抽出物の形であるか、または混合前に、部分的に精製されていてもよく、精製されていてもよい。タンパク質は、混合前に少なくとも部分的に精製されることが好ましい。場合によっては、混合VLPの更なる精製は、アセンブリの後に行ってもよい。更なる抗原を用いる場合は、それらを必要に応じて加えてもよい。
【0041】
1の態様において、2つ以上のVLPを分離(disassembly)し、その後、再アセンブリの前の適切な時点で分離されたVLPの構成成分を混合することによって混合VLPを作製することもできる。例えば、酵母株におけるL1タンパク質の発現の場合など、L1タンパク質が発現されるとVLPが自発的に形成する場合、このアプローチは適切である。L1タンパク質の発現により、自発的にVLPの形成が起こらない場合、L1タンパク質またはキャプソマーの調製物は、VLPへのアセンブリ前に混合するとよい。
【0042】
VLPのアセンブリは、通常、還元剤の除去によって達成され得る。すなわち、混合VLPの作製において、好ましくは、タンパク質の混合物から還元剤を除去する前に、タンパク質の混合を行う。好ましくは、混合VLPの作製は、解離したL1タンパク質の混合物から、VLPを形成させ得る条件下で該混合物から還元剤を除去することにより、混合VLPを形成させる工程を含む。
【0043】
好ましくは、再アセンブリの工程は、β-メルカプトエタノールのような還元剤の除去で起こる。
【0044】
しかしながら、VLPの形成が、還元剤の存在と同様にpH、金属イオンおよび塩度に依存することは公知である。したがって、特定の条件下で、VLPが還元剤の存在下で形成し得ると想定可能である。異なる遺伝子型由来のタンパク質の混合が、混合VLPが形成可能な環境条件の変化(pH、金属イオン、塩分、還元性環境またはこれらの組合せであるかどうかに関係ない)の前に起こることが、本発明にとって唯一重要なことである。
【0045】
混合VLPが使用される場合、好ましくは、VLPの構成成分が、最終的な混合VLP中における所望の割合で混合される。例えば、HPV 16とHPV 18に由来する部分的に精製されたL1タンパク質を同量で混合した混合物は、混合VLPに各々のタンパク質をほぼ同等の量で提供することとなる。
【0046】
混合VLPを含むワクチン溶液は、例えばWO 98/44944およびWO0045841(参照によって本明細書に組み込まれる)などにより当技術分野で公知の成分により安定化し得る。
【0047】
本発明の全てのワクチンについて、ワクチンを10〜15歳、好ましくは10〜13歳の青年期の女児のワクチン接種に使用することが好ましい。該ワクチンはまた、異常な乳首の染み(abnormal pap smear)を伴う女性、またはHPVに起因する病変の除去を伴う手術後の女性に投与してもよい。
【0048】
好ましくは、ワクチンは、2、3回の処方(例えば、それぞれ、0ヶ月目と1ヶ月目の処方、または0ヶ月目と1ヶ月目と6ヶ月の処方など)で送達されることが好ましい。適切には、ワクチン接種の処方は、追加投与を5〜10年後以降、好ましく10年後以後に組込む。
【0049】
好ましいワクチンは液体ワクチン製剤であるが、ワクチンは、凍結乾燥されて投与の前に再構成されてもよい。
【0050】
本発明のワクチンはまた、VLPと組み合わされたアジュバントを含んでよい。本発明のVLPが、アルミニウムと組み合わされて使用されるか、またはアルミニウムアジュバントに適切にまたは部分的に吸着せるとよい。また、Th1タイプ反応(3DMPLまたはQS21など)を刺激するアジュバントが好ましい。適切には、アジュバントはアルミニウム塩であり、3D MPL(例えばアルミニウム・リン酸塩と3D MPL)との組合わせが好ましい。
【0051】
好ましいアジュバントは、水酸化アルミニウムであり、3D MPLと水酸化アルミニウムの組合せが、特に好ましい。
【0052】
VLPがアジュバントを含むアルミニウムに吸着される場合、アジュバントは、VLPを混合して最終的なワクチン製剤を形成する前に加えられることが好ましい。
【0053】
ワクチンはまた、安定化剤としてアルミニウムまたはアルミニウム化合物を含み得る。本発明はまた、VLPがアルミニウム塩に吸着した安定化した混合ワクチンにも関する。VLPは、アルミニウムがない場合に比べて、アルミニウム塩に吸着後時間が経つと、より安定化される。好ましくは、安定化VLPは、実施例1のC3セクションに記載の方法により得られるか、または得ることが可能である。
【0054】
本発明のワクチンは、経口投与、局所投与、皮下投与、粘膜(典型的に腟内)投与、静脈投与、筋内投与、鼻腔内投与、舌下投与、皮内投与、および座剤としてなど、種々の経路のいずれかにより提供される。筋内送達および皮内送達が好ましい。
【0055】
VLPおよび他のタンパク質の用量は、症状、性、個人の年齢および体重、ワクチンの投与経路およびワクチンのHPVによって様々である。その量はまた、VLPタイプの数によっても異なる。免疫学的保護反応を生じるのに適切な量のVLPを送達することが適切である。適切な各ワクチン用量は、各VLP 1〜100μg、好ましくは5〜80μg、より好ましくは、各VLP 5〜30μg、最も好ましくは各VLP5〜20μg、特に好ましくは、5μg、6μg、10μg、15μgまたは20μgである。
【0056】
本発明の多価ワクチンは、精製されたL1 VLPを混合ことによって適切に産生される。L1 VLPの生産方法は、周知の技術であり、例えばWO9531532、WO9615247、WO00/09671および米国特許第US5888526号(全て参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法などが挙げられる。
【0057】
適切には、VLPの分離と再アセンブリによって、本発明のVLPは作製され、均質かつ純粋なVLPが提供される。適切な方法の例としては、WO0057906、米国特許第US6245568号およびWO9913056が挙げられる。
【0058】
VLPは、大腸菌または酵母菌(例えば、S.cerevisiae、S. PombeまたはPichia sp.)などのいかなる適切な細胞ででも調製され得るが、好ましくは、Sf9またはHi-5などの昆虫細胞から調製される。
【0059】
好ましくは、L1発現後のVLPの精製は、陰イオン交換クロマトグラフィー(ジメチルアミノエチル(DMAE)陰イオン交換クロマトグラフフィー(トリメチルアミノエチル(TMAE)、ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフフィー、ナノメトリック(nanometric)ろ過もしくは限外ろ過などのろ過法、または疎水的相互作用クロマトグラフフィーのステップの1つ以上を含み得る。好ましくは、精製段階において、少なくとも1つの陰イオン交換ステップを行い、より好ましくは、2つの陰イオン交換ステップを行う。好ましくは、少なくとも1つの陰イオン交換精製ステップは、タンパク質を混合する前に行う。場合によっては、UV照射ステップを使用してもよい。
【0060】
誤解を避けるために、本明細書に引用される全ての文書は、全文に渡って、参照として組み込まれるものとする。
【0061】
本発明を、以下の非限定的な実施例と図に例示する。
【実施例1】
【0062】
HPV 16とHPV 18 のL1 VLPの組合わせについて詳述する。他のHPV遺伝子型からのL1タンパク質は、すでに公知の、類似の方法によって容易に生産することもできる。
【0063】
A HPV 16/18 L1 VLPの調製
HPV 16とHPV 18 VLPの生産は標準的方法を使用して行った。例えば、WO9913056を参照のこと。HPV 16/18タンパク質を、対象のHPV 16または18のL1遺伝子をコードする組換型のバキュロウイルス(MOI 0.3)で感染させトリコプルジア・ニ(Trichoplusia ni)(High Five(商標))細胞(約350000細胞/ml程度の濃度で)で発現させた。細胞は、感染後約72時間で回収した。
【0064】
B 細胞の回収/抗原抽出
抗原(L1-16/18)を、濃縮、抽出、純化の3つのステップでHi5細胞から抽出した。濃縮ステップは、90%までの培地を除いて、タンジェンシャルフローろ過によって行った。抽出ステップは、低張バッファー(20mM Tris(pH 8.5))を用いて行った。培養物の容量に等しい容量のバッファーで抽出を行った。滑らかな振動下で少なくとも30分接触させた。純化は、タンジェンシャルフローろ過によって行った。
【0065】
C 精製
精製プロセスは、室温で行った。両方の抗原(L1-16/18)についてVLPをキャプソマーに分離するために、β-メルカプトエタノール(4% w/w)を抽出物に加えた。グリセロールは、β-メルカプトエタノールの添加前に、ちょうど10% w/wの濃度になるように加えた。
【0066】
使用される全てのバッファーは、0.22μmフィルタでろ過し、2℃〜8℃で保存した。各精製の前に、ゲルマトリックスは、清浄してサンプルのロードの前に適切なバッファーで平衡化しておいた。
【0067】
精製手法は、HPV 16と18に由来するL1の精製について個別に定めた。
【0068】
これらのスキームは概して類似であり、以下のステップを包含する:
陰イオン交換クロマトグラフィー(ジメチルアミノエチル(DMAE))、
陰イオンイオン交換クロマトグラフィー(トリメチルアミノエチル(TMAE))、
ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、
ナノメトリックろ過(Planova)、
限外ろ過、
HPV 18について疎水性相互作用クロマトグラフィー(オクチルセファロースを使用)、または、HPV 16について陰イオンクロマトグラフィー(DEAE)、
および、滅菌ろ過。
【0069】
具体的には:以下の通りである。
【0070】
C1 L1-18抗原の精製
陰イオン交換クロマトグラフィーDMAE
純化した抽出物(タンパク質濃度約1g/ml;約150mg/ml L1タンパク質を含む)を陰イオン交換カラム(ジメチルアミノエチル)にアプライする。
【0071】
溶出は、バッファー(20mM Tris 200mM NaCl 4%β-メルカプトエタノールBME)(pH 7.9±0.2)で行う。抗原はカラム容積の約5倍で溶出し、溶出プロファイルは280nmでモニターする。
【0072】
陰イオン交換クロマトグラフ法TMAE
第一段階の溶出は、水/BME4%の1容量で希釈する。その後、希釈した溶出液を、第2の陰イオン交換カラム(トリメチルアミノエチル)にアプライする。溶出は、バッファー(20mM Tris 200mM NaCl 4%BME)(pH 7.9±0.2)で行う。抗原はカラム容積の約4倍で溶出され、溶出プロファイルは280nmでモニターされる。
【0073】
ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー
TMAEステップでの溶出液を、ヒドロキシアパタイト(HA)カラムにアプライする。サンプルのアプライ後、ゲルからバッファー(100mM NaH2PO4、30mM NaCl、4%BME)(pH 6.0±0.2)カラム容量の約2.5倍で溶出する。
【0074】
ナノメトリックろ過(Planova)
HA溶出液を、以下の状態にまで希釈する:バッファー(25mM NaH2PO4、10mM NaCl、4%BME)pH 7.5±0.2。その後、0.2μmのプレフィルターで連続的にろ過し、0.12m2のPlanova15Nフィルターでろ過する。ろ過は、定圧200 mbar±20 mbarで行う。
【0075】
限外ろ過
限外ろ過は、ポリエーテルスルフォン膜(Centramateカセット0.1 m2;100kD)を装着したタンジェンタルフロー限外ろ過システムにて行う。Planova溶出液を、以下の状態:100mM NaH2PO4、30mM NaCl、4%BME;pH 6.0±0.2になるように処理し、その後、装置にロードして、5倍に濃縮し、開始時の約10倍容量のバッファー(20mM NaH2PO4、500mM NaCl、pH 6.0±0.2)を持続的に注入して透析ろ過する。
【0076】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(オクチル・セファロース)
限外ろ過透過液をオクチルセファロースカラムにアプライする。このクロマトグラフィーステップは、カラム容量の約5倍のバッファー(20mM Na3PO4、500mM NaCl、pH 6.0±0.2)で陰性状態で流す。
【0077】
滅菌ろ過
精製されたL1-18抗原溶液を、0.22μm膜によるろ過により滅菌する。
【0078】
C2 L1-16抗原の精製
陰イオン交換クロマトグラフィー DMAE
純化した抽出液を陰イオン交換クロマトグラフィー(ジメチルアミノエチル)にアプライする。溶出は、バッファー(20mM Tris, 180mM NaCl, 4%BME)pH 7.9±0.2にて行う。抗原はカラム容量の約4倍のバッファーで溶出し、溶出プロファイルを280nmでモニターする。
【0079】
陰イオン交換クロマトグラフィー TMAE
第1ステップの溶出液を、1容量の水/BME4%で希釈する。希釈された溶出液は、第2の陰イオン交換カラム(トリメチルアミノエチル)にアプライする。溶出は、バッファー(20mMTris, 180mM NaCl, 4%BME)pH 7.9±0.2で行う。抗原は、カラム容量の約5倍のバッファーで溶出し、溶出プロファイルを280nmでモニターする。
【0080】
ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィー(HA)
TMAEステップの溶出液を、HAカラムにアプライする。
【0081】
サンプルのアプライ後、カラム容量の約3倍のバッファー(100mM NaH2PO4、30mM NaCl、4%BME)pH 6.0±0.2でゲルから溶出する。
【0082】
ナノメトリックろ過(Planova)
HA溶出液を、以下の状態にまで希釈する:バッファー(25mM NaH2PO4、10mM NaCl、4%BME;pH 7.5±0.2)。その後、0.2μmのプレフィルターで連続的にろ過し、0.12m2のPlanova15Nフィルターでろ過する。ろ過は、定圧200 mbar±20 mbarで行う。
【0083】
限外ろ過
限外ろ過は、ポリエーテルスルフォン膜(Centramateカセット0.1 m2;100kD)を装着したタンジェンタルフロー限外ろ過システムにて行う。Planova溶出液を、以下の状態:100mM NaH2PO4、30mM NaCl、4%BME;pH 6.0±0.2になるように処理し、その後、装置にロードして、5倍に濃縮し、開始時の約10倍容量のバッファー(20mM NaH2PO4、500mM NaCl)pH 6.0±0.2を持続的に注入して透析ろ過する。
【0084】
陰イオン交換クロマトグラフィー DMAE
限外ろ過溶出液を、平衡バッファー(20mM Na3PO4、250mM NaCl)の伝導度になるよう調整し、陰イオン交換クロマトグラフィー(ジメチルアミノエチル)にアプライする。溶出は、バッファー(20mM Tris,500mM NaCl)pH 6.0±0.2にて行う。抗原は約3倍カラム容量のバッファーで溶出し、溶出プロファイルを280nmでモニターする。
【0085】
滅菌ろ過
精製されたL1-16抗原溶液を、0.22μm膜のろ過により滅菌する。
【0086】
C3
各VLPタイプは、別個に吸着されて、濃縮および吸着された一価物となる。
【0087】
VLP16の濃縮および吸着された一価物の調製:
HPV16由来の精製VLP 60μgを、室温にて緩やかに攪拌しながらpH6.0±0.2で1時間、Al(OH)3由来の150μgのAl3+の上で吸着せる。このようにして得られた濃縮および吸着された一価物は、4℃で保存する。標品を遠心分離して上清中のVLPを定量して吸着を調べる。
【0088】
VLP18の濃縮および吸着された一価物の調製:
HPV18由来の精製VLP 60μgを、室温にて緩やかに攪拌しながら1時間、pH6.0±0.2でAl(OH)3由来の150μgのAl3+に吸着せる。このようにして得られた濃縮および吸着された一価物は、4℃で保存する。標品を遠心分離して上清中のVLPを定量して吸着をチェックする。
【0089】
D 最終的なワクチンの調製:
上記の方法で調製した濃縮および吸着された一価物を混合して、用量あたり20μgの各VLPを含む懸濁液を作製した。最終的なワクチンは、4℃で保存する。
【0090】
濃度20μgの各VLPの濃縮HPV 31および45由来のVLPを添加して、四価のワクチンを完成させる。
【0091】
混合および吸着されたもの(bulk)、または個別に吸着されたものは、3D-MPLなどのアジュバントとさらに混合してもよい。
【実施例2】
【0092】
A HPV 16/18 L1 VLPの調製
HPV 16およびHPV 18 VLPの生産は、上述の標準的手法を用いて行った。
【0093】
B 混合VLPの作製
本発明の処理はHPV 16とHPV18とのVLPの分離(dissassembly)を含み、その後、HPV L1 16とHPV18との再アセンブリを行って、該再アセンブリにより、混合VLPを形成させる。
【0094】
VLPが再アセンブリされる時点より前に、HPV 16と18とのVLPを、上記の過程中の任意の適切な時点で混合してよい。例として、2つの特定の方法を試験した:
1 HAステップの後、両抗原を混合する
HAプール中でのL1濃度に基づいて、HPV16と18の同等の濃縮に達するように、2つの構成成分を混合してUFステップを開始する。この場合、限外ろ過ステップの後、HPV18の精製物については、オクチルセファロースのステップを行い、その後DEAEのステップを、HPV16の手順と同様に行う。
【0095】
2 両方の抽出物の混合および同時精製
抽出物中のL1濃度に基づいて、2種の結合物をHPV16とHPV18とで等濃度になるように混合し、DMAEステップを開始する。再度、限外ろ過ステップの後、HPV18の精製物については、オクチルセファロースのステップを行い、その後DEAEのステップを、HPV16の手順と同様に行う。
【0096】

【0097】
VLP DMAEステップにおけるHPV16-HPV18の混合
同じフローシートが適用されるが、混合はUFステップの代わりにDMAEステップにおいて行う。陰イオン交換DMAE、TMAEのステップでの溶出に使用される濃度は、200mMである。
【0098】
結果
HPV16-HPV18 VLP混合UFステップ
2ロットの混合VLP(ロット番号31b165cおよび31b166c)を、HPV 16およびHPV 18 L1タンパク質を混合することによって作製した。
【0099】
SDS-PAGEによる純度
混合VLPの純度は、両方の「従来の(classical)」HPV 16またはHPV 18のもの(bulk)と同程度に良好であった。その純度は、95%を上回っていた。
【0100】
EMデータ(図1)
31B165C(成熟後UF保持)のEMを、従来のHPV16のロット(39B122c)と比較した。
【0101】
VLPの形成は良好で、サイズも均一であり、凝縮もなく、キャプソマーの若干の紐状のものが、両実験共において存在する。
【0102】
サイズ分布
VLPのサイズ分布は、Malvern Zetasizer 3000 HSを使用して決定された。
【0103】
Malvern分析(800μl/キュベット)用のプラスチック・キュベットにサンプルを入れて測定された(希釈しない)。
【0104】
技術的条件は、以下の通りであった:
- レーザー波長:532nm、
- レーザーパワー:50mW、
- 90度で散光検出、
- 温度:25°C、
- 期間:ソフトウェアによる自動決定、
- 回数:3回の連続的測定、
- z-平均直径:累積分析(cumulants analysis)による、
サイズ分布:Contin法による。
【0105】
従来のHPV18 L1-VLPの結果は、良好な多分散で70〜80nm(< 0.1)である。
【0106】
従来のHPV16 L1-VLPの結果は、良好な多分散で60〜70nm(< 0.1)である。
【0107】
混合VLPについて、以下の結果が得られた:
31B165c:良好な多分散(0.08)で85nm。VLPは、成熟の開始時にほぼ完全に形成されている;
31B166c:良好な多分散(0.08)で76nm。
【0108】
ダイナミックレーザー光散乱により測定したロット31B165cと31B166cのサイズ分布は、図2と3に示される。
【0109】
DMAEステップで混合されたHPV16-HPV18 VLP
ロット31B167Bは、ロットE18L1C005(HPV18)と39B167(HPV16)から作製した。
【0110】
SDS-PAGEによる純度
混合VLPの純度は、両方の「従来の」ものと同程度良好であった。その純度は、95%を上回った。
【0111】
サイズ分布
VLPのサイズ分布は、Malvern Zetasizer 3000 HSを使用して決定された。
【0112】
従来のHPV18 L1-VLPの結果は、良好な多分散で70〜80nm(< 0.1)である。
【0113】
従来のHPV16 L1-VLPの結果は、良好な多分散で60〜70nm(< 0.1)である。
【0114】
混合VLPについて、以下の結果が得られた:
31B167B:良好な多分散(0.07)で74nm。VLPは、成熟の開始時にほぼ完全に形成されている。
【実施例3】
【0115】
HPV 16、18、31、45を混合した混合ワクチンの作製
緒言
アルミニウム+3D-MPL(本明細書中は「アジュバントA」といい、50μgのアルミニウム塩と5μgの3D MPL)でアジュバント化したC末端の末端切断型L1 VLP16, 18, 31 および 45 Balb/Cマウスで免疫学的試験を行った。
【0116】
マウス10匹を1群として4群を、以下の通りそれぞれ2回、0日目と21日目に筋内に免疫した:
1.VLP 31(2μg)/アジュバントA
2.VLP 45(2μg)/アジュバントA
3.VLP 16(2μg)、そして、VLP 18(2μg)/アジュバントA
4.VLP 16(2μg)、VLP 18(2μg)、VLP 31(2μg)、VLP 45(2μg)/アジュバントA
VLP 16、18、31および45に対する抗体反応は、35日目(2回目の投与後14日目:ポストII)に血清採取してモニターした。
【0117】
結果を図4〜7に示した。
【0118】
VLP 16に対する抗体反応
・強い抗体反応は、アジュバントAとVLP 18と調合されたVLP16(群3)または完全な組合せ(群4)でのポストIIの血清で誘発されている。
【0119】
・両群で類似したVLP16に対する抗体レベルが測定され、干渉は観察されない。
【0120】
VLP 18に対する抗体反応
・強い抗体反応は、アジュバントAとVLP 16と調合されたVLP18(群3)または完全な組合せ(群4)でのポストIIの血清で誘発されている。
【0121】
・両群で類似したVLP18に対する抗体レベルが測定され(1.5倍未満の差)、干渉は観察されない。
【0122】
VLP 31に対する抗体反応
・強い抗体反応は、アジュバントAのみとと調合されたVLP 31(群1)または完全な組合せ(群4)でのポストIIの血清で誘発されている。
【0123】
・両群で類似したVLP31に対する抗体レベルが測定され、干渉は観察されない。
【0124】
VLP 45に対する抗体反応
・強い抗体反応は、アジュバントAのみと調合されたVLP 45(群2)または完全な組合せ(群4)でのポストIIの血清で誘発されている。
【0125】
・両群で類似したVLP45に対する抗体レベルは測定され、干渉は観察されない。
【0126】
結論
4つのVLP(VLP16、18、31及び45)が組合せとして送達される場合、干渉は観察されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45の遺伝子型に由来するL1タンパク質または機能的L1タンパク質誘導体を含むVLPを含むワクチン組成物。
【請求項2】
HPV16 VLP、HPV 18 VLP、HPV 31 VLP、およびHPV 45 VLPの混合物を含み、ここで、各VLPは、1種のみのHPV遺伝子型に由来するL1タンパク質または機能的L1タンパク質誘導体を含む、請求項1記載のワクチン。
【請求項3】
VLPがHPV L1タンパク質または機能的L1タンパク質誘導体を含むL1のみのVLPであり、他のいかなるHPVタンパク質も含まない、請求項2記載のワクチン。
【請求項4】
本質的に、HPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45由来のタンパク質のみからなるVLPを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのL1タンパク質が末端切断型L1タンパク質である、請求項1〜4のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項6】
組成物が、さらなるHPV遺伝子型に由来するL1タンパク質またはその機能的誘導体を含有するVLPを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項7】
さらなるHPV遺伝子型に由来するVLPが、HPV 33、52、53、58、35、56、および59のうちの選択された1つのたL1タンパク質または機能的L1タンパク質誘導体を含む、請求項6記載のワクチン組成物。
【請求項8】
子宮頸癌の予防において、少なくとも60%の有効性を有する、請求項1〜7のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項9】
E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7またはE8から選択されるHPV早期抗原またはその免疫学的に活性な断片を含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項10】
性感染症を引き起こす生物に由来する抗原とともに製剤された、請求項1〜9のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項11】
抗原がHSV抗原またはその免疫学的に活性な断片である、請求項10記載のワクチン組成物。
【請求項12】
抗原がHIV抗原またはその免疫学的に活性な断片である、請求項10記載のワクチン組成物。
【請求項13】
抗原がクラミジア抗原またはその免疫学的に活性な断片である、請求項10記載のワクチン組成物。
【請求項14】
HPV L2タンパク質またはその断片を含む、請求項1〜13のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項15】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項16】
アジュバントがアルミニウム塩である、請求項15記載のワクチン組成物。
【請求項17】
アルミニウム塩が水酸化アルミニウムである、請求項16記載のワクチン組成物。
【請求項18】
3D MPLをさらに含む、請求項16または17記載のワクチン組成物。
【請求項19】
VLPがキメラでないL1タンパク質を含む、請求項1〜18のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項20】
HPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45に由来するL1タンパク質または機能的L1タンパク質誘導体を含むVLPを混合することを含み、請求項1〜19のいずれか1項記載のワクチンを作製するためのワクチンの生産方法。
【請求項21】
L1タンパク質またはその機能的誘導体を含むHPV 16、HPV 18、HPV 31およびHPV 45 VLPの混合物の、HPV感染症に関連する障害の予防または治療のためのワクチンの調製における使用。
【請求項22】
HPV感染症の予防またはHPV感染症に関連する疾患の治療方法であって、有効量の、請求項1〜21のいずれか1項に記載のワクチン組成物を、感染または疾患のリスクのある個体に送達することを含む、上記方法。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のワクチン組成物を含み、HPV 16、18、31および45に由来するVLPが、混合の前に水酸化アルミニウムに吸着することを特徴とする、安定化されたワクチン組成物。
【請求項24】
1のVLPタイプに対する免疫応答が、別々に測定される同じタVLPタイプの応答の少なくとも50%であることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか1項記載のワクチン組成物、方法または使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−90158(P2010−90158A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280524(P2009−280524)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【分割の表示】特願2003−575995(P2003−575995)の分割
【原出願日】平成15年3月17日(2003.3.17)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】