エネルギー消費計測データ処理装置
【課題】可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理の設定に係るエンジニアリングの手間を削減したエネルギー消費計測データ処理装置を得る。
【解決手段】計測点設定データ92に基づいて、電力消費に係る計測データ25を収集するとともに、計測データ25を集計して処理するために、電力系統に沿った集計データである電力系統集計データ26を処理する電力系統集計データ処理部45を備える。電力系統集計データ処理部45は、電力系統設定データ42と、電力系統設定データ42と計測点設定データ92との対応関係を設定した電力系統計測点対応関係設定データ44とから、電力系統集計データ26を生成するか、または、電力系統集計データ26を生成するための設定を出力する。
【解決手段】計測点設定データ92に基づいて、電力消費に係る計測データ25を収集するとともに、計測データ25を集計して処理するために、電力系統に沿った集計データである電力系統集計データ26を処理する電力系統集計データ処理部45を備える。電力系統集計データ処理部45は、電力系統設定データ42と、電力系統設定データ42と計測点設定データ92との対応関係を設定した電力系統計測点対応関係設定データ44とから、電力系統集計データ26を生成するか、または、電力系統集計データ26を生成するための設定を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エネルギー(電力)の消費の時系列変化を計測したデータの処理を行うエネルギー消費計測データ処理装置に関し、特に処理データの可視化技術および可視化のためのデータ演算技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、化石燃料の枯渇懸念や地球環境保護の観点から、省エネを実現するための対策が種々提案されている。省エネを実現するための対策としては、省エネ効果の高い高効率機器の開発および導入、エネルギーロスミニマム活動による無駄の削減、そして、自然エネルギーの活用およびそのための社会的な基盤整備、などがあげられる。
【0003】
このうち、エネルギーロスミニマム活動を行うということは、エネルギー消費の時系列変化を計測することによって、エネルギー消費の実態を把握し、その中から無駄なエネルギー消費となっている部分を発見し、その無駄を取り除く努力を継続することである。
近年において、エネルギーロスミニマム活動は、CO2排出量の削減を目指す環境負荷低減活動として取り組まれることも多いが、これは直接計測可能なエネルギー消費量をCO2排出量に換算して評価するものである。
【0004】
一般に、直接計測されるエネルギー消費量の代表例としては、電力消費量があげられ、たとえば素材を製造する工場では、電力の他に化石燃料を消費する場合がある。
また、素材を加工して部品を製造する工場や、製造された部品を組み立てて最終製品を供給する工場では、加工装置や組立装置が電力で稼働されることがほとんどである。
【0005】
このように、組み立てを中心とする種々の工場において、使用されるエネルギーのほとんどは電力である。
また、工場内の事務建屋や、工場以外のオフィスビルなどの一般建屋においても、使用されるエネルギーのほとんどは電力である。
【0006】
したがって、電力を消費する工場やオフィスビルなどでは、電力消費量の時系列変化を計測して電力消費量の実態を把握し、無駄な電力消費量を抑える努力をすることが、省エネを実践するために不可欠となる。
また、太陽光発電など、現代のエネルギー転換が進みつつあるなかで、電力消費量の実態把握は、エネルギーロスミニマム活動のみならず、電力需給の予測および制御のためにも、重要なことである。
【0007】
上記要求に応えるために、従来から、対象システムの電力消費量を計測して、電力消費量の実態を把握する支援装置(たとえば、非特許文献1参照)を用いることによって、省エネ対策を実現する活動が行われてきた。
具体的には、非特許文献1に記載の支援装置は、以下の処理を行うものであった。
【0008】
電力消費量の実態把握のためには、まず、電力消費量を計測することから始めなければならないが、どの箇所に計測機器を設置するかを決定する必要がある。その計測点を特定するためには、電力系統(エネルギーフロー)を把握する必要がある。
【0009】
図39は一般的な工場の電力系統を模式的に示すブロック図であり、工場敷地内の受電室および建屋α、β、・・・γに引き通された電力系統(太実線)と、電力系統上の計測点(黒丸)とを示している。
図39において、受電室内では、受電部および変圧部の各入力端に計測点が設定されている。
【0010】
また、建屋αにおいては、エリア1、エリア2内の分電盤、照明X1、X2、空調Y1、Y2、コンセントOA1、OA2、・・・と、生産ラインA、生産ラインB内の製造設備A1、A2、B1、B2、・・・との各入力端に計測点が設定されている。
【0011】
一般に、大規模な工場敷地では、工場全体の電力を特別高圧で受電する受電室があり、受電室から分岐して変圧した高圧電線を工場敷地内の各建屋α〜γに分配している。また、各建屋α〜γ内で分岐して変圧した低圧電線を、建屋内の複数のエリア1およびエリア2に分配している。
【0012】
一方、中小規模の工場敷地では、工場全体の電力を特別高圧または高圧で受電する受電室があり、受電室から分岐して変圧した低圧電線を、工場敷地内の各建屋に分配し、さらに建屋内の各エリアに分配している。
【0013】
図39に示した建屋α内においては、各エリア内に分電盤が設置されており、分電盤でさらに分岐した電力が、その先に接続される末端設備(製造設備A1、A2や照明X1、X2、コンセントOA1、OA2、空調Y1、Y2)に供給されている。
【0014】
ここで、分電盤をどのように分けるか、またはどの分電盤にどの設備を接続するかは、各末端設備の電力使用量と配線の容易性とによって決まる。
たとえば、事務建屋の場合には、エリアごとに分電盤を分けて設置するのが一般的であるが、生産ライン建屋の場合には、エリアごとではなく、生産ラインごとに分電盤を分けて設置する場合もある。
【0015】
図39の建屋αにおいては、生産ライン建屋ではあるが、エリアごとに分電盤を分けて設置している例を示している。
なお、1つの分電盤を複数のエリアや生産ラインで使用することもあれば、1つのエリアや生産ラインが複数の分電盤から電力供給を受けることもある。
【0016】
また、図39には図示されていないが、電力系統の分岐箇所には、遮断器(ブレーカ)が設置されているので、遮断器設置箇所を計測点として電力消費量を計測すれば、各建屋α〜γ内の全体、または、工場敷地内の全体の電力エネルギーフローを把握することが可能となる。
【0017】
そこで、従来から、電力消費量を計測するための設定と、計測結果を可視化するためのデータ演算と、可視化画面の設定とを実現する支援装置(たとえば、非特許文献2参照)が提案されている。
【0018】
以下、図40〜図42を参照しながら、非特許文献2に記載の電力消費計測データ処理装置による具体的な処理について、上記(図39)の工場敷地を適用対象とした場合を例にとって説明する。
【0019】
図40は従来の電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。また、図41は表示画面により可視化を行う際の処理を示すフローチャートであり、計測および工場敷地内の全体の電力エネルギーフローを把握可能にする際の手順を示している。さらに、図42は従来の電力消費計測データ処理装置による可視化画面の例を示す説明図である。
【0020】
図40において、電力消費計測データ処理装置201は、各種データを保存するデータ保存部203と、電力計測器(図示せず)からの電力消費データを取り込む通信処理部4と、計測処理部21と、計測点設定部91と、計測データ集計処理部93と、計測データ表示生成部94と、仮想計測点設定部95と、仮想計測点集計データ処理部97と、検索キー設定部101と、検索キー計測点対応関係設定部103と、検索キー表示生成部105と、を備えている。
【0021】
データ保存部203は、設定データ保存部222と、計測処理部21からの計測データ25を保存する計測データ保存部23と、を備えている。また、データ保存部203は、必要に応じて、集計データ保存部224(破線ブロック参照)を備えている。
【0022】
設定データ保存部222は、各種設定部101、103、95、91で設定された検索キー設定データ102、検索キー計測点対応関係設定データ104、仮想計測点設定データ96および計測点設定データ92を保存する。
【0023】
集計データ保存部224は、計測データ集計処理部93および仮想計測点集計データ処理部97からの集計データを保存するとともに、検索キー表示生成部105への転送時に必要に応じて、保存した各集計データ226を計測データ集計処理部93および仮想計測点集計データ処理部97に入力する。
【0024】
以下、図41を参照しながら、従来の電力消費計測データ処理装置201の処理手順について説明する。
まず、事前準備として、計測および可視化の対象に関して、電力系統を把握し、電力系統のどの箇所を計測するかを決定して、計測機器構成を用意する。
【0025】
たとえば、図39のような工場または事業体内の電力系統において、各建屋またはフロア内の電力消費設備に対応した複数箇所に電力計測器を設置し、建屋またはフロアごとに電力消費計測データ処理装置201を設置した構成とする。
【0026】
図41において、まず、設定処理として計測点の設定(計測点設定データ92の作成)を行う(ステップS201)。
計測点設定部91は、計測点設定データ92を生成し、自身の属する電力消費計測データ処理装置201に対して、計測点を設定する。
【0027】
すなわち、自身の電力消費計測データ処理装置201に関し、電力消費計測データ処理装置201に接続される電力計測器と、データ収集する電力計測器のCH(チャネル)と、データ収集する周期と、データ保存するときのデータ名称と、他の電力消費計測データ処理装置201から取得する(他の電力消費計測データ処理装置201が収集した)電力消費データと、を設定する。
【0028】
なお、電力計測器には、必要に応じて、電力消費量を測定するための電力計測CH(チャネル)を1つのみ有しているものもあれば、2つ以上有しているものもある。
たとえば、複数の電力計測器のうち、4CHを有する電力計測器のそれぞれのCHが4つの計測点の電力消費量を計測し、1CHを有する電力計測器が1つの計測点の電力消費量を計測するように構成され得る。
【0029】
続いて、仮想計測点設定部95は、計算式(後述する)に基づく仮想計測点の設定(仮想計測点設定データ96を作成)を行う(ステップS202)。
すなわち、計測値に対する所望の演算処理式と、データ保存するときのデータ名称とを設定する。これにより、電力計測器によって実際に測定していないが、計測値を演算により求めた結果を仮想計測点として設定することができる。
【0030】
次に、検索キー設定部101は、電力系統を検索キーとして階層構造の設定(検索キー設定データ102の作成)を行う(ステップS203)。
また、検索キー計測点対応関係設定部103は、検索キー計測点対応関係設定データ104を作成し、表示する検索キーおよび計測点を設定する(ステップS204)。
【0031】
すなわち、電力系統を検索キーとして階層構造を設定し、それぞれの計測点(仮想計測点を含む)がどの電力系統であるかを設定する。
これにより、運用時の可視化のための設定として、検索キーを設定して階層構造を定義し、どの検索キー(階層)にどの計測点(仮想計測点を含む)を表示するか、が設定される。
【0032】
次に、運用時において、電力消費計測データ処理装置201は、計測処理部21により、設定された計測点についてデータを収集して保存し(ステップS211)、また、仮想計測点集計データ処理部97により仮想計測点を計算する(ステップS212)。
最後に、演算処理された計測点のデータの可視化画面は、検索キー表示生成部105により階層構造として表示されるとともに、それぞれの計測データのグラフ表示は、計測データ表示生成部94により処理される(ステップS213)。
【0033】
従来の可視化画面の一例としては、トレンドグラフが挙げられる。
これは、収集し保存する処理が継続的に行われているデータの最新状況を、グラフ表示するものである。また、トレンドグラフにおいては、新しいデータ収集が行われた際にグラフ表示が更新されるので、グラフ表示されたデータが、時間経過に合わせて最新値に更新されていく表示となり、グラフが時間とともにずれていく(横に動いていく)表示となる。
【0034】
また、従来の可視化画面の他の例としては、既に収集し保存し終えた過去の電力消費データの日別、週別、月別、年別のグラフ表示が挙げられる。
この場合、たとえば、電力消費データが10分周期に収集されたデータであっても、日別のグラフ表示には時間単位でグラフ表示するために、10分周期のデータを時間単位で集計して(または、1時間間隔の差分を取って)グラフ表示するという処理が行われる。
【0035】
この集計処理は、従来の支援装置においては、計測データ集計処理部93や仮想計測点集計データ処理部97が行うものであって、収集し保存する処理と並行して行うようにしてもよいし、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に行うようにしてもよい。
【0036】
収集し保存する処理と並行して集計処理を行う場合には、集計データ226は、集計データ保存部224に保存された状態となり、グラフ表示する際に表示されるのみとなる。
したがって、グラフ表示の際に集計処理が行われないので、グラフ表示を要求してから実際にグラフ表示されるまでの処理時間が短くなる。しかし、反面では、決してグラフ表示しないような集計データが集計データ保存部224に保存されることになり、データ保存部203の容量が膨大になる可能性がある。
【0037】
一方、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に集計処理を行う場合には、集計データ226を集計データ保存部224に保存しておく必要がないものの、グラフ表示を要求してから実際にグラフ表示されるまでの処理時間が長くなる可能性がある。
【0038】
図42は電力消費計測データ処理装置201の可視化画面の例を示している。
図42において、計測点vの計測グラフは、計測したデータをそのままグラフ表示して可視化している。また、仮想計測点gは、計測点t、u、vの総計値(g=t+u+v)として設定されている。
このような設定、計測、可視化により、各建屋内の全体、または、工場敷地内の全体の電力エネルギーフローが把握することができる。
【0039】
なお、より詳細な電力消費実態を把握するためには、集計方法などを工夫して可視化する必要がある。
たとえば、工場の場合には、事務建屋もあれば生産ライン建屋もあるので、各建屋によって電力消費量の傾向が異なる。また、事務建屋であっても、各フロアに在籍する人数が異なるので、そこで稼動するOA機器の数も異なる。同様に、生産ライン建屋であっても、それぞれの生産ラインで稼働する製造設備も異なる。
【0040】
したがって、より詳細な電力消費実態を把握するためには、計測データを生産ラインや設備種別ごとに集計し、また、製造された製品ごとに集計して可視化する方法が有効となる。
具体的には、生産ラインごとの電力消費量の実態を把握するためには、計測データの中から当該生産ラインに属するものを集計して、当該生産ラインの電力消費時系列データを作成し、それらデータをグラフ表示して可視化することが有効となる。
また、集計用に必要な計測点を測定していない場合には、測定している計測点のデータから、集計のために必要なデータを近似的に作成する必要がある。
【0041】
たとえば、図39において、照明X1は、生産ラインAのエリア1と生産ラインBのエリア1との部分に寄与しているが、照明X1の計測点においては、生産ラインごとの個別の電力消費量を計測しておらず、エリア1の全体の照明電力を計測している。
【0042】
このような場合には、エリア1の全体を照明する電力供給点(計測点)で計測された時系列データを、各生産ラインA、Bのエリア1の部分の照明の電力消費時系列データへと比例配分計算することにより、近似的に解決する。
比例配分比率は、均等であってもよく、生産ラインA、Bの面積比、照明器具数の比、または照明器具のワット数総計の比であってもよく、さらに過去の経験的なデータから決定してもよい。
【0043】
上記のように近似的に解決する状況はしばしば起こり得る。なぜなら、詳細な電力消費量の実態を把握しようとしても、設置する電力計測器数が増えれば、その分だけ計測のためのコストが増大するので、電力計測器数を抑制する必要があるからである。
また、比例配分によって十分に近似可能な場合には、細かく多数の電力計測器を設置する効果は薄くなり、逆にコストのみが増大することになる。
【0044】
どの程度まで細かく電力計測器を設置するかは、どの程度に電力消費実態を把握する必要があるか、および、計測用のコストをどの程度まで費やすことができるか、に鑑みて、費用対効果を考慮して決定されるものである。
しかし、従来の支援装置を用いた場合には、上述した計測用の設定、可視化用のデータ演算、および、可視化画面の設定は、それぞれを手動で設定(または、プログラミング)する必要がある。
【0045】
特に、電力消費量の実態を十分に把握するために必要な可視化画面の作成、および、可視化用のデータ演算処理の作成、すなわち、計測データを生産ラインや設備種別ごとに集計すること、さらに、製造された製品ごとに集計するデータ演算を仮想計測点として設定する作業、および、仮想計測点を階層構造に沿って分かり易く可視化するために検索キーを設定し、どの計測点がどの検索キーに属するのかを設定する作業など、電力消費量の実態が十分に把握できるような集計や可視化を提供するための多大なエンジニアリングコストが要求される。
また、可視化画面の作成および可視化用のデータ演算処理の作成に要するエンジニアリングコストは、詳細な電力消費量の実態を把握しようとすればするほど、ますます増大することになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0046】
【非特許文献1】三菱省エネデータ収集ソフト(EcoViewerII)設定ソフトウェア取扱説明書 IB63178
【非特許文献2】三菱省エネデータベースサーバソフトウェア(EcoManagerII)取扱説明書(サーバ編)IB63440
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
従来のエネルギー消費計測データ処理装置は、計測用の設定、可視化用のデータ演算、および、可視化画面の設定を、それぞれ手動で設定(または、プログラミング)する必要があるので、詳細な電力消費量の実態を把握するためには、多大なエンジニアリングコストを要するという課題があった。
【0048】
また、エンジニアリングコストが限られている場合には、電力消費量の実態を十分に把握するために必要な処理、すなわち、計測データを生産ラインや設備種別ごとに集計すること、製造された製品ごとに集計するデータ演算、および、演算結果を階層構造に沿って可視化することを十分に行うことができないので、電力消費量の実態把握作業を直感的に行うための分かり易い画面が十分に提供されず、結果として不十分な電力消費量の実態把握にとどまり、無駄が発見できずに、効果的な省エネ対策を達成することができないという課題があった。
【0049】
さらに、近年では、コスト要因として機器コストは相対的に低くなり、計測機器も安価になっていることから、多数の計測点を取り扱う傾向にあるので、可視化用のデータ演算および分かり易い可視化画面の設定に要するエンジニアリングコストがますます増大するという課題があった。
【0050】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理の設定に係るエンジニアリングの手間を削減したエネルギー消費計測データ処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0051】
この発明に係るエネルギー消費計測データ処理装置は、計測点設定データに基づいて、エネルギー消費に係る計測データを収集するとともに、計測データを集計して処理するエネルギー消費計測データ処理装置であって、エネルギー系統に沿った集計データであるエネルギー系統集計データを処理するエネルギー系統集計データ処理部を備え、エネルギー系統集計データ処理部は、エネルギー系統設定データと、エネルギー系統設定データと計測点設定データとの対応関係を設定したエネルギー系統計測点対応関係設定データとから、エネルギー系統集計データを生成するか、または、エネルギー系統集計データを生成するための設定を出力するものである。
【発明の効果】
【0052】
この発明によれば、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理を自動的に抽出することにより、エンジニアリングの手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施の形態1〜6に係る電力消費計測データ処理装置の概略的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1〜4が適用される電力消費計測対象システムの全体構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1、2に係る電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1による処理手順を示すフローチャートである。
【図5A】この発明の実施の形態1による電力系統設定データと計測機器構成設定データとの相互関係(電力系統計測機器対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図5B】この発明の実施の形態1による電力系統設定データと計測点設定データとの相互関係を示す説明図である。
【図5C】この発明の実施の形態1による計測機器構成設定データと計測点設定データとの相互関係を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1においてツリー構造を記述するデータフォーマットに基づき記述した電力系統設定データを示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1において関連付けを記述するデータフォーマットに基づき記述した電力系統計測点対応関係設定データを示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による電力系統に基づくデータの集計処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1よる計測データ可視化画面を電力系統グラフ表示で示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による計測データ可視化画面を計測機器構成で示す説明図ある。
【図11】この発明の実施の形態1による計測データ可視化画面を電力系統割合表示で示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態1、2に係る電力消費計測データ処理装置の他のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態1による処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態2による処理手順を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態2による電力系統設定データと空間構造設定データとの相互関係(空間構造電力系統対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態2による空間構造に基づくデータ集計処理を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態2による計測データ可視化画面を空間構造グラフ表示および空間構造割合表示で示す説明図である。
【図18】この発明の実施の形態2による処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施の形態3、4に係る電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図20】この発明の実施の形態3による処理手順を示すフローチャートである。
【図21】この発明の実施の形態3による電力系統設定データと設備種別設定データとの相互関係(電力消費設備電力系統対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図22】この発明の実施の形態3による電力系統に基づくデータの設備種別を加味した集計処理を示すフローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態3による計測データ可視化画面を設備種別グラフ表示で示す説明図である。
【図24】この発明の実施の形態3による計測データ可視化画面を設備種別割合表示で示す説明図である。
【図25】この発明の実施の形態4による処理手順を示すフローチャートである。
【図26】この発明の実施の形態4による空間構造設定データと電力消費設備設定データとの相互関係(空間構造電力消費設備対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図27】この発明の実施の形態4による空間構造に基づくデータの集計処理を示すフローチャートである。
【図28】この発明の実施の形態4による計測データ可視化画面を空間構造グラフ表示および設備種別グラフ表示で示す説明図である。
【図29】この発明の実施の形態4において空間構造を生産ライン構造にした場合の空間構造設定データと電力消費設備設定データとの相互関係(空間構造電力消費設備対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図30】この発明の実施の形態5、6が適用される電力消費計測対象システムの全体構成を示すブロック図である。
【図31】この発明の実施の形態5、6に係る電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図32】この発明の実施の形態5による処理手順を示すフローチャートである。
【図33】この発明の実施の形態5による計測機器構成設定データと設備種別設定データとの相互関係(電力消費設備制御データ対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図34】この発明の実施の形態5による計測データ可視化画面を、制御情報を加味した設備種別グラフ表示で示す説明図である。
【図35】この発明の実施の形態6による処理手順を示すフローチャートである。
【図36】この発明の実施の形態6による生産工程設定データと設備種別設定データとの相互関係を示す説明図である。
【図37】この発明の実施の形態6による生産工程に基づくデータの集計処理を示すフローチャートである。
【図38】この発明の実施の形態6による計測データ可視化画面を生産工程グラフ表示で示す説明図である。
【図39】一般的な工場敷地内の電力系統を模式的に示すブロック図である。
【図40】従来の電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図41】従来の電力消費計測データ処理装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図42】従来の電力消費計測データ処理装置による電力消費量の可視化画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る電力消費計測データ処理装置1の概略的なハードウェア構成を示すブロック図である。
ここでは、前述と同様に、代表的に電力エネルギーを測定対象として説明するが、電力以外の任意のエネルギーを測定対象とした場合でも、同様に適用可能なことは言うまでもない。
【0055】
図1において、電力消費計測データ処理装置1は、本体の演算処理機能を構成するマイクロプロセッサ2と、各種メモリからなるデータ保存部3と、電力計測器(図示せず)からの電力消費データを取り込む通信処理部4と、各種センサ(図示せず)からのアナログ信号を取り込みデジタルデータへ変換する信号入力部5と、信号出力部6と、各種表示生成部(図3とともに後述する)を含む表示処理部7と、オペレータからの入力インタフェイスとなる操作入力部8と、可視化画面を表示する表示装置9と、を備えている。
【0056】
図2はこの発明の実施の形態1が適用される電力消費計測対象システム(工場または事業体(κ)17)の全体構成を示すブロック図である。
図2において、電力消費計測データ処理装置1は、工場または事業体(κ)17内の複数箇所に設置されている。
【0057】
工場または事業体(κ)17には、電力系統(κ)11と、電力計測器(a)12と、電力消費計測データ処理装置(κ)1と、建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16と、が設置されている。
建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16内には、それぞれ、電力消費計測データ処理装置(α)1、(β)1、(γ)1が設置されている。
【0058】
建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16は、それぞれ同一構成を有しているので、図2においては、代表的に、建屋またはフロア(α)16のみが詳細に示されている。
建屋またはフロア(α)16には、電力消費計測データ処理装置(α)1と、電力計測器(f)12と、エリア(1)14およびエリア(2)14と、が設置されている。
【0059】
エリア(1)14には、電力消費設備(X1、Y1)13および電力計測器(p)12と、生産ライン(A)15(または、小規模なセル)内の電力消費設備(A1)13および電力計測器(q)12と、生産ライン(B)15内の電力消費設備(B1)13および電力計測器(r)12と、が設置されている。
【0060】
同様に、エリア(2)14には、電力消費設備(X2、Y2)13および電力計測器(t)12と、生産ライン(A)15内の電力消費設備(A2)13および電力計測器(u)12と、生産ライン(B)15内の電力消費設備(B2)13および電力計測器(v)12と、が設置されている。
【0061】
複数の電力計測器(f)12、(p)12〜(r)12、(t)12〜(v)12は、電力消費計測データ処理装置(α)1に接続されている。
なお、建屋またはフロア(α)16内の電力系統には、電力計測器が設置されない仮想計測点g、h、iが設定されている。また、工場または事業体(κ)17内の電力系統には、電力計測器が設置されない仮想計測点eが設定されている。
【0062】
工場または事業体(κ)17において、複数の建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16のそれぞれに設置された電力消費計測データ処理装置(α)1、(β)1、(γ)1は、工場または事業体(κ)17内の全体を管理する電力消費計測データ処理装置(κ)1に接続されている。
また、電力消費計測データ処理装置(κ)1には、他の工場または事業体(λ)17内の全体を管理する電力消費計測データ処理装置(λ)1が接続されている。
【0063】
前述と同様に、電力消費量は、複数の計測点に設置された電力計測器12によって計測され、電力計測器12には、電力消費量を測定するための電力計測CH(チャネル)を1つのみ有しているものもあれば、2つ以上有しているものもある。
図2においては、4CH(κ、b、c、d)を有する電力計測器(a)12の各CHが4つの計測点κ、b、c、dの電力消費量を計測し、1CH(たとえば、p)を有する電力計測器(p)12が1つの計測点pの電力消費量を計測する例を示している。
【0064】
図3はこの発明の実施の形態1に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図3において、電力消費計測データ処理装置1は、データ保存部3と、通信処理部4と、計測処理部21と、電力系統設定部41と、電力系統計測点対応関係設定部43と、空間構造設定部51と、空間構造電力系統対応関係設定部53と、計測点設定部91と、電力系統集計データ処理部45と、電力系統集計表示生成部46と、空間構造集計データ処理部55と、空間構造集計表示生成部56と、計測データ集計処理部93と、計測データ表示生成部94と、を備えている。
【0065】
また、電力消費計測データ処理装置1は、必要に応じて、計測機器構成設定部31、計測機器構成計測点対応関係設定部33および計測機器集計表示生成部36(1点鎖線ブロック参照)を備えている。
【0066】
なお、図3においては、電力計測器12からの電力消費データを、通信処理部4を介して取り込む構成としているが、電力消費計測データ処理装置1が、電力計測器12の処理機能を含む場合には、通信処理部4に代えて信号入力部5(図1参照)を設けてもよい。この場合、信号入力部5には、デジタルデータではく、アナログ信号が入力されることになる。
【0067】
データ保存部3は、設定データ保存部22と、計測処理部21からの計測データ25を保存する計測データ保存部23と、を備えている。
また、データ保存部3は、必要に応じて、集計データ保存部24(破線ブロック参照)を備えている。
【0068】
集計データ保存部24は、各種処理部45、55、93から所定サンプリング周期で取得される電力系統集計データ26(以下、後述の各種集計データを含めて、単に「集計データ26」ともいう)を保存し、必要に応じて出力することにより、各種処理部45、55、93を介して、各種表示生成部46、56、36に入力する。
なお、集計データ26は、空間構造集計データ(実施の形態2とともに後述する)をも含み得る。
【0069】
設定データ保存部22は、各種設定部41、43、51、53からの電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、空間構造設定データ52および空間構造電力系統対応関係設定データ54を保存する。
【0070】
また、設定データ保存部22は、必要に応じて、計測機器構成設定部31および計測機器構成計測点対応関係設定部33からの、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を保存して計測機器集計表示生成部36に入力する。
【0071】
図1〜図3に示した電力消費計測データ処理装置1は、図2内の電力計測器12によって計測される電力消費データを、通信処理部4を介して収集し、データ保存部3に時系列に保存する。または、他の電力消費計測データ処理装置1が収集した電力消費データを、通信処理部4を介して取得し、データ保存部3に保存する。
【0072】
このとき、あらかじめ、データ名称および収集周期を設定するとともに、どの電力計測器12のどのCHのデータを収集するか、または、どの電力消費計測データ処理装置1が収集したどの電力消費データを取得するか、を設定しておき、この設定内容にしたがってマイクロプロセッサ2が処理を制御する。
なお、計測点設定データ92の設定処理は、計測点設定部91によって行われ、設定された計測点設定データ92は、電力消費計測データ処理装置1内の設定データ保存部22に保持される。
【0073】
または、計測点設定データ92の設定処理は、電力消費計測データ処理装置1とパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と略称する)とを、通信処理部4を介して接続して行うことも可能である。この場合、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで設定作業を行い、その設定データを電力消費計測データ処理装置1に転送してもよく、または、電力消費計測データ処理装置1内の操作入力部8を用いて設定してもよい。
すなわち、計測点設定部91は、電力消費計測データ処理装置1が備える代わりに、
パソコン上の設定ソフトウェアが備えてもよい。他の各種設定部41、43、51、53、31、33についても同様である。
【0074】
また、あらかじめ電力消費量の上限値を設定しておき、計測した電力消費量が上限値を超えた時点で、信号を出力して何らかの制御を行うことを目的として、電力消費計測データ処理装置1に信号出力部6(図1参照)を設ける場合もある。
【0075】
表示装置9で表示する画面は、表示処理部7により生成される。表示処理部7は、たとえば、収集した時系列データのグラフ表示画面を生成する。
なお、図1においては、表示装置9を電力消費計測データ処理装置1に設けたが、表示装置9を電力消費計測データ処理装置1とは別に独立設置し、通信処理部4を介して電力消費計測データ処理装置1に接続してもよい。
【0076】
表示装置9が電力消費計測データ処理装置1に設けられる場合とは、たとえば、表示装置9が液晶画面(LCD)からなる場合である。この場合、電力消費計測データ処理装置1内の表示処理部7は、LCDコントローラ(LCDを制御するためのハードウェア)となる。
【0077】
一方、表示装置9が電力消費計測データ処理装置1に設けられない(独立した表示装置9が通信処理部4を介して接続される)場合とは、たとえば、表示装置9がWeb画面(パソコンなどのクライアント端末)からなる場合である。この場合、電力消費計測データ処理装置1内の表示処理部7は、Webサーバとなる。
【0078】
以下、図1〜図3とともに、図4〜図7を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る機能について説明する。
図4はこの発明の実施の形態1による設定および運用の処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
図5Aは電力系統設定データ42と計測機器構成設定データ32との相互関係(電力系統計測機器対応関係設定データ)を示す説明図であり、破線矢印は電力系統計測点対応関係設定データ44に対応している。
図5Bは電力系統設定データ42と計測点設定データ92との相互関係を示す説明図であり、破線矢印は電力系統計測点対応関係設定データ44に対応している。
図5Cは計測機器構成設定データ32と計測点設定データ92との相互関係を示す説明図であり、計測機器構成計測点対応関係設定データ34に対応している。
【0080】
図6は電力系統設定データ42の記述例を示す説明図であり、ツリー構造を記述するデータフォーマットに基づき記述した場合を示している。
図7は電力系統計測点対応関係設定データ44の記述例を示す説明図であり、関連付けを記述するデータフォーマットに基づき記述した場合を示している。
【0081】
ここで、設定および運用処理手順について説明する前に、計測点設定データ92および電力系統計測点対応関係設定データ44について、また、図9〜図11を参照しながら、計測機器構成計測点対応関係設定データ34について、さらに具体的に説明する。
【0082】
まず、計測点とは、計測点設定データ92における個々の設定であり、たとえば図2においては、電力系統11の中で、4CH(4箇所の電力を計測する機能)を有する電力計測器(a)12が、各計測点(κ、b、c、d)を計測し、また、1CH(1箇所の電力のみを計測する機能)を有する電力計測器(p)12が、計測点(p)を計測している例が示されている。
【0083】
計測点設定データ92は、前述のように、電力消費計測データ処理装置1に対して設定されるものであり、どの電力計測器12が計測したデータを、どの周期で収集し、どのような名称でデータ保存するか、について設定するデータからなる。
すなわち、計測点設定データ92は、そのような電力消費に係るデータ収集保存のための「設定の総称」であり、個々の電力消費のデータ収集保存のための設定を「計測点」という用語で表している。
【0084】
具体的には、計測点pについてのデータ収集保存のための設定と、計測点qについてのデータ収集保存のための設定と、計測点rについてのデータ収集保存のための設定と、・・・、のすべての設定の総称を、計測点設定データ92としている。もちろん、計測点が1点しかない場合には、計測点設定データ92には、1つの計測点の設定のみしか含まれないことになる。
【0085】
つまり、計測点設定データ92には、電力系統に関する情報(電力系統設定データ42)、および、装置と機器との間の通信接続に関する情報(電力消費計測データ処理装置1と電力計測器12との通信接続関係を記述した計測機器構成設定データ32)が含まれていない。
【0086】
このため、集計方法などを工夫して可視化するためには、従来装置では、仮想計測点設定データ96や検索キー設定データ102などをマニュアルで設定する必要があった。よって、この発明の実施の形態1は、上記設定の手間を削減することを目的としている。
【0087】
電力系統計測点対応関係設定データ44は、計測点が、電力系統11のどこの部分を計測しているのか、を設定するものであり、計測点設定データ92の個々の計測点と、電力系統11を記述する電力系統設定データ42が示すツリー構造の要素(ノード)と、の対応関係を設定するデータ(図5B内の破線矢印)に相当する。
【0088】
電力系統計測点対応関係設定データ44の設定手順としては、まず、図2内の電力消費計測データ処理装置(α)1に対して、図5B内の2点鎖線ブロックで示すように、計測点設定データ92(計測点f、p、q、r、t、u、v)を設定する。
【0089】
次に、電力消費計測データ処理装置(κ)1に対して、図5B内の1点鎖線ブロックで示すように、計測点設定データ92(計測点CH1、CH2、CH3、CH4)を設定するとともに、電力消費計測データ処理装置(α)1に対して設定した計測点設定データ92(計測点f、p、q、r、t、u、v)を流用する。
【0090】
このように、電力消費計測データ処理装置(κ)1に対して設定した計測点設定データ92の個々の計測点ついて、電力系統設定データ42が示すツリー構造の要素(ノード)との対応関係を設定していくことにより、図5B内の破線矢印のように、電力系統計測点対応関係設定データ44(図5B内の破線矢印参照)が得られる。
また、電力系統計測点対応関係設定データ44を、データ形式で表現すると、図7のようになる。
【0091】
計測機器構成計測点対応関係設定データ34は、計測点が、計測機器構成のどこの部分の機器で計測されているのかを設定するものであり、計測点設定データ92の個々の計測点と、計測機器構成設定データ32(装置と機器との間の通信接続関係を記述する)が示すツリー構造の要素(ノード)と、の対応関係を設定したデータ(図5C内の破線矢印)に相当する。
【0092】
計測機器構成計測点対応関係設定データ34の設定手順としては、まず、電力消費計測データ処理装置(α)1に対して、図5C内の2点鎖線ブロックで示すように、計測点設定データ92(計測点f、p、q、r、t、u、v)を設定する。
【0093】
次に、電力消費計測データ処理装置(κ)1に対して、図5C内の1点鎖線ブロックで示すように、計測点設定データ92(計測点CH1、CH2、CH3、CH4)を設定するとともに、電力消費計測データ処理装置(α)1に対して設定した計測点設定データ92(計測点f、p、q、r、t、u、v)を流用する。
【0094】
このように、電力消費計測データ処理装置(κ)1に対して設定した計測点設定データ92の個々の計測点ついて、計測機器構成設定データ32が示すツリー構造の要素(ノード)との対応関係を設定していくことにより、図5C内の破線矢印のように、計測機器構成計測点対応関係設定データ34が得られる。
【0095】
図5Aにおいては、図5Bおよび図5Cが集約して記述されており、図5A内のCH1(計測点CH1)のように示した部分が図5Cに相当し、図5A内の破線矢印が図5B内の破線矢印に相当する。
【0096】
図9〜図11はこの発明の実施の形態1よる計測データ可視化画面を示す説明図であり、図9は電力系統グラフ表示、図10は計測機器構成(計測機器構成計測点対応関係設定データ34の結果)、図11は電力系統割合表示を、それぞれ示している。
計測機器構成計測点対応関係設定データ34を設定することにより、計測機器構成で示した計測データ可視化画面(図10)が完成する。
【0097】
図10が表示するツリー構造は、計測機器構成設定データ32が示すツリー構造そのものである。
図10が表示するツリー構造から提示されるグラフは、計測機器構成設定データ32が示すツリー構造の当該ノードに対応した計測点のグラフであり、ここで、計測機器構成計測点対応関係設定データ34が必要となる。
【0098】
なお、計測機器構成計測点対応関係設定データ34を設定しなくても、電力系統グラフ表示および電力系統割合表示で示した計測データ可視化画面(図9、図11)は完成する。計測データ可視化画面(図9、図11)を完成させるための処理(図8のフローチャート)については、後述する。
図8のフローチャート(後述する)の実行に際して、計測機器構成計測点対応関係設定データ34は無関係(不要)であり、不可欠なものは、電力系統計測点対応関係設定データ44である。
【0099】
この発明の実施の形態1においては、各設定データを一括して設定する場合を示している。
図5Cからも分かるように、計測機器構成計測点対応関係設定データ34には、特別な意味のある情報が含まれておらず、計測機器構成設定データ32で示されるツリーの要素(ノード)が、そのまま計測点になっている、と解釈することができる。言い換えれば、その反対解釈として、計測機器構成設定データ32で示されるツリーの要素(ノード)が、そのまま計測点となるように、計測機器構成設定データ32を作成すればよい、ということになる。
【0100】
ただし、「起こり得るすべてのケースにおいて、ツリー構造の要素(ノード)がそのまま計測点となるように、計測機器構成設定データ32を作成できるか?」という問題が残るので、結局、計測機器構成計測点対応関係設定データ34は必要ということになる。
しかし、ほとんどの場合においては、ツリー構造の要素(ノード)がそのまま計測点となるように設定可能なので、電力系統設定データ42で示されるツリー構造の要素(ノード)と、計測機器構成設定データ32で示されるツリー構造の要素(ノード)との対応関係を、図5Aのように記載すればよい、ということになる。
【0101】
図3および図4において、まず、設定段階の処理手順として、電力系統をツリー構造で記述した電力系統設定データ42を作成する(ステップS1)。
このとき、電力系統設定データ42は、操作入力部8を備えた電力消費計測データ処理装置1に対し、別途に設けられた電力系統設定部41を用いて作成することができる。
【0102】
または、電力系統設定データ42は、ツリー構造を記述するためのデータフォーマット(たとえば、XML)にしたがって直接編集する形態で作成してもよく、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアを用いて作成してもよい。
【0103】
図2の具体例で示した電力系統(κ)11において、電力系統設定データ42をツリー構造で記述すると、図5A内の左側のツリー構造のようになる。ただし、電力系統設定データ42のみでは、電力系統(κ)11の各ノードがツリー構造で認識されるものの、各ノードが計測点であるか否かを認識することはできない。
【0104】
したがって、計測点であるか否かを認識するためには、図3内の電力系統計測点対応関係設定データ44が必要となる。または、計測機器構成設定データ32(図5A内の右側ツリー構造)および計測機器構成計測点対応関係設定データ34(図5A内の破線矢印)が必要となる。
なお、電力系統設定データ42のデータ記述(計測点との対応関係)は、たとえば図6のように表される。
【0105】
図4に戻り、続いて、計測点を設定して、計測点設定データ92を作成する(ステップS2)。
計測点設定データ92は、自身の電力消費計測データ処理装置1に接続されるどの電力計測器12のどのCHのデータ(従来の設定内容)を、どのような周期で収集し、どのようなデータ名称でデータ保存するか、という設定内容を含む。または、計測点設定データ92は、他の電力消費計測データ処理装置1が収集したどの電力消費データを取得するか、という設定内容を含む。
なお、計測点設定データ92は、従来と同様に、計測点設定部91により設定される。
【0106】
続いて、計測点設定データ92の作成に加えて、必要に応じて、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を作成する(ステップS3)。
計測機器構成設定データ32は、電力消費計測データ処理装置1および電力計測器12の接続関係をツリー構造で記述したデータであり、計測機器構成計測点対応関係設定データ34は、どの計測点がどの計測機器(電力計測器12)によって計測されるのかを示すデータである。
【0107】
すなわち、計測機器構成設定データ32は、従来と同様の計測点設定データ92に、計測機器の構成情報および計測機器と計測点との対応関係を付加したデータである。
計測機器構成設定データ32は、ツリー構造を記述するためのデータフォーマット(たとえば、XML)にしたがって、計測機器構成設定データ32を直接編集する形態で作成してもよく、または、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで作成してもよい。
【0108】
また、計測機器構成設定データ32は、操作入力部8(図1)を備えた電力消費計測データ処理装置1に対し、図3のように、別途に計測機器構成設定部31および計測機器構成計測点対応関係設定部33を設け、計測機器構成設定部31および計測機器構成計測点対応関係設定部33を用いて作成してもよい。
【0109】
図2の具体例で示した電力消費計測データ処理装置1および電力計測器12の接続関係すなわち計測機器構成設定データ32をツリー構造で記述すると、図5A内の右側のツリー構造のようになる。
【0110】
図5A内の右側のツリー構造において、末端ノード(それ以上の下位構造が存在しないノード)に計測点が対応付けられており、たとえば、「電力計測器aのCH1」が「計測点CH1」に対応している。
この対応付けを記述したものが計測機器構成計測点対応関係設定データ34である。すなわち、計測機器構成(ツリー構造)の末端ノードは、計測点と同じ取り扱いが可能となる。
【0111】
図4に戻り、続いて、電力系統計測点対応関係設定データ44を作成する(ステップS4)。
電力系統計測点対応関係設定データ44は、各計測点が計測する電力消費量が電力系統11のツリー構造のどのノードの電力であるのか(電力系統11における、どの計測点の電力消費量であるのか)を、各計測点と電力系統設定データ42の各ノード(各分岐点)との間で対応付けたデータである。
【0112】
電力系統計測点対応関係設定データ44は、対応付けを記述するためのデータフォーマット(たとえば、XML)にしたがって直接編集する形態で作成してもよいし、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアを用いて作成してもよい。
【0113】
または、電力系統計測点対応関係設定データ44は、操作入力部8(図1)を備えた電力消費計測データ処理装置1に対し、図3のように、別途に電力系統計測点対応関係設定部43を設け、電力系統計測点対応関係設定部43を用いて作成してもよい。
なお、電力系統計測点対応関係設定部43は、電力系統設定部41の一部機能として設けられてもよく、計測点設定部91または計測機器構成設定部31の一部機能として設けられてもよい。
【0114】
また、電力系統計測点対応関係設定部43は、図3のように、電力系統設定部41、計測点設定部91および計測機器構成設定部31などとは別途に独立して設けてもよい。
さらに、電力系統計測点対応関係設定部43は、電力系統設定部41および計測点設定部91の設定機能、または、計測機器構成設定部31および電力系統計測点対応関係設定部43の設定機能、を統合した一括的な設定部として設けてもよい。
【0115】
図5Aにおいては、電力系統ツリー構造(左側)と計測機器構成ツリー構造(右側)とを、破線矢印で関連付けた状況が示されている。
図5Aにおいて、破線矢印で示される「関連付け情報」が電力系統計測点対応関係設定データ44に相当する。また、電力系統計測点対応関係設定データ44のデータ記述は、たとえば図7のように表される。
【0116】
上記観点から、図5Aのツリー構造(電力系統計測点対応関係設定データ44)は、以下の手順により記述される。
まず、電力系統設定データ42を、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアにより、電力系統ツリービューの形式で(たとえば、後述する図9のツリービューの電力系統タブで示されるように)設定する。
【0117】
また、電力系統設定データ42と同様に、計測機器構成設定データ32を、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアにより、計測機器構成ツリービューの形式で(たとえば、後述する図10のツリービューの計測機器タブで示されるように)設定する。
【0118】
続いて、電力系統ツリービューの各ノードに対して、計測機器構成ツリービューのどの末端ノード(すなわち、計測点)によって計測しているかを設定していく(または、計測機器構成ツリービューの各末端ノードに対して、電力系統ツリービューのどのノードの電力消費量を計測しているかを設定していく)。
これにより、図5Aのように、電力系統計測点対応関係設定データ44の記述例が得られる。
【0119】
なお、電力系統11におけるどの計測点の電力消費量であるのかを設定する前の初期状態において、電力系統設定データ42の各ノード(分岐点や末端)は、すべて、自動算出される仮想計測点として取り扱われる設定となっている。
そして、上述のように、電力系統におけるどの計測点の電力消費量であるのかが設定されていく。すなわち、実際に計測されるノードについては、仮想計測点として取り扱わず、計測点として取り扱うものとして、設定していくのである。
【0120】
このとき、電力計測器12と関連付けられなかったために仮想計測点として取り扱われることとなった電力系統設定データ42の各ノード(分岐点や末端)のうち、電力消費量が一意に決定可能なノードに関しては、自動算出のままでよいが、電力消費量が一意に決定することが不可能なノードに関しては、そのノードの電力消費について経験的に分かっている定常値または比例配分比を設定する。
【0121】
ここで、定常値または比例配分比は、電力系統のツリー構造において末端から設定されていく。
たとえば、図5A内の仮想計測点h(図2参照)に関して、仮想計測点hの電力消費量が、定常的にほぼ一定値であることが経験的に分かっている(推察される)場合には、既知の電力消費量の定常値jを仮想計測点hに設定する。
【0122】
一方、仮想計測点hの電力消費量が、計測点fの電力消費量に対してほぼ比例傾向を示すことが経験的に分かっている場合には、既知の比例係数kを用いて、「h=k×f」を仮想計測点hの電力消費量として設定すればよい。
図5Aにおいては、仮想計測点hに対し定常値j(破線枠参照)を設定した状態を示している。
【0123】
このとき、定常値や比例配分比の設定処理が「循環参照」とならないように注意する。
循環参照とは、相互に参照し合う状態のことであり、算出する際にループ演算となることから、そのままでは結果が得られない状態のことである。
【0124】
また、電力消費量が一意に決定可能な計測点については、自動算出のままでもよいが、一意に決定可能ということは、算出式が分かっている(決まっている)ので、自動算出のままとせずに、算出式を設定することが好ましい。
【0125】
図5Aにおいては、仮想計測点e、g、iに関して、自動算出(破線枠参照)のままの設定状態を示している。
たとえば、仮想計測点gに関しては、「g=t+u+v」であることが、図5Aの電力系統ツリー構造から一意に導き出され、また、各計測点t、u、vが計測対象であることから、循環参照なく自動算出可能なので、「g=t+u+v」を別途手動で設定する必要がなく、自動算出のままでもよい。
【0126】
また、仮想計測点eに関しても、仮に、仮想計測点eに下位のツリー構造が無いとすれば、「e=κ−(b+c+d)」となることが、図5Aの電力系統ツリー構造から一意に導き出され、また、各計測点b、c、dが計測対象であることから、循環参照なく自動算出可能ので、自動算出のままでもよい。
ただし、ここでは、仮想計測点eに関して、仮想計測点gの場合と同様の下位のツリー構造(図示せず)が存在するものと仮定しており、仮想計測点eの下位のツリー構造から自動算出する。
【0127】
一方、仮想計測点iについては、「i=b−(f+g+h)」であることが分かっているが、このうち、仮想計測点gが自動算出となっているので、循環参照の可能性が残る。
また、上記算出式内の仮想計測点hは、ここでは定常値jの設定であることから、仮想計測点iに関して循環参照の可能性はないが、自動算出でないものの計測対象でもないので、仮に定常値jではなく比例配分比の設定であれば、比例配分比の設定内容によっては循環参照の可能性が残ると言える。
【0128】
ただし、ここでは、仮想計測点gの自動設定が、仮想計測点iとの間で相互参照の関係になっていないことから、仮想計測点gの算出後に仮想計測点iを算出可能なので、仮想計測点iは、自動算出のままでもよい。
【0129】
さらに、電力系統11における分岐点のすべてを漏れなく計測している場合には、電力伝送損失Δを設けるようにする。
電力伝送損失Δは、図5A内の設定段階において手動で設定してもよいが、図5A内の運用段階(後述する)において自動的に判定して設定してもよい。
【0130】
たとえば、図5Aにおいて、計測点fに関しては、「f=p+q+r」で一意に決定可能であるが、別途に電力計測器(f)12(図2参照)により、計測点fを計測しているので、上記算出値と実際の計測値とが一致しないことがある。
このとき、両者の差分が測定誤差の許容範囲内であれば問題ないが、許容範囲を超えて一致しない場合には、無視できない電力伝送損失Δ(たとえば、漏電など)を懸念して対処する必要がある。
【0131】
したがって、電力消費計測データ処理装置1内の電力系統集計データ処理部45は、計測点fに関する電力伝送損失Δを可視化するために、電力伝送損失Δを設定し、「f=p+q+r+Δ」のように、電力系統11による集計データ処理を行う。
なお、電力伝送損失Δは自動算出される。
【0132】
最後に、電力消費計測データ処理装置1は、設定段階のステップS1で作成された電力系統設定データ42と、ステップS2で作成された計測点設定データ92と、ステップS3で作成された計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34と、ステップS4で作成された電力系統計測点対応関係設定データ44とを、設定データ保存部22に書き込む。
【0133】
このとき、システム全体を記述した上記各種設定データ42、92、32、34、44を、複数の電力消費計測データ処理装置1のすべてに等しく書き込むようにしてもよく、特定の電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0134】
ただし、図5Aのツリー構造のうち、下位構造のみを切り出すことは可能であるが、上位構造のみを切り出すことはできない。
ここで、図2内の電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分の各種設定データ92、32、34、42、44を例にとって具体的に説明する。
【0135】
電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分の計測点設定データ92や、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34とは、電力消費計測データ処理装置(α)1よりも下位部分、すなわち電力計測器(f)12、(p)12、(q)12、(r)12、(t)12、(u)12、(v)12の各計測点である。
【0136】
また、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分の電力系統設定データ42とは、電力系統11の分岐点(計測点)fよりも下位部分と、仮想計測点gよりも下位部分、または、計測点bよりも下位部分である。
【0137】
このように切り出した計測点設定データ92や、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34、ならびに、電力系統設定データ42および電力系統計測点対応関係設定データ44を、電力消費計測データ処理装置(α)1に書き込むことは可能である。
【0138】
しかし、電力消費計測データ処理装置(κ)1に該当する部分の各種設定データ92、32、34、42、44について説明すると、電力消費計測データ処理装置(κ)1に該当する部分の計測点設定データ92や、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34とは、図5A内の右側のツリー構造のすべてである。
【0139】
したがって、たとえば、電力消費計測データ処理装置(α)1よりも下位部分、すなわち電力計測器(f)12、(p)12、(q)12、(r)12、(t)12、(u)12、(v)12の各計測点に係る情報を切り捨てて省略することはできない。
【0140】
また、電力消費計測データ処理装置(κ)1に該当する部分の電力系統設定データ42とは、図5A内の左側のツリー構造のすべてなので、たとえば電力系統11の分岐点(計測点)fよりも下位部分と、仮想計測点gよりも下位部分に係る情報を切り捨てて省略することはできず、すべてを書き込む必要がある。
【0141】
図4に戻り、次に、運用段階(電力系統に沿った可視化画面の生成手順)について説明する。
まず、電力計測器12からの電力消費データを収集して保存し(ステップS11)、必要に応じて、計測機器集計表示生成部36により、計測機器構成に沿った表示画面を生成する(ステップS12)。
【0142】
続いて、電力系統集計データ処理部45により、電力系統に基づくデータの集計処理を行う(ステップS13)。
最後に、電力系統集計表示生成部46により、電力系統に沿った表示画面を生成し(ステップS14)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0143】
このとき、電力系統集計データ処理部45は、電力系統計測点対応関係設定データ44(電力系統設定データ42に記述されている電力系統に沿って、計測点との対応関係を記述したデータ)に基づいて、集計データ26を処理する。
また、電力系統集計表示生成部46は、電力系統集計データ処理部45により処理後の集計データを、電力系統に沿って可視化してグラフ表示する。
なお、集計処理は、電力消費データを収集し保存する処理と並行して実行してもよく、グラフ表示の要求が発生した際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0144】
次に、図5Aとともに、図8のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1による電力系統に基づくデータの集計処理について説明する。
図8においては、図5A内の電力系統(κ)11の最上位(ツリー構造のルート)から再帰的に集計する処理を示している。
なお、図8の処理は、電力系統に基づくデータの集計を計算式とする仮想計測点設定データを生成する場合にも有効である。
【0145】
図8において、まず、電力系統(κ)11のツリー構造(図5A)の最上位を処理対象ノードとして設定し(ステップS41)、再帰処理(1点鎖線枠内)に移行する。
再帰処理において、まず、処理対象ノード(初期対象は最上位ノードκ)に下位のツリー構造が有るか否かを判定し(ステップS42)、下位のツリー構造が無い(すなわち、No)と判定されれば、後述の判定処理(ステップS50)に移行する。
【0146】
一方、ステップS42において、処理対象ノードに下位のツリー構造(図5A参照)が存在する(すなわち、Yes)と判定されれば、続いて、下位ノードのすべて(図5A内のb〜e)に対する再帰処理が完了したか否かを判定し(ステップS43)、再帰処理が完了した(すなわち、Yes)と判定されれば、後述の判定処理(ステップS45)に移行する。
【0147】
一方、ステップS43において、再帰処理が完了していない(すなわち、No)と判定されれば、再帰処理していないノードを処理対象として設定し、再帰処理を行う(ステップS44)。
【0148】
以下、ステップS43に戻り、再帰処理が完了した(すなわち、Yes)と判定されるまで、再帰処理(ステップS44)を繰り返し実行する。
これにより、処理対象ノードの下位ノードのすべて(κの場合は、計測点b、c、d、e)に対して再帰処理が行われる。
再帰処理(詳細は後述する)がすべて完了した後は、処理対象ノードが計測対象か否か(後述するステップS50)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0149】
ステップS43において、再帰処理が完了した(すなわち、Yes)と判定されれば、続いて、処理対象ノードが計測点であるか否かを判定する(ステップS45)。
ステップS45において、処理対象ノードが計測点(計測対象)ではない(すなわち、No)と判定されれば、下位ノードの電力消費量の総和を処理対象ノードの電力消費データとして(ステップS49)、図8の再帰処理を終了する。
【0150】
一方、ステップS45において、処理対象ノードが計測点(計測対象)である(すなわち、Yes)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データをの電力消費データとして採用する(ステップS46)。
続いて、下位ノードもすべて計測点であるか否かを判定し(ステップS47)、下位ノードに計測点でないノードを含む(すなわち、No)と判定されれば、図8の再帰処理を終了する。
【0151】
一方、ステップS47において、下位ノードがすべて計測点である(すなわち、Yes)と判定されれば、既に設定されている処理対象ノードの下位ノードに加えて電力伝送損失Δを設け、処理対象ノードの電力消費量と、計測対象であるすべての下位ノードの電力消費量の総和との差分を、電力伝送損失Δの電力消費データとして採用する(ステップS48)。
以上により、処理対象ノードに下位のツリー構造が有る場合の再帰処理(ステップS43〜S48)を終了する。
【0152】
以下、具体例として、図2および図5Aの構成例における下位のツリー構造が有る各処理対象ノードκ、b、f、gに対する再帰処理について、順次に説明する。
まず、処理対象ノードκは、計測点である(電力計測器(a)12のCH1で計測されている)ので、その計測データは処理対象ノードκの電力消費データとして採用される。
【0153】
また、処理対象ノードκの下位ノードのすべてが計測対象であれば、処理対象ノードκの電力消費量と下位ノードの電力消費量の総和との差分が電力伝送損失Δの電力消費データとして採用されることになる。
ただし、処理対象ノードκの下位ノードのうちいずれか1つでも計測対象でなければ、電力伝送損失Δが設けられることはない。
【0154】
上記構成例では、処理対象ノードκの下位ノードb〜eのうち、計測対象ではないために仮想計測点として取り扱われるノードeが含まれるので、処理対象ノードκの下位ノードとして電力伝送損失Δが設定されることはない。
以上で、処理対象ノードκに対する再帰処理を完了する。
【0155】
同様に、処理対象ノードbに対する再帰処理について説明する。
まず、処理対象ノードbには下位のツリー構造が有るので、処理対象ノードbの下位ノードのすべて(f〜i)に対して再帰処理が行われる。
再帰処理の完了後は、処理対象ノードbが計測対象か否か(後述するステップS50)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0156】
ここでは、処理対象ノードbは、計測点である(電力計測器(a)12のCH2で計測されている)ので、その計測データは処理対象ノードbの電力消費データとして採用される。また、処理対象ノードbの下位ノードf〜iのうち、仮想計測点g〜iが計測対象ではないので、電力伝送損失Δが設定されることはない。
以上で、処理対象ノードbに対する再帰処理を完了する。
【0157】
続いて、処理対象ノードfに対する再帰処理について説明する。
まず、処理対象ノードfには下位のツリー構造が有るので、処理対象ノードfの下位ノードのすべて(p、q、r)に対して再帰処理が行われる。
【0158】
再帰処理の完了後は、処理対象ノードfが計測点である(電力計測器(f)12で計測されている)ことから、その計測データが処理対象ノードfの電力消費データとして採用される。
【0159】
また、処理対象ノードfの下位ノードp、q、rのすべてが計測対象なので、処理対象ノードfの下位ノードに電力伝送損失Δが設定され、処理対象ノードfの電力消費量と下位ノードp、q、rの電力消費量の総和との差分が、電力伝送損失Δの電力消費データとして採用される。
以上で、処理対象ノードfに対する再帰処理を完了する。
【0160】
続いて、処理対象ノードgに対する再帰処理について説明する。
まず、処理対象ノードgには下位のツリー構造が有るので、処理対象ノードgの下位ノードのすべて(t、u、v)に対して再帰処理が行われる。
再帰処理の完了後は、処理対象ノードg(仮想計測点)が計測対象ではないことから、下位ノードt、u、vの電力消費量の総和が、処理対象ノードgの電力消費データとして設定される。
以上で、処理対象ノードgに対する再帰処理を完了する。
【0161】
次に、図8において、処理対象ノードに下位のツリー構造が無い場合の再帰処理について説明する。
ステップS42において、下位のツリー構造が無い(すなわち、No)と判定されれば、続いて、処理対象ノードが計測点であるか否かを判定する(ステップS50)。
【0162】
ステップS50において、処理対象ノードが計測点である(すなわち、Yes)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データを計測データと認識し(ステップS51)、図8の再帰処理を終了する。
【0163】
一方、ステップS50において、処理対象ノードが計測点ではない(すなわち、No)と判定されれば、続いて、処理対象ノードに定常値や比例配分比が設定されているか否かを判定する(ステップS52)。
【0164】
ステップS52において、処理対象ノードに定常値や比例配分比が設定されている(すなわち、Yes)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データは、定常値や比例配分計算値であると認識し(ステップS53)、図8の再帰処理を終了する。
【0165】
一方、ステップS52において、処理対象ノードに定常値や比例配分比が設定されていない(すなわち、No)と判定されれば、続いて、親ノードおよび兄弟ノードから循環参照なく自動算出可能であるか否かを判定する(ステップS54)。
【0166】
ステップS54において、親ノードおよび兄弟ノードから循環参照なく自動算出可能である(すなわち、Yes)と判定されれば、親ノードから兄弟ノードの総和を減算した差分を、処理対象ノードの電力消費データとして設定し(ステップS55)、図8の再帰処理を終了する。
【0167】
一方、ステップS54において、親ノードおよび兄弟ノードから循環参照なく自動算出することができない(すなわち、No)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データは存在しないもの(算出不可)と確定して(ステップS56)、図8の再帰処理を終了する。
以上により、処理対象ノードに下位のツリー構造が無い場合の再帰処理(ステップS50〜S56)を終了する。
【0168】
以下、具体例として、図2および図5Aの構成例における下位のツリー構造が無い各処理対象ノードh、i、pに対する再帰処理について、順次に説明する。
まず、処理対象ノードhに対する再帰処理について説明する。
処理対象ノードhには下位のツリー構造が無いので、ステップS42に続いて、処理対象ノードhが計測点(計測対象)であるか否か(ステップS50)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0169】
処理対象ノードhが計測対象であれば、その計測データが処理対象ノードhの電力消費データとして採用される。
ただし、この場合、処理対象ノードhは計測対象でないので、続いて、処理対象ノードhに定常値や比例配分比の設定があるか否か(ステップS52)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0170】
定常値や比例配分比の設定が存在しない場合には、処理対象ノードhの電力消費データを算出することが不可能であるが、前述のように、処理対象ノードhには、定常値jという設定があるので、処理対象ノードhの電力消費データとして定常値jが採用される。
以上で、処理対象ノードhに対する再帰処理を完了する。
【0171】
続いて、処理対象ノードiに対する再帰処理について説明する。
処理対象ノードiに関しては、下位のツリー構造が無く、計測対象ではなく、定常値や比例配分比の設定が存在しないので、処理対象ノードiの親ノード(b)と兄弟ノード(f〜h)とから循環参照なく自動参照できるか否か(ステップS54)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0172】
もし循環参照であれば、処理対象ノードiの電力消費データを算出することは不可能である。
ただし、この場合は、前述のように、処理対象ノードiの電力消費データは、親ノードbから兄弟ノードf〜hの総和を減算した差分(i=b−(f+g+h))によって、循環参照なく算出可能なので、この値が採用される。
以上で、処理対象ノードiに対する再帰処理を完了する。
【0173】
続いて、処理対象ノードpに対する再帰処理について説明する。
処理対象ノードpに関しては、下位のツリー構造が無く、計測点である(電力計測器(p)12によって計測されている)ので、その計測データが処理対象ノードpの電力消費データとして採用される。
以上で、処理対象ノードpに対する再帰処理を完了する。
【0174】
なお、処理対象ノードq、r、t、u、vの再帰処理については、同様なので、ここでは説明を省略する。
また、処理対象ノードc、d、eの再帰処理についても、以上で説明した内容のいずれかと同様なので、ここでは説明を省略する。
【0175】
以上のように、図2、図5Aに示した電力系統(κ)11のすべてのノードの電力消費データの集計が可能となる。図2、図5A内の他の電力系統(λ)11についても同様である。
なお、上記再帰処理は、各ノードの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理である。
【0176】
また、長い処理時間を要する再帰処理をできるだけ省略して処理時間を短縮するためには、運用段階の最初の1回のみ再帰処理を実行し、その結果として得られた算出方式を記憶しておき(または、実行可能スクリプト形式で出力しておき)、各ノードのデータを算出する必要があった際に、その算出方式を参照する(そのスクリプトを実行する)ように構成することが望ましい。
【0177】
ただし、たとえば計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合などのように、再帰処理に要する時間が特に支障が生じない程度に短ければ、必要な際に毎回再帰処理を実行するように構成されてもよい。
【0178】
次に、図3とともに、図9を参照しながら、以上のように処理された集計データ26を電力系統11に沿って可視化してグラフ表示するために処理について説明する。
図9はこの発明の実施の形態1よる計測データ可視化画面を電力系統グラフ表示で示す説明図であり、電力系統集計表示生成部46(図3)による処理を示している。
【0179】
図9において、可視化画面は、電力系統11の階層構造の表示および操作が可能なツリービューと、当該ノードの電力消費データのグラフを表示するワークエリア(右側に拡大表示)とから構成される。
【0180】
電力系統11におけるすべてのノード(分岐点)には、上述の集計処理によって電力消費データが存在するので、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)を行うことにより、図9の例示パターンのように、当該ノードの電力消費データをグラフ表示することができる。
【0181】
なお、必要に応じて、電力消費計測データ処理装置1内の計測機器集計表示生成部36は、計測機器構成設定データ32に記述されている計測機器の接続階層構造に沿って、計測点との対応関係を記述した計測機器構成計測点対応関係設定データ34に基づき、計測点の計測データ25を可視化してグラフ表示する。
【0182】
図10はこの発明の実施の形態1による計測データ可視化画面を計測機器構成で示す説明図ある。
図10に示すように、計測機器の階層構造の表示および操作が可能なツリービュー上において、グラフ表示させたいノード(たとえば、v)を指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)を行うことにより、当該ノードの電力消費データをグラフ表示することができる。
【0183】
このような電力消費量の可視化画面の生成およびそれに係る集計処理は、従来では手動で設定されていたが、この発明の実施の形態1によれば、自動的に処理可能なので、電力消費量の実態を把握する作業を直感的に行うための可視化画面のエンジニアリングに係る手間を削減することができるという効果がある。
【0184】
すなわち、この発明の実施の形態1によれば、電力系統11に沿った電力消費量の実態把握用の可視化処理に必要な、すべての仮想計測点(すなわち、計測されないすべてのノード)に係る演算設定と可視化画面の設定とを、自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(ここでは、電力系統階層構造と、計測点情報と、その相互関係)を設定するのみで、電力系統集計表示生成部46により、電力系統11に沿った電力消費量の実態把握のための可視化画面を自動的に実現することができる。
【0185】
この発明の実施の形態1は、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、電力系統11に適用することにより、電力系統11に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化するものであり、また、これらの演算結果がそのまま電力系統11に沿った表示に対応付けられることから、可視化画面の設定についても自動化するものである。
【0186】
また、この発明の実施の形態1は、同様にして、計測機器構成階層構造と、計測点情報と、その相互関係を設定するのみで、計測機器集計表示生成部36により、計測機器構成に沿った計測データの可視化画面を自動的に実現するものである。なお、計測機器構成に沿った計測データの可視化に必要な仮想計測点の設定はない。
【0187】
なお、当該ノードの電力消費データのみの1本のグラフを表示する以外のグラフ表示形態として、図9においては、当該ノードκとその1段階だけ下位のノードb〜eとの電力消費データを合わせて、折れ線グラフで表示する例、および、当該ノードκの1段階だけ下位のノードb〜eの電力消費データを積み上げグラフで表示する例を示している。
図9内の積み上げグラフ(最上段参照)においては、一番上の折れ線が当該ノードκの電力消費データとなり、その内訳(b+c+d+e)の各層が分かるようになっている。
【0188】
また、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)の代わりに、表示されているグラフのうちの当該ノードに相当するものを1つ指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)を実行しても、同じことである。
【0189】
たとえば、下位ノードbに係る積み上げグラフを表示する操作は、ツリービューからでも行うことができるが、図9においては、当該ノードκに係る積み上げグラフ表示画面に対して、その中の下位ノードbを指定することにより、下位ノードbに係る積み上げグラフを表示する例を示している。
【0190】
このように、表示されているグラフの1つを指定することにより、さらにそのグラフの詳細な内訳をグラフ表示する操作、すなわち詳細表示に係る画面遷移(以下、「ドリルダウン」という)が可能となるので、電力消費量の実態把握作業を直感的に行うことができる。
【0191】
ただし、電力系統のツリー構造の末端ノード(たとえば、v)のみに関しては、そのグラフを表示する際に、内訳が存在しないので、当該ノード(末端ノード)の電力消費データのみの1本のグラフ(図9内の最下段)となる。
【0192】
図11はこの発明の実施の形態1による計測データ可視化画面を電力系統割合表示で示す説明図であり、グラフ表示の代わりに、電力系統のノードごとの電力消費割合を可視化する例を示している。
図11において、各ノードの単位時間(たとえば、1日、1週間、1ヶ月など)当たりの電力消費量は、グラフから積算集計して、その結果を、電力消費量の割合として可視化することができる。
【0193】
図11のように、電力消費割合を可視化する方法は、各表(右側)の横幅が割合の大きさを示しており、たとえば3階層の割合表示が可能である。
たとえば、上段の表においては、可視化対象ノード(κ)における下位ノード(b、c、d、e)の割合(b>c=d>e)が示され、さらに下位ノード(b)の下位ノードf〜iの割合も合わせて表示することが可能である。
【0194】
また、ツリービューから可視化画面を表示する代わりに、電力消費割合の可視化画面上をクリックするなどして、ドリルダウンすることも可能である。
図11においては、可視化対象ノードκについての電力消費割合の可視化画面上で、下位ノードbをクリックして指定することにより、下位ノードbについての電力消費割合の可視化画面を提示する例を示している。
【0195】
すなわち、上段の表を電力系統ドリルダウンした下段の表においては、下位ノード(b)のさらに下位ノードf〜iの割合(f>g>h=i)とともに、さらに下位ノード(f)の下位ノードp〜r、Δの割合(同様に、gの下位ノードt〜vの割合)も合わせて表示することが可能である。
【0196】
以上の積上げグラフ(図9)や割合表示(図11)といった可視化画面、および、それに係るドリルダウンを実現するために、従来では、積上げグラフや割合表示で表示するデータの設定や集計、および、ドリルダウン元とドリルダウン先との関係を、やはり手動で設定していたが、この発明の実施の形態1では、自動的に抽出することができる。
【0197】
したがって、この発明の実施の形態1によれば、電力消費量の実態把握作業を直感的に行うための可視化画面のエンジニアリングに係る手間を削減することができる。
つまり、この発明の実施の形態1においては、親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする積上げグラフ表示や割合表示するための規則を、電力系統に適用することにより、電力系統に沿った電力消費量の実態把握のための可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化することができる。
【0198】
なお、図3においては、自動的に処理するためのソフトウェア構成として、電力系統集計データ処理部45および空間構造集計データ処理部55(また必要に応じて、計測機器集計表示生成部36)を用いたが、従来装置(図40)に適用可能となるように、図12のように構成してもよい。
【0199】
図12はこの発明の実施の形態1に係る電力消費計測データ処理装置1の他のソフトウェア構成例を示すブロック図であり、前述(図3、図40参照)と同様のものについては、前述と同一符号が付されている。また、図示しない検索キー表示生成部105の構成は、図40に示した通りである。
【0200】
図12において、電力消費計測データ処理装置1は、前述(図3)と同様の各種設定データ42、44、52、54、92を設定する各種設定部41、43、51、53、91と、電力系統集計データ処理部45を構成する電力系統設定データ変換部47および電力系統計測点対応関係設定データ変換部48と、空間構造集計データ処理部55を構成する空間構造設定データ変換部57および空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58と、を備えている。
【0201】
また、図12の電力消費計測データ処理装置1は、必要に応じて、前述と同様の各種設定データ32、34を設定する各種設定部31、33と、計測機器構成設定データ変換部37と、計測機器構成計測点対応関係設定データ変換部38と、を備えている。
【0202】
電力系統設定データ変換部47、空間構造設定データ変換部57および計測機器構成設定データ変換部37は、検索キー設定データ102を生成する。
電力系統計測点対応関係設定データ変換部48、空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58および計測機器構成計測点対応関係設定データ変換部38は、検索キー計測点対応関係設定データ104を生成する。
【0203】
また、電力系統計測点対応関係設定データ変換部48および空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58は、仮想計測点設定データ96を生成する。
図12において、最終的に生成される各種設定データ102、104、96、92は、従来装置(図40)が認識可能な設定となる。
なお、空間構造については、実施の形態2とともに後述する。
【0204】
次に、図13を参照しながら、図12に示したこの発明の実施の形態1の他の構成例の動作について説明する。
図13は図12のソフトウェア構成による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図4参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。なお、運用段階の処理(ステップS31〜S33)は、前述(図41参照)の運用段階の処理(ステップS211〜S213)に対応している。
【0205】
図13において、設定段階の処理(ステップS1〜S4)については、前述(図4)と同様なので、ここでは説明を省略する。
この場合、設定処理(ステップS4)に続いて、各種変換部47、48、57、58、37、38による変換段階の処理(ステップS21〜S25)に移行する。
【0206】
まず、必要に応じて、計測機器構成設定データ変換部37は、計測機器構成設定データ32から、階層構造設定データ(検索キー設定データ102)を生成する(ステップS21)。
また、必要に応じて、計測機器構成計測点対応関係設定データ変換部38は、計測機器構成計測点対応関係設定データ34から、階層構造計測点対応関係設定データ(検索キー計測点対応関係設定データ104)を生成する(ステップS22)。
【0207】
次に、電力系統設定データ変換部47は、電力系統設定データ42から、階層構造設定データ(検索キー設定データ102)を生成する(ステップS23)。
続いて、電力系統計測点対応関係設定データ変換部48および空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58は、電力系統に基づくデータの集計を計算式とする仮想計測点設定データ96を生成する(ステップS24)。
【0208】
また、電力系統計測点対応関係設定データ変換部48は、電力系統計測点対応関係設定データ44から、階層構造計測点対応関係設定データ(検索キー計測点対応関係設定データ104)を生成する(ステップS25)。
【0209】
次に、運用段階の処理(ステップS31〜S33)に移行する。
まず、計測処理部21および計測データ保存部23(図3)は、各計測点で計測される電力消費データを収集し保存する(ステップS31)。
続いて、仮想計測点集計データ処理部97(図40)は、仮想計測点を計算する(ステップS32)。
【0210】
最後に、演算処理された計測点のデータを可視化画面とするために、検索キー表示生成部105(図40)は、階層構造としての表示画面を生成し、計測データ表示生成部94(図40)は、それぞれの計測データのグラフ表示画面を生成し(ステップS33)、図13の処理ルーチンを終了する。
【0211】
図12において、電力系統設定データ42は、階層構造を示すデータなので、従来装置(図40)が解釈可能な検索キー設定データ102への変換が可能であり、さらに、電力系統設定データ42および電力系統計測点対応関係設定データ44から、従来装置が解釈可能な検索キー計測点対応関係設定データ104(どの計測点が、どの検索キーに属するかを示す設定データ)への変換も可能である。
【0212】
また、前述(図8)の再帰処理(ステップS42〜S56)は、電力系統11の各ノードの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理なので、この再帰処理を利用して抽出した各ノードのデータの算出方式は、電力系統計測点対応関係設定データ変換部48により処理されるステップS24、S25に適用可能であり、従来装置が解釈可能な仮想計測点設定データ96として出力することができる。
なお、これは前述(段落0176)の実行可能スクリプト形式としても適用できるものである。
【0213】
計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34は、計測点と計測機器の階層構造との対応関係のみを示すデータであり、仮想計測点を出力する必要がないことから、同様にして、従来装置が解釈可能な検索キー設定データ102および検索キー計測点対応関係設定データ104への変換が可能である。
【0214】
したがって、図12、図13の構成によれば、従来装置(図40)であっても、設定データを仮想計測点および検索キーに変換することが可能であり、図3、図4の場合と同様の自動的処理が可能となる。
【0215】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図13)に係る電力消費計測データ処理装置1(エネルギー消費計測データ処理装置)は、計測点設定データ92に基づいて、電力消費(エネルギー消費)に係る計測データ25を収集するとともに、計測データ25を集計して処理するために、電力系統11(エネルギー系統)に沿った集計データである電力系統集計データ26(エネルギー系統集計データ)を処理する電力系統集計データ処理部45(エネルギー系統集計データ処理部)を備えている。
【0216】
電力系統集計データ処理部45(エネルギー系統集計データ処理部)は、電力系統設定データ42(エネルギー系統設定データ)と、電力系統設定データ42と計測点設定データ92との対応関係を設定した電力系統計測点対応関係設定データ44(エネルギー系統計測点対応関係設定データ)とから、電力系統集計データ26を生成するか、または、電力系統集計データ26を生成するための設定(図12内の各種設定データ102、104、96、92)を出力する。
【0217】
また、電力系統集計データ処理部45は、電力系統11の分岐点が網羅的に計測されている箇所については、当該箇所に電力伝送損失Δ(エネルギー伝送損失)を加えた電力系統集計データ26を生成するか、または、電力系統集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0218】
また、この発明の実施の形態1(図3)に係る電力消費計測データ処理装置1は、電力系統集計データ26の表示を行うための電力系統集計表示生成部46(エネルギー系統集計表示生成部)を備えており、電力系統集計表示生成部46は、電力系統集計データ26を電力系統設定データ42に沿って階層的に表示するか、または階層的に表示するための設定を出力する。
【0219】
さらに、この発明の実施の形態1(図3)に係る電力消費計測データ処理装置1は、計測データ25の表示を行うための計測機器集計表示生成部36を備えており、計測機器集計表示生成部36は、計測機器構成設定データ32と、計測点設定データ92と計測機器構成設定データ32との対応関係を設定した計測機器構成計測点対応関係設定データ34とから、計測データ25を計測機器構成設定データ32に沿って表示するか、または、表示を行うための設定を出力する。
【0220】
これにより、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面(図9〜図11)のための集計処理を自動的に抽出することが可能となり、可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理の設定に係るエンジニアリングの手間を削減することができる。
また、エネルギー消費の表示対象として、最も一般的な電力消費について有効な表示を行うことができる。
【0221】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1〜図4)では、主として、電力系統11に沿った可視化画面を自動的に実現するために、電力系統集計データ26を取得したが、これに加えて、空間構造に沿った可視化画面をも自動的に実現するために、図14のように、空間構造集計データ(集計データ26)を取得してもよい。
【0222】
図14はこの発明の実施の形態2による処理手順(設定、運用)を示すフローチャートであり、前述(図4参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
図15はこの発明の実施の形態2による電力系統設定データ42と空間構造設定データ52との相互関係(空間構造電力系統対応関係設定データ54)を示す説明図である。
【0223】
また、図16はこの発明の実施の形態2による空間構造に基づくデータ集計処理を示すフローチャートであり、図17はこの発明の実施の形態2による計測データ可視化画面を空間構造グラフ表示および空間構造割合表示で示す説明図である。
さらに、図18はこの発明の実施の形態2による処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【0224】
なお、この発明の実施の形態2が適用される電力系統11は、前述(図2)の工場または事業体17(工場敷地内の建築物)にあるものとし、この発明の実施の形態2に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成は、図3のブロック図に示した通りである。
【0225】
図3および図14において、まず、設定段階では、前述(図4)と同様に、電力系統設定部41は電力系統設定データ42を作成し(ステップS1)、計測点設定部91は計測点設定データ92を作成し(ステップS2)、電力系統計測点対応関係設定部43は電力系統計測点対応関係設定データ44を作成する(ステップS4)。
【0226】
また、必要に応じて、ステップS4の前に、計測機器構成設定部31および計測機器構成計測点対応関係設定部33は、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を作成する(ステップS3)。
【0227】
ステップS4に続いて、空間構造設定部51は、空間構造設定データ52を作成する(ステップS5)。
このとき、空間構造設定データ52は、直接記述されてもよく、図3のように、別途に空間構造設定部51を設け、その空間構造設定部51によって空間構造設定データ52を設定するように構成してもよい。
【0228】
空間構造設定データ52は、建築物についての空間配置を階層的に記述したデータである。
空間構造設定データ52がどのような空間構造記述となるかは、対象アプリケーションに依存するが、一般的には、敷地→建屋→階床→部屋(敷地の中にいくつかの建屋があり、それぞれの建屋にはいくつかの階床があり、各階床にはいくつかの部屋があり)といった具合に記述される。
【0229】
前述(図2)の工場敷地内の建築物について、空間構造設定データ52を作成すると、図15内の右側に示すツリー構造のようになる。
図15において、図2内に図示されない建築物については、「その他」(「エリアその他」、「建屋またはフロアその他」)というノードが設けられている。
【0230】
次に、空間構造電力系統対応関係設定データ54を作成する(ステップS6)。
空間構造電力系統対応関係設定データ54は、図15内の破線矢印のように、電力系統11のツリー構造のどのノードが、どの建築物のどの空間に電力供給しているかを、電力系統設定データ42のノード(各分岐点)と、空間構造設定データ52のノードとの対応付けによって記述される。
【0231】
空間構造電力系統対応関係設定データ54は、直接記述されてもよく、図3のように、別途に空間構造電力系統対応関係設定部53を設け、空間構造電力系統対応関係設定部53によって設定するように構成してもよい。
【0232】
なお、空間構造電力系統対応関係設定部53は、電力系統設定部41の一部として設けられてもよく、空間構造設定部51の一部として設けられてもよく、または、電力系統設定部41および空間構造設定部51などとは別途に独立して設けられてもよい。
さらに、空間構造電力系統対応関係設定部53は、電力系統設定部41、空間構造設定部51および空間構造電力系統対応関係設定部53の設定機能を統合した一括的な設定部として設けられてもよい。
【0233】
図15においては、左側の電力系統ツリー構造と、右側の空間構造ツリー構造とを、破線矢印で関連付けた状況を示しており、破線矢印で示される関連付け情報が空間構造電力系統対応関係設定データ54となる。
【0234】
その意味から、図15に示した例において、電力系統設定データ42は、たとえば、前述の実施の形態1と同様に、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで電力系統ツリービューの形式で設定される。
【0235】
同様に、空間構造設定データ52は、たとえば、後述する図17内のツリービューの空間構造タブで示すように、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで空間階層構造ツリービューの形式で設定される。
【0236】
また、空間構造電力系統対応関係設定データ54は、電力系統設定データ42の電力系統ツリービューの各ノードが、空間構造設定データ52の空間階層構造ツリービューのどのノードに対して電力供給しているか(または、空間階層構造ツリービューの各ノードが、電力系統ツリービューのどのノードから電力供給を受けているか)、を設定していくことにより記述される。
【0237】
このとき、図15において、電力系統ツリー構造の「末端ノード」を、逐一空間構造ノードに対応付ける代わりに、電力系統ツリー構造の「分岐ノード」を空間構造ノードに対応付けてもよい。
このようにして、空間構造ノードの末端ノードが、漏れなく、電力系統ツリー構造のノードのいずれか1つ以上から電力供給を受けているように記述する。
【0238】
なお、同じ電力系統ノードが複数の空間構造にまたがる場合は、当該電力系統ノードの下位ノードとして、新たに仮想ノード(計測の非対象な電力系統の子ノード)を設定し、その仮想ノードに対して比例配分比を設定した上で、それら仮想ノードと空間構造ノードとの対応付けを記述する。
【0239】
以下、図14内の設定段階の最後に、上記ステップS1〜S6で作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、空間構造設定データ52および空間構造電力系統対応関係設定データ54を、電力消費計測データ処理装置1に書き込む。
【0240】
このとき、各種設定データは、前述の実施の形態1でも述べた通り、複数の電力消費計測データ処理装置1のすべてに等しく書き込むようにしてもよく、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0241】
次に、図14内の運用段階(電力系統および空間構造に沿った可視化画面の生成手順)について説明する。
運用段落においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集し保存するとともに(ステップS11)、必要に応じて、計測機器構成に沿った表示画面を生成する(ステップS12)。また、電力系統に基づくデータの集計を行い(ステップS13)、電力系統に沿った表示画面を生成する(ステップS14)。
【0242】
この場合、ステップS13に続いて、可視化画面の生成処理(ステップS14)を実行することに加えて、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52に記述されている空間構造に沿って、電力系統設定データ42との対応関係を記述した空間構造電力系統対応関係設定データ54に基づき、集計データ26を処理する(ステップS15)。
【0243】
最後に、空間構造集計表示生成部56は、処理後の集計データ26を空間構造に沿って可視化してグラフ表示し(ステップS16)、図14の処理ルーチンを終了する。
【0244】
なお、ステップS15の集計処理は、前述の実施の形態1でも述べた通り、電力消費データを収集し保存する処理(ステップS11)と並行して実行されてもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0245】
図16はこの発明の実施の形態2による集計処理を示すフローチャートであり、前述(図8参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
図16における特有の集計処理は、前述(図8)の集計処理が完了した後で実行される。
【0246】
図16において、まず、工場または事業体(κ)17を処理対象ノードとして設定し(ステップS61)、再帰処理(1点鎖線枠内)に移行する。
再帰処理においては、まず、処理対象ノード(すなわち、図2内のノードκ)に下位のツリー構造が有るか否か(ステップS42)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0247】
この場合、図2および図15のように、処理対象ノードκには下位のツリー構造が有るので、続いて、処理対象ノードκの下位ノードのすべて(建屋またはフロアα、β、γ、その他)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0248】
具体的な再帰処理については後述するとして、再帰処理がすべて完了した後は、処理対象ノードκと電力系統ノードとの対応関係が設定されているか否か(ステップS62)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0249】
ステップS62において、処理対象ノードκに対応する電力系統ノードが設定されている(すなわち、Yes)と判定されれば、その電力系統ノードの電力消費データを、処理対象ノードκの電力消費データとして採用し(ステップS63)、図16の再帰処理を終了する。
【0250】
一方、ステップS62において、処理対象ノードκに対応する電力系統ノードが設定されていない(すなわち、No)と判定されれば、下位ノードの電力消費量の総和を、処理対象ノードκの電力消費データとして(ステップS49)、図16の再帰処理を終了する。
【0251】
なお、ステップS49において、下位ノードうちの1つでもデータ無しの場合には、処理対象ノードκもデータ無しとなる。
ここでは、工場または事業体(κ)17が電力系統(κ)11に対応する関係設定がなされているので、既に集計処理にて算出済みの電力系統(κ)11の電力消費データが、工場または事業体(κ)17の電力消費データとして採用される。
以上で、処理対象ノードκの再帰処理を完了する。
【0252】
次に、建屋またはフロア(α)16に対する再帰処理について説明する。
図2および図15のように、建屋またはフロア(α)16には、下位のツリー構造が有るので、ステップS42からステップS43、S44に分岐して、建屋またはフロア(α)16の下位ノードのすべて(エリア(1)14、エリア(2)14、その他)に対して再帰処理が行われる。
【0253】
具体的な再帰処理については後述するとして、再帰処理がすべて完了した後は、処理対象ノードκと電力系統ノードとの対応関係が設定されているか否か(ステップS62)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0254】
この場合、建屋またはフロア(α)16が電力系統(b)11に対応する関係設定がなされているので、既に集計処理にて算出済みの電力系統(b)11の電力消費データを、建屋またはフロア(α)16の電力消費データとして採用し(ステップS63)、図16の処理ルーチンを終了する。
以上で、建屋またはフロア(α)16の再帰処理を完了する。
【0255】
次に、エリア(1)14に対する再帰処理について説明する。
エリア(1)14には下位のツリー構造が無いので、ステップS42からステップS64に移行し、エリア(1)14が電力系統ノードとの対応関係が設定されているか否かの判定結果に応じて処理が分岐する。
【0256】
ステップS64において、エリア(1)14に対応する電力系統ノードが設定されている(すなわち、Yes)と判定されれば、その電力系統ノードの電力消費データをエリア(1)14の電力消費データとして採用し(ステップS65)、図16の処理ルーチンを終了する。
【0257】
一方、エリア(1)14に対応する電力系統ノードが設定されていない(すなわち、No)と判定されれば、ステップS54(自動算出の可否判定処理)に移行し、親ノードおよび兄弟ノードから循環参照なく自動算出できれば算出し(ステップS55)、自動算出できなければデータは無しと確定して(ステップS56)、図16の処理ルーチンを終了する。
【0258】
ここでは、エリア(1)14が電力系統(f)11に対応する関係設定がなされているので、ステップS64からステップS65に移行し、既に集計処理にて算出済みの電力系統(f)11の電力消費データを、エリア(1)14の電力消費データとして採用し、エリア(1)の再帰処理を完了する。
【0259】
エリア(2)14、その他、および建屋またはフロア(β)16、(γ)16、その他、さらに、工場または事業体(λ)17の再帰処理についても、以上で説明した内容のいずれかによって行われるので、ここでの説明を省略する。
これにより、空間構造の各ノードの電力消費データの集計が可能となる。以上のことは、電力系統(λ)11についても同様である。
【0260】
なお、図16の再帰処理は、前述と同様に、各ノードの電力消費データをどのように算出するかの方式を決定するために行われる処理であり、通常は長い処理時間を要する。
したがって、再帰処理を極力省略して処理時間を短縮する観点から、運用段階の最初の1回のみ実行し、その結果として得られた算出方式を記憶しておき(または、実行可能スクリプト形式で出力しておき)、各ノードのデータを算出する必要が生じた際に、記憶した算出方式を参照する(そのスクリプトを実行する)ように構成することが望ましい。
【0261】
ただし、たとえば、計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合などのように、再帰処理に要する時間が特に支障がない程度に短い場合には、必要時に毎回再帰処理を行うように構成しても支障ない。
【0262】
以下、空間構造集計表示生成部56は、上記のように処理された集計データを、空間構造に沿って可視化して、図17のようにグラフ表示する。
図17に示す可視化画面は、前述(図9)の可視化画面に対して、空間構造の階層構造を表示および操作が可能なツリービューを加えることにより構成される。
【0263】
図17において、空間構造におけるすべてのノード(分岐点)には、上述の集計処理によって電力消費データが存在するので、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)によって、当該ノードの電力消費データがグラフ表示される。なお、グラフの表示形態は、前述(図9)の場合と同様である。
【0264】
この発明の実施の形態2においては、空間構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定と可視化画面の設定とを自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(ここでは、空間構造階層構造と電力系統階層構造との相互関係)を設定するのみで、空間構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化画面(図17)を自動的に実現することが可能となる。
【0265】
すなわち、「親ノードのデータ」=「子ノードのデータの総和」、という規則を空間構造に適用することによって、空間構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化することが可能となる。
また、これらの演算結果はそのまま空間構造に沿った表示に対応付けられることから、可視化画面の設定についても自動化することが可能となる。
【0266】
また、親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする「積上げグラフ」の表示、割合表示、という規則を空間構造に適用することによって、空間構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化することが可能となる。
よって、この発明の実施の形態2においても、前述の実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0267】
ここで、この発明の実施の形態2による特有の効果は、従来装置においては空間構造と計測点とを対応付けるのに対し、空間構造と電力系統とを対応付けて、既に処理済みの電力系統に沿った集計データに基づいて、空間構造に沿った処理を行う点にある。
これにより、電力系統と計測点との対応関係が変わった(たとえば、より詳細に計測するために計測点が増えた)としても、空間構造と電力系統との対応付けが変わらない限り、空間構造や電力系統に係る設定はそのまま変えなくてよいという効果がある。
【0268】
また、空間構造と電力系統との対応関係が変わった(たとえば、組織変更などにともなうリレイアウトによって空間構造が変わった)としても、電力系統と計測点との対応付けが変わらない限り、電力系統や計測点に係る設定は、そのまま変えなくてよいという効果がある。
【0269】
なお、上記説明では、各種設定データを自動的に処理するために、図3のソフトウェア構成を適用し、図14の処理を実行したが、従来装置(図40)に適用可能な、図18の処理を実行してもよい。
図18は従来装置(図40)の適用を可能にしたこの発明の実施の形態2による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図13、図14参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
【0270】
なお、図18の処理を実行するためのソフトウェア構成は、図12に示した通りである。また、図18において、前述と異なる処理は、変換段階としてステップS26〜S28が追加された点のみである。
図18の処理(設定、変換および運用)により、従来装置であっても、設定データを事前に変換することによって、前述と同様の自動的な処理が可能となる。
【0271】
図18においては、前述(図14)の空間構造電力系統対応関係設定データ54の作成処理(ステップS6)に続いて、変換段階に移行し、前述(図13)と同様の処理(ステップS21〜S25)が実行される。
次に、ステップS25に続いて、空間構造設定データ52から階層構造設定データ(検索キー設定データ102)を生成する(ステップS26)。
【0272】
また、空間構造に基づくデータの集計を計算式とする仮想計測点設定データ96を生成する(ステップS27)。
さらに、空間構造電力系統対応関係設定データ54から階層構造計測点対応関係設定データ(検索キー計測点対応関係設定データ104)を生成する(ステップS28)。
【0273】
以下、運用段階に移行し、電力消費計測データ処理装置1内の計測処理部21および計測データ保存部23(図3)は、各計測点で計測される電力消費データを収集し保存する(ステップS31)。
また、仮想計測点集計データ処理部97(図40)は、仮想計測点を計算する(ステップS32)。
【0274】
最後に、演算処理された計測点のデータを可視化画面とするために、検索キー表示生成部105(図40)は、階層構造としての表示画面を生成し、計測データ表示生成部94(図40)は、それぞれの計測データのグラフ表示画面を生成し(ステップS33)、図18の処理ルーチンを終了する。
【0275】
上記変換段階において、ステップS26で得られる空間構造設定データ52(図3、図12参照)は、他の設定データと同様に階層構造を示すデータであるから、従来装置(図40)が解釈可能な検索キー設定データ102への変換が可能である。
【0276】
また、空間構造設定データ52(ステップS26)および空間構造電力系統対応関係設定データ54(ステップS28)から変換された空間構造に係る仮想計測点設定データ96(ステップS27)と、電力系統設定データ42および電力系統計測点対応関係設定データ44から変換された電力系統に係る仮想計測点設定データ96(ステップS24)とから、従来装置(図40)が解釈可能な検索キー計測点対応関係設定データ104への変換も可能となる。
【0277】
さらに、図16の再帰処理は、空間構造の各ノードの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理であるから、この再帰処理を利用して抽出した各ノードのデータの算出方式は、空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58により処理されるステップS27およびステップS28に適用でき、従来装置(図40)が解釈可能な仮想計測点設定データ96として出力することができる。
なお、これは、前述(段落0260)の実行可能スクリプト形式としても適用できるものである。
【0278】
以上のように、この発明の実施の形態2(図1〜図3、図12、図14〜図18)に係る電力消費計測データ処理装置1(エネルギー消費計測データ処理装置)は、空間構造に沿った集計データである空間構造集計データ26を生成するための空間構造集計データ処理部55を備えており、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52と、電力系統設定データ42(エネルギー系統設定データ)と空間構造設定データ52との対応関係を設定した空間構造電力系統対応関係設定データ54(空間構造エネルギー系統対応関係設定データ)とから、空間構造集計データ26を生成するか、または、空間構造集計データ26を生成するための設定(図12、図18参照)を出力する。
【0279】
また、この発明の実施の形態2に係る電力消費計測データ処理装置1は、空間構造集計データ26の表示を行うための空間構造集計表示生成部56を備えており、空間構造集計表示生成部56は、空間構造集計データ26を空間構造設定データ52に沿って階層的に表示(図17)するか、または、階層的に表示するための設定(図12、図18参照)を出力する。
これにより、前述と同様に、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理を自動的に抽出して、エンジニアリングの手間を削減することができる。
【0280】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図1〜図18)では、電力系統11に沿った可視化画面および空間構造に沿った可視化画面を自動的に実現するために、集計データ26として電力系統集計データおよび空間構造集計データを取得したが、これに加えて、電力を消費する電力消費設備13(図2参照)の種別ごとの可視化画面をも自動的に実現するために、図19のように、電力消費設備集計データ(集計データ26)を取得してもよい。
【0281】
図19はこの発明の実施の形態3に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成を示すブロック図であり、前述(図3参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0282】
図19において、電力消費計測データ処理装置1は、電力系統に沿った可視化画面に加えて、電力消費設備13の種別ごとの可視化画面を自動的に実現するために、電力消費設備設定部61と、電力消費設備電力系統対応関係設定部63と、空間構造電力消費設備対応関係設定部59と、電力消費設備集計データ処理部65と、電力消費設備集計表示生成部66と、を備えている。
【0283】
また、電力消費計測データ処理装置1内の設定データ保存部22は、前述の各種設定データに加えて、電力消費設備設定部61からの電力消費設備設定データ62と、電力消費設備電力系統対応関係設定部63からの電力消費設備電力系統対応関係設定データ64と、空間構造電力消費設備対応関係設定部59からの空間構造電力消費設備対応関係設定データ60と、を保存する。
【0284】
なお、ここでは、煩雑さを回避するために図示しないが、電力消費計測データ処理装置1は、必要に応じて、前述(図3)と同様の計測機器構成設定部31、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定部33、計測機器構成計測点対応関係設定データ34および計測機器集計表示生成部36を備えているものとする。
【0285】
図19において、電力系統設定データ42および計測データ25は、電力消費設備集計データ処理部65にも入力される。
電力消費設備設定データ62は、電力系統集計データ処理部45、空間構造集計データ処理部55、電力消費設備集計データ処理部65および電力消費設備集計表示生成部66に入力される。
【0286】
電力消費設備電力系統対応関係設定データ64は、電力系統集計データ処理部45および電力消費設備集計データ処理部65に入力され、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60は、空間構造集計データ処理部55に入力される。
電力消費設備集計データ処理部65からの電力消費設備集計データ26は、集計データ保存部24に保存された後、計測データ集計処理部93に入力されるとともに、電力系統集計データ処理部45、電力消費設備集計データ処理部65および空間構造集計データ処理部55を介して各種表示生成部46、66、56に入力される。
【0287】
次に、図2とともに、図20および図21を参照しながら、図19に示したこの発明の実施の形態3による設定段階および運用段階の処理手順について説明する。
図20はこの発明の実施の形態3による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図4参照)と同様の処理については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0288】
まず、設定段階の手順について説明する。
図20において、前述(図4、図14)と同様に、電力系統設定データ42の作成(ステップS1)、計測点設定データ92の作成(ステップS2)、電力系統計測点対応関係設定データ44の作成(ステップS4)を行う。
【0289】
また、必要に応じて、ステップS4の前に1点鎖線ブロックで示すように、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34(図3参照)の作成(ステップS3)を行う。
【0290】
続いて、電力消費設備設定部61は、電力消費設備設定データ62を作成する(ステップS5A)。
電力消費設備設定データ62は、電力消費設備を種別ごとに分類して作成され、直接記述されてもよい。または、図19のように、別途に電力消費設備設定部61を設け、電力消費設備設定部61によって電力消費設備設定データ62を設定するように構成してもよい。
【0291】
ここで、前述(図2)の構成例で示した電力消費設備(以下、単に「設備」ともいう)について、電力消費設備設定データ62を作成すると、図21内の右側のツリー構造のようになる。
図21はこの発明の実施の形態3による電力系統設定データ42と電力消費設備設定データ62(設備種別設定データ)との相互関係(電力消費設備電力系統対応関係設定データ64)を示す説明図である。図21内の左側のツリー構造は、前述(図5A参照)と同様の電力系統設定データ42を示している。
【0292】
図2および図21において、電力消費設備(A1)13、(A2)13、(B1)13、(B2)13は、生産ラインを構成する設備であるから、設備種別として「生産設備」が定義され、「生産設備」の分類に属する電力消費設備13として、「A1」、「A2」、「B1」、「B2」が設定される。
【0293】
また、電力消費設備(X1)13、(X2)13は、照明器具であるから、設備種別として「照明」が定義され、「照明」の分類に属する電力消費設備13として、「X1」、「X2」が設定される。
同様に、電力消費設備(Y1)13、(Y2)13は、空調機器であるから、設備種別として「空調」が定義され、「空調」の分類に属する電力消費設備13として、「Y1」、「Y2」が設定される。
【0294】
なお、図2の構成例には示されていないが、上記以外にも、設備種別の分類として、図21に示したように、「OA機器」などが考えられる。
また、設備種別の分類として定義するに値しないものに対しては、設備種別の分類として「その他」を定義し、「その他」の分類に属するものとして電力消費設備13を設定することも考えられる。
【0295】
図20に戻り、次に、電力消費設備電力系統対応関係設定部63は、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64(図21内の破線矢印)を作成する(ステップS6A)。
電力消費設備電力系統対応関係設定データ64は、各電力消費設備13が消費する電力が、電力系統11のツリー構造(図21内の左側)において、どのノードの電力であるのか(電力系統の各ノードの電力を、どの電力消費設備が消費するのか)を設定記述するデータである。
【0296】
すなわち、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64は、電力消費設備設定データ62における各電力消費設備13(図21内の右側のツリー構造)と、電力系統設定データ42の各ノード(図21内の左側のツリー構造)とを関連付けている。
【0297】
電力消費設備電力系統対応関係設定データ64は、直接記述されてもよく、または、図19のように、別途に電力消費設備電力系統対応関係設定部63を設けて、電力消費設備電力系統対応関係設定部63によって電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を設定するように構成してもよい。
【0298】
また、電力消費設備電力系統対応関係設定部63は、電力系統設定部41内の一部機能として設けられもよく、電力消費設備設定部61内の一部機能として設けられてもよい。
さらに、電力消費設備電力系統対応関係設定部63は、電力系統設定部41および電力消費設備設定部61とは別途に独立して設けられてもよく、または、電力系統設定部41、電力消費設備設定部61および電力消費設備電力系統対応関係設定部63の設定機能を統合した一括的な設定部として設けられてもよい。
【0299】
図21においては、電力系統(κ)11のツリー構造(左側)と、電力消費設備設定データ62のツリー構造(右側)とを、破線矢印で関連付けており、破線矢印で示される関連付け情報が電力消費設備電力系統対応関係設定データ64である。
【0300】
その意味から、図21に示した例においては、電力系統設定データ42は、たとえば、前述の実施の形態1と同様に、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで電力系統ツリービューの形式で設定される。
同様に、電力消費設備設定データ62は、たとえば、後述する図34内のツリービューの消費設備タブで示すように、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで電力消費設備分類ツリービューの形式で設定される。
【0301】
また、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64(破線矢印)は、電力系統設定データ42の電力系統ツリービューの各ノードに対して、電力消費設備設定データ62の電力消費設備分類ツリービューのどのノードによって電力消費されているか(または、電力消費設備分類ツリービューの各ノードが、電力系統ツリービューのどのノードから電力供給を受けているか)、を設定していくことにより記述される。
【0302】
なお、この場合、電力系統ツリー構造の「末端ノード」の電力を、設備が消費することに注意する。なぜなら、電力系統ツリー構造の「分岐ノード」の電力を、設備が消費しているような状況は、実際には起こり得ないからである。
しかし、仮に電力系統ツリー構造の「分岐ノード」の電力を設備が消費しているような状況が生じた場合には、その分岐ノードに1つの末端ノードを追加して、追加した末端ノードの電力を、設備が消費しているように、電力系統ツリー構造や、設備を記述すればよい。
【0303】
電力系統11におけるどのノードの電力を、どの設備が消費するのか、の関連を設定した初期状態において、比例配分比率は、すべて均等比例配分となっている。
すなわち、特段に比例配分比率を設定しない箇所については、比例配分比率がすべて均等比例配分として扱う。
【0304】
1つの電力系統ノードの電力を消費する設備が1つである場合には、そのノードの電力消費データを比例配分する必要はない(すなわち、比例配分比率は100%である)。
1つの電力系統ノードの電力を消費する設備が2つ以上である場合には、関連を設定した初期状態においては、そのノードの電力消費データを均等比例配分する(たとえば、設備が2つである場合には、比例配分比率は50%ずつである)。
【0305】
ただし、経験的に2つ以上の設備の比例配分比率が分かっている場合には、別途に比例配分比率を設定する。
図21の例では、電力系統ノードpの電力を電力消費設備(X1)13、(Y1)13が消費しており、比例配分比率を、X1=60%、Y1=40%として設定した状態を示している。
一方、電力系統ノードtの電力に関しては、電力消費設備(X1)13、(Y1)13が消費しているものの、均等比例配分となっており、比例配分比率は特に設定していない状態を示している。
【0306】
なお、どの設備にも電力を供給していない(すなわち、設備との対応関係が記述されていない)電力系統ツリー構造の末端ノードに対しては、仮想的に「その他設備」を追加し、仮想的な「その他設備」がその電力系統ツリー構造の末端ノードの電力供給を占有的に消費するような設定にしておくようにしてもよい。
【0307】
最後に、設定段階で作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62および電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を、図2内の電力消費計測データ処理装置1(図19)に書き込む。
【0308】
このとき、各設定データを、図2内の示したすべての電力消費計測データ処理装置1に等しく書き込むようにしてもよく、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみを切り出して書き込むようにしてもよい。このことについては、前述の実施の形態1で述べた通りである。
【0309】
図20に戻り、次に、運用段階(設備種別ごとの可視化画面および電力系統に沿った設備種別を加味した可視化画面の生成)の処理手順について説明する。
運用段階においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集保存し(ステップS11)、電力系統11に基づくデータの集計(ステップS13)を行う。また、必要に応じて、計測機器集計表示生成部36(図3参照)により、計測機器に沿った表示画面の作成(ステップS12)を行う。
【0310】
続いて、電力消費設備集計データ処理部65は、電力系統設定データ42と電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した電力消費設備電力系統対応関係設定データ64に基づき、各設備の電力消費データを確定する(ステップS17)。
【0311】
また、電力消費設備集計表示生成部66は、各設備の電力消費データを可視化してグラフ表示する(ステップS14A)。
続いて、電力系統集計データ処理部45は、電力系統設定データ42に記述されている電力系統11に沿って、電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した電力消費設備電力系統対応関係設定データ64に基づき、設備種別を加味しながら集計データを処理する(ステップS15A)。
【0312】
さらに、電力系統集計表示生成部46は、電力系統集計データ処理部45によって処理後の集計データを電力系統11に沿って可視化してグラフ表示し、電力系統11に沿った(設備種別を加味した)表示画面の生成(ステップS16A)を行い、図20の処理ルーチンを終了する。
【0313】
なお、ステップS17において、各電力消費設備13の電力消費データは、電力消費設備設定データ62を順に、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を参照しながら確定されていく。
この確定処理は、前述の実施の形態1でも述べた通り、電力消費データを収集し保存するのと並行して実行してもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0314】
図2および図21において、エリア(1)14内の電力消費設備(A1)13は、電力計測器(q)12が設置されたノードqの電力を消費しており、また、ノードqから電力供給を受けているのは、電力消費設備(A1)13のみであるから、ノードqの電力消費データを電力消費設備(A1)13の電力消費データとする。
【0315】
このとき、設定された比率にしたがって比例配分するが、ここでは均等比例配分となっている。また、この場合は、電力消費設備(A1)13しか存在しないので、A1=100%となる。
同様に、エリア(2)14内の電力消費設備(A2)13は、ノードuの電力消費データとなり、エリア(1)14内の電力消費設備(B1)13は、ノードrの電力消費データとなり、エリア(2)14内の設備(B2)13は、ノードvの電力消費データとなる。
【0316】
エリア(1)14内の電力消費設備(X1)13は、ノードpの電力を消費しているが、ノードpから電力供給を受けているのは、電力消費設備(X1)13以外にも電力消費設備(Y1)13が存在するので、ノードpの電力消費データは、設定された比率で比例配分される。
【0317】
この場合、X1=60%、Y1=40%の比例配分比率となっているので、ノードpの電力消費データの60%が電力消費設備(X1)13の電力消費データとなり、電力消費設備(Y1)13は、ノードpの40%となる。
同様に、エリア(2)14内の電力消費設備(X1)13、(Y1)13は、ノードtの50%の電力消費データとなる。
【0318】
このように、各設備の電力消費データが確定されるので、電力消費設備集計表示生成部66は、各設備の電力消費データを可視化してグラフ表示する(ステップS14A)ことができる。
たとえば、後述する実施の形態5(図34)のツリービュー内の消費設備タブで示すように、電力消費設備を種別ごとに分類してツリー表示し、グラフを表示したいノードを指定する(マウスでダブルクリックするなどの)操作によって、当該設備の電力消費データの可視化画面を表示することが可能である。
【0319】
割合表示する場合は、グラフ表示と同様に、電力消費設備集計データ処理部65が、単位時間(たとえば、1日、1週間、1ヶ月など)当たりの電力消費量を、制御情報の値に対応する形で分けてグラフから積算集計し、この積算集計結果を、電力消費設備集計表示生成部66が、電力消費量の割合として可視化すればよい。
【0320】
なお、電力系統に沿って設備種別を加味した集計処理(ステップS15A)は、前述の実施の形態1で述べた通り、電力消費データを収集し保存する処理(ステップS11)と並行して実行してもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0321】
次に、図19〜図21とともに、図22を参照しながら、電力系統11に沿って設備種別を加味した集計処理(図20内のステップS15A)について、さらに具体的に説明する。
図22はこの発明の実施の形態3による電力系統に基づくデータの設備種別を加味した集計処理を示すフローチャートであり、前述(図8、図16)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
【0322】
図22においては、前述と同様に、電力系統11の最上位(ツリー構造のルート)から再帰的に集計する処理が示されている。
前述(図8)の集計処理(再帰処理)は、各設備の電力消費データを確定するために必要であるが、その後、図22のように、改めて、電力系統11に沿って設備種別を加味した集計処理(再帰処理)を行う必要がある。
【0323】
図22において、まず、ノードκを処理対象ノードとして(ステップS41)、再帰処理に移行する。
再帰処理においては、まず、処理対象ノードκの分類ごとのコレクション、を生成する(ステップS71)。
このとき、図21のように、設備種別の分類としては、「生産設備」、「照明」、「空調」、「OA機器」「その他」(参照)があるので、処理対象ノードκの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションが生成される。
【0324】
続いて、処理対象ノードκに下位のツリー構造が有るか否か(ステップS42)の判定結果に応じて処理が分岐する。
この場合、処理対象ノードκには、下位のツリー構造が有るので、ステップS42からステップS43に移行し、処理対象ノードκの下位ノードのすべて(b、c、d、e)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0325】
以下、ステップS43において、下位ノードのすべてに対して再帰処理が完了した(すなわち、YES)と判定されれば、下位ノードの有する設備の分類ごとのコレクションにある設備を、処理対象ノードのコレクションに追加する(ステップS72)。
最後に、設備の分類ごとのコレクションにある設備の電力消費データを集計して(ステップS73)、図22の再帰処理を終了する。
【0326】
次に、ノードbに対する再帰処理について説明する。
まず、ノードbの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションを生成する(ステップS71)。続いて、ノードbには下位のツリー構造が有るので、ノードbの下位ノードのすべて(f、g、h、i)に対して再帰処理が行われる。
【0327】
次に、ノードfに対する再帰処理について説明する。
まず、ノードfの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションを生成する(ステップS71)。続いて、ノードfには下位のツリー構造が有るので、ノードfの下位ノードのすべて(p、q、r)に対して再帰処理が行われる。
【0328】
次に、ノードpに対する再帰処理について説明する。
まず、ノードpの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、pの「OA機器」コレクション、pの「その他」コレクションを生成する(ステップS71)。
【0329】
続いて、ノードpには下位のツリー構造が無いので、ステップS42からステップS74に移行し、ノードpの電力を消費する設備(電力消費設備)があるか否かを判定する。
図2、図21において、ノードpには、電力消費設備(X1)13、(Y1)13があるので、これら電力消費設備を分類ごとのコレクションに追加し(ステップS75)、分類ごとのコレクションにある電力消費設備の電力消費データを、(比例配分比率を加味して)設備種別の分類ごとに集計する(ステップS76)。
【0330】
図21において、ノードpの電力消費設備には、「生産設備」、「OA機器」、「その他」に分類されるものは無いので、ステップS75においてノードpの「生産設備」コレクション、「OA機器」コレクション、「その他」コレクションに追加する設備は無く、ステップS76における集計結果も「0」である。
【0331】
一方、電力消費設備(X1)13は「照明」に分類されるので、ステップS75において、電力消費設備(X1)13をノードpの「照明」コレクションに追加し、ステップS76において、ノードpの「照明」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、電力消費設備(X1)13の電力消費データ)を、ノードpの「照明」の集計結果とする。
【0332】
また、電力消費設備(Y1)13は「空調」に分類されるので、ステップS75において、電力消費設備(Y1)13をノードpの「空調」コレクションに追加し、ステップS76において、ノードpの「空調」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、電力消費設備(Y1)13の電力消費データ)を、ノードpの「空調」の集計結果とする。
以上で、ノードpの再帰処理を完了する。
【0333】
同様に、ノードqに対する再帰処理を行うと、図2、図21に示すように、ノードqの電力消費設備(A1)13があるので、ステップS75、S76において、設備種別の分類ごとの集計が行われる。
【0334】
ただし、ノードqの電力消費設備には、「照明」、「空調」、「OA機器」および「その他」に分類されるものは無いので、ステップS76による集計結果は「0」である。
また、電力消費設備(A1)13は「生産設備」に分類されるので、ステップS75において、電力消費設備(A1)13をノードqの「生産設備」コレクションに追加し、ステップS76において、電力消費設備(A1)13の電力消費データをノードqの「生産設備」の集計結果とする。
以上で、ノードqの再帰処理を完了する。なお、他のノードrについても、同様の処理であり、ここでは説明を省略する。
【0335】
以上により、ノードfの下位ノード(p、q、r)の再帰処理がすべて完了したので、続いて、ノードfの下位ノードの設備種別の分類ごとの集計結果を、ノードfについて集計する。
すなわち、
ノードfの「生産設備」コレクション
=ノードpの「生産設備」コレクション(ここでは、コレクションは空)
+ノードqの「生産設備」コレクション(ここでは、A1)
+ノードrの「生産設備」コレクション(ここでは、B1)
={A1、B1}
である。
【0336】
このようにして、設備種別の分類である「生産設備」、「照明」、「空調」、「OA機器」、「その他」のそれぞれについて集計し(ここでは、ノードfの「生産設備」の集計結果は、電力消費設備(A1)13の電力消費データと、電力消費設備(B1)13の電力消費データとの和となる)、ノードfの再帰処理を完了する。
【0337】
ノードf以外の、ノードbの下位ノード(g、h、i)に対しても、同様に再帰処理を行い、これら下位ノードの再帰処理がすべて完了すれば、同様にノードbについての集計処理を行い、ノードbの再帰処理を完了する。
以上で、最終的に処理対象ノードκの再帰処理が完了する。
【0338】
以上により、電力系統(κ)11のすべてのノードの設備種別の分類ごとの集計が可能となる。他の電力系統(λ)11についても同様である。
なお、図22の再帰処理は、前述と同様に、電力系統11の各ノードの設備種別の分類ごとの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理なので、処理時間を短縮(長い処理時間を要する再帰処理を省略)する観点から、運用段階の最初の1回のみ実行することが望ましい。
【0339】
すなわち、最初の1回の実行結果として得られた算出方式を記憶しておき(または、実行可能スクリプト形式で出力しておき)、各ノードのデータを算出する必要があった際に、記憶した算出方式を参照する(または、そのスクリプトを実行する)ように構成することが望ましい。
【0340】
ただし、たとえば計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合などのように、上記再帰処理に要する時間が特に支障がない程度に短ければ、必要となった際に毎回再帰処理を行う構成としてもよい。
【0341】
図23および図24は上記処理により電力系統集計表示生成部46が生成するグラフ表示例を示す説明図であり、電力系統11に沿って設備種別を加味した集計データを、電力系統11に沿って可視化した表示例を示している。
図23および図24において、当該ノード(ここでは、b)の可視化画面としては、電力系統グラフ、電力系統割合、設備種別グラフ、設備種別割合が可能となる。
【0342】
電力系統グラフによる可視化には、図23のように、当該ノードおよび下位ノードの電力消費量の総計をグラフ表示する形態(前述の実施の形態1、図9と同様)、および、そのうちの設備種別の分類ごとの集計をグラフ表示する形態がある。
【0343】
図23においては、ノードbについての生産設備の集計をグラフ表示した例を示しているが、ノードbの下位ノードのうち生産設備があるのはノードf、gであり、ノードh、iには生産設備がないので、ノードbについての生産設備の積上げグラフ表示には、ノードf、gのみがグラフ表示されている。
【0344】
また、電力系統割合の可視化には、図24のように、当該ノードおよび下位ノードの電力消費量の総計を割合表示する形態(すなわち実施の形態1の図11と同じ)、および、そのうち設備種別の分類ごとの集計を割合表示する形態がある。
【0345】
図24においては、ノードbについての生産設備の集計を割合表示した例を示しているが、ノードbの下位ノードのうち生産設備があるのはノードf、gで、ノードh、iには生産設備がないので、ノードbについての生産設備の割合表示には、ノードf、gのみが割合表示されている。
【0346】
また、設備種別グラフによる可視化には、図23のように、当該ノードの設備種別の分類ごとの電力消費量の総計をグラフ表示する形態、および、そのうち設備種別の分類ごとの各設備の電力消費データをグラフ表示する形態がある。
【0347】
図23の「設備種別グラフb(積上げ)」においては、ノードbにおける設備種別の分類ごとの電力消費量の総計をグラフ表示した例を示している。このグラフでは、ノードbの有する設備種別の分類ごとのコレクションに存在する各設備の電力消費データを集計したものをグラフ表示すればよい。
【0348】
また、図23の「設備種別グラフb(積上げ)生産設備」においては、ノードbにおける「生産設備」に分類される各設備の電力消費データをグラフ表示した例を示している。このグラフでは、ノードbの有する設備種別の分類ごとのコレクションに存在する各設備の電力消費データをそのままグラフ表示すればよい。なお、ツリービューからグラフ表示する代わりに、「設備種別グラフb(積上げ)」の生産設備をクリックするなどによって選択することによりドリルダウンし、このグラフを表示するようにすることもできる。
【0349】
さらに、設備種別割合の可視化には、図24のように、当該ノードの設備種別の分類ごとの電力消費量の総計を割合表示する形態のみがある。
図24においては、ノードbにおける設備種別の分類ごとの電力消費量の総計を割合表示した例を示している。このグラフでは、ノードbの有する設備種別の分類ごとのコレクションに存在する各設備の単位時間当たりの電力消費データの集計を割合表示すればよい。
【0350】
なお、この発明の実施の形態3においては、図示および説明を省略するが、前述(図12、図13、図18)と同様に、従来装置(図40)への適用が可能な出力を生成してもよい。
【0351】
以上のように、この発明の実施の形態3(図1、図2、図19〜図24)に係る電力消費計測データ処理装置1(エネルギー消費計測データ処理装置)は、電力消費設備設定データ62(エネルギー消費設備設定データ)を処理する電力消費設備集計データ処理部65(エネルギー消費設備集計データ処理部)を備えており、電力消費設備集計データ処理部65は、電力消費設備設定データ62と、電力系統設定データ42(エネルギー系統設定データ)と電力消費設備設定データ62との対応関係を設定した電力消費設備電力系統対応関係設定データ64(エネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データ)とから、電力消費設備(エネルギー消費設備)ごとの集計データである電力消費設備集計データ26(エネルギー消費設備集計データ)を生成するか、または、電力消費設備集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0352】
また、この発明の実施の形態3(図19)に係る電力消費計測データ処理装置1は、電力消費設備集計データ26の表示を行うための電力消費設備集計表示生成部66(エネルギー消費設備集計表示生成部)を備えており、電力消費設備集計表示生成部66は、電力消費設備集計データ26を電力消費設備設定データ62に沿って表示するか、または、表示を行うための設定を出力する。
【0353】
また、電力消費設備集計データ処理部65は、電力消費設備集計データ26と、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64とから、電力系統11に沿った電力消費設備の種別ごとの集計データである電力消費設備種別(エネルギー消費設備種別)ごとの電力系統集計データ26を生成するか、または、電力系統集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0354】
また、電力系統集計表示生成部46は、電力消費設備種別ごとの電力系統集計データ26を、電力系統設定データ42に沿って階層的に表示するか、または、階層的に表示するための設定を出力する。
【0355】
また、この発明の実施の形態3(図19)に係る電力消費計測データ処理装置1は、空間構造に沿った集計データである空間構造集計データ26を生成するための空間構造集計データ処理部55を備えており、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52と、電力消費設備と空間構造設定データ52との対応関係を設定した空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(空間構造エネルギー消費設備対応関係設定データ)とから、空間構造集計データ26を生成するか、または、空間構造集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0356】
これにより、前述と同様に、電力系統11および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化に必要な、すべての仮想計測点に係る演算設定および可視化画面の設定を自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(ここでは、設備種別、電力系統階層構造およびその相互関係)を設定するのみで、電力系統11および設備種別に沿った電力消費量の実態把握のための可視化画面を自動的に実現することができる。
【0357】
つまり、この発明の実施の形態3は、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、電力系統11および設備種別に適用することにより、電力系統11および設備種別に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化するものであり、また、これらの演算結果がそのまま電力系統11に沿った表示に対応付けられることから、可視化画面の設定についても自動化するものである。
【0358】
さらに、この発明の実施の形態3では、「親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする積上げグラフを表示するか、または割合表示する」という規則を、電力系統11および設備種別に適用することにより、電力系統11および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化するものである。
【0359】
すなわち、従来装置(図40)では、設備と計測点とを対応付けるようにして可視化に必要な集計演算を仮想計測点として手動で設定するのに対し、この発明の実施の形態3の特徴は、電力消費設備と電力系統11とを対応付けて、既に処理済みの電力系統に沿った集計データ26に基づき、電力消費設備に係る処理を行う点にある。
【0360】
この結果、電力系統11と計測点との対応関係が変化(たとえば、より詳細に計測するために計測点が増えるなど)したとしても、電力消費設備と電力系統11との対応付けが変化しない限り、電力消費設備や電力系統11に係る設定はそのままで変える必要がないという効果がある。
【0361】
また、電力消費設備と電力系統11との対応関係が変化(たとえば、組織変更などにともなうリレイアウトにより、設備に対する電力供給源が変化するなど)したとしても、電力系統11と計測点との対応付けが変化しない限り、電力系統11や計測点に係る設定はそのままで変える必要がないという効果がある。
従来装置(図40)を活用してこの発明の実施の形態3に記載の技術を適用するための変換処理については、説明を省略するが、図12、図13、図18とともに前述した通りであり、この場合も同様の作用効果を奏する。
【0362】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態3(図19〜図24)では、電力系統11および設備種別に沿った可視化画面を自動的に実現するための処理について詳述したものの、空間構造集計データ処理部55および空間構造集計表示生成部56の具体的処理に言及しなかったが、図25〜図29のように処理してもよい。
【0363】
図25はこの発明の実施の形態4による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図14、図20参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。この場合、設定段階の最終処理として、ステップS6Bが追加されている。
なお、この発明の実施の形態4に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成は図19に示した通りである。
【0364】
以下、図2、図19および図25を参照しながら、設定段階および運用段階の処理手順について説明する。
この発明の実施の形態4においては、図25の処理により、電力系統11および設備種別に沿った可視化画面のみならず、空間構造に沿った可視化画面をも自動的に実現する。
【0365】
まず、図25内の設定段階においては、前述(図20)と同様に、電力系統設定データ42、計測点設定データ92、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62および電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を作成し(ステップS1、S2、S4、S5A、S6A)、また、必要に応じて、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を作成する(ステップS3)。
【0366】
続いて、前述(図14)と同様に、空間構造設定データ52を作成する(ステップS5)。空間構造設定データ52の記述については、前述の通りである。
ステップS5において、図2に例示した工場敷地内の建築物についての空間構造設定データ52を作成すると、図26内の左側のツリー構造のようになる。
図26において、図2に例示されていない建築物(建屋またはフロア16)については、「その他」(「建屋その他」および「エリアその他」)と命名したノードが設けられている。
【0367】
最後に、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を作成し(ステップS6B)、運用段階に移行する。
空間構造電力消費設備対応関係設定データ60は、電力消費設備が、どの建屋のどのエリアに配置されているのかを、電力消費設備設定データ62の各ノード(各設備)と、空間構造設定データ52の各ノードとの対応付けによって記述するものである。
【0368】
空間構造電力消費設備対応関係設定データ60は、直接記述されてもよく、または、図19のように、空間構造電力消費設備対応関係設定部59を別途に設けて、空間構造電力消費設備対応関係設定部59により空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を設定するように構成してもよい。
【0369】
なお、空間構造電力消費設備対応関係設定部59は、電力消費設備設定部61の一部機能または空間構造設定部51の一部機構として設けられてもよく、図19のように、電力消費設備設定部61および空間構造設定部51とは別途に独立して設けられてもよい。
さらに、空間構造電力消費設備対応関係設定部59は、電力消費設備設定部61、空間構造設定部51および空間構造電力系統対応関係設定部53の設定機能を統合した一括的な設定部として設けてもよい。
【0370】
図26は空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を示す説明図であり、空間構造設定データ52(左側のツリー構造)と、電力消費設備設定データ62(右側のツリー構造)とを、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(破線矢印)で関連付けた状況を示している。
【0371】
その意味から、図26に示した例においては、電力消費設備設定データ62は、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで電力系統ツリービューの形式で設定される。
同様に、空間構造設定データ52は、たとえば、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで空間階層構造ツリービューの形式で設定される。
【0372】
また、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(破線矢印)は、電力消費設備ツリービューの各ノードが、空間階層構造ツリービューのどのノードに配置されているのかを設定していくか、または、空間階層構造ツリービューの各ノードに配置されている設備を、電力消費設備ツリービューのノードから選択して設定していくことにより、記述される。
【0373】
なお、設備を空間構造に対応付ける設定操作に代えて、電力系統を空間構造に対応付ける設定操作によって、その電力系統から電力供給を受けているすべての設備を、その空間構造に対応付けるようにしてもよい。
【0374】
たとえば、前述の図15に示すように、電力系統(f)11をエリア(1)14に対応付けることにより、電力系統(f)11から電力供給を受けているのは、前述の図21から、電力消費設備(A1)13、(B1)13、(X1)13、(Y1)13であることが抽出されるので、これらの設備をエリア(1)に対応付けることができる。これにより、設備の1つ1つについて、それぞれを空間構造に対応付ける設定操作を簡略化することができる。
【0375】
1つの設備から1つの空間構造に対してのみ関連付けがある場合には、その比例配分比率は100%である。一方、1つの設備から複数の空間構造に対して関連付けがある場合には、その比例配分比率は、初期状態においては均等比例配分であるが、必要に応じて設定される。
【0376】
図25に戻り、各ステップS1〜S6Bで作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64、空間構造設定データ52および空間構造電力消費設備対応関係設定データ60は、設定段階の最後において、電力消費計測データ処理装置1に書き込まれる。
【0377】
このとき、前述と同様に、すべての電力消費計測データ処理装置1に等しく書き込むようにしてもよいし、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0378】
次に、運用段階(空間構造に沿った設備種別を加味した可視化画面の生成手順)について説明する。
図25内の運用段階においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集し保存するとともに(ステップS11)、必要に応じて、計測機器構成に沿った表示画面を生成する(ステップS12)。
【0379】
また、電力系統集計データ処理部45は、電力系統に基づくデータの集計を行い(ステップS13)、各設備の電力消費データを確定し(ステップS17)、電力消費設備集計表示生成部66は、設備種別に沿った表示画面(可視化画面)を生成する(ステップS14A)。
【0380】
また、これに加えて、電力系統集計データ処理部45は、電力系統設定データ42に記述されている電力系統11に沿って、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64に基づき、設備種別を加味しながら集計データを処理する(ステップS15A)。
【0381】
続いて、電力系統集計表示生成部46は、電力系統集計データ処理部45によって処理後の集計データを電力系統11に沿って可視化してグラフ表示し、電力系統11に沿った(設備種別を加味した)表示画面を生成する(ステップS16A)。
【0382】
また、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52に記述されている空間構造に沿って、電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した空間構造電力消費設備対応関係設定データ60に基づいて集計データ26を処理する(ステップS15)。
最後に、空間構造集計表示生成部56は、空間構造集計データ処理部55で処理された集計データ26を空間構造に沿って可視化してグラフ表示し(ステップS16)、図25の処理ルーチンを終了する。
【0383】
なお、前述と同様に、集計処理は、電力消費データを収集し保存する処理(ステップS11)と並行して実行してもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0384】
次に、図2、図19および図26とともに、図27を参照しながら、集計処理(ステップS15)について、さらに具体的に説明する。
図27はこの発明の実施の形態4による集計処理手順を示すフローチャートであり、前述(図8、図16、図22参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
【0385】
この発明の実施の形態4における特有の集計処理は、前述(図22)の実施の形態3による集計処理が完了した後に実行される。
図27において、まず、工場または事業体(κ)17を処理対象ノードとし(ステップS61)、再帰処理を行う。
【0386】
設備種別の分類としては、「生産設備」、「照明」、「空調」、「OA機器」、「その他」があり、再帰処理においては、まず、処理対象ノードκの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションをそれぞれ生成する(ステップS71)。
【0387】
続いて、処理対象ノードκに下位のツリー構造が有るか否か(ステップS42)の判定結果に応じて処理が分岐する。
この場合、処理対象ノードκには下位のツリー構造が有るので、処理対象ノードκの下位ノードのすべて(建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16、その他)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0388】
以下、ステップS43において、下位ノードのすべてに対して再帰処理が完了した(すなわち、YES)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データを下位ノードの総和とした後(ステップS77)、下位ノードの有する設備の分類ごとのコレクションにある設備を、処理対象ノードのコレクションに追加し(ステップS72)、設備の分類ごとのコレクションにある設備の電力消費データを集計して(ステップS73)、図27の再帰処理を終了する。
【0389】
ここで、建屋またはフロア(α)16に対する再帰処理について説明する。
まず、建屋またはフロア(α)16の「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションをそれぞれ生成する。
【0390】
続いて、図2、図26から明らかなように、建屋またはフロア(α)16には下位のツリー構造が有るので、建屋またはフロア(α)16の下位ノードのすべて(エリア(1)14、エリア(2)14、その他)に対して再帰処理が行われる。
【0391】
ここで、エリア(1)14に対する再帰処理について説明する。
まず、エリア(1)14の「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションをそれぞれ生成する。
【0392】
続いて、図26のように、エリア(1)14には下位のツリー構造が無いので、ステップS42からステップS74Aに移行し、エリア(1)14に配置される設備があるか否か(電力消費設備ノードとの対応関係が設定されているか否か)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0393】
もし、エリア(1)14に配置される電力消費設備ノードが設定されている(ステップS74Aの判定結果がYES)ならば、それら電力消費設備ノードの電力消費データの総和を、エリア(1)14の電力消費データとして採用する(ステップS78)。
【0394】
一方、エリア(1)14に配置される電力系統ノードが設定されていなければ(ステップS74Aの判定結果がNOならば)、エリア(1)14の電力消費データは無いものと確定して(ステップS56)、図27の処理ルーチンを終了する。
【0395】
図2の例では、エリア(1)14に配置されているのは、電力消費設備(A1)13、(B1)13、(X1)13、(Y1)13であるから、これらの電力消費データの総和を、エリア(1)14の電力消費データとして採用する(ステップS78)。
【0396】
また、これら設備の電力消費データを設備種別の分類ごとに集計し(ステップS75、S76)、図27の処理ルーチンを終了する。
この場合、エリア(1)14の電力を消費する設備には、「OA機器」、「その他」に分類されるものが無いので、エリア(1)14の「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションに追加する設備はなく、集計結果も「0」である。
【0397】
一方、図26のように、電力消費設備(A1)13、(B1)13は「生産設備」に分類されるので、電力消費設備(A1)13、(B1)13を、エリア(1)14の「生産設備」コレクションに追加し、エリア(1)14の「生産設備」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、A1およびB1の電力消費データの和)をエリア(1)14の「生産設備」の集計結果とする。
【0398】
また、電力消費設備(X1)13は「照明」に分類されるので、電力消費設備(X1)13をエリア(1)14の「照明」コレクションに追加し、エリア(1)14の「照明」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、X1の電力消費データ)をエリア(1)14の「照明」の集計結果とする。
【0399】
さらに、電力消費設備(Y1)13は「空調」に分類されるので、電力消費設備(Y1)13をエリア(1)14の「空調」コレクションに追加し、エリア(1)14の「空調」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、Y1の電力消費データ)をエリア(1)14の「空調」の集計結果とする。
以上で、エリア(1)14の再帰処理を完了する。
【0400】
エリア(2)14、エリアその他についても、上記処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
以上により、建屋またはフロア(α)16の下位ノード(エリア(1)14、エリア(2)14、エリアその他)の再帰処理がすべて完了したので、次に、建屋またはフロア(α)16の下位ノードの電力消費量の総和を、建屋またはフロア(α)16の電力消費データとするとともに、建屋またはフロア(α)16の下位ノードの設備種別の分類ごとの集計結果を、建屋またはフロア(α)16について集計する。
【0401】
すなわち、
建屋またはフロア(α)16の「生産設備」のコレクション
=エリア(1)14の「生産設備」のコレクション(ここではA1、B1)
+エリア(2)14の「生産設備」のコレクション(ここではA2、B2)
+エリアその他の「生産設備」のコレクション(ここではコレクションは空)
={A1、B1、A2、B2}
である。
【0402】
このようにして、設備種別の分類である「生産設備」、「照明」、「空調」、「OA機器」、「その他」のそれぞれについて集計し(ここでは、αの「生産設備」の集計結果は、A1の電力消費データと、B1の電力消費データと、A2の電力消費データと、B2の電力消費データとの総和となる)、建屋またはフロア(α)16の再帰処理を完了する。
【0403】
なお、建屋またはフロア(β)16、(γ)16、その他、および、工場または事業体(κ)17、(λ)17の再帰処理についても、以上で説明した内容のいずれかによって行われるものであり、ここでは説明を省略する。
以上により、空間構造の各ノードの電力消費データの集計が可能となる。
【0404】
なお、図27の再帰処理は、前述と同様に、各ノードの電力消費データをどのように算出するかの方式を決定するために行う処理なので、処理時間を短縮(長い処理時間を要する再帰処理を省略)する観点から、運用の最初の1回のみ実行し、その結果として得られた算出方式を記憶しておき(または、実行可能スクリプト形式で出力しておき)、各ノードのデータを算出する必要が生じた際に、その算出方式を参照する(そのスクリプトを実行する)ように構成することが望ましい。
ただし、計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合などのように、再帰処理に要する時間が特に支障がない程度に短ければ、必要なときに毎回再帰処理を行うように構成してもよい。
【0405】
図28はこの発明の実施の形態4によるグラフ表示例を示す説図であり、上記処理から得られた集計データを、空間構造集計表示生成部56(図19参照)により空間構造に沿って可視化した例を示している。
【0406】
図28に示す可視化画面は、前述(図23)の実施の形態3の可視化画面に対して、空間構造の階層構造を表示および操作が可能なツリービューを加えることにより構成される。
図28において、空間構造におけるすべてのノード(分岐点)には、上記集計処理による電力消費データが存在するので、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する(マウスでダブルクリックするなどの)操作によって、当該ノードの電力消費データがグラフ表示される。
【0407】
これにより、前述の実施の形態3と同様の作用効果を奏する。
すなわち、空間構造に沿った電力消費量の実態把握用の可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定と可視化画面の設定とを自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(空間構造と設備種別とその相互関係)を設定することのみにより、空間構造および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化画面を自動的に実現することができる。
【0408】
具体的には、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、空間構造および設備種別に適用することにより、空間構造および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化し、さらに、これらの演算結果をそのまま空間構造および設備種別に沿った表示に対応付けることにより、可視化画面の設定についても自動化することができる。
【0409】
また、この発明の実施の形態4によれば、親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする「積上げグラフ」を表示、または割合表示する、という規則を空間構造および設備種別に適用することにより、空間構造および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化することができる。
【0410】
また、従来装置では空間構造と計測点とを対応付けるのに対し、この発明の実施の形態4では、空間構造と設備とを対応付けているので、既に処理済みの設備に沿った集計データに基づき空間構造に係る処理を行うことにより、設備や電力系統や計測点の対応関係が変化した(たとえば、より詳細に計測するために計測点が増えた、または、途中の電力系統が変更になった)としても、空間構造と設備との対応付けが変わらない限り、空間構造や設備に係る設定はそのままで変更する必要がないという特有の効果がある。
【0411】
さらに、空間構造と設備との対応関係が変化した(たとえば、組織変更などにともなうリレイアウトによって空間構造が変わった)としても、設備や電力系統や計測点の対応付けが変わらない限り、設備や電力系統や計測点に係る設定はそのままで変更する必要がないという効果がある。
【0412】
なお、どのような空間構造記述となるかは、対象アプリケーションに依存するが、設備を空間構造(エリアなど)に対応付ける代わりに、たとえば生産に由来する空間構造(生産ラインなど)に対応付けることにより、生産活動に沿った電力消費量の可視化画面を自動的に得ることができる。
【0413】
たとえば、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を、図26のように設定する代わりに、図29のように設定することができる。
図29はこの発明の実施の形態4による空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(破線矢印)の他の例を示す説明図であり、空間構造を生産ライン構造にした場合における、空間構造設定データ52と電力消費設備設定データ62との相互関係を示している。
【0414】
図29においては、電力消費設備(X1)13や、生産ライン(A)15、(B)15に対して「照明」を提供するので、適当な比例配分比率を設定することのみにより、生産ライン(A)15、(B)15に沿った電力消費量の可視化画面を自動的に得ることができる。なお、可視化画面の例については図示を省略する。
【0415】
また、従来装置(図40)を活用するための変換処理および適用可能な出力生成については、ここでは説明を省略するが、図12、図13、図18とともに前述した通りであり、この場合も同様の作用効果を奏する。
【0416】
以上のように、この発明の実施の形態4(図1、図2、図19、図25〜図29)に係る電力消費計測データ処理装置1(エネルギー消費計測データ処理装置)は、空間構造に沿った集計データである空間構造集計データ26を生成するための空間構造集計データ処理部55を備えており、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52と、電力消費設備13(エネルギー消費設備)と空間構造設定データ52との対応関係を設定した空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(空間構造エネルギー消費設備対応関係設定データ)とから、空間構造集計データ26を生成するか、または、空間構造集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0417】
また、空間構造集計データ処理部55は、電力系統設定データ42(エネルギー系統設定データ)と空間構造設定データ52との対応関係から、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64(エネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データ)を参照して、電力消費設備設定データ62と空間構造設定データ52との対応関係を設定した空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を抽出する。
【0418】
また、この発明の実施の形態4(図19、図25〜図29)に係る電力消費計測データ処理装置1は、空間構造集計データ26の表示を行うための空間構造集計表示生成部56を備えており、空間構造集計表示生成部56は、空間構造集計データ26を空間構造設定データ52に沿って表示するか、または、表示を行うための設定を出力する。
または、空間構造集計表示生成部56は、電力消費設備種別ごとの空間構造集計データ26を空間構造設定データ52に沿って階層的に表示するか、または、階層的に表示するための設定を出力する。
【0419】
また、空間構造集計データ処理部55は、空間構造に沿った電力消費設備13の種別ごとの集計データである電力消費設備種別ごとの空間構造集計データ26を生成するか、または、空間構造集計データ26を生成するための設定を出力する。
これにより、前述の実施の形態3と同様の作用効果を奏する。
【0420】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態1〜4(図2〜図29)では、特に考慮しなかったが、図30〜図34のように、電力消費設備13の制御情報を考慮した処理を行うように構成してもよい。
以下、図30〜図34を参照しながら、この発明の実施の形態5について説明する。
【0421】
図30はこの発明の実施の形態5が適用される電力消費計測対象システムの全体構成を示すブロック図であり、前述(図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0422】
図30において、電力消費設備13(A1、B1、A2、B2、X1、Y1、X2、Y2)には、それぞれに対応した制御機器28(A1、B1、A2、B2、X1、Y1、X2、Y2)が設けられている。
各制御機器28(A1、B1、A2、B2、X1、Y1、X2、Y2)は、それぞれに属する電力消費設備13(A1、B1、A2、B2、X1、Y1、X2、Y2)を制御するとともに、各制御データ29を電力消費計測データ処理装置1に入力する。
【0423】
図31はこの発明の実施の形態5に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成を示すブロック図であり、前述(図3、図19参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0424】
図31において、電力消費計測データ処理装置1は、前述の構成に加えて、生産工程設定部81と、生産工程電力消費設備対応関係設定部83と、電力消費設備制御データ対応関係設定部69と、生産工程集計データ処理部85と、生産工程集計表示生成部86と、を備えている。
【0425】
なお、ここでは、煩雑さを回避するために図示しないが、電力消費計測データ処理装置1は、必要に応じて、前述(図3)と同様の計測機器構成設定部31、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定部33、計測機器構成計測点対応関係設定データ34および計測機器集計表示生成部36を備えているものとする。
【0426】
電力消費計測データ処理装置1内の設定データ保存部22は、前述の各種設定データに加えて、生産工程設定部81からの生産工程設定データ82と、生産工程電力消費設備対応関係設定部83からの生産工程電力消費設備対応関係設定データ84と、電力消費設備制御データ対応関係設定部69からの電力消費設備制御データ対応関係設定データ70と、を保存する。
【0427】
電力消費計測データ処理装置1内の計測データ保存部23は、前述の計測データ25に加えて、制御機器28からの制御データ29を保存する。
また、電力消費計測データ処理装置1内の集計データ保存部24は、前述の各種集計データに加えて、生産工程集計データ処理部85からの生産工程集計データを、集計データ26として保存する。
【0428】
次に、図32〜図34を参照しながら、この発明の実施の形態5(図31、図32)による処理手順、すなわち、各設備の制御情報を加味した可視化画面を自動的に実現するための処理手順について説明する。
【0429】
図32はこの発明の実施の形態5による処理手順(設定段階および運用段階)を示すフローチャートであり、前述(図4、図14、図20、図25参照)と同様の処理については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
この場合、設定段階の後段処理として、ステップS7〜S9が追加されている。
【0430】
図32において、設定段階では、まず、前述と同様に、電力系統設定データ42、計測点設定データ92、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62および電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を作成し(ステップS1、S2、S4、S5A、S6A)、また、必要に応じて、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を作成する(ステップS3)。
【0431】
続いて、計測点設定データ92に対して、制御に係る計測点を追加する(ステップS7)。
具体例として、電力消費設備13がPLC(Programmable Logic Controller)またはシーケンサ(以下、代表的に「シーケンサ」という)によって制御されている場合、そのシーケンサは、当該設備の「稼動状態」を内部変数として保持しているので、ステップS7においては、その内部変数を設定する。
【0432】
この発明の実施の形態5(図30、図31)に係る電力消費計測データ処理装置1は、上記設定にしたがって、電力消費に係る計測データ25と合わせて設備の稼動状態に係る制御データ29を収集して時系列に保存する。これは、従来の電力消費計測データ処理装置1が備えている収集機能である。
【0433】
また、必要に応じて、ステップS7に続き、計測機器構成設定データ32に対して、電力消費設備13を制御するコントローラである制御機器28を追加するとともに、計測機器構成計測点対応関係設定データ34に対しても追加を行う(ステップS8)。
上述の具体例においては、制御機器28はシーケンサとなる。
【0434】
続いて、電力消費計測データ処理装置1は、上記設定にしたがって、電力消費に係る計測データ25と合わせて、設備の稼動状態に係る制御データ29を収集し時系列に保存する。これは、従来装置(図40)が備えている収集機能である。
【0435】
次に、電力消費設備制御データ対応関係設定データ70を作成する(ステップS9)。
電力消費設備制御データ対応関係設定データ70は、どの電力消費設備の稼動状態を、どの計測点(制御に係る計測点、すなわち、どの制御機器のどの内部変数)が表しているかを、電力消費設備設定データ62のノード(各設備)と、制御に係る計測点との対応付けによって記述するものである。
【0436】
電力消費設備制御データ対応関係設定データ70は、直接記述してもよく、または、図31のように、別途に電力消費設備制御データ対応関係設定部69を設け、電力消費設備制御データ対応関係設定部69により設定してもよい。
【0437】
なお、電力消費設備制御データ対応関係設定部69は、電力消費設備設定部61または計測点設定部91の一部として設けてもよく、または、電力消費設備設定部61や計測点設定部91とは別途に独立して設けてもよく、または、電力消費設備設定部61、計測点設定部91および電力消費設備制御データ対応関係設定部69の設定機能を統合した一括的な設定部として設けてもよい。
【0438】
図33は電力消費設備制御データ対応関係設定データ70(破線矢印)を示す説明図であり、計測機器構成設定データ32と電力消費設備設定データ62(設備種別設定データ)との相互関係を示している。
図33において、左側の計測機器構成設定データ32(ツリー構造)のうちの制御機器ノードの内部変数(制御に係る計測点)と、右側の電力消費設備設定データ62(ツリー構造)とを関連付けている情報(破線矢印)が、電力消費設備制御データ対応関係設定データ70である。
【0439】
以下、図32内の設定段階の最終処理として、上記ステップS1〜S9で作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64および電力消費設備制御データ対応関係設定データ70を、電力消費計測データ処理装置1に書き込む。
【0440】
このとき、前述と同様に、各種設定データは、すべての電力消費計測データ処理装置1に等しく書き込むようにしてもよく、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0441】
次に、図32内の運用段階(設備の制御に係る情報を加味した可視化画面の生成手順)について説明する。
運用段階においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集し保存する(ステップS11)。
ステップS11において、電力消費計測データ処理装置1は、電力消費に係る計測データ25と合わせて設備の稼動状態に係る制御データ29を収集して時系列に保存する。
【0442】
また、必要に応じて、計測機器構成に沿った表示画面を生成し(ステップS12)、電力系統に基づくデータの集計処理(ステップS13)に移行し、各設備の電力消費データを確定する(ステップS17B)。
【0443】
このとき、前述(図19、図20)の実施の形態3による集計処理においては、電力消費設備集計データ処理部65が、電力系統設定データ42と電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した電力消費設備電力系統対応関係設定データ64に基づき、各設備の電力消費データを確定したが、これに加えて、図32においては、電力消費設備設定データ62と制御に係る計測点(制御機器の内部変数)との対応関係を記述した電力消費設備制御データ対応関係設定データ70に基づき、電力消費量を制御情報の値に対応する形で分けて個別に集計する(ステップS17C)。
【0444】
続いて、電力消費設備集計表示生成部66は、ステップS17B(17C)による集計データを、制御情報の値に対応する形で分けて、図34のように、可視化してグラフ表示する(ステップS14B)。
図34は電力消費設備集計表示生成部66による計測データ可視化画面を示す説明図であり、電力消費設備(A1)13に関する制御情報(分割区間ごとの実線レベル参照)を加味した設備種別のグラフ表示例および電力消費割合の表示例を示している。
【0445】
図34のグラフにおいては、電力消費グラフが、制御情報の値に対応する形で分けて表示されている。
制御情報(制御機器の内部変数の値)の「0」は、設備が「非稼動状態」であることを示しており、制御情報の「1」は、設備が「稼動状態」であることを示している。したがって、図34のグラフは、電力消費設備(A1)13について、非稼動状態における電力消費量と稼動状態における電力消費量とを区別可能な形で可視化している。
【0446】
なお、制御機器の内部変数の値が、上記2つの状態(非稼動状態/稼動状態)よりもさらに詳細な状態(たとえば、非稼動状態をさらに詳細化した「立上げ中」や「エラー停止中」、稼動状態をさらに詳細化した「工程1稼働中」、「工程2稼動中」、「アイドル」など)を示す場合には、各状態の値に基づきそのまま集計して可視化することもできる。
【0447】
また、各状態の値を2つの状態(非稼動状態/稼動状態)に分類して割り当ててから、非稼動状態における電力消費量と、稼動状態における電力消費量とをそれぞれ集計し、区別できる形で可視化することもできる。
【0448】
また、他の割り当て方として、純粋に生産活動に使われた電力消費量を正の電力消費量とし、それ以外に使われた電力消費量を負の電力消費量として分類して(たとえば、稼動状態のさらに詳細化したもののうち、「工程1稼動中」、「工程2稼働中」を正の電力消費量として割り当て、それ以外、すなわち「稼動状態のアイドル」および「非稼動状態」を負の電力消費量として)割り当ててから、正の電力消費量と負の電力消費量とをそれぞれ集計し、区別できる形で可視化することもできる。
【0449】
グラフ表示と同様に、割合表示においては、電力消費設備集計データ処理部65は、単位時間(たとえば、1日、1週間、1ヶ月など)当たりの電力消費量を、制御情報の値に対応する形で分けてグラフから積算集計し、電力消費設備集計表示生成部66は、その結果を、図34のように電力消費量の割合として可視化すればよい。
【0450】
このように、設備種別ごとの電力消費量を制御状態によって区別して可視化する画面を実現するために、従来装置(図40)では集計および表示を手動で設定していたが、この発明の実施の形態5(図30〜図34)においては、すべて自動的に抽出設定しているので、電力消費量の実態把握作業を直感的に行うための可視化画面のエンジニアリングに係る手間を削減することができる。
【0451】
また、従来装置(図40)を活用するための変換処理および適用可能な出力生成については、ここでは説明を省略するが、図12、図13、図18とともに前述した通りであり、この場合も同様の作用効果を奏する。
【0452】
以上のように、この発明の実施の形態5(図30〜図34)に係る電力消費計測データ処理装置1は、電力系統11に沿った電力消費設備13を制御する制御機器28を備えており、計測点設定データ92に基づいて、電力消費設備13の制御に係る制御データ29(電力消費設備13の稼動状態)を制御機器28から収集する。
【0453】
電力消費設備集計データ処理部65は、計測データ25および制御データ29と、計測点設定データ92のうち制御に係る計測点と電力消費設備13との対応関係を設定した電力消費設備制御データ対応関係設定データ70(エネルギー消費設備制御データ対応関係設定データ)とから、電力消費設備13について稼動状態ごとの集計データである稼動状態ごとの電力消費設備集計データ26を生成するか、または、電力消費設備集計データ26を生成するための設定を出力する。
電力消費設備集計表示生成部66は、稼動状態ごとの電力消費設備集計データ26を表示するか、または、表示を行うための設定を出力する。
【0454】
また、この発明の実施の形態5(図31)に係る電力消費計測データ処理装置1は、生産工程集計データ処理部85を備えており、生産工程集計データ処理部85は、生産工程設定データ82と、電力消費設備13と生産工程設定データ82との対応関係を設定した生産工程電力消費設備対応関係設定データ84(生産工程エネルギー消費設備対応関係設定データ)とから、生産工程集計データ26を生成するか、または、生産工程集計データ26を生成するための設定を出力する。
これにより、前述と同様に、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理を自動的に抽出して、エンジニアリングの手間を削減することができる。
【0455】
実施の形態6.
なお、上記実施の形態5(図30〜図34)では、生産工程に基づく処理について具体的に言及しなかったが、図35〜図38のように、設備の制御情報を加味した電力消費量の集計データ26を利用して、最終製品が完成するために必要な電力消費に係る可視化画面を自動的に実現してもよい。
以下、図35〜図38を参照しながら、この発明の実施の形態6について説明する。
【0456】
図35はこの発明の実施の形態6による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図4、図14、図20、図25、図32参照)と同様の処理については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
この場合、設定段階の最終処理として、ステップS10、S10Aが追加され、運用段階の最終処理として、ステップS18、S19が追加されている。
【0457】
また、図36はこの発明の実施の形態6による電力消費設備制御データ対応関係設定データ70(破線矢印)を示す説明図であり、生産工程設定データ82と電力消費設備設定データ62(設備種別設定データ)との相互関係を示している。
なお、この発明の実施の形態6のソフトウェア構成は図31に示した通りである。
【0458】
以下、図31および図35を参照しながら、設定段階および運用段階の処理手順について説明する。
まず、前述(図32)と同様に、設定段階のステップS1〜S9において、各種設定データ42、92、44、70、32、34を作成する。
【0459】
続いて、生産工程設定データ82を作成する(ステップS10)。
なお、生産工程設定データ82は、直接記述してもよく、図31のように、別途に生産工程設定部81を設け、生産工程設定部81によって設定してもよい。
【0460】
生産工程設定データ82は、製品が完成するために必要な部品および工程を階層的に記述したデータであり、一般的には、M−BOM(Manufacturing BOM、製造BOM、製造部品表)と称されるデータに相当する。
ここで、BOM(Bills of Material)とは、製品が完成するために必要な部品表のことである。
【0461】
M−BOMと対比するために、あえて、E−BOM(Engineering BOM、設計BOM、設計部品表)と称されるものもある。
製品が完成する過程においては、部品と部品とを組み合わせた中間品を経て、中間品を組み合わせて完成品となる場合もあり、E−BOMは、部品や中間品から構成される階層構造となる。
【0462】
M−BOMは、E−BOMに対して、部品や中間品を組み合わせる工程情報を付与したものである。
したがって、M−BOMもまた階層構造となり、特に、完成品/中間品/部品の階層の間に工程が挿入された形の階層構造(すなわち、完成品/中間品/部品と工程とが交互に繰り返される形の階層構造)になる。
【0463】
生産工程設定データ82は、たとえば、図36内の左側のツリー構造で表される。
図36において、生産工程電力消費設備対応関係設定データ84は、左側の生産工程設定データ82のツリー構造のうちの工程ノードと、右側の電力消費設備設定データ62のツリー構造と、を関連付けた情報(破線矢印)として表される。
【0464】
生産工程設定データ82のノードとしては、まず、完成品77と、完成品77の下位ノードとなる工程(B2)80と、工程(B2)80の下位ノードとなる中間品(Σ1)78、(Σ2)78とがあげられる。
また、中間品(Σ1)78の下位ノードとなる工程(B1)80と、工程(B1)80の下位ノードとなる部品(Ω1)79、(Ω2)79と、中間品(Σ2)78の下位ノードとなる工程(A1)80、工程(A2)80と、工程(A1)80の下位ノードとなる部品(Ω3)79と、工程(A2)80の下位ノードとなる部品(Ω4)79とがあげられる。
【0465】
なお、部品や中間品には、別の工場または事業体で製造されるものもあるから、たとえば、部品(Ω1)79に関して、その製造に係る制御情報ごとに区別して集計された結果の値データが提供され利用できる場合には、それを部品(Ω1)79のノードに対して別途個別に設定しておけばよい。
【0466】
この集計技術については後述するが、たとえば、部品(Ω1)79の1個当たりの製造に純粋に要した正の電力消費量および負の電力消費が、集計結果の値データとなる。
ここでは、部品(Ω1)79、(Ω2)79、(Ω3)79、(Ω4)79のそれぞれについて、そのような情報が提供されているとして、それぞれの1個当たりの製造に要した正の電力消費量および負の電力消費に関する情報を、それぞれのノードに設定するものとする。
【0467】
図35に戻り、設定段階の最終処理として、生産工程電力消費設備対応関係設定データ84を作成する(ステップS10A)。
生産工程電力消費設備対応関係設定データ84は、生産工程設定データ82に記述した工程が、どの電力消費設備13によって遂行されているかを、電力消費設備設定データ62のノード(各設備)と、生産工程設定データ82の工程ノードとの対応付けによって記述したデータである。
【0468】
生産工程電力消費設備対応関係設定データ84は、直接記述してもよく、図31のように、別途に生産工程電力消費設備対応関係設定部83を設け、生産工程電力消費設備対応関係設定部83によって設定してもよい。
【0469】
なお、生産工程電力消費設備対応関係設定部83は、電力消費設備設定部61または生産工程設定部81の一部として設けてもよく、または、電力消費設備設定部61や生産工程設定部81とは別途に独立して設けてもよく、または、電力消費設備設定部61、生産工程設定部81および生産工程電力消費設備対応関係設定部83の設定機能を統合した一括的な設定部として設けてもよい。
【0470】
以下、図35内の設定段階の最後に、上記ステップS1〜S10Aで作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64、電力消費設備制御データ対応関係設定データ70、生産工程設定データ82および生産工程電力消費設備対応関係設定データ84を、電力消費計測データ処理装置1に書き込む。
【0471】
このとき、前述と同様に、各種設定データは、すべての電力消費計測データ処理装置1に等しく書き込むようにしてもよく、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0472】
次に、図35内の運用段階(製品が完成するために必要な電力消費に係る可視化画面の生成手順)について説明する。
運用段階においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集し保存する(ステップS11)。
【0473】
ステップS11において、電力消費計測データ処理装置1は、電力消費に係る計測データ25と合わせて、設備の稼動状態に係る制御データ29を収集して時系列に保存する。以下、前述(図32)と同様の集計処理(ステップS13)を行うとともに、必要に応じて計測機器構成に沿った表示画面を生成する(ステップS12)。
また、前述と同様に、集計処理(ステップS17B、S17C、S15A)および表示画面生成処理(S14B、S14C、S16A)を行う。
【0474】
続いて、生産工程集計データ処理部85(図31)は、生産工程設定データ82に記述されている階層構造に沿って、電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した生産工程電力消費設備対応関係設定データ84に基づき、集計データ26を処理する(ステップS18)。このとき、稼働状態ごとに区別集計が行われる(ステップS18C)。
【0475】
最後に、生産工程集計表示生成部86は、集計データ26を、生産工程設定データ階層構造に沿って可視化してグラフ表示する(ステップS19)。このとき、稼働状態ごとに区別集計が行われる(ステップS19C)。
【0476】
なお、前述と同様に、集計処理は、電力消費データを収集し保存する処理(ステップS11)と並行して実行してもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0477】
図37はこの発明の実施の形態6による生産工程に基づくデータの集計処理を示すフローチャートであり、前述と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
図37において、特有の集計処理は、前述の実施の形態5の集計処理が完了した後で実行される。
【0478】
以下、図31および図36とともに、図37を参照しながら、この発明の実施の形態6による集計処理について具体的に説明する。
図37において、まず、生産工程ツリーの最上位(完成品77)を処理対象ノードとして(ステップS81)、再帰処理を行う。
【0479】
再帰処理においては、まず、処理対象ノード(完成品77)に下位のツリー構造が有るか否か(ステップS42)の判定結果に応じて処理が分岐する。
図36から明らかなように、処理対象ノード(完成品77)には、下位のツリー構造が有るので、処理対象ノード(完成品77)の下位ノードのすべて(工程(B2)80)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0480】
この再帰処理(詳細については後述する)の完了後に、ステップS43からステップS82に移行し、処理対象ノードが工程であるか否かが判定される。
このとき、処理対象ノードとなる完成品77は、工程を表すノードではないので、1段階下位のノード(工程(B2)80)の電力消費量と、2段階下位のノード(中間品(Σ1)78、(Σ2)78)との総和を、処理対象ノード(完成品77)の電力消費データとして(ステップS85)、処理対象ノード(完成品77)の再帰処理(図37)を完了する。
【0481】
このとき、1段階下位の工程(B2)80を表すノードの電力消費量は、制御情報との関連をともなう時系列データである。
一方、2段階下位の中間品(Σ1)78、(Σ2)78や、さらに下位の部品(Ω1)79〜(Ω4)79を表すノードの電力消費量は、時系列データではなく、制御情報ごとに区別して集計された結果の値データである。
【0482】
したがって、ステップS85においては、1段階下位の工程を表すノードの制御情報との関連をともなう時系列データを総和したものを処理対象ノード(完成品77)の時系列の電力消費データとするとともに、1段階下位の工程を表すノードの制御情報ごとに区別して集計された結果の値データと、2段階下位の中間品や部品を表すノードの制御情報ごとに区別して集計された結果の値データとの総和を、処理対象ノード(完成品77)の集計結果値の電力消費データとする。
【0483】
次に、工程(B2)80に対する再帰処理について説明する。
まず、工程(B2)80には下位のツリー構造が有るので、前述と同様に、工程(B2)80の下位ノードのすべて(中間品(Σ1)78、(Σ2)78)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0484】
これらの再帰処理がすべて完了した後、工程(B2)80は工程を表すノードなので、ステップS82からステップS83に移行し、処理対象ノードと消費設備ノードとの関係設定があるか否かが判定される。
ステップS83において、工程(B2)80に対応する電力消費設備の設定がある(すなわち、YES)と判定されれば、設定された電力消費設備の電力消費データを工程(B2)80の電力消費データとして(ステップS84)、工程(B2)80の再帰処理(図37)を完了する。
【0485】
一方、ステップS83において、工程(B2)80に対応する電力消費設備の設定がない(すなわち、NO)と判定されれば、工程(B2)80の電力消費データは無しと確定して(ステップS56A)、工程(B2)80の再帰処理(図37)を完了する。
図30の構成例では、工程(B2)80は、電力消費設備(B2)13との対応関係の設定があるので、電力消費設備(B2)13の電力消費データを、そのまま工程(B2)80の電力消費データとすればよい。
【0486】
次に、中間品(Σ1)78に対する再帰処理について説明する。
まず、中間品(Σ1)78には下位のツリー構造が有るので、下位ノードのすべて(工程(B1)80)に対して再起処理を行う。
この再起処理の完了後に、ステップS43からステップS82に移行し、処理対象ノードが工程であるか否かが判定される。
【0487】
中間品(Σ1)78は工程を表すノードではないので、ステップS82からステップS85に移行し、1段階下位のノード(すなわち、工程(B1)80)の電力消費量と、2段階下位のノード(部品(Ω1)79、(Ω2)79)との総和を、中間品(Σ1)78の電力消費データとして、中間品(Σ1)78の再帰処理(図37)を完了する。
なお、工程を表すノードではない場合の総和については、前述の通りである。
【0488】
次に、工程(B1)80に対する再帰処理について説明する。
まず、工程(B1)80には下位のツリー構造が有るので、工程(B1)80の下位ノードのすべて(部品(Ω1)79、(Ω2)79)に対して再帰処理が行われる。
これら再帰処理がすべて完了した後、工程(B1)80は工程を表すノードなので、ステップS82からステップS83に移行し、消費設備ノードとの関係設定があるか否かが判定される。
【0489】
もし、工程(B1)80に対応する電力消費設備の設定があれば、設定された電力消費設備の電力消費データを、工程(B1)80の電力消費データとして(ステップS84)、工程(B1)80の再帰処理(図37)を完了する。
【0490】
一方、工程(B1)80に対応する電力消費設備の設定がなければ、工程(B1)80の電力消費データは無しと確定して(ステップS56A)、工程(B1)80の再帰処理(図37)を完了する。
図30の構成例では、工程(B1)80は、電力消費設備(B1)13との対応関係の設定があるので、電力消費設備(B1)13の電力消費設備の電力消費データを、そのまま工程(B1)80の電力消費データとすればよい。
【0491】
次に、最下位ノードの部品(Ω1)79に対する再帰処理について説明する。
まず、部品(Ω1)79には下位のツリー構造が無いので、ステップS42からステップS86に移行し、処理対象ノードが工程か否かが判定される。
【0492】
ステップS86において、部品(Ω1)79が工程を表すノードである(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS88に移行し、処理対象ノードと消費設備ノードとの関係設定があるか否かが判定される。
【0493】
ステップS88において、部品(Ω1)79に対応する電力消費設備の設定がある(すなわち、YES)と判定されれば、その電力消費設備の電力消費データを、部品(Ω1)79の電力消費データとして(ステップS89)、部品(Ω1)79の再帰処理(図37)を完了する。
【0494】
一方、ステップS88において、部品(Ω1)79に対応する電力消費設備の設定がない(すなわち、NO)と判定されれば、部品(Ω1)79の電力消費データは無しと確定して(ステップS56B)、部品(Ω1)79の再帰処理を完了する。
【0495】
ただし、部品(Ω1)79は工程を表すノードではないので、前述のステップS86からステップS87に移行する。
すなわち、部品(Ω1)79のノードに対して、別途個別に、制御情報ごとに区別して集計された結果の値データが設定されている場合には、そのデータを部品(Ω1)79の電力消費データとして採用し、値データが設定されていなければ、Ω1の電力消費データは無しと確定して、部品(Ω1)79の再帰処理(図37)を完了する。
【0496】
なお、部品(Ω2)79、中間品(Σ2)78、工程(A1)80、部品(Ω3)79、工程(A2)80、部品(Ω4)79の各ノードに対する再帰処理については、上記処理内容のいずれかと同一なので、ここでは説明を省略する。
【0497】
以上の再帰処理により、生産工程設定データ階層構造の各ノードの電力消費データの集計が可能となる。
なお、前述と同様に、上記再帰処理は、各ノードの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理なので、処理時間を短縮(長い処理時間を要する再帰処理を省略)する観点から、運用段階の最初の1回のみ実行し、その結果として得られた算出方式を記憶(または、実行可能スクリプト形式で出力)しておき、各ノードのデータを算出する必要があった際に、その算出方式を参照(そのスクリプトを実行)するという構成が望ましい。
ただし、計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合など、再帰処理に要する時間が特に支障がない程度に短ければ、必要なときに毎回再帰処理を行うような構成であってもよい。
【0498】
以下、生産工程集計表示生成部86は、以上のように処理された集計データ26を、生産工程設定データ階層構造に沿って可視化してグラフ表示する。
図38はこの発明の実施の形態6による可視化グラフ表示例を示す説明図であり、計測データ可視化画面を生産工程グラフ表示した場合の具体例を示している。
【0499】
図38に示す可視化画面は、前述(図34)の実施の形態5の可視化画面に対して、生産工程設定データ階層構造を表示および操作が可能なツリービューを加えることにより構成される。
図38において、生産工程設定データ階層構造におけるノードで、上述の集計処理により電力消費データが存在するノードは、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する(マウスでダブルクリックするなどの)操作によって、当該ノードの電力消費データがグラフ表示される。
【0500】
なお、部品(Ω1〜Ω4)を表すノードには、制御情報ごとに区別して集計された結果の値データのみが存在し得るので、割合表示の可視化画面を表示する。
また、工程(A1、A2、B1、B2)を表すノードには、その工程と対応関係のある電力消費設備13の電力消費データのみが存在し得るので、その電力消費データのグラフと割合表示の可視化画面を表示する。
【0501】
中間品(Σ1、Σ2)や完成品を表すノードには、1段階下位の工程を表すノードの制御情報との関連をともなう時系列データを総和した時系列の電力消費データと、1段階下位の工程を表すノードおよび2段階下位の中間品や部品を表すノードの制御情報ごとに区別して集計された結果の値データを総和した集計結果値の電力消費データと、が存在し得るので、その電力消費データのグラフと割合表示の可視化画面を表示する。
【0502】
上記のような製品を完成させるために必要な電力消費に係る可視化画面を実現するために、従来装置(図40)では、集計および表示を手動で設定していたが、この発明の実施の形態6によれば、集計および表示を自動的に抽出することができるので、製品完成に要する電力消費量の実態を直感的に把握可能な可視化画面のエンジニアリングに係る手間を削減することができる。
【0503】
すなわち、この発明の実施の形態6においては、製品が完成するために必要な電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定と可視化画面の設定とを自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(生産工程階層構造と設備種別とその相互関係)を設定するのみで、生産工程階層構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化画面を自動的に実現する。
【0504】
具体的には、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、生産工程階層構造(M−BOM)に適用することにより、生産工程階層構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化することができる。また、これらの演算結果は、そのまま生産工程階層構造に沿った表示に対応付けられることから、可視化画面の設定についても自動化することができる。
【0505】
また、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、生産工程階層構造(M−BOM)に適用する際には、生産工程階層構造(M−BOM)が、上述したような空間構造といった階層構造とは異なり、完成品/中間品/部品と工程とが交互に繰り返される階層構造であることに対して、処理方法を上述のように工夫している。
【0506】
さらに、親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする「積上げグラフ」を表示し、また割合表示するという規則を、生産工程階層構造に適用することにより、生産工程階層構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化することができる。
【0507】
また、従来装置(図40)を活用するための変換処理および適用可能な出力生成については、ここでは説明を省略するが、図12、図13、図18とともに前述した通りであり、この場合も同様の作用効果を奏する。
【0508】
以上のように、この発明の実施の形態6(図31、図35〜図38)に係る電力消費計測データ処理装置1は、生産工程集計データ処理部85を備えており、生産工程集計データ処理部85は、生産工程設定データ82と、電力消費設備13と生産工程設定データ82との対応関係を設定した生産工程電力消費設備対応関係設定データ84(生産工程エネルギー消費設備対応関係設定データ)とから、生産工程集計データ26を生成するか、または、生産工程集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0509】
また、この発明の実施の形態6に係る電力消費計測データ処理装置1は、生産工程集計表示生成部86を備えており、生産工程集計表示生成部86は、生産工程集計データ26を生産工程に沿って階層的に表示するか、または、階層的に表示するための設定を出力する。
これにより、前述と同様に、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理を自動的に抽出して、エンジニアリングの手間を削減することができる。
【符号の説明】
【0510】
1 電力消費計測データ処理装置、2 マイクロプロセッサ、3 データ保存部、4 通信処理部、5 信号入力部、6 信号出力部、7 表示処理部、8 操作入力部、9 表示装置、11 電力系統、12 電力計測器、13 電力消費設備、14 エリア、15 生産ライン、16 建屋またはフロア、17 工場または事業体、21 計測処理部、22 設定データ保存部、23 計測データ保存部、24 集計データ保存部、25 計測データ、26 集計データ(電力系統集計データ、空間構造集計データ、電力消費設備集計データ、生産工程集計データ)、28 制御機器、29 制御データ、31 計測機器構成設定部、32 計測機器構成設定データ、33 計測機器構成計測点対応関係設定部、34 計測機器構成計測点対応関係設定データ、36 計測機器集計表示生成部、37 計測機器構成設定データ変換部、38 計測機器構成計測点対応関係設定データ変換部、41 電力系統設定部、42 電力系統設定データ、43 電力系統計測点対応関係設定部、44 電力系統計測点対応関係設定データ、45 電力系統集計データ処理部、46 電力系統集計表示生成部、47 電力系統設定データ変換部、48 電力系統計測点対応関係設定データ変換部、51 空間構造設定部、52 空間構造設定データ、53 空間構造電力系統対応関係設定部、54 空間構造電力系統対応関係設定データ、55 空間構造集計データ処理部、56 空間構造集計表示生成部、57 空間構造設定データ変換部、58 空間構造電力系統対応関係設定データ変換部、59 空間構造電力消費設備対応関係設定部、60 空間構造電力消費設備対応関係設定データ、61 電力消費設備設定部、62 電力消費設備設定データ、63 電力消費設備電力系統対応関係設定部、64 電力消費設備電力系統対応関係設定データ、65 電力消費設備集計データ処理部、66 電力消費設備集計表示生成部、69 電力消費設備制御データ対応関係設定部、70 電力消費設備制御データ対応関係設定データ、77 完成品、78 中間品、79 部品、80 工程、81 生産工程設定部、82 生産工程設定データ、83 生産工程電力消費設備対応関係設定部、84 生産工程電力消費設備対応関係設定データ、85 生産工程集計データ処理部、86 生産工程集計表示生成部、91 計測点設定部、92 計測点設定データ、93 計測データ集計処理部、94 計測データ表示生成部、95 仮想計測点設定部、96 仮想計測点設定データ、97 仮想計測点集計データ処理部、101 検索キー設定部、102 検索キー設定データ、103 検索キー計測点対応関係設定部、104 検索キー計測点対応関係設定データ、105 検索キー表示生成部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、エネルギー(電力)の消費の時系列変化を計測したデータの処理を行うエネルギー消費計測データ処理装置に関し、特に処理データの可視化技術および可視化のためのデータ演算技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、化石燃料の枯渇懸念や地球環境保護の観点から、省エネを実現するための対策が種々提案されている。省エネを実現するための対策としては、省エネ効果の高い高効率機器の開発および導入、エネルギーロスミニマム活動による無駄の削減、そして、自然エネルギーの活用およびそのための社会的な基盤整備、などがあげられる。
【0003】
このうち、エネルギーロスミニマム活動を行うということは、エネルギー消費の時系列変化を計測することによって、エネルギー消費の実態を把握し、その中から無駄なエネルギー消費となっている部分を発見し、その無駄を取り除く努力を継続することである。
近年において、エネルギーロスミニマム活動は、CO2排出量の削減を目指す環境負荷低減活動として取り組まれることも多いが、これは直接計測可能なエネルギー消費量をCO2排出量に換算して評価するものである。
【0004】
一般に、直接計測されるエネルギー消費量の代表例としては、電力消費量があげられ、たとえば素材を製造する工場では、電力の他に化石燃料を消費する場合がある。
また、素材を加工して部品を製造する工場や、製造された部品を組み立てて最終製品を供給する工場では、加工装置や組立装置が電力で稼働されることがほとんどである。
【0005】
このように、組み立てを中心とする種々の工場において、使用されるエネルギーのほとんどは電力である。
また、工場内の事務建屋や、工場以外のオフィスビルなどの一般建屋においても、使用されるエネルギーのほとんどは電力である。
【0006】
したがって、電力を消費する工場やオフィスビルなどでは、電力消費量の時系列変化を計測して電力消費量の実態を把握し、無駄な電力消費量を抑える努力をすることが、省エネを実践するために不可欠となる。
また、太陽光発電など、現代のエネルギー転換が進みつつあるなかで、電力消費量の実態把握は、エネルギーロスミニマム活動のみならず、電力需給の予測および制御のためにも、重要なことである。
【0007】
上記要求に応えるために、従来から、対象システムの電力消費量を計測して、電力消費量の実態を把握する支援装置(たとえば、非特許文献1参照)を用いることによって、省エネ対策を実現する活動が行われてきた。
具体的には、非特許文献1に記載の支援装置は、以下の処理を行うものであった。
【0008】
電力消費量の実態把握のためには、まず、電力消費量を計測することから始めなければならないが、どの箇所に計測機器を設置するかを決定する必要がある。その計測点を特定するためには、電力系統(エネルギーフロー)を把握する必要がある。
【0009】
図39は一般的な工場の電力系統を模式的に示すブロック図であり、工場敷地内の受電室および建屋α、β、・・・γに引き通された電力系統(太実線)と、電力系統上の計測点(黒丸)とを示している。
図39において、受電室内では、受電部および変圧部の各入力端に計測点が設定されている。
【0010】
また、建屋αにおいては、エリア1、エリア2内の分電盤、照明X1、X2、空調Y1、Y2、コンセントOA1、OA2、・・・と、生産ラインA、生産ラインB内の製造設備A1、A2、B1、B2、・・・との各入力端に計測点が設定されている。
【0011】
一般に、大規模な工場敷地では、工場全体の電力を特別高圧で受電する受電室があり、受電室から分岐して変圧した高圧電線を工場敷地内の各建屋α〜γに分配している。また、各建屋α〜γ内で分岐して変圧した低圧電線を、建屋内の複数のエリア1およびエリア2に分配している。
【0012】
一方、中小規模の工場敷地では、工場全体の電力を特別高圧または高圧で受電する受電室があり、受電室から分岐して変圧した低圧電線を、工場敷地内の各建屋に分配し、さらに建屋内の各エリアに分配している。
【0013】
図39に示した建屋α内においては、各エリア内に分電盤が設置されており、分電盤でさらに分岐した電力が、その先に接続される末端設備(製造設備A1、A2や照明X1、X2、コンセントOA1、OA2、空調Y1、Y2)に供給されている。
【0014】
ここで、分電盤をどのように分けるか、またはどの分電盤にどの設備を接続するかは、各末端設備の電力使用量と配線の容易性とによって決まる。
たとえば、事務建屋の場合には、エリアごとに分電盤を分けて設置するのが一般的であるが、生産ライン建屋の場合には、エリアごとではなく、生産ラインごとに分電盤を分けて設置する場合もある。
【0015】
図39の建屋αにおいては、生産ライン建屋ではあるが、エリアごとに分電盤を分けて設置している例を示している。
なお、1つの分電盤を複数のエリアや生産ラインで使用することもあれば、1つのエリアや生産ラインが複数の分電盤から電力供給を受けることもある。
【0016】
また、図39には図示されていないが、電力系統の分岐箇所には、遮断器(ブレーカ)が設置されているので、遮断器設置箇所を計測点として電力消費量を計測すれば、各建屋α〜γ内の全体、または、工場敷地内の全体の電力エネルギーフローを把握することが可能となる。
【0017】
そこで、従来から、電力消費量を計測するための設定と、計測結果を可視化するためのデータ演算と、可視化画面の設定とを実現する支援装置(たとえば、非特許文献2参照)が提案されている。
【0018】
以下、図40〜図42を参照しながら、非特許文献2に記載の電力消費計測データ処理装置による具体的な処理について、上記(図39)の工場敷地を適用対象とした場合を例にとって説明する。
【0019】
図40は従来の電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。また、図41は表示画面により可視化を行う際の処理を示すフローチャートであり、計測および工場敷地内の全体の電力エネルギーフローを把握可能にする際の手順を示している。さらに、図42は従来の電力消費計測データ処理装置による可視化画面の例を示す説明図である。
【0020】
図40において、電力消費計測データ処理装置201は、各種データを保存するデータ保存部203と、電力計測器(図示せず)からの電力消費データを取り込む通信処理部4と、計測処理部21と、計測点設定部91と、計測データ集計処理部93と、計測データ表示生成部94と、仮想計測点設定部95と、仮想計測点集計データ処理部97と、検索キー設定部101と、検索キー計測点対応関係設定部103と、検索キー表示生成部105と、を備えている。
【0021】
データ保存部203は、設定データ保存部222と、計測処理部21からの計測データ25を保存する計測データ保存部23と、を備えている。また、データ保存部203は、必要に応じて、集計データ保存部224(破線ブロック参照)を備えている。
【0022】
設定データ保存部222は、各種設定部101、103、95、91で設定された検索キー設定データ102、検索キー計測点対応関係設定データ104、仮想計測点設定データ96および計測点設定データ92を保存する。
【0023】
集計データ保存部224は、計測データ集計処理部93および仮想計測点集計データ処理部97からの集計データを保存するとともに、検索キー表示生成部105への転送時に必要に応じて、保存した各集計データ226を計測データ集計処理部93および仮想計測点集計データ処理部97に入力する。
【0024】
以下、図41を参照しながら、従来の電力消費計測データ処理装置201の処理手順について説明する。
まず、事前準備として、計測および可視化の対象に関して、電力系統を把握し、電力系統のどの箇所を計測するかを決定して、計測機器構成を用意する。
【0025】
たとえば、図39のような工場または事業体内の電力系統において、各建屋またはフロア内の電力消費設備に対応した複数箇所に電力計測器を設置し、建屋またはフロアごとに電力消費計測データ処理装置201を設置した構成とする。
【0026】
図41において、まず、設定処理として計測点の設定(計測点設定データ92の作成)を行う(ステップS201)。
計測点設定部91は、計測点設定データ92を生成し、自身の属する電力消費計測データ処理装置201に対して、計測点を設定する。
【0027】
すなわち、自身の電力消費計測データ処理装置201に関し、電力消費計測データ処理装置201に接続される電力計測器と、データ収集する電力計測器のCH(チャネル)と、データ収集する周期と、データ保存するときのデータ名称と、他の電力消費計測データ処理装置201から取得する(他の電力消費計測データ処理装置201が収集した)電力消費データと、を設定する。
【0028】
なお、電力計測器には、必要に応じて、電力消費量を測定するための電力計測CH(チャネル)を1つのみ有しているものもあれば、2つ以上有しているものもある。
たとえば、複数の電力計測器のうち、4CHを有する電力計測器のそれぞれのCHが4つの計測点の電力消費量を計測し、1CHを有する電力計測器が1つの計測点の電力消費量を計測するように構成され得る。
【0029】
続いて、仮想計測点設定部95は、計算式(後述する)に基づく仮想計測点の設定(仮想計測点設定データ96を作成)を行う(ステップS202)。
すなわち、計測値に対する所望の演算処理式と、データ保存するときのデータ名称とを設定する。これにより、電力計測器によって実際に測定していないが、計測値を演算により求めた結果を仮想計測点として設定することができる。
【0030】
次に、検索キー設定部101は、電力系統を検索キーとして階層構造の設定(検索キー設定データ102の作成)を行う(ステップS203)。
また、検索キー計測点対応関係設定部103は、検索キー計測点対応関係設定データ104を作成し、表示する検索キーおよび計測点を設定する(ステップS204)。
【0031】
すなわち、電力系統を検索キーとして階層構造を設定し、それぞれの計測点(仮想計測点を含む)がどの電力系統であるかを設定する。
これにより、運用時の可視化のための設定として、検索キーを設定して階層構造を定義し、どの検索キー(階層)にどの計測点(仮想計測点を含む)を表示するか、が設定される。
【0032】
次に、運用時において、電力消費計測データ処理装置201は、計測処理部21により、設定された計測点についてデータを収集して保存し(ステップS211)、また、仮想計測点集計データ処理部97により仮想計測点を計算する(ステップS212)。
最後に、演算処理された計測点のデータの可視化画面は、検索キー表示生成部105により階層構造として表示されるとともに、それぞれの計測データのグラフ表示は、計測データ表示生成部94により処理される(ステップS213)。
【0033】
従来の可視化画面の一例としては、トレンドグラフが挙げられる。
これは、収集し保存する処理が継続的に行われているデータの最新状況を、グラフ表示するものである。また、トレンドグラフにおいては、新しいデータ収集が行われた際にグラフ表示が更新されるので、グラフ表示されたデータが、時間経過に合わせて最新値に更新されていく表示となり、グラフが時間とともにずれていく(横に動いていく)表示となる。
【0034】
また、従来の可視化画面の他の例としては、既に収集し保存し終えた過去の電力消費データの日別、週別、月別、年別のグラフ表示が挙げられる。
この場合、たとえば、電力消費データが10分周期に収集されたデータであっても、日別のグラフ表示には時間単位でグラフ表示するために、10分周期のデータを時間単位で集計して(または、1時間間隔の差分を取って)グラフ表示するという処理が行われる。
【0035】
この集計処理は、従来の支援装置においては、計測データ集計処理部93や仮想計測点集計データ処理部97が行うものであって、収集し保存する処理と並行して行うようにしてもよいし、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に行うようにしてもよい。
【0036】
収集し保存する処理と並行して集計処理を行う場合には、集計データ226は、集計データ保存部224に保存された状態となり、グラフ表示する際に表示されるのみとなる。
したがって、グラフ表示の際に集計処理が行われないので、グラフ表示を要求してから実際にグラフ表示されるまでの処理時間が短くなる。しかし、反面では、決してグラフ表示しないような集計データが集計データ保存部224に保存されることになり、データ保存部203の容量が膨大になる可能性がある。
【0037】
一方、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に集計処理を行う場合には、集計データ226を集計データ保存部224に保存しておく必要がないものの、グラフ表示を要求してから実際にグラフ表示されるまでの処理時間が長くなる可能性がある。
【0038】
図42は電力消費計測データ処理装置201の可視化画面の例を示している。
図42において、計測点vの計測グラフは、計測したデータをそのままグラフ表示して可視化している。また、仮想計測点gは、計測点t、u、vの総計値(g=t+u+v)として設定されている。
このような設定、計測、可視化により、各建屋内の全体、または、工場敷地内の全体の電力エネルギーフローが把握することができる。
【0039】
なお、より詳細な電力消費実態を把握するためには、集計方法などを工夫して可視化する必要がある。
たとえば、工場の場合には、事務建屋もあれば生産ライン建屋もあるので、各建屋によって電力消費量の傾向が異なる。また、事務建屋であっても、各フロアに在籍する人数が異なるので、そこで稼動するOA機器の数も異なる。同様に、生産ライン建屋であっても、それぞれの生産ラインで稼働する製造設備も異なる。
【0040】
したがって、より詳細な電力消費実態を把握するためには、計測データを生産ラインや設備種別ごとに集計し、また、製造された製品ごとに集計して可視化する方法が有効となる。
具体的には、生産ラインごとの電力消費量の実態を把握するためには、計測データの中から当該生産ラインに属するものを集計して、当該生産ラインの電力消費時系列データを作成し、それらデータをグラフ表示して可視化することが有効となる。
また、集計用に必要な計測点を測定していない場合には、測定している計測点のデータから、集計のために必要なデータを近似的に作成する必要がある。
【0041】
たとえば、図39において、照明X1は、生産ラインAのエリア1と生産ラインBのエリア1との部分に寄与しているが、照明X1の計測点においては、生産ラインごとの個別の電力消費量を計測しておらず、エリア1の全体の照明電力を計測している。
【0042】
このような場合には、エリア1の全体を照明する電力供給点(計測点)で計測された時系列データを、各生産ラインA、Bのエリア1の部分の照明の電力消費時系列データへと比例配分計算することにより、近似的に解決する。
比例配分比率は、均等であってもよく、生産ラインA、Bの面積比、照明器具数の比、または照明器具のワット数総計の比であってもよく、さらに過去の経験的なデータから決定してもよい。
【0043】
上記のように近似的に解決する状況はしばしば起こり得る。なぜなら、詳細な電力消費量の実態を把握しようとしても、設置する電力計測器数が増えれば、その分だけ計測のためのコストが増大するので、電力計測器数を抑制する必要があるからである。
また、比例配分によって十分に近似可能な場合には、細かく多数の電力計測器を設置する効果は薄くなり、逆にコストのみが増大することになる。
【0044】
どの程度まで細かく電力計測器を設置するかは、どの程度に電力消費実態を把握する必要があるか、および、計測用のコストをどの程度まで費やすことができるか、に鑑みて、費用対効果を考慮して決定されるものである。
しかし、従来の支援装置を用いた場合には、上述した計測用の設定、可視化用のデータ演算、および、可視化画面の設定は、それぞれを手動で設定(または、プログラミング)する必要がある。
【0045】
特に、電力消費量の実態を十分に把握するために必要な可視化画面の作成、および、可視化用のデータ演算処理の作成、すなわち、計測データを生産ラインや設備種別ごとに集計すること、さらに、製造された製品ごとに集計するデータ演算を仮想計測点として設定する作業、および、仮想計測点を階層構造に沿って分かり易く可視化するために検索キーを設定し、どの計測点がどの検索キーに属するのかを設定する作業など、電力消費量の実態が十分に把握できるような集計や可視化を提供するための多大なエンジニアリングコストが要求される。
また、可視化画面の作成および可視化用のデータ演算処理の作成に要するエンジニアリングコストは、詳細な電力消費量の実態を把握しようとすればするほど、ますます増大することになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0046】
【非特許文献1】三菱省エネデータ収集ソフト(EcoViewerII)設定ソフトウェア取扱説明書 IB63178
【非特許文献2】三菱省エネデータベースサーバソフトウェア(EcoManagerII)取扱説明書(サーバ編)IB63440
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
従来のエネルギー消費計測データ処理装置は、計測用の設定、可視化用のデータ演算、および、可視化画面の設定を、それぞれ手動で設定(または、プログラミング)する必要があるので、詳細な電力消費量の実態を把握するためには、多大なエンジニアリングコストを要するという課題があった。
【0048】
また、エンジニアリングコストが限られている場合には、電力消費量の実態を十分に把握するために必要な処理、すなわち、計測データを生産ラインや設備種別ごとに集計すること、製造された製品ごとに集計するデータ演算、および、演算結果を階層構造に沿って可視化することを十分に行うことができないので、電力消費量の実態把握作業を直感的に行うための分かり易い画面が十分に提供されず、結果として不十分な電力消費量の実態把握にとどまり、無駄が発見できずに、効果的な省エネ対策を達成することができないという課題があった。
【0049】
さらに、近年では、コスト要因として機器コストは相対的に低くなり、計測機器も安価になっていることから、多数の計測点を取り扱う傾向にあるので、可視化用のデータ演算および分かり易い可視化画面の設定に要するエンジニアリングコストがますます増大するという課題があった。
【0050】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理の設定に係るエンジニアリングの手間を削減したエネルギー消費計測データ処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0051】
この発明に係るエネルギー消費計測データ処理装置は、計測点設定データに基づいて、エネルギー消費に係る計測データを収集するとともに、計測データを集計して処理するエネルギー消費計測データ処理装置であって、エネルギー系統に沿った集計データであるエネルギー系統集計データを処理するエネルギー系統集計データ処理部を備え、エネルギー系統集計データ処理部は、エネルギー系統設定データと、エネルギー系統設定データと計測点設定データとの対応関係を設定したエネルギー系統計測点対応関係設定データとから、エネルギー系統集計データを生成するか、または、エネルギー系統集計データを生成するための設定を出力するものである。
【発明の効果】
【0052】
この発明によれば、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理を自動的に抽出することにより、エンジニアリングの手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施の形態1〜6に係る電力消費計測データ処理装置の概略的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1〜4が適用される電力消費計測対象システムの全体構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1、2に係る電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1による処理手順を示すフローチャートである。
【図5A】この発明の実施の形態1による電力系統設定データと計測機器構成設定データとの相互関係(電力系統計測機器対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図5B】この発明の実施の形態1による電力系統設定データと計測点設定データとの相互関係を示す説明図である。
【図5C】この発明の実施の形態1による計測機器構成設定データと計測点設定データとの相互関係を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1においてツリー構造を記述するデータフォーマットに基づき記述した電力系統設定データを示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1において関連付けを記述するデータフォーマットに基づき記述した電力系統計測点対応関係設定データを示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による電力系統に基づくデータの集計処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1よる計測データ可視化画面を電力系統グラフ表示で示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による計測データ可視化画面を計測機器構成で示す説明図ある。
【図11】この発明の実施の形態1による計測データ可視化画面を電力系統割合表示で示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態1、2に係る電力消費計測データ処理装置の他のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態1による処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態2による処理手順を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態2による電力系統設定データと空間構造設定データとの相互関係(空間構造電力系統対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態2による空間構造に基づくデータ集計処理を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態2による計測データ可視化画面を空間構造グラフ表示および空間構造割合表示で示す説明図である。
【図18】この発明の実施の形態2による処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施の形態3、4に係る電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図20】この発明の実施の形態3による処理手順を示すフローチャートである。
【図21】この発明の実施の形態3による電力系統設定データと設備種別設定データとの相互関係(電力消費設備電力系統対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図22】この発明の実施の形態3による電力系統に基づくデータの設備種別を加味した集計処理を示すフローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態3による計測データ可視化画面を設備種別グラフ表示で示す説明図である。
【図24】この発明の実施の形態3による計測データ可視化画面を設備種別割合表示で示す説明図である。
【図25】この発明の実施の形態4による処理手順を示すフローチャートである。
【図26】この発明の実施の形態4による空間構造設定データと電力消費設備設定データとの相互関係(空間構造電力消費設備対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図27】この発明の実施の形態4による空間構造に基づくデータの集計処理を示すフローチャートである。
【図28】この発明の実施の形態4による計測データ可視化画面を空間構造グラフ表示および設備種別グラフ表示で示す説明図である。
【図29】この発明の実施の形態4において空間構造を生産ライン構造にした場合の空間構造設定データと電力消費設備設定データとの相互関係(空間構造電力消費設備対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図30】この発明の実施の形態5、6が適用される電力消費計測対象システムの全体構成を示すブロック図である。
【図31】この発明の実施の形態5、6に係る電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図32】この発明の実施の形態5による処理手順を示すフローチャートである。
【図33】この発明の実施の形態5による計測機器構成設定データと設備種別設定データとの相互関係(電力消費設備制御データ対応関係設定データ)を示す説明図である。
【図34】この発明の実施の形態5による計測データ可視化画面を、制御情報を加味した設備種別グラフ表示で示す説明図である。
【図35】この発明の実施の形態6による処理手順を示すフローチャートである。
【図36】この発明の実施の形態6による生産工程設定データと設備種別設定データとの相互関係を示す説明図である。
【図37】この発明の実施の形態6による生産工程に基づくデータの集計処理を示すフローチャートである。
【図38】この発明の実施の形態6による計測データ可視化画面を生産工程グラフ表示で示す説明図である。
【図39】一般的な工場敷地内の電力系統を模式的に示すブロック図である。
【図40】従来の電力消費計測データ処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図41】従来の電力消費計測データ処理装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図42】従来の電力消費計測データ処理装置による電力消費量の可視化画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る電力消費計測データ処理装置1の概略的なハードウェア構成を示すブロック図である。
ここでは、前述と同様に、代表的に電力エネルギーを測定対象として説明するが、電力以外の任意のエネルギーを測定対象とした場合でも、同様に適用可能なことは言うまでもない。
【0055】
図1において、電力消費計測データ処理装置1は、本体の演算処理機能を構成するマイクロプロセッサ2と、各種メモリからなるデータ保存部3と、電力計測器(図示せず)からの電力消費データを取り込む通信処理部4と、各種センサ(図示せず)からのアナログ信号を取り込みデジタルデータへ変換する信号入力部5と、信号出力部6と、各種表示生成部(図3とともに後述する)を含む表示処理部7と、オペレータからの入力インタフェイスとなる操作入力部8と、可視化画面を表示する表示装置9と、を備えている。
【0056】
図2はこの発明の実施の形態1が適用される電力消費計測対象システム(工場または事業体(κ)17)の全体構成を示すブロック図である。
図2において、電力消費計測データ処理装置1は、工場または事業体(κ)17内の複数箇所に設置されている。
【0057】
工場または事業体(κ)17には、電力系統(κ)11と、電力計測器(a)12と、電力消費計測データ処理装置(κ)1と、建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16と、が設置されている。
建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16内には、それぞれ、電力消費計測データ処理装置(α)1、(β)1、(γ)1が設置されている。
【0058】
建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16は、それぞれ同一構成を有しているので、図2においては、代表的に、建屋またはフロア(α)16のみが詳細に示されている。
建屋またはフロア(α)16には、電力消費計測データ処理装置(α)1と、電力計測器(f)12と、エリア(1)14およびエリア(2)14と、が設置されている。
【0059】
エリア(1)14には、電力消費設備(X1、Y1)13および電力計測器(p)12と、生産ライン(A)15(または、小規模なセル)内の電力消費設備(A1)13および電力計測器(q)12と、生産ライン(B)15内の電力消費設備(B1)13および電力計測器(r)12と、が設置されている。
【0060】
同様に、エリア(2)14には、電力消費設備(X2、Y2)13および電力計測器(t)12と、生産ライン(A)15内の電力消費設備(A2)13および電力計測器(u)12と、生産ライン(B)15内の電力消費設備(B2)13および電力計測器(v)12と、が設置されている。
【0061】
複数の電力計測器(f)12、(p)12〜(r)12、(t)12〜(v)12は、電力消費計測データ処理装置(α)1に接続されている。
なお、建屋またはフロア(α)16内の電力系統には、電力計測器が設置されない仮想計測点g、h、iが設定されている。また、工場または事業体(κ)17内の電力系統には、電力計測器が設置されない仮想計測点eが設定されている。
【0062】
工場または事業体(κ)17において、複数の建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16のそれぞれに設置された電力消費計測データ処理装置(α)1、(β)1、(γ)1は、工場または事業体(κ)17内の全体を管理する電力消費計測データ処理装置(κ)1に接続されている。
また、電力消費計測データ処理装置(κ)1には、他の工場または事業体(λ)17内の全体を管理する電力消費計測データ処理装置(λ)1が接続されている。
【0063】
前述と同様に、電力消費量は、複数の計測点に設置された電力計測器12によって計測され、電力計測器12には、電力消費量を測定するための電力計測CH(チャネル)を1つのみ有しているものもあれば、2つ以上有しているものもある。
図2においては、4CH(κ、b、c、d)を有する電力計測器(a)12の各CHが4つの計測点κ、b、c、dの電力消費量を計測し、1CH(たとえば、p)を有する電力計測器(p)12が1つの計測点pの電力消費量を計測する例を示している。
【0064】
図3はこの発明の実施の形態1に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図3において、電力消費計測データ処理装置1は、データ保存部3と、通信処理部4と、計測処理部21と、電力系統設定部41と、電力系統計測点対応関係設定部43と、空間構造設定部51と、空間構造電力系統対応関係設定部53と、計測点設定部91と、電力系統集計データ処理部45と、電力系統集計表示生成部46と、空間構造集計データ処理部55と、空間構造集計表示生成部56と、計測データ集計処理部93と、計測データ表示生成部94と、を備えている。
【0065】
また、電力消費計測データ処理装置1は、必要に応じて、計測機器構成設定部31、計測機器構成計測点対応関係設定部33および計測機器集計表示生成部36(1点鎖線ブロック参照)を備えている。
【0066】
なお、図3においては、電力計測器12からの電力消費データを、通信処理部4を介して取り込む構成としているが、電力消費計測データ処理装置1が、電力計測器12の処理機能を含む場合には、通信処理部4に代えて信号入力部5(図1参照)を設けてもよい。この場合、信号入力部5には、デジタルデータではく、アナログ信号が入力されることになる。
【0067】
データ保存部3は、設定データ保存部22と、計測処理部21からの計測データ25を保存する計測データ保存部23と、を備えている。
また、データ保存部3は、必要に応じて、集計データ保存部24(破線ブロック参照)を備えている。
【0068】
集計データ保存部24は、各種処理部45、55、93から所定サンプリング周期で取得される電力系統集計データ26(以下、後述の各種集計データを含めて、単に「集計データ26」ともいう)を保存し、必要に応じて出力することにより、各種処理部45、55、93を介して、各種表示生成部46、56、36に入力する。
なお、集計データ26は、空間構造集計データ(実施の形態2とともに後述する)をも含み得る。
【0069】
設定データ保存部22は、各種設定部41、43、51、53からの電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、空間構造設定データ52および空間構造電力系統対応関係設定データ54を保存する。
【0070】
また、設定データ保存部22は、必要に応じて、計測機器構成設定部31および計測機器構成計測点対応関係設定部33からの、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を保存して計測機器集計表示生成部36に入力する。
【0071】
図1〜図3に示した電力消費計測データ処理装置1は、図2内の電力計測器12によって計測される電力消費データを、通信処理部4を介して収集し、データ保存部3に時系列に保存する。または、他の電力消費計測データ処理装置1が収集した電力消費データを、通信処理部4を介して取得し、データ保存部3に保存する。
【0072】
このとき、あらかじめ、データ名称および収集周期を設定するとともに、どの電力計測器12のどのCHのデータを収集するか、または、どの電力消費計測データ処理装置1が収集したどの電力消費データを取得するか、を設定しておき、この設定内容にしたがってマイクロプロセッサ2が処理を制御する。
なお、計測点設定データ92の設定処理は、計測点設定部91によって行われ、設定された計測点設定データ92は、電力消費計測データ処理装置1内の設定データ保存部22に保持される。
【0073】
または、計測点設定データ92の設定処理は、電力消費計測データ処理装置1とパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と略称する)とを、通信処理部4を介して接続して行うことも可能である。この場合、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで設定作業を行い、その設定データを電力消費計測データ処理装置1に転送してもよく、または、電力消費計測データ処理装置1内の操作入力部8を用いて設定してもよい。
すなわち、計測点設定部91は、電力消費計測データ処理装置1が備える代わりに、
パソコン上の設定ソフトウェアが備えてもよい。他の各種設定部41、43、51、53、31、33についても同様である。
【0074】
また、あらかじめ電力消費量の上限値を設定しておき、計測した電力消費量が上限値を超えた時点で、信号を出力して何らかの制御を行うことを目的として、電力消費計測データ処理装置1に信号出力部6(図1参照)を設ける場合もある。
【0075】
表示装置9で表示する画面は、表示処理部7により生成される。表示処理部7は、たとえば、収集した時系列データのグラフ表示画面を生成する。
なお、図1においては、表示装置9を電力消費計測データ処理装置1に設けたが、表示装置9を電力消費計測データ処理装置1とは別に独立設置し、通信処理部4を介して電力消費計測データ処理装置1に接続してもよい。
【0076】
表示装置9が電力消費計測データ処理装置1に設けられる場合とは、たとえば、表示装置9が液晶画面(LCD)からなる場合である。この場合、電力消費計測データ処理装置1内の表示処理部7は、LCDコントローラ(LCDを制御するためのハードウェア)となる。
【0077】
一方、表示装置9が電力消費計測データ処理装置1に設けられない(独立した表示装置9が通信処理部4を介して接続される)場合とは、たとえば、表示装置9がWeb画面(パソコンなどのクライアント端末)からなる場合である。この場合、電力消費計測データ処理装置1内の表示処理部7は、Webサーバとなる。
【0078】
以下、図1〜図3とともに、図4〜図7を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る機能について説明する。
図4はこの発明の実施の形態1による設定および運用の処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
図5Aは電力系統設定データ42と計測機器構成設定データ32との相互関係(電力系統計測機器対応関係設定データ)を示す説明図であり、破線矢印は電力系統計測点対応関係設定データ44に対応している。
図5Bは電力系統設定データ42と計測点設定データ92との相互関係を示す説明図であり、破線矢印は電力系統計測点対応関係設定データ44に対応している。
図5Cは計測機器構成設定データ32と計測点設定データ92との相互関係を示す説明図であり、計測機器構成計測点対応関係設定データ34に対応している。
【0080】
図6は電力系統設定データ42の記述例を示す説明図であり、ツリー構造を記述するデータフォーマットに基づき記述した場合を示している。
図7は電力系統計測点対応関係設定データ44の記述例を示す説明図であり、関連付けを記述するデータフォーマットに基づき記述した場合を示している。
【0081】
ここで、設定および運用処理手順について説明する前に、計測点設定データ92および電力系統計測点対応関係設定データ44について、また、図9〜図11を参照しながら、計測機器構成計測点対応関係設定データ34について、さらに具体的に説明する。
【0082】
まず、計測点とは、計測点設定データ92における個々の設定であり、たとえば図2においては、電力系統11の中で、4CH(4箇所の電力を計測する機能)を有する電力計測器(a)12が、各計測点(κ、b、c、d)を計測し、また、1CH(1箇所の電力のみを計測する機能)を有する電力計測器(p)12が、計測点(p)を計測している例が示されている。
【0083】
計測点設定データ92は、前述のように、電力消費計測データ処理装置1に対して設定されるものであり、どの電力計測器12が計測したデータを、どの周期で収集し、どのような名称でデータ保存するか、について設定するデータからなる。
すなわち、計測点設定データ92は、そのような電力消費に係るデータ収集保存のための「設定の総称」であり、個々の電力消費のデータ収集保存のための設定を「計測点」という用語で表している。
【0084】
具体的には、計測点pについてのデータ収集保存のための設定と、計測点qについてのデータ収集保存のための設定と、計測点rについてのデータ収集保存のための設定と、・・・、のすべての設定の総称を、計測点設定データ92としている。もちろん、計測点が1点しかない場合には、計測点設定データ92には、1つの計測点の設定のみしか含まれないことになる。
【0085】
つまり、計測点設定データ92には、電力系統に関する情報(電力系統設定データ42)、および、装置と機器との間の通信接続に関する情報(電力消費計測データ処理装置1と電力計測器12との通信接続関係を記述した計測機器構成設定データ32)が含まれていない。
【0086】
このため、集計方法などを工夫して可視化するためには、従来装置では、仮想計測点設定データ96や検索キー設定データ102などをマニュアルで設定する必要があった。よって、この発明の実施の形態1は、上記設定の手間を削減することを目的としている。
【0087】
電力系統計測点対応関係設定データ44は、計測点が、電力系統11のどこの部分を計測しているのか、を設定するものであり、計測点設定データ92の個々の計測点と、電力系統11を記述する電力系統設定データ42が示すツリー構造の要素(ノード)と、の対応関係を設定するデータ(図5B内の破線矢印)に相当する。
【0088】
電力系統計測点対応関係設定データ44の設定手順としては、まず、図2内の電力消費計測データ処理装置(α)1に対して、図5B内の2点鎖線ブロックで示すように、計測点設定データ92(計測点f、p、q、r、t、u、v)を設定する。
【0089】
次に、電力消費計測データ処理装置(κ)1に対して、図5B内の1点鎖線ブロックで示すように、計測点設定データ92(計測点CH1、CH2、CH3、CH4)を設定するとともに、電力消費計測データ処理装置(α)1に対して設定した計測点設定データ92(計測点f、p、q、r、t、u、v)を流用する。
【0090】
このように、電力消費計測データ処理装置(κ)1に対して設定した計測点設定データ92の個々の計測点ついて、電力系統設定データ42が示すツリー構造の要素(ノード)との対応関係を設定していくことにより、図5B内の破線矢印のように、電力系統計測点対応関係設定データ44(図5B内の破線矢印参照)が得られる。
また、電力系統計測点対応関係設定データ44を、データ形式で表現すると、図7のようになる。
【0091】
計測機器構成計測点対応関係設定データ34は、計測点が、計測機器構成のどこの部分の機器で計測されているのかを設定するものであり、計測点設定データ92の個々の計測点と、計測機器構成設定データ32(装置と機器との間の通信接続関係を記述する)が示すツリー構造の要素(ノード)と、の対応関係を設定したデータ(図5C内の破線矢印)に相当する。
【0092】
計測機器構成計測点対応関係設定データ34の設定手順としては、まず、電力消費計測データ処理装置(α)1に対して、図5C内の2点鎖線ブロックで示すように、計測点設定データ92(計測点f、p、q、r、t、u、v)を設定する。
【0093】
次に、電力消費計測データ処理装置(κ)1に対して、図5C内の1点鎖線ブロックで示すように、計測点設定データ92(計測点CH1、CH2、CH3、CH4)を設定するとともに、電力消費計測データ処理装置(α)1に対して設定した計測点設定データ92(計測点f、p、q、r、t、u、v)を流用する。
【0094】
このように、電力消費計測データ処理装置(κ)1に対して設定した計測点設定データ92の個々の計測点ついて、計測機器構成設定データ32が示すツリー構造の要素(ノード)との対応関係を設定していくことにより、図5C内の破線矢印のように、計測機器構成計測点対応関係設定データ34が得られる。
【0095】
図5Aにおいては、図5Bおよび図5Cが集約して記述されており、図5A内のCH1(計測点CH1)のように示した部分が図5Cに相当し、図5A内の破線矢印が図5B内の破線矢印に相当する。
【0096】
図9〜図11はこの発明の実施の形態1よる計測データ可視化画面を示す説明図であり、図9は電力系統グラフ表示、図10は計測機器構成(計測機器構成計測点対応関係設定データ34の結果)、図11は電力系統割合表示を、それぞれ示している。
計測機器構成計測点対応関係設定データ34を設定することにより、計測機器構成で示した計測データ可視化画面(図10)が完成する。
【0097】
図10が表示するツリー構造は、計測機器構成設定データ32が示すツリー構造そのものである。
図10が表示するツリー構造から提示されるグラフは、計測機器構成設定データ32が示すツリー構造の当該ノードに対応した計測点のグラフであり、ここで、計測機器構成計測点対応関係設定データ34が必要となる。
【0098】
なお、計測機器構成計測点対応関係設定データ34を設定しなくても、電力系統グラフ表示および電力系統割合表示で示した計測データ可視化画面(図9、図11)は完成する。計測データ可視化画面(図9、図11)を完成させるための処理(図8のフローチャート)については、後述する。
図8のフローチャート(後述する)の実行に際して、計測機器構成計測点対応関係設定データ34は無関係(不要)であり、不可欠なものは、電力系統計測点対応関係設定データ44である。
【0099】
この発明の実施の形態1においては、各設定データを一括して設定する場合を示している。
図5Cからも分かるように、計測機器構成計測点対応関係設定データ34には、特別な意味のある情報が含まれておらず、計測機器構成設定データ32で示されるツリーの要素(ノード)が、そのまま計測点になっている、と解釈することができる。言い換えれば、その反対解釈として、計測機器構成設定データ32で示されるツリーの要素(ノード)が、そのまま計測点となるように、計測機器構成設定データ32を作成すればよい、ということになる。
【0100】
ただし、「起こり得るすべてのケースにおいて、ツリー構造の要素(ノード)がそのまま計測点となるように、計測機器構成設定データ32を作成できるか?」という問題が残るので、結局、計測機器構成計測点対応関係設定データ34は必要ということになる。
しかし、ほとんどの場合においては、ツリー構造の要素(ノード)がそのまま計測点となるように設定可能なので、電力系統設定データ42で示されるツリー構造の要素(ノード)と、計測機器構成設定データ32で示されるツリー構造の要素(ノード)との対応関係を、図5Aのように記載すればよい、ということになる。
【0101】
図3および図4において、まず、設定段階の処理手順として、電力系統をツリー構造で記述した電力系統設定データ42を作成する(ステップS1)。
このとき、電力系統設定データ42は、操作入力部8を備えた電力消費計測データ処理装置1に対し、別途に設けられた電力系統設定部41を用いて作成することができる。
【0102】
または、電力系統設定データ42は、ツリー構造を記述するためのデータフォーマット(たとえば、XML)にしたがって直接編集する形態で作成してもよく、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアを用いて作成してもよい。
【0103】
図2の具体例で示した電力系統(κ)11において、電力系統設定データ42をツリー構造で記述すると、図5A内の左側のツリー構造のようになる。ただし、電力系統設定データ42のみでは、電力系統(κ)11の各ノードがツリー構造で認識されるものの、各ノードが計測点であるか否かを認識することはできない。
【0104】
したがって、計測点であるか否かを認識するためには、図3内の電力系統計測点対応関係設定データ44が必要となる。または、計測機器構成設定データ32(図5A内の右側ツリー構造)および計測機器構成計測点対応関係設定データ34(図5A内の破線矢印)が必要となる。
なお、電力系統設定データ42のデータ記述(計測点との対応関係)は、たとえば図6のように表される。
【0105】
図4に戻り、続いて、計測点を設定して、計測点設定データ92を作成する(ステップS2)。
計測点設定データ92は、自身の電力消費計測データ処理装置1に接続されるどの電力計測器12のどのCHのデータ(従来の設定内容)を、どのような周期で収集し、どのようなデータ名称でデータ保存するか、という設定内容を含む。または、計測点設定データ92は、他の電力消費計測データ処理装置1が収集したどの電力消費データを取得するか、という設定内容を含む。
なお、計測点設定データ92は、従来と同様に、計測点設定部91により設定される。
【0106】
続いて、計測点設定データ92の作成に加えて、必要に応じて、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を作成する(ステップS3)。
計測機器構成設定データ32は、電力消費計測データ処理装置1および電力計測器12の接続関係をツリー構造で記述したデータであり、計測機器構成計測点対応関係設定データ34は、どの計測点がどの計測機器(電力計測器12)によって計測されるのかを示すデータである。
【0107】
すなわち、計測機器構成設定データ32は、従来と同様の計測点設定データ92に、計測機器の構成情報および計測機器と計測点との対応関係を付加したデータである。
計測機器構成設定データ32は、ツリー構造を記述するためのデータフォーマット(たとえば、XML)にしたがって、計測機器構成設定データ32を直接編集する形態で作成してもよく、または、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで作成してもよい。
【0108】
また、計測機器構成設定データ32は、操作入力部8(図1)を備えた電力消費計測データ処理装置1に対し、図3のように、別途に計測機器構成設定部31および計測機器構成計測点対応関係設定部33を設け、計測機器構成設定部31および計測機器構成計測点対応関係設定部33を用いて作成してもよい。
【0109】
図2の具体例で示した電力消費計測データ処理装置1および電力計測器12の接続関係すなわち計測機器構成設定データ32をツリー構造で記述すると、図5A内の右側のツリー構造のようになる。
【0110】
図5A内の右側のツリー構造において、末端ノード(それ以上の下位構造が存在しないノード)に計測点が対応付けられており、たとえば、「電力計測器aのCH1」が「計測点CH1」に対応している。
この対応付けを記述したものが計測機器構成計測点対応関係設定データ34である。すなわち、計測機器構成(ツリー構造)の末端ノードは、計測点と同じ取り扱いが可能となる。
【0111】
図4に戻り、続いて、電力系統計測点対応関係設定データ44を作成する(ステップS4)。
電力系統計測点対応関係設定データ44は、各計測点が計測する電力消費量が電力系統11のツリー構造のどのノードの電力であるのか(電力系統11における、どの計測点の電力消費量であるのか)を、各計測点と電力系統設定データ42の各ノード(各分岐点)との間で対応付けたデータである。
【0112】
電力系統計測点対応関係設定データ44は、対応付けを記述するためのデータフォーマット(たとえば、XML)にしたがって直接編集する形態で作成してもよいし、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアを用いて作成してもよい。
【0113】
または、電力系統計測点対応関係設定データ44は、操作入力部8(図1)を備えた電力消費計測データ処理装置1に対し、図3のように、別途に電力系統計測点対応関係設定部43を設け、電力系統計測点対応関係設定部43を用いて作成してもよい。
なお、電力系統計測点対応関係設定部43は、電力系統設定部41の一部機能として設けられてもよく、計測点設定部91または計測機器構成設定部31の一部機能として設けられてもよい。
【0114】
また、電力系統計測点対応関係設定部43は、図3のように、電力系統設定部41、計測点設定部91および計測機器構成設定部31などとは別途に独立して設けてもよい。
さらに、電力系統計測点対応関係設定部43は、電力系統設定部41および計測点設定部91の設定機能、または、計測機器構成設定部31および電力系統計測点対応関係設定部43の設定機能、を統合した一括的な設定部として設けてもよい。
【0115】
図5Aにおいては、電力系統ツリー構造(左側)と計測機器構成ツリー構造(右側)とを、破線矢印で関連付けた状況が示されている。
図5Aにおいて、破線矢印で示される「関連付け情報」が電力系統計測点対応関係設定データ44に相当する。また、電力系統計測点対応関係設定データ44のデータ記述は、たとえば図7のように表される。
【0116】
上記観点から、図5Aのツリー構造(電力系統計測点対応関係設定データ44)は、以下の手順により記述される。
まず、電力系統設定データ42を、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアにより、電力系統ツリービューの形式で(たとえば、後述する図9のツリービューの電力系統タブで示されるように)設定する。
【0117】
また、電力系統設定データ42と同様に、計測機器構成設定データ32を、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアにより、計測機器構成ツリービューの形式で(たとえば、後述する図10のツリービューの計測機器タブで示されるように)設定する。
【0118】
続いて、電力系統ツリービューの各ノードに対して、計測機器構成ツリービューのどの末端ノード(すなわち、計測点)によって計測しているかを設定していく(または、計測機器構成ツリービューの各末端ノードに対して、電力系統ツリービューのどのノードの電力消費量を計測しているかを設定していく)。
これにより、図5Aのように、電力系統計測点対応関係設定データ44の記述例が得られる。
【0119】
なお、電力系統11におけるどの計測点の電力消費量であるのかを設定する前の初期状態において、電力系統設定データ42の各ノード(分岐点や末端)は、すべて、自動算出される仮想計測点として取り扱われる設定となっている。
そして、上述のように、電力系統におけるどの計測点の電力消費量であるのかが設定されていく。すなわち、実際に計測されるノードについては、仮想計測点として取り扱わず、計測点として取り扱うものとして、設定していくのである。
【0120】
このとき、電力計測器12と関連付けられなかったために仮想計測点として取り扱われることとなった電力系統設定データ42の各ノード(分岐点や末端)のうち、電力消費量が一意に決定可能なノードに関しては、自動算出のままでよいが、電力消費量が一意に決定することが不可能なノードに関しては、そのノードの電力消費について経験的に分かっている定常値または比例配分比を設定する。
【0121】
ここで、定常値または比例配分比は、電力系統のツリー構造において末端から設定されていく。
たとえば、図5A内の仮想計測点h(図2参照)に関して、仮想計測点hの電力消費量が、定常的にほぼ一定値であることが経験的に分かっている(推察される)場合には、既知の電力消費量の定常値jを仮想計測点hに設定する。
【0122】
一方、仮想計測点hの電力消費量が、計測点fの電力消費量に対してほぼ比例傾向を示すことが経験的に分かっている場合には、既知の比例係数kを用いて、「h=k×f」を仮想計測点hの電力消費量として設定すればよい。
図5Aにおいては、仮想計測点hに対し定常値j(破線枠参照)を設定した状態を示している。
【0123】
このとき、定常値や比例配分比の設定処理が「循環参照」とならないように注意する。
循環参照とは、相互に参照し合う状態のことであり、算出する際にループ演算となることから、そのままでは結果が得られない状態のことである。
【0124】
また、電力消費量が一意に決定可能な計測点については、自動算出のままでもよいが、一意に決定可能ということは、算出式が分かっている(決まっている)ので、自動算出のままとせずに、算出式を設定することが好ましい。
【0125】
図5Aにおいては、仮想計測点e、g、iに関して、自動算出(破線枠参照)のままの設定状態を示している。
たとえば、仮想計測点gに関しては、「g=t+u+v」であることが、図5Aの電力系統ツリー構造から一意に導き出され、また、各計測点t、u、vが計測対象であることから、循環参照なく自動算出可能なので、「g=t+u+v」を別途手動で設定する必要がなく、自動算出のままでもよい。
【0126】
また、仮想計測点eに関しても、仮に、仮想計測点eに下位のツリー構造が無いとすれば、「e=κ−(b+c+d)」となることが、図5Aの電力系統ツリー構造から一意に導き出され、また、各計測点b、c、dが計測対象であることから、循環参照なく自動算出可能ので、自動算出のままでもよい。
ただし、ここでは、仮想計測点eに関して、仮想計測点gの場合と同様の下位のツリー構造(図示せず)が存在するものと仮定しており、仮想計測点eの下位のツリー構造から自動算出する。
【0127】
一方、仮想計測点iについては、「i=b−(f+g+h)」であることが分かっているが、このうち、仮想計測点gが自動算出となっているので、循環参照の可能性が残る。
また、上記算出式内の仮想計測点hは、ここでは定常値jの設定であることから、仮想計測点iに関して循環参照の可能性はないが、自動算出でないものの計測対象でもないので、仮に定常値jではなく比例配分比の設定であれば、比例配分比の設定内容によっては循環参照の可能性が残ると言える。
【0128】
ただし、ここでは、仮想計測点gの自動設定が、仮想計測点iとの間で相互参照の関係になっていないことから、仮想計測点gの算出後に仮想計測点iを算出可能なので、仮想計測点iは、自動算出のままでもよい。
【0129】
さらに、電力系統11における分岐点のすべてを漏れなく計測している場合には、電力伝送損失Δを設けるようにする。
電力伝送損失Δは、図5A内の設定段階において手動で設定してもよいが、図5A内の運用段階(後述する)において自動的に判定して設定してもよい。
【0130】
たとえば、図5Aにおいて、計測点fに関しては、「f=p+q+r」で一意に決定可能であるが、別途に電力計測器(f)12(図2参照)により、計測点fを計測しているので、上記算出値と実際の計測値とが一致しないことがある。
このとき、両者の差分が測定誤差の許容範囲内であれば問題ないが、許容範囲を超えて一致しない場合には、無視できない電力伝送損失Δ(たとえば、漏電など)を懸念して対処する必要がある。
【0131】
したがって、電力消費計測データ処理装置1内の電力系統集計データ処理部45は、計測点fに関する電力伝送損失Δを可視化するために、電力伝送損失Δを設定し、「f=p+q+r+Δ」のように、電力系統11による集計データ処理を行う。
なお、電力伝送損失Δは自動算出される。
【0132】
最後に、電力消費計測データ処理装置1は、設定段階のステップS1で作成された電力系統設定データ42と、ステップS2で作成された計測点設定データ92と、ステップS3で作成された計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34と、ステップS4で作成された電力系統計測点対応関係設定データ44とを、設定データ保存部22に書き込む。
【0133】
このとき、システム全体を記述した上記各種設定データ42、92、32、34、44を、複数の電力消費計測データ処理装置1のすべてに等しく書き込むようにしてもよく、特定の電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0134】
ただし、図5Aのツリー構造のうち、下位構造のみを切り出すことは可能であるが、上位構造のみを切り出すことはできない。
ここで、図2内の電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分の各種設定データ92、32、34、42、44を例にとって具体的に説明する。
【0135】
電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分の計測点設定データ92や、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34とは、電力消費計測データ処理装置(α)1よりも下位部分、すなわち電力計測器(f)12、(p)12、(q)12、(r)12、(t)12、(u)12、(v)12の各計測点である。
【0136】
また、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分の電力系統設定データ42とは、電力系統11の分岐点(計測点)fよりも下位部分と、仮想計測点gよりも下位部分、または、計測点bよりも下位部分である。
【0137】
このように切り出した計測点設定データ92や、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34、ならびに、電力系統設定データ42および電力系統計測点対応関係設定データ44を、電力消費計測データ処理装置(α)1に書き込むことは可能である。
【0138】
しかし、電力消費計測データ処理装置(κ)1に該当する部分の各種設定データ92、32、34、42、44について説明すると、電力消費計測データ処理装置(κ)1に該当する部分の計測点設定データ92や、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34とは、図5A内の右側のツリー構造のすべてである。
【0139】
したがって、たとえば、電力消費計測データ処理装置(α)1よりも下位部分、すなわち電力計測器(f)12、(p)12、(q)12、(r)12、(t)12、(u)12、(v)12の各計測点に係る情報を切り捨てて省略することはできない。
【0140】
また、電力消費計測データ処理装置(κ)1に該当する部分の電力系統設定データ42とは、図5A内の左側のツリー構造のすべてなので、たとえば電力系統11の分岐点(計測点)fよりも下位部分と、仮想計測点gよりも下位部分に係る情報を切り捨てて省略することはできず、すべてを書き込む必要がある。
【0141】
図4に戻り、次に、運用段階(電力系統に沿った可視化画面の生成手順)について説明する。
まず、電力計測器12からの電力消費データを収集して保存し(ステップS11)、必要に応じて、計測機器集計表示生成部36により、計測機器構成に沿った表示画面を生成する(ステップS12)。
【0142】
続いて、電力系統集計データ処理部45により、電力系統に基づくデータの集計処理を行う(ステップS13)。
最後に、電力系統集計表示生成部46により、電力系統に沿った表示画面を生成し(ステップS14)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0143】
このとき、電力系統集計データ処理部45は、電力系統計測点対応関係設定データ44(電力系統設定データ42に記述されている電力系統に沿って、計測点との対応関係を記述したデータ)に基づいて、集計データ26を処理する。
また、電力系統集計表示生成部46は、電力系統集計データ処理部45により処理後の集計データを、電力系統に沿って可視化してグラフ表示する。
なお、集計処理は、電力消費データを収集し保存する処理と並行して実行してもよく、グラフ表示の要求が発生した際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0144】
次に、図5Aとともに、図8のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1による電力系統に基づくデータの集計処理について説明する。
図8においては、図5A内の電力系統(κ)11の最上位(ツリー構造のルート)から再帰的に集計する処理を示している。
なお、図8の処理は、電力系統に基づくデータの集計を計算式とする仮想計測点設定データを生成する場合にも有効である。
【0145】
図8において、まず、電力系統(κ)11のツリー構造(図5A)の最上位を処理対象ノードとして設定し(ステップS41)、再帰処理(1点鎖線枠内)に移行する。
再帰処理において、まず、処理対象ノード(初期対象は最上位ノードκ)に下位のツリー構造が有るか否かを判定し(ステップS42)、下位のツリー構造が無い(すなわち、No)と判定されれば、後述の判定処理(ステップS50)に移行する。
【0146】
一方、ステップS42において、処理対象ノードに下位のツリー構造(図5A参照)が存在する(すなわち、Yes)と判定されれば、続いて、下位ノードのすべて(図5A内のb〜e)に対する再帰処理が完了したか否かを判定し(ステップS43)、再帰処理が完了した(すなわち、Yes)と判定されれば、後述の判定処理(ステップS45)に移行する。
【0147】
一方、ステップS43において、再帰処理が完了していない(すなわち、No)と判定されれば、再帰処理していないノードを処理対象として設定し、再帰処理を行う(ステップS44)。
【0148】
以下、ステップS43に戻り、再帰処理が完了した(すなわち、Yes)と判定されるまで、再帰処理(ステップS44)を繰り返し実行する。
これにより、処理対象ノードの下位ノードのすべて(κの場合は、計測点b、c、d、e)に対して再帰処理が行われる。
再帰処理(詳細は後述する)がすべて完了した後は、処理対象ノードが計測対象か否か(後述するステップS50)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0149】
ステップS43において、再帰処理が完了した(すなわち、Yes)と判定されれば、続いて、処理対象ノードが計測点であるか否かを判定する(ステップS45)。
ステップS45において、処理対象ノードが計測点(計測対象)ではない(すなわち、No)と判定されれば、下位ノードの電力消費量の総和を処理対象ノードの電力消費データとして(ステップS49)、図8の再帰処理を終了する。
【0150】
一方、ステップS45において、処理対象ノードが計測点(計測対象)である(すなわち、Yes)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データをの電力消費データとして採用する(ステップS46)。
続いて、下位ノードもすべて計測点であるか否かを判定し(ステップS47)、下位ノードに計測点でないノードを含む(すなわち、No)と判定されれば、図8の再帰処理を終了する。
【0151】
一方、ステップS47において、下位ノードがすべて計測点である(すなわち、Yes)と判定されれば、既に設定されている処理対象ノードの下位ノードに加えて電力伝送損失Δを設け、処理対象ノードの電力消費量と、計測対象であるすべての下位ノードの電力消費量の総和との差分を、電力伝送損失Δの電力消費データとして採用する(ステップS48)。
以上により、処理対象ノードに下位のツリー構造が有る場合の再帰処理(ステップS43〜S48)を終了する。
【0152】
以下、具体例として、図2および図5Aの構成例における下位のツリー構造が有る各処理対象ノードκ、b、f、gに対する再帰処理について、順次に説明する。
まず、処理対象ノードκは、計測点である(電力計測器(a)12のCH1で計測されている)ので、その計測データは処理対象ノードκの電力消費データとして採用される。
【0153】
また、処理対象ノードκの下位ノードのすべてが計測対象であれば、処理対象ノードκの電力消費量と下位ノードの電力消費量の総和との差分が電力伝送損失Δの電力消費データとして採用されることになる。
ただし、処理対象ノードκの下位ノードのうちいずれか1つでも計測対象でなければ、電力伝送損失Δが設けられることはない。
【0154】
上記構成例では、処理対象ノードκの下位ノードb〜eのうち、計測対象ではないために仮想計測点として取り扱われるノードeが含まれるので、処理対象ノードκの下位ノードとして電力伝送損失Δが設定されることはない。
以上で、処理対象ノードκに対する再帰処理を完了する。
【0155】
同様に、処理対象ノードbに対する再帰処理について説明する。
まず、処理対象ノードbには下位のツリー構造が有るので、処理対象ノードbの下位ノードのすべて(f〜i)に対して再帰処理が行われる。
再帰処理の完了後は、処理対象ノードbが計測対象か否か(後述するステップS50)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0156】
ここでは、処理対象ノードbは、計測点である(電力計測器(a)12のCH2で計測されている)ので、その計測データは処理対象ノードbの電力消費データとして採用される。また、処理対象ノードbの下位ノードf〜iのうち、仮想計測点g〜iが計測対象ではないので、電力伝送損失Δが設定されることはない。
以上で、処理対象ノードbに対する再帰処理を完了する。
【0157】
続いて、処理対象ノードfに対する再帰処理について説明する。
まず、処理対象ノードfには下位のツリー構造が有るので、処理対象ノードfの下位ノードのすべて(p、q、r)に対して再帰処理が行われる。
【0158】
再帰処理の完了後は、処理対象ノードfが計測点である(電力計測器(f)12で計測されている)ことから、その計測データが処理対象ノードfの電力消費データとして採用される。
【0159】
また、処理対象ノードfの下位ノードp、q、rのすべてが計測対象なので、処理対象ノードfの下位ノードに電力伝送損失Δが設定され、処理対象ノードfの電力消費量と下位ノードp、q、rの電力消費量の総和との差分が、電力伝送損失Δの電力消費データとして採用される。
以上で、処理対象ノードfに対する再帰処理を完了する。
【0160】
続いて、処理対象ノードgに対する再帰処理について説明する。
まず、処理対象ノードgには下位のツリー構造が有るので、処理対象ノードgの下位ノードのすべて(t、u、v)に対して再帰処理が行われる。
再帰処理の完了後は、処理対象ノードg(仮想計測点)が計測対象ではないことから、下位ノードt、u、vの電力消費量の総和が、処理対象ノードgの電力消費データとして設定される。
以上で、処理対象ノードgに対する再帰処理を完了する。
【0161】
次に、図8において、処理対象ノードに下位のツリー構造が無い場合の再帰処理について説明する。
ステップS42において、下位のツリー構造が無い(すなわち、No)と判定されれば、続いて、処理対象ノードが計測点であるか否かを判定する(ステップS50)。
【0162】
ステップS50において、処理対象ノードが計測点である(すなわち、Yes)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データを計測データと認識し(ステップS51)、図8の再帰処理を終了する。
【0163】
一方、ステップS50において、処理対象ノードが計測点ではない(すなわち、No)と判定されれば、続いて、処理対象ノードに定常値や比例配分比が設定されているか否かを判定する(ステップS52)。
【0164】
ステップS52において、処理対象ノードに定常値や比例配分比が設定されている(すなわち、Yes)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データは、定常値や比例配分計算値であると認識し(ステップS53)、図8の再帰処理を終了する。
【0165】
一方、ステップS52において、処理対象ノードに定常値や比例配分比が設定されていない(すなわち、No)と判定されれば、続いて、親ノードおよび兄弟ノードから循環参照なく自動算出可能であるか否かを判定する(ステップS54)。
【0166】
ステップS54において、親ノードおよび兄弟ノードから循環参照なく自動算出可能である(すなわち、Yes)と判定されれば、親ノードから兄弟ノードの総和を減算した差分を、処理対象ノードの電力消費データとして設定し(ステップS55)、図8の再帰処理を終了する。
【0167】
一方、ステップS54において、親ノードおよび兄弟ノードから循環参照なく自動算出することができない(すなわち、No)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データは存在しないもの(算出不可)と確定して(ステップS56)、図8の再帰処理を終了する。
以上により、処理対象ノードに下位のツリー構造が無い場合の再帰処理(ステップS50〜S56)を終了する。
【0168】
以下、具体例として、図2および図5Aの構成例における下位のツリー構造が無い各処理対象ノードh、i、pに対する再帰処理について、順次に説明する。
まず、処理対象ノードhに対する再帰処理について説明する。
処理対象ノードhには下位のツリー構造が無いので、ステップS42に続いて、処理対象ノードhが計測点(計測対象)であるか否か(ステップS50)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0169】
処理対象ノードhが計測対象であれば、その計測データが処理対象ノードhの電力消費データとして採用される。
ただし、この場合、処理対象ノードhは計測対象でないので、続いて、処理対象ノードhに定常値や比例配分比の設定があるか否か(ステップS52)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0170】
定常値や比例配分比の設定が存在しない場合には、処理対象ノードhの電力消費データを算出することが不可能であるが、前述のように、処理対象ノードhには、定常値jという設定があるので、処理対象ノードhの電力消費データとして定常値jが採用される。
以上で、処理対象ノードhに対する再帰処理を完了する。
【0171】
続いて、処理対象ノードiに対する再帰処理について説明する。
処理対象ノードiに関しては、下位のツリー構造が無く、計測対象ではなく、定常値や比例配分比の設定が存在しないので、処理対象ノードiの親ノード(b)と兄弟ノード(f〜h)とから循環参照なく自動参照できるか否か(ステップS54)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0172】
もし循環参照であれば、処理対象ノードiの電力消費データを算出することは不可能である。
ただし、この場合は、前述のように、処理対象ノードiの電力消費データは、親ノードbから兄弟ノードf〜hの総和を減算した差分(i=b−(f+g+h))によって、循環参照なく算出可能なので、この値が採用される。
以上で、処理対象ノードiに対する再帰処理を完了する。
【0173】
続いて、処理対象ノードpに対する再帰処理について説明する。
処理対象ノードpに関しては、下位のツリー構造が無く、計測点である(電力計測器(p)12によって計測されている)ので、その計測データが処理対象ノードpの電力消費データとして採用される。
以上で、処理対象ノードpに対する再帰処理を完了する。
【0174】
なお、処理対象ノードq、r、t、u、vの再帰処理については、同様なので、ここでは説明を省略する。
また、処理対象ノードc、d、eの再帰処理についても、以上で説明した内容のいずれかと同様なので、ここでは説明を省略する。
【0175】
以上のように、図2、図5Aに示した電力系統(κ)11のすべてのノードの電力消費データの集計が可能となる。図2、図5A内の他の電力系統(λ)11についても同様である。
なお、上記再帰処理は、各ノードの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理である。
【0176】
また、長い処理時間を要する再帰処理をできるだけ省略して処理時間を短縮するためには、運用段階の最初の1回のみ再帰処理を実行し、その結果として得られた算出方式を記憶しておき(または、実行可能スクリプト形式で出力しておき)、各ノードのデータを算出する必要があった際に、その算出方式を参照する(そのスクリプトを実行する)ように構成することが望ましい。
【0177】
ただし、たとえば計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合などのように、再帰処理に要する時間が特に支障が生じない程度に短ければ、必要な際に毎回再帰処理を実行するように構成されてもよい。
【0178】
次に、図3とともに、図9を参照しながら、以上のように処理された集計データ26を電力系統11に沿って可視化してグラフ表示するために処理について説明する。
図9はこの発明の実施の形態1よる計測データ可視化画面を電力系統グラフ表示で示す説明図であり、電力系統集計表示生成部46(図3)による処理を示している。
【0179】
図9において、可視化画面は、電力系統11の階層構造の表示および操作が可能なツリービューと、当該ノードの電力消費データのグラフを表示するワークエリア(右側に拡大表示)とから構成される。
【0180】
電力系統11におけるすべてのノード(分岐点)には、上述の集計処理によって電力消費データが存在するので、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)を行うことにより、図9の例示パターンのように、当該ノードの電力消費データをグラフ表示することができる。
【0181】
なお、必要に応じて、電力消費計測データ処理装置1内の計測機器集計表示生成部36は、計測機器構成設定データ32に記述されている計測機器の接続階層構造に沿って、計測点との対応関係を記述した計測機器構成計測点対応関係設定データ34に基づき、計測点の計測データ25を可視化してグラフ表示する。
【0182】
図10はこの発明の実施の形態1による計測データ可視化画面を計測機器構成で示す説明図ある。
図10に示すように、計測機器の階層構造の表示および操作が可能なツリービュー上において、グラフ表示させたいノード(たとえば、v)を指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)を行うことにより、当該ノードの電力消費データをグラフ表示することができる。
【0183】
このような電力消費量の可視化画面の生成およびそれに係る集計処理は、従来では手動で設定されていたが、この発明の実施の形態1によれば、自動的に処理可能なので、電力消費量の実態を把握する作業を直感的に行うための可視化画面のエンジニアリングに係る手間を削減することができるという効果がある。
【0184】
すなわち、この発明の実施の形態1によれば、電力系統11に沿った電力消費量の実態把握用の可視化処理に必要な、すべての仮想計測点(すなわち、計測されないすべてのノード)に係る演算設定と可視化画面の設定とを、自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(ここでは、電力系統階層構造と、計測点情報と、その相互関係)を設定するのみで、電力系統集計表示生成部46により、電力系統11に沿った電力消費量の実態把握のための可視化画面を自動的に実現することができる。
【0185】
この発明の実施の形態1は、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、電力系統11に適用することにより、電力系統11に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化するものであり、また、これらの演算結果がそのまま電力系統11に沿った表示に対応付けられることから、可視化画面の設定についても自動化するものである。
【0186】
また、この発明の実施の形態1は、同様にして、計測機器構成階層構造と、計測点情報と、その相互関係を設定するのみで、計測機器集計表示生成部36により、計測機器構成に沿った計測データの可視化画面を自動的に実現するものである。なお、計測機器構成に沿った計測データの可視化に必要な仮想計測点の設定はない。
【0187】
なお、当該ノードの電力消費データのみの1本のグラフを表示する以外のグラフ表示形態として、図9においては、当該ノードκとその1段階だけ下位のノードb〜eとの電力消費データを合わせて、折れ線グラフで表示する例、および、当該ノードκの1段階だけ下位のノードb〜eの電力消費データを積み上げグラフで表示する例を示している。
図9内の積み上げグラフ(最上段参照)においては、一番上の折れ線が当該ノードκの電力消費データとなり、その内訳(b+c+d+e)の各層が分かるようになっている。
【0188】
また、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)の代わりに、表示されているグラフのうちの当該ノードに相当するものを1つ指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)を実行しても、同じことである。
【0189】
たとえば、下位ノードbに係る積み上げグラフを表示する操作は、ツリービューからでも行うことができるが、図9においては、当該ノードκに係る積み上げグラフ表示画面に対して、その中の下位ノードbを指定することにより、下位ノードbに係る積み上げグラフを表示する例を示している。
【0190】
このように、表示されているグラフの1つを指定することにより、さらにそのグラフの詳細な内訳をグラフ表示する操作、すなわち詳細表示に係る画面遷移(以下、「ドリルダウン」という)が可能となるので、電力消費量の実態把握作業を直感的に行うことができる。
【0191】
ただし、電力系統のツリー構造の末端ノード(たとえば、v)のみに関しては、そのグラフを表示する際に、内訳が存在しないので、当該ノード(末端ノード)の電力消費データのみの1本のグラフ(図9内の最下段)となる。
【0192】
図11はこの発明の実施の形態1による計測データ可視化画面を電力系統割合表示で示す説明図であり、グラフ表示の代わりに、電力系統のノードごとの電力消費割合を可視化する例を示している。
図11において、各ノードの単位時間(たとえば、1日、1週間、1ヶ月など)当たりの電力消費量は、グラフから積算集計して、その結果を、電力消費量の割合として可視化することができる。
【0193】
図11のように、電力消費割合を可視化する方法は、各表(右側)の横幅が割合の大きさを示しており、たとえば3階層の割合表示が可能である。
たとえば、上段の表においては、可視化対象ノード(κ)における下位ノード(b、c、d、e)の割合(b>c=d>e)が示され、さらに下位ノード(b)の下位ノードf〜iの割合も合わせて表示することが可能である。
【0194】
また、ツリービューから可視化画面を表示する代わりに、電力消費割合の可視化画面上をクリックするなどして、ドリルダウンすることも可能である。
図11においては、可視化対象ノードκについての電力消費割合の可視化画面上で、下位ノードbをクリックして指定することにより、下位ノードbについての電力消費割合の可視化画面を提示する例を示している。
【0195】
すなわち、上段の表を電力系統ドリルダウンした下段の表においては、下位ノード(b)のさらに下位ノードf〜iの割合(f>g>h=i)とともに、さらに下位ノード(f)の下位ノードp〜r、Δの割合(同様に、gの下位ノードt〜vの割合)も合わせて表示することが可能である。
【0196】
以上の積上げグラフ(図9)や割合表示(図11)といった可視化画面、および、それに係るドリルダウンを実現するために、従来では、積上げグラフや割合表示で表示するデータの設定や集計、および、ドリルダウン元とドリルダウン先との関係を、やはり手動で設定していたが、この発明の実施の形態1では、自動的に抽出することができる。
【0197】
したがって、この発明の実施の形態1によれば、電力消費量の実態把握作業を直感的に行うための可視化画面のエンジニアリングに係る手間を削減することができる。
つまり、この発明の実施の形態1においては、親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする積上げグラフ表示や割合表示するための規則を、電力系統に適用することにより、電力系統に沿った電力消費量の実態把握のための可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化することができる。
【0198】
なお、図3においては、自動的に処理するためのソフトウェア構成として、電力系統集計データ処理部45および空間構造集計データ処理部55(また必要に応じて、計測機器集計表示生成部36)を用いたが、従来装置(図40)に適用可能となるように、図12のように構成してもよい。
【0199】
図12はこの発明の実施の形態1に係る電力消費計測データ処理装置1の他のソフトウェア構成例を示すブロック図であり、前述(図3、図40参照)と同様のものについては、前述と同一符号が付されている。また、図示しない検索キー表示生成部105の構成は、図40に示した通りである。
【0200】
図12において、電力消費計測データ処理装置1は、前述(図3)と同様の各種設定データ42、44、52、54、92を設定する各種設定部41、43、51、53、91と、電力系統集計データ処理部45を構成する電力系統設定データ変換部47および電力系統計測点対応関係設定データ変換部48と、空間構造集計データ処理部55を構成する空間構造設定データ変換部57および空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58と、を備えている。
【0201】
また、図12の電力消費計測データ処理装置1は、必要に応じて、前述と同様の各種設定データ32、34を設定する各種設定部31、33と、計測機器構成設定データ変換部37と、計測機器構成計測点対応関係設定データ変換部38と、を備えている。
【0202】
電力系統設定データ変換部47、空間構造設定データ変換部57および計測機器構成設定データ変換部37は、検索キー設定データ102を生成する。
電力系統計測点対応関係設定データ変換部48、空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58および計測機器構成計測点対応関係設定データ変換部38は、検索キー計測点対応関係設定データ104を生成する。
【0203】
また、電力系統計測点対応関係設定データ変換部48および空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58は、仮想計測点設定データ96を生成する。
図12において、最終的に生成される各種設定データ102、104、96、92は、従来装置(図40)が認識可能な設定となる。
なお、空間構造については、実施の形態2とともに後述する。
【0204】
次に、図13を参照しながら、図12に示したこの発明の実施の形態1の他の構成例の動作について説明する。
図13は図12のソフトウェア構成による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図4参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。なお、運用段階の処理(ステップS31〜S33)は、前述(図41参照)の運用段階の処理(ステップS211〜S213)に対応している。
【0205】
図13において、設定段階の処理(ステップS1〜S4)については、前述(図4)と同様なので、ここでは説明を省略する。
この場合、設定処理(ステップS4)に続いて、各種変換部47、48、57、58、37、38による変換段階の処理(ステップS21〜S25)に移行する。
【0206】
まず、必要に応じて、計測機器構成設定データ変換部37は、計測機器構成設定データ32から、階層構造設定データ(検索キー設定データ102)を生成する(ステップS21)。
また、必要に応じて、計測機器構成計測点対応関係設定データ変換部38は、計測機器構成計測点対応関係設定データ34から、階層構造計測点対応関係設定データ(検索キー計測点対応関係設定データ104)を生成する(ステップS22)。
【0207】
次に、電力系統設定データ変換部47は、電力系統設定データ42から、階層構造設定データ(検索キー設定データ102)を生成する(ステップS23)。
続いて、電力系統計測点対応関係設定データ変換部48および空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58は、電力系統に基づくデータの集計を計算式とする仮想計測点設定データ96を生成する(ステップS24)。
【0208】
また、電力系統計測点対応関係設定データ変換部48は、電力系統計測点対応関係設定データ44から、階層構造計測点対応関係設定データ(検索キー計測点対応関係設定データ104)を生成する(ステップS25)。
【0209】
次に、運用段階の処理(ステップS31〜S33)に移行する。
まず、計測処理部21および計測データ保存部23(図3)は、各計測点で計測される電力消費データを収集し保存する(ステップS31)。
続いて、仮想計測点集計データ処理部97(図40)は、仮想計測点を計算する(ステップS32)。
【0210】
最後に、演算処理された計測点のデータを可視化画面とするために、検索キー表示生成部105(図40)は、階層構造としての表示画面を生成し、計測データ表示生成部94(図40)は、それぞれの計測データのグラフ表示画面を生成し(ステップS33)、図13の処理ルーチンを終了する。
【0211】
図12において、電力系統設定データ42は、階層構造を示すデータなので、従来装置(図40)が解釈可能な検索キー設定データ102への変換が可能であり、さらに、電力系統設定データ42および電力系統計測点対応関係設定データ44から、従来装置が解釈可能な検索キー計測点対応関係設定データ104(どの計測点が、どの検索キーに属するかを示す設定データ)への変換も可能である。
【0212】
また、前述(図8)の再帰処理(ステップS42〜S56)は、電力系統11の各ノードの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理なので、この再帰処理を利用して抽出した各ノードのデータの算出方式は、電力系統計測点対応関係設定データ変換部48により処理されるステップS24、S25に適用可能であり、従来装置が解釈可能な仮想計測点設定データ96として出力することができる。
なお、これは前述(段落0176)の実行可能スクリプト形式としても適用できるものである。
【0213】
計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34は、計測点と計測機器の階層構造との対応関係のみを示すデータであり、仮想計測点を出力する必要がないことから、同様にして、従来装置が解釈可能な検索キー設定データ102および検索キー計測点対応関係設定データ104への変換が可能である。
【0214】
したがって、図12、図13の構成によれば、従来装置(図40)であっても、設定データを仮想計測点および検索キーに変換することが可能であり、図3、図4の場合と同様の自動的処理が可能となる。
【0215】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図13)に係る電力消費計測データ処理装置1(エネルギー消費計測データ処理装置)は、計測点設定データ92に基づいて、電力消費(エネルギー消費)に係る計測データ25を収集するとともに、計測データ25を集計して処理するために、電力系統11(エネルギー系統)に沿った集計データである電力系統集計データ26(エネルギー系統集計データ)を処理する電力系統集計データ処理部45(エネルギー系統集計データ処理部)を備えている。
【0216】
電力系統集計データ処理部45(エネルギー系統集計データ処理部)は、電力系統設定データ42(エネルギー系統設定データ)と、電力系統設定データ42と計測点設定データ92との対応関係を設定した電力系統計測点対応関係設定データ44(エネルギー系統計測点対応関係設定データ)とから、電力系統集計データ26を生成するか、または、電力系統集計データ26を生成するための設定(図12内の各種設定データ102、104、96、92)を出力する。
【0217】
また、電力系統集計データ処理部45は、電力系統11の分岐点が網羅的に計測されている箇所については、当該箇所に電力伝送損失Δ(エネルギー伝送損失)を加えた電力系統集計データ26を生成するか、または、電力系統集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0218】
また、この発明の実施の形態1(図3)に係る電力消費計測データ処理装置1は、電力系統集計データ26の表示を行うための電力系統集計表示生成部46(エネルギー系統集計表示生成部)を備えており、電力系統集計表示生成部46は、電力系統集計データ26を電力系統設定データ42に沿って階層的に表示するか、または階層的に表示するための設定を出力する。
【0219】
さらに、この発明の実施の形態1(図3)に係る電力消費計測データ処理装置1は、計測データ25の表示を行うための計測機器集計表示生成部36を備えており、計測機器集計表示生成部36は、計測機器構成設定データ32と、計測点設定データ92と計測機器構成設定データ32との対応関係を設定した計測機器構成計測点対応関係設定データ34とから、計測データ25を計測機器構成設定データ32に沿って表示するか、または、表示を行うための設定を出力する。
【0220】
これにより、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面(図9〜図11)のための集計処理を自動的に抽出することが可能となり、可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理の設定に係るエンジニアリングの手間を削減することができる。
また、エネルギー消費の表示対象として、最も一般的な電力消費について有効な表示を行うことができる。
【0221】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1〜図4)では、主として、電力系統11に沿った可視化画面を自動的に実現するために、電力系統集計データ26を取得したが、これに加えて、空間構造に沿った可視化画面をも自動的に実現するために、図14のように、空間構造集計データ(集計データ26)を取得してもよい。
【0222】
図14はこの発明の実施の形態2による処理手順(設定、運用)を示すフローチャートであり、前述(図4参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
図15はこの発明の実施の形態2による電力系統設定データ42と空間構造設定データ52との相互関係(空間構造電力系統対応関係設定データ54)を示す説明図である。
【0223】
また、図16はこの発明の実施の形態2による空間構造に基づくデータ集計処理を示すフローチャートであり、図17はこの発明の実施の形態2による計測データ可視化画面を空間構造グラフ表示および空間構造割合表示で示す説明図である。
さらに、図18はこの発明の実施の形態2による処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【0224】
なお、この発明の実施の形態2が適用される電力系統11は、前述(図2)の工場または事業体17(工場敷地内の建築物)にあるものとし、この発明の実施の形態2に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成は、図3のブロック図に示した通りである。
【0225】
図3および図14において、まず、設定段階では、前述(図4)と同様に、電力系統設定部41は電力系統設定データ42を作成し(ステップS1)、計測点設定部91は計測点設定データ92を作成し(ステップS2)、電力系統計測点対応関係設定部43は電力系統計測点対応関係設定データ44を作成する(ステップS4)。
【0226】
また、必要に応じて、ステップS4の前に、計測機器構成設定部31および計測機器構成計測点対応関係設定部33は、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を作成する(ステップS3)。
【0227】
ステップS4に続いて、空間構造設定部51は、空間構造設定データ52を作成する(ステップS5)。
このとき、空間構造設定データ52は、直接記述されてもよく、図3のように、別途に空間構造設定部51を設け、その空間構造設定部51によって空間構造設定データ52を設定するように構成してもよい。
【0228】
空間構造設定データ52は、建築物についての空間配置を階層的に記述したデータである。
空間構造設定データ52がどのような空間構造記述となるかは、対象アプリケーションに依存するが、一般的には、敷地→建屋→階床→部屋(敷地の中にいくつかの建屋があり、それぞれの建屋にはいくつかの階床があり、各階床にはいくつかの部屋があり)といった具合に記述される。
【0229】
前述(図2)の工場敷地内の建築物について、空間構造設定データ52を作成すると、図15内の右側に示すツリー構造のようになる。
図15において、図2内に図示されない建築物については、「その他」(「エリアその他」、「建屋またはフロアその他」)というノードが設けられている。
【0230】
次に、空間構造電力系統対応関係設定データ54を作成する(ステップS6)。
空間構造電力系統対応関係設定データ54は、図15内の破線矢印のように、電力系統11のツリー構造のどのノードが、どの建築物のどの空間に電力供給しているかを、電力系統設定データ42のノード(各分岐点)と、空間構造設定データ52のノードとの対応付けによって記述される。
【0231】
空間構造電力系統対応関係設定データ54は、直接記述されてもよく、図3のように、別途に空間構造電力系統対応関係設定部53を設け、空間構造電力系統対応関係設定部53によって設定するように構成してもよい。
【0232】
なお、空間構造電力系統対応関係設定部53は、電力系統設定部41の一部として設けられてもよく、空間構造設定部51の一部として設けられてもよく、または、電力系統設定部41および空間構造設定部51などとは別途に独立して設けられてもよい。
さらに、空間構造電力系統対応関係設定部53は、電力系統設定部41、空間構造設定部51および空間構造電力系統対応関係設定部53の設定機能を統合した一括的な設定部として設けられてもよい。
【0233】
図15においては、左側の電力系統ツリー構造と、右側の空間構造ツリー構造とを、破線矢印で関連付けた状況を示しており、破線矢印で示される関連付け情報が空間構造電力系統対応関係設定データ54となる。
【0234】
その意味から、図15に示した例において、電力系統設定データ42は、たとえば、前述の実施の形態1と同様に、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで電力系統ツリービューの形式で設定される。
【0235】
同様に、空間構造設定データ52は、たとえば、後述する図17内のツリービューの空間構造タブで示すように、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで空間階層構造ツリービューの形式で設定される。
【0236】
また、空間構造電力系統対応関係設定データ54は、電力系統設定データ42の電力系統ツリービューの各ノードが、空間構造設定データ52の空間階層構造ツリービューのどのノードに対して電力供給しているか(または、空間階層構造ツリービューの各ノードが、電力系統ツリービューのどのノードから電力供給を受けているか)、を設定していくことにより記述される。
【0237】
このとき、図15において、電力系統ツリー構造の「末端ノード」を、逐一空間構造ノードに対応付ける代わりに、電力系統ツリー構造の「分岐ノード」を空間構造ノードに対応付けてもよい。
このようにして、空間構造ノードの末端ノードが、漏れなく、電力系統ツリー構造のノードのいずれか1つ以上から電力供給を受けているように記述する。
【0238】
なお、同じ電力系統ノードが複数の空間構造にまたがる場合は、当該電力系統ノードの下位ノードとして、新たに仮想ノード(計測の非対象な電力系統の子ノード)を設定し、その仮想ノードに対して比例配分比を設定した上で、それら仮想ノードと空間構造ノードとの対応付けを記述する。
【0239】
以下、図14内の設定段階の最後に、上記ステップS1〜S6で作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、空間構造設定データ52および空間構造電力系統対応関係設定データ54を、電力消費計測データ処理装置1に書き込む。
【0240】
このとき、各種設定データは、前述の実施の形態1でも述べた通り、複数の電力消費計測データ処理装置1のすべてに等しく書き込むようにしてもよく、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0241】
次に、図14内の運用段階(電力系統および空間構造に沿った可視化画面の生成手順)について説明する。
運用段落においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集し保存するとともに(ステップS11)、必要に応じて、計測機器構成に沿った表示画面を生成する(ステップS12)。また、電力系統に基づくデータの集計を行い(ステップS13)、電力系統に沿った表示画面を生成する(ステップS14)。
【0242】
この場合、ステップS13に続いて、可視化画面の生成処理(ステップS14)を実行することに加えて、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52に記述されている空間構造に沿って、電力系統設定データ42との対応関係を記述した空間構造電力系統対応関係設定データ54に基づき、集計データ26を処理する(ステップS15)。
【0243】
最後に、空間構造集計表示生成部56は、処理後の集計データ26を空間構造に沿って可視化してグラフ表示し(ステップS16)、図14の処理ルーチンを終了する。
【0244】
なお、ステップS15の集計処理は、前述の実施の形態1でも述べた通り、電力消費データを収集し保存する処理(ステップS11)と並行して実行されてもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0245】
図16はこの発明の実施の形態2による集計処理を示すフローチャートであり、前述(図8参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
図16における特有の集計処理は、前述(図8)の集計処理が完了した後で実行される。
【0246】
図16において、まず、工場または事業体(κ)17を処理対象ノードとして設定し(ステップS61)、再帰処理(1点鎖線枠内)に移行する。
再帰処理においては、まず、処理対象ノード(すなわち、図2内のノードκ)に下位のツリー構造が有るか否か(ステップS42)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0247】
この場合、図2および図15のように、処理対象ノードκには下位のツリー構造が有るので、続いて、処理対象ノードκの下位ノードのすべて(建屋またはフロアα、β、γ、その他)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0248】
具体的な再帰処理については後述するとして、再帰処理がすべて完了した後は、処理対象ノードκと電力系統ノードとの対応関係が設定されているか否か(ステップS62)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0249】
ステップS62において、処理対象ノードκに対応する電力系統ノードが設定されている(すなわち、Yes)と判定されれば、その電力系統ノードの電力消費データを、処理対象ノードκの電力消費データとして採用し(ステップS63)、図16の再帰処理を終了する。
【0250】
一方、ステップS62において、処理対象ノードκに対応する電力系統ノードが設定されていない(すなわち、No)と判定されれば、下位ノードの電力消費量の総和を、処理対象ノードκの電力消費データとして(ステップS49)、図16の再帰処理を終了する。
【0251】
なお、ステップS49において、下位ノードうちの1つでもデータ無しの場合には、処理対象ノードκもデータ無しとなる。
ここでは、工場または事業体(κ)17が電力系統(κ)11に対応する関係設定がなされているので、既に集計処理にて算出済みの電力系統(κ)11の電力消費データが、工場または事業体(κ)17の電力消費データとして採用される。
以上で、処理対象ノードκの再帰処理を完了する。
【0252】
次に、建屋またはフロア(α)16に対する再帰処理について説明する。
図2および図15のように、建屋またはフロア(α)16には、下位のツリー構造が有るので、ステップS42からステップS43、S44に分岐して、建屋またはフロア(α)16の下位ノードのすべて(エリア(1)14、エリア(2)14、その他)に対して再帰処理が行われる。
【0253】
具体的な再帰処理については後述するとして、再帰処理がすべて完了した後は、処理対象ノードκと電力系統ノードとの対応関係が設定されているか否か(ステップS62)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0254】
この場合、建屋またはフロア(α)16が電力系統(b)11に対応する関係設定がなされているので、既に集計処理にて算出済みの電力系統(b)11の電力消費データを、建屋またはフロア(α)16の電力消費データとして採用し(ステップS63)、図16の処理ルーチンを終了する。
以上で、建屋またはフロア(α)16の再帰処理を完了する。
【0255】
次に、エリア(1)14に対する再帰処理について説明する。
エリア(1)14には下位のツリー構造が無いので、ステップS42からステップS64に移行し、エリア(1)14が電力系統ノードとの対応関係が設定されているか否かの判定結果に応じて処理が分岐する。
【0256】
ステップS64において、エリア(1)14に対応する電力系統ノードが設定されている(すなわち、Yes)と判定されれば、その電力系統ノードの電力消費データをエリア(1)14の電力消費データとして採用し(ステップS65)、図16の処理ルーチンを終了する。
【0257】
一方、エリア(1)14に対応する電力系統ノードが設定されていない(すなわち、No)と判定されれば、ステップS54(自動算出の可否判定処理)に移行し、親ノードおよび兄弟ノードから循環参照なく自動算出できれば算出し(ステップS55)、自動算出できなければデータは無しと確定して(ステップS56)、図16の処理ルーチンを終了する。
【0258】
ここでは、エリア(1)14が電力系統(f)11に対応する関係設定がなされているので、ステップS64からステップS65に移行し、既に集計処理にて算出済みの電力系統(f)11の電力消費データを、エリア(1)14の電力消費データとして採用し、エリア(1)の再帰処理を完了する。
【0259】
エリア(2)14、その他、および建屋またはフロア(β)16、(γ)16、その他、さらに、工場または事業体(λ)17の再帰処理についても、以上で説明した内容のいずれかによって行われるので、ここでの説明を省略する。
これにより、空間構造の各ノードの電力消費データの集計が可能となる。以上のことは、電力系統(λ)11についても同様である。
【0260】
なお、図16の再帰処理は、前述と同様に、各ノードの電力消費データをどのように算出するかの方式を決定するために行われる処理であり、通常は長い処理時間を要する。
したがって、再帰処理を極力省略して処理時間を短縮する観点から、運用段階の最初の1回のみ実行し、その結果として得られた算出方式を記憶しておき(または、実行可能スクリプト形式で出力しておき)、各ノードのデータを算出する必要が生じた際に、記憶した算出方式を参照する(そのスクリプトを実行する)ように構成することが望ましい。
【0261】
ただし、たとえば、計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合などのように、再帰処理に要する時間が特に支障がない程度に短い場合には、必要時に毎回再帰処理を行うように構成しても支障ない。
【0262】
以下、空間構造集計表示生成部56は、上記のように処理された集計データを、空間構造に沿って可視化して、図17のようにグラフ表示する。
図17に示す可視化画面は、前述(図9)の可視化画面に対して、空間構造の階層構造を表示および操作が可能なツリービューを加えることにより構成される。
【0263】
図17において、空間構造におけるすべてのノード(分岐点)には、上述の集計処理によって電力消費データが存在するので、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する操作(マウスでダブルクリックするなど)によって、当該ノードの電力消費データがグラフ表示される。なお、グラフの表示形態は、前述(図9)の場合と同様である。
【0264】
この発明の実施の形態2においては、空間構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定と可視化画面の設定とを自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(ここでは、空間構造階層構造と電力系統階層構造との相互関係)を設定するのみで、空間構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化画面(図17)を自動的に実現することが可能となる。
【0265】
すなわち、「親ノードのデータ」=「子ノードのデータの総和」、という規則を空間構造に適用することによって、空間構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化することが可能となる。
また、これらの演算結果はそのまま空間構造に沿った表示に対応付けられることから、可視化画面の設定についても自動化することが可能となる。
【0266】
また、親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする「積上げグラフ」の表示、割合表示、という規則を空間構造に適用することによって、空間構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化することが可能となる。
よって、この発明の実施の形態2においても、前述の実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0267】
ここで、この発明の実施の形態2による特有の効果は、従来装置においては空間構造と計測点とを対応付けるのに対し、空間構造と電力系統とを対応付けて、既に処理済みの電力系統に沿った集計データに基づいて、空間構造に沿った処理を行う点にある。
これにより、電力系統と計測点との対応関係が変わった(たとえば、より詳細に計測するために計測点が増えた)としても、空間構造と電力系統との対応付けが変わらない限り、空間構造や電力系統に係る設定はそのまま変えなくてよいという効果がある。
【0268】
また、空間構造と電力系統との対応関係が変わった(たとえば、組織変更などにともなうリレイアウトによって空間構造が変わった)としても、電力系統と計測点との対応付けが変わらない限り、電力系統や計測点に係る設定は、そのまま変えなくてよいという効果がある。
【0269】
なお、上記説明では、各種設定データを自動的に処理するために、図3のソフトウェア構成を適用し、図14の処理を実行したが、従来装置(図40)に適用可能な、図18の処理を実行してもよい。
図18は従来装置(図40)の適用を可能にしたこの発明の実施の形態2による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図13、図14参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
【0270】
なお、図18の処理を実行するためのソフトウェア構成は、図12に示した通りである。また、図18において、前述と異なる処理は、変換段階としてステップS26〜S28が追加された点のみである。
図18の処理(設定、変換および運用)により、従来装置であっても、設定データを事前に変換することによって、前述と同様の自動的な処理が可能となる。
【0271】
図18においては、前述(図14)の空間構造電力系統対応関係設定データ54の作成処理(ステップS6)に続いて、変換段階に移行し、前述(図13)と同様の処理(ステップS21〜S25)が実行される。
次に、ステップS25に続いて、空間構造設定データ52から階層構造設定データ(検索キー設定データ102)を生成する(ステップS26)。
【0272】
また、空間構造に基づくデータの集計を計算式とする仮想計測点設定データ96を生成する(ステップS27)。
さらに、空間構造電力系統対応関係設定データ54から階層構造計測点対応関係設定データ(検索キー計測点対応関係設定データ104)を生成する(ステップS28)。
【0273】
以下、運用段階に移行し、電力消費計測データ処理装置1内の計測処理部21および計測データ保存部23(図3)は、各計測点で計測される電力消費データを収集し保存する(ステップS31)。
また、仮想計測点集計データ処理部97(図40)は、仮想計測点を計算する(ステップS32)。
【0274】
最後に、演算処理された計測点のデータを可視化画面とするために、検索キー表示生成部105(図40)は、階層構造としての表示画面を生成し、計測データ表示生成部94(図40)は、それぞれの計測データのグラフ表示画面を生成し(ステップS33)、図18の処理ルーチンを終了する。
【0275】
上記変換段階において、ステップS26で得られる空間構造設定データ52(図3、図12参照)は、他の設定データと同様に階層構造を示すデータであるから、従来装置(図40)が解釈可能な検索キー設定データ102への変換が可能である。
【0276】
また、空間構造設定データ52(ステップS26)および空間構造電力系統対応関係設定データ54(ステップS28)から変換された空間構造に係る仮想計測点設定データ96(ステップS27)と、電力系統設定データ42および電力系統計測点対応関係設定データ44から変換された電力系統に係る仮想計測点設定データ96(ステップS24)とから、従来装置(図40)が解釈可能な検索キー計測点対応関係設定データ104への変換も可能となる。
【0277】
さらに、図16の再帰処理は、空間構造の各ノードの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理であるから、この再帰処理を利用して抽出した各ノードのデータの算出方式は、空間構造電力系統対応関係設定データ変換部58により処理されるステップS27およびステップS28に適用でき、従来装置(図40)が解釈可能な仮想計測点設定データ96として出力することができる。
なお、これは、前述(段落0260)の実行可能スクリプト形式としても適用できるものである。
【0278】
以上のように、この発明の実施の形態2(図1〜図3、図12、図14〜図18)に係る電力消費計測データ処理装置1(エネルギー消費計測データ処理装置)は、空間構造に沿った集計データである空間構造集計データ26を生成するための空間構造集計データ処理部55を備えており、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52と、電力系統設定データ42(エネルギー系統設定データ)と空間構造設定データ52との対応関係を設定した空間構造電力系統対応関係設定データ54(空間構造エネルギー系統対応関係設定データ)とから、空間構造集計データ26を生成するか、または、空間構造集計データ26を生成するための設定(図12、図18参照)を出力する。
【0279】
また、この発明の実施の形態2に係る電力消費計測データ処理装置1は、空間構造集計データ26の表示を行うための空間構造集計表示生成部56を備えており、空間構造集計表示生成部56は、空間構造集計データ26を空間構造設定データ52に沿って階層的に表示(図17)するか、または、階層的に表示するための設定(図12、図18参照)を出力する。
これにより、前述と同様に、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理を自動的に抽出して、エンジニアリングの手間を削減することができる。
【0280】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図1〜図18)では、電力系統11に沿った可視化画面および空間構造に沿った可視化画面を自動的に実現するために、集計データ26として電力系統集計データおよび空間構造集計データを取得したが、これに加えて、電力を消費する電力消費設備13(図2参照)の種別ごとの可視化画面をも自動的に実現するために、図19のように、電力消費設備集計データ(集計データ26)を取得してもよい。
【0281】
図19はこの発明の実施の形態3に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成を示すブロック図であり、前述(図3参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0282】
図19において、電力消費計測データ処理装置1は、電力系統に沿った可視化画面に加えて、電力消費設備13の種別ごとの可視化画面を自動的に実現するために、電力消費設備設定部61と、電力消費設備電力系統対応関係設定部63と、空間構造電力消費設備対応関係設定部59と、電力消費設備集計データ処理部65と、電力消費設備集計表示生成部66と、を備えている。
【0283】
また、電力消費計測データ処理装置1内の設定データ保存部22は、前述の各種設定データに加えて、電力消費設備設定部61からの電力消費設備設定データ62と、電力消費設備電力系統対応関係設定部63からの電力消費設備電力系統対応関係設定データ64と、空間構造電力消費設備対応関係設定部59からの空間構造電力消費設備対応関係設定データ60と、を保存する。
【0284】
なお、ここでは、煩雑さを回避するために図示しないが、電力消費計測データ処理装置1は、必要に応じて、前述(図3)と同様の計測機器構成設定部31、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定部33、計測機器構成計測点対応関係設定データ34および計測機器集計表示生成部36を備えているものとする。
【0285】
図19において、電力系統設定データ42および計測データ25は、電力消費設備集計データ処理部65にも入力される。
電力消費設備設定データ62は、電力系統集計データ処理部45、空間構造集計データ処理部55、電力消費設備集計データ処理部65および電力消費設備集計表示生成部66に入力される。
【0286】
電力消費設備電力系統対応関係設定データ64は、電力系統集計データ処理部45および電力消費設備集計データ処理部65に入力され、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60は、空間構造集計データ処理部55に入力される。
電力消費設備集計データ処理部65からの電力消費設備集計データ26は、集計データ保存部24に保存された後、計測データ集計処理部93に入力されるとともに、電力系統集計データ処理部45、電力消費設備集計データ処理部65および空間構造集計データ処理部55を介して各種表示生成部46、66、56に入力される。
【0287】
次に、図2とともに、図20および図21を参照しながら、図19に示したこの発明の実施の形態3による設定段階および運用段階の処理手順について説明する。
図20はこの発明の実施の形態3による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図4参照)と同様の処理については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0288】
まず、設定段階の手順について説明する。
図20において、前述(図4、図14)と同様に、電力系統設定データ42の作成(ステップS1)、計測点設定データ92の作成(ステップS2)、電力系統計測点対応関係設定データ44の作成(ステップS4)を行う。
【0289】
また、必要に応じて、ステップS4の前に1点鎖線ブロックで示すように、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34(図3参照)の作成(ステップS3)を行う。
【0290】
続いて、電力消費設備設定部61は、電力消費設備設定データ62を作成する(ステップS5A)。
電力消費設備設定データ62は、電力消費設備を種別ごとに分類して作成され、直接記述されてもよい。または、図19のように、別途に電力消費設備設定部61を設け、電力消費設備設定部61によって電力消費設備設定データ62を設定するように構成してもよい。
【0291】
ここで、前述(図2)の構成例で示した電力消費設備(以下、単に「設備」ともいう)について、電力消費設備設定データ62を作成すると、図21内の右側のツリー構造のようになる。
図21はこの発明の実施の形態3による電力系統設定データ42と電力消費設備設定データ62(設備種別設定データ)との相互関係(電力消費設備電力系統対応関係設定データ64)を示す説明図である。図21内の左側のツリー構造は、前述(図5A参照)と同様の電力系統設定データ42を示している。
【0292】
図2および図21において、電力消費設備(A1)13、(A2)13、(B1)13、(B2)13は、生産ラインを構成する設備であるから、設備種別として「生産設備」が定義され、「生産設備」の分類に属する電力消費設備13として、「A1」、「A2」、「B1」、「B2」が設定される。
【0293】
また、電力消費設備(X1)13、(X2)13は、照明器具であるから、設備種別として「照明」が定義され、「照明」の分類に属する電力消費設備13として、「X1」、「X2」が設定される。
同様に、電力消費設備(Y1)13、(Y2)13は、空調機器であるから、設備種別として「空調」が定義され、「空調」の分類に属する電力消費設備13として、「Y1」、「Y2」が設定される。
【0294】
なお、図2の構成例には示されていないが、上記以外にも、設備種別の分類として、図21に示したように、「OA機器」などが考えられる。
また、設備種別の分類として定義するに値しないものに対しては、設備種別の分類として「その他」を定義し、「その他」の分類に属するものとして電力消費設備13を設定することも考えられる。
【0295】
図20に戻り、次に、電力消費設備電力系統対応関係設定部63は、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64(図21内の破線矢印)を作成する(ステップS6A)。
電力消費設備電力系統対応関係設定データ64は、各電力消費設備13が消費する電力が、電力系統11のツリー構造(図21内の左側)において、どのノードの電力であるのか(電力系統の各ノードの電力を、どの電力消費設備が消費するのか)を設定記述するデータである。
【0296】
すなわち、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64は、電力消費設備設定データ62における各電力消費設備13(図21内の右側のツリー構造)と、電力系統設定データ42の各ノード(図21内の左側のツリー構造)とを関連付けている。
【0297】
電力消費設備電力系統対応関係設定データ64は、直接記述されてもよく、または、図19のように、別途に電力消費設備電力系統対応関係設定部63を設けて、電力消費設備電力系統対応関係設定部63によって電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を設定するように構成してもよい。
【0298】
また、電力消費設備電力系統対応関係設定部63は、電力系統設定部41内の一部機能として設けられもよく、電力消費設備設定部61内の一部機能として設けられてもよい。
さらに、電力消費設備電力系統対応関係設定部63は、電力系統設定部41および電力消費設備設定部61とは別途に独立して設けられてもよく、または、電力系統設定部41、電力消費設備設定部61および電力消費設備電力系統対応関係設定部63の設定機能を統合した一括的な設定部として設けられてもよい。
【0299】
図21においては、電力系統(κ)11のツリー構造(左側)と、電力消費設備設定データ62のツリー構造(右側)とを、破線矢印で関連付けており、破線矢印で示される関連付け情報が電力消費設備電力系統対応関係設定データ64である。
【0300】
その意味から、図21に示した例においては、電力系統設定データ42は、たとえば、前述の実施の形態1と同様に、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで電力系統ツリービューの形式で設定される。
同様に、電力消費設備設定データ62は、たとえば、後述する図34内のツリービューの消費設備タブで示すように、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで電力消費設備分類ツリービューの形式で設定される。
【0301】
また、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64(破線矢印)は、電力系統設定データ42の電力系統ツリービューの各ノードに対して、電力消費設備設定データ62の電力消費設備分類ツリービューのどのノードによって電力消費されているか(または、電力消費設備分類ツリービューの各ノードが、電力系統ツリービューのどのノードから電力供給を受けているか)、を設定していくことにより記述される。
【0302】
なお、この場合、電力系統ツリー構造の「末端ノード」の電力を、設備が消費することに注意する。なぜなら、電力系統ツリー構造の「分岐ノード」の電力を、設備が消費しているような状況は、実際には起こり得ないからである。
しかし、仮に電力系統ツリー構造の「分岐ノード」の電力を設備が消費しているような状況が生じた場合には、その分岐ノードに1つの末端ノードを追加して、追加した末端ノードの電力を、設備が消費しているように、電力系統ツリー構造や、設備を記述すればよい。
【0303】
電力系統11におけるどのノードの電力を、どの設備が消費するのか、の関連を設定した初期状態において、比例配分比率は、すべて均等比例配分となっている。
すなわち、特段に比例配分比率を設定しない箇所については、比例配分比率がすべて均等比例配分として扱う。
【0304】
1つの電力系統ノードの電力を消費する設備が1つである場合には、そのノードの電力消費データを比例配分する必要はない(すなわち、比例配分比率は100%である)。
1つの電力系統ノードの電力を消費する設備が2つ以上である場合には、関連を設定した初期状態においては、そのノードの電力消費データを均等比例配分する(たとえば、設備が2つである場合には、比例配分比率は50%ずつである)。
【0305】
ただし、経験的に2つ以上の設備の比例配分比率が分かっている場合には、別途に比例配分比率を設定する。
図21の例では、電力系統ノードpの電力を電力消費設備(X1)13、(Y1)13が消費しており、比例配分比率を、X1=60%、Y1=40%として設定した状態を示している。
一方、電力系統ノードtの電力に関しては、電力消費設備(X1)13、(Y1)13が消費しているものの、均等比例配分となっており、比例配分比率は特に設定していない状態を示している。
【0306】
なお、どの設備にも電力を供給していない(すなわち、設備との対応関係が記述されていない)電力系統ツリー構造の末端ノードに対しては、仮想的に「その他設備」を追加し、仮想的な「その他設備」がその電力系統ツリー構造の末端ノードの電力供給を占有的に消費するような設定にしておくようにしてもよい。
【0307】
最後に、設定段階で作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62および電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を、図2内の電力消費計測データ処理装置1(図19)に書き込む。
【0308】
このとき、各設定データを、図2内の示したすべての電力消費計測データ処理装置1に等しく書き込むようにしてもよく、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみを切り出して書き込むようにしてもよい。このことについては、前述の実施の形態1で述べた通りである。
【0309】
図20に戻り、次に、運用段階(設備種別ごとの可視化画面および電力系統に沿った設備種別を加味した可視化画面の生成)の処理手順について説明する。
運用段階においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集保存し(ステップS11)、電力系統11に基づくデータの集計(ステップS13)を行う。また、必要に応じて、計測機器集計表示生成部36(図3参照)により、計測機器に沿った表示画面の作成(ステップS12)を行う。
【0310】
続いて、電力消費設備集計データ処理部65は、電力系統設定データ42と電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した電力消費設備電力系統対応関係設定データ64に基づき、各設備の電力消費データを確定する(ステップS17)。
【0311】
また、電力消費設備集計表示生成部66は、各設備の電力消費データを可視化してグラフ表示する(ステップS14A)。
続いて、電力系統集計データ処理部45は、電力系統設定データ42に記述されている電力系統11に沿って、電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した電力消費設備電力系統対応関係設定データ64に基づき、設備種別を加味しながら集計データを処理する(ステップS15A)。
【0312】
さらに、電力系統集計表示生成部46は、電力系統集計データ処理部45によって処理後の集計データを電力系統11に沿って可視化してグラフ表示し、電力系統11に沿った(設備種別を加味した)表示画面の生成(ステップS16A)を行い、図20の処理ルーチンを終了する。
【0313】
なお、ステップS17において、各電力消費設備13の電力消費データは、電力消費設備設定データ62を順に、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を参照しながら確定されていく。
この確定処理は、前述の実施の形態1でも述べた通り、電力消費データを収集し保存するのと並行して実行してもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0314】
図2および図21において、エリア(1)14内の電力消費設備(A1)13は、電力計測器(q)12が設置されたノードqの電力を消費しており、また、ノードqから電力供給を受けているのは、電力消費設備(A1)13のみであるから、ノードqの電力消費データを電力消費設備(A1)13の電力消費データとする。
【0315】
このとき、設定された比率にしたがって比例配分するが、ここでは均等比例配分となっている。また、この場合は、電力消費設備(A1)13しか存在しないので、A1=100%となる。
同様に、エリア(2)14内の電力消費設備(A2)13は、ノードuの電力消費データとなり、エリア(1)14内の電力消費設備(B1)13は、ノードrの電力消費データとなり、エリア(2)14内の設備(B2)13は、ノードvの電力消費データとなる。
【0316】
エリア(1)14内の電力消費設備(X1)13は、ノードpの電力を消費しているが、ノードpから電力供給を受けているのは、電力消費設備(X1)13以外にも電力消費設備(Y1)13が存在するので、ノードpの電力消費データは、設定された比率で比例配分される。
【0317】
この場合、X1=60%、Y1=40%の比例配分比率となっているので、ノードpの電力消費データの60%が電力消費設備(X1)13の電力消費データとなり、電力消費設備(Y1)13は、ノードpの40%となる。
同様に、エリア(2)14内の電力消費設備(X1)13、(Y1)13は、ノードtの50%の電力消費データとなる。
【0318】
このように、各設備の電力消費データが確定されるので、電力消費設備集計表示生成部66は、各設備の電力消費データを可視化してグラフ表示する(ステップS14A)ことができる。
たとえば、後述する実施の形態5(図34)のツリービュー内の消費設備タブで示すように、電力消費設備を種別ごとに分類してツリー表示し、グラフを表示したいノードを指定する(マウスでダブルクリックするなどの)操作によって、当該設備の電力消費データの可視化画面を表示することが可能である。
【0319】
割合表示する場合は、グラフ表示と同様に、電力消費設備集計データ処理部65が、単位時間(たとえば、1日、1週間、1ヶ月など)当たりの電力消費量を、制御情報の値に対応する形で分けてグラフから積算集計し、この積算集計結果を、電力消費設備集計表示生成部66が、電力消費量の割合として可視化すればよい。
【0320】
なお、電力系統に沿って設備種別を加味した集計処理(ステップS15A)は、前述の実施の形態1で述べた通り、電力消費データを収集し保存する処理(ステップS11)と並行して実行してもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0321】
次に、図19〜図21とともに、図22を参照しながら、電力系統11に沿って設備種別を加味した集計処理(図20内のステップS15A)について、さらに具体的に説明する。
図22はこの発明の実施の形態3による電力系統に基づくデータの設備種別を加味した集計処理を示すフローチャートであり、前述(図8、図16)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
【0322】
図22においては、前述と同様に、電力系統11の最上位(ツリー構造のルート)から再帰的に集計する処理が示されている。
前述(図8)の集計処理(再帰処理)は、各設備の電力消費データを確定するために必要であるが、その後、図22のように、改めて、電力系統11に沿って設備種別を加味した集計処理(再帰処理)を行う必要がある。
【0323】
図22において、まず、ノードκを処理対象ノードとして(ステップS41)、再帰処理に移行する。
再帰処理においては、まず、処理対象ノードκの分類ごとのコレクション、を生成する(ステップS71)。
このとき、図21のように、設備種別の分類としては、「生産設備」、「照明」、「空調」、「OA機器」「その他」(参照)があるので、処理対象ノードκの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションが生成される。
【0324】
続いて、処理対象ノードκに下位のツリー構造が有るか否か(ステップS42)の判定結果に応じて処理が分岐する。
この場合、処理対象ノードκには、下位のツリー構造が有るので、ステップS42からステップS43に移行し、処理対象ノードκの下位ノードのすべて(b、c、d、e)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0325】
以下、ステップS43において、下位ノードのすべてに対して再帰処理が完了した(すなわち、YES)と判定されれば、下位ノードの有する設備の分類ごとのコレクションにある設備を、処理対象ノードのコレクションに追加する(ステップS72)。
最後に、設備の分類ごとのコレクションにある設備の電力消費データを集計して(ステップS73)、図22の再帰処理を終了する。
【0326】
次に、ノードbに対する再帰処理について説明する。
まず、ノードbの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションを生成する(ステップS71)。続いて、ノードbには下位のツリー構造が有るので、ノードbの下位ノードのすべて(f、g、h、i)に対して再帰処理が行われる。
【0327】
次に、ノードfに対する再帰処理について説明する。
まず、ノードfの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションを生成する(ステップS71)。続いて、ノードfには下位のツリー構造が有るので、ノードfの下位ノードのすべて(p、q、r)に対して再帰処理が行われる。
【0328】
次に、ノードpに対する再帰処理について説明する。
まず、ノードpの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、pの「OA機器」コレクション、pの「その他」コレクションを生成する(ステップS71)。
【0329】
続いて、ノードpには下位のツリー構造が無いので、ステップS42からステップS74に移行し、ノードpの電力を消費する設備(電力消費設備)があるか否かを判定する。
図2、図21において、ノードpには、電力消費設備(X1)13、(Y1)13があるので、これら電力消費設備を分類ごとのコレクションに追加し(ステップS75)、分類ごとのコレクションにある電力消費設備の電力消費データを、(比例配分比率を加味して)設備種別の分類ごとに集計する(ステップS76)。
【0330】
図21において、ノードpの電力消費設備には、「生産設備」、「OA機器」、「その他」に分類されるものは無いので、ステップS75においてノードpの「生産設備」コレクション、「OA機器」コレクション、「その他」コレクションに追加する設備は無く、ステップS76における集計結果も「0」である。
【0331】
一方、電力消費設備(X1)13は「照明」に分類されるので、ステップS75において、電力消費設備(X1)13をノードpの「照明」コレクションに追加し、ステップS76において、ノードpの「照明」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、電力消費設備(X1)13の電力消費データ)を、ノードpの「照明」の集計結果とする。
【0332】
また、電力消費設備(Y1)13は「空調」に分類されるので、ステップS75において、電力消費設備(Y1)13をノードpの「空調」コレクションに追加し、ステップS76において、ノードpの「空調」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、電力消費設備(Y1)13の電力消費データ)を、ノードpの「空調」の集計結果とする。
以上で、ノードpの再帰処理を完了する。
【0333】
同様に、ノードqに対する再帰処理を行うと、図2、図21に示すように、ノードqの電力消費設備(A1)13があるので、ステップS75、S76において、設備種別の分類ごとの集計が行われる。
【0334】
ただし、ノードqの電力消費設備には、「照明」、「空調」、「OA機器」および「その他」に分類されるものは無いので、ステップS76による集計結果は「0」である。
また、電力消費設備(A1)13は「生産設備」に分類されるので、ステップS75において、電力消費設備(A1)13をノードqの「生産設備」コレクションに追加し、ステップS76において、電力消費設備(A1)13の電力消費データをノードqの「生産設備」の集計結果とする。
以上で、ノードqの再帰処理を完了する。なお、他のノードrについても、同様の処理であり、ここでは説明を省略する。
【0335】
以上により、ノードfの下位ノード(p、q、r)の再帰処理がすべて完了したので、続いて、ノードfの下位ノードの設備種別の分類ごとの集計結果を、ノードfについて集計する。
すなわち、
ノードfの「生産設備」コレクション
=ノードpの「生産設備」コレクション(ここでは、コレクションは空)
+ノードqの「生産設備」コレクション(ここでは、A1)
+ノードrの「生産設備」コレクション(ここでは、B1)
={A1、B1}
である。
【0336】
このようにして、設備種別の分類である「生産設備」、「照明」、「空調」、「OA機器」、「その他」のそれぞれについて集計し(ここでは、ノードfの「生産設備」の集計結果は、電力消費設備(A1)13の電力消費データと、電力消費設備(B1)13の電力消費データとの和となる)、ノードfの再帰処理を完了する。
【0337】
ノードf以外の、ノードbの下位ノード(g、h、i)に対しても、同様に再帰処理を行い、これら下位ノードの再帰処理がすべて完了すれば、同様にノードbについての集計処理を行い、ノードbの再帰処理を完了する。
以上で、最終的に処理対象ノードκの再帰処理が完了する。
【0338】
以上により、電力系統(κ)11のすべてのノードの設備種別の分類ごとの集計が可能となる。他の電力系統(λ)11についても同様である。
なお、図22の再帰処理は、前述と同様に、電力系統11の各ノードの設備種別の分類ごとの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理なので、処理時間を短縮(長い処理時間を要する再帰処理を省略)する観点から、運用段階の最初の1回のみ実行することが望ましい。
【0339】
すなわち、最初の1回の実行結果として得られた算出方式を記憶しておき(または、実行可能スクリプト形式で出力しておき)、各ノードのデータを算出する必要があった際に、記憶した算出方式を参照する(または、そのスクリプトを実行する)ように構成することが望ましい。
【0340】
ただし、たとえば計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合などのように、上記再帰処理に要する時間が特に支障がない程度に短ければ、必要となった際に毎回再帰処理を行う構成としてもよい。
【0341】
図23および図24は上記処理により電力系統集計表示生成部46が生成するグラフ表示例を示す説明図であり、電力系統11に沿って設備種別を加味した集計データを、電力系統11に沿って可視化した表示例を示している。
図23および図24において、当該ノード(ここでは、b)の可視化画面としては、電力系統グラフ、電力系統割合、設備種別グラフ、設備種別割合が可能となる。
【0342】
電力系統グラフによる可視化には、図23のように、当該ノードおよび下位ノードの電力消費量の総計をグラフ表示する形態(前述の実施の形態1、図9と同様)、および、そのうちの設備種別の分類ごとの集計をグラフ表示する形態がある。
【0343】
図23においては、ノードbについての生産設備の集計をグラフ表示した例を示しているが、ノードbの下位ノードのうち生産設備があるのはノードf、gであり、ノードh、iには生産設備がないので、ノードbについての生産設備の積上げグラフ表示には、ノードf、gのみがグラフ表示されている。
【0344】
また、電力系統割合の可視化には、図24のように、当該ノードおよび下位ノードの電力消費量の総計を割合表示する形態(すなわち実施の形態1の図11と同じ)、および、そのうち設備種別の分類ごとの集計を割合表示する形態がある。
【0345】
図24においては、ノードbについての生産設備の集計を割合表示した例を示しているが、ノードbの下位ノードのうち生産設備があるのはノードf、gで、ノードh、iには生産設備がないので、ノードbについての生産設備の割合表示には、ノードf、gのみが割合表示されている。
【0346】
また、設備種別グラフによる可視化には、図23のように、当該ノードの設備種別の分類ごとの電力消費量の総計をグラフ表示する形態、および、そのうち設備種別の分類ごとの各設備の電力消費データをグラフ表示する形態がある。
【0347】
図23の「設備種別グラフb(積上げ)」においては、ノードbにおける設備種別の分類ごとの電力消費量の総計をグラフ表示した例を示している。このグラフでは、ノードbの有する設備種別の分類ごとのコレクションに存在する各設備の電力消費データを集計したものをグラフ表示すればよい。
【0348】
また、図23の「設備種別グラフb(積上げ)生産設備」においては、ノードbにおける「生産設備」に分類される各設備の電力消費データをグラフ表示した例を示している。このグラフでは、ノードbの有する設備種別の分類ごとのコレクションに存在する各設備の電力消費データをそのままグラフ表示すればよい。なお、ツリービューからグラフ表示する代わりに、「設備種別グラフb(積上げ)」の生産設備をクリックするなどによって選択することによりドリルダウンし、このグラフを表示するようにすることもできる。
【0349】
さらに、設備種別割合の可視化には、図24のように、当該ノードの設備種別の分類ごとの電力消費量の総計を割合表示する形態のみがある。
図24においては、ノードbにおける設備種別の分類ごとの電力消費量の総計を割合表示した例を示している。このグラフでは、ノードbの有する設備種別の分類ごとのコレクションに存在する各設備の単位時間当たりの電力消費データの集計を割合表示すればよい。
【0350】
なお、この発明の実施の形態3においては、図示および説明を省略するが、前述(図12、図13、図18)と同様に、従来装置(図40)への適用が可能な出力を生成してもよい。
【0351】
以上のように、この発明の実施の形態3(図1、図2、図19〜図24)に係る電力消費計測データ処理装置1(エネルギー消費計測データ処理装置)は、電力消費設備設定データ62(エネルギー消費設備設定データ)を処理する電力消費設備集計データ処理部65(エネルギー消費設備集計データ処理部)を備えており、電力消費設備集計データ処理部65は、電力消費設備設定データ62と、電力系統設定データ42(エネルギー系統設定データ)と電力消費設備設定データ62との対応関係を設定した電力消費設備電力系統対応関係設定データ64(エネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データ)とから、電力消費設備(エネルギー消費設備)ごとの集計データである電力消費設備集計データ26(エネルギー消費設備集計データ)を生成するか、または、電力消費設備集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0352】
また、この発明の実施の形態3(図19)に係る電力消費計測データ処理装置1は、電力消費設備集計データ26の表示を行うための電力消費設備集計表示生成部66(エネルギー消費設備集計表示生成部)を備えており、電力消費設備集計表示生成部66は、電力消費設備集計データ26を電力消費設備設定データ62に沿って表示するか、または、表示を行うための設定を出力する。
【0353】
また、電力消費設備集計データ処理部65は、電力消費設備集計データ26と、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64とから、電力系統11に沿った電力消費設備の種別ごとの集計データである電力消費設備種別(エネルギー消費設備種別)ごとの電力系統集計データ26を生成するか、または、電力系統集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0354】
また、電力系統集計表示生成部46は、電力消費設備種別ごとの電力系統集計データ26を、電力系統設定データ42に沿って階層的に表示するか、または、階層的に表示するための設定を出力する。
【0355】
また、この発明の実施の形態3(図19)に係る電力消費計測データ処理装置1は、空間構造に沿った集計データである空間構造集計データ26を生成するための空間構造集計データ処理部55を備えており、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52と、電力消費設備と空間構造設定データ52との対応関係を設定した空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(空間構造エネルギー消費設備対応関係設定データ)とから、空間構造集計データ26を生成するか、または、空間構造集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0356】
これにより、前述と同様に、電力系統11および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化に必要な、すべての仮想計測点に係る演算設定および可視化画面の設定を自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(ここでは、設備種別、電力系統階層構造およびその相互関係)を設定するのみで、電力系統11および設備種別に沿った電力消費量の実態把握のための可視化画面を自動的に実現することができる。
【0357】
つまり、この発明の実施の形態3は、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、電力系統11および設備種別に適用することにより、電力系統11および設備種別に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化するものであり、また、これらの演算結果がそのまま電力系統11に沿った表示に対応付けられることから、可視化画面の設定についても自動化するものである。
【0358】
さらに、この発明の実施の形態3では、「親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする積上げグラフを表示するか、または割合表示する」という規則を、電力系統11および設備種別に適用することにより、電力系統11および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化するものである。
【0359】
すなわち、従来装置(図40)では、設備と計測点とを対応付けるようにして可視化に必要な集計演算を仮想計測点として手動で設定するのに対し、この発明の実施の形態3の特徴は、電力消費設備と電力系統11とを対応付けて、既に処理済みの電力系統に沿った集計データ26に基づき、電力消費設備に係る処理を行う点にある。
【0360】
この結果、電力系統11と計測点との対応関係が変化(たとえば、より詳細に計測するために計測点が増えるなど)したとしても、電力消費設備と電力系統11との対応付けが変化しない限り、電力消費設備や電力系統11に係る設定はそのままで変える必要がないという効果がある。
【0361】
また、電力消費設備と電力系統11との対応関係が変化(たとえば、組織変更などにともなうリレイアウトにより、設備に対する電力供給源が変化するなど)したとしても、電力系統11と計測点との対応付けが変化しない限り、電力系統11や計測点に係る設定はそのままで変える必要がないという効果がある。
従来装置(図40)を活用してこの発明の実施の形態3に記載の技術を適用するための変換処理については、説明を省略するが、図12、図13、図18とともに前述した通りであり、この場合も同様の作用効果を奏する。
【0362】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態3(図19〜図24)では、電力系統11および設備種別に沿った可視化画面を自動的に実現するための処理について詳述したものの、空間構造集計データ処理部55および空間構造集計表示生成部56の具体的処理に言及しなかったが、図25〜図29のように処理してもよい。
【0363】
図25はこの発明の実施の形態4による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図14、図20参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。この場合、設定段階の最終処理として、ステップS6Bが追加されている。
なお、この発明の実施の形態4に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成は図19に示した通りである。
【0364】
以下、図2、図19および図25を参照しながら、設定段階および運用段階の処理手順について説明する。
この発明の実施の形態4においては、図25の処理により、電力系統11および設備種別に沿った可視化画面のみならず、空間構造に沿った可視化画面をも自動的に実現する。
【0365】
まず、図25内の設定段階においては、前述(図20)と同様に、電力系統設定データ42、計測点設定データ92、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62および電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を作成し(ステップS1、S2、S4、S5A、S6A)、また、必要に応じて、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を作成する(ステップS3)。
【0366】
続いて、前述(図14)と同様に、空間構造設定データ52を作成する(ステップS5)。空間構造設定データ52の記述については、前述の通りである。
ステップS5において、図2に例示した工場敷地内の建築物についての空間構造設定データ52を作成すると、図26内の左側のツリー構造のようになる。
図26において、図2に例示されていない建築物(建屋またはフロア16)については、「その他」(「建屋その他」および「エリアその他」)と命名したノードが設けられている。
【0367】
最後に、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を作成し(ステップS6B)、運用段階に移行する。
空間構造電力消費設備対応関係設定データ60は、電力消費設備が、どの建屋のどのエリアに配置されているのかを、電力消費設備設定データ62の各ノード(各設備)と、空間構造設定データ52の各ノードとの対応付けによって記述するものである。
【0368】
空間構造電力消費設備対応関係設定データ60は、直接記述されてもよく、または、図19のように、空間構造電力消費設備対応関係設定部59を別途に設けて、空間構造電力消費設備対応関係設定部59により空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を設定するように構成してもよい。
【0369】
なお、空間構造電力消費設備対応関係設定部59は、電力消費設備設定部61の一部機能または空間構造設定部51の一部機構として設けられてもよく、図19のように、電力消費設備設定部61および空間構造設定部51とは別途に独立して設けられてもよい。
さらに、空間構造電力消費設備対応関係設定部59は、電力消費設備設定部61、空間構造設定部51および空間構造電力系統対応関係設定部53の設定機能を統合した一括的な設定部として設けてもよい。
【0370】
図26は空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を示す説明図であり、空間構造設定データ52(左側のツリー構造)と、電力消費設備設定データ62(右側のツリー構造)とを、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(破線矢印)で関連付けた状況を示している。
【0371】
その意味から、図26に示した例においては、電力消費設備設定データ62は、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで電力系統ツリービューの形式で設定される。
同様に、空間構造設定データ52は、たとえば、パソコン上で動作する専用の設定ソフトウェアで空間階層構造ツリービューの形式で設定される。
【0372】
また、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(破線矢印)は、電力消費設備ツリービューの各ノードが、空間階層構造ツリービューのどのノードに配置されているのかを設定していくか、または、空間階層構造ツリービューの各ノードに配置されている設備を、電力消費設備ツリービューのノードから選択して設定していくことにより、記述される。
【0373】
なお、設備を空間構造に対応付ける設定操作に代えて、電力系統を空間構造に対応付ける設定操作によって、その電力系統から電力供給を受けているすべての設備を、その空間構造に対応付けるようにしてもよい。
【0374】
たとえば、前述の図15に示すように、電力系統(f)11をエリア(1)14に対応付けることにより、電力系統(f)11から電力供給を受けているのは、前述の図21から、電力消費設備(A1)13、(B1)13、(X1)13、(Y1)13であることが抽出されるので、これらの設備をエリア(1)に対応付けることができる。これにより、設備の1つ1つについて、それぞれを空間構造に対応付ける設定操作を簡略化することができる。
【0375】
1つの設備から1つの空間構造に対してのみ関連付けがある場合には、その比例配分比率は100%である。一方、1つの設備から複数の空間構造に対して関連付けがある場合には、その比例配分比率は、初期状態においては均等比例配分であるが、必要に応じて設定される。
【0376】
図25に戻り、各ステップS1〜S6Bで作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64、空間構造設定データ52および空間構造電力消費設備対応関係設定データ60は、設定段階の最後において、電力消費計測データ処理装置1に書き込まれる。
【0377】
このとき、前述と同様に、すべての電力消費計測データ処理装置1に等しく書き込むようにしてもよいし、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0378】
次に、運用段階(空間構造に沿った設備種別を加味した可視化画面の生成手順)について説明する。
図25内の運用段階においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集し保存するとともに(ステップS11)、必要に応じて、計測機器構成に沿った表示画面を生成する(ステップS12)。
【0379】
また、電力系統集計データ処理部45は、電力系統に基づくデータの集計を行い(ステップS13)、各設備の電力消費データを確定し(ステップS17)、電力消費設備集計表示生成部66は、設備種別に沿った表示画面(可視化画面)を生成する(ステップS14A)。
【0380】
また、これに加えて、電力系統集計データ処理部45は、電力系統設定データ42に記述されている電力系統11に沿って、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64に基づき、設備種別を加味しながら集計データを処理する(ステップS15A)。
【0381】
続いて、電力系統集計表示生成部46は、電力系統集計データ処理部45によって処理後の集計データを電力系統11に沿って可視化してグラフ表示し、電力系統11に沿った(設備種別を加味した)表示画面を生成する(ステップS16A)。
【0382】
また、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52に記述されている空間構造に沿って、電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した空間構造電力消費設備対応関係設定データ60に基づいて集計データ26を処理する(ステップS15)。
最後に、空間構造集計表示生成部56は、空間構造集計データ処理部55で処理された集計データ26を空間構造に沿って可視化してグラフ表示し(ステップS16)、図25の処理ルーチンを終了する。
【0383】
なお、前述と同様に、集計処理は、電力消費データを収集し保存する処理(ステップS11)と並行して実行してもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0384】
次に、図2、図19および図26とともに、図27を参照しながら、集計処理(ステップS15)について、さらに具体的に説明する。
図27はこの発明の実施の形態4による集計処理手順を示すフローチャートであり、前述(図8、図16、図22参照)と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
【0385】
この発明の実施の形態4における特有の集計処理は、前述(図22)の実施の形態3による集計処理が完了した後に実行される。
図27において、まず、工場または事業体(κ)17を処理対象ノードとし(ステップS61)、再帰処理を行う。
【0386】
設備種別の分類としては、「生産設備」、「照明」、「空調」、「OA機器」、「その他」があり、再帰処理においては、まず、処理対象ノードκの「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションをそれぞれ生成する(ステップS71)。
【0387】
続いて、処理対象ノードκに下位のツリー構造が有るか否か(ステップS42)の判定結果に応じて処理が分岐する。
この場合、処理対象ノードκには下位のツリー構造が有るので、処理対象ノードκの下位ノードのすべて(建屋またはフロア(α)16、(β)16、(γ)16、その他)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0388】
以下、ステップS43において、下位ノードのすべてに対して再帰処理が完了した(すなわち、YES)と判定されれば、処理対象ノードの電力消費データを下位ノードの総和とした後(ステップS77)、下位ノードの有する設備の分類ごとのコレクションにある設備を、処理対象ノードのコレクションに追加し(ステップS72)、設備の分類ごとのコレクションにある設備の電力消費データを集計して(ステップS73)、図27の再帰処理を終了する。
【0389】
ここで、建屋またはフロア(α)16に対する再帰処理について説明する。
まず、建屋またはフロア(α)16の「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションをそれぞれ生成する。
【0390】
続いて、図2、図26から明らかなように、建屋またはフロア(α)16には下位のツリー構造が有るので、建屋またはフロア(α)16の下位ノードのすべて(エリア(1)14、エリア(2)14、その他)に対して再帰処理が行われる。
【0391】
ここで、エリア(1)14に対する再帰処理について説明する。
まず、エリア(1)14の「生産設備」コレクション、「照明」コレクション、「空間」コレクション、「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションをそれぞれ生成する。
【0392】
続いて、図26のように、エリア(1)14には下位のツリー構造が無いので、ステップS42からステップS74Aに移行し、エリア(1)14に配置される設備があるか否か(電力消費設備ノードとの対応関係が設定されているか否か)の判定結果に応じて処理が分岐する。
【0393】
もし、エリア(1)14に配置される電力消費設備ノードが設定されている(ステップS74Aの判定結果がYES)ならば、それら電力消費設備ノードの電力消費データの総和を、エリア(1)14の電力消費データとして採用する(ステップS78)。
【0394】
一方、エリア(1)14に配置される電力系統ノードが設定されていなければ(ステップS74Aの判定結果がNOならば)、エリア(1)14の電力消費データは無いものと確定して(ステップS56)、図27の処理ルーチンを終了する。
【0395】
図2の例では、エリア(1)14に配置されているのは、電力消費設備(A1)13、(B1)13、(X1)13、(Y1)13であるから、これらの電力消費データの総和を、エリア(1)14の電力消費データとして採用する(ステップS78)。
【0396】
また、これら設備の電力消費データを設備種別の分類ごとに集計し(ステップS75、S76)、図27の処理ルーチンを終了する。
この場合、エリア(1)14の電力を消費する設備には、「OA機器」、「その他」に分類されるものが無いので、エリア(1)14の「OA機器」コレクションおよび「その他」コレクションに追加する設備はなく、集計結果も「0」である。
【0397】
一方、図26のように、電力消費設備(A1)13、(B1)13は「生産設備」に分類されるので、電力消費設備(A1)13、(B1)13を、エリア(1)14の「生産設備」コレクションに追加し、エリア(1)14の「生産設備」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、A1およびB1の電力消費データの和)をエリア(1)14の「生産設備」の集計結果とする。
【0398】
また、電力消費設備(X1)13は「照明」に分類されるので、電力消費設備(X1)13をエリア(1)14の「照明」コレクションに追加し、エリア(1)14の「照明」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、X1の電力消費データ)をエリア(1)14の「照明」の集計結果とする。
【0399】
さらに、電力消費設備(Y1)13は「空調」に分類されるので、電力消費設備(Y1)13をエリア(1)14の「空調」コレクションに追加し、エリア(1)14の「空調」コレクションにあるすべての設備の電力消費データの総和(ここでは、Y1の電力消費データ)をエリア(1)14の「空調」の集計結果とする。
以上で、エリア(1)14の再帰処理を完了する。
【0400】
エリア(2)14、エリアその他についても、上記処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
以上により、建屋またはフロア(α)16の下位ノード(エリア(1)14、エリア(2)14、エリアその他)の再帰処理がすべて完了したので、次に、建屋またはフロア(α)16の下位ノードの電力消費量の総和を、建屋またはフロア(α)16の電力消費データとするとともに、建屋またはフロア(α)16の下位ノードの設備種別の分類ごとの集計結果を、建屋またはフロア(α)16について集計する。
【0401】
すなわち、
建屋またはフロア(α)16の「生産設備」のコレクション
=エリア(1)14の「生産設備」のコレクション(ここではA1、B1)
+エリア(2)14の「生産設備」のコレクション(ここではA2、B2)
+エリアその他の「生産設備」のコレクション(ここではコレクションは空)
={A1、B1、A2、B2}
である。
【0402】
このようにして、設備種別の分類である「生産設備」、「照明」、「空調」、「OA機器」、「その他」のそれぞれについて集計し(ここでは、αの「生産設備」の集計結果は、A1の電力消費データと、B1の電力消費データと、A2の電力消費データと、B2の電力消費データとの総和となる)、建屋またはフロア(α)16の再帰処理を完了する。
【0403】
なお、建屋またはフロア(β)16、(γ)16、その他、および、工場または事業体(κ)17、(λ)17の再帰処理についても、以上で説明した内容のいずれかによって行われるものであり、ここでは説明を省略する。
以上により、空間構造の各ノードの電力消費データの集計が可能となる。
【0404】
なお、図27の再帰処理は、前述と同様に、各ノードの電力消費データをどのように算出するかの方式を決定するために行う処理なので、処理時間を短縮(長い処理時間を要する再帰処理を省略)する観点から、運用の最初の1回のみ実行し、その結果として得られた算出方式を記憶しておき(または、実行可能スクリプト形式で出力しておき)、各ノードのデータを算出する必要が生じた際に、その算出方式を参照する(そのスクリプトを実行する)ように構成することが望ましい。
ただし、計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合などのように、再帰処理に要する時間が特に支障がない程度に短ければ、必要なときに毎回再帰処理を行うように構成してもよい。
【0405】
図28はこの発明の実施の形態4によるグラフ表示例を示す説図であり、上記処理から得られた集計データを、空間構造集計表示生成部56(図19参照)により空間構造に沿って可視化した例を示している。
【0406】
図28に示す可視化画面は、前述(図23)の実施の形態3の可視化画面に対して、空間構造の階層構造を表示および操作が可能なツリービューを加えることにより構成される。
図28において、空間構造におけるすべてのノード(分岐点)には、上記集計処理による電力消費データが存在するので、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する(マウスでダブルクリックするなどの)操作によって、当該ノードの電力消費データがグラフ表示される。
【0407】
これにより、前述の実施の形態3と同様の作用効果を奏する。
すなわち、空間構造に沿った電力消費量の実態把握用の可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定と可視化画面の設定とを自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(空間構造と設備種別とその相互関係)を設定することのみにより、空間構造および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化画面を自動的に実現することができる。
【0408】
具体的には、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、空間構造および設備種別に適用することにより、空間構造および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化し、さらに、これらの演算結果をそのまま空間構造および設備種別に沿った表示に対応付けることにより、可視化画面の設定についても自動化することができる。
【0409】
また、この発明の実施の形態4によれば、親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする「積上げグラフ」を表示、または割合表示する、という規則を空間構造および設備種別に適用することにより、空間構造および設備種別に沿った電力消費量の実態把握用の可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化することができる。
【0410】
また、従来装置では空間構造と計測点とを対応付けるのに対し、この発明の実施の形態4では、空間構造と設備とを対応付けているので、既に処理済みの設備に沿った集計データに基づき空間構造に係る処理を行うことにより、設備や電力系統や計測点の対応関係が変化した(たとえば、より詳細に計測するために計測点が増えた、または、途中の電力系統が変更になった)としても、空間構造と設備との対応付けが変わらない限り、空間構造や設備に係る設定はそのままで変更する必要がないという特有の効果がある。
【0411】
さらに、空間構造と設備との対応関係が変化した(たとえば、組織変更などにともなうリレイアウトによって空間構造が変わった)としても、設備や電力系統や計測点の対応付けが変わらない限り、設備や電力系統や計測点に係る設定はそのままで変更する必要がないという効果がある。
【0412】
なお、どのような空間構造記述となるかは、対象アプリケーションに依存するが、設備を空間構造(エリアなど)に対応付ける代わりに、たとえば生産に由来する空間構造(生産ラインなど)に対応付けることにより、生産活動に沿った電力消費量の可視化画面を自動的に得ることができる。
【0413】
たとえば、空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を、図26のように設定する代わりに、図29のように設定することができる。
図29はこの発明の実施の形態4による空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(破線矢印)の他の例を示す説明図であり、空間構造を生産ライン構造にした場合における、空間構造設定データ52と電力消費設備設定データ62との相互関係を示している。
【0414】
図29においては、電力消費設備(X1)13や、生産ライン(A)15、(B)15に対して「照明」を提供するので、適当な比例配分比率を設定することのみにより、生産ライン(A)15、(B)15に沿った電力消費量の可視化画面を自動的に得ることができる。なお、可視化画面の例については図示を省略する。
【0415】
また、従来装置(図40)を活用するための変換処理および適用可能な出力生成については、ここでは説明を省略するが、図12、図13、図18とともに前述した通りであり、この場合も同様の作用効果を奏する。
【0416】
以上のように、この発明の実施の形態4(図1、図2、図19、図25〜図29)に係る電力消費計測データ処理装置1(エネルギー消費計測データ処理装置)は、空間構造に沿った集計データである空間構造集計データ26を生成するための空間構造集計データ処理部55を備えており、空間構造集計データ処理部55は、空間構造設定データ52と、電力消費設備13(エネルギー消費設備)と空間構造設定データ52との対応関係を設定した空間構造電力消費設備対応関係設定データ60(空間構造エネルギー消費設備対応関係設定データ)とから、空間構造集計データ26を生成するか、または、空間構造集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0417】
また、空間構造集計データ処理部55は、電力系統設定データ42(エネルギー系統設定データ)と空間構造設定データ52との対応関係から、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64(エネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データ)を参照して、電力消費設備設定データ62と空間構造設定データ52との対応関係を設定した空間構造電力消費設備対応関係設定データ60を抽出する。
【0418】
また、この発明の実施の形態4(図19、図25〜図29)に係る電力消費計測データ処理装置1は、空間構造集計データ26の表示を行うための空間構造集計表示生成部56を備えており、空間構造集計表示生成部56は、空間構造集計データ26を空間構造設定データ52に沿って表示するか、または、表示を行うための設定を出力する。
または、空間構造集計表示生成部56は、電力消費設備種別ごとの空間構造集計データ26を空間構造設定データ52に沿って階層的に表示するか、または、階層的に表示するための設定を出力する。
【0419】
また、空間構造集計データ処理部55は、空間構造に沿った電力消費設備13の種別ごとの集計データである電力消費設備種別ごとの空間構造集計データ26を生成するか、または、空間構造集計データ26を生成するための設定を出力する。
これにより、前述の実施の形態3と同様の作用効果を奏する。
【0420】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態1〜4(図2〜図29)では、特に考慮しなかったが、図30〜図34のように、電力消費設備13の制御情報を考慮した処理を行うように構成してもよい。
以下、図30〜図34を参照しながら、この発明の実施の形態5について説明する。
【0421】
図30はこの発明の実施の形態5が適用される電力消費計測対象システムの全体構成を示すブロック図であり、前述(図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0422】
図30において、電力消費設備13(A1、B1、A2、B2、X1、Y1、X2、Y2)には、それぞれに対応した制御機器28(A1、B1、A2、B2、X1、Y1、X2、Y2)が設けられている。
各制御機器28(A1、B1、A2、B2、X1、Y1、X2、Y2)は、それぞれに属する電力消費設備13(A1、B1、A2、B2、X1、Y1、X2、Y2)を制御するとともに、各制御データ29を電力消費計測データ処理装置1に入力する。
【0423】
図31はこの発明の実施の形態5に係る電力消費計測データ処理装置1のソフトウェア構成を示すブロック図であり、前述(図3、図19参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0424】
図31において、電力消費計測データ処理装置1は、前述の構成に加えて、生産工程設定部81と、生産工程電力消費設備対応関係設定部83と、電力消費設備制御データ対応関係設定部69と、生産工程集計データ処理部85と、生産工程集計表示生成部86と、を備えている。
【0425】
なお、ここでは、煩雑さを回避するために図示しないが、電力消費計測データ処理装置1は、必要に応じて、前述(図3)と同様の計測機器構成設定部31、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定部33、計測機器構成計測点対応関係設定データ34および計測機器集計表示生成部36を備えているものとする。
【0426】
電力消費計測データ処理装置1内の設定データ保存部22は、前述の各種設定データに加えて、生産工程設定部81からの生産工程設定データ82と、生産工程電力消費設備対応関係設定部83からの生産工程電力消費設備対応関係設定データ84と、電力消費設備制御データ対応関係設定部69からの電力消費設備制御データ対応関係設定データ70と、を保存する。
【0427】
電力消費計測データ処理装置1内の計測データ保存部23は、前述の計測データ25に加えて、制御機器28からの制御データ29を保存する。
また、電力消費計測データ処理装置1内の集計データ保存部24は、前述の各種集計データに加えて、生産工程集計データ処理部85からの生産工程集計データを、集計データ26として保存する。
【0428】
次に、図32〜図34を参照しながら、この発明の実施の形態5(図31、図32)による処理手順、すなわち、各設備の制御情報を加味した可視化画面を自動的に実現するための処理手順について説明する。
【0429】
図32はこの発明の実施の形態5による処理手順(設定段階および運用段階)を示すフローチャートであり、前述(図4、図14、図20、図25参照)と同様の処理については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
この場合、設定段階の後段処理として、ステップS7〜S9が追加されている。
【0430】
図32において、設定段階では、まず、前述と同様に、電力系統設定データ42、計測点設定データ92、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62および電力消費設備電力系統対応関係設定データ64を作成し(ステップS1、S2、S4、S5A、S6A)、また、必要に応じて、計測機器構成設定データ32および計測機器構成計測点対応関係設定データ34を作成する(ステップS3)。
【0431】
続いて、計測点設定データ92に対して、制御に係る計測点を追加する(ステップS7)。
具体例として、電力消費設備13がPLC(Programmable Logic Controller)またはシーケンサ(以下、代表的に「シーケンサ」という)によって制御されている場合、そのシーケンサは、当該設備の「稼動状態」を内部変数として保持しているので、ステップS7においては、その内部変数を設定する。
【0432】
この発明の実施の形態5(図30、図31)に係る電力消費計測データ処理装置1は、上記設定にしたがって、電力消費に係る計測データ25と合わせて設備の稼動状態に係る制御データ29を収集して時系列に保存する。これは、従来の電力消費計測データ処理装置1が備えている収集機能である。
【0433】
また、必要に応じて、ステップS7に続き、計測機器構成設定データ32に対して、電力消費設備13を制御するコントローラである制御機器28を追加するとともに、計測機器構成計測点対応関係設定データ34に対しても追加を行う(ステップS8)。
上述の具体例においては、制御機器28はシーケンサとなる。
【0434】
続いて、電力消費計測データ処理装置1は、上記設定にしたがって、電力消費に係る計測データ25と合わせて、設備の稼動状態に係る制御データ29を収集し時系列に保存する。これは、従来装置(図40)が備えている収集機能である。
【0435】
次に、電力消費設備制御データ対応関係設定データ70を作成する(ステップS9)。
電力消費設備制御データ対応関係設定データ70は、どの電力消費設備の稼動状態を、どの計測点(制御に係る計測点、すなわち、どの制御機器のどの内部変数)が表しているかを、電力消費設備設定データ62のノード(各設備)と、制御に係る計測点との対応付けによって記述するものである。
【0436】
電力消費設備制御データ対応関係設定データ70は、直接記述してもよく、または、図31のように、別途に電力消費設備制御データ対応関係設定部69を設け、電力消費設備制御データ対応関係設定部69により設定してもよい。
【0437】
なお、電力消費設備制御データ対応関係設定部69は、電力消費設備設定部61または計測点設定部91の一部として設けてもよく、または、電力消費設備設定部61や計測点設定部91とは別途に独立して設けてもよく、または、電力消費設備設定部61、計測点設定部91および電力消費設備制御データ対応関係設定部69の設定機能を統合した一括的な設定部として設けてもよい。
【0438】
図33は電力消費設備制御データ対応関係設定データ70(破線矢印)を示す説明図であり、計測機器構成設定データ32と電力消費設備設定データ62(設備種別設定データ)との相互関係を示している。
図33において、左側の計測機器構成設定データ32(ツリー構造)のうちの制御機器ノードの内部変数(制御に係る計測点)と、右側の電力消費設備設定データ62(ツリー構造)とを関連付けている情報(破線矢印)が、電力消費設備制御データ対応関係設定データ70である。
【0439】
以下、図32内の設定段階の最終処理として、上記ステップS1〜S9で作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64および電力消費設備制御データ対応関係設定データ70を、電力消費計測データ処理装置1に書き込む。
【0440】
このとき、前述と同様に、各種設定データは、すべての電力消費計測データ処理装置1に等しく書き込むようにしてもよく、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0441】
次に、図32内の運用段階(設備の制御に係る情報を加味した可視化画面の生成手順)について説明する。
運用段階においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集し保存する(ステップS11)。
ステップS11において、電力消費計測データ処理装置1は、電力消費に係る計測データ25と合わせて設備の稼動状態に係る制御データ29を収集して時系列に保存する。
【0442】
また、必要に応じて、計測機器構成に沿った表示画面を生成し(ステップS12)、電力系統に基づくデータの集計処理(ステップS13)に移行し、各設備の電力消費データを確定する(ステップS17B)。
【0443】
このとき、前述(図19、図20)の実施の形態3による集計処理においては、電力消費設備集計データ処理部65が、電力系統設定データ42と電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した電力消費設備電力系統対応関係設定データ64に基づき、各設備の電力消費データを確定したが、これに加えて、図32においては、電力消費設備設定データ62と制御に係る計測点(制御機器の内部変数)との対応関係を記述した電力消費設備制御データ対応関係設定データ70に基づき、電力消費量を制御情報の値に対応する形で分けて個別に集計する(ステップS17C)。
【0444】
続いて、電力消費設備集計表示生成部66は、ステップS17B(17C)による集計データを、制御情報の値に対応する形で分けて、図34のように、可視化してグラフ表示する(ステップS14B)。
図34は電力消費設備集計表示生成部66による計測データ可視化画面を示す説明図であり、電力消費設備(A1)13に関する制御情報(分割区間ごとの実線レベル参照)を加味した設備種別のグラフ表示例および電力消費割合の表示例を示している。
【0445】
図34のグラフにおいては、電力消費グラフが、制御情報の値に対応する形で分けて表示されている。
制御情報(制御機器の内部変数の値)の「0」は、設備が「非稼動状態」であることを示しており、制御情報の「1」は、設備が「稼動状態」であることを示している。したがって、図34のグラフは、電力消費設備(A1)13について、非稼動状態における電力消費量と稼動状態における電力消費量とを区別可能な形で可視化している。
【0446】
なお、制御機器の内部変数の値が、上記2つの状態(非稼動状態/稼動状態)よりもさらに詳細な状態(たとえば、非稼動状態をさらに詳細化した「立上げ中」や「エラー停止中」、稼動状態をさらに詳細化した「工程1稼働中」、「工程2稼動中」、「アイドル」など)を示す場合には、各状態の値に基づきそのまま集計して可視化することもできる。
【0447】
また、各状態の値を2つの状態(非稼動状態/稼動状態)に分類して割り当ててから、非稼動状態における電力消費量と、稼動状態における電力消費量とをそれぞれ集計し、区別できる形で可視化することもできる。
【0448】
また、他の割り当て方として、純粋に生産活動に使われた電力消費量を正の電力消費量とし、それ以外に使われた電力消費量を負の電力消費量として分類して(たとえば、稼動状態のさらに詳細化したもののうち、「工程1稼動中」、「工程2稼働中」を正の電力消費量として割り当て、それ以外、すなわち「稼動状態のアイドル」および「非稼動状態」を負の電力消費量として)割り当ててから、正の電力消費量と負の電力消費量とをそれぞれ集計し、区別できる形で可視化することもできる。
【0449】
グラフ表示と同様に、割合表示においては、電力消費設備集計データ処理部65は、単位時間(たとえば、1日、1週間、1ヶ月など)当たりの電力消費量を、制御情報の値に対応する形で分けてグラフから積算集計し、電力消費設備集計表示生成部66は、その結果を、図34のように電力消費量の割合として可視化すればよい。
【0450】
このように、設備種別ごとの電力消費量を制御状態によって区別して可視化する画面を実現するために、従来装置(図40)では集計および表示を手動で設定していたが、この発明の実施の形態5(図30〜図34)においては、すべて自動的に抽出設定しているので、電力消費量の実態把握作業を直感的に行うための可視化画面のエンジニアリングに係る手間を削減することができる。
【0451】
また、従来装置(図40)を活用するための変換処理および適用可能な出力生成については、ここでは説明を省略するが、図12、図13、図18とともに前述した通りであり、この場合も同様の作用効果を奏する。
【0452】
以上のように、この発明の実施の形態5(図30〜図34)に係る電力消費計測データ処理装置1は、電力系統11に沿った電力消費設備13を制御する制御機器28を備えており、計測点設定データ92に基づいて、電力消費設備13の制御に係る制御データ29(電力消費設備13の稼動状態)を制御機器28から収集する。
【0453】
電力消費設備集計データ処理部65は、計測データ25および制御データ29と、計測点設定データ92のうち制御に係る計測点と電力消費設備13との対応関係を設定した電力消費設備制御データ対応関係設定データ70(エネルギー消費設備制御データ対応関係設定データ)とから、電力消費設備13について稼動状態ごとの集計データである稼動状態ごとの電力消費設備集計データ26を生成するか、または、電力消費設備集計データ26を生成するための設定を出力する。
電力消費設備集計表示生成部66は、稼動状態ごとの電力消費設備集計データ26を表示するか、または、表示を行うための設定を出力する。
【0454】
また、この発明の実施の形態5(図31)に係る電力消費計測データ処理装置1は、生産工程集計データ処理部85を備えており、生産工程集計データ処理部85は、生産工程設定データ82と、電力消費設備13と生産工程設定データ82との対応関係を設定した生産工程電力消費設備対応関係設定データ84(生産工程エネルギー消費設備対応関係設定データ)とから、生産工程集計データ26を生成するか、または、生産工程集計データ26を生成するための設定を出力する。
これにより、前述と同様に、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理を自動的に抽出して、エンジニアリングの手間を削減することができる。
【0455】
実施の形態6.
なお、上記実施の形態5(図30〜図34)では、生産工程に基づく処理について具体的に言及しなかったが、図35〜図38のように、設備の制御情報を加味した電力消費量の集計データ26を利用して、最終製品が完成するために必要な電力消費に係る可視化画面を自動的に実現してもよい。
以下、図35〜図38を参照しながら、この発明の実施の形態6について説明する。
【0456】
図35はこの発明の実施の形態6による処理手順を示すフローチャートであり、前述(図4、図14、図20、図25、図32参照)と同様の処理については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
この場合、設定段階の最終処理として、ステップS10、S10Aが追加され、運用段階の最終処理として、ステップS18、S19が追加されている。
【0457】
また、図36はこの発明の実施の形態6による電力消費設備制御データ対応関係設定データ70(破線矢印)を示す説明図であり、生産工程設定データ82と電力消費設備設定データ62(設備種別設定データ)との相互関係を示している。
なお、この発明の実施の形態6のソフトウェア構成は図31に示した通りである。
【0458】
以下、図31および図35を参照しながら、設定段階および運用段階の処理手順について説明する。
まず、前述(図32)と同様に、設定段階のステップS1〜S9において、各種設定データ42、92、44、70、32、34を作成する。
【0459】
続いて、生産工程設定データ82を作成する(ステップS10)。
なお、生産工程設定データ82は、直接記述してもよく、図31のように、別途に生産工程設定部81を設け、生産工程設定部81によって設定してもよい。
【0460】
生産工程設定データ82は、製品が完成するために必要な部品および工程を階層的に記述したデータであり、一般的には、M−BOM(Manufacturing BOM、製造BOM、製造部品表)と称されるデータに相当する。
ここで、BOM(Bills of Material)とは、製品が完成するために必要な部品表のことである。
【0461】
M−BOMと対比するために、あえて、E−BOM(Engineering BOM、設計BOM、設計部品表)と称されるものもある。
製品が完成する過程においては、部品と部品とを組み合わせた中間品を経て、中間品を組み合わせて完成品となる場合もあり、E−BOMは、部品や中間品から構成される階層構造となる。
【0462】
M−BOMは、E−BOMに対して、部品や中間品を組み合わせる工程情報を付与したものである。
したがって、M−BOMもまた階層構造となり、特に、完成品/中間品/部品の階層の間に工程が挿入された形の階層構造(すなわち、完成品/中間品/部品と工程とが交互に繰り返される形の階層構造)になる。
【0463】
生産工程設定データ82は、たとえば、図36内の左側のツリー構造で表される。
図36において、生産工程電力消費設備対応関係設定データ84は、左側の生産工程設定データ82のツリー構造のうちの工程ノードと、右側の電力消費設備設定データ62のツリー構造と、を関連付けた情報(破線矢印)として表される。
【0464】
生産工程設定データ82のノードとしては、まず、完成品77と、完成品77の下位ノードとなる工程(B2)80と、工程(B2)80の下位ノードとなる中間品(Σ1)78、(Σ2)78とがあげられる。
また、中間品(Σ1)78の下位ノードとなる工程(B1)80と、工程(B1)80の下位ノードとなる部品(Ω1)79、(Ω2)79と、中間品(Σ2)78の下位ノードとなる工程(A1)80、工程(A2)80と、工程(A1)80の下位ノードとなる部品(Ω3)79と、工程(A2)80の下位ノードとなる部品(Ω4)79とがあげられる。
【0465】
なお、部品や中間品には、別の工場または事業体で製造されるものもあるから、たとえば、部品(Ω1)79に関して、その製造に係る制御情報ごとに区別して集計された結果の値データが提供され利用できる場合には、それを部品(Ω1)79のノードに対して別途個別に設定しておけばよい。
【0466】
この集計技術については後述するが、たとえば、部品(Ω1)79の1個当たりの製造に純粋に要した正の電力消費量および負の電力消費が、集計結果の値データとなる。
ここでは、部品(Ω1)79、(Ω2)79、(Ω3)79、(Ω4)79のそれぞれについて、そのような情報が提供されているとして、それぞれの1個当たりの製造に要した正の電力消費量および負の電力消費に関する情報を、それぞれのノードに設定するものとする。
【0467】
図35に戻り、設定段階の最終処理として、生産工程電力消費設備対応関係設定データ84を作成する(ステップS10A)。
生産工程電力消費設備対応関係設定データ84は、生産工程設定データ82に記述した工程が、どの電力消費設備13によって遂行されているかを、電力消費設備設定データ62のノード(各設備)と、生産工程設定データ82の工程ノードとの対応付けによって記述したデータである。
【0468】
生産工程電力消費設備対応関係設定データ84は、直接記述してもよく、図31のように、別途に生産工程電力消費設備対応関係設定部83を設け、生産工程電力消費設備対応関係設定部83によって設定してもよい。
【0469】
なお、生産工程電力消費設備対応関係設定部83は、電力消費設備設定部61または生産工程設定部81の一部として設けてもよく、または、電力消費設備設定部61や生産工程設定部81とは別途に独立して設けてもよく、または、電力消費設備設定部61、生産工程設定部81および生産工程電力消費設備対応関係設定部83の設定機能を統合した一括的な設定部として設けてもよい。
【0470】
以下、図35内の設定段階の最後に、上記ステップS1〜S10Aで作成された計測点設定データ92、計測機器構成設定データ32、計測機器構成計測点対応関係設定データ34、電力系統設定データ42、電力系統計測点対応関係設定データ44、電力消費設備設定データ62、電力消費設備電力系統対応関係設定データ64、電力消費設備制御データ対応関係設定データ70、生産工程設定データ82および生産工程電力消費設備対応関係設定データ84を、電力消費計測データ処理装置1に書き込む。
【0471】
このとき、前述と同様に、各種設定データは、すべての電力消費計測データ処理装置1に等しく書き込むようにしてもよく、電力消費計測データ処理装置(α)1に該当する部分のみ切り出して書き込むようにしてもよい。
【0472】
次に、図35内の運用段階(製品が完成するために必要な電力消費に係る可視化画面の生成手順)について説明する。
運用段階においては、まず、前述と同様に、電力消費データを収集し保存する(ステップS11)。
【0473】
ステップS11において、電力消費計測データ処理装置1は、電力消費に係る計測データ25と合わせて、設備の稼動状態に係る制御データ29を収集して時系列に保存する。以下、前述(図32)と同様の集計処理(ステップS13)を行うとともに、必要に応じて計測機器構成に沿った表示画面を生成する(ステップS12)。
また、前述と同様に、集計処理(ステップS17B、S17C、S15A)および表示画面生成処理(S14B、S14C、S16A)を行う。
【0474】
続いて、生産工程集計データ処理部85(図31)は、生産工程設定データ82に記述されている階層構造に沿って、電力消費設備設定データ62との対応関係を記述した生産工程電力消費設備対応関係設定データ84に基づき、集計データ26を処理する(ステップS18)。このとき、稼働状態ごとに区別集計が行われる(ステップS18C)。
【0475】
最後に、生産工程集計表示生成部86は、集計データ26を、生産工程設定データ階層構造に沿って可視化してグラフ表示する(ステップS19)。このとき、稼働状態ごとに区別集計が行われる(ステップS19C)。
【0476】
なお、前述と同様に、集計処理は、電力消費データを収集し保存する処理(ステップS11)と並行して実行してもよく、グラフ表示の要求があった際にオンデマンド的に実行してもよい。
【0477】
図37はこの発明の実施の形態6による生産工程に基づくデータの集計処理を示すフローチャートであり、前述と同様の処理については、前述と同一符号が付されている。
図37において、特有の集計処理は、前述の実施の形態5の集計処理が完了した後で実行される。
【0478】
以下、図31および図36とともに、図37を参照しながら、この発明の実施の形態6による集計処理について具体的に説明する。
図37において、まず、生産工程ツリーの最上位(完成品77)を処理対象ノードとして(ステップS81)、再帰処理を行う。
【0479】
再帰処理においては、まず、処理対象ノード(完成品77)に下位のツリー構造が有るか否か(ステップS42)の判定結果に応じて処理が分岐する。
図36から明らかなように、処理対象ノード(完成品77)には、下位のツリー構造が有るので、処理対象ノード(完成品77)の下位ノードのすべて(工程(B2)80)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0480】
この再帰処理(詳細については後述する)の完了後に、ステップS43からステップS82に移行し、処理対象ノードが工程であるか否かが判定される。
このとき、処理対象ノードとなる完成品77は、工程を表すノードではないので、1段階下位のノード(工程(B2)80)の電力消費量と、2段階下位のノード(中間品(Σ1)78、(Σ2)78)との総和を、処理対象ノード(完成品77)の電力消費データとして(ステップS85)、処理対象ノード(完成品77)の再帰処理(図37)を完了する。
【0481】
このとき、1段階下位の工程(B2)80を表すノードの電力消費量は、制御情報との関連をともなう時系列データである。
一方、2段階下位の中間品(Σ1)78、(Σ2)78や、さらに下位の部品(Ω1)79〜(Ω4)79を表すノードの電力消費量は、時系列データではなく、制御情報ごとに区別して集計された結果の値データである。
【0482】
したがって、ステップS85においては、1段階下位の工程を表すノードの制御情報との関連をともなう時系列データを総和したものを処理対象ノード(完成品77)の時系列の電力消費データとするとともに、1段階下位の工程を表すノードの制御情報ごとに区別して集計された結果の値データと、2段階下位の中間品や部品を表すノードの制御情報ごとに区別して集計された結果の値データとの総和を、処理対象ノード(完成品77)の集計結果値の電力消費データとする。
【0483】
次に、工程(B2)80に対する再帰処理について説明する。
まず、工程(B2)80には下位のツリー構造が有るので、前述と同様に、工程(B2)80の下位ノードのすべて(中間品(Σ1)78、(Σ2)78)に対して再帰処理が行われる(ステップS43、S44)。
【0484】
これらの再帰処理がすべて完了した後、工程(B2)80は工程を表すノードなので、ステップS82からステップS83に移行し、処理対象ノードと消費設備ノードとの関係設定があるか否かが判定される。
ステップS83において、工程(B2)80に対応する電力消費設備の設定がある(すなわち、YES)と判定されれば、設定された電力消費設備の電力消費データを工程(B2)80の電力消費データとして(ステップS84)、工程(B2)80の再帰処理(図37)を完了する。
【0485】
一方、ステップS83において、工程(B2)80に対応する電力消費設備の設定がない(すなわち、NO)と判定されれば、工程(B2)80の電力消費データは無しと確定して(ステップS56A)、工程(B2)80の再帰処理(図37)を完了する。
図30の構成例では、工程(B2)80は、電力消費設備(B2)13との対応関係の設定があるので、電力消費設備(B2)13の電力消費データを、そのまま工程(B2)80の電力消費データとすればよい。
【0486】
次に、中間品(Σ1)78に対する再帰処理について説明する。
まず、中間品(Σ1)78には下位のツリー構造が有るので、下位ノードのすべて(工程(B1)80)に対して再起処理を行う。
この再起処理の完了後に、ステップS43からステップS82に移行し、処理対象ノードが工程であるか否かが判定される。
【0487】
中間品(Σ1)78は工程を表すノードではないので、ステップS82からステップS85に移行し、1段階下位のノード(すなわち、工程(B1)80)の電力消費量と、2段階下位のノード(部品(Ω1)79、(Ω2)79)との総和を、中間品(Σ1)78の電力消費データとして、中間品(Σ1)78の再帰処理(図37)を完了する。
なお、工程を表すノードではない場合の総和については、前述の通りである。
【0488】
次に、工程(B1)80に対する再帰処理について説明する。
まず、工程(B1)80には下位のツリー構造が有るので、工程(B1)80の下位ノードのすべて(部品(Ω1)79、(Ω2)79)に対して再帰処理が行われる。
これら再帰処理がすべて完了した後、工程(B1)80は工程を表すノードなので、ステップS82からステップS83に移行し、消費設備ノードとの関係設定があるか否かが判定される。
【0489】
もし、工程(B1)80に対応する電力消費設備の設定があれば、設定された電力消費設備の電力消費データを、工程(B1)80の電力消費データとして(ステップS84)、工程(B1)80の再帰処理(図37)を完了する。
【0490】
一方、工程(B1)80に対応する電力消費設備の設定がなければ、工程(B1)80の電力消費データは無しと確定して(ステップS56A)、工程(B1)80の再帰処理(図37)を完了する。
図30の構成例では、工程(B1)80は、電力消費設備(B1)13との対応関係の設定があるので、電力消費設備(B1)13の電力消費設備の電力消費データを、そのまま工程(B1)80の電力消費データとすればよい。
【0491】
次に、最下位ノードの部品(Ω1)79に対する再帰処理について説明する。
まず、部品(Ω1)79には下位のツリー構造が無いので、ステップS42からステップS86に移行し、処理対象ノードが工程か否かが判定される。
【0492】
ステップS86において、部品(Ω1)79が工程を表すノードである(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS88に移行し、処理対象ノードと消費設備ノードとの関係設定があるか否かが判定される。
【0493】
ステップS88において、部品(Ω1)79に対応する電力消費設備の設定がある(すなわち、YES)と判定されれば、その電力消費設備の電力消費データを、部品(Ω1)79の電力消費データとして(ステップS89)、部品(Ω1)79の再帰処理(図37)を完了する。
【0494】
一方、ステップS88において、部品(Ω1)79に対応する電力消費設備の設定がない(すなわち、NO)と判定されれば、部品(Ω1)79の電力消費データは無しと確定して(ステップS56B)、部品(Ω1)79の再帰処理を完了する。
【0495】
ただし、部品(Ω1)79は工程を表すノードではないので、前述のステップS86からステップS87に移行する。
すなわち、部品(Ω1)79のノードに対して、別途個別に、制御情報ごとに区別して集計された結果の値データが設定されている場合には、そのデータを部品(Ω1)79の電力消費データとして採用し、値データが設定されていなければ、Ω1の電力消費データは無しと確定して、部品(Ω1)79の再帰処理(図37)を完了する。
【0496】
なお、部品(Ω2)79、中間品(Σ2)78、工程(A1)80、部品(Ω3)79、工程(A2)80、部品(Ω4)79の各ノードに対する再帰処理については、上記処理内容のいずれかと同一なので、ここでは説明を省略する。
【0497】
以上の再帰処理により、生産工程設定データ階層構造の各ノードの電力消費データの集計が可能となる。
なお、前述と同様に、上記再帰処理は、各ノードの電力消費データを、どのように算出するかの方式を決定するために行う処理なので、処理時間を短縮(長い処理時間を要する再帰処理を省略)する観点から、運用段階の最初の1回のみ実行し、その結果として得られた算出方式を記憶(または、実行可能スクリプト形式で出力)しておき、各ノードのデータを算出する必要があった際に、その算出方式を参照(そのスクリプトを実行)するという構成が望ましい。
ただし、計算処理能力の高いハードウェアを使用している場合など、再帰処理に要する時間が特に支障がない程度に短ければ、必要なときに毎回再帰処理を行うような構成であってもよい。
【0498】
以下、生産工程集計表示生成部86は、以上のように処理された集計データ26を、生産工程設定データ階層構造に沿って可視化してグラフ表示する。
図38はこの発明の実施の形態6による可視化グラフ表示例を示す説明図であり、計測データ可視化画面を生産工程グラフ表示した場合の具体例を示している。
【0499】
図38に示す可視化画面は、前述(図34)の実施の形態5の可視化画面に対して、生産工程設定データ階層構造を表示および操作が可能なツリービューを加えることにより構成される。
図38において、生産工程設定データ階層構造におけるノードで、上述の集計処理により電力消費データが存在するノードは、ツリービュー上のグラフ表示したいノードを指定する(マウスでダブルクリックするなどの)操作によって、当該ノードの電力消費データがグラフ表示される。
【0500】
なお、部品(Ω1〜Ω4)を表すノードには、制御情報ごとに区別して集計された結果の値データのみが存在し得るので、割合表示の可視化画面を表示する。
また、工程(A1、A2、B1、B2)を表すノードには、その工程と対応関係のある電力消費設備13の電力消費データのみが存在し得るので、その電力消費データのグラフと割合表示の可視化画面を表示する。
【0501】
中間品(Σ1、Σ2)や完成品を表すノードには、1段階下位の工程を表すノードの制御情報との関連をともなう時系列データを総和した時系列の電力消費データと、1段階下位の工程を表すノードおよび2段階下位の中間品や部品を表すノードの制御情報ごとに区別して集計された結果の値データを総和した集計結果値の電力消費データと、が存在し得るので、その電力消費データのグラフと割合表示の可視化画面を表示する。
【0502】
上記のような製品を完成させるために必要な電力消費に係る可視化画面を実現するために、従来装置(図40)では、集計および表示を手動で設定していたが、この発明の実施の形態6によれば、集計および表示を自動的に抽出することができるので、製品完成に要する電力消費量の実態を直感的に把握可能な可視化画面のエンジニアリングに係る手間を削減することができる。
【0503】
すなわち、この発明の実施の形態6においては、製品が完成するために必要な電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定と可視化画面の設定とを自動的に処理するために必要な設定情報を整理し、その設定情報(生産工程階層構造と設備種別とその相互関係)を設定するのみで、生産工程階層構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化画面を自動的に実現する。
【0504】
具体的には、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、生産工程階層構造(M−BOM)に適用することにより、生産工程階層構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化に必要となるすべての仮想計測点に係る演算設定を自動化することができる。また、これらの演算結果は、そのまま生産工程階層構造に沿った表示に対応付けられることから、可視化画面の設定についても自動化することができる。
【0505】
また、「親ノードのデータ=子ノードのデータの総和」という規則を、生産工程階層構造(M−BOM)に適用する際には、生産工程階層構造(M−BOM)が、上述したような空間構造といった階層構造とは異なり、完成品/中間品/部品と工程とが交互に繰り返される階層構造であることに対して、処理方法を上述のように工夫している。
【0506】
さらに、親ノードが有する子ノードをグラフ要素とする「積上げグラフ」を表示し、また割合表示するという規則を、生産工程階層構造に適用することにより、生産工程階層構造に沿った電力消費量の実態把握のための可視化におけるドリルダウンや割合表示に係る設定を自動化することができる。
【0507】
また、従来装置(図40)を活用するための変換処理および適用可能な出力生成については、ここでは説明を省略するが、図12、図13、図18とともに前述した通りであり、この場合も同様の作用効果を奏する。
【0508】
以上のように、この発明の実施の形態6(図31、図35〜図38)に係る電力消費計測データ処理装置1は、生産工程集計データ処理部85を備えており、生産工程集計データ処理部85は、生産工程設定データ82と、電力消費設備13と生産工程設定データ82との対応関係を設定した生産工程電力消費設備対応関係設定データ84(生産工程エネルギー消費設備対応関係設定データ)とから、生産工程集計データ26を生成するか、または、生産工程集計データ26を生成するための設定を出力する。
【0509】
また、この発明の実施の形態6に係る電力消費計測データ処理装置1は、生産工程集計表示生成部86を備えており、生産工程集計表示生成部86は、生産工程集計データ26を生産工程に沿って階層的に表示するか、または、階層的に表示するための設定を出力する。
これにより、前述と同様に、分かり易い可視化画面の生成および可視化画面のための集計処理を自動的に抽出して、エンジニアリングの手間を削減することができる。
【符号の説明】
【0510】
1 電力消費計測データ処理装置、2 マイクロプロセッサ、3 データ保存部、4 通信処理部、5 信号入力部、6 信号出力部、7 表示処理部、8 操作入力部、9 表示装置、11 電力系統、12 電力計測器、13 電力消費設備、14 エリア、15 生産ライン、16 建屋またはフロア、17 工場または事業体、21 計測処理部、22 設定データ保存部、23 計測データ保存部、24 集計データ保存部、25 計測データ、26 集計データ(電力系統集計データ、空間構造集計データ、電力消費設備集計データ、生産工程集計データ)、28 制御機器、29 制御データ、31 計測機器構成設定部、32 計測機器構成設定データ、33 計測機器構成計測点対応関係設定部、34 計測機器構成計測点対応関係設定データ、36 計測機器集計表示生成部、37 計測機器構成設定データ変換部、38 計測機器構成計測点対応関係設定データ変換部、41 電力系統設定部、42 電力系統設定データ、43 電力系統計測点対応関係設定部、44 電力系統計測点対応関係設定データ、45 電力系統集計データ処理部、46 電力系統集計表示生成部、47 電力系統設定データ変換部、48 電力系統計測点対応関係設定データ変換部、51 空間構造設定部、52 空間構造設定データ、53 空間構造電力系統対応関係設定部、54 空間構造電力系統対応関係設定データ、55 空間構造集計データ処理部、56 空間構造集計表示生成部、57 空間構造設定データ変換部、58 空間構造電力系統対応関係設定データ変換部、59 空間構造電力消費設備対応関係設定部、60 空間構造電力消費設備対応関係設定データ、61 電力消費設備設定部、62 電力消費設備設定データ、63 電力消費設備電力系統対応関係設定部、64 電力消費設備電力系統対応関係設定データ、65 電力消費設備集計データ処理部、66 電力消費設備集計表示生成部、69 電力消費設備制御データ対応関係設定部、70 電力消費設備制御データ対応関係設定データ、77 完成品、78 中間品、79 部品、80 工程、81 生産工程設定部、82 生産工程設定データ、83 生産工程電力消費設備対応関係設定部、84 生産工程電力消費設備対応関係設定データ、85 生産工程集計データ処理部、86 生産工程集計表示生成部、91 計測点設定部、92 計測点設定データ、93 計測データ集計処理部、94 計測データ表示生成部、95 仮想計測点設定部、96 仮想計測点設定データ、97 仮想計測点集計データ処理部、101 検索キー設定部、102 検索キー設定データ、103 検索キー計測点対応関係設定部、104 検索キー計測点対応関係設定データ、105 検索キー表示生成部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測点設定データに基づいて、エネルギー消費に係る計測データを収集するとともに、前記計測データを集計して処理するエネルギー消費計測データ処理装置であって、
エネルギー系統に沿った集計データであるエネルギー系統集計データを処理するエネルギー系統集計データ処理部を備え、
前記エネルギー系統集計データ処理部は、
エネルギー系統設定データと、前記エネルギー系統設定データと前記計測点設定データとの対応関係を設定したエネルギー系統計測点対応関係設定データとから、
前記エネルギー系統集計データを生成するか、または、前記エネルギー系統集計データを生成するための設定を出力することを特徴とするエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項2】
前記エネルギー系統集計データ処理部は、前記エネルギー系統の分岐点が網羅的に計測されている箇所については、当該箇所にエネルギー伝送損失を加えたエネルギー系統集計データを生成するか、または、前記エネルギー系統集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項3】
前記エネルギー系統集計データの表示を行うためのエネルギー系統集計表示生成部を備え、
前記エネルギー系統集計表示生成部は、前記エネルギー系統集計データを前記エネルギー系統設定データに沿って階層的に表示するか、または前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項4】
前記計測データの表示を行うための計測機器集計表示生成部を備え、
前記計測機器集計表示生成部は、
計測機器構成設定データと、前記計測点設定データと前記計測機器構成設定データとの対応関係を設定した計測機器構成計測点対応関係設定データとから、
前記計測データを前記計測機器構成設定データに沿って表示するか、または、前記表示を行うための設定を出力することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項5】
空間構造に沿った集計データである空間構造集計データを生成するための空間構造集計データ処理部を備え、
前記空間構造集計データ処理部は、
前記空間構造設定データと、前記エネルギー系統設定データと前記空間構造設定データとの対応関係を設定した空間構造エネルギー系統対応関係設定データとから、
前記空間構造集計データを生成するか、または、前記空間構造集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項6】
前記空間構造集計データの表示を行うための空間構造集計表示生成部を備え、
前記空間構造集計表示生成部は、
前記空間構造集計データを前記空間構造設定データに沿って階層的に表示するか、または、前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする請求項5に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項7】
エネルギー消費設備設定データを処理するエネルギー消費設備集計データ処理部を備え、
前記エネルギー消費設備集計データ処理部は、
前記エネルギー消費設備設定データと、前記エネルギー系統設定データと前記エネルギー消費設備設定データとの対応関係を設定したエネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データとから、
エネルギー消費設備ごとの集計データであるエネルギー消費設備集計データを生成するか、または、前記エネルギー消費設備集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項8】
前記エネルギー消費設備集計データの表示を行うためのエネルギー消費設備集計表示生成部を備え、
前記エネルギー消費設備集計表示生成部は、
前記エネルギー消費設備集計データを前記エネルギー消費設備設定データに沿って表示するか、または、前記表示を行うための設定を出力することを特徴とする請求項7に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項9】
前記エネルギー系統集計データ処理部は、
前記エネルギー消費設備集計データと、前記エネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データとから、
前記エネルギー系統に沿ったエネルギー消費設備の種別ごとの集計データであるエネルギー消費設備種別ごとのエネルギー系統集計データを生成するか、または、前記エネルギー系統集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項10】
前記エネルギー系統集計表示生成部は、
前記エネルギー消費設備種別ごとのエネルギー系統集計データを、前記エネルギー系統設定データに沿って階層的に表示するか、または、前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする関連する請求項9に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項11】
空間構造に沿った集計データである空間構造集計データを生成するための空間構造集計データ処理部を備え、
前記空間構造集計データ処理部は、
前記空間構造設定データと、前記エネルギー消費設備と前記空間構造設定データとの対応関係を設定した空間構造エネルギー消費設備対応関係設定データとから、
前記空間構造集計データを生成するか、または、前記空間構造集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項12】
前記空間構造集計データ処理部は、
前記エネルギー系統設定データと前記空間構造設定データとの対応関係から、前記エネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データを参照して、前記エネルギー消費設備設定データと前記空間構造設定データとの対応関係を設定した空間構造エネルギー消費設備対応関係設定データを抽出することを特徴とする請求項11に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項13】
前記空間構造集計データの表示を行うための空間構造集計表示生成部を備え、
前記空間構造集計表示生成部は、
前記空間構造集計データを前記空間構造設定データに沿って表示するか、または、前記表示を行うための設定を出力することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項14】
前記空間構造集計データ処理部は、
空間構造に沿ったエネルギー消費設備の種別ごとの集計データであるエネルギー消費設備種別ごとの空間構造集計データを生成するか、または、前記空間構造集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項15】
前記空間構造集計データの表示を行うための空間構造集計表示生成部を備え、
前記空間構造集計表示生成部は、
前記エネルギー消費設備種別ごとの空間構造集計データを前記空間構造設定データに沿って階層的に表示するか、または、前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする請求項14に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項16】
前記エネルギー系統に沿ったエネルギー消費設備を制御する制御機器を備え、
前記計測点設定データに基づいて、前記エネルギー消費設備の制御に係る制御データを前記制御機器から収集するエネルギー消費計測データ処理装置であって、
前記制御データは、前記エネルギー消費設備の稼動状態であり、
前記エネルギー消費設備集計データ処理部は、
前記計測データおよび前記制御データと、
前記計測点設定データのうち制御に係る計測点と前記エネルギー消費設備との対応関係を設定したエネルギー消費設備制御データ対応関係設定データとから、
前記エネルギー消費設備について稼動状態ごとの集計データである稼動状態ごとのエネルギー消費設備集計データを生成するか、または、前記エネルギー消費設備集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項17】
前記エネルギー消費設備集計表示生成部は、前記稼動状態ごとのエネルギー消費設備集計データを表示するか、または、前記表示を行うための設定を出力することを特徴とする請求項16に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項18】
生産工程集計データ処理部を備え、
前記生産工程集計データ処理部は、
生産工程設定データと、前記エネルギー消費設備と前記生産工程設定データとの対応関係を設定した生産工程エネルギー消費設備対応関係設定データとから、
生産工程集計データを生成するか、または、前記生産工程集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項16または請求項17に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項19】
生産工程集計表示生成部を備え、
前記生産工程集計表示生成部は、
前記生産工程集計データを生産工程に沿って階層的に表示するか、または、前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする請求項18に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項20】
前記エネルギー消費は、電力消費であることを特徴とする請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項1】
計測点設定データに基づいて、エネルギー消費に係る計測データを収集するとともに、前記計測データを集計して処理するエネルギー消費計測データ処理装置であって、
エネルギー系統に沿った集計データであるエネルギー系統集計データを処理するエネルギー系統集計データ処理部を備え、
前記エネルギー系統集計データ処理部は、
エネルギー系統設定データと、前記エネルギー系統設定データと前記計測点設定データとの対応関係を設定したエネルギー系統計測点対応関係設定データとから、
前記エネルギー系統集計データを生成するか、または、前記エネルギー系統集計データを生成するための設定を出力することを特徴とするエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項2】
前記エネルギー系統集計データ処理部は、前記エネルギー系統の分岐点が網羅的に計測されている箇所については、当該箇所にエネルギー伝送損失を加えたエネルギー系統集計データを生成するか、または、前記エネルギー系統集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項3】
前記エネルギー系統集計データの表示を行うためのエネルギー系統集計表示生成部を備え、
前記エネルギー系統集計表示生成部は、前記エネルギー系統集計データを前記エネルギー系統設定データに沿って階層的に表示するか、または前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項4】
前記計測データの表示を行うための計測機器集計表示生成部を備え、
前記計測機器集計表示生成部は、
計測機器構成設定データと、前記計測点設定データと前記計測機器構成設定データとの対応関係を設定した計測機器構成計測点対応関係設定データとから、
前記計測データを前記計測機器構成設定データに沿って表示するか、または、前記表示を行うための設定を出力することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項5】
空間構造に沿った集計データである空間構造集計データを生成するための空間構造集計データ処理部を備え、
前記空間構造集計データ処理部は、
前記空間構造設定データと、前記エネルギー系統設定データと前記空間構造設定データとの対応関係を設定した空間構造エネルギー系統対応関係設定データとから、
前記空間構造集計データを生成するか、または、前記空間構造集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項6】
前記空間構造集計データの表示を行うための空間構造集計表示生成部を備え、
前記空間構造集計表示生成部は、
前記空間構造集計データを前記空間構造設定データに沿って階層的に表示するか、または、前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする請求項5に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項7】
エネルギー消費設備設定データを処理するエネルギー消費設備集計データ処理部を備え、
前記エネルギー消費設備集計データ処理部は、
前記エネルギー消費設備設定データと、前記エネルギー系統設定データと前記エネルギー消費設備設定データとの対応関係を設定したエネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データとから、
エネルギー消費設備ごとの集計データであるエネルギー消費設備集計データを生成するか、または、前記エネルギー消費設備集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項8】
前記エネルギー消費設備集計データの表示を行うためのエネルギー消費設備集計表示生成部を備え、
前記エネルギー消費設備集計表示生成部は、
前記エネルギー消費設備集計データを前記エネルギー消費設備設定データに沿って表示するか、または、前記表示を行うための設定を出力することを特徴とする請求項7に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項9】
前記エネルギー系統集計データ処理部は、
前記エネルギー消費設備集計データと、前記エネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データとから、
前記エネルギー系統に沿ったエネルギー消費設備の種別ごとの集計データであるエネルギー消費設備種別ごとのエネルギー系統集計データを生成するか、または、前記エネルギー系統集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項10】
前記エネルギー系統集計表示生成部は、
前記エネルギー消費設備種別ごとのエネルギー系統集計データを、前記エネルギー系統設定データに沿って階層的に表示するか、または、前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする関連する請求項9に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項11】
空間構造に沿った集計データである空間構造集計データを生成するための空間構造集計データ処理部を備え、
前記空間構造集計データ処理部は、
前記空間構造設定データと、前記エネルギー消費設備と前記空間構造設定データとの対応関係を設定した空間構造エネルギー消費設備対応関係設定データとから、
前記空間構造集計データを生成するか、または、前記空間構造集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項12】
前記空間構造集計データ処理部は、
前記エネルギー系統設定データと前記空間構造設定データとの対応関係から、前記エネルギー消費設備エネルギー系統対応関係設定データを参照して、前記エネルギー消費設備設定データと前記空間構造設定データとの対応関係を設定した空間構造エネルギー消費設備対応関係設定データを抽出することを特徴とする請求項11に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項13】
前記空間構造集計データの表示を行うための空間構造集計表示生成部を備え、
前記空間構造集計表示生成部は、
前記空間構造集計データを前記空間構造設定データに沿って表示するか、または、前記表示を行うための設定を出力することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項14】
前記空間構造集計データ処理部は、
空間構造に沿ったエネルギー消費設備の種別ごとの集計データであるエネルギー消費設備種別ごとの空間構造集計データを生成するか、または、前記空間構造集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項15】
前記空間構造集計データの表示を行うための空間構造集計表示生成部を備え、
前記空間構造集計表示生成部は、
前記エネルギー消費設備種別ごとの空間構造集計データを前記空間構造設定データに沿って階層的に表示するか、または、前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする請求項14に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項16】
前記エネルギー系統に沿ったエネルギー消費設備を制御する制御機器を備え、
前記計測点設定データに基づいて、前記エネルギー消費設備の制御に係る制御データを前記制御機器から収集するエネルギー消費計測データ処理装置であって、
前記制御データは、前記エネルギー消費設備の稼動状態であり、
前記エネルギー消費設備集計データ処理部は、
前記計測データおよび前記制御データと、
前記計測点設定データのうち制御に係る計測点と前記エネルギー消費設備との対応関係を設定したエネルギー消費設備制御データ対応関係設定データとから、
前記エネルギー消費設備について稼動状態ごとの集計データである稼動状態ごとのエネルギー消費設備集計データを生成するか、または、前記エネルギー消費設備集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項17】
前記エネルギー消費設備集計表示生成部は、前記稼動状態ごとのエネルギー消費設備集計データを表示するか、または、前記表示を行うための設定を出力することを特徴とする請求項16に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項18】
生産工程集計データ処理部を備え、
前記生産工程集計データ処理部は、
生産工程設定データと、前記エネルギー消費設備と前記生産工程設定データとの対応関係を設定した生産工程エネルギー消費設備対応関係設定データとから、
生産工程集計データを生成するか、または、前記生産工程集計データを生成するための設定を出力することを特徴とする請求項16または請求項17に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項19】
生産工程集計表示生成部を備え、
前記生産工程集計表示生成部は、
前記生産工程集計データを生産工程に沿って階層的に表示するか、または、前記階層的に表示するための設定を出力することを特徴とする請求項18に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【請求項20】
前記エネルギー消費は、電力消費であることを特徴とする請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載のエネルギー消費計測データ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公開番号】特開2013−44589(P2013−44589A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181268(P2011−181268)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人科学技術振興機構「多次元センサー情報に基づく工場・ビル分野の環境負荷低減戦略に関する研究」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人科学技術振興機構「多次元センサー情報に基づく工場・ビル分野の環境負荷低減戦略に関する研究」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]