説明

エチレンおよびシロキサン由来の単位を含むポリマー

本発明は、エチレンおよびシロキサン由来の単位を含むポリマーであって、13C核磁気共鳴(NMR)によって決定すると、炭素原子1000個当たり少なくとも0.15単位のアミル基を有するポリマーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書中に完全に組み込まれている2009年9月14日に出願された米国特許仮出願第61/242,127号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
通常の低密度ポリエチレン(LDPE)は良好な加工性を有するが、フィルム用途において使用されるとき、低い摩擦係数(COF)を得るために滑剤が典型的には必要である。残念なことに、多くのLDPE組成物について、このような添加物は、時間の経過と共に移動および浸出する。さらに、フィルムのCOFは温度依存性であり、これはひいては一貫しないフィルム特性をもたらし得る。したがって、良好な加工性を有し、一貫したCOF挙動を有するフィルムを形成するために使用することができるLDPE組成物が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態において、本発明は、エチレンおよびシロキサン由来の単位を含むポリマー(polymer comprising units derived from ethylene and siloxane)であって、13C核磁気共鳴(NMR)によって決定すると、炭素原子1000個当たり少なくとも0.15単位のアミル基を有するポリマーである。このポリマーは、シロキサン、典型的にはポリシロキサンを、エチレンベースのポリマー分岐部(ethylene-based polymeric branches)と共に含む。炭素原子1000個当たり0.15個のアミル基の尺度は、シロキサンの一部を形成している炭素原子を除いた、エチレンベースのポリマー分岐部中の炭素原子の数に基づいている。
【0004】
一実施形態において、本発明は、エチレンおよびシロキサン由来の単位を含むポリマーを形成する方法であって、
A.第1の反応器または複数パーツ反応器の第1の部分において、フリーラジカル開始剤の存在下で、少なくとも1種のシロキサンをエチレンと接触させること、および
B.フリーラジカル開始剤の存在下で、シロキサンをさらなるエチレンと反応させ、少なくとも1つの他の反応器または複数パーツ反応器の後の部分において、シロキサンに結合しているエチレンベースのポリマー分岐部を形成させること
を含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】2つの数学的関係を使用して、市販のLDPEおよび3種の本発明のポリマーの、ピーク溶融温度(Tm)と密度との関係を報告する図である。
【図2】異なる分岐タイプのピーク特性の位置を示す、LDPEの13C NMRスペクトルである。
【図3】C5分岐部数/炭素1000個の定量化の例を示す、LDPEの13C NMRスペクトルである。
【図4】C1分岐部を含有するLDPEの13C NMRスペクトルである。
【図5】ペンテンコモノマーからのC3(プロピル)分岐部を含有するHDPEの13C NMRスペクトルである。
【図6】試料1の抽出されたバージョンについてのPDMSおよびLDPEを定量化するために使用される積分を示す、LDPE−PDMSの13C NMRスペクトルである。
【図7】3種のPDMSにグラフトしたLDPEの13C NMRスペクトルの重なりである。
【図8】PDMSピークの相対強度を示すようにスケール変更した、3種のPDMSにグラフトしたLDPEの13C NMRスペクトルの重なりである。
【図9】2つの数学的関係を使用して、市販のLDPEおよび3種の本発明のポリマーの、ピーク融解熱(H)と密度との関係を報告する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
下記の考察は、当業者が開示された組成物および方法を作製および使用することを可能するために示す。記載されている一般原則は、開示された組成物および方法の精神および範囲から逸脱することなく、詳述されたもの以外の実施形態および用途に適用し得る。開示された組成物および方法は、示されている実施形態に限定されることを意図しないが、開示される原理および特徴と一貫した最も広範な範囲が与えられる。
【0007】
本発明のポリマー
現在、高結晶化度のポリシロキサンを、低結晶化度の高度に分岐したエチレンベースのポリマー、例えば、高圧低密度エチレンベースのポリマー(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE))と共に使用するとき、ポリシロキサンの全ての物理的性能の利点と、高度に分岐したエチレンベースのポリマーの全ての都合のよい加工特性とを忠実に合わせるブレンドを生じさせる機械的手段は存在しない。開示されているのは、この欠点に対処するポリマー、組成物および方法である。開示されたポリマー、組成物および方法の利点は、通常のプロセスを使用して、ポリシロキサンと関連する物理学的性質と類似の物理学的性質と併せて、高度に分岐したエチレンベースのポリマーの加工性を有する、より高いポリマー密度を有する樹脂を生成する能力である。
【0008】
「エチレンベースのポリマー分岐部(ethylene-based polymeric branches)」という用語は、重合エチレンを含み、シロキサンの好ましくはケイ素または炭素原子に結合しているポリマー単位を意味する。一実施形態において、本発明のポリマー(「エチレンポリマー」と称されることがある)は、式1の構造式を含む。
【0009】
【化1】

式1において、エチレンベースのポリマー分岐部は、ホモポリマー、例えば、LDPE、またはエチレン−プロピレンコポリマー分岐部などのインターポリマーでよい。ポリマーは、ケイ素原子1において共有結合しているエチレンベースのポリマー分岐部と共に、シロキサン単位(ここでは、ポリジメチルシロキサンまたはPDMS由来)を含む。エチレンベースのポリマー分岐部は、シロキサン上に直接形成され、すなわち、エチレンモノマーまたはオリゴマーがシロキサンにおいて結合し、他のエチレンモノマーと引き続いて重合され、またはさらに重合され(または1つもしくは複数のオレフィンコモノマーと共重合され)、エチレンベースのポリマー分岐部を形成し、あるいはエチレンベースのポリマーが独立に形成され、引き続いてシロキサンにグラフトされる。シロキサンは、1つまたは複数のエチレンベースのポリマー分岐部を含有することができ、任意のシロキサン上の分岐部の数は、少なくとも部分的に、シロキサンのサイズ、およびエチレンが重合され、またはポリエチレンがシロキサンにグラフトされる条件の関数である。エチレンベースのポリマー分岐部は、サイズおよび構造が異なってもよいが、典型的には好ましくは、1つまたは複数の長鎖分岐部(LCB、高圧LDPEの特徴である)を含む。エチレンベースのポリマー分岐部が由来する、エチレンベースのポリマーが、高圧プロセスによって作製され、かつ/または長鎖分岐部を含有する場合、場合によりこのポリマー、またはこのポリマーに由来する分岐部は、高度に分岐したエチレンベースのポリマーとして公知である。
【0010】
2つの構成成分(シロキサン(この用語には、ポリシロキサンおよびより低分子量シロキサンが含まれる)、ならびに高度に分岐したエチレンベースのポリマー)の共有結合は、高度に分岐したエチレンベースのポリマー成分と類似した加工特性を保持する一方で、ポリシロキサン成分と類似したまたはそれより良好の物理学的性質を有するポリマーをもたらす。
【0011】
開示された本発明のポリマーについての物理的特性および加工特性の組合せは、ポリシロキサンと高度に分岐したエチレンベースのポリマーとの単なるブレンドにおいては観察されない。開示された本発明のポリマーの独特の化学構造はポリシロキサンとして有利であり、高度に分岐したエチレンベースのポリマー置換基は共有結合している。結合されているとき、2種の異なる結晶化度の材料は、構成成分の単なるブレンドと異なるポリマーを生成する。2つの異なるセットの分岐および結晶化度の材料のこの組合せは、高度に分岐したエチレンベースのポリマーより良好な物理学的性質、およびポリシロキサンより良好な加工性を有するポリマーをもたらす。
【0012】
本発明のポリマーは、未反応のシロキサンを含み得る。本発明のポリマーはまた、形成され、または本発明のポリマーを作製するプロセスに導入されたが、シロキサンと結合しなかった遊離または非結合のエチレンベースのポリマーを含み得る。エチレンベースのポリマーに結合していないこれらのシロキサン、およびシロキサンに結合していないこれらのエチレンベースのポリマーは通常、低レベルで存在し、または当業者には公知の様々な精製または回収方法によって低レベルまで除去することができる。
【0013】
一実施形態において、ポリマーは、エチレンおよびシロキサン由来の各単位を含み、ポリマーは、13C核磁気共鳴(NMR)によって決定すると、炭素原子1000個当たり少なくとも0.15単位、典型的には少なくとも0.5単位、より典型的には少なくとも0.8単位のアミル基を有する。典型的にはポリマーは、下記の1つまたは複数を有する。(1)13C NMRによって決定すると、炭素原子1000個当たり1単位、典型的には少なくとも1.2単位、より典型的には少なくとも1.4単位のC6+分岐部、(2)13C NMRによって決定すると、炭素原子1000個当たり測定可能でないメチル分岐部、(3)13C NMRによって決定すると、炭素原子1000個当たり測定可能でないプロピル分岐部、および(4)13C NMRによって決定すると、炭素原子1000個当たり5単位以下、典型的には3.0単位以下、より典型的には2.0単位以下のアミル基。一実施形態において、ポリマー、またはポリマーのエチレンベースのポリマー分岐部は、これらの特性の2つ、3つ、または4つ全てを有する。
【0014】
一実施形態において、ポリマーは、ASTM D792によって測定すると、1立方センチメートル当たり0.91グラム超、または0.92グラム超、または0.93グラム超、または0.94グラム超の密度(g/ccまたはg/cm)を有する。一実施形態において、ポリマーは、0.91〜0.96g/cc、または0.91〜0.95g/ccまたは0.91〜0.94g/ccの密度を有する。本発明のポリマーの密度は、それらのエチレンベースのポリマー同等物の密度、すなわち、シロキサンに結合していないエチレンベースのポリマー分岐部の密度より通常大きく、このより大きな密度によって、エチレンベースのポリマー同等物で作製されたより高いゲージのフィルムと同様の特性を有する、より低いゲージのフィルムを製造することが可能となる。
【0015】
一実施形態において、ポリマーは、ASTM1238−04(2.16kg/190℃)によって測定すると、0.01〜1000グラム/10分、典型的には0.05〜100グラム/10分、より典型的には0.1〜50グラム/10分(g/10分)のメルトインデックスを有する。
【0016】
一実施形態において、ポリマーは、以下の数学的関係を満たす、ピーク溶融温度Tm(℃)および密度(g/cm)を有する。
Tm<771.5(℃・cc/g)(密度)−604(℃) (等式1A)
【0017】
一実施形態において、ポリマーは、以下の数学的関係を満たす、ピーク溶融温度Tm(℃)および密度(g/cm)を有する。
Tm<771.5(℃・cc/g)(密度)−605.5(℃) (等式1B)
【0018】
これらの関係を、実験の項において報告する試料1〜3、および表1において報告する市販の樹脂(CAR)について、図1において例示する。一実施形態において、Tmは、130℃未満、典型的には120℃未満、よりさらに典型的には115℃未満である。
【0019】
一実施形態において、ポリマーは、以下の数学的関係を満たす、融解熱(H)(ジュール/グラム(J/g))および密度(g/cm)を有する。
<2333(J・cc/g)×(密度)−2009(J/g) (等式1C)
【0020】
一実施形態において、ポリマーは、以下の数学的関係を満たす、融解熱(H)(ジュール/グラム(J/g))および密度(g/cm)を有する。
<2333(J・cc/g)×(密度)−2020(J/g) (等式1D)
【0021】
これらの関係を、実験の項において報告する試料1〜3、および表1において報告する市販の樹脂(CAR)について、図9において例示する。
【0022】
一実施形態において、本発明のポリマーを作製する方法において使用されるシロキサンの40重量パーセント未満、または30重量パーセント未満、または20重量パーセント未満、または20重量パーセント未満、または10重量パーセント未満は、ポリマーからの溶媒抽出によって抽出可能である。
【0023】
一実施形態において、本発明は、エチレンおよびシロキサン由来の単位を含むポリマーを含む組成物であって、ポリマーが、13C NMRによって決定すると、炭素原子1000個当たり少なくとも0.15単位のアミル基を有する、組成物である。一実施形態において、本発明は、このような組成物を含む物品であり、一実施形態において、本発明は、このような組成物を含む成分を含む物品である。一実施形態において、物品は、フィルムである。
【0024】
一実施形態において、ポリマーは、ポリマーの重量に基づいて大部分の重量パーセントである重合エチレンを含む。
【0025】
シロキサン
シロキサンは、液体、樹脂、またはエラストマーとして製造される、多様なクラスのポリマーのいずれかでよい。式2において例示されているように、シロキサンは部分的に有機化合物であるが、大部分のポリマーと異なり、シロキサンは炭素を含有しない骨格を有し、代わりに交互のケイ素および酸素原子からなる。
【0026】
【化2】

各R〜Rは、個々に、アルキル、ビニル、フェニル、水素、ヒドロキシル、アセトキシ、エノキシ、オキシム、メトキシ、エトキシ、アルコキシ、ジメチルアミノ、アミノプロピル、ヒドロキシプロピル、メルカプトプロピル、クロロプロピル、アクリロキシプロピル、メタクリロキシプロピル、エポキシプロポキシプロピルまたはエポキシシクロヘキシルエチルである。好ましくは、各R〜Rは、個々に、C〜C18アルキル、C〜Cシクロアルキル、ビニル、フェニル、水素またはヒドロキシルである。最も好ましくは、各R〜Rは、個々に、メチル、ビニル、水素またはヒドロキシルである。一実施形態において、各R〜Rは、メチルである。
【0027】
可能な最も単純なバージョンは、nが0であるもの(式2において、ヘキサメチルジシロキサン)であるが、典型的には好ましくは、nは、ポリシロキサンが、100センチストーク(CST)以上、好ましくは200センチストーク(CST)以上、よりさらに好ましくは500センチストーク(CST)以上の粘度を有するように十分に大きい。典型的には、nは、250万CST以下の粘度を有するポリシロキサンを生成するであろうもの以下である。粘度に対するより低い上限、例えば、100万または600,000CSTは、本発明の範囲内であるが、より高い分子量が典型的には好ましい。シロキサンの粘度を測定する方法を、下記に記載する。
【0028】
大部分のシリコーンにおいて、2つの有機基、通常メチルまたはフェニルが、各ケイ素原子に結合している。シリコーンは一般に、例外的に安定的および不活性である。シリコーン流体は、圧媒液、解乳化組成物、および乳房インプラント中で、ならびに接着剤、潤滑剤、撥水剤、および保護コーティングとして使用される。シリコーンゴムは、カプセル封入物、コーティング、およびワニス中の絶縁物として;ガスケットおよびコーキング材として;特殊な管中で;自動車エンジン部品として;フェースマスクおよびエアロックにおけるフレキシブルウィンドウとして;ガラス繊維布をラミネートするために;ならびに手術用膜およびインプラントとして使用される。
【0029】
本発明において有用なシロキサンには、USP6,239,244において教示されているものが含まれる。シロキサンは、典型的にはポリシロキサンであり、これらに限定されないが、Dow Corning、Momentive、Wacker、Shin−EtsuおよびEvonikを含めたいくつかの異なる製造者から商業的に市販されている。1つの代表的なシロキサンは、Dow Corning200Fluidである。
【0030】
エチレンベースのポリマー分岐部
上で述べたように、シロキサンに結合したエチレンベースのポリマー分岐部は、シロキサン上に直接生じさせ、またはシロキサンとは別に形成させ、引き続いてシロキサンにグラフトすることができる。エチレンベースのポリマー分岐部がシロキサン上に直接形成されている実施形態は、下記のプロセスの説明において記載され、一般に好まれるプロセスである。
【0031】
エチレンベースのポリマー分岐部がシロキサンにグラフトされている実施形態において、分岐部は、エチレンのホモポリマー、またはインターポリマー(ポリマーは、エチレンに由来する大部分の単位(モルパーセントで)を含み、少数の単位(モルパーセントで)は1種または複数の他のオレフィンに由来する)でよい、エチレンベースのポリマーに由来する。典型的には好ましくは、ポリマーは、エチレン、特に高圧低密度ポリエチレン(HPLDPE)のホモポリマーである。これらのポリマーは、エチレンモノマーを重合するためにフリーラジカル化学を使用して高圧プロセスで作製される。典型的なポリマー密度は、約0.91〜約0.94グラム/立方センチメートル(g/cm)である。低密度ポリエチレンは、約0.01〜約150g/10分のメルトインデックス(I)を有し得る。LDPEなどの高度に分岐したエチレンベースのポリマーはまた、「高圧エチレンポリマー」とも称されてもよく、ポリマーが、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を使用して、オートクレーブまたは管形反応器において、13,000ポンド/平方インチゲージ(psig)を超える圧力で、部分的にまたは完全にホモポリマー化または共重合されることを意味する(例えば、USP4,599,392(McKinneyら)を参照されたい)。このプロセスは、モノマー/コモノマー材料から、長鎖分岐部を含めたかなりの分岐部を有するポリマーを生じさせる。
【0032】
上で述べたように、分岐部が由来するエチレンベースのポリマーを形成するために使用し得るコモノマーには、これらに限定されないが、典型的には20個以下の炭素原子を有するα−オレフィンコモノマーが含まれる。例えば、α−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子を有してもよく、または代わりに、α−オレフィンコモノマーは、3〜8個の炭素原子を有してもよい。例示的なα−オレフィンコモノマーには、これらに限定されないが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンが含まれる。代わりに、例示的なコモノマーには、これらに限定されないが、α,β−不飽和C〜C−カルボン酸、特に、α,β−不飽和C〜C−カルボン酸のマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸誘導体、例えば、不飽和C〜C15−カルボン酸エステル、特に、C〜C−アルカノールのエステル、または無水物、特に、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、n−メタクリル酸ブチル、ter−メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、tert−アクリル酸ブチル、メタクリル酸無水物、マレイン酸無水物、およびイタコン酸無水物が含まれる。別の代わるものとして、例示的なコモノマーには、これらに限定されないが、カルボン酸ビニル、例えば酢酸ビニルが含まれる。別の代わるものとして、例示的なコモノマーには、これらに限定されないが、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸およびメタクリル酸が含まれる。
【0033】
プロセス
シロキサン、典型的には好ましくは、ポリシロキサンは、エチレンベースのポリマーによる反応プロセスの前に、またはそれとは別に生成し得る。他の開示されたプロセスにおいて、ポリシロキサンは、十分に撹拌される反応器(管形反応器またはオートクレーブ反応器など)内で、インサイチュで、およびエチレンベースのポリマーの存在下で形成し得る。
【0034】
エチレンベースのポリマーは、エチレンの存在下で形成される。一実施形態において、本発明のポリマーは、ラジカル化されたポリシロキサン分子へのエチレンベースのポリマー分子のフリーラジカルグラフト化によって形成される。一実施形態において、エチレンベースのポリマー分岐部は、ラジカル化されたポリシロキサン部位からのフリーラジカルエチレン重合によって形成される。ポリシロキサンの形成、置換基エチレンベースのポリマー分岐部、および開示されたポリマーへのそれらの組合せについての他の実施形態のプロセスが存在し得る。
【0035】
一実施形態において、分岐部が由来するエチレンベースのポリマー、およびポリシロキサンは、本発明のポリマーを形成するために使用される反応プロセスの外部で調製され、エチレンの存在下にてフリーラジカル重合条件下で一般の反応器中で合わされ、2つのポリマーはプロセス条件および反応剤に供され、本発明のポリマーの形成をもたらす。
【0036】
一実施形態において、分岐部が由来するエチレンベースのポリマー、およびポリシロキサンは両方とも、同じプロセスの異なる前方のパーツにおいて調製され、次いでエチレンの存在下でフリーラジカル重合条件下にてプロセスの共通の下流のパーツにおいて一緒に合わさる。ポリシロキサンおよび置換基エチレンベースのポリマーは、別々の前方の反応領域またはゾーン(別々のオートクレーブ、または管形反応器の上流のパーツなど)において作製される。次いで、これらの前方の反応領域またはゾーンからの生成物を、エチレンの存在下でフリーラジカル重合条件下にて下流の反応領域またはゾーンに移し、合わせ、本発明のポリマーの形成を促進する。いくつかのプロセスにおいて、フリーラジカル生成化合物を下流の反応領域またはゾーンに加え、反応を促進する。いくつかのプロセスにおいて、触媒を加え、下流の反応領域またはゾーンにおいて反応を促進する。いくつかのプロセスにおいて、さらなる新鮮なエチレンを前方の反応領域またはゾーンのプロセス下流に加え、エチレンベースのポリマー分岐部の形成、およびポリシロキサンへのエチレンベースのポリマー分岐部のグラフト化の両方、ならびにエチレンモノマーとポリシロキサンとの直接の反応を促進し、本発明のポリマーを形成させる。いくつかのプロセスにおいて、前方の反応領域またはゾーンからの生成物流の少なくとも1つを下流の反応領域またはゾーンに達する前に処理し、下流の反応を阻害し得る任意の残渣または副生成物を中和する。
【0037】
1つのインサイチュの実施形態において、ポリシロキサンを、第1もしくは前方の反応領域またはゾーン(第1のオートクレーブ、または管形反応器の上流のパーツなど)において生じさせる。次いで、生成した生成物流を下流の反応領域またはゾーンに移すが、そこではフリーラジカル重合条件でエチレンが存在する。これらの条件は、エチレンベースのポリマーの形成、およびポリシロキサンへのエチレンベースのポリマーのグラフト化の両方、ならびにエチレンモノマーとポリシロキサン上の少なくとも1つのラジカル化された部位との直接の反応を補助し、それによって本発明のポリマーが形成される。いくつかのプロセスにおいて、フリーラジカル生成化合物を、下流の反応領域またはゾーンに加え、グラフト化反応を促進する。いくつかのプロセスにおいて、触媒を加え、下流の反応領域またはゾーンにおけるグラフト化および反応を促進させる。いくつかのプロセスにおいて、さらなる新鮮なエチレンを前方の反応領域またはゾーンのプロセス下流に加え、高度に分岐したエチレンベースのポリマーの形成およびグラフト化の両方、ならびにエチレンモノマーとポリシロキサンとの反応を促進させ、開示されたエチレンポリマーを形成させる。いくつかのプロセスにおいて、前方の反応領域またはゾーンからの生成物流を下流の反応領域またはゾーンに達する前に処理し、エチレンベースのポリマー形成、ポリシロキサンへのエチレンベースのポリマーのグラフト化、またはポリシロキサンとのエチレンモノマーの反応を阻害し得る前の反応からの任意の残渣もしくは副生成物を中和し、本発明のポリマーを形成させる。
【0038】
高度に分岐したエチレンベースのポリマーを生成するために、高圧フリーラジカルによって開始される重合プロセスを典型的には使用する。2つの異なる高圧フリーラジカルによって開始される重合プロセスのタイプが公知である。第1のタイプにおいて、1つまたは複数の反応ゾーンを有する撹拌オートクレーブ容器を使用する。オートクレーブ反応器は、開始剤もしくはモノマー供給流、または両方のためのいくつかの注入ポイントを通常有する。第2のタイプにおいて、ジャケット付き管を、1つまたは複数の反応ゾーンを有する反応器として使用する。適切な(しかし限定的ではない)反応器の長さは、100〜3000メーター(m)、好ましくは1000〜2000mでよい。いずれかのタイプの反応器についての反応ゾーンの始まりは、反応の開始剤、エチレン、テロマー、コモノマー(複数可)、および任意のこれらの組合せのサイド注入によって定められる。少なくとも2つの反応ゾーンを有するオートクレーブもしくは管形反応器において、またはオートクレーブおよび管形反応器の組合せ(各々が、1つもしくは複数の反応ゾーンを含む)において、高圧プロセスを行うことができる。
【0039】
一実施形態において、フリーラジカル重合が誘発される反応ゾーンの前に、触媒または開始剤を注入する。一実施形態において、ポリシロキサンは、反応器系の前部において反応系中に供給してもよく、系自体中では形成されない。触媒活性の終結は、反応のフリーラジカル重合部分についての高い反応器温度の組合せによって、あるいは極性溶媒(イソプロパノール、水など)、または通常の開始剤溶媒(分岐アルカンまたは非分岐アルカンなど)の混合物に溶解された開始剤を反応器に供給することによって達成し得る。
【0040】
一実施形態において、プロセスは、変換効率を改善するためのプロセスリサイクルループを含み得る。このような実施形態において、下流の反応領域またはゾーンは、高度に分岐したエチレンベースのポリマーがポリシロキサンから相分離する温度より低い温度に維持し得る。共重合が起こる反応器が、高いポリマー(「固体」)濃度を有する反応器(ループ反応器など)であり、反応器中の重合可能な高度に分岐したエチレンベースのポリマーの濃度を最大化することが好ましい。一実施形態において、リサイクルループを処理し、ポリシロキサンもしくは高度に分岐したエチレンベースのポリマーの重合を阻害し得る、または開示されたエチレンポリマーを形成させる反応を阻害し得る、前の反応サイクルからの残渣もしくは副生成物を中和し得る。一実施形態において、新鮮なモノマーをこの流に加える。
【0041】
エチレンベースのポリマーの生成のために使用するエチレンは、ループリサイクル流から極性成分を除去することによって、または新鮮なエチレンのみがポリシロキサンを作製するために使用されるように反応系構成を使用することによって得られる精製したエチレンでよい。エチレンベースのポリマーを作製するのに精製したエチレンを必要とすることは典型的ではない。このような場合、リサイクルループからのエチレンを使用し得る。
【0042】
プロセスは、ポリシロキサンの存在下でのエチレンの単独重合、あるいはポリシロキサンの存在下でエチレンと1種または複数の他のコモノマーとの共重合のために使用し得るが、ただし、これらのコモノマーは、フリーラジカル条件下、好ましくは高圧条件下で、エチレンと共重合可能であり、高度に分岐したエチレンベースのポリマーを形成する。
【0043】
連鎖移動剤またはテロゲン(CTA)を典型的には使用して、フリーラジカル重合プロセスにおいてメルトインデックスを制御する。連鎖移動は伸長しているポリマー鎖の終了を伴い、したがってポリマー材料の最終の分子量を制限する。連鎖移動剤は典型的には、伸長しているポリマー鎖と反応し、鎖の重合反応を停止させる水素原子供与体である。高圧フリーラジカル重合のために、これらの作用剤は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、アルデヒド、ケトンまたはアルコールなどの多くの異なるタイプでよい。使用することができる典型的なCTAには、これらに限定されないが、プロピレン、イソブタン、n−ブタン、1−ブテン、メチルエチルケトン、プロピオンアルデヒド、ISOPAR(ExxonMobil Chemical Co.)、およびイソプロパノールが含まれる。このプロセスにおいて使用されるCTAの量は、全反応混合物の0.03〜10重量パーセントである。
【0044】
分子量と反比例するポリマーのメルトインデックス(MIまたはI)は、連鎖移動剤の濃度を操作することによって制御する。フリーラジカル重合のために、水素原子の供与の後に、CTAは、モノマー、または既に形成されているオリゴマーもしくはポリマーと反応して、新たなポリマー鎖をスタートすることができる基を形成する。これは、連鎖移動剤中に存在する任意の官能基が、ポリマー鎖に導入されることを意味する。多数のCTA、例えば、オレフィン系不飽和結合を有するプロピレンおよび1−ブテンをまた、共重合反応によってポリマー鎖自体に組み込み得る。連鎖移動剤の存在下で生成されるポリマーは、加工性、光学特性(濁りおよび透明性など)、密度、剛性、降伏点、フィルム延伸および引裂き強度などのいくつかの物理学的性質が改質される。
【0045】
水素は、高圧フリーラジカル重合のための連鎖移動剤であることが示されてきた。開示されているプロセスについての反応ゾーン中で作製される分子量の制御は、水素を、触媒または開始剤が注入される反応ゾーンに供給することによって達成し得る。最終生成物のメルトインデックスの制御は、連鎖移動剤を、ラジカル重合が起こる反応ゾーンに供給することによって達成される。フリーラジカル連鎖移動剤の供給は、反応ゾーンへの直接の注入によって、または反応器の前部にそれらを供給することによって達成することができる。水素が反応器の前部に供給される場合、水素は、開始剤が注入される反応ゾーンに入るまで連鎖移動剤として作用することが予想されず、反応ゾーンに入った時点で不飽和連鎖移動剤は、伸長しているポリマー鎖と相互作用することが予想される。いくつかの実施形態のプロセスにおいて、リサイクル流からの過剰なCTAを除去し、またはプロセスの最前部においてCTAの過剰な蓄積を防止するために注入を制限することが必要であり得る。
【0046】
本発明のプロセスにおいて使用されるフリーラジカル開始剤のタイプは、決定的ではない。エチレンベースのポリマーを生成するために一般に使用されるフリーラジカル開始剤は、重合可能なモノマー、およびペルオキシドの重量に基づいて0.0001〜0.005重量パーセント(重量%)の通常の量で、管形反応器において使用可能な酸素である。好ましい開始剤は、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアセテートおよびt−ブチルペルオキシ−2−ヘキサノエートまたはこれらの混合物である。これらの有機ペルオキシ開始剤は、重合可能なモノマーの重量に基づいて0.005〜0.2重量%の通常の量で使用される。
【0047】
ペルオキシド開始剤は、例えば、有機ペルオキシドでよい。例示的な有機ペルオキシドには、これらに限定されないが、環状ペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシカーボネート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシ酸エステル、およびペルオキシケタールが含まれる。
【0048】
例示的な環状ペルオキシドには、これらに限定されないが、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナンが含まれる。このような環状ペルオキシドは、例えば、商品名TRIGONOX301(Akzo Nobel;Arnhem、The Netherlands)で市販されている。例示的なジアシルペルオキシドには、これらに限定されないが、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドが含まれる。このようなジアシルペルオキシドは、例えば、商品名TRIGONOX36(Akzo Nobel)で市販されている。例示的なジアルキルペルオキシドには、これらに限定されないが、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3;ジ−tert−アミルペルオキシド;ジ−tert−ブチルペルオキシド;およびtert−ブチルクミルペルオキシドが含まれる。このようなジアルキルペルオキシドは、例えば、商品名TRIGONOX101、TRIGONOX145、TRIGONOX201、TRIGONOX B、およびTRIGONOX T(Akzo Nobel)で市販されている。例示的なヒドロペルオキシドには、これらに限定されないが、tert−アミルヒドロペルオキシド;および1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシドが含まれる。このようなヒドロペルオキシドは、例えば、商品名TRIGONOX TAHP、およびTRIGONOX TMBH(Akzo Nobel)で市販されている。例示的なペルオキシカーボネートには、これらに限定されないが、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート;tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート;およびtert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートが含まれる。このようなペルオキシカーボネートは、例えば、商品名TRIGONOX117、TRIGONOX131、およびTRIGONOX BPIC(Akzo Nobel)で市販されている。例示的なペルオキシジカーボネートには、これらに限定されないが、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート;およびジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネートが含まれる。このようなペルオキシジカーボネートは、例えば、商品名TRIGONOX EHP、およびTRIGONOX SBP(Akzo Nobel)で市販されている。例示的なペルオキシ酸エステルには、これらに限定されないが、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート;tert−アミルペルオキシネオデカノエート;tert−アミルペルオキシピバレート;tert−アミルペルオキシベンゾエート;tert−アミルペルオキシアセテート;2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン;tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート;tert−ブチルペルオキシネオデカノエート;tert−ブチルペルオキシネオヘプタノエート;tert−ブチルペルオキシピバレート;tert−ブチルペルオキシジエチルアセテート;tert−ブチルペルオキシイソブチレート;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシピバレート;tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート;クミルペルオキシネオデカノエート;tert−ブチルペルオキシベンゾエート;およびtert−ブチルペルオキシアセテートが含まれる。このようなペルオキシ酸エステル溶媒は、例えば、商品名TRIGONOX121;TRIGONOX123;TRIGONOX125;TRIGONOX127;TRIGONOX133;TRIGONOX141;TRIGONOX21;TRIGONOX23;TRIGONOX257;TRIGONOX25;TRIGONOX27;TRIGONOX41;TRIGONOX421;TRIGONOX423;TRIGONOX425;TRIGONOX42;TRIGONOX99;TRIGONOX C;およびTRIGONOX F(Akzo Nobel)で市販されている。例示的なペルオキシケタールには、これらに限定されないが、1,1−ジ(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;および2,2−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ブタンが含まれる。このようなペルオキシケタールは、例えば、商品名TRIGONOX122、TRIGONOX22、TRIGONOX29、およびTRIGONOX D(Akzo Nobel)で市販されている。フリーラジカル開始剤系には、例えば、上記のペルオキシド開始剤のいずれかの混合物または組合せが含まれてもよい。ペルオキシド開始剤は、60重量パーセント未満のフリーラジカル開始剤系を含み得る。
【0049】
フリーラジカル開始剤系には、少なくとも1種の炭化水素溶媒がさらに含まれる。炭化水素溶媒は、例えば、C〜C30炭化水素溶媒でよい。例示的な炭化水素溶媒には、これらに限定されないが、鉱質溶媒(mineral solvents)、通常のパラフィン溶媒、イソパラフィン溶媒、環状溶媒などが含まれる。炭化水素溶媒は、例えば、n−オクタン、イソ−オクタン(2,2,4−トリメチルペンタン)、n−ドデカン、イソ−ドデカン(2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン)、および他のイソパラフィン溶媒からなる群から選択し得る。イソパラフィン溶媒などの例示的な炭化水素溶媒は、例えば、商標ISOPAR C、ISOPAR E、およびISOPAR H(ExxonMobil Chemical Co.)で市販されている。炭化水素溶媒は、99重量パーセント未満のフリーラジカル開始剤系を含み得る。
【0050】
一実施形態において、フリーラジカル開始剤系には、極性共溶媒をさらに含み得る。極性共溶媒は、アルコール共溶媒、例えば、C〜C30アルコールでよい。さらに、アルコール共溶媒のアルコール官能基は、例えば、単官能基または多官能基でよい。極性共溶媒としての例示的なアルコールには、これらに限定されないが、イソプロパノール(2−プロパノール)、アリルアルコール(1−ペンタノール)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1,4−ブタンジオール、これらの組合せ、これらの混合物などが含まれる。極性共溶媒は、40重量パーセント未満のフリーラジカル開始剤系を含み得る。
【0051】
極性共溶媒は、アルデヒドでよい。アルデヒドは、当業者には一般に公知である。例えば、プロピオンアルデヒドは、極性共溶媒として使用し得る。しかし、このようなアルデヒドを極性共溶媒として使用するとき、連鎖移動剤としてのアルデヒドの反応性ポテンシャルを考慮に入れるべきである。このような反応性ポテンシャルは、当業者に一般に公知である。
【0052】
極性共溶媒は、ケトンでよい。ケトンは、当業者には一般に公知である。例えば、アセトンを、極性共溶媒として使用し得る。しかし、このようなケトンを極性共溶媒として使用するとき、連鎖移動剤としてのケトンの反応性ポテンシャルを考慮に入れるべきである。このような反応性ポテンシャルは、当業者に一般に公知である。
【0053】
一実施形態において、フリーラジカル開始剤系は、同時注入のための溶媒としてまたはブレンドとして、連鎖移動剤をさらに含み得る。前に考察したように、連鎖移動剤は当業者に一般に公知であり、連鎖移動剤には、これらに限定されないが、プロパン、イソブタン、アセトン、プロピレン、イソプロパノール、ブテン−1、プロピオンアルデヒド、およびメチルエチルケトンが含まれる。他の開示されたプロセスにおいて、連鎖移動剤を、開始剤系からの別々の入口ポートによって反応器中に充填し得る。別の実施形態のプロセスにおいて、連鎖移動剤をエチレンとブレンドし、加圧し、次いでそれ自体の注入系において反応器中に注入し得る。
【0054】
一実施形態において、ペルオキシド開始剤を、最初に炭化水素溶媒に溶解または希釈し、次いでフリーラジカル開始剤系を重合反応器中に計量する前に、極性共溶媒をペルオキシド開始剤/炭化水素溶媒の混合物に加えてもよい。一実施形態において、ペルオキシド開始剤を、極性共溶媒の存在下で炭化水素溶媒に溶解してもよい。
【0055】
一実施形態において、このプロセスにおいて使用されるフリーラジカル開始剤は、ポリシロキサンから抽出可能な水素を抽出することによって、ポリシロキサン上のグラフト部位を誘導し得る。フリーラジカル開始剤の例には、ペルオキシドおよびアゾ化合物などの、前に考察したそれらのフリーラジカル開始剤が含まれる。一実施形態において、電離放射線をまた使用して、抽出可能な水素を遊離させ、ポリシロキサン上にラジカル化された部位を生じさせ得る。ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、およびtert−ブチルペルアセテート、t−ブチル−α−クミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−アミルペルオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、および2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシンを使用するなど、有機開始剤は、抽出可能な水素を抽出する好ましい手段である。好ましいアゾ化合物は、亜硝酸アゾビスイソブチルである。
【0056】
本発明のプロセスにおいて使用するための適切な触媒には、所望の組成またはタイプのポリマー(ポリシロキサン、または高度に分岐したエチレンベースのポリマー)を調製するために適応される任意の化合物または化合物の組合せが含まれる。不均一系および均一系触媒の両方、ならびにこれらの組合せを用い得る。一実施形態において、周知のチーグラー−ナッタ組成物、特に、2族ハロゲン化金属、または混合ハロゲン化物に担持された4族ハロゲン化金属、およびアルコキシド、ならびに周知のクロムまたはバナジウムベースの触媒を含めた不均一系触媒を使用し得る。一実施形態において、使用するための触媒は、相対的に純粋な有機金属化合物または金属錯体、特に、第3〜10族またはランタニドシリーズから選択される金属ベースの化合物または錯体を含む均一系触媒でよい。系において複数の触媒が使用される場合、用いられる任意の触媒が、重合の条件下で、別の触媒の性能に有意に悪影響を与えないことが好ましい。望ましくは、どの触媒も、重合の条件下で活性が25パーセント超、さらに好ましくは10パーセント超減少しない。好ましい触媒系の例は、USP5,272,236(Laiら);5,278,272(Laiら);6,054,544(Finlaysonら);6,335,410(Finlaysonら);および6,723,810(Finlaysonら);およびWO2003/091262(Boussieら);2007/136497(Konzeら);2007/136506(Konzeら);2007/136495(Konzeら);および2007/136496(Aboelellaら)に見出し得る。他の適切な触媒は、米国特許出願公開第2007/0167578号(Arriolaら)に見出し得る。
【0057】
一実施形態において、配位触媒作用重合プロセスを、ポリシロキサンの形成のために使用し得る。このような実施形態において、触媒系は、エチレン供給流中の不純物、およびフリーラジカル開始剤からの分解生成物からもたらされるであろう極性不純物への適切な耐性を有する。標的とする触媒効率性のために反応器の前部の部分に供給される極性不純物の量の制御は、開始剤混合物中で使用される極性溶媒の量を制御することによって、およびプロセスリサイクル流中で凝縮される材料の量によって達成することができる。配位触媒のタイプには、USP5,272,236および5,278,272に記載されているように幾何拘束型触媒(CGC)を含み得る。このようなCGC系における好ましい触媒には、極性不純物に対して良好な耐性を有することが知られているため、ビフェニル−フェノールリガンド(ビス((2−オキソイル−3−(1,1−ジメチルエチル)フェン−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシ)プロパン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジメチルおよびビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシ)−trans−シクロ−ヘキサン−1,2−ジメチルエニル−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジメチルを含めた)を有するジルコニウム触媒の一般のファミリーが含まれてもよい。炭素ラジカルを生じさせるフリーラジカル開始剤は、系中の極性不純物の量を減少させ、より通常の触媒を使用することを潜在的に可能にする。炭素中心フリーラジカル発生物の例には、これらに限定されないが、アゾ−ビス−イソ−ブチロ−ニトリルを含めたアゾ化合物が含まれる。このような化合物は、約30〜約250℃の半減期分解温度を有し得る。炭素−炭素開始剤(その例には、ジメチルジフェニルブタン、ジメチルジフェニルヘキサン、およびその誘導体が含まれる)を使用して、禁止されている操作条件下で適切な半減期に達し得る。
【0058】
一実施形態において、複合金属触媒を用いて、このような触媒は活性化され、共触媒、好ましくはカチオン形成共触媒、強いルイス酸、またはこれらの組合せと組み合わせることによって、活性触媒組成物を形成し得る。使用に適した共触媒には、ポリマーまたはオリゴマーのアルミノキサン、特に、メチルアルミノキサン、ならびに不活性な適合性の非配位性イオン形成化合物が含まれる。いわゆる改質メチルアルミノキサン(MMAO)はまた、共触媒として使用するのに適している。このような改質アルミノキサンを調製するための1つの技術は、USP5,041,584(Crapoら)に開示されている。アルミノキサンはまた、USP5,542,199(Laiら);4,544,762(Kaminskyら);5,015,749(Schmidtら);および5,041,585(Deavenportら)における開示のように作製することができる。他の好ましい共触媒は、不活性な非配位性ホウ素化合物である(ペルフルオロアリールボラン(B(C)、および(ビス−水素化獣脂アルキル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートとして公知の化合物のクラスなど、一般化学構造([RNCH]+[B(C]−(式中、Rは、C14、C16またはC18アルキルでよい)を有する複合体の混合物である)。他の好ましい共触媒は、米国特許出願公開第2007/0167578号に見出し得る。
【0059】
一実施形態において、可塑剤などの加工助剤をまた、本発明のポリマーに含めることができる。これらの助剤には、これらに限定されないが、フタル酸エステル(フタル酸ジオクチルおよびフタル酸ジイソブチルなど)、天然油(ラノリン、およびパラフィンなど)、石油精製から得られるナフテン系および芳香族油、ならびにロジンまたは石油供給原料からの液体樹脂が含まれる。加工助剤として有用な例示的なクラスの油には、白色鉱油、例えば、KAYDOL油(Chemtura Corp.;Middlebury、Conn.)およびSHELLFLEX371ナフテン系油(Shell Lubricants;Houston、Tex.)が含まれる。1つの他の適切な油は、TUFFLO油(Lyondell Lubricants;Houston、Tex)である。
【0060】
一実施形態において、本発明のポリマーを、1種または複数の安定剤、例えば、抗酸化剤、例えば、IRGANOX1010およびIRGAFOS168(Ciba Specialty Chemicals;Glattbrugg、Switzerland)で処理する。一般に、押出または他の溶融プロセスの前に、ポリマーを1種または複数の安定剤で処理する。一実施形態において、ポリマー添加物には、これらに限定されないが、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、成核剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、発煙阻害剤、粘度調整剤および粘着防止剤が含まれる。ポリマー組成物は、本発明のポリマーの重量に基づいて、例えば10パーセント未満の1種または複数の添加物の合わせた重量を含み得る。
【0061】
本発明のポリマーは、さらに配合し得る。1つの本発明のポリマー組成物において、1種または複数の抗酸化剤をポリマー中にさらに配合してもよく、配合ポリマーはペレット化される。配合ポリマーは、任意の量の1種または複数の抗酸化剤を含有し得る。例えば、配合ポリマーは、100万部のポリマー毎に200〜600部の1種または複数のフェノール系酸化防止剤を含み得る。さらに、配合ポリマーは、100万部のポリマー毎に800〜1200部のホスフィットベースの抗酸化剤を含み得る。配合ポリマーは、100万部のポリマー毎に300〜1250部のステアリン酸カルシウムをさらに含み得る。
【0062】
使用
本発明のポリマーを種々の通常の熱可塑性製作プロセスにおいて用いて、注型、インフレーション(blown)、カレンダー加工、または押出コーティングプロセスによって調製した、少なくとも1つのフィルム層(単層フィルムなど)、または多層フィルム中に少なくとも1つの層を含む物体;成形物品(吹込成形、射出成形、またはロト成形物品など);押出し成形物;繊維;および織布または不織布を含めて、有用な物品を生成してもよい。エチレンポリマーを含む熱可塑性組成物には、他の天然または合成材料とのブレンド、ポリマー、添加物、強化剤、発火耐性添加物、抗酸化剤、安定剤、着色剤、増量剤、架橋剤、発泡剤、および可塑剤が含まれる。
【0063】
本発明のポリマーは、他の用途のための繊維を生成するために使用し得る。本発明のポリマー、または本発明のポリマーを含むブレンドから調製し得る繊維には、ステープル繊維、トウ、多成分、シース/コア、撚糸、および単繊維が含まれる。適切な繊維形成プロセスには、スピンボンド、メルトブロー技術(USP4,340,563(Appelら)、4,663,220(Wisneskiら)、4,668,566(Nohrら)、および4,322,027(Reba)に開示されているような)、ゲル紡糸繊維(USP4,413,110(Kaveshら)に開示されているような)、織布および不織布(USP3,485,706(May)に開示されていような)、あるいはポリエステル、ナイロンもしくは綿などの他の繊維とのブレンドを含めたこのような繊維から作製した構造体、熱成形品、押出形状物(異形押出および共有押出を含めた)、カレンダー加工物品、ならびに延伸、撚り加工、またはけん縮糸または繊維が含まれる。
【0064】
本発明のポリマーは、これらに限定されないが、透明収縮フィルム、コレーション収縮フィルム(collation shrink films)、キャストストレッチフィルム、牧草用フィルム、ストレッチフード、シーラント、およびおむつのバックシートを含めた種々のフィルムにおいて使用し得る。
【0065】
本発明のポリマーはまた、他の直接の最終用途において有用である。本発明のポリマーは、ワイヤーおよびケーブルのコーティング操作、真空成形操作のためのシート押出、ならびに成形物品の形成(射出成形、ブロー成形プロセス、またはロト成形プロセスの使用を含めた)のために有用である。本発明のポリマーを含む組成物はまた、通常のポリオレフィン加工技術を使用して製造物品に形成することができる。
【0066】
本発明のポリマーについての他の適切な用途には、弾性フィルムおよび繊維;柔らかな感触の物品(歯ブラシの柄および電化製品のハンドルなど);ガスケットおよび異形材(profiles);接着剤(ホットメルト接着剤および感圧接着剤を含めた);履物(靴底および靴のライナーを含めた);自動車の内装品および異形材;気泡物品(連続気泡および独立気泡の両方);他の熱可塑性ポリマー(高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、または他のオレフィンポリマーなど)のための耐衝撃性改良剤;コーティング布帛;ホース;管類;目詰め材;キャップライナー;フローリング;ならびに潤滑剤のための流動点改質剤としても知られている粘度指数改質剤が含まれる。
【0067】
本発明のポリマーのさらなる処理を、他の最終用途への適用のために行い得る。例えば、本発明のポリマー、または本発明のポリマーを含む配合物を使用して、分散剤(水性および非水性の両方)をまた形成することができる。PCT出願公開第2005/021622号(Strandeburgら)に開示されているように、本発明のポリマーを含む気泡をまた形成することができる。本発明のポリマーはまた、ペルオキシド、電子ビーム、シラン、アジド、または他の架橋技術の使用などの任意の公知の手段によって架橋し得る。本発明のポリマーはまた、グラフト化(例えば、無水マレイン酸(MAH)、シラン、もしくは他のグラフト化剤の使用によって)、ハロゲン化、アミノ化、スルホン酸化反応、または他の化学修飾によるなど、化学修飾することができる。
【0068】
形成後に、添加物を本発明のポリマーに加えてもよい。適切な添加物には、安定剤、充填剤、例えば、有機または無機粒子(粘土、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属を含めた)、有機または無機繊維(炭素繊維、窒化ケイ素繊維を含めた)、鋼線または鋼鉄の網、ナイロンまたはポリエステルコーディング、ナノサイズ粒子、粘土など;粘着付与剤、エキステンダー油(パラフィン系油またはナフテン系油を含めた);ならびに他の天然および合成のポリマー(実施形態の方法によって作製される、または作製できる他のポリマーを含めた)が含まれる。
【0069】
本発明のポリマーと他のポリオレフィンとのブレンドおよび混合物を実施し得る。本発明のポリマーとブレンドするための適切なポリマーには、熱可塑性および非熱可塑性のポリマー(天然および合成のポリマーを含めた)が含まれる。ブレンドのための例示的なポリマーには、ポリプロピレン(耐衝撃性改良ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、およびランダムエチレン/プロピレンコポリマーの両方)、様々なタイプのポリエチレン、例えば、高圧フリーラジカルLDPE、チーグラー−ナッタLLDPE、メタロセンPE(複数の反応器PE(チーグラー−ナッタPEおよびメタロセンPEの「反応器内」ブレンド、例えば、USP6,545,088(Kolthammerら);6,538,070(Cardwellら);6,566,446(Parikhら);5,844,045(Kolthammerら);5,869,575(Kolthammerら);および6,448,341(Kolthammerら)に開示されている生成物)を含めた)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改良ポリスチレン、ABS、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびその水素化誘導体(SBSおよびSEBS)、ならびに熱可塑性ポリウレタンが含まれる。均一なポリマー、例えば、オレフィンプラストマーおよびエラストマー、エチレンおよびプロピレンベースのコポリマー(例えば、VERSIFY(商標)プラストマーおよびエラストマー(The Dow Chemical Company)、ならびにVISTAMAXX(商標)(ExxonMobil Chemical Co.)の商品名で入手可能なポリマー)はまた、本発明のポリマーを含むブレンド中の成分として有用であり得る。
【0070】
本発明のポリマーのブレンドおよび混合物は、熱可塑性ポリオレフィンブレンド(TPO)、熱可塑性エラストマーブレンド(TPE)、熱可塑性加硫物(TPV)およびスチレン系ポリマーブレンドを含み得る。TPEおよびTPVブレンドは、本発明のポリマー(その官能化誘導体または不飽和誘導体を含めた)と、任意選択のゴム(通常のブロックコポリマー、特に、SBSブロックコポリマーを含めた)、および任意選択で架橋剤または加硫剤とを合わせることによって調製し得る。TPOブレンドは一般に、ポリマーと、ポリオレフィン、および任意選択で架橋剤または加硫剤とをブレンドすることによって調製される。上記のブレンドは、成形物体を形成させ、このように得られた成形物品を任意選択で架橋させることにおいて使用し得る。異なる成分を使用する同様の手順は、USP6,797,779(Ajbaniら)において以前に開示されてきた。
【0071】
定義
Periodic Table of Elementsへの任意の言及は、CRC Press, Inc.、1990-1991によって公表された通りである。この表における元素の族への言及は、族を番号付けするための新規な表示法による。それとは反対のことが記載されず、状況から暗黙でなく、または当技術分野で通例でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づいており、全ての試験法は、本開示の出願日時点で最新である。米国特許の実施の目的のために、任意の参照された特許、特許出願または公開資料の内容は、特に、定義の開示(本開示において特に提供する任意の定義と矛盾しない程度まで)および当技術分野の一般知識に関して、その全体が参照により組み込まれている(またはその同等のUS版は、参照により組み込まれている)。
【0072】
本開示における数値の範囲は概算であり、したがって他に示さない限り、この範囲の外の値が含まれてもよい。数値の範囲には、より低い値およびより高い値(1単位ずつ)を含めた全ての値が含まれ、ただし、任意のより低い値と任意のより高い値との間に少なくとも2単位の差異が存在する。一例として、組成上、物理的または他の特性(例えば、分子量、粘度、メルトインデックスなど)が、100〜1,000であるとき、全ての個々の値(100、101、102など)、および部分的な範囲(100〜144、155〜170、197〜200など)は、明確に列挙されていることを意図する。1未満である値を含む、または1超の分数を含有する範囲(例えば、1.1、1.5など)について、1単位は、必要に応じて、0.0001、0.001、0.01または0.1であると見なす。10未満の一桁の数字を含有する範囲(例えば、1〜5)について、1単位は典型的には、0.1であると見なす。これらは、特に意図したものの単に例であり、列挙された最小値と最大値との間の数値の全ての可能な組合せは、本開示において明確に記述されていると考えられる。本開示において、とりわけ、密度、メルトインデックス、分子量、試薬の量およびプロセス条件について、数値の範囲を提示する。
【0073】
「組成物」という用語は、本明細書で使用されるように、2つ以上の材料の組合せを意味する。本発明のポリマーに関して、組成物は、少なくとも1種の他の材料、例えば、添加物、充填剤、別のポリマー、触媒などと組み合わせた本発明のポリマーである。本発明の状況において、本発明のポリマーは、未反応シロキサンおよび/またはエチレンベースのポリマーの存在のために組成物でない。これは、これらの材料と式1によって記載されるようなポリマーとの会合は、本発明のポリマーの定義の一部であるためである。
【0074】
「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、使用されるように、2種以上のポリマーの均質な物理的(すなわち、反応を伴わない)混合物を意味する。ブレンドは、混和性(分子レベルで相分離されていない)でもよく、または混和性でなくてもよい。ブレンドは、相分離されても、またはされていなくてもよい。ブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野において公知の他の方法から決定すると、1つまたは複数のドメイン構成を含有してもよく、または含有しなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、樹脂を溶融混合もしくは配合する)で、またはミクロレベル(例えば、同じ反応器内で同時に形成する)で2種以上のポリマーを物理的に混合することによって実施し得る。
【0075】
「ポリマー」という用語は、同じまたは異なるタイプのモノマーを重合することによって調製される化合物を意味する。したがって、総称ポリマーは、ホモポリマー(極微量の不純物がポリマー構造中に組み込まれていてもよいという了解の下で、1タイプのモノマーのみから調製されるポリマーを意味する)という用語を包含し、「インターポリマー」という用語は、下記の定義の通りである。
【0076】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2種の異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。総称インターポリマーには、コポリマー(2種の異なるモノマーから調製されるポリマーを意味する)、および2種を超える異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーが含まれる。
【0077】
「エチレンベースのポリマー」という用語は、ポリマーの重量に基づいて大部分の量である重合エチレンを含み、かつ任意選択で少なくとも1種のコモノマーを含み得るポリマーを意味する。
【0078】
「エチレンベースのインターポリマー」という用語は、インターポリマーの重量に基づいて大部分の量である重合エチレンを含み、かつ少なくとも1種のコモノマーを含むインターポリマーを意味する。
【0079】
「測定可能でない」という用語は、13C NMR分析においてアルキル分岐部を報告することとの関係で使用される場合、所与の信号雑音比で分岐部が検出できなかったことを意味する。
【0080】
「複数パーツ反応器」という用語は、本明細書において使用する場合、複数の反応ゾーンを有する反応器を意味し、反応ゾーンには典型的には、供給ポートおよび/または1つもしくは複数の物的障壁が含まれる。
【0081】
本発明のさらなる実施形態
本発明の一実施形態において、ポリマーは、エチレンおよびシロキサン由来の各単位を含み、ポリマーは、13C核磁気共鳴(NMR)によって決定すると、炭素原子1000個当たり少なくとも0.15単位、または少なくとも0.5単位、または少なくとも0.8単位のアミル基を有する。
【0082】
一実施形態において、本発明のポリマーは、1個または複数のケイ素原子に結合しているエチレンの一部を含む。
【0083】
一実施形態において、本発明のポリマーは、シロキサンのケイ素原子に結合している少なくとも1つのエチレンベースのポリマー分岐部を含む。
【0084】
一実施形態において、本発明のポリマーのシロキサンのケイ素原子に結合しているエチレンベースのポリマー分岐部は、長鎖分岐部を含有する。
【0085】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーのシロキサン単位は、100以上の重量平均分子量を有するシロキサンポリマーに由来する。
【0086】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかのポリマーのシロキサン単位は、100センチストーク以上の粘度を有するシロキサンポリマーに由来する。
【0087】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、13C NMRによって決定すると、少なくとも1単位、または少なくとも1.2単位、または少なくとも1.4単位のC6+分岐部を含む。
【0088】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、13C NMRによって決定すると、測定可能なメチル分岐部を含まない。
【0089】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、13C NMRによって決定すると、測定可能なプロピル分岐部を含まない。
【0090】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、13C NMRによって決定すると、炭素原子1000個当たり5単位以下、または3単位以下または2単位以下のアミル基を含む。
【0091】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、以下の数学的関係を満たす、ピーク溶融温度Tm(℃)および密度(g/cm)を有する。
Tm<771.5(℃・cc/g)×(密度)−604(℃)
【0092】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、以下の数学的関係を満たす、ピーク溶融温度Tm(℃)および密度(g/cm)を有する。
Tm<771.5(℃・cc/g)×(密度)−605.5(℃)
【0093】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、以下の数学的関係を満たす、融解熱(H)(ジュール/グラム(J/g))および密度(g/cm)を有する。
<2333(J・cc/g)×(密度)−2009(J/g)
【0094】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、以下の数学的関係を満たす、融解熱(H)(ジュール/グラム(J/g))および密度(g/cm)を有する。
<2333(J・cc/g)×(密度)−2020(J/g)
【0095】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、少なくとも0.93g/cmの密度を有する。
【0096】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、15未満、または5未満、または3未満のメルトインデックス(I)を有する。
【0097】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、0.1超、または0.5超のメルトインデックス(I)を有する。
【0098】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、少なくとも13、または少なくとも20、または少なくとも40、または少なくとも100、または少なくとも200のメルトフロー比(I10/I)を有する。
【0099】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、少なくとも100または少なくとも200のメルトフロー比(I10/I)を有する。
【0100】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、15未満のIおよび13超のI10/Iを有する。
【0101】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、5未満または3未満のI、および30超または40超のI10/Iを有する。
【0102】
一実施形態において、前述の実施形態のいずれかの本発明のポリマーは、20未満または15未満のI、および12超のI10/Iを有する。
【0103】
一実施形態において、本発明のポリマーは、5〜14、または5〜10の分子量分布を有する。
【0104】
一実施形態において、本発明のポリマーは、ポリマーの重量に基づいて、20〜40重量パーセントのシロキサンを含む。
【0105】
一実施形態において、本発明は、前述のポリマーの実施形態のいずれかの本発明のポリマーを含む組成物である。
【0106】
一実施形態において、前述の実施形態の組成物は、1種または複数の添加物を含む。
【0107】
一実施形態において、本発明は、前述の組成物の実施形態のいずれかの組成物を含む物品である。
【0108】
一実施形態において、物品は、組成物の実施形態のいずれかの組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む。
【0109】
一実施形態において、前述の物品の実施形態のいずれかの物品は、フィルムの形態である。
【0110】
一実施形態において、前述のフィルムの実施形態のフィルムは、シロキサンがフィルムの表面に移動しないような摩擦係数(COF)を有する。
【0111】
一実施形態において、前述のフィルムの実施形態のフィルムの動COFは、0.2未満である。
【0112】
一実施形態において、前述のフィルムの実施形態のフィルムの静COFは、0.25未満である。
【0113】
一実施形態において、本発明は、エチレンおよびシロキサン由来の単位を含むポリマーを形成する方法であって、
A.第1の反応器または複数パーツ反応器の第1の部分において、フリーラジカル開始剤の存在下で、少なくとも1種のシロキサンをエチレンと接触させること、および
B.フリーラジカル開始剤の存在下で、シロキサンをさらなるエチレンと反応させ、少なくとも1つの他の反応器または複数パーツ反応器の後の部分において、シロキサンに結合しているエチレンベースのポリマー分岐部を形成させること
を含む方法である。
【0114】
1つのプロセスの実施形態において、エチレンベースのポリマー分岐部は、エチレンモノマーをシロキサンと結合させてエチレン−シロキサン部分を形成し、得られた部分を少なくともさらなるエチレンモノマーと重合させてエチレンベースのポリマー分岐部を形成することによって形成される。
【0115】
1つのプロセスの実施形態において、エチレンベースのポリマー分岐部はシロキサンとは独立に形成され、次いでシロキサンにグラフトされる。
【0116】
一実施形態において、本発明は、プロセスの実施形態のいずれかによって作製されるポリマーである。
【0117】
一実施形態において、本発明のポリマーは、40重量パーセント未満、または30重量パーセント未満、または20重量パーセント未満、または10重量パーセント未満の、溶媒抽出によって抽出可能なシロキサンを含む。
【0118】
一実施形態において、本組成物は、40重量パーセント未満、または30重量パーセント未満、または20重量パーセント未満、または10重量パーセント未満の、溶媒抽出によって抽出可能なシロキサンを含む。
【0119】
実験
参照樹脂
30種の市販のLDPE樹脂(「市販の樹脂」または「CAR」と称する)を、全て下記に記載する密度、メルトインデックス、DSC結晶化度、ゲル浸透クロマトグラフィー、3D−GPCによるg’、および3D−GPC法によるgpcBR分岐インデックスを使用して、密度、メルトインデックス(I)、融解熱、ピーク溶融温度、g’、gpcBR、およびLCBfについて試験する。市販の樹脂は、表1に一覧表示する特性を有する。
【0120】
【表1】

【0121】
試験法
密度
密度について測定する試料は、ASTM D1928によって調製する。試料を、374°F(190℃)および30,000psiで3分間、次いで70°F(21℃)および30,000psiで1分間プレスする。密度測定は、ASTM D792(方法B)を使用して、試料プレスの1時間以内に行う。
【0122】
メルトインデックス
メルトインデックス、またはIは、ASTM D1238(条件、190℃/2.16kg)によって測定し、10分毎に溶出するグラムで報告する。I10は、ASTM D1238(条件、190℃/10kg)によって測定し、10分毎に溶出するグラムで報告する。
【0123】
シロキサンについての粘度決定
100,000センチストークまでの粘度は、Ubbelohde粘度計などのガラスキャピラリー粘度計を使用して、ASTM D−445、IP71(25℃、一定温度の水バス、少なくとも15分の平衡時間)によって測定することができる。100,000センチストークを超える粘度は、回転式粘度計(Brookfield Synchro−lectric粘度計、またはWells−Brookfield Core/Plate粘度計(Brookfield Engineering Laboratoriesから入手可能)など)を使用して、25Cで試験法ASTM D−1084(カップ/スピンドル粘度計について)、および25CでASTM D−4287(コーン/プレート粘度計について)を用いて、測定することができる。
【0124】
DSC結晶化度
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度について所与の温度での試料の結晶化度を測定することができる。実施例のために、RCS(Refrigerated Cooling System)冷却アクセサリーおよびオートサンプラーモジュールを備えたTAモデルQ1000DSC(TA Instruments;New Castle、DE)を使用して、試験を行う。試験の間、50ml/分の窒素パージガス流を使用する。樹脂を、空気中1500psi圧力下、350℃で1インチの円形プラークによって3mmの厚さに5分間圧縮成形する。次いで、試料をプレスから取り出し、カウンタートップ上に置き、室温(約25℃)に冷却する。冷却した材料の3〜10mgの試料を6mm直径のディスクに切断し、秤量し、軽いアルミニウムパン(約50mg)中に入れ、クリンプして閉じる。次いで、試料をその熱的挙動について試験する。
【0125】
試料の熱的挙動を、試料温度を上方および下方に変化させ、温度に対する反応のプロファイルを生じさせることによって決定する。試料を最初に180℃に急速に加熱し、前の熱履歴を除去するために恒温状態に3分間維持する。次に、試料を次いで10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保持する。次いで、試料を、10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する。冷却および第2の加熱曲線を記録する。決定した値は、ピーク溶融温度(T)、ピーク結晶化温度(T)、融解熱(H)(J/g)、および等式2
結晶化度%=((H)/(292J/g))×100(等式2)
を使用したポリエチレン試料についての計算した結晶化度パーセントである。
【0126】
融解熱(H)およびピーク溶融温度を、第2の熱曲線から報告する。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定する。
【0127】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
GPCシステムは、搭載されている示差屈折計(RI)を備えたWaters(Milford、MA)150℃高温クロマトグラフ(他の適切な高温GPC機器には、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)モデル210およびモデル220が含まれる)からなる。さらなる検出器には、Polymer ChARからのIR4赤外線検出器(Valencia、Spain)、Precision Detectors(Amherst、MA)2角度レーザー光散乱検出器モデル2040、およびViscotek(Houston、TX)150R4−キャピラリー溶液粘度計を含めることができる。最後の2つの独立した検出器、および第1の検出器の少なくとも1つによるGPCは、「3D−GPC」と称されることがあり、一方、「GPC」という用語は単独で、一般に通常のGPCと称される。試料によって、15度角または90度角の光散乱検出器を、計算の目的のために使用する。データ収集を、Viscotek TriSECソフトウェア(バージョン3)、および4チャンネルViscotek Data Manager DM400を使用して行う。システムはまた、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)からのオンライン溶媒脱気装置を備えている。4つの30cm長さのShodex HT803(13ミクロン)カラム、または4つの30cmのPolymer Labsカラム(20ミクロン、混合孔径充填)(MixA LS、Polymer Labs)など、適切な高温GPCカラムを使用することができる。試料カルーセルコンパートメント(sample carousel compartment)を140℃で操作し、カラムコンパートメントを150℃で操作する。試料を、50ミリリットルの溶媒中の0.1グラムのポリマーの濃度で調製する。クロマトグラフィー用溶媒および試料調製溶媒は、200ppmのブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒を窒素でスパージする。ポリエチレン試料を、160℃で4時間穏やかに撹拌する。注入量は、200マイクロリットルである。GPCを通る流量を、1ml/分に設定する。
【0128】
GPCカラムセットを、21種の分布の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を流すことによって、実施例を流す前に較正する。標準物質の分子量(MW)は580〜8,400,000グラム/モルの範囲であり、標準物質は、6つの「カクテル」混合物中に含有される。各標準混合物は、個々の分子量の間に少なくとも一桁の差異を有する。標準混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入する。ポリスチレン標準物質を、1,000,000グラム/モル以上の分子量では50mLの溶媒中0.025gで、および1,000,000グラム/モル未満の分子量では50mlの溶媒中0.05gで調製する。ポリスチレン標準物質を、穏やかに30分間撹拌しながら80℃で溶解した。分布の狭い標準物質の混合物を最初に流し、かつ分解を最小限にするため最も高い分子量の成分が減少する順番で流す。ポリスチレン標準物質のピーク分子量を、等式3を使用してポリエチレン分子量に変換する(WilliamsおよびWard, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載されているように)。
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン(等式3)、
式中、Mは、ポリエチレンまたはポリスチレンの分子量であり(表示されているように)、Aは、0.43の値を有し、Bは、1.0と等しい。分子量分布および関連する統計を得るためのこのポリエチレン較正の使用は、WilliamsおよびWardの方法と定義される。等式3におけるAおよびBの他の値は、ポリスチレンおよびポリエチレンについてのMark−HouwinkのKおよびa(αと称されることがある)値の異なる選択からもたらされてもよく、一般に従来通り較正した3D−GPCと称される。
【0129】
3D−GPCによって、絶対重量平均分子量(「Mw、Abs」)および固有粘度もまた、上記と同じ条件を使用して適切な分布の狭いポリエチレン標準物質から独立に得られる。これらの分布の狭い直鎖状ポリエチレン標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK;品番PL2650−0101およびPL2650−0102)から得てもよい。
【0130】
多検出器オフセットの決定のための体系的なアプローチは、Balke, Moureyら(Mourey and Balke, Chromatography Polym., Chapter 12, (1992))(Balke, Thitiratsakul, Lew, Cheung, Mourey, Chromatography Polym., Chapter 13, (1992))によって公表されたものと一貫した態様で行われ、分布の広いDow1683ポリスチレン(American Polymer Standards Corp.;Mentor、OH)またはその同等物からの3種の検出器log(Mおよび固有粘度)の結果を、分布の狭いポリスチレン標準物質較正曲線からの分布の狭い標準によるカラム較正結果に最適化する。検出器容量オフセット決定を説明する分子量データは、Zimm(Zimm, B.H., J. Chem. Phys., 16, 1099 (1948))およびKratochvil(Kratochvil, P., Classical Light Scattering from Polymer Solutions, Elsevier, Oxford, NY (1987))によって公表されたものと一貫した態様で得られる。分子量の決定において使用される全体の注入濃度は、適切な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、またはポリエチレン標準物質の1つに由来する質量検出器面積および質量検出器定数から得られる。計算した分子量は、言及したポリエチレン標準物質の1つまたは複数、および0.104の屈折率濃度係数dn/dcに由来する光散乱定数を使用して得る。一般に、質量検出器の反応および光散乱定数は、約50,000ダルトンを超えた分子量を有する線状標準物質から決定すべきである。粘度計の較正は、製造者が記載する方法を使用して、または代わりに適切な線状標準物質(標準参照物質(SRM)1475a、1482a、1483、または1484aなど)の公表された値を使用することによって達成することができる。クロマトグラフィー濃度は、第2ビリアル係数の作用(分子量に対する濃度効果)を考慮しなくてよいだけ十分に低いと仮定する。
【0131】
3D−GPCによるgpcBR分岐インデックス
3D−GPC構成において、2つのポリマータイプ(ポリスチレンおよびポリエチレン)の各々について独立に、ポリエチレンおよびポリスチレン標準物質を使用して、Mark−Houwink定数(Kおよびα)を測定することができる。これらを使用して、下記の方法の適用において、WilliamsおよびWardのポリエチレン同等物の分子量を精密にすることができる。
【0132】
gpcBR分岐インデックスは、上記のように、光散乱、粘度、および濃度検出器を最初に較正することによって決定する。次いで、ベースラインを、光散乱、粘度計、および濃度クロマトグラムから減算する。次いで、積分ウィンドウを、屈折率クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す、光散乱および粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持容量範囲の全ての積分を確実にするように設定する。次いで、直鎖状ポリエチレン標準物質を使用して、上記のように、ポリエチレンおよびポリスチレンのMark−Houwink定数を確立する。定数を得ると、2つの値を使用して、等式4および5に示されているように、溶出容量の関数として、ポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度についての2つの線状参照通常較正(「cc」)を構築する。
【0133】
【数1】

【0134】
gpcBR分岐インデックスは、長鎖分岐の特性決定のための確固とした方法である。Yau, Wallace W., "Examples of Using 3D-GPC - TREF for Polyolefin Characterization", Macromol. Symp., 2007, 257, 29-45。このインデックスは、全ポリマー検出器面積および面積ドット積に有利なように、g’値の決定および分岐頻度計算において従来使用される、区画毎の3D−GPC計算を回避する。3D−GPCデータから、ピーク面積法を使用して、光散乱(LS)検出器によって試料バルクのMを得ることができる。この方法は、g’の決定において必要とされるように、光散乱検出器シグナルと濃度検出器シグナルとの区画毎の比を回避する。
【0135】
【数2】

【0136】
等式6における面積計算は、全試料面積として、検出器ノイズ、ならびにベースラインおよび積分限度についてのGPCの設定によって生ずる変動にはるかに敏感でないため、より高い精度を提供する。より重要なことに、ピーク面積計算は、検出器容量オフセットによって影響されない。同様に、高精度の試料固有粘度(IV)は、等式7に示される面積法によって得られる。
【0137】
【数3】

式中、DPは、オンライン粘度計から直接モニターした差圧シグナルを表す。
【0138】
gpcBR分岐インデックスを決定するために、試料ポリマーについての光散乱溶出面積を使用して、試料の分子量を決定する。試料ポリマーについての粘度検出器溶出面積を使用して、試料の固有粘度(IVまたは[η])を決定する。
【0139】
最初に、直鎖状ポリエチレン標準試料(SRM1475aまたは同等物など)についての分子量および固有粘度を、等式8および9により、溶出容量の関数として、分子量および固有粘度の両方について通常の較正を使用して決定する。
【0140】
【数4】

【0141】
等式10を使用して、gpcBR分岐インデックスを決定し、
【0142】
【数5】

式中、[η]は、測定された固有粘度であり、[η]ccは、通常の較正からの固有粘度であり、Mは、測定された重量平均分子量であり、Mw,ccは、通常の較正の重量平均分子量である。等式(6)を使用した光散乱(LS)によるMwは、一般に絶対Mwと称され、一方、通常のGPC分子量較正曲線を使用した等式(8)からのMw,ccは、ポリマー鎖Mwと称されることが多い。「cc」の下付き文字を伴う全ての統計値は、それらの各々の溶出容量、上記のような相当する通常の較正、および質量検出器の反応に由来する濃度(C)を使用して決定する。下付き文字を伴わない値は、質量検出器、LALLS、および粘度計面積に基づいた測定値である。KPEの値は、線状標準試料が0のgpcBR測定値を有するまで繰り返し調節する。例えば、この特定の場合、gpcBRの決定のためのαおよびLog Kについての最終値は、ポリエチレンについて各々0.725および−3.355であり、ポリスチレンについて各々0.722および−3.993である。
【0143】
Kおよびα値が決定されると、分岐した試料を使用して手順を繰り返す。分岐した試料は、最終Mark−Houwink定数を最良の「cc」較正値として使用し、等式6〜10を適用して分析する。
【0144】
gpcBRの解釈は、直接的である。線状ポリマーについて、LSおよびビスコメトリーによって測定される値は通常の較正標準に近いため、等式10から計算したgpcBRは0に近い。分岐ポリマーについて、測定したポリマーMは計算したMw,ccより高く、計算したIVccは測定したポリマーIVより高いため、gpcBRは、特に高レベルのLCBで0より高い。実際は、gpcBR値は、ポリマー分岐の結果として分子の大きさの収縮作用によるIVの分数変化率を表す。0.5または2.0のgpcBR値は、等しい重量の線状ポリマー分子に対して、各々50%および200%のレベルのIVの分子の大きさの収縮作用を意味する。
【0145】
これらの特定の例について、g’インデックスおよび分岐頻度計算と比較して、gpcBRを使用する利点は、gpcBRのより高い精度による。gpcBRインデックス決定において使用するパラメーターの全ては良好な精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での3D−GPC検出器の低い反応によって悪影響を及ぼされない。検出器容量アラインメントにおけるエラーはまた、gpcBRインデックス決定の精度に影響を与えない。他の特定の場合において、Mモーメントを決定するための他の方法は、上記の技術より好ましい場合がある。
【0146】
核磁気共鳴(13C NMR)
NORELL1001−7 10mm NMR管中の0.25gの試料に、0.025MのCr(AcAc)(トリス(アセチルアセトナト)−クロム(III))を含有するテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物(概ね2.7g)を加えることによって試料を調製する。試料を溶解し、加熱ブロックおよびヒートガンを使用して管およびその内容物を150℃に加熱することによってホモジナイズする。各試料を視覚的に点検し、均一性を確実にする。
【0147】
BRUKER DUAL DUL高温CRYOPROBEを備えたBRUKER400MHz分光計を使用してデータを集める。120℃の試料温度で、データファイル毎に320の過渡応答、6秒のパルス繰返し遅延、90度のフリップ角、および反転ゲートデカップリングを使用してデータを得る。全ての測定は、ロックモードにおいて無回転試料で行う。データ収集の前に、試料を7分間熱的に平衡させる。13C NMR化学シフトは、30.0ppmでのEEEトライアド(EEE triad)を内部参照とする。
【0148】
LDPEにおける様々な分岐タイプの同定および定量化
図2は、LDPE(下記の試料C−3)の13C NMRスペクトルを示し、様々な分岐長さからもたらされる特徴的なピークを示す。大部分の重要な識別ピークのみを標識化する。残りのピークについての帰属を、表2に示す。C53は、5炭素分岐部における第3の炭素を意味し、メチルを炭素1として数える。
【0149】
【表2】

【0150】
C5(アミル)分岐部の決定
C5(アミル)分岐部を、32.7ppmでのピークによって決定する。全炭素1000個当たりのC5分岐部の数を、1000の値に対して完全なLDPEスペクトル(約40〜5ppm)の積分を設定し、32.7ppmのピークを積分することによって決定する。32.7ppmのピーク積分は、その場合には炭素1000個当たりのC5分岐部の数の直接の尺度である。実施例は、図3において、1.67のC5分岐部数/1000Cを含有する。
【0151】
C1(メチル)分岐部の決定
C1分岐部は、約20ppm、33.3ppm、37.6ppm、および27.5ppmにおけるピークをもたらす。図4は、プロピレンを連鎖移動剤(CTA)として使用して生成した試料384561の13C NMRスペクトルを示し、したがって有意なレベルのC1(メチル)分岐部を示す。これは、プロピレンがCTAとしておよびコモノマーとしての両方で作用し、エチレン−プロピレンLLDPEにおいて観察されるようにC1分岐部を導入するからである。
【0152】
C3(プロピル)分岐部の決定
C3分岐部は、37.9ppm、37.0ppm、20.3ppmおよび14.7ppm(および、LDPEスペクトルにおいて不明瞭になったその他のもの)におけるピークをもたらす。図5は、ペンテンコモノマーから作製したHDPEの13C NMRスペクトルを示し、したがってC3分岐部を含有する。この特定の試料はまた、ブテンからの非常に低いレベルのC2分岐部を含有する。
【0153】
C6+分岐部の決定
C6およびより長い分岐部(C6+)を、LDPEスペクトルにおいて代数的に決定する。これは、C4、C5、およびC6+分岐部からのピークにおける重複による。C4およびC5は、独立に決定することができ、それらの合計を、これらの2つ以上の寄与を含有するピークから引く。C6+分岐部を、LDPEにおけるC6+分岐部の直接の尺度によって決定し、ここでは長い分岐部は「鎖末端」と識別されない。6個以上の炭素の全ての鎖または分岐部の末端から第3番目の炭素を表す32.2ppmのピークを、C6+決定のために使用する。
【0154】
摩擦係数(COF)
試料調製および試験
試料を、4つのウィンドウカットアウト(window cutouts)を有する黄銅のシム(12’’×13’’×0.002’’)を使用して圧縮成形する。4グラムの材料をカットアウトの各々に置き、二重の圧盤を有する圧縮成形機中に置く。底部圧盤を190℃に設定し、冷却プロセスのために上部を30℃に設定する。試料をプレス中に置き、加熱しながら3分間加える3000ポンドの圧力で圧盤を閉じる。この期間の後、圧力を10,000ポンドの圧力に上げ、試料をさらに3分間加熱する。加熱期間の終わりに、圧力を20,000ポンドに上げ、さらに1分試料の加熱を維持する。このサイクルの後に圧盤を開け、冷却相のためにアセンブリーを30℃に設定した上部プレート中に置く。熱サイクルにおけるように、試料を同じプロセスを通して循環させる。最終のフィルム厚さは、8〜10ミルの範囲である。静COFおよび動COFを、ASTM D1994−08によって測定する。
【0155】
PDMSの抽出
2グラムの試料および25gの酢酸エチルをバイアルに加え、次いで室温で3時間振盪する。固体を濾過によって除去し、蒸発によって乾燥させ、秤量する。秤量した透明なPDMS固体は、試料中のグラフトされていないまたは遊離PDMSの尺度である。
【0156】
試料(本発明のポリマー)の調製
PE−グラフト−PDMSポリマーを、54mlの容量で2000バールにて、連続的に撹拌するタンク反応器(CSTR)中で作製する。CSTRは、外部加熱ジャケットを備えている。撹拌機スピードは、2000毎分回転数(rpm)である。エチレン流量は、1000g/時間である。ポリジメチルシロキサン(PDMS)(Dow Corning200Fluid5,000CST)を、酢酸エチルに1:3の重量比で溶解する。全ての実施例についてPDMSの存在下でエチレン重合が起こるように、PDMS溶液を94g/時間(24.4g/時間の純粋なPDMS)の流量でCSTR中に注入する。プロピオンアルデヒド(PA)を、連鎖移動剤(CTA)として使用する。開始剤は、500mlのn−ヘプタンに溶解した2.3gのtert−ブチルペルオキシアセテートである。試料を排気したポリエチレンボトル中に集め、過剰な気体を排気する。
【0157】
PE−グラフト−PDMSポリマーが作製されるプロセス条件を、表3において報告する。PDMSのグラフト化の結果を、表4において報告する。3種のPE−グラフト−PDMSポリマー(試料1〜3)および3種の比較LDPE(比較試料C1〜C3)、ならびにそれらの各々の特性を、表5A〜5Dにおいて報告する。比較例の全ては、高圧低密度ポリエチレン(HPLDPE)である。
【0158】
【表3】

【0159】
【表4】

【0160】
遊離PDMSを除去するための抽出の前および後の、試料を比較する全てのNMRの結果は、測定された抽出可能な重量画分PDMSと十分一致している。PDMSの重量パーセントを、下記のように計算する。
[(PDMS積分/2)74.1g/モル]/[(LDPE積分14g/モル)+(PDMS積分/2)74.1g/モル)](等式12)
【0161】
PDMS積分は、約0.3〜2.2ppmである。LDPE積分は、約7.5〜41ppmであり、LDPEの全ての炭素が含まれる。積分を伴うスペクトルの一例を、図6に示す。図7および8は、PDMSにグラフトしたLDPEの13C NMRスペクトルの重なりを示す。参照番号406238、406329および406330は、各々、試料1、2および3を意味する。PDMSは、0ppmに近い化学シフトにおいて観察される。
【0162】
表5Aは、同程度のメルトインデックスの市販のLDPEと比較した、測定されたメルトインデックス(I)、メルトインデックス比(I10/I)、および密度を示す。本発明の試料は、0.72〜12.4の広範なメルトインデックス範囲をカバーする。本発明の実施例1〜3のI10/I(より高いI10/Iは、より高い加工性もしくは流れ、または剪断速度の増加に伴う粘度の急速な減少を示す)は一般に、非常に高いことに留意されたい。実施例の同様のメルトインデックス材料を比較例と比較したとき、差異は劇的である。2MIで、本発明の実施例は、260のI10/Iを有し、一方比較例は、12.9のI10/Iを有する。12MIで、本発明の実施例は、13.2のI10/Iを有し、一方比較例は、12.9のI10/Iを有する。0.7MIで、本発明の実施例は、47.2のI10/Iを有し、一方比較例は、14.7のI10/Iを有する。
【0163】
【表5】

【0164】
表5Bは、3種の実施例および3種の比較例のメルトインデックス(参照のため)および分子量特性を報告する。同程度のメルトインデックスで、本発明の実施例は一般に、LCBまたはgpcBRによって示されるように、より高い重量平均分子量(M)、より高い数平均分子量(M)、より高いz−平均分子量(M)、同程度またはより高い分子量分布(M/M)、およびより高い長鎖分岐レベルを有する傾向がある。これらのより高い分子量モーメントおよび分岐レベルは、LDPEおよびポリシロキサンの結合の反映である。この独特の構造は、有利な加工性、摩擦係数、密度などをもたらす。
【0165】
【表6】

【0166】
表5Cは、実施例および比較例のメルトインデックスおよび密度(参照のため)ならびにDSC特性を報告する。LDPEベースの試料について非常に高い密度が示されれる(0.929〜0.940g/cc)。LDPEについてより高い密度が望ましいが、プロセスの最大圧力性能によって部分的に制限される。約0.931g/ccの密度は、稀である。ゲージを下げるために、すなわち、より薄い厚さでフィルムを生成することができるために、より高い密度が望ましく、このようにしてより少ない材料を使用するが、より厚いフィルムとほぼ同等な特性を有する。フィルムが加工されたとき(収縮フィルムなど)、およびまたそのフィルムを切断したとき、その形状をより高い温度で保持することができるように、より高い密度がまた、材料、例えば、フィルムのより高い耐温度性、ならびに改善された弾性率または剛性のために都合がよい。全ての本発明の試料は、単一の溶融ピークのものである。本発明の実施例について密度はより高いのにも関わらず、図1は、所与の密度で、融点はこれらの試料について実際により低いことを示す。図9からまたわかるように、比較例と比較すると、本発明の実施例について、融解熱は所与の密度でより低い。
【0167】
【表7】

【0168】
表5Dは、MIおよび密度(参照のため)および摩擦係数(COF)を報告する。これらの結果は、本発明の試料が、比較例のCOF値より低いCOF値を有することを示す。高MI試料(12.4)は、比較LDPEのCOF値と同程度の結果を示した。低COFはフィルムについて特に重要であり、より低いCOFは、フィルムが表面を横切って、または他のフィルムを横切って容易に移動されるために決定的であり得る。フィルムのスタッキングのために、これはまた重要であり得る。低COFは、添加物をフィルムに加えることによって達成することができる。しかし、これらの添加物の移動が起こることが多く、その結果経時的にCOFが変化する。COF制御剤(この場合は、ポリシロキサンである)は、ポリマーの部分であるため、このような移動は起こり得ず、COFは経時的に安定的であることが期待される。
【0169】
【表8】

【0170】
短鎖分岐
表6における記述を除いて全ての値は、全炭素1000個当たりの分岐部の数である。グラフトされた試料についての分岐値は、グラフトポリマー(PDMS)の観察された全炭素を含めて、観察された全炭素に基づいて計算し、LDPE炭素のみに基づいている。C3(プロピル)分岐部は、試料のいずれにおいても観察されない。
【0171】
【表9】

【0172】
動的機械分光法(DMS)
樹脂を、空気中1500psi圧力下で、350°F(177℃)にて3mmの厚さ×1インチの円形のプラークに5分間圧縮成形する。次いで、試料をプレスから取り出し、カウンター上に置き、冷却する。
【0173】
溶融レオロジー、一定温度での周波数掃引を、窒素でパージしながら、25mmの平行プレートを備えたTA Instrumentsの「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を使用して行う。試料をプレート上に置き、190℃で5分間溶融させる。次いで、プレートを2mmに閉じ、試料をトリミングし、次いで試験を開始する。この方法は、さらなる5分の遅延が組み込まれており、それによって温度の平衡が可能となる。実験を0.1〜100rad/sの周波数範囲に亘り190℃で行う。ひずみ振幅は10%で一定である。ストレス応答を振幅および相の点から分析し、そこから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、動的粘度η、およびtan(δ)を計算する。
【0174】
表7は、本発明の実施例および比較例の動的機械分光法によって測定した、周波数および粘度データを示す。同程度のメルトインデックスにおいて、本発明の実施例の粘度は一般に、比較例と比較して、190℃および100rad/sでの粘度で割った190℃および0.1rad/sでのより高い粘度(粘度比)からも明らかなように、周波数の増加を伴う粘度の減少からも明らかなように、剪断感受性または加工性の増加を示す。例えば、実施例1についての15の粘度比と比較して、実施例1は25の粘度比を有する。実施例2は、7の粘度比を有し、比較例2は、6の粘度比を有する。実施例3および比較例3は、26の同様の粘度比を有する。
【0175】
【表10】

【0176】
本発明について、好ましい実施形態を前述の説明を通して特定の詳細によって記載してきたが、この詳細は主に例示するためである。下記の請求項に記載されているように、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変形および改変を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンおよびシロキサン由来の単位を含むポリマーであって、13C核磁気共鳴(NMR)によって決定すると、炭素原子1000個当たり少なくとも0.15単位のアミル基を有するポリマー。
【請求項2】
シロキサンの1個または複数のケイ素原子に結合しているエチレンの一部を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
シロキサンのケイ素原子に結合している少なくとも1つのエチレンベースのポリマー分岐部を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
以下の数学的関係を満たす、ピーク溶融温度Tm(℃)および密度(g/cm)を有する、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー。
Tm<771.5(℃・cc/g)(密度)−604(℃)
【請求項5】
少なくとも0.93g/cmの密度を有する、請求項1から4のいずれかに記載のポリマー。
【請求項6】
40重量パーセント未満のシロキサンが、溶媒抽出によって抽出可能である、請求項1から5のいずれかに記載のポリマー。
【請求項7】
少なくとも13のI10/I比を有する、請求項1から6のいずれかに記載のポリマー。
【請求項8】
5未満のIを有する、請求項1から7のいずれかに記載のポリマー。
【請求項9】
以下の数学的関係を満たす、融解熱(H)(ジュール/グラム(J/g))および密度(g/cm)を有する、請求項1から8のいずれかに記載のポリマー。
<2333(J・cc/g)×(密度)−2009(J/g)
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のポリマーを含む組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品。
【請求項12】
フィルムの形態の、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
エチレンおよびシロキサン由来の単位を含むポリマーを形成する方法であって、
A.第1の反応器または複数パーツ反応器の第1の部分において、フリーラジカル開始剤の存在下で、少なくとも1種のシロキサンをエチレンと接触させること、および
B.フリーラジカル開始剤の存在下で、シロキサンをさらなるエチレンと反応させ、少なくとも1つの他の反応器または複数パーツ反応器の後の部分において、シロキサンに結合しているエチレンベースのポリマー分岐部を形成させること
を含む方法。
【請求項14】
エチレンベースのポリマー分岐部が、エチレンモノマーをシロキサンと結合させてエチレン−シロキサン部分を形成し、得られた部分を少なくともさらなるエチレンモノマーと重合させてエチレンベースのポリマー分岐部を形成することによって形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エチレンベースのポリマー分岐部がシロキサンとは独立に形成され、次いでシロキサンとグラフトされる、請求項13に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−504665(P2013−504665A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528998(P2012−528998)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/048818
【国際公開番号】WO2011/032172
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】