説明

エンジン

【課題】作業機に搭載された後であっても、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができるエンジンを提案するものである。
【解決手段】コモンレール81からの燃料を気筒に噴射するインジェクタ84と、インジェクタ84を作動させる噴射アクチュエータ86と、エンジン100の各種装置の状態を検出する複数のセンサ150〜157と、噴射アクチュエータ86および複数のセンサにそれぞれの一端を接続する複数の第一ハーネス110と、複数の第一ハーネス110の他端を接続する第一中継コネクタ123とを備え、複数の第一ハーネス110の他端および第一中継コネクタ123は、コモンレール81が配置される側に配置し、作業機200・300に搭載された制御装置90に複数の第二ハーネス95を介して接続された第二中継コネクタ96と接続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関し、より詳細には、エンジン本体に取り付けられた電装部品を作業機の制御装置に接続するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コモンレール内に高圧燃料を蓄圧し、蓄圧された高圧の燃料を、適切な噴射量、噴射時期及び噴射圧で、各気筒の気筒内に噴射するコモンレール式のディーゼルエンジンは公知となっている。
例えば、特許文献1に示すように、コモンレール式のディーゼルエンジンには、多くの電装部品(各種センサおよび各種アクチュエータ等)が設けられており、それらの電装部品と制御装置(ECU:Engine Control Unit)とが個別の配線(ハーネス)を介して接続される。複数のハーネスは、それら電装部品から個々に引き出されて、制御装置に接続されている。
【0003】
このようなディーゼルエンジンを作業機に搭載した場合、作業機の構造上、作業者が搭載後のディーゼルエンジンのメンテナンスを行うことができる作業位置が限られる。
しかしながら、エンジンの電装部品に接続される複数のハーネスは、個々にECUに接続され、集約的に配置されていなかったため、作業者が前記作業位置からメンテナンスを行いにくくなって、メンテナンスの煩雑化を招いていた。また、エンジンとコンバインの本体側の電装部品と互いに接続するハーネスとは、個々にフレーム等に固定されるため、統一性に欠け、メンテナンスを行う場合には狭い空間に配線されたハーネスをたどることとなって、短絡した場合などのメンテナンス性が劣る問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−220043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、作業機に搭載された後であっても、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができるエンジンを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、作業機のエンジンルームに搭載されるコモンレール式のエンジンであって、コモンレールに燃料を供給するサプライポンプと、前記コモンレールからの燃料を気筒に噴射するインジェクタと、前記インジェクタを作動させる噴射アクチュエータと、前記エンジンの各種装置の状態を検出する複数のセンサと、前記噴射アクチュエータおよび前記複数のセンサにそれぞれの一端を接続する複数の第一ハーネスと、前記複数の第一ハーネスの他端を接続する第一中継コネクタと、を備え、前記複数の第一ハーネスの他端および前記第一中継コネクタは、エンジン本体の前記コモンレールが配置される側に配置し、前記作業機に搭載された制御装置に複数の第二ハーネスを介して接続された第二中継コネクタと接続させるものである。
【0008】
請求項2においては、前記コモンレールが配置される側は、前記エンジンルームが開放可能な側とするものである。
【0009】
請求項3においては、前記複数の第一ハーネスの中途部は、前記第一中継コネクタと前記複数のセンサ及び前記噴射アクチュエータとの間で束ねてメインケーブルとし、前記メインケーブルは、クランク軸の軸心と略平行となるように配置するものである。
【0010】
請求項4においては、前記メインケーブルは、前記クランク軸の一端の近傍に配置されるサプライポンプと前記クランク軸の他端部に配置されるフライホイールとの間に配置するものである。
【0011】
請求項5においては、前記メインケーブルは、シリンダブロックと前記シリンダブロックの下部に位置するクランクケースとの境界近傍に沿って平行に配置するものである。
【0012】
請求項6においては、前記第一中継コネクタは、前記フライホイール近傍に配置するものである。
【0013】
請求項7においては、前記第一中継コネクタは、前記シリンダブロックまたは前記クランクケースの側面下部に配置されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、電装部品である噴射アクチュエータや複数のセンサから延びる複数の第一ハーネスが、作業機のエンジンルーム内でエンジン本体のコモンレールが配置される側に集中するように配線され、この側で第一中継コネクタ、第二中継コネクタ及び複数の第二ハーネスを介して、作業機に先に搭載された制御装置と一括して接続されることとなる。したがって、電装部品を制御装置にハーネスを介して接続しやすくなるとともに、その接続後でも第一ハーネスから当該第一ハーネスに接続される電装部品を判別しやすくなり、作業機に搭載された後であっても、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0016】
請求項2においては、複数の第一ハーネスをエンジンルームが開放可能な側に配置することで、エンジンルームの開放時に、複数の第一ハーネスを集中して接続する第一中継コネクタが外部に臨むこととなる。したがって、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0017】
請求項3においては、複数の第一ハーネスをその中途部では横方向に延びる一つのメインケーブルとして取り扱うことが可能となる。したがって、複数の第一ハーネスを取り扱いしやすくなり、作業機に搭載された後であっても、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0018】
請求項4においては、メインケーブルが、エンジンを作業機に搭載した場合にエンジンルーム内に形成される比較的広い空間に配置されることとなる。したがって、メインケーブルを取り扱いしやすくなり、作業機に搭載された後であっても、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0019】
請求項5においては、メインケーブルが、エンジンを作業機に搭載した場合にエンジンルーム内に形成される比較的広い空間に配置されることとなる。したがって、メインケーブルを取り扱いしやすくなり、作業機に搭載された後であっても、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0020】
請求項6においては、第一中継コネクタに接続する第二中継コネクタは複数の第二ハーネスを介して制御装置に接続されているため、作業機側の複数の第二ハーネスを同一の長さで短くすることができるとともに、作業機に搭載された後であっても、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0021】
請求項7においては、第一中継コネクタに接続する第二中継コネクタは複数の第二ハーネスを介して制御装置に接続されているため、作業機側の複数の第二ハーネスを同一の長さで短くにすることができるとともに、作業機に搭載された後であっても、ハーネスならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンが搭載される普通型コンバインの全体的な構成を示した右側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】同じく左側面図。
【図4】同じくエンジンカバーの開位置におけるエンジン部の構成を示した右側面図。
【図5】本発明の一実施形態に係るエンジンが搭載される自脱型コンバインの全体的な構成を示した右側面図。
【図6】同じく平面図。
【図7】同じく左側面図。
【図8】同じく穀粒タンクの開位置におけるエンジン部の構成を示した背面図。
【図9】本発明の一実施形態に係るエンジンの背面図。
【図10】同じく正面図。
【図11】同じく右側面図。
【図12】同じく左側面図。
【図13】同じく平面図。
【図14】エンジン内部の潤滑油の状態を示した図。(a)検油棒ガイドへ検油棒を取り付けた状態を示した部分断面図。(b)検油棒ガイドから検油棒を抜き取った状態を示した部分断面図。
【図15】本発明の一実施形態係るエンジンの燃料系の構成を示す図。
【図16】ECUと、エンジン本体及び作業機に取り付けられた電装製品との接続構造を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図1から図4を用いて、本発明の一実施形態に係るディーゼルエンジン(以下、「エンジン」と記載)100が搭載される作業機の一実施形態である普通型コンバイン200の全体構成について説明する。なお、作業機を走行可能なコンバインで説明を行うが、本発明の作業機は走行しない作業機であってもよい。
【0024】
コンバイン200は、機体フレーム210に対して、走行部220と、刈取部230と、脱穀部240と、選別部250と、穀粒貯溜部260と、排藁処理部270と、エンジン部280と、操縦部290とを備える。
【0025】
走行部220は、機体フレーム210の下部に設けられる。走行部220は、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置221等を有して、機体をクローラ式走行装置221により前進または後進方向に走行させることができるように構成される。
【0026】
刈取部230は、機体フレーム210の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部230は、圃場の穀稈を分草、掻込み、切断した後に、脱穀部240側へ搬送するように構成される。
【0027】
脱穀部240は、機体フレーム210の進行方向左側部に設けられ、刈取部230の後方に配置される。脱穀部240は、刈取部230から搬送される穀稈を後方へ送りながら脱穀し、その脱穀物を漏下させることができるように構成される。
【0028】
選別部250は、機体フレーム210の左側部に設けられ、脱穀部240の下方に配置される。選別部250は、脱穀部240から落下する脱穀物を穀粒や藁屑等に揺動選別し、選別後の穀粒を穀粒貯溜部260側へ搬送するように構成される。
【0029】
穀粒貯溜部260は、機体フレーム210の右側前後中央部に設けられ、脱穀部240および選別部250の右側方に配置される。穀粒貯溜部260は、穀粒タンク261等を有して、選別部250から搬送される穀粒を穀粒タンク261により貯溜することができるように構成される。穀粒タンク261には、穀粒排出装置262が接続され、これにより穀粒タンク261に貯溜中の穀粒が機体に対して任意の方向に排出可能とされる。
【0030】
排藁処理部270は、機体フレーム210の左側後端部に設けられ、脱穀部240の下方、かつ選別部250の後方に配置される。排藁処理部270は、脱穀部240からの脱穀済みの穀稈を排藁として外部へ排出するように構成される。
【0031】
エンジン部280は、機体フレーム210の右側後部に設けられ、穀粒貯溜部260の後方に配置される。エンジン部280は、エンジン100等を有して、エンジン100の動力を各部の各装置に適宜の伝動機構を介して供給し、エンジン100により各部の装置を駆動させることができるように構成される。
【0032】
操縦部290は、機体フレーム210の右側前部に設けられ、穀粒貯溜部260の前方に配置される。操縦部290は、ステアリングハンドル291および変速レバーを含む各種の操作具292、操縦席293、およびキャビン294等を有して、各部の装置等を操作具により操作し、操縦者を操縦席293に着座させ、操作具や操縦席293をキャビン294により覆うことができるように構成される。
【0033】
このようにして、コンバイン200は、操縦部290での操作具292の操作に応じて、エンジン部280からエンジン100の動力を各部の各装置に供給して、走行部220で機体を走行させながら、刈取部230で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部240で刈取部230からの穀稈を脱穀し、選別部250で脱穀部240からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部260で選別部250からの穀粒を貯溜するように構成される。
【0034】
次に、エンジン部280の構成について説明する。
【0035】
図1、図2および図4に示すように、エンジン部280は、穀粒貯溜部260の穀粒タンク261の後方であって、穀粒排出装置262の基部を収納する収納室263の前方に配置される。エンジン部280では、エンジン100が機体フレーム210の右側後部に支持され、その周囲にエンジンルーム281が穀粒タンク261と同程度の上下高さをもって形成される。エンジンルーム281の内部においては、エンジン100の上方にラジエータ282および冷却ファン283が配置される。冷却ファン283とラジエータ282とは、適宜にエンジン100に接続される。冷却ファン283はエンジン100からの駆動力によって回転し、ラジエータ282は冷却水をエンジン100に供給するように構成される。
【0036】
さらに、エンジン部280の上部には、プレクリーナ288が配置される。プレクリーナ288は、図示しないプレクリーナパイプおよび連結チューブ等を介して、エンジン部280内のエアクリーナに接続される。さらにエアクリーナは、連結チューブ等を介してエンジン100の本体(エンジン本体)に接続される。
【0037】
このような構成により、外気が前記プレクリーナ288から吸い込まれた場合、外気中の大きな塵や埃がプレクリーナ288により除去された後、一層細かな塵等がエアクリーナにより除去されて、外気の清浄化処理が行われる。そして、この清浄化された外気が、エンジン100の本体に吸い込まれて、エンジン100を駆動させるための燃焼に使用されることとなる。
【0038】
エンジン100およびラジエータ282の右側方には、エンジンカバー284が設けられる。エンジンカバー284は、エンジンルーム281の右側壁として当該エンジンルーム281を右外側から覆うように構成される。エンジンカバー284は、その外周縁部の後側に上下方向を長手とする支持軸を有し、当該支持軸を中心として矢印A方向に回動自在に支持される。これにより、エンジンカバー284は、エンジンルーム281を右外側から覆う閉位置、またはエンジンルーム281の右側を開放する開位置に移動可能とされる。エンジンカバー284が開位置にある場合、エンジンルーム281の右部が開放されて、エンジン100の右部が外部に臨むこととなる。
【0039】
さらに、穀粒排出装置262の基部を収納する収納室263の後部には、収容室カバー264が設けられる。収容室カバー264は、収納室263の後側壁として当該収納室263を後外側から覆うように構成される。収容室カバー264は、その外周縁部の左側に上下方向を長手とする支持軸を有し、当該支持軸を中心として矢印B方向に回動自在に支持される。これにより、収容室カバー264は、収納室263を後外側から覆う閉位置、または収納室263の後側を開放する開位置に移動可能とされる。エンジンルーム281の後部と収納室263の前部は連通されており、収容室カバー264が開位置にある場合、エンジンルーム281の後部が開放されて、エンジン100の後部が外部に臨むこととなる。
【0040】
このような構成により、コンバイン200は、搭載されたエンジン100のメンテナンスを、エンジンカバー284を開位置に移動させることによって、エンジンルーム281の右側から行うことができるとともに、収容室カバー264を開位置に移動させることによって、エンジンルーム281の後側から行うことができるようになっている。
【0041】
次に、図5から図8を用いて、本発明の一実施形態に係るエンジン100が搭載される作業機の一実施形態である自脱型コンバイン300の全体構成について説明する。
【0042】
コンバイン300には、前記普通型コンバイン200と同じく、機体フレーム310に対して、走行部320と、刈取部330と、脱穀部340と、選別部350と、穀粒貯溜部360と、排藁処理部370と、エンジン部380と、操縦部390とが備えられる。
機体フレーム310の下部には、走行部320が設けられる。機体フレーム310の前端部には、刈取部330が配置される。刈取部330の後方で機体フレーム310の左側部には、脱穀部340が配置される。
脱穀部340の下方には選別部350が配置され、脱穀部340の後方には、排藁処理部370が配置される。
【0043】
機体フレーム310の右側後部には、穀粒貯溜部360が設けられる。この穀粒貯溜部360は脱穀部340および選別部350の右側方に配置される。穀粒貯溜部360は、穀粒タンク361及び穀粒排出装置362を有し、穀粒排出装置362を穀粒タンク361に接続して、この穀粒排出装置362により穀粒タンク361に貯溜中の穀粒を機体に対して任意の方向に排出することができるように構成される。
機体フレーム310の右側前部には、操縦部390が設けられる。この操縦部390は穀粒貯溜部360の前方に配置される。操縦部390は、ステアリングハンドル391および変速レバーを含む各種の操作具392、操縦席393、およびキャビン394等を有して、各部の装置等を操作具により操作し、操縦者を操縦席293に着座させ、操作具392や操縦席393をキャビン394により覆うことができるように構成される。操縦部390の下方には、エンジン100等を有するエンジン部380が設けられ、さらに当該エンジン部380は穀粒貯溜部360の前方に配置される。
【0044】
このような構成によって、コンバイン300は、操縦部390における操作具392の操作に応じて、エンジン部380からエンジン100の動力を各部の各装置に供給して、走行部320で機体を走行させながら、刈取部330で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部340で刈取部330からの穀稈を脱穀し、選別部350で脱穀部340からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部360で選別部350からの穀粒を貯溜するように構成される。
【0045】
次に、エンジン部380の構成について説明する。
【0046】
エンジン部380には、前方から上方にかけて操縦部390に囲まれ、かつ後方を穀粒タンク361に囲まれるエンジンルーム381が形成される。エンジンルーム381内部では、エンジン100が機体フレーム310の右側後部に支持される。エンジン100の右側には、冷却ファン383が設置される。冷却ファン383の右側方には、ラジエータ382が冷却ファン383と所定間隔をとって配置される。冷却ファン383及びラジエータ382は、適宜にエンジン100に接続される。冷却ファン383はエンジンからの駆動力によって回転され、ラジエータ382は冷却水をエンジン100に供給することができるように構成される。エンジン100の本体の上方には、エアクリーナ(図示省略)が配置される。
【0047】
エンジン部380の上方には、プレクリーナ388が設けられる。プレクリーナ388は、操縦部390と穀粒貯溜部360との間の上部に配置される。プレクリーナ388は、図示しないプレクリーナパイプおよび連結チューブ等を介して、エンジンルーム381内のエアクリーナに接続される。エアクリーナは、連結チューブ等を介してエンジン100の本体に連結される。
【0048】
このような構成により、外気が前記プレクリーナ388から吸い込まれた場合、外気中の大きな塵や埃がプレクリーナ388により除去された後、一層細かな塵等がエアクリーナにより除去されて、外気の清浄化処理が行われる。そして、この清浄化された外気が、エンジン100の本体に吸い込まれ、エンジン100を駆動させるための燃焼に使用されることとなる。
【0049】
ラジエータ382の右側方には、エンジンカバー384が設けられる。エンジンカバー384は、エンジンルーム381の右側壁として当該エンジンルーム381を右外側から覆うように構成される。エンジンカバー384は、その外周縁部の後側に、上下方向の支持軸を有し、その支持軸を中心として、矢印C方向に回動可能に支持される。これにより、エンジンカバー384は、エンジンルーム381を右外側から覆う閉位置、またはエンジンルーム381を開放する開位置に移動可能とされる。エンジンカバー384が開位置にある場合、エンジンルーム381の右部が開放されて、エンジン100の右部が外部に臨むこととなる。
【0050】
さらに、穀粒タンク361は、内部に貯溜された穀粒を外部に排出するための穀粒排出装置362が接続される。穀粒排出装置362は、主に垂直方向を長手とする縦搬送装置362aおよび水平方向を長手とする横搬送装置362bより構成される。穀粒タンク361は、縦搬送装置362aを回動軸心として、矢印D方向に回動可能に構成される。これにより、穀粒タンク361は、操縦部390およびエンジン部380を後側から覆い、穀粒を貯溜可能な閉位置、または操縦部390およびエンジン部380の後側を開放し穀粒タンク361の掃除が可能な開位置に移動可能とされる。穀粒タンク361が開位置にある場合、エンジンルーム381の後部が開放されて、エンジン100の後部が外部に臨むこととなる。
【0051】
このような構成により、コンバイン300は、搭載されたエンジン100のメンテナンスを、エンジンカバー384を開位置に移動させることによって、エンジンルーム381の右側から行うことができるとともに、穀粒タンク361を開位置に移動させることによって、エンジンルーム381の後側から行うことができるようになっている。
【0052】
以下では、本発明に係るエンジンの実施の一形態であるエンジン100について、図9から図13を参照して説明する。なお、便宜上、コンバイン200・300を単に「作業機」と表記して説明を行う。加えて、エンジン100が作業機(図1および図5参照)に配置された際の方向を基準として説明を行う。つまり、本実施形態においては、後述するエンジン100の排気マニホールド40が設置される側を前側、吸気マニホールド30が設置される側を後側と規定して、これらの方向に基づいて説明を行う。
【0053】
まず、エンジン100の全体構造について説明する。本実施形態のエンジン100は、前述のような汎用型や自脱型のコンバイン(作業機)に搭載される四気筒の汎用型ディーゼルエンジンである。
【0054】
エンジン100は、エンジン本体と、エンジン本体に取り付けられた電装部品(各種センサおよび各種アクチュエータ)と、第一ハーネス110と、中継コネクタ盤121とを備える。
【0055】
エンジン本体においては、複数のシリンダがシリンダブロック1に上下方向に形成されて、ピストンが各シリンダに上下に摺動可能に収容される。そして、シリンダヘッド2がシリンダブロック1の上面に載置されて、気筒がシリンダ内のピストンとシリンダヘッド2との間に形成される。シリンダヘッド2の後側面には、吸気マニホールド30が設けられる。シリンダヘッド2の前側面には、排気マニホールド40が設けられる。
【0056】
シリンダヘッド2の右側面の上部には、ウォーターポンプ20が固設される。ウォーターポンプ20の駆動により、前記作業機のラジエータ282・382(図1および図5参照)からの冷却水が、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2に形成されたウォータージャケットに送り込まれて、これらのシリンダブロック1およびシリンダヘッド2が冷却される。こうして、エンジン100は、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2と冷却水との間における熱交換を図り、エンジン100全体の温度上昇を抑制している。
【0057】
ウォーターポンプ20の後部には、冷却水温センサ150が取り付けられる。冷却水温センサ150は、エンジン100内を流れる冷却水の温度を検出するためのセンサである。
冷却水温センサ150は、エンジン100本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0058】
シリンダブロック1の下部には、側面視においてシリンダブロック1の上部よりも前後の幅の広いクランクケース3が形成される。クランクケース3には、ピストンにコンロッドを介して連結されたクランク軸4が内装される。クランク軸4の左右の先端部は、クランクケース3の左右両端面から突出される。
【0059】
クランク軸4の右端部には、クランク軸4と一体的に回転するクランクギヤ4aが固設される。このクランクギヤ4aは、クランクケース3の右端面に固設されるギヤケース5(図9および図11参照)に内装される。ギヤケース5内には、クランクギヤ4aと噛合するアイドルギヤ6aと、アイドルギヤ6aと噛合するカムギヤ7aとが内装される。アイドルギヤ6aはクランクギヤ4aの上方に配置され、カムギヤ7aはクランクギヤ4aの前上方に配置される。カムギヤ7aは、シリンダブロック1に回転自在に支持されるカム軸7の右端部に固設され、カム軸7と一体的に回転する。一方、アイドルギヤ6aは、クランクケース3に固設されるアイドル軸6の右端部に回転自在に支持される。
【0060】
サプライポンプ50は、クランクギヤ4a近傍のエンジン100の後側面に設けられ、クランク軸4の回転軸心と略平行に配置されたポンプ軸51が回転されることにより駆動される。ポンプ軸51の右端部は、クランク軸4及びカム軸7と同様に、ギヤケース5に内装される。ポンプ軸51の右先端部には、アイドルギヤ6aと噛合するポンプギヤ51aが固設される。アイドルギヤ6aは、クランクギヤ4a、カムギヤ7a及びポンプギヤ51aのそれぞれと噛合される。
【0061】
このような構成により、クランク軸4の回転力は、クランクギヤ4aからアイドルギヤ6aを介して、カムギヤ7a及びポンプギヤ51aの両方に伝達される。カム軸7及びポンプ軸51は、クランク軸4に連動して回転される。クランクギヤ4aと連動してポンプギヤ51a及びポンプ軸51が回転されることで、サプライポンプ50は駆動される。
【0062】
ギヤケース5の後部には、ポンプ軸回転センサ151が配置される。ポンプ軸回転センサ151は、ポンプ軸51の回転数を検出するためのセンサである。ポンプ軸回転センサ151は、エンジン本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0063】
また、クランク軸4の右先端部がギヤケース5の右側面の下部から突出される。クランク軸4の右先端部には、駆動プーリ16が一体的に固設される。駆動プーリ16の上方には、従動プーリ17が回転自在に設けられる。従動プーリ17の前方には、テンションプーリ18が配設される。
【0064】
そして、これらの駆動プーリ16と、従動プーリ17と、テンションプーリ18とに、Vベルト19が巻き掛けられる。駆動プーリ16の駆動力は、当該Vベルト19を介して、従動プーリ17、テンションプーリ18に伝達される。
【0065】
ここで、前記テンションプーリ18は、エンジン100の補機の一つであるオルタネータ21の駆動軸に一体的に固設されている。前記オルタネータ21は、その前部に形成される取付フランジ21aを介して、ギヤケース5の前側面の上部に取り付けられる。
【0066】
一方、クランク軸4の左端部には、円板状のフライホイール9が固設される。フライホイール9は、クランク軸4が回転することで一体的に回転される。作業機の作動部(駆動部)に、フライホイール9を介してエンジン100の駆動力が伝達するように構成される。
【0067】
フライホイール9の外周面のうちシリンダブロック1(クランクケース3)に近い側(右側)には、セルモータ25の出力軸に設けたピニオンギヤ(図示省略)に噛合するリングギヤ9aが固設される。フライホイール9の外周面のうちシリンダブロック1から遠い側(左側)には、クランク軸4の回転数を検出するためのギヤ状に形成したパルサ9bが固設される。
【0068】
フライホイール9の右側方でクランクケース3(シリンダブロック1)の前側面には、セルモータ25が装着される。セルモータ25は、シリンダブロック1の左面から前方に向かって突設したブラケット26に取り付けられる。セルモータ25のピニオンギヤは、フライホイール9のリングギヤ9aに噛み合うように構成される。
【0069】
こうして、エンジン100の停止時に、セルモータ25が作動することによって、クランク軸4がフライホイール9を介して回転し、エンジン100の各気筒内の空気をピストンが圧縮し、所定のタイミングで後述するインジェクタ84・84・・・が各気筒内に燃料を噴射して、各気筒内で燃料を燃焼することにより、駆動力が発生することとなる。
【0070】
一方、パルサ9bの外方には、その外周面に向き合うように、クランク軸回転センサ152が、セルモータ25のブラケット26の上部に配置された取付部26aを介して固定される。クランク軸回転センサ152は、クランク軸4の回転数を検出するための(換言すればエンジン回転数を検出するための)センサである。クランク軸回転センサ152は、エンジン本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0071】
また、クランク軸回転センサ152及び前記ポンプ軸回転センサ151の検出値によって、各ピストンの上下の位置が判別可能となる。
【0072】
クランクケース3の下側には、潤滑油槽であるオイルパン10が固定される。オイルパン10内には、潤滑油(エンジンオイル)が貯溜されている。このオイルパン10内の潤滑油は、潤滑油ポンプ(図示省略)により吸入され、潤滑油フィルタ27を介して、エンジン100内の各潤滑箇所へ供給される。
【0073】
フライホイール9近傍であってクランクケース3の後側には、油圧スイッチ153が取り付けられる。油圧スイッチ153は、潤滑油の油圧が一定値未満であるか否かを検出する油圧センサである。油圧スイッチ153は、エンジン本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0074】
クランクケース3の前後両側面には、それぞれ複数の機関脚取付部11が互いに左右に所定の間隔をとって設けられる。各機関脚取付部11には、防振ゴムを有する機関脚体11a(図4及び図8参照)がボルトにより取り付けられる。エンジン100は、各機関脚体11aを介して、作業機の機体フレーム210・310(図1および図5参照)に安定的に支持される。
【0075】
図9から図11、図13、図14に示すように、検油装置12は、オイルパン10に貯溜された潤滑油の量を潤滑油の液面の高さを測定することで確認するものである。検油装置12は、検油棒ガイド13、検油棒14、連通部材15などによって構成される。
【0076】
検油棒ガイド13は、上ガイド13aと、下ガイド13bとの二分割構造によって構成されており、例えば、上ガイド13aの下端部に形成される雄螺子部と、下ガイド13bの上端部に形成される雌螺子部とをシール部材を介して螺着することにより、上ガイド13aと下ガイド13bとを一体として構成される。
なお、本実施形態においては、検油棒ガイド13を二分割構造によって構成したが、上ガイド13aと下ガイド13bとを一つの部材で構成として形成してもよく、また、三分割以上に分割する構成とすることも可能である。
【0077】
下ガイド13bはL字状に屈曲させた管状部材から形成され、オイルパン10の右側面部の前後方向略中央部の底面付近に、下ガイド13bの一端が連通するように取り付けられている。より詳細には、下ガイド13bの下先端がオイルパン10の下部前面に固設されて、パイプ内部はオイルパン10内部と連通される。下ガイド13bの上端は、下端よりも右上方に配置される。下ガイド13bの上端部は、駆動プーリ16の前方近傍に位置するように配置される。
【0078】
このように、オイルパン10に下ガイド13bを連通することで、オイルパン10に貯溜する潤滑油の一部が下ガイド13bの内部に流入し、下ガイド13b内における潤滑油面がオイルパン10の潤滑油面と等しい高さとなるようにしている。
【0079】
そして、下ガイド13bの上端部はオイルパン10よりも高い位置となるように配置されており、オイルパン10の内部に貯溜される潤滑油の油面(潤滑油面)が上限位置となっても、常に下ガイド13bの上端部が油面(潤滑油面)よりも高い位置となるようになっている。
【0080】
下ガイド13bの上端部には、直線状に延長する管状部材からなる上ガイド13aの下端部が連結される。上ガイド13aの上端部はオルタネータ21よりも高い位置まで配置されている。こうして、検油棒14を検油棒ガイド13に挿入する時に、オルタネータ21などの他の部材が邪魔にならず容易に上方から挿入できるようにしている。
【0081】
そして、シリンダヘッド2の前側部に支持部材(図示省略)が設けられ、当該ガイド支持部材によって、上ガイド13aの上端部が支持される。
【0082】
ここで、検油棒14には、その上端部付近に栓体14aが備えられている。栓体14aはゴムや合成樹脂等の耐油性を有する弾性部材によって形成されて、検油棒14を貫通支持する。
検油棒14は、栓体14aにより検油棒ガイド13に着脱可能となっている。すなわち、検油棒14を検油棒ガイド13に挿入する際には、該検油棒ガイド13の上端部に栓体14aを嵌合することによって、検油棒ガイド13の上端部の開口を栓体14aにより閉塞することができるとともに、検油棒14を栓体14aにより検油棒ガイド13に取り付けることができるようになっている。また、検油棒14は、検油棒ガイド13の上端部に対する栓体14aの嵌合を解除することによって、検油棒ガイド13から抜き取ることができるようになっている。
【0083】
検油棒14は、その上端部に検油棒ガイド13への着脱時に握るための把持部14bを形成して、当該検油棒14の着脱操作を行いやすくしている。
検油棒14は、その下端部が当該検油棒14を検油棒ガイド13に取り付けたときに、検油棒ガイド13内で潤滑油面に届くように延長されている。
【0084】
そして、検油棒ガイド13に挿入された検油棒14を、把持部14bを持って検油棒ガイド13から抜き取り、下端部に付着した潤滑油を視認することで、検油棒ガイド13内の潤滑油面の高さを把握することができ、オイルパン10に貯溜する潤滑油の量を認識することができるようになっている。
【0085】
また、検油棒ガイド13とギヤケース5とをバイパスするための連通部材15が設けられる。即ち、前記検油棒ガイド13の潤滑油面よりも高い位置(本実施例では下ガイド13bの上端部)に、エンジン100の右方へ向かって突出する分岐路13cが設けられ、その先端部にはパイプやゴムホース等からなる連通部材15の一端部が接続される。
【0086】
また、ギヤケース5の右側面の前部には、筒状部材5aの一端が貫通される。筒状部材5aの他端が連通部材15の他端部に接続されて、検油棒ガイド13の内部とギヤケース5の内部とが連通される。
【0087】
前述のように、下ガイド13bの上端部は、オイルパン10よりも高い位置となることから、前記分岐路13cもオイルパン10よりも高い位置に配置される。また、ギヤケース5の右側面の前部は、オイルパン10の上方に位置することから、前記筒状部材5aもオイルパン10の上方に配置される。
【0088】
これにより、オイルパン10の内部に貯溜される潤滑油の油面(潤滑油面)が上限位置となっても、検油棒ガイド13と、ギヤケース5とは、常に油面(潤滑油面)の上方で、連通部材15を介して連通されることとなる。
【0089】
このように構成することで、連通部材15を通じてギヤケース5と、検油棒ガイド13との間で、空気の移動が可能となっている。
【0090】
そして、図14(a)に示すように、検油棒ガイド13に挿入された検油棒14を用いて、オイルパン10に貯溜する潤滑油の量を調べる場合には、図14(b)に示すように、検油棒ガイド13より検油棒14を抜き取り、当該検油棒14の下端部に付着した潤滑油を視認することで行う。
【0091】
これにより、オイルパン10の潤滑油量を正確に認識することが可能となり、補給が必要であれば潤滑油をオイルパン10に適切な量だけ供給し、潤滑油不足により生じる摩耗や故障等を防ぐことができる。
【0092】
このような構成により、エンジン100では検油棒14を抜くだけで、ギヤケース5の内部、及び、シリンダブロック1の内部と大気が等しくなり、エンジン停止により内部が負圧となっていても、検油棒ガイド13とオイルパン10内部の潤滑油面の高さに差がなく、正常な潤滑油量を検出することが可能となる。
【0093】
バイパス通路を設けるためにシリンダブロック1の本体を加工する必要がなく、ギヤケース5と検油棒ガイド13を加工するだけの安価で簡単な構成でシリンダブロック1の内部と大気との連通が容易に行える。
【0094】
次に、エンジン100の吸排気系について図9から図13および図15を用いて説明する。
【0095】
エンジン100の吸排気系は、主に、排気を排気マニホールド40から外部(作業機の外部)へ排出するための排気通路と、新気(外気)を後述するコレクタ75に供給するための新気通路と、排気の一部を排気マニホールド40からコレクタ75に供給するための還流通路とを有する。
【0096】
前記排気通路には、過給機60のタービンケース61、排気ガス排出管41、テールパイプ等が設けられる。これらの部材のうち、過給機60は、エンジン100の前側上部に配置される。排気ガス排出管41およびテールパイプは、作業機側に設置される。
【0097】
過給機60は、排気マニホールド40の上部に配置される。過給機60は、タービンホイール(図示省略)を内蔵するタービンケース61と、ブロアホイール(図示省略)を内蔵するコンプレッサケース62とを有する。過給機60の右側にはタービンケース61が配置され、過給機60の左側にはコンプレッサケース62が配置される。タービンホイールとブロアホイールは、ターボ軸(図示省略)によって連結されており、過給機60は、ターボ軸を介して排気によるタービンホイールの回転力をブロアホイールに伝達するように構成される。
【0098】
タービンケース61の上流端は、排気マニホールド40の上部に接続される。タービンケース61の下流端には、排気ガス排出管41の上流端が接続される。排気ガス排出管41の下流側は、作業機のマフラー又はディーゼルパティキュレートフィルタ等を介して作業機のテールパイプに接続される。
【0099】
こうして、エンジン100の各気筒からシリンダヘッド2の各排気ポートを経て排気マニホールド40に排出された排気ガスは、過給機60を経由して、排気ガス排出管41へと流れ、作業機のテールパイプから外部に放出されることとなる。
【0100】
前記吸気通路には、プレクリーナ288・388(図1および図5参照)、エアクリーナ、過給機60のコンプレッサケース62、過給管31、及び、EGR装置70のコレクタ75等が設けられる。
【0101】
これらの部材のうち、過給機60及び過給管31は、エンジン100の前側上部に配置される。EGR装置70は、エンジン100の上側部に配置される。プレクリーナ288・388及びエアクリーナは、作業機側に設置される。
【0102】
前記コンプレッサケース62の上流端(左開口部)は、接続管を介して、作業機に配置されたエアクリーナおよびプレクリーナ288・388に接続される(図1および図5参照)。
【0103】
コンプレッサケース62の後部の下流端は、過給管31を介して、エンジン100後部のコレクタ75の上流端に接続される。コレクタ75の下流端は、吸気マニホールド30の左後部に接続される。
【0104】
こうして、新気は、プレクリーナ288・388からエアクリーナに吸い込まれ、エアクリーナにて更に除塵・浄化された後、コンプレッサケース62で圧縮され、過給管31を介して、コレクタ75に供給されることとなる。
【0105】
前記還流通路には、EGR装置70が設けられる。EGR装置70は、排気マニホールド40の左端部から吸気マニホールド30の上部にかけて、エンジン本体の側部を覆うように配置される。EGR装置70は、排気の一部(EGRガス)を排気マニホールド40から吸気マニホールド30に還流させ、NOxの排出を低減する役割を果たす。
【0106】
EGR装置70は、接続管71、EGRクーラ72、再循環排気ガス管73、EGRバルブ部材74及びコレクタ75によって構成される。
【0107】
EGRクーラ72は、エンジン100の左上部に配置され、排気マニホールド40と接続管71を介して接続される。EGRクーラ72は、ウォーターポンプ20から送り込まれる冷却水によって、EGRクーラ72の内部を流れる排気を冷却する。EGRクーラ72の下流側には、再循環排気ガス管73を介してEGRバルブ部材74が接続される。
【0108】
EGRバルブ部材74の下流側は、コレクタ75が接続される。コレクタ75の下流側には、吸気マニホールド30が接続される。吸気マニホールド30は、各吸気ポートに連通される。
吸気マニホールド30の後側面の右端部には、吸気圧センサ154が配置される。吸気圧センサ154は、吸気マニホールド30(吸気ポート)の吸気圧を検出するためのセンサである。吸気圧センサ154は、エンジン本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0109】
このような構成により、排気マニホールド40からの排気の一部であるEGRガスは、接続管71を介して、EGRクーラ72に送られ、EGRクーラ72によってウォーターポンプ20と略同じ温度に冷却された後、再循環排気ガス管73およびEGRバルブ部材74を介してコレクタ75へと供給される。EGRガスは、コレクタ75において前記吸気通路からの新気とを混合され、吸気マニホールド30に供給される。
【0110】
次に、コモンレールシステム80を含むエンジン100の燃料系について、図9から図13、および図15を用いて説明する。エンジン100の燃料系は、燃料タンク54、燃料フィルタ55、サプライポンプ50、コモンレールシステム80(コモンレール81、インジェクタ84、燃料噴射バルブ85等)及び各種接続管等によって構成される。
【0111】
燃料タンク54は、作業機に配置され、同じく作業機に配置されたフィードポンプ(図示省略)等を介して、燃料フィルタ55に接続される。エンジン100の後側に配置された燃料フィルタ55は、低圧管56を介して、サプライポンプ50の吸入側に接続される。燃料タンク54内の燃料が、フィードポンプ、燃料フィルタ55及び低圧管56を介して、サプライポンプ50に吸い込まれる。
【0112】
サプライポンプ50の左側面の後部には、燃料温度センサ155が取り付けられる。燃料温度センサ155は、サプライポンプ50内に吸い込まれた燃料の温度を検出するものである。燃料温度センサ155はエンジン本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0113】
サプライポンプ50の吐出側は、高圧管57を介してコモンレールシステム80のコモンレール81と接続される。また、サプライポンプ50は、燃料の吸い込み量を調整するための調量弁と、調量弁を経由した燃料を加圧してコモンレール81に圧送するためのプランジャとを有する。
【0114】
クランク軸4の駆動力(回転力)は、クランクギヤ4a、アイドルギヤ6a、ポンプギヤ51a、およびポンプ軸51を介して、サプライポンプ50のプランジャの往復運動に変換され、プランジャの往復運動により燃料が加圧されてコモンレール81に圧送される。つまり、燃料タンク54内の燃料は、コモンレール81に圧送されるとき、サプライポンプ50によって圧力を調整されて、コモンレール81内に蓄えられる。
【0115】
さらに、サプライポンプ50の左側面の前部には、吐出圧センサ156が備えられる。吐出圧センサ156は、サプライポンプ50から圧送される燃料の圧力を検出するものである。吐出圧センサ156はエンジン本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0116】
なお、サプライポンプ50は、燃料戻管59を介して、燃料タンク54と接続される。これにより、サプライポンプ50内の余剰燃料は、燃料タンク54に戻される。
【0117】
コモンレール81は、吸気マニホールド30の長手方向(左右方向)に沿って延びた姿勢で、吸気マニホールド30から下方に向かって吊り下げた状態でシリンダブロック1に固定される。コモンレール81は、円筒形状に形成された部材であり、高圧燃料を蓄圧するための蓄圧室を有する。コモンレール81の右端部には、レール圧センサ157が配置される。レール圧センサ157は、コモンレール81内の圧力(レール圧)を検出するためのセンサである。レール圧センサ157は、エンジン本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0118】
コモンレール81には、四本の燃料噴射管83を介して、シリンダブロック1内に配置された各インジェクタ84がそれぞれ接続される。
【0119】
各インジェクタ84は、燃料噴射バルブ85を有し、この燃料噴射バルブ85に接続された噴射アクチュエータ86により作動する。噴射アクチュエータ86・86・・・は、エンジン本体に取り付けられた電装部品の一つである。
【0120】
噴射アクチュエータ86・86・・・により燃料噴射バルブ85・85・・・の開閉時間(作動時間)を調整することによって、コモンレール81に蓄えられた高圧の燃料がインジェクタ84・84・・・からエンジン100の各気筒に噴射される。噴射アクチュエータ86・86・・・を制御することにより、インジェクタ84・84・・・から各気筒に噴射される燃料の噴射量ならびに噴射時期を調整することが可能となっている。
【0121】
なお、コモンレール81の左端部には、戻管コネクタ87を介して、コモンレール戻管88の一端が接続される。さらに、コモンレール戻管88の他端は、燃料タンク54に接続される。戻管コネクタ87は、減圧バルブ(図示省略)を有し、この減圧バルブは、コモンレール81内の燃料の圧力が一定以上になると開弁するように構成される。コモンレール81の余剰の燃料は、燃料戻管59及びコモンレール戻管88を介して、燃料タンク54に回収される。
【0122】
なお、本実施形態のエンジンは、レール圧センサ157、吐出圧センサ156、吸気圧センサ154、クランク軸回転センサ152、油圧スイッチ153、燃料温度センサ155、ポンプ軸回転センサ151、冷却水温センサ150及び噴射アクチュエータ86・86・・・を電装部品として具備するものとしたが、電装部品の種類は特に限定するものではない。
【0123】
例えば、これらの電装部品に加えて、過給機60内のブースト圧を検出するためのブースト圧センサ等や、EGRバルブ部材74内のバルブアクチュエータ等がエンジン本体に取り付けられることで、それらを含めて電装部品(各種センサおよび各種アクチュエータ)として構成してもよい。
【0124】
また、エンジン本体に新たな装置を設置した場合に、電装部品を新たに配置してもよい。例えば、エンジン100に、排気浄化装置を設置した場合など、EGR率の算出に必要なEGRセンサを取り付け、吸気マニホールド30に供給される新気と排気ガスとの混合ガスのうち排気ガスを検出してもよい。
【0125】
次に、図9から図13、および図16を参照して、作業機に取り付けられたECU90と、エンジン本体に取り付けられた電装部品との接続構造および配置について説明する。
【0126】
エンジン本体に取り付けられた電装部品は、複数の第一ハーネス110が束ねられたメインケーブル111、中継コネクタ120及び第二ハーネス95等を経由して、作業機側のECU90に接続される。
【0127】
ECU90は、作業機に予め配置され、エンジン100の作動状態を制御するものである。ECU90は、CPUおよび記憶装置(ROM・RAM等)等を備え、制御プログラムならびにマップ等を記憶装置に格納している。
【0128】
作業機に取り付けられた電装部品は、設定手段93、表示手段94を有し、複数のハーネス92を介して、ECU90に接続される。設定手段93は、作業機に搭載された各部の各種装置の設定や操作具292・392(図2および図6参照)などの設定手段であって、例えば、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ等が含まれる。表示手段94は、検出されたエンジン100の回転数を表示するタコメータや、インジェクタ84・84・・・の誤作動あるいは異常を表示する警報ランプ、潤滑油の油圧が一定値未満であると警告するためのメーターパネル内の油圧警告灯等が含まれる。
【0129】
ECU90は、複数の第二ハーネス95の一端と接続され、第二ハーネス95の他端は、第二中継コネクタ96と接続される。第二中継コネクタ96は、後述する中継コネクタ盤121に接続されることで、第一ハーネス110を介して「エンジン本体に取り付けられた電装製品」に接続される。
【0130】
ECU90には、エンジン本体に取り付けた各種センサ、および作業機に取り付けられた設定手段93により検出した検出信号が入力される。例えば、ECU90は、作業機の操縦者が各種操作具292・392(図2および図6参照)により設定した設定条件を、検出信号として入力することが可能となっている。また、ECU90によって、入力された各検出信号、制御プログラムならびマップ等に基づいて作成した指令信号が、エンジン100に取り付けられたアクチュエータ(噴射アクチュエータ86)および作業機の表示手段94に出力される。
【0131】
こうして、エンジン100は、エンジン回転数(クランク軸4の回転数)、ポンプ軸51の回転数、およびエンジン本体の温度(冷却水の温度)等の様々な要素に基づいて、個々の状況に適合した燃料の噴射量、噴射時期ならびに噴射圧を算出し、これを実現できるように、ECU90によって制御される。
【0132】
次に、第一ハーネス110および中継コネクタ盤121の配置および構成について図9および図16を用いて説明する。
【0133】
各第一ハーネス110の一端は、エンジン本体に取り付けられた各種電装部品に接続され、各第一ハーネス110の長手方向中途部から他端にかけての部分が、エンジン100の後側(吸気マニホールド30やコモンレール81が配置される側)に引き出される。各第一ハーネス110の他端は、中継コネクタ120の第一中継コネクタ123に接続される。
【0134】
複数の第一ハーネス110がその長手方向中途部を一つに束ねられて、メインケーブル111が形成される。各第一ハーネス110は、各接続先の近傍よりメインケーブル111から分岐して、各電装部品に接続されることとなる。
本実施形態においては、メインケーブルを一つとしているが、接続先である電装部品によって系統別に束ねられた第一ハーネスから各メインケーブルを形成し、さらにそれら各メインケーブルを一つとしてさらに大きなメインケーブルを形成したり、検出系統のメインケーブルと作動系統のメインケーブルを形成したり、複数のメインケーブルを形成してもよい。
【0135】
また、ここでの「メインケーブル」は、複数のハーネス(配線)を各々の軸線方向を略同じ方向に揃えて一束に束ねたものを示す。具体例としては、スパイラルチューブにより複数のハーネスを一束に束ねたもの、結束バンドにより複数のハーネスを一束に束ねたもの、コルゲートチューブに複数のハーネスを収納して一束に束ねたもの等が挙げられる。
【0136】
メインケーブル111は、サプライポンプ50とフライホイール9との間に、クランクケース3の上後側面にクランク軸4の軸心と略平行となるように配置される。
【0137】
メインケーブル111は、複数のガイド部材113を介して、シリンダブロック1の後面に支持される。各ガイド部材113は熱伝導率の小さい材料からなり、側面視略コ字形状に形成され、クランクケース3の後側上部に所定間隔ごとに複数個配置される。このガイド部材113にメインケーブル111が貫装されて、メインケーブル111がシリンダブロック1の後面に略水平方向(本実施形態では略左右方向)に延びるように配置される。
【0138】
また、各電装部品と、分岐前のメインケーブル111との間において、各第一ハーネス110は、エンジン本体と接触することがないように、他のエンジン部品に対し所定の空間をおいて各電装部品と接続される。
【0139】
このように第一ハーネス110を配置することは、以下の利点を奏する。
シリンダブロック1とクランクケース3との境界の周囲よりもくびれた箇所に、メインケーブル111が、一つに束ねて配置されるため、エンジン100が作業機に搭載された場合に、エンジンルーム281・381(図1および図5参照)の空間を有効に利用することが可能である。
エンジン100の振動により第一ハーネス110がエンジン100を構成する他の部材と擦れて断線してしまうといった事態を防止することが可能となる。
【0140】
本実施形態の第一ハーネス110(メインケーブル111)は、クランクケース3の後側の上部に支持されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第一ハーネス110を吸気マニホールド30の上面にガイド部材を介して固定するものとしても良い。ただし、エンジン100の振動により第一ハーネス110がエンジン100を構成する他の部材と接触して断線してしまう事態を極力防止するという観点からは、第一ハーネス110はエンジン本体に沿って支持することが望ましい。
【0141】
本実施形態の中継コネクタ120は、エンジン本体に取り付けられた電装部品とECU90とを繋ぐ第一ハーネス110と第二ハーネス95とを接続するための部品である。中継コネクタ120は、第一中継コネクタ123と取付ステー122とからなる中継コネクタ盤121と、第一中継コネクタ123と接続可能な前記第二中継コネクタ96とによって構成される。
【0142】
取付ステー122は、熱伝導率の小さい材料からなる板状の部材である。取付ステー122は、フライホイール9近傍であって、シリンダブロック1の後側面の下部から後方に向かって略水平に張り出すように配置される。
【0143】
第一中継コネクタ123は、取付ステー122(図9参照)を介してエンジン本体(シリンダブロック1)の後側面の下部に取り付けられる。第一中継コネクタ123には、エンジン100側の電装部品に一端を接続されている複数の第一ハーネス110の他端が接続される。つまり、第一中継コネクタ123は、前記メインケーブル111に接続される。
【0144】
したがって、エンジン本体に取り付けられた電装部品は、それぞれ第一ハーネス110を介して、第一中継コネクタ123に集中的に接続される。
【0145】
さらに、取付ステー122の上面には、第一中継コネクタ123が固設される。取付ステー122と第一中継コネクタ123との間には、防振部材が介装される。取付ステー122に固設されたとき、第一中継コネクタ123の接続部分は、エンジン本体に対して後側方を向くことになる。
【0146】
第二中継コネクタ96が取付ステー122に固設された第一中継コネクタ123と嵌装することで、中継コネクタ120が形成される。第一中継コネクタ123は挿し込み可能な雌体として形成され、第二中継コネクタ96は第一中継コネクタ123に嵌装できる雄体として形成される。
ただし、形状は、第一中継コネクタ123を雄体、第二中継コネクタ96を雌体としてもよい。
【0147】
図9および図16に示すように、第二中継コネクタ96は、複数の第二ハーネス95を介してECU90に接続される。したがって、第二中継コネクタ96が第一中継コネクタ123と嵌装されることで、電装部品はECU90に接続される。また、第二中継コネクタ96は、対応する第一中継コネクタ123に手動で嵌装したり、外したりすることが可能である。
【0148】
以上の如く構成されるエンジン100においては、各種センサおよびアクチュエータ(エンジン本体に取り付けられた電装部品)とECU90とは、中継コネクタ盤121の第一中継コネクタ123と第二中継コネクタ96とを接続又は非接続の状態に設定することにより、簡単に接続したり、外したりすることが可能である。
【0149】
また、エンジン100の製造業者は、エンジン100の出荷前に(エンジン100を作業機に搭載する前に)、エンジン本体に取り付けられた電装部品(各種センサおよび各種アクチュエータ)と中継コネクタ120とをあらかじめハーネス(メインケーブル111)により接続してこれらをエンジン本体と合わせた一つの商品として取り扱うことが可能となる。
【0150】
エンジン本体に取り付けられた中継コネクタ120と作業機に取り付けられたECU90との間の距離が決定されるので、作業機側のみの第二ハーネス95の長さを設計すればよい。
【0151】
また、図2、図6、図9および図16に示すように、第一中継コネクタ123は、エンジン100の左側寄り(作業機の機体内側、フライホイール9側)、言い換えると、エンジン100の駆動力の出力側寄りに配置されるため、第二ハーネス95が作業機の機体内側を配線されることになり、作業機側に設けられるECU90までの距離を短くすることができる。本実施形態では、第一中継コネクタ123が、作業機の設定手段93である操作具292・392に近い側に配置されているため、作業機側の複数の第二ハーネス95の長さをエンジン100右側に配置するよりも短くにすることができる。
【0152】
また、図2に示すように、作業機のうち、普通型コンバイン200は、エンジン100を搭載した状態で、穀粒タンク361を後方に回動させて、エンジンルーム381の後方を開放させることができる。同時に、エンジンルーム381の開放側である後側に、第一ハーネス110、中継コネクタ120及び第二ハーネス95が配置されている。これにより、エンジン100、特にその第一ハーネス110、中継コネクタ120及び第二ハーネス95のメンテナンスが行いやすくなっている。
図6および図8示すように、作業機のうち、自脱型コンバイン300は、エンジン100を搭載した状態で、穀粒タンク361を後方に回動させて、エンジンルーム381の後方を開放させることができる。そのため、エンジンルーム381の開放側である後側に、第一ハーネス110、中継コネクタ120、および第二ハーネス95が配置されている。これにより、エンジン100、特にその第一ハーネス110、中継コネクタ120及び第二ハーネス95のメンテナンスが行いやすくなっている。メンテナンスが行い易い構成となっている。
【0153】
以上の如く、本実施形態のエンジン100は、
コンバイン200・300のエンジンルーム281・381に搭載されるコモンレール式のエンジン100であって、
前記コモンレール81に燃料を供給するサプライポンプ50と、
前記コモンレール81からの燃料を気筒に噴射するインジェクタ84と、
前記インジェクタ84を作動させる噴射アクチュエータ86と、
前記エンジン100の各種装置の状態を検出する複数のセンサ150〜157と、
前記噴射アクチュエータおよび前記複数のセンサ150〜157にそれぞれの一端を接続する複数の第一ハーネス110と、
前記複数の第一ハーネス110の他端を接続する第一中継コネクタ123と、を備え、
前記複数の第一ハーネス110の他端および第一中継コネクタ123は、エンジン本体の前記コモンレール81が配置される側に配置し、前記コンバイン200・300に搭載された制御装置90に複数の第二ハーネス95を介して接続された第二中継コネクタ96と嵌合して接続ものである。
【0154】
このように構成することにより、電装部品である噴射アクチュエータ86や複数のセンサ150〜157から延びる複数の第一ハーネス110が、コンバイン200・300のエンジンルーム281・381内でエンジン本体のコモンレール81が配置される側に集中するように配線され、この側で第一中継コネクタ123、第二中継コネクタ96及び複数の第二ハーネス95を介して、コンバイン200・300に先に搭載された制御装置90と一括して接続されることとなる。したがって、電装部品を制御装置90にハーネスを介して接続しやすくなるとともに、その接続後でも第一ハーネス110から当該第一ハーネス110に接続される電装部品を判別しやすくなり、コンバイン200・300に搭載された後であっても、ハーネス95・110ならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0155】
本実施形態のエンジン100は、前記コモンレール81が配置される側を、前記エンジンルーム281・381が開放可能な側とするものである。
【0156】
このように構成することにより、複数の第一ハーネス110をエンジンルーム281・381が開放可能な側に配置することで、エンジンルーム281・381の開放時に、複数の第一ハーネス110を集中して接続する第一中継コネクタ123が外部に臨むこととなる。したがって、ハーネス95・110ならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0157】
本実施形態のエンジン100は、前記複数の第一ハーネス110の中途部を、前記第一中継コネクタ123と前記複数のセンサ150〜157及び前記噴射アクチュエータ86との間で束ねてメインケーブル111とし、
前記メインケーブル111が、クランク軸4の軸心と略平行となるように配置されるものである。
【0158】
このように構成することにより、複数の第一ハーネス110をその中途部では横方向に延びる一つのメインケーブル111として取り扱うことが可能となる。したがって、複数の第一ハーネス110を取り扱いしやすくなり、コンバイン200・300に搭載された後であっても、ハーネス95・110ならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0159】
本実施形態のエンジン100は、前記メインケーブル111が、前記クランク軸4の一端の近傍に配置されるサプライポンプ50と前記クランク軸4の他端部に配置されるフライホイール9との間に配置されるものである。
【0160】
このように構成することにより、メインケーブル111が、エンジン100をコンバイン200・300に搭載した場合にエンジンルーム281・381内に形成される比較的広い空間に配置されることとなる。したがって、メインケーブル111を取り扱いしやすくなり、コンバインに搭載された後であっても、ハーネス95・110ならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0161】
本実施形態のエンジン100は、前記メインケーブル111は、シリンダブロック1と前記シリンダブロック1の下部に位置するクランクケース3との境界近傍に沿って平行に配置するものである。
【0162】
このように構成することにより、メインケーブル111が、エンジン100をコンバイン200・300に搭載した場合にエンジンルーム281・381内に形成される比較的広い空間に配置されることとなる。したがって、メインケーブル111を取り扱いしやすくなり、コンバイン200・300に搭載された後であっても、ハーネス95・110ならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0163】
本実施形態のエンジン100は、前記第一中継コネクタ123が、前記フライホイール9近傍に配置されるものである。
【0164】
このように構成することにより、第一中継コネクタ123に接続する第二中継コネクタ96は複数の第二ハーネス95を介して制御装置90に接続されているため、コンバイン200・300側の複数の第二ハーネス95を同一の長さで短くすることができるとともに、コンバイン200・300に搭載された後であっても、ハーネス95・110ならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0165】
本実施形態のエンジン100は、前記第一中継コネクタ123が、前記シリンダブロック1または前記クランクケース3の側面下部に配置されるものである。
【0166】
このように構成することにより、第一中継コネクタ123に接続する第二中継コネクタ96は複数の第二ハーネス95を介して制御装置90に接続されているため、コンバイン200・300側の複数の第二ハーネス95を同一の長さで短くにすることができるとともに、コンバイン200・300に搭載された後であっても、ハーネス95・110ならびに電装部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0167】
1 シリンダブロック
3 クランクケース
4 クランク軸
9 フライホイール
30 吸気マニホールド
50 サプライポンプ
81 コモンレール
84 インジェクタ
86 噴射アクチュエータ
90 制御装置(ECU)
95 第二ハーネス
96 第二中継コネクタ
100 エンジン
110 第一ハーネス
111 メインケーブル
123 第一中継コネクタ
150 冷却水温センサ
151 ポンプ軸回転センサ
152 クランク軸回転センサ
153 油圧スイッチ
154 吸気圧センサ
155 燃料温度センサ
156 吐出圧センサ
157 レール圧センサ
200 作業機(普通型コンバイン)
300 作業機(自脱型コンバイン)
281 エンジンルーム
381 エンジンルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機のエンジンルームに搭載されるコモンレール式のエンジンであって、
コモンレールに燃料を供給するサプライポンプと、
前記コモンレールからの燃料を気筒に噴射するインジェクタと、
前記インジェクタを作動させる噴射アクチュエータと、
前記エンジンの各種装置の状態を検出する複数のセンサと、
前記噴射アクチュエータおよび前記複数のセンサにそれぞれの一端を接続する複数の第一ハーネスと、
前記複数の第一ハーネスの他端を接続する第一中継コネクタと、を備え、
前記複数の第一ハーネスの他端および前記第一中継コネクタは、エンジン本体の前記コモンレールが配置される側に配置し、前記作業機に搭載された制御装置に複数の第二ハーネスを介して接続された第二中継コネクタと接続させることを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記コモンレールが配置される側は、前記エンジンルームが開放可能な側とすることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記複数の第一ハーネスの中途部は、前記第一中継コネクタと前記複数のセンサ及び前記噴射アクチュエータとの間で束ねてメインケーブルとし、
前記メインケーブルは、クランク軸の軸心と略平行となるように配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記メインケーブルは、前記クランク軸の一端の近傍に配置されるサプライポンプと前記クランク軸の他端部に配置されるフライホイールとの間に配置することを特徴とする請求項3に記載のエンジン。
【請求項5】
前記メインケーブルは、シリンダブロックと前記シリンダブロックの下部に位置するクランクケースとの境界近傍に沿って平行に配置することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のエンジン。
【請求項6】
前記第一中継コネクタは、前記フライホイール近傍に配置することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のエンジン。
【請求項7】
前記第一中継コネクタは、前記シリンダブロックまたは前記クランクケースの側面下部に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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