説明

ウェブ芯取り外し方法およびウェブ巻取紙保持装置ならびに輪転印刷機

【課題】大掛かりな回収専用装置を用いることなく、ウェブ芯を確実かつ容易に取り外すこと。
【解決手段】ウェブ芯の各端部にチャック部が嵌合された状態で、駆動側チャック部の嵌合部材を解除し(ステップS1)、次に、操作側保持アームの移動により操作側チャック部をウェブ芯から抜ける方向に移動させる(ステップS2,S3,S4)、次に、駆動側チャック部の嵌合部材をウェブ芯に噛ませると共に(ステップS5)、操作側チャック部の嵌合部材を解除し(ステップS6)、かつ駆動側保持アームの移動により駆動側チャック部をウェブ芯から抜ける方向に移動させる(ステップS7,S8,S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ巻取紙のウェブ芯を給紙装置から取り外すためのウェブ芯取り外し方法およびウェブ巻取紙保持装置ならびに輪転印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、一般的なオフセット輪転印刷機は、給紙装置、印刷装置、ウェブパス装置、および折機などから構成されている。そして、給紙装置から印刷装置にウェブが供給されると、ウェブに対して印刷が施される。その後、ウェブパス装置で多数のウェブに搬送ルートが変更されてから所定の順番に重ね合わされる。さらにその後、折機にて、縦折りされつつ、印刷された絵柄位置に対応して所定のウェブ長に断裁されることで折帳、すなわち印刷物が作成され、排紙される。
【0003】
この種の輪転印刷機の給紙装置では、ウェブがロール状に巻かれたウェブ巻取紙を回転可能に保持している。ウェブ巻取紙は、ウェブが巻かれた筒状のウェブ芯を有したものである。このウェブ巻取紙の保持は、ウェブ芯の両端にチャック部のチャックを挿入し、このチャック部をウェブ芯の内壁に嵌合させている。一方、ウェブ芯を取り外す場合は、ウェブ芯に対するチャック部の嵌合を解除する。このチャック部は、印刷運転中のウェブへの確実なトルク伝達を行うため、さらに前に使用した巻取紙のウェブとの紙継直後での巻き解れ量を極力減らすために、ウェブ芯との嵌合を強固にする過大なトルクが付与される。そして、この過大なトルクによりチャック部のチャックがウェブ芯に深く食い込んでしまい、チャックを解除してもウェブ芯からチャック部から外れないことがある。
【0004】
従来、このような問題を解消するために残芯回収装置が用いられている。この残芯回収装置は、ウェブ芯の外周を挟持手段で挟持し、移動手段により挟持手段をウェブ芯の軸方向に移動させることでウェブ芯をチャック部から抜き取るものである(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−45288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のような残芯回収装置は、チャック部がウェブ芯に深く食い込んでいる状態を抜くものであるから、挟持手段ではウェブ芯を挟持する過大な力または衝撃力が必要であり、かつ、移動手段にも過大な力が必要であることから装置が大型化する。しかも、このような大掛かりな残芯回収装置は、ウェブ芯の回収専用であるから通常の印刷運転では使用せず邪魔になる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大掛かりな回収専用装置を用いることなく、ウェブ芯を確実かつ容易に取り外すことのできるウェブ芯取り外し方法およびウェブ巻取紙保持装置ならびに輪転印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のウェブ芯取り外し方法では、ウェブ芯の各端部にチャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除し、前記チャック部の1つを前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、次に、前記一方のチャック部のチャックを前記ウェブ芯に噛ませると共に、他方のチャック部のチャックを解除し、かつ前記チャック部の1つを前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、次に、前記一方のチャック部のチャックを解除する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
このウェブ芯取り外し方法は、一方のチャック部のチャックを解除し、チャック部の1つをウェブ芯から抜ける方向に移動させることで、ウェブ芯に対する一方のチャック部のチャックの食い込みが外れる。そして、一方のチャック部のチャックをウェブ芯に噛ませると共に、他方のチャック部のチャックを解除し、チャック部の1つをウェブ芯から抜ける方向に移動させることで、ウェブ芯に対する他方のチャック部のチャックの食い込みが外れる。このように、ウェブ芯を保持する各チャック部のチャックを交互に解除・噛み込みさせることで、ウェブ芯への各チャック部のチャックの食い込みを外すので、別途大掛かりな回収専用装置を用いることなく、ウェブ芯を確実かつ容易に取り外すことができる。
【0010】
また、本発明のウェブ芯取り外し方法では、ウェブ芯の各端部にチャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除し、他方のチャック部を前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、次に、前記一方のチャック部のチャックを前記ウェブ芯に噛ませると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除し、かつ前記一方のチャック部を前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、次に、前記一方のチャック部のチャックを解除する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
このウェブ芯取り外し方法は、一方のチャック部および他方のチャック部を移動させることにより、ウェブ芯の取り外しが行われる。
【0012】
また、本発明のウェブ芯取り外し方法では、ウェブ芯の各端部にチャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除し、他方のチャック部の1つを前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、次に、前記一方のチャック部のチャックを前記ウェブ芯に噛ませると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除し、かつ前記他方のチャック部を前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、次に、前記一方のチャック部のチャックを解除する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
このウェブ芯取り外し方法は、他方のチャック部のみを移動させることにより、ウェブ芯の取り外しが行われる。
【0014】
また、本発明のウェブ芯取り外し方法では、ウェブ巻取紙からウェブが無くなった前記ウェブ芯に対して前記工程を行うことが好ましい。
【0015】
また、本発明のウェブ芯取り外し方法では、前記チャック部の移動は、前記ウェブ芯を保持する際の前記チャック部の移動の軌跡上であることを特徴とする。
【0016】
このウェブ芯取り外し方法によれば、チャック部は、ウェブ巻取紙を保持するときと、ウェブ芯を取り外すときとで、同じ軌跡を通過する。この結果、挿抜方向以外に、チャック部に負荷がかからないので、ウェブ芯の保持位置を常に再現できる。
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明のウェブ巻取紙保持装置では、ウェブが巻かれた筒状のウェブ芯の各端部に噛む噛込状態にされる一方で、前記噛込状態を解かれた解除状態にされるチャックを有した一対のチャック部と、前記チャック部の少なくとも1つを前記ウェブ芯の端部に対する挿抜方向に移動させるチャック移動部と、前記ウェブ芯の各端部に前記チャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除状態とし、前記チャック部の1つを前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを噛込状態にすると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除状態とし、かつ前記チャック部の1つを前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを解除状態にする制御部とを備えたことを特徴とする。
【0018】
このウェブ巻取紙保持装置は、上記ウェブ芯取り外し方法を実現でき、別途大掛かりな回収専用装置を用いることなく、ウェブ芯を確実かつ容易に取り外すことができる。
【0019】
また、本発明のウェブ巻取紙保持装置では、前記チャック移動部は、双方の前記チャック部を移動させるものであり、前記制御部は、前記ウェブ芯の各端部に前記チャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除状態とし、他方のチャック部を前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを噛込状態にすると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除状態とし、かつ前記一方のチャック部を前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを解除状態にする。
【0020】
また、本発明のウェブ巻取紙保持装置では、前記チャック移動部は、前記他方のチャック部を移動させるものであり、前記制御部は、前記ウェブ芯の各端部に前記チャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除状態とし、他方のチャック部を前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを噛込状態にすると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除状態とし、かつ前記他方のチャック部を前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを解除状態にする。
【0021】
また、本発明のウェブ巻取紙保持装置では、前記チャック移動部は、前記ウェブ芯を保持する際の前記チャック部の移動の軌跡上で前記チャック部を挿抜方向へ移動させることを特徴とする。
【0022】
このウェブ巻取紙保持装置は、挿抜方向以外に、チャック部に負荷がかからないので、ウェブ芯の保持位置を常に再現できる。
【0023】
上記の目的を達成するために、本発明の輪転印刷機では、ウェブが巻かれた筒状のウェブ芯を保持しつつ前記ウェブを搬送する給紙装置を備えた輪転印刷機において、前記ウェブ芯を取り外す態様で請求項6〜9のいずれか一つに記載のウェブ巻取紙保持装置を備えたことを特徴とする。
【0024】
この輪転印刷機は、印刷運転中に使うことのない回収専用装置を別途用いることなく、ウェブ芯を確実かつ容易に取り外すことができる。しかも、挿抜方向以外に、チャック部に負荷がかからないので、ウェブ芯の保持位置を常に再現できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、大掛かりな回収専用装置を用いることなく、ウェブ芯を確実かつ容易に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るウェブ芯取り外し方法およびウェブ巻取紙保持装置ならびに輪転印刷機の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【0027】
図1は、本実施例に係る輪転印刷機の概略構成図、図2は、本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の概略構成図、図3および図4は、図2に示したウェブ巻取紙保持装置のチャック部の概略構成図、図5は、本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の動作(ウェブ芯取り外し方法)を示す制御フローチャート、図6は、本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の動作図、図7は、本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の他の動作(ウェブ芯取り外し方法)を示す制御フローチャート、図8は、本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の他の動作図である。
【0028】
図1に示すように、輪転印刷機である新聞用オフセット輪転印刷機(以下、輪転印刷機という)は、複数(本実施例では、5台)の給紙ユニットR1〜R5を有する給紙装置Rと、複数(本実施例では、5台)の印刷ユニットU1〜U5を有する印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、複数(本実施例では、2台)の折ユニットF1,F2を有する折機Fと、これらの統括制御を行う運転管理制御装置Cとから構成されている。
【0029】
給紙装置Rの各給紙ユニットR1〜R5には、それぞれウェブWがロール状に巻かれた3つのウェブ巻取紙Pをそれぞれ保持する保持アーム11が設けられ、この保持アーム11を回転させることで、保持したウェブ巻取紙Pを移動させて給紙位置に臨ませることができる。また、この各給紙ユニットR1〜R5には、図示しない紙継装置が設けられており、給紙位置で繰り出されているウェブ巻取紙Pが残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にあるウェブ巻取紙Pに対して、待機位置にあるウェブ巻取紙Pを紙継することができる。
【0030】
印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U5において、印刷ユニットU1,U5は、両面4色印刷を行う多色刷印刷ユニットであり、印刷ユニットU2〜U4は、両面2色印刷を行う2色刷印刷ユニットとなっている。すなわち、印刷ユニットU1,U5は、それぞれ両面印刷を行うように対向配置された1対のブランケット胴21が、4色印刷を行うようにウェブWの搬送方向に4組配置されている。印刷ユニットU2〜U4は、それぞれ両面印刷を行うように対向配置された1対のブランケット胴21が、2色印刷を行うようにウェブWの搬送方向に2組配置されている。また、印刷ユニットU1〜U5には、各ブランケット胴21に対向配置された版胴22、および図には明示しないが版胴22に取り付けられた刷版にインキを供給するインキ供給機構が設けられている。
【0031】
また、印刷ユニットU1〜U5にて、版胴22には、ウェブWに対し、4頁の印刷を同時に行うように、図1の紙面に直交する方向に沿って4頁の刷版が取り付けられる。そして、インキ供給機構は、1つの版胴22の4頁の刷版にそれぞれインキを供給するように構成されている。また、ブランケット胴21は、1つの版胴22の4頁の刷版に供給されたインキが転写されるように構成されている。
【0032】
また、各給紙ユニットR1〜R5と各印刷ユニットU1〜U5との間には、複数のインフィード装置In1〜In5が設けられている。そして、これら各印刷ユニットU1〜U5および各インフィード装置In1〜In5は、それぞれ独立して駆動される。したがって、各給紙ユニットR1〜R5から各インフィード装置In1〜In5を介して各印刷ユニットU1〜U5にウェブWが供給されると、各印刷ユニットU1〜U5では、各ウェブWに対して所定の印刷を行うことができる。
【0033】
なお、本実施例では、各印刷ユニットU1〜U5を、多色刷印刷ユニットU1,U5と2色刷印刷ユニットU2〜U4により構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両面単色印刷を行う両面単色刷ユニット、一面4色または2色印刷を行う多色刷印刷ユニットなど印刷物に応じて適宜各種ユニットを組み合わせて使用すればよい。
【0034】
ウェブパス装置Dは、ウェブWの搬送方向(ウェブWの長さに沿う縦方向)に沿ってその幅方向(ウェブWの搬送方向に直交する横方向)の中央部で2つに縦断裁する複数のカッタ(図示せず)と、縦断裁されたウェブWの搬送経路を設定する多数のターンバー30と、ターンバー30で搬送経路が設定されたウェブWを掛け回して搬送方向でのウェブ長さを設定することで、後の折機Fにより断裁されたときの天地(搬送方向)の余白寸法を調整するコンペンセータローラ31とが設けられている。したがって、各印刷ユニットU1〜U5で4頁の印刷が施された各ウェブWは、カッタにより2頁分ごとに縦断裁されると共に、ターンバー30により搬送経路が変更され、所定の順番(頁順)に重ね合わされる。
【0035】
折機Fは、各折ユニットF1,F2において、ウェブパス装置Dで重ね合わされたウェブWを導入して、このウェブWを三角板32にて縦折りし、所定の長さで横断裁し、さらに横折りして所望の折帳(例えば新聞などの印刷物)を形成するものである。
【0036】
運転管理制御装置Cは、主として、輪転印刷機の初期印刷設定(プリセット)を行うために用いられ、制御リンクをなすネットワークNを介して給紙コントローラC1〜C5、印刷コントローラC6〜C10、ウェブパスコントローラC11、および折機コントローラC12,C13が接続されている。
【0037】
給紙コントローラC1〜C5は、給紙装置Rの各給紙ユニットR1〜R2を駆動制御する。すなわち、給紙ユニットR1〜R2は、給紙コントローラC1〜C5により各々独立して制御される。印刷コントローラC6〜C10は、印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U5および各インフィード装置In1〜In5を駆動制御する。すなわち、印刷ユニットU1〜U5および各インフィード装置In1〜In5は、印刷コントローラC6〜C10により各々独立して制御される。ウェブパスコントローラC11は、ウェブパス装置Dの各ターンバー30および各コンペセータローラ31を駆動制御する。折機コントローラC12,C13は、折機Fの折ユニットF1,F2を駆動制御する。すなわち、折ユニットF1,F2は、折機コントローラC12,C13により各々独立して制御される。
【0038】
ここで、輪転印刷機による一連の印刷動作について説明する。なお、本実施例の輪転印刷機では、各印刷ユニットU1〜U5、各インフィード装置In1〜In5および各折ユニットF1,F2は独立して駆動できるため、一種類の印刷物を作成することはもちろん、二種類の異なる印刷物を同時に作成できる。つまり、二種類の印刷物のうち、一方の印刷物は、複数の印刷ユニットU1〜U5の中の一部の印刷ユニットを用いて印刷が行われた後、一方の折ユニットF1から排紙され、他方の印刷物は、残りの印刷ユニット用いて印刷が行われた後、他方の折ユニットF2から排紙される。以下、一種類の印刷物を作成する場合について説明する。
【0039】
先ず、各給紙ユニットR1〜R5から各インフィード装置In1〜In5を介して各印刷ユニットU1〜U5にウェブWがそれぞれ供給されると、各印刷ユニットU1〜U5では、各ウェブWに対して4色刷や2色刷が両面に行われる。次に、各印刷ユニットU1〜U5で印刷が施された複数のウェブWは、ウェブパス装置Dにおいて、カッタにより縦断裁されると共に、搬送経路が変更されて所定の順番に重ね合わされる。そして、ウェブパス装置Dにより重ね合わされたウェブ群が折機F(折ユニットF1または折ユニットF2)に導入されると、重ね合わされた各ウェブ群は、縦折りされた後、所定の長さで横断裁され、横折りされて所望の折帳(印刷物)が作成され、この後、この折帳は排紙される。
【0040】
このような輪転印刷機では、給紙装置Rの各給紙ユニットR1〜R5に、図2に示すように、ウェブWが筒状のウェブ芯P1の外周にロール状に巻かれたウェブ巻取紙Pを保持するウェブ巻取紙保持装置40が設けられている。ウェブ巻取紙保持装置40は、上述した保持アーム11を有している。保持アーム11は、ウェブWの両側であって、オペレータが輪転印刷機を操作する操作側(図2の右側)と、輪転印刷機が駆動する駆動側(図2の左側)とにそれぞれ対をなして配置されている。この保持アーム11には、チャック部41と、チャック移動部42とが設けられている。
【0041】
チャック部41は、各保持アーム11に設けられ、ウェブ巻取紙Pを保持するためにウェブ芯P1の筒状の端部に挿入し該筒状の内壁に噛んで嵌合する一方、ウェブ芯P1を取り外すために前記嵌合を解くものである。図3はチャック部41を嵌合した状態(噛込状態)を示し、図4はチャック部41の嵌合を解いた状態(解除状態)を示している。
【0042】
これら図3および図4に示すように、チャック部41は、主にケーシング411と、軸部材412と、嵌合部材(チャック)413とで構成されている。ケーシング411の内部には中空部411aが画成され、この中空部411aに軸部材412が配設されている。軸部材412は、円錐形状に形成された前端部412aが、ケーシング411の外部に延出され、後端部412bが中空部411aの内部に配置されている。軸部材412は、ケーシング411に対し、チャック部41の中心線Sに沿って前後方向に移動可能に設けられている。また、軸部材412は、その後端部412bが中空部411aの内部でバネ部材414により後方に移動するように付勢されている。さらに軸部材412は、中空部411aの内壁との間に介在されたシール部材415が設けられており、このシール部材415により後端部412bの後方に密閉室が画成されている。この密閉室には、ケーシング411に設けられた貫通穴411bから圧縮空気が供給または排出される。このため、貫通穴411bには、図2に示すように圧縮空気の供給または排出を切り換える切換弁417が設けられている。また、軸部材412の前端部412aには、嵌合部材413が設けられている。嵌合部材413は、軸部材412の前端部412aを囲む円筒形状を周方向で複数に分割され、かつ軸部材412の前端部412aの円錐形状に沿って接するすり鉢形状の内周面413aが形成されている。また、嵌合部材413は、その外周に設けられたバネ部材416により内周面413aが円錐形状に当接するように付勢されている。また、ウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1の端部に挿入し得る嵌合部材413の前端側には、その外周面にウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1の内壁に適宜噛むように凹凸部413bが形成されている。
【0043】
このチャック部41は、図3に示すように、嵌合部材413の前端側をウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1の端部に挿入した状態で、切換弁417を切り換えてケーシング411の貫通穴411bから密閉室に圧縮空気が供給されると、圧縮空気の空気圧により軸部材412がバネ部材414の付勢力に抗して前方に移動する。すると、軸部材412の前端部412aの円錐形状によりバネ部材416の付勢力に抗して嵌合部材413が径方向外側(中心線Sから離れる方向)に移動し、前端側の外周面がウェブ芯P1の内壁に接触して凹凸部413bが噛むことになる。これにより、チャック部41にウェブ巻取紙Pが取り付けられる。一方、図4に示すように、切換弁417を切り換えてケーシング411の貫通穴411bから密閉室の圧縮空気が排出されると、軸部材412がバネ部材414の付勢力により後方に移動する。すると、軸部材412の前端部412aの円錐形状に沿いつつバネ部材416の付勢力により嵌合部材413が径方向内側(中心線Sに接近する方向)に移動し、前端側の外周面がウェブ芯P1の内壁から離隔して凹凸部413bが離れることになる。これにより、チャック部41に対してウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1が自由な状態になる。
【0044】
なお、上述したチャック部41は、一例であり、様々な構成がある。例えば、上記チャック部41は空気圧により軸部材412を移動させるものであるが、油圧により移動させたり、ソレノイドにより移動させたりする構成であってもよい。
【0045】
チャック移動部42は、各保持アーム11に設けられ、前記チャック部41における嵌合部材413の前端部をウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1の端部に挿入する挿入状態と、嵌合部材413の前端部をウェブ芯P1から抜き出す抜出状態とにする態様で、チャック部41をウェブ芯P1への挿抜方向に移動させるものである。なお、挿抜方向とは、ウェブ巻取紙Pを保持する際にウェブ芯P1に対してチャック部41を挿入する軌跡上の方向を言う。また、図2は、チャック移動部42の挿入状態を示している。
【0046】
図2に示すように、チャック移動部42は、主にレール部材421と、摺動部材422と、ラックギア423と、駆動モータ424と、ピニオンギア425とで構成されている。レール部材421は、保持アーム11を支持する基台420に設けられている。基台420は、ウェブ巻取紙Pを給紙位置に臨ませるために保持アーム11を回転させる軸部(図示せず)に取り付けられたものである。レール部材421は、保持アーム11の回転の軸心と平行であって、ウェブ巻取紙Pの回転の軸心と平行に延在して設けられている。摺動部材422は、保持アーム11とレール部材421とを連結するものであり、保持アーム11に固定されていると共に、レール部材421に対してその延在方向に摺動可能に取り付けられている。ラックギア423は、レール部材421と平行に延在するように形成され、基台420に取り付けられている。駆動モータ424は、サーボモータからなり、保持アーム11に取り付けられている。ピニオンギア425は、駆動モータ424のモータ軸424aに取り付けられていると共に、ラックギア423に対して噛合されている。
【0047】
このチャック移動部42は、駆動モータ424を駆動して、モータ軸424aを正逆回転させることにより、ピニオンギア425とラックギア423との噛合から保持アーム11がウェブ巻取紙Pの回転の軸心と平行に移動する。これにより、保持アーム11に伴いチャック部41が、嵌合部材413の前端部をウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1の端部に挿入する挿入方向、または嵌合部材413の前端部をウェブ芯P1から抜き出す抜出方向に移動する。なお、図2において、挿入方向は、操作側にあるチャック部41が駆動側に移動し、駆動側にあるチャック部41が操作側に移動する方向である。また、抜出方向は、操作側にあるチャック部41が操作側に移動し、駆動側にあるチャック部41が駆動側に移動する方向である。
【0048】
また、ウェブ巻取紙保持装置40は、給紙コントローラC1〜C5に、巻取紙制御部(制御部)43を備えている。巻取紙制御部43は、操作側モータ駆動部44a、駆動側モータ駆動部44b、操作側チャック駆動部45a、駆動側チャック駆動部45b、および記憶部46が接続されている。操作側モータ駆動部44aは、巻取紙制御部43の駆動指令に基づいて操作側保持アーム11のチャック移動部42の駆動モータ424を正逆回転させるように駆動するものである。駆動側モータ駆動部44bは、巻取紙制御部43の駆動指令に基づいて駆動側保持アーム11のチャック移動部42の駆動モータ424を正逆回転させるように駆動するものである。操作側チャック駆動部45aは、巻取紙制御部43の駆動指令に基づいて操作側保持アーム11のチャック部41の切換弁417を供給または排出に切り換えるように駆動するものである。駆動側チャック駆動部45bは、巻取紙制御部43の駆動指令に基づいて駆動側保持アーム11のチャック部41の切換弁417を供給または排出に切り換えるように駆動するものである。記憶部46は、ウェブ巻取紙保持装置40を駆動するためのプログラムやデータが予め記憶されていると共に、駆動モータ424のエンコーダからモータ軸424aの回転角度や回転速度を入力して各保持アーム11の位置として記憶するものである。そして、巻取紙制御部43は、記憶部46から入力されたプログラムやデータに従って、ウェブ巻取紙保持装置40を駆動させる。具体的には、操作側モータ駆動部44aを制御して操作側チャック移動部42により操作側保持アーム11を操作側または駆動側に移動させる。また、巻取紙制御部43は、駆動側モータ駆動部44bを制御して駆動側チャック移動部42により駆動側保持アーム11を操作側または駆動側に移動させる。また、巻取紙制御部43は、操作側チャック駆動部45aを制御して切換弁417を切り換え操作側チャック部41の嵌合部材413を噛込状態あるいは解除状態にする。また、巻取紙制御部43は、駆動側チャック駆動部45bを制御して切換弁417を切り換え駆動側チャック部41の嵌合部材413を噛込状態あるいは解除状態にする。
【0049】
なお、本実施例における給紙装置Rの各給紙ユニットR1〜R5では、保持アーム11は、上述したように、3つのウェブ巻取紙Pをそれぞれ保持するものである。従って、上述したウェブ巻取紙保持装置40は、それぞれの給紙ユニットR1〜R5に3台配置されている。そして、給紙ユニットR1〜R5を制御する各給紙コントローラC1〜C5の巻取紙制御部43には、ウェブ巻取紙保持装置40の3台分の操作側モータ駆動部44a、駆動側モータ駆動部44b、操作側チャック駆動部45a、および駆動側チャック駆動部45bが接続されており、巻取紙制御部43は、3台分の操作側モータ駆動部44a、駆動側モータ駆動部44b、操作側チャック駆動部45a、および駆動側チャック駆動部45bを制御する。
【0050】
ここで、図2〜図6を参照して、巻取紙制御部43によるウェブ巻取紙保持装置40の動作であるウェブ芯取り外し方法に関する制御フローについて説明する。
【0051】
ウェブ巻取紙保持装置40により、ウェブ巻取紙Pを保持する場合、巻取紙制御部43は、各チャック部41の嵌合部材413を解除状態(図4参照)とし、各チャック移動部42により操作側保持アーム11および駆動側保持アーム11を移動させ、各チャック部41をウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1の端部に挿入する。そして、各チャック部41の嵌合部材413を噛込状態(図3参照)とする。これにより、図2に示すようにウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1が保持アーム11に保持される。
【0052】
印刷動作により、ウェブ巻取紙PからウェブWが少なくなる(または無くなる)と、ウェブ芯P1を保持アーム11から取り外すことになる。先ず、ウェブ芯P1の各端部にそれぞれチャック部41が嵌合している状態で(図6(a))、巻取紙制御部43は、駆動側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にする(ステップS1、図6(b))。次に、巻取紙制御部43は、操作側チャック部41を伴い操作側保持アーム11を操作側(挿抜方向)に移動する(ステップS2)。次に、操作側保持アーム11が所定距離移動した場合(ステップS3:Yes)、巻取紙制御部43は、操作側保持アーム11の移動を停止する(ステップS4、図6(c))。なお、ステップS3での所定距離とは、図6(c)に示すように駆動側チャック部41の一部がウェブ芯P1の端部に挿入されている位置まで操作側保持アーム11を移動させる距離である。例えば、チャック部41の嵌合部材413がウェブ芯P1の端部に挿入される長さが100mmである場合、チャック部41の嵌合部材413が30mmウェブ芯P1の端部に挿入されている位置まで操作側保持アーム11を移動させる。
【0053】
次に、巻取紙制御部43は、駆動側チャック部41の嵌合部材413を噛込状態にすると共に(ステップS5、図6(d))、操作側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にする(ステップS6、図6(d))。次に、巻取紙制御部43は、駆動側チャック部41を伴い駆動側保持アーム11を駆動側(挿抜方向)に移動する(ステップS7)。次に、駆動側保持アーム11が所定距離移動した場合(ステップS8:Yes)、巻取紙制御部43は、駆動側保持アーム11の移動を停止する(ステップS9、図6(e))。なお、ステップS8での所定距離とは、ステップS3での所定距離と同様であり、図6(e)に示すように操作側チャック部41の一部がウェブ芯P1の端部に挿入されている位置まで駆動側保持アーム11を移動させる距離である。例えば、チャック部41の嵌合部材413がウェブ芯P1の端部に挿入される長さが100mmである場合、チャック部41の嵌合部材413が30mmウェブ芯P1の端部に挿入されている位置まで駆動側保持アーム11を移動させる。
【0054】
次に、巻取紙制御部43は、駆動側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にする(ステップS10、図6(f))。次に、巻取紙制御部43は、駆動側チャック部41を伴い駆動側保持アーム11を駆動側(挿抜方向)に移動すると共に、操作側チャック部41を伴い操作側保持アーム11を操作側(挿抜方向)に移動する(ステップS11)。次に、駆動側保持アーム11および操作側保持アーム11が待機位置に移動した場合(ステップS12:Yes)、巻取紙制御部43は、駆動側保持アーム11および操作側保持アーム11の移動を停止し(ステップS13、図6(g))、本制御を終了する。なお、ステップS11での待機位置とは、図6(g)に示すように駆動側チャック部41および操作側チャック部41の嵌合部材413がウェブ芯P1の端部から抜け出した位置であり、後に新たなウェブ巻取紙Pを保持するために待機する位置である。そして、巻取紙制御部43は、新たなウェブ巻取紙Pを保持するときまで待機位置を維持できるように駆動側および操作側の駆動モータ424にブレーキをかける。なお、ステップS11〜ステップS12では、駆動側保持アーム11および操作側保持アーム11の移動や停止は独立して制御される。
【0055】
なお、上述した図5に示す制御フローのステップS1、および図6(a)に示す動作では、最初に駆動側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にしているが、最初に操作側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にしてしてもよい。この場合、ステップS2では、駆動側保持アーム11を駆動側に移動する。そして、ステップS5では、操作側チャック部41の嵌合部材413を噛込状態にし、ステップS6では、駆動側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にし、ステップS7では、操作側保持アーム11を操作側に移動する。さらに、ステップS10では、操作側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にする。
【0056】
このように、本実施例に係るウェブ芯取り外し方法では、ウェブ芯P1の各端部にチャック部41が嵌合された状態で、一方のチャック部41の嵌合部材413を解除し(ステップS1)、保持アーム11の移動によりチャック部41の1つをウェブ芯P1から抜ける方向に移動させる工程(ステップS2,S3,S4)と、次に、一方のチャック部41の嵌合部材413をウェブ芯P1に噛ませると共に(ステップS5)、他方のチャック部41の嵌合部材413を解除し(ステップS6)、かつ保持アーム11の移動によりチャック部41の1つをウェブ芯P1から抜ける方向に移動させる工程(ステップS7,S8,S9)とを含む。
【0057】
かかるウェブ芯取り外し方法によれば、一方のチャック部41の嵌合部材413を解除し、チャック部41の1つをウェブ芯P1から抜ける方向に移動させることで、ウェブ芯P1に対する一方のチャック部41の嵌合部材413の食い込みが外れる。そして、一方のチャック部41の嵌合部材413を噛ませると共に、他方のチャック部41の嵌合部材413を解除し、チャック部41の1つをウェブ芯P1から抜ける方向に移動させることで、ウェブ芯P1に対する他方のチャック部41の嵌合部材413の食い込みが外れる。このように、ウェブ巻取紙Pを保持する各チャック部41の交互の解除・噛込で、ウェブ芯P1に対する各チャック部41の嵌合部材413の食い込みを外すので、別途大掛かりな回収専用装置を用いることなく、ウェブ芯P1を確実かつ容易に取り外すことができる。
【0058】
しかも、チャック部41の移動は、挿抜方向であって、ウェブ芯P1を保持する際のチャック部41の移動の軌跡上である。このように、チャック部41はウェブ芯P1を保持するときと、ウェブ芯P1を取り外すときとで、同じ軌跡を通過する。この結果、挿抜方向以外に、チャック部41に負荷がかからないので、ウェブ巻取紙Pの保持位置を常に再現できる。
【0059】
また、本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置40では、ウェブ芯P1の各端部にチャック部41が嵌合された状態で、一方のチャック部41の嵌合部材413を解除状態とし、チャック部41の1つをウェブ芯P1の端部から抜ける方向に移動させ、次に一方のチャック部41の嵌合部材413をウェブ芯P1に噛ませると共に、他方のチャック部41の嵌合部材413を解除状態とし、かつチャック部41の1つをウェブ芯P1の端部から抜ける方向に移動させ、次に一方のチャック部41の嵌合部材413を解除状態に制御している。
【0060】
かかるウェブ巻取紙保持装置40によれば、一方のチャック部41の嵌合部材413を解除し、チャック部41の1つをウェブ芯P1から抜ける方向に移動させることで、ウェブ芯P1に対する一方のチャック部41の嵌合部材413の食い込みが外れる。そして、一方のチャック部41の嵌合部材413をウェブ芯P1に噛ませると共に、他方のチャック部41の嵌合部材413を解除し、チャック部41の1つをウェブ芯P1から抜ける方向に移動させることで、ウェブ芯P1に対する他方のチャック部41の嵌合部材413の食い込みが外れる。このように、ウェブ巻取紙Pを保持する各チャック部41の交互の解除・噛込で、ウェブ芯P1に対する各チャック部41の嵌合部材413の食い込みを外すので、上記ウェブ芯取り外し方法を実現でき、別途大掛かりな回収専用装置を用いることなく、ウェブ芯P1を確実かつ容易に取り外すことができる。
【0061】
しかも、チャック部41の移動は、挿抜方向であって、ウェブ芯P1を保持する際のチャック部41の移動の軌跡上である。このように、チャック部41はウェブ芯P1を保持するときと、ウェブ芯P1を取り外すときとで、同じ軌跡を通過する。この結果、挿抜方向以外に、チャック部41に負荷がかからないので、ウェブ巻取紙Pの保持位置を常に再現できる。
【0062】
また、本実施例に係る輪転印刷機では、ウェブ巻取紙PからウェブWが少なくなった(または無くなった)ウェブ芯P1を取り外すようにウェブ巻取紙保持装置40を備えている。かかる輪転印刷機によれば、印刷運転中に使うことのない回収専用装置を別途用いることなく、ウェブ芯P1を確実かつ容易に取り外すことができる。しかも、挿抜方向以外に、チャック部41に負荷がかからないので、ウェブ巻取紙Pの保持位置を常に再現できる。
【0063】
以下、図3,図4,図7および図8を参照して、巻取紙制御部43によるウェブ巻取紙保持装置40の他の動作であるウェブ芯取り外し方法に関する他の制御フローについて説明する。
【0064】
ここでのウェブ巻取紙保持装置40は、駆動側保持アーム11にチャック移動部42を備えず、操作側保持アーム11のみにチャック移動部42を備えている。したがって、給紙コントローラC1〜C5の巻取紙制御部(制御部)43には、駆動側モータ駆動部44bは接続されておらず、操作側モータ駆動部44a、操作側チャック駆動部45a、駆動側チャック駆動部45b、および記憶部46が接続されている。
【0065】
この形態のウェブ巻取紙保持装置40により、ウェブ巻取紙Pを保持する場合、巻取紙制御部43は、各チャック部41の嵌合部材413を解除状態(図4参照)とし、チャック移動部42により操作側保持アーム11を移動させ、各チャック部41をウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1の端部に挿入する。そして、各チャック部41の嵌合部材413を噛込状態(図3参照)とする。これにより、図2に示すようにウェブ巻取紙Pのウェブ芯P1が保持アーム11に保持される。
【0066】
印刷動作により、ウェブ巻取紙PからウェブWが少なくなると(または無くなると)、ウェブ芯P1を保持アーム11から取り外すことになる。先ず、ウェブ芯P1の各端部にそれぞれチャック部41が嵌合している状態で(図8(a))、巻取紙制御部43は、駆動側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にする(ステップS21、図8(b))。次に、巻取紙制御部43は、操作側チャック部41を伴い操作側保持アーム11を操作側(挿抜方向)に移動する(ステップS22)。次に、操作側保持アーム11が所定距離移動した場合(ステップS23:Yes)、巻取紙制御部43は、操作側保持アーム11の移動を停止する(ステップS24、図8(c))。なお、ステップS23での所定距離とは、図8(c)に示すように駆動側チャック部41の一部がウェブ芯P1の端部に挿入されている位置まで操作側保持アーム11を移動させる距離である。例えば、チャック部41の嵌合部材413がウェブ芯P1の端部に挿入される長さが100mmである場合、チャック部41の嵌合部材413が30mmウェブ芯P1の端部に挿入されている位置まで操作側保持アーム11を移動させる。
【0067】
次に、巻取紙制御部43は、駆動側チャック部41の嵌合部材413を噛込状態にすると共に(ステップS25、図8(d))、操作側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にする(ステップS26、図8(d))。次に、巻取紙制御部43は、操作側チャック部41を伴い操作側保持アーム11を操作側(挿抜方向)に移動する(ステップS27)。次に、操作側保持アーム11が待機位置に移動した場合(ステップS28:Yes)、巻取紙制御部43は、操作側保持アーム11の移動を停止する(ステップS29、図8(e))。なお、ステップS28での待機位置とは、図8(e)に示すように操作側チャック部41の嵌合部材413がウェブ芯P1の端部から抜け出した位置であり、後に新たなウェブ巻取紙Pを保持するために待機する位置である。そして、巻取紙制御部43は、新たなウェブ巻取紙Pを保持するときまで待機位置を維持できるように操作側駆動モータ424にブレーキをかける。
【0068】
次に、巻取紙制御部43は、駆動側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にし(ステップS30、図8(f))本制御を終了する。
【0069】
なお、上述した他の動作を行う場合、ウェブ巻取紙保持装置40は、操作側保持アーム11にチャック移動部42を備えず、駆動側保持アーム11のみにチャック移動部42を備えていてもよい。したがって、給紙コントローラC1〜C5の巻取紙制御部(制御部)43には、操作側モータ駆動部44aは接続されておらず、駆動側モータ駆動部44b、操作側チャック駆動部45a、駆動側チャック駆動部45b、および記憶部46が接続されている。
【0070】
このようなウェブ巻取紙保持装置40では、上述した図7に示す制御フローのステップS21、および図8(a)に示す動作では、最初に操作側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にする。次に、ステップS22では、駆動側保持アーム11を駆動側に移動する。そして、ステップS25では、操作側チャック部41の嵌合部材413を噛込状態にし、ステップS6では、駆動側チャック部41を解除状態にし、ステップS27では、駆動側保持アーム11を駆動側に移動する。さらに、ステップS30では、操作側チャック部41の嵌合部材413を解除状態にする。
【0071】
かかる他のウェブ芯取り外し方法および他のウェブ巻取紙保持装置40ならびに輪転印刷機においても、上述したウェブ芯取り外し方法およびウェブ巻取紙保持装置ならびに輪転印刷機の効果を得ることができる。
【0072】
なお、ウェブ芯P1を取り外しは、ウェブ巻取紙PからウェブWが少なくなったとき(または無くなったとき)に限らず、ウェブWの種類(ウェブ幅、ウェブ厚さ、紙種など)を変更する場合での行われるものである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明に係るウェブ芯取り外し方法およびウェブ巻取紙保持装置ならびに輪転印刷機は、大掛かりな回収専用装置を用いることなく、ウェブ芯を確実かつ容易に取り外すことに適している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施例に係る輪転印刷機の概略構成図である。
【図2】本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の概略構成図である。
【図3】図2に示したウェブ巻取紙保持装置のチャック部の概略構成図である。
【図4】図2に示したウェブ巻取紙保持装置のチャック部の概略構成図である。
【図5】本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の動作(ウェブ芯取り外し方法)を示す制御フローチャートである。
【図6】本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の動作図である。
【図7】本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の他の動作(ウェブ芯取り外し方法)を示す制御フローチャートである。
【図8】本実施例に係るウェブ巻取紙保持装置の他の動作図である。
【符号の説明】
【0075】
11 保持アーム
40 ウェブ巻取紙保持装置
41 チャック部
411 ケーシング
411a 中空部
411b 貫通穴
412 軸部材
412a 前端部
412b 後端部
413a 内周面
413b 凹凸部
413 嵌合部材
414 バネ部材
415 シール部材
416 バネ部材
417 切換弁
42 チャック移動部
420 基台
421 レール部材
422 摺動部材
423 ラックギア
424 駆動モータ
424a モータ軸
425 ピニオンギア
43 巻取紙制御部
44a 操作側モータ駆動部
44b 駆動側モータ駆動部
45a 操作側チャック駆動部
45b 駆動側チャック駆動部
46 記憶部
C 運転管理制御装置
C1〜C5 給紙コントローラ
W ウェブ
P ウェブ巻取紙
P1 ウェブ芯
R 給紙装置
R1〜R5 給紙ユニット
S 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ芯の各端部にチャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除し、前記チャック部の1つを前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、
次に、前記一方のチャック部のチャックを前記ウェブ芯に噛ませると共に、他方のチャック部のチャックを解除し、かつ前記チャック部の1つを前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、
次に、前記一方のチャック部のチャックを解除する工程と
を含むことを特徴とするウェブ芯取り外し方法。
【請求項2】
ウェブ芯の各端部にチャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除し、他方のチャック部を前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、
次に、前記一方のチャック部のチャックを前記ウェブ芯に噛ませると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除し、かつ前記一方のチャック部を前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、
次に、前記一方のチャック部のチャックを解除する工程と
を含むことを特徴とするウェブ芯取り外し方法。
【請求項3】
ウェブ芯の各端部にチャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除し、他方のチャック部の1つを前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、
次に、前記一方のチャック部のチャックを前記ウェブ芯に噛ませると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除し、かつ前記他方のチャック部を前記ウェブ芯から抜ける方向に移動させる工程と、
次に、前記一方のチャック部のチャックを解除する工程と
を含むことを特徴とするウェブ芯取り外し方法。
【請求項4】
ウェブ巻取紙からウェブが無くなった前記ウェブ芯に対して前記工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のウェブ芯取り外し方法。
【請求項5】
前記チャック部の移動は、前記ウェブ芯を保持する際の前記チャック部の移動の軌跡上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のウェブ芯取り外し方法。
【請求項6】
ウェブが巻かれた筒状のウェブ芯の各端部に噛む噛込状態にされる一方で、前記噛込状態を解かれた解除状態にされるチャックを有した一対のチャック部と、
前記チャック部の少なくとも1つを前記ウェブ芯の端部に対する挿抜方向に移動させるチャック移動部と、
前記ウェブ芯の各端部に前記チャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除状態とし、前記チャック部の1つを前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを噛込状態にすると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除状態とし、かつ前記チャック部の1つを前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを解除状態にする制御部と
を備えたことを特徴とするウェブ巻取紙保持装置。
【請求項7】
前記チャック移動部は、双方の前記チャック部を移動させるものであり、
前記制御部は、前記ウェブ芯の各端部に前記チャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除状態とし、他方のチャック部を前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを噛込状態にすると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除状態とし、かつ前記一方のチャック部を前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを解除状態にすることを特徴とする請求項6に記載のウェブ巻取紙保持装置。
【請求項8】
前記チャック移動部は、前記他方のチャック部を移動させるものであり、
前記制御部は、前記ウェブ芯の各端部に前記チャック部が嵌合された状態で、一方の前記チャック部のチャックを解除状態とし、他方のチャック部を前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを噛込状態にすると共に、前記他方のチャック部のチャックを解除状態とし、かつ前記他方のチャック部を前記ウェブ芯の端部から抜ける方向に移動させ、次に前記一方のチャック部のチャックを解除状態にすることを特徴とする請求項6に記載のウェブ巻取紙保持装置。
【請求項9】
前記チャック移動部は、前記ウェブ芯を保持する際の前記チャック部の移動の軌跡上で前記チャック部を挿抜方向へ移動させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のウェブ巻取紙保持装置。
【請求項10】
ウェブが巻かれた筒状のウェブ芯を保持しつつ前記ウェブを搬送する給紙装置を備えた輪転印刷機において、
前記ウェブ芯を取り外す態様で請求項6〜9のいずれか一つに記載のウェブ巻取紙保持装置を備えたことを特徴とする輪転印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−234710(P2009−234710A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82178(P2008−82178)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】