説明

ウェブ自動接合システム、及びウェブ自動接合方法

【課題】 故障時におけるウェブの廃棄損失を小さくすることができるウェブ自動接合システム、及びウェブ自動接合方法を提供する。
【解決手段】ウェブロールWR1からウェブW1を先行してアキュムレータ21に送り出し、ウェブW1をアキュムレータ21内で、実質的に蓄積しないで後段にアキュムレータ21から送り出し、使用中のウェブロールWR1から待機中のウェブロールWR2に切り替えるため、ウェブW1の後端とウェブW2の前端との接合を開始する直前からアキュムレータ21にウェブW1を所定長さ蓄積し、次いで、ウェブW1の後端とウェブW2の前端との接合を開始する。アキュムレータ21にウェブW1を所定長さ蓄積するタイミングは、接合を開始する位置から、アキュムレータ21内に所定長さのウェブW1を蓄える時間t(s)間にウェブW1が進む距離D(m)に対して0〜+10%手前からである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェブ自動接合システムに、及びウェブ自動接合方法に関して、特に、アキュムレータを有するウェブ自動接合システム、及びウェブ自動接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄い金属板、紙、プラスチックフィルム等のウェブを利用して物を製造する場合、ウェブロールからウェブを送り出し、所定の処理(例えば、裁断等の加工)を施した後、次の工程で必要な形態(例えば、ロール状、シート状)で回収される。上述の製造を実施する製造ラインは、連続的に生産を行うため、ウェブ供給接合装置と、ウェブ供給接合装置の後段に設置されるアキュムレータ(リザーバとも呼ぶ)とを備える(特許文献1)。ウェブ供給接合装置は、使用中のウェブの後端と待機中のウェブの前端とを接合し、ウェブを送り出している使用中の旧ウェブロールを待機中の新ウェブロールに切り替える。アキュムレータは使用中のウェブを蓄える。そして、アキュムレータは、ウェブ供給接合装置で旧ウェブロールから新ウェブロールに切り替える時間中、蓄えたウェブを後段の処理装置に送り出すので、製造ラインを停止することなく連続的に生産を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002/032799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようにアキュムレータは、旧ウェブロールから新ウェブロールへの切り替えに備えてウェブを蓄える。しかしながら、ウェブ供給接合装置での切り替え開始時期を考慮しないでアキュムレータ内にウェブを蓄えると、製造ラインで故障が発生し自動停止した場合には、アルミニウムウェブの場合は紙ウェブの場合と異なり、アキュムレータ中のロールに接した部分が変形してしまい、アキュムレータ中のアルミウエブ全量を廃棄することが必要となる。その結果、ウェブの廃棄損失が大きくなる問題が発生する。
【0005】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、故障時におけるウェブの廃棄損失を小さくすることができるウェブ自動接合システム、及びウェブ自動接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、ウェブ自動接合システムは、(A)ウェブ供給装置とウェブ接合装置とをこの順で備えるウェブ供給接合装置と、前記ウェブ供給装置は第1ウェブロールを回転可能に保持し、該第1ウェブロールから第1ウェブを先行して送り出す機構と、待機中の第2ウェブロールを回転可能に保持し、該第2ウェブロールから第2ウェブを送り出す機構と、を備え、前記ウェブ接合装置は前記第1ウェブの後端と前記第2ウェブの前端とを接合する接合手段を備え、(B)前記ウェブ供給接合装置の下流側に設置され前記第1ウェブを蓄えるアキュムレータと、前記アキュムレータは固定ローラと可動ローラとを備え、前記固定ローラと前記可動ローラとは前記第1ウェブを支持し、前記可動ローラを移動することで蓄えられる前記第1ウェブの長さを調整でき、(C)前記アキュムレータの前記可動ローラの移動を制御する制御手段と、前記制御手段は、前記第1ウェブの後端と前記第2ウェブの前端との接合を開始する直前まで、前記固定ローラと前記可動ローラとの距離が短くなるよう前記可動ローラを位置制御し、前記第1ウェブの後端と前記第2ウェブの前端との接合を開始する直前に、前記固定ローラと前記可動ローラとの距離が長くなるよう前記可動ローラを移動し、前記可動ローラを位置制御し、前記可動ローラを移動するタイミングは、接合を開始する位置から、前記アキュムレータ内に所定長さの前記第1ウェブを蓄える時間t(s)間に前記第1ウェブが進む距離D(m)に対して0〜+10%手前からである。
【0007】
好ましくは、前記距離D(m)は以下の式を満たす。
【0008】
【数1】

【0009】
(t(s):ウェブをアキュムレータに蓄積するまでの時間、Vu(m/s):接合開始直前までのアキュムレータ入口速度、及びアキュムレータ出口速度、Vj(m/s):接合開始時でのアキュムレータ入口速度、及びアキュムレータ出口速度、Vir(m/s):ウェブをアキュムレータに蓄積する際のアキュムレータ入口の最高速度、A1(m/s2):Vu(m/s)からVir(m/s)に速度を増加するときの加速度、A2(m/s2):Vir(m/s)からVj(m/s)に速度を減少するときの減速度)
好ましくは、前記第1ウェブロール、及び前記第2ウェブロールがアルミニウムウェブをロール状に巻き回したウェブロールである。
【0010】
好ましくは、前記アルミニウムウェブがアルミニウム支持体を有する平版印刷版原版のウェブである。
【0011】
本発明の他の態様によると、ウェブ自動接合装方法は、第1ウェブロールから第1ウェブを先行してアキュムレータに送り出す工程と、前記アキュムレータ内に前記第1ウェブを実質的に蓄積しないで前記アキュムレータから前記第1ウェブを後段に送り出す工程と、使用中の前記第1ウェブロールから待機中の第2ウェブロールに切り替えるため、前記第1ウェブの後端と第2ウェブの前端との接合を開始する直前から前記アキュムレータに前記第1ウェブを所定長さ蓄積する工程と、次いで、前記第1ウェブの後端と第2ウェブの前端との接合を開始する工程とを、備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、故障時におけるウェブの廃棄損失を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】平版印刷版原版の製造ラインの全体概略図。
【図2】アキュムレータに供給されるウェブの入口速度と、アキュムレータから送り出されるウェブの出口速度と時間との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0015】
図1は、ウェブ自動接合システムを備えた平版印刷版原版の製造装置の全体の概略図を示す。本実施の形態では、ウェブとしてアルミニウムウェブが使用される。このアルミニウムウェブがアルミニウム支持体を有する平版印刷版原版となる。
【0016】
平版印刷版原版の製造ライン11の最上流部には、コイル状に巻き取られた長尺帯状のアルミニウム版(以下「ウェブロール」という)を送り出す2軸式のウェブ供給装置14が備えられている。2軸式のウェブ供給装置14は回動アーム16を有し、この回動アーム16の両端部にはウェブロールを装着できる軸62と軸64とを備えている。
【0017】
ウェブ供給装置14の回動アーム16の一方の軸62には、ウェブW1(説明の便宜上、「旧ウェブW1」という場合がある:先行して送り出されているウェブという意味)をロール状に巻き取ったウェブロールWR1が装填され、回動アーム16の他方の軸62には、ウェブW2(説明の便宜上、「新ウェブW2」という場合がある:次に送り出されているウェブという意味)をロール状に巻き取ったウェブロールWR2が装填されている。なお、説明の便宜上、ウェブロールWR1を旧ウェブロールWR1、ウェブロールWR2を新ウェブロールWR2と呼ぶ場合がある。
【0018】
そして、一方の軸62に装着されたウェブロールRW1と他方の軸64に装着されたウェブロールRW2とは、回動アーム16が回動軸18を中心に回動することで、位置を入れ替えることができる。位置を入れ替えることで、送り出すウェブを切り替えることができる。
【0019】
ウェブ供給装置14の下流にはウェブ接合装置20が備えられている。このウェブ接合装置20によって、旧ウェブロールWR1から先行して送り出されていた旧ウェブW1の後端と新ウェブロールWR2から新たに送り出された新ウェブW2の前端とが接合される。
【0020】
ウェブ供給装置14とウェブ接合装置20とによりウェブ供給接合装置12が構成される。
【0021】
尚、旧ウェブW1と新ウェブW2とを接合する方式としては、テープによる接合方式、超音波による溶接接合方式、突合せ溶接による接合方式、連結用のガイドウェブによる接合法式等がある。
【0022】
先行するウェブW1はウェブ接合装置20の下流にあるアキュムレータ21に送られる。アキュムレータ21は複数の可動ローラ21Aと複数の固定ローラ21Bとを備える。複数の可動ローラ21Aと複数の固定ローラ21BによりウェブW1を蛇腹状に湾曲させた状態で支持する。これにより、アキュムレータ21はウェブW1を蓄積する。可動ローラ21Aを移動し、固定ローラ21Bと可動ローラ21Aとの距離を変化させることにより、アキュムレータ21に蓄えられるウェブW1の長さが調整される。
【0023】
ウェブW1はアキュムレータ21から後段の処理工程に送られる。処理工程は、一例として、ブラッシング・水洗処理工程68、アルカリエッチング・水洗処理工程70、デスマット処理工程72、電解粗面化処理工程74、アルカリエッチング処理工程76、陽極酸化処理工程78、封孔処理工程80、親水処理工程82、乾燥工程84、第1感光層塗布工程86、乾燥工程88、第2感光層塗布工程90、乾燥工程92等を備える。処理工程で処理されたウェブW1は下流の切断装置22、集積部26に送られる。
【0024】
ウェブW1は切断装置22により切断される。ウェブW1から切り出されたアルミニウムシート60はベルトコンベア24により下流の集積部26に搬送される。そして、集積部26でアルミニウムシート60が集積される。集積されたアルミニウムシート60は包装され、製品96として出荷される。
【0025】
次に実施形態の製造ラインでのウェブ供給接合装置12とアキュムレータ21の動作について説明する。ウェブロールWR1とウェブロールWR2はウェブ供給装置14にセットされる。ウェブロールWR1からウェブW1がウェブロールWR2に先行して送出される。ウェブロールWR1の使用中の旧ウェブロールWR1となり、待機中のウェブロールWR2が新ウェブロールWR2となる。
【0026】
ウェブ供給装置14から送り出されたウェブW1はウェブ接合装置20を通過し、アキュムレータ21に送られる。
【0027】
ウェブ接合装置20が旧ウェブW1の後端と新ウェブW2の前端との接合を開始する直前まで、制御装置36により位置制御され、可動ローラ21Aは下限位置で待機される。可動ローラ21Aと固定ローラ21Bとの距離が短くなり、アキュムレータ21で蓄えられるウェブW1の長さを短くすることができる。その結果、製造ラインで故障等が発生して自動停止した場合であっても、アキュムレータ21内に蓄えられたウェブW1の長さが短いので、ウェブの廃棄損失を小さくすることができる。
【0028】
次に、旧ウェブロールWR1から旧ウェブW1が使用され、旧ウェブロールWR1が消費されると、旧ウェブロールWR1から新ウェブロールWR2への切り替えが行われる。旧ウェブロールWR1から新ウェブロールWR2へ連続的に切り替えるため、ウェブ接合装置20により旧ウェブW1の後端と新ウェブW2の前端とが接合される。
【0029】
旧ウェブW1の後端と新ウェブW2の前端との接合を開始する直前に、制御装置36により位置制御され、可動ローラ21Aが上限位置に向かって移動する。可動ローラ21Aが上限に位置すると、可動ローラ21Aと固定ローラ21Bとの距離が長くなり、アキュムレータ21で蓄えられるウェブW1の長さを長くすることができる。アキュムレータ21内に所定に長さのウェブW1が蓄えられると、旧ウェブW1の後端と新ウェブW2の前端との接合が開始される。接合が開始されると、ウェブW1のアキュムレータ21への供給が実施的に停止され、アキュムレータ21内に蓄えられたウェブW1が後段の処理工程に送り出される。蓄えられたウェブW1が消費されるに伴い、可動ローラ21Aが下限位置に向かうよう制御装置36により位置制御される。
【0030】
次のウェブ接合装置20による旧ウェブW1の後端と新ウェブW2の前端との接合が開始される直前まで、制御装置36により位置制御され、可動ローラ21Aは下限位置で待機される。この動作を繰り返すことで連続的に製造することが可能となる。
【0031】
次に可動ローラ21Aを移動するタイミングについて説明する。接合を開始する位置に対して、十分早く可動ローラ21Aを移動すると、接合までの時間、アキュムレータ21内にウェブW1が必要以上の長い時間蓄えられることなる。この状態で故障等が生じると、ウェブW1の廃棄損失が大きくなる。一方、接合を開始する位置に対して、あまりに遅く可動ローラ21Aを移動すると、接合開始までにアキュムレータ21に蓄えられるウェブW1の長さが短くなる。接合が完了するまでにアキュムレータ21に蓄えられたウェブW1が消費されたり、アキュムレータ21の出口側の速度を必要以上に遅くしたりしなければならない。
【0032】
何れの状態をも避けるために、接合を開始する位置から、アキュムレータ21内に所定長さのウェブW1を蓄える時間t(s)間にウェブW1が進む距離D(m)に対して0〜+10%手前から可動ローラ21Aを移動するのが好ましい。ウェブW1の移動量を考慮して可動ローラを移動するので、ウェブW1がアキュムレータ21内に十分に蓄えられる。さらに、ウェブW1が蓄えられるとすぐに接合が開始され、アキュムレータ21内のウェブW1が消費される。したがって、アキュムレータ21内で蓄えられるウェブW1の長さを短く、しかも蓄えている時間も短くでき、廃棄損失を小さくすることができる。
【0033】
次は、ウェブW1を蓄える時間t(s)間にウェブW1が進む距離D(m)の計算方法について説明する。図2は、アキュムレータ21に供給されるウェブW1の入口速度Vi(m/s)とアキュムレータ21から送出されるウェブW1の出口速度Vo(m/s)との時間に対する変化を示したグラフである。入口速度Viは実線で、出口速度Voは点線で表現される。
【0034】
可動ローラ21が移動を開始するアキュムレータ21の動作開始点までは、入口速度Viと出口速度Voとは共にVu(m/s)に設定される。入口速度Viと出口速度Voとが同じなので、ウェブW1は実質的に蓄えられない。Vu(m/s)が通常生産時での速度となる。
【0035】
アキュムレータ21の動作開始点を過ぎると、入口速度Viは加速度A1(m/s2)、時間t1(s)でVir(m/s)となるまで加速される。一方、出口速度Voは減速度A2(m/s2)、時間t1(s)でVj(m/s)となるまで減速される。入口速度Viが出口速度Voより大きくなるので、アキュムレータ21にウェブW1が蓄積される。
【0036】
入口速度ViはVir(m/s)に達した後、一定時間t2(s)の間、入口速度ViはVir(m/s)に設定される。出口速度VoはVj(m/s)に達した後、接合が完了するまでとなるまでVj(m/s)に設定される。Vj(m/s)が接合開始速度となる。
【0037】
次に、入口速度Viが減速度A2(m/s2)、時間t3(s)でVj(m/s)となるまで減速される。入口速度Viと出口速度VoとがVj(m/s)となり、アキュムレータ21内へのウェブW1の蓄積が終了する。
【0038】
入口速度Viが減速され、0(m/s)となる。つまり、アキュムレータ21へウェブW1が供給されなくなり、アキュムレータ21内のウェブW1が消費される。入口速度Vi=0(m/s)の間に、旧ウェブW1の後端と新ウェブW2の前端の接合が完了する。
【0039】
アキュムレータ21のウェブW1が消費されると、可動ローラ21Aが下限位置近くまで移動することになる。少しの間、出口速度Voを入口速度Viより大きくすることで、アキュムレータ21内に蓄えられたウェブW1は完全に送り出され、可動ローラ21Aは最下点に配置される。
【0040】
その後、入口速度Viが加速されVj(m/s)に達する。次いで、入口速度Viと出口速度Voとが、通常生産時の速度Vu(m/s)となるまで加速される。
【0041】
ウェブW1を蓄える時間t(s)間にウェブW1が進む距離D(m)はアキュムレータ動作開始点からアキュムレータ動作終了点までの入口速度Viの面積で表される。その面積は以下の式で求められる。
【0042】
【数1】

【0043】
(t(s):ウェブをアキュムレータに蓄積するまでの時間、Vu(m/s):接合開始直前までのアキュムレータ入口速度、及びアキュムレータ出口速度、Vj(m/s):接合開始時でのアキュムレータ入口速度、及びアキュムレータ出口速度、Vir(m/s):ウェブをアキュムレータに蓄積する際のアキュムレータ入口の最高速度、A1(m/s2):Vu(m/s)からVir(m/s)に速度を増加するときの加速度、A2(m/s2):Vir(m/s) からVj(m/s)に速度を減少するときの減速度)
ここでt1(s)は、t1=(Vir−Vu)/A1で求められ、t3(s)は、t3=(Vir−Vu)/A2で求めることができる。したがって、斜線で示す三角形の面積S1、S2はそれぞれ、S1=1/2×(Vir−Vu)×(Vir−Vu)/A1=(Vir−Vu)/(2×A1)、S2=1/2×(Vir−Vu)×(Vir−Vu)/A2=(Vir−Vu)/(2×A2)で求められる。したがって、D(m)が上述の式で求められることが理解できる。
【0044】
なお、図2に示すように、アキュムレータ21の動作完了から接合動作開始まで多少の時間が必要となる。したがって、その時間を考慮して、D(m)に対して0〜+10%手前からアキュムレータ21の動作を開始することが好ましい。
【0045】
このように、距離Dが計算結果により与えられさえすれば、設備のもつウェブ残長、生産残枚数(D/切断長)を閾値にしてアキュムレータの動作の開始点を決定することができる。
【0046】
次に、ウェブW1を蓄える時間t(s)間に、アキュムレータ21から送り出されるウェブW1の長さは、アキュムレータ動作開始点からアキュムレータ動作終了点までの出口速度Voの面積で表される。
【0047】
最後に、ウェブW1が進む距離D(m)はアキュムレータ動作開始点からアキュムレータ動作終了点までの出口速度Voの面積で表される。入口速度Viで表される面積から、出口速度Voで表される面積を引くことでアキュムレータ21内に蓄えられるウェブW1の長さを求めることができる。
【0048】
最後に上述の式を利用して、動作の一例における距離D(m)を求めた。アキュムレータに蓄えられるウェブの長さ=30m、入口速度Vir=120m/分(2m/s)、接合開始速度Vj=60m/分(1m/s)、通常生産速度Vu=115m/分(1.9m/s)、加速時間A1=3m/s、減速時間A2=3m/s、としたとき、t≒30.3秒、D≒60.4mと計算される。従って、接合動作の開始タイミングより手前60.4m+10%mの範囲でアキュムレータの動作を開始すればよいこととなる。
【0049】
例えば、アキュムレータ21に供給されるウェブの入口速度、アキュムレータ21から送り出されるウェブ出口速度、加速度、減速度に基づいて、距離Dが制御装置36により求められる。この結果に基づいて、制御装置36が可動ローラ21Aに位置を制御する。
【符号の説明】
【0050】
11…製造ライン、12…ウェブ供給接合装置、14…ウェブ供給装置、20…ウェブ接合装置、21…アキュムレータ、21A…可動ローラ、21B…固定ローラ、36…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ウェブ供給装置とウェブ接合装置とをこの順で備えるウェブ供給接合装置と、
前記ウェブ供給装置は第1ウェブロールを回転可能に保持し、該第1ウェブロールから第1ウェブを先行して送り出す機構と、待機中の第2ウェブロールを回転可能に保持し、該第2ウェブロールから第2ウェブを送り出す機構と、を備え、
前記ウェブ接合装置は前記第1ウェブの後端と前記第2ウェブの前端とを接合する接合手段を備え、
(B)前記ウェブ供給接合装置の下流側に設置され前記第1ウェブを蓄えるアキュムレータと、
前記アキュムレータは固定ローラと可動ローラとを備え、前記固定ローラと前記可動ローラとは前記第1ウェブを支持し、前記可動ローラを移動することで蓄えられる前記第1ウェブの長さを調整でき、
(C)前記アキュムレータの前記可動ローラの移動を制御する制御手段と、
前記制御手段は、前記第1ウェブの後端と前記第2ウェブの前端との接合を開始する直前まで、前記固定ローラと前記可動ローラとの距離が短くなるよう前記可動ローラを位置制御し、
前記第1ウェブの後端と前記第2ウェブの前端との接合を開始する直前に、前記固定ローラと前記可動ローラとの距離が長くなるよう前記可動ローラを移動し、前記可動ローラを位置制御し、
前記可動ローラを移動するタイミングは、接合を開始する位置から、前記アキュムレータ内に所定長さの前記第1ウェブを蓄える時間t(s)間に前記第1ウェブが進む距離D(m)に対して0〜+10%手前からであるウェブ自動接合システム。
【請求項2】
前記距離D(m)は以下の式を満たす請求項1記載のウェブ自動接合システム。
【数1】


(t(s):ウェブをアキュムレータに蓄積するまでの時間、Vu(m/s):接合開始直前までのアキュムレータ入口速度、及びアキュムレータ出口速度、Vj(m/s):接合開始時でのアキュムレータ入口速度、及びアキュムレータ出口速度、Vir(m/s):ウェブをアキュムレータに蓄積する際のアキュムレータ入口の最高速度、A1(m/s2):Vu(m/s)からVir(m/s))に速度を増加するときの加速度、A2(m/s2):Vir(m/s) からVj(m/s))に速度を減少するときの減速度)
【請求項3】
前記第1ウェブロール、及び前記第2ウェブロールがアルミニウムウェブをロール状に巻き回したウェブロールである請求項1又は2記載のウェブ自動接合システム。
【請求項4】
前記アルミニウムウェブがアルミニウム支持体を有する平版印刷版原版のウェブである請求項1から3のいずれか記載のウェブ自動接合システム。
【請求項5】
第1ウェブロールから第1ウェブを先行してアキュムレータに送り出す工程と、
前記アキュムレータ内に前記第1ウェブを実質的に蓄積しないで前記アキュムレータから前記第1ウェブを後段に送り出す工程と、
使用中の前記第1ウェブロールから待機中の第2ウェブロールに切り替えるため、前記第1ウェブの後端と第2ウェブの前端との接合を開始する直前から前記アキュムレータに前記第1ウェブを所定長さ蓄積する工程と、
次いで、前記第1ウェブの後端と第2ウェブの前端との接合を開始する工程とを、備え、
前記アキュムレータに前記第1ウェブを所定長さ蓄積するタイミングは、接合を開始する位置から、前記アキュムレータ内に所定長さの前記第1ウェブを蓄える時間t(s)間に前記第1ウェブが進む距離D(m)に対して0〜+10%手前からであるウェブ自動接合方法。
【請求項6】
前記距離D(m)は以下の式を満たす請求項5記載のウェブ自動接合方法。
【数1】


(t(s):ウェブをアキュムレータに蓄積するまでの時間、Vu(m/s):接合開始直前までのアキュムレータ入口速度、及びアキュムレータ出口速度、Vj(m/s):接合開始時でのアキュムレータ入口速度、及びアキュムレータ出口速度、Vir(m/s):ウェブをアキュムレータに蓄積する際のアキュムレータ入口の最高速度、A1(m/s2):Vu(m/s)からVir(m/s)に速度を増加するときの加速度、A2(m/s2):Vir(m/s) からVj(m/s)に速度を減少するときの減速度)
【請求項7】
前記第1ウェブロール、及び前記第2ウェブロールがアルミニウムウェブをロール状に巻き回したウェブロールである請求項5又は6記載のウェブ自動接合方法。
【請求項8】
前記アルミニウムウェブがアルミニウム支持体を有する平版印刷版原版のウェブである請求項5から7のいずれか記載のウェブ自動接合方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate