説明

オイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造

【課題】本発明の課題は、ヘッド、ネックリラクゼーション、トリートメントからシャンプーを連続的に行えるようにするとともに、シャンプー台の貯水部の底に形成した排水口付近に先端バキューム口を垂直状態に保持させることができるようにした、使い勝手に優れたオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造を提供することである。
【解決手段】貯水部を有するシャンプー台にセットされるオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造であって、オイル定温循環濾過装置本体からオイル回収ホースとオイル供給ホースとを延出し、このオイル回収ホースの先端に、先端バキューム口を取り付け、シャンプー台の貯水部の底に形成された排水口を閉塞するためのキャップ部材を備えたことを特徴とするオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアーサロンのシャンプー台位置で、頭部のオイルマッサージを行った後で、オイル定温循環濾過装置の先端ノズルから温められたオイルを額部に流下させるか、あるいはこのオイルマッサージとオイルドリッピングを同時に行うヘッド、ネックリラクゼーション、トリートメント(通称「シロビエンガ」「シロダーラ」と称される)で使用される貯留オイルの回収吸引部構造に関し、さらに詳しくはオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
このような、ヘッド、ネックリラクゼーション、トリートメントは、温められたオイル(ごま油、菜種油、ハーバルオイルなど)を施術台に横たわった被験者の額部(額、眉間、頭皮部など)のポイントに一定圧で線状に流下(オイルドリッピング)させながら、同時に施術者が被験者の頭皮及び頭髪をマッサージ(オイルマッサージ)し、あるいはこのオイルマッサージとオイルドリッピングを別々に行った後、リンパ系の滞留毒素を搾り出し、頭部、首部をすっきりダイエットさせて、最後はお湯でシャンプー洗浄して、アンチエイジング効果や、育毛養毛効果や、心身のバランスの改善を確保するものである。
【0003】
さらにヘッド、ネックリラクゼーション、トリートメントにおいては、1回の施術で多量のオイル(1〜4リットル程度)が使用されると共に施術時間が長くなるため、被験者の頭部をシャンプー台の貯水部(ボウル)の中央付近の上方に安定保持したクッション枕の上面に載せ、被験者の額部から落下させたオイルを貯水部の排水口を塞いだ状態で貯水部に貯留し、そこに貯留されたオイルを、オイル定温循環濾過装置の回収吸引部の先端バキューム口から吸引してオイル定温循環濾過装置内に回収し、この回収されたオイルは適温に再加熱されたり、濾過されるなどして、再び先端ノズルから被験者の額部に落下させるものである。
【特許文献1】特開2001−190323号公報
【特許文献2】実用新案登録第3102969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したヘッド、ネックネックリラクゼーション、トリートメントを行うために、シャンプー台の位置で温められたオイルを循環させるオイル定温循環濾過装置は存在しないという現実があった。
さらに回収吸引部の先端バキューム口と循環装置本体とを結ぶホースは、前記のクッション枕が邪魔になって安定保持させることができないことや排水口を塞ぐキャップ部材が単にゴム部材の単体で形成されているだけなどの理由から、先端バキューム口をシャンプー台の貯水部の底に形成した排水口付近に垂直状態で保持させることができなかった。すなわち、先端バキューム口を垂直状態に保持できない場合には、シャンプー台の貯水部に貯留したオイルを効率的に取り残すことなく吸引できなくなるという不都合がある。
【0005】
そのため、従来はヘッド、ネックリラクゼーション、トリートメントを行うためには、その施術用の専用の装置を備えたオイル定温循環濾過装置に準ずる設備を設置した場所でオイルによるヘッド、ネックリラクゼーション、トリートメントを施術し、ついでオイルを洗い流すシャンプーはシャンプー台に移動して施術する必要があり、被験者は途中でマッサージベッド上に横たえていた体を起こし、その場所から自ら歩行をしながらシャンプー台の前に移動しなければならず、結果的に途中で心身ともにリラックスした心地よい眠りの状態が中断され、かつ被験者の顔には施術の際のオイルが垂れるので不快感を与え、大変わずらわしい動作を強要されるという問題が発生していた。
【0006】
本発明は、ヘアーサロンのシャンプー台を利用することにより、その位置で被験者をマッサージベッド上に寝かせた状態で、その場所を変えることなくヘッド、ネックトリートメントからシャンプーを連続的に行えるようにするとともに、シャンプー台の貯水部の底に形成した排水口付近に先端バキューム口を垂直状態に保持して貯留したオイルを効率的に取り残すことなく回収できるようにした、使い勝手に優れたオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造の請求項1のものは、貯水部を有するシャンプー台にセットされるオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造であって、オイル定温循環濾過装置本体からオイル回収ホースとオイル供給ホースとを延出し、このオイル回収ホースの先端に、先端バキューム口を取り付け、シャンプー台の貯水部の底に形成された排水口を閉塞するためのキャップ部材を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また請求項2は、シャンプー台の貯水部上方に載置されるクッション枕を備え、このクッション枕の所定位置に、前記オイル回収ホースを挿通させることができる垂直孔を形成してなるものである。
【0009】
また請求項3は、前記クッション枕の上面に、被験者の頭部載置位置から上記垂直孔に向かって下り勾配となるオイル逃がし溝を形成してなるものである。
【0010】
また請求項4は、前記クッション枕において、被験者の頭部載置位置の下面付近に、クッション枕内を貫通し上記垂直孔に向かって下り勾配となるオイル逃がし孔を複数本形成したことを特徴とするものである。
【0011】
また請求項5は、前記クッション枕の左右側面、前後側面、底面のいずれか/又はすべてに、寸法調整アジャスターを取り付けたことを特徴とするものである。
【0012】
また請求項6は、前記キャップ部材の上面に、先端バキューム口が収まる凹陥部を形成したことを特徴とするものである。
【0013】
また請求項7は、前記キャップ部材の上面側に前記先端バキューム口を係止するための係止具を取り付けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造は、ヘアーサロンのシャンプー台位置で被験者をマッサージベッド上に寝かせた状態で、その場所を変えることなくヘッド、ネックリラクゼーション、トリートメントからシャンプーを連続的に行えるようにするとともに、シャンプー台の貯水部の底に形成した排水口付近に先端バキューム口を垂直状態に保持させることができ、シャンプー台の貯水部に貯留したオイルを効率的に取り残すことなく吸引できるという効果がある。
【0015】
さらにクッション枕をシャンプー台のボウル部に安定的に設置することが可能となると共に、施術に使用したオイルを枕に形成したオイル逃がし溝やオイル逃がし孔を経由させて、外部の空気に触れにくい状態でオイル回収ホースからオイル定温循環濾過装置内に短時間で回収できるようにして、オイルの酸化防止を図りつつ温められたオイルの温度低下を極力防止して、再加熱の際の省エネ効果を達成できるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造の実施の形態を説明する。
図1は本発明のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造の全体斜視図、図2は前図における先端バキューム口付近の正面図、図3はクッション枕を備えた状態の同縦断正面図、図4はクッション枕の斜視図、図5はキャップ部材の拡大斜視図である。
【0017】
図1に示す本発明に係るオイル定温循環濾過装置本体1の内部には、詳細に図示はしていないが、オイルポンプ、流量調整弁、温度センサー、加熱ヒーター、熱交換パイプなどの主要部品が内蔵されており、またこのオイル定温循環濾過装置本体1の上面にはオイル供給ホース2とオイル回収ホース3とが取り付けられている。
またオイル定温循環濾過装置本体1の下部には、移動用のキャスター19が取り付けられている。さらに符号21はシャンプー台の給湯コック、22はシャワーノズルである。
【0018】
オイル供給ホース2は、オイル定温循環濾過装置本体1内から送られてくる温められたオイルを送り出すためのホースで、そのホースの先端には先端ノズル4が取り付けられ、さらにその先には施術者がオイルの落下方向を微妙にコントロールできるようにするために可撓性のゴムチューブ16が取り付けられている。このオイル供給ホース2は、オイル定温循環濾過装置本体1内に伸縮動して収納自在となる鞘管13に保持されており、装置を使用しないときにはオイル供給ホース2と鞘管13とがオイル定温循環濾過装置本体1内に収納されて、コンパクトな形態となる。
一方オイル回収ホース3は、シャンプー台の貯水部5に溜まった落下オイルをオイル定温循環濾過装置本体1内に送り返すためのホースで、そのホースの先端には先端バキューム口6が取り付けられている。
【0019】
さらにシャンプー台の貯水部5の底には排水口(ドレン)7が形成されており、その排水口7を閉塞するためのキャップ部材8が備えられている。このキャップ部材8は、その上面が大きな凹陥状のオイル溜め凹部20に形成され、かつ上面付近に前記先端バキューム口6をキャップ部材8の上面位置に安定保持させるための係止部材9(図中では、両端が固定されたチェーン状態に形成されている)が取り付けられている。このため、貯留オイルはキャップ部材8のオイル溜め凹部20とその上面位置に集中して貯留することとなり、オイル溜め凹部20の底部位置に先端バキューム口6を垂直状にあてがうことで、溜められた貯留オイルの効率的な回収が可能となる。
【0020】
ついで図3に示されるクッション枕10は、その表面が防水素材で覆われ、その内部は低反発ウレタンなどの芯素材が詰められ、使用時にはシャンプー台の貯水部内部に安定的に載置され、それは被験者の頭部を載せるための台となる。
具体的には、クッション枕10の下面付近には芯素材を安定保持させるための枠体14が取り付けられ、貯水部5の内壁面にその枠体14を当接させてクッション枕10を動かないように水平状にシャンプー台にセットし、同時に枠体14の下方のシャンプー台の内部には貯留オイルが溜められる空間15を確保している。
この枠体14は、木、ステンレス、プラスチック、ゴムなどで形成され、クッション枕10と一体成型されるようになっている。
【0021】
このクッション枕10には、必要に応じて所定位置にオイル回収ホース3を挿通させるための垂直孔11が形成され、この垂直孔11にオイル回収ホース3を挿通させた場合には、オイル回収ホース3が垂直状に保持され、最下端の先端バキューム口6がキャップ部材8のオイル溜め凹部20の底部位置に垂直状にあてがわれることとなる。
ここでクッション枕10の垂直孔11の断面形状を長孔状又は楕円状に形成した場合には、オイル回収ホース3とキャップ部材8の位置が、各種の寸法や形状の異なるシャンプー台に十分対応することが可能となり、オイル回収ホース3とキャップ部材8の位置調整の自由度が向上することとなる。
【0022】
またクッション枕10の上面に、被験者の頭部載置位置から上記垂直孔11に向かって下り勾配となるオイル逃がし溝17を形成しておくと、被験者の頭部からクッション枕10の上面に落下したオイルは、効率的にオイル逃がし溝17に集められ、さらにそのオイル逃がし溝17に導かれたオイルは短時間で垂直孔11に案内されることとなる。
【0023】
またクッション枕10において、被験者の頭部載置位置の下面付近に、クッション枕10を貫通し上記垂直孔11に向かって下り勾配となるオイル逃がし孔18を形成した場合には、被験者の頭部からクッション枕10の上面に落下したオイルは、効率的にオイル逃がし孔18に集められ、さらにそのオイル逃がし孔18に導かれたオイルは短時間で垂直孔11に案内されるようになる。
【0024】
このようにオイル逃がし溝17やオイル逃がし孔18を経由して、被験者の頭部からクッション枕10の上面に落下したオイルが短時間で垂直孔11に案内されることで、温められているオイルが外部の空気に触れて温度低下をきたすことや、あるいは酸化による劣化をきたすことが防止されるためオイルの劣化防止が図られると共に、回収オイルがオイル定温循環濾過装置本体1で再加熱される際には、所定の温度まで回収オイルを加熱するのに要するエネルギーが節約されることになり省エネとなる効果が達成できる。
【0025】
つぎにこのクッション枕10の左右側面、前後側面、底面のいずれかに、あるいはそれらのすべての面に、必要に応じて寸法調整アジャスター12が取り付けられ、この寸法調整アジャスター12を回動操作してクッション枕10のガタツキを調整し、かつクッション枕10の高さを被験者の好みの高さに調整できるようになっている。この寸法調整アジャスター12は、好ましくは一面に最低2個取り付けるようにしておくと、クッション枕10が不用意に回動する事故などを防止できる利点がある。
【0026】
さらに前記キャップ部材8の上面には、先端バキューム口6をキャップ部材8にしっかり安定させるために、係止部材9(図ではチェーン状を呈している)を備えるようにすることもでき、この係止部材9はキャップ部材8の取り外し時の指掛けとしても利用できる特徴がある。なお図5において、符号23は、キャップ部材8の上面にセットしたメッシュ体の先端バキューム口挿通孔であって、それはキャップ部材8のオイル溜め凹部20の底部位置に先端バキューム口6を案内する際の通過孔である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、シャンプー台を利用することにより、その位置でオイル定温循環濾過装置を使用して、ヘッド、ネックリラクゼーション、トリートメントを行うヘアーサロン、美容院、老人センター、ホテル、エステ、旅館などの業界で利用可能である。
さらに全身オイルトリートメントの業界で使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造の全体斜視図である。
【図2】前図における先端バキューム口付近の正面図である。
【図3】クッション枕を備えた状態の同縦断正面図である。
【図4】クッション枕の斜視図である。
【図5】キャップ部材の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 オイル定温循環濾過装置本体
2 オイル供給ホース
3 オイル回収ホース
4 先端ノズル
5 貯水部
6 先端バキューム口
7 排水口
8 キャップ部材
9 係止部材
10 クッション枕
11 垂直孔
12 寸法調整アジャスター
13 鞘管
14 枠体
15 空間
16 ゴムチューブ
17 オイル逃がし溝
18 オイル逃がし孔
19 キャスター
20 オイル溜め凹部
21 給湯コック
22 シャワーノズル
23 先端バキューム口挿通孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水部を有するシャンプー台にセットされるオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造であって、オイル定温循環濾過装置本体からオイル回収ホースとオイル供給ホースとを延出し、このオイル回収ホースの先端に、先端バキューム口を取り付け、シャンプー台の貯水部の底に形成された排水口を閉塞するためのキャップ部材を備えたことを特徴とするオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造。
【請求項2】
シャンプー台の貯水部上方に載置されるクッション枕を備え、このクッション枕の所定位置に、前記オイル回収ホースを挿通させることができる垂直孔を形成してなる請求項1記載のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造。
【請求項3】
前記クッション枕の上面に、被験者の頭部載置位置から上記垂直孔に向かって下り勾配となるオイル逃がし溝を形成してなる請求項1又は2記載のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造。
【請求項4】
前記クッション枕において、被験者の頭部載置位置の下面付近に、クッション枕内を貫通し上記垂直孔に向かって下り勾配となるオイル逃がし孔を複数本形成してなる請求項1乃至3のいずれかに記載のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造。
【請求項5】
前記クッション枕の左右側面、前後側面、底面のいずれか/又はすべてに、寸法調整アジャスターを取り付けてなる請求項1乃至4のいずれかに記載のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造。
【請求項6】
前記キャップ部材の上面に、先端バキューム口が収まる凹陥部を形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造。
【請求項7】
前記キャップ部材の上面側に前記先端バキューム口を係止するための係止具を取り付けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のオイル定温循環濾過装置における貯留オイルの回収吸引部構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−200338(P2008−200338A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40941(P2007−40941)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(502427622)株式会社パークウェイ (1)
【Fターム(参考)】