説明

オンライン商取引システム

【課題】利用者から不適切な出品物等に関する情報を収集し、この情報に基づいて不適切な出品物等の出品、公開等を自動的に排除することができるオークション方式のオンライン商取引システムを提供する。
【解決手段】
利用者による閲覧、入札における虚偽などの報告を経時的に監視する手段と、報告に基づいて公開物情報、公開者情報からなる公開情報から違法情報を経時的に抽出する手段と、抽出結果を評価して数値化する手段と、これを公開情報監視制御に蓄積する手段と、それに基づき情報の公開禁止や削除、また違反公開者からのアップード禁止を判断する手段とを設け、情報の公開制御をして、運用上のトラブル発生を経時的に管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品情報をサーバに公開して商品の売買を行うオンライン商取引システムに関し、特に、商品の出品者が商品情報を公開サーバにアップロードし、この商品の購入希望者が希望価格を入札するオークション方式のオンライン商取引システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品の出品者が商品情報を公開サーバにアップロードし、この商品の購入希望者が希望価格を入札するオンラインオークションシステムは、公開サーバ上で商品の出品、入札、落札等の処理が自動的に行われるため、出品者にとっても購入希望者にとっても利便性の高いシステムである。
【0003】
しかしながら、一方では、違法な商品が出品されたり、利用者がオークション規約違反となる行為を行ったりして問題となる場合がある。オークションシステム運営者は、オークションシステムを適法に運用し、利用者の保護を図るため、このような違法出品や悪質行為を排除する必要がある。
【0004】
このような違法出品や悪質行為の排除を運営者が手作業で行うのは煩雑で非効率であるため、これをシステムにより自動的に行う技術が提案されている。特許文献1には、出品禁止された商品及び出品者の情報を予め蓄積しておき、出品者が公開サーバに出品情報を送信した際に、蓄積した情報を参照し、出品物又は出品者が禁止対象である場合には、出品を中止させる管理方法が記載されている。
【特許文献1】特開2002−342611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の管理方法では、予め禁止対象となる商品及び出品者の情報を蓄積しておかねばならず、さらには、運営者が禁止対象の商品及び出品者の情報を適時更新し続けなければならない。そうすると、オークションシステムの利用度が高まるにつれ、運営者の管理負担は膨大なものとなってしまう。
【0006】
一方で、公開サーバにアップロードされた出品物は、多数の利用者に閲覧されることとなるため、違法出品や悪質行為などは、運営者が発見する前に利用者によって発見される場合が圧倒的に多い。また、多数の利用者が多種多様な出品物を閲覧するため、違法出品や悪質行為などは利用者によって漏れなく発見されるものと考えられる。
【0007】
このような利用者が有する不適切な出品物や出品者に関する情報を入手することができれば、運営者は不適切な出品物や出品者等に対する対処を迅速にかつ漏れなく行うことができる。そこで、本発明は、公開サーバにおいて、利用者から不適切な出品物や出品者に関する情報を収集し、この情報に基づいて不適切な出品物等の出品、公開等を自動的に排除することができるオークション方式のオンライン商取引システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者らは、以下のような構成を有するオンライン商取引システムを発明した。
【0009】
本発明は、ネットワークを通じて接続された利用者端末間での商品売買を可能にするオンライン商取引システムであって、本システム利用を禁止されるべき商品及び利用者に関する情報を格納する禁止情報テーブルと、利用者端末から出品情報を受信するアップロード制御部と、出品情報を利用者端末に対して公開する公開サーバと、前記禁止情報テーブルに記憶された情報に基づいて、商品又は利用者にかかる出品情報の公開を停止させる公開情報制御部と、利用者端末から、前記公開サーバにおいて公開されている出品情報のうち、本システム利用を禁止されるべき商品及び利用者に該当する出品情報の通報を受信する通報受信部と、前記受信した通報を所定の規則に従い数値化し、前記禁止情報テーブルに格納する通報処理部とを備えたオンライン商取引システムを提供するものである。
【0010】
本発明のオンライン商取引システムにおいて、前記通報処理部は、通報された情報を管理者端末に送信することを特徴とする。
本発明のオンライン商取引システムにおいて、前記公開情報制御部は、運営管理者端末からの指示に基づき、公開停止した出品情報を再公開することを特徴とする。
本発明のオンライン商取引システムにおいて、前記公開情報制御部は、前記禁止情報テーブルに記憶された情報に基づいて、商品又は利用者にかかる出品情報を前記公開サーバから削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明のオンライン商取引システムでは、利用者から不適切な出品物等に関する情報を収集し、この情報に基づいて不適切な出品物等の出品、公開等を自動的に排除することにより、多数の利用者間で行われる多種多様な商取引に対する管理業務を迅速にかつ漏れなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図6は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0013】
本発明のオンライン商取引システムの一実施形態として、商品の出品者が商品情報を公開サーバにアップロードし、この商品の購入希望者が公開サーバに対して希望価格を入札することにより自動化された取引を行うオンラインオークションシステムについて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態のオークションシステムの全体構成を概略的に示す図である。図1において、オークションシステム100は、公開サーバ102、アップロード制御部104、公開制御部106、通報受信部108、管理部110、禁止情報テーブル112を備えている。このオークションシステム100は、通信手段を有するサーバコンピュータ等から構成されるものであり、利用者は利用者端末131,132を用いてインターネット等の通信回線網を通じてオークションシステム100にアクセスすることができる。また、オークション運営者は、オークションシステム100に接続された運営者端末120により、システム管理を行うことができる。
【0015】
図1に示すオークションシステム100において、公開サーバ102は、利用者端末に対して出品物の情報を公開し、利用者端末からの出品物の閲覧、入札等の操作を受け付け、オークション進行に必要な処理を行う。アップロード制御部104は、利用者端末から送信される出品物情報を受信し、公開サーバ102に送信する。公開制御部106は、公開サーバ102における出品物情報の公開を制御する。特に、禁止情報テーブル112を参照し、公開サーバ102における不適切な出品物等の公開を制限する(詳細は後述する)。通報受信部108は、利用者端末から不適切な出品物や出品者の通報を受信し、通報の内容を評価・数値化して禁止情報テーブル112に格納する。管理部110は、アップロード制御部104、公開制御部106、通報受信部108等の動作を制御する。禁止情報テーブル112は、公開するのが不適切な商品や出品者の情報を格納している。例えば、オークション運営者が禁止対象とした商品や出品者の情報を格納するとともに、商品や出品者ごとに利用者から受けた通報を数値化して格納しておき、これらの禁止情報と数値に応じて、出品物のアップロードの許可/禁止や、出品物の公開停止、削除等を行うよう予め設定しておくことができる。
【0016】
図2は、本実施形態のオークションシステムにおける公開サーバ102及び利用者端末動作の流れを示すフローチャートである。
図2において、出品者は、利用者端末Aにより公開サーバに対して出品情報のアップロードを行う(201)。この出品情報を受信した公開サーバは、アップロード制御部により出品の可否を判定する(202)。不適切な出品物又は出品者などに該当する場合にはアップロード処理を停止し(203)、それ以外の場合は、出品を受理して出品情報を公開する(204)。
利用者は、利用者端末Bにより公開サーバにアクセスして、この出品情報を閲覧し、入札を行うことができる(205)。利用者端末Bからの入札情報を受信した公開サーバは、所定の入札処理を行い、利用者端末Aに入札を通知する(206)。
また、利用者は、違法品の出品や虚偽情報の公開などの不適切な出品物・出品者を発見すると、利用者端末Bにより公開サーバに対して通報を行うことができる(207)。利用者端末Bからの通報を受信した公開サーバは、所定の通報受信処理を行い(208)、必要に応じて当該出品の削除(209)や公開停止(210)等の対処を行うとともに、運営者端末に通報を行う。この通報を受けた運営者が当該出品を検査し、公開を継続してもよいと判断した場合には、公開停止されていた当該出品を再公開させることもできる(211)。
所定期間が経過し、公開サーバにおいて出品情報の公開が終了すると(212)、当該出品に対する落札差者を決定する落札処理を行い(213)、出品者の利用者端末A及び落札者の利用者端末Bに対して、落札情報を通知する(214)。
【0017】
尚、本実施形態のオークションシステムにおいて、公開サーバは、出品情報の公開開始(204)から公開終了(212)までの間、経時的に出品情報の公開制御を実行している。また、公開制御に関する通知を定期的に運営者端末に送信するものとする。
【0018】
図3は、本実施形態のオークションシステムにおけるアップロード制御処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図3において、公開サーバは、出品者の利用者端末Aから出品情報を受信すると(301)、当該商品及び出品者について禁止情報テーブルを参照し(302)、当該商品が禁止対象に該当するか否か(303)、出品情報に虚偽があるか否か(304)、当該出品者が出品制限対象者であるか否か(305)を判定し、これらのいずれにも該当しない場合には、この出品情報のアップロードを許可することとし、運営者端末にアップロード許可を通知する(306)とともに、出品を受理する(307)。
一方、上記303〜305のいずれかの条件に該当する場合には、この出品情報のアップロードを許可しないこととし、運営者端末にアップロード不許可を通知する(308)とともに、出品者の利用者端末Aにアップロード不許可の旨を表示させる(309)。
【0019】
図4は、本実施形態のオークションシステムにおける出品情報の公開制御処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図4において、公開サーバは、利用者端末Bから通報を受信すると(400)、通報の内容を所定基準に従い数値化し、禁止情報テーブルに格納する(401)。
通報内容の数値化とは、次のようにして行う。利用者が利用者端末より所定の通報フォーム(図5参照)に従って出品に対する通報を行うと、公開サーバは、フォームの各項目の評価値を点数化し、禁止情報テーブルにおける当該出品者のレコードに格納する。
さらに、当該出品物及び出品者について禁止情報テーブルを参照し(402)、当該出品が削除すべきものであるか否かを判定する(403)。このときの判定基準は、例えば、過去に運営者の判断により出品削除と判断された出品物又は出品禁止と判断された出品者に該当すること、一定レベルを超える通報がなされたこと、登録抹消された出品者であることなどである。
削除すべきものであると判定した場合には、当該出品を削除する処理を行い(404)、運営者端末に削除を通知する(405)とともに、出品者の利用者端末Aに削除を通知して(406)、オークションを終了する(407)。
当該出品が削除すべきものでないと判定された場合は、続いて、当該出品が公開停止すべきものであるか否かを判定する(408)このときの判定基準は、上記同様に禁止情報テーブルのレコードが一定レベルを超えるかどうかのほか、運営者の判断により、期間等を限定して公開停止すべき出品であると個別に判断された場合などである。
公開停止すべきものであると判定した場合には、当該出品を公開停止する処理を行い(409)、運営者端末に削除を通知する(410)。ここで、運営者から再公開を許可された場合には、当該出品の再公開を行うものとする(411)。また、運営者により出品削除の判断をされた場合には、当該出品の削除をする(412)とともに、出品者の利用者端末Aに削除を通知して(406)、オークションを終了する(407)。
当該出品が削除すべきものでもない、公開停止すべきものでもないと判定された場合、あるいは再公開が許可された場合には、当該出品は継続して公開され、当該出品の公開を継続すべきかの判断により(413)公開を終了する。
【0020】
本実施形態のオークションシステムにおける取引評価について、報告フォーム内容から数値化する処理の詳細を示す一実施例である。
図5において、各項目の評価を数値化する処理では、(1)ユーザ(出品者)、(2)ブランド/品質、(3)価格(相場/適正)、(4)落札実績、(5)取引実績をA〜Eの5段階評価に対して5〜1の数値を割り当て、(6)書き込み欄からはキーワードを検索し、(7)商取引(誠実度)をA、C、D、Eの4段階評価に対して、評価計算(A:真義通報回数をカウント、C:真義通報回数をカウント、D:虚偽通報回数をカウント、E:真義、虚偽通報回数カウント保留、取引回数をカウント)を実施する。
さらに、(8)取引−真義通報、(9)取引−虚偽通報、(10)取引回数、(11)出品−停止、(12)出品−削除までを元に、(13)取引評価実績を算出する。
【0021】
本実施形態のオークションシステムにおける運営者端末への通知処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図6において、公開サーバは、出品があった際のアップロード制御部によるアップロード許可/不許可の通知(600)、公開情報制御部による出品情報に対する公開制御の通知(601)、通報受信部による通報受信の通知(602)を受信すると(603)、所定の通知情報を生成し(604)、所定の通知サイクルに従って(605)、運営者端末に送信する(606)。
【0022】
以上、本発明のオンライン商取引システムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態における公開サーバ等の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のオンライン商取引システムは、図1等に示すように、コンピュータのCPU、メモリ、補助記憶装置、ディスプレイ、入力デバイス等を含むハードウェア資源上に構築されたOS、アプリケーション、データベース等によって実現されるものであり、オンラインオークションにおける出品物情報のアップロード制御、公開制御、利用者端末からの通報受信、入札・開札処理という情報処理が上記のハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであるから、自然法則を利用した技術的思想に該当するものであり、コンピュータシステムを利用したeコマース等の産業において利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態であるオークションシステムの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示すオークションシステムにおける公開サーバ及び利用者端末動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】図1に示すオークションシステムにおけるアップロード制御処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すオークションシステムにおける出品情報の公開制御処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図5】利用者からの通報内容を数値化する例を説明する図である。
【図6】図1に示すオークションシステムにおける運営者端末への通知処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
100 オークションシステム
102 公開サーバ
104 アップロード制御部
106 公開制御部
108 通報受信部
110 管理部
112 禁止情報テーブル
120 運営者端末
131,132 利用者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じて接続された利用者端末間での商品売買を可能にするオンライン商取引システムであって、
本システム利用を禁止されるべき商品及び利用者に関する情報を格納する禁止情報テーブルと、
利用者端末から出品情報を受信するアップロード制御部と、
出品情報を利用者端末に対して公開する公開サーバと、
前記禁止情報テーブルに記憶された情報に基づいて、商品又は利用者にかかる出品情報の公開を停止させる公開情報制御部と、
利用者端末から、前記公開サーバにおいて公開されている出品情報のうち、本システム利用を禁止されるべき商品及び利用者に該当する出品情報の通報を受信する通報受信部と、
前記受信した通報を所定の規則に従い数値化し、前記禁止情報テーブルに格納する通報処理部とを備えたオンライン商取引システム。
【請求項2】
前記通報処理部は、通報された情報を管理者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載のオンライン商取引システム。
【請求項3】
前記公開情報制御部は、運営管理者端末からの指示に基づき、公開停止した出品情報を再公開することを特徴とする請求項2に記載のオンライン商取引システム。
【請求項4】
前記公開情報制御部は、前記禁止情報テーブルに記憶された情報に基づいて、商品又は利用者にかかる出品情報を前記公開サーバから削除することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のオンライン商取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−97230(P2008−97230A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276996(P2006−276996)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)