説明

エンドレススパイラルループ状熱音響冷却装置

【課題】常温付近で低温が一定の範囲で必要な設備に環境保護を意識した省エネルギーで比較的コンパクトな構造の熱音響冷却装置の開発。
【解決手段】水耕の植物栽培の液肥などの供給環境で比較的温度差が少ないが一定の容量が必要な場合などに向けた装置で、一本のループ管をスパイラル状に曲げ最初と最後をつなげ、その間に熱交換部であるスタックのユニットを高温部と低音部をそろえて設ける。その場合、各管の並びを斜めにし、最初と最後の長さがその他の部分の間隔と合わせることができるように高さ方向を調整した構造にする。またその熱交換部と冷却目的部と接合の位置合わせを考慮して、ヒートパイプを使った熱交換伝達の構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般農業・漁業・工業用熱交換装置に関するもの
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な農業・漁業・工業用の温度制御にフロンガス媒体の冷凍サイクルや水を使った方式やクーリングタワーなど水の気化熱を使って熱交換を行う。
本発明は、熱音響冷却装置の構造に関連するもので、従来は単純に2次元のループ管を介して共鳴による熱音響冷凍現象(圧力振動)をもたらし、発生した進行波等を利用してスタックで熱変換している。本発明は、(4−a)の3次元的に曲げたスパイラルループ状配管に気体(空気又は作業ガス)を充填し配管回路内で熱音響効果により、順次スパイラルループの中の回路に設けた複数のスタックと蓄冷器を連続的に冷却せしめる熱音響波動冷凍機に関するもの。
【先行技術文献】
熱音響効果を利用した熱交換装置や従来技術に関しては下記に記載されるものが存在する。
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特許第3015786号
【特許文献2】 特許広報第4443971号
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような熱音響効果を利用した装置では、一般の熱交換装置などと同様に、エネルギー変換の効率と省スペースが要求される。
【0006】
従来の装置では、ループ管の形状がひとつの平面であるが、出力を上げるためには単純に複数のループを並列に並べる方法(2−a)があるが単純に並べると占有体積が大きくなる。
【0007】
熱音響管ユニットを単純に複数独立平行に並べて成立させる方法では各管の加工ばらつきを少なくし音響振動の同期を均一に合わせる事、また、それらの管の熱交換部の位置(2−b)の各々のS1−2、S2−1の位置を維持し安定した位置に保持する構造が必要で、多くの部品との調整が複雑で難易度が高くなる問題がある。
【0008】
本発明は上記課題に対しての提案で、ループ管をスパイラルに加工し管端を繋げエンドレスにし、その間に複数箇所にスタックを設け、その複数部のスタック前後に熱交換部を一定箇所h1、h2に集約配備して音エネルギーを工業用に適した大容量熱エネルギー出力を実現できる構造(4−a)にして、実用化の向上を図る。
【0009】
このエンドレススパイラルループ状の熱音響冷却装置の構造ではスタック部S1−1からS1−2の取り付け位置h1、h2の寸法をすべて同じに施工し定在波を設けるようにすることが必要。その中で、中間部のスタック間長さL1とループ管の最初と最後をつなぐ配管の長さLnとを同じ長さに合わせなければならないが中間のループ間を単純に直角並行に配置しそのまま最初と最後をつなげるとその長さL2他の中間スタック間長さL1と合わない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、ループ管を、地面に対して起立する複数の直線管部と、これら複数の垂直直線管部から所定の角度をもって水平管に連結(4−a)構成し、高温側熱交換器と低温側熱交換器に挟まれたスタックS1とS2を一定間隔に具備し高温側の複数の熱交換器部を全体加熱することによって自励による定在波及び進行波を発生させ、この定在波及び進行波によって前記低温側の複数の熱交換器全体を強力に冷却できる熱音響冷却装置を成立させる。
【0011】
このとき各スタックの役割、すなわち高温側熱交換器と低温側熱交換器の順番と距離L1を守りながら配置する。
【0012】
エンドレススパイラルループ管状に構成するには、ループ管のスタック配置後の管の最終端と管最初端をつなげ、スタック間Lnの長さがすべて一定間隔であることが要求されるがこのままの形状ではリターンの部分の管が交差干渉する。
【0013】
出口と入口の管の合計の長さを変えず、さらに管の曲げ形状を変えないで、最終端と管最初端をつなげる際に干渉しない方法として、まず、スパイラル状のループ管全体を斜め平行に角度をつけて並べ、最終配管出口と最初の配管入口位置を短くし、近づける。図1B平面的に見て短くなった分を垂直方向H3に伸ばし、管の合計長さを合わせる。
【発明の効果】
【0014】
機構がほとんどない構造で故障が少なく、設備の低コスト化も可能で維持管理も容である。
【0015】
装置が一本の管で構成されているので一箇所の調整で一旦調整が整えばすべての熱交換部が機能し運転が安定する。
【0016】
従来の二次元的単管の方式より立体的である為にエネルギーをまとめて一定空間に集合させて利用できる為効率の高い実用的なエネルギーが取り出せる装置にできる。
【0017】
太陽光熱の自然熱エネルギーをはじめ工業地帯の廃熱エネルギーなどを利用し農業、漁業、工業など多岐にわたり、環境への影響が少ない軽微な設備でエネルギー変換に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態例
【図2】一般的な熱音響冷却装置を複数使う形態
【図3】単純スパイラルループ管の構成例
【図4】本発明実現の為構造(説明部L1、L2のみ管表示)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形を説明する
【実施例】
工場のプラントの装置から出る廃熱や太陽光給湯を利用し温度差が少ないが低温保持が必要な水槽に対して冷温供給により実現させる。例えば、養魚や植物の水耕栽培の液肥などの供給環境で比較的温度差が少ないが一定の容量で安定した液体の温度が必要な際の温度管理を環境にやさしいエネルギー消費で実現させる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
たとえば太陽光エネルギーを使った温水や溶鉱炉や焼却炉などから出る工場廃熱温水をさらに加熱し、農業・漁業・工業用で使用される冷却エネルギーに使用可能で、温度差が15℃程度の水耕栽培の水の冷却、養殖魚の水槽の冷却、工業用15℃程度の工場用水の維持などの冷水源に環境にやさしい形で流用可能になる。
【符号の説明】
【0021】
A ループ管中間垂直ピッチ
B ループ管戻り側垂直ピッチ
C 単純スパイラルループ配管戻り側垂直ピッチ
(1−a)本発明スパイラルループ配管平面図
(1−b)本発明スパイラルループ配管中間垂直部正面図
(1−c)本発明配管戻り垂直部正面図
(2−a)単純複数平行独立並べ平面図
(2−b)単純複数平行独立並べ斜視図
(3−a)単純スパイラルループ管平面図
(3−b)単純スパイラルループ管戻
(3−c)単純スパイラルループ管戻り側垂直部正面図
(4−a)本発明スパイラルループ配管斜視図
(4−b)単純スパイラルループ配管斜視図
S1 高温側スタック
S2 低音側スタック
H1 ループ配管垂直方向寸法
H2 ループ配管戻り側垂直方向寸法
H3 ループ配管戻り側垂直方向干渉逃げ寸法
L1 ループ配管スタック間長さ
L2 ループ配管戻り側スタック間長さ
Ln 本発明ループ配管戻り側スタック間長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプをスパイラル状に施工し最終端を最初の部分に繋げ、エンドレス状態に形成し、その全長の途中に、高温側熱交換器と低温側熱交換器に挟まれたスタックのユニットを一定間隔に複数設け、高温側熱交換器を加熱することによって自励による定在波及び進行波を発生させ、この定在波及び進行波によって次の熱交換器及びスタックに音圧を伝え、圧縮された音圧を開放膨張させることでスタック出口の熱交換器に比較的大容量の低温を発生させることを特徴とするスパイラル熱音響冷却装置
【請求項2】
スパイラル状パイプの最終端を最初の部分に繋げエンドレス状態に形成し、その全長の途中に、高温側熱交換器と低温側熱交換器に挟まれた一定間隔のスタックのユニットの高温加熱側の位置を合わせ同じ熱源配管を用いて連動する構造を特徴とする熱音響冷却装置。
【請求項3】
スパイラル状パイプの最終端を最初の部分に繋げエンドレス状態に形成し、その全長の途中に、高温側熱交換器と低温側熱交換器に挟まれた一定間隔のスタックのユニットの低温側の位置を合わせ同じラインで低温熱源を連動して引き出す構造を特徴とする熱音響冷却装置
【請求項4】
スパイラル状パイプの最終端を最初の部分に繋げエンドレス状態に形成し、その全長の途中に、高温側熱交換器と低温側熱交換器に挟まれたスタックのユニットを一定間隔に複数設けることによる構成機器の熱容量を上げ比較的大きな負荷に対応できる構造を特徴とする熱音響冷却装置
【請求項5】
スパイラル状パイプの最終端を最初の部分に繋げエンドレス状態に形成し、その全長の途中に、高温側熱交換器と低温側熱交換器に挟まれたスタックのユニットを一定間隔に複数設け、その間隔を必要に応じて調整することによって、幅の広い場所にも熱交換機能を適用できる構造を特徴とする熱音響冷却装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−73011(P2012−73011A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233035(P2010−233035)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(399116283)株式会社ラヴァン (3)