説明

オブジェクトベースオーディオ信号の符号化及び復号化方法とその装置

【課題】オブジェクトベースオーディオ信号の符号化及び復号化方法とその装置を提供する。
【解決手段】このオーディオ信号復号化方法は、入力オーディオ信号からオブジェクトベースダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出し、オブジェクトベースダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを用いてオブジェクトオーディオ信号を生成する。そして、インデックスデータに対応して3D情報をオブジェクトオーディオ信号に適用して3D効果の適用されたオブジェクトオーディオ信号を生成する。これにより、オブジェクトオーディオ信号別に音像を定位でき、オブジェクトオーディオ信号の再生の際により精巧な現実感を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ信号の符号化及び復号化方法とその装置に関し、より詳細には、オブジェクトオーディオ信号別に音像を所望の空間位置に定位させることができるように符号化及び復号化するオーディオ信号の符号化及び復号化方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オブジェクトベースオーディオ符号化方法において、オブジェクトエンコーダは、複数のオブジェクトオーディオ信号をダウンミックスすることによってダウンミックス信号を生成し、オブジェクトオーディオ信号から抽出した複数の情報を含むパラメータ情報を生成する。典型的なオブジェクトベースオーディオ復号化方法において、オブジェクトデコーダは、受信したダウンミックス信号をオブジェクトベースパラメータ情報を用いて復号化することによって複数のオブジェクトオーディオ信号を復元し、レンダラーは、復元されたオブジェクト信号の位置を指定するのに必要な制御データに基づいて、オブジェクトオーディオ信号を2チャンネル信号又はマルチチャンネル信号に合成する。
【0003】
しかしながら、制御データは単なるレベル間情報であり、レベル情報を用いて単なる音像正位を行うことによって3D効果を具現するのに限界があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、オブジェクトオーディオ信号別に音像を所望の空間位置に定位できるようにオーディオ信号を符号化及び復号化するオーディオ信号符号化及び復号化方法とその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための本発明によるオーディオ信号復号化方法は、入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出する段階と、前記ダウンミックス信号と前記オブジェクトベースパラメータ情報とを用いてオブジェクトオーディオ信号を生成する段階と、3次元(3D)効果の適用されたオブジェクトオーディオ信号を、前記オブジェクトオーディオ信号に3D情報を用いて生成する段階と、を含む。
【0006】
また、上記の目的を達成するための本発明によるオーディオ信号の復号化方法は、入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出する段階と、前記オブジェクトベースパラメータ情報を変換してチャンネルベースパラメータ情報を生成する段階と、前記ダウンミックス信号と前記チャンネルベースパラメータ情報とを用いてオーディオ信号を生成し、該オーディオ信号に3D情報を用いて3D効果の適用されたオーディオ信号を生成する段階と、を含む。
【0007】
一方、本発明によるオーディオ信号復号化装置は、入力オーディオ信号からオブジェクトベースダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出するデマルチプレクサと、前記オブジェクトベースダウンミックス信号と前記オブジェクトベースパラメータ情報とを用いてオブジェクトオーディオ信号を生成するオブジェクトデコーダと、前記オブジェクトオーディオ信号に3D情報を用いて3D効果の適用されたオブジェクトオーディオ信号を生成するレンダラーと、を含む。
【0008】
また、本発明によるオーディオ信号復号化装置は、入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出するデマルチプレクサと、インデックスデータを用いて3D情報を引き出すとともに前記3D情報を出力するレンダラーと、前記オブジェクトベースパラメータ情報をチャンネルベースパラメータ情報に変換し、前記3D情報をチャンネルベース3D情報に変換し、これらをそれぞれ出力するトランスコーダと、前記ダウンミックス信号と前記チャンネルベースパラメータ情報とを用いてオーディオ信号を生成し、該オーディオ信号に前記チャンネルベース3D情報を用いて3D効果の適用されたオーディオ信号を生成するマルチチャンネルデコーダと、を含む。
【0009】
本発明によれば、入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報を抽出するデマルチプレクサと、入力インデックスデータを用いて3D情報を引き出すとともに3D情報を出力するレンダラーと、前記オブジェクトベースパラメータ情報をチャンネルベースパラメータ情報に変換し、前記3D情報をチャンネルベース3D情報に変換し、これらをそれぞれ出力するトランスコーダと、前記ダウンミックス信号と前記チャンネルベースパラメータ情報とを用いてオーディオ信号を生成し、前記オーディオ信号に前記チャンネルベース3D情報を用いて3D効果の適用されたオーディオ信号を生成するマルチチャンネルデコーダと、を含むオーディオ信号復号化装置が提供される。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明によるオーディオ信号符号化方法は、オブジェクトオーディオ信号をダウンミックスすることによってダウンミックス信号を生成する段階と、前記オブジェクトオーディオ信号に関する情報を抽出し、オブジェクトベースパラメータ情報を生成する段階と、前記オブジェクトオーディオ信号に対する3D効果具現時に用いられる3D情報の検索のためのインデックスデータを、前記オブジェクトベースパラメータ情報に挿入する段階と、を含む。
【0011】
前記目的を達成するために本発明では、前記方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読取り可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明の如く、本発明によれば、オブジェクトベースオーディオ信号の符号化及び復号化の長所を最大限に活用しながら、各オブジェクトオーディオ信号に音像を定位できるので、オブジェクトオーディオ信号の再生時により生き生きとした現実感を提供することが可能になる。また、本発明は、ゲームプレーヤーによりネットワークを通じて操作されるゲームキャラクターの位置情報が頻繁に変化するインタラクティブゲームに有用となり、精巧な現実感を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明についてより詳細に説明する。
【0014】
本発明によるオーディオ信号の符号化及び復号化方法とその装置は、基本的に、オブジェクトベースオーディオ信号の符号化及び復号化過程に適用されるが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、本発明による条件を満たす他の信号の処理過程にも適用可能である。また、本発明によるオーディオ信号の符号化及び復号化方法とその装置は、オブジェクトオーディオ信号に頭部伝達関数(HRTF)などの3D情報を適用するもので、これにより、それぞれのオブジェクトオーディオ信号の音像を所望の空間位置に定位させることができる。
【0015】
図1は、一般的なオブジェクトベースオーディオ符号化装置を示すブロック図である。図1を参照すると、オブジェクトベースオーディオ信号符号化装置は、オブジェクトエンコーダ110及びビットストリーム生成部120を含む。
【0016】
オブジェクトエンコーダ110は、N個のオブジェクトオーディオ信号を受信し、オブジェクトベースダウンミックス信号と、N個のオブジェクトオーディオ信号から抽出した情報が含まれるオブジェクトベースパラメータ情報と、を生成する。この時、各オブジェクトオーディオ信号から抽出した情報は、エネルギー差の値及び相関値などに基づくものである。
【0017】
ビットストリーム生成部120は、オブジェクトエンコーダ110で生成したオブジェクトベースダウンミックス信号とパラメータ情報とを結合したビットストリームを生成する。ここで、ビットストリーム生成部120で生成したビットストリームには、復号化装置のデフォルト設定のためにデフォルトミキシングパラメータを含めることができ、デフォルトミキシングパラメータには、3D効果具現時に適用されるHRTFのような3D情報の検索に使われるインデックスデータを含めることができる。
【0018】
図2は、本発明の第1実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。本実施例によるオーディオ信号復号化装置は、一般的なオブジェクトベース符号化方法にHRTFベース3Dバイノーラル定位(binaural localisation)概念を加えたものである。HRTFは、任意の位置を持つ音源から出る音波と耳の鼓膜に到達する音波間の伝達関数を意味し、前記音源の方位と高度によってその値が異なる。指向性のない信号をHRTFでフィルタリングすると、人にとってはあたかも特定方向から音が聞こえるかのよう感じられる。
【0019】
図2を参照すると、本実施例によるオーディオ信号復号化装置は、デマルチプレクサ130、オブジェクトデコーダ140、レンダラー150、及び3D情報データベース160を含む。
【0020】
デマルチプレクサ130は、入力ビットストリームからダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報を抽出する。オブジェクトデコーダ140は、ダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを用いてオブジェクトオーディオ信号を生成する。3D情報データベース160は、HRTFなどのような3D情報を保存するデータベースであり、入力インデックスデータに対応する3D情報を検索して出力する。そして、レンダラー150は、オブジェクトデコーダ140によって生成されたオブジェクトオーディオ信号と、3D情報データベース160から出力された3D情報とを用いて、3D信号を生成する。
【0021】
図3は、本発明の第1実施例によるオーディオ信号復号化装置の動作方法を説明するためのフローチャートである。図2及び図3を参照すると、オーディオ信号復号化装置は、符号化装置などから伝達されるビットストリームを受信すると(S170)、デマルチプレクサ130が、ビットストリームからダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出する(S172)。オブジェクトデコーダ140は、デマルチプレクサ130で抽出されたダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを用いてオブジェクトオーディオ信号を生成する(S174)。
【0022】
レンダラー150は、オブジェクトオーディオ信号の位置を指定するのに必要な制御データに含まれたインデックスデータを用いて3D情報データベース160から3D情報を引き出す(S176)。続いて、レンダラー150は、オブジェクトデコーダ110から出力されるオブジェクトオーディオ信号と3D情報データベース160から引き出した3D情報とを用いて3Dレンダリングを行うことによって、3D効果を奏する3Dベースの信号を生成する(S178)。
【0023】
レンダラー150によって生成された3D信号は、3以上の指向性を持つ2チャンネルの信号とすることができ、ヘッドホンのような2チャンネルスピーカーを通じて3次元立体音響として再生できる。すなわち、レンダラー150によって生成された3D信号を2チャンネルのスピーカーを通じて再生すると、3Dダウンミックス信号は3チャンネル以上の音源から再生されるかのようにユーザーが感じることができる。音源の方向は、両耳に入ってくる音の強度差、二つの音の間の時間差、二つの音の位相差のうち少なくとも一つによって決定されるので、レンダラー150は、人間が聴覚で音源の3次元上の位置を把握するメカニズムを用いて3D信号を生成できる。
【0024】
オーディオ信号符号化装置は、デフォルト設定のためにデフォルトミキシングパラメータ情報に3D情報引出しに必要なインデックスデータを含むことができる。この場合、レンダラー150は、デフォルトミキシングパラメータ情報に含まれたインデックスデータを用いて3D情報データベース160から3D情報を引き出すことができる。
【0025】
オーディオ信号符号化装置は、オブジェクト信号に対して3D効果具現時に適用されるHRTFのような3D情報の検索に必要なインデックスデータを制御データに含むことができる。すなわち、本実施例によるオーディオ信号の符号化装置に使われる制御データに含まれるミキシングパラメータは、レベル情報の外に、3D情報の検索のためのインデックスデータをさらに含むことができる。そして、制御データに含まれるミキシングパラメータには、レベル情報とインデックスデータの外に、チャンネル間の時間差情報のような時間情報、位置情報、及びレベル情報と時間情報との組合せとすることができる。
【0026】
複数のオブジェクトオーディオ信号及び複数のオブジェクトオーディオ信号の一つ以上に加えることを必要とする3D効果が存在する場合、所定のインデックス情報に対応する3D情報が、検索され、3D効果を加えるオブジェクトオーディオ信号のターゲット位置を特定する3D情報を格納する3D情報データベース160から引き出される。レンダラー150は、引き出された3D情報を用いて3Dレンダリング処理を行い、3D効果を奏することができる。全てのオブジェクト信号に関する3D情報を、ミキシングパラメータ情報として使用することができる。3D情報を少数のオブジェクト信号のみに適用する場合、少数のオブジェクト信号以外のオブジェクト信号に関するレベル情報及び時間情報を、ミキシングパラメータ情報として使用することができる。
【0027】
図4は、本発明の第2実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。本実施例では、オブジェクトデコーダの代わりにマルチチャンネルデコーダ270を使用する。
【0028】
図4を参照すると、本実施例によるオーディオ信号復号化装置は、デマルチプレクサ230、トランスコーダ240、レンダラー250、3D情報データベース260、及びマルチチャンネルデコーダ270を含む。
【0029】
デマルチプレクサ230は、入力ビットストリームからダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出する。レンダラー250は、制御データに含まれたインデックスデータに対応する3D情報を用いて、各オブジェクト信号に対して3D位置を指定する。トランスコーダ230は、オブジェクトベースパラメータ情報と、レンダラー240によって3D情報が適用された各オブジェクトオーディオ信号に対する3D位置情報とを合成し、チャンネルベースパラメータ情報を生成する。マルチチャンネルデコーダ270は、ダウンミックス信号とチャンネルベースパラメータ情報とを用いて、3D信号を生成する。
【0030】
図5は、本発明の第2実施例によるオーディオ信号復号化装置の動作方法を説明するためのフローチャートである。図4及び図5を参照すると、オーディオ信号復号化装置がビットストリームを受信すると(S280)、デマルチプレクサ230は、受信したビットストリームからオブジェクトベースダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出する(S282)。
【0031】
レンダラー250は、オブジェクトオーディオ信号の位置を指定するのに使用する制御データに含まれたインデックスデータを抽出し、抽出したインデックスデータを用いて3D情報データベース260から3D情報を引き出す(S284)。一次的にデフォルトミキシングパラメータにより指定されたオブジェクトオーディオ信号の位置は、ミキシング制御データを用いてオブジェクトオーディオ信号の所望の位置に対応する3D情報を指定することによって変更することができる。
【0032】
トランスコーダ230は、オーディオ信号符号化装置によって転送されたN個のオブジェクト信号に関するオブジェクトベースパラメータ情報と、レンダラー250によりHRTFのような3D情報を用いて得られた各オブジェクト信号に関する3D位置情報とを合成し、M個チャンネルに対するチャンネルベースパラメータ情報を生成する(S286)。
【0033】
マルチチャンネルデコーダ270は、デマルチプレクサ230から供給されるダウンミックス信号とトランスコーダ230から供給されるチャンネルベースパラメータ情報とを用いてオーディオ信号を生成し、チャンネルベースパラメータ情報に含まれた3D情報を用いて3Dレンダリングを行い、3Dベースのマルチチャンネル信号を生成する(S290)。
【0034】
図6は、本発明の第3実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。図6を参照すると、本実施例によるオーディオ信号の復号化装置は、トランスコーダ440がマルチチャンネルデコーダ470にチャンネルベースパラメータ情報及び3D情報を個別に転送するという点が、前述した実施例と異なる。すなわち、第2実施例によるトランスコーダのように、3D情報を含むチャンネルベースパラメータ情報を転送するのではなく、本実施例ではトランスコーダ440が、N個のオブジェクト信号に対するオブジェクトベースパラメータ情報を用いることによって得られたM個チャンネルに対するチャンネルベースパラメータ情報をマルチチャンネルデコーダ470に転送する。
【0035】
図7に示すように、チャンネルベースパラメータ情報と3D情報は、それ自体のフレームインデックスを含む。したがって、マルチチャンネルデコーダ470は、チャンネルベースパラメータ情報と3D情報のフレームインデックスを用いてチャンネルベースパラメータ情報と3D情報との同期をとることによって、ビットストリームの特定フレームに3D情報を適用することができる。例えば、図7を参照すると、インデックス2に対応する3D情報を、インデックス2を持つフレーム2の始点に適用される。
【0036】
3D情報が時間の経過につれて更新される場合でも、チャンネルベースパラメータ情報において3D情報をどの位置に適用する必要があるかを3D情報のフレームインデックスを参照することによって決定することができる。すなわち、マルチチャンネルデコーダ470がチャンネルベースパラメータ情報と3D情報とを一時的に同期をとるために、トランスコーダ440は、チャンネルベースパラメータ情報と3D情報にフレームインデックス情報を挿入することができる。
【0037】
図8は、本発明の第4実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。図8を参照すると、本実施例によるオーディオ信号復号化装置は、プリプロセッサ543とエフェクトプロセッサ580とをさらに含み、レンダラー550内に3D情報データベース560が備えられるという点が、前述した実施例と異なる。
【0038】
すなわち、デマルチプレクサ530、トランスコーダ547、レンダラー560、3D情報データベース560、及びマルチチャンネルデコーダ570の機能及び構成は、図6に示す実施例におけると同様である。図8を参照すると、エフェクトプロセッサ580がダウンミックス信号に所定の効果を加えることができる。プリプロセッサ543は、例えばステレオダウンミックス信号に前処理過程を行うことができ、その結果、ステレオダウンミックス信号の位置を調整することができる。レンダラー550内に3D情報データベース560を含むことができる。
【0039】
図9は、本発明の第5実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。図9を参照すると、本実施例によるオーディオ信号復号化装置は、3D信号を生成する部分680がマルチチャンネルデコーダ670とメモリー675とから構成されるという点が、前述した実施例と異なる。この場合、マルチチャンネルデコーダ670は、マルチチャンネルデコーダ670の使用されていないメモリーに保存された3D情報をメモリー675に複写し、メモリー675に複写された3D情報を用いて3Dレンダリングを行う。したがって、トランスコーダ647から出力される3D情報が、メモリー675に保存された3D情報を直接更新するように構成すると、マルチチャネルデコーダ670の構成変更なしで所望の3D情報を用いて3Dベースの信号を生成することができる。
【0040】
一方、本発明は、コンピュータが読取りできる記録媒体にコンピュータが読取りできるコードとして具現することが可能である。コンピュータが読取りできる記録媒体は、コンピュータにより読み取られうるデータが保存される全ての種類の記録装置を含む。コンピュータが読取りできる記録媒体の例には、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フレキシブルディスク、光データ記憶装置などがあり、また、インターネットを介した転送などのような搬送波の形態で具現されるものも含む。また、コンピュータが読取りできる記録媒体を、ネットワークで連結されたシステムに分散し、分散方式でコンピュータが読取りできるコードが保存し、実行することができる。本発明を実現するのに必要な機能プログラム、コード及びコードセグメントを、当業者によって容易に構成することができる。
【0041】
また、以上では本発明を好適な実施例に挙げて説明してきたが、本発明は、上記した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱しない限度内で、当該技術分野における通常の知識を持つ者によって様々な変形実施が可能であることは勿論であり、それらの変形実施も本発明の技術的思想に含まれるものとして理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、オブジェクトベースのオーディオ信号の復号化過程などに適用され、オブジェクトオーディオ信号別に音像を定位し、より精巧な現実感を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】一般的なオブジェクトベースのオーディオ信号符号化装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例によるオーディオ信号復号化装置の動作方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施例によるオーディオ信号復号化装置の動作方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。
【図7】図6に示すオーディオ信号復号化装置によりフレームに3D情報を適用する例を示す図である。
【図8】本発明の第4実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。
【図9】本発明の第5実施例によるオーディオ信号復号化装置を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出する段階と、
前記ダウンミックス信号と前記オブジェクトベースパラメータ情報とを用いてオブジェクトオーディオ信号を生成する段階と、
前記オブジェクトオーディオ信号に3D情報を用いて、3D効果の適用されたオブジェクトオーディオ信号を生成する段階と、
を含むことを特徴とするオーディオ信号復号化方法。
【請求項2】
前記3D情報は、頭部伝達関数(HRTF)情報であることを特徴とする、請求項1に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項3】
前記3D情報がデータベース化して保存される段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項4】
前記3D情報は、前記オブジェクトオーディオ信号のレンダリングに用いられる制御データに含まれたインデックスデータに対応する情報であることを特徴とする、請求項1に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項5】
前記制御データは、チャンネル間レベル情報、チャンネル間時間情報、位置情報、及び前記レベル情報と前記時間情報とを組み合わせた情報のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項4に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項6】
前記制御データに基づいて前記オブジェクトオーディオ信号をレンダリングする段階をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項7】
前記インデックスデータは、前記オブジェクトベースパラメータ情報に含まれたデフォルトミキシングパラメータに含まれることを特徴とする、請求項1に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項8】
入力オーディオ信号からオブジェクトベースダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出するデマルチプレクサと、
前記オブジェクトベースダウンミックス信号と前記オブジェクトベースパラメータ情報とを用いてオブジェクトオーディオ信号を生成するオブジェクトデコーダと、
前記オブジェクトオーディオ信号に3D情報を用いて3D効果の適用されたオブジェクトオーディオ信号を生成するレンダラーと、
を含むことを特徴とするオーディオ信号復号化装置。
【請求項9】
前記3D情報がデータベース化して保存される3D情報データベースをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載のオーディオ信号の復号化装置。
【請求項10】
前記3D情報は、頭部伝達関数(HRTF)情報であることを特徴とする、請求項8に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項11】
前記3D情報は、前記オブジェクトオーディオ信号のレンダリングに用いられる制御データに含まれたインデックスデータに対応する情報であることを特徴とする、請求項8に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項12】
前記制御データは、チャンネル間レベル情報、チャンネル間時間情報、位置情報、及び前記レベル情報と前記時間情報とを組み合わせた情報のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項11に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項13】
入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出する段階と、
前記オブジェクトベースパラメータ情報を変換してチャンネルベースパラメータ情報を生成する段階と、
前記ダウンミックス信号と前記チャンネルベースパラメータ情報とを用いてオーディオ信号を生成し、前記オーディオ信号に3D情報を用いて3D効果の適用されたオーディオ信号を生成する段階と、
を含むことを特徴とするオーディオ信号復号化方法。
【請求項14】
前記3D情報がデータベース化して保存される段階をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載のオーディオ信号の復号化方法。
【請求項15】
前記3D情報は、HRTF情報であることを特徴とする、請求項13に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項16】
前記3D情報は、前記オブジェクトオーディオ信号のレンダリングに用いられるミキシング制御データに含まれることを特徴とする、請求項13に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項17】
前記ミキシング制御データは、チャンネル間レベル情報、チャンネル間時間情報、位置情報及び前記レベル情報と前記時間情報とを組み合わせた情報のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項16に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項18】
前記制御データに基づいて前記オブジェクトオーディオ信号をレンダリングする段階をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項19】
前記ダウンミックス信号に予め決定された効果を加える段階をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載のオーディオ信号復号化方法。
【請求項20】
入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報とを抽出するデマルチプレクサと、
インデックスデータを用いて3D情報を引き出すとともに前記3D情報を出力するレンダラーと、
前記オブジェクトベースパラメータ情報と前記3D情報とを用いてチャンネルベースパラメータ情報を生成するトランスコーダと、
前記ダウンミックス信号と前記チャンネルベースパラメータ情報とを用いてオーディオ信号を生成し、前記オーディオ信号に前記チャンネルベースパラメータ情報に含まれた3D情報を用いて3D効果の適用されたオーディオ信号を生成するマルチチャンネルデコーダと、
を含むことを特徴とするオーディオ信号復号化装置。
【請求項21】
前記インデックスデータに対応する3D情報がデータベース化して保存される3D情報データベースをさらに含むことを特徴とする、請求項20に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項22】
前記3D情報データベースは、前記レンダラーに備えられることを特徴とする、請求項20に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項23】
前記ダウンミックス信号に予め決定された効果を加えるエフェクトプロセッサをさらに含むことを特徴とする、請求項20に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項24】
前記インデックスデータは、前記オブジェクトオーディオ信号のレンダリングに用いられる制御データに含まれることを特徴とする、請求項20に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項25】
前記制御データは、チャンネル間レベル情報、チャンネル間時間情報、位置情報、及び前記レベル情報と前記時間情報とを組み合わせた情報のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項24に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項26】
入力オーディオ信号からダウンミックス信号とオブジェクトベースパラメータ情報を抽出するデマルチプレクサと、
入力インデックスデータを用いて3D情報を引き出すとともに前記3D情報を出力するレンダラーと、
前記オブジェクトベースパラメータ情報をチャンネルベースパラメータ情報に変換し、前記3D情報をチャンネルベース3D情報に変換し、これらをそれぞれ出力するトランスコーダと、
前記ダウンミックス信号と前記チャンネルベースパラメータ情報とを用いてオーディオ信号を生成し、前記オーディオ信号に前記チャンネルベース3D情報を用いて3D効果の適用されたオーディオ信号を生成するマルチチャンネルデコーダと、
を含むことを特徴とするオーディオ信号復号化装置。
【請求項27】
前記マルチチャンネルデコーダは、前記3D効果を奏するオーディオ信号の生成に常用される3D情報が保存されるメモリーを含むことを特徴とする、請求項26に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項28】
前記メモリーに保存された3D情報は、前記トランスコーダから出力される前記チャンネルベース3D情報によって更新されることを特徴とする、請求項27に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項29】
前記インデックスデータは、前記オブジェクトオーディオ信号のレンダリングに用いられるミキシング制御データに含まれることを特徴とする、請求項26に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項30】
前記チャンネルベースパラメータ情報と前記チャンネルベース3D情報は、前記チャンネルベースパラメータ情報が前記チャンネルベース3D情報に同期化をとるためのインデックス情報を含むことを特徴とする、請求項26に記載のオーディオ信号復号化装置。
【請求項31】
オブジェクトオーディオ信号をダウンミックスしたダウンミックス信号を生成する段階と、
前記オブジェクトオーディオ信号に関する情報を抽出し、オブジェクトベースパラメータ情報を生成する段階と、
前記オブジェクトオーディオ信号に対する3D効果の具現時に用いられる3D情報の検索のためのインデックスデータを前記オブジェクトベースパラメータ情報に挿入する段階と、
含むことを特徴とするオーディオ信号符号化方法。
【請求項32】
前記オブジェクトベースダウンミックス信号と、前記インデックスデータの挿入されたオブジェクトベースパラメータ情報とを結合することによって、ビットストリームを生成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項31に記載のオーディオ信号符号化方法。
【請求項33】
前記3D情報は、HRTF情報であることを特徴とする、請求項31に記載のオーディオ信号符号化方法。
【請求項34】
請求項1〜7のいずれか1項による方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータで読取り可能な記録媒体。
【請求項35】
請求項1〜7のいずれか1項による方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータで読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−526467(P2009−526467A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554147(P2008−554147)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000730
【国際公開番号】WO2007/091870
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)