説明

ウォーターサーバー用のボトル供給装置

【課題】複数本のボトルを垂直方向に重ねて保管でき、しかもボトルの保管やウォーターサーバーへの装填における使用者の労力を軽減することのできる、ウォーターサーバー用のボトル供給装置を提供すること。
【解決手段】
上部にボトル91が装填されるウォーターサーバー81にボトル91を供給する、ボトル供給装置であって、ボトル91をウォーターサーバー81に装填される姿勢で保持する複数の保持部21を備え、複数の保持部21を上下方向に循環させる移送部11と、移送部11の経路のうち、保持部21を下方から上方に向けて移送する経路の下部において、保持部21にボトル91を載置する搬入部13と、移送部11の経路のうち、保持部21を上方から下方に向けて移送する経路の上部において、保持部21に載置されたボトル91をウォーターサーバー81に装填する装填部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターサーバーに近接して設置され、ボトルを複数本保管するとともに、ボトルをウォーターサーバーに装填する、ウォーターサーバー用のボトル供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭やオフィスにおいて、飲料用の冷水、温水を手軽に利用するために設置されるボトル式のウォーターサーバーが知られている。ボトルには飲料水が入っており、ウォーターサーバーの上部にこのボトルが装填される。ボトルからの飲料水は重力によって下方のウォーターサーバー本体内に供給され、ウォーターサーバー本体内で冷却又は加熱される。ウォーターサーバー本体の前部には冷水用と温水用の2つの水栓が設けられており、使用者はいずれかの水栓の下にコップ等を置いて冷水又は温水を利用する。ボトルの飲料水を消費した場合は、使用者が空のボトルを取り外し、新たなボトルを装填する。また、新たなボトルを購入した場合には、配送業者が新品のボトルを玄関先まで運搬し、空のボトルを引き取っていく。
【0003】
ところで、このボトルは容量が10リットル以上のものがあり、飲料水が入った新品の状態では重量が10kg以上になるものもある。ウォーターサーバーは、使用者が立った状態で使用することが想定されているため、ボトルを装填する取付部の位置は、床から1メートル前後の高さにある。このような重いボトルを倒置させて口部を下に向けて持ち上げ、高い位置にあるウォーターサーバーの上部の取付部にボトルを装填するにはかなりの労力が必要となる。特に、非力な女性や高齢者にとってはこのボトルの装填作業は容易ではない。
【0004】
また、各家庭やオフィスでは、消費量に応じて予備のボトルを複数本保管しておく必要もある。しかしながら大容量のボトルを平置きで複数本保管するには広い床面積が必要である。複数本のボトルを垂直方向に重ねて保管できるストッカーも知られているが、ボトルを保管する場合には重いボトルをストッカーの高い位置に載置しなければならない。ボトルを使用する場合には高い位置に載置したボトルを一旦降ろしてから再度持ち上げ、ウォーターサーバーの上部の取付部にボトルを装填しなければならない。このため、ストッカーを用いるとボトルを平置きする場合に較べて余分な労力が必要となる。
【0005】
このようなボトルの保管や装填における使用者の労力を軽減するため、配送業者がボトルを配送した際に、ウォーターサーバーへボトルを装填する作業や、ストッカーへボトルを載置する作業を合わせて行うサービスも存在する。しかしながら、ウォーターサーバーは、家庭やオフィスの玄関先ではなく、家庭では居間や台所、オフィスでは休憩所などに設置されることが多く、このような場所に見知らぬ他人が入ってくることに抵抗を覚える使用者もいる。
【0006】
一方、大容量のボトルに相当する量の飲料水を複数本の小型のボトルに小分けし、複数本の小型ボトルを同時に取り付けることを可能としたウォーターサーバーも知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、小型ボトルの飲料水はすぐに消費されてしまうため、ボトルを頻繁に交換しなければならない。また、保管しておくボトルの本数と空になったボトルの本数が共に多くなるため、ボトルを保管するための広いスペースが必要になるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−12821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を解決すべくなされたものである。本発明の目的は、複数本のボトルを垂直方向に重ねて保管でき、しかもボトルの保管やウォーターサーバーへの装填における使用者の労力を軽減することのできる、ウォーターサーバー用のボトル供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、第1の発明は、上部にボトルが装填されるウォーターサーバーにボトルを供給する、ボトル供給装置であって、
ボトルをウォーターサーバーに装填される姿勢で保持する複数の保持部を備え、前記複数の保持部を上下方向に循環させる移送部と、前記移送部の経路のうち、前記保持部を下方から上方に向けて移送する経路の下部において、前記保持部にボトルを載置する搬入部と、前記移送部の経路のうち、前記保持部を上方から下方に向けて移送する経路の上部において、前記保持部に載置されたボトルをウォーターサーバーに装填する装填部と、を備える。
【0011】
第2の発明は、第1の発明であって、
前記装填部は、ウォーターサーバーの取付部の上方に配置され、
前記保持部が上方から下方に向けて移送され、前記取付部の上方からボトルが下降することにより、ボトルが取付部に装填される。
【0012】
第3の発明は、第2の発明であって、
前記保持部は、ボトルを載置する腕部を備え、
前記腕部は、前記装填部においてボトルが取付部に装填された後、前記保持部が上方から下方に向けて移送されるに伴なってボトルの側方に移動するとともに、ボトルの後方に退避する。
【0013】
第4の発明は、第1から第3の発明であって、
ボトルの口部に設けられた保護部材の有無を検知する検知部と、
前記検知部において保護部材が設けられていることを検知した場合に報知を行う報知部と、
を更に備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
第1の発明によれば、移送部に複数の保持部が設けられており、搬入部から順送りで複数のボトルを保持させることができるため、ボトルのストッカーの役目を果たすことができる。また、ボトルはウォーターサーバーに装填される姿勢で保持部に保持され、その姿勢のままボトルはウォーターサーバーに装填されるため、使用者がボトルを持ち上げたり降ろしたりする必要はなく、ボトルの保管や装填における使用者の労力を軽減することができる。また、大容量で重いボトルであっても保管や装填を楽に行うことができるため、使用者はより大容量のボトルを選択することが可能となり、事業者はこれまでよりも更に大容量のボトルを提供することが可能となる。大容量のボトルであれば配送業者によるボトルの配送頻度を少なくすることができるなど、環境への負荷を低減することができる。
【0016】
第2の発明によれば、保持部が上方から下方に向けて移送され、取付部の上方からボトルが下降することにより、ボトルが取付部に装填されるため、ボトル供給装置を簡易な構成とすることができる。
【0017】
第3の発明によれば、ボトルを載置する腕部は、前記装填部においてボトルが取付部に装填された後、前記保持部が上方から下方に向けて移送されるに伴なってボトルの側方に移動するとともに、ボトルの後方に退避するため、ボトル供給装置の寸法を小さくすることができる。
【0018】
第4の発明によれば、ボトルの口部に設けられた保護部材の有無を検知する検知部と、検知部において保護部材が設けられていることを検知した場合に報知を行う報知部とを備えているため、ボトルの口部に保護部材が設けられたままウォーターサーバーにボトルを装填することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るウォーターサーバー81用のボトル供給装置10の正面図。
【図2】図1において矢印Aの方向から見たボトル供給装置10の側面図。
【図3】ボトル供給装置10の内部構造を示す正面図。
【図4】図3において矢印Bの方向から見たボトル供給装置10の内部構造を示す側面図。
【図5】保持部21の(A)正面図(B)側面図(C)平面図。
【図6】台車の(A)側面図(B)平面図。
【図7】(A)ボトル91を載置した台車の側面図(B)ボトル91が台車から取り外される状態を示す側面図。
【図8】台車が搬入部13に進入する前の状態を示す側面図。
【図9】台車が搬入部13に進入した状態を示す側面図。
【図10】ボトル91が持ち上げられた状態を示す側面図。
【図11】台車が搬入部13から退出した状態を示す側面図。
【図12】ウォーターサーバー81の取付部84にボトル91を装填した状態を示す(A)側面図(B)正面図。
【図13】保持部21の腕部33がボトル91の側方に移動する状態を示す(A)側面図(B)正面図。
【図14】保持部21の腕部33がボトル91の後方に退避する状態を示す(A)側面図(B)正面図。
【図15】保持部21の腕部33がボトル91の後方に退避した状態を示す(A)側面図(B)正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1の実施形態に係るウォーターサーバー81用のボトル供給装置10(以下、単にボトル供給装置10という)について、図1から図15を用いて説明する。本実施形態に係るボトル供給装置10は、ウォーターサーバー81に近接して設置され、ボトル91を複数本保管するとともに、ボトル91をウォーターサーバー81に装填するものである。以下の説明では、ウォーターサーバー81に近接して設置された状態で、ウォーターサーバー81の前面と同じ方向に向く面をボトル供給装置10の前側とし、前側の反対側を後側とする。また、ボトル供給装置10の前面に向かって左右をそれぞれ左側、右側として説明する。
【0021】
まず、ウォーターサーバー81の全体構成の概略について説明する。図1に示すように、ウォーターサーバー81は、床に設置され上部にボトル91が装填されるタイプのウォーターサーバーである。前面には冷水用水栓82及び温水用水栓83が配置される。ウォーターサーバー81内には飲料水の冷却部及び加熱部が設けられている。上部にはボトル91の取付部84が設けられている。
【0022】
ウォーターサーバー81に装填されるボトル91は、ボトル本体92と、ボトル本体92から連続する口部93を有している(図5B参照)。ボトル本体92から口部93にかけては肩部94が形成されている。口部93の先端は飲料水を吐出する吐出口95となっている。ボトル91が新品の状態では、吐出口95は止水栓によって閉鎖され、外側は保護部材によって保護されている。ボトル91をウォーターサーバー81の取付部84に装填する際には、保護部材を外してから取付部84に装填する。ボトル91を倒置させて口部93を下に向けた状態で取付部84に装填すると、ボトル91の止水栓が取付部84の内側に設けられた突起体(図示せず)により押し開かれ、飲料水がボトル91からウォーターサーバー81内に供給される。ボトル91からウォーターサーバー81内に供給された飲料水は冷却部又は及び加熱部で冷水又は温水とされる。ウォーターサーバー81に設けられた冷水供給ボタン85又は温水供給ボタン86を操作することにより、冷水又は温水を利用することができる。
【0023】
次に、ボトル供給装置10について説明する。ボトル供給装置10は、図1から図4に示すように、主に移送部11、搬入部13、装填部15を有している。本実施形態では、搬入部13がウォーターサーバー81の右側に配置される構成である。前面にはボトル供給装置10を操作する操作盤61が設けられている。ボトル供給装置10の外面は、搬入部13と装填部15を除く前面と側面がパネル18によって覆われており、内部構造が極力露出しないよう構成されている。これにより外観体裁を良好にするとともに、使用者が誤って手指を挟んだりしないよう安全性が高められている。
【0024】
移送部11は、ボトル91をウォーターサーバー81に装填される姿勢で保持する複数の保持部21を備え、複数の保持部21を上下方向に循環させるものである。図3に示すように、本実施形態では、移送部11は、保持部21、チェーン23、駆動スプロケット25、従動スプロケット27、駆動装置28等から構成されている。移送部11は、ボトル供給装置10をウォーターサーバー81に近接して配置した状態では、ウォーターサーバー81の後側に位置する。
【0025】
駆動スプロケット25は移送部11の下部に設けられ、従動スプロケット27は移送部11の上部に設けられている。駆動スプロケット25と従動スプロケット27は、フレーム19に支持されている。駆動スプロケット25と従動スプロケット27にはチェーン23が掛け回されている。本実施形態では移送部11に保持部21が6台設けられている。各保持部21は接続部材24を介してチェーン23に等間隔に接続されている。各保持部21は接続部材24に対して揺動自在に接続されており、チェーン23によって循環する際に上下方向の向きは変化せず、保持部21に保持されるボトル91の姿勢も変化しない。保持部21の構成については後に詳細に説明する。
【0026】
移送部11を駆動させる駆動装置28は、ボトル供給装置10の左下部に配置されている。図4に示すように、駆動スプロケット25には、プーリ26が一体に接続されており、このプーリ26と駆動装置28側のプーリ29とにベルト30が掛け回されて、駆動装置28からの駆動力が駆動スプロケット25に伝達される。駆動スプロケット25は図3において反時計回りに回転し、チェーン23も反時計回りに循環することにより、各保持部21が上下方向に循環する。図3において、チェーン23の図示右側の部分が保持部21を下方から上方に向けて移送する経路となり、チェーン23の図示左側の部分が保持部21を上方から下方に向けて移送する経路となる。
【0027】
保持部21の構成について詳細に説明すると、図5Aに示すように、保持部21は、基部31、連結部32、腕部33を有している。一対の連結部32はX字状に交差されており、各連結部32の一方の端部は、基部31に対して軸34で回動自在に接続されている。各連結部32の中央付近にはそれぞれ長穴35が形成されており、一対の連結部32は両方の長穴35を貫通する軸36で連結されている。軸36は各長穴35に対して摺動自在であるため、一対の連結部32の自由端部の間隔は、拡大及び縮小が可能となっている。
【0028】
図5Bに示すように、各連結部32の自由端部の前側には、それぞれ腕部33が設けられている。各連結部32の自由端部の後側には、当接部37が設けられている。腕部33は、連結部32に対してヒンジ部40で接続されており、連結部32に対して略垂直に起立する状態と、連結部32に対して折り畳まれた状態とに起倒する。図5Bでは、腕部33が連結部32に対して略垂直に起立した状態を示しており、図15では、腕部33が連結部32に対して折り畳まれ、後方に退避した状態を示している。
【0029】
ヒンジ部40の構成を具体的に説明すると、図5Bに示すように、腕部33の一方の端部には揺動部材41が設けられており、連結部32には、腕部33の揺動部材41を両側から挟持する断面コ字状の挟持部42が設けられている。揺動部材41は、軸43で支持され、挟持部42に対して揺動自在である。腕部33が連結部32に対して起立した状態では、揺動部材41の軸43よりも下の部分が挟持部42に当接し、腕部33が連結部32に対して略垂直に起立した状態が維持される。
【0030】
図5Cに示すように、腕部33の自由端部は、それぞれボトル91の肩部94を受ける形状に形成されており、左右の腕部33がボトル91の肩部94に当接して、ボトル91を倒置状態で支持する。腕部33にボトル91を乗せると、図5Bに示すように、腕部33は連結部32に対して略垂直に起立した状態が維持される。また、図5Aに示すように、各連結部32は、ボトル91の重量で軸34を中心にしてそれぞれ下方に回動し、一対の連結部32の自由端部の間隔は縮小する。しかしながら、一対の連結部32は各長穴35を貫通する軸36で連結されているため、各連結部32の回動は、軸36が各長穴35の最下部まで移動したところで停止する。これにより一対の腕部33は所定の間隔を確保した状態が保たれ、腕部33にボトル91を載置することができる。
【0031】
一方、一対の腕部33に他の部材が当接するなどして上方に荷重が加わった場合は、腕部33は、連結部32に対して折り畳まれ、後方に退避した状態となる(図15A参照。)。また、一対の連結部32に他の部材が当接するなどして上方に荷重が加わった場合は、各連結部32は、軸34を中心にしてそれぞれ上方に回動し、一対の連結部32の自由端部の間隔は拡大する(図15B参照。)。この場合には、各連結部32の回動は、軸36が各長穴35の最上部まで移動したところで停止する。
【0032】
保持部21は、前述のように移送部11のチェーン23に揺動自在に取り付けられている。チェーン23に対する保持部21の取付構造について具体的に説明する。まず、チェーン23に等間隔に固定される接続部材24には、軸穴44が形成されている。保持部21の基部31には軸45が設けられている。この軸45が接続部材24の軸穴44に遊嵌されることにより、保持部21は、チェーン23に揺動自在に取り付けられる。これにより、各保持部21がチェーン23の駆動によって循環しても保持部21の上下方向の向きは変化せず、保持部21に保持されたボトル91の姿勢は変化しない。尚、保持部21は、ボトル供給装置10をウォーターサーバー81に近接して配置した状態では、上方から下方に向けて移送される経路において、保持部21に載置したボトル91の中心線と、ウォーターサーバー81の取付部84の中心線が一致するように配置される。つまり、保持部21に載置したボトル91が下降するとウォーターサーバー81の取付部84に装填されるように配置されている。
【0033】
図3、図4に示すように、保持部21の後側には、第1当接板51が配置されている。保持部21の前側には、第2当接板53が配置されている。第1当接板51は、接続部材24によってチェーン23に接続された保持部21の後側を支えて前後方向の姿勢を安定させるためのものである。図4に示すように、保持部21に設けられた当接部37が第1当接板51に当接する。第1当接板51は保持部21とチェーン23との間に配置されているため、チェーン23と保持部21とを接続する接続部材24や軸45が通過できるようにスリット52が形成されている。第1当接板51が配置される領域は、保持部21が循環して当接部37が通過する領域に合わせて決定されている。
【0034】
第2当接板53は、装填部15においてボトル91をウォーターサーバー81の取付部84に装填した後、保持部21の腕部33の下部に当接して、保持部21の幅を拡大するとともに、腕部33を折り畳ませるものである。また第2当接板53は、ウォーターサーバー81の後部において、保持部21の腕を折り畳んだ状態を維持するものである。第2当接板53が配置される領域は、保持部21の腕部33を連結部32に対して折り畳み、後方に退避した状態にする必要のある領域、つまり、ウォーターサーバー81の後部で、かつウォーターサーバー81の取付部84よりも下方の領域である。
【0035】
搬入部13は、保持部21に新たなボトル91を載置する位置である。搬入部13は、移送部11の経路のうち、保持部21を下方から上方に向けて移送する経路の下部において、保持部21にボトル91を載置できる位置に設けられる。本実施形態では、ボトル供給装置10の右下部に設けられる。搬入部13の内側には、後述する搬送台車71によりボトル91が保持部21に差し込まれたことを検知する上昇スイッチ55が設けられる。ボトル91が保持部21に差し込まれたことを上昇スイッチ55が検知すると、検知信号は制御部(図示せず)に送信され、制御部は移送部11を駆動させて保持部21を所定の位置まで上昇させる。
【0036】
装填部15は、保持部21に載置されたボトル91をウォーターサーバー81に装填する位置である。装填部15は、移送部11の経路のうち、保持部21を上方から下方に向けて移送する経路の上部において、ウォーターサーバー81の取付部84の上方に配置される。装填部15では、取付部84の上方から保持部21に載置されたボトル91が下降することにより、ボトル91が取付部84に装填される。
【0037】
搬入部13から装填部15に至る経路の途中には、検知部57が設けられている。検知部57は、保持部21に載置されたボトル91の口部93に設けられた保護部材の有無を検知するものである。保護部材が除去されずにボトル91がウォーターサーバー81の取付部84に装填されると、装填不良になるため、検知部57において保護部材を検知した場合には、報知部により使用者に対して音声等で報知を行う。これにより、ボトル91の口部93に保護部材が設けられたままウォーターサーバー81にボトル91を装填することを防止できる。本実施形態では、検知部57は、従動スプロケット27の下方に設けられている。検知部57において保護部材を検知した場合には、報知部により使用者に対して報知を行うとともに、移送部11の駆動を自動停止するようにしてもよい。
【0038】
操作盤61は、ボトル供給装置10を操作するためのものである。操作盤61は、ボトル供給装置10の駆動を制御する制御部に接続されており、操作盤61の操作によりボトル供給装置10の動作の切り替えを行うことができる。操作盤61には、ボトル搬入ボタン62、ボトル装填ボタン63、緊急停止ボタン64が設けられている。ボトル搬入ボタン62を操作すると、移送部11が循環し、空の保持部21がボトル91を搬入可能な位置まで移送されてくる。ボトル搬入ボタン62を操作する度に、次の空の保持部21がボトル91を搬入可能な位置まで移送されてくる。ボトル装填ボタン63を操作すると、新たなボトル91がウォーターサーバー81の取付部84に装填される。尚、ウォーターサーバー81の取付部84にすでにボトル91が装填されている場合には、ボトル装填ボタン63を操作しても新たなボトル91の装填は行われない。ボトル91の搬入時又はボトル91の装填時に緊急停止ボタン64を操作すると、ボトル供給装置10の全ての動作が一時的に停止する。次にボトル搬入ボタン62又はボトル装填ボタン63を操作することにより、ボトル91の搬入又はボトル91の装填が再開される。
【0039】
次に、搬送台車71について説明する。搬送台車71は、ボトル供給装置10の搬入部13にボトル91を搬入する際に用いられる。図6、図7に示すように、搬送台車71は、台車主体72、ハンドル73、載置部74を有する。ハンドル73を押して搬送台車71が進む方向を搬送台車71の前側とし、その反対側を後側とする。台車主体72及びハンドル73については一般的な台車と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0040】
図6に示すように、搬送台車71の載置部74は、ボトル91を倒置させて口部93を下に向けた状態で載置する部分である。載置部74には、ボトル91の口部93及び肩部94の形状に合わせた凹部75が設けられており、ボトル91を安定して載置できるようにしている。載置部74の高さは、搬送台車71にボトル91を載置したまま、ボトル供給装置10の搬入部13に進入させることで、ボトル91を保持部21に受け渡すことができる高さとしている。載置部74の前側には、開口部76が形成されており、ボトル91の口部93及び肩部94が通過できるように形成されている。このため、搬送台車71からボトル91を排出する場合、載置部74からボトル91を完全に上方に抜き出さなくても、前側に抜き出すようにして排出することができる。但し、開口部76の底は凹部75の底よりも高く形成され、凹部75と開口部76との間に段77が形成されている。このため、図7Aに示すように、ボトル91を凹部75に載置した高さのままでは前側に排出できない。これによりボトル91が不用意に脱落することを防止している。ボトル91を開口部76から前側に排出する場合は、図7Bに示すように、ボトル91を持ち上げて段77を通過させながらボトル91を前側に抜き出すようにする。
【0041】
次に、ボトル供給装置10にボトル91を搬入する場合について説明する。図8に示すように、予めボトル搬入ボタン62の操作により、移送部11が循環し、空の保持部21が搬入部13まで移送されているものとする。搬送台車71の載置部74には、ボトル91を倒置させて口部93を下に向けた状態で載置している。
【0042】
図9に示すように、搬送台車71にボトル91を載置したまま、ボトル供給装置10の搬入部13に進入させる。搬送台車71を搬入部13に進入させることにより、ボトル91は保持部21に差し込まれる。この状態では、まだボトル91は搬送台車71の載置部74と、ボトル供給装置10の保持部21の両方に載置された状態である。また、搬入部13の内側の上昇スイッチ55は、ボトル91が保持部21に差し込まれたことを検知する。尚、保持部21へのボトル91の差し込みに失敗した場合や、空荷の状態の搬送台車71を誤って搬入部13に進入させるなどした場合には、上昇スイッチ55はボトル91を検知しない。
【0043】
上昇スイッチ55により、ボトル91が保持部21に差し込まれたことを検知すると、上昇スイッチ55からの信号は制御部に送信され、図10に示すように、制御部は移送部11を駆動させて保持部21を上昇させる。このとき上昇させる高さは、搬送台車71の載置部74の底に形成した段77をボトル91の口部93が通過できる程度の高さとする。保持部21を上昇させることにより、ボトル91はボトル供給装置10の保持部21のみに載置された状態となり、また、搬送台車71をボトル供給装置10の搬入部13から退出させることが可能となる。
【0044】
図11に示すように、保持部21を上昇させた状態で、搬送台車71をボトル供給装置10の搬入部13から退出させ、ボトル供給装置10へのボトル91の搬入が完了する。新たなボトル91を更に搬入する場合には、ボトル搬入ボタン62の操作を行い、上述の操作を繰り返せばよい。本実施形態では、搬入部13から順送りで少なくとも3個のボトル91を保持させることができる。
【0045】
次に、ボトル供給装置10によりボトル91をウォーターサーバー81に装填する場合について説明する。ウォーターサーバー81の取付部84からは、予め使用済みのボトル91は取り外されているものとする。ボトル供給装置10をウォーターサーバー81に近接して配置した状態では、上方から下方に向けて移送される経路において、保持部21に載置したボトル91の中心線と、ウォーターサーバー81の取付部84の中心線を一致させている。このため、図12に示すように、ボトル装填ボタン63の操作により、移送部11が循環して保持部21に載置したボトル91が下降することで、新たなボトル91がウォーターサーバー81の取付部84に装填される。
【0046】
図12の状態では、ボトル91はウォーターサーバー81の取付部84に装填されているが、ボトル91は保持部21にも載置された状態である。次にボトル搬入ボタン62が操作され、移送部11が循環する場合には、保持部21がウォーターサーバー81の取付部84から退避する必要がある。以下、保持部21がウォーターサーバー81の取付部84から退避する動作について説明する。
【0047】
図13に示すように、ボトル搬入ボタン62が操作され、移送部11が循環を開始すると、ウォーターサーバー81の取付部84に位置していた保持部21は下方に移動する。このとき、腕部33が第2当接板53に当接し、腕部33に対して上方に荷重が加わる。これにより、腕部33は、連結部32に対して折り畳まれる方向に回動する。しかしながら、図13のように、保持部21がボトル91から十分離れていない位置では、腕部33はボトル91の肩部94に当接し、連結部32に対して完全には折り畳まれない。このため、第2当接板53が腕部33に当接することによる上方への荷重は、腕部33を介して連結部32に加えられる。このため、保持部21が下方に移動するに従って、各連結部32は軸34を中心にしてそれぞれ上方に回動し、一対の連結部32の自由端部の間隔は拡大していく。
【0048】
図14に示すように、更に保持部21が下方に移動することで、一対の連結部32の自由端部の間隔が拡大する。軸36が各長穴35の最上部まで移動したところで一対の連結部32の自由端部の間隔が最大となる。この状態では、腕部33の幅はボトル91の幅よりも広くなり、腕部33はボトル91の肩部94に当接しなくなるため、連結部32に対して完全には折り畳むことが可能となる。
【0049】
図15に示すように、更に保持部21が下方に移動すると、腕部33は連結部32に対して完全に折り畳まれ、後方に退避した状態となる。この状態では、第2当接板53は、ウォーターサーバー81の後部において、保持部21の腕を折り畳んだ状態を維持するため、移送部11を循環させ、保持部21を更に下方に移動させることが可能である。そして、移送部11を更に循環させて保持部21が搬入部13の直前まで移送されると、移送部11は第2当接板53の端部まで到達する。腕部33は片方づつ第2当接板53に当接しなくなり、腕部33は連結部32に対して略垂直に起立する状態となる。また、各連結部32は、軸36が各長穴35の最下部に移動するまで回動し、腕部33にボトル91を載置可能な状態となる。
【0050】
以上説明した本実施形態に係るボトル供給装置10によれば、次のような効果を有する。
【0051】
移送部11に複数の保持部21が設けられており、搬入部13から順送りで複数のボトル91を保持させることができるため、ボトル91のストッカーの役目を果たすことができる。また、ボトル91はウォーターサーバー81に装填される姿勢で保持部21に保持され、その姿勢のままボトル91はウォーターサーバー81に装填されるため、使用者がボトル91を持ち上げたり降ろしたりする必要はなく、ボトル91の保管や装填における使用者の労力を軽減することができる。
【0052】
また、大容量で重いボトル91であっても保管や装填を楽に行うことができるため、使用者はより大容量のボトル91を選択することが可能となり、事業者はこれまでよりも更に大容量のボトル91を提供することが可能となる。大容量のボトル91であれば配送業者によるボトル91の配送頻度を少なくすることができるなど、環境への負荷を低減することができる。
【0053】
保持部21が上方から下方に向けて移送され、取付部84の上方からボトル91が下降することにより、ボトル91が取付部84に装填されるため、ボトル供給装置10を簡易な構成とすることができる。
【0054】
ボトル91を載置する腕部33は、装填部15においてボトル91が取付部84に装填された後、保持部21が上方から下方に向けて移送されるに伴なってボトル91の側方に移動するとともに、ボトル91の後方に退避するため、ボトル供給装置10の寸法を小さくすることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、本実施形態では、搬入部13がウォーターサーバー81の右側に配置される構成であるが、左側に配置される構成としてもよい。また、右側と左側を簡単に入れ替えられるような構成としてもよい。
【0056】
本実施形態では、移送部11を駆動装置28によって駆動するようにしたが、手動で駆動させるようにしてもよい。また、移送部11を駆動装置28と手動の両方で駆動できるようにしてもよい。この場合、例えば停電時等でもウォーターサーバー81にボトル91を供給し、ウォーターサーバー81を利用することができる。
【0057】
本実施形態では、ボトル91をウォーターサーバー81の取付部84に装填した後、保持部21の腕部33が連結部32に対して折り畳まれるという動作を行う。この動作を行うための構成は、本実施形態の構成に限定されない。また、本実施形態では、腕部33が連結部32に対して折り畳まれる順序は、まず腕部33が第2当接板53に当接し、次に一対の連結部32の自由端部の間隔が拡大していき、最後に腕部33が連結部32に対して折り畳まれるという順序である。しかしながら、この順序に限られず、ボトル91を装填した後、保持部21が循環するに従って最終的に腕部33が連結部32に対して折り畳まれればよい。例えば、腕部33が第2当接板53に当接する前に保持部21の連結部32あるいはヒンジ部40に当接する第3の当接部を第1当接板51と第2当接板53の間に設け、第3の当接部によって一対の連結部32の自由端部の間隔を拡大させてから腕部33が第2当接板53に当接し、腕部33が連結部32に対して折り畳まれるようにしてもよい。この場合、装填したボトル91から腕部33が速やかに離れるため、装填したボトル91から保持部21をより確実に分離することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 ボトル供給装置
11 移送部
13 搬入部
15 装填部
18 パネル
19 フレーム
21 保持部
23 チェーン
24 接続部材
25 駆動スプロケット
26 プーリ
27 従動スプロケット
28 駆動装置
29 プーリ
31 基部
32 連結部
33 腕部
34 軸
35 長穴
36 軸
37 当接部
40 ヒンジ部
41 揺動部材
42 挟持部
43 軸
44 軸穴
45 軸
51 第1当接板
52 スリット
53 第2当接板
55 上昇スイッチ
57 検知部
61 操作盤
62 ボトル搬入ボタン
63 ボトル装填ボタン
64 緊急停止ボタン
71 搬送台車
72 台車主体
73 ハンドル
74 載置部
75 凹部
76 開口部
77 段
81 ウォーターサーバー
82 冷水用水栓
83 温水用水栓
84 取付部
85 冷水供給ボタン
86 温水供給ボタン
91 ボトル
92 ボトル本体
93 口部
94 肩部
95 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にボトルが装填されるウォーターサーバーにボトルを供給する、ボトル供給装置であって、
ボトルをウォーターサーバーに装填される姿勢で保持する複数の保持部を備え、前記複数の保持部を上下方向に循環させる移送部と、
前記移送部の経路のうち、前記保持部を下方から上方に向けて移送する経路の下部において、前記保持部にボトルを載置する搬入部と、
前記移送部の経路のうち、前記保持部を上方から下方に向けて移送する経路の上部において、前記保持部に載置されたボトルをウォーターサーバーに装填する装填部と、
を備えたボトル供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボトル供給装置であって、
前記装填部は、ウォーターサーバーの取付部の上方に配置され、
前記保持部が上方から下方に向けて移送され、前記取付部の上方からボトルが下降することにより、ボトルが取付部に装填される、ボトル供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載のボトル供給装置であって、
前記保持部は、ボトルを載置する腕部を備え、
前記腕部は、前記装填部においてボトルが取付部に装填された後、前記保持部が上方から下方に向けて移送されるに伴なってボトルの側方に移動するとともに、ボトルの後方に退避する、ボトル供給装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のボトル供給装置であって、
ボトルの口部に設けられた保護部材の有無を検知する検知部と、
前記検知部において保護部材が設けられていることを検知した場合に報知を行う報知部と、
を更に備えたボトル供給装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−28366(P2013−28366A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165696(P2011−165696)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(511183799)株式会社正真鉄工所 (1)
【Fターム(参考)】