説明

オレフィンの(共)三量体化およびオレフィンオリゴマーの(共)重合用の触媒系およびプロセス

本発明は、オレフィン単量体の三量体化反応により生成されたオレフィンオリゴマーのポリマーおよび共重合体を生成する分野に関する。三量体化触媒系の個々の成分を活性化するためにUHF照射を用いて調製された三量体化触媒系の補助によってオレフィンオリゴマーを生成することを含むプロセスが開示される。このように改善され、活性の増加を有する三量体化触媒系の使用は、低圧エチレンにて、エチレンまたは他のオレフィン単量体からのオレフィンオリゴマーの生成における有効性の増加を提供する。次いで、このように生成されたオレフィンオリゴマーは、当該技術分野において知られたプロセスを用いて、重合または共重合される。
技術的効果は、次いで重合または共重合反応に用いたオレフィンオリゴマーの生成の有効性を増加させることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽質オレフィン単量体、例えば、エチレンに基づいた、線形低密度ポリエチレン、ポリヘキセン等のごとき有用な重合体生成物を生成するためのオレフィンの重合および共重合の分野に関する。この目的のために、かかるオレフィン単量体は、三量体化反応に付され、引き続いてのその重合または共重合のためのオレフィンオリゴマーを生成する。したがって、本発明は、オレフィンの三量体化および/またはオリゴマー化プロセスに用いる触媒または助触媒の調製、ならびにオレフィン自体の三量体化および/またはオリゴマー化プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6455648号は、クロム源、ピロール含有化合物、金属アルキルおよびハロゲン化物源を含むオレフィンオリゴマー化触媒系、ならびにその調製方法を開示し、これは不活性雰囲気中の前記の系の成分の混合の順序により異なる4つの具体例において実施される。また、米国特許第6455648号は、クロムベースの触媒系を用いることによるオレフィンのオリゴマー化プロセスを開示し、ここに、エチレンは約51バールの圧力および110℃の温度にて供給される。このエチレンオリゴマー化プロセスにおける前記触媒系の使用は、三量体化プロセスの目的生成物のヘキセン−1に関して96.4%までの選択性、また、ヘキセン画分中のヘキセン−1に関して、96.6%までの選択性を得ることを可能とする。その系の触媒活性は、液体反応生成物に基づいて計算された73,400g/(g Cr・hr)である。かかる触媒系の不利はオリゴマー化プロセスにおけるデセンを含めた副生成物の形成であり、これは目的生成物の選択性の低減および高い温度および圧力を用いる必要性に導く。
【0003】
米国特許第6800702号は、クロム塩CrCl(THF)、式RPN(Alk)PR(式中、Rは2−メトキシフェニルであって、Alkはメチルまたは他のアルキルである)およびメチルアルモキサン(MAO)により形成された高活性触媒系を1:1:300のCr:配位子:MAO比で用いることによるオレフィンの三量体化の可能性を開示する。これは、低圧力のエチレンでのエチレン三量体化反応、ならびに形成されたオレフィンオリゴマーの同時または引き続いての重合もしくは共重合を可能とする。三量体化触媒系の活性は、8バールの圧力にて175,300g/(g Cr・hr)に達する。該方法の不利は、かなり過剰の高価なMAO試薬を該触媒系の調製のために用いること、ならびに高価なジホスファザン化合物を三量体化触媒系の成分として用いることにある。かくして、用いたアルミニウム量に基づいて20バールの圧力にて得た結果を再計算する場合、8バールの圧力での触媒系の活性は、1,125g/(gАl・hr)である。
【0004】
本発明につき最も近い先行技術は、次いで重合および/または共重合できるオレフィンオリゴマーを生成するためのオレフィン単量体の三量体化およびオリゴマー化プロセスであり、これは特許RU2104088に開示されている。本発明による触媒系は、2−エチルヘキサン酸クロム(III)のごときクロム塩;ピロール化合物、例えば、2,5−ジメチルピロール;アルキル金属、好ましくは、アルキルアルミニウム、例えば、トリエチルアルミニウム(TEA);ならびに、任意で、ハロゲン化物源、ハロゲン含有化合物、例えば、GeCl、AlEtClよりなる。該触媒系の特性は、第1に、溶媒を含めたそれらの組成および初期の成分の比により;第2に、初期成分の混合方法によりに規定される。また、その特許は、得られたオレフィンオリゴマーおよびオレフィン化合物の引き続いてのまたは同時の共重合を含むオレフィン三量体化プロセスの可能性を開示する。この特許に提供された例によれば、最大触媒活性は、550psiまたは37.4バールのエチレン圧力、80℃の温度にて66,400g/(g Cr・hr)である。Cr:Аl比は1:15である。かくして、アルミニウム量に基づいて計算された触媒系の比活性は、8,525g/(gАl・hr)である。しかしながら、エチレン三量体化プロセスは、比較的高い圧力を必要とする。反応は雰囲気に至るまでのかなり低い圧力にて可能であるが、12バール以上のエチレン圧力を用いることか;そうでなければ、触媒系の反応速度および生産性を低レベルに下げることがより好ましい。Applied Catalysis A: General, vol. 193 (2000), pp. 29-38の文献から知られるごとく、クロムベースの触媒系についての三量体化反応速度は、エチレン圧力の2乗に比例する。かくして、37.4バールから12バールへの圧力の減少において、触媒活性は約10倍減少し、8バールへの圧力の減少においては、それは21倍、すなわち、約400g/(gАl・hr)まで減少する。前記特許は、三量体化、オリゴマー化および重合プロセスのための触媒系の調製の様々な具体例を開示する。その原型の不利は、ハロゲン化物源として高価な四塩化ゲルマニウムを用いて、その系の高い活性および選択性を達成することの必要性、ならびに圧力を減少させた場合の触媒系の活性におけるかなりの減少である。したがって、エチレンの圧力増加を用いることが必要であり、これは今度は、その設備のための高い設備投資に導く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、軽質オレフィン単量体、例えば、エチレンに基づいた、線形低密度ポリエチレン、ポリヘキセン等のごとき有用な重合体生成物を製造するためのオレフィンの重合および共重合の分野に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、オレフィンのオリゴマー化および三量体化の反応の選択性を増加させること、および低圧エチレンでの三量体化およびオリゴマー化触媒系の高活性を達成することである。本発明のもう一つの目的は、低圧のオレフィン単量体でのオレフィン単量体の三量体化および共三量体化により生成されたオレフィンの重合または三量体化の高効率のプロセスを提供することである。
【0007】
その目的は、本発明による三量体化触媒系を調製する場合に、触媒系に含まれたアルキルアルミニウム成分のUHF照射の使用により解決される。
【0008】
かくして、本発明は、オレフィン単量体の三量体化/共三量体化および/またはオリゴマー化/コオリゴマー化のための触媒系の調製方法であって、クロム源化合物、窒素含有配位子およびアルキルアルミニウムを混合することを含み、三量体化触媒系の調製において、アルキルアルミニウムがUHF照射に曝露される点で特徴付けられる該方法に関する。
【0009】
また、本発明は、該方法により調製された、オレフィン単量体の三量体化/共三量体および/またはオリゴマー化/コオリゴマー化のための触媒系に関する。
【0010】
また、本発明は、2〜30個の炭素原子/分子、好ましくは、2〜6個の炭素原子/分子および少なくとも1つの末端オレフィン二重結合を含むオレフィン単量体の三量体化/共三量体化および/またはオリゴマー化/共オリゴマー化プロセスであって、該触媒系の存在下、(共)三量体化および/または(共)オリゴマー化の工程を含むという点で特徴付けられる該プロセスに関する。
【0011】
また、本発明は、オレフィンオリゴマーの重合または共重合のプロセスであって、オレフィンオリゴマーは、該(共)三量体化および/または(共)オリゴマー化プロセスによって生成される該プロセスに関する。
【0012】
本発明は、低圧のオレフィン単量体での引き続いてのまたは同時の重合または共重合でのオレフィン単量体の三量体化を可能とする三量体化触媒の活性改善を提供する。それによって、オレフィンオリゴマーの生成速度は、特許RF2104088に開示された方法によるUHF照射なくして調製された触媒系の使用でのオレフィンオリゴマーの生成速度よりも高い。かくして、最も近い先行技術と比較して、反応は、最も近い先行技術による三量体化触媒系を使用する場合の圧力より低い圧力で有効に行なうことができる。工業規模でのプロセスの使用は、設備のための設備投資を減少させる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的は、関連技術分野においてこの目的ためにしばしば用いる成分、特に、1)クロム源;2)窒素含有配位子;および3)アルキルアルミニウム、および任意で、4)ハロゲン化物源化合物の混合を含む方法により、本発明による触媒系を調製することにより解決される。
【0014】
クロム源として、有機または無機クロム化合物またはその混合物を用いることができる。クロムの酸化状態は0〜6で変化できる。一般的に、クロム源は、式СrХ(式中、Xは同一または異なる有機または無機基であることができ、nは1〜6の整数である)を有する。有機基は1〜20の炭素原子を有することができ、アルコキシ、アルキルカルボニル、ケトン、ピロリドおよびアミドよりなる群から選択される。無機基は、限定されるものではないが、ハロゲン化物、硫酸塩および/または酸化物を含む。クロム化合物の例は、例えば、限定されるものではないが、塩化クロム(III)、酢酸クロム(III)、トリス−エチルヘキサン酸クロム(III)、アセチル酢酸クロム(III)、クロム(III)ピロリド、酢酸クロム(II)を含む。
【0015】
ピロール環基、特に、1つの窒素原子を持つ5員芳香環を含む有機化合物は、窒素含有配位子として用いることができる。窒素含有配位子の例は、限定されるものではないが、ピロール、2,5−ジメチルピロール、リチウムピロリド(СНNLi)、2−エチルピロール、インドール、2−メチルインドール、4,5,6,7−テトラヒドロインドールを含む。ピロールまたは2,5−ジメチルピロールが最も好ましい。
【0016】
アルキルアルミニウムは、アルキルアルミニウム化合物、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、アルコキシアルミニウム化合物およびその混合物であり得る。水と接触していない化合物、すなわち、非加水分解性化合物の使用は、選択性を改善するのに好ましい。所望の生成物が三量体化触媒系であるならば、アルキルアルミニウムは、以下の一般式:AlR、AlRX、AlRX、AlROR、AlRXORおよび/またはAl(式中、Rはアルキル基であって、Xはハロゲン原子である)の少なくとも1つの非加水分解性化合物を含むであろう。かかる化合物の例は、限定されるものではないが、トリエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシドおよび/またはエチルアルミニウムセスキクロリド含む。トリアルキルアルミニウム化合物が好ましい。トリエチルアルミニウム、またはトリエチルアルミニウムおよび塩化ジエチルアルミニウムの混合物は、最も好ましいトリアルキルアルミニウム化合物である。
【0017】
触媒系において、ハロゲン化物源をさらなる成分として添加できる。ハロゲン化物源は、ハロゲン原子を含むいずれの化合物でもあることができる。ハロゲン化物の例は、フッ化物、塩化物、臭化物および/またはヨウ化物を含むことができる。塩化物は、それの使用の単純さおよび有効性により好ましい。
【0018】
ハロゲン化物源として、一般式R(式中、Rは有機または無機基であり、Xはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、n>0およびm+n>0である)で表されるハロゲン含有化合物を使用することが好ましい。
【0019】
Rが無機基であるならば、その基は、好ましくは、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、ホウ素、リチウム、スズ、ガリウム、インジウム、鉛およびその混合物よりなる群から選択される。
【0020】
Rが有機基であるならば、それは1〜70個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する。好ましくは、Rは炭化水素基である。
【0021】
ハロゲン化物源の例は、限定されるものではないが、塩化ジエチルアルミニウム、ブチルブロミド、塩化アルミニウム、四塩化炭素、三塩化ホウ素、四塩化ゲルマニウム、ならびにクロロホルム(СНСl)、ジクロロメタン、ヘキサクロロエタン、および他のハロゲン含有化合物を含み得る。
【0022】
加えて、クロム源、アルキルアルミニウムおよび/または不飽和炭化水素(後記)は、同時に、反応混合物のためのハロゲン化物源であることができる。最も好ましいハロゲン化物源は、その使用の単純さおよび適合性によりアルキルアルミニウム化合物と一緒に用いるハロゲン化アルキルアルミニウムである。ハロゲン化アルキルアルミニウムの例は、限定されるものではないが、塩化ジエチルアルミニウム(AlEtCl)、二塩化エチルアルミニウム(AlEtCl)、塩化ジブチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、ヨウ化ジエチルアルミニウムおよびその混合物を含む。
【0023】
触媒系へのハロゲン化物源の添加は、その選択性、活性および/または生産性を改善できる。
【0024】
三量体化触媒系を調製する場合、三量体化触媒系にハロゲン化物源を添加することが好ましい。特に、ハロゲン含有化合物を用いて、三量体化触媒系のヘキセン−1選択性を改善することが好ましい。
【0025】
好ましくは、触媒系の成分は共通溶媒の存在下で混合される。溶媒のうち、炭化水素溶媒が好ましい。クロムを含む安定でかつ活性な三量体化および/またはオリゴマー化触媒系は、例えば、特許RU2104088に記載のごとく、不飽和炭化水素の存在下で調製できる。かかる炭化水素の使用は、しばしば得られた触媒系の活性増加に導く。触媒系の形成に対してネガティブな効果しか有しないいずれの不飽和炭化水素も用いることができる。不飽和炭化水素の例は、限定されるものではないが、トルエン、キシレン、ヘキセン−1、シクロヘキセンを含む。該不飽和炭化水素は、触媒系の成分のための共通溶媒として機能できる。
【0026】
三量体化およびオリゴマー化触媒系の成分は、触媒系をオレフィンと混合する場合に三量体化反応を引き起こすのに十分ないずれかの量で用いることができる。一般的に、三量体化触媒系を生成するために、以下の量の成分を混合できる:好ましくは、過剰の不飽和炭化水素において、1モルのクロム(元素クロムに基づいて計算)、1〜50モルの窒素含有配位子、1〜300モル、好ましくは1〜100モルのアルキルアルミニウム(元素アルミニウムに基づいて計算)。ハロゲン化物源を用いた場合には、それは、元素ハロゲンに基づいて計算した1〜150モル、好ましくは1〜100モルの量で通常取られる。好ましくは、以下の比の成分:1モルのクロム(元素クロムに基づいて計算):2〜8モル、好ましくは2〜4モルの窒素含有配位子:10〜30モル、好ましくは1〜20モルのアルミニウム(元素アルミニウムに基づいて計算)を用いる。ハロゲン源が存在する場合には、その量は、好ましくは1〜8モルのハロゲン化物(元素ハロゲンに基づいて計算)である。
【0027】
当該技術分野から知られる過剰の窒素含有配位子は、触媒系の活性、生産性および/または選択性を改善しない。余りにも多量のアルキルアルミニウムは、調製した系の活性および/または生成物選択性を低減し得る。余りにも少量のアルキルアルミニウムは、触媒系の不完全な形成を引き起こしかねなく、今度は、低活性の触媒系および/またはポリマー副生成物形成に導く。また、過剰の所望のハロゲン化物源は、触媒系の活性を悪化させかねない。触媒系の形成中のアルキルアルミニウムと一緒、および/または触媒系の一部分としてのハロゲン化物源のUHF照射の工程を含む本発明の具体例において、ハロゲン化物源の添加の結果としての触媒系の改善された活性および選択性、ならびに過剰なハロゲン化物によるその活性の減少は、当該技術分野において知られたUHF照射がない方法により調製された触媒系に比較した場合、少量のハロゲン化物により引き起こされ得る。結果的に、その系の最適な組成物は、少量のその試薬を含む。かくして、試薬消費が減少し、プロセスの効率が増加する。
【0028】
試薬はいずれの順序でも混合できる。アルキルアルミニウムおよびハロゲン化物源は、用いられるならば、不飽和炭化水素溶媒中のクロム源および窒素含有配位子の混合物に好ましくは添加される。
【0029】
触媒系の成分はいずれの従来の先行技術方法によっも混合できる。
【0030】
本発明の特別な特徴は、触媒系を調製する場合に、混合物の個別の成分が、マイクロ波放射とも呼ばれるUHF照射に曝露されて、活性化されることである。本発明に記載された効果を引き起こすUHF周波数は異なり得る。0.2〜20GHzの間の放射周波数が好ましい。無線周波数干渉を引き起こさない約2.45GHzの放射周波数が、最も好ましく、家庭用および産業用UHF放射線源において広く用いられている。
【0031】
一般的に、アルキルアルミニウムはUHF照射によって活性化される。また、ハロゲン化物源は、用いられるならば、UHF照射に曝露できる。これらの化合物は、触媒系の他の成分と混合する前および/または後にUHF照射に曝露できる。
【0032】
好ましくは、任意で炭化水素溶媒中の溶液としてのアルキルアルミニウムおよび任意でハロゲン化物をUHF照射に曝露し、次いで、クロム源および窒素含有配位子と混合される。放射中に、照射された化合物または化合物の混合物は、UHF照射用の透明容器、例えば、ガラス、フッ素樹脂、ポリプロピレン容器に入れることが必要とされる。いずれの放射電力および照射時間も用いることができる。しかしながら、最良の結果を達成するためには、20秒〜20分間の照射時間、および用いたアルキルアルミニウムの1g(元素アルミニウムに基づいて計算)当たり、100W〜50,000Wの定格UHF照射電力を用いることが勧められる。一般的に、かかる照射は、10℃以下のアルキルアルミニウムまたはその溶液の加熱を引き起こす。20分を超える照射は、通常、さらには調製した触媒系の特性を改善しない。20秒未満の照射は、アルキルアルミニウム、および任意でハロゲン化物の特性をかなり変化させるのに不十分であり得、今度は、調製した触媒系の活性および/または選択性における不十分な増加を引き起こす。
【0033】
照射の終了ならびに、アルキルアルミニウムおよび任意でハロゲン化物と、クロム源および窒素含有配位子との混合の開始の間の期間は、いずれの期間でもあることができる;しかしながら、かかる期間を最小化することが好ましい。UHF照射の経過において得られ、形成された触媒系の特性に影響するアルキルアルミニウムの特別な特徴が、完全な消失まで経時的に減少する傾向があるので、触媒系の形成におけるUHF照射アルキルアルミニウムの関与を提供するために、UHF照射の終了後5分未満に混合工程を開始することが好ましい。したがって、該期間は、1分未満であることが望ましい。その期間が3分間を超えるならば、調製した触媒系の特性は、照射の終了後1分未満で添加したUHF照射アルキルアルミニウムで調製された系と比較して、悪化しかねない。特に、調製した触媒系の活性は減少しかねない。照射の終了および混合開始の間の期間が20分を超えるならば、実際上、UHF照射またはUHF非照射の如何なるアルキルアルミニウムを触媒系の調製のために用いても差はない。別法として、アルキルアルミニウムおよび、任意でハロゲン化物は、UHF照射で曝露した容器からの混合のために段階的に送達でき;したがって、アルキルアルミニウムがUHF照射中に獲得した特性を失わない限りは、混合のための期間はいずれの好都合な時間でもあることができる。
【0034】
もう一つの具体例において、アルキルアルミニウムは、クロム源および窒素含有配位子と混合した後にUHF照射に曝露できる。また、同時に、クロム源および窒素含有配位子と混合する前に、アルキルアルミニウムを照射できる。
【0035】
三量体化触媒系を調製するすべての操作は、触媒系の成分と水および空気酸素とのいずれかの接触以外の条件下で行なわれることが望ましい。アルキルアルミニウムを含めた、その系のすべての成分の混合後のアルキルアルミニウムおよび三量体化触媒系と水分および酸素との接触は、回避することが特に勧められる。
【0036】
その反応はいずれの温度でも生じることができ、反応混合物が液体である温度が、反応が生じることを提供するための好ましい温度である。反応の圧力は、それが反応にネガティブにしか影響しないならば、いずれの圧力であることもできる。雰囲気圧力から3気圧の圧力が通常許容できる。雰囲気圧力下の反応を行なうことは便利である。
【0037】
反応時間は、反応が終了するのに十分ないずれの値でもあり得る。反応時間は、用いた試薬、温度、圧力および反応の他のパラメーターに依存して変更し得る。一般的に、反応は1日未満で終了する。好ましい条件下では、反応時間は通常、1秒〜15分である。より長い反応時間はさらなる利点を提供しない。
【0038】
反応の終了および触媒混合物の形成後に、混合物から不飽和炭化水素溶媒を除去することが好ましい。RU2104088特許から知られるように、オリゴマー化および/または三量体化の間の反応混合物中の不飽和芳香族炭化水素の存在は、触媒系の活性を低減し、ポリマーのごとき副生成物の量を増加させかねない。溶媒は、例えば、ネガティブな圧力(排気)の生成によりいずれの公知の方法によっても除去できる。
【0039】
調製した触媒系は、希釈または希釈されていない形態におけるいずれかの公知の技術的方法によって三量体化および/またはオリゴマー化反応に加えることができる。希釈の場合には、炭化水素溶媒を用いることが好ましい。前記の理由のために、飽和炭化水素溶媒またはその混合物を希釈のために用いることが特に好ましい。
【0040】
本発明によって調製された触媒が用いられる、三量体化および/またはオリゴマー化反応は、先行技術において知られたいずれのクロムベースの三量体化方法によっても行なうことができる。1位の1つの二重結合を持ち、2〜30個の炭素原子/分子を有し、2位、好ましくは3位に分岐がないオレフィンは、初期化合物として用いることができる。かかる化合物の例は、限定されるものではないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1およびその混合物を含むことができる。
【0041】
本発明に用いた三量体化/共三量体化プロセスは、3つの同一または異なる分子(ここに、各分子は1つの二重結合を含む)が、1つの分子中で結合され、1つの二重結合を持つ化合物を形成するように、前記に示されたオレフィンの組合せと定義される。
【0042】
三量体化反応の生成物は、これらの目的および、触媒系と初期オレフィンとを接触させる方法に適する通常の設備を用いて、溶液、懸濁液で行なわれた反応を介しておよび/または気相プロセスを介して、本発明による触媒系を用いることにより得ることができる。
【0043】
三量体化および/またはオリゴマー化反応において、温度および圧力は、初期オレフィンの三量体化および/またはオリゴマー化に適するいずれの値でもあることができる。反応の温度は、典型的には、50℃〜200℃、好ましくは60℃〜150℃の範囲内にある。反応における圧力は、典型的には、雰囲気〜150気圧、好ましくは12〜50気圧の範囲内にある。
【0044】
いくらかの場合には、反応を促すおよび/または触媒系の反応を増加させる水素を反応器に添加できる。
【0045】
飽和または不飽和の炭化水素を希釈剤として反応器中で用いることができる。ポリマー副生成物の形成を回避するために飽和炭化水素を用いることが好ましい。かかる炭化水素の例は、限定されるものではないが、ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナンを含む。
【0046】
(共)三量体化反応において生成された生成物は、有機合成用の原料として用いることができる。特に、それらは、ポリオレフィンおよび共重合ポリオレフィンの製造のためのモノマーおよびコモノマーとして用いることができる。
【0047】
重合または共重合反応は、先行技術において公知のいずれの方法によっても行なうことができる。重合反応は、懸濁液、溶液中、または気相プロセスを介して行なうことができる。
【0048】
アルキルアルミニウム化合物および/またはハロアルキルアルミニウム化合物によって活性化される、チタン−マグネシウム触媒、バナジウム触媒、クロム触媒、ジルコニウム触媒等のごとき先行技術において公知の種々の触媒は、重合反応用の触媒として用いることができる。
【0049】
本発明による重合反応は、生成されたオレフィンオリゴマーまたは三量体化反応の反応混合物の他の成分からのいくつかのオレフィンオリゴマーの予備的分離に続いて、オレフィンオリゴマーと重合触媒とを接触させて、三量体化反応後に行うことができる。
【0050】
本発明のもう一つの具体例において、三量体化反応および重合反応は、1つの反応器中で同時に行なうことができる。後者の場合において、生成されたオレフィンオリゴマーおよび初期オレフィン単量体の共重合が通常生じる。
【0051】
重合反応前に反応混合物中の所望の濃度を持つオレフィンオリゴマーの存在を供給するために、重合触媒で行う前に、三量体化触媒はオレフィン単量体と接触することが好ましい。しかしながら、また、オレフィン単量体を含む反応混合物に、オレフィンオリゴマーを反応の開始前に添加し、それによって、オリゴマーの初期濃度を得、続いて、三量体化触媒および重合触媒を添加する、プロセスの具体例が可能である。
【0052】
プロセスのもう一つの具体例において、2〜6個の炭素原子を含むさらなるオレフィン単量体、例えば、エチレン、プロピレンまたはヘキセン−1を、重合反応の開始前および/または重合反応中に添加する。
【0053】
オレフィン単量体としてエチレンを用いる場合には、ヘキセン−1は、オレフィンオリゴマーとして本発明によって主として生成される。ヘキセン−1の予備的分離の有無でのエチレンでの引き続いての共重合は、エチレンおよびヘキセン−1の共重合体の生成に導く。本発明によれば、三量体化および重合反応の条件を変更することにより、特に、成分の比を変更することにより、ポリマー鎖中の異なる量のブチル置換基とのエチレン共重合体を生成できる。0.01重量%〜100重量%の量でポリマー鎖にヘキセン−1を導入する場合には、種々の密度のプラスチックからエラストマーまでの異なる物理的特性の材料を生成できる。線形低密度ポリエチレン(LDLPE)が、包装および他の目的の製造用材料として広範囲に適用可能である製造できる最も価値のある材料である。先行技術において、0.91〜0.93g/cmの密度を有するエチレンおよびヘキセン−1の共重合体は、一般的にLDLPEと呼ばれる。
【0054】
実施例
本発明を後記の一連の実施例を用いて説明し、ここに、以下の略語が用いられる:
TEA − トリエチルアルミニウム
DEAC − 塩化ジエチルアルミニウム
Сr(ЕН) − 2−エチルヘキサン酸クロム(III)
2,5−DMP − 2,5−ジメチルピロール
1−C6 − ヘキセン−1
С6 − 異性体ヘキセンの混合物
С8 − 異性体オクテンの混合物
С10 − 異性体デセンの混合物
С12+ − ドデセンから始まる不飽和重炭化水素の混合物
NC − 標準状態(273K、101325Pa)に基づいて計算されたこと
Comp. − 比較の
【0055】
後記の実施例に記載された反応は、試薬と水分および空気酸素との接触を排除した条件下で、0.5Lの容積を有し、サーモスタットシステム、パドル撹拌機、温度および圧力センサー、ガスおよび液体ディスペンサー、ならびに自動化制御システムを装備したステンレス製オートクレーブ型反応器中で行った。クロム源(無水Сr(ЕН))は米国第3962182号特許に記載された方法によって調製したが、含水Сr(ЕН)の脱水方法を変更した。含水2−エチルヘキサン酸クロムは、真空(6ミリバール)下140℃にて1時間保持し、続いて、等量(重量)の2−エチルヘキサン酸を添加し、得られた混合物を温度185℃および圧力3ミリバールにて2時間、次いで、温度200℃および圧力3ミリバールにて1.5時間保持した。MARS5マイクロ波(CEM社)をUHF照射に用いた。
【0056】
以下の実施例は本発明の例示のみを意図し、その限定を意図するものではない。
比較例1
18.5mgのСr(ЕН)および11.0mgのDMPをフラスコに入れた。7mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の144mg/ml ТEА溶液の1.5mlを乾燥箱に入れ、次いでフラスコに添加した。溶液の色は5分で灰色がかった茶色になった。15分後、溶媒を室温にて真空下蒸発させた。残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0057】
ヘプタン(125g)を反応器に入れた。エチレン(25.6L、NC)を撹拌下で投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系を水素圧力下の反応器に添加した。添加後の反応器中の水素の部分圧力は、約1.5バールであった。イソプロパノール(1ml)を反応開始30分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):14,700
合計ヘキサン−1選択性:60.7%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
【0058】
実施例1
18.5mgのСr(ЕН)および11.0mgのDMPをフラスコに入れた。7mlのトルエンを添加した。トルエン(1ml)をヘプタン中の144mg/ml ТEА溶液の1.5mlに添加した。得られた溶液は、400Wの定格出力で2.5分間UHF照射に曝露した。その後、Сr(ЕН)およびDMPを含むТEАの溶液を照射終了後40秒間にフラスコに添加した。溶液の色は5分で黄色がかった茶色になった。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液はエチレン三量体化反応における触媒系の試験に用いた。
【0059】
ヘプタン(128g)を反応器に入れた。エチレン(25.6L;NC)を撹拌下で投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系を水素圧力下の反応器に添加した。添加後の反応器中の水素の部分圧力は約2バールであった。イソプロパノール(1ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):26,600
合計ヘキサン−1選択性:62.9%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
【0060】
比較例2
56.0mgのСr(ЕН)および33.0mgのDPMをフラスコに入れた。5mlのトルエンを加えた。次いで、ヘプタン中の144mg/ml ТEА溶液の1.2mlを添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。その後、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系の試験に用いた。
【0061】
132gのヘプタンおよびヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の0.40mlを反応器に添加した。エチレン(25.6L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系を水素/アルゴン混合物(1:1)の圧力下の反応器に添加した。触媒添加後、反応器中の水素の部分圧力は約1.5気圧であった。イソプロパノール(1.5ml)をガス混合物の圧力下30分で反応器に添加した。反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):3,600
合計ヘキサン−1選択性:66.3%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
【0062】
実施例2
56.0mgのСr(ЕН)および33.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の1.2mlを1mlのトルエンと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で3分間UHF照射に曝露した。その後、有機アルミニウム化合物の溶液を照射終了後40秒間にСr(ЕН)およびDMPを含むフラスコに添加した。混合後、混合物を閉じたフラスコ中で10分間同一条件下のUHF照射に曝露した。ТEАの溶媒を添加後15分で室温にて真空下蒸発させた。その後、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0063】
127gのヘプタンおよびヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の0.40mlを反応器に添加した。エチレン(25.6L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系を水素圧力下の反応器に添加した。触媒添加後に、反応器中の部分的水素は約2気圧であった。イソプロパノール(1.5ml)を反応開始30分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却した。過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):6,500
合計ヘキセン−1選択性:56.5%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
実施例1および2は、触媒系の活性が、クロム源との混合前のアルキルアルミニウムのUHF照射の場合に、UHF照射を用いない同様の例と比較して増加することを示す。
【0064】
比較例3
38.0mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。7mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の144mg/ml ТEА溶液の0.8mlをトルエン中のТEА(32mg/ml)およびDEAC(25mg/ml)を含む1.1mlの溶液と混合し、得られた溶液をトルエン中のСr(ЕН)およびDMPに添加した。溶媒を20分で室温にて真空下蒸発させた。その後、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0065】
132gのヘプタンおよびヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の0.5mlを反応器に添加した。エチレン(29.5L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(1.5ml)を反応開始12分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):12,400
合計ヘキセン−1選択性:72.9%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
【0066】
実施例3
38mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。7mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の0.8mlをトルエン中のТEА(32mg/ml)およびDEAC(25mg/ml)の1.1mlの溶液と混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で3分間UHF照射に曝露した。その後、有機アルミニウム化合物の溶液を照射終了後40秒間にСr(ЕН)およびDMPを含むフラスコに添加した。溶媒を20分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0067】
132gのヘプタンおよびヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の0.5mlを反応器に添加した。エチレン(29.5L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(1.5ml)を反応開始12分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):28,700
合計ヘキセン−1選択性:85.0%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
実施例3および比較例3は、触媒系の活性および目的生成物選択性の双方が、アルキルアルミニウムおよびハロゲン化物源のUHF照射の場合に、UHF照射のない同様の例と比較して増加することを示す。
【0068】
比較例4
38.0mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.9mlおよびヘプタン中の37mg/ml DEAC溶液の0.6mlを0.5mlのトルエンと混合した。得られた溶液をСr(ЕН)およびDMPを含むフラスコに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0069】
130gのヘプタンおよびヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.5mlを反応器に添加した。エチレン(29.4、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):4,500
合計ヘキセン−1選択性:85.7%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
【0070】
実施例4
38.0mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.9mlおよびヘプタン中の37mg/ml DEAC溶液の0.6mlを0.5mlのトルエンと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で1分間UHF照射に曝露した。その後、トルエン中のСr(ЕН)およびDMPに対する有機アルミニウム化合物の溶液は、照射終了後40秒間に添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0071】
133gのヘプタンおよびヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.5mlを反応器に添加した。エチレン(29.4L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):9,300
合計ヘキセン−1選択性:70.6%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
【0072】
実施例5
38.0mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.9mlおよびヘプタン中の37mg/ml DEAC溶液の0.6mlを0.5mlのトルエンと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露した。その後、有機アルミニウム化合物の溶液を照射終了後40秒間にトルエン中のCr(EH)およびDMPに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0073】
131gのヘプタンおよびヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.5mlを反応器に添加した。エチレン(29.4L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):18,700
合計ヘキセン−1選択性:73.6%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
実施例4および5は、触媒系の活性が、照射(比較例4)がない試験と比較して、アルキルアルミニウムおよびハロゲン化物源のUHF照射により増加することを示す。それによって、実施例5におけるより長い照射時間の結果、活性がより大きく増加する。
【0074】
実施例6
38.0mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。
ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.9mlおよびヘプタン中の37mg/ml DEAC溶液の0.6mlを0.5mlのトルエンと混合した。有機アルミニウム化合物の得られた溶液をトルエン中のCr(EH)およびDMPに添加した。45秒後、得られた混合物は400Wの定格出力で6分間のUHF照射に曝露した。溶媒をUHF照射終了後9分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0075】
142gのヘプタンおよびヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.5mlを反応器に添加した。エチレン(29.4L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):9,000
合計ヘキセン−1選択性:70.0%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
実施例6は、触媒系に含まれたアルキルアルミニウムのUHF照射が、UHF照射(比較例4)がない系と比較して、系の活性における増加を引き起こすことを示すが、観察された増加は、クロム源との混合前の同一期間のアルキルアルミニウムのUHF照射の場合(実施例5)よりも低かった。
【0076】
実施例7
38.0mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.9ml、およびヘプタン中の37mg/ml DEAC溶液の0.6mlを0.5mlのトルエンと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露した。その溶液は、照射終了後3分でトルエン中のCr(EH)およびDMPと混合することにより、触媒系を生成するために用いた。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0077】
137gのヘプタンおよびヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.5mlを反応器に添加した。エチレン(29.4L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):11,200
合計ヘキセン−1選択性:75.6%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
実施例5と比較した実施例7は、アルキルアルミニウムのUHF照射による活性の増加の効果が、照射の終了およびクロム源との混合の間の時間延長で減少することを示す。
【0078】
比較例5
76.0mgのСr(ЕН)および44.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。次いで、ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.85mlおよびヘプタン中の198mg/ml DEAC溶液の0.3mlを添加した。溶媒を10分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0079】
130gのヘプタンおよびヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.5mlを反応器に添加した。エチレン(23.2L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。反応は実際には生じなく:反応器中の圧力は急速に安定化し、反応混合物を加熱しなかった。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。分析のデータに基づいて、反応混合物は、微量のヘキサン−1および他の反応生成物、ならびにポリマーを含んだ。
結果を表1に示す。
【0080】
実施例8
38mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。7mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の0.2mlならびにトルエン中のTEA(32mg/ml)およびDEAC(25mg/ml)の溶液の1.1mlを室温および400Wの定格出力で3分間UHF照射に曝露した。その後、有機アルミニウム化合物の溶液を照射終了後40秒間にトルエン中のCr(EH)およびDMPに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0081】
130gのヘプタンおよびヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の0.25mlを反応器に添加した。エチレン(29.5L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):16,200
合計ヘキセン−1選択性:95.5%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
【0082】
実施例9
57.0mgのСr(ЕН)および33.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.7mlおよびヘプタン中の198mg/ml DEAC溶液の0.3mlを1mlのトルエンと混合した。得られた溶液は400Wの定格出力で3分間UHF照射に曝露した。その後、有機アルミニウム化合物の溶液を照射終了後40秒間にトルエン中のCr(EH)およびDMPに添加した。溶液の色は15分で黄褐色になった。溶媒を真空下の室温で蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0083】
136gのヘプタンおよびヘプタン中の144mg/ml TEA溶液の0.45mlを反応器に添加した。エチレン(29.5L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):5,800
合計ヘキセン−1選択性:97.4%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
実施例8および9は、より少量の有機アルミニウム化合物中での反応の高選択性、および形成したデセン(С10)副生成物の量の相当な減少を達成する可能性を示す。比較のため、特許RU2104088において、UHF照射がないエチレンオリゴマー化の反応の1:3:15:3のСr(ЕН):DMP:ТEА:DEAC比での触媒系の活性は、38バールのエチレン圧力にて16,800g/(gСr・hr)であり;ヘキサン−1選択性は86%であった。特許米国第6455648号において、最大のヘキサン選択性が、1:3:11:8のСr(ЕН):DMP:ТEА:DEAC比および51バールのエチレン圧力にて、96.4%であった。
【0084】
比較例6
38.0mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.9mlをヘプタン中の198mg/ml DEAC溶液の0.4mlと混合した。得られた溶液はトルエン中のСr(ЕН)およびDMPに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0085】
133gのヘプタンおよびヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.3mlを反応器に添加した。エチレン(29.4L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):28,800;反応中の平均圧力:19.5バール。
合計ヘキセン−1選択性:94.9%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
【0086】
実施例10
38.0mgのСr(ЕН)および22.0mgのDMPをフラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.8mlをヘプタン中の198mg/ml DEAC溶液の0.2mlと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露した。その後、有機アルミニウム化合物の溶液を照射終了後40秒間にトルエン中のCr(EH)およびDMPに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残渣をヘプタン(4ml)で希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0087】
129gのヘプタンおよびヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の0.3mlを反応器に添加した。エチレン(29.4L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(2ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):53,700;反応中の平均圧力:20.4バール。
合計ヘキセン−1選択性:88.9%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表1に示す。
実施例10は、より低い平均圧力のエチレンで触媒系の高活性を達成する可能性を示す。比較のため、特許RU2104088において、エチレンオリゴマー化反応での触媒系の最大の活性は、38バール(実施例8012)のエチレン圧力にて66,400g/(gСr・hr)であった。特許米国第7384886号において、バッチ式反応器の使用での触媒の活性は、46バール(実施例4)のエチレン圧力で34,325g/(gСr・30分)または68,650g/(gСr・hr)であった。
【0088】
比較例7
28.5mgのСr(ЕН)および16.5mgのDMPをフラスコに入れた。2.5mlのヘプタンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の2.2mlをヘプタン中の20mg/ml CHCl溶液の0.7mlと混合した。得られた溶液はトルエン中のСr(ЕН)およびDMPに添加した。得られた溶液は、15分以内にエチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0089】
132gのヘプタンを反応器に添加した。エチレン(25.8L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。イソプロパノール(3ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):5,500
合計ヘキセン−1選択性:81.6%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表2に示す。
【0090】
実施例11
28.5mgのСr(ЕН)および16.5mgのDMPをフラスコに入れた。2.5mlのヘプタンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の2.2mlは、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露した。その溶液をヘプタン中のCHClの20mg/ml溶液の0.7mlと混合した。次いで、照射終了後40秒までに、得られた混合物をトルエン中のCr(EH)およびDMPに添加した。得られた溶液は、15分以内にエチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0091】
132gのヘプタンを反応器に添加した。エチレン(29.4L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。エタノール(3ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):12,400
合計ヘキセン−1選択性:86.9%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表2に示す。
【0092】
実施例12
28.5mgのСr(ЕН)および16.5mgのDMPをフラスコに入れた。2.5mlのヘプタンを添加した。ヘプタン中の154mg/ml ТEА溶液の2.2mlをヘプタン中の20mg/ml CHCl溶液の0.7mlと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露した。次いで、照射終了後40秒までに、得られた混合物をトルエン中のCr(EH)およびDMPに添加した。
得られた溶液は、15分以内にエチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0093】
122gのヘプタンを反応器に添加した。エチレン(29.4L、NC)を撹拌下流量計を介して投入した。次いで、反応器を80℃に加熱し、この温度を反応中維持した。準備した触媒系をアルゴン圧力下の反応器に添加した。エタノール(3ml)を反応開始16分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
活性、g/(gСr・hr):24,700
合計ヘキセン−1選択性:77.6%
反応混合物組成物の残りの分析結果を表2に示す。
【0094】
実施例13
111.0mgのСr(ЕН)および66.0mgのDMPを50mlの丸底フラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の216mg/ml TEA溶液の1.9mlをヘプタン中の24.1mg/ml DEAC溶液の5mlと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露した。次いで、照射終了後40秒までに得られた混合物をトルエン中のСr(ЕН)およびDMPに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。次いで、フラスコ中の残りをヘプタン(14ml)により希釈した。得られた溶液は、エチレン三量体化反応における触媒系試験に用いた。
【0095】
406gのヘプタンを2L 反応器に添加した。エチレン(39L)は撹拌(800rpm)下流量計を介して投入した。反応器を80℃に加熱した。反応の開始前に、反応器中の圧力は80℃にて16バールであった。反応中、圧力は流量計を介してエチレンの添加により16バールに維持し、反応混合物を1000rpmで撹拌した。
【0096】
触媒系をエチレンの圧力にて反応器にバッチ的に添加した。第1のバッチは3.2mgのСrを含んだ。次のバッチ群は1.6mgのСrを含んだ。第2のバッチは第2のものの供給後8分に添加した。第3のバッチは第2のものの供給後10分に添加した。第4のバッチは第3のものの供給後30分以内に添加した。
【0097】
イソプロパノール(3ml)を反応開始128分後に反応器に添加した。次いで、反応器を20℃に冷却し、過剰な圧力を除去し、反応器を開いた。
【0098】
表3は、吸収されたエチレン量に基づいた、反応開始からの所定の期間に形成された生成物量を示す。活性は、その所定の期間での反応器中のСrの平均量に基づいて示す。収率は、所定の期間における反応器中のСrの合計量に基づいて示す。表4は、反応の終了後に反応における生成物組成物の分析の結果を要約した。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
【表4】

【0103】
実施例14
13.9mgのСr(ЕН)および13.8mgのDMPを50mlの丸底フラスコに入れた。5mlのトルエンを添加した。ヘプタン中の216mg/ml TEA溶液の0.58mlをヘプタン中のDEACの120mg/ml溶液の0.35mlと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露した。次いで、照射終了後30秒までに、得られた混合物をトルエン中のСr(ЕН)およびDMPに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。触媒を調製するために、フラスコ中の残渣を14mlのヘプタンで希釈した。
【0104】
700mlのn−ヘプタンを2L反応器に添加した。エチレン(20.0L)を撹拌(800rpm)下流量計を介して投入した。反応器を80℃に加熱し、ヘプタン中の触媒の調製した溶液をそれに添加した。反応中、温度を80℃に維持し、圧力を流量計を介してエチレンの添加により8バールに維持し;反応混合物を1000rpmで撹拌した。
【0105】
1時間で、エチレン吸収量は55.6gであり、三量体化触媒の活性は37kg/(gСr・hr)または1,427、g/(gАl・hr)であった。反応器からの試料中のヘキサン−1の濃度は、9.5%であった。
【0106】
次いで、反応器中の圧力を4バールまで低下させ、1Lの水素、およびヘプタン中の216mg/ml ТEА溶液の1.5mlであった。反応器を65℃に冷却し、4mlのn−ヘプタン中のチタンマグネシウム触媒TS−115の29mgの懸濁液をそれに添加した。反応中、温度を65℃に維持した。反応器中の圧力を30分で雰囲気に低下させ、反応混合物を反応器から放出した。得られたポリマーを真空下でろ過し乾燥した。ポリマーの収率は41gであった。
【0107】
得られたポリマーの赤外スペクトルにおいて、スペクトルバンドを1377cm−1で観察し、これは、ポリマー鎖中のアルキル置換基の存在を示した。
【0108】
この実施例は、高度な方法により調製された三量体化触媒系を用いることによって、ヘキサン−1を低圧エチレンにて、エチレンから製造することができ、得られたヘキサン−1は、同一反応器にてエチレンと共重合できることを示す。
【0109】
実施例15
111.0mgのСr(ЕН)および66.0mgのDMPを50mlの丸底フラスコに入れた。5mlのトルエンを添加し、フラスコを乾燥窒素により満たした。ヘプタン中の216mg/ml TEA溶液の1.9mlをヘプタン中の24.1mg/ml DEAC溶液の5.0mlと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露し、照射終了後30秒までに、得られた混合物をトルエン中のСr(ЕН)およびDMPに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。触媒を調製するために、フラスコ中の残渣を8mlのヘプタンで希釈した。
【0110】
750mlのn−ヘプタンを2L反応器に添加した。エチレン(39.7L)および水素(250ml)を流量計を介して投入した。反応器を80℃に加熱した。反応開始前に、反応器中の圧力は80℃にて16.4バールであった。触媒の調製した溶液を反応器に添加した。反応中、温度を80℃に維持し、圧力は流量計を介してエチレンの添加により8バールに維持し;反応混合物を1000rpmにて撹拌した。2時間で、触媒添加後、反応を1mlのブタノールの添加によりクエンチした。エチレン吸収量は299g(37kg/gСr)であった。
【0111】
反応混合物を実験室精留カラムでの蒸留により分別した。64〜65.5℃の蒸気温度での画分をカラムの頂部から集めた。ヘキサン−1量は96%であり、他のオレフィン−0.7%;シクロヘキサン−3%であった。得られたヘキサン−1は、ポリヘキセンの生成のための初期化合物として用いた。
【0112】
以下の2溶液:1)55mlのヘプタン、ヘプタン中の97mg/ml DEAC溶液の4ml、7mlのヘキセン−1、および2)15mlのヘプタン、2mlのDEAC溶液、1.2mlの触媒懸濁液−微球状三塩化チタン(0.47g/LのTiCl)を予備重合のために調製した。その溶液を混合した。次いで、組み合わせた溶液を1時間以内にプラスチック容器中の100mlの従前に調製したヘキセン−1に添加した。反応混合物を室温で2日間保持した。次いで、固体ポリマーを容器から取り出し、粉砕し、5日間空気で乾燥した。一時的な弾性形態でのポリヘキセンの収率は57gであった。
【0113】
この実施例は、反応混合物から分離したエチレン三量体(ヘキサン−1)が重合反応におけるモノマーとして機能できることを示す。
【0114】
実施例16
9.5mgのСr(ЕН)および28.1mgのDMPを50mlの丸底フラスコに入れた。5mlのトルエンを添加し;フラスコを乾燥窒素で満たした。
【0115】
ヘプタン中の216mg/ml TEA溶液の1.45mlをヘプタン中の24.1mg/ml DEAC溶液の1.0mlと混合した。得られた溶液は、400Wの定格出力で6分間UHF照射に曝露し、照射終了後30秒までに、得られた混合物をトルエン中のСr(ЕН)およびDMPに添加した。溶媒を15分で室温にて真空下蒸発させた。触媒を調製するために、フラスコ中の残渣を8mlのヘプタンにより希釈した。
【0116】
700mlのシクロヘキサンを2L反応器に添加した。反応器を80℃に加熱した。
エチレンを19バールの圧力まで反応器に添加した。触媒の調製した溶液を反応器に添加した。反応中、温度を80℃に維持し、圧力は流量計を介してエチレンの添加により20バールに維持し;反応混合物を800rpmにて撹拌した。触媒添加後30分で、反応器中の圧力を雰囲気に低下させ、反応器を0℃に冷却した。反応器からの試料は、13.3%のヘキサン−1、および0.5%の混合物のデセンを含んだ。圧力を低下させる前のエチレン吸収量は、88.0g(88kg/gCr)であった。ヘプタン中の24.1mg/ml DEAC溶液の10mlおよび1mlの触媒懸濁液−微球状三塩化チタン(0.47g/LのTiCl)を添加した。反応は2時間で5mlのイソプロパノールの添加によりクエンチした。溶媒を蒸発させ、残渣を7日間空気乾燥し、10ミリバールおよび50℃で24時間乾燥させた。平均分子量8.76×10および分散7.7の弾性ポリマーの収率は、42gであった。
【0117】
この実施例は、エチレンオリゴマーとヘキサン−1普及との得られた混合物は、同一反応器中で重合できることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロム源化合物、窒素含有配位子およびアルキルアルミニウムを混合することを含む、オレフィン単量体の(共)三量体化および/または(共)オリゴマー化の反応用の触媒系の調製方法であって、
三量体化反応用の該触媒系を調製する場合に、アルキルアルミニウムがUHF照射に曝露されることを特徴とする該方法。
【請求項2】
UHF照射の周波数が、0.2〜20GHzの範囲で選択され、アルキルアルミニウムが、0.5〜20分間UHF照射に曝露されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
UHF照射の周波数が約2.45GHzであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
窒素含有配位子がピロール環を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の方法。
【請求項5】
窒素含有配位子が2,5−ジメチルピロールであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
アルキルアルミニウムがトリアルキルアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1記載の方法。
【請求項7】
トリアルキルアルミニウムがトリエチルアルミニウムであることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
三量体化触媒を調製する場合に、ハロゲン化物源の式R(式中、Rが有機または無機基であり、Xはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、n>0およびm+n>0である)をさらに添加することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1記載の方法。
【請求項9】
Rが、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、水素、ホウ素、リチウム、スズ、ガリウム、インジウム、鉛またはその混合物であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
Rが炭化水素基または金属有機基であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
該ハロゲン化物が、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、または無水塩化アルミニウムであることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
アルキルアルミニウムが、触媒混合物の残りの成分との混合後に、UHF照射に曝露されることを特徴とする請求項1または8記載の方法。
【請求項13】
アルキルアルミニウムおよびハロゲン化物源の混合物が、クロム源および窒素含有配位子との混合前に、UHF照射に曝露されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1記載の方法。
【請求項14】
アルキルアルミニウムが、ハロゲン化物、クロム源および窒素含有配位子との混合前にUHF照射に曝露されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1記載の方法。
【請求項15】
調製された三量体化触媒系が、1モルのクロム源(元素クロムに基づいて計算)当たり、1〜50モルの窒素含有配位子、1〜300モルのアルキルアルミニウム(元素アルミニウムに基づいて計算)、および用いた場合の1〜150モルのハロゲン化物源(元素ハロゲンに基づいて計算)を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1記載の方法。
【請求項16】
調製された三量体化触媒系が、1モルのクロム源(元素クロムに基づいて計算)当たり、1モル〜15モルの窒素含有配位子;5モル〜100モルのアルキルアルミニウム(元素アルミニウムに基づいて計算)、および用いた場合の1モル〜20モルのハロゲン化物源(元素ハロゲンに基づいて計算)を含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
無酸素および無水の条件下で行なわれることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1記載の方法。
【請求項18】
クロム源および窒素含有配位子が、アルキルアルミニウムの添加前に混合されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
2〜30個の炭素原子を含むオレフィン単量体の(共)三量体化および/または(共)オリゴマー化の反応用の触媒系であって、
請求項1〜18のいずれかの方法によって調製された該触媒系。
【請求項20】
オレフィン単量体が2〜6個の炭素原子を含む請求項19記載の触媒系。
【請求項21】
分子中に2〜30個の炭素原子、および少なくとも1つの末端オレフィン二重結合を有するオレフィン化合物の(共)三量体および/または(共)オリゴマー化プロセスであって、
請求項19記載の触媒系の存在下、(共)三量体化および/または(共)オリゴマー化の段階を含むことを特徴とする該プロセス。
【請求項22】
オレフィン化合物が、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンまたはその混合物であることを特徴とする請求項21記載のプロセス。
【請求項23】
オレフィンオリゴマーの重合または共重合のプロセスであって、
オレフィンオリゴマーが、請求項21または22記載のプロセスによって(共)三量体化および/または(共)オリゴマー化の反応で生成されることを特徴とする該プロセス。
【請求項24】
三量体化反応で形成された1以上のオレフィンオリゴマーが、重合の反応前に三量体化反応の反応混合物から分離されることを特徴とする請求項23記載のプロセス。
【請求項25】
2〜6個の炭素原子を有するオレフィン単量体が、オレフィンオリゴマーとの共重合のために添加されることを特徴とする請求項23または24記載のプロセス。
【請求項26】
オレフィン単量体が、エチレン、プロピレン、ブテン−1またはヘキセン−1であることを特徴とする請求項25記載のプロセス。
【請求項27】
オレフィンオリゴマーの重合または共重合の反応が、オレフィン単量体の三量体化と同時に行なわれることを特徴とする請求項23記載のプロセス。

【公表番号】特表2013−517938(P2013−517938A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551117(P2012−551117)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/RU2011/000049
【国際公開番号】WO2011/093748
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512159993)オープン・ジョイント・ストック・カンパニー“シブール・ホールディング” (1)
【氏名又は名称原語表記】OPEN JOINT STOCK COMPANY ‘SIBUR HOLDING’
【Fターム(参考)】