説明

ウェブ巻付方法及びウェブ巻付装置

【課題】ウェブを巻芯に正確に巻き付けることができるウェブ巻付方法とウェブ巻付装置の提供を課題とする。
【解決手段】巻芯32にウェブTを巻き付けるためのウェブ巻付方法とウェブ巻付装置であって、保持機構50によって保持されたウェブTの端部Tfを巻芯32に押し当てつつ巻芯32を所定量回転させ、その後、保持機構50の保持を解除することによってウェブTの端部Tfを巻芯32に貼り付け、その後、巻芯32を回転させてウェブTを巻芯32に巻き取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブを巻芯に巻き付ける方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁気テープ等の記録テープが巻装され、ケース内に収容されてなるリールは知られている。このようなリールにおいて、そのハブの外周面には、記録テープがその自由端部を貼り付けられてから巻き付けられる。すなわち、ハブの外周面にアルコール等の記録テープ貼付用液体を塗布し、その液体の表面張力によって、記録テープの自由端部をハブの外周面に貼り付けてから、その記録テープがハブに巻回されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−259273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような記録テープ巻付方法であると、記録テープ貼付用液体(アルコール等)のハブ(巻芯)の高さ方向(軸方向)における乾燥速度は均一になり難いため、記録テープ(ウェブ)の自由端部をハブの外周面に貼り付け、その記録テープをハブに巻回し始めたときに、その記録テープの自由端部がハブの高さ方向(軸方向)へ傾き易く、場合によっては斜めに貼り付いてしまうことがあった。この状態で記録テープが順次ハブに巻回されて行くと、記録テープのエッジ(幅方向端部)がフランジに当たってしまい、それによってエッジが折れ曲がるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、ウェブを巻芯に正確に巻き付けることができるウェブ巻付方法とウェブ巻付装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のウェブ巻付方法は、巻芯にウェブを巻き付けるためのウェブ巻付方法であって、保持機構によって保持された前記ウェブの端部を前記巻芯に押し当てつつ該巻芯を所定量回転させ、その後、前記保持機構の保持を解除することによって前記ウェブの端部を前記巻芯に貼り付ける仮付工程と、前記仮付工程後、前記巻芯を回転させて前記ウェブを該巻芯に巻き取る巻取工程と、を有することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ウェブの端部と巻芯との間に、ウェブ貼付用液体などが介在しないため、巻芯の軸方向における力の分布が均一となり、ウェブを巻芯に巻回し始めても、ウェブの端部が巻芯の軸方向へ傾くことがない。つまり、ウェブの幅方向変動力が極力抑制され、ウェブの貼付位置が安定する。よって、ウェブを巻芯に正確に巻き付けることができる。
【0008】
また、請求項2に記載のウェブ巻付方法は、請求項1に記載のウェブ巻付方法において、前記仮付工程で、前記ウェブの前記巻芯との接触面に摩耗粉を発生させ、その摩耗粉によって該ウェブの端部を前記巻芯に貼り付けることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、ウェブの巻芯との接触面に発生した摩耗粉によって、そのウェブの端部を巻芯に貼り付けるため、巻芯の軸方向における力の分布が均一となり、ウェブを巻芯に巻回し始めても、ウェブの端部が巻芯の軸方向へ傾くことがない。
【0010】
また、請求項3に記載のウェブ巻付方法は、請求項1又は請求項2に記載のウェブ巻付方法において、前記仮付工程で、前記ウェブの端部を前記保持機構に設けられた弾性体で支持して前記巻芯に押し当てることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、ウェブの巻芯への接触面積を増加させることができる。つまり、巻芯に対してウェブの端部を効率よく押し当てることができる。
【0012】
また、請求項4に記載のウェブ巻付方法は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のウェブ巻付方法において、前記仮付工程で、前記ウェブが前記巻芯に押し当てられているときの該巻芯の回転速度が、前記ウェブを前記巻芯に貼り付ける際の該巻芯の回転速度よりも高速とされていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、製造タクトを向上させることができる。つまり、ウェブは、回転する巻芯との接触距離が長ければ長いほど、巻芯に対する貼付力が増加する。したがって、同じ接触距離であれば、巻芯の回転速度が速ければ速いほど、短時間で貼り付けられる。
【0014】
また、請求項5に記載のウェブ巻付方法は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のウェブ巻付方法において、前記仮付工程で、前記保持機構の保持を解除するときに、該保持機構から前記ウェブに向かってエアーを噴出することを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、ウェブを保持機構から巻芯へスムーズに受け渡すことができるとともに、その受け渡し不良が発生しないようにできる。
【0016】
また、本発明に係る請求項6に記載のウェブ巻付装置は、巻芯を回転させる回転機構と、ウェブを保持可能に構成されるとともに、移動可能に構成された保持機構と、前記保持機構に保持された前記ウェブの端部が前記巻芯に押し当てられつつ該巻芯が所定量回転され、その後、前記保持機構の保持が解除されてから前記巻芯が回転されるように、前記回転機構と前記保持機構とを制御する制御手段と、を有することを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、ウェブの端部と巻芯との間に、ウェブ貼付用液体などが介在しないため、巻芯の軸方向における力の分布が均一となり、ウェブを巻芯に巻回し始めても、ウェブの端部が巻芯の軸方向へ傾くことがない。つまり、ウェブの幅方向変動力が極力抑制され、ウェブの貼付位置が安定する。よって、ウェブを巻芯に正確に巻き付けることができる。
【0018】
また、請求項7に記載のウェブ巻付装置は、請求項6に記載のウェブ巻付装置において、前記保持機構に設けられ、前記ウェブの端部を前記巻芯に押し当てるときに支持する弾性体を有することを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、ウェブの巻芯への接触面積を増加させることができる。つまり、巻芯に対してウェブの端部を効率よく押し当てることができる。
【0020】
また、請求項8に記載のウェブ巻付装置は、請求項7に記載のウェブ巻付装置において、前記弾性体が、前記保持機構に形成された凹部内に設けられていることを特徴としている。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、保持機構に保持されたウェブの端部を巻芯に対して効率よく押し当てることができる。
【0022】
また、請求項9に記載のウェブ巻付装置は、請求項8に記載のウェブ巻付装置において、前記弾性体が、前記巻芯の曲率以下の曲率とされた曲面形状に形成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、ウェブの巻芯への接触面積を更に増加させることができる。
【0024】
また、請求項10に記載のウェブ巻付装置は、請求項6〜請求項9の何れか1項に記載のウェブ巻付装置において、前記保持機構が、エアーを吸引することにより前記ウェブを保持し、エアーを噴出することにより前記ウェブを放出する構成とされていることを特徴としている。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、ウェブを保持機構から巻芯へスムーズに受け渡すことができるとともに、その受け渡し不良が発生しないようにできる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、ウェブを巻芯に正確に巻き付けることができるウェブ巻付方法とウェブ巻付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】記録テープカートリッジの概略斜視図
【図2】(A)リールに記録テープを巻回し始めるときの概略斜視図、(B)リールに記録テープを巻回し終えたときの概略斜視図
【図3】巻付装置に備えられている保持機構の概略斜視図
【図4】吸着台に保持されている記録テープを保持機構が保持する工程を示す説明図
【図5】吸着台に保持されていた記録テープを保持機構が保持した工程を示す説明図
【図6】記録テープを保持した保持機構がリールハブ側へ移動した工程を示す説明図
【図7】保持機構に保持された記録テープが押し当てられたリールハブが回転する工程を示す説明図
【図8】保持機構からエアーを噴出させて記録テープをリールハブへ受け渡す工程を示す説明図
【図9】(A)保持機構に保持された記録テープが押し当てられたリールハブが回転する工程を拡大して示す説明図、(B)記録テープをリールハブに貼り付けた保持機構がリールハブから離脱する工程を拡大して示す説明図
【図10】記録テープの表面粗さと貼付力との関係を示すグラフ
【図11】(A)記録テープがリールハブに押し当てられる前の状態を示す説明図、(B)記録テープがリールハブに押し当てられてそのリールハブが回転した後の状態を示す説明図
【図12】リールハブに摩擦力又は摩耗粉によって貼り付けられた記録テープを示す概略側面図
【図13】別の保持機構に保持された記録テープが押し当てられたリールハブが回転する工程を示す説明図
【図14】別の保持機構に保持された記録テープが押し当てられたリールハブが回転する工程を示す説明図
【図15】リールハブにアルコールによって貼り付けられた記録テープを示す比較例の概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態に係るウェブ巻付方法及びウェブ巻付装置は、記録テープカートリッジ10に単一で収容されるリール30に好適に用いることができるため、そのリール30に巻回される記録テープTをウェブの一例として採用するが、本実施形態に係るウェブ巻付方法及びウェブ巻付装置は、ウェブが、その一方の端部を巻芯の外周面に貼り付けられてから巻回される構成のもの全般に対して適用が可能である。
【0029】
図1は記録テープカートリッジ10の概略斜視図であり、図2はリール30の概略斜視図である。まず最初に、記録テープカートリッジ10について簡単に説明するが、その説明の便宜上、矢印FRを前方向、矢印UPを上方向、矢印RIを右方向とする。つまり、各図において、矢印FR、矢印UP、矢印RIが示されている場合は、その矢印で示す方向に基づいて前後・上下・左右の表現をする。
【0030】
図1で示すように、この記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。このケース12は、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製の上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに当接させた状態で、ビス止め等によって接合されて構成されている。
【0031】
ケース12の内部には、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製のリール30が1つだけ回転可能に収容されている。図2(A)で示すように、このリール30は、軸心部を構成する有底円筒状のリールハブ32と、その下端部に設けられる下フランジ36と、その上端部に設けられる上フランジ34とで構成されており、リールハブ32の外周面32Aに、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが巻回され、上フランジ34及び下フランジ36によって、その巻回された記録テープTの幅方向の端部が保持されるようになっている。
【0032】
また、リールハブ32の底壁の下面には、リールギア(図示省略)が環状に形成されており、そのリールギアの径方向内側には、磁性材からなる環状のリールプレート(図示省略)がインサート成形等により一体に固着されている。そして、そのリールプレートの径方向内側には、後述するブレーキ部材操作用の貫通孔39(図4〜図9参照)が穿設されている。
【0033】
また、下ケース16の略中央部には、そのリールギア及びリールプレートを外部に露出するためのギア開口(図示省略)が穿設されており、このギア開口から露出されるリールギアが、ドライブ装置の回転シャフト(図示省略)に形成された駆動ギア(図示省略)に噛合されて回転駆動されることにより、ケース12内において、リール30がケース12に対して相対回転可能とされる。
【0034】
また、リールハブ32の底壁の上面には、係合ギア38(図4〜図9参照)が環状に形成されており、この係合ギア38は、不使用時(ドライブ装置に装填されないとき)において、ケース12(上ケース14)に対して回転不能とされたブレーキ部材(図示省略)の制動ギアと噛合するようになっている。すなわち、不使用時に、ブレーキ部材の制動ギアが係合ギア38に噛合することにより、リール30がケース12内において不用意に回転しないようになっている。
【0035】
また、ケース12の右壁12Aには、リール30に巻装された記録テープTを引き出すための開口18が形成されており、この開口18から引き出される記録テープTの自由端部には、ドライブ装置の引出部材(図示省略)によって係止(係合)されつつ引き出し操作されるリーダーピン20が固着されている。
【0036】
リーダーピン20の軸方向両端部には、厚板状の大フランジ部24が一体に設けられており、この大フランジ部24の軸方向内側には、薄板状の小フランジ部22が所定間隔を隔てて一体に設けられている。この小フランジ部22間に記録テープTの自由端部が固着されており、小フランジ部22と大フランジ部24との間が、ドライブ装置の引出部材のフック等が係止される環状溝23とされている。
【0037】
また、ケース12の開口18の内側、即ち上ケース14の天板14A内面及び下ケース16の底板16A内面には、ケース12内においてリーダーピン20を位置決めして保持する上下一対のピン保持部26が設けられている。このピン保持部26は、記録テープTの引き出し側が開放された略半円形状をしており、直立状態のリーダーピン20の大フランジ部24は、その開放側からピン保持部26内に出入可能とされている。
【0038】
また、ピン保持部26の近傍には、板バネ(図示省略)が固定配置されるようになっており、この板バネの二股状の先端部がリーダーピン20の大フランジ部24にそれぞれ係合してリーダーピン20をピン保持部26に保持するようになっている。そして、リーダーピン20がピン保持部26に出入する際には、板バネの先端部が適宜弾性変形してリーダーピン20の移動を許容するようになっている。
【0039】
また、その開口18は、ドア28によって開閉される。このドア28は、開口18を閉塞可能な大きさの略矩形板状に形成され、その開口18を閉塞する方向へ図示しない付勢部材により付勢されている。そして、ドア28の前端部には、開閉操作用の凸部28Aが外方に向かって突設されている。この凸部28Aが、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填に伴い、そのドライブ装置の開閉部材(図示省略)と係合するようになっており、これによって、ドア28が付勢部材の付勢力に抗して開放されるようになっている。
【0040】
以上のような構成の記録テープカートリッジ10のリール30には、図2(B)で示すように、記録テープTが巻装される。すなわち、図2(A)で示すように、リールハブ32の外周面32Aに、記録テープTの(リーダーピン20が取り付けられる自由端部とは反対側の)自由端部Tfが貼り付けられ、その後、リール30を回転させることにより、記録テープTが順次リールハブ32に巻回されるようになっている。そこで次に、そのリールハブ32に記録テープTを巻回する巻付装置40について説明する。
【0041】
図3は巻付装置40に備えられている保持機構50の概略斜視図であり、図4〜図8は巻付装置40において、記録テープTをリールハブ32の外周面32Aに貼り付ける各工程を示す説明図である。そして、図9は保持機構50からリールハブ32へ記録テープTを受け渡す工程を拡大して示す説明図である。
【0042】
図4〜図8で示すように、この巻付装置40には、記録テープTの繰出機構42と、記録テープTの自由端部Tfを一時的に吸着保持する吸着台44と、リール30を保持して回転させる回転機構46と、記録テープTの自由端部Tfを吸着保持して移動する保持機構50と、が備えられている。なお、図4〜図9では説明(図面)を簡略化するために、リール30のリールハブ32のみを平断面視で示している。
【0043】
繰出機構42には、記録テープTをガイドするガイドローラー48が複数設けられている。そして、吸着台44の下面には、多数の貫通孔(図示省略)が穿設され、各貫通孔にはチューブ(図示省略)を介してエアー吸引装置(図示省略)が連通接続されている。したがって、エアー吸引装置により各貫通孔からエアーが吸引されることで、吸着台44の下面に記録テープTが吸着保持される。
【0044】
また、回転機構46には、回転駆動ギア(図示省略)が環状に設けられており、その回転駆動ギアの径方向内側には、その回転駆動ギアと共に回転するマグネット(図示省略)が設けられている。したがって、リールハブ32の底壁の下面に形成されたリールギアが回転駆動ギアに噛合し、リールプレートがマグネットに吸着されることで、リールハブ32が回転機構46に保持されつつ回転可能となる。
【0045】
吸着台44の下方には、記録テープTを吸着保持可能に構成されるとともに、移動可能に構成された保持機構50が設けられている。この保持機構50は、図3で示すように、細長い略矩形箱状に形成され、その内部は空洞とされている。そして、この保持機構50の前端近傍(長手方向中央よりも前端側)には、所定深さの凹部52が形成されており、その凹部52内には、矩形状の弾性体60が接着剤等の固着手段によって固着されている。
【0046】
この弾性体60は、適度な硬度を備えたスポンジ状の物質(例えば、SRIS0101に準ずる測定法で硬度22)によって構成されており、保持機構50で吸着保持した記録テープTをリールハブ32の外周面32Aに押し当てる(圧接させる)際に、その記録テープTが効率よくリールハブ32の外周面32Aに接触できるように(接触面積を増加できるように)、その記録テープTを下方側から支持するようになっている。
【0047】
また、その凹部52(弾性体60)の両側(前側と後側)における保持機構50の上面50Aには、多数の貫通孔54が形成されている。各貫通孔54は、図4〜図8で示すように、それぞれ前側用チューブ56及び後側用チューブ58の一端部に設けられた多数の接続部56A、58Aと連通接続されており、前側用チューブ56及び後側用チューブ58の他端部は、図3で示すように、保持機構50の後端側壁面50Bに形成された貫通孔55からそれぞれ引き出されて、エアー吸引・供給装置(図示省略)に連通接続されている。
【0048】
したがって、エアー吸引・供給装置によりエアーが吸引されると、各貫通孔54からエアーが吸引され、記録テープTが、保持機構50の上面50Aに吸着保持される構成である。そして、エアー吸引・供給装置からエアーが供給されると、各貫通孔54からエアーが噴出されて、後述するように記録テープTが保持機構50の上面50Aから放出される構成である。
【0049】
更に、この保持機構50は、図示しないリニアガイドやエアシリンダー等の移動機構により、前進移動(矢印FR方向への移動)、後進移動(矢印FR方向とは逆方向への移動)、上昇移動(矢印UP方向への移動)、下降移動(矢印UP方向とは逆方向への移動)ができるように構成されている。つまり、この保持機構50は、記録テープTを吸着保持した状態で、リールハブ32に対して接近・離隔移動が可能となっており、その凹部52内に設けられた弾性体60をリールハブ32に対して接触(圧接)・離脱させることが可能になっている。
【0050】
以上のような構成とされた巻付装置40及び保持機構50において、次にその作用について主に図4〜図9を基に説明する。図4で示すように、繰出機構42により各ガイドローラー48を経て繰り出された記録テープTの自由端部Tfは、吸着台44に吸着保持される。すなわち、エアー吸引装置により各貫通孔からエアーが吸引されることで、記録テープTの自由端部Tfが吸着台44の下面に一時的に吸着保持されている。
【0051】
一方、回転機構46にはリール30がセットされている。つまり、リールハブ32の底壁の下面に形成されたリールギアが回転駆動ギアに噛合され、リールプレートがマグネットに吸着されている。また、保持機構50は、吸着台44の下方位置に前進移動して来て待機している。
【0052】
さて、この状態で、記録テープTのリールハブ32への巻付工程を開始すると、まず図4で示すように、保持機構50が上昇移動する。そして、図5で示すように、吸着台44に吸着保持されている記録テープTの自由端部Tfを、その下面側から吸着保持する。すなわち、エアー吸引・供給装置により各貫通孔54からエアーを吸引することにより、記録テープTの自由端部Tfを保持機構50の上面50Aに吸着保持する。
【0053】
そして、保持機構50が記録テープTの自由端部Tfを吸着すると、吸着台44に連通接続されているエアー吸引装置は停止し、記録テープTに対する吸着は解除される。なお、吸着台44に別のエアー吸引・供給装置を連通接続し、保持機構50へ記録テープTの自由端部Tfを受け渡すときに、吸着台44の各貫通孔からエアーを噴出させて、その受け渡し動作が速やかに行われるようにしてもよい。
【0054】
こうして、記録テープTの自由端部Tfを上面50Aに吸着保持した保持機構50は、図5で示すように、吸着台44から離隔するように少し下降移動し、次いで図6で示すように、リールハブ32の直下の所定位置まで前進移動する。そして、リールハブ32の直下に配置された保持機構50は、図7で示すように、所定高さ上昇移動して、その凹部52に設けられた弾性体60をリールハブ32の外周面32Aに押し当てる。
【0055】
つまり、エアシリンダー等の移動機構によって保持機構50が上昇されることにより、弾性体60上に存在する記録テープTの自由端部Tfが、リールハブ32の外周面32Aに所定の圧力で圧接される。なお、このとき、弾性体60は、リールハブ32の外周面32Aに相対的に下方へ押圧されて適宜弾性変形するので、リールハブ32の外周面32Aに対する記録テープTの接触面積が良好に確保され、後述するように記録テープTの貼付力が向上される。
【0056】
したがって、移動機構による弾性体60(保持機構50)のリールハブ32(外周面32A)に対する押圧力は、できるだけ高くする方が望ましい。つまり、その押圧力が高ければ高いほど、弾性体60の弾性変形量を増加させることができるので、リールハブ32の外周面32Aに対する記録テープTの接触面積を増加させることができる。なお、この押圧力は、移動機構がエアシリンダーで構成されている場合、その圧力制御によってコントロールすることができる。
【0057】
こうして、記録テープTの自由端部Tfが、リールハブ32の外周面32Aに所定の圧力で押し当てられたら(圧接されたら)、図7、図9(A)で示すように、リールハブ32が、図示の矢印A方向(反時計回り方向)に所定の速度(例えば300rpm)で数秒間回転する。すなわち、記録テープTに対してリールハブ32の外周面32Aが所定距離(例えば2000mm以上)摺接する(擦られる)。すると、図8、図9(B)で示すように、リールハブ32の外周面32Aに記録テープTの自由端部Tfが貼り付く。
【0058】
ここで、この記録テープTの貼付力は、リールハブ32の外周面32Aに接触する記録テープTの接触面である非磁性面(以下「バック面Tb」という)の表面粗さRa[nm]によって決まる。すなわち、図10で示すように、記録テープTのバック面Tbの表面粗さRaが小さい(Ra<約5nmの平滑面の)場合には、リールハブ32の外周面32Aに対する摩擦力が大きいので、貼付力が高い(貼り付き易い)。したがって、この場合には、記録テープTに対するリールハブ32(外周面32A)の接触時間(接触距離)が短くても貼り付く。
【0059】
しかし、記録テープTのバック面Tbの表面粗さRaが大きい(Ra≧約5nmの粗い面の)場合には、リールハブ32の外周面32Aに対する摩擦力が小さいので、貼付力が低い(貼り付き難い)。したがって、この場合には、記録テープTに対するリールハブ32(外周面32A)の接触時間(接触距離)を長くして、その自由端部Tfのバック面Tbに摩耗粉Dを発生させ、その摩耗粉Dによって、リールハブ32(外周面32A)に対する貼付力を高めるようにしている。以下、そのメカニズムについて、図11を基に説明する。
【0060】
図11(A)で示すように、リールハブ32の外周面32Aには、酸化膜Mが形成されており、記録テープTのバック面Tbとリールハブ32の外周面32A(酸化膜M)とが、互いに押圧状態で擦れると、図11(B)で示すように、その酸化膜Mの一部が剥離するとともに、バック面Tbにおける微小突起が削れて摩耗粉Dが発生し、記録テープTの表面(バック面Tb)に現出する。
【0061】
すると、その摩耗粉Dが、リールハブ32の外周面32Aに付着し、更にリールハブ32の記録テープTに対する摺接によって引き延ばされることにより、その凝着力が高められる(特に、酸化膜Mが剥離した外周面32Aでは表面エネルギーが上昇し、その凝着力が高められる)。したがって、その凝着力が高められた摩耗粉Dが接着剤の役割を果たし、これによって、記録テープT(自由端部Tf)のリールハブ32の外周面32Aに対する貼付力が得られる。
【0062】
しかも、記録テープTのバック面Tbにおける微小突起が削れることで、そのバック面Tbが平滑面に近づくので、リールハブ32の外周面32Aに対する摩擦力をも高めることができる。よって、バック面Tbの表面粗さRaが大きい(粗い面の)記録テープTでも、その自由端部Tfのリールハブ32の外周面32Aに対する貼付力が高められ、その自由端部Tfがリールハブ32の外周面32Aに貼り付く。
【0063】
なお、リールハブ32の外周面32Aと記録テープTとの接触距離(=リールハブ32の円周長(mm)×リールハブ32の回転速度(1回転/秒)×時間(秒))が長ければ長いほど、摩耗粉Dの発生量を増加させることができる。したがって、弾性体60により、リールハブ32の外周面32Aに対する記録テープTの接触面積が増加されることは有効となる。
【0064】
以上、説明したようなメカニズムにより、記録テープTの自由端部Tfが、アルコールなどの記録テープ貼付用液体を使用せずに、リールハブ32の外周面32Aに貼り付けられるが、このとき(記録テープTがリールハブ32の外周面32Aに押し当てられて擦られる摺接時)のリールハブ32の回転速度は、速ければ速いほど好ましい。つまり、接触距離(摩擦距離)が同じであれば、リールハブ32の回転速度が速い方が短時間で貼り付けられるため、結果的に製造タクト(生産性)を向上させることができる。
【0065】
こうして、リールハブ32の外周面32Aに記録テープTの自由端部Tfが貼り付いたら、リールハブ32の回転速度を減速し(例えば60rpmとし)、エアー吸引・供給装置によりエアーを供給して、図8で示すように、保持機構50の前側の各貫通孔54からエアーを噴出させる。
【0066】
すると、記録テープTの自由端部Tfが、リールハブ32の外周面32Aに貼り付き、保持機構50からリールハブ32へスムーズに記録テープTが受け渡される。つまり、保持機構50は、少なくとも前側の各貫通孔54からエアーを噴出させる構成にすることが望ましく、これによって、記録テープTの受け渡し不良等が発生しないようにできる。
【0067】
こうして、リールハブ32の外周面32Aに記録テープTの自由端部Tfが貼り付けられたら、図8で示すように、保持機構50の後側の各貫通孔54からエアーを噴出させるか、又はその各貫通孔54からのエアーの吸引を停止し、保持機構50による記録テープTの吸着を解除する。そして、その後、図9(B)で示すように、保持機構50が下降移動して、リールハブ32から離脱する。
【0068】
保持機構50がリールハブ32から離脱したら、繰出機構42により、記録テープTに所定の張力(例えば厚さが6.6μmの記録テープTの場合には約1g〜3g程度)を付与しつつ、回転機構46の回転駆動ギアが、上記摺接時の回転速度よりも低速(例えば60rpm)で回転する。これにより、記録テープTがリールハブ32の外周面32Aに所定量巻き付けられる。
【0069】
なお、このとき、記録テープTに加える張力(テープテンション)はできるだけ小さくする方が望ましい。すなわち、例えば上記厚さとされた記録テープTの自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに貼り付けて巻回して行く場合、その張力を3gよりも大きくすると、記録テープTの自由端部Tfがリールハブ32の外周面32A上を大きくスリップして剥離してしまうおそれがある。
【0070】
したがって、上記厚さとされた記録テープTの自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに貼り付け、次いで、その記録テープTをリールハブ32に所定量巻き付けて行く場合には、その記録テープTの張力を3g以下とすることが望ましく、テンションフリーとすることが最も望ましい。
【0071】
以上の工程が記録テープTのリールハブ32に対する仮付工程であるが、この仮付工程によって記録テープTの自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに貼り付けると、その自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに対して正確に(記録テープTの長手方向がリールハブ32の軸方向と直交する方向となるように)貼り付けることができる。
【0072】
すなわち、例えば図15で示す比較例のように、リールハブ32の外周面32Aに、記録テープ貼付用液体としてのアルコールLを所定幅W(図15(A)参照)で塗布して、記録テープTの自由端部Tfを貼り付ける方式では、アルコールLのリールハブ32の高さ方向(軸方向)における乾燥速度が均一でないため、正確に(記録テープTの長手方向がリールハブ32の軸方向と直交する方向となるように)貼り付けることが困難となる。
【0073】
具体的に説明すると、図15(B)、図15(C)で示すように、記録テープTの自由端部Tfを、アルコールLが塗布された部分に貼り付けるときに、例えば下フランジ36側が略半分乾燥してしまって、上フランジ34側の略半分にしかアルコールLが残っていない場合、記録テープTは、ある程度の張力が加えられた状態でリールハブ32に巻回されるため、その貼り付いた部位で記録テープTの自由端部Tfが拘束されてしまい、その自由端部Tfが上フランジ34側(リールハブ32の軸方向)に向かって傾いてしまうことがあった。
【0074】
つまり、図15(D)で示すように、記録テープTの自由端部Tfが、リールハブ32の軸方向と直交する方向に対して斜めに貼り付いてしまい、この状態で記録テープTがリールハブ32に巻回されて行くと、記録テープTのエッジ(幅方向端部)が上フランジ34に当たって折れ曲がることがあった。特に、この現象は、上下フランジ34、36間の間隔が狭い(例えば12.67mm)場合や、記録容量を増加させるために記録テープTの厚さが薄くなった(例えば6.6μm)場合に顕著に現れる。
【0075】
このように、リールハブ32の外周面32AにアルコールL等の記録テープ貼付用液体を塗布して記録テープTの自由端部Tfを貼り付ける構成であると、特に厚さが従来よりも薄くなった記録テープTの場合には、その自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに正確に(記録テープTの長手方向がリールハブ32の軸方向と直交する方向となるように)貼り付けることが困難になっていた。
【0076】
しかしながら、本実施形態では、記録テープ貼付用液体を使用せずに、記録テープTの自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに貼り付ける構成としたので、リールハブ32の高さ方向(軸方向)における力の分布が均一となり、正確に(記録テープTの長手方向がリールハブ32の軸方向と直交する方向となるように)貼り付けることができる。つまり、図12で示すように、記録テープTのエッジと上下フランジ34、36との間に一定の間隙S1、S2がそれぞれ形成される状態で貼り付けることが可能となる。
【0077】
なお、仮に記録テープTがリールハブ32の高さ方向(軸方向)に傾いた状態で貼り付けられても、リールハブ32を回転させたまま、記録テープTを吸着台44で一時的に吸着することで、その記録テープTに張力を発生させることができるので、その張力によって記録テープTの姿勢が矯正され、僅少にしか傾かないようにできる。よって、記録テープTのエッジが上下フランジ34、36に当たることがないし、仮に当たったとしても折れ曲がることがない。
【0078】
こうして、リールハブ32に記録テープTが所定量巻回されたら、巻取工程に移行する。すなわち、吸着台44の吸着を解除し、記録テープTを更に所定量巻き付ける。そして、繰出機構42により、記録テープTの張力を規格値へ変更し、回転駆動ギアを超高速で回転させ、リールハブ32に記録テープTを順次巻き付けて行く。これにより、リール30は、最終的には図2(B)で示す状態となる。
【0079】
以上、説明したように、リールハブ32の外周面32Aと記録テープTの自由端部Tfとを摺接させ(擦らせ)、その両者の摩擦力又はその摩擦により発生する摩耗粉Dで、その自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに貼り付ける構成であると、リールハブ32の外周面32AにアルコールL等の記録テープ貼付用液体を塗布して貼り付ける構成に比べて、その自由端部Tfの貼付位置が拘束されないため、リールハブ32の高さ方向(軸方向)における変動を抑制することができ、記録テープTの自由端部Tfの貼付位置を安定化することができる。
【0080】
また、アルコールL等の記録テープ貼付用液体を塗布して記録テープTの自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに貼り付けていると、その記録テープTの自由端部Tfがリールハブ32の外周面32Aに強固に貼り付いてしまうことがあり、その場合に、例えばドライブ装置が誤動作して、記録テープTを最後まで巻き取ってしまうようにリール30を回転させてしまったときには、記録テープTがリールハブ32の外周面32Aから剥離されないため、ドライブ装置に負荷が掛かり、ドライブ装置が故障してしまうおそれがある。
【0081】
しかし、記録テープ貼付用液体を使わずに、リールハブ32の外周面32Aに記録テープTの自由端部Tfを貼り付かせる構成であると、ドライブ装置が誤動作して、記録テープTを最後まで巻き取ってしまうようにリール30を回転させても、その記録テープTの自由端部Tfは、スムーズにリールハブ32の外周面32Aから剥離されるため、ドライブ装置に負荷が掛かることがなく、ドライブ装置が故障するおそれがない。
【0082】
また、記録テープ貼付用液体を使わずに、リールハブ32の外周面32Aに記録テープTの自由端部Tfを貼り付かせる構成であると、リールハブ32の外周面32AにアルコールL等の記録テープ貼付用液体を塗布する動作が不要となるため、全体的に製造タクトを向上でき、かつ、そのアルコールL等の消耗品が不要となるため、製造コストを低減することができる。
【0083】
また、リールハブ32の外周面32Aと記録テープTの自由端部Tfとを摺接させる(擦らせる)だけでよいため、そのとき(摺接時)のリールハブ32の回転速度を、記録テープTを貼り付ける際のリールハブ32の回転速度よりも高速とすることができる。したがって、これによっても、製造タクトを向上させることができる。また、リールハブ32の外周面32Aと記録テープTの自由端部Tfとを摺接させられればよいため、リールハブ32の外周面32Aと保持機構50に設けられた弾性体60との位置決め精度がそれ程要求されない利点もある。
【0084】
ここで、上記仮付工程により自由端部Tfが貼り付けられた記録テープTが、上記巻取工程により巻き付けられてなるリール30において、その記録テープTのエッジ折れの発生確率を表1に示す。この表1で示すように、本実施形態に係る巻付方法によって記録テープTの自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに貼り付けた場合には、記録テープTのエッジ折れは全く発生しなかった。したがって、本実施形態に係る巻付方法は極めて有効である。
【0085】
【表1】

【0086】
なお、保持機構50の凹部52及び弾性体60の形状は、図13で示す形状としてもよい。すなわち、保持機構50の凹部52を、側面視略円弧状となる曲面状に形成するとともに、弾性体60もその形状に沿って、側面視略円弧状となる曲面状に形成してもよい。但し、この場合の凹部52及び弾性体60の曲率は、リールハブ32の曲率以下とすることが望ましい。
【0087】
つまり、上記したように、記録テープTの自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに貼り付かせるためには、リールハブ32の外周面32Aと記録テープTとの接触面積は、できるだけ大きい方が望ましい。したがって、凹部52及び弾性体60は、リールハブ32の外周面32Aの曲率以下の曲率を有する曲面形状(側面視略円弧状)に形成し、その接触面積が良好に確保される構成とすることが望ましい。
【0088】
また、保持機構50の凹部52及び弾性体60の形状は、図14で示す形状としてもよい。すなわち、保持機構50の凹部52を、底面が平担面とされた側面視略「V」字状に形成するとともに、弾性体60もその形状に沿って、底面が平担面とされた側面視略「V」字状に形成してもよい。この場合も、リールハブ32の外周面32Aに対する弾性体60の接触面積が良好に確保される。
【0089】
なお、底面が平担面とされた側面視略「V」字状の弾性体60を有する保持機構50の場合には、リールハブ32の曲率が変更された場合でも適用可能となる利点がある。つまり、リールハブ32の直径が若干変更された場合でも、記録テープTの自由端部Tfをリールハブ32の外周面32Aに圧接させられる(接触面積を確保できる)利点がある。
【0090】
以上、本実施形態に係るウェブ巻付方法及びウェブ巻付装置について、図面に示す実施例を基に説明したが、本実施形態に係るウェブ巻付方法及びウェブ巻付装置は、図示の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0091】
例えば、上記実施例では、ウェブの一例として記録テープTを採用したが、本実施形態に係るウェブはこれに限定されるものではなく、クリーニングテープ(ドライブ装置の記録再生ヘッドを清掃するテープ)等にも適用が可能である。また、図示の記録テープカートリッジ10では、ドア28が右壁12Aに沿って直線状にスライドして開口18を開閉する構成とされているが、ドア28は、例えば平面視略円弧状に形成され、所定の円周上をスライドして開口18を開閉する構成とされてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
14 上ケース
16 下ケース
18 開口
20 リーダーピン
26 ピン保持部
28 ドア
30 リール
32 リールハブ(巻芯)
34 上フランジ
36 下フランジ
38 係合ギア
40 巻付装置
42 繰出機構
44 吸着台
46 回転機構
48 ガイドローラー
50 保持機構
52 凹部
54 貫通孔
60 弾性体
D 摩耗粉
M 酸化膜
T 記録テープ(ウェブ)
Tb バック面
Tf 自由端部(端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯にウェブを巻き付けるためのウェブ巻付方法であって、
保持機構によって保持された前記ウェブの端部を前記巻芯に押し当てつつ該巻芯を所定量回転させ、その後、前記保持機構の保持を解除することによって前記ウェブの端部を前記巻芯に貼り付ける仮付工程と、
前記仮付工程後、前記巻芯を回転させて前記ウェブを該巻芯に巻き取る巻取工程と、
を有することを特徴とするウェブ巻付方法。
【請求項2】
前記仮付工程で、前記ウェブの前記巻芯との接触面に摩耗粉を発生させ、その摩耗粉によって該ウェブの端部を前記巻芯に貼り付けることを特徴とする請求項1に記載のウェブ巻付方法。
【請求項3】
前記仮付工程で、前記ウェブの端部を前記保持機構に設けられた弾性体で支持して前記巻芯に押し当てることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウェブ巻付方法。
【請求項4】
前記仮付工程で、前記ウェブが前記巻芯に押し当てられているときの該巻芯の回転速度が、前記ウェブを前記巻芯に貼り付ける際の該巻芯の回転速度よりも高速とされていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のウェブ巻付方法。
【請求項5】
前記仮付工程で、前記保持機構の保持を解除するときに、該保持機構から前記ウェブに向かってエアーを噴出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のウェブ巻付方法。
【請求項6】
巻芯を回転させる回転機構と、
ウェブを保持可能に構成されるとともに、移動可能に構成された保持機構と、
前記保持機構に保持された前記ウェブの端部が前記巻芯に押し当てられつつ該巻芯が所定量回転され、その後、前記保持機構の保持が解除されてから前記巻芯が回転されるように、前記回転機構と前記保持機構とを制御する制御手段と、
を有することを特徴とするウェブ巻付装置。
【請求項7】
前記保持機構に設けられ、前記ウェブの端部を前記巻芯に押し当てるときに支持する弾性体を有することを特徴とする請求項6に記載のウェブ巻付装置。
【請求項8】
前記弾性体は、前記保持機構に形成された凹部内に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のウェブ巻付装置。
【請求項9】
前記弾性体は、前記巻芯の曲率以下の曲率とされた曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のウェブ巻付装置。
【請求項10】
前記保持機構は、エアーを吸引することにより前記ウェブを保持し、エアーを噴出することにより前記ウェブを放出する構成とされていることを特徴とする請求項6〜請求項9の何れか1項に記載のウェブ巻付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−215327(P2010−215327A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62567(P2009−62567)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】