説明

エンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システム

【課題】構成が簡易であり、ロープをスムーズに移動することのできるエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムを提供する。
【解決手段】駆動軸2の設けられたウインチ本体4と、該駆動軸に取り付けられ、外周縁に溝の形成された巻回ドラム6と、該巻回ドラムの近傍でロープを巻回ドラムの溝に取り入れ及び取り出し補助する一対のガイドローラ3A,3Bと、巻回ドラムの溝に沿ってロープを押圧する押圧体7から構成されたエンドレス方式のウインチ1において、前記押圧体の両端側がそれぞれ交差するガイドローラに連結され、且つ該ガイドローラが弾性体12で付勢されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばネットに連結し、エンドレス状に吊り張りしたワイヤロープを移動するのに使用するエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットの移動に使用するエンドレス方式のウインチは、手動用のハンドル又はモータ等の駆動源に連結するための駆動軸の設けられたウインチ本体と、駆動軸に取り付けられ、外周縁に沿ってワイヤロープを巻回するための溝の形成された円形状の巻回ドラムと、該巻回ドラムの近傍で前記ウインチ本体に平行して回転自在に取り付けられ、巻回ドラムへワイヤロープを取り入れ及び巻回ドラムよりワイヤロープを取り出し移動する一対のガイドローラと、両端側をウインチ本体に固定されたバネに連結し、巻回ドラムの溝に沿って設けられ、ワイヤロープを溝側に押圧しながら巻回ドラムの回転方向に所望量移動する押圧体としてのローラチェーンから構成されている。
【0003】
上記エンドレス方式のウインチは、ウインチ本体に設けられた一方のガイドローラに沿ってワイヤロープをウインチ本体に取り入れ、巻回ドラムの回転により該巻回ドラムの溝に沿ってワイヤロープを巻回しながら移動した後、巻回ドラムより取り出したワイヤロープを他方のガイドローラに沿ってウインチ本体より取り出し移動する。この際、ワイヤロープは巻回ドラムの回転により回転方向に引っ張られたローラチェーンで溝側に押圧され、巻回ドラムの回転を確実にワイヤロープに伝導して移動することができる。
【0004】
また、駆動軸を逆回転駆動し、巻回ドラムを回転することで逆に他方のガイドローラよりワイヤロープをウインチ本体に取り入れ、巻回ドラムに巻回した後、一方のガイドローラよりワイヤロープを取り出し移動する。
【0005】
この際も上記と同様に、ワイヤロープはローラチェーンで溝側に押圧され、巻回ドラムの逆回転を確実に伝導して移動することができる。
【0006】
このように、エンドレス方式のウインチは、駆動軸を正・逆回転してワイヤロープを移動するのに使用する。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記エンドレス方式のウインチは、ワイヤロープの移動時において、該ワイヤロープをローラチェーンで巻回ドラムの溝側へ押圧しているために、ワイヤロープに発生する弛み/撓みに対応することができるが、ワイヤロープに撓み等が発生すると固定式のガイドローラではウインチ本体へのワイヤロープの取り入れ及び取り出しを適切に行うことができず、巻回ドラムの回転を確実にワイヤロープに伝達できない。特に、ネットに連結したワイヤロープを移動する場合は、ウインチへのワイヤロープの取り入れ及び取り出し時にテンションが変更があると、ワイヤロープに弛み等が発生し易くスムーズなワイヤロープの移動ができない欠点があった。
【0008】
また、ローラチェーンの溝に沿っての移動量のみでワイヤロープのテンションの相違に対応しているために、ローラチェーンの両端部に連結したバネに伸びが発生しやすく、スムーズなワイヤロープの連続移動ができないという欠点があった。
【0009】
また、ワイヤロープの移動方向を変更する際、上記テンションの相違によりワイヤロープに弛み等が発生し易く、ローチェーンによる巻回ドラムの溝側への押圧のみでは、弛み等を確実に解消することができないという欠点があった。
【0010】
また、上記弛み等の発生は、スムーズなワイヤロープの移動ができない原因となった。
【0011】
また、上記エンドレス方式のウインチは、ローラチェーンの両端側をバネによる弾性体に連結しているが、バネはガイドローラと巻回ドラム間に設置する必要があり設置位が限定されることで、ワイヤロープの取り入れ及び取り出し方向、及びガイドローラの設置位置が限定されるという構造上の欠点があった。
【0012】
また、従来のガイドローラは一対のガイドローラ間を調整して取り付けることで、ワイヤロープのウインチ本体よりの取り込み及び取り出し時の引っ張り力に対応しているために、予めガイドローラ間を調整する必要があり、その作業が煩雑であるという欠点があった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するものであって、構成が簡易であり、且つ確実にロープを押圧してスムーズに移動することができるエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するウインチであって、請求項1は、駆動軸の設けられたウインチ本体と、該駆動軸に取り付けられ、外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラムと、該巻回ドラムの近傍でロープを巻回ドラム側に取り入れ及び巻回ドラムの溝より取り出し移動をする支持軸に回転自在な一対のガイドローラと、巻回ドラムの溝に沿ってロープを押圧するように設けられ、巻回ドラムの回転方向に沿って所望量移動する押圧体から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記押圧体の両端側がそれぞれ交差するガイドローラに連結され、且つ該ガイドローラは弾性体で付勢され、支持軸を移動すべく構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するシステムであって、請求項2は、ウインチ本体に設けられた駆動軸を回転駆動し、該駆動軸に取り付けられた巻回ドラムを回転するとともに、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝に設けられた押圧体でロープを溝側に押圧し、該巻回ドラムの近傍に設けられた一対のガイドローラでロープを巻回ドラム側へ取り入れ及び巻回ドラムの溝より取り出し移動することで該ロープに連結されたネット又はシートを吊り張り又は収納移動するエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムにおいて、前記押圧体による溝側へのロープの押圧と、ガイドローラが揺動移動しながらの回転によるロープの巻回ドラムへの取り入れ移動、及びロープの巻回ドラムよりの取り出し時のロープへの押圧の解除とガイドローラの回転によるロープの巻回ドラムよりの取り出しをそれぞれ連動することを特徴とする。
【発明の作用及び効果】
【0016】
本発明のエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムについて説明する。
【0017】
先ず、エンドレス方式のウインチは、ウインチ本体に設けられた駆動軸を回転駆動することで巻回ドラムを一方向に回転しながら、ウインチ本体に設けられた一方のガイドローラを介してロープを取り入れ、さらに該ロープを巻回ドラムの溝に巻回した後、該巻回ドラムよりロープを他方のガイドローラより取り出すことで、ウインチ本体より取り出し移動する。
【0018】
また、上記駆動軸を逆回転駆動することで、他方のガイドローラを介してロープをウインチ本体に取り入れ、さらに該ロープを巻回ドラムの溝に巻回した後、該巻回ドラムよりロープを一方のガイドローラより取り出しすることで、ウインチ本体より取り出し移動する。
【0019】
上記ロープ移動時には、巻回ドラムの溝に沿って巻回されたロープを押圧体が溝側に押圧し、また該押圧体の両端側はそれぞれ交差するガイドローラに連結するとともにガイドローラは弾性体で付勢しているために、ロープの取り入れ側のガイドローラは押圧体の端部による引っ張りが弱く、ガイドローラは弾性体の付勢方に揺動移動しながら回転してロープを取り入れ移動し、巻回ドラムの溝に沿って引っ張られ、移動する押圧体の端部に連動してロープを溝側に取り入れる。
【0020】
そして、ロープの取り出し側のガイドローラは押圧体の端部により強く引っ張られた状態となり、押圧体の端部の溝側への押圧が解除された巻回ドラム部分よりロープが取り出され、該押圧体に連動し支持軸を一定位置で回転自在なガイドローラでロープを取り出し移動することができる。
【0021】
また、押圧体は巻回ドラムの回転方向に移動しながら、ロープを巻回ドラムの溝に押圧して移動するために、その両端部は溝側への押圧と、押圧の解除を行いロープを確実に移動ができる。
【0022】
このように、押圧体の両端部を交差してガイドローラに連結し、各ガイドローラは弾性体で付勢されているために、ロープのウインチへの取り入れ及び取り出しにおいて、ガイドローラと押圧体を連動することで、巻回ドラムの回転方向に応じて適切にロープを適切に移動することができる。
【0023】
しかも、その構成が簡易であり、メンテナンスが容易に行える。
【0024】
次に、エンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムは、ネット等に連結したロープを一方のガイドローラで押圧しながらウインチ本体に取り入れ、該ロープを巻回ドラムの溝に沿って押圧体で押圧しながら巻回した後、該ロープを巻回ドラムより他方のガイドローラで押圧しながらウインチ本体より取り出し移動する。
【0025】
この際、押圧体の両端側は交差し、それぞれ弾性体で付勢したガイドローラに連結しているために、ロープのウインチへの取り入れ側のガイドローラは連結した押圧体の端部の引っ張りが弱められるために、ロープのテンションに応じて支持軸を揺動移動しながら回転してロープを巻回ドラム側に適切に移動することができ、ロープのウインチよりの取り出し側のガイドローラは連結した端部が強く引っ張られ、支持軸の位置を移動することなく固定状態となり回転してロープを巻回ドラムより取り出し移動する。
【0026】
また、巻回ドラムの回転方向の溝への取り入れ側の押圧体の端部は、回転方向に強く引っ張られ溝側へ強く押圧し、溝よりの取り出し側の端部は弾性体の引っ張りが弱められ溝側より離反し溝側への押圧が解除される。
【0027】
しかも、上記各ガイドローラと押圧体は連動して作用するために、ロープのウインチへの取り入れ及び取り出しを効果的に行うことができる。
【0028】
このため、ロープに弛み/撓みが発生しても、押圧体の押圧移動及びガイドローラの回転により、該弛み等を解消しながら移動することができる。
【0029】
このように、本発明のエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムは、簡易な構成でウインチ本体でロープを適切に移動することができ、しかも、トラブルなくスムーズに移動することができる。
【0030】
また、押圧体の両端側が交差してガイドローラに連結されているために、その取り付けが簡易であり、また、ガイドローラの設置位置も自在に設置可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明に係るエンドレス方式のウインチ及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムの一実施例を、図面を参照して説明する。
【0032】
図1は本発明のエンドレス方式のウインチの一実施例を示す概略説明正面図であり、図2及び図3は図1のエンドレス方式のウインチを用いた正・逆回転時のロープの移動を示す概略説明図であり、図4及び図5は溝に沿って移動する支持軸を示す概略説明図を示し、図6は本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの異動を示すフローチャートであり、図7は本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明正面図である。。
【0033】
本発明のエンドレス方式のウインチ1の基本構成は、駆動源としてのモータ又は手動ハンドルに連結され、回転駆動する駆動軸2の設けられたウインチ本体4と、前記駆動軸2に取り付けられ、外周縁に沿って略V字状の溝5の形成された円形状の巻回ドラム6と、該巻回ドラム6の近傍位置で、ウインチ本体4に並行状態で回転自在に取り付けられた一対のガイドローラ3(3A、3B)と、前記巻回ドラム6の溝5に沿って移動自在に設けられ、その両端側(7A、7B)を前記ガイドローラ3(3A、3B)に交差した状態(7Aと3B、7Bと3Aを連結)で連結した押圧体としてのローラチェーン7から構成されている。
【0034】
前記ガイドローラ3は、ウインチ本体4に形成された長方形の切欠溝10に支持軸11を介して回転自在に取り付けられ、且つ弾性体としてのバネ12により連結したローラチェーン7の端部側を引っ張るように付勢され、前記ローラチェーン7の端部との連結により常時は支持軸11が切欠溝10の中央に位置している。
【0035】
そして、巻回ドラム6が回転してローラチェーン7が所望量移動すると、ローラチェーン7の後端部は交差して連結したガイドローラ3を強く引っ張りながら移動し、先端部は交差して連結したガイドローラ3に引っ張られることとなる。
【0036】
即ち、ローラチェーン7の後端部に連結したガイドローラ3は、ローラチェーン7の引っ張り力がバネ12による引っ張り力より強くなり、支持軸11を切欠溝10の先端側の位置で停止しガイドローラ3のみが回転し、ローラチェーン7の先端部に連結したガイドローラ3はローラチェーン7のよる引っ張りが弱く、バネ12による引っ張りが強いために、支持軸11は切欠溝10中央から後端側の間に位置で揺動可能な状態でガイドローラ7が回転することとなる。
【0037】
このため、ウインチ本体4へロープ9を取り入れる際は、ロープ9にかかるテンションに応じて支持軸11は切欠溝10を揺動移動してガイドローラ3を回転しロープ9を取り入れすることができ、適切な状態で巻回ドラム6の溝5に沿って移動したローラチェーン7の後端部で溝5側に押圧して溝5に沿って巻回することができる。
【0038】
また、ウインチ本体4よりロープ9を取り出す際は、ローラチェーン7の先端部が巻回ドラム6の溝5より離反しているために溝5側への押圧が解除され、巻回したロープ9はまっすぐに延びる特性によりスムーズに取り出され、支持軸11の一定したガイドローラ3の回転で取り出し移動できる。
【0039】
このように、ローラチェーン7と各ガイドローラ3はそれぞれ連動することでロープ9をウインチ本体4にスムーズに取り入れ移動、及びウインチ本体4より取り出し移動することができる。
【0040】
また、ロープ9に弛み/撓みがあると、ガイドローラ3の支持軸11が切欠溝10の中央側に移動してロープ9の弛み等を解消し、テンションがある場合はガイドローラ3の指示軸11が切欠溝10の後端側に移動してテンションに対応して巻回ドラム6側へ取り入れすることができる。
【0041】
また、ウインチ本体4へのロープ9の取り入れ側と取り出し側とでロープ9にかかるテンションが相違しても、スムーズにロープ9を移動することができる。
【0042】
本発明において、ロープ9の種類は、特に限定されずワイヤロープ、樹脂製ロープ等の一般的に使用されているあらゆるロープを含むものとする。
【0043】
本発明のエンドレス方式のウインチ1は上記のように構成され、次に、該ウインチ1を用いたネット又はシートの連結したロープ9の移動システムの概略について説明する。
【0044】
先ずネット又はシートを空間部に吊り張りすべく、空間部の一端側にウインチ1を設置し、対向する他端側に滑車(図示せず)を設置し、該ウインチ1と滑車間にロープ9をエンドレス状に架設し、該ロープ9に下方に並行してネットの上端側を移動自在に挿通したガイドロープを架設し、ネットの上部先端をロープ9に固定する。
【0045】
上記状態で、先ず、モータ等の駆動源を用いて駆動軸2を回転駆動して巻回ドラム6を回転(正回転―矢印X方向)し、巻回ドラム6の溝5沿って設けられたローラチェーン7を回転方向に所望量移動するとともに、ローラチェーン7の後端部7Aに連結した第2のガイドローラ3Bを引っ張り、ローラチェーン7の先端側7Bに連結した第1のガイドローラ3Aの引っ張りを弱める。
【0046】
これにより、第1のガイドローラ3Aの支持軸11は切欠溝10の中央位置と後端部間で沿って揺動し、ウインチ本体4へ取り入れるロープ9にかかるテンションに応じて第1のガイドローラ3Aは弱い押圧力で押圧しながら回転して巻回ドラム6側に取り入れ、ローラチェーン7の後端部7Aで取り入れられたロープ9は巻回ドラム6の溝5側に押圧して巻回移動した後、溝4側より離反したローラチェーン7の先端側7Bでロープ9は溝5側への押圧が解除されて取り出され、第2のガイドローラ3Bの支持軸11は切欠溝10の先端側の移動位置で一定し、溝5より離反したロープ9を第2のガイドローラ3Bの回転でウインチ本体4より取り出し移動する。
【0047】
このように、上記ウインチ1の駆動軸2を正回転することで、第1のガイドロープ3Aは、弱い力で押圧しながら支持軸11を揺動してロープ9を移動し、ロープ9に発生した弛み等を解消しながらウインチ本体4へ取り入れすることができる。
【0048】
また、巻回ドラム6の溝5部分ではローラチェーン7の後端部7Aがロープ9を溝5側に押圧しながら移動するために、巻回ドラム6の回転を確実にロープ9に伝達してロープ9を移動することができる。
【0049】
さらに、ロープ9は直線状に延びる性質があり、ローラチェーン7の先端側7Bが巻回ドラム6の溝5から離反し、溝5側への押圧が解除されているために、溝5より容易に離反して第2のガイドローラ3B側に移動する。
【0050】
また、第2のガイドローラ3Bは、ローラチェーン7の後端部7Aに強く引っ張られ、また、バネ12でローラチェーン7の後端部7Aを引っ張るように構成しているために、支持軸11は切欠溝10に移動位置でその移動が停止し、支持軸11を固定した状態で、第2のガイドローラ3Bは回転して溝5側より移動したロープ9を適切に取り出し移動する。
【0051】
即ち、ローラチェーン7と各ガイドローラ3はそれぞれ連動してロープ9を移動するために、従来にないスムーズな移動を可能とする。
【0052】
次に、ウインチ1の駆動軸2を回転して巻回ドラム6を回転(逆回転矢印Y方向)し、ロープ9を第2のガイドローラ3Bで押圧しながら回転して巻回ドラム6側に取り入れ、さらにロープ9を巻回ドラム6の溝5に沿って巻回した後、巻回ドラム6よりロープ9を取り出し、第1のガイドローラ3Aでロープ9を押圧しながら回転しウインチ本体4より取り出し移動する。
【0053】
この際は、上記と逆に、第2のガイドローラ3Bはローラチェーン7に引っ張られないために、揺動しながら弱い力で押圧してロープ9を切欠溝10の中央位置と後端部の間で移動し、第1のガイドローラ3Aはローラチェーン7で強く引っ張られているために、支持軸11を切欠溝10の先端部で一定した状態で回転しロープ9を強く押圧しながら移動し、ウインチ本体4より取り出しすることで、該ロープ9に連結したネット又はシートを移動する。
【0054】
また、ウインチ1に取り入れるロープ9側と取り出しするロープ9側では、ロープ9にかかるテンションが相違し、取り入れ側はテンションが弱く弛みが発生し易いが、取り入れ側のガイドローラ3はロープ9の揺動により、支持軸11が切欠溝10の中央位置まで移動して押圧し回転することで、撓みに対応してロープ9を巻回ドラム6の溝4側へ移動でき、また、取り出し側のロープ9のテンションが強くても、取り出し側のガイドローラ3は強い押圧で一定の位置で回転しているために、スムーズに溝5側より取り出し移動できる。
【0055】
このように、本発明のエンドレス方式のウインチ1は、駆動軸2を正逆どちらに回転駆動しても、スムーズなロープ9の移動を行うことができる。
【0056】
また、ローラチェーン7の両端側を弾性体で付勢されたガイドローラ3に交差して取り付けることで、常にウインチ1より取り出し側のロープ9を強く押圧しながら取り出し移動することができる。
【0057】
また、ローラチェーン7の両端側をそれぞれガイドローラ3に連結することで、その構成を従来に比し、簡易に構成することができる。
【0058】
また、ガイドローラ3に弾性体を連結しているために、その取り付けが従来のバネに直接取り付けた場合に比し容易である。
【0059】
尚、上記実施例では、ガイドローラ3を並行して一対取り付けたが、本発明においてガイドローラ3の数及び設置位置は、これに限定されるわけでなく。例えば、2個の固定した回転軸に回転自在に設けられたガイドローラを巻回ドラム6の近傍に取り付け、該ガイドローラの後方に上記ガイドローラ3を取り付けることも可能である。
【0060】
また、上記実施例では、バネ12はローラチェーン7の端部をガイドローラ3で引っ張るように付勢すべくウインチ本体4とガイドローラ3の支持軸11したが、本発明のバネ12の取り付け位置はこれに限定されるものでなく、例えば、ローラチェーン7の端部とガイドローラ3の支持軸11間にバネ12を取り付けることで、ローラチェーン7の端部側に引っ張られるように構成することも可能である。
【0061】
この場合、巻回ドラム6が回転するとローラチェーン7は回転方向に沿って所望量移動し、ロープ9の取り入れ側の端部7Aは巻回ドラム6の溝5側にロープ9を押圧し、ロープ9の取出し側の端部7Bは移動により溝5より離反するとともに、端部7Aに連結したガイドローラ3Aは強く引っ張られ切欠溝10の一定した位置で停止し回転してロープ9を取り出し、端部7Bに連結したガイドローラ3Bは端部7Bの引っ張りが弱くバネ12の付勢により、切欠溝10内で揺動移動を可能とし、ロープ9のテンションに応じて適切な位置で回転してロープ9を取り入れる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のエンドレス方式のウインチの一実施例を示す概略説明正面図
【図2】エンドレス方式のウインチを用いたロープの移動を示す概略説明正面図
【図3】エンドレス方式のウインチを用いたロープの移動を示す概略説明正面図
【図4】切欠溝に沿って移動する支持軸を示す概略説明図
【図5】切欠溝に沿って移動する支持軸を示す概略説明図
【図6】エンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムを示すフローチャート
【図7】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明正面図
【符号の説明】
【0063】
1−ウインチ、2−駆動軸、3−ガイドローラ、7−ローラチェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸の設けられたウインチ本体と、該駆動軸に取り付けられ、外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラムと、該巻回ドラムの近傍でロープを巻回ドラム側に取り入れ及び巻回ドラムの溝より取り出し移動をする支持軸に回転自在な一対のガイドローラと、巻回ドラムの溝に沿ってロープを押圧するように設けられ、巻回ドラムの回転方向に沿って所望量移動する押圧体から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記押圧体の両端側がそれぞれ交差するようにガイドローラに連結され、且つ該ガイドローラは弾性体で付勢され、支持軸を移動すべく構成されていることを特徴とするエンドレス方式のウインチ。
【請求項2】
ウインチ本体に設けられた駆動軸を回転駆動し、該駆動軸に取り付けられた巻回ドラムを回転するとともに、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝に設けられた押圧体でロープを溝側に押圧し、該巻回ドラムの近傍に設けられた一対のガイドローラでロープを巻回ドラム側へ取り入れ及び巻回ドラムの溝より取り出し移動することで該ロープに連結されたネット又はシートを吊り張り又は収納移動するエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システムにおいて、前記押圧体による溝側へのロープの押圧とガイドローラの揺動移動しながらの回転によるロープの巻回ドラムへの取り入れ移動、及びロープの巻回ドラムよりの取り出し時のロープへの押圧の解除とガイドローラの回転によるロープの巻回ドラムよりの取り出し移動をそれぞれ連動することを特徴とするエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの連結したロープの移動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−56768(P2012−56768A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241465(P2010−241465)
【出願日】平成22年10月9日(2010.10.9)
【出願人】(592206156)東田商工株式会社 (54)