説明

ウエハの接合装置

【課題】一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行な状態で接合され、生産性を向上させるウエハの接合装置を提供する
【解決手段】硬化前の接着剤を介して二つのウエハが重ね合わされたワークを搭載する搭載手段と、照射部と検出部とを有し、照射部から光を照射し、一方のウエハの面及び他方のウエハの面で反射される光を検出部で検出し、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行になっているかを検査する平面度検査手段と、貫通穴が設けられている平板部と加圧部と吸引部とを有し、平板部の主面間にワークを配置し、加圧部によってウエハの主面を加圧部により加圧又は吸引部によってウエハの主面を吸引し、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行な状態となるように調整する平面度調整手段と、接着剤を硬化する硬化手段と、ワークを搭載したままの状態で移動させる移動手段と、を少なくとも備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤をウエハの両主面で挟んだ状態でウエハが重ね合わされ形成されているワークの、接着剤を硬化させることで、ウエハを接合するウエハの接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤をウエハの両主面で挟んだ状態でウエハが重ね合わされた状態で接着剤が硬化され接合されたウエハは、例えば、光学変換素子に多く用いられる。
光学変換素子は、例えば、入射された光を変換し出射させる特性を有しており、二つのウエハの主面同士が接着剤によって接合されて構成されている。
【0003】
二つのウエハのうち一方のウエハは、例えば、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有している水晶部材が用いられ、両主面が四角形状となっている。
また、一方のウエハは、例えば、主面がX軸とY軸に平行で、かつ、厚み方向がZ軸に平行となっている旋光板となっている。
【0004】
他方のウエハは、例えば、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有している水晶部材が用いられている。
また、他方のウエハは、例えば、両主面が四角形状となっており、他方のウエハの主面の大きさが一方のウエハの主面と同じ大きさとなっている。
また、他方のウエハは、例えば、主面がX軸及びY軸に平行で、かつ、厚み方向がZ軸に平行となっている旋光板となっている。
【0005】
接着剤は、例えば、紫外光を照射すると硬化し、硬化前後であっても紫外光を透過させる特性を有している。
また、接着剤は、一方のウエハの一方の主面の全面に塗布され、一方のウエハの一方の主面と他方のウエハの一方の主面との間に挟まれた状態で硬化されて、一方のウエハの一方の主面と他方のウエハの一方の主面とを接合している。
【0006】
従って、このような光学部品素子は、接着剤をウエハの両主面で挟んだ状態でウエハが重ね合わされた状態で接着剤が硬化され接合されており、一方のウエハの他方の主面から入射された光が二つのウエハの内部を通過し他方のウエハの他方の主面から変換されて出射される特性を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
このように接着剤によってウエハが接合されている光学変換素子は、例えば、次のようなウエハの接合装置が用いられる。
【0008】
ここで、ウエハ接合装置によって接合されるウエハは、例えば、水晶部材が平板状に切断された後、両主面が両主面に両面研磨機により研磨されて形成されている。
【0009】
ウエハの接合装置は、例えば、一方の主面にワークを搭載するワーク搭載手段と接着剤を硬化させる硬化手段とを備えている。
【0010】
ここで、ワークは、一方のウエハの一方の主面の全面に接着剤が塗布され、この接着剤を一方のウエハの一方の主面と他方のウエハの他方の主面とで挟むようにウエハを重ね合わされた状態となっている。
また、このワークは、前述したように、ワーク搭載手段に搭載される。
【0011】
搭載手段は、例えば、平板状の試料台が用いられる。
従って、ワークは、試料台の一方の主面に搭載される。
【0012】
硬化手段は、例えば、紫外光を放射する紫外光照射ランプが用いられる。
この紫外光照射ランプは、例えば、ワークが搭載されている試料台の一方の面に、紫外光を照射することができる位置に設けられている。
【0013】
従って、前述したウエハの接合装置は、搭載手段である試料台の一方の主面に搭載されているワークの接着剤に、硬化手段である紫外光照射ランプから放射された紫外光を照射し、ワークの接着剤を硬化しウエハを接合する構造となっている。
つまり、前述したウエハ接合装置は、搭載手段である試料台に搭載されたワークの接着剤が、そのままの状態で硬化手段である紫外線照射ランプから放射された紫外光によって硬化され、ウエハが接合される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
特開2007−114520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来のウエハの接合装置によれば、搭載手段に搭載されたワークの接着剤がそのままの状態で硬化手段によって硬化され、ウエハが接合される構造となっているので、ウエハ間に存在している接着剤に塗布ムラがある場合、ワークのウエハの主面が平行となっていない状態でウエハが接合されてしまう恐れがある。
このため、従来のウエハの接合装置によれば、接着剤に接している面に対向する一方のウエハの面を基準として接着剤に接している面に対向する他方のウエハの面までの距離の最大値と最小値との差をワークの面精度とすると、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行にならず、ワークの面精度が大きくなる。
従って、従来のウエハの接合装置を用いて接合されたウエハの面精度を小さくするために、接着剤を溶融させ再び接合のやり直しや接合後のウエハの主面の研磨などの接合後の修正作業が必要となり、接合されたウエハの生産性が低下する恐れがある。
【0016】
また、従来のウエハの接合装置によれば、搭載手段に搭載されたワークの接着剤がそのままの状態で硬化手段に搭載されウエハが接合される構造となっているので、ウエハが研磨されることでウエハの主面に反りが生じている場合、ワークのウエハの主面が平行となっていない状態でウエハが接合されてしまう恐れがある。
このため、従来のウエハの接合装置によれば、接着剤に接している面に対向する一方のウエハの面を基準として接着剤に接している面に対向する他方のウエハの面までの距離の最大値と最小値との差をワークの面精度とすると、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行にならず、ワークの面精度が大きくなる。
従って、従来のウエハの接合装置を用いて接合されたウエハの面精度を小さくするために、接着剤を溶融させ再び接合のやり直しや接合後のウエハの主面の研磨などの接合後の修正作業が必要となり、接合されたウエハの生産性が低下する恐れがある。
【0017】
本発明では、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行な状態で接合され、生産性を向上させるウエハの接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するため、硬化前の接着剤を介して二つのウエハが重ね合わされた状態となっているワークを搭載する搭載手段と、照射部と検出部とを有し、前記ワークの前記一方のウエハから前記他方のウエハに向かう向きに前記照射部から光を照射し、前記接着剤に接している面に対向する前記一方のウエハの面及び前記他方のウエハの面で反射される光を検出部で検出し、前記一方のウエハの主面と前記他方のウエハの主面とが平行になっているかを検査する平面度検査手段と、複数の貫通穴が設けられている二つ一対の平板部と前記平板部に接続されている加圧部と前記平板部に接続されている吸引部とを有し、前記平板部の主面間に前記ワークを配置し、前記加圧部又は前記吸引部によって前記一方のウエハの主面を前記加圧部により前記貫通穴から気体が排出し加圧又は前記吸引部により前記貫通穴を通じて吸引しつつ、前記加圧部又は前記吸引部によって前記他方のウエハの主面を加圧又は吸引して、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行な状態となるように調整する平面度調整手段と、前記一方のウエハの主面と前記他方のウエハの主面とが平行な状態となっている前記ワークの接着剤を硬化する硬化手段と、前記ワークを搭載したままの状態で前記搭載手段を移動させる移動手段と、を少なくとも備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
このようなウエハの接合装置によれば、搭載手段により搭載されたワークの一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行となっているかを平面度検査手段によって検査し、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行となるように平面度調整手段によって調整され、その後、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行となった状態のワークの接着剤が硬化手段によって硬化させ、ウエハを接合する構成となっているので、ウエハの間に存在している接着剤に塗布ムラがある場合であっても、ワークのウエハの主面が平行となっている状態でウエハを接合することができる。
このため、このようなウエハの接合装置によれば、接着剤に接している面に対向している一方のウエハの面を基準として接着剤に接している面に対向する他方のウエハの面までの距離の最大値と最小値との差をワークの面精度とすると、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とを平行にすることができ、ワークの面精度を小さくすることができる。
従って、このようなウエハの接合装置を用いて接合されたウエハの面精度を小さくするための修正作業が不要となり、接合されたウエハの生産性を向上させることができる。
【0020】
また、このようなウエハの接合装置によれば、搭載手段により搭載されたワークの一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行となっているかを平面度検査手段によって検査し、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行となるように平面度調整手段によって調整され、その後、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行となった状態のワークの接着剤が硬化手段によって硬化させ、ウエハを接合する構成となっているので、接合されるウエハの主面が反っている場合であっても、ワークのウエハの主面が平行となっている状態でウエハを接合することができる。
このため、このようなウエハの接合装置によれば、接着剤に接している面に対向している一方のウエハの面を基準として接着剤に接している面に対向する他方のウエハの面までの距離の最大値と最小値との差をワークの面精度とすると、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とを平行にすることができ、ワークの面精度を小さくすることができる。
従って、このようなウエハの接合装置を用いて接合されたウエハの面精度を小さくするための修正作業が不要となり、接合されたウエハの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置の概念の一例を示す概念図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置の搭載手段に搭載されるワークの状態の一例を示す状態図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置の平面度検査手段の概念の一例を示す概念図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置の平面度調整手段の概念の一例を示す概念図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置の平面度調整手段後のワークの状態の一例を示す状態図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置の硬化手段の概念の一例を示す概念図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係るウエハの接合装置の概念の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において各構成要素の状態を分かりやすくするために誇張して図示している。
【0023】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置は、例えば、硬化前の接着剤を介して二つのウエハが重ね合わされた状態で、接着剤を硬化させ、ウエハを接合する構成となっている。
また、本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置100は、例えば、図1に示すように、搭載手段110と平面度検査手段120と平面度調整手段130と硬化手段140と移動手段(図示せず)とから主に構成されている。
【0024】
搭載手段110は、平板状の試料台111を備えており、試料台111にワークWが搭載される。
【0025】
試料台111は、後述する平面度調整手段130の平板部131と同じ形状となっており、複数の貫通穴112が設けられている。
また、試料台111は、光を吸収する色の部材、例えば、黒色の部材が用いられる。
また、試料台111は、移動手段によって、ワークWを搭載したままの状態で移動する機構を有している。
【0026】
搭載手段110に搭載されるワークWは、一方のウエハW1の一方の主面の全面に接着剤Jが塗布され、この接着剤Jを一方のウエハW1の一方の主面と他方のウエハW2の一方の主面とで挟むようにウエハW1,W2を重ね合わされた状態となっている。
このとき、接着剤Jに塗布ムラがある場合や接合されるウエハW1,W2の主面が反っている場合、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となっていない。ここでは、図2に示すように、反っているウエハW1,W2が用いられている場合を例に説明している。
【0027】
従って、搭載手段110には、図1に示すように、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となっていないワークWが搭載される。
【0028】
平面度検査手段120は、図1及び図3に示すように、照射部121と検出部122と偏光板Mとを有しており、例えば、波面収差検査装置の機能を有している。
【0029】
照射部121は、例えば、照射ランプが用いられる。
また、照射部121は、試料台111に搭載されているワークWに光を照射することができる位置に設けられており、例えば、一方のウエハW1から他方のウエハW2に向かう向きに光を照射することができる位置に設けられている。
【0030】
検出部122は、照射部121からワークWに光が照射されたとき、一方のウエハW1の接着剤Jに接していない面及び他方のウエハW2の接着剤Jに接していない面で反射された光が入射される。
また、検出部122は、例えば、干渉計が用いられ、光路長の異なる光が入射されたとき、入射された光を光源から検出部122までの光路長に換算し、これらの光路長の差及び光路長の差の最大値と最小値との差を計算する機能を有している。
ここでは、検出部122に一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とで反射された光が入射されるので、入射された光の光路長の差が一方のウエハW1の主面から他方のウエハW2の主面までの距離に該当する。従って、検出部122では、一方のウエハW1から他方のウエハW2までの距離の最大値と最小値との差、つまり、ワークWの面精度が検出される。
【0031】
偏光板Mは、一方の主面側から光が入射されたとき、入射された光をそのまま通過させ他方の主面から出射させ、他方の主面側から光が入射されたとき他方の主面で反射させる特性を有している。
また、偏光板Mは、照射部121とワークWが搭載される試料台111との間に設けられており、偏光板Mの一方の主面が照射部121側の斜め45度の方向を向くように設けられている。
また、偏光板Mは、照射部121から照射されワークWで反射された光を偏光板Mの他方の主面で反射させ、検出部122に入力させることができる位置に設けられている。
【0032】
平面度検査手段120では、検出部122に入射される光の量から、接着剤Jに接していない一方のウエハW1の面を基準として接着剤Jに接していない他方のウエハW2の面までの距離の最大値と最小値との差を検出している。
このとき、一方のウエハ側から他方のウエハ側を見た場合に照射部121から照射された光が反射されない色となっており、例えば、黒色となっている。
【0033】
ここで、接着剤Jに接していない一方のウエハW1の面を基準として接着剤Jに接していない他方のウエハW2の面までの距離の最大値と最小値との差を、ワークWの面精度とする。
つまり、ワークWの面精度が小さくなるにつれて一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行に近づく。ワークWの面精度がゼロのとき、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となる。
【0034】
従って、平面度検査手段120では、搭載手段110に搭載されているワークWの、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行になっているかが検査される。
【0035】
平面度調整手段130は、図1及び図4に示すように、加圧部133a,133bと吸引部134a,134bと切替バルブ135a、135bと複数の貫通穴132a,132bが設けられている平板部131a、131bとを備えている。
【0036】
平板部131a,131bは、例えば、図1及び図4に示すように、二つ一対で設けられており、それぞれの主面が対向しつつ平行となるように配置されている。
また、平板部131a,131bは、例えば、矩形形状の平板状に形成されおり、一方の主面から他方の主面にまで貫通する貫通穴132a,132bが複数、設けられている。
また、平板部131a,131bは、例えば、その主面の大きさがワークWのウエハW1,W2の主面と同じ大きさになっている。
【0037】
一方の平板部131aの他方の平板部131b側を向く面には、例えば、図1及び図4に示すように、後述する移動手段により移動された試料台111がワークWを搭載した状態で配置される。
ここで、前述したように、試料台111は、平板部131と同じ形状となっている。
従って、このとき、一方の平板部131aの貫通穴132aの開口部が試料台111の貫通穴112の開口部と重なった状態となる。
このため、一方の平板部131aにワークWが搭載されている試料台111が配置されているとき、一方の平板部131aと試料台111とを一体化された構造とみなすことができる。
【0038】
他方の平板部131bは、図1及び図4に示すように、他方の平板部131bの一方の主面が、ワークWが搭載されている試料台111が配置される一方の平板部131aの面に対向しつつ、平行となる位置に配置される。
【0039】
平板部131a,131bでは、図1及び図4に示すように、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置されるとき、ワークWが搭載されている試料台111が試料台111ごと一方の平板部131aと他方の平板部131bとで挟まれる状態となっている。
【0040】
加圧部133a,133bは、例えば、図1及び図4に示すように、二つ一対で設けられており、それぞれの平板部131a,131bに一つずつ接続されている。
また、加圧部133a,133bは、例えば、気体を排出するガスボンベが用いられている。なお、圧縮空気を送排気するポンプを用いてもよい。
【0041】
一方の加圧部133aは、図1及び図4に示すように、一方の平板部131aの貫通穴132aの開口部に接続されている。
このため、一方の加圧部133aによって、接続されている面から他方の平板部131b側を向く面に向かう向きに貫通穴132aの内部を通るように気体を排気することが可能となる。
従って、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置された状態では、一方の加圧部133aにより、一方の平板部131aの貫通穴132a及び試料台111の貫通穴112の内部を通過するように気体を排気させることができるので、試料台111に搭載されているワークWの一方のウエハW1の面を平板部131a上の試料台111に加圧することができる。
【0042】
他方の加圧部133bは、図1及び図4に示すように、他方の平板部131bの貫通穴132bの開口部に接続されている。
このため、他方の加圧部133bによって、接続されている面から一方の平板部131a側を向く面に向かう向きに貫通穴132bの内部を通るように気体を排気することが可能となる。
従って、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置された状態では、他方の加圧部133bにより、他方の平板部131bの内部を通過するように気体を排気させることができるので、試料台111に搭載されているワークWの他方のウエハW2の面を加圧することができる。
【0043】
加圧部133a,133bは、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置されたとき、ワークWのウエハW1とワークWのウエハW2とを独立して加圧することができる機能を有している。
【0044】
吸引部134a,134bは、例えば、図1及び図4に示すように、それぞれの平板部131の一つずつに接続されている。
また、吸引部134は、例えば、ローターリーポンプが用いられる。
【0045】
一方の吸引部134aは、図1及び図4に示すように、一方の平板部131aの貫通穴132aの開口部に接続されている。
このため、一方の吸引部134aによって、接続されている面から他方の平板部131b側を向く面に向かう向きに貫通穴132aの内部を通るように気体を吸引することが可能となる。
従って、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置された状態では、一方の吸引部により、試料台111の貫通穴112及び一方の平板部122aの貫通穴132aの内部を通過するように気体を吸引することができるので、試料台111に搭載されているワークWの一方のウエハW1の面を吸引することができる。
【0046】
他方の吸引部134bは、図1及び図4に示すように、他方の平板部131bの貫通穴132bの開口部に接続されている。
このため、他方の吸引部134bによって、接続されている面から一方の平板部131a側を向く面に向かう向きに貫通穴132bの内部を通るように気体を吸引することが可能となる。
従って、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置された状態では、他方の吸引部134bにより、他方の平板部131bの貫通穴132bを通過するように気体を吸引することができるので、試料台111に搭載されているワークWの他方のウエハW2の面を吸引することができる。
【0047】
吸引部134a,134bは、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置されたとき、ワークWの一方のウエハW1とワークWの他方のウエハW2とを独立して吸引することができる機構を有している。
【0048】
切替バルブ135a,135bは、例えば、図1及び図4に示すように、二つ一対で設けられており、平板部131a,131bと加圧部133a,133bとの間であって平板部131a,131bと吸引部134a、134bとの間に設けられている。
また、切替バルブ135a,135bは、加圧部133a,133bによって加圧を行う機能と吸引部134a,134bによって吸引を行う機能と切替を行う機能を有している。
【0049】
従って、平面度調整手段130には、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置される。このとき、ワークWは、試料台111に搭載された状態で、一方の平板部131aと他方の平板部131bとで挟まれる。
また、平面度調整手段130は、ワークWが搭載されている試料台111が配置された状態で、加圧部133又は吸引部134によって、ワークWのウエハW1,W2の面がそれぞれ加圧又は吸引され、図5に示すように一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となるように調整する機構を有している。
【0050】
例えば、平面度調整手段130では、ワークWが搭載されている試料台111が一方の平板部131aに配置され、吸引部134a,134bによりワークWの両ウエハW1,W2が吸引されることで、一方のウエハW1の縁部が試料台111の縁部に重なりつつ他方のウエハW2の縁部が他方の平板部131bの縁部に重なり、両ウエハW1,W2の主面が平行となるように調整される。このとき、接着剤Jの表面張力により、一方のウエハW1と他方のウエハW2とが剥がれない状態となっている。
その後、平面度調整手段130では、加圧部133a,133bによりワークWの両ウエハW1,W2が加圧されることで、両ウエハW1,W2の主面が平行な状態のまま試料台111にワークWが搭載することができる。
【0051】
硬化手段140は、例えば、図6に示すように、紫外光を放射する紫外光照射ランプ141が用いられる。
また、紫外光照射ランプ141は、図6に示すように、試料台111に搭載されていワークWに紫外光を照射することができる位置に設けられている。
硬化手段では、例えば、搭載手段110に搭載されているワークWに紫外光が照射され、ワークWの接着剤Jが硬化されて、ウエハW1,W2が接合される。このとき、ワークWの一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行な状態となっている。
【0052】
移動手段は、搭載手段110である試料台に搭載されているワークWをそのままの状態で、各手段間を移動させる機構を有する。
また、移動手段によって、ワークWが搭載されている試料台111は、例えば、搭載手段110から平面度検査手段120への移動、平面度検査手段120から平面度調整手段130への移動、平面度調整手段130から硬化手段130への移動、が可能となっている。
【0053】
このような本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置100は、ワークWが搭載手段110に搭載されて平面度検査手段120でワークWの平面度が検査され、平面度調整手段130でワークWの平面度が調整された後、硬化手段140でワークWの接着剤Jが硬化される構成となっている。
【0054】
このような本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置100によれば、搭載手段110により搭載されたワークWの一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となっているかを平面度検査手段120によって検査し、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となるように平面度調整手段130によって調整され、その後、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となった状態のワークWの接着剤Jが硬化手段によって硬化させ、ウエハW1,W2を接合する構成となっているので、ウエハW1,W2の間に存在している接着剤Jに塗布ムラがある場合であっても、ワークWのウエハW1,W2の主面が平行となっている状態でウエハW1,W2を接合することができる。
このため、このような本発明の実施形態に係るウエハの接合装置100によれば、接着剤Jに接している面に対向している一方のウエハW1の面を基準として接着剤Jに接している面に対向する他方のウエハW2の面までの距離の最大値と最小値との差をワークWの面精度とすると、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とを平行にすることができ、ワークWの面精度を小さくすることができる。
従って、このような本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置100を用いてウエハW1,W2が接合されたワークWは、従来のウエハの接合装置を用いてウエハが接合されたワークと比較し接合後のワークWの面精度が小さくなり、従来のウエハ接合装置のような接合後の修正作業が不要となるので生産性を向上させることができる。
【0055】
このような本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置100によれば、搭載手段110により搭載されたワークWの一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となっているかを平面度検査手段120によって検査し、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となるように平面度調整手段130によって調整され、その後、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となった状態のワークWの接着剤Jが硬化手段によって硬化させ、ウエハW1,W2を接合する構成となっているので、接合されるウエハW1,W2の主面が反っている場合であっても、ワークWのウエハW1,W2の主面が平行となっている状態でウエハW1,W2を接合することができる。
このため、このような本発明の実施形態に係るウエハの接合装置100によれば、接着剤Jに接している面に対向している一方のウエハW1の面を基準として接着剤Jに接している面に対向する他方のウエハW2の面までの距離の最大値と最小値との差をワークWの面精度とすると、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とを平行にすることができ、ワークWの面精度を小さくすることができる。
従って、このような本発明の第一の実施形態に係るウエハの接合装置100を用いてウエハW1,W2が接合されたワークWは、従来のウエハの接合装置を用いてウエハが接合されたワークと比較し接合後のワークWの面精度が小さくなり、従来のウエハ接合装置のような接合後の修正作業が不要となるので生産性を向上させることができる。
【0056】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係るウエハの接合装置200は、図7に示すように、平面度調整手段130と硬化手段140との間に、さらに硬化前平面度検査手段250が設けられている点で第一の実施形態と異なる。
従って、本発明の第二の実施形態に係るウエハの接合装置200は、例えば、図7に示すように、搭載手段110と平面度検査手段120と平面度調整手段130と硬化前平面度検査手段250と硬化手段140と移動手段(図示せず)から構成されている。
【0057】
硬化前平面度検査手段250は、図7に示すように、平面度調整手段130と硬化手段140との間に設けられている。
また、硬化前平面度検査手段250は、図7に示すように、照射部2521と検出部252とを有しており、例えば、波面収差検査装置の機能を有している。
【0058】
照射部251は、例えば、照射ランプが用いられる。
また、照射部251は、試料台111に搭載されているワークWに光を照射することができる位置に設けられており、例えば、一方のウエハW1から他方のウエハW2に向かう向きに光を照射することができる位置に設けられている。
【0059】
検出部252は、照射部251からワークWに光が照射されたとき、一方のウエハW1の接着剤Jに接していない面及び他方のウエハW2の接着剤Jに接していない面で反射された光が入射される。
また、検出部252は、例えば、干渉計が用いられ、光路長の異なる光が入射されたとき、入射された光を光源から検出部252までの光路長に換算し、これらの光路長の差及び光路長の差の最大値と最小値との差を計算する機能を有している。
ここでは、検出部252に一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とで反射された光が入射されるので、入射された光の光路長の差が一方のウエハW1の主面から他方のウエハW2の主面までの距離に該当する。従って、検出部122では、一方のウエハW1から他方のウエハW2までの距離の最大値と最小値との差、つまり、ワークWの面精度が検出される。
【0060】
偏光板Mは、一方の主面側から光が入射されたとき、入射された光をそのまま通過させ他方の主面から出射させ、他方の主面側から光が入射されたとき他方の主面で反射させる特性を有している。
また、偏光板Mは、照射部251とワークWが搭載される試料台111との間に設けられており、偏光板Mの一方の主面が照射部251側の斜め45度の方向を向くように設けられている。
また、偏光板Mは、照射部251から照射されワークWで反射された光を偏光板Mの他方の主面で反射させ、検出部252に入力させることができる位置に設けられている。
【0061】
硬化前平面度検査手段250では、反射される光の量から、接着剤Jに接していない一方のウエハW1の面を基準として接着剤Jに接していない他方のウエハW2の面までの距離の最大値と最小値との差を検出している。
このとき、一方のウエハ側から他方のウエハ側を見た場合に照射部251から照射された光が反射されない色となっており、例えば、黒色となっている。
【0062】
従って、硬化前平面度検査手段250では、搭載手段110に搭載されているワークWの、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行になっているかが検査される。
【0063】
移動手段(図示せず)は、搭載手段110である試料台に搭載されているワークWをそのままの状態で、各手段間を移動させる機構を有している。
また、移動手段によって、ワークWが搭載されている試料台111は、図7に示すように、例えば、搭載手段110から平面度検査手段120への移動、平面度検査手段120から平面度調整手段130への移動、平面度調整手段130から硬化前平面度検査手段250への移動、平面度調整手段130から硬化手段130への移動、が可能となっている。
【0064】
本発明の第二の実施形態に係るウエハの接合装置200は、搭載手段110に搭載されたワークWの平面度が平面度検査手段120によって検査され、平面度調整手段によってワークWの平面度が調整された後に、硬化手段によってワークWの接着剤Jが硬化される機構を有しているので、第一の実施形態と同様の効果を奏する。
【0065】
また、本発明の第二の実施形態に係るウエハの接合装置200によれば、平面度調整手段130と硬化手段140との間に硬化前平面度検査手段250が設けられているので、一方のウエハW1の主面と他方のウエハW2の主面とが平行となっていることを確認し接着剤Jを硬化することができ、生産性を向上させることができる。
【0066】
ここで、本発明の第二の実施形態に係るウエハの接合装置200で硬化前平面度検査手段250が設けられている場合について説明しているが、例えば、図8に示すウエハ接合装置300のように、平面度調整手段130後に平面度検査手段130によってワークWの平面度を検査し、硬化手段140で接着剤Jを硬化してもよい。このとき、移動手段によって、ワークWが搭載されている試料台は、搭載手段110、平面度検査手段120、平面度調整手段130、平面度検査手段120、硬化手段140の順でワークWが搭載されている試料台111が移動される。
【0067】
なお、接着剤が紫外線硬化樹脂を用いた場合について説明しているが、硬化した接着剤が入射された光をそのまま透過させ出射させることができれば、例えば、熱硬化樹脂を用いてもよい。このとき、接着剤硬化工程では、ワークWに熱を加えて接着剤を硬化させる。
【0068】
また、ウエハが水晶部材からなる旋光板を接合する場合について説明しているが、ウエハの主面同士を接着剤で接合していれば、例えば、波長板を接合してもよい。
【0069】
また、ウエハに水晶部材が用いられる場合について説明しているが、ウエハの主面同士を接着剤で接合していれば、例えば、ガラス部材であってもよい。
【0070】
また、接合されるウエハが両方とも水晶部材からなる場合について説明しているが、例えば、一方のウエハがガラス部材であってもよい。
【0071】
また、2枚のウエハを接合する場合について説明しているが、例えば、接合されているウエハを一つのウエハとみなして、接合されているウエハ同士をさらに接合してもよい。
【符号の説明】
【0072】
100,200 ウエハ接合装置
110 搭載手段
120 平面度検査手段
250 硬化前平面度検査手段
121,251 照射部
122,252 検出部
130 平面度調整手段
M 偏光板
131 平板部
132 貫通穴
133 加圧部
134 吸引部
135 切替バルブ
140 硬化手段
141 紫外光照射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化前の接着剤を介して二つのウエハが重ね合わされた状態となっているワークを搭載する搭載手段と、
照射部と検出部とを有し、前記ワークの前記一方のウエハから前記他方のウエハに向かう向きに前記照射部から光を照射し、前記接着剤に接している面に対向する前記一方のウエハの面及び前記他方のウエハの面で反射される光を検出部で検出し、前記一方のウエハの主面と前記他方のウエハの主面とが平行になっているかを検査する平面度検査手段と、
複数の貫通穴が設けられている二つ一対の平板部と前記平板部に接続されている加圧部と前記平板部に接続されている吸引部とを有し、前記平板部の主面間に前記ワークを配置し、前記加圧部又は前記吸引部によって前記一方のウエハの主面を前記加圧部により前記貫通穴から気体が排出し加圧又は前記吸引部により前記貫通穴を通じて吸引しつつ、前記加圧部又は前記吸引部によって前記他方のウエハの主面を加圧又は吸引して、一方のウエハの主面と他方のウエハの主面とが平行な状態となるように調整する平面度調整手段と、
前記一方のウエハの主面と前記他方のウエハの主面とが平行な状態となっている前記ワークの接着剤を硬化する硬化手段と、
前記ワークを搭載したままの状態で前記搭載手段を移動させる移動手段と、
を少なくとも備えていることを特徴とするウエハの接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76733(P2013−76733A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214961(P2011−214961)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】