説明

エラストマー複合物およびその製造方法

エラストマー複合物は、フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスを含むラテックスブレンドならびに微粒子スラリーの混合物の凝固した製品を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマー複合物を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業的に意義のある多数の製品は、微粒子フィラーが、種々の合成エラストマー、天然ゴムまたはエラストマーブレンドのいずれかの中に分散したエラストマー組成物でできている。カーボンブラックは、例えば、天然ゴムおよび他のエラストマー中で補強剤として広く使用される。フィラー、エラストマーおよびエキステンダー油等の種々の任意選択的添加物の前混合物であるマスターバッチを製造するのが普通である。カーボンブラックマスターバッチは、単位重量当たりの表面積および構造の両者、つまり1次カーボンブラック粒子の相互への融着によって形成されたカーボンブラックの凝集体のサイズおよび複雑さの性状において変動する異なるグレードの市販されているカーボンブラックを用いて調製される。商業的意義を有する多数の製品は、天然ゴムおよび他のエラストマー中に分散したカーボンブラック微粒子フィラーそうしたエラストマー組成物でできている。そうした製品は、例えば、異なるエラストマー組成物が、トレッド部分、側壁、ワイヤースキム(skim)および枠のために使用できる乗用車のタイヤを含む。他の製品は、例えば、エンジンマウントブッシング、コンベヤーベルト、フロントガラスワイパーおよびその同類のものを含む。
【0003】
カーボンブラックマスターバッチを製造するための種々の方法がある。米国特許第6、841、606号明細書(「’606特許」)に開示された1つの方法では、カーボンブラックスラリーおよびエラストマーラテックスは、バット中で混合され、そして次に酸等の凝固剤の添加によって凝固する。日本国特許出願公開第2005−220187号明細書に開示されたこの方法の変形では、天然ゴムラテックスは、(約24%のゴムから)20%のゴム含有量に希釈され、そしてラテックスの非ゴム成分へのアミド結合を開裂させるために、プロテアーゼと混合される。この開裂は、最終のゴム製品の性能を改善すると考えられている。日本国特許出願公開第2006−152117号明細書中に開示された別の変化形では、希釈されたラテックスおよびカーボンブラックスラリーを用いて調製されたマスターバッチは、改質剤ポリブタジエンおよびN、N’−ジフェニルメタンビスマレインイミドと乾燥混合されて、ゴムから製造されたタイヤにおいて、改善された弾性と高められた発熱性との間のバランスを改善する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
米国特許第6、048、923号明細書(参照によりその内容を取り込む)に開示された別の方法では、エラストマーラテックスを含む第1の流体の連続的な流れは、凝固ゴム反応器(coagulum reactor)の混合領域に供給される。カーボンブラックスラリーを含む第2の流体の連続的な流れは、加圧下でこの混合領域に供給されて、エラストマーラテックスとの混合物を生成する。2種の流体の混合は、凝固ゴム反応器の終端から放出される前に、エラストマーラテックスとカーボンブラックとを実質的に完全に凝固させるのに充分なエネルギーを有する。米国特許第6、929、783号明細書に開示されているように、凝固ゴムは、次に脱水押出機(dewatering extruder)に供給できる。
【0005】
高配合量カーボンブラックでは、凝固ゴムは、カーボンブラックエラストマー複合物の連続的な流れとしてではないが、実質的に凝固ゴムを含まない水相によって運ばれた複数の離散したカーボンブラックエラストマー複合物の領域として、凝固ゴム反応器から現れる。後者の材料は、脱水押出機を容易に通らず、そしてせん断下で流れることができる(したがって、脱水押出機内で逆流する場合がある)ので、装置を詰まらせる場合がある。高体積分率のカーボンブラックを含む凝固ゴムの連続的な流れを用意することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの形態では、本発明は、エラストマー複合物、例えば、エラストマーマトリックス中に分散した粒子を含む複合物を製造する方法である。この方法は、微粒子スラリーを用意する工程、フィールドラテックス(field latex)とラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスを含むか、フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスから本質的に成るか、またはフィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスから成るラテックスブレンドを用意する工程、および混合物が凝固する条件下で混合物を生成させるために、微粒子スラリーとラテックスブレンドとを混合する工程を含む。
【0007】
ラテックスブレンドは、スキムラテックスに対して、体積で約20:1〜約1:1の比でフィールドラテックスを含むことができる。ラテックスブレンドは、スキムラテックスに対して、体積で約20:1〜約1:1の比でラテックス濃縮物を含むことができる。ラテックスブレンドは、スキムラテックスと組み合わせて、フィールドラテックスおよびラテックス濃縮物との両方を含むことができる。ラテックスブレンドは、さらに水を含むことができる。ラテックスブレンドの乾燥ゴム含有量は、少なくとも15wt%であることができる。混合工程は、ラテックスブレンドとの混合物を生成させるために、凝固ゴム反応器の混合領域に、加圧下でカーボンブラックスラリーの連続的な流れを供給することを含むことができ、カーボンブラックは、ラテックスブレンド内でラテックスを凝固させるのに効果的であり、そして混合領域内でのラテックスブレンドおよびカーボンブラックスラリーの供給は、凝固ゴム反応器中でカーボンブラックとラテックスとを実質的に完全に凝固させるのに、充分なエネルギーを有する。
【0008】
別の形態では、本発明は、フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスを含むか、フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスから本質的に成るか、またはフィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスから成るラテックスブレンドならびに微粒子スラリーの混合物の凝固した製品を含むエラストマー複合物である。ラテックスブレンドは、水をさらに含むことができる。ラテックスブレンドの乾燥ゴム含有量は、少なくとも15wt%であることができる。ラテックスブレンドは、スキムラテックスに対して、体積で、約20:1〜約1:1の比で、フィールドラテックスを含むことができる。ラテックスブレンドは、スキムラテックスに対して、体積で、約20:1〜約1:2の比で、ラテックス濃縮物を含むことができる。ラテックスブレンドは、スキムラテックスと組み合わせて、フィールドラテックスおよびラテックス濃縮物の両方を含むことができる。混合する工程は、ラテックスブレンドとの混合物を生成させるために、凝固ゴム反応器の混合領域に、加圧下でカーボンブラックスラリーの連続的な流れを供給することを含むことができ、このカーボンブラックは、ラテックスを凝固させるのに効果的であり、そして混合領域内でのラテックスブレンドおよびカーボンブラックスラリーの供給は、凝固ゴム反応器中でカーボンブラックと、ラテックスとを実質的に完全に凝固させるのに、充分エネルギーを有する。
【0009】
別の形態では、本発明は、エラストマー複合物である。この複合物は、粒状スラリーを用意する工程、フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスを含むか、フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスから本質的に成るか、またはフィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスから成るラテックスブレンドを用意する工程、およびラテックスブレンドのラテックス内容物が凝固する条件下で、微粒子スラリーとラテックスブレンドとを混合する工程を含む方法によって製造される。ラテックスブレンドは、水を含むことができる。ラテックスブレンドの乾燥ゴム含有量は、少なくとも15wt%である。ラテックスブレンドは、スキムラテックスに対して、体積で、約20:1〜約1:1の比で、フィールドラテックスを含むことができる。ラテックスブレンドは、スキムラテックスに対して、体積で、約20:1〜約1:2の比でラテックス濃縮物を含むことができる。ラテックスブレンドは、スキムラテックスと組み合わせて、フィールドラテックスおよびラテックス濃縮物の両方を含むことができる。混合する工程は、ラテックスブレンドとの混合物を生成させるために、凝固ゴム反応器の混合領域に、加圧下でカーボンブラックスラリーの連続的な流れを供給する工程を含むことができ、カーボンブラックは、ラテックスブレンド内で、ラテックスを凝固させるのに効果的であり、そして混合領域内でのラテックスブレンドおよびカーボンブラックスラリーの供給は、凝固ゴム反応器中でカーボンブラックと、ラテックスとを実質的に完全に凝固させるのに、充分エネルギーを有する。
【0010】
別の形態では、本発明は、少なくとも70phrのカーボンブラック、例えば、N234カーボンブラックを含み、そして少なくとも4.5のT300/T100の比を示す、加硫処理したエラストマー複合物である。
【0011】
当然のことながら、先の一般的な記載および以下の詳細な記載の両者は、例示的かつ説明的だけであり、そして請求項に記載のように、本発明の説明をさらに提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、以下の図を参照して記載される。
【図1】図1は、カーボンブラック配合量(白抜き△、点線スキムラテックスを有する湿式マスターバッチ;黒塗り正方形、実線スキムラテックスなしで湿式マスターバッチ)に関して種々のゴム化合物の機械的性能の詳細を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一態様では、エラストマー複合物は、フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスを含むか、スキムラテックス、およびフィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスから本質的に成るか、またはフィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスから成るラテックスブレンドならびに微粒子スラリーを用意することによって調製される。スラリーおよびラテックスブレンドは、混合されて、混合物が凝固してマスターバッチクラム(crumb)を生成する条件下で混合物を生成する。
【0014】
連続的湿式マスターバッチ工程において、カーボンブラック等の高配合量のフィラーを有するエラストマー複合物を製造することは、多くの場合望ましいが、高配合量のフィラーを含む凝固したゴムは、下流の処理装置を通すことが時々困難である。スキムラテックスによりエラストマーラテックスエマルジョンを増大させることにより、カーボンブラック等のフィラーが非常に分散しているがせん断下で流れず、多くの場合、「コヒーレントワーム(worm)、」と呼ばれる連続的マスターバッチクラムを製造することができることを予想外に見いだした。この連続的マスターバッチ粉砕分は、せん断下で流れないので、この材料は、French Oil Machinery Company(Piqua、OH、USA)から入手可能である脱水押出機等の標準装置を使用して容易に脱水できる。これは、高配合量のフィラーを有するエラストマー複合物の連続的な生産を可能にし、そしてより優れた特性を有する加硫処理したゴムを製造するために使用できる。対照的に、せん断下で流れないマスターバッチクラムは、下流の装置に逆流する場合があり、詰まりを生じるか、または脱水時に効果が無くない。
【0015】
スキムラテックスは、天然ゴムラテックスの遠心分離から得られる副生成物である。天然ゴムラテックス濃縮物は、一般的に、遠心分離工程によってフィールドラテックスから商業的に製造される。フィールドラテックスの安定化の後で、フィールドラテックスは連続的な遠心分離機に供給され、ラテックス濃縮物の流れおよびスキムラテックスとして公知の第2の流れに、フィールドラテックスを分離する。このラテックス濃縮物は、通常、約60wt%のゴムを含み、そしてスキムは、典型的には3〜6%のゴムおよび天然ゴムラテックスからの他の物質を含む。2つの流れの中のゴム濃度は、遠心分離機の設定、速度および供給ラテックスの流量を変化させることによって、変えることができることが知られている。
【0016】
スキムラテックスは、フィールドラテックスまたはラテックス濃縮物よりも、エマルジョン中により高い比の非ゴム含有量(NRC)およびより小さい粒子のゴムを含む。より小さい粒子は、より大きい粒子より、単位体積当りより大きな表面積を有する。任意の特別な理論によって拘束されることを望まないが、これらの因子(NRCおよび表面積)のいずれかまたは両者が、凝固の間に、エラストマーでの微粒子フィラーの相互作用に影響し、連続的なゴム相を示す凝固ゴムの形成を促進すると考えられている。さらに、本明細書中に記載された方法は、多くの場合廃棄物と考えられている濃縮物製造の副生成物であるスキムラテックスのための用途を提供する。本明細書中に記載されたようなスキムラテックスの使用はまた、ゴムノキから集められたラテックスの、より効率的な使用を提供する。
【0017】
ある好ましい態様において、天然ゴムラテックス(例えば、ラテックス濃縮物またはフィールドラテックス)は、微粒子スラリーと混合される前に、スキムラテックスと混合される。ラテックス濃縮物:スキムラテックスの比は、体積で約20:1〜約1:2で変えることができ;フィールドラテックス:スキムラテックスの比は、体積で約20:1〜約1:1で変えることができる。いくつかの態様において、エラストマー複合物を生成させるために使用されるラテックスエマルジョンは、スキムラテックスと共にラテックス濃縮物およびフィールドラテックスの両方を、任意の比で含み。ラテックス濃縮物および/またはフィールドラテックス:スキムラテックスの比は、独立して変化できる。例えば、フィールドラテックスとラテックス濃縮物との1種または両方が用いられるかどうかに関わらず、フィールドラテックス:スキムラテックスの比は、約20:1〜約15:1、約15:1〜約10:1、約10:1〜約5:1、約5:1〜約2:1、もしくは約2:1〜約1:1、またはこれらの比の任意の2つによって規定された任意の範囲であることができる。同様に、ラテックス濃縮物:スキムラテックスの比は、約20:1〜約15:1、約15:1〜約10:1、約10:1〜約5:1、約5:1〜約2:1、約2:1〜約1:1、もしくは約1:1〜約1:2、またはこれらの比の任意の2つによって規定された任意の範囲であることができる。
【0018】
エラストマー複合物を製造するための方法および装置のある態様が、本明細書中に記載される。本発明の種々の態様は、種々の異なるフィラーを用いることができるが、本発明の方法および装置の形態の以下の詳細な記載のある部分は、簡便のために、主としてカーボンブラックを用いたエラストマー複合物の製造におけるそれらの使用を記載するであろう。当業者は、多くの代替または追加フィラーおよび他の材料を含むエラストマー複合物を製造するために、下記に記載した操作の原理に従って、本明細書中に開示された方法および装置をどのように用いるかを認識するであろう。
【0019】
エラストマーラテックスは、下記に記載されたもの、ならびに例えば、米国特許第5、763、388号明細書、米国特許第6、841、606号明細書、米国特許第6、646、028号明細書、米国特許第7、101、922号明細書に開示されたもの等の方法および当業者に公知のおよび他の湿式マスターバッチ工程を含む任意の湿式マスターバッチ工程において活用できる。一般的に、エラストマーラテックスおよび微粒子スラリーは、混合されて混合物を生成し、この混合物は、凝固されてマスターバッチクラムを生成する。このマスターバッチクラムは、脱水されて脱水した凝固ゴムを生成する。脱水した凝固ゴムは、さらに乾燥され、そして次に加硫処理したゴムを生成するように加工される。
【0020】
スキムラテックスと混合できる好適なエラストマーラテックス流体は、(フィールドラテックス、ラテックス濃縮物、またはこれらのブレンドを含む)天然ゴムラテックスおよび塩素化ゴム等のその誘導体および天然ゴムラテックスのブレンドを含む。スキムラテックスと混合できて、本発明による使用のためのラテックスブレンドを生成できる例示的な天然ゴムラテックスは、フィールドラテックス、(例えば、蒸発、遠心分離またはクリーム化によって製造された)ラテックス濃縮物、およびこれらの任意の比の混合物を含むがこれらに限られない。ラテックスは、ゴム組成物を調整するために、例えば、非ゴム成分を修飾または少なくとも部分的に除去するために、または例えば塩素化によって、または所望の化学的部分の結合によって、何らかの様式でゴム内容物を化学的に修飾するために、変更できる。他の態様では、ブレンドが下記に記載された等の所望の乾燥ゴム含有量を有する限り、水はまた、任意の濃度で、例えば、少なくとも1体積%で、少なくとも5体積%で、少なくとも15体積%、または少なくとも25体積%で、ラテックスブレンドに加えることができる。
【0021】
上記の様に修飾され、誘導体化され、またはブレンドされたものを含む天然ゴムラテックスは、さらに合成ラテックスと混合できる。例示的な合成エラストマーは、ゴム、1、3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2、3−ジアルキル−1、3−ブタジエン(ここでアルキルは、メチル、エチル、プロピル等であることができる)、アクリロニトリル、エチレン、およびプロピレンポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマーおよび/またはターポリマー)およびその同類のもの、ならびにこれらのいずれかのオイルエクステンドされた誘導体を含むがこれらに限られない。先のいずれかの組み合わせをまた使用できる。特別な好適な合成ゴムは:19部のスチレンと81部のブタジエンとのコポリマー、30部スチレンと70部ブタジエンとのコポリマー、43部のスチレンと57部とのブタジエンのコポリマーおよび50部のスチレンと50部とのブタジエンのコポリマー等の約10〜約70wt%のスチレンと約90〜約30wt%とのブタジエンのコポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、およびその同類のもの等の共役ジエンのポリマーおよびコポリマー、ならびにそうした共役と、ジエンスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、アリル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アクリル酸およびジアルキルアクリル酸アミド等の、αメチレンカルボン酸およびエステルおよびそれらのアミド等の共重合可能なモノマーを含むエチレン基とのコポリマーを含む。または本明細書における使用に好適なのは、エチレンおよびプロピレン、1−ブテンおよび1−ペンテン等の他の高αオレフィンのコポリマーである。
【0022】
ラテックスは、選択された湿式マスターバッチ工程および最終のゴム製品の意図された目的または用途に適することが好ましい。ラテックスは、典型的には水性キャリアー液体中に提供される。好適なラテックス(単数または複数)の選択は、充分に本開示の利益および一般的に業界において良く認識された選択基準の知識を与えられた能力の範囲内であろう。好ましくは、スキムラテックスを含むラテックスブレンドは、少なくとも約15wt%、例えば、少なくとも約20%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約50%、約50%〜約60%の乾燥ゴム含有量(DRC)、またはこれらの終点の任意の2つを境界とする任意の範囲内の乾燥ゴム含有量を有する。
【0023】
微粒子フィラー流体は、カーボンブラックスラリー、または好適なキャリアー流体中の任意の他の好適なフィラーであることができる。キャリアー流体の選択は、概して、微粒子フィラーの選択と系のパラメーターとによるであろう。水性および非水性液体の両者は、カーボンブラックおよびある他のフィラースラリーの製造における使用の、そのコスト、有用性および適合性を鑑みた多くの態様において好ましい、水とともに使用できる。
【0024】
微粒子フィラーまたは微粒子フィラーの混合物の選択は、概して、エラストマーマスターバッチ製品の意図された使用によるであろう。本明細書中で使用するように、微粒子フィラーは、マスターバッチクラムを製造するために使用されるマスターバッチ工程における使用のために好適である任意の材料を含むことができる。好適な微粒子フィラーは、例えば、導電性フィラー、補強フィラー、下記にさらに詳細を記載するカーボンブラックおよびシリカタイプフィラーに加えて、短繊維(典型的には40未満のL/Dアスペクト比を有する)、薄片(flake)等を含むフィラーを含み、フィラーは、粘土、ガラス、アラミド繊維等のポリマーでできていることができる。エラストマー組成物での使用に好適な任意のフィラーは、本発明の種々の態様によるエラストマー複合物に取り込まれることができることが期待される。もちろん、本明細書中に記載された種々の微粒子フィラーのブレンドはまた、取り込むことができる。
【0025】
カーボンブラックフィラーが使用される場合、カーボンブラックの選択は、概して、エラストマーマスターバッチ製品の意図された使用によるであろう。任意選択的に、カーボンブラックフィラーはまた、スラリーにでき、そして本明細書中に記載された湿式マスターバッチ工程において、ラテックスと混合できる任意の材料を含むことができる。例示的な微粒子フィラーは、カーボンブラック、フュームドシリカ、沈殿シリカ、被覆されたカーボンブラック、結合した有機基を有するもの等の化学的に官能化されたカーボンブラック、およびケイ素処理されたカーボンブラック、の単独でまたは相互に組み合わせたかのいずれかを含むがこれらに限られない。例示的なカーボンブラックは、ASTM Nl00シリーズ〜N900シリーズカーボンブラック、例えば、Nl00シリーズカーボンブラック、N200シリーズカーボンブラック、N300シリーズカーボンブラック、N700シリーズカーボンブラック、N800シリーズカーボンブラック、またはN900シリーズカーボンブラックを含む。Cabot Corporationから入手可能なRegal(商標)、Black Pearls(商標)、Spheron(商標)、Sterling(商標)、およびVulcan(商標)の商標、Columbian Chemicalsから入手可能なRaven(商標)、Statex(商標)、Furnex(商標)、およびNeotex(商標)の商標、およびCDおよびHVライン、ならびにEvonik(Degussa)Industriesから入手可能なCorax(商標)、Durax(商標)、Ecorax(商標)、およびPurex(商標)の商標およびCKラインの下で販売されているカーボンブラック、ならびにゴムまたはタイヤ用途における使用に好適な他のフィラーは、種々の態様を有する使用のために利用できる。好適な化学的に官能化されたカーボンブラックは、国際出願PCT/US95/16194号明細書(国際公開第96/18688号パンフレット)(その開示を参照により本明細書中に取り込む)中に記載されたものを含む。ケイ素処理されたカーボンブラックにおいて、ケイ素酸化物またはケイ素炭化物等のケイ素含有種は、カーボンブラックの本来備わっている部分としてのカーボンブラック凝集体の少なくとも一部分中に分散される。従来のカーボンブラックは、炭素である単層からなるそれぞれの凝集体を有する凝集体の形態で存在する。この相は、黒鉛状結晶および/またはアモルファス炭素の形で存在でき、そして通常2種の形態の混合物である。カーボンブラック凝集体は、カーボンブラック凝集体の表面の少なくともの一部分上に、シリカ等のケイ素含有種を堆積させることによって改変できる。この結果物は、ケイ素被覆カーボンブラックとして記載できる。ケイ素処理されたカーボンブラックとして本明細書中に記載された材料は、被覆されているかもしくはさもなければ改変されているカーボンブラック凝集体ではなく、実際に2つの相を有する異なる種類の凝集体を表わす。第1の相は、黒鉛状結晶および/またはアモルファス炭素として依然存在できるであろう炭素である、一方、第2の相はシリカ(およびおそらくは他のケイ素含有種)である。従って、ケイ素処理されたカーボンブラックのケイ素含有種相は、凝集体の本来備わっている部分であり;凝集体の少なくとも一部分中に分散されている。当然のことながら、多相凝集体は、それらの表面上に堆積されたケイ素含有種を有する、予め形成された単相のカーボンブラック凝集体からなる上記のようなシリカ被覆カーボンブラックとかなり異なる。そうしたカーボンブラックは、例えば、米国特許第6、929、783号明細書中に記載されたようなカーボンブラック凝集体の表面上にシリカ官能性を配置するために、表面処理されていることができる。さらに、添加物を使用でき、そしてこの点で、シリカまたはカーボンブラックのカップリングのために有用なカップリング剤は、ケイ素処理されたカーボンブラックと共に有用と期待されることが好ましい。
【0026】
スキムラテックスの使用は、実際に任意のレベルの微粒子の配合量を用いても適当である。例えば、ゴムは、少なくとも30phr、少なくとも40phr、少なくとも50phr、少なくとも55phr、少なくとも60phr、少なくとも65phr、少なくとも70phr、少なくとも75phr、少なくとも80phr、少なくとも85phr、少なくとも90phr、少なくとも95phr、または少なくとも100phrのフィラーを用いて製造できる。しかし、スキムの使用は、高配合量のフィラー、例えば、少なくとも50または少なくとも60phrでの、他の湿式マスターバッチ方法に対して、より大きな利点を提供するであろう。当業者は、「高配合量」を構成するものが、例えば、その表面積および構造を含むフィラーのモルホロジーによるであろうことを理解するであろう。
【0027】
1種または2種以上の添加物はまた、好適な場合には、微粒子スラリーと、もしくはエラストマーラテックス流体と前混合でき、または凝固の間にマスターバッチクラムと混合できる。添加物はまた、例えば、乾燥混合技術によって、その後にエラストマーマスターバッチに混合できる。多数の添加物が当業者に周知であり、そして、例えば、酸化防止剤、オ領域劣化防止剤、老化防止剤、可塑剤、処理助剤(例えば、液体ポリマー、油およびその同類のもの)、樹脂、難燃剤、エキステンダー油、滑剤、およびそれらいずれかの混合物を含む。例示的な添加物は、酸化亜鉛およびステアリン酸を含むがこれらに限られない。そうした添加物の一般的な使用および選択は、当業者に周知である。
【0028】
ある好ましい態様では、マスターバッチクラムは、従来の凝固剤の使用さえなしで凝固を達成するのに充分な乱流レベルおよび流れ制御条件で、エラストマーラテックスと微粒子フィラー流体との混合を含む連続的な流れ工程において製造される。そうした方法は、我々が通常に有する米国特許第6、048、923号明細書、米国特許第6、413、478号明細書、および米国特許第6、040、364号明細書中に記載されている。手短に言うと、マスターバッチクラムを調製するための例示的な方法は、凝固ゴム反応器の混合領域に、カーボンブラックまたは他のフィラーおよび天然ゴムラテックス流体または他の好適なエラストマー流体のスラリーを同時に供給する工程を含む。凝固ゴム領域は、入口終端から放出終端への下流方向で、断面積において徐々に増加する混合領域から伸びている。スラリーは、混合領域に、好ましくは注入された液体の連続的な、高速度のジェットとして、混合区画に供給され、一方、天然ゴムラテックス流体は、比較的低速度で供給される。フィラースラリーの高い速度、流量および微粒子の濃度は、ラテックス流体の混合および高せん断、凝固ゴム領域の少なくとも上流の部分内での混合物の流れ乱流を生じさせ、そして放出終端の前にエラストマーラテックスを実質的に完全に凝固させるのに充分である。したがって、実質的に完全な凝固は、酸または塩の凝固剤の必要なく達成される。
【0029】
エラストマーラテックスおよび微粒子の流体の実質的に完全な凝固の後で、「ワーム」または小球の形態のマスターバッチクラムが生成され、そして凝固ゴム反応器の混合領域への、ラテックスおよびカーボンブラックスラリー流れの継続的な供給と共に同時に、凝固ゴム反応器の放出終端から実質的に一定の流れとして放出される。好ましくは、マスターバッチクラムは、凝固したラテックスの離散した小球が水性キャリアーによって分離されている複合物の連続的な流れより、むしろ凝固したラテックス内にカーボンブラックが分散している「コヒーレントワーム」、連続的なラテックスフィラー複合物の形態である。とりわけ、凝固ゴム反応器の放出終端におけるプラグタイプ(plug−type)の流れおよび大気圧または大気圧近傍の状態は、直後のまたは続くさらなる処理ステップのため等の、制御の促進、および、エラストマー複合物製品の収集に非常に好都合である。マスターバッチクラムは、製造され、そして次に約70重量%〜約85重量%の含水量を有する望ましい押し出し物に形成される、例えば。調合の後で、マスターバッチクラムは、好適な乾燥および混合装置へと通される。
【0030】
ある態様において、マスターバッチクラムは、凝固ゴム反応器から脱水押出機へと通される。脱水押出機は、天然ゴムマスターバッチクラムを、例えば、約70〜85%の含水量から約10%〜20%の含水量にする。ある好ましい態様において、脱水押出機は、天然ゴム押し出し物の含水量を、約15%に低下させる。最適な含水量は、用いられるエラストマーおよびフィラーのタイプによって変化できる。含水量が高すぎる場合、下記にさらに記載されたように材料をパルプ状にすること(masticating)は、ゴムフィラー相互作用またはゴム特性を実質的に改善することなく水を単に除くだけであろう。含水量が低すぎる場合、パルプ状にすることは、ポリマーフィラー相互作用を促進することなく、材料の温度を上昇させ、そしてゴムを劣化させるであろう。好適な脱水押出機は周知であり、そして、例えば、French Oil Machinery Co。(Piqua、Ohio、USA)から市販されている。
【0031】
脱水の後で、生じた脱水した凝固ゴムは、乾燥できる。ある態様において、脱水した凝固ゴムは、単に熱的に乾燥される。好ましくは、乾燥の間に、脱水した凝固ゴムは、機械的にパルプ状にされる。例えば、脱水した凝固ゴムは、1種または2種以上の連続的な混合機、内部混合機、2軸押し出し機、単一のスクリュー押出機、またはロール粉砕機を用いて、機械的に作業できる。例えば、Ansonia、Conn.のFarrel CorporationからのUnimix Continuous MixerおよびMVX(Mixing、Venting、eXtruding)Machine、Pomini、Inc.からのロング連続ミキサー(long continuous mixer)、Pomini Continuous Mixer、神戸製鋼(株)によって製造された、ツインローターコロテーティングインターメッシング押出機(twin rotor corotating intermeshing extruders)、ツインローターカウンターローティティングノンインターメッシング押出機(twin rotor conterrotating non−intermeshinging extruders)、バンバリーミキサー(Banbury mixers)、ブラベンダーミキサー、インターメッシングタイプインターナルミキサー(intermeshiing−type internal mixers)、ニードリングタイプインターナルミキサー(kneading−type internal mixers)、連続的コンパウンディング押出機(continuous compounding extruder)、二軸ミリング押出機(biaxial milling extruder)、およびKobe Contimuous Mixerを含む好適なパルプ状化機器は周知であり、そして市販されている。本発明の種々の態様を用いた使用のために好適な代替パルプ状化装置は、当業者になじみがあるであろう。機械的パルプ状化された脱水した複合物のための例示的な方法は、米国特許第6、929、783号明細書および米国特許第6、841、606号明細書、および2008年2月8日に出願された米国特仮特許出願第61/065086号明細書に開示されている。
【0032】
ある好ましい態様では、添加物は、機械的混合機中で脱水した凝固ゴムと混合できる。特に、フィラー(凝固ゴム反応器において使用されるフィラーと同じであるか、または異なることができ;硬化剤としてまた機能する酸化亜鉛をとともに、シリカおよび酸化亜鉛を含む例示的なフィラー)、酸化防止剤、オ領域劣化防止剤、可塑剤、処理助剤(例えば、硬化剤、液体ポリマー、油およびその同類のものとして使用できるステアリン酸)、他のエラストマー、他のまたは追加のマスターバッチ、樹脂、難燃剤、エキステンダー油、滑剤、およびそれらのいずれかの混合物等の添加物を、機械的混合機に加えることができる。あるいはまたはさらに、追加のエラストマーは、エラストマーブレンドを生成するために、脱水した凝固ゴムと混合できる。例示的なエラストマーは、ゴム、1、3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2、3−ジアルキル−1、3−ブタジエン(ここで、アルキルは、メチル、エチル、プロピル等であることができる)、アクリロニトリル、エチレン、およびプロピレンのポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマーおよび/またはターポリマー)およびその同類のものを含むがこれらに限られない。マスターバッチブレンドを製造する方法は、我々が通常に有する米国特許第7、105、595号明細書、米国特許第6、365、663号明細書、および米国特許第6、075、084号明細書中に開示されている。
【0033】
本発明の方法および装置は、靴底、タイヤ、タイヤのトレッド、タイヤの側壁、タイヤ用のワイヤースキム、再生タイヤ用クッションゴム、エンジンマウントのゴム成分、タンクトラック(tank tracks)、マイニングベルト(mining belts)、ヒドロマウントのゴム成分、ブリッジベアリング(bridge bearings)、および免震装置を含むがこれらに限られない製品を生成するために使用できる。
【0034】
本発明は、事実上、例示的であることのみを目的とする以下の例によって、さらに明らかに成るであろう。
【実施例】
【0035】
例1
エラストマー複合物は、フィールドラテックスおよび/またはラテックス濃縮物とスキムラテックスとのブレンドを含むエラストマーラテックスを用いて製造された。ラテックス組成物の概要を以下の表1に示す。
表1−ラテックスブレンド
【表1】

DRC=乾燥ゴム含有量;TSC=全固体含有量;=比較例
【0036】
以下の手順を、エラストマー複合物A〜Oを調製するために使用した。
【0037】
カーボンブラックスラリー調製物
乾燥したカーボンブラック(N234、Cabot Corporationから入手した)を水と混合し、そして粉砕して、約13〜17%の濃度を有するスラリーを生成させた。スラリーが、微細に粉砕したカーボンブラックスラリーを製造するために、混合区画にジェットとして導入されるように、このスラリーを、約3000psigの運転圧力でホモジナイザーに供給した。
【0038】
ラテックスの送達
フィールドラテックスおよび/またはラテックス濃縮物を、パドルミキサーを使用して、約5分間スキムラテックスと上記に示した比の1つで混合し、そして一晩放置した。ラテックス濃縮物とスキムラテックスとの混合物は、ラテックス供給業者によって供給された。このラテックス混合物は、数日間安定であった。凝固ゴム反応器の混合領域へこのラテックス混合物をポンプで送った。所望の最終のカーボンブラック配合量レベルを得るために、ラテックス流量を700〜1200kg/時間に調整した。
カーボンブラックおよびラテックスの混合
【0039】
カーボンブラックスラリー中にラテックスを取り込むことによって、カーボンブラックスラリーとラテックスとを混合した。取り込み工程の間に、ラテックスおよび凝固した混合物中にカーボンブラックを密接に混合させた。成功したサンプルでは、マスターバッチクラムのコヒーレントで、連続的な海綿状の「ワーム」が凝固ゴム反応器から出てきた。下記の表2は、コヒーレントなワームが製造された(すなわち、より高いフィラー含有量を有するエラストマー複合物を製造する試みは、コヒーレントなワームとならなかった)、100のゴム当りの部(phr)での、エラストマー複合物中で最大の配合量、すなわち、最大のフィラー含有量を示す。表2は、フィールドラテックスまたはラテックス濃縮物のいずれかまたは両方と、スキムラテックスとのブレンドが、水と混合されただけのスキムまたはラテックスと混合されなかったラテックスと比較して、コヒーレントワームが製造できたであろうカーボンブラック配合量を増加させたことを示す。下記の表3は、所与の配合量での種々のラテックスブレンド、コヒーレントワームが製造されたかどうかを示す。
表3は、スキムの使用が、マスターバッチクラムの稠度を改善したが、水のフィールドラテックス(例えば、ラテックスブレンドE)またはラテックス濃縮物(例えば、ラテックスブレンドI)への追加が、フィールドラテックス(ラテックスブレンドD*)またはラテックス濃縮物(ラテックスブレンドH)単独での使用より、すぐれた結果を生み出さなかったことを示す。
【表2】

表2
【表3】

表3
【0040】
脱水
凝固ゴム反応器から放出されたマスターバッチクラムを、脱水押出機(The French Oil Machinery Company)を用いて、10〜20%の湿気に脱水した。押出機中で、マスターバッチクラムを圧縮し、そしてクラムから絞り出された水は、押出機のスロットバレルを通して吐出された。
【0041】
乾燥および冷却
脱水した凝固ゴムは、このゴムがパルプ状化され、そして酸化防止剤と混合される連続混合機(FCM)に入れられた。FCMから出たパルプ状化されたマスターバッチの湿気含有量は、約1〜2%であった。この生成物をさらにパルプ状化し、そしてオープンミル上で冷却した。
【0042】
硬化
冷却したエラストマー複合物を、下記の表4中の調合物および表5中に概要を示す手順にしたがって混合した。
表4
【表4】

N−(1、3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−N’フェニレンジアミン
**N−terr−ブチル−2−ベンゾチオゾルスルフェナミド
表5
【表5】

【0043】
混合した材料を加硫処理し;生じたエラストマー複合物の特性を下記の表6に示す。加硫処理したサンプル(T300およびTl00)の引張応力を、ASTM基準D−412に従って測定した。動的機械的特性を、10Hzおよび60°Cでの動的歪みスイープを使用して決定した。Zwick Rebound Pendulumモデル5105を使用してリバウンドを決定した。
表6
【表6】

【0044】
比較例1
種々の配合量のN234カーボンブラックで、上記の様なラテックスブレンドDを使用して、エラストマー複合物を調製した。エラストマー複合物を、上記の様に混合した。図1は、ラテックスブレンドDを取り込んだ複合物で調製された化合物および表6中に記載した化合物の両者での、60℃でともにプロットしたグラフである。このグラフは、種々の量のスキムラテックスを取り込んだエラストマー複合物を使用して調製された化合物の性能が、スキムなしで調製された化合物の性能に匹敵することを示す。スキムラテックスは、最終のゴム化合物の性能を犠牲にすることなくさらに高配合量のエラストマー複合物の製造することを容易にするために使用できる。
【0045】
比較例2〜6
乾燥混合エラストマー複合物を、表7中に概要を示した手順に従って、表2中の調合物を使用して調製した。
表7
【表7】

【0046】
この材料を加硫処理し、そして生じたエラストマー複合物の特性を表8中に示す。
表8
【表8】

【0047】
本発明の好ましい態様の上記の記載は、具体的な説明および記載の目的のために示された。これは、本発明を開示された正確な形態に、減耗または制限することを目的としない。上記教示に照らして、修正および変化が可能であり、または本発明の実施から得ることができる。態様は、当業者が本発明を、種々の態様においておよび考えられる特別な使用に適した種々の改変と共に利用できるように、本発明の原理およびその実際的な用途を説明するために、選択されそして記載された。本発明およびそれらの均等が、本明細書に付属の請求項によって規定されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子スラリーを用意する工程と、
フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスを含むラテックスブレンドを用意する工程と、
該微粒子スラリーと、該ラテックスブレンドとを混合させて、該混合物が凝固する条件下で混合物を生成させる工程と、
を含んで成る、エラストマー複合物の製造方法。
【請求項2】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスに対して、体積で約20:1〜約1:1の比で、フィールドラテックスを含む、請求項1の方法。
【請求項3】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスに対して、体積で約20:1〜約1:2の比で、ラテックス濃縮物を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスと組み合わせて、フィールドラテックスおよびラテックス濃縮物の両方を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
該ラテックスブレンドが、さらに水を含む、請求項1の方法。
【請求項6】
該ラテックスブレンドの乾燥ゴム含有量が、少なくとも15wt%である、請求項5の方法。
【請求項7】
該混合する工程が、該ラテックスブレンドとの混合物を生成させるために、凝固ゴム反応器の混合領域に、加圧下でカーボンブラックスラリーの連続的な流れを供給することを含み、該カーボンブラックが、該ラテックスブレンド内で該ラテックスを凝固させるのに効果的であり、そして該混合領域内での該ラテックスブレンドおよび該カーボンブラックスラリーの該供給が、該凝固ゴム反応器中で該カーボンブラックと該ラテックスとを実質的に完全に凝固させるのに充分なエネルギーを有する、請求項1の方法。
【請求項8】
フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスを含むラテックスブレンドならびに微粒子スラリーの混合物の凝固した製品を含む、エラストマー複合物。
【請求項9】
該ラテックスブレンドが、さらに水を含む、請求項8のエラストマー複合物。
【請求項10】
該ラテックスブレンドの乾燥ゴム含有量が、少なくとも15wt%である、請求項9のエラストマー複合物。
【請求項11】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスに対して、体積で約20:1〜約1:1の比で、フィールドラテックスを含む、請求項8のエラストマー複合物。
【請求項12】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスに対して、体積で約20:1〜約1:2の比で、ラテックス濃縮物を含む、請求項8のエラストマー複合物。
【請求項13】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスと組み合わせて、フィールドラテックスおよびラテックス濃縮物の両方を含む、請求項8のエラストマー複合物。
【請求項14】
混合する工程が、該ラテックスブレンドとの混合物を生成させるために、凝固ゴム反応器の混合領域に、加圧下でカーボンブラックスラリーの連続的な流れを供給することを含み、該カーボンブラックが、該ラテックスを凝固させるのに充分効果的であり、そして該混合領域内での該ラテックスブレンドおよび該カーボンブラックスラリーの該供給が、該凝固ゴム反応器中で該カーボンブラックと該ラテックスとを実質的に完全に凝固させるのに充分なエネルギーを有する、請求項8のエラストマー複合物。
【請求項15】
微粒子スラリーを用意する工程と、
フィールドラテックスとラテックス濃縮物との少なくとも1種およびスキムラテックスを含むラテックスブレンドを用意する工程と、
該微粒子スラリーと、該ラテックスブレンドとを、該ラテックスブレンドの該ラテックス内容物が凝固する条件下で混合する工程と、
を含んで成る方法によって製造された、エラストマー複合物。
【請求項16】
該ラテックスブレンドが、さらに水を含む、請求項15のエラストマー複合物。
【請求項17】
該ラテックスブレンドの乾燥ゴム含有量が、少なくとも15wt%である、請求項16のエラストマー複合物。
【請求項18】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスに対して、体積で約20:1〜約1:1の比で、フィールドラテックスを含む、請求項15のエラストマー複合物。
【請求項19】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスに対して、体積で約20:1〜約1:2の比で、ラテックス濃縮物を含む、請求項15のエラストマー複合物。
【請求項20】
該ラテックスブレンドが、スキムラテックスと組み合わせて、フィールドラテックスおよびラテックス濃縮物の両方を含む、請求項15のエラストマー複合物。
【請求項21】
該混合する工程が、該ラテックスブレンドとの混合物を生成させるために、凝固ゴム反応器の混合領域に、加圧下でカーボンブラックスラリーの連続的な流れを供給することを含み、該カーボンブラックが、該ラテックスブレンド内で該ラテックスを凝固させるのに効果的であり、そして該混合領域内での該ラテックスブレンドおよび該カーボンブラックスラリーの供給が、該凝固ゴム反応器中で該カーボンブラックと該ラテックスとを実質的に完全に凝固させるのに充分なエネルギーを有する、請求項15のエラストマー複合物。
【請求項22】
少なくとも70phrのカーボンブラックを含み、そして少なくとも4.5のT300/T100比を示す、加硫処理したエラストマー複合物。
【請求項23】
該カーボンブラックがN234である、請求項22の加硫処理したエラストマー複合物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−538110(P2010−538110A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522958(P2010−522958)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/010222
【国際公開番号】WO2009/032178
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】