説明

オープンショーケース

【課題】オープンショーケースの前面下部に装備した折り畳み式のテーブルについて、その棚板の突出し角度を可変設定して棚上に並べる販促品の展示効果を高めるようにする。
【解決手段】本体ケースのフロント壁1aに、垂下姿勢から庫外前方に向けて突き出す折り畳み可能なテーブル5を装備し、該テーブル5はその棚板5aの後端部を取付フレーム8にヒンジ結合した上で、棚受け部材を介して棚板5aを突出し姿勢に支持するようにしたオープンショーケースにおいて、棚板5aの突出し姿勢を水平,および前傾姿勢に設定する棚角度調整手段を備えるものとし、具体的に棚受け部材はその後端を取付フレーム8に枢支し、先端を棚板5aに係止して該棚板を突出し姿勢に下支えするステーアーム9とし、該ステーアーム9に対向して棚板5aの裏面には、ステーアーム9の掛け止め位置をずらして棚板を水平姿勢,ないし前傾姿勢に係止保持するアジャスト部材10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庫内に商品陳列棚を備えた前面開放形本体ケースの前面下部に、庫外前方に向けて突き出す折り畳み式のテーブルを装備したオープンショーケースに関し、詳しくは該テーブルの棚板支持構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどの店舗に据付けて使用するオープンショーケースでは、販売商品の試食品,商品見本などを並べる販促用の補助棚として、本体ケースの前面下部に庫外の通路側に向けて突き出す折り畳み式のテーブルを装備したオープンショーケースが知られている(例えば特許文献1,特許文献2参照)。
【0003】
次に、オープンショーケースに装備した前記折り畳み式テーブルの従来構造を図3〜図5に示す。各図において、1は前面開放形の本体ケース、2は上下段に並べて本体ケース1の庫内に架設した商品陳列棚、3は庫内の冷気循環ダクトに配した冷却器(冷凍機の蒸発器)、4は送風ファン、5は本体ケース1の舟底部を構築するフロント壁1aの前面に設置した先記の折り畳み式テーブル、6はテーブル5の棚板(天板)5aを突出し位置に支持する左右一対の折り畳み式ブラケット(棚受け部材)である。ここで、前記テーブル5の棚板5a,およびブラケット6はその後端が蝶番などを介してフロント壁1aに設けた取付フレームに折り畳み可能に連結されており、棚板5aは上下方向に、ブラケット6は左右方向へ回動可能となっている。
【0004】
上記の構成で、折り畳み式テーブル5を使用しない場合には、図4(a)〜(c)で示すように棚板5a,ブラケット6を折り畳んで棚板5aをフロント壁1aの前面に垂らしておく。
【0005】
一方、折り畳み式のテーブル5を使用する場合には、図5(a)〜(c)で示すように、棚板5aを上方に引き上げた上で、折り畳まれていたブラケット6を前方に引出して棚板5aを下支えする。これによりテーブル5の棚板5aが前方に向けて水平角度に突き出した姿勢で支持される。
【0006】
そして、この折り畳み式テーブル5の使用状態では、図3のように棚板5aの上に試食品,商品見本などの販促品7を並べて店内でセールスプロモーションを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−224147号公報
【特許文献2】特開2010−246660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先述のように、従来構造の折り畳み式テーブル5は、その突出し状態でブラケット6に支持された棚板5aの姿勢は水平角度に規定されている。そのために、図3で表すように店内の客はオープンショーケースの前方通路から棚板5a上に並べた販促品7を斜め方向から目視することになる。
【0009】
ところで、テーブル5に並べる販促品7は種類,形状が様々であって、図示のように水平姿勢に突き出た棚板5aの上に並べて展示されていると、販促品7の形状,種類によってはその内容,表示が斜め前方からでは認知し難くなることがある。このような場合には、販促品7を前傾姿勢に傾けて並べ替えることで客への認知性,アピール性を高めることができる。
【0010】
そこで、本発明はオープンショーケースの前面下部に装備した販促用の折り畳み式テーブルについて、そのテーブルの棚板上に並べた販促品の展示効果を高めて客への認知性,アピール性向上が図れるように棚支持構造を改良したオープンショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によれば、庫内に商品陳列棚を搭載した前面開放形本体ケースの前面下部に、垂下位置から庫外前方に向けて突き出す折り畳み可能なテーブルを装備したオープンショーケースであり、前記テーブルはその棚板の後端部を本体ケースのフロント壁に設けた取付フレームにヒンジ結合した上で、棚受け部材を介してテーブルの棚板を突出し姿勢に支持するようにしたものにおいて、
前記テーブルの棚板突出し姿勢を水平,および前傾姿勢に設定する棚角度調整手段を備えるものとし(請求項1)、具体的には次記のような態様で構成する。
(1)前記の棚角度調整手段として、棚受け部材がその後端を取付フレームに枢支し、先端をテーブルの棚板に係止して該棚板を突出し姿勢に下支えするステーアームであり、該ステーアームに対向して棚板の裏面には、前記ステーアームの先端を掛け止めして棚板を水平姿勢,ないし前傾姿勢に対応する棚角度に保持するアジャスト部材を設ける(請求項2)。
(2)前記テーブルの棚板前端に折り畳み式の棚フェンスを設ける(請求項3)。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、オープンショーケースの前部に備えた折り畳み式テーブルの棚板突出し姿勢を水平,あるいは前傾角度に選択設定することができる。これにより、折り畳み式テーブルを使用して行う店内のセールスプロモーションでこのテーブルの棚板上に並べて展示する販促品をその種類,形状に応じて見易い棚角度に設定することで、販促品の認知性,アピール性を高めてことができる。
【0013】
また、前記テーブルの棚板前縁に折り畳み式の棚フェンスを設けたことで、前傾姿勢の棚板に並べた販促品が棚から前方に脱落するのを防止し、またテーブルを使用しない場合には棚フェンスが邪魔にならないように折り畳んでおくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例による折り畳み式テーブルの構成図であって、(a),(b),(c)はそれぞれテーブルの棚板を折り畳み,水平角度,前傾角度にセットした状態の側視図、(d),(e)は(b),(c)図における矢視A部,B部の拡大図である。
【図2】図1(b)に対応するテーブルの使用状態を下面側から見た外形斜視図である。
【図3】従来構造の折り畳み式テーブルを装備したオープンショーケース全体の構成図である。
【図4】図3における折り畳み式テーブルを折り畳んだ状態を表す図であって、(a),(b),(c)はそれぞれ側面図、正面図、および上面図である。
【図5】図3における折り畳み式テーブルの使用状態を表す図であって、(a),(b),(c)はそれぞれ側面図、正面図、および上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1,図2に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図4,図5に対応する同一部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
図示実施例の折り畳み式テーブルは基本的に従来と同様な構造であるが、従来と異なる点はテーブルの使用状態でその棚板の突出し姿勢を水平,ないし前傾姿勢に設定する棚角度調整手段を備えており、以下にその詳細構造を述べる。
【0016】
すなわち、折り畳み式テーブル5の棚板5a(鈑金製)は、その後端部がオープンショーケースのフロント壁1aの前面に設けた取付フレーム8に対し、その左右両端の上部にヒンジ金具5bを介して上下方向へ回動可能に連結されている。
【0017】
一方、前記棚板5aを突出し姿勢に下支えする棚受け部材として図示実施例では、図2で示すように金属棒材,ないしパイプ材をU字状に曲げ加工してその両端に形成した軸受部9aを前記取付フレーム8の左右側壁の下部位置にヒンジピンを介して上下方向へ回動可能に枢支したステーアーム9を備えている。そして、このステーアーム9の先端辺部に対向してテーブル5の棚板5aの裏面には、前記ステーアーム9を掛け止めして棚板5aを水平姿勢,および前傾姿勢に対応する棚角度位置に係止保持するアジャスト部材10を設けている。
【0018】
このアジャスト部材10は、その左右両端に垂下する側壁を形成して棚板5aの裏面にスポット溶接した板金部品で、その側壁には図1(d),(e)で示すように前後に位置をずらしてステーアーム9の先端を掛け止めする凹状の係合溝10a,10bが切欠き形成されている。なお、係合溝10aは棚板5の水平棚角度に対応し、係合溝10bは棚板5aの前傾棚角度に対応している。
【0019】
さらに、テーブル5の棚板5aにはその前縁に沿って左右に延在する折り畳み式の棚フェンス11を備えている。この棚フェンス11は、例えば透明樹脂製で棚板5aの前端部に回動可能に軸支連結おり、かつその下端側には棚フェンス11を起立姿勢に位置決めする回り止めリブ11aが形成されている。
【0020】
次に前記構成になる折り畳み式テーブル5の使用手順について説明する。先ず、図1(a)はテーブル5を折り畳んだ状態を表しており、取付フレーム8に連結した棚板5a,ステーアーム9は、そのヒンジ結合端を上に向けてフロント壁1の前面に垂れ下がっている。また、この状態では棚板5aの先端に設けた棚フェンス11は棚板5aの板面と重なるように図示のように折り畳んでおく。
【0021】
この状態からテーブル5の棚板5aを水平姿勢に突き出して使用するには、図1(b),(d)で示すように棚板5aを上方に持ち上げた状態で、ステーアーム9の先端辺部をアジャスト部材10の係合溝10aに掛け止めする。これにより、棚板5aは図示の水平姿勢に支持される。なお、棚フェンス11は起立姿勢に起こして、棚の上に載せた販促品7(図3参照)が前方に脱落するのを防ぐようにしている。
【0022】
また、テーブル5の棚板5aを前傾姿勢に突出して支持する場合には、図1(c),(e)で示すように棚板5aを上方に持ち上げた状態で、ステーアーム9の先端をアジャスト部材10の係合溝10bに掛け止めする。これにより、棚板5aは図示のように前傾姿勢に支持される。
【0023】
上記のように折り畳み式のテーブル5をオープンショーケースのケース前方に突き出して使用する際に、テーブル5の棚板5aに並べる販促品7(図3参照)の種類,形状に応じて棚板5aの突出し姿勢を水平,もしくは前傾角度に設定することで、最適な展示効果を発揮して客への認知性,アピール性を高めることかできる。
【0024】
なお、折り畳み式テーブルの棚板突出し角度の調整手段として、図示実施例ではU字状に曲げ加工したステーアーム9の先端部を棚板5aの裏面に配したあじ10に掛け止めして水平姿勢,前傾姿勢に係止保持するようにしたが、その調整手段は図示実施例の構造に限定されるものではなく、例えば、ステーアーム9を左右一対のアームに分けた上で、各アームの先端を棚板5の左右側縁に形成した角度調整用の係合溝に直接掛け止めする、あるいはステーアーム9の長さを伸縮調整可能なアームにするなどして棚板5aの突出し姿勢を水平,ないし前傾角度に可変設定するようにして実施することも可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 オープンショーケースの本体ケース
1a フロント壁
2 庫内の商品陳列棚
5 折り畳み式テーブル
5a テーブルの棚板
5b ヒンジ金具
8 取付フレーム
9 ステーアーム
9a 軸受部
10 アジャスト部材
10a,10b 係合溝
11 折り畳み式棚フェンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内に商品陳列棚を搭載した前面開放形本体ケースの前面下部に、垂下位置から庫外前方に向けて突き出す折り畳み可能なテーブルを装備したオープンショーケースであり、前記テーブルはその棚板の後端部を本体ケースのフロント壁に設けた取付フレームにヒンジ結合した上で、棚受け部材を介してテーブルの棚板を突出し姿勢に支持するようにしたものにおいて、
前記テーブルの棚板突出し姿勢を水平,および前傾姿勢に設定する棚角度調整手段を備えたことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
請求項1に記載のオープンショーケースにおいて、棚角度調整手段として、棚受け部材がその後端を取付フレームに枢支し、先端をテーブルの棚板に係止して該棚板を突出し姿勢に下支えするステーアームであり、該ステーアームに対向して棚板の裏面には、前記ステーアームの先端を掛け止めして棚板を水平姿勢,ないし前傾姿勢に対応する棚角度に係止保持するアジャスト部材を設けたことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項3】
請求範囲1または2に記載のオープンショーケースにおいて、テーブルの棚板前端に折り畳み式の棚フェンスを設けたことを特徴とするオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−34517(P2013−34517A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170693(P2011−170693)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】