説明

エアーカーテン装置

【課題】空気に揚力を付与することにより、空気が自力でフレームに吸引されるようにすることにより、可及的に小さな動力により広い面積にエアーカーテンを生成することを可能とする。
【解決手段】エアーカーテン装置は、空気の流入口4と、空気流通室1と空気吸引室2とは重ね合わせて配設し、空気流通室1の一側壁には、空気流通室に重ね合わされた空気吸引室の側壁端縁よりも空気吸引室内へ入り込み、かつ空気吸引室2の側壁端縁側へ屈曲した空気案内片3を設け、空気吸引室2の側壁端縁と空気案内片3との間には小間隙5を形成する。空気流通室1に供給された空気が空気案内片3に導かれて流路を屈折させつつ空気吸引室2内に入り、この空気が排出口から排出されることによって空気吸引室2内を負圧とし、吸引溝6から空気を吸い込み、吸引された空気が排出口から排出されるようにしたエアーカーテン装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エアーカーテン装置に関するものであり、その用途は、食品用冷蔵ケースの遮温、室内や鉄道車両の空気環境の遮断(例えば室内の冷暖房の効率化、車両のドア開放時の外気との遮断)、クリーンルームの入り口、トンネル火災時における暖気やガスの遮断など、種々の用途に使用可能なものである。
【背景技術】
【0002】
エアーカーテン装置は従来から知られ、種々の分野で使用されている。しかしながら、従来の装置は、動力によって空気を加圧してこれを噴出させることにより空気による遮断層を形成するものであった。
エアーカーテン装置の構成は公知のものであるために、近似の出願においてエアーカーテンの構成それ自体が詳細に説明されることは余り見られないのであるが、例えば特開2004−324072号においてが、電動機付きファンのダクトから加圧エアーを噴出する構成が示されている。
【特許文献1】特開2004−324072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
動力によって空気を加圧して噴出する構成においては、エアーカーテンによる遮断面積を大きくするためには大きな動力が必要である。
この発明は、空気に揚力を付与することにより、空気が自力でフレームに吸引されるようにすることにより、可及的に小さな動力により広い面積にエアーカーテンを生成することを可能とすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明のエアーカーテン装置は、空気の流入口を備え、開放端のない空気流通室と、
長手方向に形成された空気の吸引溝と、空気の排出口とを備えた開放端のない空気吸引室とで構成する。
前記空気流通室と空気吸引室とは重ね合わせて配設し、前記空気流通室の一側壁には、空気流通室に重ね合わされた空気吸引室の側壁端縁よりも空気吸引室内へ入り込み、かつ空気吸引室の側壁端縁側へ屈曲した空気案内片を設け、前記空気吸引室の側壁端縁と前記空気案内片との間には小間隙を形成する。
このような構成により、前記空気流通室に供給された空気が空気案内片に導かれて流路を屈折させつつ前記空気吸引室内に入り、この空気が前記排出口から排出されることによって空気吸引室内を負圧とし、もって前記吸引溝から空気を吸い込み、吸引された空気が排出口から排出されるようにしてエアーカーテン装置を構成する。
請求項2の発明は、請求項1記載のエアーカーテン装置二つを空気排出側を背中合わせに重ねて配設したものである。
請求項3の発明は、空気流通室及び空気吸引室は環状に構成したものである。
前記空気流通室に重ね合わされた空気吸引室の側壁の端部は、空気案内片と平行に屈曲させること(請求項4)、空気案内片の屈曲角度は45度とすること(請求項5)により空気の吸引力を高めることができる。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、空気流入室が空気で満たされると、空気流入室内の空気は空気案内片で斜め方向に向きを変えて空気吸引室に流入し、排出口から排出される。この空気は前記空気案内変によって壁面の面方向に移動する力が付与されているので、負圧が発生し、空気吸引室の吸引溝から空気が吸引される。この時、吸引される空気の流れによってエアーカーテンが生成される。
請求項2の発明のおいては、請求項1の装置を二組組み合わせているので、より強力なものとすることができ、請求項3の発明においては、この装置で囲われた空間に効率的にエアーカーテンを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下この発明の実施例を説明する。なお、以下の記述において右・左・上・下の語を用いているが、これは理解を助けるために図面との対応で記載しているものであり、実施品における向きを特定するものではない。
【実施例1】
【0007】
図1において、空気流入室1の下方に空気吸引室2が重ねて載置してあり、空気流入室1と空気吸引室2とは共に両端が閉塞してある。
前記空気流入室1は、垂直な右側壁1aと左側壁1b、水平な上壁2cを備え、前記左側壁1bの下部は空気吸引室2の水平な上壁2a方向に屈曲した案内片3としてある。そして、右側壁1aに空気の流入口4を備えている。
前記空気吸引室2は、水平な上壁2a、垂直な右側壁2b、水平な底壁2cを備えている。前記案内片3の下縁は上壁2aよりも下方に位置し、案内片3と上壁2aの端縁との間には小間隙5を設け、前記案内片3の下縁と底壁2cとの間は空気の吸引溝6としてある。また、右側壁2bには空気排出口10が設けてある。
前記空気吸引室2の底板2cは、前記案内片3の端縁対応位置よりも左側に延び、吸引される空気の方向性を安定させる機能を持たせてある。
【0008】
この実施例において、ポンプにより空気を空気流入室1に導入する。導入された空気は、空気流入室が空気で満たされると、図2に矢印で示すように、案内片3に導かれて小間隙5を通過して屈曲して空気吸引室2に流入し、領域Sに負圧を発生させつつ、排出口10から排出される。
前記負圧が発生することにより、吸引溝6から空気吸引室2内に空気が吸引され、その結果矢示11方向の気流が発生し、エアーカーテンが生成される。
【実施例2】
【0009】
図3に示す実施例は、上記実施例1の装置を二つ組み合わせたものである。
すなわち、実施例1に示した装置2つの空気吸引室2の底板2cを重ね合わせて結合して構成してある。なお、底板2cは側壁2b側が上下連通するように無壁部としてある。この実施例によれば、二つの吸引溝6から空気が吸引されることとなる。
【実施例3】
【0010】
図4,図5に示す実施例は、実施例2に示すように、装置を二組重ね合わせたものにおいて、空気流入室1と空気吸引室2とを共に環状に構成したものである。
この実施例においても空気流入室1及び空気吸引室2の構成は実施例1,2と共通しているが、相違点は以下の通りである。
空気吸引室2の上下に重なり合う2枚の底壁2cに代えて独立した仕切り板7を配設し、この仕切り板7の側壁2b側は無仕切部8として上下2つの空気吸引室2を連通させてある。
また、空気吸引室2の上壁2aの吸引溝6側を、空気流入室1の案内片3と平行に屈曲して案内片9としてある。案内片9の存在により空気の流路が安定する。
【0011】
この実施例によれば、空気吸引室が環状に構成されているので、図4に矢示するように空気は四方から中心に向けて流れ、比較的小さな動力で面状のエアーカーテンを得ることができる。
【0012】
図6はこの発明のエアーカーテン装置をトンネルに設置した例を示すものである。すなわち、トンネルTの上部にトンネルの断面形状に沿って円弧状としたエアーカーテン装置Pを設置してある。このように設置することによりトンネルの上部にエアーカーテンを生成することができる。
一般に、トンネル火災において熱やガスは上部に滞留するので、上部にエアーカーテンを生成することにより熱やガスの移動が阻止され、事故発生場所以外の安全が確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
この発明は、比較的小さな動力でエアーカーテンを生成することを可能とするものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明実施例1の端部を断面した斜視図
【図2】同じく断面図
【図3】この発明実施例2の断面図
【図4】この発明実施例3の平面図
【図5】同じく断面図
【図6】この発明の装置をトンネルに設置した例を示す図
【符号の説明】
【0015】
1 空気流入室
2 空気吸引室
3 案内片
4 流入口
5 間隙
6 吸引溝
7 仕切板
8 無仕切部
9 案内片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流入口を備え、開放端のない空気流通室と、
長手方向に形成された空気の吸引溝と、空気の排出口とを備えた開放端のない空気吸引室とを備え、
前記空気流通室と空気吸引室とは重ね合わせて配設され、
前記空気流通室の一側壁には、空気流通室に重ね合わされた空気吸引室の側壁端縁よりも空気吸引室内へ入り込み、かつ空気吸引室の側壁端縁側へ屈曲した空気案内片が設けられ、前記空気吸引室の側壁端縁と前記空気案内片との間には小間隙が形成され
前記空気流通室に供給された空気が空気案内片に導かれて流路を屈折させつつ前記空気吸引室内に入り、前記排出口から排出されることによって空気吸引室内を負圧とし、もって前記吸引溝から空気を吸い込み、排出口から排出されるようにした、
エアーカーテン装置。
【請求項2】
請求項1記載のエアーカーテン装置二つを空気吸引室側を背中合わせに重ねて配設した、エアーカーテン装置。
【請求項3】
空気流通室及び空気吸引室は環状に構成した、請求項1又は2に記載のエアーカーテン装置。
【請求項4】
空気流通室に重ね合わされた空気吸引室の側壁の端部は、空気案内片と平行に屈曲した、請求項1に記載のエアーカーテン装置。
【請求項5】
空気案内片の屈曲角度は45度とした、請求項1記載のエアーカーテン装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−63098(P2012−63098A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208816(P2010−208816)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(501311085)
【出願人】(501370624)