説明

エアーシャフト

【課題】手間を要せずにスイッチのON,OFF操作を行うことができ、作業性に優れたエアーシャフトを提供する。
【解決手段】エアーシャフト10では、エアーチューブへの空気の注入とエアーチューブからの空気の排出との切り換えがメカニカルスイッチ17によって行われ、スイッチ17を介してエアーチューブへ空気を注入すると、エアーチューブが膨張するとともにラグ15が回転軸11の周壁から径方向外方へ進出し、スイッチ17を介してエアーチューブから空気を排出すると、エアーチューブが収縮するとともにラグ15が回転軸11の周壁から径方向内方へ後退する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺原反の巻き取りまたは巻き出しに使用されるリールやロールを回転可能に支持するエアーシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
伝達される動力によって回転する中空の回転軸と、回転軸内に配置されて空気の注入によって膨張するとともに空気の排出によって収縮するエアーチューブと、回転軸とエアーチューブとの間に配置された4つのラグ(つめ)とを有するエアーシャフトがある(特許文献1参照)。回転軸は、軸方向へ長い円筒状を呈し、電動機の動力が伝達される駆動部と、直径が駆動部のそれよりも大きい支持部とから形成されている。支持部の周壁には、その内外周面間を貫通する4条の開口が形成されている。駆動部の中心部分には、軸方向へ延びる空気流路が形成されている。空気流路は、エアーチューブにつながっている。開口は、回転軸の支持部の軸方向へ延びていて支持部の周方向へ等間隔で並んでいる。4つのラグは、回転軸の支持部の軸方向へ延びていて支持部の周方向へ等間隔で並び、その上端部が回転軸に形成された開口に位置している。
【0003】
このエアーシャフトは、巻取装置や巻出装置の筐体に着脱可能に取り付けられて使用される。巻取装置や巻出装置にシャフトを取り付ける一例は、以下のとおりである。巻取装置や巻出装置の筐体側壁に形成された装着孔の軸受けに回転軸の駆動部を差し込み、シャフトをそれら装置に回転可能に設置した後、回転軸の支持部にリールまたはロールの中央孔を嵌め込み、リールやロールをシャフトに装着する。次に、巻取装置や巻出装置の筐体に取り付けられた制御盤のスイッチをONにする。スイッチをONにすると、所定圧に加圧された空気が巻取装置や巻出装置からシャフトに送り込まれる。シャフトに空気が送り込まれると、空気が空気流路を通ってエアーチューブに注入されてチューブが膨張し、それによってラグが回転軸の支持部の径方向外方へ押し出され、ラグの上端部が開口からその外側へ進出する。ラグの上端部が開口から進出すると、上端部がリールまたはロールの中央孔の内周面に圧着し、リールやロールが回転軸の支持部に固定される。回転軸の駆動部に動力が伝わると、シャフトが時計回りまたは反時計回りに回転し、リールやロールがシャフトの回転方向と同一方向へ回転する。
【特許文献1】特開2001−10750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公報に開示のエアーシャフトは、エアーチューブへの空気の注入とエアーチューブからの空気の排出とが巻取装置や巻出装置の筐体の制御盤に設置されたスイッチによって行われるから、回転軸の支持部に対するリールまたはロールの固定作業や支持部からのそれらの取り外し作業を行う際、筐体の制御盤まで移動してスイッチをONまたはOFFしなければならず、それら作業に手間を要し、作業性が低下する。また、巻取装置や巻出装置の筐体に形成された複数の装着孔に複数のエアーシャフトが設置され、筐体の制御盤にそれらシャフトの複数のスイッチが設置されている場合、回転軸の支持部に対するリールまたはロールの固定作業や支持部からのそれらの取り外し作業を行う際、どのスイッチがどのエアーシャフトに対応するかがわかり難く、リールまたはロールの固定作業やそれらの取り外し作業を行うべきシャフトとは異なるシャフトのスイッチを誤って操作してしまう場合がある。
【0005】
本発明の目的は、手間を要せずにスイッチのON,OFF操作を行うことができ、作業性に優れたエアーシャフトを提供することにある。本発明の他の目的は、作業対象以外のシャフトのスイッチを誤って操作することがないエアーシャフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、伝達される動力によって回転する中空の回転軸と、回転軸内に配置されて空気の注入によって膨張するとともに空気の排出によって収縮するエアーチューブと、回転軸とエアーチューブとの間に配置されて該回転軸の周方向へ並ぶ複数のラグとを有し、それらラグが、エアーチューブの膨張によって回転軸の周壁から径方向外方へ進出可能、かつ、エアーチューブの収縮によって回転軸の周壁から径方向内方へ後退可能なエアーシャフトである。
【0007】
前記前提における本発明の特徴は、エアーシャフトが、エアーチューブの周方向内方に位置して回転軸の後端から前端に向かって該回転軸の軸方向へ延びる第1空気流路と、回転軸の前端に取り付けられて第1空気流路がつながるメカニカルスイッチと、メカニカルスイッチから延びていてエアーチューブにつながる第2空気流路とを備えていることにある。このエアーシャフトでは、エアーチューブへの空気の注入とエアーチューブからの空気の排出との切り換えがメカニカルスイッチによって行われ、メカニカルスイッチを介してエアーチューブへ空気を注入すると、エアーチューブが膨張するとともにラグが回転軸の周壁から径方向外方へ進出し、メカニカルスイッチを介してエアーチューブから空気を排出すると、エアーチューブが収縮するとともにラグが回転軸の周壁から径方向内方へ後退する。
【0008】
本発明の一例としては、ラグを回転軸の径方向内方へ付勢するバネが回転軸とエアーチューブとの間に配置され、メカニカルスイッチを介してエアーチューブへ空気を注入すると、エアーチューブが膨張するとともにラグがバネの付勢に抗して回転軸の周壁から径方向外方へ進出し、メカニカルスイッチを介してエアーチューブから空気を排出すると、エアーチューブの収縮とバネの付勢とによってラグが回転軸の周壁から径方向内方へ後退する。
【0009】
本発明の他の一例としては、メカニカルスイッチの切り換え操作部が回転軸の前端から軸方向前方へ露出し、切り換え操作部が回転軸の周方向内方に収まっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかるエアーシャフトによれば、エアーチューブへの空気の注入とエアーチューブからの空気の排出との切り換えを行うメカニカルスイッチが回転軸の前端に設置されているから、エアーシャフトそれ自体で空気の注入と空気の排出との切り換えを行うことができ、スイッチが巻取装置や巻出装置の筐体の制御盤に集中して設置されている場合と比較し、回転軸に対するリールまたはロールの固定作業や回転軸からのそれらの取り外し作業を行いながらスイッチをON、OFFすることができる。ゆえに、このエアーシャフトは、回転軸に対するリールまたはロールの固定作業や回転軸からのそれらの取り外し作業に手間を要せず、高い操作性を有する。また、エアーシャフト毎にメカニカルスイッチが設置されているから、巻取装置や巻出装置の筐体の制御盤に各エアーシャフトに対応する複数のメカニカルスイッチが集中して設置された場合と比較し、リールまたはロールの固定作業やそれらの取り外し作業を行うべき作業対象以外のシャフトのスイッチを誤って操作することがない。
【0011】
ラグを回転軸の径方向内方へ付勢するバネが回転軸の内周面とエアーチューブとの間に配置されたエアーシャフトは、メカニカルスイッチをOFFにしてエアーチューブから空気を排出すると、エアーチューブの収縮とバネの反発力とによってラグが回転軸の径方向内方へ押され、ラグが回転軸の周面から径方向内方へ速やかに後退する。このエアーシャフトは、メカニカルスイッチをOFFにしたときに、ラグが回転軸の周壁から外側に突出していることはなく、回転軸に対するリールまたはロールの固定作業や回転軸からのそれらの取り外し作業を円滑に行うことができる。
【0012】
回転軸の前端から軸方向前方へ露出するメカニカルスイッチの切り換え操作部が回転軸の周方向内方に収まっているエアーシャフトは、切り換え操作部によるスイッチのON,OFF操作を容易に行うことができ、さらに、切り換え操作部が回転軸に対するリールまたはロールの装着作業の邪魔になることはなく、切り換え操作部が回転軸からのリールまたはロールの取り外し作業の邪魔になることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
添付の図面を参照し、本発明に係るエアーシャフトの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1,2は、一例として示すエアーシャフト10の斜視図と、図1の2−2線端面図とである。図3は、図1の3−3線端面図である。図1〜図3では、軸方向を矢印A(図1,2のみ)、径方向を矢印B(図2,3のみ)で示し、周方向を矢印C(図1,3のみ)で示す。図2では、メカニカルスイッチ17と第2空気流路14とを切断しないで示している。図2,3では、エアーチューブ12に空気が注入されておらず、ラグ15(つめ)が回転軸11の径方向内方へ後退した状態にある。エアーシャフト10は、軸方向へ長い円筒状を呈する中空の回転軸11と、回転軸11の内部に収容されたエアーチューブ12と、空気の流路となる第1おび第2空気流路13,14と、回転軸11とエアーチューブ12との間に配置されたラグ15および板バネ16と、回転軸11の前端23に取り付けられたメカニカルスイッチ17とから形成されている。
【0014】
回転軸11は、電動機(図参照)から動力が伝達される駆動部18と、直径が駆動部18のそれよりも大きい支持部19とから形成されている。駆動部18と支持部19とは、ステンレスやアルミ等の金属から作られており、互いに着脱可能である。駆動部18は、図2に示すように、その前端部分20が支持部19内に嵌め込まれており、ビス(図示せず)によって前端部分20が支持部19の周壁21に固定されている。支持部19は、長尺原反の巻き取りまたは巻き出しに使用される後記するリール55(図9参照)を支持する。支持部19の周壁21には、その内外周面間を貫通する4つの開口22が形成されている。開口22は、支持部19の軸方向へ延び、支持部19の周方向へ互いに等しい間隔で並んでいる。開口22は、支持部19の周壁21の周方向へ90°の間隔で離間している。なお、開口22の数に特に限定はなく、支持部19にその周方向へ等しい間隔で並ぶ少なくとも2つの開口22が形成されていればよい。たとえば、支持部19の周壁21に2つの開口22が形成された場合は、それら開口22が周壁21の周方向へ180°の間隔で離間する。また、支持部19の周壁21に3つの開口22が形成された場合は、それら開口22が周壁21の周方向へ120°の間隔で離間する。
【0015】
エアーチューブ12は、軸方向へ長い袋状を呈し、支持部10内に設置されている。エアーチューブ12は、ゴムから作られており、空気の注入によって膨張するとともに、空気の排出によって収縮する。第1空気流路13は、回転軸11の後端24から前端23に向かって軸方向へ延びている。駆動部18における第1流路13は、駆動部18の中心部分に形成された円形の空洞であり、駆動部18を軸方向へ貫通している。支持部19における第1空気流路13は、エアーチューブ12の周方向内方に位置して支持部19の中心部分に延びる筒状の中空管25によって画成され、支持部19の軸方向へ延びている。エアーチューブ12は、中空管25の外周面を取り囲んでいる。駆動部18と支持部19とを連結すると、それら部18,19に形成された第1空気流路13どうしがつながる。支持部19の第1空気流路13は、メカニカルスイッチ17につながっている。第2空気流路14は、メカニカルスイッチ17から支持部19の軸方向後方へ向かってわずかに延びた後、エアーチューブ12につながっている。第2空気流路14は、筒状の中空管26によって画成され、回転軸11の支持部19の周方向内方に位置している。第1および第2空気流路13,14を画成する中空管25,26は、ステンレスやアルミ等の金属、または、ゴムから作られている。
【0016】
ラグ15は、回転軸11の支持部19とエアーチューブ12との間に配置されている。ラグ15は、支持部19の軸方向へ延び、支持部19の周方向へ互いに等しい間隔で並んでいる。ラグ15は、支持部19の周壁21の周方向へ90°の間隔で離間している。ラグ15の上端部27は、開口22に位置している。ラグ15の上端部27には、ウレタンゴムから作られた滑り止め(図示せず)が取り付けられている。ラグ15の下端部28には、エアーチューブ12の外周面に当接して軸方向へ延びるベース29が連接されている。なお、ラグ15の個数に特に限定はないが、開口22の数とラグ15の個数とが一致する。ラグ15は、ステンレスやアルミ等の金属から作られている。
【0017】
板バネ16は、図2,3に示すように、ベース29から支持部19の内周面に向かって延び、その固定端部30がベース29に当接し、その自由端部31が支持部19の内周面に当接している。板バネ16の固定端部30は、ビス32を介してベース29に固定されている。板バネ16は、その反発力によってラグ15とベース29とを支持部19(回転軸11)の径方向内方(エアーチューブ12の側)へ付勢している。メカニカルスイッチ17は、アクチュエータ33と、バルブ34とから形成されている。アクチュエータ33とバルブ34とは、軸方向へ並んだ状態で互いに連結され、支持部19(回転軸11)の前壁35(前端23)に固定されている。アクチュエータ33は、それを形成するレバー36(切り換え操作部)が前端23から軸方向前方へ露出するとともに、レバー36が前端23の周方向内方に収まっている。空気は、第1空気流路13を通ってスイッチ17のバルブ34内に流入し、スイッチ17がOFF(停止状態)であると、第2空気流路14に流入することはなく、スイッチ17がON(作動状態)であると、バルブ34から第2空気流路14を通ってエアーチューブ12に流入する。
【0018】
図4は、メカニカルスイッチ17を形成するアクチュエータ33の一例を示す側面図である。図5,6は、メカニカルスイッチ17を形成するバルブ34の作動例を示す図である。図4では、バルブ34の一部分を一点鎖線で示す。図5ではバルブ34が作動状態(スイッチ17がON状態)にあり、図6ではバルブ34が停止状態(スイッチ17がOFF状態)にある。アクチュエータ33は、それに取り付けられたレバー36(切り換え操作部)を時計回り方向(図1の矢印C1方向)と反時計回り方向(図1の矢印C2方向)とへ回転させると、それを形成するプランジャ37が軸方向後方(矢印B1方向)と軸方向前方(矢印B2方向)とのいずれかへ移動をする。なお、このメカニカルスイッチ17では、レバー36を時計回り方向へ回すと、プランジャ37が軸方向後方へ移動してスイッチ17がON状態になり、レバー36を反時計回り方向へ回すと、プランジャ37が軸方向前方へ移動してスイッチ17がOFF状態になるものとする。
【0019】
レバー36を時計回り方向へ回転させてスイッチ17をONにし、プランジャ37を軸方向後方(矢印B1方向)へ移動させると、図5に示すように、プランジャ37がバルブ34のボタン38を軸方向後方へ押し、それによってバルブ34のプランジャ39が主軸スプリング40の反発力に抗して軸方向後方へ押されるとともに、ボール41がボールスプリング42の反発力に抗して軸方向後方へ移動する。ボール41が軸方向後方へ移動すると、ボール41がバルブ本体43の内周面から離間し、ボール41とバルブ本体43の内周面との間に隙間44が生じて第1空気流路13と第2空気流路14とがつながり、空気が第1空気流路13から第2空気流路14を通ってエアーチューブ12に注入される。このとき、プランジャ39に取り付けられたパッキン45はバルブ本体43の内周面に圧接し、バルブ本体43に形成された空気排出口46と第2空気流路14とは非連接状態にある。
【0020】
次に、レバー36を反時計回り方向に回転させてスイッチ17をOFFにし、プランジャ37を軸方向前方(矢印B2方向)へ移動させると、図6に示すように、プランジャ37がバルブ34のボタン38から次第に離間し、主軸スプリング40とボールスプリング42との反発力によって、プランジャ39やボール41、パッキン45が軸方向前方へ移動する。プランジャ39やボール41、パッキン45が軸方向前方へ移動すると、ボール41がバルブ本体43の内周面に圧接するとともに、パッキン45がバルブ本体43の内周面から離れ、バルブ本体43の内周面とパッキン45との間に隙間47が生じて空気排出口46と第2空気流路14とつながり、空気が第2空気流路14を通って空気排出口46から大気に放出され、空気がエアーチューブ12から排出される。エアーチューブ12に空気が注入されていない状態では、図2,3に示すように、チューブ12が収縮し、板バネ16の反発力によってラグ15とベース29とが回転軸11の支持部19の径方向内方へ付勢され、ラグ15の上端面と支持部19の外周面とが同一面の状態となる。
【0021】
図7,8は、エアーチューブ12に空気が注入された状態にある図2と同様の端面図と、エアーチューブ12に空気が注入された状態にある図3と同様の端面図とである。エアーチューブ12に空気が注入された状態では、図7,8に示すように、チューブ12が支持部19内で周方向外方へ膨張し、それによってベース29が押されてラグ15が支持部19の径方向外方へ移動し、ラグ15の上端部27が周壁21の外周面から径方向外方へ突出する。空気は、回転軸11の後端24から流入し、第1空気流路13を通ってメカニカルスイッチ17のバルブ34に進入し、ボール41とバルブ本体43の内周面との間の隙間44を通って第2空気流路14に流入した後、エアーチューブ12に注入される。なお、空気は、エアーチューブ12を瞬時に膨張させることが可能な圧(0.4〜0.6MPa)に加圧された状態でシャフト10に送り込まれる。
【0022】
図9,10は、エアーシャフト10を巻取装置48または巻出装置49の筐体50の側壁51に取り付けた図と、図9の10−10線端面図とである。図9では、巻取装置48や巻出装置49の一部を図示し、全体の図示を省略している。エアーシャフト10は、長尺原反を巻き取る巻取装置48または長尺原反を巻き出す巻出装置49に着脱可能に取り付けられて使用される。長尺原反には、一方向へつながる糸やフィルム、紙、不織布、ゴム等がある。巻取装置48や巻出装置49にエアーシャフト10を取り付ける一例は、以下のとおりである。
【0023】
巻取装置48または巻出装置49の筐体50の側壁51を貫通する装着孔52に取り付けられた軸受け53に回転軸11の駆動部18を差し込み、シャフト10を巻取装置48または巻出装置49に設置する。軸受け53に回転軸11の駆動部18を差し込むと、支持部19が側壁51の外側に露出し、駆動部18がそれら装置48,49の内側に挿入され、駆動部18に形成された歯(図示せず)がギヤ54と噛み合う。シャフト10をそれら装置48,49に設置した後、それら装置48,49の筐体50に形成された制御盤(図示せず)のメインスイッチを入れて装置48,49を起動させる。それら装置48,49が起動すると、所定圧に加圧された空気が第1空気流路13に送り込まれる。ここで、メカニカルスイッチ17がOFF状態となっているため、空気がエアーチューブ12に注入されることはなく、ラグ15の上端部27が回転軸11の径方向内方へ後退した状態にある。この状態で、回転軸11の支持部19にリール55の中央孔56を嵌め込み、リール55をシャフト10に装着する。
【0024】
次に、アクチュエータ33のレバー36を時計回り方向へ回してメカニカルスイッチ17をON状態にする。スイッチ17をONにすると、空気が第2空気流路14を通ってエアーチューブ12に注入される。空気が注入されたチューブ12は空気圧によって瞬時に膨張し、ラグ15の上端部27が回転軸11の支持部19の径方向外方へ進出し、上端部27がリール55の中央孔56の内周面57に圧着することで、リール55が回転軸11の支持部19に固定される。電動機57が作動して機軸の回転力がギヤ54を介して駆動部18に伝えられると、シャフト10が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転し、それにともなってリール55がシャフト10の回転方向と同一方向へ回転する。リール55には長尺原反が巻き取られ、または、リール55から原反が巻き出される。
【0025】
リール55に長尺原反が巻き取られた後、または、リール55から原反が巻き出された後は、アクチュエータ33のレバー36を反時計回り方向へ回してメカニカルスイッチ17をOFF状態にする。スイッチ17をOFFにすると、第2空気流路14と空気排出口46とがつながり、空気がエアーチューブ12から排出される。エアーシャフト10では、チューブ12の収縮と板バネ16の反発力とによってラグ15の上端部27が支持部19の径方向内方へ速やかに後退する。スイッチ17をOFFにした後、支持部19からリール55を取り外し、あらたなリール55を支持部19に差し込み、スイッチ17をONにして再び長尺原反の巻き取りや巻き出しを行う。
【0026】
このエアーシャフト10は、エアーチューブ12への空気の注入とエアーチューブ12からの空気の排出との切り換えを行うメカニカルスイッチ17が回転軸11の前壁35(前端23)に設置されているから、エアーシャフト10それ自体でチューブ12への空気の注入とチューブ12からの空気の排出との切り換えを行うことができ、スイッチ17が巻取装置48や巻出装置49の筐体50の制御盤に集中して設置されている場合と比較し、回転軸11の支持部19に対するリール55の固定作業や支持部19からのリール55の取り外し作業を行いつつ、スイッチ17のON,OFF操作をすることができる。ゆえに、このエアーシャフト10は、回転軸11の支持部19に対するリール55の装着作業や支持部19からのリール55の取り外し作業に手間を要せず、高い操作性を有する。また、エアーシャフト10毎にメカニカルスイッチ17が設置されているから、巻取装置48や巻出装置49の筐体50の制御盤に各エアーシャフトに対応する複数のメカニカルスイッチが集中して設置された場合と比較し、リール55の装着作業やリール55の取り外し作業を行うべき作業対象以外のシャフトのスイッチを誤って操作することがない。
【0027】
エアーシャフト10は、ラグ15を回転軸11の支持部19の径方向内方へ付勢する板バネ16が支持部19の内周面とエアーチューブ12との間に配置されているから、メカニカルスイッチ17をOFFにすると、エアーチューブ12の自己収縮力とバネ16の反発力とが相俟って、エアーチューブ12から空気が瞬時に排出され、ラグ15の上端部27が支持部19の周壁21から径方向内方へ速やかに後退し、ラグ15の上端面と支持部19の外周面とが同一面の状態となる。このエアーシャフト10は、メカニカルスイッチ17をOFFにしたときに、ラグ15の上端部27が支持部19の周壁21から外側に突出していることはなく、リール55を回転軸11の支持部19に円滑に装着することができ、さらに、リール55を支持部19から円滑に取り外すことができる。このエアーシャフト10は、回転軸11の前壁35(前端23)から軸方向前方へ露出するメカニカルスイッチ17のレバー36(切り換え操作部)が前壁35(回転軸11)の周方向内方に収まっているから、レバー36によるスイッチ17のON,OFF操作を容易に行うことができることはもちろん、レバー36が回転軸11の支持部19に対するリール55の装着作業の邪魔になることはなく、レバー36が支持部19からのリール55の取り外し作業の邪魔になることはない。
【0028】
エアーシャフト10では、レバー36によってメカニカルスイッチ17のON,OFF操作が行われるが、レバー36の他に、押しボタンやキー差し込み型レバーによってスイッチ17のON,OFF操作を行うこともできる。なお、このエアーシャフト10は、図示はしていないが、リール55のみならず、長尺原反の巻き取りや巻き出しに使用するロールを着脱可能に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一例として示すエアーシャフトの斜視図。
【図2】図1の2−2線端面図。
【図3】図1の3−3線端面図。
【図4】メカニカルスイッチを形成するアクチュエータの一例を示す図。
【図5】メカニカルスイッチを形成するバルブの作動例を示す図。
【図6】メカニカルスイッチを形成するバルブの作動例を示す図。
【図7】チューブに空気が注入された状態にある図2と同様の端面図。
【図8】チューブに空気が注入された状態にある図3と同様の端面図。
【図9】シャフトを巻取装置や巻出装置の筐体の側壁に取り付けた図。
【図10】図9の10−10線端面図。
【符号の説明】
【0030】
10 エアーシャフト
11 回転軸
12 エアーチューブ
13 第1空気流路
14 第2空気流路
15 ラグ
16 板バネ(バネ)
17 メカニカルスイッチ
18 駆動部
19 支持部
22 開口
23 前端
24 後端
35 前壁
36 レバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝達される動力によって回転する中空の回転軸と、前記回転軸内に配置されて空気の注入によって膨張するとともに空気の排出によって収縮するエアーチューブと、前記回転軸と前記エアーチューブとの間に配置されて該回転軸の周方向へ並ぶ複数のラグとを有し、前記ラグが、前記エアーチューブの膨張によって前記回転軸の周壁から径方向外方へ進出可能、かつ、前記エアーチューブの収縮によって前記回転軸の周壁から径方向内方へ後退可能なエアーシャフトにおいて、
前記エアーシャフトが、前記エアーチューブの周方向内方に位置して前記回転軸の後端から前端に向かって該回転軸の軸方向へ延びる第1空気流路と、前記回転軸の前端に取り付けられて前記第1空気流路がつながるメカニカルスイッチと、前記メカニカルスイッチから延びていて前記エアーチューブにつながる第2空気流路とを備え、
前記エアーシャフトでは、前記エアーチューブへの空気の注入と前記エアーチューブからの空気の排出との切り換えが前記メカニカルスイッチによって行われ、前記メカニカルスイッチを介して前記エアーチューブへ空気を注入すると、前記エアーチューブが膨張するとともに前記ラグが前記回転軸の周壁から径方向外方へ進出し、前記メカニカルスイッチを介して前記エアーチューブから空気を排出すると、前記エアーチューブが収縮するとともに前記ラグが前記回転軸の周壁から径方向内方へ後退することを特徴とするエアーシャフト。
【請求項2】
前記ラグを前記回転軸の径方向内方へ付勢するバネが、前記回転軸と前記エアーチューブとの間に配置され、前記メカニカルスイッチを介して前記エアーチューブへ空気を注入すると、前記エアーチューブが膨張するとともに前記ラグが前記バネの付勢に抗して前記回転軸の周壁から径方向外方へ進出し、前記メカニカルスイッチを介して前記エアーチューブから空気を排出すると、前記エアーチューブの収縮と前記バネの付勢とによって前記ラグが前記回転軸の周壁から径方向内方へ後退する請求項1記載のエアーシャフト。
【請求項3】
前記メカニカルスイッチの切り換え操作部が、前記回転軸の前端から軸方向前方へ露出し、前記切り換え操作部が、前記回転軸の周方向内方に収まっている請求項1または請求項2に記載のエアーシャフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−210777(P2007−210777A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34861(P2006−34861)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(500326204)瀬戸技研工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】