説明

エレベータの乗場ドア装置の養生器具

【課題】建設中の建物に先行設置される乗場ドア装置の汚れを防止することが可能な養生器具を提供することである。
【解決手段】養生器具10は、器具本体11と、器具本体11を上階乗場57の開口58周りの乗場壁61に引っ掛ける取り付け部12とを備え、器具本体11は、上階乗場57の床面をカバーすると共に、昇降路55内に延出する本体プレート13と、本体プレート13の両側に設けられ、昇降路壁56に隙間なく接触して乗場ドア装置50の両側部分の上方をカバーする2つのサイドプレート14とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗場ドア装置の養生器具に関し、特に建設中の建物に先行設置されるエレベータの乗場ドア装置の養生器具に関する。
【背景技術】
【0002】
建設中のマンション等において、下層階を先行して完成させ、モデルルームとして公開するケースが増えてきている。このようなケースでは、下層階のエレベータ乗場だけに乗場ドア装置を先行設置することが多いが、上層階は建設中であるため、例えば、昇降路の壁面(昇降路壁)を伝って上方からコンクリート混じりの水等が流れ落ちてきて乗場ドア装置を汚すことがある。
【0003】
図8は、下階乗場に先行設置された乗場ドア装置50を昇降路内から見た図である(ロック装置等の記載を省略している)。同図に示すように、養生器具を使用しない場合には、乗場ドア装置50のドアパネル51、ガイドレール等を含むハンガーケース52、敷居53、三方枠54等に、昇降路壁56を伝って流れ落ちてきたコンクリート混じりの水等(コンクリート63)が付着する。このような状態になれば、清浄化するのが大変であり、汚れがひどい場合には乗場ドア装置50の取替えを余儀なくされることもある。そこで、ビニールシート等で乗場ドア装置50をカバーして、乗場ドア装置50が汚れないように養生している。
【0004】
なお、エレベータの養生器具は、従来から幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、工事中のエレベータにおいて乗場の開口部を塞いで昇降路内への転落等を防止する養生装置が開示されている。また、特許文献2には、建築資材等の搬入・搬出作業等においてエレベータの損傷を防止する養生構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001‐130851号公報
【特許文献2】特開2008‐24404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ビニールシートで乗場ドア装置50をカバーする方法では、昇降路壁56を伝って上方から流れてくるコンクリート混じりの水等を防ぐことができず、乗場ドア装置50の汚れを十分に防止することができない。また、特許文献に開示されている養生器具等を用いても建設中の建物に先行設置される乗場ドア装置の汚れを十分に防止することはできない。
【0007】
本発明の目的は、建設中の建物に先行設置される乗場ドア装置の汚れを防止することが可能な養生器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベータの乗場ドア装置の養生器具は、建設中の建物において、上階乗場の開口を利用して取り付けられ、下階乗場に先行設置された乗場ドア装置を養生する器具であって、乗場ドア装置の上方をカバーする器具本体と、器具本体を上階乗場の開口周りに引っ掛ける取り付け部と、を備えることを特徴とする。即ち、本発明に係る養生器具は、取り付け部を上階乗場の開口周りに引っ掛けた状態で、器具本体が乗場ドア装置の上方をカバーするように構成されている。
【0009】
上記構成によれば、器具本体により乗場ドア装置の上方がカバーされるので、昇降路壁を伝って流れ落ちてきたコンクリート混じりの水等を遮断でき、建設中に先行設置される乗場ドア装置にコンクリート等が付着して汚れることを防止することが可能である。さらに、器具本体は、取り付け部により上階乗場の開口を利用して簡単に取り付けることが可能である。
【0010】
また、本発明に係る養生器具において、器具本体は、上階乗場の床面をカバーすると共に、昇降路内に延出する本体プレート、及び本体プレートの両側に設けられ、昇降路壁に隙間なく接触して、乗場ドア装置の両側部分の上方をカバーするサイドプレートから構成されることが好ましい。また、当該構成において、本体プレートは、例えば、上階乗場の開口の幅に応じて、その幅を伸縮させることが可能なスライド構造を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る養生器具において、器具本体は、乗場ドア装置の全幅にわたって、乗場ドア装置の上方の昇降路壁に隙間なく接触する構成とすることもできる。
【0012】
また、本発明に係る養生器具において、器具本体は、少なくとも昇降路壁に接触する部分に止水部材が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るエレベータの乗場ドア装置の養生器具によれば、昇降路壁を伝って上方から流れてくるコンクリート混じりの水等を乗場ドア装置の上方で遮断して、乗場ドア装置の汚れを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態である乗場ドア装置の養生器具を上階乗場の開口に取り付けた状態を示す模式図であって、建設中の昇降路を示す図である。
【図2】図1の養生器具を示す斜視図である。
【図3】図2の養生器具を上階乗場の開口に取り付けた状態を示す斜視図であって、昇降路側から見た図である。
【図4】図2の養生器具を上階乗場の開口に取り付けた状態を示す斜視図であって、上階乗場側から見た図である。
【図5】図2の養生器具を上階乗場の開口に取り付けた状態を示す上面図である。
【図6】本発明の第2実施形態である乗場ドア装置の養生器具を上階乗場の開口に取り付けた状態を示す模式図であって、第1実施形態の図1に対応する図である。
【図7】図6の養生器具を示す斜視図であって、第1実施形態の図3に対応する図である。
【図8】養生器具を設置しない場合の乗場ドア装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を用いて、本発明に係るエレベータの乗場ドア装置の養生器具の実施形態につき、以下詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る乗場ドア装置の養生器具は、上階乗場57の開口58には乗場ドア装置が設置されておらず、下階乗場59の開口60のみに乗場ドア装置50が先行設置された場合において、当該乗場ドア装置50の養生に用いられるものとして説明する。
【0016】
図1及び図6に例示する建設中の建物では、乗りかご(未設置)が昇降する昇降路55が上方から最下部のピット62まで完成しているが、先行して公開される部分(下階乗場59)以外の上層階の乗場(上階乗場57)はまだ建設中である。このような建設中の建物では、上記のように、上層階においてコンクリートを使用した作業が行われることがあるので、例えば、昇降路壁56を伝って上方からコンクリート混じりの水等が流れ落ちてくることがある。
【0017】
<第1実施形態>
図1に示すように、乗場ドア装置の養生器具10(以下、養生器具10とする)は、乗場ドア装置が未設置の上階乗場57の開口58を利用して取り付けられ、下階乗場59の開口60に先行設置された乗場ドア装置50を養生する器具である。なお、開口とは、昇降路55内を昇降する乗りかごに乗り降りするための乗降口になる部分である。同図に示すように、養生器具10は、乗場ドア装置50の上方をカバーする器具本体11と、器具本体11を上階乗場57の開口58周りに引っ掛ける取り付け部12とを備えている。
【0018】
養生器具10は、取り付け部12を上階乗場57の開口58周りの乗場壁61に引っ掛けた状態で、本体器具11が、昇降路壁56に密着して、乗場ドア装置50の上方をその厚み方向及び幅方向にわたって完全にカバーするように構成されている。ゆえに、養生器具10は、昇降路壁56を伝って、或いはダイレクトに流れ落ちてくるコンクリート混じりの水等を乗場ドア装置50の上方で遮断して、乗場ドア装置50にコンクリート63等が付着して汚れないように養生保護することができる。なお、養生器具10により遮断されたコンクリート混じりの水等は、例えば、ピット62に落下する。
【0019】
ここで、図2を参酌して、養生器具10の構成を詳細に説明する。
【0020】
図2に示すように、器具本体11は、本体プレート13と、本体プレート13の両側に設けられる2つのサイドプレート14とから構成される。器具本体11は、取り扱い性向上の観点から、軽量性の高い薄いプレート形状(板状体)であることが好ましく、また、耐久性やコストを満足できるものであれば、金属製のプレート(SUS板)に限られず樹脂製プレートを適用することもできる。
【0021】
なお、以下では、器具本体11の構成を説明する際に用いる方向について、上階乗場57の開口58に器具本体11が取り付けられたときに、乗場壁61に垂直な方向を器具本体11の前後方向(乗場ドア装置50の厚み方向と同一方向)、乗場壁61に沿った方向を器具本体11の左右方向又は幅方向(乗場ドア装置50の幅方向と同一方向)とする。
【0022】
本体プレート13は、上階乗場57の開口58を利用して設置されたときに、開口58部分の床面をカバーすると共に、昇降路55内に延出するプレートである(図3等参照)。本体プレート13は、開口58部分の床面をカバーでき、乗場ドア装置50の厚みに相当する前後方向の長さを有する。当該前後方向の長さは、取り扱い性等に支障がない限り、乗場ドア装置50の厚みを超えて延出することが好ましい(図1参照)。本体プレート13の左右方向の長さは、開口58の全幅に相当し、本体プレート13の左右両側が開口58の壁面に接触することが好ましい。
【0023】
また、本体プレート13は、その幅を伸縮させることが可能なスライド構造15を有する。本体プレート13は、2つの部材から構成され、スライド構造15は、一方の部材(第1部材とする)が他方の部材(第2部材とする)に出し入れ可能な構造とすることができる。図2に示す例では、取り付け部12に固定された第2部材の前後方向の端部がコの字状に折り曲げられて、第1部材を幅方向にスライド可能に支持するガイドが形成された構造である。当該スライド構造15を備えることによって、養生器具10は、開口58の幅が異なるエレベータにも容易に適用することができる。
【0024】
また、本体プレート13は、前後方向の中間部において、昇降路壁56に沿うように折れ曲げられた形状を有している。即ち、本体プレート13は、図2の手前から順に、乗場ドア装置50の上方をカバーする前方部13a、昇降路壁56に沿う中間部13b、及び開口58部分の床面をカバーする後方部13cが、それぞれ平坦なプレートを折り曲げることで形成されている。例えば、本体プレート13は、中間部13bの裏面と後方部13cの裏面とのなす角度が略90°となるように裏面側に折り曲げられ、中間部13bの表面と前方部13aの表面とがなす角度が、例えば、95°〜120°となるように表面側に折り曲げられたステップ状の形状を有する。前方部13aが下方に傾斜するように折り曲げられるのは、遮断した水等が本体プレート13上に溜まらないようにするためである。このような形態であれば、本体プレート13が変形し難く、機械的強度を高めることができる等の利点がある。
【0025】
また、本体プレート13には、幅方向の端部であって、昇降路壁56及び開口58の壁面に接触する部分に、止水部材16が設けられている。止水部材16は、ゴム等の柔軟な部材から構成され、昇降路壁56に隙間なく密着する部材である。例えば、吸水性ポリマーを添加した水膨張性のゴム(シーリング材)を止水部材16に適用することもできる。また、止水部材16は、開口58の全幅に沿った堰となるように、本体プレート13の後方部13cの裏面にも設けられる(後述の図4参照)。
【0026】
サイドプレート14は、昇降路壁56に隙間なく接触して、乗場ドア装置50の両側部分(ドアパネル51の両側)の上方をカバーするプレートであり、上記のように、本体プレート13の両側に設けられている。本体プレート13の幅は、開口58の幅に相当するから、サイドプレート14は、少なくとも開口60の両側に位置する部分をカバーすることが可能な幅を有する。また、乗場ドア装置50は、センターオープン型のドアであるから、2つのサイドプレート14は、同一サイズとすることができる。サイドプレート14の前後方向の長さは、例えば、本体プレート13と同じ長さである。
【0027】
また、サイドプレート14は、ヒンジ17により本体プレート13に取り付けられ、折り畳み可能な形態を有している。ゆえに、未使用時には、サイドプレート14を折り畳んで、コンパクトに収納することができる。なお、サイドプレート14は、遮断した水等が溜まらないように先端側が下方に傾斜していることが好ましい。サイドプレート14の展開形態は、例えば、ヒンジ17の調整やストッパの設置等により保持することができる。
【0028】
また、サイドプレート14は、昇降路壁56に隙間なく接触するために、本体プレート13に設けられるものと同様の止水部材16を有する。止水部材16は、サイドプレート14の昇降路壁56に接触する部分に設けられ、昇降路壁56を伝って流れ落ちる水等を遮断する。
【0029】
図2に示すように、取り付け部12は、器具本体11を開口58周りの乗場壁61に引っ掛ける部材であり、断面が四角形の細長い棒形状を有している。取り付け部12の中間部分には、本体プレート13の第2部材が固定(例えば、ビス固定)されており、取り付け部12の両端部分が開口58周りの乗場壁61であって開口58の両側にそれぞれ当接する。即ち、取り付け部12の長さは、開口58の幅よりも長い。なお、取り付け部12としては、本体プレート13と連結でき、開口58周りの乗場壁61に引っ掛けられる部分を有するものであれば、棒形状に限定されず種々の形状のものを適用できる。
【0030】
ここで、図3〜図5を参酌して、養生器具10の設置形態を説明する。
【0031】
図3に示すように、養生器具11は、上階乗場57の開口58を利用して取り付けられる。まず初めに、収納状態で折り畳まれていた2つのサイドプレート14を展開して、器具本体11を開口58から昇降路55内に入れる。このとき、サイドプレート14が乗場壁61に当らないように幅方向を鉛直方向に向ける、或いは昇降路55内に入れてからサイドプレート14を展開してもよい。
【0032】
次に、取り付け部12の両端を開口58の両側の乗場壁61に当接させて、器具本体11を引っ掛ける。そして、本体プレート13の後方部13cの両側に設けられた止水部材16が開口58の壁面に密着するように、スライド構造15をスライドさせて本体プレート13の幅を調整する。このとき、本体プレート13の中間部13bに設けられた止水部材16、及びサイドプレート14に設けられた止水部材16は、昇降路壁56に隙間なく密着して、図3に示す設置形態(取り付け状態)となる。
【0033】
なお、例えば、取り付け部12の両端を開口58の両側の乗場壁61に引っ掛けた状態で、サイドプレート14の止水部材16等が昇降路壁56にうまく密着せず、隙間があく場合には、取り付け部12の棒に図示しない調整用のリング等を嵌めて器具本体11の位置を微調整することもできる。
【0034】
図4は、養生器具10を設置した状態を上階乗場57から見た図である。図4に示すように、取り付け部12が乗場壁61に当接して器具本体11を保持している。また、本体プレート13の後方部13cの裏面に設けられた止水部材16が、開口58の全幅にわたって床面に密着した堰を形成しており、例えば、上階乗場57から昇降路55に流れ込もうとする水等を堰き止める。
【0035】
図5は、養生器具10を設置した状態の上面図である。図5に示すように、器具本体11は、開口58の壁面及び昇降路壁56に接触して、乗場ドア装置50の上方を完全にカバーしている。また、後方部13cの裏面の止水部材16は、第1部材及び第2部材のそれぞれに設けられると共に、両部材が前後にずれて且つ両部材の間に隙間が生じないように設けられている。ゆえに、本体プレート13のスライドが可能であると共に、上階乗場57から昇降路55に流れ込もうとする水等を堰き止めることができる。
【0036】
以上のように、養生器具10は、器具本体11と、器具本体11を上階乗場57の開口58周りの乗場壁61に引っ掛ける取り付け部12とを備え、器具本体11は、上階乗場57の床面をカバーすると共に、昇降路55内に延出する本体プレート13と、本体プレート13の両側に設けられ、昇降路壁56に隙間なく接触して乗場ドア装置50の両側部分の上方をカバーする2つのサイドプレート14とから構成される。なお、器具本体11には、開口58の壁面及び昇降路壁56に接触する部分に止水部材16が設けられる。
養生器具10によれば、昇降路壁56を伝って上方から流れてくるコンクリート混じりの水等を乗場ドア装置50の上方で遮断して、乗場ドア装置50の汚れを防止することが可能になる。
【0037】
なお、上記では、養生器具10は、センターオープン型の乗場ドア装置50をカバーするものとして説明したが、サイドオープン型の乗場ドア装置にも適用することができる。サイドオープン型の乗場ドア装置は、通常、左右の長さ(ドアパネル51の両側部分の幅)が異なるので、2つのサイドプレート14のサイズを異なったものとすることができる。
【0038】
<第2実施形態>
図6に示すように、乗場ドア装置の養生器具30(以下、養生器具30とする)は、養生器具10と同様に、上階乗場57の開口58を利用して取り付けられ、下階乗場59の開口60に先行設置された乗場ドア装置50を養生する器具である。なお、以下では、第1実施形態の説明と重複する部分は省略する。
【0039】
養生器具30は、器具本体31と、取り付け部32とを備えている。器具本体31は、器具本体11と同様に、乗場ドア装置50の上方をカバーする部材であるが、その形態が器具本体11と異なっている。また、取り付け部32も、取り付け部12と同様に、器具本体31を上階乗場57の開口58周りの乗場壁61に引っ掛けるための部材であるが、その形態が取り付け部12と異なっている。
【0040】
ここで、図7を参酌して、養生器具30の具体的な構成及び設置形態を詳述する。
【0041】
図7に示すように、養生器具30の器具本体31は、乗場ドア装置50の全幅にわたって、乗場ドア装置50の上方の昇降路壁56に隙間なく接触して、乗場ドア装置50の上方をカバーする。即ち、器具本体31の幅は、少なくとも乗場ドア装置50の全幅に相当する。なお、器具本体31の前後方向の長さは、乗場ドア装置50の厚みに相当する長さよりも長いことが好ましい(図6参照)。器具本体31は、平坦で幅方向に長くなった平面視矩形状のプレート(板状体)であって、器具本体11のように、本体プレート13及びサイドプレート14に別れていない。
【0042】
また、器具本体31は、その長辺の一方が昇降路壁56に接触するように吊り下げられ、当該長辺には、昇降路壁56に隙間なく密着するように止水部材33(止水部材16と同様のゴム等を適用できる)が設けられている。さらに、器具本体31及び取り付け部32は、幅方向の中央部分で2つの部材に分離・接続可能なジョイント構造を有することができ、養生器具30の取り扱い性を向上させることができる。
【0043】
取り付け部32は、支持部34と、器具本体31の表面に取り付けられるハンガーアーム35とから構成されている。支持部34は、取り付け部12に類似した棒状の部材であって、その両端が乗場壁61の両側にそれぞれ当接するように設計されている。支持部34の中間域には、器具本体31につながったハンガーアーム35が取り付けられている。なお、ハンガーアーム35の取り付け構造としては、支持部34の軸を中心に回転可能で器具本体31の設置角度等を調整可能な構造とすることが好ましい。
【0044】
ハンガーアーム35は、器具本体31を吊り下げるアームであって、ハンガーアーム35と器具本体31との取り付け構造も、器具本体31を適切な角度で下方に傾けて設置できるように、角度調整可能な構造であることが好ましい。ハンガーアーム35には、器具本体31を吊り下げ可能な耐久性が要求され、例えば、金属製の棒から構成される。また、ハンガーアーム35は、支持部34の両端を乗場壁61に当接させて引っ掛けた状態で、器具本体31の止水部材33が乗場ドア装置50の上方の昇降路壁56に接触する長さに設定される。取り扱い性の観点から、好ましくは開口58の近傍の昇降路壁56に器具本体31が保持される長さであることが好ましい。
【0045】
上記構成を備えた養生器具30は、開口58の幅や乗場壁61の厚みが違う現場においても容易に取り付けることが可能であり、養生器具10と同様に、昇降路壁56を伝って上方から流れてくるコンクリート混じりの水等を乗場ドア装置50の上方で遮断して、乗場ドア装置50の汚れを防止することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
<第1実施形態>
10 乗場ドア装置の養生器具、11 器具本体、12 取り付け部、13 本体プレート、14 サイドプレート、15 スライド構造、16 止水部材、17 ヒンジ、50 乗場ドア装置、51 ドアパネル、52 ハンガーケース、53 敷居、54 三方枠、55 昇降路、56 昇降路壁、57 上階乗場、58 上階乗場の開口、59 下階乗場、60 下界乗場の開口、61 乗場壁、62 ピット、63 コンクリート。
【0047】
<第2実施形態>
30 乗場ドア装置の養生器具、31 器具本体、32 取り付け部、33 止水部材、34 支持部、35 ハンガーアーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設中の建物において、上階乗場の開口を利用して取り付けられ、下階乗場に先行設置された乗場ドア装置を養生する器具であって、
乗場ドア装置の上方をカバーする器具本体と、
器具本体を上階乗場の開口周りに引っ掛ける取り付け部と、
を備えることを特徴とするエレベータの乗場ドア装置の養生器具。
【請求項2】
請求項1に記載の乗場ドア装置の養生器具において、
器具本体は、
上階乗場の床面をカバーすると共に、昇降路内に延出する本体プレートと、
本体プレートの両側に設けられるサイドプレートであって、昇降路壁に隙間なく接触して、乗場ドア装置の両側部分の上方をカバーするサイドプレートと、
から構成されることを特徴とするエレベータの乗場ドア装置の養生器具。
【請求項3】
請求項1に記載の乗場ドア装置の養生器具において、
器具本体は、
乗場ドア装置の全幅にわたって、乗場ドア装置の上方の昇降路壁に隙間なく接触することを特徴とするエレベータの乗場ドア装置の養生器具。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の乗場ドア装置の養生器具において、
器具本体は、少なくとも昇降路壁に接触する部分に止水部材が設けられていることを特徴とするエレベータの乗場ドア装置の養生器具。
【請求項5】
請求項2に記載の乗場ドア装置の養生器具において、
本体プレートは、その幅を伸縮させることが可能なスライド構造を有することを特徴とするエレベータの乗場ドア装置の養生器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−251832(P2011−251832A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128179(P2010−128179)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】