説明

オープンショーケース

【課題】エアカーテン吹出口において、結露が発生し難く、しかも、ハニカム整流体を確実に保持できるようにしたオープンショーケースを提供することにある。
【解決手段】ケース本体の外箱と内箱との間に画成した冷気循環ダクトを通じてケース本体の前面に冷気エアカーテンを吹き出し形成する冷気吹出口の前後壁の間に空気整流体を保持する冷気循環式のオープンショーケースにおいて、前記冷気吹出口の前壁を構成するキャノピ部9と外箱の天井パネル前面壁11とを保持するとともに、ハニカム整流体7を保持する樹脂製の係止部材21を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷気循環式のオープンショーケースに関し、庫内前面に向けて冷気エアカーテンを吹き出し形成するエアカーテン吹出口に設けられるハニカム整流体の取り付け構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
まず、頭記の冷気循環式オープンショーケースとして、二層エアカーテン方式の多段形オープンショーケースの構成を図3に示す。
【0003】
図3において、1は断熱筐体になるオープンショーケースのケース本体であり、前面開放形の鋼板製の外箱1aと内箱1bとの間には、内箱1bの外周に内外二重の冷気循環ダクト2,3が画成されており、この冷気循環ダクト2,3に連ねてケース本体1のフロント上部側にはエアカーテン吹出口2a,3aが、下部側にはエアカーテン吸込口2b,3bが開口している。また、内層の冷気循環ダクト(インナーダクト)2には冷却器4およびファン5が、外層の冷気循環ダクト(アウターダクト)3にはファン6が設けられている。
【0004】
また、前記のエアカーテン吹出口2a,3aにはハニカム整流体7を設け、保冷運転時にはハニカム整流体7を通じて庫内前面に内外二層の冷気エアカーテンを吹き出し形成して庫内に保冷する。なお、8は商品陳列棚、9はケース本体1の上部前面に設けたキャノピ部であり、商品陳列棚8下面、キャノピ部9、内箱1bの天井部分には、それぞれ照明灯10が設けられている。
【0005】
かかる構成になるオープンショーケースの保冷運転時には、インナーダクト2,アウターダクト3に冷気が循環送風され、エアカーテン吹出口2a,3aのハニカム整流体7を通じてケース本体1の前面開口部に内外二層の冷気エアカーテンを吹出形成し、庫内の商品陳列棚8に陳列した商品を保冷する。
【0006】
このハニカム整流体7の取付状態の一例を図4に示す。
【0007】
ハニカム整流体7は、エアカーテン吹出口2a,3aに設けられるが、図4に示すハニカム整流体7の取付例は、アウターダクト3のエアカーテン吹出口3aに設けた例を示すもので、外箱1aの天井パネル前面壁11と仕切板12との間にハニカム整流体7が設けられ、仕切板12が設けられている側とは反対側のハニカム整流体7の端面に略コ字状に折り曲げてハニカム整流体を上下から挟むとともに凸部13aおよび下端に取っ手13bを有するワイヤからなる保持部材13を取り付け、保持部材13の凸部13aに対応する天井パネル前面壁11の壁に凹部11aを設け、凹凸部を嵌め合わせることによりハニカム整流体7をエアカーテン吹出口3aに保持させるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
なお、この天井パネル前面壁11と外箱1aを覆うようにキャノピ部9が形成され、このキャノピ部9の内部には、キャノピ部9の結露防止のためにヒータHが介挿されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−264646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図4に示した従来構造では、外箱1aは、断熱材を内部に有し、外側は鋼板により覆われている。この外箱1aの天井パネル前面壁11を形成する庫内側の壁およびキャノピ部9はともに鋼板製であり、お互いの端面を内側に折り曲げて突き合わせた状態で取り付けられており、その付き合わせ部分Pにおいて、庫内外の熱伝導が発生し易く、また、ハニカム整流体7の取付状態によっては、天井パネル前面壁11が前方向に押されるため、外箱1aの天井パネル前面壁11を形成する庫内側の壁とキャノピ部9との突き合わせ部分に隙間が出来易くなるので、ヒータHをオンしても、結露が発生し易いという問題があった。
【0011】
また、ハニカム整流体7の保持部材13は、天井パネル前面壁11の凹部11aと仕切板12との間に保持されているだけのため、脱落し易いという問題があった。
【0012】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、エアカーテン吹出口において、結露が発生し難く、しかも、ハニカム整流体を確実に保持できるようにしたオープンショーケースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明によれば、ケース本体の外箱と内箱との間に画成した冷気循環ダクトを通じてケース本体の前面に冷気エアカーテンを吹き出し形成する冷気吹出口の前後壁の間に空気整流体を保持する冷気循環式のオープンショーケースにおいて、前記冷気吹出口の前壁を構成するキャノピ部と外箱とを保持するとともに、ハニカム整流体を保持する樹脂製の係止部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記係止部材は、上部係止部と下部係止部を備え、前記上部係止部にて外箱を構成する鋼板製の天井パネル前面壁を保持し、前記下部係止部にて鋼板製のキャノピ部を保持することを特徴とする。
【0015】
前記下部係止部は、下向きに溝部を形成し、前記キャノピ部の上部に折り曲げられた先端部を挟み込んで保持することを特徴とする。
【0016】
前記係止部材は、略コ字状に折り曲げてハニカム整流体を上下から挟むとともに凸部を有する保持部材の凸部に対向する位置に凹部と、前記保持部材のコ字状端面を載置するための載置部とを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外箱を形成する天井パネル前面壁とキャノピ部とを樹脂製の係止部材で保持するとともに、この係止部材にてハニカム整流体を保持するようにしたので、熱伝導および隙間などによるエアカーテン吹出口の結露防止が図れる。
【0018】
また、前記係止部材に略コ字状に折り曲げてハニカム整流体を上下から挟むとともに凸部を有する保持部材の凸部に対向する位置に凹部を形成するとともに、前記保持部材のコ字状端面を下から支える載置部を形成することにより、ハニカム整流体の脱落を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例によるエアカーテン吹出口の構成断面図
【図2】図1における拡大断面図
【図3】冷気循環形オープンショーケースの概要構成図
【図4】従来におけるオープンショーケースのエアカーテン吹出口の構成断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図1,図2に基づいて説明する。なお、図中で図3,図4に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
【0021】
図1,図2において、キャノピ部9と天井パネル前面壁11との係止部材とハニカム整流体7の保持部材13を保持するための係止部材とを兼用する樹脂製の係止部材21を設けたものである。
【0022】
この係止部材21は、上方域に鋼板にて構成される天井パネル前面壁11の前方へ階段状に折り曲げられた端面の上辺11cと垂直辺11bとを上下方向並びに前後方向から挟み込むように保持するために二辺に分かれた上部係止部21a、この上部係止部21aの下方域に保持部材13の凸部13aに対応する位置に設けられる凹部21b、この凹部21bの下方域にハニカム整流体を保持するとともに鋼板にて構成されるキャノピ部9の上方に折り曲げられた下端縁9aを挟み込むように保持するために設けられた下部係止部21cからなる。
【0023】
この係止部材21の上部係止部21aの一辺は、先端を後方に折り曲げてなる突出部22aと突出部22aから下方へ延びる垂直辺22bからなる。
【0024】
この突出部22aにて天井パネル前面壁11の上辺11bを上部から押さえ、上辺11cから下方に延びる垂直辺11bを上部係止部21aの垂直辺22bにより前方から押さえ込むように構成されている。
【0025】
一方、係止部材21の上部係止部21aの他辺は、天井パネル前面壁11の前方へ階段状に折り曲げられた端面の裏面側に沿うように設けられ、先端を前方に折り曲げてなる突出部23aとこの突出部23aから上方へ延びる略垂直辺23bと後方に延びる上辺23cからなる。
【0026】
この上部係止部21aの突出部23aと垂直辺22bとの間に天井パネル前面壁11の垂直辺11cを挟み込みで固定し、また、上辺23cと突出部22aとの間に天井パネル前面壁11の上辺11aを挟み込んで固定する。
【0027】
次に、係止部材21の下部係止部21cは、ハニカム整流体7の保持部材13のコ字状端面13cを下側から保持するために設けられた載置部24a、キャノピ部9の上方に折り曲げられた下端縁9aを挟み込むように設けられた下向きに開放する溝部24bとからなる。
【0028】
次に、溝部24bを構成する一辺は、先端を前方に折り曲げてなる突出部24cが設けられており、この突出部24cと溝部24bの他辺との間にキャノピ部9の下端縁9aを隙間なく挟み込んで固定する。
【0029】
このように、係止部材21の上部係止部21a、下部係止部21cにてキャノピ部9と天井パネル前面壁11とを保持するものである。
【0030】
次に、ハニカム整流体7の保持については、係止部材21の凹部21bとハニカム整流7体の保持部材13の凸部13aと合わせ、かつ、ハニカム整流体7の保持部材13のコ字状端面13cを係止部材21の載置部24aに載せて位置決めを行う。
【0031】
また、ハニカム整流体7の後方域は、吹出口を内外に二分する仕切板12に押圧されている。この仕切板12を庫内側のパネル31に取り付けるには、例えば、台円形状に膨出したネジ穴付きのエンボス12a,12bの端面同士を前後に突き合わせた上で、両者間を固定ネジ12cにより締結して仕切板12を内箱に固定支持する。
【0032】
このように、係止部材21と仕切板12との間にハニカム整流体7を保持することで、凹凸部に加え、係止部材21の載置部24aで下側から支えることになり、従来に比べて確実に脱落防止が図れ、また、係止部材21を樹脂製にて形成して、天井パネル前面壁11とキャノピ部9とを保持することで、鋼板同士が接しないため、熱伝導および隙間などによるエアカーテン吹出口の結露防止が図れる。さらに、ハニカム整流体7にて前方へ押されたとしても係止部材21の溝部24bにてキャノピ部を挟み込んでいるため、隙間は生じない。
【符号の説明】
【0033】
1 ケース本体
1a 外箱
1b 内箱
2a,3a エアカーテン吹出口
7 ハニカム整流体
9 キャノピ部
11 天井パネル前面壁
12 仕切板
13 保持部材
13a 凸部
13c 端面
21 係止部材
21a 上部係止部
21b 凹部
21c 下部係止部
24a 載置部
24b 溝部
25 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体の外箱と内箱との間に画成した冷気循環ダクトを通じてケース本体の前面に冷気エアカーテンを吹き出し形成する冷気吹出口の前後壁の間に空気整流体を保持する冷気循環式のオープンショーケースにおいて、前記冷気吹出口の前壁を構成するキャノピ部と外箱とを保持するとともに、ハニカム整流体を保持する樹脂製の係止部材を備えたことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
請求項1記載のオープンショーケースにおいて、前記係止部材は、上部係止部と下部係止部を備え、前記上部係止部にて外箱を構成する鋼板製の天井パネル前面壁を保持し、前記下部係止部にて鋼板製のキャノピ部を保持することを特徴とするオープンショーケース。
【請求項3】
請求項2記載のオープンショーケースにおいて、前記下部係止部は、下向きに溝部を形成し、前記キャノピ部の上部に折り曲げられた先端部を挟み込んで保持することを特徴とするオープンショーケース。
【請求項4】
請求項3記載のオープンショーケースにおいて、前記係止部材は、略コ字状に折り曲げてハニカム整流体を上下から挟むとともに凸部を有するワイヤからなる保持部材の凸部に対向する位置に凹部と、前記保持部材のコ字状端面を載置するための載置部とを形成することを特徴とするオープンショーケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−75810(P2012−75810A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226268(P2010−226268)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】