説明

エネルギー利用モダリティ及び非エネルギー利用モダリティの改良適用による、組織治療の円滑化のための装置及び方法

【課題】身体の領域にアクセス及び治療をするための方法及び装置を提供する。
【解決手段】自動制御される近位部106、及び選択的に操縦可能な遠位部104を有する内視鏡装置100を用いると、装置100は、概して、開口を通して身体内に前進され得る。遠位部104は、身体内の組織との接触を回避する望ましい通路に沿った選択されたカーブを成すように選択的に操縦され、近位部106は、遠位部104の選択されたカーブを成すように自動制御される。こうして、内視鏡装置100は、従来の外科技術を用いてはアクセス及び治療が一般的に困難な身体の様々な領域にアクセスするために用いられることができる。なぜなら、内視鏡装置100は、「直線」条件に拘束されないからである。様々な用途が、従来の外科的処置を用いては到達することが困難な、脳の領域、胸腔(心臓内領域を含む)、腹膜腔などにアクセスすることを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2004年1月28に出願された米国特許出願10/767,109号、及び、2002年8月26日に出願された米国特許出願10/228,583号の優先権を主張し、且つ、これらの両出願の一部継続出願である。米国特許出願10/228,583号は、2000年4月3日に出願された米国仮特許出願60/194,140号の優先権を主張する、2001年2月20日に出願された米国特許出願09/790,204号(現在は、米国特許第6,468,203号)の継続出願である。本出願は、これらの出願の各々の全てを援用して本文の記載の一部とする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、内視鏡及び内視鏡的医療処置に関する。より詳細には、本発明は、従来の外科手術装置及び外科処置を用いては達することが困難な身体内の領域にアクセスし、且つ治療するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの外科手術は、一般に、身体内の領域にアクセスするために大きい切開部を形成することを必要とする。例えば、心臓の後方領域又はその付近を手術することは、通常、開胸術を用いて行われる。このような処置は、概して、大掛かりな開胸手術又は胸骨切開を必要とし、これらは共に高侵襲性であり、多くの危険性、例えば、心臓の虚血性障害、塞栓の形成などを伴う。開胸術は、一般に、隣り合う肋骨間の肋間隙に切開を形成することを含み、胸骨切開は、「チェストスプレッダ」(chest spreader)法を含み、この方法は、概して最も侵襲的である。さらに、このような侵襲的な手術は深刻な罹病率を生じ、死亡率を増大させ、患者の回復時間を非常に長くする。
【0004】
これに替わる外科的処置が低侵襲性の外科手術であり、この手術においては、患者の内部を目視及び手術するための様々な外科手術装置がアクセスできるように、患者の身体に小さい切開がつくられる。特別に設計された手術器具を用いてこれらの小さい切開を通り、身体内にアクセスし、手術を行うために、典型的に腹腔鏡が用いられる。これらの器具は、概して、外科医が患者の身体の外側から操作できるハンドルを有し、これにより外科医は、器具の操作を、一般的に、患者の身体内に入れられるチューブ、誘導器、又はトロカール装置内を通り抜ける細長い管状セクションを介して制御する。
【0005】
しかし、慣用の腹腔鏡術にも、適用可能性に或る程度限界がある。なぜなら、腹腔鏡用ツールの使用は「直線」(“straight-line”)を必要条件とするからである。この必要条件が、身体内の或る領域にアクセスすることを、不可能でないにしても非常に困難にしている。さらに、これらのツールに柔軟性が欠けていることが、身体内の或る領域へのアクセスを困難にしており、多くの外科医に、慣用の低侵襲性手術を用いさせずに開腹手術を選択させている。
【0006】
低侵襲性の外科的処置にて身体内の領域へのアクセスをもたらすためには、柔軟な内視鏡装置も利用可能である。柔軟な内視鏡は、一般に、結腸鏡検査、気管支鏡検査、胸腔鏡検査、腹腔鏡検査及びビデオ内視鏡検査を含む様々な異なる診断法及びインターベンショナルな処置に用いられる。柔軟な内視鏡は、典型的に、光ファイバイメージングバンドル、又は、器具の先端に配置された小型カメラ、照明ファイバ、吸入又は洗浄のためにも用いられ得る1つ又は2つの器具チャネル、空気及び水用のチャネル及びバキュームチャネルを含み得る。しかし、内視鏡の操作のかなりの部分は、概して、装置を身体内で前進させることを必要とし、慣用の装置の使用を、より困難で時間がかかり、また合併症の可能性を増大させるものにしている。
【0007】
操縦可能な(steerable)柔軟な内視鏡が、身体の領域を通る適切な通路の選択を容易にするために考案されてきた。しかし、装置が身体内に、典型的により深く挿入されるにしたがって、装置が前進することが、概して、より困難になる。さらに、内視鏡の摩擦及び弛みが各ターンにて蓄積し、装置を前進及び後退させることを、より困難にする。別の問題は、例えば結腸鏡手術において生じ得るが、結腸鏡の長く細い管にループが形成されることである。このようなループは、内視鏡が障害物に遭遇し、狭い通路で行き詰り、又は、複合湾曲部を併合した形状を成すときに生じ得る。内視鏡は、前進せずに、患者の内部でループを形成する。結腸鏡の挿入を続行しようとすると、例えば、過剰な力が加えられて、患者の身体内の繊細な組織を損傷することがある。外科医は、問題の発生に気づかずに内視鏡の挿入を続行しようとすることがある。
【0008】
ユーザは、内視鏡の遠位端から送信される画像を、視覚的画像装置を通して観察することができる。これらの画像から、及び、内視鏡が通った経路を知ることにより、ユーザは、通常、内視鏡の位置を決定することができる。しかし、患者の身体内での内視鏡の位置を極めて正確に決定することは困難である。
【0009】
以上に記載した器具のいずれもが、患者の身体内部に行われる外科手術の広範な要求条件を満たすために十分に柔軟ではない。さらに、上記の器具は、器具の遠位端を、管状セクションに対する任意の設定に十分に関節運動させるが、器具の長手方向軸を中心として遠位端を回転させることができない。この柔軟性の欠如により、外科医は、処置を行うために、器具を患者の身体に対して手動で回転及び移動させなくてはならない。
【発明の概要】
【0010】
内視鏡装置は、以下に説明するように、身体内の様々な領域を治療することにおいて特に有用であり得る。このような内視鏡は、操縦可能な遠位部、及び、自動制御される近位部を含み得る。遠位部は、装置の操縦を容易にするために医師又は外科医により制御され、近位部は、例えば、コントローラ又はコンピュータにより自動制御され得る。操縦可能な内視鏡は、患者の身体内に、例えば、人体が元来有する身体内への開口の任意の1つを介して、例えば肛門を通して前進され得る。或いは、装置は、小さい切開を通して経皮的に身体内に挿入され得る。内視鏡装置が身体内に挿入されたならば、内視鏡装置は、患者の人体組織に影響を与えずに、器官、骨などの解剖学的特徴物への侵害を回避するように前進及び操縦され得る。このような装置の例は、以下の特許及び同時係属出願に詳細に記載されている。これらは、すなわち、米国特許第6,468,203号;米国特許第6,610,007号;2002年3月1日に出願された米国特許出願10/087,100号;2002年5月2日に出願された米国特許出願10/139,289号;2002年8月27日に出願された米国特許出願10/229,577号;2002年8月27日に出願された米国特許出願10/229,814号、及び、2002年11月27日に出願された米国特許出願10/306,580号であり、これらの特許及び特許出願の各々の全てを援用して本文の記載の一部とする。
【0011】
このような装置を用いると、身体内の組織の閉塞領域を治療する1つの方法は、概して、細長い装置を身体内に、或る開口を通して前進させることを含み、この細長い装置は、近位部、及び、選択的に操縦可能な遠位部を有し、且つ、複数のセグメントを有する。この方法はまた、遠位部を、身体内の望ましい通路に沿った選択されたカーブを成すように選択的に操縦することを含み、この望ましい通路は、組織との接触を回避する(又は、隣接する組織が望ましい通路に沿って移動することを必要とせず、又は、隣接する組織に過剰な力が加えられることを回避する)。この方法はまた、装置の近位部を、遠位部の選択されたカーブを成すように制御しながら、細長い装置を身体内で、且つ、治療されるべき組織の領域に向って、さらに前進させることを含む。
【0012】
制御可能な内視鏡装置の任意の1つを用いれば、従来の外科的技術を用いてはアクセス及び治療が一般的に困難な身体の様々な領域が、アクセス及び治療され得る。1つの治療例において、内視鏡装置は、神経系の外科手術に用いられ得る。内視鏡装置は、従来は到達することが困難な脳の領域にアクセスするための「直線」(“straight-line”)条件により制約されないため、且つ/又は、装置は、前進されるときにループを形成することを回避するため、内視鏡は、装置を脳の周囲にて、健康な脳組織に与える外傷が最小限又は無であるように操縦することにより、頭蓋内で正確に前進され、配置され得る。内視鏡は、また、必要に応じて、組織内の深部に埋まっている治療領域にアクセスするために、組織内を、付近の健康な組織へのどのような損傷も最小限にし得る通路を通って前進され得る。さらに、内視鏡装置は、脳上又は脳内の繊細な領域へのアクセスを可能にし得るので、従来の手術では、頭蓋骨の一部の取り外しを通常は必要とするような場合(例えば、開頭手術又は頭蓋内血種の治療など)にも、低侵襲性外科手術が行われ得る。さらに、鼻腔、又は、元来備わっている他の頭蓋穴を通してのアクセスも容易にされ得る。
【0013】
内視鏡装置が用いられ得る別の治療分野は、冠動脈手術のための使用、例えば、僧帽弁の治療、心房細動の治療のための組織アブレーション、リードの配置、除去又は調節などを含み得る。一例において、内視鏡装置は、上大静脈を通して心臓内に挿入され、右心房内に前進され得る。内視鏡が右心房内に達したならば、遠位部が操縦されて心房中隔を通り、左心房に入ることができる。左心房にて、装置の遠位部が、治療される組織(この例では僧帽弁)付近に配置され得る。治療を行うために、治療に効果をもたらすための様々なツール又は装置、例えば、手術用メス、把持具などが、装置内の1又は複数の作業チャネルを通して配送され得る。
【0014】
内視鏡装置が用いられ得るさらに別の治療分野において、様々な胸腔鏡手術が、低侵襲性手術により、例えば経皮的に行われ得る。図示されているように、内視鏡は、患者の内部に、導入器、又はポートを介して前進され得る。ポートは、手術中に内視鏡のための固定された参照点を確立する基準点としても構成され得る。ポート又は基準点は、患者内での装置の位置を決定し且つ/又は維持するために用いられるコンピュータ又はプロセッサと電気通信し得る。内視鏡は、患者の身体内に、切開(例えば肋骨間の肋間隙に形成される)を通して前進され得る。次いで、内視鏡は胸腔内に前進され、操作されて、身体内の領域、例えば心臓の後方領域に達し得る。この領域は、直線的アクセスがないために、従来の腹腔鏡術では通常はアクセスできない。
【0015】
本発明の一実施形態は、身体内での治療を容易にするための方法を提供する。この方法は、操縦可能な遠位端及び制御可能な近位端を有する内視鏡を挿入することを含み、制御可能な近位端は、操縦可能な遠位端に追従するように制御される。内視鏡は操作されて、身体内の或る位置に、或る身体部分の治療を容易にするために挿入される。治療が、この身体部分に行われる。この身体部分は、例えば、胸腔、頭蓋、又は腹膜腔にあり得る。
【0016】
本発明の別の実施形態は、身体内の生理学的徴候に関する状態の治療を行うためのシステムを提供する。身体内の生理学的徴候を検知及び位置特定するためのシステムがある。身体内の生理学的徴候に関する、身体の一部の画像をもたらすためのシステムがある。操縦可能な内視鏡が、操縦可能な遠位端と、コンピュータコントローラの制御下で制御可能な近位端とを有し、コントローラは、検知するためのシステム、及び、画像をもたらすためのシステムから情報を受信する。
【0017】
本発明の別の実施形態は、心臓の治療を容易にするためのシステムを提供し、このシステムは、心臓の不良状態の位置を示すためのシステムを有する。また、位置を示すこのシステムにより発生される情報を用いるコントローラシステムも設けられる。このコントローラシステムは、発生された情報を用いることにより、操縦可能な遠位端、及び、操縦可能な遠位端に追従するように制御可能な近位端を有する操縦可能な内視鏡が、心臓の不良状態の治療を容易にするための位置へと関節運動することを補助する。さらに、心臓の不良状態の治療を行うための治療装置が、操縦可能な内視鏡によりもたらされて提供される。
【0018】
本発明の別の実施形態において、心臓のアブレーション治療を行うための、操縦可能な内視鏡を有する装置が提供され、この内視鏡は、操縦可能な遠位端と、操縦可能な遠位端の形状を自動的に追従するように構成された制御可能な近位端とを有する。アブレーション治療装置は、操縦可能な内視鏡により配備されるようになっている。固定具が、アブレーション治療装置の位置を固定する。
【0019】
本発明の別の実施形態は、身体内での治療を行う方法を提供し、この方法は、身体内での治療を容易にするために、内視鏡の操縦可能な遠位端を通路に沿って治療位置に前進させることにより行われる。内視鏡の近位端は、内視鏡の操縦可能な遠位端の経路に追従するように制御される。治療要素が治療位置にもたらされる。
【0020】
本発明の別の実施形態は、身体内に治療をもたらすために、1対の操縦可能な内視鏡を用いる。この内視鏡の対は、一方の内視鏡が他方の内視鏡内にあるように、或いは、一方の内視鏡が他方の内視鏡に隣接するように配置され得る。別の実施形態において、一方の操縦可能な内視鏡が、治療を容易にするための身体内の所望の位置に移動され、ついでこの位置に固定され得る。その後、第2の内視鏡が操作され、第1内視鏡によりもたらされた身体内の固定位置を用いて、治療を行い又は治療を容易にする。この手順は、例えば、拍動している心臓のような、運動している状態の治療に有用であり得、この場合、第1内視鏡が、第2内視鏡を用いるための固定された治療点として用いられ得る。
【0021】
内視鏡装置は、また、腹膜腔内での処置のために用いられ得る。可能な用途は、泌尿器の、肥満体治療の、及び肝臓の手術のための低侵襲性手術を含み得る。また、脊髄手術又は整形外科手術の処置のための低侵襲性アクセスも達成され得る。このような処置において、内視鏡装置は、患者の内部に、基準点としても機能し得るポートを介し、切開を通して挿入され得る。遠位部は、治療される組織領域、例えば肝臓に向って前進されているとき、様々な器官を避けるように操縦され得る。内視鏡の遠位部はこのように操縦されることができ、近位部は、遠位部により画成された、周囲の隣接する組織及び器官との接触を最小限にする経路に追従するように自動制御され得る。この処置、又は他の任意の処置において、外科手術を補助するために、1以上の腹腔鏡が、内視鏡と随意に組み合わせて用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】患者の解剖学的構造物を侵害せずに身体内の様々な領域にアクセスするために用いられ得る操縦可能な内視鏡の一例を示す。
【図2A】中立位置、すなわち真直位置における内視鏡の細長い本体の一部のワイヤフレームモデルを示す。
【図2B】内視鏡本体が、選択的に操縦可能な遠位部及び自動制御される近位部により、カーブを通るように操作されている様子を示す。
【図3】患者の頭部の側方断面図であり、本発明の内視鏡の一変型が頭部内で前進されている様子を示す。
【図4】操縦可能な内視鏡システムを、治療を容易にするように位置決めする方法をもたらすための、複数の部品の相互作用を示す。
【図5】心臓の後方断面図であり、内視鏡装置が上大静脈を通して挿入され、右心房内に前進されている様子を示す。
【図6】内視鏡装置を用いて経皮的に行われる得る胸腔鏡手術の一例を示す。
【図7A】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進されている例を示す。
【図7B】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進されている例を示す。
【図7C】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進されている例を示す。
【図7D】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進されている例を示す。
【図8A】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進され、装置を配備するために引き戻されている例を示す。
【図8B】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進され、装置を配備するために引き戻されている例を示す。
【図8C】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進されている例を示す。
【図8D】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進されている例を示す。
【図9】治療装置と周囲組織との接触を容易にするための複数の固定具を有する治療装置の実施形態を示す。
【図10A】上室性頻拍症の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進されているさらなる例を示す。
【図10B】上室性頻拍症と心室頻拍症との併発の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周囲に前進されているさらなる例を示す。
【図11】内視鏡装置を用いた心房細動の治療のさらに別の例を示す。
【図12A】上室性頻拍症、及び/又は、上室性頻拍症と心室頻拍症との併発の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周辺に前進されているさらなる例を示す。
【図12B】上室性頻拍症、及び/又は、上室性頻拍症と心室頻拍症との併発の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周辺に前進されているさらなる例を示す。
【図12C】上室性頻拍症、及び/又は、上室性頻拍症と心室頻拍症との併発の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周辺に前進されているさらなる例を示す。
【図12D】上室性頻拍症、及び/又は、上室性頻拍症と心室頻拍症との併発の治療を容易にするために、内視鏡装置が心臓の後方領域周辺に前進されているさらなる例を示す。
【図13】心臓の治療を容易にするために用いられる本発明の二重構造の操縦可能な内視鏡の例を示す。
【図14A】組織アブレーション治療のための、内視鏡上の電極の配置を示す側面図である。
【図14B】組織アブレーション治療のための、内視鏡上の電極の配置を示す側面図である。
【図14C】組織アブレーション治療のための、内視鏡上の電極の配置示す端面図である。
【図15A】ニードルアレイの一実施形態の格納されている配置を示す。
【図15B】ニードルアレイの一実施形態の配備されている配置を示す。
【図16】連続した間隔を有するニードルアレイの一実施形態を示す。
【図17】様々な間隔の配置を有するニードルアレイの一実施形態を示す。
【図18A】本発明の治療装置の一実施形態の側面図を示す。
【図18B】本発明の治療装置の一実施形態の等角図を示す。
【図18C】複数の治療装置が、治療を容易にするための最適化位置にある様子を示す。
【図18D】複数の治療装置が、治療を容易にするための最適化位置にある様子を示す。
【図19】治療を容易にする装置の配置を最適化するための技術を例示するグラフを示す。
【図20】内視鏡装置を用いて行われ得る腹膜腔内での処置の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
身体内の様々な領域の治療において、多数の様々な内視鏡装置が、アクセスを容易にすることに用いられ得る。特に有用な内視鏡装置は、操縦可能な遠位部、及び、自動制御される近位部を有する様々な内視鏡を含み得る。概して、操縦可能な遠位部は、装置の操縦を容易にするために医師又は外科医により制御され、近位部は、例えば、コントローラ又はコンピュータにより自動制御され得る。操縦可能な内視鏡は、多数の異なる方法を用いて患者の身体内で前進され得る。例えば、内視鏡は、人体が元来有する身体への開口の任意の1つを介して、例えば肛門を通して身体に挿入され得る。或いは、装置は、小さい切開を通して経皮的に身体内に挿入され得る。内視鏡装置が身体内に挿入されたならば、内視鏡装置は、以下に説明するように、患者の解剖学的構造を侵害せずに、器官、骨などの解剖学的特徴物への侵害を回避するように前進及び操縦され得る。
【0024】
図1は、患者の解剖学的構造を侵害せずに身体内の様々な領域にアクセスするために用いられ得る操縦可能な内視鏡の一例100を示す。内視鏡100は、概して、細長い本体102を有し、本体102は、手動で、すなわち選択的に操縦可能な遠位部104、及び、自動制御される近位部106を有する。選択的に操縦可能な遠位部104は、点線で示されているように、完全な180度の屈曲まで、任意の方向に選択的に操縦され、又は曲げられ得る。光ファイバイメージングバンドル112及び1以上の照明ファイバ114が、本体102内に随意に設けられ、近位端110から遠位端108まで延在し得る。或いは、内視鏡100は、CCDカメラ又はCMOSカメラなどの小型ビデオカメラが内視鏡本体102の遠位端108に配置されたビデオ内視鏡として構成され得る。ビデオカメラからの画像は、ビデオモニタに、伝送ケーブル又はワイヤレス伝送により送信され得る。内視鏡100の本体102は、また、少なくとも1つ又は2つの器具チャネル116,118を随意に含み得る。これらのチャネルは、任意の数のツールを内視鏡内を通しアクセスさせるために用いられ得る。チャネル116,118は、他の様々な目的、例えば、吸入又は洗浄のためにも用いられ得る。
【0025】
内視鏡100の本体102は非常に柔軟であるため、小さい直径のカーブの周りを、バックリングもキンクも生じずに曲がることができる。内視鏡100の細長い本体102は、長さが、一般的に、例えば135cm〜185cm、直径が12mm〜13mmの範囲であり得る。しかし、内視鏡100が、身体内の、例えば胃腸管内空間よりも小さい領域に用いられるのであれば、装置の直径の寸法が、より小さく変更され得る。内視鏡100の長さも、所望の用途に応じて、より長く、又はより短くされ得る。
【0026】
ハンドル120が、細長い本体102の近位端110に取り付け可能である。ハンドル102は接眼レンズ124を含むことができ、レンズ124は、直接的目視のために、及び/又はビデオカメラ126への接続のために光ファイバイメージングバンドル112に接続されている。ハンドル120は、また、照明ケーブル134を介して照明源128に接続されることができ、照明ケーブル134は照明ファイバ114に接続され、又は照明ファイバ114と連続していることができる。随意に用いられる第1のルアーロックフィッティング130及び随意に用いられる第2のルアーロックフィッティング132が、それぞれ、器具チャンネル116,118に連結されることができ、これらのフィッティングは、また、ハンドル120上に、又はハンドル120の付近に配置され得る。
【0027】
ハンドル120は、コントローラケーブル136を介して電子モーションコントローラ140に接続され得る。操縦コントロール122が、第2ケーブル138を介して電子モーションコントローラ140に接続され得る。操縦コントロール122は、医師又は外科医が、細長い本体102の選択的に操縦可能な遠位部104を所望の方向に選択的に操縦し又は曲げることを可能にするように構成され得る。操縦コントロール122は、図示されているようなジョイスティックコントローラであっても、又は、他の知られた操縦制御機構であってもよい。或いは、操縦は、手動で、例えば、ケーブル、油圧技術、若しくは空気力学技術、又は、細長い本体の遠位部を制御するための他の任意の知られた機械的装置を用いて行われ得る。電子モーションコントローラ140は、細長い本体102の自動制御される近位部106の運動を制御するために用いられることができ、マイクロコンピュータ上で実行される運動制御プログラムを用いて、又は、アプリケーションに特有のモーションコントローラを介して実行され得る。或いは、電子モーションコントローラ140は、ニューラルネットワークコントローラを用いて実行され得る。
【0028】
軸方向移動変換器(トランスデューサ)150が、細長い本体102が前進及び後退されるときの軸方向移動を測定するために設けられ得る。軸方向移動変換器150は様々な構造でつくられることができ、それらの幾つかを以下に示す。この例において、軸方向移動変換器150は、内視鏡100の細長い本体102を取り囲むリング152として構成されており、この構成は例示のためのものに過ぎない。軸方向移動変換器150は、以下に示すように、固定された基準点(例えば手術台)、又は、患者の身体上の内視鏡100の挿入位置に取り付けられ得る。内視鏡100の本体102が軸方向移動変換器150を通ってスライドすると、軸方向移動変換器150は、固定基準点に対する内視鏡本体102の軸方向位置を示す信号を生成し、電子モーションコントローラ140に、信号を、テレメトリにより、又はケーブルを介して送信する(図示せず)。軸方向移動変換器150は、内視鏡本体102の軸方向位置を測定するために、光学的、電子的、磁気的、機械的などの方法を用い得る。さらに、移動変換器は、内視鏡の回転運動の測定及び通信も同時に行うように構成されることができ、従って、このさらなるデータが、器具の運動の制御に用いられ得る。軸方向移動変換器150に関するさらなる詳細な説明及びこの変型例が、2003年3月7日に出願された米国特許出願10/384,252号に見られ、この出願の全てを援用して本文の記載の一部とする。
【0029】
操縦可能な内視鏡100の基本的運動を例示するために、図2Aは、内視鏡100の本体102の或るセクションの、中立又は真直位置にあるときのワイヤフレームモデルを示す。この図において、明確化のために、内視鏡本体102の内部構造の多くが省かれている。内視鏡本体102は、セクション1,2,3...10などに分割されている。各セクションの形状寸法は、a軸,b軸,c軸及びd軸に沿った4つの長さ測定値により画定される。例えば、セクション1の形状寸法は、4つの長さ測定値lla,llb,llc,lldにより画定され、セクション2の形状寸法は、4つの長さ測定値l2a,l2b,l2c,l2dにより画定され、他のセクションも同様である。各セクションの形状寸法は、a軸,b軸,c軸及びd軸に沿った4つの長さ測定値を変更するためのリニアアクチュエータを用いて変更され得る。例えば、内視鏡本体102をa軸の方向に曲げるために、測定値lla,l2a,l3a…l10aを短くし、これと同じ量だけ、測定値llb,l2b,l3b…l10bを長くすることができる。これらの測定値を変化させる量が、得られるカーブの半径を決定する。しかし、自動制御される近位部106においては、各セクションのa軸,b軸,c軸、d軸の測定値が、電子モーションコントローラ140により自動制御され得る。
【0030】
図2Bにおいて、内視鏡本体102は、選択的に操縦可能な遠位部104を利用してカーブCを通るように操作されており、図2Bの時点では、自動制御される近位部106がカーブCにある。セクション1及び2は、カーブCの比較的真直な部分にあり、従って、lla=llbであり、l2a=l2bである。しかし、セクション3〜7は、S字状のカーブにあるため、l3a<l3b,l4a<l4b,l5a<l5bであるが、l6a>l6b,l7a>l7b,l8a>l8bである。内視鏡本体102が1つのユニットごとに遠位方向に前進されるとき、セクション1は、1’の符号が付された位置に移動し、セクション2は、その前にセクション1が占めていた位置に移動し、セクション3は、その前にセクション2が占めていた位置に移動し、他のセクションも同様に移動する。軸方向移動変換器150は、内視鏡本体102の、固定基準点に対する軸方向位置を示す信号を生成し、この信号を電子モーションコントローラ140に送信する。電子モーションコントローラ140の制御下で、内視鏡本体102が1つのユニットを前進させるごとに、自動制御される近位部106の各セクションが、現在そのセクションが存在している空間をその前に占めていたセクションの形状を成すように信号を送られる。従って、内視鏡本体102が、1’の符号が付された位置に前進されるとき、lla=llb,l2a=l2b,l3a=l3b,l4a<l4b,l5a<l5b,l6a<l6b,l7a>l7b,l8a>l8b,l9a>l9bであり、内視鏡本体102が、1”の符号が付された位置に前進されるとき、lla=llb,l2a=l2b,l3a=l3b,l4a=l4b,l5a<l5b,l6a<l6b,l7a<l7b,l8a>l8b,l9a>l9b,l10a>l10bである。こうして、S字状カーブは、内視鏡本体102の自動制御される近位部106の長さに沿って近位方向に伝搬する。S字状カーブは、内視鏡本体102が遠位方向に前進するため、空間に固定されているように見える。
【0031】
同様に、内視鏡本体102が近位方向に引き戻されるとき、内視鏡本体102が1ユニットごとに近位方向に移動されるたびに、自動制御される近位部106の各セクションが、現在そのセクションが存在している空間をその前に占めていたセクションの形状を成すように信号を送られる。S字状カーブは、内視鏡本体102の自動制御近位部106の長さに沿って遠位方向に伝搬し、S字状カーブは、内視鏡本体102が近位方向に後退するため、空間に固定されているように見える。
【0032】
内視鏡本体102が前進又は後退されるときはいつでも、軸方向移動変換器150が、位置の変化を検知するために用いられることができ、また、電子モーションコントローラ140が、選択されたカーブを内視鏡本体102の自動制御近位部106に沿って近位方向又は遠位方向に伝搬することができ、それにより、カーブを、空間的に固定された位置に維持し得る。同様に、内視鏡102が回転されるならば、回転運動変換器(変換器150とは独立の、又は変換器150内に一体の)が、位置の変化を検知するために用いられることができ、電子モーションコントローラが、空間的に固定された位置にカーブを維持するように内視鏡本体102の形状を調節するために、同様に用いられ得る。これは、内視鏡本体102が、曲がりくねったカーブを、不必要な力をカーブCの壁に加えずに通過することを可能にする。
【0033】
本発明に用いられ得る他の内視鏡装置の例が、以下の特許及び同時係属出願に、より詳細に記載されている。これらの特許及び特許出願は、米国特許第6,468,203号;米国特許第6,610,007号;2002年3月1日に出願された米国特許出願10/087,100号;2002年5月2日に出願された米国特許出願10/139,289号;2002年8月27日に出願された米国特許出願10/229,577号;2002年8月27日に出願された米国特許出願10/229,814号、及び、2002年11月27日に出願された米国特許出願10/306,580号であり、これらの特許及び特許出願の各々の全てを援用して本文の記載の一部とする。
【0034】
従って、上記の制御可能な内視鏡装置のいずれか1つを用いることにより、従来の外科技術を用いてはアクセス及び治療が一般的に困難な身体の様々な領域が、アクセス又は治療され得る。治療の一例において、内視鏡装置は、神経外科手術に用いられ得る。内視鏡装置が、従来は到達することが困難な脳の領域にアクセスするために「直線」(“straight-line”)条件により制約されないため、内視鏡は、頭蓋内に前進され、配置され得る。これは、装置を、脳の周囲にて、健康な脳組織に与える外傷が最小限又は無であるように操縦することにより行われる。内視鏡は、また、組織内の深部に埋まっている治療領域にアクセスするために、必要に応じて、組織内を、付近の健康な組織へのどのような損傷も最小限にし得る通路を通って前進され得る。さらに、内視鏡装置は、脳上又は脳内の繊細な領域へのアクセスを可能にし得るため、従来の手術では、頭蓋骨の一部の取り外しを通常は必要とするような場合(例えば、開頭手術又は頭蓋内血種の治療など)にも、低侵襲性外科手術が行われ得る。
【0035】
図3は、患者200の頭部202の側方断面図である。脳206が、頭蓋204の頭蓋腔210内に見られる。内視鏡装置212は、本発明の操縦可能な内視鏡の一実施形態であり、頭蓋腔内部及び脳の外側及び内側領域にアクセスするための寸法、形状及び構成を有してつくられている。内視鏡装置212の移動、配置、トラッキング及び制御は、ユーザのみにより、又は、画像システム、位置及び配置システム、並びに、手術計画の方法及び技術の幾つか若しくは全てと協働して行われる。通常はアクセスが困難であろう脳206の治療領域において、内視鏡装置212は頭蓋腔210内に、容易にアクセス可能な挿入部位222(例えば頭蓋骨内の穿孔)から挿入され得る。次いで、内視鏡装置212は、挿入部位222を通して、脳組織を回避するように操縦可能な遠位部214を制御することにより前進され得る。内視鏡212が頭蓋腔210内にさらに前進されるとき、自動制御される近位部216が、操縦可能な遠位部214により画成された形状を成して、脳組織206との接触を回避し得る。
【0036】
内視鏡212は、頭蓋腔210内及び脳脊髄液内をさらに前進されることができ、こうして、装置は、髄膜の層より上、又は層内、例えばクモ膜下腔内を前進する。いずれの場合にも、内視鏡212は、脳組織206への接触又は圧力を回避し又は最小限にする通路に沿って操縦され得る。制御されている近位部16が遠位方向に前進され、遠位部214により画成された形状を成すとき、近位部216も、脳組織206への接触又は圧力を自動的に回避し又は最小限にするように同様に制御され得る。遠位部216が所望の治療領域208まで前進したならば、様々なツール220が、領域208の治療を可能にするために、器具チャネル218を通して挿入され得る。こうして、任意の数の治療又は処置、例えば、腫瘍の生検及び/又は除去、シャント配置、リード配置、装置配置、過剰な脳脊髄液又は血液の排出などが行われ得る。
【0037】
図4は、治療を容易にするために操縦可能な内視鏡システムの位置決め方法を提供する幾つかの構成要素の相互作用を示す。先に述べたように、本発明に従う内視鏡装置の移動、配置、トラッキング及び制御は、ユーザのみにより、又は、画像システム、位置及び配置システム、並びに手術計画の方法及び技術の幾つか及び全てを用いて行われる。システムの概略図4000は、操縦可能で制御可能な本発明の内視鏡を配置及び制御するための、検知、マッピング及び制御の統合システムの一実施形態を示す。第1に、適切な装置、要素又はシステムを用いて、生理学的徴候(表示)(physiological indication)を検知及び位置特定する(4010)。生理学的徴候は、治療が行われるべき状態を示す任意の認識可能なしるしであり得る。例えば冠状動脈において、生理学的徴候を示す物は、心臓からの電気生理学的データ又は電気信号を含む。このシステムは、モニタリングされたデータを識別又は分析し、これにより、不良動作の位置を特定又は決定することができる。
【0038】
次に、検知及び位置特定された生理学的徴候に関する情報が、画像/マッピングシステム(4020)に送られる。画像/マッピングシステムは、任意の画像モダリティーを含むことができ、これは、位置、場所、組織タイプ、病理状態に関する情報、又は、生理学的活動を、解剖学的構造内又は基準系内の識別可能な及び/又は位置特定可能な位置と関係づけることを容易にする任意の他の情報をもたらし得る。画像/マッピングシステムの例は、画像技術(例えば、X線、蛍光透視法、コンピュータ断層撮影(CT)、3次元CATスキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、及び、磁場を用いた位置特定システム)のいずれかを含む。心臓血管系疾患の治療に特に適した画像/マッピングシステムの例は、心電図検知システム、心臓電気生理学マッピングシステム、心内膜マッピングシステム、又は、心臓の電気生理学的データを入手、目視化、解釈し、このデータに基づいて動作する能力を有する他のシステム及び方法を含む。このようなシステムの例が、「多電極カテーテルを用いた心内膜活性化マッピングのための方法」と題する米国特許第5,848,972号に記載されており、この特許の全てを援用して本文の記載の一部とする。さらなる例は、米国特許第5,487,385号;米国特許第5,848,972号;及び、米国特許第5,645,064号に記載されており、これらの特許の各々の全てを援用して本文の記載の一部とする。統合されたマッピング、検知及び/又はアブレーションプローブ及び装置も、本発明の操縦可能な内視鏡を用いて配送され得る。このような統合システムの一例が、スワンソン(Swanson)らの米国特許出願公開公報2003/2336455に記載されており、この公報の全てを援用して本文の記載の一部とする。さらなる他のシステムは、不整脈の原因を治療するために、心臓の局所的等時作動マップのマッピング、表示又は位置情報を、内視鏡の相対位置、及び、内視鏡(又は、内視鏡に搭載された部品、要素若しくはシステム)を配置するための方向情報又は移動命令と共に提供し得る。
【0039】
次に、前のステップにて提供され、受け入れられ、及び/又は分析された情報、又は、ユーザ若しくはユーザが用いている他のシステムにより提供されたさらなる他の情報が、内視鏡コントローラに入力され、又は内視鏡コントローラにより用いられる(4030)。このステップは、内視鏡コントローラが、表示、位置、画像、マッピング及び他のデータに応答することができ、また、このデータを用いて、内視鏡の形状、位置、向きを変更できることを示す。又は、提供された情報に内視鏡コントローラが応答していることを示す、他の関連する情報を示す。内視鏡は、モニタリングされている生理学的徴候の治療を容易にするための部品、要素又はシステム提供することを容易にするように構成されている。コントローラは、提供されたデータを利用して、操縦可能で制御可能な内視鏡を、不良動作を示す場所又は部位に関する位置に配置する。不良動作を示す場所又は部位への内視鏡の近接性は、例えば、行われている治療、治療を容易にするために用いられている要素、部品又はシステムに依存する。
【0040】
最後に、内視鏡の位置が、画像又はマッピングシステムに、フィードバックの形態で還元され、これにより、治療を容易にするために内視鏡を所望の位置にガイドすることが、より良好に補助される(4040)。
【0041】
別の実施形態において、システム4000は、治療を容易にする医学的に重要なデータを提供する、全体マッピングシステムを含み得る。この全体マッピング又は画像システムは、モニタリングされている活動の領域をマッピング又は画像化することを含み得る。モニタリングされる活動領域は、治療に重要な身体部位を含むだけでなく、身体の他の部分、すなわち、治療による影響を受けないが、その代わりに、操縦可能で制御可能な内視鏡の、治療が促進されるであろう領域への通路となり得る部分の画像情報も含む。次いで、これらの表示は、操縦可能で制御可能な内視鏡を、治療を容易にするために所望の位置にガイドすることを促進するために用いられ得る。また、他の医用画像システム及びトラッキングシステムも、トラッキング、ガイド、及び位置フィードバック情報を、操縦可能な内視鏡の制御に提供するために用いられ得る。このようなシステムの例が、米国特許第5,377,678号にてデュムラン(Dumoulin)らにより記載されており、この特許を援用して本文の記載の一部とする。
【0042】
上記のステップは、操縦可能な内視鏡により用いられるガイドシステム及びコントロールの機能を高めるために、生理学的徴候及び位置情報がどのように利用され、内視鏡の配置を確実にし、それにより治療を容易にするかを示す実施形態の一例に過ぎない。これらのステップが、論議を明確で簡単にするために用いられたことを理解されたい。本発明の実施形態の方法はこれらのステップに限定されない。例えば、単一のシステムが、内視鏡位置のフィードバックをリアルタイムで受信する、表示、画像化が統合された内視鏡コントローラとして用いられ得る。別の例において、生理学的表示と画像/マッピング機能とが、単一のユニットに組み合わされ得る。従って、上記のステップを、一回のみ、又は連続して行うように記載したが、これらのステップが、異なる順序で、又は複数回行われ得ることが理解されよう。生理学的徴候を検知及び位置特定する他のシステムも用いられることができ、これらは、行われる治療に有用な適切なシステムに応じて用いられる。さらに、別の画像及びマッピングシステムも用いることができ、これらも、本発明の操縦可能で制御可能な内視鏡の使用により容易にされる治療に応じて選択され得る。このシステムは、また、内視鏡の移動を、ユーザからの入力、術前計画データ、又は、望ましい通路又は回避すべき通路の他の表示に基づいて自動的に制御し得る。或いは、又は、これに加えて、ユーザは、さらなるガイド又は制御情報を、システムに、内視鏡のガイド又は望ましい配置を促進するために入力し得る。
【0043】
内視鏡装置が用いられ得る別の治療分野は、冠動脈手術(例えば僧帽弁の治療)、上室性頻拍症の治療(例えば、心房細動の治療のための組織アブレーションを含む)を行い又は容易にすること、心室頻拍のみの治療又は、上室性頻拍症の治療と組み合わせての治療、装置リードの設置、再配置又は装置の除去のための処置などを含む。心房細動は、典型的に、心臓の心房にて同時に伝搬する多数のリエントリー性ウェーブレット(電気波)の存在により持続する。外科的及びカテーテルベースの技術は、心房を再同期化する1つの方法として、一般に、肺静脈付近又はその周囲の、分割され又は連続した病変部にアブレーションを施す。
【0044】
さらに、エネルギーベースの(energy based)形態(modality)及び非エネルギーベースの(non-energybased)形態を用いた様々なアブレーション技術が、軟組織をアブレーション(焼灼)するために用いられ得る。本発明の実施形態は、1つのエネルギー・モダリティ又はエネルギー・モダリティの組み合わせを用いるアブレーション治療、アブレーション要素及び装置の使用を容易にするために用いられ得る。エネルギー・モダリティは、例えば、極低温エネルギー、油圧エネルギー、レーザエネルギー、磁気エネルギー、機械的エネルギー、マイクロ波エネルギー、放射線エネルギー、高周波エネルギー、熱エネルギー、及び超音波エネルギーである。マイクロ波アブレーションシステムは、AFxマイクロ波外科アブレーションシステムに基づいたシステム、例えば、AFxFlex4などを含み得る。AFxは、現在、ガイダント・コーポレーション(Guidant Corp.)により所有されている。極低温アブレーションシステムは、例えば、クライオキャス・テクノロジ社(Cryocath Technology)から販売されているシステム、例えば、「サージフロスト」(SurgiFrost)、「フロストバイト」(Frostbyte)、又は「アーティックサークラ」(Artic Circler)システムなどを含み得る。超音波ベースの外科用プローブは、例えば、エピコ・メディカル社(EpiCor Medical)などにより製造されている超音波アブレーションシステムに基づき得る。多数の市販のアブレーションシステムが、本発明の操縦可能な内視鏡システムの実施形態により配送又は利用され得る様々な種類のアブレーションシステム、技術及び形態の例であり得る。
【0045】
図5に示されているように、心臓302の前方断面図が、左心房LAと左心室LVとの間に位置する僧帽弁MVの治療のための冠動脈手術300に見られる。この治療例において、内視鏡装置212が、上大静脈SVCを通して心臓302内に挿入され、右心房RA内を前進している様子が示されている。また、三尖弁TVより下の右心室RV、及び下大静脈IVCも示されている。従って、内視鏡212は、血管内を配送されるような寸法を有し得る。内視鏡装置212が右心房RA内に配置されたならば、遠位部214が、左心房LAと右心房RAとを隔てている心房中隔ASに向けて操縦され得る。遠位部が心房中隔ASに達したならば、装置212内を通して配送可能な切断ツールを用いて心房中隔ASに穴をあけることができ、これにより、内視鏡装置212が左心房LAに入ることが可能になる。次いで、遠位部214は、操縦されて僧帽弁MV付近に配置され得る。この間、近位部216は、装置212により心臓302の組織に加えられる可能性がある全ての圧力を最小化するように自動制御され得る。内視鏡装置が、治療されるべき組織(この例においては僧帽弁MV)付近に達したならば、治療を行うために様々なツール又は装置がチャネル218を通して配送され得る。処置が完了したならば、内視鏡212は、挿入時と同様に、組織に対する接触圧力を最小限ながら、近位方向に簡単に引き戻され得る。
【0046】
内視鏡装置が用いられ得るさらに別の治療領域において、様々な胸腔鏡手術が低侵襲性処置により行われ得る。図6は、経皮的に行われ得る胸腔鏡手術400の例を示す。図示されているように、内視鏡212は、患者402の身体内に、導入器又はポート412を介して前進され得る。ポート412は、手術中に内視鏡212のための固定された参照点を確立するための基準点としても構成され得る。ポート又は基準点412は、電気線418を介してコンピュータ又はプロセッサ416と電気通信することができ、これは、装置21の患者402内での位置を決定及び/又は維持するために用いられ得る。内視鏡212は、患者402の身体内に、切開414(例えば、肋骨404間の肋間隙に形成される)を通して前進され得る。次いで、内視鏡212は胸腔内に前進され、操作されて、身体内の領域、例えば心臓408の後方領域に達し得る。この領域は、直線的アクセスがないために従来の腹腔鏡術では通常はアクセスできない領域である。
【0047】
この例において、内視鏡212が、ポート又は基準点412を通して挿入され、胸骨406の後ろを通って心臓の408の後方に前進されている様子が示されている。図を明確にするために肺は示されていない。しかし、内視鏡212は、肺組織、又は、直線通路を妨げ得る他の器官若しくは構造物との接触を回避し、又は接触を最小限にするように、先に記載したようなやり方で肺を避けて操縦及び前進され得る。
【0048】
内視鏡212は、従来の腹腔鏡術では通常アクセスできない身体内の領域に、周囲組織を損傷することなく到達することができる。図7A〜図7Dは、内視鏡装置が、上室性頻拍症の治療を容易にするために心臓の後方領域周辺を前進されている例を示す。上室性頻拍症の一例は心房細動である。別の処置500が図7A〜図7Dに示されており、心房細動の治療のために内視鏡装置がどのように用いられ得るかを示す。これらの図は、心臓の後方図であり、大動脈AA及び肺動脈幹PTが、解剖学的ランドマーク(目印)として示されている。心房細動は、典型的に、心臓の心房にて同時に伝搬する多数のリエントリー性ウェーブレット(電気波)の存在により持続する。外科的及びカテーテルベースの技術は、心房を再同期化する1つの方法として、一般に、肺静脈付近又はその周囲の、分割され又は連続した病変部にアブレーションを施す。
【0049】
内視鏡装置212は、装置212を、先に記載したように胸腔内に前進させることにより、又は、様々な他の通路を通して前進させることにより用いられ、心臓の後方領域に向って操縦され得る。図7A〜図7Dに示した例において、操縦可能な遠位部214は、図7Aに示されているように、内視鏡212が左肺静脈LPVより上に接近するように前進され得る。図7Bに示されているように、遠位部214は、内視鏡212が遠位方向に前進されているとき、右肺静脈RPVの周辺に操縦され得る。そして、自動制御可能な近位部216は、遠位部214が肺血管周辺を移動しているときに画成された形状を成し得る。図7Cに示されているように、遠位部214は左肺血管LPVの周囲に操縦され、近位部は、装置が右肺静脈RPV周囲を移動することで形成された湾曲通路の形状を成している。最後に、図7Dにおいて、装置212は、遠位部214及び近位部216が装置の配置を維持したまま心臓組織と密接に接触するように完全に前進され、肺血管の周囲全体を取り囲み得る。次いで、装置212と接触している組織が、遠位部214及び/又は近位部216の長さに沿って配置された1又は複数の電極によりアブレーションされ得る。これに関しては、以下にさらに詳細に説明する。或いは、アブレーション装置、例えばカテーテル、又は他のエネルギー源が、内視鏡内又は内視鏡上の1以上の作業チャネルを通して配送されて、所望のように、適切な位置に配置され得る。次いで、このアブレーション装置は、本文中に記載されている、又は当業者に知られている様々な形態のアブレーションエネルギー(例えば、高周波、マイクロ波、極低温冷却など)を配送するために用いられ得る。装置は、所望の位置に、様々な方法、例えば、真空、磁気的、一時的接着、縫合により、又は、装置と組織とを取り付け又は接近させる他の任意の方法により固定されて保持され得る。
【0050】
図8A〜図8Dは、処置の一例600を示す。この処置において、操縦可能な内視鏡装置が心臓の後方領域周辺に前進され、次いで、上室性頻拍症の治療を容易にするための装置を配備するために引き戻されている。操縦可能な内視鏡装置800は、身体内の領域に、先に記載したように、また、腹腔鏡術よりも改善された方法で到達できる。図8A〜図8Dは、心臓の後方図を、解剖学的ランドマークとしての大動脈AA及び肺動脈PTと共に示す。図8Aは、操縦可能で制御可能な遠位端805及び制御可能な近位端810を有する内視鏡装置800を示す。図8Aにおいて、処置600の最初に、内視鏡装置800は、アブレーション装置815の配備を開始するための位置に移動されている。この例示的な処置600において、操縦可能な内視鏡装置800は、肺静脈周囲の望ましい配備通路、すなわち治療通路を通ることにより初期配備点に移動されたことが理解されよう。処置600を論じる目的で肺静脈に関して例示しているが、操縦可能な内視鏡は、肺静脈に用いることに限定されず、器官、組織及び身体部分周辺の所望の治療通路を、所望のように通過するように用いられ得る。図8Aは、また、アブレーション装置815の遠位端が、心臓に、本出願に記載され、又は当業者に知られている取付け方法のいずれかを用いて取り付けられている様子を例示している。
【0051】
次に、図8B及び図8Cにおいて、操縦可能な内視鏡800は、アブレーション装置815を残して通路に沿って近位方向に引き戻されている。図8Dにおいて、最終的に、アブレーション装置815は、操縦可能な内視鏡800により形成された望ましい配備通路にて、肺静脈周囲に完全に配備されている。この時点で、処置600にて可能な多数の選択肢がある。内視鏡800は、アブレーション装置815を用いた治療中に引き出され得る。内視鏡800は、アブレーション装置815が複数のアブレーション要素を含む実施形態において、アブレーション装置815に沿って分布された各アブレーション要素の位置及び向きを目視検査するために用いられ得る。この例示された実施形態において、アブレーション装置815は、例示が容易であるように、単一のアブレーション要素として示されている。内視鏡は、アブレーション装置815が処置を容易にするための望ましい位置に適切に配備されたことを確認するためにも用いられ得る。さらに、内視鏡は、アブレーション装置815の位置を肺静脈に対して維持するために用いられる任意の固定具若しくは接着剤又は固定手段を目視検査するために用いられ得る。
【0052】
図9は、治療装置の一実施形態を示し、この治療装置は、周囲組織との接触を容易にするための複数の固定具を有する。内視鏡装置900は、アブレーション装置915を配備するために、又はアブレーション装置915の配備を容易にするために配置される、制御可能で操縦可能な端部905を有する。アブレーション装置915は、複数のアブレーション要素920を有する。アブレーション装置915は、また、アブレーション治療を容易にするためにアブレーション装置915と周囲の組織、器官及び身体部分との接触を増大するための複数の固定具925を有する。アブレーション要素920に対する固定具925の位置が、アブレーション要素920と周囲組織との最大接触をもたらし、且つ、周囲組織に対するアブレーション要素920の配置を保証するためのものであることを留意されたい。固定具925は、他の位置にあってもよく、また、他の形状であってもよく、また、本出願の他のいずれかの箇所に記載されるタイプの、及び/又は、当業者に知られている固定具であってもよい。
【0053】
操縦可能な内視鏡900の別の実施形態において、固定具925は、操縦可能な先端905が近位方向に引き戻されるとき、固定具925が周囲組織と係合してアブレーション装置915の位置を固定するように構成され得る。アブレーション装置915が配置されたならば、アブレーション治療が所望のように続行される。アブレーション治療が完了したならば、操縦可能な内視鏡900は、アブレーション装置915の遠位端から近位方向に前進される。操縦可能な内視鏡先端905が遠位方向に、固定具925を超えて前進すると、固定具925は、アブレーション装置915と共に、操縦可能な内視鏡900内に引き込まれる。広く様々な固定具のいずれもが、周囲組織と係合するために用いられ得ることを理解されたい。例えば、固定具925は、超弾性の又は形状記憶合金材料から形成され得る。形状記憶合金材料の特性は、固定具を周囲組織と係合させるために体温の熱エネルギーが用いられるように選択され得る。或いは、形状記憶合金固定具は、周囲組織と係合するために形状記憶効果を発するように選択的に作動され得る。組織との係合は、組織の表面を切断する固定具だけでなく、組織の表面を損傷しない固定具も含む。幾つかの固定具が、操縦可能な内視鏡の移動により周囲組織との係合を外され得るが、周囲組織から固定具を外すことを容易にするためのツール又は要素が、内視鏡900の遠位端上又は遠位端に存在し得ることを理解されたい。
【0054】
図10A及び図10Bは、内視鏡装置が、上室性頻拍症の治療(図10A)、及び、上室性頻拍症と心室頻拍症の組み合わせの治療(図10B)を容易にするために心臓の後方領域周辺を前進されているさらなる例を示す。特定の例において、図10Aは、心房細動の治療の別の変型600を示す。この例において、装置は、肺静脈周囲にて、左肺静脈LPVを囲む第1の包囲602、及び、右肺静脈RPVを囲む第2の包囲604にて連続して輪を形成するように操縦及び配置され得る。内視鏡212の包囲部602,604は、肺静脈LPV,RPVの周囲のみの心臓組織をアブレーションするように作動され得る。或いは、包囲部602,604は、心臓組織を、遠位部214及び近位部216の両方の全長に沿ってアブレーションするように作動され得る。さらには、先に述べたように、様々なアブレーション装置が所望の領域に配送され得る。
【0055】
別の特定の例において、図10Bは、心房細動の治療の別の変型650を示す。この例において、装置は、肺静脈周囲にて、左肺静脈LPVを囲む第1の包囲602、及び、右肺静脈RPVを囲んで心室の一部を横切る(654)第2の包囲652にて連続して輪を形成するように操縦及び配置され得る。内視鏡212の包囲部602,652,654は、肺静脈LPV,RPV周囲の心臓組織と、部分654付近の心室部とをアブレーションするように作動され得る。或いは、包囲部602,652,654は、心臓組織を、遠位部214及び近位部216の両方の全長に沿ってアブレーションするように作動され得る。さらに、先に述べたように、様々なアブレーション装置が所望の領域に配送され得る。
【0056】
図11は、内視鏡装置を用いた心房細動の治療の別の例を示す。特定の実施形態において、図11は、さらに別の変型700を示す。この例において、内視鏡216は、取り囲まれた領域702が形成されるように、肺静脈LPV,RPVの後方付近の組織の一部と接触するように前進及び操縦され得る。図示されているように、本発明の操縦可能な内視鏡の実施形態は、心臓の治療を容易にするために、冠血管系又は他の心臓の目印の一部の周囲に配置され得る。この特定の例において、内視鏡216は、本文中に記載した技術を用いて、肺静脈内部及びその付近の位置に移動され、下大静脈に向って前進されている。本発明の操縦可能な内視鏡は、空間及び位置の構成及び制御が非常に容易であるため、治療用装置、要素及びシステムを、治療を促進するために心臓の周囲及び身体内の他の場所に配置することを可能にする。
【0057】
図12A及び図12Dは、上室性頻拍症及び/又は上室性頻拍症と心室頻拍症との組合せの治療を容易にするために心臓の後方領域周辺を前進する、本発明の操縦可能な内視鏡装置のさらに別の実施形態を示す。図10A及び図10Bに関して以上に記載したように、左肺静脈(LPV)及び右肺静脈(RPV)は、例示及び論述のための目印として用いられ、限定のためのものではない。図12Aは、内視鏡装置1200がLPV及びRPVの両方の周囲に配置され、LPVの一方を取り囲み、次いで前方に進んで心臓の心室部を横切る(1205)様子を示す。図12Bは、内視鏡装置1200がLPV及びRPVの両方の周囲に配置され、次いでLPVの一方を取り囲み、次いで横方向に進んで心臓の心室部を横断する(1210)様子を示す。図12Cは、両方のRPVの周囲に配置された内視鏡装置1200がLPVを部分的に取り囲み、次いで前方に進んで心臓の心室部を横切る(1205)様子を示す。図12Dは、アブレーション治療を容易にするために2つの内視鏡装置1250及び内視鏡装置1260が用いられる本発明の一実施形態を示す。第1の操縦可能な内視鏡装置1250は、心臓を横断し、LPV及びRPVを部分的に取り囲むように配置される。第2の操縦可能な内視鏡装置1260は、LPVに隣接して配置され、RPVを取り囲み、次いで、前方に進んで心臓心室表面を横切る(1205)。第2の操縦可能な内視鏡1260により容易にされる第2のアブレーション治療と同時に、若しくはその後、又はこれに連続して、第1の操縦可能な内視鏡1250が第1のアブレーション治療を容易にするために用いられ得ることが理解されよう。これらの例示的な実施形態が示すように、本発明の操縦可能な内視鏡は、広く様々な状況において、アブレーション治療を容易にすすめるように配備され得る。
【0058】
図13は、心臓の治療を容易にするために用いられる本発明の操縦可能な二重内視鏡1300の実施形態を示す。操縦可能な二重内視鏡1300は、第1の操縦可能な内視鏡1350と、第1の操縦可能な内視鏡1350内に配置された第2の操縦可能な内視鏡1310とを含む。一実施形態において、内視鏡1305,1310は、両方共、初期状態(I)に関節状に曲げられる。その後、第2内視鏡1310は、通路(a)〜(i)に沿って、LPV,RPVを取り囲むために進み、次いで、心臓の心室部を横切って進む。第2内視鏡1310は、ユーザの制御下で通路に沿って進み得る。或いは、第2内視鏡1310は、術前計画画像、リアルタイム画像、検知又はトラッキングシステムからの入力を受信するマッピングシステムのいずれか、又はこれらの組合せに基づいて自動的に配備することにより、通路に沿って進み得る。別の方法において、第2内視鏡1310は、自動制御及びユーザ入力の組合せを用いて進む。
【0059】
第1及び第2の操縦可能な内視鏡を、以上に、心臓治療のための使用に関して記載したが、第2の操縦可能な内視鏡の寸法を第1内視鏡の寸法よりもかなり小さく維持することにより、神経血管系の一部及び他の領域にアクセスするために用い得ることが理解されよう。例えば、第1の内視鏡は、第1の位置に配置され、且つ、この第1位置に、第2の操縦可能な内視鏡のための安定したプラットフォーム(基盤)及び/又は基準点として機能するように取り付けられ得る。この安定した基盤から、第2内視鏡が、治療を容易にするために配備され得る。
【0060】
図14A〜図14Cは、それぞれ、組織アブレーション治療のために内視鏡上に配置された電極の様々な構成の側方図及び端面図を示す。内視鏡900は、治療を容易にするための多数の要素、装置又はシステムと共に構成され得る。特定の一実施形態において、本発明の操縦可能な内視鏡は、内視鏡外面に沿って配置された複数の電極を有し得る。図示されているこれらの電極は、本文中に記載したように、内視鏡の長さ、又は選択された長さ領域に沿った組織アブレーションを容易にするためのものである。これらの図は、操縦可能な遠位部904及び自動制御可能な近位部902の一部を、内視鏡900上の電極配置の一例として示す。図に見られるように、1又は任意の数の電極906は、内視鏡900の長さに沿って間隔を有して、周方向に、例えばリング状に配置され得る。内視鏡906は、この例においては、均等な間隔で配置されているように示されているが、電極は、内視鏡900の外面上に、どのようなランダムな、任意の、又は特定の配置でも構成され得る。電極906の各々は、対応するワイヤ908を介して電源及び/又はコントローラに電気接続され得る。こうして、全ての電極906が、同時に作動するように、又は、組織と接触し得る選択された電極906のみが作動するように構成され得る。さらに別の変型例において、これもまた先に記載したように、様々なアブレーション装置が所望の領域に配送され得る。
【0061】
図14Bは、別の変型例を内視鏡910にて示す。この例において、電極916は、近位部912及び/又は遠位部914上にて長手方向に延在するように構成され得る。電極は、内視鏡長さに沿った連続したストリップとして構成され得る。或いは、電極916は、図示されているように、内視鏡910上の長手方向に分割されて延在するように構成され得る。分割型の電極916を有することは、選択された電極が組織アブレーション中に作動されることを可能にし得る。図14Bは、例示のために、単一列に配置された電極916を示しているが、図14Cの例に示されているように、複数列の電極が装置の外面上に配置されてもよい。図14Cは、複数列の電極918が内視鏡表面の円周上に均等に間隔を有して配置されている様子を示す。
【0062】
以上に記載したこれらの例は、例示のためのものであり、限定的のためのものではない。どのような他の形状も、内視鏡装置の、周囲組織との過度の接触が回避されるように操縦及び配置される能力により達成され得る。さらに、胸腔内の任意の数の様々な領域に、周囲組織及び器官への損傷を最小限にし、又は全く生じずにアクセスすることが、上記の制御可能な内視鏡装置を用いて達成され得る。内視鏡を用いた他の治療例は、リード配置、植え込み可能な装置の配置、肺の治療(例えば肺気腫治療)などを含み得るが、これらの例に限定されない。
【0063】
容易にされるべき治療に応じて、治療ツール、要素、又は装置と、治療を受ける身体の組織、器官又は部分との接触の程度を増大し、又は位置を保証することが有利であろう。接触を増大し、又は、治療装置の位置を固定するための手段の例は、生体適合性の接着剤、粘着剤及びゲルを単独で用いること、又は、ステープル、吸引、ワイヤ、刺付きフック及び刺無しフック、若しくは、特定の解剖学的構造を取り囲む形状のフックと組み合わせることを含む。特定の解剖学的構造を取り囲む形状のフックの一例は、冠血管系周囲を少なくとも部分的に取り囲むJ字状フックを含む。例えば、J字状フックは、肺静脈を少なくとも部分的に取り囲むように形成され、配置され得る。別の例において、ワイヤ、ステープル、又は他の固定部品が、形状記憶合金材料、例えばニチノール、又は、他の適切な生体適合性の形状記憶合金材料から形成され得る。形状記憶合金固定具は、治療を容易にする以前に治療部位に進んでいくとき、最初の、すなわち収容された状態で保持され得る。治療装置が配置されたならば、形状記憶合金固定具は作動され、形状記憶効果を用いて治療装置を所望の位置に固定し得る。
【0064】
別の実施形態において、治療を容易にするために、磁気部を有する操縦可能な内視鏡が、身体の組織、器官又は領域周辺に配備され得る。その後、操縦可能な内視鏡は、アブレーションシステムを配置するためのガイドとして用いられ得る。永久磁石又は電磁石が、アブレーションシステムを操縦可能な内視鏡付近の所望の位置に磁気的に連結するために用いられ得る。処置が完了したならば、磁界は遮断され、アブレーションシステム及び操縦可能な内視鏡が引き戻される。操縦可能な内視鏡の付近に配備され得る。
【0065】
別の実施形態においては、操縦可能な内視鏡自体が、身体の器官、組織又は部分周囲に治療を行うために巻き付けられ、次いで、治療を促進するために内視鏡自体に固定され得る。或いは、内視鏡の遠位端を、溶解性の縫合糸又は溶解性の生体適合性固定具で固定してもよい。これらの縫合糸及び固定具は、アブレーション治療の完了後まで適切な位置に留まり、次いで、組織に吸収され、又は溶解する。
【0066】
さらに、アブレーション装置若しくは操縦可能な内視鏡、又はこれらの両方の、長さ又は長さの一部に沿って、ニードルのアレイが配置され得る。一実施形態において、RF(高周波)アブレーションをベースとしたデリバリシステムと、治療を受ける組織との接触を増大するために、導電性ニードルのアレイが配置される。ニードルアレイだけでなく、他の適切な要素も、他のアブレーション方法の効率を高めるために用いられ得る。従って、ニードルアレイがRFアブレーションエネルギーの配送の効率を増大するように記載されていても、他の要素及び構成も、他のアブレーション治療方法の効率を増大するために用いられ得ることが理解されるべきである。或いは、非エネルギーベースのアブレーション、例えば、組織の裂傷を用いるアブレーション技術のためには、要素は、組織を切断するための、又は、治療効果を得るために組織を他の何らかの方法で変化させるための、任意の適切な装置であり得る。
【0067】
図15A及び図15Bは、ニードルアレイの一実施形態を示し、図15Aは、ニードルアレイが格納されて(引っ込められて)いる配置を示し、図15Bは、ニードルアレイが配備されている配置を示す。操縦可能な内視鏡又はアブレーション要素1500の一部が断面図で示されている。アブレーションニードル1505,1510は、裏板(バッキングプレート)1515に取り付けられている。ニードルは、収容された位置に維持され(図15A)、裏板が引き込まれており、これにより、操縦可能な内視鏡又はアブレーションシステムが治療部位に前進されるときの偶発的な組織損傷の危険性を低減する。収容位置において、ニードル1505,1510は、操縦可能な内視鏡又はアブレーション要素の外面1502より下に維持されている。内視鏡が治療部位に配置されたならば、裏板1515が配備位置に前方移動される(図15B)。配備位置において、ニードル1505,1510は、操縦可能な内視鏡又はアブレーション要素の外面1502を超えて突出する。治療のために身体内に配置されているとき、ニードル1505,1510は、治療を容易にするために、周囲の組織、器官又は身体部分と適切な接触をするであろう。
【0068】
裏板が、格納位置と配備位置との間を、様々な技術のいずれかを用いて移動され得ることが理解されるべきである。このような技術及び方法の例は、機械的駆動装置、油圧技術、モータ、アクチュエータ、永久磁石、電磁石、ばね荷重アクチュエータ、真空、又は他の慣用の作動手段を含む。或いは、作動手段は、裏板1515を移動させて、ニードルアレイの一部又は全部を格納位置から配備位置に押し出し、これにより、治療を受ける器官、組織又は身体部分と適切に接触させることができる任意の適切な作動力であり得る。
【0069】
別の実施形態において、裏板1515は、外側に連続的に付勢されることが可能である。ここで、「外側に」とは、ニードルが配備位置に移動した位置を示す。ニードルアレイを有するアブレーション要素又は操縦可能な内視鏡は、移動可能なシースによりカバーされ得る。アブレーション要素又は移動可能な内視鏡が所望の位置に配置されたならば、シースが引き込まれ、裏板の付勢を発生させて、ニードルが配備位置に移動されることを可能にする。
【0070】
例示された実施形態の横断面図に1対のニードルが示されている。さらなるニードルが、ニードル1505,1510の付近に、且つニードル1505,1510と同様に配置され得る。さらなるニードルは、例えば、図16に示されているように規則的な連続パターンで配列され得る。或いは、単一のニードル、又は、連続、不連続、又はランダムな配置のニードルの列を用いてもよい。他の構成において、10個より多数のニードルが用いられ得る。例示されたニードル1505,1510は、分離角度θを有する。一実施形態において、分離角度は0度〜180度の範囲で変化し、別の実施形態においては0度〜70度、さらに別の実施形態においては0度〜30度の範囲で変化し得る。これらの角度は用途に応じる。多数のニードルを用いる場合(すなわち、2つ以上の分離角度を有するニードルアレイにおいて)、ニードルは、規則的な分離角度を有し得る。すなわち、ニードルは規則的な角度間隔で配置される。或いは、多数のニードルを用いる構成において、ニードルは、不規則な、又は可変の分離角度で配置され得る。
【0071】
ニードルアレイにおけるニードルの角度配置に加えて、ニードル間の間隔も、連続的又は可変であり得る。ニードルは、均等な間隔で単一の連続セグメントに配置され得る。このような均一のニードルアレイが図16に示されている。アブレーションのために構成されたアブレーション要素又は操縦可能な内視鏡のセクション1600が図16に示されている。ニードル1610が、ニードルの単一のセグメント又はグループ1605にて示されている。
【0072】
図17は、様々なニードル間隔配置を示す3つのセクション(1705,1710及び1715)を有するニードルアレイセグメント1700の実施形態を示す。ニードルアレイセグメント1700は、アブレーション治療を容易にするための所望のニードルアレイ構成を得るために、ほぼ無数にある間隔配置をどのように組み合わせ得るかを示す。セクション1705は、上側ニードルアレイ1726,1728,1730と下側ニードルアレイ1720,1722,1724とを含み、上側ニードルアレイは、下側ニードルアレイより上に、連続して均等に位置合わせして配置されている。この配置は、図16に示したセクション1600と類似している。セクション1705と同様に、セクション1710の上側アレイは、均等に間隔を有して配置されたニードル1732,1734,1736を有する。下側ニードルアレイは、1個のニードルのみが上側アレイと位置合わせされている。ニードル1738がニードル1732と位置合わせされている。下側アレイには、ニードル1736に対応するニードルはない。複数のニードル(1740,1741,1742)が、上側ニードル1734から放射状に間隔を有して配置されている。セクション1710は、セクションの上側ニードルアレイと下側ニードルアレイとの対応がどのようにあり得るか、すなわち、ニードルとニードルとが対応していること(1732,1738)、対応がないこと(1736)、又は、1個のニードルに対して多数のニードルが対応していること(1734と、1740,1741,1742)を示す。
【0073】
セクション1715は、さらに、ニードル配置の構成可能性を示す。上側ニードル1750,1752,1754,1756と、下側ニードルアレイ1766,1768,1770,1771,1772,1773は、両方共、可変の間隔を例示している。また、上側アレイと下側アレイとの間に位置合わせはない。セクション1715は、さらに中間のアレイを示し、中間アレイは、下側ニードル1762,1764と、下側ニードルから間隔を有して配置された上側ニードル1758,1760とを有する。例示された実施形態において、上側ニードルと下側ニードルとは位置合わせされているが、全ての実施形態において位置合わせされる必要はない。さらに、中間アレイは上側アレイ及び下側アレイと位置合わせされずに示されている。これが全ての実施形態において当てはまる必要はない。幾つかの実施形態において、中間アレイは、下側アレイ又は上側アレイのいずれかの全て又は一部と位置合わせされ得る。従って、セクション内のニードルパターンは、所望のアブレーション治療を容易にするために予め決定され、選択され得る。さらに、治療を容易にするために、術前計画技術を用いて、ニードルのタイプ、数、量及びアブレーションパターンを予め決定することができ、適切に組み合わせたセグメント、セクション及びニードルアレイを、操縦可能な内視鏡に装填し、又は、操縦可能な内視鏡を用いて他の方法で配送し得る。
【0074】
図18A及び図18Bは、本発明の回転可能な治療装置の一実施形態の側面図及び等角図である。回転可能な治療装置1800は、アブレーション要素1810をハウジング1805内に含む。ハウジング1805は、また、アブレーション要素1810により発生されたエネルギーがハウジングの外側へ通過することを可能にする開口部1815を含む。開口部1815には、回転可能な治療装置1800が配置される環境と、ハウジング1805の内部との間にシールを形成するカバー1820が設けられている。一実施形態において、ハウジング1805は第1の材料からつくられ、カバー1820は第2の材料からつくられる。アブレーション要素1810により発生され、又はもたらされるエネルギーに関し、アブレーション要素1810により発生されるエネルギーを伝達する大きさは、第1材料が第2材料よりも小さい。別の実施形態において、第1材料は、アブレーション要素により発生されるアブレーションエネルギーと周囲環境とを分離するシールドとして働く。第2材料は、それ以外の部分は遮蔽されたハウジングの伝達窓又は開口として働く。こうして、伝達窓又は開口は、アブレーション要素によりもたらされるエネルギーを、カバー1820付近に位置する組織、器官又は環境に、開口を介して選択的に通過させる。こうして、シールドと開口との有利な組合せにより、周囲領域をアブレーションエネルギーから遮蔽しながら、アブレーションエネルギーを、所望の組織、器官又は位置に、より正確に配送することが可能となる。
【0075】
回転可能なアブレーションデリバリ装置1800には、アブレーション治療を行うことに有用な、生理学的徴候を検知するための検知器1830も設けられている。検知器1830は、ハウジング1805の周囲に配置された複数の検知要素を含み得る。例示された実施形態において、検知器1830は、複数の検知要素1835を含む。検知要素1835は、ハウジング1805の周囲に規則的な間隔で配置されている。各要素から読取り値が得られ、次いで、測定されている生理学的パラメータのための最良の読取り値を、どの要素が得たかが分析される。この決定がなされたならば、回転可能なアブレーション装置1800は、アブレーション治療を促進するための位置に開口部1815を配置するように向けられる。
【0076】
特定の一例において、回転可能なアブレーション装置1800は、心臓心膜のアブレーション治療を容易にするために変更され得る。この例において、検知要素1835は、電気生理学的(EP)活動を検知できる要素であり得る。例えば、検知要素1835は、ECG(心電図)の動きを検知することにより、電気生理学的(EP)活動を検知することができる。各検知器1835により得られる読取り値及び/又は信号強度の例が図19に示されている。図19は、回転可能なアブレーション装置の配置を、治療を促進するために最適化するための技術を示したグラフを示す。慣用のソフトウェア、ハードウェア及び最適化技術を用いて、検知要素1835が、求められる生理学的徴候が生じている位置(ハウジング1805に対する位置)を特定するために用いられ得る。グラフ1900において、所望の活動はピークEP活動である。グラフ1900に従えば、ピークEP活動はセンサ位置5付近で生じている。次いで、この情報は制御システムにより用いられることができ、制御システムはこの情報を用いて、アブレーション装置1800を、センサ5付近でのアブレーション治療を促進する位置へと、関節運動、回転、並進させ、又は他の方法で配置させる。図18A及び図18Bに示された特定の実施形態において、回転可能なアブレーション装置1800は、複数の要素1835、開口部1815及びアブレーション要素1810の相対位置及び向きを有する制御システムの制御下で回転されるであろう。回転可能なアブレーション装置1800は、制御システムの制御下で、開口部1815及び/又はカバー1820をセンサ5の向きに位置合わせさせるために、例えば係合要素1845を用いて回転されるであろう。
【0077】
アブレーション治療の効果を増大させるために、回転可能な複数のアブレーション要素がどのように有利に配備され得るかを示す例を、ここで、図18C及び図18Dを参照しつつ記載する。3つの回転可能なアブレーション要素1800A,1800B及び1800Cが、本発明の操縦可能な内視鏡212内に配置されている。図18Cにおいて、3つのアブレーション要素が、アブレーション要素1800Aのための配備点に達している。回転可能なアブレーション要素1800A,1800B又は1800Cのいずれかを最適化する前の初期位置において、窓1820が位置合わせされていることに留意されたい。先に述べたように、アブレーション要素1800A上の検知器1830は、アブレーション治療が施されるべき望ましい位置を指示することにより、回転可能なアブレーション要素1800A内のアブレーション要素の実効性を高める、という働きをする。図18Bに示されているように、要素1800Aの決定された位置は、窓1820が初期位置から僅かに上方の位置に回転されたときの位置である。また、機械的連結部1845の係合が外されており、従って、制御ケーブル/部品1880は、要素1800Aをもはや回転させない。また、要素1800Aのための固定要素は、図の明確化のために省略されているが、要素1800Aの位置を固定するために係合している。図18Dは、また、コントローラケーブル/部品が1880が、要素1800Bに搭載された検知器1830を、窓1820の位置を最適化するためにどのように用いたかを示している。要素1800Bのための窓1820が下方に回転されていることに留意されたい。この時点で、要素1800Bのための固定要素は、要素1800Bの位置を固定するために係合されている。その後、要素1800Bのための連結部1845は、要素1800Cが位置決めされ得るように解除され、次いで、要素1800Cは、要素1800A及び要素1800Bに関して先に記載したように最適化され得る。このようにして回転可能なアブレーション要素は配置され、この配置構成において、隣り合うアブレーション要素の窓が互いに位置合わせされるのでなく、窓は、用いられるアブレーション要素のための局所的に最適化された位置合わせを反映する。
【0078】
別の実施形態において、生理学的徴候を検知するための検知器は、単一の検知器であってもよい。単一の検知器は、回転可能なアブレーションデリバリ装置1800の面の周囲を移動して生理学的徴候を測定するように作動され得る。そして、得られた測定値は、治療を促進するためにアブレーション要素1810及び開口部1815を配置することを補助するために用いられ得る。特定の一実施形態において、単一の検知器は、回転可能なアブレーション装置の周囲上を移動し、図19と類似の、位置情報に関連する表示強度をもたらし得る。
【0079】
また、固定部材1840が、検知器要素1835からの読取りの間に、又は、治療の促進のためにアブレーション装置を所望の位置に回転させた後に、回転可能なアブレーション装置1800を所望の位置に保持するために設けられる。例示された実施形態において、固定部材1840は、複数の吸引ポート1860を有する真空マニホルド1855であり得る。好ましい実施形態において、固定手段は、治療のためにアブレーション要素を位置合わせするための移動を容易にするように、又は、治療が完了したならば容易に取り外されるように、周囲組織、器官又は対象領域から解放されることができる。
【0080】
内視鏡装置は、また、腹膜腔内での処置のために用いられ得る。可能な用途は、泌尿器の、肥満体治療の、及び肝臓の手術のための低侵襲性手術を含み得る。また、脊髄手術又は整形外科手術の処置のための低侵襲性アクセスも達成され得る。図20は、内視鏡装置を用いて行われ得る腹膜腔内での処置2000の例を示す。図20は、内視鏡装置212を用いる腹膜腔内での処置2000の例を示す。内視鏡212は、患者2002内に、先に記載したように基準点2006としても機能し得るポートを介し、切開2008を通して挿入され得る。遠位部214は、部位2004に向って前進されているとき、様々な器官を避けるように操縦され得る。内視鏡212の遠位部214はこのように操縦されることができ、近位部216は、遠位部214により画成された、周囲の隣接する組織及び器官との接触を最小限にする経路に追従するように自動制御され得る。外科手術を補助するために、1以上の腹腔鏡2010が内視鏡212と随意に組み合わせて用いられ得る。遠位部214が肝臓2004の後方に配置されたならば、様々なツール又は治療装置が、内視鏡212の近位端から、所望の治療を行うために内視鏡を通して前進され得る。この例は、内視鏡212を用いて肝臓2004を治療することを示すが、これは、内視鏡212の実施形態を用いて効果的に治療され得る他の器官又は処置の一例として示されている。
【0081】
上記の論議が示すように、本発明の操縦可能な内視鏡システムは、様々な処置を容易にするために有利に用いられ得る。アブレーション治療を容易にするために用いられる場合、アブレーション要素、装置又はシステムは、セグメント化された操縦可能な内視鏡の一部であることができ、又は、操縦可能な内視鏡により形成された作業チャネル又は他の通路内に配備されることができ、又は、固定された治療要素、装置又はシステムと、移動可能な治療要素、装置又はシステムとの組合せであり得る。従って、本発明の操縦可能な内視鏡システムは、一実施形態において、内視鏡に取り付けられたアブレーション要素、装置又はシステムを、治療部位に、治療のための位置で配備することにより治療を容易にする。内視鏡は、治療中は適切な位置に保持され、治療が完了したならば治療位置から引き戻される。
【0082】
別の変型例において、操縦可能な内視鏡は、治療装置を配備し、且つ/又は治療装置の配置を検査するために用いられ、次いで、治療が続行している間に引き戻される。その後、操縦可能な内視鏡は、治療装置を回収する。さらに別の変型例において、操縦可能な内視鏡は、所望の治療通路にて治療領域に挿入され得る。次いで、操縦可能な内視鏡は、治療装置を適切な位置に残すために、所望の治療通路に沿って引き戻される。操縦可能な内視鏡は、治療が続行している間、治療を目視化するために適切な位置に保持され、生理学的徴候をモニタリングし、又は、他の方法で治療を補助し得る。或いは、操縦可能な内視鏡は、治療領域から、又は、身体から完全に引き出され得る。治療の完了後、操縦可能な内視鏡は、治療装置に沿って前進されることができ、これにより、治療装置を、内視鏡が治療装置に沿って遠位方向に前進するときに除去/収容し得る。治療装置が内視鏡内に収容されたならば、内視鏡は引き出される。このように、治療要素、装置又はシステムを身体内に配置する方法、又は、治療装置の治療領域に対する位置を、行われている処置又は治療の有効性を高めるために固定し、又はその他の方法で維持するための様々な方法が以上に示されている。
【0083】
様々な画像及び制御システムが、操縦可能な内視鏡の制御を容易にするために、上記の技術と別個に、又は組み合わせて用いられ得る。例えば、操縦可能な内視鏡は、記録された通路を用いて、配備された治療装置に沿って前進し、治療装置を外包し、治療装置を配置するために用いたステップを逆にたどる。操縦可能な内視鏡は、また、次の固定具(予めプログラムされた位置にある)を示すために設定された中間地点を、画像システムを用いて識別可能な位置にて追跡し得る。或いは、固定具は、容易な識別のために、他のやり方で(例えばRFID(ICタグ)を用いることにより)構成される。操縦可能な内視鏡は、また、治療装置の回収をガイドするために画像システムを用い得る。操縦可能な内視鏡は、また、フライ・バイ・ワイヤー技術を用い、治療装置を電信部として用いて電子制御(fly by wire)し得る。さらに別の実施形態において、治療装置は、操縦可能な内視鏡内に、マッピング、画像又は他のシステム制御を用いて自動的に引き戻されることができ、これにより、治療装置は経路を引き返し、或いは、治療を行うための内部位置から除去され又は取り外される。
【0084】
本発明の実施形態は、また、穿孔、引裂、切断、穿刺を行うための、或いは、内視鏡が目的の領域にアクセスすることを可能にするために組織の通路又は制御された穿孔部をもたらすための、ツール、装置又はシステムを含み得る。このような装置は、脳にアクセスするために神経系で用いることおいて、例えば、硬膜に適切な開口部を形成するのに適するであろう。このような装置は、心臓にアクセスするために心血管に用いることにおいて、例えば、心膜に開口を形成するために適するであろう。穿孔、引裂、切断、穿刺を行うための、或いは、内視鏡が目的の領域にアクセスすることを可能にするために組織の通路又は制御された穿孔部をもたらすための、ツール、装置又はシステムは、内視鏡の遠位端に永久的に配置され得る。或いは、これらのツール、装置又はシステムは、内視鏡の遠位端に取り付けられて、なお且つ、収容位置と伸展位置との間を移動可能であるように配置され得る。これは、内視鏡が、身体内で目的領域に移動されているときに偶発的な損傷が生じる危険性を最小限にすることを補助するためである。或いはまた、これらのツール、装置又はシステムは、内視鏡内の作業チャネルを通して、慣用の方法でもたらされ得る。これらのツール、装置又はシステムの例は、鋏、電気焼灼用の装置及びシステム、小型スニップ、成形ブレード及び成形先端を含む。
【0085】
本発明の実施形態を、脳、頭蓋内部、心臓内部、心臓外部に治療を施すものとして示し、記載してきたが、本発明の方法及び装置の実施形態が、他の用途にも用いられ得ることが理解されよう。例えば、本発明の実施形態は、身体の他の器官及び部分、例えば、胃、消化管、膀胱、肝臓、腎臓及び肺の疾患の治療を容易にするために用いられ得る。さらに、本発明の実施形態は、身体内の局所的疾患、身体の部分、又は、生理学的システムの障害の治療を容易にするために用いられ得る。
【0086】
以上に論じた装置及び方法の用途は、身体領域に限定されることなく、さらなる多数の治療用途を含み得る。他の治療部位は、身体の他の分野又は領域を含み得る。さらに、本発明は、他の産業的及び商業的環境において用いられ得る。これらは、例えば、パイプシステム、ダクトに行う探査手順、機械的システム(自動車、航空、航空宇宙及び船舶のシステムなどを含む)及び設備の内部調査である。当業者にとって明らかな、本発明を実行するための上記の組立体及び方法の変更、並びに、本発明の態様の変型は、特許請求の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体内の電気生理学的徴候に関する状態の治療を行うためのシステムであって、
操縦可能な遠位端と制御可能な近位端とを有する操縦可能なセグメント化された内視鏡と、
電気生理学的活動を検知し、検知された前記電気生理学的活動のピークを決定することによって、前記身体の部分の状態に関連する電気生理学的徴候を検知し、且つ位置特定をする前記内視鏡に対して配置された複数のセンサを備える第1のシステムと、
前記センサが前記電気生理学的徴候を検知し、且つ位置特定をした後、前記身体の前記部分の画像を得る画像装置を備える第2のシステムと、
前記第1のシステム、前記第2のシステム及び前記内視鏡と通信するコンピュータコントローラであって、検知された前記電気生理学的徴候を示す前記第1のシステムからの情報と、前記第2のシステムからの情報とを受け、前記第1のシステムからの情報及び前記第2のシステムからの情報を用いて前記内視鏡の前記制御可能な近位端を自動的に制御し、前記電気生理学的徴候に関連する前記身体の部分に前記内視鏡を移動するコンピュータコントローラと
を備え、
前記状態が障害又は疾患である、システム。
【請求項2】
前記センサの少なくとも1つが、前記身体の前記部分に対する前記操縦可能な内視鏡の位置を示す信号を生成する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータコントローラが、前記電気生理学的徴候に関連する前記身体の部分において前記内視鏡が前記状態の治療を円滑化するように前記内視鏡を制御する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記身体の前記部分が器官である請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記器官が肝臓である請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記器官が腎臓である請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記身体の前記部分が組織である請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記身体の前記部分が胸腔である請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記身体の前記部分が腹膜腔である請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記身体の前記部分が心臓である請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
検知器が、ハウジングと、前記ハウジングの周囲に配置された複数の検知要素とを含み、前記検知要素が前記身体内の前記電気生理学的活動を検知する請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−24595(P2012−24595A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−200974(P2011−200974)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【分割の表示】特願2006−551580(P2006−551580)の分割
【原出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(506365832)インテュイティブ サージカル, インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】