説明

エリア利用状況解析システム及びエリア利用状況解析方法並びにそのプログラム

【課題】オフィスなどの解析対象エリアの新規構成、もしくは再構成を提案するために必要な、現在の解析対象エリア内の利用状況の情報を出力するエリア利用状況解析システムを提供する。
【解決手段】解析対象エリア内を移動する人が携帯する端末から発信される端末IDと、当該端末IDが発信された際に端末が存在する位置を示す位置IDと、当該位置IDで示される位置に人が存在する時刻とを取得し、端末IDと位置IDと時刻との組み合わせを、それらを取得するたびに蓄積する。そして、蓄積された複数の端末IDと位置IDと時刻との組み合わせの情報に基づいて、解析対象エリア内に設けられた複数の小エリアそれぞれにおける人の利用状況を解析して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス内等の解析対象エリアに設けられた複数の部屋やスペースの利用状況を解析するエリア利用状況解析システム及びエリア利用状況解析方法並びにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス内等の解析対象エリアにおいて設けられた複数の部屋やスペースが、実際に有効活用されているのか、またどのように利用されているのかを把握することは、当該エリア内における今後の部屋やスペースの数、位置、広さの新規構成、もしくは再構成を行う上で重要な情報である。ここで、部屋やスペースが有効活用されているかどうか、また、どのように利用されているかを検出するために必要な技術として、エリア内を移動する人の位置と、その位置に存在する時刻を検出する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−26419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の技術は、交流状況情報や人物属性情報などを解析することにより、リアルコミュニティ情報を作成し、当該情報から人脈強度を算出して人脈情報の検索に利用するものであるが、他方、上述したような、オフィス内等の解析対象エリアの様々な環境の向上を目的として、部屋やスペースの数、位置、広さの新規構成、もしくは再構成を提案するために必要な、現在の解析対象エリア内の利用状況の情報を提供するためのシステムの開発が望まれている。
【0005】
そこでこの発明は、オフィス内等の解析対象エリアの新規構成、もしくは再構成を提案するために必要な、解析対象エリア内の利用状況の情報を提供するためのエリア利用状況解析システム及びエリア利用状況解析方法並びにそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、解析対象エリア内に存在する人物を識別する人物識別情報と、前記解析対象エリア内に設けられた複数の小エリアのうち前記人物識別情報で特定される人物が位置する小エリアの識別情報と、当該小エリアの識別情報で示される小エリアに前記人物識別情報で特定される人物が存在する存在時刻とを取得し、当該取得した人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせを、エリア内行動情報記憶部へ蓄積するエリア内行動情報取得部と、前記蓄積された複数の前記人物識別情報と前記小エリアの識別情報と前記存在時刻との組み合わせの情報に基づいて、前記小エリアそれぞれの利用状況を解析する利用状況解析部と、を備えることを特徴とするエリア利用状況解析システムである。
【0007】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析システムにおいて、前記利用状況解析部は、エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、ある小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間と、当該小エリアが複数の人物によって利用された複数人利用時間とを算出し、前記総利用時間に対する複数人利用時間の割合を示す前記小エリアにおける交流度を算出することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析システムにおいて、前記利用状況解析部は、前記解析対象エリアにおける複数の前記小エリアそれぞれについて算出された前記交流度を、前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内における該当する小エリアに関連付けて出力する解析結果出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析システムにおいて、前記解析結果出力部は、前記交流度を、その大きさによって表した図形により前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内に出力することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析システムにおいて、前記解析結果出力部は、予め記録された前記解析対象エリア内に設けられた前記小エリアのレイアウトプラン時の利用状況をともに出力することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析システムにおいて、前記利用状況解析部は、エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、小エリアが任意の期間において少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間の、前記任意の期間における割合に基づいて前記小エリアの利用率を算出する利用率算出部を備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、エリア利用状況解析システムにおけるエリア利用状況解析方法であって、エリア内行動情報取得部が、解析対象エリア内に存在する人物を識別する人物識別情報と、前記解析対象エリア内に設けられた複数の小エリアのうち前記人物識別情報で特定される人物が位置する小エリアの識別情報と、当該小エリアの識別情報で示される小エリアに前記人物識別情報で特定される人物が存在する存在時刻とを取得し、当該取得した人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせを、エリア内行動情報記憶部へ蓄積し、利用状況解析部が、前記蓄積された複数の前記人物識別情報と前記小エリアの識別情報と前記存在時刻との組み合わせの情報に基づいて、前記小エリアそれぞれの利用状況を解析することを特徴とするエリア利用状況解析方法である。
【0013】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析方法において、前記利用状況解析部は、エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、ある小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間と、当該小エリアが複数の人物によって利用された複数人利用時間とを算出し、前記総利用時間に対する複数人利用時間の割合を示す前記小エリアにおける交流度を算出することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析方法において、前記利用状況解析部は、前記解析対象エリアにおける複数の前記小エリアそれぞれについて算出された前記交流度を、前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内における該当する小エリアに関連付けて出力することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析方法において、前記解析結果出力部は、前記交流度を、その大きさによって表した図形により前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内に出力することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析方法において、前記解析結果出力部は、予め記録された前記解析対象エリア内に設けられた前記小エリアのレイアウトプラン時の利用状況をともに出力することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、上述のエリア利用状況解析方法において、前記利用状況解析部に備えられた利用率算出部は、エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、小エリアが任意の期間において少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間の、前記任意の期間における割合に基づいて前記小エリアの利用率を算出することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、エリア利用状況解析システムのコンピュータを、解析対象エリア内に存在する人物を識別する人物識別情報と、前記解析対象エリア内に設けられた複数の小エリアのうち前記人物識別情報で特定される人物が位置する小エリアの識別情報と、当該小エリアの識別情報で示される小エリアに前記人物識別情報で特定される人物が存在する存在時刻とを取得し、当該取得した人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせを、エリア内行動情報記憶部へ蓄積するエリア内行動情報取得手段、前記蓄積された複数の前記人物識別情報と前記小エリアの識別情報と前記存在時刻との組み合わせの情報に基づいて、前記小エリアそれぞれの利用状況を解析する利用状況解析手段、として機能させるためのプログラムである。
【0019】
また本発明は、上述のプログラムにおいて、前記利用状況解析手段が、エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、ある小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間と、当該小エリアが複数の人物によって利用された複数人利用時間とを算出し、前記総利用時間に対する複数人利用時間の割合を示す前記小エリアにおける交流度を算出することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、上述のプログラムにおいて、前記利用状況解析手段が、前記解析対象エリアにおける複数の前記小エリアそれぞれについて算出された前記交流度を、前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内における該当する小エリアに関連付けて出力することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、上述のプログラムにおいて、前記解析結果出力手段が、前記交流度を、その大きさによって表した図形により前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内に出力することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、上述のプログラムにおいて、前記解析結果出力手段が、予め記録された前記解析対象エリア内に設けられた前記小エリアのレイアウトプラン時の利用状況をともに出力することを特徴とする。
【0023】
また本発明は、上述のプログラムにおいて、前記利用状況解析手段が、エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、小エリアが任意の期間において少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間の、前記任意の期間における割合に基づいて前記小エリアの利用率を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、発信器や端末から送信され、情報記憶部に蓄積されたエリア内行動情報に基づいて、解析対象エリア内に設けられた各小エリアの利用状況を示す解析結果を出力している。これにより、解析対象エリア内に設定された各小エリアの用途や、その小エリアで発生する交流度を一目で把握することが可能となり、オフィスなどの解析対象エリアの新規構成、もしくは再構成を提案するために有用な情報として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】エリア利用状況解析システムと行動情報取得システムとの概略構成を示す図である。
【図2】エリア利用状況解析システムの機能ブロック図である。
【図3】利用状況解析部の機能ブロック図である。
【図4】エリア内行動情報記憶部に蓄積されるデータ例を示す図である。
【図5】エリア利用状況解析システムが解析する解析対象エリアの概要を示す図である。
【図6】エリア利用状況解析システムの処理フローを示す図である。
【図7】グラフ生成部の生成したグラフを示す第1の図である。
【図8】グラフ生成部の生成したグラフを示す第2の図である。
【図9】交流度と利用回数と利用時間との関係に応じた場の用途の定義を示す図である。
【図10】解析結果出力部が生成する解析結果を示す第1の図である。
【図11】解析結果出力部が生成する解析結果を示す第2の図である。
【図12】解析結果出力部が生成する解析結果を示す第3の図である。
【図13】グラフ生成部の生成したグラフを示す第3の図である。
【図14】グラフ生成部の生成したグラフを示す第4の図である。
【図15】グラフ生成部の生成したグラフを示す第5の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態によるエリア利用状況解析システムを図面を参照して説明する。
図1は、同実施形態によるエリア利用状況解析システムと行動情報取得システムとの概略構成を示す図である。
この図において、符号1はエリア利用状況解析システムであり、当該エリア利用状況解析システム1は、発信器2と端末3とが無線接続することによって構成される行動情報取得システムと通信によって接続されている。具体的には、エリア利用状況解析システム1は、例えばコンピュータサーバで構成される。また、発信器2は、当該発信器2に割り当てられた位置ID(解析対象エリア内に設けられた小エリアの識別情報)を無線(赤外線や電波など)により送信する装置である。また、端末3は、発信器2から発信された位置IDを受信し、当該位置IDと自端末に予め記録された端末IDとを、無線信号によりエリア利用状況解析システム1へ送信する端末である。当該端末3は、オフィスなどの解析対象エリアを移動する人が携帯するものであり、例えば、首からストラップによりぶら下げて持ち運べる程度の大きさを有している。また、端末3から送信された無線信号は、無線基地局装置および有線の通信ネットワークを介してエリア利用状況解析システム1が受信する。そしてエリア利用状況解析システム1は、端末3から受信した無線信号から位置IDと端末IDとを検出し、当該位置IDと端末IDとそれらを取得した時刻との組み合わせを含むエリア内行動情報を蓄積する。
【0027】
なお、本実施形態においては、利用状況解析システム1が通信ネットワークを介して端末ID、位置IDを受信する場合について説明するが、端末3が、端末IDや位置IDと、端末IDを受信した時刻を記録媒体に記録しておき、当該記録媒体が、利用状況解析システム1に備えられた情報リーダにユーザによって挿入され、利用状況解析システム1が情報リーダに挿入された記録媒体から、端末ID、位置ID、時刻の組み合わせの情報を取得するようにしてもよい。
【0028】
また、本実施形態においては、解析対象エリア内に存在する人物の識別情報(本実施形態においては端末ID)を取得するために行動情報取得システムとして発信器2や端末3を用いているが、当該行動情報取得システムが画像認識や赤外線カメラであり、これらによって人物の識別情報を取得してもよい。この場合、画像認識や赤外線カメラによって解析対象エリアに存在する人物の人物識別情報を検出するための技術が必要となるが、例えば、画像認識による人物識別情報の取得の場合には、人物識別情報を視覚的に把握できるものが人物に付されていることで、当該人物識別情報が検出できる。また、赤外線カメラによる人物識別情報の取得の場合には、小さな発熱装置が人物に取り付けられ、当該発熱装置の形状や数、発熱のON・OFFによるパルス信号等で人物識別情報を検出するようにしてもよい。
【0029】
また、解析対象エリアがオフィス等の閉じられた環境でなく、遊園地や広場などの天井が解放された空間であれば、GPSシステムによって小エリアを示す位置ID(緯度経度)を取得されるように構成してもよい。
【0030】
図2は、エリア利用状況解析システムの機能ブロック図である。
この図が示すように、エリア利用状況解析システム1は通信ネットワークを介して無線基地局装置4と通信接続されており、端末3が発信した無線信号を、無線基地局装置4を介して通信処理部11が受信する。またエリア利用状況解析システム1は、制御部12、エリア内行動情報取得部13、利用状況解析部14、エリア内行動情報記憶部15、の各処理部や記憶部を備えている。なお、制御部12はエリア利用状況解析システム1の各処理部を制御する処理部である。またエリア内行動情報取得部13は、受信した無線信号から位置IDと端末IDとを検出し、当該検出した時刻に対応付けてエリア内行動情報としてエリア内行動情報記憶部15に蓄積する処理部である。また、利用状況解析部14は、エリア内行動情報記憶部15に蓄積された位置IDと端末IDと時刻との組み合わせであるエリア内行動情報を複数用いて、解析対象エリア内に設けられた小エリアそれぞれの利用状況を解析する処理部である。
【0031】
図3は利用状況解析部の機能ブロック図である。
この図が示すように、エリア利用状況解析システム1内の利用状況解析部14は、平均利用回数算出部141、平均利用時間算出部142、総利用時間算出部143、複数人利用時間算出部144、交流度算出部145、グラフ生成部146、解析結果出力部147の各処理部を備えている。
そして、平均利用回数算出部141は、解析対象エリア内に設けられた小エリア(部屋やスペース)の、単位時間(例えば1週間)当たりの利用回数を算出する処理部である。
また、平均利用時間算出部142は、解析対象エリア内に設けられた小エリアの利用一回当たりの平均利用時間を算出する処理部である。
【0032】
なお、本実施形態において、総利用時間とは、例えば、オフィスなどの解析対象エリア内に設けられた小エリア(部屋や交流スペースなど)が、少なくとも一人の人物によって利用された時間の総計である。そして、総利用時間算出部143は、総利用時間を、エリア内行動情報記憶部15に蓄積された端末IDと位置ID(小エリアの識別情報)とそれらを検出した時刻(存在時刻)との組み合わせ複数の情報を用いて算出する処理部である。
また、複数人利用時間とは、小エリアが複数の人物によって利用されている時間の総計である。そして、複数人利用時間算出部144は、複数人利用時間を、エリア内行動情報記憶部15に蓄積された端末IDと位置ID(小エリアの識別情報)とそれらを検出した時刻(存在時刻)との組み合わせ複数の情報を用いて算出する処理部である。
【0033】
そして、交流度算出部145は、小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間において、当該小エリアが複数の人物によって利用された複数人利用時間の割合(複数人利用時間÷総利用時間)により、交流度を算出する処理部である。
また、グラフ生成部146は、各種グラフを生成する処理部である。
また、解析結果出力部147は、交流度算出部145やグラフ生成部146で生成された情報を、エリア利用状況解析システム1が備えるモニタ等に出力する処理部である。
そして、エリア利用状況解析システム1は、図2や図3で示した処理部や記憶部を備えることにより、オフィスなどの解析対象エリアの新規構成、もしくは再構成を提案するために必要な、解析対象エリア内の利用状況の情報を提供する処理を行う。
【0034】
図4はエリア内行動情報記憶部に蓄積されるデータ例を示す図である。
この図が示すように、エリア内行動情報記憶部15には、無線信号を発信した端末3の端末ID、当該端末3が発信器2から受信した位置ID、それら端末IDと位置IDとを格納した無線信号をエリア利用状況解析システム1が受信した時刻、の組み合わせであるエリア内行動情報が、その受信した順番に登録される。それら3つの情報の組み合わせにより、だれが、どこに、いつ、存在したかを把握することが可能となる。そして、解析対象エリア内を人が移動するにつれて、エリア内行動情報記憶部15には、端末3から送信された無線信号に基づく情報が徐々に蓄積されていく。
【0035】
なお、エリア内を移動する人それぞれが携帯する端末3には、異なる端末IDが振られているものとする。また、本実施形態においては、発信器2より発信された位置IDを端末3が受信して、当該端末3がエリア利用状況解析システム1へ位置IDと端末IDとを送信する場合の例について説明する。しかしながら、まず、発信器2が、端末3より端末IDを無線により受信し、発信器2が、端末3より受信した端末IDと、予め自身で記憶する位置IDとをエリア利用状況解析システム1へ無線または有線により送信するようにしてもよい。また、発信器2や端末3が送信する情報内に、時刻が含まれ、エリア利用状況解析システム1においては、発信器2や端末3から受信した端末ID、位置ID、時刻の組み合わせを、エリア内行動情報としてエリア内行動情報記憶部15に蓄積するようにしてもよい。
【0036】
図5は、エリア利用状況解析システムが解析する解析対象エリアの概要を示す図である。
この図が示すように、解析対象エリアはオフィスなどである。そして、図5においては一点鎖線で囲んだエリアが解析対象エリアである。また当該解析対象エリアにおいて、a〜hの8つの小エリアが設けられているものとする。それぞれの小エリアには、1つまたは複数の発信器2が備えられており、小エリア内を移動する人が携帯する端末3が、それら発信器2から送信された信号を受信する。なお、本実施形態においては、発信器2が発信する位置IDは小エリアの識別情報であるため、1つの小エリア内に複数の発信器2が備えられている場合には、それら発信器2の発信する位置IDは同一であるものとする。しかしながら、これに限らず、異なる発信器2ごとに発信する位置IDが異なり、エリア利用状況解析システム1において、位置IDと小エリアの識別情報の対応関係を記憶する情報から、位置IDに対応する小エリアの識別情報を判定して、当該小エリアの識別情報を蓄積するようにしてもよい。
【0037】
図6はエリア利用状況解析システムの処理フローを示す図である。
次に、図6を用いて、エリア利用状況解析システムの処理フローについて順を追って説明する。
利用状況解析部14は、ユーザからの処理開始命令を、制御部12を介して受け付けると、利用状況解析処理を開始する。ここで、例えば処理開始命令には、解析開始時刻(年月日時分秒)や解析終了時刻が格納されている。利用状況解析部14は、エリア内行動情報記憶部15に蓄積されているエリア内行動情報中から、解析開始時刻から解析終了時刻の間の時刻を含むエリア内行動情報を読み取り、メモリ等に一次蓄積する。なお解析開始時刻から解析終了時刻までの時間は1週間であるとする。またエリア内行動情報は、例えば端末3から発信された無線信号に基づいて、エリア利用状況解析システム1において蓄積されたものであるとする。エリア内行動情報は、まず端末3がある位置IDを検出するとその時点で発信され、検出から1分間同じ位置IDを検出する場合には、1分後に端末3から同位置IDを示す情報が発信され、それが1分間隔で継続されるものとし、当該エリア内行動情報の発信から1分未満、あるいは継続発信されるある1分間の間に端末3が異なる位置IDを検出する場合には、その位置IDを含むエリア内行動情報がその時点で発信され、上記と同様に継続されるものとする。なお、エリア内行動情報は、例えば各小エリアに設置された発信器2や端末3から発信された無線信号に基づいて1分ごとに、エリア利用状況解析システム1において蓄積されたものとしてもよい。
【0038】
次に、利用状況解析部14の平均利用回数算出部141は、図5で示したような部屋やスペースなどの小エリアそれぞれの単位時間(1週間)当たりの利用回数を算出する(ステップS101)。
この場合、平均利用回数算出部141は、メモリに一時的に蓄積したエリア内行動情報の中から、1つの小エリアを示す位置IDに対応付けられた端末IDや時刻の情報を抽出する。そして、抽出した情報に基づいて、ある小エリアの位置IDに対応付けられて、ある端末IDが連続して検出できた場合には、その連続する時間の間、小エリアが1回利用されたものとする。なお、本実施形態においては、端末3から発信された情報をエリア利用状況解析システム1で連続して受信した場合には、当該端末3を携帯する人が、受信した情報に含まれる位置IDに対応する小エリアを1回利用したものとしてカウントされ、また当該人がその連続する時間の間、小エリアを利用したものとしてエリア内行動情報記憶部15に蓄積される。端末3から発信された情報をエリア利用状況解析システム1が連続して受信していない場合には、当該端末3を携帯する人が、受信した情報に含まれる位置IDに対応する小エリアを各位置IDの受信ごとに1回利用したものとしてカウントされ、エリア内行動情報記憶部15に蓄積される。
【0039】
より具体的には、例えば、ある端末IDが、ある日の10時00分から10時15分までの間に1分おきに連続して小エリアaで示される位置IDに対応付けられてエリア内行動情報から抽出され、また14時50分から15時05分までの間にも1分おきに連続して小エリアaで示される位置IDに対応付けられてエリア内行動情報から抽出された場合、平均利用回数算出部141は、その端末IDが示す端末3を携帯する人によって小エリアaが2回利用されたと判定される。
また、ある端末IDが、ある日の11時00分に、小エリアaで示される位置IDに対応付けられてエリア内行動情報から抽出され、次に、11時08分に小エリアaで示される位置IDに対応付けられてエリア内行動情報から抽出された場合、平均利用回数算出部141はそれら検出が別々の利用を示すとして、その端末IDが示す端末3を携帯する人によって小エリアaが2回利用されたと判定される。
また、ある端末IDが、ある日の12時00分に、小エリアaで示される位置IDに対応付けられてエリア内行動情報から抽出され、次に、12時03分に小エリアaで示される位置IDに対応付けられてエリア内行動情報から抽出された場合、つまり、途中検出できない時間があり、その時間間隔が短い場合でも、平均利用回数算出部141は1回の検出が1度の利用を示すとして、その端末IDが示す端末3を携帯する人によって小エリアaが2回利用されたと判定される。
【0040】
なお、抽出した情報に基づいて、ある小エリアの位置IDに対応付けられて、ある端末IDが一度検出でき、当該端末IDが次に検出できるまでに所定の時間(例えば5分)以上経過している場合に、その一度の端末IDの検出のみで、小エリアが1回利用されたものと処理するようにしてもよい。
また、抽出した情報に基づいて、ある小エリアの位置IDに対応付けられて、ある端末IDが一度検出でき、当該端末IDが次に検出できるまでに所定の時間(例えば5分)以上経過していない場合には、それら複数回の端末IDの検出によって、小エリアが1回利用されたものと処理するようにしてもよい。
【0041】
そして、平均利用回数算出部141は、解析開始時刻から解析終了時刻までの時間で示される1週間における各小エリアそれぞれの利用回数(利用された述べ回数)を算出する。また、平均利用回数算出部141は、次の1週間のエリア内行動情報をエリア内行動情報記憶部15から読み取って、順次、1週間ごとの、各小エリアの利用回数を算出する。そして、平均利用回数算出部141は、各週における各小エリアの利用回数に基づいて、小エリアごとに、各週の利用回数の平均を算出し、小エリアを示す位置IDとその平均利用回数を、位置IDごとにグラフ生成部146へ出力する。
【0042】
次に、平均利用回数算出部141が、エリア内行動情報記憶部15に記録されているエリア内行動情報に基づいて、全ての週の各小エリアの利用回数をグラフ生成部146へ出力すると、平均利用時間算出部142が制御部12の制御によって処理を開始する。
そして、平均利用時間算出部142は、平均利用回数算出部141と同様に、エリア内行動情報記憶部15に蓄積されているエリア内行動情報中から、ある小エリアが示す位置IDを含み、解析開始時刻から解析終了時刻の間の時刻を含むエリア内行動情報を読取り、メモリ等に一時蓄積する。
【0043】
次に、平均利用時間算出部142は、図5で示したような部屋やスペースなどの小エリアそれぞれの利用1回の当たりの平均利用時間を算出する(ステップS102)。
このとき、平均利用時間算出部142は、読み取ったエリア内行動情報において、ある端末IDと、ある小エリアの位置IDの組み合わせが、発信器2の無線信号発信間隔が示す時間(1分)おきに連続して検出できた場合には、その連続して検出した最初の時刻から最後の時刻までを1回の利用時間と算出する。当該ある端末IDとある位置IDの組み合わせが発信器2の無線信号発信間隔で連続して検出できていない場合には、それぞれの検出において、小エリアが単位時間(1分)利用されたものとして算出される。
そして、平均利用時間算出部142は、各小エリアについて利用1回の当たりの利用時間の平均を算出し、小エリアを示す位置IDと、その平均利用時間とをグラフ生成部146およびグラフ生成部146へ出力する。
なお、平均利用時間算出部142は、平均利用時間を算出するにあたり、読み取ったエリア内行動情報において、ある端末IDが、ある小エリアの位置IDに対応付けられて、一度検出でき、当該端末IDが次に検出できるまでに所定の時間(例えば5分)以上経過している場合であって、所定の時間以上経過した2回の検出の間に、他の小エリアの位置IDに対応付けられて同一の端末IDが取得されていない場合(つまり、途中で他の小エリアで検出されていない場合)には、当該2回の各検出時刻のうちの最初の時刻から最後の時刻までの時間を利用時間と算出するよう処理してもよい。
また、平均利用時間算出部142は、平均利用時間を算出するにあたり、読み取ったエリア内行動情報において、ある端末IDが、ある小エリアの位置IDに対応付けられて、一度検出でき、当該端末IDが次に検出できるまでに所定の時間以上経過していない場合には、それら複数回の端末IDの検出によって、小エリアが1回利用されたものとし、断続的に検出した端末IDの最初の時刻から最後の時刻まで経過時間を1回の利用時間と算出するよう処理してもよい。
【0044】
平均利用時間算出部142がエリア内行動情報記憶部15に記録されているエリア内行動情報に基づいて、全ての小エリアの平均利用時間をグラフ生成部146へ出力すると、次に、総利用時間算出部143および複数人利用時間算出部144がそれぞれ総利用時間の算出処理と、複数人利用時間の算出処理を開始し、その後、交流度算出部145が処理を開始する。
まず、総利用時間算出部143が、各小エリアにおける総利用時間を算出する(ステップS103)。総利用時間は、上述したように、小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された時間の総計である。従って、総利用時間算出部143は、解析開始時刻から解析終了時刻の間の時刻を含むエリア内行動情報において、小エリアを示す位置IDに対応付けられて登録されている分単位の時刻の総計を算出し、これにより、小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された時間を示す総利用時間を算出する。例えば位置IDが、10時00分、10時01分、10時05分の時刻に対応付けられてエリア内行動情報から特定できた場合には、総利用時間は3分となる。そして、全ての小エリアのそれぞれについて総利用時間を算出する。総利用時間算出部143は、算出した各小エリアそれぞれの総利用時間と小エリアを示す位置IDとの組み合わせの情報を、交流度算出部145およびグラフ生成部146へ出力する。
【0045】
総利用時間算出部143の処理が終了すると、次に、制御部12の制御によって、複数人利用時間算出部144が、各小エリアで発生した複数人利用時間を算出する(ステップS104)。具体的には、複数人利用時間算出部144が、エリア内行動情報において、ある一つの小エリアの位置IDを選択し、当該位置IDとその位置IDに対応付けられた端末IDと分単位の時刻との組み合わせを抽出する。そして、複数人利用時間算出部144は、それら組み合わせの中から、同時刻に異なる端末IDが出現する組み合わせを抽出し、その抽出された組み合わせにおいて、出現する分単位の時刻の総計である複数人利用時間を算出する。つまり、算出された複数人利用時間は、小エリアが複数人によって利用された時間の総計である。そして、複数人利用時間算出部144は、算出した各小エリアそれぞれの複数人利用時間と小エリアを示す位置IDとの組み合わせの情報を、交流度算出部145およびグラフ生成部146へ出力する。
【0046】
総利用時間算出部144の処理が終了すると、次に、制御部12の制御に基づいて交流度算出部145が小エリアごとの交流度の算出を行う(ステップS105)。この交流度は、上述したように、小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間における、当該小エリアが複数の人物によって利用された複数人利用時間の割合(複数人利用時間÷総利用時間)により算出される。つまり、交流度算出部145はある小エリアIDを選択し、当該小エリアIDに対応する総利用時間と複数人利用時間を、総利用時間算出部143と複数人利用時間算出部144から入力した情報内から特定する。そして、複数人利用時間÷総利用時間により、選択した小エリアIDが示す小エリアの交流度を算出する。そして、交流度算出部145は、全ての小エリアの交流度を算出し、グラフ生成部146へ出力する。
【0047】
次に、グラフ生成部146や解析結果出力部147が、平均利用回数算出部141、平均利用時間算出部142、交流度算出部145よりそれぞれ入力した、各小エリアそれぞれのエリアIDに対応する平均利用回数、平均利用時間、交流度に基づいて、グラフや解析結果データを生成する(ステップS106)。そして、解析結果出力部147は、生成されたグラフや解析結果データを、エリア利用状況解析システム1に接続されたモニタ等に出力表示する(ステップS107)。
【0048】
図7はグラフ生成部の生成したグラフを示す第1の図である。
図7で示すグラフは、図5で示したa〜hの各小エリアについて解析した、一週間における平均利用回数と、一回あたりの平均利用時間と、交流度とを示す図である。当該図において、横軸は平均利用回数、縦軸は平均利用時間であり、円の大きさが交流度を示している。また、当該グラフの各交流度を示す円には、各小エリアの識別子(a〜h)が対応付けられて表示される。このようなグラフを出力することにより、解析対象エリア内に設けられた各小エリアの利用傾向を容易に把握できる。つまり、各小エリアの平均利用回数、平均利用時間、交流度が一目で把握でき、今後の解析対象エリアにおける机や椅子の配置、小エリアの大きさ、解析対象エリア内における小エリアの位置などの変更を計画する際に有効に利用することができる。
【0049】
図8はグラフ生成部の生成したグラフを示す第2の図である。
図8で示すグラフは、図7で示すグラフを作成するにあたり解析対象エリアを測定した期間Tから、任意の期間が経過した後の期間T’において測定した結果に基づく図7と同様のグラフである。例えば、オフィスのレイアウト変更直後に図7で示すグラフを作成し、1年後に図8で示すグラフを作成したとする。このように、エリア利用状況解析システム1が異なる期間において測定した情報に基づいて各小エリアの平均利用回数、平均利用時間、交流度の関係を表すグラフを作成することで、解析対象エリアに設けられた各小エリアの利用傾向の変動を一目で把握することができるようになる。
【0050】
図9は交流度と利用回数と利用時間との関係に応じた場の用途の定義を示す図である。
オフィス内の部屋やスペースにおいて、平均利用回数が多く、平均利用時間が短い場所は、アイディアを出す場(i)であると考えることができる。また、平均利用回数が少なく、平均利用時間が長い場所は、アイディアをまとめる場(iii)であると考えることができる。また平均利用回数および平均利用時間が長くも短くもない中程度の場所は、アイディアを練る場(ii)であると考えることができる。またアイディアを出す場、アイディアを練る場、アイディアをまとめる場の、それぞれにおいて、交流度が大,中,小と異なる場所がある。これにより、図9で示すような9通りの小エリアの用途を概念的に分けることができる。
なお、アイディアを出す場(利用回数:大,利用時間:短)における交流度小である小エリアをA−i、当該アイディアを出す場における交流度中である小エリアをB−i、当該アイディアを出す場における交流度大である小エリアをC−iの、用途を示す識別子で表すとする。
また、アイディアを練る場(利用回数:中,利用時間:中)における交流度小である小エリアをA−ii、当該アイディアを出す場における交流度中である小エリアをB−ii、当該アイディアを出す場における交流度大である小エリアをC−iiの、用途を示す識別子で表すとする。
また、アイディアをまとめる場(利用回数:小,利用時間:長)における交流度小である小エリアをA−iii、当該アイディアを出す場における交流度中である小エリアをB−iii、当該アイディアを出す場における交流度大である小エリアをC−iiiの、用途を示す識別子で表すとする。
そして、エリア利用状況解析システム1は、交流度の値によって、当該交流度の大,中,小を定め、また、利用回数や利用時間の値によって、利用回数の多,中,少と、平均利用時間の長,中,短を定めて、メモリ等に記録しておくものとする。また、上述した各小エリアの用途を示す識別子に対応付けて、当該用途を示す交流度(大,中,小)と平均利用回数(多,中,少)と平均利用時間(長,中,短)の種別をメモリ等に記録しておくものとする。
【0051】
図10は解析結果出力部が生成する解析結果を示す第1の図である。
グラフ生成部146は、図7や図8で示したグラフ上に、アイディアを出す場(i)、アイディアを練る場(ii)、アイディアをまとめる場(iii)、のそれぞれの範囲を図10の(A)で示すように出力してもよい。このような表示により、ユーザは、各小エリアについての情報が、どの用途に利用されているのかを一目で把握することができる。
また、解析結果出力部147が、図5で示した実際の解析対象エリアを示す図上に、ユーザから選択を受け付けた用途に対応するする小エリアをハイライト表示するような図10(B)で示す情報を出力するようにしてもよい。この場合、解析結果出力部147が、例えば、用途の識別子であるC−iiを受け付け、当該用途C−iiに対応付けられてメモリに記録されている交流度(大)、平均利用回数(中)、平均利用時間(中)を検出し、当該交流度、平均利用回数、平均利用時間が算出された、小エリアを示す位置IDを、平均利用回数算出部141、平均利用時間算出部142、交流度算出部145の算出結果から特定する。そしてその特定に基づいて、解析結果出力部147は、図10(B)で示すような解析対象エリアの図中において、選択入力された用途C−iiに該当すると考えられる小エリア(b)に色を設定して表示する。
【0052】
図11は解析結果出力部が生成する解析結果を示す第2の図である。
解析結果出力部147は、図11で示すように、解析対象エリア(オフィス)において小エリア(部屋やスペースなど)が表示された図に、各小エリアについて算出した交流度を表示した解析結果データを生成して出力するようにしてもよい。このとき、解析結果出力部147は、交流度を当該交流度の値の大きさを示す円により、対応する小エリア上に表示する解析結果データを生成する。
【0053】
図12は解析結果出力部が生成する解析結果を示す第3の図である。
解析結果出力部147は、図12で示すように、解析対象エリアについて小エリアをどのようにレイアウトするかを元々決定した計画段階の際のレイアウトプラン時における各小エリアの用途と、実用段階の解析対象エリアについて実際に解析した場合の各小エリアの用途とを、表した解析結果を出力するようにしてもよい。この場合、解析結果出力部は、元々のレイアウトプランのデータをデータベース等から読み取って出力するととともに、現在の各小エリアの交流度、平均利用回数、平均利用時間に応じた用途を示す識別子を特定して、当該用途を表す識別子や色を小エリアが示す範囲上に表示した解析対象エリアを、元々のレイアウトプランの解析対象エリアと並べて表示した解析結果データ(図12)を生成し、出力するようにしてもよい。
【0054】
図13はグラフ生成部の生成したグラフを示す第3の図である。
エリア利用状況解析システム1は、上述した平均利用時間、平均利用回数、交流度の他に、各小エリアの利用率を算出し、その解析結果をグラフ生成部146が、図13で示すようなグラフにして出力するようにしてもよい。この場合、エリア利用状況解析システム1の利用状況解析部14が利用率算出部をさらに備え、利用率算出部が、エリア内行動情報記憶部15からエリア内行動情報を読み取って、各小エリアの利用率を算出する。当該利用率は、入力された任意の分単位で表される期間における、当該期間中の総利用時間の割合(期間中の総利用時間÷任意期間)で算出できる。なお、総利用時間は、上述したように、小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された時間の総計である。そして、グラフ生成部146は、利用率算出部によって算出された各小エリアの任意期間中の利用率を、小エリアごとに表示した図13で示されるグラフを生成、解析結果出力部147が当該グラフを出力する。これにより、ユーザは各小エリアの任意期間中における利用率を一目で把握することができるようになる。
【0055】
図14はグラフ生成部の生成したグラフを示す第4の図である。
図14で示すグラフは、図13で示すグラフを作成するにあたり解析対象エリアを測定した期間Tから、任意の期間が経過した後の期間T’において測定した結果に基づく図13と同様のグラフである。例えば、オフィスのレイアウト変更直後に図13で示すグラフを作成し、1年後に図14で示すグラフを作成したとする。このように、エリア利用状況解析システム1が異なる期間において測定した情報に基づいて各小エリアの利用率を表すグラフを作成することで、解析対象エリアに設けられた各小エリアの利用傾向の変動を一目で把握することができるようになる。ここで、グラフ生成部146は、図14で示すように、期間Tで測定した情報に基づいて生成した利用率の情報と、期間T’で測定した情報に基づいて生成した利用率の情報とが同時に把握できるように棒グラフで表示するグラフであって、かつ、利用率の変量が折れ線グラフで示されたグラフを生成するようにしてもよい。利用率の変量は各小エリアについて期間T’で算出された利用率から期間Tで算出された利用率を減じることにより算出することができる。
【0056】
図15はグラフ生成部の生成したグラフを示す第5の図である。
図15で示すグラフは、ある小エリアfにおける時間帯ごとの利用率と交流度を示すグラフであり、グラフ生成部146は、このようなグラフを生成するようにしてもよい。この場合、利用率算出部が、8時から18時までの各1時間をそれぞれ任意の期間として、各時間における利用率を上記同様に算出する。また利用率算出部は、8時から18時までを1つの任意の期間として、平均の利用率を同様に算出する。また、交流度算出部145も同様に、8時から18時までの各1時間のそれぞれにおける交流度と、8時から18時までを1つの期間とした平均の交流度を算出する。そして、グラフ生成部146が、各利用率を棒グラフで、また各交流度を折れ線グラフで出力する。
このようなグラフを出力することにより、平均の交流度と平均の利用率がほぼ同じ値を示す場合であっても、各時間帯によって、交流度と利用率が異なる傾向を示すことを把握することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の処理によれば、発信器や端末から送信され、情報記憶部に蓄積されたエリア内行動情報に基づいて、解析対象エリア内に設けられた各小エリアの利用状況を示す解析結果を出力している。これにより、解析対象エリア内に設定された各小エリアの用途や、その小エリアで発生する交流度を一目で把握することが可能となり、オフィスなどの解析対象エリアの新規構成、もしくは再構成を提案するために有用な情報として利用することができる。
【0058】
なお、上述のエリア利用状況解析システム、発信器、端末は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0059】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1・・・エリア利用状況解析システム
2・・・発信器
3・・・端末
11・・・通信処理部
12・・・制御部
13・・・エリア内行動情報取得部
14・・・利用状況解析部
15・・・エリア内行動情報記憶部
141・・・平均利用回数算出部
142・・・平均利用時間算出部
143・・・総利用時間算出部
144・・・複数人利用時間算出部
145・・・交流度算出部
146・・・グラフ生成部
147・・・解析結果出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象エリア内に存在する人物を識別する人物識別情報と、前記解析対象エリア内に設けられた複数の小エリアのうち前記人物識別情報で特定される人物が位置する小エリアの識別情報と、当該小エリアの識別情報で示される小エリアに前記人物識別情報で特定される人物が存在する存在時刻とを取得し、当該取得した人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせを、エリア内行動情報記憶部へ蓄積するエリア内行動情報取得部と、
前記蓄積された複数の前記人物識別情報と前記小エリアの識別情報と前記存在時刻との組み合わせの情報に基づいて、前記小エリアそれぞれの利用状況を解析する利用状況解析部と、
を備えることを特徴とするエリア利用状況解析システム。
【請求項2】
前記利用状況解析部は、
エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、ある小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間と、当該小エリアが複数の人物によって利用された複数人利用時間とを算出し、前記総利用時間に対する複数人利用時間の割合を示す前記小エリアにおける交流度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のエリア利用状況解析システム。
【請求項3】
前記利用状況解析部は、
前記解析対象エリアにおける複数の前記小エリアそれぞれについて算出された前記交流度を、前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内における該当する小エリアに関連付けて出力する解析結果出力部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のエリア利用状況解析システム。
【請求項4】
前記解析結果出力部は、前記交流度を、その大きさによって表した図形により前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内に出力する
ことを特徴とする請求項3に記載のエリア利用状況解析システム。
【請求項5】
前記解析結果出力部は、予め記録された前記解析対象エリア内に設けられた前記小エリアのレイアウトプラン時の利用状況をともに出力する
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のエリア状況解析システム。
【請求項6】
前記利用状況解析部は、
エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、小エリアが任意の期間において少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間の、前記任意の期間における割合に基づいて前記小エリアの利用率を算出する利用率算出部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエリア状況解析システム。
【請求項7】
エリア利用状況解析システムにおけるエリア利用状況解析方法であって、
エリア内行動情報取得部が、解析対象エリア内に存在する人物を識別する人物識別情報と、前記解析対象エリア内に設けられた複数の小エリアのうち前記人物識別情報で特定される人物が位置する小エリアの識別情報と、当該小エリアの識別情報で示される小エリアに前記人物識別情報で特定される人物が存在する存在時刻とを取得し、当該取得した人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせを、エリア内行動情報記憶部へ蓄積し、
利用状況解析部が、前記蓄積された複数の前記人物識別情報と前記小エリアの識別情報と前記存在時刻との組み合わせの情報に基づいて、前記小エリアそれぞれの利用状況を解析する
ことを特徴とするエリア利用状況解析方法。
【請求項8】
前記利用状況解析部は、
エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、ある小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間と、当該小エリアが複数の人物によって利用された複数人利用時間とを算出し、前記総利用時間に対する複数人利用時間の割合を示す前記小エリアにおける交流度を算出する
ことを特徴とする請求項7に記載のエリア利用状況解析方法。
【請求項9】
前記利用状況解析部に備えられた解析結果出力部は、
前記解析対象エリアにおける複数の前記小エリアそれぞれについて算出された前記交流度を、前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内における該当する小エリアに関連付けて出力する
ことを特徴とする請求項8に記載のエリア利用状況解析システム。
【請求項10】
前記解析結果出力部は、前記交流度を、その大きさによって表した図形により前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内に出力する
ことを特徴とする請求項9に記載のエリア利用状況解析方法。
【請求項11】
前記解析結果出力部は、予め記録された前記解析対象エリア内に設けられた前記小エリアのレイアウトプラン時の利用状況をともに出力する
ことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のエリア状況解析方法。
【請求項12】
前記利用状況解析部に備えられた利用率算出部は、
エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、小エリアが任意の期間において少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間の、前記任意の期間における割合に基づいて前記小エリアの利用率を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエリア状況解析システム。
【請求項13】
エリア利用状況解析システムのコンピュータを、
解析対象エリア内に存在する人物を識別する人物識別情報と、前記解析対象エリア内に設けられた複数の小エリアのうち前記人物識別情報で特定される人物が位置する小エリアの識別情報と、当該小エリアの識別情報で示される小エリアに前記人物識別情報で特定される人物が存在する存在時刻とを取得し、当該取得した人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせを、エリア内行動情報記憶部へ蓄積するエリア内行動情報取得手段、
前記蓄積された複数の前記人物識別情報と前記小エリアの識別情報と前記存在時刻との組み合わせの情報に基づいて、前記小エリアそれぞれの利用状況を解析する利用状況解析手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
前記利用状況解析手段が、
エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、ある小エリアが少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間と、当該小エリアが複数の人物によって利用された複数人利用時間とを算出し、前記総利用時間に対する複数人利用時間の割合を示す前記小エリアにおける交流度を算出する
ことを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記利用状況解析手段が、
前記解析対象エリアにおける複数の前記小エリアそれぞれについて算出された前記交流度を、前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内における該当する小エリアに関連付けて出力する
ことを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記解析結果出力手段が、前記交流度を、その大きさによって表した図形により前記解析対象エリアと前記小エリアとを示す図内に出力する
ことを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記解析結果出力手段が、予め記録された前記解析対象エリア内に設けられた前記小エリアのレイアウトプラン時の利用状況をともに出力する
ことを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記利用状況解析手段が、エリア内行動情報記憶部に蓄積された、前記複数の人物識別情報と小エリアの識別情報と存在時刻との組み合わせに基づいて、小エリアが任意の期間において少なくとも一人の人物によって利用された総利用時間の、前記任意の期間における割合に基づいて前記小エリアの利用率を算出する
ことを特徴とする請求項13から請求項17のいずれか一項に記載のエリア状況解析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−118727(P2012−118727A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267428(P2010−267428)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)