説明

エンコード装置およびエンコード方法

【課題】加工機の速度を抑えることなく、インラインでエンコード処理し、さらに、狭ピッチで配置されたICタグに対して、電波干渉を防止することが可能なエンコード装置を提供する。
【解決手段】エンコード装置1000は、搬送方向に沿って直列に配置され、ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタ3a〜3cと、搬送方向に沿って、搬送されるシートとリーダ/ライタ3a〜3cとの間に配置され、電磁波を遮蔽可能であり、さらに搬送されて対面したICタグとリーダ/ライタ3a〜3cとの通信のための開口部5a〜5cがリーダ/ライタ3a〜3cのアンテナに対向する部分に形成された遮蔽板4と、複数のリーダ/ライタ3a〜3cを制御するリーダ/ライタ制御回路2と、ICタグの搬送およびリーダ/ライタ制御回路2を制御する上位制御回路1と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シート上に配置されたICタグのエンコード装置およびエンコード方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICタグのエンコード処理には、エアインターフェイスの規格(ISO基準)が決められている。
【0003】
ICタグとリーダ/ライタとの間の電波的な処理速度は、既述の規格で決まるため、技術的に高速化する余地はない。
【0004】
しかし、リーダ/ライタとPCとの間の通信処理を高速化することで、トータルのエンコード処理時間を短縮することは可能である。
【0005】
但し、1台のリーダ/ライタでは、一般的な加工機の処理速度(例えば、10,000rph程度)には及ばない。
【0006】
ここで、複数のリーダ/ライタ設置により、処理速度の高速化を図る従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、連続送りの搬送制御において、インレット側をシールドする方法を提案している。
【0007】
しかし、上記従来技術は、狭ピッチで配置されたICタグに対して、電波干渉を防止するための対策を開示するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許4504053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、加工機の速度を抑えることなく、インラインでエンコード処理し、さらに、狭ピッチで配置されたICタグに対して、電波干渉を防止することが可能なエンコード装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るエンコード装置は、
帯状のシートに一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向に前記シートと共に搬送される複数のICタグに対して、所定のデータをエンコード処理するエンコード装置であって、
前記搬送方向に沿って直列に配置され、前記ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタと、
前記搬送方向に沿って、搬送される前記シートと前記リーダ/ライタとの間に配置され、電磁波を遮蔽可能であり、さらに搬送された前記ICタグと前記リーダ/ライタとの間の通信のための開口部が前記リーダ/ライタのアンテナに対向する領域に形成された遮蔽板と、
前記複数のリーダ/ライタを制御するリーダ/ライタ制御回路と、
前記ICタグの搬送および前記リーダ/ライタ制御回路を制御する上位制御回路と、を備える
ことを特徴とする。
【0011】
上記エンコード装置において、
前記ICタグは、略矩形のバーアンテナを有し、且つ、前記バーアンテナの長辺方向と前記搬送方向とが前記シートの表面上で略垂直になるように、前記シート上に配置されていてもよい。
【0012】
上記エンコード装置において、
前記開口部の前記搬送方向における幅は、前記バーアンテナの短辺よりも長くてもよい。
【0013】
上記エンコード装置において、
前記バーアンテナは、ダイポール型のアンテナであってもよい。
【0014】
上記エンコード装置において、
前記バーアンテナの長辺方向の長さは、送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1であってもよい。
【0015】
上記エンコード装置において、
前記複数のリーダ/ライタのうちの第1のリーダ/ライタのアンテナに対向する前記開口部から、前記第1のリーダ/ライタに隣接する第2のリーダ/ライタのアンテナに対向する前記開口部の手前までの間において、前記シートに配置されている前記ICタグの数は、前記複数のリーダ/ライタの総数では割りきれない数であってもよい。
【0016】
上記エンコード装置において、
前記複数のリーダ/ライタのうちの第1のリーダ/ライタの第1の出力電波の周波数チャネルは、前記第1のリーダ/ライタに隣接する第2のリーダ/ライタの第2の出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されていてもよい。
【0017】
上記エンコード装置において、
前記第1のリーダ/ライタの第1の出力電波に応じてICタグから出力された応答電波の周波数チャネルは、前記第2のリーダ/ライタの第2の出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されていてもよい。
【0018】
上記エンコード装置において、
前記リーダ/ライタは、任意に選択した相互に異なる2つ以上の周波数チャネルで制御され、且つ、前記リーダ/ライタ毎に2つ選択される周波数チャネルがすべて異なっていてもよい。
【0019】
上記エンコード装置において、
前記シートは、前記ICタグのアンテナと前記開口部とが対応するように、所定間隔の間欠送りで、前記搬送方向に搬送されてもよい。
【0020】
上記エンコード装置において、
前記所定間隔は、前記ICタグの前記搬送方向における幅と前記リーダ/ライタの数との積に対応する値であってもよい。
【0021】
上記エンコード装置において、
前記リーダ/ライタが出力する出力電波および入力される応答電波の帯域は、UHF帯であってもよい。
【0022】
上記エンコード装置において、
前記シートは、ロール状に巻かれており、
前記上位制御回路は、ロール状に巻かれた前記シートを回転させて繰り出すことにより、前記リーダ/ライタ上を前記ICタグが通過させるように制御するようにしてもよい。
【0023】
本発明の他の態様に係るエンコード装置は、
帯状のシートに一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向に前記シートと共に搬送される複数のICタグに対して、所定のデータをエンコード処理するエンコード装置であって、
前記搬送方向に沿って直列に配置され、前記ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタと、
前記複数のリーダ/ライタを制御するリーダ/ライタ制御回路と、
前記ICタグの搬送および前記リーダ/ライタ制御回路を制御する上位制御回路と、を備え、
前記複数のリーダ/ライタのうちの第1のリーダ/ライタの第1の出力電波の周波数チャネルは、前記第1のリーダ/ライタに隣接する第2のリーダ/ライタの出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されている
ことを特徴とする。
【0024】
本発明の一態様に係るエンコード方法は、
帯状のシートに配列されたICタグの搬送方向に沿って直列に配置され、前記ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタと、前記搬送方向に沿って、搬送されるシートと前記リーダ/ライタとの間に配置され、電磁波を遮蔽可能であり、さらに搬送された前記ICタグと前記リーダ/ライタとの間の通信のための開口部が前記リーダ/ライタのアンテナに対向する領域に形成された遮蔽板と、前記複数のリーダ/ライタを制御するリーダ/ライタ制御回路と、前記ICタグの搬送および前記リーダ/ライタ制御回路を制御する上位制御回路と、を備えたエンコード装置によりICタグをエンコードするエンコード方法であって、
帯状のシートに一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向に前記シートと共に搬送される複数のICタグに対して、前記複数のリーダ/ライタにより所定のデータをエンコード処理する
ことを特徴とする。
【0025】
本発明の他の態様に係るエンコード方法は、
帯状のシートに配列されたICタグの搬送方向に沿って直列に配置され、前記ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタと、前記複数のリーダ/ライタを制御するリーダ/ライタ制御回路と、前記ICタグの搬送および前記リーダ/ライタ制御回路を制御する上位制御回路と、を備えたエンコード装置によりICタグをエンコードするエンコード方法であって、
帯状のシートに一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向に前記シートと共に搬送される複数のICタグに対して、前記複数のリーダ/ライタにより所定のデータをエンコード処理し、
前記複数のリーダ/ライタのうちの第1のリーダ/ライタの第1の出力電波の周波数チャネルは、前記第1のリーダ/ライタに隣接する第2のリーダ/ライタの出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかるエンコード装置およびエンコード方法によれば、複数のリーダ/ライタを1台の上位制御回路で制御することで、1台のエンコード装置でエンコードの高速化を図ることができる。
【0027】
すなわち、一般的な加工機の処理速度(例えば、10,000rph)と同等のエンコード処理が可能である。さらに、加工機の速度を抑えることなく、インラインでエンコード処理が可能(ソースタギング)である。
【0028】
さらに、遮蔽板を利用したシールド処理を施すことにより、物理的に干渉を防止することができる。
【0029】
さらに、周波数ホッピングを利用して、隣接するリーダ/ライタからの出力電波と、隣接するタグからの応答電波の周波数チャネルが一致しないようにすることにより、電波的な干渉を防止することができる。すなわち、狭ピッチで配置されたICタグに対して、電波干渉を防止することが可能である。
【0030】
すなわち、本発明にかかるエンコード装置およびエンコード方法によれば、加工機の速度を抑えることなく、インラインでエンコード処理し、さらに、狭ピッチで配置されたICタグに対して、電波干渉を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の一態様である実施例1に係るエンコード装置1000の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示すエンコード装置1000でICタグ(インレット)100が並んで配置されたシートを搬送しながらエンコードする一例を示す図である。
【図3】図3は、ICタグ100が並んで配置された図2に示すシート200の構成の一例を示す平面図である。
【図4】図4は、図3に示すICタグ100の構成の一例を示す上面図である。
【図5】図5は、図4に示すICタグ100のA−A線に沿った断面の一例を表す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明によるエンコード装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の実施例では、リーダ/ライタが3個の場合を示しているが、リーダ/ライタが2個以上であれば、本発明は適用することができ、同様の作用効果を奏することができる。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係るエンコード装置1000の構成の一例を示す図である。また、図2は、図1に示すエンコード装置1000でICタグ(インレット)100が並んで配置されたシート200を搬送しながらエンコードする一例を示す図である。なお、簡単のため、図2において、図1に示す上位制御回路1およびリーダ/ライタ制御回路2は省略されている。
【0034】
図1、図2に示すように、エンコード装置1000は、帯状のシート200に一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向Xにシート200と共に搬送される複数のICタグ100に対して、所定のデータをエンコード処理するようになっている。
【0035】
このエンコード装置1000は、図1に示すように、上位制御回路(上位PC)1と、リーダ/ライタ制御回路(ファームウェア)2と、複数のリーダ/ライタ3a〜3cと、遮蔽板4と、を備える。
【0036】
ここで、複数のリーダ/ライタ3a〜3cは、搬送方向Xに沿って直列に配置されている。このリーダ/ライタ3a〜3cは、ICタグ100と通信してエンコード処理するようになっている。このリーダ/ライタ3a〜3cは、例えば、ICタグ100への書き込みが完了したか否かの情報をリーダ/ライタ制御回路2へそれぞれ出力する。
【0037】
例えば、複数のリーダ/ライタ3a〜3cのうちのリーダ/ライタ3aの出力電波の周波数チャネルは、リーダ/ライタ3aに隣接するリーダ/ライタ3bの出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されている。
【0038】
これにより、隣接するリーダ/ライタ間の出力電波の干渉を抑制することができる。
【0039】
さらに、リーダ/ライタ3aの出力電波に応じてICタグ100から出力された応答電波の周波数チャネルは、第2のリーダ/ライタ3a〜3cの出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されている。
【0040】
これにより、ICタグ100から出力された応答電波が、隣接するリーダ/ライタから出力された出力電波と干渉するのを抑制することができる。
【0041】
特に、リーダ/ライタ3a〜3cは、任意に選択した相互に異なる2つ以上の周波数チャネルで制御され、且つ、リーダ/ライタ3a〜3c毎に2つ選択される周波数チャネルがすべて異なる(例えば、選択される周波数チャネルが200kHz毎に設定される)。
【0042】
なお、リーダ/ライタ3a〜3cが出力する出力電波および入力される応答電波の帯域は、例えば、UHF帯である。
【0043】
また、遮蔽板4は、搬送方向Xに沿って、シート200の表面とこの遮蔽板4の表面とが平行になるように、搬送されるシート200とリーダ/ライタ3a〜3cとの間に配置されている。この遮蔽板4は、ICタグ100とリーダ/ライタ3a〜3cとの間の通信に使用される電磁波を遮蔽可能である。この遮蔽板4は、例えば、金属等の導電体で構成されている。
【0044】
さらに、遮蔽板4は、搬送されたICタグ100とリーダ/ライタ3a〜3cとの間の通信のための開口部5a〜5cが、リーダ/ライタ3a〜3cのアンテナ(図示せず)に対向する領域にそれぞれ形成されている。
【0045】
また、リーダ/ライタ制御回路2は、複数のリーダ/ライタ3a〜3cを制御する。このリーダ/ライタ制御回路2は、例えば、ICタグ100への書き込みが完了したか否かの情報を各リーダ/ライタ3a〜3cから受けると、その情報を上位制御回路1へ出力する。
【0046】
上位制御回路1は、ICタグ100の搬送およびリーダ/ライタ制御回路2を制御するようになっている。この上位制御回路1は、それぞれのICタグ100への書き込みが完了したか否かの情報に基づいて、書き込みの完了の全体的な判定を実行する。
【0047】
ここで、シート200は、ロール状に巻かれている。上位制御回路1による搬送系の制御により、このロール状に巻かれたシート200を回転させて繰り出すことにより、リーダ/ライタ3a〜3c上をICタグ100が通過させるように制御する。
【0048】
特に、上位制御回路1による搬送系の制御により、シート200は、ICタグ100のアンテナと開口部5a〜5cとが対応するように、所定間隔の間欠送りで、搬送方向Xに搬送される。
【0049】
なお、所定間隔は、ICタグ100の搬送方向Xにおける幅(すなわちインレットのピッチ)dsとリーダ/ライタ3a〜3cの数(ここでは3個)との積に対応する値に設定される。
【0050】
例えば、図2に示すように、複数のリーダ/ライタのうちのリーダ/ライタ3aのアンテナに対向する開口部5aから、リーダ/ライタ3aに隣接するリーダ/ライタ3bのアンテナに対向する開口部3bの手前までの間において、シート200に配置されているICタグ100の数(例えば、4個)は、複数のリーダ/ライタ3a〜3cの総数(3個)では割りきれない数である。
【0051】
これにより、あるリーダ/ライタで一度エンコード処理されたICタグ100は、他のリーダ/ライタによりエンコード処理されないように搬送される。
【0052】
すなわち、リーダ/ライタ3aでエンコード処理されるICタグ100は、リーダ/ライタ3b、3cではエンコード処理されない。同様に、リーダ/ライタ3bでエンコード処理されるICタグ100は、リーダ/ライタ3a、3cではエンコード処理されない。同様に、リーダ/ライタ3cでエンコード処理されるICタグ100は、リーダ/ライタ3a、3bではエンコード処理されない。
【0053】
以上のような構成を有するエンコード装置1000において、電波干渉を抑制するための条件の一例について説明する。図2に示すように、遮蔽板4とICタグ100との間の距離Aは、所定の読取率を得るために、例えば、5mm±2mmの範囲に設定される。
また、図2に示すように、遮蔽板4とリーダ/ライタ3a〜3cのアンテナとの間の距離Bは、所定の読取率を得るために、例えば、5mm±1mmの範囲に設定される。
【0054】
また、図2に示すように、遮蔽板4の開口部5a〜5cの幅Cは、インレットピッチと同等サイズが適当であり、例えば、16mm程度に設定される。
【0055】
また、図2に示すように、搬送方向Xにおいて、ICタグ100の書込み可能範囲Dは、開口部5a〜5cの幅Cに比例し、例えば、14mm以下になる。
【0056】
また、図2に示すように、リーダ/ライタ3a〜3cのアンテナの設置間隔Eは、間隔が大きい程、有利であり、電波干渉しない最小間隔に設定され、例えば、176mm以上に設定される。
【0057】
ここで、図3は、ICタグ100が並んで配置された図2に示すシート200の構成の一例を示す平面図である。また、図4は、図3に示すICタグ100の構成の一例を示す上面図である。また、図5は、図4に示すICタグ100のA−A線に沿った断面の一例を表す断面図である。なお、図4において、簡単のため、層間膜100dおよび第2の基材100eは省略されている。また、図5において、シート200に相当する部分は図示されていない。
【0058】
図3ないし図5に示すように、ICタグ100は、略矩形のバーアンテナ100b1、100b2を有し、且つ、バーアンテナ100b1、100b2の長辺方向Yと搬送方向Xとがシート200の表面上で略垂直になるように、シート200上に配置されている。
【0059】
なお、図2に示す開口部5a〜5cの搬送方向Xにおける幅は、バーアンテナ100b1、100b2の短辺よりも長くなるように設定されている。
【0060】
これにより、対向する位置に搬送されたICタグとリーダ/ライタとの通信の効率を向上しつつ、隣接するICタグからの電磁波を遮蔽板4により遮蔽することができる。
【0061】
また、ICタグ100は、第1の基材100aと、ダイポール型のバーアンテナ100b1、100b2と、ICチップ100cと、層間膜100dと、第2の基材100eと、を備える。
【0062】
第1の基材100aは、矩形の形状を有する。例えば、第1の基材100aの厚さは、12μm〜38μmである。
【0063】
この第1の基材100aは、例えば、紙、フィルム等で構成されている。なお、この第1の基材100aに用いられるフィルムの素材としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルフイド)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリウレタン等が選択される。
【0064】
バーアンテナ100b1、100b2は、例えば、ダイポール型のアンテナである。このバーアンテナ100b1、100b2は、それぞれ、第1の基材100a上に設けられ、第1の基材100aの長辺方向に延びる矩形の形状を有する。このバーアンテナ100b1、100b2は、導体で構成される。すなわち、このバーアンテナ100b1、100b2は、例えば、Al、Ag等の金属箔で構成される。
【0065】
なお、バーアンテナ100b1、100b2の表面抵抗値は、例えば、幅1mm、長さ10mmの領域において0.01Ω〜10Ωの範囲である。
【0066】
また、例えば、バーアンテナ100b1、100b2の長辺方向の全体の長さは、送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1である。ここでは、バーアンテナ100b1、100b2の長辺方向の全体の長さd1は、例えば、95.03mmである。また、このバーアンテナ100b1、100b2の幅方向の幅d2は、例えば、8.14mmである。このバーアンテナ100b1、100b2の厚さは9μm〜20μmである。また、ICタグ100の搬送方向Xにおける幅(すなわちインレットのピッチ)dsは、例えば、15.88mmである。
【0067】
このバーアンテナ100b1、100b2は、後述のように、帯状の導電材料テープから、貼付、転写、または、接着により、第1の基材100a上に、所定の長さで形成される。
【0068】
そして、ICチップ100cは、バーアンテナ100b1、100b2にそれぞれ電気的に接続されている。
【0069】
図4、図5の例では、ICチップ100cは、バーアンテナ100b1、100b2の端部の上部に接続されている。
【0070】
このICチップ100cは、情報を記憶するためのメモリ部(図示せず)と、該メモリ部への情報の記憶動作、該メモリ部からの情報の読み出し動作、および、無線通信動作を制御する制御部(図示せず)を有する。
【0071】
このICチップ100cは、バーアンテナ100b1、100b2を介して、リーダ・ライタ3a〜3c等の質問器(Interrogator)へ情報を読み出し、または、該質問器からバーアンテナ100b1、100b2を介して入力された情報を記憶する。
【0072】
層間膜100dは、第1の基材100aと第2の基材100eとの間に形成されている。この層間膜100dは、例えば、例えば、アクリルゴム等の粘着剤や熱可塑性接着剤で構成されている。例えば、熱可塑性接着剤は、エチルビニルアセテート(EVA)樹脂、ポリウレタン樹脂、または、アクリル樹脂の何れかである。この場合、層間膜100dは、第1の基板1と第2の基板6とを固定(接着)する役割を有する。
【0073】
また、第2の基材100eは、層間膜100d上およびICチップ100cに設けられている。
【0074】
この第2の基材100eは、例えば、紙、フィルム等で構成されている。なお、この第2の基材100eに用いられるフィルムの素材としては、既述の第1の基材100aに用いられるフィルムの素材と同様の素材が用いられる。
【0075】
以上のような構成を有するICタグ100は、ICチップ100cから、バーアンテナ100b1、100b2を介して、該質問器へ情報を読み出し、または、該質問器からバーアンテナ100b1、100b2を介して入力された情報をICチップ100cへ記憶する。
【0076】
また、ICタグ100は、バーアンテナ100b1、100b2の形状、大きさ等に応じて、該質問器との交信距離が異なるようになっている。このICタグ100は、該質問器との交信周波数が、例えば、800MHzから10GHzの範囲である。
【0077】
また、このようなICタグ100は、例えば、例えば、両面テープ(図示せず)により本の背表紙の表面に貼り付けられている。また、ICタグ100は、該背表紙に対向しない面(上面)に、ラベル表紙(図示せず)が、例えば、アクリル系の粘着剤により、貼り付けられる。
【0078】
なお、図4、図5に示すICタグ100の構成は一例であり、同様の機能を有する構成であれば本発明は同様に適用される。
【0079】
以上の構成を有するエンコード装置1000を用いたエンコード方法の一例について説明する。
【0080】
先ず、エンコード装置1000は、上位制御回路1による搬送系の制御により、ロール状に巻かれたシート200を回転させて繰り出すことにより、リーダ/ライタ3a〜3c上をICタグ100が通過させるように制御する。
【0081】
このとき、上位制御回路1による搬送系の制御により、シート200は、ICタグ100のアンテナと開口部5a〜5cとが対応するように、所定間隔の間欠送りで、搬送方向Xに搬送される。
【0082】
そして、エンコード装置1000は、帯状のシート200に一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向Xにシート200と共に搬送される複数のICタグ100に対して、複数のリーダ/ライタ3a〜3cにより所定のデータをエンコード処理する。
【0083】
以上のように、複数のリーダ/ライタを1台の上位制御回路で制御することで、1台のエンコード装置でエンコードの高速化を図ることができる。
【0084】
すなわち、一般的な加工機の処理速度(例えば、10,000rph)と同等のエンコード処理が可能である。さらに、加工機の速度を抑えることなく、インラインでエンコード処理が可能(ソースタギング)である。
【0085】
さらに、遮蔽板を利用したシールド処理を施すことにより、物理的に干渉を防止することができる。
【0086】
さらに、周波数ホッピングを利用して、隣接するリーダ/ライタからの出力電波と、隣接するタグからの応答電波の周波数チャネルが一致しないようにすることにより、電波的な干渉を防止することができる。
【0087】
すなわち、狭ピッチで配置されたICタグに対して、電波干渉を防止することが可能である。
【0088】
以上のように、本実施例に係るエンコード装置によれば、加工機の速度を抑えることなく、インラインでエンコード処理し、さらに、狭ピッチで配置されたICタグに対して、電波干渉を防止することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 上位制御回路(上位PC)
2 リーダ/ライタ制御回路(ファームウェア)
3a〜3c リーダ/ライタ
4 遮蔽板
5a〜5c 開口部
100 ICタグ(インレット)
100a 第1の基材
100b1、100b2 バーアンテナ
100c ICチップ
100d 層間膜
100e 第2の基材
1000 エンコード装置
X 搬送方向(短辺方向)
Y 長辺方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシートに一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向に前記シートと共に搬送される複数のICタグに対して、所定のデータをエンコード処理するエンコード装置であって、
前記搬送方向に沿って直列に配置され、前記ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタと、
前記搬送方向に沿って、搬送される前記シートと前記リーダ/ライタとの間に配置され、電磁波を遮蔽可能であり、さらに搬送された前記ICタグと前記リーダ/ライタとの間の通信のための開口部が前記リーダ/ライタのアンテナに対向する領域に形成された遮蔽板と、
前記複数のリーダ/ライタを制御するリーダ/ライタ制御回路と、
前記ICタグの搬送および前記リーダ/ライタ制御回路を制御する上位制御回路と、を備える
ことを特徴とするエンコード装置。
【請求項2】
前記ICタグは、略矩形のバーアンテナを有し、且つ、前記バーアンテナの長辺方向と前記搬送方向とが前記シートの表面上で略垂直になるように、前記シート上に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンコード装置。
【請求項3】
前記開口部の前記搬送方向における幅は、前記バーアンテナの短辺よりも長いことを特徴とする請求項2に記載のエンコード装置。
【請求項4】
前記バーアンテナは、ダイポール型のアンテナであることを特徴とする請求項2または3に記載のエンコード装置。
【請求項5】
前記バーアンテナの長辺方向の長さは、送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1である
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載のエンコード装置。
【請求項6】
前記複数のリーダ/ライタのうちの第1のリーダ/ライタのアンテナに対向する前記開口部から、前記第1のリーダ/ライタに隣接する第2のリーダ/ライタのアンテナに対向する前記開口部の手前までの間において、前記シートに配置されている前記ICタグの数は、前記複数のリーダ/ライタの総数では割りきれない数である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のエンコード装置。
【請求項7】
前記複数のリーダ/ライタのうちの第1のリーダ/ライタの第1の出力電波の周波数チャネルは、前記第1のリーダ/ライタに隣接する第2のリーダ/ライタの第2の出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のエンコード装置。
【請求項8】
前記第1のリーダ/ライタの第1の出力電波に応じてICタグから出力された応答電波の周波数チャネルは、前記第2のリーダ/ライタの第2の出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されている
ことを特徴とする請求項7に記載のエンコード装置。
【請求項9】
前記リーダ/ライタは、任意に選択した相互に異なる2つ以上の周波数チャネルで制御され、且つ、前記リーダ/ライタ毎に2つ選択される周波数チャネルがすべて異なる
ことを特徴とする請求項7または8に記載のエンコード装置。
【請求項10】
前記シートは、前記ICタグのアンテナと前記開口部とが対応するように、所定間隔の間欠送りで、前記搬送方向に搬送されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のエンコード装置。
【請求項11】
前記所定間隔は、前記ICタグの前記搬送方向における幅と前記リーダ/ライタの数との積に対応する値である
ことを特徴とする請求項10に記載のエンコード装置。
【請求項12】
前記リーダ/ライタが出力する出力電波および入力される応答電波の帯域は、UHF帯であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載のエンコード装置。
【請求項13】
前記シートは、ロール状に巻かれており、
前記上位制御回路は、ロール状に巻かれた前記シートを回転させて繰り出すことにより、前記リーダ/ライタ上を前記ICタグが通過させるように制御する
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載のエンコード装置。
【請求項14】
帯状のシートに一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向に前記シートと共に搬送される複数のICタグに対して、所定のデータをエンコード処理するエンコード装置であって、
前記搬送方向に沿って直列に配置され、前記ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタと、
前記複数のリーダ/ライタを制御するリーダ/ライタ制御回路と、
前記ICタグの搬送および前記リーダ/ライタ制御回路を制御する上位制御回路と、を備え、
前記複数のリーダ/ライタのうちの第1のリーダ/ライタの第1の出力電波の周波数チャネルは、前記第1のリーダ/ライタに隣接する第2のリーダ/ライタの出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されている
ことを特徴とするエンコード装置。
【請求項15】
帯状のシートに配列されたICタグの搬送方向に沿って直列に配置され、前記ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタと、前記搬送方向に沿って、搬送されるシートと前記リーダ/ライタとの間に配置され、電磁波を遮蔽可能であり、さらに搬送された前記ICタグと前記リーダ/ライタとの間の通信のための開口部が前記リーダ/ライタのアンテナに対向する領域に形成された遮蔽板と、前記複数のリーダ/ライタを制御するリーダ/ライタ制御回路と、前記ICタグの搬送および前記リーダ/ライタ制御回路を制御する上位制御回路と、を備えたエンコード装置によりICタグをエンコードするエンコード方法であって、
帯状のシートに一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向に前記シートと共に搬送される複数のICタグに対して、前記複数のリーダ/ライタにより所定のデータをエンコード処理する
ことを特徴とするエンコード方法。
【請求項16】
帯状のシートに配列されたICタグの搬送方向に沿って直列に配置され、前記ICタグと通信してエンコード処理するための複数のリーダ/ライタと、前記複数のリーダ/ライタを制御するリーダ/ライタ制御回路と、前記ICタグの搬送および前記リーダ/ライタ制御回路を制御する上位制御回路と、を備えたエンコード装置によりICタグをエンコードするエンコード方法であって、
帯状のシートに一定間隔で配列され且つ所定の搬送方向に前記シートと共に搬送される複数のICタグに対して、前記複数のリーダ/ライタにより所定のデータをエンコード処理し、
前記複数のリーダ/ライタのうちの第1のリーダ/ライタの第1の出力電波の周波数チャネルは、前記第1のリーダ/ライタに隣接する第2のリーダ/ライタの出力電波の周波数チャネルと異なるように設定されている
ことを特徴とするエンコード方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243217(P2012−243217A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115044(P2011−115044)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】